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2020-02-05 第201回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和二年二月五日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         鶴保 庸介君     理 事         小野田紀美君     理 事         柘植 芳文君     理 事         二之湯 智君     理 事         小林 正夫君     理 事         新妻 秀規君     理 事         柳ヶ瀬裕文君     理 事         伊藤  岳君                 朝日健太郎君                 猪口 邦子君                 滝波 宏文君                 中西 健治君                 中西  哲君                 中西 祐介君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 石川 大我君                 小沼  巧君                 木戸口英司君                 田島麻衣子君                 浜口  誠君                 牧山ひろえ君                 秋野 公造君                 塩田 博昭君                 伊波 洋一君     ─────────────    委員異動  一月二十九日     辞任         補欠選任      滝波 宏文君     河井あんり君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         鶴保 庸介君     理 事                 小野田紀美君                 柘植 芳文君                 二之湯 智君                 小林 正夫君                 新妻 秀規君                 柳ヶ瀬裕文君                 伊藤  岳君     委 員                 朝日健太郎君                 猪口 邦子君                 河井あんり君                 中西 健治君                 中西  哲君                 中西 祐介君                 松川 るい君                 吉川ゆうみ君                 石川 大我君                 小沼  巧君                 木戸口英司君                 田島麻衣子君                 浜口  誠君                 牧山ひろえ君                 秋野 公造君                 塩田 博昭君                 伊波 洋一君    事務局側        第一特別調査室        長        清野 和彦君    政府参考人        内閣総合海洋        政策推進事務局        長        平垣内久隆君        外務省大臣官房        参事官      山中  修君        文部科学省大臣        官房審議官    岡村 直子君        水産庁次長    保科 正樹君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       松山 泰浩君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        南   亮君        国土交通省大臣        官房技術審議官  宮武 宜史君        国土交通省総合        政策局次長    石井 昌平君        環境省水・大気        環境局長     小野  洋君        防衛省防衛政策        局次長      鈴木 秀雄君    参考人        東海大学静岡キ        ャンパス長(学        長補佐)・海洋        学部教授     山田 吉彦君        東京大学名誉教        授        奥脇 直也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際経済外交に関する調査  (「海を通じて世界とともに生きる日本」のう  ち、我が国海洋政策について)     ─────────────
  2. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ただいまから国際経済外交に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月二十九日、滝波宏文君が委員を辞任され、その補欠として河井あんり君が選任されました。     ─────────────
  3. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際経済外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際経済外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては、これを会長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 国際経済外交に関する調査を議題といたします。  本日は、まず、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「我が国海洋政策」について政府から説明を聴取した後、質疑を行います。  議事の進め方でございますが、内閣府から十分程度説明を聴取した後、一時間程度質疑を行いたいと存じます。  なお、御発言着席のままで結構でございます。  それでは、内閣府から説明を聴取いたします。内閣総合海洋政策推進事務局長平垣内久隆君。
  9. 平垣内久隆

    政府参考人平垣内久隆君) 内閣府の総合海洋政策推進事務局の平垣内でございます。よろしくお願いいたします。  座って説明させていただきます。  まず、お手元の資料に基づきまして内閣府の方から御説明させていただきます。多分野にわたるため概略的な御説明ですが、どうぞよろしくお願いいたします。  資料一ページを御覧ください。  我が国は、四方を海に囲まれ、世界有数の広大な管轄区域を有しており、領海、排他的経済水域面積世界第六位とされております。資料右側中段ですが、海外領土を含まない場合では圏外だったフランスは、海外領土を含む場合は世界第二位となります。国際連携の観点からは重要な視点でございます。また、海に囲まれている海洋国家ですので、貿易は重量ベースでほぼ海上輸送が担っており、水産業生産量ベース世界第八位となっております。  資料二ページを御覧ください。  我が国海洋政策制度的枠組みといたしましては、平成十九年に海洋基本法先生方の御尽力によりまして議員立法で成立しております。  資料三ページを御覧ください。  海洋基本法におきましては、海洋基本計画はおおむね五年ごとに改定することとされており、現在、第三期目の海洋基本計画平成三十年五月に閣議決定されております。  この計画では、資料右上にございますが、「新たな海洋立国への挑戦」と銘打っておりまして、五つのキャッチフレーズを掲げております。  一つ目の「開かれ安定した海洋へ。守り抜く国と国民」は、海洋安全保障に関する施策海洋安全保障に資する側面を有する施策を併せまして、総合的な海洋安全保障として、海洋状況把握体制の確立など、政府一体となって取組推進していくということとしております。  二つ目でございますが、「海を活かし、国を富ませる。豊かな海を子孫に引き継ぐ」として、海洋の持続可能な開発利用を進め、海洋に関わる多様な産業について振興、創出を図る、また、海洋環境保全について、世界をリードしつつ、美しく豊かな海を継承していくこととしております。  三つ目でございます。「未知なる海に挑む。技術を高め、海を把握する」として、海洋未知なる領域研究等による知的資産の創造や科学技術力向上のための取組強化し、イノベーション創出に資する研究開発を進め、海洋科学分野世界を主導し、世界に貢献することを目指すこととしております。  四つ目の「先んじて、平和につなぐ。海の世界のものさしを作る」でございますが、新たな枠組みルール等の形成に際して、海における法の支配科学的知見に基づく政策実施国際社会の普遍的な基準として浸透させるべく活動することとしております。  五つ目の「海を身近に。海を支える人を育てる」として、海洋立国を支える多様な人材育成及び確保に取り組むとともに、国民海洋についての理解増進を深めることとしております。  このような海洋政策方向性を踏まえ、基本的な方針として六つの柱を掲げております。  資料四ページを御覧ください。  まず、①海洋産業利用促進についてでございます。  メタンハイドレート海底熱水鉱床レアアース泥等我が国周辺海域には様々なエネルギー資源が存在しており、資源小国と言われる我が国にとって貴重な資源です。将来的には、民間企業が参入する商業化の実現を目指し、必要な基盤整備を着実に推進していくこととしております。  また、洋上風力発電推進するために、先生方のお力をもちまして、一昨年十一月には一般海域における利用ルール等を定めた法律が成立し、昨年末には促進区域第一号として長崎県五島沖が指定されております。  我が国海洋産業国際競争力強化策としては、船舶の開発、建造から運航に至る全てのフェーズに情報技術を取り入れることで、造船、海運の国際競争力向上を図る取組や、自動運航船実用化に向けた環境整備、さらには、我が国海事産業が中長期的に市場拡大の見込まれる海洋開発市場へ進出することを目指す取組がなされ、海事生産革命を進めております。  続きまして、②の海洋環境維持保全についてでございます。  持続可能な開発目標、SDGsの中でも、目標の十四では、海洋海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用するとされております。また、生物多様性条約締約国会議愛知目標などの国際的な枠組みの下で、生物多様性保全及び持続可能な利用に向けた取組実施していくこととしております。  例えば海洋保護区につきましては、昨年の自然環境保全法の改正により沖合海底自然環境保全地域制度が創設され、本年四月の施行に向けて準備が進められております。  また、海洋プラスチックごみにつきましては、国際的に関心も高まる中、海洋生分解性プラスチックなどの代替素材イノベーションや、リサイクルの強化を通じた資源循環産業育成海岸漂着物への対応、昨年のG20大阪サミットの成果である国際共同枠組みの具体的な取組等政府全体で取り組んでおります。  続いて、③科学的知見の充実についてでございます。  長期的視野に立って継続的に海洋科学技術に関する研究開発推進等強化していくとともに、海洋調査観測等維持強化を図ることとしております。  右下の写真でございますけれども、昨年、海底探査技術国際競技大会、シェル・オーシャン・ディスカバリー・エックスプライズで、日本財団国際人材育成事業の卒業生を中心とした国際連携チームと、国立研究開発法人海洋研究開発機構、JAMSTECや九州工業大学等国内産学官若手研究者技術者中心としたオールジャパンチームが見事に優勝、準優勝しております。防災、海上交通安全、環境保全資源開発等、各分野で重要である海底地形の解明に向け、今後大きく貢献していくものと期待しております。  資料五ページを御覧ください。  続いて、④北極政策推進についてでございます。  我が国では、長年にわたり、北極環境変化について観測研究開発を継続しており、国際的な科学技術協力にも貢献してまいりました。北極政策は、研究開発国際協力、持続的な利用を三本柱として推進しております。  我が国の強みである研究開発に関しては、北極域研究推進プロジェクトなどによる国際的な北極域観測計画への参画などの取組推進することとしております。昨年には、ノルウェー・ニーオルスン基地に新たな観測施設が開所しております。また、今年の秋には、北極科学大臣会合日本で開催することとしております。  続いて、⑤国際連携国際協力についてでございます。  国連海洋法条約中心とした国際ルールを適切に実施するため、国際連合等における海洋に関する議論に積極的に対応するとともに、国際海事機関等における海洋に関する国際ルール策定や、国際連携国際協力に主体的に参加しております。  法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序維持強化するための連携協力を、シーレーン沿岸国を始めとする各国とともに進めていくこととしております。また、地域地球規模海洋問題の解決のため、ユネスコ政府間海洋委員会を始めとする各国政府科学者産業界市民団体等協力の下、二〇二一年から始まる国連持続可能な開発のための科学の十年の実行計画策定実施に関与するなど、様々な分野において関係国連携し、国際協力体制強化していくこととしております。  最後に、⑥海洋人材育成国民理解増進についてでございます。  海洋立国を実現すべく、専門人材育成確保に努めております。さらに、海の日等機会を通じて、産学官との連携協力の下、多様な取組実施していくこととしております。例えば、海洋プラスチックごみ対策として、個人、企業団体、行政などのあらゆる主体がそれぞれの立場でできる取組を行うプラスチックスマートキャンペーンなども実施しております。  以上、駆け足でございますが、我が国海洋政策について全般的に御説明させていただきました。  どうもありがとうございました。
  10. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようにお願いをいたします。  なお、できるだけ多くの委員発言機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いをいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。  まず、小野田紀美君。
  11. 小野田紀美

    小野田紀美君 ありがとうございます。  先ほど来御説明いただきましたように、我が国海洋をめぐる状況、今日の一ページの資料にもあるんですけれども、我が国海洋国家として資源を大変たくさん持っている、これをどう生かしていくのかというのがこれからの日本の国力にも関係あるというふうに思うんですけれども、その中でやはりどうしても忘れられないのが、昨年、また我が国EEZ大和堆で北朝鮮違法操業をしていて、転覆をして六十人が海に投げ出された、それを救助してそのまま北朝鮮の船に乗せて帰らせてあげたというところでございます。もうあれから大分時間はたちましたけれども、やはりまだ腑に落ちていないという声はまだ耳に届きます。  現地で漁をされていらっしゃる方々にとって、それは本当に生活なりわいですので、安全が確保されないとか、自分たちが捕れるべき資源を捕っていかれてしまうということがすごく本当に危機的状況なんですけれども、じゃ、ほかの国はどうしているかというと、ロシアの方にぺぺぺぺと排他的経済水域に入ってきたら撃たれますので、じゃ、やっぱり安全な方にということで日本に余計来てしまう。  こういう状況を国としてこれからどういうふうに、より体制強化であるとか、方針を定めて改めて決意をされるのかというところをいま一度お聞かせください。
  12. 保科正樹

    政府参考人保科正樹君) 昨年の、北朝鮮漁船水産庁取締り船が衝突する事案ございました。この事案では、人命救助を最優先して、取締り船側から救命艇や救命胴衣の投下をして人命救助に当たって全員を救助したというものでありますけれども、この事案においては、その沈没した漁船違法操業は確認されていないということから、強制力の行使を行わずに、我が国EEZ外に退去させたというところです。  御指摘のとおり、大和周辺我が国水域に入ってくる漁船というのが多数ございます。日本漁船操業する海域がきちんと確保されて安全な操業ができるように、漁期の前からその水域に船を派遣水産庁取締り船、それから海上保安庁巡視船、それぞれで連携して派遣をして、日本漁業漁期が始まる前から警戒をしていくという取組を去年から実施してきておりますけれども、今年、もう漁業者皆さんから大変強い要望を受けておりますので、これを更に、どのようなやり方をすればより効率的に効果が上がるようになるのか、海上保安庁とも十分連携しながら対応していきたいというふうに思っています。
  13. 小野田紀美

    小野田紀美君 国交省さんと連携をしっかり取っていただいて、今回は違法操業をしていなかったからという、見受けられなかったからというのはもう何遍もそのときに聞いたんですけれども、常日頃やっぱり来ているということは、やりに来ていて、地元の皆さんの目の前で堂々と捕ったイカを干したり、本当に日本の漁民の方々の心を逆なでする行為をし続けられているというところがどうしても、みんなとしてはやっぱり心の中にすとんと落ちないものがあると思うんです。  私、以前、東京都の地方議会議員をしていたときにちょうど、小笠原諸島にサンゴ中国漁船が大量に来て捕っていく、みんなの目の前で見るも無残にサンゴが捕られていっても指をくわえて見ていることしかできないのかという怒りはたくさん受けましたし、あのときから時間はたてども、なかなかこの日本漁業なりわいとする方々生活、守れないと。それが、漁業だけの面でなくて、いつ上陸してくるかも分からないという不安のまま私たちは暮らしているんだというような御意見も入っておりましたので、これからも予算をしっかりそこにも付けて、人手も足りない中、大変だと思うんですけれども、皆さんの暮らしのなりわいを守ることを第一に、しっかりと毅然とした対応を取っていただきたいと思います。よろしくお願いします。  そして、もう一点、最後に、今日いただいた資料の四ページ、海洋産業利用促進についてなんですけれども、メタンハイドレートについて、これ、今まではなかなか地中深くてコスパが悪いというか、取ったってなかなかいいふうに利用ができないよと言われていたのが、表層型メタンハイドレートというものが、検査というか、調査の結果利用できそうだと、これならいけそうだという話が出てくるというふうに聞いているんですけれども、なかなかこれが、何というんでしょう、取りにくいところのメタンハイドレート調査をして、やっぱり無理だよねというようなふうに、何というんでしょう、もうちょっと本当に活用できるところを集中的に調査して、どれだけ活用に持っていけるかというところを調べることに集中してほしいという御意見もあるんですけれども、このメタンハイドレートについての今の現状と今後の見通し、あれば教えてください。
  14. 南亮

    政府参考人南亮君) お答え申し上げます。  メタンハイドレートですが、今、エネルギー基本計画で掲げました、二〇二三年度から二〇二七年度の間に、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して技術開発を行う、こういった目標ございまして、今先生指摘のありました表層型、それから以前からやっております砂層型、これ双方、技術開発推進しているところであります。  今先生から御指摘のありました表層型というのは、日本海側に主に賦存しているものでありまして、この五、六年、しっかりやり始めたものであります。  今どういったことになっているかといいますと、今、六通りの方法で、実際に砂層型の、比較的浅いところにあるメタンハイドレートをどうやれば回収できるかというのをやっておりまして、今回、来年度からまたそれを一歩進めて、本当の技術開発の段階に移行していこうということでやっておりまして、なかなか、実際にこのメタンハイドレートを見ますと、かなり浅いところにあるのは事実なんですが、砂に混じったような形でありますので、普通のガスですと、一つ生産坑を掘るとかなり広いところからガスが集まってくるのでコストが安くなるんですが、ちょっとこの表層型のメタンハイドレートの場合は、今までのガス開発技術がそのまま使えるというものではございませんので、これ、今、日本造船会社エネルギー会社と一緒に研究開発やっておりまして、ここをしっかりやっていきたいというふうに思っております。  いずれにしろ、メタンハイドレート国産エネルギーとして大事だと思っておりますので、しっかりやっていきたいと思います。  ありがとうございます。
  15. 小野田紀美

    小野田紀美君 資源に乏しい我が国のまた新しい希望になると思いますので、引き続きサポートをお願いします。また、これに関しても、海洋資源を他国が勝手に開発しようとしたり狙ったりしているので、そこも毅然とした対応をよろしくお願いします。  以上です。
  16. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 続きまして、牧山ひろえ君。
  17. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 立憲・国民.新緑風会・社民の牧山ひろえです。  今期国際経済外交調査会調査のテーマは、「海を通じて世界とともに生きる日本」とされております。日本は、国土が狭い上に食料自給率も低く、資源大国とは言えない国だと思うんですね。ですので、日本国民の幸せを確保しようとする場合、我が国は外とつながる中で発展可能性を模索していかなければいけないという宿命にあると思うんです。外とのつながりを確保するという意味では、四方を海に囲まれている日本の特性をいかに生かせるかということが極めて重要となってくると思うんですね。  日本は、国土面積では世界で六十一位とありながらも、領域排他的経済水域面積世界で第六位というふうになっており、この点は日本の大いなるポテンシャルと言っていいと思うんですけれども、また、海は通路でもあり、この点も世界にアクセスする上でのストロングポイントとなると思うんですね。  このように、海、海洋をいかに活用することができるか、これが今後の日本の運命を決める、そういったふうに言っても過言ではないと思うんですけれども、ですが、海は発展可能性に満ちたフロンティアというプラス側面ばかりではなくて、災害や環境汚染などのリスクやデメリットも伴うものであり、また、安全保障上の脅威の侵入口ともなると思うんですね。  いかにこれらのマイナスを縮小し、縮減して逆にプラスを伸ばしていく、こういった視点に立つときに、海洋政策の質、それから実行の規模が極めて重要となってくると思うんですね。そのような趣旨で、平成十九年四月二十二日に成立した海洋基本法に基づいて海洋政策の新しい制度的枠組みの構築を行ってきている経緯だと私は理解しております。  問題は、海洋基本法に基づく具体的な政策が果たして適切なものなのか、それから、期待されている効果を上げているのかどうかということだと思うんですが、海洋基本法の成立以来、大体五年間を期間とする海洋基本計画を作って取組推進してきたと思うんですが、この海洋基本計画は現在二期を終わって三期目に入っておりますが、より高い政策効果を上げるためにPDCAサイクルをしっかりと回していくことがやはり重要だと思うんですが、第一期と第二期について、最も施策が前進したと政府が自己評価される分野はどのようなことだったのか、それから、逆に、課題と認識されながらも最も成果が不十分だと認識されている分野、これはどんなことだったのか、それから、積み残されていると認識されている課題についてはなぜ取組が効果を上げなかったのか、これを含めて御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  18. 平垣内久隆

