○礒崎哲史君
国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
会派を代表して、ただいま
議題となりました
政府提出の
産業競争力強化法等の一部を
改正する等の
法律案について、
経済産業大臣に
質問いたします。
質問の前に一言申し上げます。
冒頭、
大臣より、本
法案の条文及び
参考資料に
誤りがあったことに関し、おわびの御発言がありました。受け止めたいと思います。
しかしながら、条文に
誤りがあった以上、出し直すべきであったこと、また、
誤りが見付かった後の経産省の
対応にも問題があったことは改めて
指摘をさせていただきます。
再発防止に努めていただきたいと思います。
それでは、
質問に入ります。
産業競争力強化法は、
日本経済の三つのひずみ、具体的には過剰規制、過小
投資及び過当競争の三つを是正し、
我が国の
産業競争力強化を
目的に二〇一三年に成立しました。
二〇一六年のダボス
会議では第四次
産業革命という言葉が使われ、
産業における新たな時代の到来との
認識が社会に共有され、グローバル競争はますます激しくなりました。同法施行から七年を経過しましたが、
我が国産業の国際
競争力は果たして
強化されたのでしょうか。
例えば、
国際経営開発研究所、IMDによる国際
競争力年鑑の
日本の総合順位は、一九八九年の一位に始まり、一九九六年までは五位以内を維持、金融システム不安が表面化した一九九七年に十七位に急落しました。その後、低迷と後退が続き、この
法律が成立した二〇一三年には二十四位であったものが、最新版の二〇二〇年では過去最低の三十四位まで落ち込んでおります。また、
日本企業の半導体の
世界売上高シェアが一九八八年の約五〇%から二〇一九年には一〇%まで低下していることも象徴的な動きであり、これらは今後の
我が国の
産業競争力を
考える上で非常に懸念される点ではないでしょうか。
この
原因として、冒頭に挙げた三つの過の是正が十分に進まなかったことに加え、グローバルな
企業活動において、近年では国際ルールに基づいた協調領域と
企業の
強みを生かした競争領域を巧みに組み合わせた戦略が必要であり、その意味で国際標準化の
取組も不十分であったと
考えます。
そこで、
大臣にお伺いします。
産業競争力強化法は、
我が国産業の国際
競争力強化にどのような
役割、
効果を果たしてきたと評価しているのでしょうか。特に、三つの過の是正について、
産業競争力強化法はどのような
役割をこれまで果たしてきたのでしょうか。また、IMDランキングや半導体のシェアの落ち込みに対する評価についても具体的な答弁を求めます。
さらに、
産業競争力強化法の施行後七年間で得た教訓は、本
法律案にどのように生かされているのかについても
大臣に伺います。
次に、規制のサンドボックス
制度の
効果と恒久化の
意義についてお伺いいたします。
生産性向上特別
措置法に基づく規制のサンドボックス
制度は、
企業による新たな挑戦を実証として試行することを国が認め、そこから得られたデータを用いて最終的には規制の
見直しにつなげることを
目的とした
制度であり、二〇一八年から三年間の期間を区切って、革新的アイデアの迅速な実証と社会実装の
実現を目指すべく運用されてきました。
特別
措置法制定時は、
政府は、次々と新しいアイデアを実証し、新しい
政策形成に進めていきたいとの意欲を示していましたが、これまでの
活用実績は二十件の
認定にとどまっております。
政府として、これまでの
活用実績とそれによる具体的
効果について、どのように評価しているのでしょうか。また、規制のサンドボックス
制度は、
我が国発のイノベーションと停滞する
生産性向上に向け、どのような
効果をもたらしてきたと
認識しているのでしょうか。
大臣の
見解を伺います。
さらに、本
法律案では、
生産性向上特別
措置法を
廃止し、規制のサンドボックス
制度を
産業競争力強化法に移管して恒久的な
措置とすることとしていますが、単に
