○武見敬三君 自由民主党の武見敬三です。
私は、自由民主党・
国民の声を代表して、
菅総理大臣の
施政方針演説について
質問をいたします。
初めに、
羽田雄一郎議員の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。
新型コロナウイルス感染症により尊い命を落とされた
方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、重病化され、病と闘っておられる
方々の一日も早い回復を願ってやみません。
新型コロナウイルス感染症対策のため、年末年始を返上し業務に当たられた
医療従事者や保健所等の
皆様、エッセンシャルワーカーの
方々、自粛に御協力いただいている飲食業の
皆様に心より感謝を申し上げます。故郷で家族とともに新年を迎えたい気持ちを抑え、久しぶりに顔を合わせたい思いをこらえて
感染拡大防止に御協力いただいている
国民お一人お一人に深く感謝を申し上げます。
我が国では、
新型コロナウイルスの
感染拡大が始まってから一年が過ぎ、危険な
感染症のパンデミックは、
国民の生命と生活を根源的に脅かす脅威であるとの認識が持たれるようになりました。戦争や紛争といった軍事的脅威と同様に、巨大地震、原発事故、津波、さらに
新型コロナウイルスのような危険な
感染症のパンデミック等の非軍事的脅威は、
国民の生命や生活に深刻な影響を及ぼす安全保障上の脅威であることは明らかです。それゆえ、今日では、あらゆる脅威に
対応するための危機管理体制を効率的に構築するために、オールハザードという
政策概念が用いられるようになっています。
そこで、
我が国でも、危険な
感染症のパンデミックも安全保障上の脅威であると同時に、国の責務で
対応すべき課題であると認識すべきと
考えますが、菅内閣においてこのような
考え方に対してどのような御見解を有しておられるのでしょうか。
総理にお伺いします。
二十一世紀に入ると、重症急性呼吸器症候群、SARS、中東呼吸器症候群、MERS、エボラ出血熱など動物由来の
感染症が発生する頻度も多くなり、国境を越えて広い地域にまたがり感染を拡大させるようになっています。これからも毒性の強い鳥インフルエンザなどがヒト・ヒト感染可能な
感染症に変異することも予測されています。
したがって、頻度及び被害の大きさから極めて重要度の高い安全保障上の課題であるとの認識を踏まえて、平時より
感染症に対する有事における危機管理の体制を国の責務に基づき構築しておく必要が認められると
考えますが、どのようにお
考えでしょうか。
総理の見解をお伺いします。
我が国では、従来、
感染症については、公衆衛生上の観点から保健所、地方衛生
検査所、国立
感染症研究所などが
感染症予防法などに基づき行政管理する体制が取られ、この公衆衛生の基本に基づく
対応は、
積極的疫学調査などを通じて
クラスターが発生したときに
効果的に
新型コロナウイルスを封じ込める重要な
役割を担ってきました。
しかし、今回の
感染拡大のように市中感染が広がり追跡不可能な孤発例が新規陽性者の六割を占めるようになると、この
クラスターアプローチにも限界があることも
理解され、感染の発生率の高い地域や医療・介護施設、飲食業、
教育機関、仕事場などにて集中して感染を阻止する
対策を講ずると同時に、
国民一人一人に不要な外出を自粛していただき、人の接触自体を大幅に減少させる必要があることも経験しました。
今後、注意すべきは、今回の
感染拡大が英国などにおいて発生した感染力が高く毒性の劣化しないウイルスの国内感染の拡大と重なり、感染の広がりを大幅に加速させることです。
そこで、今回の
緊急事態宣言の
効果について、特に、
政策の実効性がどの程度あると
考えるのか、今後更に強化するために特措法等の
改正をどのように進めるのか、
総理の御所見をお伺いします。
感染の長期化により
国民の多くに自粛疲れが広がる
状況下において、あるいは将来予見される強毒性の高い
感染症の発生時に早期に確実に対処するためにも、より実効性のある法的措置が必要です。
我が国の民主主義の下において、常に個人の権利や自由を抑制することには慎重であるべきですが、
感染状況に応じた
対策を講じるためには、自粛要請に応じない
事業者への何らかの強制措置を可能とする一方で、協力する
事業者に対する経済的支援を
実施するなど、実効性の改善に向けた
対策を徹底させなければなりません。
そこで、特措法及び
感染症予防法等を