    政府参考人平垣内久隆君) 御質問ありがとうございます。  まず、先生指摘のPDCAサイクルにつきまして、これは非常に重要と考えておりまして、先生指摘のとおり、おおむね五年ごとに海洋基本計画を定めておるわけでございまして、それを着実に実行していくためにはそういうサイクルを回していくということが肝要かと思っております。  その中で、まず制度的な枠組みとして、今、参与会という枠組みを持っておりまして、これは、十名の総理任命の学者の先生るいは経済界の先生、いろんなバックグラウンドの先生いらっしゃいますけれども、この十名の先生方に参与になっていただいておりまして、この海洋政策の進捗状況について、PDCAサイクルを回すべく御議論していただいているということでございます。  更に申し上げれば、これ五年というスパンでいろんな、先生御案内のとおり、海の政策というのはいろんな省にまたがるので、海洋基本計画はそう毎年直すわけにはいかないので、五年に一回しか直さないということでございますけれども、その中で、確かにいろんな世の中の動きが速い部分もありますので、海洋基本計画を直すまではいかないが追加的にいろいろ深めていく議論は必要ということで、そういうPDCAサイクルではなくて、新たな議論も含めてそういう参与の先生に議論していただいておるところでございまして、例えば、昨年の五月にその参与の先生方から総理に提言がなされておりまして、今一番重要なことということで、海洋状況把握でありますとか、海洋プラスチックごみの話でありますとか、北極政策についてもっとしっかり進めるべくという内容の御提言もいただいたりしておるわけでございます。  あと、先生指摘の一期、二期、三期と、こういう流れの中で一体どういうものが進んでいて、どういうものが遅れているのかと、こういうことでございます。  まず、進んでいるかどうかということはなかなか我が方で評価しにくいところもあるんでございますけれども、いろんな御議論をして、先ほどの参与の先生方といろいろ御議論していただきますと、まず第一に、この海洋基本法ができて、いろんな各省が同じ方向を向いて、まず総合的にやろうというマインドセットができたというのは一つの成果ではないかということでございます。  ただ、それをもう少し具体的に申し上げますと、例えば昨年の春に海しるという、海洋の情報をいろいろ、各政府機関が各々の行政目的に応じていろんな情報を持っておるんでございますけれども、それを、みんなばらばらに持っていたのを、一つのプラットフォームをつくりまして、そこに全部集約するといったようなことをやっておるというのが一つの事例でございます。  ただ一方で、先ほど来いろいろ、特に我が国をめぐる安全保障状況が非常に悪くなっておる、先ほどの大和堆の問題等々ございます。その中で、先ほどの水産庁さんとあるい海上保安庁さんとの連携みたいなもの、もちろん、先ほど言いましたように、総合的な観点でやっているものの、具体的な部分の連携で、全て、じゃ、一〇〇%うまくいっているかというと、そこはまだ抜けているということで、引き続き総合的に連携していくことに関しては、それぞれの事象ごとにいろいろ反省点を、PDCAサイクルと申しますか、それを回しながら連携を深めていくと。マインドセットはそういうふうに方向を向いておりますけれども、個々の事象に応じて更にそれを深めていくということで見直していくということが肝要というふうに認識しております。
  19. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 きちんと期限を定めた目標を進めていかれることを期待したいと思います。  今期海洋基本計画の中の重点項目であります海洋産業利用促進海洋利用促進として海上輸送拠点の整備、すなわち国際コンテナ・バルク戦略港湾政策推進、これが挙げられております。  選択と集中、そして国家の積極的な参画による国際戦略港湾政策推進は以前より私も強く主張してきたところなんですが、かなり前になりますけれども、第百八十三回国会の参議院予算委員会におきまして私はこう発言しました。「是非こういった日本の港湾のランキングを上げていただきたいんですが、総理はこの港湾のランキング、何位に上げたいとお考えでしょうか。」という質問をしたことあるんですが、私のこの問いに対しまして安倍総理はこのように答弁なさいました。「もちろん、目指すからには一位を目指したいと、」。この発言以来、政府は港湾政策により力を入れていただくようになったという経緯がございます。  その当時、世界の港湾別コンテナ取扱個数で東京港は二十九位だったんですけれども、その後のランキングの取扱いの推移と今後の港湾振興策の御方針を是非お示しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げたいと思います。国際コンテナ戦略港湾政策についてお答え申し上げたいと思います。  例えばということでございますが、昨年四月の阪神港におきます国際基幹航路に接続する内航フィーダー航路の運航便数は、平成二十六年同月比で四割増加しております。また、神戸港におきます平成三十年のコンテナ取扱個数も、阪神・淡路大震災以降で過去最高の約二百九十四万TEUと記録しているところでございます。また、横浜港におきましては、昨年五月に欧州航路の寄港が再開するなど具体的な成果が現れているところでございます。  他方、平成三十年のコンテナ貨物取扱個数では、釜山港が二千百六十六万TEUであるのに対し、京浜港では八百二十九万TEU、阪神港では五百三十六万TEUとなるなど、港湾間の激しい国際競争の中で、我が国への国際基幹航路の運航便数の維持又は増加という目標の達成に向けて、これまでの取組のみでは必ずしも十分ではないと認識しているところでございます。  国際基幹航路の運航便数の維持又は増加を図るために、船社、船会社によります寄港地の選択の要件である貨物量、コスト、利便性の三点について船会社にとっての魅力を高めるとともに、船会社、荷主の我が国港湾の利用を積極的に働きかけることが必要でございます。  このため、国土交通省といたしましては、国内集貨にとどまらず、アジア広域からの集貨に取り組むとともに、横浜港で整備中の水深十八メーターの大水深のコンテナターミナル、MC4の来年度供用、それから入出港コスト等の低減、これまでの実証実験を行ってきた新・港湾情報システムなどの横展開を含め、高い生産性を有するAIターミナルの実現などによる利便性向上などに関し、スピード感を持って強力に推進してまいります。  このような取組を総合的に行うことによりまして、日本の港湾、総理から一番を目指したいという、そういった思いにかなうよう、私ども国土交通省としてもしっかり取り組みたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  21. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 総理がお約束してくださったとおり、一位になれるように是非お願いしたいと思います。  終わります。
  22. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 引き続きまして、新妻秀規君。
  23. 新妻秀規

    新妻秀規君 御説明ありがとうございました。  平垣内さんの説明資料の四ページ目の③の科学的知見の充実について伺いたいと思います。  この③のところの上の方の絵のSIPの第二期の革新的深海資源調査技術、この研究に携わっていらっしゃる事業者の方と懇談をする機会がありまして、その事業者の方からは、こうした海洋資源探査、非常に重要な事業を進めるに当たっては、やはり長期的な視点にのっとって研究開発を進めるべきであると。しかし、実際、事業者としては、設備投資をするに当たっては、やはりこの予算がいつ打切りになるか分からないという、そういう不安と闘いながら研究を続けている、こういう窮状が示されたところであります。  また、海洋研究開発になりますと、やはり今、多方面にわたっておりまして、国の研究機関だけでも、JAMSTECもそうで、JOGMECもありますし、いろんな機関にわたるというのがあると。やはり長期的な視野に立った研究を各機関が連携をして進めていく必要があると強く思います。  こうした取組を是非とも推進をしていただきたいと思うんですけれども、政府としての見解をお願いをいたします。
  24. 平垣内久隆

    政府参考人平垣内久隆君) どうもありがとうございます。  御指摘のとおり、先ほども説明のときに長期的視野に立ってということで御説明させていただいたんですけれども、このSIPにつきましても、実は今もう二期目に入っておりまして、もう第一期につきましては既にそれが終わっておりまして、既に民間企業にその成果をハンドオーバーしたと、こんな状況でございます。それで、二期についても鋭意今進めているという状況でございまして、今回、実は補正予算の方にも、二十億強だったと記憶しておりますけれども、のせさせていただき、入れさせていただきまして、進めておるというところでございます。  その中で、先ほど御指摘の各機関連携ということでございますけど、それも先ほど実は説明のところであえてこの写真の御説明をさせていただきましたけれども、チーム・クロシオというのは、先ほどの御指摘のJAMSTECを中心とした産学官連携してこの成果を上げているということでございますので、是非こういった枠組みなんかも活用いたしまして、先ほどのSIP予算をうまく活用して、日本がこの技術分野世界をリードしていけるようにしていくという試みをやっていきたいというふうに思っております。  先ほど、実はもう一つのこの写真の説明日本財団取組の御説明をしたんですけれども、一つだけ御紹介させていただきますと、これ、先ほどのチーム・クロシオの方はオールジャパン、産官学でやったという連携なんですけれども、日本財団のはもう一つ世界に広げてやったということで、日本だけじゃなくてオール世界でやった。ただ、その研修プログラムの中心には日本がいて、かつ日本の出身者もその中には入っているということで、この二つの試みは、今後、我が国海洋資源技術を磨いていくためのアプローチとしては非常に参考になるのではないかと思い、御紹介した次第でございます。
  25. 新妻秀規

    新妻秀規君 今おっしゃったような長期的、また横串のそうした取組は是非とも推進をしていただきたいと思います。  この同じ四ページの①の水産資源の適切な管理についてお伺いをしようと思います。  サンマとか回遊魚の乱獲という課題がありまして、また、地球温暖化の影響なのか、海流の変化もあって、なかなか、かつて捕れたはずのお魚が捕れないとか、あと、いそ焼け、こうした被害がいろんなところで私も声をいただいているところであります。  国際的な枠組みの中でのこうした漁業資源、水産資源の管理、水産外交、また、こうした環境の変化に対応した取組を是非とも推進していただきたいと思うんですけれども、政府取組についてお示しください。
  26. 保科正樹

    政府参考人保科正樹君) 水産資源の管理についてです。温暖化の面、それから国際的な面、いろいろあるんですけれども、ちょっと整理をしながら御説明させていただきます。  まず、水産政策の、日本漁業の更なる成長産業化に向けて、今、水産政策の改革と言っておりますけれども、水産資源の管理と漁業の成長化を両立させていこうと、それで漁業所得の向上漁業就労構造のバランスのいい発展をさせていこうという、そういう取組をしています。  その基本となるのは、やはり資源があって、それを安定的に捕っていけるというのが一番基本になりますので、ここは、資源の管理のやり方を今までよりもより安定的にできるように改めていく。資源の評価の仕方も改め、海の中に残していって安定的に捕っていくために必要な資源量というのもちゃんと、これまでなかった目標として定めながら、それを維持して、長い目で見てきちんと安定的に捕っていけるような管理をしていこうというふうにまず水産政策の基本的なところを改めて、それを基にして、捕れた魚を売り先、海外に売っていこうとか、あるいは様々な関連産業発展につなげていこうという、そういう基本的な思想でまず資源管理を改めていこうというふうに今しているところです。  そういうベースがあって、その周辺に、今お話のあったような海洋の環境の様子が、大分海洋の様子が変わってきていて、これまでいたところに魚がいないとか、あるいはこれまでいた魚が減ってしまっているというのがあります。  今お話にありましたように、例えばサンマが今減っています。外国の漁船を含めて、捕る量が増えているということもあるんですけれども、科学的に科学者に検討していただいた結論としては、やはり資源自体が、様々な環境の影響で子供ができにくくなっている、要は次の世代ができにくくなっているというのが基本的にあって、それの影響で日本の近くに例えば泳いでくる魚が来なくなっているとか、あるい海洋の潮の流れの変化で日本の近くに寄らなくなっているとかというのもあります。  放流したサケがなかなか戻ってこなくなっているというのもやはり環境というのが基本にあるし、スルメイカも今捕れなくなっていますけれども、これもやはり、外国の漁船が捕るようになっているというのも当然あるんですけれども、それと組み合わせて、やはり産卵場の環境が良くなくて子供ができにくくなっていると、そういう複合的に絡んでいます。  こういう中で、海洋環境の変化については、一方で、例えばサワラが、従来西の方で捕れていたものが北の方でも捕れるようになっているとか、もう西の魚と言われていたブリの主な産地が北海道になっているとか、それでたくさん捕れるようになったとか、そういう変化もありますので、そういう変化に対応していけるような漁業にしていかなきゃいけないし、そういう柔軟な経営ができるようにしていかなきゃいけないし、それから、環境の影響といっても、環境の影響で資源が減ったものについては、それを更に今までどおりに捕ってしまったら資源が更に減ってしまうということになるので……
  27. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) できるだけ簡潔におまとめください。
  28. 保科正樹

    政府参考人保科正樹君) はい。  そこを資源の捕り方で適切に管理して安定的にしていこうと、そういうふうに取り組んでいきたいというふうに考えています。
  29. 新妻秀規

    新妻秀規君 この件に関して、水産資源の管理について、外交についてはどうでしょうか。
  30. 保科正樹

    政府参考人保科正樹君) 日本周辺、韓国にしても中国にしても漁業国であります。それぞれが漁業をしていて、たくさんの漁船操業しています。同じ資源を捕っていますので、これを同じ考え方で資源管理をしていくようにしていくというのはまさに重要なことだと思っています。  なかなか今それが十分にできていない状況でありますので、これは、共通の考え方での資源管理ができるようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
  31. 新妻秀規

    新妻秀規君 終わります。
  32. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは、引き続き、柳ヶ瀬裕文君。
  33. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。  「海を通じて世界とともに生きる日本」ということで、かなり広いテーマだなということなんですけれども、先ほど来各委員がおっしゃっているとおり、資源小国日本という中で、広いEEZを持つ日本としては、この海底資源、これをどうやって生かしていくのかということがまさにこの国益に関わってくることだというふうに、極めて重要な貴重な資源を持っているというふうに考えております。  ただ、その中で、まずお伺いしたいんですけれども、これ、深海にあるレアアース、メタンハイドレート等々あるわけですけれども、こういった海底資源の採掘が現状、コストに見合うのかどうなのかということであります。これ、コストに見合えば当然商業ベース乗ってくるということになると思いますけれども、現状の見込みとしてこの採掘のコストとそこから得られる利益、ベネフィットですね、これをどのように考えているのか、この点についてお伺いしたいと思います。いろんなレベル感あると思いますけれども、お願いします。
  34. 南亮

    政府参考人南亮君) お答え申し上げます。  まず、今まさに先生おっしゃるとおりでありますが、我が国の海にはメタンハイドレートですとか鉱物資源、存在しております。しかしながら、先ほど先生もおっしゃったとおり、それを実際に生産して使うとなると、海外から買ってくるガスですとか、海外から買ってくる金属鉱物に比べるとどうしても割高になってしまうというのがこれは現実であります。  しかしながら、私たちと申し上げましては、海外から輸入ということですと、いろいろケースによってはその輸入が難しくなるということもございますので、国産資源重要だということで、今研究開発をしながら、どうやれば少しでもその生産のコストを安くして、さらには海外からの輸入と同等のレベルに持っていけるかということで、今民間企業中心にいろいろやっているところでございますが、なかなか現時点ではまだまだ少し差があるというのが実態だということで考えております。
  35. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  技術開発も画期的なイノベーションが起きない限りなかなかコストに見合ってこないのかなというふうに思いますけれども、ただ、これは、今おっしゃったとおり、日本安全保障上極めて重要な資源確保ということになると思いますので、先行投資をまずしっかりとしていただきたいというふうに思っています。  これ、様々な資料の中で、海底資源の回収技術で、他国に特許を取得されてしまうと安定した資源確保が脅かされかねないといったことも言われているわけであります。ですので、この回収技術、これを日本がしっかりとこの特許を取っていくといったこと、ここにコストを掛けていただきたいということ、これを申し上げておきたいと思います。  それと、やっぱり心配なのはこの中国のチャレンジでありまして、隣国でありますけれども、様々なところで中国が果敢なチャレンジをしているということが考えられるわけですけど、この南鳥島、この沖合におきまして、国際海底機構と西太平洋の約七万平方メートルの公海でマンガンなどの海底鉱物資源の探査契約を締結したといった記事がございました。  これは、探査対象には、この南鳥島から南東五百キロということで、日本EEZの縁に沿う海域も含まれているということでありまして、これ、こういった探査活動というのは、極めて広い海の中で、どこで探査をしていて、それが日本EEZの中でやっている、もし日本EEZの中でやっているならば、これは排除しなければいけないということなんですけれども、そういったシステムをしっかりと確立していただきたいと思うわけですけれども、現状、この排除できるシステムとなっているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  36. 平垣内久隆

    政府参考人平垣内久隆君) 補足があれば外務省さんの方からお願いしたいんですけれども、EEZ内につきましては、まず普通の科学のための調査は、これ、国連海洋法条約科学のための調査はする、EEZはやってもいいということになっていると思いますけれども、日中間で取決めがあって、通報するという仕組みの中で運用しているというふうに承知しております。商業的なものであれば、これ、経産省さんの方の鉱業法の許認可の対象になるのではないかと承知しております。  以上でございます。
  37. 山中修

    政府参考人(山中修君) 申し上げます。  日中の間におきましては、海洋科学調査に関する日中相互事前通報という枠組みがございまして、東シナ海における相手国の近海、すなわち地理的中間線の相手側で海洋科学調査を行う場合には二か月前までに事前通報を行うこととされております。  また、その中間線の近くの海域以外のところにおきましては、この事前通報枠組みの対象ではなく、先ほど説明のありました国連海洋法条約に基づき、調査実施の六か月前までに沿岸国に申請を行い、同意を受ける必要がございます。
  38. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  これ、EEZだけではなくて、日本の領海に中国の公船の侵入が相次いでいるといったことも報告されているわけであります。特に尖閣の問題ですね。これ、昨日も今日も記事に出ていましたけれども、四日間連続で接続水域に中国の武装した船が侵入しているといった事態が起こっているということでありますけれども。  ここでちょっと認識を問いたいわけですけれども、この尖閣への侵入は近年増えているという認識をお持ちなのかどうなのか、そして、それに対してどういった対処をしてきたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  39. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げます。  尖閣諸島の接続水域におきます昨年一年間の中国公船の活動につきましては、確認日数が二百八十二日、延べ隻数が千九十七隻で、いずれも過去最高となりました。また、領海侵入についても、月に三回程度発生し、一回当たりの隻数は、平成二十八年九月以降、それまで三隻だったものから四隻によるものが多く確認されるようになっております。  今年に入ってからも、尖閣諸島の接続水域に中国公船による活動が確認され、領海侵入も発生しておるところでございます。  加えて、昨今、中国公船の大型化、武装化も進んでいることから、情勢は依然として予断を許せない状況にございます。  国土交通省の海上保安庁におきましては、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、事態をエスカレートさせないよう冷静に、かつ毅然とした対応を続けるとともに、必要な体制整備を推進し、領海警備に万全を期してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  40. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 数は多くなっているという認識だということなんですけれども、その目的はどのように認識しているんでしょうか。
  41. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) 私どもとしては、領海、接続水域に入ったということは認識しておりますが、その意図についてはちょっと把握しかねているところでございます。
  42. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 いやいや、意図はよく御存じだというふうに思いますけれども、これ領有権の既成事実化をしていこうということだというふうに思いますので、こういったことにしっかりと外交的にも断固たる態度を示していくということが必要だと思います。  そういった意味では、習近平国家主席の国賓としての訪日といったことも予定されているわけでありますけれども、私たちは、これは香港、ウイグルの問題も含めて、またこの尖閣のチャレンジも含めて、これに慎重であるべきというふうに思っておりますから、このことは政府に対してこれからも訴えていきたいというふうに考えているところであります。しっかりと、この領有の警備活動、断固たる対処をしていただきたいと、このことを申し上げたいと思います。  以上です。
  43. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは、引き続き、伊藤岳君。
  44. 伊藤岳

    伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。  海洋基本法が制定をされて十二年以上が経過し、海洋をめぐる情勢にも新しい事態が生じています。海洋をめぐる様々な問題が顕在化する中で、海洋政策枠組みをつくり、対応することが求められていると思います。  新型コロナウイルスの感染の深刻な広がりも、海洋をめぐる情勢の新しい事態の一つです。海洋を通じた人、物の移動の中で、いかに感染を防ぐかは大きな課題となっているんではないでしょうか。新型肺炎感染の男性が乗船したクルーズ船、横浜港にというニュースが一昨日配信され、昨日は、クルーズ船、三千五百人検疫、着岸せず船内待機と報じられました。  先ほど行われた加藤厚生労働大臣の会見では、十人の感染を確認、潜伏期間を考慮して、今日を起点とし、十四日間を念頭に船内にいていただくとお話をされていました。  東京新聞によると、医師や看護師を含む十数人体制で乗船し、健康状態の確認を進めていると報じていますが、クルーズ船の中に今検疫官は何人入っているのか、今日御出席参考人、分かる方いらっしゃいますか。
  45. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 厚生労働省はいませんよね。
  46. 伊藤岳

    伊藤岳君 分からないということですね。  海洋基本法の第三期海洋基本計画の中で、港湾BCP、感染症の蔓延などの危機的事象が発生後に行う具体的な対応、また、平時に行うマネジメント活動などを示した文書を策定することを決めていると思います。  この港湾BCPの中には、検疫官の体制などは含まれてはいないのですか。
  47. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 国土交通省でしょうか。
  48. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げます。  手元にはちょっと資料がございませんので、お答えすることが今難しい状況でございます。
  49. 伊藤岳

    伊藤岳君 検疫官の体制は含まれていますか、このBCPの中には。
  50. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  51. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
  52. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) 恐れ入ります。  その体制について、我々としては分かりません。
  53. 伊藤岳

    伊藤岳君 これは第三期海洋基本計画の中に書かれていることですから、是非これはしっかり調べて、対処していただく必要があると思います。  新型インフルエンザ、また二〇一四年のエボラ出血熱など、検疫官の不足が指摘されてきました。当時の報道を見ると、成田、横浜港などの重点拠点に検疫官を集中させて水際検疫を強化、一方、貨物船は検疫強化港以外の入港が認められたため、拠点以外のチェック体制が手薄になる事態が生まれたと報じられています。  今回の新型コロナウイルスの事態も踏まえて、検疫官の大幅増員が必要ではないかと思います。また、総合海洋政策推進事務局に厚労省からの派遣をしていただく必要があるのではないかと思います。港湾BCPの充実強化を求めておきたいと思います。  横浜港客船入港予定では、今回の問題になったダイヤモンド・プリンセスが今後、二月だけでも四回の入港の予定となっています。今回の感染源となっている地域を航路に含むクルーズ船は、二月だけでも日本にどれぐらい寄港することになっていますか。
  54. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 分かる範囲でお答えください。国土交通省でしょうね。
  55. 石井昌平

    政府参考人(石井昌平君) 現時点、手元に資料がございません。
  56. 伊藤岳

    伊藤岳君 そうですか。  国際コンテナ・バルク戦略港湾政策、先ほど説明がありましたが、貨物船の往来も増加し、また大型化をしていると思います。これは、海洋基本法海洋産業の振興及び国際競争力強化が盛り込まれ、国策として港湾、物流基盤の強化が急速に進めてきたからだと思います。まあ、これは聞いても、じゃ分からないということだと思いますけれども、貨物船の今後の入港予定なども是非調べて対処をしていただきたいと思います。  このままでは過去同様、いや、過去以上に検疫官不足が深刻な事態を招くことになるのではないかと思います。海外渡航者は年々増加しています。今年はオリンピックも控えています。国際コンテナ・バルク戦略港湾政策の下、貨物船の往来と大型化も年々進んでおります。それなのに、検疫所や感染症研究所の予算が増えてはいない。検疫体制の抜本的な強化を是非求めていただきたい。港湾BCPの充実を改めてお願いをしておきたいと思います。  次に、海洋ごみの問題について伺います。  海洋基本法に基づいて二〇一八年に閣議決定された第三期海洋基本計画海洋環境維持保全の項では、マイクロプラスチックを含めた海洋ごみの削減に向け、回収処理や発生抑制対策と書いてありますが、少し具体的に説明を願えますか。
  57. 小野洋

    政府参考人(小野洋君) 海洋プラスチックごみ問題でございますけれども、その解決のためにはグローバルな取組が必要でございますけれども、いろんな対策の中でまず発生抑制というのがございます。これはやはり元を絶つということでございまして、例えばワンウエーのできるだけ使い捨てのプラスチックで絶対に必要だというもの以外については削減していくという取組で、まず元を絶つということがございます。  それから、ごみとして出てきたものについては、できるだけリサイクルをすると。リユース、リサイクルをして何回も使っていくと。それでもまた出てきたものについては、廃棄物処理をきちっとやってごみが海に出ないようにすると。それでもまた海に出たものについては、できるだけ海岸に打ち上げられたようなもの、あるいは海底に堆積しているものを回収するというような様々ライフサイクル全体にわたる対策を推進するということでございます。
  58. 伊藤岳

    伊藤岳君 第三期海洋基本計画のこの項の説明の中で、一次的マイクロプラスチックの発生抑制対策の中で、米国など諸外国が製造や販売を規制しているのに対して日本は自主規制だと書かれていますが、これは間違いないですか。
  59. 小野洋

    政府参考人(小野洋君) はい、間違いございません。
  60. 伊藤岳

    伊藤岳君 ここにも見られるように、日本のプラごみの発生抑制対策は、企業に対する規制が私は甘過ぎると思います。  私、先日、産業廃棄物処理業者の埼玉県の業者を訪ねました。この業者さんは、欧州ではプラごみは自治体では回収、焼却していません、生産から回収まで企業が責任を持つ、これが明確です、プラスチックの生産者、使用者の企業責任を強調しておられました。  このプラスチックの生産者、使用者の企業責任を徹底していくべきだと思いますが、今後の予定や取組などいかがですか。
  61. 小野洋

    政府参考人(小野洋君) 生産者の責任でございますが、日本におきましても、例えば容器包装リサイクル法というのがございまして、容器包装のプラスチックについては、生産者、企業の責任も加えてそのリサイクルを図るという取組がございます。今後、そのリサイクル法の適正な運営というのは更にやっていきたいと思います。  さらに、レジ袋につきましては、今後、有料化、お金を取るということで削減を図っていくというようなこともございます。  さらに、資源循環戦略というのを作成いたしておりまして、様々な手法を駆使してプラスチックごみの削減を図っていくということでございます。
  62. 伊藤岳

    伊藤岳君 今レジ袋の有料化などの話がありましたが、いずれにしても僅かです、割合からいうと。プラスチックを大量生産し、大量に焼却し続けている国の戦略の大本を切り替えることなしには、この海洋ごみの問題、プラごみの問題は永遠に解決しないと思います。  是非、企業責任、生産者責任を厳しく問うことを施策に盛り込んでいただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
  63. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは、引き続きまして、伊波洋一君。
  64. 伊波洋一

    伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  本日から国際経済外交に関する調査ということで、「海を通じて世界とともに生きる日本」、三年間経るわけですけれども、そのうちの「我が国海洋政策」についてお伺いをいたします。  資料等をいただいておりますが、先ほどの説明でも、国土面積三十八万平方キロ、世界第六十一位にもかかわらず、領海、排他的経済水域面積は四百四十七万平方キロ、国土面積の十二倍で世界で六位というふうに資料をいただきました。私たちは、ところが、漁業以外のその実感をこの海洋我が国周辺海洋に関して余り感じるところはなく、また産業の中でシーレーンとか、いわゆる輸出入の中の船の通り道としてはあるけれども、残念ながらこの資源開発という意味ではなかなか目に見えるものがないような感じがします。  この資料の中に書かれております海洋産業利用促進についてお伺いしたいと思います。  一番目には、メタンハイドレートなど、割とニュースにはなるんですけれども、これが見付かったとかですね、なかなか現実の問題としてはすぐには実現しそうにもない。ただ、いただいている資料の中で、欧州などでの洋上風力発電所、あるいは北海などの海洋、要するに海底油田あるいガス田等、現実の産油国は多くのところが海底油田や海底ガス田を開発しております。ブラジルやベネズエラなども含めてですね。その点についてちょっと、この二点についてお伺いします。  一つは、なぜ我が国洋上風力発電が十分に発展していないのか。  この資料をいただいておりますけれども、欧州においては、既に三千五百八十九基、平成二十八年度末ですが、単価として六円から十二円、一キロワットアワー当たりですね、それだけのコストでできていると。ところが、日本は、僅か六基で、三十六円、一キロワットアワーでですね、平成二十六年の額ですけれども。その理由が書かれております。何かいろいろ経済性、何かコストが高いとかね。片一方、欧州であれだけの低価格でできているのに、なぜ我が国でそういう説明皆さんが私たちにするのかですね。  そういう現実の政策として、日本としてこの洋上風力発電の導入についてどう考えておられるのか、御説明お願いしたいと思います。
  65. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、洋上風力の発電、非常に重要なエネルギー源だと思ってございます。  エネルギーミックスということ、二〇三〇年のエネルギーの構成というのを政府としても示しているわけでございますが、洋上風力含めた再生エネルギー、二二から二四%、簡単な数字じゃないと思っております。特に、量をこれから拡大していく上では、やはり狭い国土を考えますと、陸の上に置くのはやっぱり限界があると。そうすると、委員指摘のように、ヨーロッパのように海洋領域をうまく利用して、再生エネルギーエネルギーの供給がうまくできないか。これは安全保障という、エネルギー安全保障という意味でも、そして低炭素化を進めていくという意味でも非常に重要なことだと思ってございます。  そういう観点で、一昨年に再エネ海域利用法ということで、区域を定めてそこで三十年という長期の利用ができるようにしてあげて、ファイナンスが付く、その関係者の関係での調整ができるような円滑化する仕組みもつくっていく、こういうことを導入したわけでございます。ですので、これからどんどん進めていきたいと、こういうふうに政府としては思ってございます。  一方で、委員指摘のように、なぜヨーロッパと日本が違うのかということについて私どもなりの認識を申し上げていきますと、環境が同じではないと思ってございます。  御指摘ありましたように、北海及び例えばイギリスとフランス、ドイツの間を通るドーバー海峡辺りのこの辺の海底は非常に浅うございます。それこそ十メーター、二十メートルぐらいの比較的浅い海域が非常に広範囲に広がってございます。海域が浅いと、やっぱり工法上も非常に楽でございます。コストも安い。陸上とさして変わらないぐらいの形の工事ができる。  さらには、まさに北海油田の話ございましたけれども、あの地域、イギリスもオランダもノルウェーも、海洋工事の産業、若しくはリグを建てて掘っていく産業、運ぶ産業というのはこれまでもございました。ですので、既存の産業の転用といいますか、そこにいる人材産業含めてかなりファシリティーがそろっているということがございます。  もちろんのことながら、この洋上風力、そういうことで背景があり、かなり長く準備をして進めてきているところがございますので、日本もこれが実現できないとは思っていません。環境が違う中で、日本なりに限られたところで可能なところから順次順次広げていくために、一昨年の再エネ海域利用法を利用してできる限りの導入拡大を進めていきたいと、関係省庁一体になって進めていきたいと、このように考えているところでございます。
  66. 伊波洋一

    伊波洋一君 浮体式というのも何か示されておりますが、浮体式というのはある意味でそういう浅くはないところでやるんでしょうけど、これの見通しはどうなっているんですか。
  67. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  ちょっと追加補足的になってしまって恐縮でございます。  今メーンで進めておりますのは、着床式という、下のところ割と浅いところ、五十メートル以内ぐらいの比較的浅い海域。これより深くなりますと、なかなか直接打ち込むのが苦しくなってまいります。工法上もコスト上も苦しくなってまいります。ですので、浮体式といいまして、完全に下に棒で打ち込むのではなくて、いかりといいますか、下にチェーンを付けて、上に浮かした形で風車を建てるというのが浮体式風力でございます。これはまだ現在技術的に開発途上でございまして、ヨーロッパが非常に先行してございますが、日本も今福島沖で実験を、あと五島沖でも実験をそれぞれ進めてきているところでございます。  海域が広がってより沖合に開発を進めていくならば、この浮体式の開発というのを今後どんどん拡大していけるように取り組んでいかなきゃいけないと、このように考えてございます。
  68. 伊波洋一

    伊波洋一君 陸上に風力を置くと音とか何かいろいろありまして、課題あると思いますけれども、洋上だとそれなりのことができると思いますので、是非取り組んでいただきたい。  あと一点、海底油田のお話なんですけれども、いわゆる日中中間線における海底油田の開発が中国においてはもう行われているわけですけれども、我が国取組がまだ不十分かなという感じがします。資料を見ておりますと、日本のいわゆる海の領域の中にはかなりの有望な海底資源が、油田資源ガス資源があるということが明らかです。この開発についてはどうなっているんですか。
  69. 南亮

    政府参考人南亮君) お答え申し上げます。  まさに、日本におきましても、石油、天然ガス可能性、これは相当あるというふうに思っておりますが、ただ、いずれにしろ、比較的規模が小さいということで、なかなかそのスケールメリットを生かすという意味だと経済性が合わなくなっているという部分がございます。  しかしながら、先ほども御指摘いただきましたように、国内の石油、天然ガスというのは、海外から輸入してまいります石油、天然ガスに比べますと非常にセキュリティーが高いということもございますので、この国内での石油、天然ガス開発すべく、今、JOGMECの方で三次元物理探査というのを実施しておりまして、有望なポイントも幾つか見付かってきております。また、今年度は、JOGMECが新しい三次元物理探査船の導入もしまして、更にこれまで以上に効率的、効果的に探査を進めていきたいと、そのように思っております。  いずれにしろ、先ほどから繰り返し御指摘いただいておりますが、国内のエネルギー、これは非常に重要でございますので、しっかり国内の原油、天然ガス、そこに生産につながる可能性をしっかり探していきたいと、そのように思っております。
  70. 伊波洋一

    伊波洋一君 今のところ、皆さんが見積もっている海底油田、海底ガス田の総量は幾らぐらい、日本の年間使用量の何年分ぐらいに当たるんですか。
  71. 南亮

    政府参考人南亮君) 私たち、今手元でございますのは現時点での石油、天然ガスの自給率ということでございまして、原油の場合は今〇・三%、それから天然ガスの場合が約二・六%になっておりまして、この一部は海上の部分から出ております。  今後の可能性ということについては、ただいまちょっと手元に数字はございませんので、またお答えさせていただきたいと思っております。
  72. 伊波洋一

