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2018-07-10 第196回国会 参議院 厚生労働委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年七月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月六日     辞任         補欠選任      藤木 眞也君     石井みどり君      武田 良介君     倉林 明子君  七月九日     辞任         補欠選任      石井みどり君     小野田紀美君      小川 克巳君     青山 繁晴君      宮島 喜文君     滝沢  求君      足立 信也君     徳永 エリ君  七月十日     辞任         補欠選任      小野田紀美君     石井みどり君      滝沢  求君     宮島 喜文君      徳永 エリ君     川合 孝典君      倉林 明子君     武田 良介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         島村  大君     理 事                 石田 昌宏君                 そのだ修光君                 馬場 成志君                 山本 香苗君                 小林 正夫君     委 員                 青山 繁晴君                 石井みどり君                 小野田紀美君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 自見はなこ君                 滝沢  求君                 鶴保 庸介君                 藤井 基之君                三原じゅん子君                 宮島 喜文君                 伊藤 孝江君                 三浦 信祐君                 川合 孝典君                 徳永 エリ君                 浜口  誠君                 石橋 通宏君                 難波 奨二君                 武田 良介君                 東   徹君                 福島みずほ君                薬師寺みちよ君    委員以外の議員        発議者      松沢 成文君        発議者      片山 大介君    国務大臣        厚生労働大臣   加藤 勝信君    副大臣        厚生労働大臣  高木美智代君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        簗  和生君    事務局側        常任委員会専門        員        吉岡 成子君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      伊丹  潔君        警察庁長官官房        審議官      小田部耕治君        財務大臣官房審        議官       古谷 雅彦君        文部科学大臣官        房審議官     信濃 正範君        厚生労働省医政        局長       武田 俊彦君        厚生労働省健康        局長       福田 祐典君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       田中 誠二君        林野庁森林整備        部長       織田  央君        国土交通省道路        局次長      和田 信貴君        気象庁地球環境        ・海洋部長    田中 省吾君    参考人        兵庫県知事    井戸 敏三君        日本肺がん患者        連絡会理事長   長谷川一男君        一般社団法人全        国生活衛生同業        組合中央会副理        事長       田中 秀樹君        公益財団法人日        本対がん協会参        事        望月友美子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇健康増進法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) 〇健康増進法の一部を改正する法律案松沢成文  君外一名発議) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 島村大

    委員長島村大君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  平成三十年七月豪雨により、西日本地域に甚大な被害がもたらされ、尊い人命を失いましたことは誠に痛ましい限りでございます。  犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表しますとともに、被災者皆様にも心からお見舞いを申し上げます。  ここに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立を願います。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 島村大

    委員長島村大君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 島村大

    委員長島村大君) 委員異動について御報告いたします。  本日までに、藤木眞也君足立信也君、宮島喜文君及び小川克巳君が委員辞任され、その補欠として徳永エリ君、小野田紀美君、滝沢求君及び青山繁晴君が選任されました。     ─────────────
  5. 島村大

    委員長島村大君) 健康増進法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)及び健康増進法の一部を改正する法律案(参第一九号)の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、兵庫県知事井戸敏三君、日本肺がん患者連絡会理事長谷川一男君、一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会理事長田中秀樹君及び公益財団法人日本対がん協会参事望月友美子君でございます。  この際、参考人皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者共発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず井戸参考人お願いいたします。井戸参考人
  6. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) それでは、このような機会を与えられた者として、お手元にお配りしております兵庫県における受動喫煙防止対策パワーポイントに従って御説明をさせていただきますので、御参照いただきたいと思います。  それでは、早速に説明に入らせていただきます。  二ページですけれども条例制定経緯として取りまとめておりますが、震災後、震災後といいましても阪神・淡路大震災でありますけれども震災後の平成八年に神戸WHO神戸センターができました。そして、平成十一年に、当時のWHO事務局長のブルントラントさんのリーダーシップによりまして、たばこと健康に関するWHO神戸国際会議が開催され、これが神戸宣言という決議に結び付いております。その後、健康増進法施行されて、十六年に私ども受動喫煙防止対策指針を作ったのでありますが、基本的には全部一〇〇%禁煙という指針でありましたので、全く実効性が確保することができませんでした。したがいまして、条約の発効も受けまして、二十二年に対策委員会をつくりまして、二十四年に条例を制定し、二十五年の四月から施行をいたしているものでございます。  法案条例を比較をした表を三ページ以下続けておりますが、規制内容には基本的に大きな差はないのでありますが、小学校、中学校、高等学校敷地内禁煙にいたしております。屋外喫煙場所設置は許されません。医療機関とか官庁などにつきましては建物内禁煙。大学は公共的空間禁煙、ですから教授室オーケー飲食店ですと、公共的空間禁煙と厳格な分煙、基本的に同じなんでありますが、厨房とかバックヤードはお任せ、あわせまして、百平米以下につきましては選択ということになっておりますが、うちの条例では新規オーケーにしておりますので、法律案の方が厳しいと。それから、宿泊施設につきましても、公共的空間禁煙にするとともに、フロントロビーが百平米以下である場合には、先ほどの飲食店とのバランスで選択制にいたしております。そのほか、物品販売店老人福祉施設公共的空間禁煙を原則にいたしました。  それから、四ページを御覧いただきたいと思いますが、表示義務は基本的に課しているのでありますが、後ほど説明しますように、なかなか守られておりません。加熱式たばこ取扱いにつきましては、紙巻きたばこと同じようにいたしておりまして、特別の例外を設けておりません。  実効性確保対策といたしまして、幾つかの対策条例施行と併せまして行いました。分煙設備を整備する施設管理者に対する支援といたしまして、施設改修経費、例えば喫煙室などを設けるような施設改修経費に対しまして補助を行う、上限二百五十万で、県が二分の一。で、二十四年、二十五年はインセンティブ期間とし、二十六年、二十七年は通常期間というふうに位置付けて、できるだけ早く対応をするようにいたしました。それから、受動喫煙防止普及推進員設置をいたしました。三年間でありますけれども、十六名の普及推進員を置きまして、本庁に分煙アドバイザーで技術的な相談に乗れるような体制を取りました。それ以降は、受動喫煙対策支援員ということでアドバイザーを一人配置いたしております。説明会を実施する、あるいは補助金残につきましては低利の融資制度を設けているものでございます。  以下の実態調査の結果なんでありますが、回収率五割をちょっと超えて、回収数としては一万二千でありますので、かなりの詳細な調査ができたんだと思っております。  まず、条例認知度ですけれども条例を知っている施設は八割を超えておりまして、まずまずなんではないか。特に公的機関を中心に認知度は高いのでありますが、飲食店などの新規出店の多い業態がいささか弱いということが言えると思っています。  八ページを御覧ください。八ページでは、対策についてでありますが、基本的には敷地内禁煙が五割、五五%で、建物内禁煙が二七・七、二八%、それで八割以上が建物内禁煙以上の対策を実施しているということが言えようかと思います。小中高とか教育機関、あるいは宿泊施設フロントロビー百平米以上など、あるいは集客施設などでは条例が守られているのでありますけれども飲食店とか物品販売業など、元々規制対象でないところも含んでいるところがいささか見劣りがするという状況でございます。  九ページは、飲食店への売上げや客数への影響でありますけれども、そこにございますように、店内全面禁煙でも七五・四が影響なかった、厳格な分煙でも六七・四%が悪影響がなかったという結果です。売上げ影響でも、店内全面禁煙でも七五が悪影響がなかった、厳格な分煙でも六〇%が悪影響がなかったという結果になっております。  それから、表示の問題につきましては、もう細かく申し上げませんが、全体的に喫煙環境表示実施率が低いという状況になっております。特に飲食店等で百平米以下は規制対象外にしていることもありまして、表示でもって自分の店のスタンスを示せということにしているのでありますが、なかなか表示がされていないという実態にございます。  現在、五年を経過いたしましたので、十一ページにございますけれども条例の見直しをさせていただいております。法律施行されることを前提に、法律規制が上回る部分については条例の規定を整理して、残る部分条例規制する方向で検討しているものでございます。  最後のページになりますが、現在、委員会で検討いたしている中で主な意見を整理させていただきました。飲食店における受動喫煙対策で、法律よりも進んだ対策を取るべきだということと、やはり法律以上の規制は反対だ、小規模店舗だとか客層などに配慮すべきである。加熱式たばこについては、現行条例踏襲せいというのと、専用喫煙室を造ったらいいことにしろという意見未成年者に対しましては、家庭などの私的空間対象にするかしないかがポイント。そして、喫煙環境表示については表示を徹底すべきだということが共通です。もう一つ大きな課題として、従業員とか清掃員などの受動喫煙対策をどうするかということが課題になっておりまして、喫煙できる店舗で働く人とか喫煙専用室を清掃する人の受動喫煙対策を検討する必要があるのではないか、例示として、新大阪駅のホームのもくもくとした喫煙室を清掃する人の健康をどうするんだというようなことの意見が出たりしております。あと、屋外受動喫煙対策としての歩きたばこ禁止などについても取り組むべきだとか、あるいは玄関口喫煙エリアということを検討すべきだというような意見が出ているものでございます。  私どもとしましては、法律を踏まえまして、これから必要な上乗せ、横出しも検討しながら、法律と一体的になりました受動喫煙防止対策を進めていきたいと考えているものでございます。  以上、私からの意見とさせていただきます。
  7. 島村大

    委員長島村大君) ありがとうございました。  次に、長谷川参考人お願いいたします。長谷川参考人
  8. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) このような機会をいただき、ありがとうございます。長谷川一男と申します。  私は、日本に十一ある肺がん患者会の連合体、日本肺がん患者連絡会の代表であり、加えて、全国がん患者団体連合会にも加盟しています。そして、肺がん患者でもあります。喫煙歴はありません。受動喫煙によって病気になったのではないか、そう思っている人間です。今回は、そんな肺がん患者の立場から申し上げたいと思います。  まず初めに、私は、今回の政府案、そして参議院提出案、どちらにも共通する基本的な考え方、そこに違和感を感じています。そこには、望まない受動喫煙をなくすとあります。政府案が今までの経緯の中で合意してきたことはよく存じ上げています。しかし、この基本的な考え方に対し、いま一度申し上げたいと思います。国民の健康と命を守る、なぜこの言葉が入っていないのでしょうか。  日本における受動喫煙による年間死亡者数は、交通事故による死者四千人を大きく上回るおよそ一万五千人と推計されています。年間で一万五千もの命、人生を奪っています。本人だけではありません。周り家族友人たち、多くの人が苦しみます。今回、私はこの与えられた機会を、受動喫煙でどのような苦しみを経験するのか、当事者として具体的にそれをお伝えする場とさせていただきます。  私が罹患したのは八年前です。突然せきが出始めて病院に駆け込んだところ、肺がんと分かりました。進行度を示す数値は最も進んだ四です。臓器内にがんはとどまっておらず、転移した状態でした。五年生存率は五%ほど、月刻みのいわゆる余命というものも言われたのをよく覚えています。青天のへきれきとはこのことを言うのだと思っています。  そして、もう一つある思いが自然と湧き上がってきました。私には喫煙歴がありません。なぜ肺がんなのかということです。たばこを吸わなくても肺がんになることがあります。幾つ原因があるのですが、なかなかそこに私は当てはまりません。しかし、一つだけぴたりと当てはまるものがありました。受動喫煙です。発症前、受動喫煙を多く経験していました。  私が受動喫煙を経験したのは、まず親からです。父親は一日二箱吸うヘビースモーカーでした。母親は、台所に換気扇というものがあると思うんですけれども、私の家にはリビング換気扇が付いていました。母親がそのたばこの煙を嫌ってリビングに付けたということです。畳には焦げた跡もありましたし、本を開くとたばこの灰が舞い上がることもありました。最近母から聞いたのですが、たばこの誤飲も私は経験していたようです。そういう中で育っています。そして、その父は肺がんを患い亡くなっています。なぜたばこの害をきちんと教えてくれなかったのか、そういう言葉を残して亡くなりました。  大人になり、働くようになると、職場においても受動喫煙を経験しています。私が就職したのは二十五年ほど前です。職場ではほとんどの方が吸っていました。  がんを患って知ったことがあります。それは、人は苦難を乗り越えようとする強さを持っているということです。自分がんになったことにどのような意味があるのか。全てのことに意味があるならば、自分自身がんを患うことにも意味があるはずです。そう考えて一日一日をきちんと生きようと、前を向くようになっていきます。運命を受け入れて自分の命を全うしようとしていきます。しかしながら、この考え方には前提があります。それが運命ならばということです。もし自分がんが何らかの外的な要因で起こったとするならば、もし避けられることだったとすれば、話は違います。  想像してみてほしいです。もし他人の行為が原因自分の命に限りがあると告げられたら、そしてその原因として目に浮かぶのが自分の身近で大切な人たちです。家族であり、友人であり、職場の同僚です。気持ちを持っていく場はどこにもありません。想像してみてほしいです。もし自分周りの大切な人が肺がんを患い、命を落とすかもしれない状況になったら、その原因にもしかしたら自分が関わっているかもしれないという疑念が出てきます。  科学的に健康被害が明らかになっています。本当に受動喫煙は体に悪いんですか、そんなふうに言うことはもうできません。私はこれを地獄の状態だというふうに思っています。  続けて、山梨県の健康増進課平成二十八年に中高生およそ八千百人に受動喫煙状況をアンケートした結果をお伝えしたいと思います。  家族喫煙者がいる学生で、調査の一か月以内に受動喫煙したと回答していたのは六割ほどでした。そして、その場所は、受動喫煙した場所ですね、学生さんが受動喫煙した場所家庭内が一番多く、飲食店、路上と挙がってきます。私のような人間が今もなおつくられ続けている、そういう現実があるのかもしれません。  一万五千もの人受動喫煙で亡くなっている、その一人一人にある苦しみの声を是非想像していただきたいです。大事なことは、これは救える命であるということです。それを放置し、苦しみを生み出すのはもう終わりにする、そんな法律であることを患者として強く思います。  終わりです。ありがとうございました。
  9. 島村大

    委員長島村大君) ありがとうございました。  次に、田中参考人お願いいたします。田中参考人
  10. 田中秀樹

    参考人田中秀樹君) 本日は、参議院厚生労働委員会参考人として発言機会を与えていただき、誠にありがとうございます。  私ども一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会は、生活衛生関係営業十六業種全国に約七百万人の営業者従業員が働く業界の中で、同業者がつくっている組合中央組織として意見の取りまとめや調整などを担当している法人でございます。  本日は、十六業種生活衛生同業組合を代表して、麺類の生活衛生同業組合理事長であり中央会の副理事長である私、田中意見要望を述べさせていただきたいと思います。  私どもは、政府禁煙受動喫煙対策強化の世界的な趨勢の中で大変苦労されていることは十分に理解していますし、私ども生衛組合としましても、行政機関関係皆様と連携して、オリンピック、パラリンピックなどの開催に向けてこれまで以上に受動喫煙防止対策を促進していく必要があると認識して、真摯に取り組んでいるところでございます。  お手元資料一ページを御覧いただきたいと思います。  私ども生活衛生同業組合は、様々な業態があり、かつほとんどが小規模事業者サービス業でございます。サービス業にとっては、たばこを吸うお客様も吸わないお客様も、皆さん大切なお客様でございます。そして、我々各事業者にも営業の自由がありますので、各店舗多様性自主性も尊重していただきつつ、お客様事業者それぞれが受動喫煙防止環境を自由に選択できる仕組みとすることが望ましいと考えております。これこそが、日本だからこそできる、そして日本が世界にアピールする分煙先進国の構築であると考えております。  現在、本委員会で審議されている政府提出法案内容は我々小規模事業者に一定の配慮をいただいた内容であると認識しておりますが、法律は大枠を決めて、取扱いの詳細は今後政省令などで示されるものと認識しておりますので、今後も関係団体へのヒアリングを実施するなど丁寧な検討を行っていただくよう、この場をお借りしてお願いを申し上げます。  さて、私どもは、対策を進めていく上で、資料一ページにお示しをした①から⑥の要件が達成されることが必要であると考えております。また、二ページ以降には具体的な意見要望をお示しさせていただいております。本法案の成立に伴って達成されるもの、達成が困難とされつつあるものもございますので、私ども業界の窮地をお救いいただくため、これらの意見要望を是非かなえてくださるよう切にお願いを申し上げます。  中でも、幾つか具体的にお伝えしたい内容がございます。  一点目は、店舗施設実情に合った受動喫煙防止対策を推進すべきとの観点から、望まない受動喫煙を防止しつつ、たばこを吸う方々の自由や満足、そして営業者の自由にも配慮をしていただく日本型の分煙対策を促進していただくということでございます。このため、喫煙専用室設置による分煙対策のみならず、中小の営業者にも取組が可能な対策について、一層の支援お願いするものでございます。  例えば、昼間は禁煙として会社員学生などランチタイム営業、同じ店舗が夜にはお酒を扱い、酒、たばこ、料理で会社員などの心身の疲れを癒やすという営業を行っている店舗がたくさんございます。このような店舗施設営業などの実情に応じて禁煙の時間帯を設けて営業することによって、二十歳未満の立入りが可能になるものと考えております。  しかし、七月五日の本委員会における加藤厚生労働大臣答弁は時間分煙における禁煙時間においても二十歳未満の立入りを禁止するというもので、私ども業界は、大変驚き、落胆をしたわけでございます。認めない理由として、喫煙を可能にする場合の整理は時間ではなく場所面積要件であるから時間分煙は認められないとの答弁でございました。  私どもは、政府法案は、喫煙可能な店舗から禁煙店舗への変更や、逆に、禁煙店舗から喫煙可能な店舗へといった場所変更については営業者の自由と認識しております。一方、時間によって場所変更変更の頻度まで規制する法律の条文は見当たりませんので、どうにも納得ができません。  また、夜間営業飲食店たばこの煙が同じ店のランチタイムの時間まで残っているのか、その場合、そもそも受動喫煙が発生するのか、さらには、このような営業規制しなければ健康に影響があるといった研究調査報告の基準は存在しているのでしょうか。是非、御教示いただきたいと思っております。いわゆる三次喫煙を問題にされている方もいらっしゃいますが、衆議院厚生労働委員会厚生労働大臣は、三次喫煙健康影響に関する調査報告はなく、三次喫煙は本法案対象外答弁されております。  禁煙時間における二十歳未満の入店を禁止した場合、昼間の収益減少は避けられません。また、仮に入店されてしまった二十歳未満お客様に対して、禁煙中にもかかわらず御退店いただくための納得のいく説明は大変困難であります。  さらに、禁煙時間における二十歳未満の就業を禁止した場合、深刻な人手不足に悩んでいるサービス業、特に我々飲食業や宿泊業における生産性の向上は、逆風としか言いようがございません。最低賃金を大きく上回る賃金を提示しても人手が集まらない生衛業界において、二十歳未満の若者が一人前の調理師になるため飲食店に弟子入りする場合や、調理師免許を取得するために必要な実務経験をして就業する場合に、禁煙時間帯においても就業を禁止することとなれば、従業員確保に影響するだけでなく、修業の場も失われて、世界に誇る日本料理の文化の継承が損なわれていくのではないかと業界は大変に心配しており、この規制には納得できません。過剰な規制とならないよう、是非再検討をお願いいたします。  次に、二点目として、客席面積の考え方についてです。  客席面積について、私どものこれまでの主張を踏まえて御検討いただいたものと考えておりますが、料亭などでは客席百平米を超える店舗が大変多く、かつ客席のほとんどが個室となっております。兵庫条例では客席面積から貸切りの個室を除いておりますように、本法案に基づく基準においても、飲食店の貸切り個室については旅館、ホテルの客室同様に規制対象から除外するなど、業態に応じた措置を選択できる制度としていただくようお願いをいたします。  三点目は、喫煙禁煙の情報をお知らせするステッカー、表示などのピクトグラム化をするなど、訪日外国人にも分かりやすいものとすることに加え、全国で統一することによって、より理解が深められるものと考えております。  四点目は、この法律改正に伴って、多くの飲食店が屋内禁煙とすることが予想されます。屋内禁煙屋外喫煙可とする分煙選択可能とするため、屋外喫煙環境の整備が不可欠かつ急がれます。引き続き、地方自治体による屋外喫煙所などの整備を促進するようお願いをいたします。  最後に、加熱式たばこについてはまだ受動喫煙による健康影響が科学的に証明されていないことから、加熱式たばこ専用喫煙室に関する技術的基準についてはあらゆる店舗で容易に実現できるものとするようお願い申し上げます。  以上、私ども意見要望の一端をお話しさせていただきました。私ども生活衛生同業組合人間にも家族がおります。この度の制度改正によって廃業に追い込まれる事業者がないよう、先生方におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日は誠にありがとうございます。以上でございます。
  11. 島村大