改正する際に、個人の権利と自由、そして感染抑制のための権限強化と経済支援をどのように均衡させて高い実効性を確保していくお
考えでしょうか。
総理の御所見をお伺いします。
新型コロナウイルスは、軽症、無症の若い世代の陽性者を通じて感染が拡大し、かつ、感染した
高齢者にとっては重症化しやすく、しかもウイルスが頻繁に変異し、感染力も高いことから、感染が長期化する特質を持っています。したがって、特効薬や
ワクチンが開発され普及するまで、長期にわたり、特に
高齢者を対象として脅威が継続するおそれがあります。
残念なことに、感染阻止のため人の接触や移動を制限すればするほど経済、
社会、文化活動に深刻な影響を与え続けることも嫌というほど経験しています。そこから、
感染症拡大を抑止しつつも、経済、
社会、文化活動を維持発展させることを可能とする
感染症経済学といった
政策分野が重要となっています。従来の
感染拡大抑止という目的のみならず、経済、
社会活動を維持発展させるための公衆衛生サービスといった
考え方が必要になってきたと
考えます。
例えば、交通機関の規制やテレワークを推進する
効果的な仕方を検討したり、オリンピック、パラリンピックなど特定の期間、限定された地域に同じ目的で多人数の集団が形成されるマスギャザリングにおける感染防止の方法を検討したり、また、民間における
PCR検査等の精度管理を指導しつつ、陽性者が確認できれば提携する医療機関を通じて行政サービスの対象に組み込む仕組みなどをつくることなどが
考えられます。
そこで、
政府は、
厚生労働省と経済産業省を連携せしめ、早急にこの未知の
政策分野の所轄を明らかにするとともに、学際的
政策分野の人材を養成する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
総理の御所見をお聞かせください。
また、
感染拡大を抑止させつつも、経済、
社会活動の維持発展させるための公衆衛生サービスといった
考え方は、
我が国において従来の公衆衛生学ではその
政策対象になかなか入ってこない分野であり、学術の観点からの
政策学としての公衆衛生学の新たな発展を求めるエリアでもあります。
どのように科学と
政策を結び付け、
政策のための科学を実現することができるのか。本来であれば、
我が国の人文・
社会科学、自然科学、全分野の科学者の知恵を結集し、国の内外に対して発信、提言することを期待されているアカデミーこそが、このような視点からの議論を牽引してほしいという思いでいっぱいであります。
我が国の科学における活力が衰退しているという指摘もあります。実際、論文数とGDPとの関係には一定の相関が見られるという分析がありますが、文部科学省の研究機関によれば、自然科学の論文数で中国が米国を抜いて初めて
世界一位になっている一方で、
日本は四位、注目度の高い論文数では九位と、十年前より順位を落としています。
我が国の科学の復権のためにも、
経済成長のみならず、
新型コロナウイルス感染症の脅威により大きく変容しつつある
国民の経済
社会生活や国際秩序を見据えて、課題を解決する
政策学の分野を強化し、複雑化、多様化する課題の迅速な解決のために科学技術がどのように機能していくのかという視点から科学技術行政の
在り方を検討すべきと
考えていますが、
総理の御見解をお聞かせください。
新型コロナウイルスが頻繁に変異するウイルスであることから、この変異する過程を迅速に追跡する必要が認められます。英国で蔓延している変異した
新型コロナウイルスは、実効再生産数が〇・四高く、感染力も七〇%も高いと言われており、
我が国でも
感染拡大を最も警戒すべきウイルスです。ゆえに、検体を採取し、迅速に収集し、ゲノム解析等可能な研究機関においてウイルスを分析し、しかも、ウイルスの変異が罹患者の症状をいかに変化させるかを
調査する臨床研究と一体化した
調査研究システムを構築する必要が認められます。
そこで、ゲノム解析等が可能な大学等の研究機関の協力を得て、そこで得られたデータを国立
感染症研究所に集約した上で、感染研や国立国際医療研究センターなどを母体として、こうした疫学的基礎
調査と臨床研究を連携させる検体レジストリーや臨床レジストリーを有する危機管理体制を一体的に構築する必要が早急に求められると
考えますが、いかがでしょうか。
総理の御見解をお聞かせください。
新型コロナウイルスの
感染拡大は、
我が国における
デジタル化の遅れを象徴的に明らかにしました。