    伊波洋一君 時間が来ましたので終わりますけれども、日中間のやはり共同開発等で、そういう形でそこにある資源はしっかり使うということを目指していただきたいと思います、これにもないものですからね。是非、それは大きな課題としてあると思いますので、しっかり海洋産業利用の一つとして、この東シナ海などの海底油田、ガス田の開発は取り組んでいただきたいと思います。
  73. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。  予定の時刻も参りましたので、政府に対する質疑はこの程度とさせていただきたいと思います。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  74. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) それでは、速記を起こしてください。  引き続き、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「我が国海洋政策」について二名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、東海大学静岡キャンパス長(学長補佐)・海洋学部教授山田吉彦君及び東京大学名誉教奥脇直也君でございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。本日は本当にありがとうございます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、山田参考人奥脇参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、一時間二十分程度質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきをくださいませ。  なお、御発言着席のままで結構でございます。  それでは、まず山田参考人から御意見をいただきたいと思います。山田参考人
  75. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 東海大学海洋学部の山田でございます。今日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。  私、本業は経済学者でございます。海洋を横軸から今まで見てまいりました。元々は、公海における安全保障に係る費用負担、簡単に言いますと、海賊対策は誰が責任を持って対処すべきなのかということから入りました。前職は日本財団海洋グループ長をやっておりました。横軸で、造船から海洋環境、そして安全保障まで全て見てまいりまして、専門の先生方から見ると浅く、その分、横軸に広く研究をしてきたつもりでございます。  今日お話しさせていただきます。まず、お手元にレジュメをお渡しさせていただきました。最初の冒頭の地図を見ていただきたいと思います。環日本海・東アジア諸国図という地図を置かせていただきました。  この地図を御覧いただきまして、日本の持つ国力、地政学、なかなか日本では地政学という学問は定着していないのですが、日本の土地の持つ力というのが見えてくると。逆に、この地図から見ますと、我々日本という国は、隣国との付き合い方をどうしていくのが正しいのか、どうしていくのが一番国民にとってのメリットになるのかということが見えてくる地図であると私は考えております。と申しますのは、日本の沿岸管理がいかに隣国にとってもメリットのあるものなのか、日本海域をしっかりと守ることが、日本のみならず、アジアの国々、特に東アジア、中国、韓国、北朝鮮、ロシアにとっても意義があるのかということが分かってまいります。  中国という国、今はもう貿易大国です。貿易なくしては国家が成り立たないと。特に、中国の主たる貿易相手、現在アメリカとの間で貿易戦争と言われるぐらいになっておりますが、元来、中国はアメリカに物を買ってもらって初めて経済が成り立っていると、そして資源を輸入することによって国の骨幹が成り立っているというのが現状でございます。  中国、例えば北京から海を目指そうとしますと、大連若しくは青島等の港から東シナ海を抜けまして太平洋に出ていくと。特にアメリカ航路、北米航路になりますと、一番多く通過するのは対馬海峡です。そして、日本海を横切り津軽海峡を抜けていくと。それ、代替航路としましては、大隅海峡、鹿児島大隅半島と屋久島、種子島の間を抜け、黒潮に乗った形で日本沿岸域を通過し、北米航路に入っていくという形になります。また、エネルギーに関しましても、宮古島、宮古水道、沖縄と宮古島の間を抜けていくと。  となると、中国が対外的に貿易をしていく、あるいは韓国も同様でございます、貿易していく中で、日本の沿岸域というのは非常に重要な航路になっているということが言えます。そして、そのために日本はこの海域を特別な処置を講じてございます。それは特定水域若しくは特定海域と言われるもので、日本には五か所、宗谷海峡、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡東水道・西水道、この五か所を、通常、日本の領海は十二海里ということになっていますが、三海里で領海を放棄しまして、真ん中を公海、公の海にする形で他国の交通に便を講じているという形になっております。ただし、海域の管理というのは当然日本の責務になってきます。  この海峡の考え方は各国によって違います。無害通航権を取るか通過通航権を取るかということになってきますが、例えば航行の難所と言われるマラッカ海峡の場合ですと、沿岸国は領海を放棄せずに領海として管理をしていくと。ただし、日本の場合は、真ん中を公海とする形で他国の船が自由に通過できるような体制を取っております。  ただ、この海域において海難事故が起こらないように、そして海域が常に安定して通れるようにという目的のために、日本は常に海域を管理しなければいけないと。そして、単に航行安全を管理するというだけではなく、当然、第三国からの侵略を受けない体制をつくることも重要になってまいります。  これは、国家の主権を守り、そして第三国の介入をさせない防衛体制を配備することによって、全ての国、特定の国以外全ての国に対しても平等に我々の海域の安全を提供するということができるということになります。例えば、日本の特定の島が他国により占領されている状態になりますと、それ以外の国々にとってデメリットになってしまう。我々は、しっかりとして海域を守る体制を取っていくということが必要になってきます。  また、漁場の保護という名目でも、日本周辺海域、特に今、韓国、中国の周辺では魚が少なくなっている。そして、当然日本周辺でも魚が少なくなっているんですが、より沖でより多くの魚を求めて、中国そして韓国、あるい北朝鮮漁船が太平洋に進出して以降、あるい日本海に進出していく中で、日本海域にまで侵入してくる。当然、資源枯渇が甚だしくなっているのが現状になっています。  また、海洋調査資源調査ということも非常に日本周辺では魅力的になっております。特に日本海域メタンハイドレート、あるい海底熱水鉱床、レアアース等、私たちの御説明の前に総合海洋政策推進本部の方からも御説明あったかと思いますが、日本周辺には魅力的な海底資源がある、これの調査というところで、他国も日本周辺まで調査にやってきていると。  ただし、日本の場合、他国が日本海域海洋調査をしたとしても、罰する法律を持っておりません。そういう観点からいいますと、日本海域、脆弱になってしまっていると。しっかりと日本開発し、そして日本が製品化し、商品化し、他国にも資源が提供できるような環境、あるいは国際的な資源のバランスの中で日本の位置付けが重要になってくることも考えられますので、そういう意味合いにおきましても、日本周辺海域での海洋資源調査というのも重要であると思っております。  その中で、MDAと言われる海洋状況把握、これはまず現状を正確に認識することが未来予測にもつながる。そして、これは、海洋安全保障のみならず、海洋環境、沿岸警備、そして自然災害への対策という意味でも重要になっていると考えます。常に空から、そしてまた海から、陸から、日本周辺海域状況を正確に把握していくことが重要であると考えております。  また、その中で最も私は重視するべきだと考えておりますのは人の目です。沿岸で暮らす人たちの目、漁師、漁民、漁船漁師の目、沿岸域で安定して人々が暮らす環境をつくっていくことこそが、日本の沿岸域の安全を守る上で最も重要なことであると考えております。そのために有人国境離島振興法できました。ただし、まだまだ不足する部分ございます。実際に人々、沿岸域の人が安心して、安定して暮らせる環境づくりを更に進めていっていただきたいと考えております。そのための法整備、まだまだ追加していくべきところがあると考えております。よろしくお願いしたいところでございます。  また、未来への投資ということを念頭に置かなければいけないと。それは、一つは海洋資源開発メタンハイドレート開発、進めてまいりました。調査は十分に行ってきたわけですが、なかなか商品化ということになりますと先に進んでこないと。これ、端的に言いますと、東シナ海の日中間のガス田のときもそうだったのですが、今、エネルギーに関しては買っていった方が安い。日本の場合は資本主義国家です、自由主義国家ですので、研究開発までは国費を投入し行っていくことができましても、その先、商品化となると、なかなかもうからないことには民間は動かない。また、海洋調査船が圧倒的に不足しております。その中でコストが掛かってしまうということもあります。ただし、現在商品化できないとしても、これからも御説明していきますが、世界の情勢を考えますと、今資源エネルギーというのは常に使える状態に持っていくことが望ましいと。  具体的に言いますと、中東、恐らく第三次世界大戦に入っていると言ってもおかしくないような状態になっている中で、我が国エネルギーに対しては少なくとも安定して手に入れること、環境づくりをできる、しかも、日本人が自信を持って自国内でエネルギーを調達できるということを考えますと、メタンハイドレートというのは常に商品化できるだけの準備を、これは国として進め、準備しておく必要があると考えております。そういう観点からいいましても、静岡から和歌山の沖、南海トラフに眠っております、今まで実験を進めてまいりましたメタンハイドレート、常に商品化できる状況が望ましいと思います。  また、東シナ海には海底熱水鉱床がございます。東シナ海の海底熱水鉱床、特に銅の含有量が非常に高いということが分かっております。恐らく、東シナ海の海底熱水鉱床、銅という視点で限って見ますと、採算も一部的には取ることも可能になってこようかと思います。インセンティブとしても、この東シナ海での海底熱水鉱床開発、進めていくことも検討すべき課題であると考えています。  JOGMECでは既に幾つかの実験的なプロジェクト進めておりますが、現在、もう既に海底から洋上に資源、鉱物資源を抽出する実験には成功しております。もう一ステップ踏むことによって、いずれは商品化も可能になってくるのではないかと考えております。  そして、何よりも併せた形で海洋環境保護政策というのが重要になってこようかと思います。これは魚類の保護、自然も含めまして。また、今注目されておりますマイクロプラスチックス。これはどういう形になっているのかというのは、まだ今までの研究でいうと、マイクロプラスチック自体は人体には影響はない、ただし他の物質と付着することによって影響を与えるであろうということが言われています。実際の調査というのがまだまだ不足している現状、また魚類あるい海洋生物に対する影響というのも未知数となっておりますので、それも踏まえまして研究を進めていくことが重要であると考えております。  何よりも、日本人が海とともに生きていく上では、やはり海洋環境保護、海洋環境を前面に考えていく必要があると思います。また、私は、特に尖閣諸島周辺、隣国と紛争に発展しかねない地域においても環境というテーマで協力していく、海域を越えた協力をしていくことも一つの手法であると考えております。  そして、日本にとって今最も重要なのは人材育成だと考えております。いかんせん、海洋人材、海の現場で働く人というのはまだまだ少ない。その中で、海洋開発、海底資源開発るい海洋調査、行える人材というのが少ないのが現状になっております。  特に、現場で働く方々が少ない、これは潜水士。護岸工事でもあるいは離島の工事でも潜水士というのは非常に重要なんですが、なかなか潜水士を職として就く方というのがいないと。また、そういう教育機関というのも非常に少のうございます。どちらかというと、国の人材育成るいは教育分野というのは研究の方に特化してきました。これからは、実際に現場で働く人たち育成ということにも視点を置いていくことが重要であると考えております。  まだまだ海洋開発、職域としても広がることが可能だと考えております。特に今後は、海洋開発海洋環境保護という、これを両立させなければいけないという非常に高い技術を要する分野にもなってきます。そういう両方、開発と環境保護を念頭に置いた教育の推進ということが求められると思っています。  そして、一つ日本周辺を考えますと、領土、主権という問題、避けては通れないことだと考えます。  学習指導要領に領土、主権の問題が加わりました。今、中学三年生においては、竹島の問題、尖閣諸島の問題、そして北方領土。北方領土、竹島には領土問題が存在していると、そして今、尖閣諸島がどうなっているかということが教育で教えられることになっております。  ただ、ここで問題なのは、主権とは何かということ。よく専門家の方々も主権のために重要なのだとお伝えになられていますが、では主権というのは何なのかというと、私どもも学生と話していて、本来の意味で主権ということが、漠然と分かっていても、実際に感じる学生というのが少ないと。国民及び領土を統治する国家の権力、統治権。国家が他国から干渉を受けずに独自の意思決定を行う権利、国家主権と言われるものですね。そして何よりも、国家の政治を最終的に決定する権利、国民主権。  要は、沿岸の領土、領海を守るということは、国家の政治を最終的に決定する国民生活を守るために必要なんであると。それは、将来にわたる水産資源の、日本の食としての水産資源確保、そして日本の将来を支えるであろう海底資源開発、そして何よりも日本の沿岸、離島の人々が安心、安定して暮らせるだけの環境づくり、そのために領土というのを守るということは非常に重要なんであるということを考えていかなければいけないと思っております。  そして、今日お配りした資料の中に幾つか、日本のシーレーンに関して実は北極海航路の地図を加えました。  北極海航路、非常に研究が進んでおります。特に、日本とヨーロッパを結ぶルートとしまして、通常のルートの三分の二の時間、そして三分の二の航程で済むということになります。その中で当然、燃料代も三分の二。今、地球温暖化の影響で六月の後半から十一月にかけて、北極海、船が通過できる状況になっております。二枚目に、実際に横浜―ハンブルクの距離、スエズ運河、北極海を通った距離を比べてあります。三分の二になります。  もう既に日本は商船三井が氷を砕くLNGタンカーを三隻造っております。この船、ロシアのヤマルというガス田から中国に向けてガスを輸送しています。なぜ日本の船会社なのに日本に寄らないかといいますと、二枚目のその船の隣に書いてある表ですが、ノルウェーと日本を結んだときに、北極海航路は、ロシアが警備のため、あるいはエスコートする船を付けることを要求しておりまして、コストが高く掛かっています。LNG一トン当たり五十二・二ドル掛かる。今、日本が主流にしているオーストラリア―日本のルートは二十七・二ドルというところで、今、日本はコスト的に北極海航路を使わないという選択肢を取っておりますが、いずれ、液化天然ガスのみならずほかの物資、バルクキャリアあるいはコンテナということになりますと、北極海航路は日本にとって非常に有効なルートになってきます。  そして、今、オイルルート、非常に心配になっています。マラッカ・シンガポール海峡の航路標識整備、これは日本が支援してまいりました。そして、海賊対策、これは日本の自衛隊が非常に重要な役割を果たしました。一年半ほど前に、私、スペインの海軍を訪問しましたときに、真っ先に言われましたのが、日本の自衛隊のP3Cによる空からの監視行動の貢献。これは、空から見たものを最も近い国の警備船に対して情報を提供していく、そして海賊のいる海域に急行してもらうことによって未然に阻止することができたと。むしろ、これができるのは環境的に日本だけだったということが言われています。ソマリア海賊の減少に関しては、日本の貢献というのが最も顕著であったとも言われております。そしてまた、日本は、油汚染対策に対して、流出対策に対しても、マラッカ海峡等で実績があります。  そして、二枚目の地図の上の方に書きました、今、日本の外航商船隊、日本は、日本人船員、日本を守るための船というのがまだ、これ一八年の段階で二百五十五隻しかいない、そしてタンカーは六十隻だけで運んでいると。外国用船、外国の船を借りている、あるいは外国に籍を置いているというのが、約その十倍ほどになっております。日本は、実際にまだまだ自国の船を使っていないと。  そして、何よりも、日本人の外航船員数、今、二〇一八年、二千九十三人しかおりません。実は、日本人の船員で外航船に乗っているのは二千人強しかいないという状況で、となりますと、日本に物を運んできてくれている人たち日本の経済を支えているのはほとんど外国人であると。フィリピンであり、あるいはベトナムであり、ミャンマーであり、中国であり、他国の人と協力しなければ、船も、そして船員も確保できないというのが現状になっております。  海の世界、もう既に国際化、グローバル化がどんどん進んでいる中で、我々は、外国との関係、これはお互いのアイデンティティーを明確にしながら、そして、それぞれの立場を強調しながら動かしていくことが必要だと思っております。  日本周辺海域、尖閣諸島問題、あるい日本周辺、特に大和堆における北朝鮮の進出、排除しても排除してもまた北朝鮮の船はやってくるという中で、海上保安庁の能力にも限界に達しています。また、水産庁の能力、衝突事故を起こすような形で疑問を呈せられている中で、新たな海洋安全保障体制というのが必要になってくると思います。そして、海上自衛隊、海上保安庁水産庁、あるいは陸上の警察、何よりもこれは目としての民間の役割も踏まえて活動していくことが重要になってこようかと思います。  また、最後になりますが、水産の問題。今、日本周辺海域、乱獲というのが指摘されておりますが、一つ、四番のところに書きました、海面養殖漁師さんの年間収入、一千百六十六万円になりました。魚を捕っているだけの漁師さんは二百十九万円の年収しかないんですが、養殖を始めることによりまして一千百万円超えてくる、いわゆる一部上場企業の部長級の収入になってくると。  しかも、今、私の知り合いの養殖漁師さんたち、自分の生けすのデータをみんなスマートフォンに送られると、塩分濃度あるいは汚染の状況、全てが分かるように。そして、チームを組むことによって土日がつくれる。そして、どうしても捕ってきた漁師さんたちは一度に市場に出してしまう。ですが、養殖の場合は市場を見ながらコントロールしていく。  そして、今新しいやり方としまして、青物と言われるのは鮮度が重要ですが、あるいはマグロやそれ以外の魚というのは熟成ということも念頭に置かれています。今、低温輸送、何度で何時間置くことによって一番おいしい状況に置かれるという研究も進んでおります。  となると、漁業というのは新しい局面を迎えていきます。新しい産業としての漁業を普及していく。これは、日本のみならず、諸外国と協力していく形で世界の食としての水産物の確保、そして、何よりも日本の漁師さんたちの立場の状況。今、実は日本の漁師十五万人で日本の食を賄っております。これも増加していくということにつながってこようかと思います。  そして、先ほども触れましたように、海底資源開発、これは是非進めていくべきものだと考えています。  何よりも、海は世界をつなぐ道です。国際協力、それは、インド太平洋戦略も含め、あるいは島嶼国への支援等、できるだけ世界をつなぐルートを念頭に置きながら、海は世界とつながっているという概念から、守るべきところは守り、手をつなぐところは手をつなぐという方向で進んでいくことを望ましいと考えております。  以上です。
  76. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、奥脇参考人からお願いをいたしたいと思います。奥脇参考人
