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2021-05-21 第204回国会 衆議院 国土交通委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月二十一日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あかま二郎君    理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君    理事 土井  亨君 理事 平口  洋君    理事 簗  和生君 理事 城井  崇君    理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君       秋本 真利君    井上 貴博君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       小里 泰弘君    加藤 鮎子君       門  博文君    金子 恭之君       菅家 一郎君    工藤 彰三君       小林 茂樹君    鈴木 貴子君       田中 英之君    田中 良生君       高木  啓君    中谷 真一君       中村 裕之君    鳩山 二郎君       深澤 陽一君    堀井  学君       本田 太郎君    三ッ矢憲生君       山本  拓君    荒井  聰君       伊藤 俊輔君    岡本 充功君       辻元 清美君    広田  一君       松田  功君    道下 大樹君       山本和嘉子君    吉川  元君       北側 一雄君    吉田 宣弘君       高橋千鶴子君    井上 英孝君       古川 元久君     …………………………………    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    国土交通大臣      大西 英男君    国土交通大臣政務官    小林 茂樹君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    政府参考人    (林野庁林政部長)    前島 明成君    政府参考人    (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君    政府参考人    (海上保安庁長官)    奥島 高弘君    国土交通委員会専門員   武藤 裕良君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   小里 泰弘君     本田 太郎君   辻元 清美君     吉川  元君 同日  辞任         補欠選任   本田 太郎君     小里 泰弘君   吉川  元君     辻元 清美君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  海上交通安全法等の一部を改正する法律案内閣提出第四九号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省海事局長大坪新一郎君、海上保安庁長官奥高弘君及び林野庁林政部長前島明成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。城井崇君。
  5. 城井崇

    城井委員 立憲民主党城井崇です。  今回は、海上交通安全法改正案、特に、この法律案既存の他の法律もある中で現場においてどのように運用されるかなどについて、赤羽国土交通大臣と奥島海上保安庁長官に順次質問をいたします。よろしくお願いいたします。  まず、異常気象等に伴う船舶事故未然防止策充実強化について伺います。  初めに、法改正きっかけともなりました関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故についてお尋ねします。関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故発生した要因を国としてどのように分析しているか。改めて政府認識海上保安庁長官からお願いします。
  6. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故につきましては、平成三十一年四月、運輸安全委員会より調査報告書が出されてございます。  この報告書によりますと、大阪湾を含む瀬戸内海海上台風警報が発表されていた状況下当該タンカーが、一、台風避難の目的で関空島南東方沖の北方約一マイルに連絡橋がある錨地に錨泊したこと、二、二つのいかりのうち一つのいかりのみを使用した単錨泊を続けたこと、三、台風接近に伴う強い風及び波浪により走錨し、一旦主機を使用して圧流が止まったとして、風が強まった後も前進推力がないニュートラルの位置にし続けたことから、本船を制御する距離的な余裕がない状況で再び圧流され連絡橋衝突したものと考えられるといった内容の報告書であると承知しております。  海上保安庁では、このような事故原因も踏まえ、安全対策強化に取り組んでいるところでございます。
  7. 城井崇

    城井委員 事故発生当時、同空港周辺海域においては、海上保安庁による錨泊自粛行政指導により走錨に起因する事故防止対策実施していたにもかかわらず、衝突事故発生しました。このことに鑑み、国として行ってきた行政指導による錨泊自粛湾外避難の推奨の効果をどのように評価していますか。行政指導による措置法律に基づく措置とすることで何が変わるのか。また、事故当時の情報提供在り方は適切だったか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  8. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  海上保安庁におきましては、関西国際空港陸岸から三マイル以上離れた場所錨泊するよう、機会あるごとに注意喚起を行ってきておりました。タンカー衝突事故発生した当日、平成三十年九月四日、そのときも、大阪湾海上交通センター及び第五管区海上保安本部から、無線通信として、AIS、これは船舶位置、針路、速力等の安全に関する情報を自動的に送信するシステムでございますけれども、このAISによる文字情報の送信あるいはVHF無線電話による音声での呼びかけにより、全ての錨泊船対象として一斉に注意喚起を発出しております。  あわせて、走錨の予兆のある錨泊船に対しては、大阪湾海上交通センターから船舶電話等により個別に注意喚起を行ってきました。海上保安庁が把握する限り、事故当日は関西国際空港から三マイル以内に錨泊船が十三隻ございましたが、当該タンカーを含む六隻に注意喚起を行ったにもかかわらず事故発生したものでございます。  このように、行政指導による場合、多様な関係者がございますので、それが足並みをそろえるということが困難であるなどからその実効性に欠けるという課題がございました。  こうした状況を踏まえ、今回の法改正により、海上交通安全法に基づき、船舶に対し湾外への避難などを勧告し、さらには命令をかける制度法制化を新たに図ることで、湾外避難等実効性確保し、台風等事故発生防止を図ることとしております。  今後は、この規定に基づき、異常気象時に関西国際空港など臨海部施設周辺海域錨泊する船舶に対し移動退去等勧告命令することができるようになるため、船舶交通の一層の安全確保を図ることができるものと考えております。
  9. 城井崇

    城井委員 注意喚起等行政指導がなかなか実効性に欠けていた、だからこそ法制化によって実効性確保しよう、こうした狙いだという答弁だったかと思います。  その上で、一点、お伝えをというふうに思います。事故発生時の海上保安庁の動きなどについて、海事関係者から以下のような意見もあります。事前海上保安庁の出動の在り方によっては防げたのではないか、海上保安庁が先にアンカーを打ってよい場所確保していたのではないか、事故発生後に海上保安庁は速やかに救助に向かったのか、防波堤など事前対策が行える部分はどうだったかと。厳しい意見もございますけれども、現場からこのように見える部分があったという点も踏まえて、今後の対応に生かしていただくことをお願いしたいと思います。  令和二年の海難発生状況を見ますと、事故原因の多くが人為的要因となっています。湾外避難等の新たな対策の導入とともに、人為的要因による事故を減らすことも必要と考えます。国としてどのように取り組む考えか、大臣見解をお聞かせください。
  10. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 先ほどの長官からの答弁は、関西国際空港のああした事案があり、私も同じ認識でありますけれども、日頃からのルール決め、避難在り方ということを事前に決めていなかったということから、ある意味では現場での対応というのがああした事案を起こしてしまったということがあったというふうに思っております。  今御指摘の、海事関係者からの海上保安庁に対する御指摘について、必要があれば、長官から後で答弁させたいと思います。  いずれにいたしましても、あの事案を教訓といたしまして、人為的要因による安全対策を講じるということは、海上交通安全確保に万全を期すという観点から大変重要だというふうに考えております。  まず、国交省といたしましては、船舶側対策として、錨泊検討地点における走錨リスクを判定するシステム普及を図るということが一点でございます。また、海上保安庁監視体制強化につきましては、錨泊船舶の走錨の予兆を早い段階で検知するシステムを本年度中に現場に配備するということを予定しておるところでございます。  加えて、今回創設されます湾外避難制度におきましては、船舶を安全な海域に無理なく避難できるよう、時間的な余裕を持って勧告することとしておりまして、人為的要因に起因する走錨事故防止に資するものというふうに考えておるところでございます。
  11. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 先ほど、海事関係者等からの厳しい御意見もあるという御指摘がございました。当時の状況の中で、現行法制度の中で海上保安庁としてはやれることを一生懸命やったというふうに思っておりますが、一方で、事故が起こったこと、これも事実でございます。  そのため、まず第一に、今回お願いしてございます、制度改正し安全の実効を期していくということがイの一番だというふうに思っておりますし、また、様々な御意見の中で、そういった法の運用を改善していく余地もあろうというふうに思いますので、そういった声にも耳を傾けながらより船舶交通安全確保に努めてまいりたい、このように思ってございます。
  12. 城井崇

    城井委員 海上保安庁長官に加え、大臣からも丁寧に、今回の法案に対する思いと趣旨をお述べいただきました。また、海上保安庁長官からも、先ほど厳しい意見ということでお伝えをさせていただきましたが、そこを受け止めての決意についても聞かせていただいたところであります。私どもはしっかり受け止めてまいりたいというふうに思います。  さて、ここからは、そうしたきっかけとなった事故なども踏まえてということですが、実際にこの法律を仮に運用していく場合に様々既存の仕組みともぶつかる点もあろうかというように思いまして、そうした点を、少し細かいところになりますが、確認してまいりたいと思います。  まず、異常気象等のときにおける湾外避難等勧告命令制度創設についてお伺いします。  関空連絡橋へのタンカー衝突事故を踏まえ、現在、同空港周辺海域において、船舶交通障害発生等のときを想定した現行海上交通安全法規定に基づき、台風等の際に一定船舶に対する航行制限が行われています。新たな制度を設けなくても、現行法に基づく措置全国の必要な海域に拡大適用するという手段で本改正案と同様の効果が得られるのではないかとの指摘があります。政府はこの指摘にどのように答えるでしょうか。海上保安庁長官からお願いします。
  13. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上交通安全法が適用される海域におきましては、現行海上交通安全法第二十六条第一項に基づき、工事や作業実施し、あるいは沈没船などにより船舶交通障害発生した海域について船舶航行制限を行っており、関西国際空港周辺海域においては、当該規定を適用して大型台風接近時などに一定航行制限実施しているというところでございます。  一方、港則法が適用される港の区域におきましては、平成二十一年に創設されました関連規定、具体的には三十九条第三項、四項でありますが、この規定に基づき、異常気象時、錨泊制限や、港外への避難などの命令に加え、台風接近など船舶交通の危険を生ずるおそれがあると予測される段階から、早期に必要な措置を促すことができる勧告規定を整備しているところでございます。  今般、近年の異常気象頻発化激甚化を踏まえ、船舶交通がふくそうする海上交通安全法適用海域においても、港則法と同様、異常気象時における安全な海域への避難等命令するための規定とともに、台風等接近に際し、早期に必要な措置を促すことができる勧告規定を整備することとし、より適切な対応を図っていくこととするというものでございます。
  14. 城井崇

    城井委員 本改正案による対策と他の手段による対策との比較についてお尋ねいたしました。港則法と同様にということでの対応という趣旨での答弁と受け止めさせていただきました。  次に、適用海域について伺います。  令和元年から実施されている走錨事故防止対策では、対策が必要な四十五か所の重要施設周辺海域三つに分類し、錨泊実態があり、走錨に起因する事故が起こりやすい海域規制海域として、対策を最も強化しています。現在、海上交通安全法適用海域にある重要施設で、規制海域にある施設関西国際空港だけです。本改正案では同空港周辺海域に限定せず、全ての海上交通安全法適用海域において湾外避難等命令等を行えるようにした理由は何でしょうか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  15. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  東京湾伊勢湾及び大阪湾を含みます瀬戸内海海上交通安全法適用海域につきましては、港則法が適用される港内と比較して海域が広いため、台風などの来襲時には港内湾外からの船舶避難場所として利用されているところでございまして、これまでは異常気象時に船舶交通制限する規定を設けておりませんでした。  しかしながら、平成三十年九月の台風二十一号の際の関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故、あるいは令和元年九月の台風十五号の際の南本牧はま道路への貨物船衝突事故など、台風などの異常気象等頻発化激甚化に伴い、船舶交通がふくそうする海域において船舶の走錨による重大事故発生しているところであります。  こうした状況を踏まえ、本法案では、船舶交通がふくそうする海上交通安全法適用海域において、異常気象時に、船舶湾外避難等するよう勧告し、さらには命令をかける制度創設海上空港等臨海部に立地する施設周辺海域において走錨事故防止を図るために情報を提供し、聴取義務をかけることや、危険回避措置勧告する制度創設などといった措置を講じることにより、海上交通安全法適用海域においても異常気象時に船舶交通制限する規定創設するものであります。
  16. 城井崇

    城井委員 本改正案既存規制海域との関係について確認をさせていただきました。  続きまして、事故対策実施している四十五か所の重要施設のうち、長崎空港渥美火力発電所志布志国家石油備蓄基地三つ施設海交法及び港則法適用海域外にあります。両法の適用海域外にある重要施設周辺海域については、海交法等改正後も法的根拠を持った措置が講じられないのではないか、これらの重要施設周辺海域における事故防止対策はどのように講じられるか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  17. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  関西国際空港連絡橋への衝突事故などを受け、海上保安庁では、海上空港火力発電所など、全国臨海部に立地する施設周辺海域において、異常気象時の走錨事故防止対策を重点的に行ってまいりました。  今般の法改正により、これまでの港則法適用海域に加えて、東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海におきましても異常気象時の錨泊制限等勧告命令といった措置が法的に可能となります。  走錨対策を重点的に実施している臨海部に立地する施設周辺海域の多くは港則法及び海上交通安全法が適用される海域でございますが、先生御指摘のとおり、長崎空港渥美火力発電所志布志国家石油備蓄基地三つ施設はいずれも法律が適用されません。  しかしながら、両法の適用されない海域は、概して船舶交通量が少なく、走錨による事故発生可能性も低いため、両法の適用海域に含めた上で法律による規制をかける必要はないと考えてございます。当該海域監視体制強化を図るとともに、巡視船艇による指導を行うなどにより、事故防止対策を適切に行ってまいりたいと考えてございます。
  18. 城井崇

    城井委員 船舶航行の数が少ないということでの取扱いということで、今の答弁確認をさせていただきましたが、後段で触れていただきました、きちんと監視をしながら適切な対応をという点は大変重要だというふうに思いますので、その点は是非お願いしたいと思います。  続きまして、湾外避難等の新ルール周知について伺います。  旅客船や貨物船湾外避難実施に当たっては、湾外避難に伴う費用や運航スケジュールの遅れの発生も想定されます。このため、船舶運航事業者協力だけでなく、旅客荷主等理解も必要です。また、外国船舶関係者への事前周知など、綿密な周知徹底がなされなければ現場での湾外避難作業が混乱するのではないかとの、現場関係者からの心配の声も届いています。湾外避難等の円滑な実施に当たり、外国を含めた関係者への周知を広く図るためにどのように取り組むか、大臣考えをお聞かせください。
  19. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 この法案で新たに創設をいたします湾外避難制度につきましては、船舶を利用する様々な企業や荷主皆様経済活動等にも大きな影響を与える可能性があり、船舶運航者のみならず、荷主等船舶を利用される方々にも御理解、御協力いただけるよう、丁寧に説明していかなければいけない、こう考えております。  さらに、消費者旅客など国民の皆様理解も得られるように、ホームページへの掲載などを通じまして広く周知することに努め、制度普及と定着を図ってまいります。  外国船舶に対しましては、海上保安官が入港した外国船舶を訪問する機会等を活用いたしまして英語版リーフレット等を配布しながら周知に努める一方、外国船舶出入港に係る手続などを代行する船舶代理店などの海事関係者の御協力も得て、広く周知するように努めてまいりたいと思っております。
  20. 城井崇