新型コロナウイルスの収束の切り札となる
ワクチン接種を迅速に進めるためにも、この
デジタル化の遅れを挽回しなければなりません。
我が国では、医薬品の取り違え事故の防止、トレーサビリティーの確保、そして医薬品の流通の効率化のために、
ワクチンなど医療用医薬品にはバーコードが表示されます。今回、
ワクチンの出荷と入荷を管理する
情報システムを構築する
準備を進めていますが、このシステムでは、誰に
ワクチンを
接種したかを特定化することはできません。
ワクチンの
接種は市町村の
役割であり、今までは市町村が個別に
ワクチン台帳を作成してきました。他方、
ワクチンの
接種による副
反応を診断した医療機関は、医薬品医療機器総合機構、PMDAに報告する義務を負いますが、これまではファクスで報告をしてきました。
やはり、マイナンバーカードと健康保険証を一体化させる形で、国が一元的に管理することのできる健康
情報システムの実現に向けて、
ワクチンの流通から
接種までを含めた戦略性のあるシステム設計が必要と思います。
そこで、
新型コロナウイルスの
ワクチンの
接種管理システム、さらに、医療分野の全般での
デジタル化をどのように構築するのか、その戦略を
総理にお伺いします。
新型コロナウイルスの
ワクチン開発が始まった頃より高
所得国と中低
所得国との間の
ワクチンへのアクセスギャップの大きさが懸念され、各国における感染収束を確実なものとするためには、グローバルに感染を抑える必要が指摘されていました。
しかし、米国のWHO脱退によりG7サミットのルールメーカーとしての機能が停止し、国際保健分野は早くも牽引役がいない
国際社会、すなわちGゼロの
時代に突入しました。しかも、
ワクチンは、従来のように途上国だけでなく、高
所得国においても高い需要を持つ戦略商品となってしまいました。
そこで、
ワクチン開発を推進する官民連携組織、CEPIや、
ワクチンの配分と
接種を担当する国際連携であるGaviアライアンスの
関係者などとともに、スイス、オーストラリア、シンガポール、英国及び
日本などのミドルパワーの国々が主導的
役割を担い、一定の高
所得国が資金提供しつつも中低
所得国にも
ワクチンを配分するCOVAXファシリティーが創設されました。Gゼロの
時代に必要とされるグローバル・ヘルス・ガバナンスを構築する上において、
我が国のようなミドルパワーがその
役割を拡大をする外交空間が広がり始めたと
考えられます。
今年は、
我が国が一九六一年に
国民皆保険制度を実現し、誰もが
負担可能なコストで適切な医療にアクセスすることができるというユニバーサル・ヘルス・カバレージ、UHCを達成して六十年を迎える記念すべき年です。既に、
我が国は、UHCを
国連の持続可能な開発
目標、
SDGsの
目標に組み込む際に重要な
役割を担い、G7伊勢志摩サミットではホスト国として、第一にUHCの達成の促進、第二に
感染症危機管理体制構築のための
準備と予防体制の整備、第三に多剤耐性菌、AMR
対策の充実を三本柱とする伊勢志摩フレームを提唱した実績を持っています。
保健医療分野において、国際的にも健康長寿国を実現した比較優位性を国内に保持しており、国際保健分野は、
我が国が
国際社会の多くの諸国から信頼をされ、ルールメーカーとして一定の影響力を有する国となる上において重要な
役割を担い得る外交分野であると
考えています。
そして、保健分野にとどまらず、自由で公正な貿易のルールを守る拠点となるTPP11といった通商貿易分野、さらに、防災や環境といった
国際社会で比較優位性のある
地球規模の課題の分野等において、積極的かつ戦略的に課題を解決する二国間及び多国間の外交体制を整えることは、
我が国がより多くの国から支持を受け、外交基盤を強化し、ひいては
我が国の総合的な安全保障を強化することにつながると
考えます。
総理の御所見をお聞かせください。
また、この二国間及び多国間外交を組み合わせた外交体制を強化する上で、最も重要なツールがODAであり、保健外交の分野も全く例外ではありません。党としても、
政府に対し保健ODA戦略の
改革につき提言をしたところですが、外務省、経産省、財務省及び
文科省等各省庁を横断する分野でもあることから、内閣官房における司令塔機能の強化、及び民間とも協力し民間資金を活用しつつ保健ODAの規模を五年で倍増することが、ルールメーカーとしての国内基盤強化にとり極めて重要と
考えています。この点についての
総理の御所見を伺います。