  77. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 奥脇でございます。  現在、日本海洋政策学会の会長も務めておりまして、その関係で今日は何かしゃべることを求められているんだろうと思いますけれども、私自身の専門は、国際法、海洋法、国際紛争解決というようなところが主でございますので、本日はそういう国際法の立場から、海洋政策を通じて日本が国際貢献、先駆的な国際貢献をしていく道はどういうところにあるのかということを少し考えてみたいと、こういうふうに思っております。  今お手元にレジュメとそれから若干詳しめの参考資料とありますので、それを見比べながら話を聞いていただければいいと思いますが、今後のことを考える上については、少なくともこれまではどうであったかということを簡単に、図式的で申し訳ないんですが、簡単にしゃべりたいと、こういうふうに思います。  そのために、一番で海洋秩序の構造変化と、こういうことを書かせていただいております。  つまり、従来の海の秩序、これは公海・領海二元論と、こういうことで成り立ってきたと。領海というものについていえば、これは主権の海、排他的主権の海と。それから、公海というのは包括的な自由の海である。つまり、公海は自由勝手に使っていいと、領海については主権を及ぼしていいと、こういうことで。もちろん、それぞれに例外があって、通航権とか、公海においては海賊という重要な例外はあるわけですが、しかし、基本的に公海というのはなぜ自由であったかというと、それは基本的に、公海は広い海、これは管理不能なんだと、同時に管理が必要ない。つまり、資源は無尽蔵であり、あるいは自然の浄化力というものに頼っていけばよろしいと、こういう考え方ですね、考え方。  もちろん、それが大陸棚制度とか出てくると成り立たなくなっていくわけですが、そういう海底制度の変化ということに伴って、特に、そういう二元的な制度では駄目だという考え方が非常に強くなって、第三次海洋会議における海洋法条約の成立、こういうことに至っていくと、こういうことだろうと思います。  その海洋法条約、UNCLOSの制度の一番重要なところというのは、一つは排他的経済水域制度ということにあるわけで、排他的経済水域制度、広大な海、今までは何やってもよかった海。ちょっとそれは語弊がありますが、簡単に言うために申し上げると、何やってもよかった海。それに対して、どうも広い海でも何やってもいいというわけではないと。例えば、資源保存とかあるいは環境の保全、特に大型のタンカーの就航等によって非常に海域における船舶起因汚染というのが重大な問題になってくる、これをどうしたらいいかと。  こういうようなことで、やはりそういうのを責任持って任せられるのは沿岸国ではないかと。つまり、沿岸国は資源保存に当然利害、関心があるはずだし、当然関心がある、あるいは汚染についてもそうであると。そういう場合に、一体、沿岸国にどの限度で任せるかというのは非常に難しい問題ではあったわけです。  資源保存ということでいえば、今ではEEZ資源というのは沿岸国のものだという何か領海化された考え方になってしまっていますが、当初はやはりその資源保存の責任の上に立ったEEZと、こういうことだっただろうと思うんですね。その責任の部分がだんだん希薄化されているのは確かにそのとおりかもしれませんが、環境汚染、油汚染ということに限って言えば、油汚染というのも、実はこれは船舶の通航権との非常に微妙な練り合わせの中でようやく認められているのであって、したがって、国際基準による締め付け、制約、非常に大きいと。  しかし、いずれにしても、従来、公海自由である、そこで行った汚染行為についてなかなか沿岸国が手を出せない。特に、公海・領海二元論の中では、船舶の国籍というものを介して海洋秩序を守ると、こういう考え方が基本であるわけですから、したがって基本は旗国主義と。汚染船舶見付けても、結局は旗国に対して通報して、その旗国に、いずれ船舶は旗国の港に戻るというのを前提に、戻ってきたところで処理してもらうと。要するに、政府の責任として自国の船舶を管理しろ、こういう体制だったわけですが、しかし、多国籍船舶が、便宜置籍とかそういうことになってくると、なかなかそういう責任も果たしてもらえないと。  そうすると、やはり海洋汚染についても沿岸国というものに何らかの大きな役割を認めていった方がいい。特に寄港地国、こういうものに役割を認めていこうと、こういうようなことで、EEZ制度とともに、そういう新たな管轄権、つまり、EEZという機能的水域であって、それは領海ではない、しかし、その代わりに、沿岸国に特別の関心を持っているような事項について特別の権限を与えていこうと。簡単に言うと、そういうのが海洋法条約であると、こういうふうに思います。  ただ、それでEEZをつくって全てが完成したわけではなくて、そこに参考として五十九条というのを載っけてありますけれども、要するに、EEZ利用、つまり、広い海の利用というのは今後ともいろんな形で発展していく、発展していくときに、そこで新たな利害の衝突、紛争、こういうものが起こる可能性がある。そういう場合にどうするかというと、そこに書いてあるように、当事国及び国際社会全体にとっての利益の重要性を考慮して、衡平の原則に基づき、かつ、全ての関連する事情に照らして紛争は解決するんだと、こう書いてある。これ、書いてはあるわけですが、どうやって実現するのか、大変な問題だろうと思います。  ですから、そういう意味で、この未帰属の権利というものがうまく調整できるようにしていくためには何を国際社会としてまずやるべきか。  私自身は、基本的にはやはり海洋について我々が知るところが余りに少ないわけですから、客観的というか、科学的な根拠をもって議論ができるような体制に持っていくと。そのためには、やはり日本のように非常に海洋科学というものが発達している国がその先駆的な役割を果たしていく、特にサイエンスとテクノロジーと、こういうものを通じてそうした役割を果たしていくべきであると、こういうふうに思っているわけです。  これが私の今日の結論でもあって、あとは、それがどういう部分でどういう形で現れるか、こういうことを少しお話をしていきたいと、こういうふうに思っているわけです。  最初に、公海について、排他的経済水域の外にまだ公海はあるわけで、その公海について規制を何とかしなくてはいけないということで、公海漁業協定、国連公海漁業協定というのがあったりして、その境界、海域区分ということでいうと、公海と領海、公海と排他的経済水域の間は人為的に海域区分はできるわけですが、海域区分というのは、人為的な管轄権、国家の管轄権の抵触を避けるという意味では非常に重要なんだけど、そしてまたそれが国際法の基礎なんですけれども、しかし、魚は海域区分関係ない、汚染も関係ない、これをどういうふうに抑え込んでいくかと。非常に大変な問題がある。  特に、公海、排他的経済水域の外側の公海とその隣接するEEZ、この間の調整というのは非常に難しい。というのは、EEZにおける資源管理措置、これは沿岸国にもう基本的には任せていると。ところが、魚は公海にも泳いでいる。そうすると、例えば、EEZの外側、EEZの沿岸国が漁業資源保存のために当面の間漁獲ゼロという禁漁措置をとっている。そうすると、その外側の公海には非常に多くの魚が出ていると。そうすると、そこを待っていて、それを全部捕ると、こういう国も出てくる。こういうのは、実際にカナダとスペインの間で起こった事件とかあるわけですね。そういうのをどうしたらいいか。  やはり、そういう無責任な漁業、こういうものは抑え込んでいく必要があるんだということでこの公海漁業協定というのができるんですけれども、じゃ、その保存措置をどこで、つまり沿岸国がとっている保存措置でいくのか、EEZのですね、それでいくのか、公海について何らかの機関を設けて、これは地域漁業機関というのが、RFMOというのがあるわけですが、それが定めたもので従ってやるのか。つまり、そのRFMOという地域漁業機関の保存措置というのでいくということになると、沿岸国のEEZに対する権限がそれだけへこむということになる。  これをどういうふうに調整するか。これ、なかなか調整付いている問題ではないんです。調整付けるとすれば、それは、やはり科学的根拠、漁業資源についての科学的根拠、これをもって議論する以外にはない。しかし、残念ながら、最近の国際社会ではそれを、科学委員会というのがある国際機関はいろいろあるんですが、科学委員会の客観的なエビデンスに基づく措置というのはなかなかとれないと、こういうことが多分起こってきている。捕鯨の問題もかなりそうですが、ミナミマグロ事件なんかのマグロの問題も多分そういう面があると。  つまり、責任ある漁業をするためには、そういう、イリーガルはもちろん、アンレポーテッドな、あるいはアンレギュレーテッドな漁業、これをやはり規制していかなくちゃいけない。これ、IUU漁業というわけですが、そのためにいろいろな科学的、客観的な情報、こういうものが必要になるんだと、こういうことになっていくはずなんですが、なかなかそうなっていかない。  日本なんかは、そういう意味では非常に、例えばIWC、捕鯨についてもIWCなんかに非常に多く貢献をしているわけです、データとしてはですね。しかし、それを全く無視されるわけですから、それは日本として、まあ、これは脱退したのがいいか悪いかの評価は私はできませんが、少なくとも日本がいなくなったらIWCも困るわけですね。つまり、データが、正確なデータがない。日本は、お金使って、物すごいお金使ってそういうデータを提供していたわけですから、これを誰かがやるか、あるい日本日本周辺EEZについてだけデータ出すか、この辺が非常に難しい話になってくるでしょうと、こういうふうに思います。  いずれにしても、そういう科学的根拠に基づく措置というのがますますとりにくいことになりかねない。そういう意味で、そういうアンレポーテッドなもの、こういうものをできるだけ少なくし、かつ客観的な、漁業ですから、なかなか科学的根拠に基づくというのを、言うのは易しいんですが、非常に難しいというのがありますが、しかし、公海で漁業を外国漁船がやっているときに、そこに入っていって立入検査をするとか、あるいは、ちょっと時間がなくなるので後で話すのを今お話しすれば、最近では、寄港地協定、要するに、違法な漁業ないしはアンレポーテッドな漁業をやった、漁獲をした船がどこかの国に寄ろうとしたときに協力して措置をとる、つまり港に入れない。  これは、ちょうど小笠原のサンゴのときにも問題になったように、日本は現場でその違法なサンゴ漁を規制するのを非常に苦労する。なぜかというと、漁業の場合、やはり現場で現行犯で捕まえないと、とても法令違反を問うことが難しいと、こういうことがありまして、そこでうまく捕まえられないということがあったわけですね。そのときに、実は中国に要請して、中国がそういうサンゴ漁をやって持って帰ったものを港に入れないとか、あるいは市場に出さないとか、いろいろそういう措置をとってもらうようにやったと思います。それで、かなりそのサンゴ漁というのは減少はしたと。今でも出てくるみたいですが、それは中途でシャットアウトすると、こういうようなことをやって、余り最近は新聞種にならないと思いますが、そういうようなことがあった。  それと同じように、違法な漁業るいは無報告の漁業によって持ち帰ったものは、持ち帰ってくる船、これは寄港させない、寄らせないと、こういうようなことで寄港地の措置をとる、こういうような協定というものを結んでいるわけです。  そういうようなことで、海洋の管理というのを必要になったからEEZもできたし、あるいはその外側に、更に海底、大陸棚についても深海底制度という別途の、言わば深海底の資源、こういうものは国際社会全体の利益として、言わば地上でそうした類似のものを産出している国とか、あるい発展途上国とかそういうのに言わば分配していくと、こういうような体制をつくったわけですね。  そういうことで、EEZについても、基本的にはやはり海の連接一体性というか、それに基づいて言わば協力しなければ、その機能的な目的である漁業資源の保存であるとか汚染の防止であるとかできませんよと、こういうようなことになって、海洋管理ということが国際的な協力によって行われると、こういうことにならざるを得なくなってきている。この傾向はどんどん強まってはいるわけです。  それを海洋協力としてどういう形で実現していくかと。これはなかなかまた難しい話ですが、少なくとも、当初、海域の秩序というのは、三番目の点ですが、二元的な海域区分と、それと旗国主義、これは先ほどお話ししたとおりで、それによって維持されたんだけど、それはできなくなってくると。  そこで、その実質国際法的規制というようなことで、多国間条約、国際機関の基準を設けて、それに従ってもらうということになって、さらにそれを、基準に従わない国がいっぱいいると、それを更に抑え込むためにどうするかというと、UNCLOSで、管轄権の機能的な拡張、汚染に関しては寄港国主義とかあるいは沿岸国主義とか、そういうものを取り込んで、しかし、汚染に関して船舶起因汚染で抑え込もうとしても船舶の通航に余り影響があっては困る、したがって国際基準を厳格に守らせる、その国際基準を実施する国内法令であれば、その寄港国が適用をしたり、あるいは沿岸国が取締りをしたりということは認めましょうと、こういう体制になっている。だから、船舶の通航利益と、こういうものを害さないということが第一の重要な論点であると、こういうことだろうと思います。  また、その管轄権の機能的拡張ということでは、先ほども述べた公海漁業協定とか、あるいは寄港国措置協定とか、そういうような新たな管轄権というものを生み出して新たな国際協力をつくり出す、こういうことが行われるようになってきているわけです。  さらに、UNCLOSには先ほど言った深海底制度というのがあると。これは、人類の共同遺産として、コモン・ヘリテージ・オブ・マンカインドと言われていることであるわけですが、しかし、その人類の共同遺産というのは決して深海底機関が独占的に開発するということではなくて、基本的にはそれが、ある部分はその国家、開発を求める国家、したい国家、こういうものに認め、かつ、そこから上がる収益の一部をISA、国際深海底機関に上納させて、それで今度は深海底機関が行う開発、こういうことに使っていくと、こういう体制はつくったわけです。  しかし、どういう形でその深海底を国家が開発する部分、これを分配していくか、これはなかなか難しい問題があるんですが、なぜそういう深海底制度ができたかというと、これは、皆さん御存じのマンガン団塊の所在が分かって、マンガン団塊を一生懸命先行投資して開発しようとすると、言わば努力もしないで、例えばアメリカの船が一生懸命マンガン団塊を開発しようとし始めると、隣によその国の船が来て勝手にやり出す。公海が自由である限りでは、それも認められるということになる。つまり、クリームスキミングをやる国が出てくると。これは、特に鉱業開発、二十年、三十年の鉱区の独占がなければ採算合わないわけですから、そういうようなことでは深海底の開発はできないということで、深海底の開発というものをするためには、深海底機関、こういうものもやらなくちゃいけない、こういうことになってきたわけですね。  それで、そういう意味では、深海底機構をつくることには取りあえず賛成したんだけど、しかし、深海底の開発となると、これはなかなか、またいろんな問題が起こる。特に汚染の問題があり得るわけですね。深海底という新しい部分を開発する。これは、同じことが、海底の新しい利用である海底炭素貯蔵であるとか、あるいは先ほどもお話にあったメタンハイドレートとか、あるいは熱水鉱床とかレアメタルの掘削とか、こういうのもいずれも同じことが言える。  海域は連接一体を成しているわけですから、どこかで大きな事故が起こったときに、その海底の掘削に基づく汚染というのが、油汚染とは違うレベルで極めて海を広く滞留すると、こういうようなことが言われているんですね。ちょうど火山が噴火して空を噴煙が覆う、これがずっとそこに滞留するというようなことがあると、非常に地球環境に大きな損害が生ずる。つまり、これもまた海域区分ではやっていけない。  そのために何をやっていくかというと、今やっているのがやはり環境影響評価。日本なんかは、環境影響評価の基準って多分非常に慎重で、メタンハイドレートにしても熱水鉱床にしても、ある意味では、このぐらい慎重にやっていれば何とかそういう重大な汚染は生じないということがあると思いますけれども、しかしそれは、日本が、逆に言うと、そういうものの開発がなかなか進まない一つの原因でもあると。ここは非常にジレンマが大きいと思うんですね。だから、今のところは非常に慎重にやっている。国によっては非常に慎重でない国もあります。  そういうようなことがあるので、海洋科学研究の成果を生かして資源開発にしても海底開発にしてもやっていくためには、やはり日本のそういう基準というのを国際化していく、つまり先駆的なそういう今やっていることを国際社会に広げていく、こういうことが重要なんだろうと、こういうふうに思っています。  そういう日本海洋科学に関する情報というのは、例えば南太平洋諸国に対する援助としても非常に有効であるわけですし、そういうようなことをやりながら、基本ですね、それは。もちろん安全保障とかいろいろあります。ちょっと飛ばしましたけれども、先ほどお話にあったMDA、こういうのも、必ずしも狭い意味での軍事ではなくて、広い意味での安全保障、つまり科学情報を含めた安全保障、こういうことになってくるんだろうと、こういうふうに思っております。  その点は、既にこのMDAのイメージとして海洋政策本部でつくられました制度でも、やはり全ての人が共有できるデータ、それ以外に、やはり官庁のみで共有する、さらには軍事と共有する、こういう軍事関係の自衛隊と、海保とか、そういう極めて特定の部局でしか共有できないデータ、これを分けているわけですが、どういうデータがどれに当たるか、これはなかなか重要な問題で、これをしっかりとやっていかなくちゃいけないんだろうと、こういうふうに思っております。  ちょっと長引いて申し訳ございません。
  78. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。  なお、質疑及び答弁着席のままで結構でございます。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員発言機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いをいたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  朝日健太郎君。
  79. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 自由民主党の朝日健太郎でございます。  参考人先生方、本日はありがとうございました。  本調査会、先ほど政府にはいろいろ質疑をさせていただきましたので、これからは両参考人の御専門の立場から御意見、御見解をいただければと思いますので、よろしくお願いします。  本調査会は、やはり我々、国際社会において我が国の、国際社会でリーダーシップ、イニシアチブを取っていくというのは非常に国益に資するという観点で重要かと思っています。  その中で、中国が一帯一路というものを打ち出して、それに準ずる形で我が国は自由で開かれたインド太平洋戦略というものも、決して対抗しているわけではないというふうにはなっていますけれども、こういったメッセージを出して様々な戦略を打ち出していると思います。  本日は海洋政策ですので、先ほど奥脇参考人からも海洋秩序という部分もお話ありましたし、一方で山田参考人からは経済活動、こういった観点で御専門だというふうに伺っておりますので、両参考人にお伺いしたいんですけれども、まさに今、我が国は自由で開かれたインド太平洋戦略を打ち出していく中で、これはある意味、シーレーンの確保であったり海洋資源確保であったり沿岸国との国際社会における協力関係、そういったものかというふうに私は理解をしているんですけれども、この戦略について両参考人どのように御意見をお持ちなのか、見立てているのかというコメントをいただければと思います。よろしくお願いします。  まずは、山田参考人からお願いします。
  80. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 自由で開かれたインド太平洋戦略、非常に私は魅力的な戦略である、これは一つ考えています。  一つは、中国、一帯一路という戦略の中で海のシルクロードを進めていく中で、これは一つ、真珠の首飾りと言われる軍事戦略、拠点港の整備とリンクして動いている。また、かなりの地域が中国経済によって支配をされてしまっている中でバランスが取れなくなってきて、例えば、スリランカのハンバントタ港と言われる港は、中国の資本によって九十九年租借という、実際には株式を買い取るという形で租借されてしまった。九十九年間、中国の支配を受けなければいけないという状況ができてしまっている中で、日本、オーストラリア、米国、インドを中心に、アジアのバランスを取るという意味で、どこの国に付くというのではなく、常に公平な立場で海域維持されるという中で、一国の支配だけではなく複数の国がバランスを取る力を見せていくと。  残念ながら、海の上では、特に海を守るという姿勢を見せていかない限りには平和は維持できないと。実際、南シナ海では人工島があっという間にできてしまって、軍事拠点が造られてしまった。それは、フィリピンやベトナム、実際に目の当たりにしている国々にとっては脅威である。ただし、一国では対処できない中でのこの意味合いというのは非常に重要だということと、公平な貿易、自由な貿易を進めていくというのは、これ、今、アジアの国、特にベトナムあるいはラオス、カンボジアも含めてどんどん展開していく中で、自由な貿易体制維持できる環境、特定の国に支配される港ではない、自国の主権を持った港で自由に貿易のできる体制という意味において、この戦略というのは非常に重要であると。  私は東南アジアでの仕事というのをかなりしてきましたが、やはり日本に頼りたいという気持ちは各国持っています。日本の自由主義経済、そして日本企業体制、決して、意図的に支配していくというよりも、実際としてのビジネスとして考えてもらえる日本の経済体制というのは魅力的なものである、公平的なものであると東南アジアの国々、考えている国が多いようですので、そういう意味であって、日本の、この複数のアジアの力、経済的な力を持った国々と協力していくということは意義があると考えています。
  81. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) ありがとうございます。  直接的なお答えになるわけではないんですけれども、基本的には、自由で開かれたインド太平洋、これはもちろん重要なことですが、一帯一路は、それが当然にそれと矛盾するのかどうかというのは私はよく分かりませんが、南シナ海から中東に至るシーレーンを確保する、これは日本にとって非常に重要な問題であると、こういうことは当然であるわけです。  それゆえに、例えば南シナ海における中国の主張、こういうものが、例えばICJの仲裁ですけれども、仲裁でどう判断されたかということは大いに考えておく必要があると、こういうふうに思います。その仲裁裁判では、先ほどのEEZ制度海洋法条約による導入によって、中国の伝統的な九段線の海域主張、これがもう既に上書きされたんだと、もうそれは意味がない、こういうことがはっきりと言われているわけです。その意味では、日本にとってはまずは非常に重要な法的な根拠というのがあると。ただし、同時に、そこでは南シナ海にはEEZの根拠となるような島がないと、こういうようなことも言われている。  さて、この判決をどういうふうに我々は受け止めるかというのは、学界でもいろいろもめているところであるわけですけれども、このEEZを持たない島、人が住まないような島、こういうようなこととの関係でいえば、日本の沖ノ鳥島の問題とどう絡むかというのも非常に重要である。  ただし、この仲裁判断については、フィリピンも中国ももうそれは紙くずだと、こう言っているわけで、それは当事者がそう言ったのは、その判決理由だけが一体生き残っているかどうか、こういうことも考えなくちゃいけない、こういうことだろうと思います。  アメリカなんかがそこでしょっちゅうフリーダム・オブ・ナビゲーション・オペレーションというのをやっているわけですが、日本も多分それ同じようなことを時々やるんだろうと思うんですね。ただ、このフリーダム・オブ・ナビゲーションというのをやるのが、中国がそれに対して、本当にそういうオペレーションをやったことに対してハラスメントをするかというと、実はインペッカブル事件というのは、昔、海南島の海軍基地の入口の辺りのEEZで起こって、アメリカの調査船、これが中国からいろいろなハラスメント行為を行われたと、こういうことがあったんです。しかし、その後で、それは主張としては、中国はEEZの軍事調査は認められないという主張だったんですが、しかし、軍艦が自分の、いざというときにどこ走れるか分からないと、そういう調査なしにめくらめっぽう走っても危ない。それは中国の軍艦、軍隊もそう思っているわけで、そこで、EEZにおける軍事調査はできるだろうと。しかし、機微のある場所はまずいと。  こういうようなことで、ある程度の合意ができてくるわけですから、そういう意味で、少し長く時間を見ていれば、ある程度のそういう通航権に関する制約というのは除かれていくのではないかと、こういうふうな気がします。
  82. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございました。  お時間も限られていましたので、最後一点、山田参考人にお伺いしたいんですが。  我々の抱える国境離島始め島嶼部、これがやはり我々の領海、EEZを広く支えているわけですけれども、今日の御説明の中に、やはりこういった島嶼部の振興であるとか、中には最近でいうと防衛力の配備であるとか様々な課題があると思いますけれども、今日の御説明の中で、まだ不足している部分があるとか、人々の暮らしを守る部分が重要であるというような御意見いただきましたので、よりもうひとつ具体的なところを最後いただければと思います。  よろしくお願いします。
  83. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) まず、人が生きる体制といいますと、人の環境ということは産業ということになってきます。これは産業が先なのか環境が先なのかということで、私は今、国境離島を見てきて、やはり若い世代が暮らせる島づくり、これが重要であるとなると、石垣島で実際に進めてもいることでもあるんですが、子供、要は幼児教育や初等教育を充実させていく。これが実は与那国のような島だと、また自衛隊の配備とリンクした形で、自衛隊が配備されることによって複式学級がなくなると。それで、初等教育が充実してきたために、島民の自衛隊に対する協力も堅固なものになってきたと。  そういう中で、島の開発、実は人が生きることこそが一番の安全保障につながる問題であると。そのためには、人々が安全に暮らせる環境づくり、それが子供を育成する社会と合わせた形で安心して住んでいける環境づくり、要は警察権、あるいは自主防衛権も含めての、これが両方をリンクさせた形で進めていくことが重要だと思います。
  84. 朝日健太郎

