○山尾志桜里君 国民
民主党・
無所属クラブの山尾志桜里です。
会派を代表して、
日英EPAについて
質問します。(
拍手)
農業
分野については野上農水
大臣に、そのほかについては
茂木外務大臣に伺います。五分という持ち時間を守れるように早口で失礼いたします。
冒頭、
バイデン氏を次の
大統領に迎えることとなったアメリカとの
関係について一点伺います。
先ほども茂木
大臣は、
日米同盟を更に
強化すると発言されておられました。確かに、
日米同盟の
強化は極めて重要です。しかし、それは、
日本と
米国の対等性の
強化、ひいては
日本という国家の自律の
強化につながるべきだと
考えます。安倍政権は、集団的自衛権の一部容認というカードを切ったにもかかわらず、日米地位
協定の改定へとそれをつなげることができませんでした。この路線を継承した場合、
日米同盟の
強化が、むしろ
日本と
米国の主従
関係の
強化、固定化につながってしまうことを危惧します。
菅政権は、日米
関係に関しても安倍政権の路線を継承するのでしょうか。また、新政権では、日米の対等性の
強化、そして、
日本という国家の自律の
強化に向けて日米
関係をどうかじ取りしていくのか、お答えください。
日英関係は、普遍的な
価値観を共通にしているだけではなく、島国という地政学上の共通項、そして、皇室、王室の存在と議院内閣制により権力の安定、均衡を保つという統治機構上の類似性を持つ、極めて重要な二国間
関係です。国際的な課題に対して共通の
価値観や類似の手法を持って取り組みやすい
関係と言うことができるでしょう。
今回の
EPA交渉は、
EU離脱という
英国側の事情が契機となったこともあって、基本的に、
内容において
日本の国益にかなうものだと
考えます。また、
英国にとっても、
EU離脱後初めて主要国と本格的な
貿易協定を
締結できたというメリットがありました。それぞれの優先事項を基本的に満たすことができ、
日英関係の健全な
強化へとつながったことは評価したいと思います。
その上で、個別の三項目について
質問します。
一つ目。
デジタル分野については、外国企業に対して、自国へのサーバー設置を要求したり、暗号
情報や
アルゴリズムの開示を要求することが
禁止されました。
この重要な
ルールを定めるに当たって、現実に外国企業に対してこうした要求をする国家や事例を把握しているのか、把握しているならどんな事例があったのか、お聞かせください。
その上で、今回盛り込まれたハイレベルのデジタル原則は、
中国もメンバーである
RCEPにも盛り込まれる予定なのか、
日本としてそれに向けていかなる
交渉努力をしているのかについてもお答えください。
デジタルの
世界でも国家権威主義的な動きが見られる中、個人の
人権を土台にした人間中心のデジタル原則を国際基準として設定していくことは極めて重要と
考えます。
次に、ジェンダーです。
この
協定には、日・
EU・
EPAにはなかった、
貿易及び
女性の
経済的エンパワーメントという新たな章が入りましたが、実効性の
観点から二つ。
一つは、一条二項です。
国際貿易において存在し得る
女性に対する制度的な障害とありますが、これは一体何を想定しているのでしょうか。その具体例と解決策を伺います。
二つ目、三条です。三条には、作業部会は
女性の包括的な
参加を得て行われるとありますが、数値を具体化するべきです。どの作業部会において何%を
女性にする予定なのか、お聞かせください。
さらに、農業
分野について。古くはチャーチルも
関心を持っていたと言われる、いわゆる培養肉について伺います。
細胞農業技術によって家畜の細胞を培養して肉をつくり出すというもので、各国が技術開発を進め始めています。既存の畜産との
連携や共存のあり方に目配りしつつ、潜在的な成長
分野として
日本も検討を進めていくことが
考えられますが、今回の
協定ではこの培養肉についてどのような
議論があり、どんな扱いとなっているのでしょうか。野上農水
大臣に伺います。
最後に、
日英パートナーシップの拡大の
観点から、いわゆるマグニツキー法について伺いたいと思います。
日本が主導した自由で開かれた
インド太平洋の
実現という
考え方が、
イギリスを含む欧州にまで広がりつつあることは評価すべきことだと思います。しかし、これまでの
連携は、主に安全保障や
経済の側面に置かれており、
インド太平洋地域における
人権の
保護や
民主主義の
促進など、
価値観外交の側面が不十分ではないでしょうか。
例えば、香港における国家安全法施行、同法による一般市民の相次ぐ拘束、そして、きのうから
報道されていますが、
中国全人代から権限を与えられた香港
政府による民主派議員四名の資格剥奪。こうした香港での普遍的価値への攻撃を黙認すれば、
世界における価値の基準が変わってしまいます。一連の動きに強く抗議するとともに、新たな
人権制裁法、マグニツキー法の制定を提案します。
現在、
国際社会では、深刻な
人権侵害にはビザ規制や資産凍結といった制裁を発動するマグニツキー法の制定が拡大しています。
イギリス、アメリカ、カナダでは制定済み、オーストラリア、スイスでは検討が進み、
EUでは成立まで秒読み段階です。しかし、
日本には
人権侵害を理由に制裁を行う仕組みがありません。
イギリスを含め、
人権国家の標準装備となりつつあるマグニツキー法を
日本でも制定すべきと
考えますが、いかがでしょうか。実力あるアジア
人権国家の
日本の
外務大臣として、前向きな答弁を期待して、
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣茂木敏充君
登壇〕