    委員長島村大君) ありがとうございました。  次に、望月参考人お願いいたします。望月参考人
  12. 望月友美子

    参考人望月友美子君) 本日は、大変貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私は、現在、公益財団法人日本対がん協会の参事を務めておりますが、日本がん協会は、今年で創立六十周年を迎えるがん制圧のための民間団体です。私ども本部と四十六の道府県支部とがグループ一丸となって、がんに負けない社会をつくるため、禁煙推進などのがん予防活動やがん検診による早期発見、がん患者支援、そして正しい知識の普及啓発や政策提言に努めております。  私自身は、公衆衛生の最大の課題であるたばこ問題に取り組み始めてはや三十年、前に進むと更に新たな課題が立ちはだかってくるのがたばこ問題です。しかし、多くの国々では、研究者も市民団体も政治家の方々も、文字どおり生涯を懸けて闘い続けています。ほかの大きな政治課題同様、複雑な連立方程式を解いて最適解をいかに早く見出せるかに懸かっていますが、一刻の猶予もないのはたばこで多くの命が失われることが分かっているからです。  条約の締約国会議などのたばこの国際会議に出ますと、デスクロック、死の時計と言って、時々刻々たばこで亡くなる方の数が示される時計が掲示され、会議での真剣討議が促されます。日本では喫煙受動喫煙合わせて一年間に約十五万人の方が亡くなっているので、割り算をしますと三・五分に一人、どこかでたばこによって命が失われている計算になります。受動喫煙に絞っても、三十五分に一人となります。これが我が国のデスクロックです。  横長のスライドの二ページ目を御覧ください。  これは、WHOたばこ規制枠組条約、FCTCと国連による人権との関係を示したもので、FCTCの前文にも高らかにそのことが述べられています。ここに示すように、日本は国連の人権に関する規約や条約への批准はそれぞれの条約発効後と遅かったのですが、FCTCに限っては十九番目に批准し、その後、条約が発効しました。これにより、次に述べる条約第八条の履行義務が二〇一〇年と時限的に定められたのですが、締切りはとっくに過ぎています。今回の健康増進法改正で第八条の履行義務が果たせたとしても、二〇二〇年の施行では実に十年遅れなのです。  重要なことは、これらの国連条約では到達可能な最高水準の健康を享受する権利が認められていることです。  スライドの三ページ目を御覧ください。  これは、FCTCの履行を補完する六つの政策パッケージとしてWHOのMPOWERという監視評価プロジェクトができているのですが、そこから抜粋したものです。これは、定期的に各国の政策達成度を測定し公表する言わば政策通信簿で、WHOの全加盟国からデータが集められています。日本は決して優等生とは言えず、特に受動喫煙防止のP、メディアキャンペーンのW、広告禁止のEなどは最低ランク、すなわち不可の状況です。今般、厚生労働省が健康増進法改正により一ランク上がると説明しているのはこの成績ですが、厳密に言うと、喫煙所が全てに認められる規制では不十分と言えます。  WHOは、これらの六つないし七つの政策を包括的なパッケージとして実施することでたばこ消費を有効に減らせるとしています。このように、日本たばこ政策が遅れているのは、受動喫煙対策だけでなく全ての対策で最高水準に達していないために喫煙率も下げ止まりとなっているのです。逆に言えば、二〇一二年に閣議決定されたように、喫煙率を下げることが政策目標であるならば、MPOWERのいずれも怠らず包括的に実施する必要があるわけです。  次に、スライドの四ページ目を御覧ください。  これは、お手元に二つの縦長資料もございますけれども、条約第八条ガイドラインの抜粋で、全文はお手元にございます。  特に強調すべきは、基本的な留意事項にあるように、全ての人を対象にしたもので、一部の人々に限るものではないということで、だからこそ真っ先に履行することが求められました。ここでは喫煙者と非喫煙者の区別すらなく、子供や妊婦、患者さんなど有害物質に対する感受性の高い集団の存在を鑑みますと、これまた区別することなく、最も弱い集団を基準にした規制の在り方の前提となるものです。  次に、スライドの五ページ目を御覧ください。  ここからは、健康増進法改正案の問題と解決案について、五項目に絞り述べさせていただきます。  まず、受動喫煙、望まない受動喫煙と表現について。突然後者を目にしたときに大変違和感を覚えました。かつてインボランタリースモーキングという英語表現が使われ、不随意喫煙とか意に反する喫煙などと訳したことがありますが、最近ではセカンドハンドスモークという言い方が主流です。そもそも、たばこ煙に含まれる有害物質から保護することが目的なのですから、望むと望まないとにかかわらず、あらゆる暴露から守ることが本質であったはずです。かつてたばこ産業が好んで使った言葉がインボランタリースモーキングだというので、その日本版だとしたら、一体誰が導入したのでしょうか。  この状況に対する解決策としては、これを逆手に取って、最大の被害者になり得る喫煙者も含むあらゆる人が受動喫煙を望まない社会通念をつくり上げるしかありません。先ほど登壇された長谷川一男さんがよくおっしゃるように、受動喫煙により身近な者同士が加害者と被害者になってしまうことを避けなければなりません。  たばこ会社のスポンサーシップもありますので、マスメディアキャンペーンは難しいかもしれませんが、ソーシャルメディアを使ったキャンペーンであらゆる人が受動喫煙を望まない空気をつくっていくことはできると思います。  喫煙所が不可避なのであれば、反喫煙、すなわち禁煙支援の広告展開も禁煙を望んでいる喫煙者方々へのアプローチとして有効でしょう。日本禁煙外来の制度があっても、それ以外の禁煙支援のセーフティーネットがほとんどなく、喫煙者が容易に禁煙できる環境が整っていないからです。  次に、スライドの六ページ目を御覧ください。  東京都受動喫煙防止条例では面積ではなく人で分けるとしましたが、百平米にしても三十平米にしても、面積による規制の有無は、スペインで一度実施され、後に失敗と評価された旧スペインモデルの踏襲です。なぜ外国で失敗と分かったことを今、日本で実施するのでしょうか。  その弊害については、ドイツがんセンターのシュナイダーらの論文で列挙されたとおりですが、特に例外規定による空洞化、不当競争、遵法意識の低下、地域格差、従業員の健康、社会的対立などの問題が生じ得ます。先行した神奈川や兵庫条例でも罰則規定があり、違反者がいるにもかかわらずまだ一件も摘発されていないので、国の法律でも同じことが起こり得ます。  もちろん、面積規定の撤廃が望ましいところですが、きっちり政策評価をし、改正に向けた明確なロードマップを示すべきです。失敗が分かっているので、五年も待つ必要はございません。  次に、スライドの七ページを御覧ください。  改正案では喫煙専用室などについて細かい規定と要綱が定められていますが、国際社会も日本社会も長い間掛かって喫煙をデノーマライズ、普通でないこととしてきたことに完全に逆行しています。  たばこ産業は、これまで二十年以上にわたり、喫煙室屋外喫煙所の研究をしてきました。特に、機能だけでなくデザインにも注力し、魅力的な喫煙所そのものが広告効果や喫煙誘引効果まで発揮するようになりました。喫煙者喫煙所がある限り吸い続けるので、職場においても社会においても喫煙所は喫煙率低減の妨げとなります。また、子供の目に触れることにより喫煙行為が美化されるおそれがあります。  解決案としては、たばこのリスクの本質にふさわしい扱い方をするべきで、喫煙所のデザインについては、広告宣伝が許されるので極めて注意する必要がありますが、むしろたばこのプレーンパッケージのように内装、外装とも制限を掛け、さきに述べたように、たばこのリスクを知らしめるメディアボードとしての活用も検討できると思います。喫煙者の自由は保持されたままです。  次は、スライドの八ページ目を御覧ください。  喫煙設置に対する補助金の問題です。既に平成三十年度予算として合計五十五億円、うち喫煙設置三十三億円が計上されていますが、より望ましい全面禁煙への誘導ではなく、喫煙維持のための喫煙設置補助することは分煙の固定化にほかなりません。さらに、将来的な禁煙化の妨げになります。申請や設計は複雑なので、既に活躍しているたばこ産業のコンサルの協力が不可欠となった場合には、明らかな条約違反になります。  バランスを取るには、新たに全面禁煙に踏み切る当事者にも同等の補助金を交付できるように要綱を改定、追加すべきだと思います。時限措置にすることにより、禁煙化が速やかに進みます。また、補助対象外のコストが大きいことも示すことで、禁煙化への判断が容易になります。さらに、規制以上の取組をしても構わないというので、民間の力、特に投資家の力を借りて全面禁煙への誘導をすることも大きなインセンティブとなると思います。  最後に、スライドの九ページを御覧ください。  いわゆる加熱式たばこなど、法律では指定たばこという分類です。当分規制緩和の対象ですが、この経過措置により飲食可の加熱式たばこ専用ラウンジなどが増えていく可能性があります。国際的にはたばこ製品とみなして同様の規制を行う考え方がありますが、日本は新しいたばこの世界最大の実験場になっているにもかかわらず容認してしまっています。たばこ産業は現在三社がそれぞれ独自の製品を投入していますが、今後はバリエーションも増え、研究も対策実態から置き去りになる可能性があります。  このため、指定たばこという新しい概念を明確に整理し、たばこ産業の動向を監視しつつ、国としての政策形成の原理原則を定める必要があります。  最後に、本国会での健康増進法の改正に対しては、国際水準に照らし合わせても、これまで述べてきたような様々な問題点を勘案しても、現行案はいずれも不十分であると言わざるを得ません。しかし、これを一歩とみなすためには、それにとどまらず更なるゴールを明確に定めて、次の一歩、二歩、三歩と間断なく進める必要があります。命の政策形成には、当事者としての市民社会への参画こそ不可欠です。今後は、監視力や実践力の提供も含めて、一日も早く世界に誇れるたばこ政策を実現して、デスクロックを止めたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  13. 島村大

    委員長島村大君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。公明党の伊藤孝江です。  今日は、四名の参考人皆様、本当に率直な思いを聞かせていただいて、また示唆に富む御意見を頂戴して、ありがとうございます。  では、短い時間ですので早速質問をさせていただきます。  まず、井戸知事にお伺いをいたします。兵庫県から来ていただいて、ありがとうございます。地元の私自身も本当にうれしく思います。  兵庫県では平成十六年に禁煙一〇〇%を目指した指針を作られて、またその後、平成二十五年には受動喫煙の防止条例を制定をされてきたと。本当に、国が規制をする前から先駆けた取組をされていて、いろんな立場からの主張、要望などの調整も難しく、また県民の理解、問題意識の広がりも今ほどではなかったかと思います。その中で様々な調整、努力をされて、御苦労されてきた中で、本当に強い思いでこれまで取組を進めてこられたんだと思うんですけれども、改めて、この受動喫煙防止条例を制定して、国に先駆けて対策に取り組んできた思いを聞かせていただきたいというのがまず一点です。  そして、もう一つが、現在見直しを検討しているというお話でしたけれども、元々は一〇〇%の禁煙を目指していた中で、これから更に取組を進めていくという方向の中で、これまでされてきた取組を踏まえて、今後自治体の取組のこういうところを支援を国にはしてほしい、またあるいはここは国にしっかりとリードをして対策を取ってもらいたいというのがありましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。
  15. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 受動喫煙防止に対する歩みというのは、ある意味たばこを吸われる人に対する挑戦でもあったわけでありますが、健康とたばことの関係というのが科学的に、原因たばこであるということがかなり世界的な常識になり、そして、先ほど申しましたように、平成十一年には神戸WHO神戸センターを中心として世界会議が開かれて、神戸宣言も出しました。そういうような世界的な動きや県内のがんに対する徹底的な対応、しっかりしていこうというような動きと統合する形で条例化を進めてきた。  ただ、それには苦い経験がありまして、指針を作って完全を求めたのでありますが、完全はなかなか難しかった、現実に具体化しなかったという経験もありましたので、条例内容といたしましてはかなり現実妥協的なところもしました。それが百平米以下の飲食店等に対する例外措置でございました。随分これは、何平米にするか、我々最初七十五平米という提案をしたんですが、飲食店を中心とする生活同業組合の皆さんとも折衝を大分、強烈な折衝をやりまして、一応百平米でということで落ち着かせていただきました。そのような意味で、先ほどの実態調査の結果も申しましたが、それなりに理解をされて定着してきているのではないか、このように考えております。  見直しに当たりましては、この百平米をどうするかというのは一つの焦点でありまして、国の方も百平米を取られているのでありますが、私は実を言いますともっと低い水準で決めていただけるのかなと思っておりましたけれども、今回の検討委員会でもこれをどうするかということが一つの焦点になるというふうに考えております。  国に対する期待でありますけれども、やはり我々の経験でも、もし分煙施設を整備することを条件として室内禁煙建物内禁煙などを実施するという基本的な枠組みだとすれば、分煙施設を整備するための手厚い支援が必要になるのではないかというふうに考えますし、もう一つは、病院などは敷地内禁煙になっているんです。そうすると、どういうことをするかというと、道路に出て吸うんですね。ですから、道路に患者さんが出て吸うような、こういうような行為はどうもいささかどうかということを考えますと、敷地内禁煙でも配慮をすべきところが必要になるのではないか、そういう意味でのガイドラインの根拠になるような規定を置いていただいて、指導根拠を明確にしていただくということが必要なのではないか、こんなふうに考えております。助成とそれから規制の基準、二つ検討いただいたらと思っております。
  16. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  では、続きまして、望月参考人にお伺いをいたします。  先ほどのお話の中で、FCTC履行のための命の政策通信簿ということで、国際社会との比較という中において日本がまだまだ取組が足りないところがあるというようなお話をお伺いをいたしました。これは、できないところ、できていないところがあるというのは、これからもというか、今現在もこの法改正と併せてできることがあるんじゃないかということかと思いますけれども、メディアキャンペーンなどのお話も先ほどいただきましたが、今現在の状況の中でまずこういう取組を、喫煙率を下げるために、また受動喫煙を防止するためにできるのではないかというところ、御意見ありましたらお伺いできればと思います。
  17. 望月友美子

    参考人望月友美子君) ありがとうございます。  この六つないし七つと申し上げましたのは、MPOWERのそれぞれの頭文字が六つあるんですけれども、Wが、ここで御覧になって分かるように警告表示ともう一つのメディアキャンペーン、二つあります。これは、まさにたばこの害をどうやって喫煙者あるいは社会に伝えるかという、そういうことでウオーンになっているんですけれども、警告表示日本の場合ですとたばこ事業法の中で定められていますので、事業法の目的がたばこ産業の健全なる発展と財政確保という、その法律の目的の中で警告を発すると、発し過ぎると消費が減ってしまうという自己矛盾に陥るので、日本ではこの警告表示は非常に曖昧な形になっています。  それで、喫煙率を下げるためにはまずたばこの害を正しく知る必要があるんですけれども日本の場合はこの十三条、十二条、実はセットになっておりまして、もう一つたばこ事業法の中で規定されている広告禁止については、日本では自主規制なんですね。  一方で、これまでたばこ産業が様々な形で、メディアや、それこそ今ではソーシャルメディアとかポップなどを使って、たばこのいい面を非常にずっと何十年も日本の社会に投入してきたということもあるので、私どもたばこの害を非常に小さな力で患者さんや住民の方たちに発するとしても、その巨大な情報の中に埋もれてしまうというようなこともありますので、それを打ち消す形で、多くの国々では、公共の電波とかあるいは様々な媒体を使ってキャンペーンの形でリスクを知らしめています。  それは、喫煙者だけに届くのではなしに、仮に喫煙者をターゲットにした、例えば海外でオーストラリアなどが早くやっていたんですけれども禁煙の電話相談事業、クイットラインというのがございますが、その宣伝のために、前もってたばこ肺がんになるとか様々な病気のことも訴えて、そして、脅すわけでなしに、それでやめたくなったらこの電話番号にというのがセットになっているんですね。そうすると、メーンのターゲットはやめたい喫煙者なんですけれども、一緒にそのメディアキャンペーンに触れるほかの方たち、それから子供たちがそれを知るので、社会全体がたばこの害について一定の知識を保有する、そこからスタートしているわけなんです。  ですので、日本が本当にもう何年も掛けて受動喫煙健康影響について決着が出せなかったのは、一つは、まあ政府だけではないんですけれども、社会全体がたばこの害を正しく知らないというところにあると思います。  次に、じゃ、やめたい方たちがやめるための、日本ではこのOになる、条約の十四条にありますところが、禁煙外来があるにもかかわらず余り成績が良くないのは、先ほども申し上げたような、海外では無料の電話相談事業など、社会インフラとして非常にアクセスし得るところに禁煙のスポットがたくさんある。それから、保健医療職種についても、医師だけでなしに、他職種の方たちがやっぱり患者さんに触れれば必ず禁煙支援するというようなこともありますので、そこでやめていく。  もう一つ更に重要なのは、実はこの受動喫煙防止なんですけれどもたばこを吸う方は、先ほど私の中でも申し上げたように、吸う場所がある限り吸い続けるんですね。ですので、吸う場所がなくなることがたばこを吸う方にとっても最も大きなインセンティブになるということもありまして、この辺りが全部セットになって海外では喫煙率が下がっている。  だから、社会全体が害を知り、それから禁煙支援のインフラが十分されて、そして吸う場所がなくなるということは、実は喫煙者にとって最も優しい政策になるということで、海外では進められていると思います。
  18. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。
  19. 小林正夫

    ○小林正夫君 おはようございます。国民民主党の小林正夫です。  田中参考人にまずお聞きをいたします。  先ほどの御意見の中で、原則屋内禁煙とされている施設において、営業実態に応じて時間によって喫煙を可能とする時間分煙考え方が述べられましたけれども、そうしたルールを決めたときに雇用にどう影響が出てくると、このように思っているか、お聞きをしたいと思います。
  20. 田中秀樹

    参考人田中秀樹君) 時間分煙ですよね。時間分煙というのは基本的には、たまたま私はそば屋なもので、昼は禁煙にしておこうと、夜は一杯飲むお客様のために喫煙場所というか分煙エリアの分煙をしようという方向でやっているんですけれども、それをやった場合に、雇用の問題ですが、我々零細の飲食店にとりまして従業員というのは家族同然であり、もう本当に大切な戦力になってくるわけなんです。したがって、その従業員が、たばこ、私は駄目です、嫌いです、受動喫煙嫌ですという方がいらっしゃる場合には、決して我々の業界ではそういう方を無理にその喫煙スペースの方に送り込むようなことはいたしません。  また、それをやったことによって本当に大切な従業員さんが辞めていってしまう、離職してしまうリスクがありますので、我々、それをされてしまうと商売になりませんので、そういうような形で、きちんと従業員さんにはその旨を伝えてから、禁煙エリア、何というかな、禁煙喫煙エリア、これをしっかり分けるようにしております。
  21. 小林正夫

    ○小林正夫君 もう一点、田中参考人にお聞きいたします。  今回の法律によると、要は設備改修でお金が掛かる、それに対する支援なんですが、政府の方は中小企業に対して費用の二分の一、飲食店では三分の一、最大百万円までと、このように政府は考えているということなんですが、この費用面での支援はどうあるべきとお考えでしょうか。
  22. 田中秀樹