    城井委員 新しいルールを実際に現場で運用する折には日本の船舶でも戸惑う部分があるというふうに推察をされますし、そのような声も届いております。外国船舶ならなおさらだと思います。十分な周知を図っていただくように引き続きお願いしたいと思います。  続きまして、平成二十八年の海交法改正において、非常災害発生時における、海上保安庁長官による交通障害発生等に関する情報提供船舶に対する移動命令等制度創設をされています。この非常災害発生時における措置と今回創設される異常災害等のときにおける措置は国においてどのような整理をしているのか。大臣からお答えいただけるでしょうか。
  21. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 簡潔に申し上げれば、前者災害発生した後の定めでございまして、今回の法改正でお願いしているのは、予見可能な事象を捉えての予防的な対応でございます。  平成二十八年の海交法改正にて創設されました非常災害時の一連の措置は、船舶同士衝突による大規模火災などの災害発生した後に、港内を含む湾内全域におきまして、海上保安庁長官が、災害発生周知し、航行制限をかけるなどの船舶交通の危険を防止するための措置実施するものでございます。  他方、今回の改正により新設させていただきます異常気象時の措置は、台風など予見可能な事象を捉え、船舶交通の危険が生じるおそれが予想される段階から、船舶に対して避難勧告するなどの措置を講ずることによりまして、事故未然防止を図るものでございます。  今回の改正によりまして、予防的段階からの対応強化されることとなり、船舶交通の一層の安全の確保に寄与するもの、こう考えておるところでございます。
  22. 城井崇

    城井委員 非常災害時と異常災害時の関係について確認させていただきました。前者については災害発生後、後者については予防的対応ということで、明確な区切りを確認させていただいたところであります。  次に参ります。異常気象等のときにおける海上保安庁長官による港長権限代行制度創設について伺います。  海上保安庁長官は、港内を含む湾内からの船舶退去を一体的に行う必要があると認めるときに、港長に代わって港外避難勧告等することができることとされていますが、湾外避難を一体的に行う必要があるときとは具体的にどのような状況を想定しているのか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  23. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上交通に関する権限は、通常、港内港長であります海上保安部署長が、また、湾内海上保安庁長官が行使をしております。  異常気象時に港にある船舶湾外避難させる場合には、まず、船舶港外に出した上で、引き続き湾外まで避難させる必要があります。  このため、今般の法改正により湾外避難勧告等する場合には港内湾内権限を一体的に行使できるようにすることが必要であり、このため、必要な港長権限海上保安庁長官代行できることとするものであります。  特に勢力の強い台風接近した場合には、本制度により、港内湾内を一体として、湾外避難対象船舶港内から引き続き湾外まで円滑に避難させることといたします。
  24. 城井崇

    城井委員 続きまして、港則法第四十六条では、非常災害時において、平時港長の職権とされている港内における錨泊制限航行制限移動命令等権限の一部を海上保安庁長官代行できることとし、指定港等における指揮命令権限海上保安庁長官に一本化しています。一方、本改正案では、異常気象等時においては、海上保安庁長官湾外への退去勧告命令するときにだけ港長権限代行できることとされていますが、退去のときに限定した理由は何でしょうか。大臣からお答えください。
  25. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 今海上保安庁長官答弁させていただきましたように、異常気象時に船舶湾外避難させる場合には、港にある船舶をまず港外に出した上で引き続き湾外まで避難させる必要があることから、港内湾内の各権限を一体的に行使できるよう、必要な港長権限海上保安庁長官代行できることとするものである、これは長官答弁のとおりでございます。  一方、今般の法改正創設いたします海上交通安全法適用海域における異常気象時の勧告命令につきましては、湾外への避難のほかにも、湾内での錨泊自粛ですとか走錨対策強化といった措置も含まれ、こうした措置当該海域内で完結するといった観点から、港内権限はこれまでどおり港長権限を行使することとしたものであります。よって、海上保安庁長官による港長権限代行は必要ない、こう考えております。
  26. 城井崇

    城井委員 海上保安庁長官による港長権限代行の条件について確認をさせていただきました。  続いてお伺いします。本改正案では、港長権限による港外退去代行対象となる異常気象等のときにおける湾外退去勧告等は、制度上、東京湾以外にも伊勢湾瀬戸内海で行われ得るというふうに考えますが、これらの管制の一元化が行われていない海域ではどのように運用するのか。大臣見解をお願いします。
  27. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 異常気象時における湾外避難勧告等につきましては、海域ごとに設置された法定協議会におきまして、平時から、避難対象となる台風避難時期・方法、対象船舶などについてあらかじめ決めておくこととしております。  また、実際に台風が来襲する際には、台風状況を共有した上で、湾外避難必要性、具体的な避難時期等について協議し、協議結果に基づいて湾外避難実施することとしておるところでございます。  このように、湾外避難平時にあらかじめ定められたルール協議結果に基づいて実施される、こういうことになっておりますので、管制の一元化が行われているか否かにかかわらず、着実に湾外避難が行われるものというふうに承知をしておるところでございます。
  28. 城井崇

    城井委員 管制の一元化が行われていない海域での法運用について、平時でのあらかじめの準備があるという趣旨での御答弁だったというふうに受け止めさせていただきました。ありがとうございます。  続きまして、協議会の設置についてお伺いいたします。  本改正案では、異常気象等のときにおける船舶交通の危険を防止するための対策実施に関し必要な協議を行うため、海上保安庁長官等の行政機関と船舶運航関係者等の多様な関係者から成る協議会を創設することとされています。他方、現在、全国の特定港等約二百の港においては、台風対策に関する協議会が任意に設置されており、台風等接近時における必要な協力・連絡体制の構築が図られています。本改正案に基づく協議会と、港に設置されている協議会との関係はどのように整理をするか。大臣からお答えください。
  29. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 今お話がございました港に設置されている協議会は、任意で設置されておりまして、港外避難のタイミングなど、港内異常気象等に対する対策について調整を図っているものと承知しております。  一方、今般、東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海に設置する法定の協議会は、湾外避難などに係る調整など、相当程度広域な海域における異常気象等に対する対策の円滑な実施のための事前の調整ですとか、台風等の来襲時における対策協議、そしてその結果の周知を図ること、こういったものを想定しておるところでございます。  勢力の強い台風接近し、船舶湾外避難させる際には、法定協議会にて調整を図ることになりますが、港内対象船舶につきましては港外に出した上で湾外まで避難させる必要があることから、港の協議会とも連携して適時適切に避難させる等対応してまいりたい、こう考えております。
  30. 城井崇

    城井委員 港に設置されている台風対策協議会は基本的には港の内側、そして本改正に基づく協議会は広域という趣旨の御答弁確認させていただきました。  次に参ります。協議会で協議が調った事項について、協議会の構成員に協議結果の尊重義務が課されますが、海上保安庁長官も含めて尊重義務を課すこととした理由は何か。海上保安庁長官を含めることにより、本来湾外避難を命ずべき船舶の選定及び決定等に影響が生じる懸念はないか。大臣からお答えいただけますか。
  31. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海のそれぞれの海域に設置される法定協議会は、海上保安庁が主催し、港湾管理者、船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、海事関係団体などで構成されております。  協議会におきましては、対象となる台風避難時期・方法、対象船舶などを事前に調整することとしておる、これは先ほど答弁したとおりでございます。  協議の結果につきましては各構成員にしっかり守っていただく必要があることから海上保安庁を含めた構成員に尊重義務を課すこととしたものであり、協議結果は長官を含めた構成員全体により決定されるものであることから、湾外避難対象船舶の選定及び決定等に支障を来す懸念はないというふうに考えておるところでございます。
  32. 城井崇

    城井委員 協議会の決定内容については海上保安庁長官も含めてということでの決定だということで確認させていただきました。  続きまして、バーチャル航路標識の緊急表示制度創設について伺います。  バーチャル航路標識はAISを搭載した船舶しか確認することはできませんが、AISの搭載は全ての船舶に義務づけられてはいません。普及率は低い状況にあると認識しています。視認性が低下する異常気象時における船舶交通の安全性を確保するため、AISを搭載していない船舶に対し、国はどのような取組を行いますか。AISの搭載義務は現在一定の重量以上の船舶に限られていますが、本改正案による措置を踏まえ、搭載義務の対象船舶を拡大する考えがあるかどうか。大臣見解をお願いします。
  33. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 AISの設置は、国際条約に基づきまして、一定の大きさの船舶への搭載を義務づけておるところでございまして、具体的には、外航貨物船においては、総トン数三百トン以上の船舶対象となっておるところでございます。  なお、AISの搭載義務対象船舶の拡大というお話が今ございましたが、この点につきましては、一つは、ユーザー側の費用負担、設置費用込みで約二百万円かかると算定されておりますが、こうした負担があるということ、また、搭載に当たっての無線免許の取得、及び無線資格を有した者を乗り組ませる必要がある、こういった課題がございまして、今の現状を見ておりますと、直ちに義務づけの範囲を拡大するということは現実的には考えておりません。  他方、AIS衝突事故等を未然に防止する上で有効な機能を持つ、こういうふうに認識しておりまして、搭載義務のない船舶に対しましても関係省庁と連携してAIS普及促進に努めているところでもございます。  また、AISはバーチャル航路標識にも有効に活用できることから、引き続きAIS普及促進を、しっかりと説明させていただきながら、前に進めるように取り組んでまいりたい、こう考えております。
  34. 城井崇

    城井委員 ユーザー負担ですとか無線免許の必要性などといった点を踏まえてということで、今すぐ拡大は考えていないという趣旨の御答弁だったかと思います。ただ、視認性の低下する異常気象等時における船舶交通の安全性の確保というのが目的ということかというふうに思いますので、現実をしっかり確認いただきながら、必要な追加対応対象拡大が必要な場面が出てくるかどうかという点については常時注視いただきたいということをお願いしたいと思います。  次に、持続可能な航路標識の管理体制の充実強化について、特に航路標識団体制度創設について幾つか確認をさせてください。  航路標識協力団体の指定団体として、二年間で三十団体を見込んでいますが、どのような団体を想定していますか。  私の選挙区にある北九州市門司区の部埼灯台、昨年重要文化財にも指定をいただいたこの灯台は関門海峡を照らして百四十年以上になりますが、この保全活動に当たっている美しい部埼灯台を守る会も指定団体の想定の一つに入っていることと思います。美しい部埼灯台を守る会の皆さん、地元ボランティアや地元企業、第七管区海上保安本部の皆さんなどが毎月第二日曜日の清掃活動にいそしまれています。本当に頭が下がる誇らしい活動だと思っています。  こうした地道な活動を重ねている団体などが指定された場合に、指定された団体にとってのメリットは何でしょうか。また、参観できる灯台など観光地化されているものもございますが、その管理等を行う団体が航路標識協力団体として指定されることは想定されるか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  35. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  全国の灯台の中には、先ほど委員の御紹介もございましたけれども、灯台を地域のシンボルや観光資源として考え、敷地の清掃、草刈り等の環境美化に取り組んでいただいたり、また、灯台に関する資料の収集、調査、保存、さらに、灯台を活用した地域イベントの開催といったボランティア活動に取り組んでいただいている民間団体が多数ございます。このような団体を指定することを想定しているところでございます。  指定される団体のメリットといたしましては、航路標識に関する工事等の申請の手続が簡略化されること、また、団体が行う航路標識の管理等の活動に関して海上保安庁から必要な指導や助言を受けることができることといったことが挙げられます。  また、航路標識団体を指定する基準としましては、法人その他の団体が、航路標識に関する工事・維持、資料の収集、調査研究、普及啓発活動などについて適正かつ確実に行うことができると認められるものであることを規定しており、参観事業を行う団体から申請があった場合、申請内容を指定基準に照らして審査し、対応することとなります。
  36. 城井崇

    城井委員 続きまして、現在、灯台周辺の草刈り等の清掃活動や航路標識の周知啓発等を行っているボランティア団体は三十団体ありますが、こうした団体は協力団体の指定を受けなくてもこれまでどおりの活動を行うことができるということでよろしいでしょうか。大臣見解をお願いします。
  37. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 民間ボランティア団体の皆様等によりまして現在行われている灯台周辺の草刈りですとか清掃等の活動につきましては、本改正法案により新設する承認工事制度の承認や航路標識団体の指定を要する活動ではありませんので、これまでどおりの活動を行っていただくことが可能でございます。
  38. 城井崇

    城井委員 協力団体の指定を受けないケースについて確認をさせていただきました。  最後に、航路標識協力団体の活動として、参観寄附金等を当該団体が徴収することは想定をされているか。また、航路標識協力団体の附帯業務として利益が見込まれる業務を実施することも想定されますが、どのような基準で認めることとなるか。政府見解海上保安庁長官からお願いします。
  39. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  改正法案において、航路標識協力団体の活動の内容として、航路標識に関する工事・維持、資料の収集、調査研究、普及啓発活動のほか、これに附帯する活動を規定しております。  これらの活動の一環として、寄附金等の収入を受けることもあり得るものと考えてございます。  寄附金等を受ける場合や、利益が見込まれる活動を実施する場合には、その収入を得る趣旨や、その収入を公的活動の原資に充てることを基本としているかなどを審査することとしております。  また、定期的に、航路標識協力団体に対し業務報告を求め、その収支を含む活動状況確認するなど、活動の確実性、適正性を担保してまいります。
  40. 城井崇

    城井委員 終わります。ありがとうございました。
  41. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、松田功君。
  42. 松田功

    ○松田委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の松田功でございます。  質問に入る前に、今、大雨が九州の熊本の方で、また関西、中部、関東の方へと梅雨前線が動いているところで、大雨で八代市坂本町の国道二百十九号線が崩落したということで、男性二人の方が病院で治療を受けているということでございます。  大臣の方にも報告が入っているかと思いますが、球磨川の横で崩落事故も結構起きているということもありまして、非常に大雨がこれから中部圏、関西、関東等々へ移動してくるということで、迅速に御対応を是非していただきたいと思いますが、大臣の方で一言、御見解をいただければと思います。
  43. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 近年の気候変動の影響によりまして、集中豪雨ですとか、これまでの想定を超えるような大雨があり、土砂災害、昨年の七月にも球磨川流域に大変な大きな被害があったところでございます。  まだ復興自体は道半ばの状況の中で、本年も一昨日、昨日と大雨があって、実際、橋の手前が土砂災害で、今言われたような事案発生したということも承知をしておりますので、引き続き、それぞれの地域の地方整備局と気象台が連携を取りながら、避難指示等々についてはなるべく早期に発出しながら、地域の住民の皆様の安全、安心をしっかり確保できるように対応していきたい、こう考えておるところでございます。
  44. 松田功

