○竹内譲君 公明党の竹内譲です。
私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました両
協定について、
安倍総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。(
拍手)
質問に先立ち、今般、甚大な
被害をもたらした
台風十九号により、お亡くなりになられた
皆様の御
冥福をお祈り申し上げますとともに、被災され苦しんでおられる多くの
方々に衷心よりお
見舞いを申し上げます。与党として、
被災者の
生活支援、
復旧復興並びに巨大
災害を
想定した
防災・減災
対策に全力を尽くしてまいります。
さて、世界経済は現在、保護主義的な動きが広まるなど、先行きの不透明感が強まっています。このような
状況の中で、
我が国は、昨年末以降、
TPP11や日・EU・EPAといった経済連携
協定を次々に発効させ、自由で公正な
ルールに基づく経済圏を着実に広げてまいりました。
その中で、今月初めに
署名された
日米貿易協定については、世界の
GDPの約三割を占める
日米両国の
物品貿易を強力かつ安定的に
拡大するものと認識しています。特に、世界最大の経済大国である
米国との
貿易協定は、アジア太平洋
地域におけるグローバル化を通じて経済成長を進めるとともに、自由で公正な
ルールに基づく世界経済の発展に大きく貢献するものであると
考えます。
また、AIなどの技術革新やグローバル化したサプライチェーンの構築が進む中で、
日米デジタル貿易協定は、デジタル
分野におけるハイレベルな
ルールを世界に示すものであります。与党としても、両
協定の早期
締結、発効に向けてしっかりと協力してまいりたい。
昨今の流動的で不透明な国際情勢の中で、大変厳しい
交渉をまとめ上げ、
日米双方の
国益にかなう結果となったのは、
安倍総理と
トランプ大統領との強固な
信頼関係があったからこそだと認識しています。
これまでの
交渉の経緯等を踏まえて、改めて、本
協定の意義や狙いについて、
安倍総理にお伺いしたいと思います。
日米貿易協定に関して、三点
質問いたします。
最初に、本
協定の
経済効果について伺います。
本
協定の発効により、
貿易額ベースで、
米国側は九二%、
日本側は八四%の
関税撤廃が実現いたします。加えて、こうした
関税の
撤廃、
削減を契機とした
我が国の
経済効果に関する分析によると、
実質GDPは約〇・八%押し上げられるほか、労働供給は約二十八万人増加すると見込まれています。既に発効している
TPP11では約一・五%、日・EU・EPAでは約一%の
GDPを押し上げる
効果があり、本
協定の
経済効果を加えれば、これら経済連携
協定が
我が国の成長
戦略の一つとして重要な
役割を果たすことは言うまでもありません。
一方で、この
試算では、
関税引下げによる価格や
貿易数量の変化を受けて、
我が国の需要や
投資の増加、生産性の押し上げ、労働供給の
拡大といった、成長につながる
前提が置かれています。しかし、近年深刻化する人口減少、少子高齢化などの
影響が更に大きくなる場合は、本
試算で示された
GDPの押し上げ
効果への
影響も
懸念されます。今のところ、
雇用・所得環境は着実に改善しているものの、今後、生産性向上や人への
投資等を通じ、潜在成長率の底上げに引き続き取り組むべきです。
本
協定の
経済効果について、西村経済再生担当大臣の
見解を伺います。
農産品及び
工業品に係る
関税撤廃、
削減等について伺います。
昨年九月に発出された
日米共同声明に基づき、最も
懸念されていた
農産品については、過去の経済連携
協定で約束した
市場アクセスの譲許
内容が最大限であるとの方針に沿って
交渉が進められ、その
姿勢が堅持されたことは高く
評価すべきと
考えます。特に、
日本の米については、
関税撤廃、
削減の
対象から完全に除外されるほか、
日本産酒類の
輸出を促進するための非
関税措置が約束されました。
また、
米国は近年、自国の
貿易赤字
削減を図るため、
自動車や
自動車部品に係る相当厳しい
数量規制や、通商
拡大法二百三十二条に基づく
追加関税などの
措置を他国に対して講じています。しかし、今回は、こうした
措置を課さないことを
首脳間や閣僚間で
確認できたことは、大きな
交渉結果であると
考えます。
日本自動車工業会からも、
自動車分野における
日米間の自由で公正な
貿易環境が維持
強化されることを歓迎しますとの
評価をいただいています。
まさに、
日本政府の粘り強い
交渉姿勢が随所に結果としてあらわれ、
我が国の
国益にかなう
内容になったと認識しています。
一方で、
自動車や
自動車部品については、
関税の
撤廃に関して更に
交渉すると明記されました。今後、
政府においては、
関税の
撤廃が
前提であることを踏まえ、例えば乗用車に係る二・五%の
関税を二十五年目に
撤廃するという
TPP12で決定している期間を短縮するなど、一層攻めの
交渉に臨んでいただきたい。
農産品及び
工業品に係る
関税撤廃、
削減等について、茂木外務大臣の
答弁を求めます。
先日公表された暫定版の
試算によると、農林水産物の生産減少額は約六百億円から約一千百億円になると見込まれています。本
協定の発効を見据えると、農林水産業の
国内対策などに万全を期すことが極めて重要です。
これまでも、公明党は、
TPP11や日・EU・EPAの発効を見据え、酪農の生産基盤を
強化する畜産クラスター事業の推進や、農林水産物の
輸出拡大に向けたハード、ソフト両面の
支援などを推進してまいりました。
今秋をめどに総合的な
TPP等関連政策大綱を改定することが決定していますが、引き続き、農林水産業の生産基盤の
強化等に取り組み、
拡大基調にある農林水産物の
輸出拡大を更に進めていただきたい。あわせて、地方の中小企業が世界へ果敢に踏み出せる
効果的な
支援策を講じるべきです。
政府においては、補正予算も視野に入れて、農林水産業の
国内対策などに万全を期していただきたい。西村経済再生担当大臣の
答弁を求めます。
次に、
日米デジタル貿易協定について伺います。
デジタル技術の進展により、国境を越えた経済活動が急速に
拡大する中、
我が国においても、個人情報や知的財産などのデータを適切に保護しつつ、自由なデータ流通の実現を通じて新たなビジネスモデルの創出や生産性の向上に取り組むことが急務です。
その中で、本
協定では、電子的な送信に
関税を課さないことや、消費者保護に関する法令の制定、維持等の
内容が規定されています。
今後、本
協定の発効を通じた恩恵を受けることができるよう、個人情報の保護や大手IT企業の独占的な取引慣行への
対策も含め、産業界の生産性向上を一層進めるべきです。
日米デジタル貿易協定の意義と今後の
課題について、茂木外務大臣の
答弁を求めます。
最後に、
我が国が、
自由貿易の旗手として引き続き主導的な
役割を果たしつつ、世界の安定と繁栄に努めることを期待して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣安倍晋三君
登壇〕