    参考人田中秀樹君) 今、設備面で、我々飲食店では三分の一、百万円上限ということで、三百万円の工事をすると百万円は助成していただけるよということでございますが、我々一番やっぱり心配、考えているのは、設備の費用に関してはこれでは到底足りないと思います。大体一つ、どうでしょうね、百平米ぐらいのところで二、三人が喫煙できる喫煙スペースを造るとなると大体三百万から四百万ぐらい、どんなに、何というか、値切ってと言ったら変ですけど、節約してもそのぐらい掛かると思うんですよ。  したがって、これはもうちょっと手厚くしてほしいなという気持ちと、何よりも大事なのは店舗面積が拘束されてしまうということです。お店の中で一テーブル増やすために幾らそこの場所代が掛かるのかということを考えますと、到底、二テーブルぐらい削らないと喫煙スペースが取れませんので、それをやられると我々の商売には本当に大きな打撃になると思います。  以上です。
  23. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、長谷川参考人にお聞きをいたします。病気療養中のところ、今日はお越しいただきまして、貴重な御意見ありがとうございました。  現在、働いている患者の三割が受動喫煙を受ける環境であると、このように長谷川さんが述べられていることがマスコミで報道されておりました。今法律案が成立した場合にこのことが改善できるとお考えなのかということが一点と、長谷川さんの資料を見ますと、聞き取り調査で、肺がんになってから受動喫煙をした場所飲食店が二百十五人中百八十六人で、八六・五%と最も多いと示されると、このように記述がありました。今回の飲食店受動喫煙対策でこの数字、八六・五%は減ると考えているかどうか、お聞きをいたします。
  24. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) ありがとうございます。  まず、私ども肺がん患者に、二百十五人にアンケートしたところ、確かにそのように、今がんを患いながら働いている方の三割が受動喫煙しているという状況が今あるということです。私は、この肺がん患者になってなお今三割もの方が受動喫煙職場で受け続けているという、そういう状況に対してまず驚きを隠せなかった。それはかなり多い数字だということはまず申し上げたいというふうに思っております。  そして、ではそれが法の施行後なくなるのかという御質問だと思うんですけれども、ある一定の効果はあると思っています。しかしながら、それが本当に全てなくなっていくのかというところでいうと、疑問がやはり残っています。  私、その二百十五人のアンケートの中に、上司が目の前で吸う、しかも肺がん患者と、目の前に、肺がん患者と分かっていながら、いいよねというふうに言って吸うとか、また、取引先の方が吸われると、それに対して言えない、抗議することはできないとか、そういったアンケートの答えがたくさん見受けられました。  そして、ではそれを受けないような職場を選べばいいだろうというふうにも思うんですけれども、またそのアンケートの中で、これは私自身が本当に胸が痛くなる例を一つ御紹介するんですが、地域で、肺がんを罹患した方ですね、治療中です。その方は妻の立場で、パートをするんですが、なかなか地域で、患者ですのでやはり事務作業、肉体労働ではなくそういったものを探すんですけれども、そういったところを探すと喫煙場所だったので辞めたと。辞めたら、次に仕事があるのは肉体労働しか残っていなく、一日昼間、パートですので数時間ですけれども、かなりの肉体労働をしてくたくたになり、帰り、そして治療をし、お給料はもらえるんですけれども、それが全て治療費に消えていく。そして、その治療費のために、捻出するために、パートだけでは足りなくて、子供の塾やお稽古事、そういったこともやめさせたというような、そんな悲痛な例が出ています。  なので、そういった意味で、この法律によって一定の効果は当然あると思うんですけれども、そこに、その隙間に落ちてしまう方は必ずいらっしゃるのではないかなというふうに思っています。  また、あと、飲食店での受動喫煙が減るのかということに関しても、一定の効果はあると思います。しかしながら、一つだけこれは申し上げておきたいのですが、先ほどもおっしゃっていただいたとおり、アンケートでは八六・五%の方が飲食店受動喫煙するというふうに答えました。これは非常に高い数値だと思います。この高い数値は、やはりちょっと一般とは懸け離れているというふうに私は考えておりまして、それは背景を理解しないといけないというふうに思っています。  どういうことかというと、特に肺がん患者にとって受動喫煙というものは、好き嫌いで考えているわけではないんですね。恐怖なんです。ステージ二、早期の段階ですけれども、この場合で五年生存率は大体半分ぐらいです。そういった再発におびえている中で煙を吸う、他人の煙を浴びるという状況が、本当にそれが怖いというふうに思うのは当然だというふうに思っています。なので、かなり高い数値になっているというような現状だと思います。  これもやはり実際的にその法が施行されて受動喫煙状況は減ると思いますけれども、その恐怖を感じる者にとって、そうですね、たばこの煙というのは本当に少しでもやっぱり感じると怖いので、その恐怖を感じる状態が皆無になるとは今の状態では思えないというふうに思っております。
  25. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  26. 難波奨二

    ○難波奨二君 立憲民主党の難波奨二でございます。  今日は、四名の参考人の皆さん、貴重な御意見賜りまして、感謝申し上げたいと思います。  まず、井戸知事にお伺いしたいと思います。公務多忙の中、大変ありがとうございました。  兵庫県とそれから神奈川県が先行して条例を定められておられるわけなんですけど、私、さきの委員会でも申し上げたんですが、過料を科して様々な罰則を設けて規制をしていこうということなんですけど、両県とも、兵庫の場合も神奈川もそうですが、罰金、過料と兵庫の場合分けておられるわけなんですけど、実績といいますか、取り締まるのが目的じゃないわけですけれども、実際にそういう該当の案件がないという現状なわけなんですけど、本当に過料を科したり罰金を科すことが実効性があるのかどうなのかという問題意識での私の質問なんですけど、実際やられてみて、そうした具体的な事象なり、そしてその事案、結果というものが生まれていないことは現状どういう状況なのかということを教えていただきたいと思います。
  27. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 私ども、まずは条例内容を理解して守る、条例内容を実施していただくということを条例施行時、中心に考えましたので、分煙施設を造る場合には五百万ぐらいを前提にしまして二分の一の助成をするとか、あるいは普及推進員を置きまして指導をしていったと、こういう指導期間がこの五年間だったというふうに考えております。摘発をして条例内容を守るということよりは、まずは理解をしていただいて環境を整備していく、これが我々のこの五年間だったと思うんです。  ですから、今、見直し委員会でも議論になっておりますのは、これからをどうするか、これからをどのようにするか。そうすると、フォロー体制をどうつくっていくかということに関わりますので、最初の三年間普及員を置いたんでありますが、今度は摘発員を置くかというようなことが課題になる。  ですから、国の法律の場合も、最初から罰則で守らせるというよりは、最初は指導をする期間というふうに位置付けられた後、一定の期間経過後に徹底した、罰則も前提に置いた指導なり摘発をしていくというスタンスになるのではないか、我々はこれからの課題かなと、こう思っています。
  28. 難波奨二

    ○難波奨二君 もう一つお教えいただきたいんですけど、資料の五ページ目にございます支援関係補助の実績の表が、知事、あるわけなんですけど、兵庫ぐらいの規模の都市になりますともう少し補助の実績が高くてもいいんじゃないかというふうに私この表を見て直感で思ったんですけれども、この実態について、分かる範囲で御説明いただければと思いますが。
  29. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 私ももう少し多いかと思っておりましたが、この程度の実績です。ということは、逆に評価しますと、やれるところは自分で、自前でやれていったということなのではないか。といいますのは、百平米を超える飲食店とかホテル、旅館などについて言いますと、それなりの力がある、小企業であるといっても、それなりの力のある企業が多いということを表しているのではないかというふうに思っております。実態、小さくてなかなかこういう対応力のないところは百平米以下というところで、言わばセービングクローズとなったのではないかと思います。  したがいまして、私も三宮によく出ますが、余り文句を言われたことは経験上はございません。
  30. 難波奨二

    ○難波奨二君 続きまして、望月参考人にお伺いしたいと思いますけど、受動喫煙の防止に関するPRのやっぱり活動が極めて重要だと思うんですよね。どういったPRの方法があるのか、御見識をお伺いしたいのと、加えまして、たばこの問題というのは私も十分よく分かりましたが、その他の健康被害に、影響が起きるようなものですよね、例えばお酒とか何でもいいんですけど、これは国際的には今どういった品種のものが問題になっているのかというものをお教えいただきたいと思います。
  31. 望月友美子

    参考人望月友美子君) ありがとうございます。  まず、そのPR、キャンペーンのことだと思いますけれども受動喫煙の前に喫煙の害について、先ほども申し上げましたように、まず知らせる必要があると思うんですが、受動喫煙に限って申しますと、例えばイギリスなどでは全国禁煙法を実施する前に、たばこの煙というのはなかなか目に見えないんですけれども、例えばウエディングパーティーで墨流しのような形でたばこの煙に色を付けて、煙というのはどこにでもはっていくので、もうこういうふうに話しているときに相手の鼻から吸われていくということを可視化するような、言葉よりはそういう可視化のキャンペーンというのは様々な手法で使われています。  一方で、たばこ産業も同じような形で、それを否定するというよりも希釈するような様々なイメージ広告をやっているので、それを打ち消すためには相当の質の高いメッセージだとか映像を使う必要があるのではないかと思います。  もう一つは、先ほど来、長谷川委員のお話を聞いておりますと、患者さんの本当の声というものは、なかなか私どものような研究者からの声よりも、更に多くの方たちの魂を揺るがすようなことなので、そういうメッセージを発する人、いわゆるタレントさんではなしに本当にその当事者として苦しんでいる方の声を届ける必要があると思います。  これが日本では全くされていないんですけれども、私自身、国立がんセンターに最初奉職していたときに、喉頭がん患者さんであられましたコロムビア・ライトさんのCMをカンパで作りました。そのときにはケーブルテレビを使って流したんですけれども、喉頭がんについて言うと、ほぼ一〇〇%御本人の喫煙ということが分かっていますので、やっぱり患者さんの声というものも今後日本で多くの方たちの力を借りてやっていくことができるかなと思います。  それから、弱い方とさっきも申し上げましたけれども、例えばおなかの中の赤ちゃんだとか、実はアメリカン・キャンサー・ソサエティーという私どものパートナーオーガニゼーションが一九八四年にやったキャンペーンは、妊娠中のお母さん、あなたがたばこを吸うと、おなかの赤ちゃんもたばこを吸っていることになるんですよということをセンセーショナルなキャンペーンとして打ったり、その表現力は相当なものでした。  それから、その他の健康上の悪いもの、例えばお酒とかそれからお砂糖とか、ソーダ税というのが今検討されているんですけれどもWHOの方でもアルコールの規制について、条約までは行かないんですけれども、どのような規制が可能かということはずっと審議されております。  たばことお酒と、それから恐らくファットとかシュガーとか、どちらも人間の生活の中に深く根付いているものなんですけれども、やっぱり害が分かったときにどのようにそれを減らしていくのかということはとても重要なことなんですけれども、問題は、ゼロにしなければいけないものと程々でいいものというのがやっぱりそのリスクによって違います。たばこについてはゼロリスクしかあり得ないので、そこの点で多くのほかの生活に関連するようなものよりは厳しめになっています。
  32. 難波奨二

    ○難波奨二君 ありがとうございます。終わります。
  33. 武田良介

    武田良介君 日本共産党の武田良介です。  今日は、四人の参考人方々、本当にお忙しい中ありがとうございました。  まず、望月参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  今日のお話にもありましたけれども、国際的な水準から考えていくということは非常に重要だというふうに思いましたけれども、ちょっと質問の重複避ける関係もありまして、加熱式たばこについてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  この加熱式たばこ日本で今広がっているわけでありまして、先日の質疑でも、この間言われているわけですが、確かに、加熱式たばこそのもののみを喫煙してどれだけ健康影響があるのかということでいえば、まだ研究の途上、全てが明らかになっているわけではないということはあろうかと思うんですが、しかし、その構造上、紙巻きでは出ないような発がん性物質が出るのではないかだとかいろんな懸念が指摘されているということもお聞きしておりまして、大きく二つお聞きしたいんですが、一つはその加熱式たばこというのをそもそもどう評価しているのかという点と、それからアメリカの方では、FDAと言いますよね、アメリカの食品医薬品局のところがこれオーケー出さなかったということがありますけれども、こういったところをどう御覧になっているのかという、大きく二点、まずお伺いしたいと思います。
  34. 望月友美子

    参考人望月友美子君) 加熱式たばこという言い方が割と流布しているのでそれを踏襲しますけれども、私自身は新型たばこと申し上げています。  それは、熱の量も今低温、蒸したばこと言う方が近いのかもしれないんですけれども、新しいたばこ製品が今世の中に出てきて、旧来のものとどう違うのかというところが議論になっていると思うんですけれども、そもそも、これらのたばこ製品というのは、ニコチンを脳に効率よく伝達するニコチンデリバリーデバイスあるいはシステムというふうに捉えるべきです。  それを売っているたばこ産業も、ニコチンなしのこういったものはあり得ないというぐらいニコチンが不可欠。ニコチンは御存じのように依存性物質であり、そのものが毒劇物でありますので、それに非常に有害性があり、依存性のあるものが合法的に存在していることが一つの問題なんですけれども、御質問の、それが私から見た本質だと思います。  それが非常に巧妙な形になっていて、いわゆる排出物のコントロールもマイクロチップで行われるようになっているんですけれども、それはやはりたばこの煙ではないけれども、何かは出ている、それを吸っているわけですけれども、それがどのぐらい出ているのかというのはまだ測定不可能なものもたくさんあります。ただし、たばこ産業の方も敵対するたばこ産業同士でいろいろ研究をしているんですけれども、未知のものも含めて実はたくさん出ているということは既に論文になっているぐらいなんですね。  そうしたときに、未知なものに対して我々がどういうスタンスで臨むかというところで、国によって様々な、ポリシーが違います。日本は未知なものに対してそっとしておくというか、なんですけれども、多くの国では予防原則、やっぱり疑わしきものはまず罰してということ。それから、アメリカのFDAでは、御承知のようにレギュラトリーサイエンスという非常にごりごりした規制科学が進んでおりまして、規制のためにどういうエビデンスが必要なのかということを本当に巨額の公費を投じて研究しています。  まず、予防原則かレギュラトリーサイエンスか、どちらのスタンスを取るかによってスピード感も違うんですけれども日本の場合は残念ながらその原則がないというところでふらついているというのが私からの見方です。
  35. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございました。そういった点から、やっぱり国際水準から見ても日本が遅れていると、先ほど来の広告だとか様々な規制の点で遅れがあるということかなというふうに受け止めさせていただきました。  長谷川参考人にもちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  これまでいろんな案がある中で今回の法案が出てきておりますけれども、改めて率直に、そういった経過をどのように御覧になっているかということを率直にお伺いしたいというふうに思います。
  36. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) 法案に関しては、私は、やはり一言で言うと不十分というふうに考えています。そして、それが今までの経緯の中で、厳しめのものを作り、そしてまた今度は振り子のように逆の方に振れて、何というんでしょう、揺れているというところを強くやはり思っています。そして、今その決着として不十分なところに落ち着くということになってしまうのではないかというふうに思っています。それが偽らざる気持ちです。  一番顕著なところで言うと、飲食店の百平米というこの数値のところがすごく揺れているところだと思うんですけれども、単純に例外と原則が逆転している、その状況は今もなおずっと続いているということが象徴していると、そんなふうに思っています。
  37. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございました。  井戸参考人にもお伺いしたいと思うんですが、先ほどのお話の中で、例えば、ちょっと細かな話のようであれですけど、条例の見直しというところで、屋外対策というのが一番最後に出てきておりました。これ見ますと、教育機関や官公庁などの周辺における禁煙エリアを検討すべきという、その後に特に入口付近を検討すべきなんという記述もありました。  今回の法案でも一種、二種というのありましたけれども屋外設置をしていくことができると。ただ、煙がそういった教育機関だとか出入りする方に流れるのではないかという懸念を私も持っておるわけですけれども、ここでは今の見直しでどういった意見が出ているのか、また実際にそういった受動喫煙の懸念があるという実態といいますか声といいますか、そういった声が上がっているんでしょうか。
  38. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 大変、どの場所喫煙場所をつくるかということで、今御指摘ありましたように、入口の方に煙が漂ったりする可能性がある。それで、一番出入りをする、しかも学校などですと子供も出入りをするということも考えられますので、そのような意味では、禁煙エリアを設定するにしても、そのような影響を、間接的な影響をしっかりと見定めてエリアを設定すべきだという意見が非常に強く出されております。  それと、先ほど例でも言いましたように、病院などは敷地内禁煙にしていますので、どうしても吸いたい方というのは敷地から外で吸われる、それが道路なんかが多いんですけれども、こういうケースどう考えるか。逆に、敷地内禁煙という措置を一律にしていることがそういう現象をもたらしているわけですので、だとすると、一番影響力のないようなところを喫煙エリアにするということも考えられるのではないか、そのような意味で、喫煙エリアの設定ということについてより厳密な対応が必要なんではないかという意見でございます。
  39. 武田良介

    武田良介君 それでは、最後に田中参考人一つだけお伺いをしたいというふうに思います。  経営への影響ということで懸念を述べていただきましたけれども、例えば、例外なくもう全て禁煙というふうになると、それぞれの店舗の違いということはなくなっていくかというふうに思うんですけれども、そういった方向性というのはどうお考えでしょうか。
  40. 田中秀樹

    参考人田中秀樹君) 飲食店において全て禁煙ということですか、飲食店においての。確かに、全部吸えないよというのであるならば、それはそれで公平性を保たれるのかもしれませんけれども、ちょっといいですか、お伺いして。  喫煙室に関してはどういうお考えですか。喫煙室があることを前提にするか、ないことを前提に、どっちですか。
  41. 武田良介

    武田良介君 私どもは、喫煙室がなくて完全禁煙というのが望ましいというふうに考えております。
  42. 田中秀樹

    参考人田中秀樹君) 喫煙室がなくて完全禁煙、これは確かにそのとおりだと私も思います。しかし、今現実として、それが現実的な話なんでしょうかというところなんです。  というのは、私、たまたま千代田区で生活しておるわけでございますけれども、御承知のとおり路上は全部禁煙です。今まで公園で喫煙場所とされていたところも全部禁煙になっております。いわゆる外では一切吸えない。ところが、たばこがこの世の中に存在している以上は吸う方がいらっしゃるわけですよね。そうすると、様々な制約が掛かって、今むしろ吸える場所というのが分煙を実行している飲食店がやはり一番多いのではないのかなと思うんです。  確かに、いろいろな今お話を聞いておりましても、望まれないいわゆる副流煙を吸うのはよくないということでございますので、当然、例えば私の店はこれは禁煙です、喫煙です、分煙ですときちっとお客様に前段で告知することは絶対必要だと思っております。  しかし、全部が禁煙ということが、それは確かに先生おっしゃるように公平だとは思いますけれども、それをやるんですと、やっぱりたばこそのものをこの世の中からなくしていくというのかな、それに近いような我々としては発想になってしまうので、なかなか現実の問題として全部が禁煙というのは難しいのかなと思っております。  以上です。
  43. 武田良介

    武田良介君 ありがとうございました。終わります。
  44. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  本日は、四人の参考人の方に大変お忙しい中をお越しいただきまして、本当にありがとうございます。  まず、長谷川参考人からお伺いをさせていただきたいと思います。  資料の方を見させていただきました。二〇一六年の国立がん研究センターの推移で、先ほどもおっしゃっていましたけれども受動喫煙原因年間約一万五千人が亡くなっているということ、これはもう本当に深刻な状況だと思いますし、決して他人事ではなくて、我々もなる可能性があるということで、本当に自分自身のこととして皆がやっぱり取り組んでいかなきゃならないというふうに思っています。  長谷川参考人の方からは、今回の法案について不十分だと、国民の健康と命を守るということがやっぱり欠けているんだと。本来、厚生労働省、厚生労働委員会は国民の健康と命を守るのが本来であるというふうに我々も認識しておりますが、今回の法案についてはそういうふうに思っているという厳しい御意見でございました。  先ほども質問がありましたけれども、特に今回の法案でやはり一番問題となったのは飲食店受動喫煙対策部分だと思うんですね。面積の部分だと思うんですが、その対象外となるのが、本来、厚生労働省の政府案では三十平米を検討しておったにもかかわらず、今回百平米になったというふうなことであります。この点について、もう一度、長谷川参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) ありがとうございます。  もう一度申し上げます。今までの受動喫煙の、この法案の推移を見ていると、やはりどう規制するか、具体的なところの論争をするのは当然なんですけれども、そこに健康と命を守る、そこの視点に立って物事が、物事というかその論争が行われているのかということに関して疑問に思うということは多々ありました。  今おっしゃったように、その象徴というのが飲食店の面積のことだというふうに思っています。最初三十と出て、次には百五十になり、また百になりというような、すごく振り子のように揺れています。それがやはり、原則どこを一番大切にするのかというところが置き去りになっているのではないかというふうに正直に感じています。なので、今現在、この対案として出された三十平米という厳しい案が出ていると思うんですけれども、こちらの方に私としては賛成したい、そういった方向で進んでいただきたいというふうに思います。やはり原則、原則というか、一番大切にするところがどこなんだというところを考えていけば、おのずとその具体案というところが決まってくるのだというふうに考えています。
  46. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  続きまして、望月参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  資料の方でも見せていただきました。日本というのはやっぱり遅れているなと、この受動喫煙対策が遅れているなというのは資料の方でもよく分かるんですが、なぜ日本は国際的にこの受動喫煙対策について遅れているのかというところについて、もし所見がありましたらお聞かせいただければと思います。
  47. 望月友美子