制度をスライドするだけではこれまで以上の成果は期待できません。
活用実績や
課題、市場
ニーズ等を踏まえ、
制度にどのような改善策を加えたのかについて、
制度を恒久化する
意義と併せて
大臣の答弁を求めます。
次に、大
企業と
中小企業との
取引の適正化、特に型
取引の適正化の問題や下請Gメンについてお伺いいたします。
日本商工
会議所等の
中小企業団体や一部のエコノミストからは、
日本の生産性の問題は、
中小企業の問題というよりは、
我が国の下請や中間搾取の構造問題であり、こうした問題にメスを入れない限り、
中小企業が飛躍する機会が得られないといった
意見があり、こうした批判の声に耳を傾けてか、
政府も、
成長戦略実行
計画の中で大
企業と
中小企業との
取引の適正化を掲げております。
中小企業の生産性を高めるために、大
企業と
中小企業の
取引の適正化を図ることが不可欠だと私も
考え、注視してまいりましたが、まずは、この点についての
大臣の
見解を伺います。
政府においては、昨年十月から十一月にかけて、製造業
企業の三万社を
対象とした型
取引に関する大規模調査及び下請Gメン調査を行っており、その結果が昨年十二月に公表されております。
それによれば、型代金の支払の
状況について、発注側、受注側いずれの回答においても引渡し後の代金支払が五〇%以上を占める結果となり、遅くとも型の引渡しまでに型代金を支払うことという支払期限の
課題については、引き続き取り組む必要が認められています。
また、不要となった型の廃棄については改善が見られるものの、廃棄について事前の定めがなく、発注側から廃棄の指示もないと回答した割合が、発注側の四割弱に対し受注側は六割がそのように回答しており、また、受注側の三割は、発注側の親
事業者に廃棄の申請をしたが返事がないとしています。受発注間に依然として型の廃棄可否に関する
認識にずれがあることがうかがえ、廃棄基準の共有が
課題となっていること等が示されております。
政府は、型
取引の適正化について、具体的にどのように取り組んできたのでしょうか。特に、昨年十二月の下請Gメン調査で明らかにされた
課題について、改善に向けた動きはあるのでしょうか。
大臣の答弁を求めます。
さらに、本
法律案では、いわゆる下請Gメンが行う調査に法的位置付けを付与することとしておりますが、この
改正はどのような
効果を狙っているのでしょうか。また、下請Gメンについては、現在百二十名
体制と承知しておりますが、問題の
重要性に鑑みれば、今後、下請Gメンを増員していくほか、調査能力の向上に努めていく必要があるのではないでしょうか。この点について、
大臣の
見解をお伺いいたします。
時間の制約上省きましたが、多岐にわたる
施策をカバーするこの
法案について、ほかにも伺いたいことがたくさんあります。また、
経済社会情勢が目まぐるしく変化していく中で、人権デューデリジェンスなど新たな
課題も浮上してきており、こうした
課題も
産業の
競争力に大きな
影響を及ぼすと
考えますが、
大臣の
見解を求めます。
本
法律案の
趣旨説明において、旧態依然とした
経済社会システムから本格的に脱却し、グローバルな
構造変化へと一気に適応していくチャンスでもあるとの
説明がありましたが、これまでの
反省や教訓を踏まえつつ、それら多くの
課題を謙虚に今後に生かすということでなければ、またもや
我が国の
産業競争力の
強化は絵に描いた餅になりかねません。
経済産業省にはそのような危機感を持って
政策運営に当たっていただくことを求めます。
そして、もう
一つの重要な要素は人です。
企業規模に
関係なく、そこで働く人々のチャレンジする気持ちと努力の積み重ねの結果が
企業と
産業の
競争力であり、この後、様々な技術革新が急速に進展する中にあっても、人に焦点を当てた
施策が何よりも重要であることを申し上げ、私の
質問といたします。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣梶山弘志君
登壇、
拍手〕