    朝日健太郎君 ありがとうございました。  終わります。
  85. 鶴保庸介

  86. 木戸口英司

    木戸口英司君 共同会派木戸口英司です。どうぞよろしくお願いいたします。  今日は、お二人の参考人、本当にありがとうございました。  それでは、早速、奥脇参考人にお伺いをいたします。  法の支配、そして海洋の秩序ということ、これは世界の秩序ということでイコールではないかと思いますけれども、その中で、この国連海洋法というものが成立して、途上国の意見も大いに参考にされてこの条約ができたということは非常に画期的だったんだろうと思いますが、先ほど来、これを運用していくことは外交上またなかなか困難なところもあるということはもう十分承知しておるんですが、昨今、新たな、環境問題はもちろん古くて新しい問題であるわけですが、新たな問題にも直面している。また、世界をリードしてきたアメリカの外交の在り方、あるいは中国の現状ということで、この秩序維持、また秩序の形成力というんでしょうか、大変難しい状況、あるいは後退してきていないかということを懸念するんですけれども。  非常に雑駁な聞き方で恐縮ですけれども、こういった法の支配ということに関して、奥脇参考人、現状をどのように認識されているか、お伺いしたいと思います。
  87. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 今お尋ねの点は特に、自国第一主義というようなのが蔓延していろいろな、多国間条約から国家が抜けたりですね、これはブレグジットも含めパリ協定も含め、いろんな形でそういう多国間条約というものの御威光が減りつつあるのではないかと。UNCLOSも多国間条約である限りにおいて同じようなことになっていくかどうかと、こういう御下問だと思うんですけれども、多国間条約というのは基本的には、それぞれの国が言わばその条約の定める義務と権利と、こういうものが自国にとって取りあえず有益であると思って多分条約を結ぶんですね。それはもちろん、その後からいろいろ変化して、困った、こんなつもりではなかったと、こういう問題が出てくると。  それは例えば、IWCの基になる捕鯨取締条約でも、裁判所自身が、この捕鯨取締条約というのは変化していくインスツルメント、文書なんだと、だから、それが全く目的と違うところに行っちゃっても、それは変化したんだからしようがないと、こういうことを一応言うわけですよね。それは、いろんな部分でそういうことが起こってくるだろうと。  要するに、自国の利益を言わばベースにして多国間条約の義務というのに国家はコミットする。そのベースは、最も基本にあるベースは、特に環境とか、あるい資源保存ということではどういう部分かというと、やはりそれは科学的に根拠をきちっと示してその上でやるべきだと。その上で議論しなければ、結局は正義とか、つまり国家の妥協によって成立したものを正義の観点から批判しようとすれば、そこにはもう合意は成り立たなくなる、こういうことが多国間条約には多分にあると。それをいかにうまくやっていくかというのがなかなか国際協力として難しい部分ではあるわけです。  そういう意味で、自国第一主義そのものが、全く理由を示さないとか科学的根拠も全くなしにとか、そういう我々が通常行う議論と違うところで出てくると、これは国際法は全くその能力がないわけですね、処理する能力が。  ただ、お互いそういうところは、やはり先ほど海洋法条約の五十九条を見ましたように、これから新しい問題が出てきたらどうするかというときに、既存の枠組みというのを尊重しながら、かつ、そこから、その枠組みの中ではどうしても処理できない、その枠組みだけだとこういう不都合がある、それをきちっと示しながら異なる合意を模索するということが大いにあってしかるべきだろうと思う。そこが一足飛びに自国の利益だけということになると大変な問題が起こる、これは国際法というか条約では処理できない問題になってしまうと、こういうふうに思います。  だから、そういうことができるだけないような条約の運営というのが必要なのかなと、こういう気がします。
  88. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございます。  そこで、日本の在り方なんですが、今回の海洋基本計画、一番筆頭に総合的な海洋安全保障と。安全保障の現状が東アジアで大変厳しい状況になっていることは我々も十分に理解をしますし、大事なことだと思いますが、これから客観的、そして科学的に、そして普遍的に世界をリードしていく日本であるとするならば、この総合的なというところを先生もある程度評価されているということを読ませていただきましたけれども、少しこの総合的な海洋安全保障というところ、日本の在り方として、ちょっと解説を奥脇参考人からいただければと思います。
  89. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 総合的安全保障、これは安全保障概念を非常に広くしてはいると思います。私のレジュメでも、言わばそういう安全保障上のデータ、情報、こういうものを、科学的なデータとどう違うのかというようなことをMDAとの関係でちょっと指摘はさせていただいているんですけれども、重なる部分は相当に軍事調査であろうと海洋科学調査であろうとあるわけですね。そこの部分はお互い共有できると。しかし、共有できないものがあるでしょうと、それはそうなんだろうと。  つまり、例えば、情報を持っているということが知られること自身が情報収集能力に対する相手国の判断、これを生み出してしまう、そういうような場合、そういう機微な情報というのはやはりある。それはやっぱり国の中で本当に一部の人が共有するので、科学界とか一般社会が共有できない情報、これはあるんだろうと思うんですね。  ただ、それを誰がどうやって判断していくかというところは私はよく分からなくて、その識別をきちっとする、そういう基準、こういうのはやっぱり必要かなというふうに思っていますが、そういう意味での総合安全保障というと、第三期海洋基本計画でも、やはりそういう軍事はもちろん、しかし同時に、災害とかそういうものまで含めた対応、これを総合安全保障の中に入れていて、その場合の、やはりそこの安全保障情報というのは基本的にはやっぱりリアルタイムで必要な情報ということだと思うんですね。  ところが、海洋科学研究の情報というのは、物すごい長いタイムスパンの中で継続的に何回も具体的な問題はなくても集めておいて、何かできたときに、こういうデータはそのときどうなっているかというのを比較して、そのことによって海洋状況を把握できると。それはもちろん軍事的な安全保障にもつながっていき得る問題ですが、そういう情報なんだと思うんですね。  そういう意味で、万人が、社会全体が共有できる情報というのを積み上げることが、結局は、もちろん軍事に直結はしないかもしれませんが、軍事的な意味をも持ち得るんだろうと、こういうふうに思う。それが総合安全保障ということになるのかなと。特に、そういう情報を通じてサイエンス・アンド・テクノロジー、こういうものの協力を進めることがかえって諸外国の日本に対する信頼を高める、こういうことで安全保障につながっていくと、こういうふうに思います。
  90. 木戸口英司

    木戸口英司君 じゃ、あと三十秒ですので。山田参考人、一言、済みません。  人材育成のお話ありました。国に期待することをちょっと一言二言で、申し訳ありませんが。
  91. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) できるだけ多くの子供たちに、海に興味を持つ、海に囲まれた国ですので、海に興味を持ってもらいたいと。海なし県というエリアありますが、世界地図から見るとみんな臨海部なんです。海へそんなに遠くない時間で、できるだけ子供の頃から海に興味を持ってもらうように海を教えてもらう、海を体験してもらう、できるだけ海を体験してもらう教育を推し進めていただきたいと。  そして、職業としての海事分野にもう一度目を向けるような教育。例えば、船員教育の枠は増えないということが文部科学省から、これは獣医さんと同じルールの中で船員は増えない。でも、外航船員を増やしたいという戦略がある。矛盾しています。海に関わる人材育成できる環境、少なくとも制限がある部分には解除をしていただきたいと思います。
  92. 木戸口英司

    木戸口英司君 ありがとうございました。
  93. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 新妻秀規君。
  94. 新妻秀規

    新妻秀規君 まず、海洋資源開発の在り方について、お二人の参考人先生にお伺いをしたいと思います。  私、海洋資源の研究を進めていらっしゃる事業者の方と懇談をする機会がありまして、その会社では、メタンハイドレートとかそういう海洋資源を探査するために、水中の無人探査機、探査船、これを開発している、そういう会社の方でした。その方がおっしゃっていたのが、こういう研究の中でいつ予算が打ち切られるか分からないという、そんなような不安を吐露されていらっしゃいまして、先ほどの対政府質疑でも是非とも長期的な視野に立った研究開発推進をというお話と、あと、国の研究機関も、文科省の所管のJAMSTECもあれば、また経産省さんが所管のJOGMECもあると。やはり、長期的な視点の研究はJAMSTECさんで、実用に近いところはJOGMECさんみたいな、そんな仕切りの中で結構縦割りみたいなのもあるんじゃないかみたいな観点から、連携した長期的な取組をということ等々を政府に求めまして、頑張りますよという、そういう回答でした。  ただ、事業者さんからそういう声が上がっている以上、やはり課題はあるんじゃないかなと思っておりまして、山田先生、また奥脇先生から、日本のこの海洋資源開発研究開発の在り方について注文があれば是非ともお伺いをしたいと思います。  また、あわせてなんですけども、これは山田先生にのみお伺いしようと思うんですけども、先ほどの意見表明の中で、海洋資源開発と環境保護の両立を、そしてそのための教育をということを強調されていらっしゃいました。この点はもう一度深くお伺いをしたいと思います。  以上です。
  95. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 日本海洋、例えば海底熱水鉱床、まず発見するのは海上保安庁なんです。そして、それが情報提供されて文部科学省のJAMSTECが研究開発をしていく、そして商品化の、実際に開発行為の中でJOGMEC、経済産業省関係が動いていく。理想はやはり連携ということなんですが、一つ一つの壁がある、予算が明確に違うことの中で、限られた予算の中で動いていく。もっとダイナミックに一元化した予算確保ができれば研究の段階でもある程度の資金投入ができる、より多くの資金投入ができるということになってこようかと思います。  できれば海洋資源を、各分野分かれるのではなく、一元化した監督省庁、どこかが監督し、そして一元化した流れの中でスムーズに、ダイナミックに、必ずしもある海底資源を全て開発しなければいけないということではないので、それは選別をし、日本にとって有益、我が国にとって有益なもの、あるい開発可能な、採算性も含めて可能なものというのを選択できる機関をつくっていく。できれば一元化するのが望ましいと思います。  続けてよろしいですか。  環境保護と開発、これも教育の問題でもあるんですが、研究者は分野ごとに研究しております。開発の研究者は余り環境保護ということに興味を持っていない、周辺で生きている海洋生物にも興味を持っていない。  実は、海底資源開発周辺には非常な有益な海底生物がいるかもしれない。海の世界というのは宇宙以上にも分からないと言われている世界なので、この教育の新たな分野、国の政策としても、総合海洋政策という流れの中で分野を超えた研究というのを高く評価していただくような例えば科研費のシステム等がありますと、あるいはもう半強制的に一つのテーマに複数の分野の研究者を集め研究してみるというのも、フィールドを決めて研究してみるというのも面白いと思います。  特に今、沖縄沖の海底熱水鉱床のエリア、もしも開発するならば、どれだけ環境に配慮できて、しかも地元の人たちにメリットがあるようなものというのを、例えばフレームを決めて、この環境で研究者を集めてみるというのを政府として動いていただけたら思い切り前進することができるのではないかと考えます。
  96. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 一番目の質問について答えさせていただきますが、やはりそこの部分、私はどういうふうな組織的な形を取るべきかというのは全く専門でないので統一してとかいうことは言えませんけれども、基本的に、やはり今、山田参考人が言ったように、結局、環境保護との関わりで非常にどうも負担が物すごく掛かっているという感じがいろいろお話を聞いているとあるんですね。  ただ、それは非常に日本にとっていいことで、つまり環境影響評価の基準というのが国際的にまだ確立していない、もちろん、それぞれの鉱物資源ごとにそれは変わってくるわけですから、少しずつ進めながら、本当の危険性はどこにあるかというようなことを探っていく必要がある。  メタンハイドレートも、よく分かりませんが、新潟沖の表層型とか、それともう一つの、海底の中の三重県沖ぐらいのですね、あれで、今のところ政府が主としてそこにお金を出しているのは三重県沖のことだと思いますが、それは環境影響評価ということからいうと、表層型のをやってみて、やったらいいのかなと思う部分もないわけではなくて、海底型、即掘削に入るわけですよね。  その掘削でとんでもない事態が起こらないようにするにはどうしたらいいかということで、非常に苦労されて、その掘ったものをくみ上げて陸上に一遍置いて、それからまたやると。これ非常にいいこと、そういうふうなことに気を遣ってやっていられるのは非常にいいので、したがって、そういうものを、いずれにしても、どっちをやるにしても、環境影響評価の基準というものをその間に蓄積して、国際社会にそれを要求していくと、こういうようなことが必要だと思いますし、熱水鉱床も、これ大変な苦労をされている。  どうやっているかというと、熱水鉱床周辺というのはやっぱり特殊な生物がいるわけですね。その遺伝資源の問題というのはやっぱりどうしてもあって、これはBBNJとは関係ないわけですけれども、しかし、その生物資源が、ほかの熱水鉱床にも同じものがあるかどうか、こういうのを調査した上で、そこは、ここだけはやって大丈夫だというようなことを一生懸命、生態系に対する影響ができるだけちっちゃいようにということを配慮してやっておられるので、これもまた大変なお金の掛かることなんだろうと思いますね。  そういうのを一体、おろそかにしていいということは言えないわけで、おろそかにしないで、それを世界基準にしていくということが一番いいのかなと、こういうふうな気がしております。
  97. 新妻秀規

    新妻秀規君 次に、奥脇先生にのみ御質問をさせていただこうと思うんですが、奥脇先生の発表している一番最後のページに結論というところで、科学技術の力で世界をリードするというふうにございます。このところで海洋人材育成が重要だということで項目出しがされておりまして、先生が求められる海洋人材、どのような具体像をイメージされていらっしゃるのか、お願いいたします。
  98. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) これは今、山田さんがおっしゃったことを含めるんですが、私がここで海洋人材と言うのは、もう少し、何というんですか、高校、大学、この辺りで海洋を言わば専攻、海洋学、こういうものを専攻していくような学者を育てなくちゃいけないと。ただ、それを育てるには、山田さんがおっしゃったように、もっと下のレベルからやっていかなくちゃいけないというのは確かにそのとおりだろうと思います。  我々、今もう若い世代は余り船に乗ったこともないし、ちっちゃい子ですね、ちっちゃい子は船に乗ったこともないし、臨海学校も余り怖くてやらないようですし、要するに、そういうようなところを、やっぱり危険もある程度は覚悟して海に親しむと、こういうようなことをやっぱり進めていった方がいいんじゃないんでしょうかと、こういう気がしております。
  99. 新妻秀規

    新妻秀規君 今、奥脇先生から、また山田先生からも、やっぱり海と触れる機会をという本当に重要な御提案をいただきました。また、これもしっかり政策に反映していくべきで、頑張っていこうと思います。  以上です。ありがとうございました。
  100. 鶴保庸介