    参考人望月友美子君) ありがとうございます。  一番重要な御質問だと思うんですけれども受動喫煙対策は本当は日本が一番進んでいなければならない国だったんですね。一九八一年に、当時、国立がんセンターの疫学部長だった平山雄先生が世界に先駆けて受動喫煙肺がん関係を論文にしました。それが端緒になって多くの国々でエビデンスが集積して、一九八六年にアメリカのサージャンゼネラルのレポートが結論を出し、それから二〇〇六年にも更に、もうディベートの余地なしということで、それが条約の中で受動喫煙対策を大きく進める礎となりました。  ですけれども、そのように世界の受動喫煙対策の牽引車だったのが日本から生まれた研究者だったんですけれども、にもかかわらずなぜ遅れているんだということは、海外の友人たちからもよく指摘されています。  それは、非常に貴重な研究成果が日本の中で埋もれ去ってしまった。ほぼ発表されたと同時にネガティブキャンペーンが国際的になされて、それは今たばこ産業の内部文書で明らかになって、数々の論文で証明されているような事態なんですけれども、そのことが日本の中でほとんど共有されなくて、一つの研究が握り潰されたという非常に暗い歴史があります。  そういうこともあって、ようやく厚生労働省のたばこ白書の中で、受動喫煙の問題が今なぜ何十年もたって確認されなければいけなかったのか。だから、研究成果に対する科学者の研究態度というのは、一人の研究論文だけでは結論を出せないんですけれども、多くの科学者の集合知として科学の専門業界の中でのコンセンサスがベースになるんですけれども、なぜか日本の中ではその科学的なディベートの中に別の圧力が入ってきて、それが希釈されていった。  ですので、何が申し上げたいかというと、その科学的な根拠をいかに大事にして、それを学界として尊重し、それから結論を出すための因果関係の判定の客観的な基準を設けて、ようやく科学のコンセンサスとしてイエス・オア・ノーというのが出る。その科学の文化というか、政策形成における科学をどれだけ大事にするかという文化がまず損なわれている、そこにたばこ産業が大きく加担していて、それが潰れていったという背景があります。  ですので、今こそ挽回のときで、それこそ何十年分を挽回しなければいけないと思いますので、それこそ一番困られていて、お隣にいらっしゃる田中委員はそういう営業のことをとてもおっしゃるんですけれども、一番そこで健康を害するのはそこでお仕事をされる方々だと思います。  ですので、もう一つの視点を申し上げれば、科学の視点だけでなしに、誰の健康を守るのか。アイルランドは世界で初めて全国禁煙法を出した国ですけれども、労働者の健康を守る観点です。多くの、ほとんどの公共の場所は誰かが働いている。そうなると、お客の健康よりもむしろ労働者の健康を先に考えれば、まずそこを守っていくということになると思います。  まず二つの視点をちょっと申し上げたいと思います。
  48. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございます。  確かに、労働者はやっぱりそこで働くので、長い期間受動喫煙にさらされるということになると思いますから、大変問題だというふうに思います。  ただ、あともう一点だけ望月参考人にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、子供の健康もやっぱり守っていくということは非常に大事だと思っていまして、先ほど長谷川参考人の方からもお話がありました、御家庭でお父さんがたばこを吸っていたという問題、また、私、時々目にしてこれ嫌だなと思うのは、車の中で親がたばこを吸っていて子供が同じ車の中に乗っているとかですね、また飲食店でも子供連れで行くとか、やっぱりそういった子供の健康を守るということは非常に大事だと思うんですけれども、これをどうしていけばいいのか、もし御所見があればお聞かせいただければと思います。もうあと、時間がありますので、一分ぐらいしかありませんが、済みません。
  49. 望月友美子

    参考人望月友美子君) 子供はおっしゃるように本当にまず守らなければいけない存在で、様々な有害物質に対しての感受性、つまりリスクに対する感受性が大人よりも高い、大人は大丈夫な量でも子供は非常に致命的なダメージが起こるということなので、子供を視点とした政策を組み立てていくと今のままではとても甘いわけですし、それからその体への影響だけでなしに、社会的な、心理的な影響というものもあると思うんですね。  私の発表の中でも申し上げたように、やはり非常に有害性があって致死性の高いものが野ざらしになっているという状況を子供が見たときに、学校で習ったたばこの害があるにもかかわらず、普通に吸っているじゃないかと。これダブルメッセージになりますので、そういった観点からも、子供の目それから子供の体から遠ざけるという視点が必要になると思います。
  50. 東徹

    ○東徹君 ありがとうございました。終わらせていただきます。
  51. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  本日は、大変お忙しい中、四人の参考人の皆さん、貴重な御意見を本当にありがとうございます。  まず初めに、加熱式たばこならぬ、先ほど望月参考人がこれは新型たばこだとおっしゃいましたが、井戸県知事にお聞きをいたします。  兵庫県の条例では、この新型たばこ紙巻きたばこと同じように扱っているんですが、この点についての議論などありましたら、御意見ありましたら教えてください。
  52. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 新型たばこが出てきましたときに、私ども条例規制対象になっているんだろうかどうかというのを確認したんですが、条文で読む限りは、たばこと書いてあるんですね。新型であろうと旧型であろうと、たばこには違わないものですから、これは当然含んで規定上は読めるということで規制対象に取り扱わせていただいております。
  53. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 簡明な御説明、ありがとうございます。  次に、長谷川参考人にお聞きをいたします。病を押して貴重な御意見を聞かせていただいていることに感謝をいたします。  今日は、受動喫煙とそれからお父様自身のまさに被害と、二つ話をしてくださいました。  まず、受動喫煙の方なんですが、東京都の条例だと従業員を使用しているところはもうそもそも禁煙であるというふうにしているんですね。お客も確かに吸うけれども受動喫煙といったら最も吸うのは実は働いている人であると、先ほど望月参考人からもありました。この従業員の問題についていかがでしょうか。
  54. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) 従業員の問題についてお話しさせていただきたいと思います。  昨今、いろいろなハラスメントというような状況が生まれていると思うんですけれども、それと似たようなものが受動喫煙、この従業員のところには必ず何か入ってくるのではないかというふうに思っています。やはり主従の関係というか、雇用と雇われる側ということなので、どうしてもそこに力関係が働いて、その働いている人の本意、そういったものが届かない場合があるのではないか。  そして、それが病でも、今いろんな薬が出ていて就労できる状況になっているんですね。就労するということは、がん患者にとって、自分の存在が社会に役に立っている、社会の中の一人なんだという、そういう矜持、誇りを持てる行為でもあると思います。しかしながら、その事情を抱えながらそういう思いで働いている人に対して、なかなか、力関係があるとそこに関して言えなくなるという状況はどうしても起こってきて、それに関して何とかするのは法律であろうというふうな意見です。
  55. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 長谷川参考人に更にお聞きをいたします。  私は、実はたばこは全く駄目なので、ただ、バーや居酒屋やいろんなところで楽しくたばこを、たばこ吸っていいですかと言われると、駄目とかなかなかやっぱり正直言いにくくて、楽しく御飯食べ楽しくたばこを吸っているのに駄目と、こう言いにくいわけですね。  今回の法案だと百平方メートル客室とかなっておりまして、でも、本当は、家であれ外であれ職場であれ、そして路上であれ、そして飲食店であれ、他人がいるところではもう吸わないという社会に本当はなってほしいなと。一々駄目と言わなくちゃいけないというよりも、本当は他人がいるところでは吸わないという方がよくて、やっぱりその場所の雰囲気を害したくなかったりすれば、飲食店で例えば禁煙でないところで食事をせざるを得ないということや、いろいろあるんではないかと。この辺についてどうお考えか、教えてください。
  56. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) 他人がいるところで吸わないということに関してですが、これは単純に、事情を抱えている人が世の中にはたくさんいる、そう考えていただければ、やはりおのずとその行動は決まってくるというふうに思っています。これは、がん患者だけではなく、障害者であったり若しくはマイノリティーだったり、いろんなところがあると思うんですけれども、事情を抱えている人が周りにはいる、そしてそれは目に見えるものばかりだけではないということだというふうに思っています。  なので、ちなみに肺がんだけでいえば、十三万人ですか、年間に関して七万人以上が亡くなっていくというそんな状況で、死亡率は一位なんですけれども、今の百平米になったとしても、ここは吸えるのかな、ここは吸えないのかなというようなふうに、何というんですか、たばこの煙を気にしながら探してお店に入るというような状況は続くのではないのかなという、そういうふうに率直に思っています。
  57. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 望月参考人にお聞きをいたします。  健康増進法そのものが二十五条で、国及び地方公共団体の責務で望まない受動喫煙が生じないよう、受動喫煙に関する知識の普及というように、受動喫煙にやはり注目をしていると。確かに、たばこを吸う権利というのも権利なわけなんですが、やはりこの法律の中にとても欠けているのが、今日おっしゃった、長谷川参考人もちょっとおっしゃいましたけれど、吸う人そのものが実はこれはニコチン中毒で、実は喫煙者そのものも苦しいかもしれないし、徐々に、というか、まずニコチン中毒にかからない、ニコチン中毒にかかっても徐々にそれを克服していくというような道筋をもっと啓発や様々な場所が必要だと思うんですが、その点について御意見をお聞かせください。
  58. 望月友美子

    参考人望月友美子君) 全く同感でして、日本の政策が順序が逆さまだと思うんですね。リスクの少ない例えば路上喫煙から攻めてきて、二次被害である受動喫煙の問題、そして一番本丸というか、一番の被害者である喫煙者対策というものが、しかも一番リスクの高いところが置き去りになっているので、たばこを吸う方たちはやめられなくて禁煙の環境でも吸ってしまう。本来ならば社会人としてセーブできることが、例えばポイ捨ての問題にしても、定められたところ以外でも吸ってしまうということは、本来コントロールできることができなくなっているというのは、おっしゃるように依存症のなせる業で、御本人は逆に吸っても悪くないんですよ。それは病気だとみなさなければいけない。  ですので、受動喫煙対策と御本人への禁煙支援というのは本当に車の両輪で、しかも吸える環境がなくなることが一番本人への動機付けになって、例えば会社などで全面禁煙を実施しているところが今幾つも増えているんですけれども、そういうところは、その会社が実行する前に禁煙外来に駆け込んで禁煙をしようということで、非常に強い動機付けになっています。  ですので、国としては、閣議決定で喫煙率を下げると言っているのですから、そういった整合性のあるような政策設計にしていただきたいなというふうに思います。
  59. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 世界におけるたばこ年間消費量は、二〇〇九年で五兆八千八百四十億本でピークで、今若干減少しているものの、二〇一六年の消費量は五兆五千五十億本と依然高水準であると。ですから、やっぱり世界の中でもたばこをどう減らすか。  望月参考人にお聞きをします。  御存じ、ヨーロッパ、アメリカが規制をしているので、アジア、アフリカなどにたばこの消費量が増えているという、このことをどう御覧になっているかということと、二つ目は、短くて済みませんが、映画やいろんなもので、アメリカのデータでも映画の中の喫煙のシーンが減ると若者の喫煙率が減るとかというものがあります。こういういろんなところの、映画を含めたある種のキャンペーンみたいなものについて、どうお考えでしょうか。
  60. 望月友美子

    参考人望月友美子君) ありがとうございます。  やっぱりたばこの問題は、もう国境を越えて流行が移動していて、ある国で減ればその余剰が日本に来る、あるいは日本も減っていけば海外に輸出する。八〇年代に市場開放されたときには、アメリカのたばこがうんと減ったので日本に攻め入ってきて、今の状況が生まれていて、それと同じ構造を日本はやっているわけなので、日本は特に日本の名前を冠したたばこ会社が世界的には第三の多国籍企業として大活躍しているんですけれども、それは取りも直さず有害なものを外に売っているということで、国際的には非難の対象になっています。  それからあと、映画などでの影響というのは非常に大きくて、やっぱり今でも映画とかドラマとかいろいろな、特にメディアを介したたばこの行動そのものの美化だとか、ストーリーの中に埋め込まれていくので、三十秒のCMよりももっと強い効果を持っています。  最近すごく目立つのは、今までの紙巻きたばこに関して言うと、業界の方もだんだん自主規制したり法律規制されているんですけれども、新型たばこ、電子たばこなどがそういうシーンの中に随分見えてきます。それが今後の大流行を生み出す、特に若い人たちへの影響を増すのではないかというふうに私は懸念しております。
  61. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 どうもありがとうございました。
  62. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願いいたします。  今日は、長谷川参考人と望月参考人のお話を伺って、私もほっといたしました。私もこの法案、すごく違和感を感じているんですよ。そもそも、こういう形から何平米というところを議論すること自体がナンセンスだと思っていて、本来であれば、IOCが発したメッセージというのはこういうことじゃなかったはずなんですよね。煙のないような中で、やはりスポーツを通して健康を増進をしていくんであれば、更に健康を確保していくためには何が必要なのかということを各国に対して政策として考えてほしいという、多分スポーツを通した健康増進ということだったと思うんですけど、どうもその議論が吸う人と吸わない人の論争になってみたり、先ほど田中参考人からもございましたように、やはり中小企業の皆様方の何か大変お困りのような状況ということも、そうではなかったはずの議論がだんだん何か矮小化されてしまって、大変残念に私も思っております。  そこで、やはりあるべき論ということで、もう一回私は大きなところで議論をし直すべきではないのかなと思っておりますけれども、まずは望月参考人、その辺り、何か御意見ございましたら教えていただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  63. 望月友美子

    参考人望月友美子君) ありがとうございます。  面積に関する議論が始まったのは、日本の中では端緒としては神奈川の受動喫煙防止条例、次に兵庫県の条例ということで、これは当時としては画期的ということだったんですが、じゃ、なぜ百平米が突然来たのかと。神奈川県の県庁のお手伝いなどもしていたんですけれども、突然出てきた数字なんですね。たどっていくと、アメリカのたばこ会社が持ち込んできたプロポーザルであった。それは世界的にも様々な国に対してロビーイングをしていて、完全禁煙かイエス・オア・ノーというところでなしに、いろいろなその何平米で規定するというものを各国にロビーイングして、その一つがスペインだったわけなんですが、それがいまだに踏襲されています。  先ほども申し上げたように、それではうまくいかないことが既に実証されているし、そもそも不平等であるし、それから履行も非常に難しくなりますね。複雑になりますし、どこの面積を測るのか、それを擦り抜けるために一つの百平米の店舗を半分に切って業態変更して五十と五十というふうなところもあるというふうに聞いているんですけれども、そうやって非常に実態が複雑化するということは、法律の、せっかく生まれた法律実効性が伴わないということになります。  それから、履行のコストも高くなります。その分を健康増進のコストとか禁煙支援のコスト、それから一番困っていらっしゃる、一時的には経済的なダメージがあるかもしれないような中小企業への保障のような形で振り向けても本当はよかったんでないのかなと思います。  ですので、やっぱり税金の使い方なり、そういう本当に不平等がどこに起こって、どういう方たちが一番お困りなのか。声を上げられない子供、それから非常に、先ほど長谷川さんもおっしゃっていたように、そこで不安でなしに恐怖を覚えるような方たちも実際にいらっしゃる、それから、何よりも日々の売上げを一喜一憂していらっしゃるようなお店の小さな方たちのその声を全部連立方程式として成り立たせる最適解というのは、やはり完全禁煙しかないと思うんですね。そこで一番困るのは、もしかしたら税収かもしれない、もしかしたらたばこ産業かもしれないんですけれども、それで本当は全部丸く収まるはずなのに、どうしてそういう建設的な議論にならなかったのかなということが、私自身もずっとウオッチしていて残念に思います。  ただ、挽回はできます。スペインが五年掛けて挽回したように、それを五年待つ必要はないと思いますので、まずは法案、通すかもしれませんけれども、通るのかもしれませんけれども、それの待ったなしに、政策を評価をして新たなるアイデアを盛り込んでいただければ、国際的にも恥じることのないソリューションというものが生まれるのではないかなというふうに思います。
  64. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  同様に、長谷川参考人にもお願いをしたいと思います。  この日本というのは、ギャンブル依存もそうですし、アルコールもそうですし、そういう依存体質に対して大変寛容な国だなと私も思うんです。アルコールも、買おうと思えばどこでも自動販売機がございますし、今たばこは、コンビニエンスストアに行くと何番と言っただけですっと手に入ってしまう。やはりそういう環境から私は変える必要があるんではないのかなと思っておりますけれども、御意見いただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  65. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) おっしゃるとおりだというふうに思っております。  特に、コンビニにたばこが売られていて、一番実は目立つところに、デザインもきれいに、きれいにって何かちょっと変な言い方なんですけれども、そういうふうに置かれていることに関してはやはりびっくり、びっくりというか、何とかしてほしいなというふうに思っています。そしてまた、今、薬屋さんでも同じようにたばこが売られているというようなこともあるというふうに聞いています。それは何とかならないのかなというふうには個人的には思っているところです。  一つ、でも、私が申し上げたいことは、今、この法律喫煙者と非喫煙者、若しくは患者でもいいんですけれども、そこにすごく対立が起こっていることに関して非常に悲しみを覚えています。  実は、先ほどの私どもが出した資料であるアンケートにも、肺がん患者に、まあ肺がんを罹患して、その家族がずっとたばこを吸い続け、受動喫煙を受け続けるという方が六%ほどいらっしゃるんですね。そこの家族の方に、その本人の方に聞いてみると、ことごとくというか、全てやはり対立しています。ほぼ、妻という立場の方が罹患し、旦那さんがずっと吸い続けると、この状況なんですけれども、本当にずっと対立が続いています。  これというのは、命に限りがあるというふうに言われて、そこで前向きに、でも何とかそれを全うしようというふうに生きている者にとって、この対立というのは本当に本意ではない。何というんでしょう、笑顔であるとか幸せとか、多分そういったふだん何げない日常がすごい大切なんだというふうに一番気付く、気付くんですね、患者というものは、というふうに思っています。それがなぜ対立になるんだ。一番大切な人に健康になってほしい、その思いがなぜ対立になるのか。それがまたこの法案でもその対立の図式がずっと続いているということに関しては非常に悲しく思っています。何とかならないのかなというふうに本当に申し上げたいです。
  66. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  もう本当に切実な願いであり、私もそういう思いを持ちながら議論していきたい。これからも、ここがまず出発点だと思っておりますので、議論をしていきたいなと思っておりますけれども。  そこで、井戸参考人にお伺いさせていただきたいと思います。  やはり、条例を制定なさってそれを実行してきた。その中で、今いろいろ議論をしてきた中でも、何でしょう、たばこを吸う方のマナーだとか、たばこに関する何か概念みたいなものが県民の皆様方の中で変わってきたというようなことはございますでしょうか、お願い申し上げます。
  67. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 具体的にどう変わってきたかというのは把握の余地はないんですけれども、先ほどのアンケート調査などの結果を見てみましても、かなり規制内容自身が理解されてきている、そして次なるステージに踏み出そうとしているような状況になりつつあるのではないかというふうに受け止めています。しかも、百平米以下の飲食店などでもたばこを堂々ともう吸えない雰囲気になっていますね。店の外に出られて吸うのがエチケットだみたいなことが常識になりつつある、県民生活の常識になりつつある。  そのような意味で、一歩を踏み出さなきゃいけないときに一歩を踏み出すということの重要性というのは強調させていただいていいのではないか、こんなふうに思っています。
  68. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  井戸参考人、やはり時間が掛かるというふうに、私どもも腰を据えて取り組まなきゃいけないということに思うんですけれども、短く、済みません、いただけますでしょうか。
  69. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 先ほども申し上げましたように、直ちにおっしゃいますように理想的な禁煙社会をつくり上げる、言うことは言うし主張もできるんですけれども、じゃ、それをどうやって達成するかということが道筋として重要なのではないか。我々は、理想に向かって一歩を踏み出すという道を取ったというふうに御理解いただいたらと思います。
  70. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 終わります。ありがとうございました。
  71. 石田昌宏