    ○松田委員 是非よろしくお願いします。まだまだ大雨が降るということの予報も出ておりますので。  昨年の崩落事故や河川の決壊等々の関連も含めて、危険地域に当たる場所は早めの避難指示を出すように是非促していただければというふうに思っておりますし、災害復旧も早期に行っていただけるようによろしくお願い申し上げます。  それでは、質問の方に入らせていただきたいと思います。  先ほど城井先生の方も質問をされているところと少しかぶることもございますが、御容赦いただきたいと思います。  四方を海に囲まれている海洋国である我が国日本は、輸出入の大半を海上輸送に依存しております。また、国内貨物輸送においては、全体の約四割を内航船で運んでおり、そのうち産業基礎物資の輸送においては約八割を担っております。物流に支障が出れば、経済活動はもちろんのこと、我々の日常生活にも支障を来すことになると思います。日本における海難事故は大半が沿岸及び内海での事故という統計も見たように思います。今回の海上交通安全法の一部改正により船舶事故が減少されるよう期待しております。  まずは、法案改正についてお聞きする前に、以前の検証をさせていただきたいと思っております。城井先生の方からも質問がありました、令和元年台風シーズンにおいて、台風十五号により、横浜港南本牧はま道路の橋梁に貨物船が走錨により追突した事故についてお伺いをします。  港則法第三十九条第三項を読みますと、港長は、異常な気象において、中身は飛ばします、特定港内若しくは特定港の境界付近にある船舶に対し、停泊する場所若しくは方法を指定し、移動制限し、若しくは特定港内若しくは特定港の付近から退去することを命ずることができるとあります。  現在の港則法において退去命令を発出することが可能であったにもかかわらず、命令は発出されなかったんでしょうか。法に明記されていても、命令というものは発出しにくいものなんでしょうか。同法第三十九条四項における勧告は行われたと聞いております。勧告を聞き入れなければ、次は第三項に基づき命令を発出することになると思われますが、発出されませんでした。  実際に発出しにくいものであれば、なぜしにくいのか。現場にしか分からない何かがあるのか。今回の海交法改正案において異常気象時の錨泊自粛勧告命令が行われることになりますので、そこをはっきりしないと意味がなくなってしまうのではないかと思います。改めてお伺いしますが、台風十五号においてなぜ退去命令が出されなかったのか、教えていただきたいと思います。
  45. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  令和元年九月に台風十五号が東京湾接近した際には、京浜港横浜区に錨泊していた貨物船が強風の影響により走錨し、南本牧はま道路に衝突する事故発生をいたしました。委員指摘のとおりでございます。  当時の東京湾状況でございますが、当時、東京湾は多数の錨泊船で非常に混雑した状態にございました。このため、事故船舶に対して港則法に基づく退去命令を出すことは、かえって危険な状態を惹起するおそれがあると認められましたことから、退去命令は出さず、海上保安庁としては、必要な情報を提供しつつ、監視、警戒を継続することとしたものでございます。  海上保安庁措置として、具体的には、京浜港長から、港則法に基づき、周辺の船舶に対し、エンジンの起動準備や、錨鎖を適切な長さに伸出することなど、走錨対策強化勧告を発出しておりました。  また、東京湾海上交通センターにおきましては、当該船舶に対する錨泊方法などの指導や、監視、警戒を行っていたところ、走錨の予兆が認められたため、VHF無線電話により注意喚起も行ったところでございます。
  46. 松田功

    ○松田委員 次に、大臣にお伺いをいたします。  海上保安庁が出しております走錨に起因する海難発生状況を見ますと、平成三十年の十九件をピークに、令和元年九件、令和二年四件と減っており、行政指導による成果が出ていると考えますが、法律に明記することとなった理由をお聞かせいただきたいと思います。
  47. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 先ほど別の質問で答弁をさせていただきましたが、行政指導による現場対応というのはぎりぎりのところでやっておりまして、結果オーライみたいな部分もあれば、被害が出てしまうということもあって、事前ルールを定める必要があるということでございます。  ちょっと時系列的に振り返りますと、平成三十年九月の関西国際空港事案を受けまして緊急に再発防止策を検討させていただきました結果、海上空港等臨海部に立地する重要施設周辺海域におきましては、船舶錨泊しないよう制限するなどの新たな措置を講じることとしたところでございます。  しかしながら、翌令和元年九月に台風十五号が上陸いたしまして、錨泊する船舶で大変混雑しておりました東京湾を直撃したことから、走錨した船舶がこうした措置対象とされていなかった海上施設ですとか他の船舶衝突するという事故が複数件発生してしまいました。  これを受けまして、翌十月の台風十九号の接近時には、より抜本的な対策として、東京湾の過密な錨泊状態を改善するべく、行政指導により湾外避難などを推奨することとしたところでございます。  その後、令和元年台風シーズンにおける再発防止対策の総括と今後の課題等を検証した際に、海事関係者皆様からは、一つは、外国船籍は指導ベースではなかなか従っていただけない、また、運航判断について法的根拠がある方が荷主の皆さん等の関係者理解を得やすい等々の御意見がございまして、行政指導では多様な関係者が足並みをそろえることは困難であるとの指摘がありました。  このため、令和二年から交通政策審議会におきまして法制化の検討をさせていただきながら、令和三年一月、本年一月の同審議会の答申が得られた次第でございます。  昨今の災害頻発化激甚化状況に鑑みれば、防災・減災対策は早急な対応が必須であるところから、これら検討を踏まえまして、今般、必要な制度的な枠組みを盛り込みました本法案の提出をさせていただいた、こういった流れでございます。
  48. 松田功

    ○松田委員 ありがとうございます。  次に、海交法改正案についてお聞きしたいと思います。  異常気象時に湾外避難勧告避難命令を出した際、具体的な避難海域先を指示することになるのでしょうか。様々な種類の船舶避難することになりますので、避難先が密集するなど、避難先での事故可能性が出てまいります。避難先での安全確保のために、避難先への指示は的確に行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。  また、万一、指示に従った避難先において事故が起きた場合、責任の所在はどこになるのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
  49. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁から具体的な避難海域先を指示することはございません。  その上で申し上げますが、船舶湾外等に避難する場合の避難先の海域につきましては、台風の勢力や進路によっても異なりますが、例えば、東京湾台風が直撃する場合には、東京湾から湾外に出て、房総半島の東側の沖合の海域避難することや、あるいは伊勢湾などの別の湾に避難することが想定されます。また、大阪湾を含む瀬戸内海のように東西に広く広がる海域、東西約四百キロほどでございますが、こういったところにおきましては、台風が直撃する場合には、瀬戸内海の中でも、台風の進路から外れた海域、強風を遮る島陰の海域、こういったところに避難することが想定されるところでございます。  船舶の運航上の最終的な責任者は船長であり、船舶事故発生した場合には、一般的には船長が責任を負うこととなります。  そのため、万が一にも事故発生することがないよう、湾外避難等勧告制度を運用するに当たっては、運航者が十分な時間的余裕を持って、安全な海域に無理なく避難できるよう、慎重かつ的確に運用したいと考えております。  具体的には、台風接近の二日ほど前から十分な時間を持って勧告することとしており、また、何らかの事由により避難の時機を失した船舶に対しては、無理な避難を求めず、内湾等での台風避泊を認めるなど、船舶の安全を第一に慎重に運用してまいります。  また、湾外への避難勧告するに際しては、官民の海域関係者から構成される協議会を設置し、避難対象となる台風避難の時期や方法、対象船舶などをあらかじめ決めておき、予見可能性を持って避難していただけるよう、安全確保について十分配慮したいと考えております。
  50. 松田功

    ○松田委員 今のお話ですと、海域先を指示することはないということだと思います。台風だと少し予見ができるということを見越した中で、船長が事前に判断をできるだけしておいてくださいというふうでよろしいんでしょうか。
  51. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  個々の船舶避難先につきましては、次の荷物の都合ですとかいろいろ判断されるべき要素がございます。例えば、東京湾が危険であるとしても、西あるいは東それぞれに安全な海域があるとすれば、そういった事情も考慮しながら決定されるものというふうに思ってございます。  ただ、その際には我々が、安全に行えるように、まず時間的な余裕を持って、このタイミングでいきますよということを事前に十分に周知しながら慎重な運用をしていきたい、こういうことでございます。
  52. 松田功

    ○松田委員 多分、そういうことを安全にしっかりするということは認識しながらだというふうな御見解だと思うので、今後も是非きちっと御対応していただければと思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  異常気象時には、湾外避難をすることになる大型船と、湾内避難してくる中小型船により混雑する可能性があると思います。それぞれの出入りする船舶安全確保についてどのように図られているのか、お答えいただきたいと思います。
  53. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  湾外避難勧告対象とするコンテナ船等の風の影響を受けやすい大型船舶に対しましては、気象庁から発表される五日先までの台風予報を踏まえ、例えば、台風東京湾を通過する可能性が高まるなど、湾外避難させることが必要であると判断をした場合には、時間的余裕を持って、二日ほど前から、東京湾の外に出てより安全な海域避難すること、東京湾に入湾しないことなどを勧告することを想定しております。  一方、勧告対象としない大型船以外の船舶、例えば内航船ぐらいのクラスの船舶でございますが、これは、通常、台風接近時には港内で係留強化するなど、運航を見合わせることが多く、湾内において航行錨泊するものは少ないというのが実情でございます。  以上のことから、湾へ出入りする船舶による混雑の懸念といったものは少ないのかなというふうに思っております。  また、大型船はもとより、それ以外の船舶に対しても、海上交通センターによる動静監視情報提供等を的確に行い、引き続き船舶交通安全確保に努めてまいります。
  54. 松田功

    ○松田委員 引き続き、次の質問に移らせていただきたいと思います。先ほどの城井先生の方とも同じなんですけれども、五番と六番がちょっとつながっていくので、質問させていただきたいと思います。  今回の改正案に、バーチャル航路標識の緊急表示制度創設というものがございます。バーチャル航路標識はAISを搭載した船舶しか確認することができませんが、総務省資料のAIS普及状況の推移を見ますと、平成二十八年には簡易型AISを含み四千七百二十二個、平成二十九年は五千八百六十個、平成三十年は六千八百九十九個、平成三十一年は七千八百八十四個。  そして、海上保安庁の資料の日本籍船の隻数はというと、平成二十八年は四十七万六千八百六十四隻、平成二十九年は四十六万五千七百九十隻、平成三十年は四十五万四千七十五隻、平成三十一年は四十四万二千七百六十三隻となっております。単純に計算しますと、AIS普及率は、平成二十八年で〇・九九%、平成二十九年で一・二六%、平成三十年で一・五二%、平成三十一年で一・七八%。二%にも届かない普及率です。  一番事故が多いとされるプレジャーボートの内訳には水上オートバイも入っておりますので、それを抜いたとしても、平成三十一年で二・〇六%という状況です。この中にはAIS搭載義務船も数に含まれておりますので未搭載船の普及状況は読み取れませんが、かなり少ないということが言えると思います。その意味において、搭載義務対象船籍の拡大を進めていく方がよいと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 大坪新一郎

    ○大坪政府参考人 AIS船舶自動識別装置の設置については、国際条約に基づいて、一定の大きさの船舶への搭載が義務づけられておりまして、例えば外航の貨物船では、総トン数三百トン以上の船舶対象となっています。外航の旅客船ですと、全ての船が対象となっています。  AISの搭載義務対象船舶の拡大については、ユーザー側の費用負担、これは設置費用込みで約二百万円ですが、それから、搭載に当たって個々の船舶が無線免許を取得しなければいけないということ、船員に無線資格を取ってもらってその人を乗り込ませるという必要がありまして、このような課題がありますので、直ちに義務づけの範囲を拡大することは今は考えておりません。
  56. 松田功

    ○松田委員 AISは安価なものでもありませんので、個人や小規模事業者が導入するには非常に経済的に難しいということであります。そこで、スマホのアプリを活用してAIS代わりに安全性を図るということを国交省では進めていると思いますが、スマホは都心の沿岸部ならば電波が届くそうですが、地方の電波塔が山の上しかないような場所では電波が届かず使えないというお話をお伺いしました。  レジャーで使用するプレジャーボートで沿岸部を走航するときにはある程度有効かと思われますが、漁船は都心部の沿岸部を走っているわけではありませんので、スマホでは限界があると思われます。  海上保安庁の資料の船種別海難発生状況によりますと、プレジャーボートに次ぎ事故が多いのが漁船であります。水産庁にも問合せをしましたところ、今年度から高齢者の操業する漁船を対象に上限十万円のAIS導入支援事業が始まるそうですが、予算は一千四百万円、よって百四十個分にしかなりません。平成三十一年の漁船数二十一万二千九百三十九隻からすると、新たに百四十隻に搭載されたとして、どれだけの普及と言えるのでしょうか。  あとは、日本漁船保険組合の方でAIS設置漁船には保険料を助成するという事業を行っているようですが、余り大きな額ではありませんでした。  しかし、水産庁はAIS普及に向けて支援事業があるようですが、国土交通省に問い合わせたところ、AISやドライブレコーダーなどの事故防止目的の機器導入の助成はないということでございました。  第四次交通ビジョンの基本的施策には、(一)として、ふくそう海域などにおける安全対策として、レーダー、AISを活用したふくそう海域などにおける安全対策AIS普及促進、(二)として、小型船舶安全対策としてAIS普及促進と、ここでも記載されております。  船舶事故に関わる計画目標に掲げた二〇二〇年代中に船舶事故隻数を半減させるためには、AIS普及はかなり重要になってくると思います。AISの導入にはお金がかかり、スマホアプリには電波の問題が残ります。国土交通省としてこのような問題に対してどのように対応していくのか、お聞かせください。
  57. 大坪新一郎

    ○大坪政府参考人 委員の御指摘がありましたスマートフォンですが、他船の接近や浅瀬への乗り上げ等を警告する機能を有するスマートフォンアプリの開発が民間において進められています。  我が国周辺海域発生する海難事故の約八割がプレジャーボートなどの小型船舶ですが、費用負担の面などからAIS搭載を義務づけることは困難ですので、費用負担の低いスマートフォンアプリによる安全対策効果的な手段であると考えています。  国土交通省では、平成二十八年度に船舶におけるスマートフォンアプリ活用のためのガイドラインを作成しまして、危険の判定それから警告方法など、アプリに搭載する機能と要件を整理、公表することでアプリの開発、普及を推進しているところです。  また、令和三年度においては、現在公開されているスマートフォンアプリの実態調査を行いまして、更なる安全性の向上、普及促進に向けて、他社アプリやAIS搭載船との位置情報の共有といった課題を整理しまして、その後のアプリの開発、普及につなげていく所存です。  他方、御指摘のとおり、携帯電波が届かない沖合海域航行する船舶安全確保観点からも、AIS普及促進を進めていくことが重要です。  国土交通省では、AIS効果を分かりやすく解説したパンフレットを作成しまして、関係事業者に対して広く周知普及を図っているところであります。  国交省としては、このように、それぞれの船舶に適した安全対策によって、総合的に安全の確保を図ってまいります。
  58. 松田功