  101. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。  山田先生におかれましては、七、八年前でしょうか、尖閣を東京都が購入するしないといったときに、私、都議会議員でございまして、石垣島で尖閣に行く前に様々な御指導をいただいたことを昨日のことのように思い出しますけれども、尖閣に当時、漁船で二十時間ぐらいでしょうか、掛けて視察に行ったわけですけれども、その途中にも様々な違法操業の、どこの国籍だかよく分からないといった船がたくさんあったと、そのことをよく記憶しているわけであります。  そしてまた、先般というか最近も中国の様々な領海侵犯ということで、領海に対して侵入してきている、接続水域に武装した船が侵入してきているといったことが多数散見されるということで大きな課題となっているわけでありますけれども、山田先生におかれましては、離島防衛体制の整備が重要なんだということをおっしゃってこられたわけですが、今のこの尖閣の状況を御覧になっていて、どういった課題があって、政府対応についてどのような課題があって、そしてこれから起こり得るべき事態を想定して何が必要なのか、こういった観点でお話をいただければというふうに思います。
  102. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) まず、尖閣の現状、ますます厳しくなっております。というのは、中国側の船というのは大きくなってしまった。日本海上保安庁、尖閣専従部隊つくりましたが、千トンタイプという、千五百トン、実質千五百トンの船を中心に展開しておりますが、中国側は五千トン、四千トン、三千トン、倍以上の、しかも鋼鉄船。日本海上保安庁は二十ミリ機関砲、中国側は三十ミリ機関砲、射程も一・五倍。似ているようで全然実は違う戦略を立ててきています。これは堂々巡りで、日本側が、海上保安庁が進めればまた一歩中国側は後出しで進めていくと、これが今まで進めてきました。  しっかりとした海域管理体制を進めていく必要があると。よく海上保安庁から、民間人に危険が及ぶから民間人は近づけないという方法を取られています。ただし、今の現状で東シナ海の、先ほども言いましたように、日本周辺海域というのは中国にとっても非常な重要な海域です。しっかりと民間人も加わった形で島を管理していく体制日本人が生きていく環境づくりというのは私求められるところだと思います。  そして、今、日本の防衛体制、例えば奄美、宮古、与那国から始まりまして、奄美、奄美大島、そして宮古島に自衛隊配備になりました。これから石垣島にも配備という計画があると聞いております。  この防衛体制をしっかり見せていくということは、実は中国側にとって非常に抑止効果が働いていると。潜水艦が不穏な動きをしても全て日本側はキャッチしていると。要は、情報収集がしっかりできている体制、これは中国側に過剰な行動をさせないために非常に役に立っていて、沖縄県を始めとして暮らしている人たちの安全は守られている。実は見えないところでかなり守られています。そういう意味でも、しっかりとした防衛体制を組んでいき、そして、先ほども言いましたように、人が生きていける環境、これはできれば尖閣諸島周辺でも行っていただきたいと。  さらに、尖閣諸島の周辺海洋環境としても非常に重要な海域です。というのは、黒潮の日本の入口になっていると。この黒潮のデータを取る、東シナ海のデータを、海洋データを取っていく、周辺の海底の状況を確認していくということは、日本にとっても非常に重要であると考えています。例えば黒潮の蛇行、これは日本中の気象にも影響を与えるような基礎データを取得することができるというところで、私は尖閣諸島を海洋環境研究の拠点にしていただけたらと。それは日本だけではなくて、国際的な動きの中で、国際的な研究者を集めた海洋研究の拠点として整備できれば、必要以上の他国の動きというのは牽制できるんではないかと考えています。
  103. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 貴重な御提言ありがとうございます。  ちょっと一歩踏み込むと、尖閣諸島にはそもそも島民の方がいらっしゃって、工場、ノリの工場でしたかね、干物でしたっけ、の工場があったといったことも、私、視察をしてきましたけれども、そういった意味では、この実効支配を深めるといった意味で、そういった何らかの構造物を構築するであるとか常駐するであるとか、そういったことの必要性というのはいかがお考えでしょうか。
  104. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) かつおぶし工場とアホウドリの羽毛を取る場所になっておりました。  現状で望ましいのは、やはり日本人が生活できる島に戻すということだろうかと思います。ただ、現状でそれが余りにも刺激的であるという意見をおっしゃる方もいらっしゃると認識しております。  その中で、私は、日本人だけではなく国際的に研究者が集えるような島づくり、要は、最終的には日本の手続を踏んで日本人の島として入っていくわけですが、国際的に管理ができる島であるということから、結果的には日本の島であるということが世界の人々に認知されるような動きというのも必要ではないのかと考えています。
  105. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。貴重な御提言、本当にありがとうございます。  奥脇先生にも同様にお伺いしたいんですけれども、この尖閣について実効支配の継続の確保が必要だということをおっしゃっているわけですけれども、この今の現状の尖閣に対して課題と今後の対処ということをどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  106. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 私は山田参考人ほど過激ではなくて、やはり衝突が起こらないようにすることがまず第一に重要なんだろうと。海上保安庁には大変な苦労をして、その言わばまさに抑止的効果、こういうことを果たしていただいているわけで、取りあえず、まずはそういう国際社会海洋における基本ですが、警察がまず先に行って、ぶつかる、小競り合いはあっても、軍事的な衝突にはしない、双方にそういう意思があれば、それは軍事的衝突に至らないで済むということが海洋法でも国際法でも基本なんだろうと、こういうふうに思っています。  そういう意味で、尖閣を乗り込んでいって何かうまく使うというのは、うまくできればいいですが、それはなかなか難しいし、また領土問題との関係でいうと、国際管理などということを述べた途端に、やはりおたくははっきりした法的根拠なしに尖閣領有を言っているのではないかと、こういうふうに言われたりしますので、痛くない腹を探られないようにしながら、やはり軍事衝突をいかに回避するか、それで取りあえず今の状態は我慢してやっていく以外にはないと、こういうふうに思います。  状況がまた変わるのであれば、またそれは軍が乗り出してくるとかですね、今のところプライベートミリシアとかそういうのは出てきますが、取りあえず日本海上保安庁で抑え込んでいることができているということで、中国自身もどこまで本当にやる気があるのかはよく分からないので、そういう意味で、その状況が変わればまた考え直さなくちゃいけないかなと、こういうふうに思います。
  107. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。  ごめんなさい、もう一点だけ山田先生にお聞かせいただきたいんですけれども、原発処理水の問題についてなんですが、福島第一原発施設で大量の処理水が出ているということで、これが敷地内、もうタンクがいっぱいになっている状況の中で、ALPS小委員会、経産省では、これを海洋放出をしようということを今検討しているわけであります。我が日本維新の会も、これは海洋放出しかないという結論に至っているわけでありますけれども、世界中で原発の処理水を海洋放出しているという現状の中で、この海洋放出について何か世界的な影響等々、御懸念、課題、何かコメントがありましたら、お聞かせいただければと思います。
  108. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 実は私は、チェルノブイリの原発の処理、日本人の支援チームの八年目、九年目、十年目にアドミニストレーターをやっておりまして、強制退去地域の残留放射線量の測定チームに入っていたことがあります。原子力関係に関しては思いもあるんですが、地球の表面積の七割以上は海です。我々日本人は、常に海に許されて生きてきました。広島の後も長崎の後も、雨水は全て洗い流して、海に流しました。現状も、PM二・五で日本にやってきたものも、雨によって土壌、それはほとんどがまた海に流れていくという中で、可能な限りの処理をし、できるだけ影響を、最先端の技術を使い、できるだけ処理をし、そして、極力影響のない日本海域まで持っていき海洋処理をするというのが私は残された唯一の手段ではないかと考えています。  それは、具体的に言うと、例えば南鳥島に拠点を設け、沖合の日本の領海内において処理をすると。南鳥島は、プレートが太平洋側のプレートなので非常に安定しています。ほぼ日本にも他国にも影響を及ぼさないであろうという中で、あくまでも濃度の問題ですので、それを十分に処理をし、問題がない範囲であれば、私は、日本の国境離島を使っていくというのも一つの手法ではないのかと考えています。
  109. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。
  110. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 伊藤岳君。
  111. 伊藤岳

    伊藤岳君 山田参考人奥脇参考人、今日は貴重な話をありがとうございました。日本共産党の伊藤岳です。  尖閣周辺の中国の領海侵犯、過去最多という話を先ほど政府からも聞きましたけれども、力による現状変更は断じて許されないと思います。私たち日本共産党も中国に対して厳しく抗議し、是正を求めているところでございますが、今日は海洋基本法に関わっての議論ということでもありますので、奥脇先生の方から海洋基本法の五十九条の御提示が改めてありました。ごめんなさい、国連海洋基本条約の五十九条ですね、五十九条に基づいて、この尖閣周辺の利害関係の対立をどう具体的に対処していくのか、これまでのお話とかぶるところもあるかと思いますけれども、お二人の参考人に是非御意見をお聞きしたいと思いますし、また関連して、諸外国の例で、こういう紛争解決という点で先進的な例などありましたら、お伺いしたいと思います。奥脇参考人、山田参考人、両方でお願いいたします。
  112. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 先ほどの五十九条というのは領有権問題とは全く関係ない条文なので、EEZ、時々そういう、何というんですか、海洋保護区にするとか、共同漁業水域にしたらどうかとか、資源は分けられるので、領土は分けられないけど資源は分けられるとか、いろいろそういう提案はあるんでしょうけれども、やはり基本に領土問題があるときにはそういう妥協というのは非常に難しいと。基本的にやはり領土問題を解決するということが重要なんだろうと、こういうふうに思っています。  領土問題の解決ということでは、東南アジア諸国で、最近幾つかそういう島の領有をめぐる国際裁判、これを国際裁判で解決しようと、こういうようなことが実際にICJに付託されるというようなことも起こっていますが、それは両方がある意味で裁判で片付けましょうと、こういうことで合意するわけですから、そういう合意ができれば尖閣も竹島も日本は裁判に持っていったらいいと、こういうふうに思います。それが唯一平和的に解決する手段なんだろうと、こういう気がしています。  しかし、残念ながら、中国はそういう提案、あるいは韓国もそういう提案に一切乗らないわけですから、それを無理やり乗せる手続があるかどうかというところが最大の問題で、国際社会というのは、基本的にはそういう強制管轄を持つ、義務的管轄を持つ裁判所というものは存在しないというところで、たまたまフィリピンと中国との南シナ海仲裁は、領土問題を外してフィリピンが持っていったために管轄権あると、こういう話で処理がされたわけですけれども、しかし、結局それも、両当事者ともその判決はそれはそれとしてということで、それを尊重しているようには見えないわけで、やはり両当事者が合意してやっていかない限り領土問題の解決、裁判解決というのはできないのではないか、こういうふうな気がしています。
  113. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 領土問題において、どうしても土地の問題に目を置いてしまいます。ですが、北方領土にしても尖閣諸島周辺にしても、周辺海域、悲劇は周辺海域で起こっているというのが現状です。海域の管理ということが私は最も重要であると考えている中で、やはり日本の主張する領海、そして排他的水域をしっかりと守るという意思表示、これが曖昧だと他国に感じられるような状態では行動はできないと。  尖閣諸島周辺海域でいいますと、中国は大漁船団を送り込み、それを中国中央電視台で世界中に配信し、あたかも中国の海域であるような喧伝をしている。そして、国際的な意思を領土問題が存在しているように持っていってしまった。  という中で、私どもとしてはしっかりと、日本人が守る意思、そして日本人が使える海域にしていく、漁業ができる、例えばマグロの、クロマグロの産卵場にも近いということもありますし、マグロ漁等を安定してできるような環境づくりを日本としては水産庁も含めやっていく必要があるんだと思います。  そのときに、今、台湾と日台漁業取決めというのがあります。お互い認め合う環境の中で、台湾は今具体的に尖閣諸島の領土の主張は政府に対してはしてこないと。これは約束を守られている中で、台湾、日台漁業取決めというのが結ばれています。日本側としても、例えば台湾との話合い、あるいは隣国に対しても、漁業を行う、そして漁船を守るという体制を取っていくのを見せていくことが重要だと思っています。  事例に関しましては、先ほど奥脇先生がお話しされていたことの中に一つ、ペドラブランカ島というシンガポールとマレーシアが係争した例があります。ただし、これはおっしゃったとおりに、両国の合意の下で白黒付けようとしたわけですが、結果的にけんか両成敗的な部分がありまして、島自体はマレーシアのものになったんですが、それが近いということなんですが、付随している、あっ、島自体はシンガポールのものになったんですが、付随している小さな島は管理していないということでマレーシアのものにしました。隣り合っている島が、大きい島はシンガポールだけど小さい島はマレーシアということになったために、海域を分けることができなくなりました。結果的に両国ともデメリットも負ってしまうということになりました。  国際法に頼るということは、多分にけんか両成敗的な分野というのが出てきます。そして、必ずしも守る国と守らない国があるというのは、フィリピンと中国の事例にも出てくるようなことですので、国際法に訴えかけて白黒付けてみるというのはひとつ日本としても面白い、面白いといいますか、非常に重要な話だと思うんですが、それに必ずしも、その後の対応も考えておかなければいけないことになるかと思います。
  114. 伊藤岳

    伊藤岳君 歴史的に見て固有の領土であるということをしっかり主張していかなきゃいけないと思います。  山田参考人にちょっと別な問題でお聞きしたいんですが、先ほど日本の外航商船の話がありました。国際コンテナ・バルク戦略港湾政策の下で、この隻数などの変化は分かるんですが、往来といいますか、往来の増減ですとか艦船の大型化ですとか、その辺の変化などを教えていただければと思いますのと、それと、先ほど私も質問させていただいたんですが、前段で、今回のあのクルーズ船の問題も受けて、検疫体制という問題で御私見があればお聞かせいただきたいんですが。
  115. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 御指摘、タンカーよりもむしろばら積み船等、日本船が運ぶ量というのは非常に増えてきています。実は、元々タンカーあるいはLNG船というのは日本船が比較的ありました。圧倒的に少なかったのはコンテナとバルクキャリア、ばら積み船ですね。例えば、鉱物、鉄鉱石を運んでくるような船はほとんど外国船だったのを日本にシフトしていくという中で、以前よりもかなり日本の船が運んでいる積荷の量というのは増えております。これは圧倒的に増えております。その中で、通航量に関しましては、まだまだ日本船の割合というのは低くなってしまっているのも現状だと思います。  ほとんどの、海の世界は旗国主義、あくまでも船籍を持った国が主体的に動きます。その中で、やはり船の責任を持つという意味でも、日本船が増える戦略というのが必要になってくると思います。これは国際的な流れの中でもありますが、やはり自国が責任を持てる海運体制、これは有事の際にも自国の船は自国が守れる体制というのが必要になってくるんだと思います。自国の船でありながら我が国が守れないというのでは、日本に積荷を運んできてくれる国々の方に対しての日本の国際的な責任を果たしていないんではないかと考えます。  もう一点、今回の洋上のこの事例というのは、もう本来であれば十分に準備をしておかなければいけなかった事例なんですね。実は、例えばロシアから小樽に入ってくる船の中でインフルエンザが蔓延していたということがありました。そのときはもう入国拒否したという事例もありました。  検疫体制、ただ、今後、やはり三千人規模の洋上検疫体制、あるいは着岸してしまったらどうなるのか等というのが十分に対処しなければいけない。さらに、例えば北朝鮮から漁船が大分流れてきています。多くの生存者がいても病気を持っているという可能性がかなり高くなっている中で、やはり日本の検疫体制は必要であると思います。特に洋上、大量に船は一度に入ってきます。これ、対馬の事例でもあるのですが、対馬に韓国から一船でまとまって来ると、検疫や入管手続が申し訳ないんですがおざなりになっていないかと私は感じておりました。  やはりフットワークのいいチーム、要は何か事があったときにすぐに入管でも検疫でも動かせるようなチームというのを常に準備しておかなければ、日本海洋大国なので港も多い、しかもクルーズ船を各港が全部誘致してきましたので、今横浜であったことがあした神戸である、あるいはもっと小さい港であることも十分考えられる。清水であったり、当然、那覇はもっとリスクも持っています。となると、動けるようなチームというのを常につくっておかなければいけないと思います。
  116. 伊藤岳

    伊藤岳君 事前に準備をする、しておかなきゃいけなかったという御指摘、ありがとうございました。  時間が来ました。ありがとうございました。以上で終わります。
  117. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 伊波洋一君。
  118. 伊波洋一

    伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一でございます。  本日は、山田参考人奥脇参考人、本当に貴重なお話ありがとうございます。  まず、山田参考人海洋資源の件で質問させていただきたいと思います。  沖縄は、例えば海洋深層水など、かなり利用されております。例えば、海ブドウは沖縄で今名産、名物となっていますが、夏の海ブドウはほとんど海洋深層水の低温で久米島で作られている。それが各漁協に入れられて、それで成長すると、そういう形なんですね。そういう意味では、また、大学院大学では海流発電を今研究をされておりますし、久米島の海洋深層水での発電、海洋深層水発電も試験プラントなどが行われております。実証化にという話あるんですけど。  それで、先ほど来、海底熱水鉱床など沖縄の事例も挙げていただきましたが、ここのところちょっと報道がされていないのが、山田先生資料最後のページの点なんですけれども、日経ビジネスにある海底資源開発の中で、要するに、石油、天然ガス資源の分布というのがあって、日中中間線における開発の問題が一時期はかなり報道されておりましたが、今はされていませんね。  この件について、どの程度の資源で、今どんな開発が中国側で行われて、日本側でどうなっているかというのを御存じでしたら教えていただきたいと思います。
  119. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 日中中間線のガス田に関して、これは中国側の研究者と大分議論をしたことがありました。はっきりと、採算は取れない、でも、中間線の周辺ガス開発をすることが中国に意味のあることだということをはっきりと言われました。意味あるのはプラットフォームを造ること。あれは洋上拠点になっています。もう既に二十数か所ヘリポートが造られている。もう洋上拠点化されてしまっている。そこをもう権利の基盤に造っております。  しかも、中国側は、実は中国側の主張というのは、東シナ海の場合、境界線は中間線ではなく、沖縄トラフまでを中国の大陸棚の延伸論によって中国の海で管轄海域であると主張しておりますが、しっかりと中間線を守って、中間線を越えないエリアでだけ開発をしてきた。  ただ、日本側はどうするかというと、東シナ海の周辺で、東シナ海の中間線周辺ガス開発をしても、パイプラインで鹿児島まで九百キロ、長崎まで千キロ運んでくれば採算取れることはあり得ないんです。となると、無理して海洋汚染のリスクを抱えて開発するよりも、今のまま静かに眠らせておいた方がいいものであるということも言えようかと思います。  海底ガス開発は、技術的にメタンハイドレートほど難しいものはない。となれば、いざとなればいつでもできる、技術日本は持っておりますので、いざとなったときから始めても間に合うものではないかと思います。
  120. 伊波洋一