    ○石田昌宏君 まず冒頭、長谷川参考人に、六月十五日の衆議院の厚生労働委員会で、我が党の同僚の議員の不適切な発言によって参考人に御不快な思いをさせてしまったことを、座ったままで恐縮ですけれども、同僚の一議員としておわび申し上げます。  それにもかかわらず、本日の参議院の厚生労働委員会参考人を快く引き受けてくださいました。とてもうれしく思います。恐らく、本日もラッシュの中を、人混みの中でお体に御負担掛けながらこちらに来てくださったと思っています。心から感謝申し上げます。  その上で、先ほどからのお話を聞いていて、改めてお話をしてほしいことが一つあります。本来であれば、望まない受動喫煙を目指すのではなくて禁煙そのものを目指していくべきであるという思いが長谷川参考人のお話からも読み取れました。私も看護師でありまして、人の命や健康そして暮らしを守るという立場の看護師とすると、いつかは禁煙を当たり前にしたいという思いはあります。  ただ、現実的にはそれは簡単なことではありません。私も、五年前に議員になってから、自民党の受動喫煙防止議員連盟の一メンバーとしてそのことを努力してまいりましたけれども、様々な葛藤がありました。特に日本は、お話ありましたように、外国と比べてもたばこの価格は極めて安いレベルですし、パッケージ見ても警告表示というのがもう外国はすごいリアルですけれども日本ではほとんどありません。テレビ等でも広告もたくさん出ているような状況とかありまして、なかなか難しいんだなと思いながら、それでも少しでも前進して成果を得ていかないといけないと思って、今回、受動喫煙防止法案の成立のために努力を今しています。  そういった観点から、長谷川参考人も様々な活動をなさっていてこの限界なり難しさを感じていらっしゃるとは思うんですけれども、ストレートに禁煙を目指すことが日本で何で難しいのか。先ほどもお話ありましたけれども長谷川参考人に改めてお伺いしたいと思います。
  72. 長谷川一男

    参考人長谷川一男君) 禁煙を目指すことがなぜ難しいのか、その問いですけれども、やはり経済という、健康、命を大切にするというのは当然のごとく誰もが思うものだと思うんですけれども、そこに経済というものが入ってきたときに、その命、健康というものを大切にするというところが侵食されていくというか少しねじ曲がっていくというか、それはどこの国でもあり、逆にそれを克服しているところというのは数少ないというふうに認識しています。それは難しいのではないかというふうに思っています。  しかしながら、私ども、やはり病気になって気付けたということは、今生きているこの時間が有限であり、それは本当にかけがえのないものなんだということに対して気付くわけですね。なので、そこに関して皆さんにお伝えしていく。  そして、先生方にお願いしたいのは、その中で私たちのメッセージ、患者のメッセージ、もちろん経済の方に関してのメッセージもあると思います。そういったところで現実的かつ理想に近いところに落とし込んでいただきたい、もう本当にそういうふうに思うのみというふうに考えています。  今回の法案では私は不十分というふうに意識はしていますけれども、例えば加熱式たばこ、そこの部分ですけれども、今は科学的根拠がないということで安全なんだというような認識、イメージが世間には広がっているというふうに、私は何となくですが解釈しています。しかしながら、今回の法案ではそこに部屋を設ける、そこで吸えるということが一つ加わるだけで、これはまだ科学的な根拠がなくて、危ないか危なくないかも分からないんだということが示されるという意味では大きな一歩だというふうに思っています。  是非、そういった一歩を重ねていただきたいというふうに思っております。
  73. 石田昌宏

    ○石田昌宏君 ありがとうございます。  とても大切なメッセージをいただいたというふうに思っております。今後の対策に是非生かしていければと思います。  それでは次に、井戸参考人にお伺いしたいと思います。  条例がもう既にスタートしていまして、パンフレットとか読ませていただきますと、細かい点なんですけれども、一部、当分の間という言葉を使っている部分がありまして、例えば劇場や映画館などの建物の中の公共的空間で厳格な分煙若しくは時間分煙を当分の間認めるですとか、宿泊施設で当分の間は厳格な分煙を認めるとかという話があります。  間もなく見直しをしていくんだと思うんですけど、この当分の間につきまして、この部分につきまして、例えば効果がしっかりとできているのでもうこのまま認めていくという方向を考えているのか、それとも、制度の実効性が余りないということが分かったので、この当分の間のところは廃止若しくは厳格化するという方向なのか、御示唆いただきたいと思います。
  74. 井戸敏三

    参考人井戸敏三君) 当分の間は暫定的な対応だということを意味しているわけでありますけれども、特に映画館等のたくさんの人が集まるようなところはできるだけ原則禁煙にすべきだという発想がありまして、しかし、そうはいっても、それだけでは対応しにくい実情もあるということで、今のような規制にいたしました。  旅館、ホテルなどについては、分煙室とか喫煙室をきっちりと造られればオーケーだというふうな言い方もあるのかもしれませんが、これは少し世の中のお客さんの理解を得なきゃいけない。そういう意味もありまして、当分の間ということを設定しました。  まだこの取扱いについての基本的な方向が、検討委員会の方でも方向付けができておりません。十分まだ議論されておりません。その辺の検討を踏まえた上で私が最終的に決定しなきゃいかぬだろうなと、こう思っておりますが、映画館などは実施できる環境なのかどうか、しかし、いつかは決めないとずっと当分の間が続いてしまうということにもなりかねませんので、この辺、慎重に検討してまいります。
  75. 石田昌宏

    ○石田昌宏君 ありがとうございます。  かなりの議論があると思いますけど、当分の間ですから、できるだけ当分の間で終わるような方向があったらいいなと私は思います。  時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  76. 島村大

    委員長島村大君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  77. 島村大

    委員長島村大君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、滝沢求君、小野田紀美君及び徳永エリ君が委員辞任され、その補欠として宮島喜文君、石井みどり君及び川合孝典君が選任されました。     ─────────────
  78. 島村大

    委員長島村大君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  健康増進法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)及び健康増進法の一部を改正する法律案(参第一九号)の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長福田祐典君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 島村大

    委員長島村大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  80. 島村大

    委員長島村大君) 休憩前に引き続き、健康増進法の一部を改正する法律案(閣法第四七号)及び健康増進法の一部を改正する法律案(参第一九号)の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 三原じゅん子

    三原じゅん子君 自由民主党の三原じゅん子です。  冒頭、西日本を中心とする豪雨でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを、そして、被害に遭われました全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  大変甚大な災害が起きてしまいました。今回、広範囲であるということが大変な数の方々被害となったというふうに思っておりますが、ライフラインも途絶え、そして、この捜索そして復旧作業というものが猛暑の中で行われているということ、こうしたことも含め、現在の厚生労働省の被害状況、被災状況、そして対応状況について御説明をいただきたいと思います。
  82. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今回の記録的な豪雨により、現在において死亡者百三十人を超える極めて甚大な被害が生じております。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りを申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。  被害状況についてということでありました。  まず、水道関係ですけれども、広島県、岡山県、愛媛県など六十三事業体が被災をし、十二府県四十八市町の合計約二十六万九千戸において断水の被害が発生をしております。  復旧の見通しでありますけれども、土砂災害により著しい被害を受けた広島県の呉市、江田島市、愛媛県の宇和島市においては、導水トンネルと水道の基幹部分被害を受けております。現場へのアクセスが困難な中、現地調査が行われ、復旧のめどを立てようと努力をしていただいております。それ以外の水道管の破損についても、順次被害箇所を特定しながら復旧を進めているところでございます。  関係機関と協力して、必要な資材の供給、災害対応に当たる要員の人的支援、これらを行い、速やかに応急給水を実施するとともに、早期復旧に全力を挙げていきたいと考えております。  また、医療施設については、七月十日五時時点でありますが、断水又は停電の被害のある医療施設が三十九施設ございます。応急給水や電源車等で対応しており、現時点では地域全体の診療機能に影響はなく、人的被害はございません。引き続き、情報収集に努め、医療サービスの提供に支障がないよう的確な支援を行いたいと考えております。  また、現在DMATなどが活動いただいておりますけれども、これから避難所における生活支援等が一層必要となってまいります。被災地の、今御指摘もありましたけれども、気温が大変高いという状況にもあります。水害後の被災地域や避難所の衛生状態の確保、感染症予防、熱中症予防をしっかり図っていく必要がありますし、あわせて、様々な情報、例えば保険証をなくされている方もいらっしゃいますから、保険証がなくても医療機関で保険を適用した診療が受けれるというようなことを含めて、様々な情報を被災者の方にしっかりと周知をしていきたいと思っております。  また、健康危機管理対応を行っている岡山県の指揮調整機能が混乱をしているため、岡山県以外の地方公共団体に対して、こうした健康面の危機管理支援を行う医師や保健師から成るチーム、これDHEATと呼んでおりますけれども、これを岡山県への派遣要請を行い、長崎県より一チーム五人が七月十二日から岡山県へ派遣をすることにしているところであります。  今後とも、自治体との連携を密にして被害状況や被災自治体のニーズを積極的に把握をし、我々役所挙げて、被災地、被害に遭われた方々支援に全力で、そして万全を期していきたいと考えております。
  83. 三原じゅん子

    三原じゅん子君 ありがとうございます。厚生労働省としても全力で被災者皆様に寄り添っていただきたいと心からお願いを申し上げます。  それでは、法案質疑に入らせていただきたいと思います。  本日は、がんサバイバーとして質問させていただきたいと思います。  今、この健康増進法の改正案の審議に立ち会わせていただいておりますが、このときのために私は国会議員を志した、こう言っても決して過言ではないと、そう感じております。今まで当たり前だったことが、その日々の生活にこそ大事にすべき幸せがある。午前中の参考人質疑の中で長谷川参考人がこのようなお話をしてくださいました。全く同感であります。  命を守りたい。一人一人の小さな幸せ、大切にしている幸せを守りたい。弱きを助け強きをくじく、そういう政治家でありたい。そう願って私は政治の道に入ろうと決意しました。私が政治を志したとき、自由民主党は野党でありました。でも、弱い者の声をしっかりとすくい上げてくれる、そして日本の将来をしっかり見通して責任ある政治ができる、そういう懐の広い党は自民党しかないと、そう考えておりました。平成二十二年のことです。初当選後、厚生労働委員会での初質問では、がん対策基本法の成立に文字どおり命を懸けて取り組んだ山本孝史先生の思いを引き継いで政治に取り組んでいきたい、そう決意を申し上げました。  二期目の選挙戦でも、私は、岩手県の旧沢内村が昭和三十七年、地域包括医療実施計画で掲げた目標、いつでもどこでも誰でも健やかに生まれ、健やかに育ち、健やかに老いるという目標に学びたいということを申し上げました。  今から半世紀以上前、豪雪の寒さの中、早死にする赤ちゃんたち、貧しくてお医者さんにかかることができなくて亡くなっていくお年寄り、こうした光景を目にした当時の沢内村の深澤村長は、命に格差があってはならない、生命尊重こそ政治の基本という理念を掲げて、大きな実績を残されました。その深澤村長の姿勢に学んで、私は、命の政治というものを国全体で展開していく、命のための安心、安全という軸で政策を転換して、強くてしなやかな政府を実現していく、そう訴えてまいりました。  少々長い話になりましたが、このような私の初心というものはそれ以来一切変わっていないということを、まず冒頭、はっきりと申し上げておきたいと思います。  健康増進法改正における議論に関して、自民党に属する議員の一人として深い反省を申し上げておかなければなりません。  健康増進法の改正は、単にたばこの吸える公共の場所を規定するというものではありません。お年寄りや病気を抱える人、子供、妊婦の皆さんなどにとっては凶器そのものである副流煙を阻止する、つまり受動喫煙を根絶していこうというのが本当の趣旨です。  事実、たばこによる健康被害については、我が国も批准、加盟しているFCTCの前文にこう書かれております。「たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていること並びにたばこ製品の煙にさらされること及びたばこ製品を他の方法により使用することとたばこに関連する発病との間に時間的な隔たりがあることを認識し、」、また、「出生前にたばこの煙にさらされることが児童の健康上及び発育上の条件に悪影響を及ぼすという明白な科学的証拠があることを認め、」と、このようにはっきりと書かれております。  つまり、この法案は、健康増進法という名称ではありますが、救えるはずの命を救えるようにするための法律というのが真の姿なのではないでしょうか。  受動喫煙肺がんを患い、現在、ステージ四にありながら受動喫煙対策に力を尽くしておられる長谷川参考人、救える命は救ってほしい、そう願いますとおっしゃっています。その切実な思いを私たちは本気で受け止めてきたのかどうか、いま一度深く反省しなければいけないと思います。  ただでさえ今国会では、閣僚の答弁が御飯論法だなどとやゆされているように、国会運営における自民党の傲慢な態度に批判が寄せられております。そのような中、我が党は、健康増進法改正案の論議においても痛恨のエラーをしでかしました。これらのエピソードは報道によっても大きく取り上げられました。  一つには、昨年の五月、受動喫煙対策を議論した自民党の厚生労働部会の席上で、同僚議員の発言に対し、がん患者は働かなくていいなどという耳を疑う発言をした議員がおられました。その議員は、自らの発言がん患者らの気持ちを傷つけたとして陳謝しましたが、発言そのものは撤回せず、喫煙可能の店で無理して働かなくていいのではないかという趣旨だと釈明したと報道されております。当初は様子をうかがって、そして世間からの批判が大きくなって初めて言い逃れのような釈明を行うというのも潔くないなと感じました。がん患者方々も、がん患者の就労はまだまだ厳しい中、危機感を持っている、患者らからも怒りや悲しいという声が寄せられたと述べておられました。私も全く同感です。  さらに、先月のこと、この健康増進法改正案の衆議院の委員会審議中に、委員として出席している我が党議員の、お招きした参考人長谷川参考人に対して、いいかげんにしろというあり得ない発言を投げ付けたという事案がございました。その後、この議員は参考人の方に対し、喫煙する機会が狭まれていくことへの思いが出てしまった、不快な思いを与えてしまったとする謝罪文を送付したと報道されているところであります。特にこの件に至っては全く弁護の余地がありません。長谷川参考人に私からも心からおわびを申し上げたいと思っております。  たばこの煙を凶器としておびえている患者さんの声、まだ投票権を持っていない将来世代の声、おなかの中で間もなく生まれようとしている胎児の声、そしてまた、山本孝史先生のように、がんとの壮絶な闘いの末にこの世に別れを告げなければならなかった方たちが私たちに残した悲痛の声、そういった弱き国民の声にこそ素直に耳を傾けるべきではないでしょうか。  一体どこを見て政治をしているのか、いいかげんにしろと責められるべきは、むしろおごり高ぶった我々の方ではないかと思っております。自民党を愛し、党籍を持つ者の一人として、深い自戒の念を込めてそう申し上げなければなりません。  今日、私の質問の冒頭でも申し上げましたが、平成二十二年の当時、自民党の、野に下っている最中でありましたが、そのときには、長期政権の中で緩みやおごりがなかったかどうか自らを振り返り、その結果を平成二十二年綱領として世に問いました。そうした謙虚な姿勢からの再チャレンジで国民の信を再度得ることができて、政権の座に復帰することができたのではないでしょうか。自民党は、二〇一〇年当時の反省を忘れず、そうした謙虚さを取り戻す。再度の自戒の念を込めて、そう申し上げたいと思います。  今、私たちは健康増進法改正のような問題で、参議院の存在理由、そして参議院議員としての良心が改めて問われているのだと思います。この法案は、午前中に長谷川参考人もおっしゃったように、受動喫煙を阻止して救える命を救う法律でなければならないということは既に申し上げました。御本人に喫煙歴が全くないにもかかわらず、親御さんの喫煙からの受動喫煙によって肺がんを患うことになったというような痛ましい事例。副流煙の危険性に関する科学的データなどは枚挙にいとまがありませんので、ここで一つ一つ申し上げることはいたしません。  ここで我々参議院議員が忘れてはならないのは、参議院は衆議院のカーボンコピーではないのだということです。政権選択としての民意を問うのは衆議院の役割です。衆議院での審議の結論を参議院が追認するだけなら、参議院など無駄だと言われてしまっても仕方ないかもしれません。しかし、イギリス型の民主主義を目指す、あるいは国政選挙は政権選択機会として位置付ける、あるいは急激な社会変化に対応するための迅速な政策立案を重視する、もしそう考えるならば、日本国憲法を改正して、参議院を廃止して一院制に移行するのがいいということになってしまいます。しかし、ここは参議院です。参議院独自の役割を国民の皆さんに御覧いただいて、納得して、参議院の存在理由を示すべきだと考えます。皆さん御案内のとおり、参議院は良識の府、再考の府、審議の府であります。  このほど参議院も規則を改定して、十歳未満の小学生にも原則として傍聴を認めることを決めたとのことです。とてもいいことだと思います。私も、十歳未満の小学生に見てもらっても恥ずかしくない国会での論議を行っていきたいと思います。  衆議院では拾い切れない様々な国民の声を束ねていく。個別の利害だけではなく、良識と良心に照らしながら、様々な角度から問題点や解決の在り方を掘り下げる。神ならぬ人間が間違いを犯す可能性を考慮しながら、より慎重に考える。もし残余の論点や長期的な観点から検討が必要なことがあるならば、将来、再度議論し直すべきことを整理して、宿題としてきっちり指摘しておく。野党からの対案や問題提起にも真摯に耳を傾けて、時間の許す限り審議を尽くす。人の命に関わるような法案であるならば、個々の議員の良識による判断を尊重して、党議拘束の掛け方についても柔軟に考える。そういったことが参議院で実施されているのかどうか、それが今、我々に問われているのだと思います。  今回の法案内容そのものについて、私は必ずしも納得のいくような内容だとは考えてはおりません。半歩でも一歩でも進めることができるですとか、少なくとも現在よりは望まない受動喫煙を防ぐことにつながるといったような御意見があることは承知をしております。しかし、法案内容では、せっかく子供が参議院を傍聴できるというふうになったにもかかわらず、公共施設としての国会の取扱いが甘いと言わざるを得ませんし、学校において屋外喫煙場所設置を許すという点に至っては、私の理解を超えております。  かつてスペインで実践された飲食店の面積規定にこだわった受動喫煙対策参考にしてしまったデンマーク、ポルトガル、クロアチア、ギリシャ、スイスではむしろ従業員受動喫煙が悪化してしまったスパニッシュ・モデルというような知見が、この法案に全く生かされていないとしか思えません。このスパニッシュ・モデルを研究した二〇一一年のシュナイダー論文によれば、このように結論付けられております。スペインの経験によれば、部分的な喫煙禁止は国際レベルで失敗した取組であり、しばしば特定産業の戦略と似通っている。研究者、政策立案者はこの政策が無効ということに気付くべきであると。  この法案は、人に寄り添うという大事なことを見落としているのではないでしょうか。むしろ、今回のこの受動喫煙対策によって、何平方メートル以下なら対策は不要だというふうに政府喫煙のお墨付きを出しているような印象を与えてしまうこと、あるいは、これで日本受動喫煙対策が万全になったかのような誤解が広まってしまうことを私は深く懸念しています。  この法案もいずれ採決のときを迎えると思います。しかし、私は良識の府の一員として申し上げたいのは、この法案は完璧には程遠いということであります。できれば、施行後早急に、実態に基づいて受動喫煙被害をもっと削減できるように、何回でも改善を加えていかなければならないんだということです。受動喫煙対策はこれで終わりだということでは決してありません。そのことを改めて申し上げます。  以上を踏まえ、大臣に御所見を伺います。  まず一点目、厚生労働大臣とは、健康、医療、子供、子育て、福祉、介護、そして雇用、労働、年金といった国民の生き死にや人生全体に一番近くで寄り添う役所のトップにあるわけです。言い換えれば、人の命を一番救うことができるポジションです。それができずに、あたかもたばこ業界の言いなりになっているのではないかと国民から思われるとすれば、それは大臣としても不本意なことではないかと思います。  受動喫煙に関しては、国民の命と健康を守ることを所管とする厚労大臣ならば、大臣の考えるところの最終形として、受動喫煙による死亡者ゼロを目指すとおっしゃっていただきたいと思います。望まない受動喫煙をなくす、これが受動喫煙による死亡者ゼロと同じ意味であるならば、はっきりゼロとおっしゃるべきではないでしょうか。  がん対策推進基本計画の第二期計画には施設ごとに数値目標の記載がありましたが、第三期計画には数値目標がなくなりました。がん対策推進協議会ではゼロと目標値を明記することで全会一致していたにもかかわらずです。大臣のお考えとして、受動喫煙による死亡者ゼロを目指すとお考えならば、是非この際、そのようなお考えをお聞きしたいと思います。それとも、この法案受動喫煙対策の最終形だとお考えなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。  二点目、もし国が本気を出して取り組まなければ、地方が本気を出してくるでしょう。東京都を始めとして、心ある全国の知事や市町村長が国の施策を上回るような取組を展開していくことになっていくと思います。そうなったとしても、大臣、命に格差があってはなりません。受動喫煙対策を地方の独自の対策に委ねてしまうことはしない、国の責任、リーダーシップとして受動喫煙対策を進めていくんだと、大臣にここで明言していただきたいと思います。  第三点目、我が国もFCTCの加盟国でありますが、これまでの法案審議の中で、二〇〇七年第二回FCTC締約国会議、第八条のためのガイドラインの中で、受動喫煙による被害をなくすには完全禁煙以外の方法はないと言われている以上、この法案は全く別物じゃないかと指摘がございました。これに対して厚労省は、FCTCのガイドラインにおきましては、直ちに屋内全面禁煙ができない場合は最小限の例外を設けて、この例外をなくすよう継続的に努力をすることを求めていくというものでございまして、そういった観点からも本法案がこれに違反するものではないというふうに考えておりますという答弁をしておられます。仮にFCTCのガイドラインに違反していなくとも、いろいろと言い訳をしているばかりで規制を前進させようとする姿勢を見せなければ、そもそも日本はなぜFCTCに加盟したのか、日本は本気なのかというふうに、その不誠実さが問われてしまうことにもなりかねません。  今後の受動喫煙対策の推進に関して、国内法があるので受動喫煙対策を進めるのは難しいといったような後ろ向きの言い訳はしない、また、日本のこれからの受動喫煙対策の進展について、世界に向けて御飯論法のような言い訳はしないということを大臣に約束していただきたい。  受動喫煙死亡者ゼロ、国の責任、言い訳無用、以上の三点について、大臣の率直なお考えをお聞かせください。
  84. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今、三原委員からいろいろお話を聞かせていただいて、委員がちょうど国会議員を目指されているときに、私もその集会に出席をさせていただいて、たしかがんのことについていろいろお話をされていたと、そのことを今思い出させて、聞かせていただきました。  我が国において、平成十五年の健康増進法施行によって、多数の者が利用する施設を管理する者に受動喫煙の防止措置を講じる努力義務が求められたわけであります。それから、過去一か月間に受動喫煙に遭遇した非喫煙者の割合について、国民健康・栄養調査によれば、例えば飲食店については平成十五年が約七割が平成二十八年には約四割、職場については平成十五年六割が平成二十八年には約三割、低下をし一定の成果は上げてきたものということに認識をしておりますけれども、残念ながら、依然として多くの国民が受動喫煙を経験している状況にある。  こういうことで、受動喫煙対策を徹底するためにどうするかということで、昨年三月に厚生労働省においても基本的な考え方の案をお示しをさせていただいたところでありますけれども、経過措置の範囲などをめぐり政府・与党内の議論が残念ながらまとまらなかったと、こういうことでもございます。  そうしたことを踏まえながら、今回、まず、望まない受動喫煙をなくすという基本に立って、多数の者が利用する施設について法律上原則屋内禁煙とするという、こうした原則の下において、既存の小規模飲食店については経過措置を設けているものの、新たに開設する店舗については原則屋内禁煙とすること、喫煙可能な場所について二十歳未満の方の立入りを禁止するといった内容を盛り込んだところでございますので、今後、受動喫煙対策が段階的に進む、実効性のある案になっているというふうに認識をしております。  また、この法案と併せて、がん対策推進基本計画においても、本基本計画の計画期間中において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現すること、つまり、望まない受動喫煙をゼロとすることを目標として追加をしたところでございます。望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、本法案による規制のみならず、各種支援施策の推進、普及啓発の促進など、総合的かつ実効的な取組を進めていきたいというふうに考えております。  また、国の責任についてお話がありました。この今回の法案では、国や地方自治体に対して受動喫煙に対する総合的かつ効果的に推進する責務を課しているわけであります。これは、国民や住民の健康を守る観点から責務を課したわけであります。国民全体の健康を守るというのがまさに厚生労働省の役割でもありますが、その国の役割、責任、大変重大だと考えております。  厚労省としては、先ほど申し上げたように、受動喫煙防止対策の旗振り役として、本法案による規制のみならず、受動喫煙に関する知識の普及や受動喫煙の防止に関する意識の啓発、また、中小企業の事業主等による喫煙専用室設置等に対する予算措置、あるいは租税特別措置等による税負担の軽減などによって、受動喫煙の防止に必要な環境の整備を総合的、実効的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。  最後に、FCTCとの関係がございました。これ、我が国は、FCTC、そしてそのガイドラインの採択に参加をしているわけでありまして、そこにおいては、御指摘の全面禁煙という点について、特定の空間又は環境から喫煙たばこ煙を完全に排除しなければならないと結論付けられ、その旨、同ガイドラインに盛り込まれているところであります。また、もちろん、委員御指摘のように、同ガイドラインでは、直ちに屋内全面禁煙が実施できない場合には最小限の例外を設け、その例外をなくすよう継続的に努力することを締約国に求めているわけであります。  現在の我が国の状況を踏まえれば、直ちに屋内完全禁煙を実現することはなかなか難しいと考えますが、今回の法案は望まない受動喫煙をなくすためのものであり、このガイドラインの方向性を踏まえたものとは考えております。  いずれにしても、今回の法案は、我が国の受動喫煙対策について新たな義務を設け、その下で段階的、着実に前に進めるものであります。この対策をしっかりと前に進めていきたい、かように考えているところでございます。
  85. 三原じゅん子