    ○松田委員 電波を洋上にまで広げることは可能かと総務省の方にお伺いしました。ある程度沿岸部はカバーできており、場所によって届かないところがあれば、窓口に相談すれば改善も検討するということでございました。漁船など遠洋の場合は、衛星通信を使用してもらうことがよいとおっしゃっておりました。今まで、高価なことが問題とのことでありましたが、今年度中には小型衛星によりコストが下がっていくことを想定されているようでしたので、国土交通省としても是非そのような情報提供をしていっていただければというふうに思います。  それでは、最後の質問に入らせていただきたいと思います。近年関心が高まっている自動運航船についてお伺いをいたします。  海上保安庁の資料によりますと、令和二年の事故原因の七三%は人為的要因であるとの結果が出ております。このヒューマンエラーの減少に有効なのは、AISやレーダー、ドライブレコーダーなどの機器、そしてそれらのテクノロジーを使った自動運航船ではないかというふうに考えます。  自動運航船によっても航行が難しいのはやはりふくそうの海域であり、少しの操作ミスや、他の船の発見が遅れると、追突事故を引き起こしてしまいます。  そのため、重要なのは追突を防止させるよう障害物を回避させる機能でございますが、車と違って船は、操船指示が出てから船が指示に従って動くまでに時間がかかります。このタイムラグを吸収できる距離で検知できなければなりません。レーダーやカメラ画像、AISが活躍できるのではないかというふうに思われますが、レーダーは気象条件によって探知精度が変化すると言われております。カメラ画像から船を認識し、距離や針路、速度を求めるには無理があります。すると、やはりAISの搭載が自動運航船の安全対策にも重要になってくると思われますので、先ほどから質問させていただきましたように、AIS普及促進をお願いしたいと思います。  また、自動運航による障害物回避機能とともに難しいと言われているのが、着岸操船の技術だそうです。特に、ヨットや漁船、パワーボートなど小型船は風の影響を受けやすく、また、漁船などは横移動の推進器も搭載できないことが多いため危険だということであります。  国土交通省は、自動運航船について、海難事故の減少、船員労働環境の改善、我が国海事産業の国際競争力の強化を目的として二〇二五年までの実用化を目指すとされておりますので、非常に期待を寄せております。自動運航船の開発動向と展望、及び日本財団が開発、実証している経過及び結果、実証実験により判明した問題点などをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 大坪新一郎

    ○大坪政府参考人 船舶の自動運航技術については、ヒューマンエラーに起因する海難事故防止、船員の労働環境改善、我が国海事産業の競争力強化観点から、その早期実用化が期待されています。  国土交通省では、二〇二五年のフェーズ2自動運航船の実用化を目標にしています。フェーズ2というのは、船員は乗っていて、最終的な意思決定の権限は船員にまだ残っている、船員の判断をシステムによって支援するというのがフェーズ2自動運航船ですが、それを二〇二五年に実用化することを目標にしておりまして、二〇一六年度から昨年度まで、民間による要素技術開発への支援を実施しました。  また、二〇一八年度からは、自動運航船の安全な設計、製造及び運航のための環境整備として、実船を用いて、自動操船、遠隔操船、自動離着桟の実証事業を進めております。  その成果は、二〇二〇年十二月に国土交通省が公表しました、自動運航船の設計において留意すべき事項をまとめた安全設計ガイドラインに反映させております。  加えて、本年度からは、自動運航船の実用化を加速するために、技術のトップランナーを中核とした海事産業の集約、連携強化による技術開発の支援を行ってまいります。  さらに、我が国の技術優位性が発揮できる環境整備に向けて、国際海事機関における国際ルール作りを主導してまいります。  なお、委員指摘の課題の一つとして、障害物の認知というところは実証実験等を通じて認識されておりまして、それには様々な手段があります。レーザーを用いた距離測定とかいった様々なセンサー技術の手法を今民間も開発し、我々もそれを側面支援しているところでございます。
  60. 松田功

    ○松田委員 問題点も数々あると思いますが、自動運航船が、日本の物流の大動脈の一つである内航海運の船員不足へよい影響も与えていくのではないかというふうに思っております。  船員の特殊な勤務形態、三か月連続して働き、一か月休むということ、船舶という空間の中で限られた人と長時間過ごす、こういう人間関係は変えられませんが、先端技術によって船員の業務負担が軽減され、労働環境が改善されること、また、海上の電波がよくなってスマホが自由に使えるようになると、若年層の就業も増える見込みではないか、離職率も改善されるのではないかというふうに思っておりますので、大きな意味で普及推進を是非進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。  私の質問は以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  61. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、小宮山泰子君。
  62. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 立憲民主党小宮山泰子でございます。  まず冒頭ですけれども、本編に入る前に、新型コロナ対策緊急事態宣言が、本日、沖縄県に発令される見込みとなってきた、そういった報道が多々あります。四月の段階から見ると、十都道府県に拡大するという状況になってきております。政府内には宣言再延長は避けられないという空気が広がりつつあるという報道もなされております。このような宣言が続くと観光地や地域経済には多大な影響、被害が及んでいくこと、これが増大していくことが推測されるものでありますし、また、長期化によって既に、夜間等、飲食や飲酒というところは閉めずに営業を始める、そういったところも大分出てきているようであります。  まず、通告はしておりませんけれども、このような状況はかなりの影響があります。改めて大臣には、政府内におきまして、雇用調整助成金の特例の延長を引き続き要求すること、そして、観光業や地域の経済、観光は自分の住んでいるところから別のところに行って非日常を楽しむこと、その非日常というのは、行った先の地域では日常であります。この経済をしっかり守るために是非頑張っていただきたいと思っております。  あわせて、船員や、タクシー、バス、鉄道を始めエッセンシャルワーカーと言われる皆様方には、感染拡大が急速に強まっている中では、まず、経済を回すためにも、移動の権利やその環境を整えなくてはなりません。こういったエッセンシャルワーカーに対して、新型インフル特別措置法に規定された特定接種の考えにのっとった優先接種を行い、社会機能を維持するために政府が決断をするべきだと考えております。  この点について、通告はしておりませんけれども、大臣、是非、新型コロナの中で自粛を本当に頑張っている皆様方へのエールも含め、御決意をお聞かせいただければと思います。
  63. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 感染拡大が全国的にこうした状況になっておる、このことについてはもちろん感染症の専門家の皆さんの分析ですとか御助言をいただきながら政府として決めていかなければいけないというふうに思っておりますが、国土交通省所管の業界は特に人手がかかっておりますし、人が来てこその御商売だという方もたくさんいらっしゃいますし、加えて、地域の公共交通インフラという本当に最大のインフラを支えていただいているエッセンシャルワーカーの業務の方もたくさんいらっしゃいますので、出先の機関で、うちはたくさん現場もありますので、丁寧に状況を把握しながら、適時適切にしっかりと対応しなければいけない。  四月に観光関連の皆様に出させていただいた対策もまだ執行されているような状況じゃございませんので、全国の都道府県知事の皆様には早くそうした対応を整えていただきたいということは、督促のお願いをさせていただいたと同時に、こうしたことが本当に現場の皆さんに対してどれだけ効果が生まれるのかということもしっかりとフォローしていかなければいけないと思います。  恐らく、同じ施策でも、効果的な業者の方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃるというのは多分想定されることでございますので、そうした支援策の効果がなかなか裨益できない方に対しては、また別途、効果的な必要のある支援策を講じていく、そういった体制で責任を持って取り組んでいく、そうした決意で対応していきたいと思っております。
  64. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 様々な観点現場の方の話を聞いていただいていること、また、省庁間においての努力をしていただいていることを伺っております。さらに、この点に関しましては、感染症拡大を防止する、そして地域経済のために、党を超えてしっかりと応援させていただきたいと思います。  さらに、補正予算、今国会見送りという記事が本日出ておりました。今年は東京都議選挙の投開票を控え、また東京五輪、オリンピックが予定されているので、国会会期の大幅延長は難しく、補正予算の成立は困難な情勢というのが報道の中身であります。  しかし、これだけ感染が拡大している中で国会を閉じるということは、感染症というのがどういうふうに動くのかは、想像ができないというか、必ずしも予測ができるものではありません。不測の事態にしっかり備えるためにも、国会を閉じずに、必要とあれば地域経済を支えるための補正予算をするべきであるということを、私からは強く要求したいと思います。  さて、本題であります海上交通安全法の一部を改正する法律案についての質疑に入らせていただきます。  本日審議の海上交通安全法改正は、平成三十年九月、台風二十一号による強風によりタンカーが走錨し、関西国際空港連絡橋への衝突事故が起きたことを踏まえ、再発防止策として、港外避難錨泊制限などの勧告命令制度を整えるとともに、バーチャル航路標識の緊急表示制度、航路標識の復旧のための施行命令・原因者負担金制度創設、航路標識協力団体制度創設などを定めるものであります。  船舶位置、針路、速力など安全に関する情報を自動的に送受信するシステムであるAIS船舶への設置について、参議院熊谷議員の質問の中で、総トン数五百トン以上の船舶及び国際航路に従事する総トン数三百トン以上の船舶には法定義務づけとなっており、これら以外に任意で取り付けられている船舶もあると答弁されております。  AIS海上交通の安全を確保する上で有効であり、設置が義務づけとなっていない船舶についても設置が推進されることが望ましいと考えておりますが、海上保安庁保有の巡視船において、小型船舶へのAISの設置状況はどのようになっているのでしょうか。お聞かせください。
  65. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁におきましては、関連する法律規定に基づき、搭載義務のある総トン数五百トン以上の巡視船の全船にAISを搭載しております。  また、搭載義務のない総トン数五百トン未満の巡視船艇につきましても、当該巡視船艇の配備海域や業務特性に応じ、AISを搭載しているところでございます。
  66. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 AISで送受信させる情報は、静的情報、動的情報、航海関連情報、大別して三種類の情報がやり取りされております。  潜水艦を含む自衛隊艦船のAIS設置状況についても確認いたします。また、海上保安庁長官や各港の港長からの勧告命令は自衛隊艦船に対して有効か否かも確認させてください。
  67. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上自衛隊の使用する船舶は、自衛隊法第百九条第二項により船舶安全法の適用除外となっており、AISの搭載義務はございませんが、航行安全の観点から、平成十五年度以降、順次AISを搭載しており、現在、AISの搭載義務に該当する船舶については全てがAISを搭載済みであると聞いております。  また、異常気象時の勧告命令制度につきましては、船種や船舶の大きさを問わず措置し得るものであり、海上自衛隊の使用する船舶に対しても当該制度対象となります。
  68. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 海上保安庁も自衛隊も含めて、日本国内での航行の安全に対して、規定はなくても対応していただいているということが分かるかと思います。  さて、本年三月、スエズ運河にて日本企業所有の大型コンテナ船エバーギブンが座礁し、運河での航行ができなくなるという事故発生いたしました。座礁した大型コンテナ船の位置や向き、影響を受けて待機、滞留を余儀なくされたほかの船舶の数や位置情報が、パソコンやスマートフォンの画面から、ほぼリアルタイムで、どこからでも確認することができておりました。  AIS船舶に設置するには本体価格だけで百五十万円ほど、簡易なものでも数十万円ほどかかると伺っております。かかるからこそ、逆に義務づけのない小型船舶への設置には足かせとなっているのではないでしょうか。スエズ運河のコンテナ船やほかの船舶情報が誰にでも見られるように、スマートフォンアプリの類いの活用の可能性というのは極めて高いことが分かっております。  ソフトウェアの国主導での開発は、丸投げや再委託による不具合の事例が多く見受けられる近年の状況であり、うまくいかないのではないかという懸念は払拭できないところではありますが、利便性、操作性などに優れたソフトウェア開発に、個人であれ企業であれ民間主体であれ、どんどん取り組まれることを促すことはいいことだと思っております。  例えば、台湾におきまして、オードリー・タン大臣の著書にもありましたけれども、シビックハッカーによってマスクをどこで入手できるのかというアプリが開発され、ブラッシュアップされていった、オープンソースによって、政府がしっかりと国民に対し責任を持つというよりかは、信頼しアプリの開発が進んだという事例もあります。  海上交通センターの持つレーダー情報船舶に設置されたAIS機器の情報などを組み合わせて、小型船舶などの海上安全に役立つ情報提供ができる有効なソフト開発をより促進されるような支援に取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
  69. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁では、我が国におけるMDA、海洋状況把握の能力強化のため、海上保安庁を始めとする関係省庁等が収集している広域性、リアルタイム性の高い海洋情報を集約、共有、提供するシステムとして、海洋状況表示システム、愛称海しると申しますが、これを運用しております。  現在、民間では海しるのデータの閲覧のみができる状況でございますが、現在システムの改修を行っており、これにより、今年度中にはこれまでできなかった官民のデータを統合し編集するということができるようになります。こうしたことは海上安全に役立つアプリの開発促進にも貢献するものと考えております。  引き続き、海洋の関係者のニーズを踏まえつつ、海洋情報の提供に努めてまいります。
  70. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 スエズ運河庁から船主らに求める損害賠償額について、当初は九億一千六百万ドル、約一千億円ともされたものが約六億ドルに減額されたという報道もありました。スエズ運河コンテナ座礁事故での損害賠償がどのように行われることとなるのか、船主の掛けた保険による賠償の範囲はどこまで及ぶのか、現時点での見込みについて簡潔にお答えください。
  71. 大坪新一郎

