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堀越委員 疫学的な
調査をされて、それぞれどういう経路があったのかということを調べているというのは私も存じていますが、しかし、これは科学的な
根拠が何も示されていないという状況にほかならないと思いますよ。それでこれだけの強い権限を、一律
中止ですから。
大臣、これは後で発言させていただこうと思っていたんですが、イベリコ豚の飼育の
現場を見に行かれたことがあるということで
承知しているんですが、まさに、
日本においてはそういう畜産が本当に希少になってしまっているわけですよね、放牧という形。これを本来であれば守っていかなければ、それこそ東京オリンピック・パラリンピックのときにはアニマルウエルフェアに準じたものを調達してくれという形にもなっておりますので、これをやはり
日本は守っていかなければいけないのに対して、これをやると確実に放牧の
農家さん、廃業に追い込まれます。
長い年月、一年、二年始めたものじゃないわけですよ。四十年ぐらいかけて、ノウハウをつくり、農園をつくり、そして技術を習得し、顧客もそれぞれつくり、何とか経営をされてきた。この方々が一律で
中止になると、いつ、ではその指定が解除されるのか全く不透明な状況でずっと、では豚舎に変えろと言われても、当然ですが、設備投資の費用なんかも負担があるわけではありませんから、大変な状況に当然追いやられる。
そして、清浄国に宣言をするまで四十年かかっている。そういうことから考えると、その間に、一律に
中止をされてしまった地域というのは、このまま放牧の養豚が
日本から消滅してしまうのではないか、そういう非常に強い危惧を持っております。
昨今、新型
コロナウイルスの影響でもそうなんです。かなり食に対する
問題意識を持っていらっしゃる
消費者の皆さんも多いです。そうした放牧のもの、ケージフリーのもの、そういったものを調達しようと頑張っている方々も中にはたくさんいらっしゃる。そうした人
たちの選択の余地がなくなってしまうということもありますし、加えて言うならば、やはり、アニマルウエルフェアというところから考えても、免疫力の観点からすると、放牧の方が免疫力が高まるというのはこれは科学的にも示されていることでありますので、ぜひ、私としては、一律に
大臣指定があった地域において放牧を
中止する、これをぜひ削除していただきたいということを訴えさせていただきたいというふうに思っています。
結局、先ほども疫学的な
調査あるいは諸外国の例、そういったことも言われておりますが、例えば
ヨーロッパであれば、ASFの発生を前提として考えていくと、欧州食品安全機関というのが科学的見解を公表していて、放牧養豚における感染リスクは、感染イノシシとの接触、これはもちろんそうです、それと、加えて、調理残渣利用による飼料なんですね。この
二つ。
しかし、現状、例えば感染イノシシとの接触、これは放牧でも徹底されています。国内で感染が確認された五十八の豚熱発生事例では、確かに放牧も含まれている。しかし、五十八例のうち、放牧はたったの二件。
そして、その放牧で感染をされた、そこの現状を見てみると、非常に特殊な例なんです。まだ一重の柵しかされていなかったところに、家畜展示場のところに野生のイノシシが入り込んでしまった。あるいは、感染イノシシを運搬した
業者が移動したものが感染させたのではないかというふうに言われているので、これをもって一律で放牧があたかも危険であるということを訴える
根拠には全く私は値しないというふうに思っています。
疫学的な
調査を確認しますと、いろいろ多岐にわたるわけです、感染経路。人によるものなのではないか、あるいは自動車なのではないか、あるいは、先ほどもおっしゃいました野生動物、イノシシだけではない、カラスであるとか猫であるとか、そういったものが感染経路になっているのではないかというふうに言われています。しかし、論文などを検索しても、例えば鳥からの接触、間接的な感染が明らかになったケースや
根拠というのは、私は見受けられておりません。
そして、結局のところ、ワクチンと全頭殺処分でしか防ぐことは現状できていないわけです。ウインドーレスの豚舎を推奨されるかのように思われますが、実際、ウインドーレスの豚舎でも感染は防げていないんですね。
コロナウイルスのときもそうです。三密を避けましょうと言われてきましたが、この豚熱に関しては、過密に更になってしまうものを推奨しようとするような
動きに捉えられてしまっても不思議ではないというふうに私は思っているんです。
実際、例えば
日本農業新聞をごらんになられた方々がいらっしゃるかもしれませんが、徳島のある方は、四月に七百万円かけて放牧の周りを大きく囲う柵をつくっているわけですね。これで頑張って発生させないようにしてきたのに、ワクチンもしっかり打ってやってきた。しかし、そうはいっても、これが一律で
中止になってしまえば、その先行投資も全て無駄になる。さらに、それを豚舎に変えていこうというところにも先行でお金を出していくことも当然できないわけですから、これはぜひもう一度見直しをしていただきたいというふうに思っています。
結局のところ、やはり、屋外又は屋内飼育の方が強いと言える、この明確な
根拠というのはないわけですね。強い反発がこれはあります。放牧を潰してしまうのではなくて、放牧をどのようにウイルスから守っていくのかということを、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
江藤大臣がイベリコ豚の飼育の
現場を見ていただいたというのを私も見させていただきました。あのイベリコ豚というのは本当に警戒心が強く、そして、広い地域で
動き回りながらでないとブランドとしてそれが守られないということでもありますので、そういったところを見ていただいた
大臣だからこそ、そこで飼育されていた生態のよさ、それはわかっていただけるんではないかなというふうに思っています。
ぜひ、このあたり、放牧の養豚場を追い詰める
規定について、
江藤大臣の御見解を伺いたいと思います。