    三原じゅん子君 ありがとうございます。  最後に申し上げます。受動喫煙対策はこれが完成形ではないということを申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  86. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。  まず、今回の西日本の豪雨災害におきまして亡くなられた方に心からのお悔やみと、そして被災をされた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。  おとといの日曜日、私も兵庫県豊岡市というところに一日行かせていただきました。いろいろ回らせていただく中で、床上浸水、床下浸水、そしていろんな形での被災の状況を教えていただきながら、いろんな御要望を伺ってまいりました。  また、今回よくニュースで取り上げられております愛媛県宇和島市が私の田舎でありまして、一時期、宇和島で小学校も通っていたことがあります。ニュース等で見る限り、広島、また各地の現状を見て、もう心が、本当に胸が痛む思いでいっぱいです。  水道の問題、また病院における課題など、厚労省における管轄の部分もたくさんあるかと思います。政府一丸となって本当に取組を進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  では、今回の受動喫煙の問題に入らせていただきます。  今から四十年前の昭和五十三年四月に、この受動喫煙問題について、私たち公明党は、衆議院の公害対策環境保全特別委員会たばこを吸わない人の健康と権利を守るべきだという立場から政府に見解をただしました。この委員会で、厚生省は全国の国立病院・療養所の外来待合室を禁煙にする、環境庁の方は一日禁煙デー実施を前向きに取り組むなど、公明議員の提案に応える形で答弁をしております。  この質疑の模様は翌日の新聞各紙におきまして、国会で初の議論、禁煙の輪、全国立医療施設に、厚生省が衆議院で方針、将来は公立病院もなどと大きく報じられております。当時、先輩議員はこのインタビューの中で、国、地方の各議会で公共的場所での喫煙制限の立法化決議を推し進めることが最も必要であると主張をしております。  その後、初めて受動喫煙の防止対策について定められたのは平成十四年、この健康増進法です。それから十五年がたって、今回、努力義務ではなく、罰則規定を含む受動喫煙防止対策が盛り込まれた健康増進法の改正案が国会に提出をされました。私たち公明党の四十年来の願いが成就に向けて一歩前進をするものとして、評価をしたいと思います。  一方で、ここに至るまで四十年も掛かっている。それだけ様々な意見が存在するテーマであるからとも言えます。この法案により、WHOが定める公衆の場における屋内禁煙の評価基準が最低だった我が国の区分が一つ上がるということですが、受動喫煙を防止するにはこの改正法案では完全とは言えません。  それでも、まず第一歩としてこの改正法を定めることがどれだけ重要であるかということについて、その意義を大臣にお伺いしたいと思います。
  87. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今委員お話がありました昭和五十三年であります。当時、御党の草川委員がこの問題を、先ほど言われた公害対策並びに環境保全特別委員会において取り上げられ、受動喫煙対策の重要性を御主張されたということでございますので、その御質疑、またそうした点を取り上げたこと、改めて敬意を表させていただきたいと思います。  そしてその後、平成十五年に健康増進法において、多数の者が利用する施設を管理する者に受動喫煙の防止措置を講じる努力義務が設けられ、先ほど申し上げたように一定の成果は図られたわけでありますが、しかし、依然として多くの国民がこうした施設において受動喫煙を経験している状況にあり、そして二年後の東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機として、国民の健康増進を一層図るために受動喫煙対策を更に強化していくことが必要だということで、それぞれで御議論をいただいたわけであります。今回の法案提出に当たっても、御党から、実効性のあるものとしてできるだけ早期かつ総合的、計画的に推進することなどについて御提言もいただいたところでございます。  それらを踏まえて、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、多数の者が利用する施設について、その区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理権原者が講ずべき措置について定めることとする本法案を提出させていただいたところでございます。  我が国の受動喫煙対策について、まさに努力義務による自主的な対応から、法律上新たに設ける義務の下で段階的かつ着実に前に進めていくということでありますので、その意義は大きいと考えておりますが、これをまた契機として対策を更に前に進めるべく努力をしていきたいと考えております。
  88. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 私たちもしっかり後押しをさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  法律の各規制について少しお伺いをいたします。  まず、第二種施設における規制ですけれども、今回、飲食店がクローズアップされているところもありますが、民間の会社や事業所なども飲食店以外ですね、そういうところも第二種施設として原則屋内禁煙となります。  平成二十八年労働安全衛生調査実態調査によりますと、受動喫煙防止対策に取り組んでいる事業所の割合は八五・八%というふうになっております。  まず、職場のオフィスや会議室なども全面的に禁煙となるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
  89. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  今回の法案におきましては、多数の者が利用する施設は原則屋内禁煙とすることといたしており、職場のオフィスや会議室も原則屋内禁煙となり、喫煙専用室又は加熱式たばこ専用喫煙室内でのみ喫煙が可能となります。  さらに、本法案では、望まない受動喫煙を防止するための配慮義務を課していることや、労働安全衛生法におきまして事業主に労働者の受動喫煙防止の努力義務を課していることも併せまして、企業、事業主等にしっかりと周知することで望まない受動喫煙をなくすことを実現してまいりたいと考えております。
  90. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 この第二種施設に該当する要件としまして、多数の者が利用する施設とあります。この要件がどういう意味かということについてお聞きをします。  例えば、従業員が一人であるとか二人など少人数の小規模事業者職場、あるいはまた個人で経営している事務所や商店、これらは第二種施設に該当することになるんでしょうか。
  91. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  本法案におきます多数の者が利用する施設とは、二人以上の者が同時に又は入れ替わり利用する施設のことを意味してございます。したがいまして、従業員が少人数の場合であっても、この要件に合致する場合には第二種施設に該当いたします。  また、個人で経営をしております事務所や商店につきましては、通常、来客や従業員がいることが考えられるため、第二種施設に該当すると考えております。
  92. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 この第二種施設に該当するかどうかの判断について、もう一点お伺いをいたします。  例えば、テナントビルに複数の個人事務所が入っているというのも多くあるかと思います。これは、事務所ごとに第二種施設に該当するかどうかを見るのか、あるいはテナントビル全体として第二種施設に該当するかどうかを見るのか、どのような基準で判断をするかという点を一点。  その上で、第二種施設の管理権原者は、喫煙可能な場所を定めたり、喫煙場所や入口の見やすい場所に当該場所が専ら喫煙をすることができる場所である旨などの標識を掲示しなければならないとされております。これは、テナントビル全体として第二種施設に該当すると見るとき、ビル内の各事務所の中の禁煙状況についても、テナントビルの管理権原者が責任を持つべきということになるのでしょうか。御説明いただけますでしょうか。
  93. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  テナントビルにまず複数の個人事務所などが入っている、こういった場合につきましては、原則、それぞれの事務所ごとに第二種施設に該当するかどうか、これを都道府県知事などが判断することになるものであり、そこを禁煙にするかどうかは、これは当該事務所が責任を負うこととなります。  ただし、契約などによりまして施設の改修等に係る管理権原がテナントビルの所有者にある場合には、これは当該事務所内を禁煙にするかどうかにつきましては、テナントビルの所有者が責任を負うことになることもあると考えております。  各事務所内の禁煙状況につきましては、その事務所の管理権原者や管理者が責任を持つということになると考えております。
  94. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 その辺り、少し分かりにくい制度設計の部分もありますので、是非ガイドラインという形か、しっかりと分かりやすくできるように今後対応していただければというふうに思います。  では次に、適用除外とされている関連の問題についてお伺いをいたします。  まず、個人タクシーについてお伺いをいたします。  営業中は、個人タクシーの場合、旅客運送事業自動車に該当して、車の中で喫煙をしてはならないということになります。ただ、個人タクシーは、営業時間外は自家用車として使うことができます。  前回の委員会で、時間分煙は認めないという考え方を示していただいておりますので、自家用車として使用するときと営業として使用するときを区別しないということかと考えますが、この自家用車として使用している際の法令上の扱いがどうなるのか、御見解をお伺いいたします。
  95. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  個人タクシーにつきましては、今お話ありました、旅客運送事業自動車に該当するため禁煙となりますが、今回の法案におきましては、禁煙となる場所につきまして、いわゆる時間分煙を行うことは、望まない受動喫煙を防ぐための基準の策定が困難であるため、認めないこととしているところでございます。  したがいまして、個人タクシーが自家用車使用している場合につきましても、これ、旅客を運送している場合と同様、禁煙とすべきものと考えているところでございます。
  96. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  次に、旅館やホテルの客室については適用除外というふうにされております。この旅館やホテルの客室に関しては、その後別の方が使うことになると思いますし、喫煙の形跡を完全に除去するのは物理的に困難と思われますが、適用除外としたのはどのような考え方に基づくものでしょうか。
  97. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  本法案では、家庭などのプライベートな居住場所につきましては、法が強制力を持って踏み込むことがなじまないことから、適用除外といたしております。ホテル、旅館の客室につきましても、利用者が利用する間は占有的に居住する場所であることから、まさに居住空間として同様の、いわゆるプライベートな空間としての整理をしているところでございます。  なお、御指摘のとおり、ホテル、旅館の客室につきましては、利用者が入れ替わることから、同一の部屋を日によって喫煙禁煙で使い分けることは、これは望まない受動喫煙が生じる可能性がございます。  今回の法案では、ホテルや旅館も含めまして、施設の管理権原者等に対しまして受動喫煙を防止するための措置を講じる努力義務規定を設けておりまして、例えば喫煙可の客室と禁煙の客室を明確に分けるなど、望まない受動喫煙が生じないような対応をしていただくよう周知啓発をしてまいりたいと考えております。
  98. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 仮に今お話のあった喫煙可というふうにホテルないし旅館の客室をした場合に、適用除外ということで喫煙可ということになれば、その部屋で喫煙できるということになります。  ただ、このような場所にも、利用客以外に、例えば清掃であるとか客室の係など、業務として入室をする者が想定をされます。業務であるとしても、これらの者が望まない受動喫煙にさらされることのないよう配慮することは必要かと考えます。  この場合、適用除外の部屋であるからということで、施設の管理権原者等は受動喫煙の防止について一切配慮はないということになってしまうのでしょうか。その点、お教えください。
  99. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  本法案では、今申し上げましたように、家庭などのプライベートな居住場所は、法が強制力を持って踏み込むことがなじまないことから、適用除外としてございます。ホテル、旅館の客室についても、今御説明申し上げましたように、利用者が利用する間は占有的に居住する場所であることから、まさに同様の整理をしておるところでございます。  今御質問ございましたが、ホテル、旅館の従業員につきましては、ルームサービスなどのために部屋に立ち入ることもあることから、本法案におきましては、事業者も含めた関係者に受動喫煙を防止するための措置を講じる努力義務、努力規定を設けておりまして、対応の具体例を国のガイドラインによりお示しするとともに、事業主が求人を行う際の明示事項に職場におきます受動喫煙対策状況を追加するなどによりまして対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  100. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今回の改正法案の条文上は、人の居住の用に供する場所、旅館やホテルの客室に準ずる場所として政令で定めるところも適用除外となる旨規定がなされております。この準ずる場所というのは具体的にどういうところを指すのでしょうか。
  101. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  本法案では、家庭などのプライベートな居住場所は法が強制力を持って踏み込むことがなじまないということでなってございます。先ほど御説明申し上げましたとおり、ホテル、旅館の客室についても、利用者が利用する間は占有的に宿泊する場所ということから、プライベートな居住空間として同様の整理をさせていただいております。  御質問ありましたこれに準ずる場所といたしましては、例えば寝台列車の個室でございますとか旅客船の宿泊の用に供する個室といったものが該当すると考えておりますが、詳細につきましては今後政令においてお示しをしてまいりたいというふうに考えております。
  102. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 適用除外という形で規定する以上、限定的にしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  では次に、飲食店経営者への周知についてお伺いをいたします。  今回、既存の飲食店におきましては、喫煙可能かどうかの明示義務が喫煙可能というところについては課せられることになります。そのためには、そもそも自身が経営する店舗喫煙可能な条件を満たしているのかどうか、また、可能な場合にこのような標識を掲示しなければならないことなどを経営者に正確に理解をしてもらう必要があります。この改正法の内容を各店舗の経営者にどのように理解をしていただくのか、どのように周知をしてもらうのかという点についてお伺いをしたいと思います。  業界団体に協力をしていただくという方法も考えられますけれども、飲食業の組合などでは、業界団体に加入している飲食店はそれほど多くはないというふうにも聞いております。飲食店が加盟をしている業界団体がどのぐらいあって、そして飲食店全体のうちどの程度の割合の店が業界団体に加入をしているのか、あわせて、特に業界団体に加盟していない既存飲食店の経営者へどのように周知をするのかということについて御答弁いただけますでしょうか。
  103. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  お尋ねのありました既存特定飲食提供施設も含め、今回の法案実効性を高めるためには、まずこの新しいルールを混乱なく社会に定着させていくことが重要であり、受動喫煙対策の必要性も含めまして広く国民に御理解いただきますよう周知徹底を図っていく必要があると考えております。そういった意味で、まず業界団体を通じて周知をしていくということが基本の一つとなろうかと考えております。  お尋ねの飲食店業界団体の加盟状況、これについては、正確な状況は把握をしていないために数値をお答えすることは難しい状況ではございますが、御指摘のように、団体に加盟をしていない飲食店も存在するというふうに考えてございます。  本法案におきましては、国及び地方自治体は受動喫煙対策を推進する責務を有することとしているため、厚生労働省といたしましては、パンフレット資材の作成、配布、またインターネット広告、ラジオCMなどを活用した普及啓発を行っていくほか、飲食店関係者への説明会の開催などに係る自治体に対する予算補助を行うなどによりまして、業界団体に加盟していない既存特定飲食提供施設や、新たにそういった飲食店をやるような方々についても、そういった経営者も含めまして広く周知を行っていく、そういったことを考えている次第でございます。
  104. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 この飲食店につきましても、新規に開店する店舗については原則禁煙ということになります。特に個人で経営する飲食店は、開店や閉店が頻繁にあって入れ替わりも多いように感じます。一年でどのくらいの数なり割合の店が閉店をして、どのぐらいの店が開店をしているのでしょうか。
  105. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  近年の調査、これは経済センサスの基礎調査というものがございますが、こちらの方の調査によりますと、飲食店のうち新たに出店した店舗につきましては、二年間で全体の約二割弱、五年間で約三割強と、こういうような状況になっているということでございます。
  106. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  そのぐらいの多くの数の店が開店をするということになるのであれば、本当に、既存の飲食店、その後の新規飲食店、もうずっとそういう意味では対応し続けないといけないということになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。  今回の例外というのはあくまでも既存の飲食店対象とするもので、新規開店を考える方にこの禁煙ということをどのように理解をしてもらうか、周知をするかという、その新規の開店を考えている方への周知について御説明いただけますでしょうか。
  107. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  今回の法案によります新たなルールにつきましては、新規開店を考えていらっしゃる方を含めました国民に広く周知徹底をしていくことが重要であると考えております。  国及び地方自治体が、パンフレット資材の作成、配布等を行い制度の内容を分かりやすく周知すること、また業界団体や関係省庁とも連携協力をいたしまして、それぞれの業界内の事業者への周知徹底を図ることなどを行ってまいりたいと思っております。これによりまして、新規開店によります者が開店前にルールを把握し、ルールに基づいた対応をできるようにしてまいりたいと考えております。
  108. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 次に、屋外における分煙についてお伺いをいたします。  屋外においても受動喫煙対策を進めていかなければならないということは共通の理解であるかと思います。平成二十八年に厚労省が行いました国民健康・栄養調査の結果の概要においても、受動喫煙があった場所として、路上や子供が利用する屋外の空間はほかよりも高い割合を示しております。  現在、歩きたばこの禁止など、路上喫煙を何らかの形で規制する条例はどの程度の自治体で定められているのでしょうか。また、屋外での受動喫煙対策として条例で定められているものには、具体的な内容としてどのようなものが多いかということをお教えください。
  109. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  お尋ねの路上喫煙を何らかの形で規制する条例のある市町村についてでございますが、平成二十九年五月時点では二百六十となっていると承知をいたしてございます。  これらの条例は、受動喫煙対策というよりも環境美化などを目的とするものが多いようでありますが、歩きたばこを禁止するもの、また携帯灰皿があれば喫煙可とするもの、灰皿がある場所又は私有地での喫煙可とするようなものなどの内容を含む条例があるというふうに承知をいたしてございます。  屋外につきましては、通常、煙が拡散することや、その場に長時間とどまることが想定されないということから今回の法案規制対象とはしていないところでございますけれども、一方で、屋外でありましても、子供を含む非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境を喫煙場所とすることは、これは望ましいとは言えないため、今回の法案におきましては、歩きたばこを含めた屋外等での喫煙をする際には周囲の状況配慮すべき旨の規定を設けているところでございます。  今後は、こうした配慮義務規定の趣旨や内容をしっかりと周知するとともに、地方自治体が取り組みます屋外分煙施設の整備に対しまして地方財政措置によります支援も行い、望まない受動喫煙を防止するための環境を整備をしてまいりたいと考えております。
  110. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 次に、喫煙率を下げる取組についてお伺いをいたします。  受動喫煙対策と併せて、喫煙率そのものを下げる取組も進めていかなければなりません。中でも、健康面への影響を考えれば、特に未成年者喫煙することのないよう、喫煙することができる状況をなくしていくということが必要だと思います。今現在は、未成年者たばこを買うことができないように、たばこを購入する際に年齢制限を求めたり、自動販売機では専用カードの利用を必要とするなどの取組がなされております。  これらの取組はどのような効果を生じさせているのか、その評価についてお伺いしたいと思います。
  111. 小田部耕治