米連邦議会にトランプ大統領の支持者が乱入し、一時占拠するという前代未聞の
事態は、日米同盟の根幹である自由と民主主義という価値を揺るがす衝撃的な出来事でした。現地時間で昨日、バイデン新大統領が就任しましたが、大統領選後も米国内での分断は根深く、これからの国内
政治に深刻な影響をもたらすことが予見されています。
当面、米国の混乱は続くと思いますが、その中で、唯一の同盟国である米国の新政権との信頼関係をどのように構築するかは、
我が国外交の最優先の課題と
考えます。日米二国間の安全保障分野は当然のこととして、バイデン新政権と連携して機能停止したG7の再構築を進め、国際的なデジタル覇権をめぐる熾烈な競争分野、自由と民主主義と法の支配に基づく通商貿易分野、さらに、防災、環境、保健といった
地球規模課題の分野において多層的に日米協力関係を構築し、同盟関係の基盤強化を進めなければなりません。
このような
状況で、
日本に期待されている
役割は、米国との強固な関係を生かして多国間協調の枠組みに米国を引き戻し、劣化し始めている国際機関の機能を回復させることです。
一つの事例が、現在、日米間で続けられている
大臣級による保健対話、日米グローバルヘルス協力対話です。官民を巻き込んでいるこの対話を通じて日米関係がより強固となれば、米国と欧州との間に隙間が生まれがちであったG7の機能回復を進め、WHO
改革にも主導的
役割を担うことが可能となります。
バイデン新大統領は、トランプ前大統領と異なり、人権や保健医療、環境を重視し、また多国間交渉にも一定の配慮がなされる外交
政策を行うものと予想されておりますが、このような
状況の下、日米間の同盟関係を強化するには、これまで積み重ねてきた保健医療分野における日米関係の更なる強化が重要となります。
そこで、
総理は、G7の機能の拡大、強化、さらには保健医療分野をも含めてどのような分野でバイデン新大統領の下、米国との関係を深めていくつもりでしょうか、
お尋ねいたします。
四方を海に囲まれ、多くの資源を輸入に頼る
我が国では、常に安全保障上の最優先課題である海洋の安全が脅かされるおそれがあり、尖閣諸島を含む南西諸島
防衛はもとより、違法操業などから
日本海方面の
防衛も強化が必要となっています。そして、自分の国は自分で守るという堅固な意思を持ち、国内における安全保障の体制強化も進めなければなりません。
しかし、
我が国の管轄海域の根拠となる重要な
役割を持つ国境離島では、外国人と思われる土地
保有が進んでいます。厳しさを増す安全保障環境の中、日々緊張感を持って
我が国を守る活動を行っている自衛隊の施設など、重要施設の近隣でも外国人の取得と思われる土地取引・
保有が行われています。取得の目的も利用の実態もはっきりせず、万一の
事態があれば
日本の安全保障に大きな影響が出かねません。
外国人による土地取得への規制については、貿易投資協定上の内外無差別や私権制限の観点からの議論もありますが、取得等に関わる
情報も把握できない
状況では不適切です。自衛隊基地周辺など
日本の
防衛にとって重要な土地の取得等に対しては、しっかりと
対応できるような法律整備を毅然として進めるべきだと
考えますが、
総理に
政府の方針をお伺いします。
中国の経済力、軍事力が増し、
国際社会における地政学上の力関係が変わりつつある現状において、覇権をめぐる米中新冷戦ともいうべき深刻な対立が深まろうとしています。これは、欧州を起点としたかつての冷戦と異なり、太平洋からインド洋を含むシーレーンにかけての海を挟んで
自由主義陣営と権威主義陣営が向かい合う、海洋をめぐる冷戦を特徴としています。また、バイデン新政権においてもデジタル覇権をめぐる米中間の対立が深刻化することが予見されます。
国際社会における平和と秩序を維持するためには、力による現状を変更する覇権の道を絶対に認めてはなりません。
大正十三年、近代中国の建国の祖であり
日本をよく知る指導者であった孫文が、アジアで台頭する
我が国に対し、
日本はこれからアジアにおける王道の道を歩むのか、あるいは覇道の道を歩むのかを問い、我、
日本が王道の道を歩むことを望むという趣旨の歴史に残る
演説を神戸において行いました。残念ながら、
我が国は力による勢力の拡大の道を歩み、
我が国の三百万余の
国民のみならず、アジアにおける多くの人々の命を犠牲とする太平洋戦争に突入しました。今や
時代状況は一変し、台頭する中国に対して、自由と民主主義、そして法の支配に基づく王道を歩むのか、軍事力の増強に励み、力で現状を変更する覇道の道を歩むのかを問わねばなりません。