    ○大坪政府参考人 今回の座礁事故の損害賠償に関しては、当事者間で協議が進められているところであり、個別具体の損害賠償の手法や範囲についてはお答えを控えさせていただきます。  一般論を申し上げれば、船舶事故においては多様な損害の発生が想定され、それぞれの責任関係については各民間契約の内容に依存しますが、損害については幾つかの種類に分けることができます。  まず、船体の修理や、離礁、これは座礁した船舶を再び浮上させるという意味ですが、これに要する費用については、船主が加入する船体保険で填補されることとなります。  また、施設の損傷など第三者への直接的損害については、船主が加入する損害賠償責任保険で填補されることとなります。  さらに、積載されている生鮮食品の劣化など積荷の損害については、荷主が自ら加入する外航貨物海上保険で填補されることになります。  一方、運河の中それから入口において滞留した他船の遅延損害などの間接的損害については、慣習上、船主は責任を負わないこととされております。  なお、上述の各種費用のうち離礁に要する費用については、共同海損を船主が宣言することによって、船主は荷主と費用分担することが可能となります。今回の座礁事故においてもこの手続が使われるということは公表されております。
  72. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 今回の法改正は国内の港湾の海上交通の安全についてでありますが、海は世界に続いています。今回、このような外航海運での重大事故に対してしっかりと日本も対応していかなければならない時代が来るのではないか。  先週は、海事産業に関しての、これから日本がもっとしっかりと支援をしていくという法案も通させていただきました。このようなことに対して国交省としてどのように取り組んでいるのか、最後に一言、大臣からいただければと思います。
  73. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 我が国が置かれた状況を鑑みますと、我が国の外航海運における高い安全性と信頼性を確保していくというのは大変重要なことだというふうに認識しております。  国交省として、人的要因による事故を減らすために、先ほど御答弁がありましたが、自動運航システムの開発支援や実証を行っており、今のところ、二〇二五年までにフェーズ2の自動運航船の実現を目指しておるところでございます。  また、モーリシャス事案を含めまして、事故の事例を分析しながら、再発防止策について我が国の事業者に広く周知を行いまして、業界全体としての安全性を向上させる。  同時に、船舶の安全基準につきましては、IMOで統一ルールが決められておりますので、国交省といたしましては、海運事業者との連携の基に、事故原因分析ですとか技術革新を踏まえた合理的なルール作成に向けてしっかり議論を主導していきたい、こう考えております。  以上でございます。
  74. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 日本が海上交通の安全をリードする国であること、心から私もつくるために頑張ることをお伝えさせていただきまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  75. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
  76. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  二〇一八年九月の台風二十一号の影響によって、関西空港の周辺海域錨泊していたタンカーが走錨し、同空港連絡橋衝突する事故発生しました。この再発防止策を有識者会議等で検討を重ねる中で、今般の法改正必要性指摘されてきたと思っております。  錨泊とは、船がいかりを下ろして一か所にとどまること、走錨とは、そのいかりを引きずったまま船が流されることを言うそうですが、どちらも今回の法案によって、私もなじみがなかったものですから、知ったことであります。ところが、我が青森県の青函連絡船洞爺丸の一九五四年の海難事故も元々は走錨による事故であったということで、本当に身近にたくさんあったということを改めて認識させられました。  そこで、まず海上交通安全法ですが、異常気象時における湾内からの退避などの交通制限について、今回、勧告命令ができるようになります。これまで港の方の港則法では行っていたことが湾の方の海交法ではできなかった理由、そして、海上保安庁長官により一体的に実施をする意義についてお答えください。
  77. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海海上交通安全法適用海域につきましては、港内と比較いたしまして広く、船舶交通の危険性が低い海域であることから、台風などの来襲時には、これまで港内で係留する船舶避難場所として利用されてきました。  しかしながら、これら海域においても、近年の台風などの異常気象等頻発化激甚化に伴って、平成三十年の関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故といった船舶の走錨による重大事故発生しております。  こうした状況を踏まえ、本法案では、三大湾等の海上交通安全法適用海域において異常気象時に船舶湾外避難等するよう、勧告命令などの規定創設するものであります。  また、海上交通に関する権限は、通常、港内港長であります海上保安部署長が、湾内海上保安庁長官が行使しております。  異常気象時に港にある船舶湾外避難させる場合には、まず、船舶港外に出した上で、引き続き湾外まで避難させる必要があります。  このため、今般の法改正により港内湾内権限を一体的に行使できるよう、必要な港長権限海上保安庁長官代行できることとするものであります。
  78. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 一体的に行使するということは、非常に合理的というか、必要なことかなと思っております。ただ、三大湾内が広くて危険性が低いから避難場所として位置づけられていたというその認識は、かなり前から見直しが求められてきていたのではないかというふうに思います。  続けていきますけれども、実際にそういう命令勧告ができるタイミングということをちょっと整理していきたいと思うんですけれども、まず、異常気象時とはどんなときをいうのか。いつでもというわけにはいかないわけです。  資料の一枚目に、単純な時系列というのを、保安庁で作ってくれたものを出しております。  まず、台風が来る前、シーズン前ということで、台風等対策協議会の開催というふうに書いておりますけれども、まずは一定ルールを取り決めておくこと、風速何メーター以上であるとか、そうしたことが必要だと思います。それから、いよいよのときは、三日前くらいに既に集まって、いろいろな手順を確認するということなのかなと思います。気象台なども参加して、予報についても解説が必要なのかなと思っておりますけれども。まず、そこら辺について整理をお願いいたします。
  79. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  船舶湾外等の安全な海域避難させるための勧告を発動する要件等については、台風来襲時の船舶の走錨のリスクのみならず、船舶避難する際の安全性も十分に考慮し、基本的な考え方を整理しております。  具体的には、対象とする台風は、最大風速が四十メートル以上の暴風を伴うような特に勢力の強い台風とすること、勧告の発動時期は、船舶台風の影響が少ないほかの海域避難する時間を考慮し、十分な時間的余裕を持って、対象海域に強風域が到達する二日ほど前とすること、対象船舶は、自動車運搬船やコンテナ船などの風の影響を強く受ける船舶を主な対象とし、かつ、外洋において荒天、悪天候でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶とすることを発動要件の基本的な考え方としておるところでございます。  これらの基本的な考え方につきましては、海事関係者や学識経験者の御意見も賜りながら検討を行ったものでございます。
  80. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 さっき質問の中で言いましたけれども、気象台の参加について。
  81. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  こういった運用におきましては、湾内に設置いたします協議会、この中でもろもろ検討し決定をしていくわけでございますが、このメンバーに気象庁の職員、気象台の方が入っているというものでございます。
  82. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございます。分かりやすかったと思います。  資料の二なんですけれども、左側は、海上交通センターが無線で湾内船舶に対して衝突を回避するために呼びかけをしている、そういうイメージ図なわけです。右側は、令和元年台風十五号来襲時の東京湾における船舶錨泊状況ということで、赤い点が全部船なわけですよね。実際はもっと細かいのがあるらしいんですけれども、物すごく混んでいる。  そして、よくよく見ますと、台風接近前は約二百から二百五十隻、九月五日だったんですが、九月八日になると、逆に、三百五十隻ということで増えているわけですよね。走錨の危険性がある、兆候が認められた船舶は約百十隻もあると。ここまでつかんでいるという中で、これだけ混雑していてどう整然とした指示、誘導をするのかというのを伺いたいと思います。
  83. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  湾外避難等勧告制度を運用するに当たりましては、運航者が十分な時間的な余裕を持って、安全な海域に無理なく避難できるよう、慎重かつ的確に運用をしてまいります。  気象庁から発表されます五日先までの台風予報を踏まえ、例えば、台風東京湾を通過する可能性が高まるなど、湾外避難をさせることが必要であると判断した場合には、時間的余裕を持って、二日ほど前から、東京湾の外に出てより安全な海域避難すること、東京湾に入湾しないことなどを勧告することを想定しており、勧告が発出された場合には、海域関係者に対して幅広く周知をいたします。  また、湾外避難は、全ての船舶対象勧告するものではなく、大型船を主な対象とする予定であります。  御指摘の点につきましては、船舶が入湾しないことを勧告すること、十分な時間的余裕を持って勧告すること、勧告対象船舶一定の大型の船舶とすることから、湾外への避難に当たって湾の入口が著しく混雑するといったようなことにはならないものと考えておりますが、引き続き運用上も十分に留意をしてまいりたいと考えております。
  84. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ですから、台風が近づいてくるに従って錨泊が増えているということに対するお答えではなかったと思うんですね。大型船がよければかなりよくなるのかもしれないんだけれども、混雑しているというのはそこが整然となっているわけではないわけですから、やはり入湾制限というのが、早め早めに手を打っていくということが求められてくるのかな、このように思います。  後でもう一回質問しますので、そこをお答えいただきたいと思います。  大臣に伺いますが、昨年九月三十日の第十四回の船舶交通安全部会では、例えば、外国船舶の協会からは、湾外避難勧告あるいは入湾規制勧告に関して会員からいろいろ意見を交換していると。それで、台風接近時、やはり船長はかなり迷う、例えば東京湾台風が来る、湾が荒れるという場合に入湾すべきかどうか、経済的なこともありますので、入湾したいんだけれどもどうも危険だというので非常に悩む場面が多い、そういうときに法的強制力のある勧告が出れば、これは出よう、あるいは入らないで済むということで決断しやすいとおっしゃっているのは、もっともだなと思いますよね。  それから、日本旅客船協会は、日々同じ船長が定期航路を運航しておりまして、航路の特性、長年にわたる知見の積み重ねによりまして最も安全な場所錨泊しております、ふだんと全く違う、別の湾外での錨泊にしなさいと言われるのは、不慣れな場所への回航及び錨泊そのものの安全が懸念され、湾外の未知の海域での錨泊はかえって危険であると。そういう心配の声も出されております。  関空の事故があり、有識者の検討会が報告書を二回も出しているわけですが、今回の法案になるまで三年かかり、その間にまた、台風も来ました、同じような事故がありました、そういうときに、やはり、船長さんにしてみれば、法的根拠のない中で、湾外避難などは客あり荷物ありということで非常にリスキーでもあったし、安全面でも大きい、そういう意味では時間がかかったことは理解ができるなと思うわけです。  ただし、資料の三で見ますと、さっきお話しした東京湾は、二〇一八年九月の台風二十四号、二〇一九年九月の台風十五号、同年十月の台風十九号と、錨泊数は減ってきているわけですよね、四百九十二、三百四十五、二百九十七と。だけれども、走錨の可能性はむしろ、百十から百二十というふうに増えている。なぜそうなっているのかなというふうに思うんです。  逆に、海上交通センターがここまで把握できているのであれば、もっとちゅうちょなく判断ができるようにするのが、法的に言ってくれるんだったらしやすいんだというふうな声にも応える道になると思います。大臣にも改めて見解を伺います。
  85. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 足らざる部分があったら長官からも補足させていただきたいと思いますが、まず、今、高橋委員が言われたように、私、別の答弁もさせていただきましたが、外国の船籍ですとか荷主の皆さんにはなかなか理解を簡単に得られないということも様々検討して今回の法改正に至ったということでございます。  その中で、湾外避難をしていただくときにより安全な形で行わなければいけないというのは御指摘のとおりであって、実際に台風接近が予想される場合には、十分な時間的な余裕を持って勧告を発出して、安全な海域まで避難する時間が確保できるようにする、それに遅れた場合は無理してリスクを冒させない、そうしたことも当然の配慮だと思っております。  具体的には、気象庁から発表される五日先までの台風予報を踏まえて、例えば、台風東京湾を通過する可能性が高まるなど、湾外等の安全な海域避難させることが必要であると判断された場合には、時間的な余裕を持って、台風の強風域が到達する二日ほど前から、東京湾の外に出てより安全な海域避難することを勧告することを想定しておるところでございます。  五日、また二日という、このタイムラグというのは、やはりその中で、そうじゃない場合には経済的な損失もありますし、そうしたことをやはり、ぎりぎり、慎重な判断と安全性の確保ということで、私は多分、二日ほど前からということの結論に至ったのではないかというふうに承知をしているところでございます。  また、避難する船舶が他の海域まで安全に航行できるように、経路上の風向きですとか風速、波高等の情報や、避難先の候補となる海域錨泊船状況等について海上保安庁のホームページで常に提供させていただいているところでございます。  湾外等に避難する船舶台風の進路を避けて避難先の海域まで安全に航行できるよう、慎重かつ的確に、今回の法改正趣旨を生かしながら運用もしっかりしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  86. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 二日前から勧告を始めて、その前の情報の提供というのが今回もう一つ条文にはありますので、非常に大事な意味を持ってくるのかなというふうに思って聞いておりました。その中でみんなの共通認識になっていけば、いろいろ経済的なリスクはあるんだけれども、当然、社会的にも共通のルールになっているということが必要だと思っております。  それで、さっきの長官答弁の中で、対象船舶が大型船舶に限定していると。それにはいろいろ理由があるというのは承知しているんですが、ただ、中小型の船舶に対してどう安全を守っていくかという点で何かありましたら、一言お願いします。
  87. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、大型船のみならず、中型船、小型船の安全をしっかり守る、これも重要なことでございます。  その上で、申し上げます。湾外避難勧告制度対象となります船舶は、御指摘のとおり、自動車運搬船やコンテナ船などの風の影響を強く受ける船舶であり、かつ、外洋において悪天候でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶とすることとしております。  一方、この対象とならない大きさである内航船などのいわゆる中型船と言われるクラスの船舶ですが、この船舶につきましても、自船及び周囲の船舶錨泊状況確認すること、主機関を直ちに使用できる状態にしておくこと、両舷のいかりを使用するなど適切な錨泊方法を取ることといった走錨事故防止に役立つ情報を走錨事故防止ガイドラインとしてまとめ、海上保安庁のホームページに掲載するなど、走錨事故防止対策に努めているところでございます。  なお、プレジャーボート、漁船などの更に小型の船舶につきましては、この制度による勧告命令を発令するような異常気象時等におきましては、マリーナや漁港内に陸揚げする、あるいは係留を強化するといったことで安全が確保されますことから、こうした措置の徹底を指導してまいることとしてございます。
  88. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ありがとうございました。  そういう意味では、港長、港の責任者などとの連携というのも本当に大事だなと思って聞きました。しっかり守るとお答えいただきましたので、よろしくお願いしたい、このように思います。  それで、二〇一九年、おととし十一月十三日の本委員会で、港湾法の質疑の際に、秋田県の日本海側で進む洋上風力発電について質問しました。  この地域は、日本で最も風況がよい地域ということで複数の計画がありまして、海岸に沿って北から南まで、陸側にはもう既に風車が立ち並んでおりますけれども、海側にもずらっと並ぶ予定になっておりまして、再エネ海域利用法に基づく促進区域指定がされて、港には風車の部材がずらっと横たわっている、既にSEP船が出て工事も始まっているという状況であります。  由利本荘市の洋上風力発電は、海岸南北三十キロ、陸から僅か一・四キロ。レノバなど、最大七十万キロワットの風車を七十基から九十基。その倍の基数と出力が、日本風力開発によって、もうちょっと北の能代市、三種町などでも進んでおります。  資料の最後に、十二日付の秋田魁新報をつけておきました。この写真は当然、海はまだですので、陸側の風車であります。二段目の記事にあるんですけれども、由利本荘市が、風車などの増加に伴って景観の悪化を懸念する声が出ているということで、風車が集中する場所への風車の新設は自主的に避けてもらうとか、市が建設自粛を要請する場面もあるというふうに書いております。市が景観を考えてと言わなきゃならないほど、再エネが次々進出してきているわけなんですね。  市民の中では当然、鳥海山が台なしだよという、景観の面からはもちろんのこと、風車の音で眠れないという健康被害を訴える声も出ておって、健康調査の実施やデータの公表、これ以上洋上風力はもう要らないという運動に粘り強く取り組まれております。  おととしの質問のときに漁業への影響というのが話題になって、既に協議会にも参加をしているんですけれども、今度は、異常気象時の船舶の走錨による二次被害を防ぐ、あるいは港則法の話題の中で、改めて、じゃ、洋上風力が障害物にはならないのかと思ったわけです。  そうすると、第十三回の船舶交通安全部会で委員の中から質問が出ております。これから一、二年の間に洋上風力が増えてくる、洋上風力が立つところは浅い海域だとは思うんだけれども、海域の支障物が増えることについてどう思うかという質問がされているんですよね。航行安全課長は、海上にある支障物だとはっきり答えているわけですけれども。  調整が必要かなと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  89. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  平成三十一年四月一日、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の施行に伴い、日本海沿岸を始め各地で洋上風力発電設備の設置に向けた動きがあるということは承知しているところでございます。  洋上風力発電設備の設置に当たりましては、都道府県知事からの誘致に係る情報提供が経済産業省エネルギー庁と国土交通省港湾局になされ、両省から関係省庁に対し協議があり、海上保安庁におきましては、この協議の中で、船舶交通の安全上の観点からこれを検討しているところであります。  この検討に当たりましては、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域指定ガイドラインというものがございまして、これに基づき、大型船舶が頻繁に通航するような海域を避けていること、船舶の航路筋に影響を与えない十分な離隔距離が確保されていること、周辺港湾への大型船舶の入出港に著しい支障を及ぼすおそれがないことなど、海上保安庁では区域の設定が船舶交通の支障とならないことを確認しているところでございます。  また、設置される洋上風力発電設備が海上障害物とならないよう、このガイドラインに基づきまして、付近航行船舶から十分な視認性が確保できるよう、施設の塗色、灯火の設置に関し、海上保安庁から事業を計画している事業者に対して助言、指導していくことにより、船舶交通安全確保に努めてまいりたいと考えております。
  90. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今御指摘いただいたガイドラインには、確かに大型の船舶が頻繁に通航するような海域を避けて云々というふうなことが書いてあるのみなんです、逆に言うと。  そして、今お話をした洋上風力発電促進区域は、秋田港には国家石油備蓄基地、重要施設があって、重要施設の中でも港則法による規制がかかる規制地域に指定をされています。また、由利本荘市からちょっと南に行けば酒田港があって、ここは共同火力発電所があって、これも同じ規制地域の中なんですよね。その中で、何十基もの風力が並び、またSEP船が今作業しているということで、もう一度よく議論をする必要があるのではないか。個々の議論だけでは、ずらっと立ち並ぶという中で、要するに逃げ場がなくなってくるわけですから、やはり必要なのではないかと思います。  残念ながら時間が来ましたのでこれで終わりますが、一番最初の再発防止に係る有識者検討会のまとめには、近年の極端な気象・気候現象は今後も増加していくと予想されており、海上構築物が増加していることにも留意すべきだということが書いてあるんですよね。まさに、経済活動が発展するかもしれないけれども、異常気象も増えているけれども海上造築物も増えているんだという中での見直しというのはやはり必要なんだということを指摘して、終わりたいと思います。
  91. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、井上英孝君。
  92. 井上英孝