    政府参考人小田部耕治君) お答えいたします。  未成年者喫煙禁止法では、二十歳未満の者の喫煙を禁止するとともに、二十歳未満の者の喫煙防止に資するため、たばこ販売業者等におきまして年齢確認その他必要な措置を講ずることとされているところであります。  このため、警察におきましては、二十歳未満の者に対する喫煙防止の取組として、未成年者喫煙禁止法の規定に基づく取締りや、街頭における補導活動、喫煙防止に向けた広報啓発活動を行うほか、関係省庁と連携いたしまして、たばこ販売業界等に対する販売時における年齢確認の徹底、自動販売機の適正な管理の実施等、二十歳未満の者の喫煙防止に向けた取組強化の要請を行っているところでございます。  厚生労働省のホームページの最新たばこ情報に掲載されております中学生、高校生の喫煙経験率の推移によりますと、例えば高校男子の喫煙経験ありの者の割合が平成八年度の五一・九%から平成二十六年度には一一・九%に減少するなど、中学生、高校生の喫煙経験率は減少傾向にあるものと承知しております。  御指摘の年齢確認の徹底や年齢確認機能付自動販売機が具体的にどのような効果を生じさせているかをお答えすることは困難ではございますが、御指摘の取組を含めた様々な取組が相まって、二十歳未満の者の喫煙の減少に一定の効果を上げているものと考えているところでございます。  警察といたしましては、今後とも、関係行政機関たばこ販売業者等とも連携しながら、二十歳未満の者の喫煙防止に努めてまいりたいと考えております。
  112. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 例えば、専用カードの利用などの警察側での規制であったり、また先ほどおっしゃられた教育という観点とか、本当にいろんな形で、未成年者たばこを吸うことがないようにというところの取組というのは協力をして進めていただかなければならないというふうに思いますので、しっかり他省庁とも連携という形で取組を進めていっていただきたいなというふうに思います。  次に、完全な受動喫煙防止に近づけていくためにも、本改正法に基づく受動喫煙の防止に向けての取組を今後事業者方々の理解、また受動喫煙防止の社会的機運の醸成や喫煙率の低下など、国民の健康増進にもつなげていかなければならないと思います。この点について、最後、大臣の決意をお伺いいたします。
  113. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 先ほど申し上げた今回の法案は、多数の方が利用するあらゆる施設対象として法律上、屋内禁煙とするなどにより、望まない受動喫煙をなくすことを目的としております。  このため、今委員御指摘のように、国民や事業者を含む施設の管理権原者等に広く周知徹底をすることが重要であります。国及び地方自治体がパンフレット資材を作成し配布をするなど、まず制度の内容を分かりやすく周知をしていくということ、また、業界団体や関係省庁とも連携協力をし、それぞれの業界内の事業者への周知徹底を図ること、問題がある事例については、各都道府県等に相談窓口を設置するなどしてその事例を把握をし、個別に事業者に改善を促すことにより新しいルールの定着と実効性の確保を図っていくこと、こうしたことを通じて広く事業者を含む一般の国民の皆さん方にも理解を深めていただくとともに、やはり社会的な機運の醸成を図っていくということ、そして法を遵守していくということ、そういった対応が図られるように取り組んでいきたいと思います。  また、喫煙率については、第二次健康日本21で、二〇二二年度までに成人喫煙率を一二%とすることなどを目標としております。たばこ健康影響に関する周知啓発イベントの実施、自治体が行う子供やその父母等向けの喫煙防止に関する講習会、キャンペーン等への補助などを行い、喫煙率低下のための対策を引き続き進めていきたいと考えております。  厚生労働省としては、国民の健康増進を図る観点から、この法案にあります受動喫煙対策とそして喫煙率減少のための対策、これをまさに車の両輪のように走らせながら前へ進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  114. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。
  115. 浜口誠

    ○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。今日はよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、記録的な豪雨によりましてお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみ申し上げたいと思いますし、また、被災をされた全ての皆様にお見舞いも申し上げたいというふうに思っております。  私も、岡山とか広島、本当に広域にわたって今回被害が出たんですけれども、倉敷市なんかも何回か訪問させていただいておりますし、あの辺りにもよく知った仲間もいるものですから、一日も早い復旧に向けての支援政府としても全力で取り組んでいただきたいと思いますし、先ほど大臣の方からは、水道ですとか医療施設被害状況もございました。まさに本当、被災地の皆さんの声をしっかり聞いていただいて、政府一丸となって取り組んでいただくことを是非ともよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。  それでは、法案の中身に入っていきたいと思います。  まず、お手元資料をお配りをさせていただきました。これ、職場とか事業所で受動喫煙対策どれだけ進んでおるのかということを、平成二十八年の労働安全衛生調査で出てきた結果を今お手元資料に配らさせていただきました。  資料の一番、これ規模別です。小さな事業所から千人以上の事業所まで、このグラフ見ると、事業規模によっての受動喫煙対策の取組状況、結構ばらつきがあるなという感じがいたします。  また、一枚めくっていただきまして二枚目は、資料二は業種別になっております。業種によっても相当この受動喫煙対策の取組状況、幅があるということは見て分かっていただけるかなというふうに思います。  こうした中で、政府として、厚労省として、この職場、事業所における受動喫煙防止対策状況の進捗度合い、あるいは業種だとか規模別のばらつきを踏まえてどのような評価をされているのか、どういった課題があると認識されているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  116. 田中誠二

    政府参考人田中誠二君) お答え申し上げます。  平成二十八年労働安全衛生調査実態調査によりますと、受動喫煙対策に取り組んでいる事業所の割合は約八六%というふうになっております。これを規模別に見ますと、三十人以上の規模では九割以上、十から二十九人規模でも八三%の事業所が取り組んでおります。また、産業別では、建設業や飲食サービス業など八割をやや下回る産業もありますけれども、多くの産業では八六%を超える取組となっております。委員お示しの資料については、その一部の取組についての割合を示しておりまして、それ以外の取組を含めた数字を今御紹介させていただいたところでございます。  そこで、受動喫煙防止に取り組んでいる事業所の中での取組内容の特徴を見ますと、事業所規模が小さいほど建物内全体を禁煙とする割合が高く、事業所規模が大きいほど事業所の内部に喫煙室を設けている割合が高い傾向にございます。また、同じ調査で、職場受動喫煙防止の取組における問題の内容についての事業所の回答を見ますと、事業所規模が小さいほど、喫煙室等を設けるスペースがない、喫煙室等を設ける資金がないとの回答割合が高くなっておりまして、小規模事業所はいわゆる空間分煙の実施について施設面及び資金面の課題を抱えていると考えられます。  そのほかの問題としては、事業所規模が小さいほど顧客に喫煙をやめさせるのが困難であるとの回答割合が高くなっています。また、産業別では、宿泊業、飲食サービス業及び生活関連サービス業、娯楽業で、顧客に喫煙をやめさせるのが困難であると回答した割合が約六割ということで、産業計の約三割に比して顕著に高くなっており、こうした産業では顧客の喫煙にどう対応していくかが大きな課題となっていると考えております。
  117. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  いろんな課題があるというのは、今の御説明で理解できました。それぞれに課題が明確になってきているので、そこに対してのサポートもしっかりと厚労省としてもお願い申し上げたいというふうに思っております。  また、もう一つ資料三を見ていただきたいんですけれども資料三は経年変化です。これ見ると、平成二十四年以降が余り対策を取られている企業の割合が上がってきていないなというのがこの調査の中では言えるんじゃないかなというふうに思っていますけれども、実際、これ平成二十四年以降ほぼ横ばいで来ているその要因としてどのようなものがあるのか、これ厚労省としてどういう把握、原因を整理されているのか、ここをお伺いしたいと思います。
  118. 田中誠二

    政府参考人田中誠二君) 労働安全衛生調査などの私ども調査によりますと、受動喫煙対策に取り組んでいると回答した事業所の割合は、平成二十四年に初めて八一・八%と八割を超えまして、その後、平成二十五年に八五・六%、平成二十七年に八七・六%、平成二十八年は少し下がって八五・八%と、八〇%後半での横ばい状態が続いております。  その要因は、従業員規模が十から二十九人の事業所における取組の割合が八三%にとどまっていることが考えられますけれども、こうした規模が小さい事業所ほど顧客に喫煙をやめさせるのが困難であるとの回答割合が高い。また、これが、それとともに、先ほども説明した施設面及び資金面での課題を抱えているということで、ここのところ取組率の上昇が頭打ちになっているのではないかと考えております。  したがって、私どもとしては、助成金による支援、それから、小さい事業所でも施設面等々技術的に工夫すれば何とかなるという部分もありますので、そういった技術的な面などでの無料相談の実施などでそれぞれの取組を支援してまいりたいと考えております。
  119. 浜口誠

    ○浜口誠君 今、支援の中身についても少し触れていただきましたけれども大臣からも是非、この職場、事業所の受動喫煙防止の取組、しっかりと進めていただく必要があると思います。平成三十二年には第二種施設は屋内全面禁煙という形になりますので、その前にしっかりとした対応を各企業にもしていただく必要があるというふうに思っておりますので、今後、とりわけ取組の遅れている中小の皆さん始め、どういったサポートをしていくのか、大臣の方からも今後の取組についてお話をいただきたいと思います。
  120. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法律で、事業所も含め多くの施設において法律上原則屋内禁煙を実施し、喫煙を認める場合には喫煙専用室設置を求める等全国統一的な規制を設けるものでありますので、これまでの努力義務に基づく自主的な対応から法律上の新たな義務を課して段階的、着実に進めようというものであります。  従業員受動喫煙対策としては、事業所等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、一般の事業所及び既存特定飲食店における対応の具体例をガイドラインによってお示しをすることとしております。例えば、喫煙をする方々については、受動喫煙を望まない方を喫煙可能な場所に連れていくことは避けるべきであること、職場において喫煙をしない従業員や秘書の方が頻繁に立ち入るような執務室を加熱式たばこ専用喫煙室にするようなことは避けるべきといった内容ども盛り込んでいくことを考えております。また、事業主が求人を行う際の明示事項に職場における受動喫煙に関する状況を追加すること等の法令上の措置を講ずることにしているわけであります。  また、特に中小企業のお話がありました。中小企業の事業主が喫煙専用室設置等を行う際には助成金により支援を行うこととしておりまして、本年度からは、一般は二分の一でありますけれども飲食店についての助成率を二分の一から三分の二に引き上げたところでありますので、こうした施策により全国的に望まない受動喫煙が生じないための対応が、むしろ法案の成立云々というのは当然ありますけれども、先取りするような形でより進んでいけるように我々も努力していきたいと考えております。
  121. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非しっかりと各企業の取組、サポートしていただきたいと思います。  続きましては、今、先ほど大臣の方からも少しお話ありました受動喫煙の防止対策助成金について少し議論させていただきたいと思います。  お手元にもちょっと資料の四を入れさせていただいております。これ、実際の助成金の推移になっています。これ、各事業主の方が受動喫煙を防止するための喫煙室設置した場合、その設置費用の一部を国として支援する措置という形になっております。直近で、制度も変わってきていて、今まで二分の一だったものを飲食店の皆さんには三分の二という形に今なっております。  実際、これ見ると、平成二十八年度の助成金の実績なんですけれども、予算額も八・七億円付けているんですけれども、実際に予算の執行率五割ぐらいにとどまっていますし、実際の助成の件数も前年より減ってきているという今状況になっています、平成二十八年度で見るとですね。この背景、原因はどこにあるのか、厚労省としてどう分析されていますか。
  122. 田中誠二

    政府参考人田中誠二君) 御指摘の受動喫煙防止対策助成金については、職場受動喫煙防止対策に取り組む中小企業の事業者に対して、平成二十三年十月から、喫煙専用室等の設置費用の一部について定率での助成を行っております。  近年の助成実績については御指摘のとおりでありまして、二十八年につきましては、助成件数四百八十八件、執行率五二・八%ということでございます。二十九年度の実績を申し上げますと、助成件数五百二十四件、執行率五一・六%ということになりまして、二十八年の状況が続いております。  平成二十八年度の実績が前年度に比べて低下した要因につきましては、ちょうど平成二十八年一月に関係省庁から成る受動喫煙防止対策強化検討チームが二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議の下に設けられまして、オリンピック、パラリンピックを見据えた受動喫煙防止対策の強化が政府内で検討される中、今後どのような規制となるかが不透明であるため、事業者が新たな喫煙専用室等の設置に対する投資を見合わせるなど、言わば様子見という傾向が出て実績が減少したのではないかと考えております。
  123. 浜口誠

    ○浜口誠君 その一方で、平成三十年度の予算、ここの資料にも書いてありますけれども、二十七・二億円ということで、前年から比べると三倍近くに予算としては上がっています。それは今回の法案のこともあって予算額としては大幅に増やしているのかなというふうに思いますけれども、この傾向は、三十一年度以降も厚労省として予算額としては二十七億円規模を継続するのかどうか、来年度以降の見込みについてお伺いしたいと思います。
  124. 田中誠二

    政府参考人田中誠二君) 受動喫煙防止対策助成金につきましては、平成三十年度予算におきまして二十七・二億円を措置しておりますけれども、この額は平成二十九年度予算の九・二億円に比べて約三倍と、大幅に増額をしているところでございます。  まずは、この助成金につきまして、都道府県労働局や事業者団体を通じて、さらには地方公共団体とも連携して、事業者へしっかりと周知することによりその活用の促進を図ってまいりたいと考えておりまして、平成三十年度以降の助成の在り方については執行状況などを踏まえて検討したいと考えております。
  125. 浜口誠

    ○浜口誠君 また今年度の執行状況については確認をして教えていただきたいなというふうに思いますが、その一方で、その助成金の中身、仕組み、制度なんですけれども資料五にあるとおり、ここ数年ちょっと変わってきております。大臣先ほど、飲食店については三分の二ということで、ほかのものより厚めに助成するような形に今年度から変えていますということなんですけれども、一方で、最大の補助額が従来は二百万円だったものが平成三十年度から百万円という形になっています。  今日の午前中の参考人質疑の中で、経営者の方の代表の参考人からは、喫煙室造るのには二、三人ぐらいの方が吸えるスペースでも三百万から四百万ぐらい掛かるというような話もございました。ある統計によると、喫煙室設置費用というのは平均で二百八万ぐらい掛かるというようなデータもあるようですけれども、それ考えると、せっかく三分の二という比率を上げたにもかかわらず、上限額が百万だと本当の意味での助成になかなかならないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、なぜこれ最大百万という形でこの三十年度から見直したのか、この理由を教えてください。百万円にした理由をお伺いしたいと思います。
  126. 田中誠二

    政府参考人田中誠二君) 御指摘の助成金の支給要件につきましては、その活用状況などを踏まえて適宜見直しを行ってきているところでございます。  平成三十年度におきましては、前年度の、以前の利用実績の助成額の状況、これを下から二十万円ずつに区切ってみますと、各区分における実績件数の最も高い最頻値が助成額四十から六十万円のところに来ております。そういったところなどを踏まえながら、また、今後この助成金に対するニーズが非常に大きくなるだろうということで、できるだけたくさんの事業者の方に活用していただきたいということで、この上限額は抑えつつ、小規模事業所を中心に多い飲食店皆様方には三分の二という高率の助成をさせていただくという形で、内容の見直しを図ったものでございます。
  127. 浜口誠

