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政府特別補佐人(
更田豊志君)
原子力規制委員会委員長の
更田豊志でございます。
参議院環境委員会における御
審議に先立ち、
原子力規制委員会の
業務について御
説明申し上げます。
原子力規制委員会は、
原子力に対する確かな
規制を通じて、人と
環境を守るという使命を果たすため、様々な
課題に取り組んでおります。
まず第一に、
原子力施設等に係る
規制の厳正かつ適切な
実施について申し上げます。
東京電力福島第一
原子力発電所の
事故の教訓を踏まえ
強化した
規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の
事業者から二十七基の原子炉に係る
申請が、核燃料施設等について九つの
事業者から二十一の施設に係る
申請がなされております。
このうち、発電用原子炉については、
令和二年二月二十六日の東北電力女川
原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設、使用済燃料の貯蔵施設と再
処理施設、及び
廃棄物管理施設に対して、これまでに十件の
事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。
発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに
日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。
発電用原子炉の廃止
措置計画については、これまで計十四基に対して認可を行いました。このほか、国立研究
開発法人
日本原子力研究
開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計五件に対しても、廃止
措置計画の認可を行いました。
また、平成二十九年に改正された原子炉等
規制法に基づき、昨年四月から新たな検査
制度の運用を開始し、
事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。
東京電力柏崎刈羽
原子力発電所におけるIDカード不正使用の事案については、
規制の関与の下で改善を図るべき
案件であると評価し、再発
防止策が確実に、かつ継続的に行われているかについて、今後追加の
原子力規制検査を行うことにより
事業者を監視、指導してまいります。また、これ以外にも
原子力施設等で
事故トラブルが発生した場合は、速やかな
状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に
対応してまいります。
以上のとおり、
原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。
規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、
技術的知見、新
規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高
エネルギーアーク損傷
対策、降下火砕物
対策、火災防護
対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。
第二に、
東京電力福島第一
原子力発電所の廃炉に向けた
取組の監視等について申し上げます。
原子力規制委員会は、
東京電力福島第一
原子力発電所の安全な廃炉や汚染水
対策の
実施に向け、
規制当局としての立場から積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、
実施計画の審査などに当たっております。
引き続き、
処理した水の処分や使用済燃料プールからの燃料の取り出しなどの
対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。
二月十三日に発生した
福島県沖地震による外部への影響は確認されませんでしたが、一号機及び三号機の原子炉格納容器の水位低下や
処理済水などをためるタンクのずれなどが生じていることから引き続き
状況を注視し、安全が
確保されるよう
対応してまいります。
また、同発電所の
事故調査については、一昨年九月より、廃炉作業を進める
東京電力や関係省庁等との
調整、
連携の下、現場の実情の確認作業や公開の会合で
放射性物質等の放出又は漏えい経路、原子炉建屋における水素爆発の詳細分析等について
検討を重ねてきました。その中間取りまとめの案につきましては、広く意見募集を行いました。いただきました御意見を踏まえて取りまとめを行うとともに、今後とも継続的な
調査、分析を進めてまいります。
第三に、
原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障
措置について申し上げます。
原子力規制委員会では、昨年十月に
原子力災害対策指針を改定し、特定重大
事故等対処施設の運用開始を見据えて緊急時活動レベルを
見直したほか、基幹高度被ばく医療
支援センターの機能
強化により、
原子力災害時における医療体制の着実な
整備を進めるなど、
原子力災害対策の充実を図っております。
放射線モニタリングについては、
原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材の配備等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、関係省庁及び関係機関と
連携して、
東京電力福島第一
原子力発電所事故に係る
状況に応じた
環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、国内外への情報発信にも努めています。
また、国際約束に基づく国内の
原子力施設に対する厳格な保障
措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続して国際
原子力機関、IAEAより得ております。
以上、
原子力規制委員会の
業務について御
説明いたしました。
本年三月十一日で、
東京電力福島第一
原子力発電所事故の発生から十年となります。
原子力規制委員会は、あのような
事故は二度と起こさないという
決意の下、与えられた職責を踏まえ、
原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、
我が国の
原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。