我が国は、中国との関係においていたずらに対立の構図をつくり上げることなく、力による現状変更を試みることは中国にとって得策でないことを知らしむる開かれたアジア太平洋戦略を基調としつつ、自由で公平な経済関係を広げながら、国境を越えて確実に
増加する防災、環境、保健分野の諸課題、さらには、人口の高齢化や拡大する
社会格差の問題など共通課題について解決するための日中間の協力関係を構築し、協調関係を拡大する外交の基本姿勢が求められていると
考えます。
そこで、日中間の対立を抑止し協調を拡大するために
我が国はいかなる対中外交の基本姿勢を確立すべきか、
総理の御見解をお聞かせください。
今、
日本は大変大きな
時代の転機に直面しています。少子高齢化、人口減少がとめどなく続きます。十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は、
令和元年から十年間に五百万人減少し、
令和十一年には七千万人を割り込みます。これは大きなマイナス
経済成長圧力となります。
これをはねのけて
日本が持続可能な成長を実現するために、私が参議院自民党
政策審議会長当時取りまとめた内政国家ビジョンにおいて、少子高齢化、人口減少の下にあっても
社会のダイナミズムを維持発展させることを目指す活力持続型健康長寿
社会を提唱しています。
その実現のための大前提は少子化
対策であることは当然です。その上で、次の三つの
政策を進めることが不可欠です。
第一に、
我が国デジタル化の遅れを取り戻し、人工頭脳や
情報システム主導のイノベーションを通じて、人でなくてもできることはロボットやあるいは
情報システムによってサポートできる仕組みをつくり上げていくことです。
第二に、健康寿命を延ばし、元気な
高齢者を増やしていくことです。幸い
我が国は男女共に
世界一の健康寿命の水準を維持しています。しかし、
高齢者人口の割合は上昇し、
令和十八年には三人に一人となります。健康寿命の延伸により、働く意思があり就業機会があれば仕事を続け、生産労働人口の減少を補う制度設計が必要です。実際、現在の七十代前半の体力、運動能力は、十五年前の六十代後半の水準です。
高齢者には一定の
所得が確保されれば、若い
人たちへの
負担も確実に軽減されます。
健康寿命の延伸を単に生存期間を延伸させることよりも優先した保健医療のパラダイムシフトを真剣に
考えるべきです。
高齢者の生きがいを感じさせる選択肢を増やすとともに、特に、生産性の高い生存期間を延伸する包括的な支援
政策が必要と
考えます。
そこで、
総理は、現在の少子高齢化、生産労働人口の減少をいかに克服し、活力持続型の健康長寿
社会の実現を図っていくつもりでしょうか、お聞かせください。
活力持続型の健康長寿
社会の三番目の鍵は、多くの女性の皆さん方が更に活躍できる
社会を実現することであります。
女性活躍推進法や働き方
改革関連法に基づく企業の取組、保育の受皿整備、両立支援など、これまでの官民の積極的な取組によりM字カーブは解消に向かい、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率は八割近く、第一子出産前後の就業継続率は五割を超えています。
しかし、二十五歳から二十九歳をピークに正規雇用労働者比率は下がり、育児や介護等を理由に、就業を希望しながら求職していない女性も
令和元年で二百三十万人余り存在しています。また、東証一部上場企業役員に占める女性の割合も上昇しているものの、六%強にすぎず、国家公務員の本省課室長相当職も六%弱となっています。
現在、女性に関する
政策は主に内閣府と
厚生労働省などにまたがっていますが、全ての女性が輝ける
社会の構築に向け、前例にとらわれず、柔軟な発想で検討を進めてほしいという
総理が出された力強い指示を成果に結び付けるには、省の垣根を越えて方向性をそろえた
政策を打ち出すことが不可欠であります。
このため、関係組織を整理統合し、関連施策を総合的に推進する
子供女性省のような調整力のある組織を創設し、少子化
対策と両立させつつ、女性の
社会参加を支えるためのインセンティブをかつてないスピード感で具体化していくことこそが、
我が国の未来に直結する
政策ではないでしょうか。
総理からこの点についての御所見を
お尋ねして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅義偉君
登壇、
拍手〕