    井上(英)委員 日本維新の会の井上です。  それでは、海上交通安全法等の一部を改正する法律案に関する質疑を奥島海上保安庁長官にさせていただきたいと思います。  質疑に入る前に、ここ二、三日の長雨といいますか、先ほどちょっと吉田委員からも聞くと、九州では被害というか土砂崩れが起こっていると。詳細な被害状況を把握していませんのであれですけれども、国土交通省として必要な対応赤羽大臣を先頭にしっかりとお願いしたいということをまずお願いしておきたいと思います。  それでは、本法案は、台風等の、これも災害ですけれども、台風等異常気象時における船舶の走錨による事故防止するための各種対策を講じるものということであります。  そのきっかけとなったのが、私の地元の関西国際空港連絡橋タンカーが走錨してぶつかった、衝突した事故がありました。それは平成三十年、二〇一八年九月の台風二十一号ということであります。この台風によって、関西国際空港そのものも大きな被害を受けました。さらに、タンカー衝突事故によって空港へのアクセスが寸断されまして、私の地元大阪を始め人や物の流れに大きな影響というのを与えたというふうに記憶しています。  その後、海上保安庁においては、関西国際空港を始めとして全国各地の臨海部施設を選定して、悪天候の際に錨泊制限を行うことによって走錨による事故防止するための対策を進めてきたというふうに承知をしております。しかしながら、更なる対策を推進するために今回改正法案を提出されたものと承知しておりますけれども、まずは、現行法でどういう不十分さがあったのかというようなことも含めて明らかにさせていただけたらというふうに思います。  まずは、関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故発生した要因をどのように分析されているのか、そして、関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突などを受けて、台風などの悪天候時に周辺海域などにおける安全対策にどのように取り組んできたのかを長官にお伺いしたいと思います。
  93. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故の原因につきましては、平成三十一年四月、運輸安全委員会より調査報告書が出されております。  この報告書によりますと、大阪湾を含む瀬戸内海海上台風警報が発表されていた状況下当該タンカーが、一、台風避難の目的で関空島南東方沖の北方約一マイルに連絡橋がある錨地に錨泊したこと、二つのいかりのうち一つのいかりのみを使用した単錨泊を続けたこと、三、台風接近に伴う強い風及び波浪により走錨し、一旦主機を使用して圧流が止まったとして、風が強まった後も前進推力がないニュートラルの位置にし続けたことから、本船を制御する距離的な余裕がない状況で再び圧流され連絡橋衝突したものと考えられるとされており、海上保安庁では、このような事故原因も踏まえ、安全対策強化に取り組んでいるところであります。  具体的には、海上保安庁において、荒天時の走錨等に起因する事故の再発防止に係る有識者検討会を設置し、翌令和元年以降の台風シーズンに向け、対策を検討いたしました。  有識者検討会における検討結果を踏まえ、関西国際空港を始めとした海上空港火力発電所など、全国臨海部に立地する施設周辺海域において、台風接近時等に船舶錨泊制限するほか、監視強化するなどの対策を講じました。  しかしながら、令和元年に、台風十五号が東京湾を直撃した際、走錨した船舶が海上施設や他の船舶衝突する事故が複数発生したことから、台風十九号の際には、東京湾の過密な錨泊状態を改善すべく、緊急的な対策として、行政指導により湾外退避等を推奨したところであります。  一方で、海事関係者からは、外国船舶指導ベースではなかなか従わない、運航判断について法的根拠がある方が荷主等関係者理解を得やすいなどの意見があり、行政指導では多様な関係者が足並みをそろえることが困難との指摘がございました。  こうした状況を受け、令和二年から交通政策審議会において湾外退避等の制度化に向けた検討を行い、同審議会の答申に基づき今般法案を提出するに至ったものでございます。
  94. 井上英孝

    井上(英)委員 長官、ありがとうございます。  長官から答弁いただいたように、法制度があった方がいいという判断というか、そういう様々な声もあったということであります。悪天候時に避難勧告などを行った場合、その後の運航スケジュールに影響が出たりとか、公正な競争環境という観点からすると、指導に従った船舶とそうでない船舶に不公平が生じてはいけないというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次は、法定協議会を少しお聞きしたいと思いますが、この法案において、法定協議会を設けることにより、協議会で協議が調った事項については、協議会の構成員に協議結果を尊重する義務を課すとしています。義務を課す理由と、これによりどのように避難勧告等実効性が高まるのか、そしてまた協議会の構成員というのはどのような方々を具体的に想定されているのか、お答えいただけますでしょうか。
  95. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  海上保安庁は、改正法に基づき、東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海のそれぞれの海域法定協議会を設置いたします。海域利用者間において密接に連携を図るため、その構成員は、気象庁などの関係省庁の地方出先機関、港湾管理者、船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、海事関係団体などとすることを考えております。  協議会は、こうした官民の海域関係者と、避難対象となる台風避難の時期や対象船舶船舶避難する際に必要となる水先人やタグボートの利用、勧告発出時の連絡体制及び周知体制などについて事前に調整を図り、海域利用者等が予見可能性を持って行動できるようにするものであります。  また、実際に台風が来襲する際などの非常時における協議会は、台風の進路、強度等の状況を共有した上で、湾外避難必要性等について協議をいたします。  加えて、協議会の構成員には協議結果を尊重する義務が課されますことから、各員が連携協力し、円滑な避難が可能となるなどの対策実効性が一層高まることが期待できるところでございます。
  96. 井上英孝

    井上(英)委員 是非、法定協議会を通じて、台風が来たような緊急時には速やかに避難実施することというのが極めて重要だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  そして、海事関係者荷主に対する事前周知というのをしっかりと行った上で実際の避難勧告を行うということになるわけですが、その際に重要になるのが個別の船舶への情報提供ではないかなというふうに思います。個別の船舶の判断だけでは不十分な対応になる場合もあると思いますので、保安庁がレーダー等で船舶の動静を把握して情報提供する、悪天候時には正しい判断を促していくという必要があると思います。  関西国際空港周辺海域における悪天候時の錨泊制限等勧告命令といった措置に加えて、錨泊制限海域の周辺において個別の船舶海上保安庁情報提供するということでありますが、これによってどれぐらい安全性が向上するとお考えか、長官、お答えください。
  97. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  異常気象時には、一定船舶湾外避難させる措置を講じたといたしましても、錨泊船が停留することにより船舶交通の混雑が発生し、海上空港等臨海部に立地する施設や他の船舶への衝突防止する必要がある海域がございます。  このような衝突事故発生防止するため、臨海部に立地する施設周辺海域錨泊している船舶に対して、錨泊船に走錨の予兆がある場合の注意喚起などの情報を提供し、当該情報聴取義務を課すこと、船舶臨海部に立地する施設や他の船舶に著しく接近する等の危険が生じるおそれがあると認められる場合には、接近回避などの措置を講じるよう勧告するとともに、必要があればその船舶が取った措置について報告を求めること、こういったことが有効かつ必要であり、今回の法改正創設することとしております。  こうした制度を的確に運用することにより、情報提供を受けた船舶は自船が危険な状況にあることを早期認識し、危険を回避するための措置を講ずることができるようになることから、安全性の向上につながるものと考えております。
  98. 井上英孝

    井上(英)委員 是非しっかりとした情報提供をよろしくお願いしたいというふうに思います。  私の地元の大阪湾では、関空周辺にレーダーの施設を整備中というふうに伺っています。二〇二三年に運用ですけれども。こういったレーダーを含めてしっかりと設置していただいて、大阪湾海上交通センター、ちょっともう時間も来ていますのであれですけれども、これの機能再編によって大阪湾の北部海域というのを一体的に監視できるという体制を進めてもらえると聞いています。これによって大阪湾の安全性というのはどのように向上するのか。長官、お答えいただけたらと。
  99. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  大阪湾海上交通センターでは、明石海峡航路及びその周辺海域において、レーダーから得られる船舶動静の情報や、船舶自動識別装置、AISでございますが、これから送信される船名や位置などの情報を活用し、船舶航行管制や事故防止のための情報提供を行っております。また、阪神港にある港内交通管制室では、港に出入りする船舶航行管制を行っております。  平成三十年九月に走錨したタンカー連絡橋衝突した関西国際空港周辺海域は、大阪湾海上交通センターのレーダーではカバーできていない海域でありましたことから、同センターの機能を拡充、再編し、関西国際空港を含む大阪湾北部海域監視体制強化を図ることとしております。  具体的には、今後、関西国際空港や神戸ポートアイランドに新たにレーダーを設置することとしており、令和四年度中の運用開始を目指しております。  これにより、大阪湾海上交通センターのレーダーによる監視海域が、明石海峡の周辺海域に加え、関西国際空港及び神戸空港の周辺海域まで拡大いたします。また、これらの海域船舶の動静を一体的に把握した上で、効果的、効率的に監視情報提供を行うことが可能となり、大阪湾北部海域における船舶交通の一層の安全が確保されることとなると考えております。
  100. 井上英孝

    井上(英)委員 長官、ありがとうございます。是非そうやって充実した設備で安全に各船が航行できるようにサポートいただけたらというふうに思います。  時間もあと一分なので、バーチャル航路についても聞きたかったんですけれども、バーチャル航路標識を活用して臨海部施設の安全性というのを、長官、是非高めていただくように要望しておきます。  最後に、大臣、こういった様々な効果をしっかりと臨海部施設も含めた船舶衝突防止に向けた施策として実行できるように、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  101. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 平成三十年九月の、委員御地元の関西国際空港連絡橋に走錨した船舶衝突した事故というのは大変ショッキングな出来事でもありましたし、こうした政策の大きな転換等をせざるを得なかったというふうに私たちは思っております。先ほど答弁したとおり、様々な検討がなされ、やはり法改正をしなければということで今回提出に至ったところでございますし、その過程におきましては、昨年、国交省の中で防災・減災対策本部というものを立ち上げて、その中で、総力戦で挑む防災・減災プロジェクトということを集約する中でも、この案件も盛り込ませていただいたという経緯もございます。  今、レーダーの施設の整備を推進させていただいたり、またバーチャル航路の活用等々、先進的な技術もフル活用しながら再度災害防止をしっかりと図っていく、こういった決意で臨んでいきたい、こう決意をしているところでございます。
  102. 井上英孝

    井上(英)委員 ありがとうございました。
  103. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、古川元久君。
  104. 古川元久

    ○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。  法案の質問に入る前に、まず、尖閣諸島周辺海域状況についてお伺いしたいと思います。  まず、海上保安庁の皆さんには、我が国の領土、領海を守るために昼夜を分かたず御尽力いただいていることに改めて心から敬意と感謝を表したいと思います。  私たち国民民主党は、日本固有の領土である尖閣諸島を守り抜くためあらゆる資源を投入すること、一義的には海上保安庁が尖閣諸島の主権維持の主たる役割を果たすこと、そのためにも今後とも海上保安庁の装備の充実、人員の増強に不断に取り組むことが必要だと考えております。  その上で、尖閣諸島周辺海域において、ずっと中国海警船等が接続水域で活動していたり、領海に侵入したり、そういう活動が見られるわけでありますが、そうした中で、今年の二月に中国の海警法が施行されました。施行前と施行後でこうした中国海警船等の動きに何か変化はあったんでしょうか。
  105. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  尖閣諸島周辺の接続水域におきましては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶による活動が確認されているなど、依然として予断を許さない厳しい状況にあると認識しております。  中国海警法施行前後、現場海域におきまして中国海警局に所属する船舶の動きに大きな変化はございません。  海上保安庁では、日頃より様々な事象発生した場合に備えており、また、中国海警局に所属する船舶への対応に当たっては、常に相手隻数よりも多い巡視船を配備するなど、尖閣諸島周辺海域の領海警備体制を確保しております。  今後とも、中国海警局に所属する船舶の動きにつきましては、僅かな変化も見逃すことがないよう、引き続き緊張感を持って、領海警備に万全を期すとともに、自衛隊を始めとした関係省庁と緊密に連携し、冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいります。
  106. 古川元久

    ○古川(元)委員 二十四時間、大変緊張感の続く中での警戒態勢だと思いますが、是非そこはしっかりと対応していただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  さて、この海域においては、中国の海警船だけじゃなくて、中国とか台湾など外国漁船による活動も見られるわけでありますが、最近こうした外国漁船の動きはどんなような状況になっているでしょうか。
  107. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  海上保安庁では、領海に接近する外国漁船に対しては領海に侵入しないよう警告するとともに、違法操業の疑いのある外国漁船を確認したときは、退去警告を行い、領海外へ退去させております。  尖閣諸島周辺海域において、令和三年における海上保安庁実施した領海からの外国漁船の退去警告につきましては、本日現在で中国漁船が八十隻、台湾漁船が十五隻となっております。  昨年の同時期の件数は、中国漁船は百三十八隻、台湾漁船は四十七隻であり、昨年に比べ減少しております。減少しておりますが、引き続き、外国船舶の動向に注視するとともに、領海警備に万全を期してまいります。
  108. 古川元久

    ○古川(元)委員 少し減っているようでありますけれども、民間漁船を装ったものがあったりとか、民間漁船だと何をしてくるか分からないという、過去に大変なこともありました。やはり、そういった意味でも、そうした動向にもしっかり注視していただきたいというふうにお願いを申し上げます。  さて、そうした形で、今、二十四時間体制で、ずっと緊張感の続く中で警備に当たっていただいているわけなんですけれども、本当に今の体制でしっかり今後とも対応できるのかどうか。我々国民民主党は、海上保安庁の取組を支援し、同時に、情報収集、警戒監視活動を自衛隊の本来任務とする自衛隊法の改正と、中国海警船等が軍事部門の強い影響下にあることを踏まえて、現在の状況対応すべく、海上保安庁の任務を定めた海上保安庁法第二条等の見直しを党として検討いたしておりますが、大臣は今、現状についてどのような認識を持っておられるでしょうか。
  109. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 まず、海上保安庁に対しまして心温かい御発言、御質問をいただいたことをまず感謝申し上げたいと思います。  尖閣諸島周辺海域におきましては、長官からの答弁もありましたが、海上保安庁におきましては、原則は、常に相手隻数より多い巡視船を配備する、十分な体制を確保しながら領海警備に万全を期しているというところでございます。  他方、厳しい情勢を踏まえまして、これまで、平成二十八年の十二月の関係閣僚会議において決定いただきました海上保安体制強化に関する方針に基づいて、着々と体制の強化を進めさせていただいております。具体的には、大型巡視船十三隻、測量船二隻、大型練習艦一隻、こうしたものを進めていただいておりますし、組織の要員も着実に増やしていただいておるところでございます。また、日頃より、自衛隊との情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組も推進をさせていただいております。  委員指摘のように、法整備につきましては様々な議論があるというふうに承知をしておりますが、私どもは現行の法制下の中で適切に対応できているというふうに承知をしているところでございます。  いずれにいたしましても、海上保安庁といたしましては、今後とも、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという大方針の下、関係機関と連携しながら、事態をエスカレートさせない、口実を相手国に与えないというふうに考えながら、冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいりたい、こう思っております。引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。
  110. 古川元久

