○城井崇君
国民民主党の城井崇です。
私は、
立憲民主・
国民・社保・
無所属フォーラムを代表して、
公立の
義務教育諸
学校等の
教育職員の
給与等に関する
特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして、
反対の
立場から
討論を行います。(
拍手)
冒頭、一言申し上げます。
大学入試改革をめぐる混乱が続いています。
大学入試共通テストへの英語民間試験導入については、成績比較の仕組みの欠陥、
経済的不公平、地理的不公平、運営上の
利益相反など多くの問題を
野党から指摘し、文部科学大臣がようやく延期を決断しました。遅きに失したとはいえ、受験生の大混乱を避けることができました。
一方、国語や数学への記述式問題の導入については、
全国の大学の八八%で二次試験での記述式問題を導入済みであり共通テストで使う妥当性がないこと、採点を請け負った業者が事前に問題や正答例、採点基準を知る、試験前に採点者に出題傾向が明らかになるという露骨な
利益相反、情報漏えいの危険があること、採点未経験の短時間採点アルバイトがまじるなど五十万人規模の記述式答案を間違いなく採点するのは物理的に無理だということ、自己採点ができず志望校選びがままならないことなど、導入の問題点や弊害を
野党からも指摘をしております。
文部科学大臣、受験生のために記述式問題導入は中止すべきであります。
共同会派、立国社と
日本共産党から、記述式問題導入中止法案を過日衆議院に
提出しました。業者ファーストではなく、受験生ファーストの大学入試にしていくため、この記述式問題導入中止法案の成立へ与
野党各議員の御協力を強く求めます。
さて、教員の勤務時間の長時間化が深刻となる中、教員が子供と向き合う時間を確保し、子供たちに対するきめ細やかな教育を学校の中で
実現するため、学校における働き方改革を
推進することが重要です。何としても長時間労働の是正を
実現せねばなりません。
この
法律案の二つの柱は、
業務時間
削減のための上限ガイドラインの指針化、休日のまとめどりを
実現するための一年単位の変形労働時間制の導入です。法案
審議を通じて、これらの問題点、懸念点などを丁寧に確認をしました。
客観的な勤務時間管理を徹底しながら在校等時間の縮減に努めていくとの決意が
政府から述べられました。しかし、
政府の政策では、施行期日の二〇二〇年四月一日に
全国の
公立学校でこの客観的な勤務時間管理が一〇〇%導入されるまでは道のりが遠いと言わざるを得ない状況でした。
持ち帰り
業務の
削減に向けたその時間把握も課題ですが、外形的に把握することは困難で、これまでの調査では在校等時間に含まずとの答弁で、持ち帰り
業務の常態化への懸念は払拭できていません。在校等時間の記録は行政文書である旨確認しましたが、地方公務員公務災害補償における障害補償及び遺族補償を受けるべき消滅時効が五年間であることを踏まえるなど、その記録と保存に万全を期すべきであります。
長時間労働の是正に向けた学校における条件
整備について、専門スタッフや外部人材の活用も議論となりました。部活動指導員、スクールサポートスタッフ、学校徴収金の徴収、管理の負担軽減、統合型校務支援システムの活用による負担軽減など、具体的な施策による
業務時間
削減を目指す旨
政府から
説明がありました。
しかし、例えば、部活動指導員は
全国に二割強の学校にしか配置をされず、国、都道府県、市町村でそれぞれ三分の一負担するという地方負担もハードルとなって配置が進まない現状も一方で明らかになりました。
このように、
業務時間
削減を目指した政策も学校
現場でまちまちの状況となり、
業務時間が
削減されない学校、
業務時間を
削減できない教員が出てきてしまいます。この
法律ができても長時間労働が是正されない教員が残ることは、大きな問題です。指針の遵守に罰則が設けられていないこともあわせて考えれば、その実効性には疑問を呈せざるを得ません。
一年単位の変形労働時間制の導入についてですが、休日のまとめどりに限定しての導入だ、その旨を省令に書く、まとめどりに使うこと以外は考えていないとの大臣答弁でしたが、本来は
法律に明記すべきであります。
また、繁忙期の勤務時間が延長されることで、現在の長時間勤務が追認、黙認されてしまうのではないかなど、
関係者から不安の声が上がっております。過労死により御家族を亡くされた御遺族の方からも、過労死事案を増加させかねない、休日のまとめどりが予定されている夏休み等の長期休業期間まで心身ともにもたないといった強い懸念が示されました。大臣が言うような、教職の魅力向上に資するものであるとは断言できません。
三六
協定同様に学校ごとの労使
協定締結、あるいは勤務条件条例主義を念頭に置きながら地公法五十五条による職員団体との
交渉や書面
協定が可能との認識から、教育
委員会、校長と職場代表者の話合いの場が確保されるべきと私たちから訴えました。勤務時間の変更は勤務条件に当たり、
交渉事項だとの
政府答弁はありましたが、少なくとも、都道府県の条例ができた場合に、学校ごとに教育
委員会、校長と職場代表者の話合いの場を確保するべく省令等で促すべきです。
この
法律案は教員の働き方改革の一里塚だという
説明が
政府・
与党から繰り返し述べられました。私たちからすれば、一里塚で終わらせてはならない、教職調整額の見直しを含めて給特法の抜本的な見直しは必須である旨訴えてまいりました。
質疑の中で、大臣からは、持ち帰り
業務の把握等を含めた二〇二二年度の教員勤務
実態調査を行い、それを踏まえて、給特法の見直しを行う旨、文部科学大臣として力強く答弁いただいたことは
評価したいと
思います。給特法の抜本的な見直しを行う際には、在校等時間を労働基準法上の労働時間としてしっかり把握し、時間外労働には労働基準法三十七条に基づく割増し賃金を支払うことで、教職調整額の仕組みに甘えて改善を怠ってきた
サービス残業を撲滅し、労働の正当な対価を
実現すべきであります。
このように精力的に
質疑を続け、
野党からはさらなる法案
質疑を求めましたが、結果として、
委員長職権によって
委員会採決が行われました。前向きな
質疑が続いただけに、残念でなりません。
以上、一里塚よりも懸念がまさる状況にあるとの判断から、共同会派として本
法律案に
反対することといたしました。
なお、
政府に、教育
現場から指摘があった懸念事項等への対応を立法府の意思として促すべく、
附帯決議を付させていただきました。
以上の
理由により、本法案に
反対することを改めて申し上げ、
討論を終わります。(
拍手)