    伊波洋一君 日中間の関係が冷えてからこの開発については話は止まっているわけで、二〇一八年に安倍総理が訪中をして、この件についても基本的には合意されていると思いますが、若干、どうもこういう実際の資源の量であるとか、一時的にはかなり有望だということで議論されたのに、日中の政治関係の中で冷えているのかなというふうにも思うんですが、若干ここら辺は少し違和感がありまして、先ほど政府説明の中にもこの件を完全に抜かしていましたので、つまり、やはり私たち海洋資源というときに、このようにいっぱい置かれている数、本当の総量はきちんと把握すべきじゃないかなと思いまして質問いたしました。  やはり、確かに日中間の間で尖閣問題というのはかなり大きなあれですけれども、尖閣の問題にしても、日中国交回復以来ずっと議論にはなりながら、そういう実効支配日本が持っているという意味では一つの整理が付きながらやってきたことかなと思ってはいるんですが、ただ、メタンハイドレートやあるい海底熱水鉱床など、本当に現実に採算性をどの程度のところでできるかということがまだ見えていないところもあって、ただ、海底油田や海底ガス田は基本的にはできると思いますし、基本的に、やるとすれば中国側に同じパイプラインで運ぶというのが一番ベターな道だろうということはもう当初から言われていることで、共同開発という視点はないんでしょうかね。
  121. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 尖閣諸島周辺の油田、かつては莫大な量があると言われていました。ただし、今現在は、本当にそれが存在しているのかということは大分疑問視されている状況です。ただ、現状の環境の中で、むしろ調査することが怖い、あってもなくても怖い。なければないで、今まで何だったのかという話になってしまう。むしろ、あると言われたことが中国側の進出の動機にされたんではないかという、むしろ今は考えられています。本当に調査しておく必要、日本の可能な範囲で調査をするということも、今、伊波先生がおっしゃるように重要な、まずは白黒付ける意味でも資源状況というのは重要だと思います。  あと、海底熱水鉱床に関しましてはかなり期待をされておりますので、総量的にまだ今の技術水準だと少ないとも言われていますが、これも資源開発をしていくと。  残念ながら、久米島沖の海底熱水鉱床のサンプル、既に中国に取られています。中国は調査船を派遣して、もう持っています。それはヨーロッパでも論文が発表されておりますので明確になっておりますが、分かっていてもなかなか日本は対処できないというのが現状で、今海底資源を守るという法整備というのも必要なんではないかと考えています。
  122. 伊波洋一

    伊波洋一君 ありがとうございました。  奥脇参考人にお伺いしたいと思います。  海洋秩序についての国際法の視点というのをお話しいただきまして、ありがとうございます。深海底機関、UNCLOSの創設についても、私も初めてお話を伺いました。  排他的経済水域におけるこういう海底資源の部分で今そういう流れがあると、そういうふうになっているということは分かるんですけれども、例えば日中間の中間点が、今、日中では合意されているわけですね。でも、一時、大陸棚の問題も含めてかなり海溝の方まで中国はもっと広く排他的経済水域といいますか、それを主張していた時期があるんですけど、今の時点、日中はこの中間点を区切りとするということはほぼ合意しているというふうに見ていいんでしょうか。
  123. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) いやいや、それはそうではないわけですね。よく中間線が真ん中に赤い線で引っ張ってありますけど、あれは日本側が主張する中間線ということで、向こうはやはり大陸棚の自然延長ということで沖縄トラフのところまで自分の大陸棚であると、こういうふうに主張している。  ただし、共同開発区域に合意したことがありますし、ガス田の一つについてだったと思いますが、日本企業の共同開発に参加、こういうものを認めた例、合意をしたことはあるので、先ほど山田さんが言ったように、その合意の範囲というのが、かなり中間線の真ん中か、あるい日本側に有利なところにその区域が設定されていて、日本政府も多分あそこのところは微妙なので赤い線引かないようにしていると思いますが、作業線として中間線を引いてみると日本側に有利なところに共同開発区域がまたがって存在すると、こういうことになって、それを見た中国側が動かなくなって共同開発進まなくなった、こういう事情がたしかあったと思います。  共同開発に、しかし合意したということは、日本側から見れば、何か向こうが沖縄トラフの大陸棚まで出てきたときに、いやいや、あの合意はどうなったかということで反論する根拠にはなると。ただし、どこがその境界かということについて合意を義務付けるようなものでは多分ない、こういう感じはします。かなり政治的には意味があったなという感じはします。
  124. 伊波洋一

    伊波洋一君 時間になりましたのでまとめたいと思いますが、その意味では、そういう中間点というものが、いわゆる日中が共同開発すれば、それがある意味で既成事実化するという意味では一つの解決策かなと思いますし、尖閣も、ある意味で必ずしもアメリカが日本の領有を認めているわけではないということも前提にするならば、やはり実効支配の現状をいかに固定していくかというのがこの間の日中の各種条約等の一つの視点だと思います。習近平主席が来るときに第五の宣言が出て、そこら辺りが整理ができればいいんですけど、一応。  ありがとうございました。
  125. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑のある方は挙手を願います。  小沼巧君。
  126. 小沼巧

    小沼巧君 お時間いただきまして、ありがとうございます。立憲民主党の小沼巧でございます。  お二人にそれぞれ共通する質問があります。というのも、レジュメ及び先日の参考資料を拝見していて、共通の単語がありました。パワーという単語であります。それは、パワーということについてそれぞれどのように定義するのか、そして、それぞれの文脈において何が必要に突き詰めるパワーなのかということについて伺いたいと思います。  例えば、奥脇先生に関しましては、国際法の論点ですね、そうなったときに様々な論点等があると思います。  海の条約ということになったときにも、例えば、環境との関連で、IMOが、今、C重油をたいていろいろ船が動いていますけれども、それをやっているものについては入ってくるなというような、規制するというような動きがあります。そうなってしまうと、そもそも船が通れなくなってしまう、輸送ができなくなってしまうというような問題がございますので、そういった国際法及びルールメーキングのところにおけるパワーというのはどういったものなのか、そして、それについて、それを獲得するためにはどのようなことが必要なのかということをまずは奥脇先生に。  そして次に、山田先生には、特に地政学の観点で伺いたいと思ってございます。  今、様々なこの調査会の中で個別の論点が出てまいりました。いろんな個別の問題出てきましたが、それぞれにおいて、なかなかもどかしい状況が続いているというのが各会派先生方も含めての状況だと思っております。  特に、地政学においてだと、力、パワーというのは、恐らく意思と実力の掛け算で実力というのは決まってくると思います。特に、地政学の文脈において、その実力、パワーといったものはどうなっているのか。かつてはマハンの時代に定義されていたものもありますし、もうちょっと言うとブレジンスキーとかってありますけれども、今はテクノロジーからもろもろが変化していると思っております。  そのような現代において、地政学上のパワーというのはどう定義され、それを獲得していくためにどのような政策取組が必要なのかについて、それぞれお伺いいたします。  まずは、奥脇参考人にお答えいただけますでしょうか。
  127. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 社会科学的にパワーというのはそれなりの定義があって、特に、二人の交渉者の間で一方の意思が異なる場合に、一方の意思を自己の意思に従わせる能力、こういうのがパワーであると、こういうふうに言われる。ただ、二当事者の場合はそうかもしれないけど、やはり国際社会海洋法条約であれば、条約の当事国、こういうのを巻き込んでのパワーですから、どういうふうにそのパワーが条約当事国間で動くかというのは必ずしも明確ではないと。  しかし、例えば今もお話しになったIMOの例ということであれば、IMOの、今日の私の話だと、汚染の排出基準とか、あるいは既にあったのでは船舶の構造基準とか、そういうのがあります。汚染基準でいえば、例えば、航行の利益を害さないように新たに導入された寄港国の管轄権とか、沿岸国としての管轄権を行使すると。これは、従来は旗国通報ということしかできなかったのが、管轄権が拡張された部分ですが、その場合に、条約は権限ある国際機関によって設定された基準、これを国内で実施するための法令については、沿岸国ないし寄港国が管轄権行使して、その船を例えば港に留め置いたり、そういうことができますよと、こういう体制にしたんですね。  これはどうしてそうなったかというと、従来の旗国通報をやると、取りあえず船はもう行ってもらわなくちゃいけない、止められない。そうすると、例えばイギリスの船であれば、遠い日本周辺で何か汚染行為があっても余り関心がない、それをちゃんと厳罰に処したかどうかも分からない、こういうことが起こる。そこで、その基準を定めて、その基準を実施するためならやっていいと、こういうことになっているわけですね。  それは、そういう国際条約としてIMOが国際基準を作ったということは、それは非常に日本にとって、相手国に対しては自国の管轄権行使を正当化する、そういう意味でパワーになっているんだろうと、こういうふうに思うんです。  それからもう一つ、先ほどちょっと今までの例でお話しした船舶のダブルハルの、これはIMOも一定のトン数以上の船にしか義務付けていなかった。しかし、実際にはそういう船以外でも、何かもう事故を起こして沈みそうであると、こういうような船が寄ってくるのは何としても避けたいわけですね。そうすると、入港拒否とかやるわけです。そうすると、やはりそういう船にこのダブルハル規制とかあるいは船舶構造基準を適用するということを、本来はIMOならIMOで審議して決めてからということになるけど、それでは遅いということになると、やっぱり一般的にそういう基準から多少外れていても必要なことはやるんだということも場合によってパワーになり得ると、こういうようなことがあると思います。
  128. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 小沼議員の御指摘、地政学上ですね、意思と実力というお話の中で、残念ながら、日本のシーパワーと言われるものの中にある、特に地政学上の話は、もやもやしているのは、実は意思がないから、見えないから、日本の沿岸を守るという意思がなかなか見えてこない。あるいは、特に多分野に分かれているということもあります。  むしろ、私が使う場合のパワーというのは、意思を動かす要因のことを、日本人あるいはこの国を守る意思に対する要因をパワーと言って、それは、環境を守ろうという意思、力であったり、あるいは深海漁業資源であったり、そして沿岸で暮らす人々の方向性を、私の場合はそういう意味でのパワーというのを使っているんですが、日本では、残念ながら、地政学、まだまだ定着していないというか、地政学という学問自体、正式に認められているとは言い難い状態ですね。  というのは、一つは、マハン等のお話出ました。日本の設立過程と違うのは、現在の日本で地政学は、むしろ存在の維持ですね。外に出ていく影響力を行使するということよりも、日本という存在を維持していくということ。これは、対外的な侵略を排除する、これは専守防衛の国ですので当然のことなんですが、全く違う環境の中で地政学というのが考えられている、特に今現在は。  となると、やはり私たちは、海を守る、国を守るという、この土地が与えている力、要は要因ですね、が地政学上のパワーだと私は考えています。
  129. 小沼巧

    小沼巧君 ありがとうございます。  若干、済みません、山田参考人に追加でお伺いしたかったのは、ちょっと意外だなと思ったんですね。というのも、実力の方に関して何かお答えがあるのかなと思ったら、実は意思の方が実は論点だということでありました。  様々、今問題が出ていましたね。北朝鮮の問題や尖閣の問題、日中中間線とか様々な問題ありましたけれども、山田参考人の御知見からして、その意思が明確に示されていないというような御認識でよろしかったんでしょうか。また、だとすれば、それを明確に示すということというのは、具体的に、今様々なPRとか公文書とかホームページとかやっておりますけど、何に問題があり、どう変えたら意思が明確に示されるというようにお考えでしょうか。御知見をお聞かせいただければ幸いです。
  130. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 例えば北朝鮮日本海における北朝鮮の船の現状、海上保安庁は守っている、水産庁は守っている、何千隻追い返した、でも北朝鮮に何千隻という船はないわけです。同じ船が何度も追い返されているだけで、追い返してもまた戻ってきて、そしてまた追い返すの繰り返し。先ほど奥脇参考人の方からも出ましたように、海上保安庁は必死になって闘い続けている、でも限界をはるかに超えてしまっている。でも、これを支援していこうというような本当に意思があるのか、海上保安庁という組織、もう限界を超えている海上保安庁を国家としてもっと支援していく意思はどこにあるのかということですね。  あと、私、意思をどうやって示していくのかも含めて、どういう観点がいいのかというと、やはり一番分かりやすい言葉を使っていかなければいけないんだなと思っています。どうしても複雑な言葉、あるいは外来語を使いたがるんですが、本当にみんな分かっているのかというところで、先ほどの御質問もありましたように、じゃ、その定義といいますか、どういう分かりやすい言葉で伝えていくのかということと、真実をどういう形で伝えていくのか、できるだけ物を見せるというのは一つの手法だと思います。  かつて私、北朝鮮の工作船、引き揚げた北朝鮮の工作船をお台場で展示した責任者をやったことがありました。北朝鮮の工作船、見てもらうことが何よりの影響力だった。かつて、北朝鮮の工作船を展示するまでは、拉致すらないという勢力もかなりありました。ただ、見てもらうことによって、たしか百六十三万人の方が御覧になっていただきまして、テレビでも放映されることによって北朝鮮の現状というのが伝わることになった。  やはり、現状、現実の問題をダイレクトにできるだけ国民の方に見ていただく、そして分かりやすい表現の仕方で伝えていくということが必要だと思います。
  131. 小沼巧

    小沼巧君 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
  132. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) もうお一方、塩田博昭君。
  133. 塩田博昭

    塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。  今日は両参考人に大変、専門家の見地から貴重な御意見をありがとうございました。  ちょっと時間ございませんので、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。  今後のエネルギー開発については、やはり今はもう原油に大きく依存しておりますので、大変重要であるというふうに考えておりますが、先ほどからの御議論をお伺いいたしますと、やはり海底資源開発については、採算性の問題とか環境影響評価だとか、いろんなところからなかなか難しい点もあるというようなお話でございました。  ただ、だからといって、じゃ、今後エネルギー開発において、どういうところにやはり日本が目を向けて、また期待をしていかないといけないのかということがあるんだというふうに思いますので、そういう見地から具体的に、若しくは個人的な考えとして、こういう分野にやはり日本は今後大きく力を入れていかなければならないのではないかというところを教えていただきたいというふうに思います。  それで、奥脇参考人は、新たな海洋産業というところも書いていただいておりますので、そういうことも含めて、どういうふうに期待をされておられるのか、御見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。  じゃ、奥脇参考人から。
  134. 奥脇直也

    参考人奥脇直也君) 海底開発ということでは、これは先ほど来申し上げたように、やはり日本の海底開発技術というのは相当高い、これをやっぱりしっかり認識した上で、その上で、しかも現にやっていることについては極めて慎重にやっていると。これは、余りやれやれ、どんどん行け行けになると非常に危ない部分がある。やはり原油の掘削とは相当レベルが違うということを伺っていますので、そういうものをどうやって危険を縮減しながらやっていくかと。  その意味で、環境影響評価というのは非常に重要だし、また実際にその影響を少なくするためのいろんな措置を講じながらやっていられるので、多分なかなか進まないということはあると思います。それは、なかなか商業開発、当初言われたより相当遅れていると思うんですね。もう今頃商業開発になってもよさそうな話が最初はあったわけですが、今はそんなことは誰も言わないわけですから。  しかし、いずれにしても科学的な知見はかなり高まっていることは確かで、問題は、あとはそれが本当に損害を及ぼさない、海洋に損害を及ぼさない形でできるかどうか、それをどのぐらいのリスクで見るか。リスクで見るというのは、結局、これは海洋法とか、あるい海洋法というよりは環境を重視すると。ややもすれば、国際法ではしばしば予防原則、プレコーショナリープリンシプルと、やることから生ずる損害が回復不能であるというようなおそれがある場合にはやらない方がいいと、こういう議論になってくるんですけれども、果たしてそれでいいのかどうか。そこの部分を、プレコーショナリープリンシプルというものの意味というものをもう少しやはり特定していくという、特に国際法学者としてそういう必要があるだろうと、こういうふうに思っています。  だから、先ほどのパワーの話もそうですが、国際法をより良く運用できるのも一つのパワーであると、こういうふうに思いますので、海底開発についてはそう思われる。  ほかの点でどういう点があるか。海洋産業というのはもちろんいろいろあります。例えば、今後、いろいろな取締り措置とかあるいは監視措置とか、そういうのにドローンとか、海底であればAUVとか、いろいろそういうものが使われるようになっていくだろうと思うんですね。そういう場合に、そういうのが一体、正しく科学的な活動として評価されることをいかにして確保していくか。下手すると、そういうのは全部テロではないかと、こういうふうな見方をされて、むしろ紛争の原因にすらなりかねない。その辺のやはり基準作りみたいなこと、これも国際法でやっていかざるを得ない、今のところ何もないわけで。  海上保安庁もそういうことを今後、来年度予算ですか、盛り込んでやるということですが、例えば、その場合の目的が何なのか、その目的を達成するためにはどの規模のドローンが必要なのか、こういうこともやはりきちっと議論してやっていくことが必要なのではないかと、こういうような気がしています。
  135. 山田吉彦

    参考人(山田吉彦君) 私、週の半分東京で、週の半分静岡の清水というところにおります。清水に行ったときに海を見ていると、ほっとしてしまいます。何となく、嫌なことも、どうにかなるかなという気持ちになっていきます。多分これは日本人の、海洋民族日本人の心の中に入っていることだと思います。港の風景もそうです、あるいは白砂青松の海岸もそうです、瀬戸内海の島々、九州の島々もそうです。海の光景、景色、これをもっと人々に接しやすい環境づくりというのをお願いしたいということが一点、個人的な心情であります。  資源開発に関しましては、研究は、先ほど奥脇先生もおっしゃったように、かなり進んできました。中で今重要なのは、商業化のスタートラインにはいつでも立っていられる、言わばもうスタートラインのスターティングブロックに足を掛けた状態にしておくということが重要なんではないかと考えています。  商業化ということになりますと、出資母体はどこである云々という話になりますが、もしも現状、中東情勢これ以上厳しくなってくると、本当に必要なものというのがどんどん出てきます。あるいは、採算が取れるということになれば実際に動かす企業も出てくるとなると、研究をしただけで終わりにはしなくて、研究の最終目的というのは、商業開発のスタートラインに着けるまでを進めていっていただきたいと考えています。  そして、もう一つ、私、重要だと考えておりますのは、日本だけでできることはやはり限られています。世界を結ぶ海、この海上交通の安全、これは、世界中の海の道は日本に通じているんだという概念から、シーレーンと言われる海域、海の道をしっかりと守る。特に、公海はどこの国も守る責任を持っていないとなれば、誰かが守らなければいけない。少なくとも日本に関わる船は守れる環境づくり、これこそが当然出てくる港の国に対する支援にもつながりますし、海上交通の安全確保というのが私は最優先課題である、これこそ国際社会日本をつなぐ最優先課題ではないかと考えています。
  136. 塩田博昭

    塩田博昭君 じゃ、時間になりましたので以上で終わります。ありがとうございます。
  137. 鶴保庸介

    会長鶴保庸介君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこの程度とさせていただきたいと思います。  この際、参考人の皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。  参考人先生方、大変貴重な御意見を賜りました。今後の当調査会の審議の糧にさせていただきたいというふうに思います。調査会を代表いたしまして、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会