    ○古川(元)委員 もちろん、大臣がおっしゃることも私も認識は共有いたしますけれども、断固たる領土、領海を守り抜くという意思を、相手があるわけであります、様々な形で、こちらとしても見える形で、きちんと守っていくんだぞということを示すということはやはり必要ではないか。ですから、必要であれば法改正を、確認的なものであっても、きちんとやはり必要な法改正なども行っていく、それが国家としての意思を示すということにもなるんじゃないかと思いますので、是非そうしたことも含め御検討いただきたいというふうにお願いしたいと思います。  そういう中で、船も増やしているということは聞いております。ただ、一方で、今、コロナ禍で造船業は実需が非常に減って、極めて厳しい状況にあります。こういう船は、着工してから実際に就航するまで相当時間もかかるわけです。決して今も余裕があるという状況の中でやっているわけじゃない。かなり、この前も加えましたけれども、複数クルー制を導入したりして、ある船を最大限生かすといっても、人員的にいっても相当かつかつの中でやっている感じもあるわけでありますから、この機会に、造船業を支援するという意味でも、巡視船の更なる新造船というものを決めていくということはいかがでしょうか。
  111. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 現状をよく御承知いただいていると思いますが、我が国の艦船や巡視船の全てを我が国造船業が建造させていただいておりますし、また修繕もしておるところでございます。こうした意味で、御指摘のように、安全保障という観点からも欠かせない社会基盤であるというふうに考えております。  先ほど申し上げたとおり、平成二十八年十二月の関係閣僚会議において決定した体制強化につきましても、そうした形で我が国の造船業が主体となって具体的には着手させていただいているということでございますし、また、体制強化以外の老朽代替につきましても大変重要に考えておりまして、所要の点検、修理等を計画的に実施した上で、老朽化の状況に応じて代替整備も進めているところでございます。これらについては全てを、重ねて申し上げますが、国内の造船所に発注しているところでございます。  造船業は、中韓との競争も大変激化しておりますし、現状は、今海事局長は同席しておりませんが、これから二年分の発注があってこそ具体的に回っている、しかし、それがたしか一年分のような状況だということを承知しておりますので、海上保安庁としても、本来の業務をしっかりやっていきますが、我が国の造船業についてもしっかり配慮しながら、私の立場で対応していきたい、こう考えておるところでございます。
  112. 古川元久

    ○古川(元)委員 本当に今、造船業は非常に厳しい状況にあるわけです。ですから、いずれにしても増強は海上保安庁もしていかなきゃいけないわけでありますから、この機会に新たな建造というものも決めるということによって、造船業を支えると同時に体制の強化を図っていただければということをお願いしたいと思います。  残された時間で法案関係の質問を伺いたいと思いますが、今回、航路標識の管理体制を充実強化していくということで、自らの費用負担で灯台等の補修等を行いたいという地方公共団体や民間業者等からの要望があるので、この要望に応える形で海上保安庁以外の者が管理航路標識に関する工事等を行うことができる承認制度創設されることになりましたが、こうした要望がある標識というのは今幾つあるんでしょうか。
  113. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  全国の灯台の中には、灯台を地域のシンボルや観光資源として考え、敷地の清掃、草刈り等の環境美化に取り組んでいただいたり、また、灯台に関する資料の収集、調査、保存、さらに、灯台を活用した地域イベントの開催といったボランティア活動に取り組んでいただいている民間団体が多数あり、そのような団体が活動している航路標識としては、全国で約二十か所あるものと承知いたしております。
  114. 古川元久

    ○古川(元)委員 航路標識全体の数からいくと、本当にまだごく一部ですよね。今後、政府としてはこういう形で、地方公共団体とか今回できる航路標識協力団体による管理を行っていくような航路標識を増やしていきたいというふうに考えているんでしょうか。
  115. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  航路標識の管理につきましては、航路標識法におきまして、灯台の光源の管理や灯台の修復のための工事など、航路標識の本来の機能そのものに係る工事は従来どおり海上保安庁が行うこととなっております。  今回の法改正により、今まで認められていなかった灯台のさび落としや塗装、灯台内部の手すりや階段等の軽微な工事について、航路標識協力団体に実施していただけることとしております。  また、航路標識協力団体にとっても、海上保安庁による指導、助言などの措置により灯台を地域のシンボルや観光資源として活用できることは、航路標識協力団体のみならず、地域社会にとっても有益であるというふうに考えております。  海上保安庁としても、船舶の指標としての本来機能に加え、地域の活性化にも資する航路標識が増加することは望ましいことと考えており、航路標識協力団体の制度の活用を推進してまいります。
  116. 古川元久

    ○古川(元)委員 さっきもちょっと質問が出たかもしれませんけれども、活用を図って増やしたい、いろいろ言われましたけれども、そういうことですよね。それだと、さっきの話でまだ二十くらいしかないというのであれば、やはりインセンティブをつけないとなかなか増えないんじゃないかと思いますが、そこはいかがですか。
  117. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  こういう制度があるということを知っていただくということがまず第一であろうと思います。こういった制度につきまして、各現場の海上保安部署等を通じまして、また、海上保安庁のホームページを通じてこういう制度があるということを、地方自治体とも連携しながらそういった活動に努めてまいりたいと思っております。
  118. 古川元久

    ○古川(元)委員 知らなきゃ活用できないんですが、知るだけじゃなくて、何か、こういうことで自分たちが参加するとこういう一助となる、是非そういうことを考えていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  119. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、深澤陽一君。
  120. 深澤陽一

    ○深澤委員 自由民主党の深澤陽一でございます。  本日は、質問の機会をいただきまして、理事の皆さんに心から感謝申し上げたいというふうに思います。  まず、法案質疑に入る前に、一点だけ前島林政部長様に質問をさせていただきたいと思います。  五月十二日の国交委員会の一般質問で、この後質疑に立たれます公明党の吉田宣弘委員が、輸入木材と国産材の将来的な不足に関する認識を林野庁に問われました。私も同じ課題認識を共有させていただいておりまして、特に地元の状況を踏まえて、同様の質問ですが、お伺いさせていただきます。  先日の委員会で、前島林政部長様からは、アメリカでの住宅需要の回復、中国、欧州における木材需要の回復、世界的なコンテナ不足による運送コストの増大などが輸入材の不足の原因という御答弁でありました。  加えて、アメリカ西海岸での大規模な森林火災も影響しているような話も伺っております。  そして、私の地元では既に住宅の受注を断っているケースが出てまいりました。特に中小工務店におきましては、材木やベニヤ板の注文ができず大変困っているというお話を伺っております。  今後様々な団体からヒアリングを行っていただくということは承知いたしましたが、特に、中小事業者、そして既に輸入材、国産材含めて手に入らず業務に支障を来している事業者への早期対応をお願いしたいのですが、このことについて御答弁をいただきたいと思います。
  121. 前島明成

    前島政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、輸入材を中心に、建築用木材が入手しづらい状況が生じていると認識しております。こうした状況におきまして、正確な情報を把握し、需給の動向、変動に適切に対応することが重要と考えておりまして、先生がおっしゃったヒアリングに加えまして、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施しております。情報共有を図るとともに、業界団体に対し、需要に基づいた適切な発注などへの協力要請を行ったところでございます。  また、需給の動向は地域によって差異がございます。さらに、その差は実際の取引を通じて解消するしかないということがございます。こういったことから、早期に地域ごとに意見交換の場を設けまして、中小工務店などを中心とする団体にも新たに参画いただきながら、現場に近いところでの情報共有を図る中で、川上から川下まで一体となって、代替となる木材の手当てなどの対応を促していく考えでございます。  さらに、今回の輸入木材の供給におけますリスクが顕在化したことを踏まえまして、できるだけ国産材で需要を賄っていく、そういった体制をつくり上げていくことが重要になる、林業、木材産業だけでなく住宅産業のためにも必要と考えているところでございます。  一方で、木は、簡単に切り出して建築用木材として供給できる、使えるというものではございません。特に、外材の代替ということになりますと、人工乾燥が欠かせません。そのための民間の設備投資が必要となるということがございます。そして、民間が設備投資をいたしますためには一定の見通しが必要となります。  このため、中小工務店などにおきましては、共同で発注していただく、このようにしてロットを大きくしていただく、さらには、木材住宅供給事業者と製材事業者などとの間で国産材の長期調達協定や契約を結んでいただく、こういった動きを促していくことによりまして国産材の需要の安定、拡大を図っていく、あわせまして、山や製材事業者などの生産能力の向上のための設備投資を支援するとともに、川上から川下に至るまでサプライチェーンを構築する、こういったことに国土交通省と連携して取り組むことによりまして、できるだけ国産材で需要を賄っていける、国産材の安定供給体制を構築する、こういった取組をしてまいりたいと考えております。
  122. 深澤陽一

    ○深澤委員 御答弁ありがとうございました。  適切にヒアリングをということでありますけれども、まさに今、止まっている事業者があります。材を集められる力のある業者と、集められない中小事業者の差がかなり出ている。  あわせて、共同調達ということでありますが、例えば、そういった会社をもしつくるのであれば、逆に、つくったことによって将来的にそれが負担になってくる可能性もありますので、そういった意味で、現実的に、特に中小事業者に合った形の支援とかアドバイスをお願いできればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、法案質疑に入らせていただきます。海上交通安全法の一部を改正する法律案について。  先ほど来、それぞれの委員の方から、平成三十年九月の関西国際空港連絡橋へのタンカー衝突事故を契機として今回の法改正必要性が高まった、審議が進んできた、提出になったということでそれぞれお話がございました。できるだけ重複を避けて質疑を行いたいと思いますが、若干細かくなるところをお許しいただきたいと思います。  まず、本法案の第三十二条では、異常気象により船舶の正常な航行が阻害され、船舶衝突又は乗り揚げその他の船舶交通の危険が生じ、又は生ずるおそれがある場合には様々命令ができるということですが、第二項には、異常気象により船舶交通の危険が生ずるおそれがあると予想される場合には様々勧告ができるとなっております。  船舶交通の危険が生じと、生じるおそれと、生じるおそれがあると予想されるの違いはどのようなものなのでしょうか。また、退去命令航行禁止と勧告の違いは具体的にどのようなものなのでしょうか。御説明いただきたいと思います。
  123. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  今回の改正法におきましては、湾外避難等について、船舶交通の危険が生ずるおそれがあると予想される海域について勧告を行うこととしております。  この規定趣旨としましては、大型の台風等の来襲が予想される場合は、あらかじめ必要な措置を講ずることが事故未然防止に特に有効であることから、前広にその実施勧告することとしております。  一方、既に大型の台風接近し、危険が生じる、あるいは生ずるおそれがあるという海域においては、船舶事故発生の蓋然性が高まっているということから、必要な措置命令し、その確実な実施を図ることを可能としております。  今後、新たな制度の運用に当たりましては、法定協議会において事前に運用ルールを定め、十分な時間的余裕を持って勧告を発出することにより、まずは勧告によって実効性確保できるよう取り組んでまいります。
  124. 深澤陽一

    ○深澤委員 分かりました。それぞれの委員質疑でもありましたように、まず理解をいただく、そして協議会でも、協議会がしっかりと信頼されるものでなければいけないということですので、まず勧告、そして命令等々で適切な形になるように、是非ここら辺もしっかりと協議していただきたいと思います。  続きまして、今回の法改正による三大湾における避難勧告命令制度は、海事関係者の要望を踏まえて、これまでの行政指導を法制度化するものでありますが、どのような船舶勧告又は退去命令対象船舶になるのか、細かな部分まで理解をいただいていると思われます。  先ほど、立憲民主党城井委員の質問に対する赤羽大臣の御答弁では、理解を得られるよう努力しなければならない、また、リーフレットによって周知外国籍船には代理店等船舶関係者協力をいただいて周知を図るとおっしゃっておられました。  確認の意味で質問いたしますが、海上保安庁長官の判断で勧告又は命令を出した場合に対象船舶は全て間違いなく従うという根拠は、どのようなところから出てくるものなのでしょうか。特に、外国籍の船舶に対しては今回の法改正についてどのようなやり取りをし、理解を得たのでしょうか。御説明いただきたいと思います。
  125. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  湾外避難等させるよう勧告命令を出す制度創設するに当たりましては、交通政策審議会船舶交通安全部会におきまして、外国船舶を業務として取り扱う団体などの海事関係者を含む幅広い委員から御理解いただき、答申を取りまとめたところでございます。  また、東京湾伊勢湾及び大阪湾を含む瀬戸内海の各海域勧告の具体的な基準や運用につきましては、各海域における官民の海域関係者から構成される協議会においてあらかじめ定めておくことで、予見可能性を持って避難行動を取っていただけるということから、勧告実効性は非常に高くなるというふうに考えておりますし、命令には従っていただけるもの、このように理解をしております。
  126. 深澤陽一

    ○深澤委員 分かりました。時間的余裕も含めてしっかりと理解をいただきながら、これを運用していくということだと思います。  ちょっと関連するんですけれども、ちょっと細かい話なんですけれども、あくまで想定であります。  外国船舶に対して、十分理解されているという上で、例えば、海上保安庁長官から湾外退去命令が発令され、その後、大きく台風がそれた場合、昨年も実際に大型台風が関東に上陸するという予測がされていたんですけれども、進路を大きくそれて上陸しなかった事例がありましたが、そのような場合、避難勧告を伝えた代理店に外国船舶から賠償等の事態になるようなことはないという理解でよろしいでしょうか。御説明いただきたいと思います。
  127. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  湾外避難等勧告は、船舶運航事業者船舶代理店関係者、気象庁等関係地方行政機関などの官民の海事関係者から構成される協議会においてあらかじめ定めたルールにのっとり、台風の大きさや進路等の情報を基に、海上保安庁として必要性を判断し発令することとなります。  勧告の内容については、海上保安庁において、航行警報、海の安全情報及びAISメッセージ等を通じて幅広く周知するほか、船舶代理店協議会構成員からも周知されることとなります。  したがいまして、台風の進路予報が外れたことをもって船舶代理店が賠償請求を受けるということはないと考えております。
  128. 深澤陽一

