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内閣総理大臣(
安倍晋三君) 山下芳生議員に
お答えをいたします。
野党提出
法案の審議について
お尋ねがありました。
被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全
都道府県の相互扶助及び国による財政支援により最大三百万円の支援金を支給するものです。支援額の
引上げについては、国や
都道府県の財政
負担等の
課題があり、慎重に
検討すべきものと
考えます。
また、いわゆる原発ゼロ基本
法案に関しては、現在、多くの原発が
停止する中で、震災前と比較して一般家庭で平均約一六%電気代が上昇し、
国民の皆さんに
経済的に大きな御
負担をいただいている現実があります。
資源に乏しい我が国にとって、こうした
経済的なコストに加え、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を
考えれば、原発ゼロということは
責任あるエネルギー
政策とは言えないと
考えます。
いずれにせよ、御
指摘の両
法案については、議員立法によるものであり、その取扱いについては国会において御判断いただくものと
考えています。
沖縄の
県民投票、その結果の評価、
辺野古移設について
お尋ねがありました。
沖縄に
米軍基地が集中する
現状は、到底是認できません。
沖縄の
負担軽減は、
政府の大きな
責任です。今回の
県民投票の結果を真摯に受け止め、これからも
政府として
基地負担の
軽減に
全力で取り組んでまいります。
住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる
普天間飛行場が、固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは
地元の
皆様の
共通認識であると思います。
普天間の
全面返還を
日米で合意してから二十年を超えた今もなお
返還が実現しておらず、もはや先送りは許されないと思います。
先日、
沖縄県玉城知事にお目にかかり、知事とは今後とも様々な形で意見交換を行っていくことで一致したところです。長年にわたる
地元の
皆様との対話の積み重ねの上に、これからも御理解を得る
努力を続け、
普天間飛行場の一日も早い
全面返還の実現に向けて
全力で取り組んでいく
考えです。
県民投票は
地方自治体における独自の条例に関わる事柄であり、その結果について
政府として評価を加えるようなことは差し控えたいと思います。
安倍政権においては、
普天間飛行場の一日も早い
全面返還を実現するという基本
方針で取り組んでおり、この
方針の下、移設工事については防衛大臣が適時適切に判断しているところです。いずれにせよ、
民主主義も
地方自治も関係ないとの御
指摘は当たりません。
政府としては、今後とも
沖縄の
基地負担軽減に
全力を尽くし、一つ一つ着実に結果を出してまいります。
憲法に自衛隊を書き込む狙いについて
お尋ねがありました。
憲法
改正の内容について、
内閣総理大臣としてこの場で
お答えすることは差し控えるべきものと思いますが、
お尋ねであるため、あえて申し上げれば、近年の調査でも自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は二割にとどまります。かねてから申し上げているとおり、君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれというのは余りにも無
責任ではないでしょうか。
私は、
国民のため命を賭して任務を遂行する自衛隊員の諸君の正統性を憲法上明文化し、明確化することは、国防の根幹に関わることだと
考えています。このような
状況に終止符を打つためにも、自衛隊の存在を憲法上明確に位置付けることが必要ではないか、このような私の
考えを申し上げているものであります。
なお、自衛官募集については、自衛隊法第九十七条において、
都道府県知事及び
市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行うと規定されており、
法律上、自衛官募集は
自治体が行う事務とされています。一般論として申し上げれば、
行政機関に対して
法律に基づいて与えられた事務について、
行政機関はこれを適切に遂行すべきものと
考えられます。
いずれにせよ、法令に基づき
自治体の事務とされている事項について、六割以上の
自治体が求めに応じていないことは事実であり、残念であると申し上げているものであります。
統計問題について
お尋ねがありました。
特別監察委員会の樋口委員長は統計や労働
経済研究の専門家であること等から、その個人の資質に着目して委員長をお務めいただいているものと承知しています。また、委員会の下に元
最高検検事の方を事務局長に迎え、独立性を強めた上で、先般、追加
報告書が取りまとめられたところであり、その内容については、中立性、客観的な立場から検証作業を行っていただいた結果であると
考えています。
特例措置に依存しない
地方財政制度の確立について
お尋ねがありました。
アベノミクスの
政策により来年度の
地方税収や
地方交付税の
法定率分が
増加となったことに伴い、
平成三十一年度の
地方財政対策では、
財源不足が大幅に
縮小し、
臨時財政対策債の
発行額を七千億円減と大幅に抑制しました。その上で、
地方交付税を始めとした
一般財源総額を前年度から六千億円増となる六十二・七兆円確保しております。これらの内容については、
地方六
団体からも高い評価をいただいているところであります。
今後とも、
法定率の
見直しなど制度的な対応の議論も行いつつ、
歳入面では、
地域経済の好
循環を
全国津々浦々で一層
拡大することなどにより
地方税等の更なる
増収を図るとともに、
歳出面では、めり張りを付けて
歳出構造を見直すことで、
臨時財政対策債のような
特例債に頼らないよう、
財務体質の
強化を図ってまいります。
消費税の増税に伴う
地方財政への影響について
お尋ねがありました。
家計消費について、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっています。一方で、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降、
増加傾向で推移しており、持ち直しています。
消費を取り巻く
環境を見ると、生産人口が減少する中でも雇用が大幅に
増加し、
国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも
実質でも
増加が続くなど、雇用・所得
環境は着実に改善しており、消費は持ち直しが続くことが期待されます。
その上で、今回の
消費税率の
引上げに当たっては、前回の八%への
引上げの際に耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、いただいた
消費税を全て還元する
規模の十二分な
対策を講ずることとしています。これにより消費を下支えし、
景気の回復軌道を確かなものとして、
地方税収の確保も図ってまいります。
なお、御
指摘の
実質賃金については、毎勤統計では、アベノミクスによる雇用
拡大で女性や高齢者などが新たに雇用された場合は平均賃金の伸びも抑制され、さらに、デフレではない
状況もつくり出す中で物価が上昇すれば一層抑えられるという特徴があることに留意が必要だと
考えています。
未婚の一人親に対する
税制上の対応について
お尋ねがありました。
一人親家庭の自立を支援し、子供たちの未来が家庭の
経済状況によって左右されることのないよう、これまでも児童扶養手当の増額など積極的な支援を実施してきました。さらに、子供の貧困に対応するため、
平成三十一年度与党
税制改正大綱を踏まえ、児童扶養手当の支給を受けており、所得が一定以下の一人親に対し、
個人住民税を非
課税とする措置を今回の
法案に盛り込んだところです。
未婚の一人親に対する更なる
税制上の対応の要否等については、与党において、
平成三十二年度
税制改正において
検討し、結論を得ることとされており、
政府としては、こうした議論も踏まえつつ適切に対応してまいります。
一時保護所への財政措置について
お尋ねがありました。
一時保護は、子供の安全確保のため、個々の子供の
状況に応じ適切に行われることが重要です。このため、適切な
環境で一時保護を行うことができるよう、来年度予算においては、施設整備に関する
補助単価を加算するほか、一時保護を実施するための専用施設に対する
補助などを行うこととしています。
御
指摘の一時保護所の整備と
職員配置への財政措置の
拡充については、実情を踏まえた適切な対応を
検討してまいります。
残余の
質問につきましては、
関係大臣から
答弁させます。(
拍手)
〔
国務大臣石田真敏君
登壇、
拍手〕