    ○深澤委員 分かりました。様々なプレーヤーが協議会に入って、ルールにのっとって判断するということだと思います。そこは合意をいただいていると思います。  ただ、昨今は、先ほど来話がありましたけれども、温暖化の影響でかなり台風が大規模化する代わりに、進路が今までと違ってくるということも想定されます。十分な時間的余裕を持って判断するからこそ、そこがずれてくるという可能性もありますので、逆に、そういった場合には速やかに勧告解除等々も適切に行っていただけるようお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。  続きまして、避難勧告対象船舶についてお伺いします。  まずは、避難勧告の発令される状況として、風速四十メートル級の台風等接近とお伺いしております。私の認識ですと、風速十五メートルほどで荷役作業は中止されると記憶しておりますので、相当強い風の状況になるだろうと思いますが、その状況の中で、ある一定の大きさ以上の船が対象であるとお伺いしております。  先ほどの高橋委員への御答弁でも、風を受けやすいコンテナ船や自動車運搬船という船の種類が示されましたが、例えば、コンテナ船のような高さのある船と、そこまでの高さはない石油タンカーやLNG船、ばら積み船など、そういったものが大きさを基準として一律に、同じように対象となるという理解でよろしいでしょうか。
  129. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  湾外避難対象は、全ての船舶対象になるものではなく、大型船を主な対象とする予定であります。  具体的には、自動車運搬船やコンテナ船などの風の影響を強く受ける船舶を主な対象とし、かつ、外洋において悪天候でも安定して安全に運航できる性能を有する一定の大きさの船舶対象とする方向であります。船種ごとに、その特性も考慮して、船舶の長さを基準とした基本的な考え方を整理しております。したがいまして、タンカーですとか、その他の自動車運搬船、コンテナ船以外の大きな船につきましても、長さの基準をもって判断して整理してまいります。  これら勧告制度の基本的な運用方法につきましては、海事関係者や学識経験者の御意見も賜りながら検討を行ったところであり、海事関係者理解も十分に得られた内容になっているというふうに考えております。
  130. 深澤陽一

    ○深澤委員 分かりました。何を根拠に理解周知いただくのかなと思いましたら、長さということで、このことで理解をいただければというふうに思います。  続きまして、一個質問を飛ばさせていただきます。三大湾における安全確保は最も大切なことであるということは理解をしておりますが、一方で、海運の世界は非常に競争の厳しい世界であるとも認識をしております。そのため、今回のことが三大湾等への寄港に影響が出ないかどうかを心配しております。  そこで、今回の海上交通安全法案が海外と比較した場合どのような位置づけになっているのか、海外でも同じような法律があるのか、御説明いただきたいと思います。
  131. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  異常気象事故発生などの異常時に船舶を港湾の外に避難等させる制度につきましては、欧米等の主要国においては既に導入されているものと承知をしております。  湾外避難等勧告は、特に勢力が強い台風に限って行うことを予定しており、年に一、二回程度というふうに想定をしております。  さらに、気象や海象の変化によって船舶の運航計画を変更することは、そもそも運航計画を立てる際に内在する制約でありますことから、今回の避難勧告制度を導入することが直ちに競争力が弱まるといったことにつながるものではないと認識しております。  いずれにいたしましても、海上保安庁としましては、運航関係者等の皆様の御理解を得つつ、異常気象時における船舶交通の安全の確保を図ってまいります。
  132. 深澤陽一

    ○深澤委員 よく分かりました。ありがとうございます。  時間の関係で、一番最後に予定していた質問を先にさせていただきます。航路標識法の改正についてお伺いをさせていただきます。  今回の法改正により、航路標識協力団体制度を設け、灯台の工事、維持が適切にできる団体を指定することとなっております。恐らく今まで既にそのような活動や組織が全国で起こっており、より一層そういった活動を支援していく理解が深まったことが今回の法改正につながったものではないかと想像いたします。  であるならば、既に全国でそのような活動、団体を支援している地方自治体等の事例があるのではないかと思いますが、もしそのような事例があるのであれば、今回の法改正とともに広めていくとより効果が出ると思いますが、何かございましたら御披露いただきたいと思います。
  133. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  全国の灯台の中には、灯台を地域のシンボルや観光資源として考え、敷地の清掃、草刈り等の環境美化に取り組んでいただいたり、また、灯台に関する資料の収集、調査、保存、さらに、灯台を活用した地域イベントの開催といったボランティア活動に取り組んでいただいている民間団体が多数ございます。  航路標識協力団体制度は、こうした民間団体を法律上明確に位置づけることにより、その活動を活性化することを目的としております。  民間団体の活動と、その団体を支援している地方自治体の例といたしましては、愛知県美浜町に所在する野間埼灯台において活動を行っている美浜まちラボがございます。  美浜まちラボは、昨年、野間埼灯台百周年記念事業として、記念誌の発行、ウェブカメラ設置、駐車場整理などを行うために、市民の協力により寄附金を得るほか、美浜町から交付金を得ていると承知しております。  海上保安庁といたしましては、このような事例を航路標識協力団体に情報提供することにより、航路標識協力団体が安定的に活動できるよう支援をしてまいります。
  134. 深澤陽一

    ○深澤委員 ありがとうございました。  時間が来たので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  135. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、吉田宣弘君。
  136. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。  通告に従い、海上交通安全法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。  本法律案は、異常気象等に伴う船舶事故未然防止策充実強化のために、船舶湾外避難湾内錨泊制限等勧告命令制度創設、海上施設への船舶衝突防止のためのバーチャル航路標識の緊急表示制度創設が盛り込まれております。また、持続可能な航路標識の管理体制の充実強化のために、航路標識の復旧のための施行命令・原因者負担金制度創設、承認工事制度及び航路標識協力団体制度創設が盛り込まれております。  いずれも大切な内容を含む改正でありますので、国民の皆様の十分な御理解が得られるような質問の機会としてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  まず、本法案改正の背景でもあると思われますが、平成三十年の台風二十一号の影響を受けたタンカー関西国際空港連絡橋衝突して、関空へのアクセスが遮られ、人流、物流に悪影響が生じた事故は記憶に新しいところでございます。また、令和元年台風十五号では、横浜港南本牧はま道路に走錨船舶衝突する事故発生するなど、走錨事故が複数発生したとお聞きいたしました。  では、海上保安庁ではこれらの事故発生後にどのような対策を講じ実施してこられたのかについて、まず確認をさせていただきたいと思います。
  137. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  関西国際空港連絡橋への衝突事故を受け、海上保安庁では、荒天時の走錨等に起因する事故の再発防止に係る有識者検討会を設置し、翌令和元年以降の台風シーズンに向け、対策を検討いたしました。  有識者検討会における検討結果を踏まえ、関西国際空港を始めとした海上空港火力発電所など、全国臨海部に立地する施設周辺海域において、台風接近時等に船舶錨泊制限するほか、監視強化するなどの対策を講じたところであります。  しかしながら、令和元年に、台風十五号が東京湾接近した際に、走錨した船舶南本牧はま道路を始めとする海上施設や他の船舶衝突する事故が複数発生いたしましたことから、台風十九号の際には、東京湾の過密な錨泊状態を改善すべく、緊急的な対策として、行政指導により湾外避難等を推奨したところであります。  海上保安庁では、海事関係者からの御意見なども踏まえ、これらの措置実効性を高め、船舶交通の安全を確保するため、今般、法案を提出することとしたものであります。
  138. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 現行法の範疇でも国交省は全力を尽くしてこられたことがよく分かりますけれども、今御答弁があった取組について、本法案ではどのように取り込まれているかについても説明をお願いしたく存じます。
  139. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  若干繰り返しになりますが、海上保安庁では、台風接近時における船舶の走錨事故防止対策として、行政指導による湾外避難等の推奨、臨海部に立地する海上空港等施設周辺海域における船舶錨泊制限監視強化などの対策を講じてまいりました。  一方、行政指導による湾外避難の推奨につきましては、海事関係者からは、外国船舶がなかなか従わない、あるいは、荷主理解を得るには根拠として不十分との意見があったことから、今回の法改正により、船舶に対し湾外への避難等勧告し、さらには命令をかける制度創設し、湾外避難実効性確保することといたしております。  また、三大湾等における臨海部施設周辺海域については、今回の法改正により、錨泊船による混雑状況を踏まえつつ、船舶に走錨事故防止するために必要な情報を提供し、当該情報聴取義務を課すこととするほか、衝突防止等のための速やかな危険回避行動を勧告する制度創設することといたしております。
  140. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 大変に分かりやすい御説明をありがとうございます。  次に、本改正案では、異常気象時における船舶交通の危険を防止するための対策実施に関し必要な協議を行うため、海上保安庁長官等の行政機関と船舶運航関係者等の多様な関係者から成る協議会を創設するというふうにお聞きいたしました。船舶運航関係者協議会に参加させるということは、非常に私は評価すべきところだと思います。  では、この協議会では、異常気象等により船舶の正常な運航が阻害されることによる船舶衝突又は乗り揚げ等の船舶交通の危険を防止するための対策実施に関する協議を行うとお聞きしておりますが、具体的な協議事項は定められていないとお聞きしております。では、どのようなことについて協議するのかについて説明をお願いいたします。
  141. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  まず、協議会の構成員でございますが、海上保安庁のほか、気象庁などの関係省庁の地方出先機関、港湾管理者、船舶運航事業者、水先関係者、タグボート関係者船舶代理店関係者、海事関係団体をもって構成いたします。  協議会は、こうした官民の海域関係者と、具体的には、避難対象となる台風避難の時期や対象船舶船舶避難する際に必要となる水先人や曳船の利用、勧告発出時の連絡体制及び周知体制などについて、事前に調整を図る役割を担うことになります。
  142. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 ありがとうございます。  異常気象等に伴う船舶事故未然防止策充実強化については、今議論をさせていただいたほかに、海上施設への船舶衝突防止のためのバーチャル航路標識の緊急表示制度創設をされているということでございますけれども、時間の関係で質問は割愛させていただきますが、事故未然防止のために非常に有効であると私は思いますので、海上交通を行う船舶の実情に合わせて、適切な活用をお願いしたいと思います。  次に、本改正案では、海上保安庁の航路標識を損傷等させた原因者に対し、必要な工事の施行又は当該工事に要する費用の負担を義務づけることが規定されております。では、改正案の前の現行法では航路標識を損傷等させた原因者に対してどのように責任追及をしてきたのかについてお教えください。
  143. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  航路標識が損傷を受けた場合、船舶交通の安全を確保するために迅速に復旧する必要がありますが、現行の航路標識法には賠償等に関する特段の規定がございません。このため、民法第七百九条の不法行為等の規定に基づいて原因者に賠償を求めているところであります。  しかしながら、原因者が自身の非を認めなかったり、負担額に異議があるなどにより交渉が難航し、復旧に長時間を要するケースがあります。これまで事例はありませんが、最終的に民事裁判による解決を目指す場合には、更に長時間を要するということが見込まれます。  ここ最近の状況におきましては、原因者から復旧の確約を得るまで、平均約五か月、長いものでは一年以上の期間を要している状況にございます。  このため、原因者に対して工事の施行を命ずる規定や、復旧費用の負担を義務づける規定創設することといたしました。
  144. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 民法の一般原則、七百九条に基づいて民事的に原因者の責任を追及してきたということの御説明でございますが、民事手続を考えたときに、今おっしゃられたように、すごく時間もかかるし、責任追及の法的根拠としてはいささか実情に合っていないというか、そういうふうなことを私も感じます。  特に、解決まで五か月とか一年とかいう期間がかかるということは、その間、標識が壊れたままであったりとかいうことであろうかと思いますので、その間の安全に関しても問題状況が継続しているという意味からすれば、やはりこれは早く責任を果たさせていく必要があるんだろうと思います。  そこで、今の問題に関して改正法ではどのように対応していこうとされておられるのかについてお教えください。
  145. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えいたします。  現行制度には先ほどお答えいたしましたように課題がございましたが、今回の法改正により、原因者に対して工事の施行を命ずる規定や、強制徴収手続を含む費用の負担を義務づける規定を盛り込むことにより、負担の衡平性を確保するとともに、迅速かつ確実な航路標識の復旧を図ることとしております。  具体的には、航路標識の損傷事案発生した場合には、原因者に対し迅速な復旧を求め、必要な調整を図っていきますが、復旧の確約が得られない場合には、現在交渉開始から平均約五か月を要している手続について、交渉開始から一か月程度を目安に工事施行命令の発出又は原因者負担金制度のいずれかの適用を判断することを考えており、交渉に要する時間の大幅な短縮が見込まれます。
  146. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 ありがとうございます。  先ほど来、多くの委員の先生からも御質問がありますけれども、異常気象が近年常態化しております。連続して積乱雲を発生させる線状降水帯は、近年、全国各地で猛威を振るって甚大な被害を引き起こしています。また、本法案改正の背景となった台風も、私の感覚ですけれども、近年は発生頻度が下がっているような気はしますが、一度日本に近づけば経験したことがないような暴風で、甚大な被害を引き起こしているというのが近年の状況であろうと思います。  ですから、まず気象予測の精度を向上させることが極めて大切だと私は思っておりますけれども、一方で、高い精度の気象予測情報をIoTやAIなどのハイテク技術を駆使して現実の避難行動や対策に生かしていくことが私は極めて大切であろうというふうに存じます。  そこで、最後の質問になりますけれども、本法案の運用に当たっては、常に最新の技術を求めながら、船舶事故未然防止に万全を期していただきたく存じますが、大西副大臣からお受け止めをお聞きさせていただければと思います。
  147. 大西英男

    ○大西副大臣 ただいま委員指摘のとおり、近年、台風等の自然災害頻発化激甚化しており、陸上だけでなく、海上にも甚大な被害を及ぼすようになっております。  例えば、平成三十年九月にタンカー関西国際空港連絡橋衝突した事故や、令和元年九月に貨物船が横浜港の南本牧はま道路に衝突した事故により、経済に多大な影響が及びました。  このため、国土交通省におきましては、こうした事故等を決して起こさせないための対策を、総力戦で挑む防災・減災プロジェクトとして昨年九月に取りまとめ、省を挙げて各種施策を推進しているところです。  防災・減災対策には、委員指摘のように、精度の高い気象情報などが重要となります。  このため、まずは、線状降水帯の予測精度の向上に関して、令和二年度第三次補正予算により、海上保安庁の測量船四隻に気象観測機器を設置し、海上保安庁と気象庁の連携による洋上での水蒸気観測の強化を進めています。  さらに、今回の法改正では、勢力の強い台風の直撃が予想される際の海上交通の安全を確保するため、船舶事前に安全な海域避難させる制度創設することとしております。  加えて、新技術を活用して船舶の走錨の予兆を早い段階で検知するシステムを本年度中に海上保安庁現場に配備し、船舶への情報提供強化することとしております。  引き続き、最新の技術を活用しながら、国土交通省一丸となって、海上交通の安全の確保や防災・減災対策に万全を期してまいります。
  148. 吉田宣弘

    ○吉田(宣)委員 大西副大臣から本当に力強い御答弁をいただきました。感謝を申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。  ありがとうございました。
  149. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  150. あかま二郎

    ○あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま議題となっております内閣提出参議院送付海上交通安全法等の一部を改正する法律案について審査を進めます。  本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付海上交通安全法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  151. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  153. あかま二郎

    ○あかま委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時一分散会