    ○浜口誠君 では、今後、実際にその助成の申請があって、今言われた最頻値の額が上がってきた場合には、最大の助成額というのは百万ではなくてその二百万に変えていく、そういったことも検討はされていくということでよろしいですか。実際、二百万ぐらい、従来ぐらいの上限額にしておいた方がいいんじゃないかなと、中小企業の方の本当の負担を極力減らすという観点からは、最大の助成額は二百万ぐらいにしておいた方が僕はいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
  128. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今、安全衛生部長から、引き下げた理由等のお話をさせていただいたところでございます。  平成二十七年度では喫煙専用室の助成一件当たりの平均額が約百四万円となっており、助成率二分の一で戻せば二百八万円と、こういう数字になるわけでありますが、その後、平成二十八年度が八十九・七万円、平成二十九年度が九十四・三万円ということで、現在の助成限度額の百万円を下回っている、こういう状況であります。  もちろん、三十一年度以降の助成の在り方については、先ほど申し上げたように執行状況等を踏まえて見直しをしていく必要があると思いますが、現時点のこの数字を見る限り、直ちに引き上げる必要があるかということは感じるところでございますが、いずれにしても今年度の推移をよく見て考えていきたいと思います。
  129. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、助成の額の推移、さらには業界団体の皆さんの意見なんかもしっかり確認していただいて、今日、本当に、参考人の方から、いや、三百万から四百万掛かるんですというお話を聞いたものですから、余計こういった助成の在り方というのが非常に重要になってくるなというふうに感じましたので、是非、今後いろんな方の意見も聞きながら、助成の仕組みとしてどういったものが一番最適なのかというのはしっかりと御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。  では、続きまして、ちょっと話変わりまして、屋外受動喫煙防止という観点で議論をさせていただきたいというふうに思っております。  九州にある九州看護福祉大学が行った調査の結果なんですけれども、これ、非喫煙者の方が直近の一か月で一回以上受動喫煙に遭ったと、その場所を聞いたときに、コンビニの出入口で五六・七%の方が受動喫煙に遭っていると。確かに、自分もコンビニ利用するとき、結構入口に近いところに灰皿が置いてあって、そこで吸われている方は多いので、ああ、確かにそういうことはあるなというふうに感じたんですけれども。  今回、第二種施設も屋内原則禁煙という形にはなるんですけれども、そうすると、屋内の中に専用の喫煙室を造るか、あるいは喫煙する方は外での喫煙という形になるんですけれども屋外での受動喫煙については努力義務というふうになっています。とりわけ、そういう出入口の付近での喫煙をどうやって受動喫煙から守っていくかというのは非常に重要になっていくんじゃないかなというふうに思います。  アメリカなんかは、カリフォルニア州では建物の出入口から六メーター以内はもう喫煙禁止ということで、明確なルールを出入口付近で設けているということを考えると、やはり日本でも、屋外であっても受動喫煙をどう防止していくのかというのは非常に重要な観点だというふうに思っておりますが、こういった建物の出入口付近での受動喫煙防止に関して政府としての考えがありましたら、お伺いしたいと思います。
  130. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法案では屋外喫煙の禁止等ということにはなっておりませんが、一方で、屋外であってもコンビニ、事務所の出入口付近など、近くを通る非喫煙者あるいはそこを通過する人が煙にさらされるような環境を喫煙場所とすることは望ましいとは言えないわけでありますので、これまでも、施設の出入口付近にある喫煙場所について施設を訪れる人に配慮する必要がある旨、これ平成二十二年なんですが、事務連絡でお示しをさせていただいております。  今回の法案でも、屋外等で喫煙をする際に周囲の状況配慮すべき旨の規定、喫煙場所設置する際は望まない受動喫煙が生じさせることがない場所とするよう配慮する旨の規定を法案の中に設けておりますので、この規定に基づいて、施設の出入口付近には灰皿を置かないことにするなどの配慮事項を事業者を含む関係者に改めて、自治体経由ということになりますけれども、通知等でお示しをして周知を図っていきたいと考えております。
  131. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、出入口付近の受動喫煙防止に向けて、本当に、コンビニなんかもしっかりとその辺うまく業界団体を通じて周知をいただきたいなというふうに思います。  一方で、国民健康・栄養調査なんかで同じような受動喫煙に遭った場所調査した結果によると、路上で受動喫煙に遭っている方は三割近くいますし、なおかつ子供たちがよく使う公園だとか、あと通学路、こういったところでも一二%ぐらいの方が受動喫煙に遭ったことがある、子供たちが利用する屋外空間でそういうような実績になっていると。  子供たちをたばこの煙から守るという観点で、こういった子供たちが利用するような屋外空間での受動喫煙防止に対して、政府としてのお考えを確認したいと思います。
  132. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今委員御指摘のように、屋外であっても子供を含む非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境を喫煙場所とすること、これは望ましいと言えないわけであります。今回の法案においても、子供が利用する公園や通学路などを含め、屋外等で喫煙をする際に周囲の状況配慮すべき旨の規定を設けております。  今後、こうした配慮義務規定の趣旨、また公園など周囲に子供がいるときにはできるだけ喫煙を控えるなどの配慮事項を通知等でしっかりと規定をし、その旨を周知するとともに、地方自治体が取り組む屋外分煙施設の整備に対し地方自治措置による支援を行い、望まない受動喫煙を防止するための環境の整備を行っていきたいと考えております。
  133. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、子供たち、屋外であっても子供たちを煙から守る、受動喫煙から守るための取組しっかりやっていただきたいと思いますし、先ほど大臣少し触れられましたけれども、地方自治体において、屋外分煙の、喫煙する場所設置するような場合、その設置費用に対して特別の地方交付税ですか、特別交付税、これの措置があるというお話ございました。  この特別交付税の措置の中身についてお伺いしたいと思いますし、あと、あわせて、そういった屋外分煙施設、これを整備するに当たっては、たばこ販売業者の皆さんの協力も得るというようなことも一つの対応策としてあるのではないかなというふうに思いますけれども、こういったたばこ販売事業者の方の支援を受けることに対して政府としてどのようにお考えなのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  134. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。  本法案におきましては、国及び地方公共団体に対して、望まない受動喫煙を防止するための措置を総合的かつ効果的に推進するよう努める責務を課すことといたしてございます。このため、今お話ありました屋外におきます望まない受動喫煙を防止する環境を迅速に整備をするため、地方自治体が取り組みます屋外分煙施設の整備に対しまして地方財政措置によります支援を行うことといたしております。具体的にどのような構造のものを対象としていくかにつきましては、今後、専門家の御意見も伺いながら関係省庁と調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、本法案におきましては、関係者が連携協力するよう努めることとする規定も設けてございまして、この規定に基づきまして、今お話ありましたが、屋外分煙施設等の整備につきまして、たばこ会社の協力についても求めることとしているところでございます。
  135. 浜口誠

    ○浜口誠君 屋外での分煙施設の整備、これも非常に重要だと思いますので、そういった特別交付税の措置の中身、これしっかりと詰めていただいて、地方公共団体への支援も国としてやっていただくことをお願いをしたいというふうに思います。  あわせて、子供とたばこという観点でもう少し議論をさせていただきたいんですけれども、今実際、家庭内で受動喫煙に遭っているその割合というのは年々下がってきているんですけれども、直近の調査データでも八・三%の方が家庭内で受動喫煙に遭っていると。これ、子供たちはまさに家で過ごすことも多いと思いますから、家庭内の受動喫煙というのは子供たちが一番影響が大きいのではないかなというふうに思います。  さらには、小さな子供たちが誤飲ですね、たばこの吸い殻とかが家のテーブルにあって、灰皿から誤ってそれを飲み込んでしまう、こういった事故もやっぱりたばこが主な原因だというふうになっています。  こういう点を考えると、今回の法律では家庭内での受動喫煙というのは規制対象外ということになっていますけれども、やはり子供をたばこから守るという観点からすると、家庭での受動喫煙防止に対してもしっかりとした取組が非常に重要だというふうに思っておるんですけれども、その点に関して政府としてのお考えがあればお伺いしたいと思います。
  136. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法律は、強制力を持って踏み込むことがなじまない家庭などのプライベートな居住場所、これはこの法案でも規制対象外としているところでありますが、しかし、家庭等であっても、子供や配偶者などの周囲の方を望まない受動喫煙から守ること、これは必要であるわけでありますので、本法案においては喫煙可能な場所喫煙をする場合も周囲の状況配慮すべき旨の規定を設けていると。これを踏まえて、国民、喫煙者の理解、協力も得られるように、こうした配慮義務規定の趣旨や、周囲に子供がいるときにはできるだけ喫煙を控えるなどの配慮事項、これを通知等で周知をしていく、また、子供、妊婦、患者などは受動喫煙による健康影響が大変大きいということも含め、受動喫煙に関する正しい知識の普及、これに努めていきたいと考えております。  なお、この法案は望まない受動喫煙をなくすということでありますので、誤飲防止のための規定は盛り込んではおりませんが、しかし、たばこは子供にとって有害であり、子供の絶対に手の届かない場所に置くなど、子供が誤飲しないような対応はしっかり取っていただかなければならないというふうに考えております。
  137. 浜口誠

    ○浜口誠君 是非、この周知というのは一番難しいと思うんですけれども、いろんな工夫をしながら、やはり家庭においても受動喫煙がなくなるような取組、これ強力に推し進めていただきたいというふうに思います。  あわせて、先ほど伊藤委員の方からもありました歩きたばこ、これ結構、やっぱり子供からすると、ちょうど大人のたばこを持っている手辺りが顔の位置に来て非常に危険だなと。僕自身、擦れ違いざまにたばこを吸っている人からちょっと当たってちょっと熱っというような経験もあるので、この歩きたばこ、本当にしっかりと取り組んでいく必要があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、今現状、歩きたばこ規制状況、先ほど二百六十件ぐらい条例があるというお話ありましたけれども、この歩きたばこに限っていうとどれぐらいの規制が地方公共団体の条例等で掛かっているのか、今の実態についてお伺いしたいと思います。
  138. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  歩きたばこへの規制につきまして、現在、国では規制していないところでございますが、今御質問ございました、自治体におきまして歩きたばこを禁止する内容条例のある市町村は、平成二十九年五月時点で百三十六あると承知をいたしております。
  139. 浜口誠

    ○浜口誠君 実際にその歩きたばこでやけどをしたりとか子供たちに被害が起こった状況というのは、これ統計的なデータとして把握されているんですかね。把握されているのであれば、直近何件ぐらいの事故が起こっているのか聞きたいんですけど。
  140. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  歩きたばこによります子供たちのやけどなどの事故件数につきましては、統計を国として取っていないために詳細は不明でございます。  ただ、自治体の調査などを探してみますと、歩きたばこによって例えば自分自分の子供などがやけどを負わされる又は負わされそうになったという事例につきましては一定数あるということで、具体的にある自治体の状況におきましてはそういったような形のデータを取っていると。ただ、そのデータを取っている期間とかそういった点については必ずしも十分に定義付けされているわけではないので、実態としてそういうおそれがあるというようなところを把握をしている、そういう自治体の調査があるというところでございます。
  141. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  自治体で条例規制しているのは百三十六ということでしたけれども、やはりこれ、大臣、歩きたばこもやはり法的な規制というのを考えた方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけど、現時点でそういったものが議論の俎上に上っているのかどうかも含めてなんですけれども大臣としてのお考えを是非お伺いしたいと思います。
  142. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 私も、子供を連れて、今は大きくなっちゃったんですけど、小さい頃、手をつないでいると、ちょうどたばこを吸って、たばこを吸う方って火を外側に置いている方が多くて、非常に危ない思いをしたことが幾度もあって、委員の御指摘はよく理解をするところであります。  ただ、今回の法案は、先ほどから申し上げておりますように、屋外については今回の法案規制対象にはしていないということではありますが、屋外であっても、そのたばこの火の直接当たるやけどということのみならず、それがまさに受動喫煙ということにもつながるわけでありますから、子供を含む非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境を喫煙場所とすること、あるいはそういうところで喫煙することは望ましいとは言えないわけであります。  本法案においては、地方公共団体に受動喫煙を防止するための措置を総合的かつ効果的に推進する責務も課しているところでありますし、先ほどから何回も申し上げておりますが、歩きたばこを含めた屋外等で喫煙をする際に、周囲の状況配慮すべき旨の規定も設けているところでございます。  こうした配慮義務の規定の趣旨、内容をしっかりと周知するとともに、やはり地方自治体等が屋外分煙施設をしっかり整備をしていただいて、そういうところでたばこを吸われる方は吸っていただくということを進めていく必要がありますので、地方財政措置による支援を行いまして、望まない受動喫煙を防止すべく、そうした環境の整備も含めて取り組んでいきたいと考えております。
  143. 浜口誠

    ○浜口誠君 歩きたばこも含めて、今後そういった被害に遭う、これは子供たちだけじゃなくて、本当に大人も擦れ違いざまにやけどということもあると思いますし、受動喫煙防止の観点からも様々な議論を是非お願い申し上げたいというふうに思います。  ちょっと時間があれなので、二問ほど飛ばさせていただきまして、第二次の健康日本21に関連してお伺いしたいと思います。  日本禁煙支援あるいは禁煙治療ということでいうと、三本柱、主な柱は三つあると思います。一つは職域だとか地域での禁煙支援、二点目としてはまさに一般医薬品の禁煙補助薬を使った薬局での禁煙サポート、さらには保険を使った禁煙治療、これが日本禁煙支援あるいは禁煙治療の三つの主な柱と。  そんな中で課題も指摘されていまして、一つは、保険を使った禁煙治療、これを入院されている喫煙者の方にも適用を拡大していくべきではないか、二点目は、同じような保険を使った禁煙治療を歯科医療にも適用すべきじゃないか、三点目は、一つのやり方として禁煙の電話相談、これをやっぱり早期に開設すべきだ、四点目は、先ほど言った薬局、禁煙補助薬を使った薬局等での喫煙支援体制を強化していくこと、五点目は、お医者さんですとかあるいは看護師さん、保健師さん、こういった方の卒前教育の中に禁煙支援のスキル向上、これを充実させるための教育、これもしっかりやるべきではないかと。五つぐらいの課題が指摘されております。  これらの課題に対して今どんな取組をされているのか。それぞれ、管轄、厚労省と文科省で違うと思いますけれども、現在の課題に対する取組状況を確認したいと思います。
  144. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 喫煙者の健康の観点からも、喫煙率減少のための対策を行っていくことは大変重要だというふうに思います。  今御指摘の点は、平成二十八年九月に公表したいわゆるたばこ白書の中身にも掲載していただいているところでございますけれども、厚労省としてもより効果的な禁煙支援が行われるように、例えば今、一点目の点について申し上げれば、診療報酬においてニコチン依存症と判断された患者のうち、禁煙の希望がある者に対する禁煙指導をニコチン依存症管理料として評価をさせていただいているということ。  また、歯科医療のお話もありました。今、歯科の疾患管理料というのがあるんですけれども、ここにおいては、患者の歯科医療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況として喫煙状況を含む生活習慣の状況を確認することとしておりますので、歯周病の治療の一環として禁煙指導を含む口腔管理が行われているというふうに承知をしているところでございます。  それから、平成二十五年度からは、がん診療連携拠点病院において、がん相談支援事業の一つとしてたばこクイットラインを開始し、電話等による禁煙相談を実施をしているところでありますし、また健康サポート薬局を活用した禁煙相談の実施、そして禁煙スキルの向上として主に保健医療従事者が参照できる禁煙支援マニュアルを策定するなどを行っているところでございます。  いずれにしても、効果的な禁煙支援が行われるよう、今後とも引き続き、健康日本21に設けております喫煙率の減少に向けて努力をしていきたいと考えております。
  145. 信濃正範

    政府参考人(信濃正範君) 御答弁に先立ちまして、一言おわびを申し上げます。  先週、文部科学省の局長が逮捕されました。事行政の信頼を損なうとともに、国民の皆様に多大な御迷惑をお掛けするものでありまして、おわびを申し上げます。  文部科学省は、捜査に全面的に協力してまいるとともに、再発の防止、信頼の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。  その上で、先生から御質問がございました医師等の卒前教育の話でございますけれども、医学生の必須の学修目標を提示しております医学教育モデル・コア・カリキュラム、この中には以前から禁煙指導に関する教育というのが含まれておりました。昨年三月にこれを改訂いたしましたけれども、その際は、禁煙に関連する問題等をより包括的、具体的に学べるように、新たに禁煙の、有害性、受動喫煙防止禁煙支援等に係る内容を追記するなどとともに、禁煙支援スキルの向上、先生先ほど御指摘ありましたが、この禁煙支援スキルの向上に資する学修目標というのを充実しております。  このモデル・コア・カリキュラムに基づきまして、各医学部におきましては、禁煙補助器具の効果あるいは禁煙指導の実施方法、こういったものについて、その根拠となる資料やデータを示しつつ、学生間で議論を行うといった取組が進められていると、こういったところでございます。
  146. 浜口誠

    ○浜口誠君 しっかりとした禁煙支援をやっていただくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  147. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 立憲民主党・民友会の石橋通宏です。  私からも、冒頭、今回の西日本豪雨災害、本当に多くの方々が亡くなられた大変な甚大な災害であります。皆様へのお悔やみと、それから被災地域の皆さん、被災された全ての皆さんに、心からお見舞い申し上げたいと思います。  既に話ありましたけれども厚生労働大臣厚生労働省の役割、大変大きなものがあると思います。様々な、感染症対策等々もありますけれども、やっぱり医療施設、介護関係、子供たち、保育関係も含めて様々な施設も被災されておられると思いますので、是非、大臣先頭に立って陣頭指揮執っていただきたいと。これはもう我々も全面的に厚生労働省、大臣の対応を応援してまいりたいと思いますので、しっかりとした対応をよろしくお願い申し上げておきたいというふうに思います。  その上で、今日、法案、先週に続きまして質疑に入らせていただきます。  最初に、今日、皆さんもう見慣れた図だと思いますが、資料の一で国際比較を改めて皆さんと一緒に確認したいなと思って出させていただきました。これが残念ながら今回の政府提出法案、過去のとりわけオリンピック開催地域、開催国と比較しますと、こんなにも、こんなにも差があるというのを改めて皆さんも感じていただけると思います。  大臣、既に今回の法案では十分、一〇〇%ではないんだということ、これも今日先ほど議論もあったところですが、教えてください、今回、IOCなりWHOなりはこの法案の中身については既に報告はされているんでしょうか。既にこういう中身なんだと、ごめんなさい、これまでのオリンピック開催地域と比べても甚だ駄目ですが、これでいきますと、そういう話はされているんでしょうか。
  148. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 冒頭、今回の被害に対する対応、我々厚労省としても、しかも要望を待っているということではなくて、先手先手ということで対応させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  その上で、今IOC等々のお話がありました。  世界保健機関、WHOと国際オリンピック委員会、IOCが二〇一〇年にたばこのないオリンピックについて合意をしているということは承知をしておりますが、政府として自国の国内法についてIOCに事前に説明し、了承を得るということにはなっていないというふうに承知をしているところでございます。  また、今回の法案は、東京オリンピック・パラリンピック開催前の二〇二〇年四月に全面的に施行することとしており、オリンピック、パラリンピックを契機にしているものの、国民の健康増進を図る観点から、恒久的な対策として望まない受動喫煙をなくすために提出をさせていただいているところでございます。  IOCがコメントしている競技会場、選手村等における受動喫煙対策については、各施設の管理権原者の判断により法律による規制以上の取組を行うことが可能でございますし、その具体的な内容については現在組織委員会においてIOC等と調整が進められているものと承知をしているところであります。
  149. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 同意を得るような手続、プロセスにはなっていないということですが、やっぱりそれにしても、これだけ過去のオリンピック開催国と比べて甚だ不十分としか言いようがない状況です。こういったことについて、是非今後ともしっかりとIOC、WHOとの話合いというのはやっていただきたいと思います。  今、最後のところで、オリンピックの競技会場についてはというお話がありました。前回の議論で東委員とのやり取りで、この競技施設、野外の場合には吸えてしまうじゃないかという話があって、改めて、じゃ、オリンピック競技施設はどうなるのかと。この件については今組織委員会の方でどうするのかという対応を協議中だという話ですが、これ全面禁煙するんですよね、オリンピック施設はさすがに。選手村、そして様々な競技場、多くの子供たちも観戦するわけです。多くの海外から来られた方々も、これまでのオリンピック等を考えれば、そうだよ、もちろん禁煙だよねと思って来られるわけです。そこで、何か、いや、吸っているじゃないかと。それは甚だ恥ずかしい話ですが。  大臣、これ組織委員会ということであれば直接のあれではないのかもしれませんが、これしっかりとオリンピック関連施設については、これはさすがに禁煙なんだということで対応いただくということでよろしいんでしょうか。
  150. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 私が承知している範囲では会場内、選手村、禁煙と、完全禁煙ということでございますので、例えば、まさに施設の屋内は少なくとも全部禁煙でありますから、喫煙専用室という概念もないということになると思います。ただ、敷地そのものがどうかということについてちょっと承知をしておりませんが、それらも含めて、先ほど申し上げましたように、組織委員会とIOCと調整を進めていかれるものと承知をしております。
  151. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ですから、屋内は禁煙だとしても、屋外、野外運動施設、そういったところで、いわゆる、この間もそれ上に突き抜けていくから大丈夫だみたいな、そんなことじゃないですよね。なので、これはしっかり、施設については屋外施設についても施設内は禁煙だということで対応いただきたいということをこれ重ねてお願いをしておきたいと思います。  今日、発議者に来ていただいております。ありがとうございます。  前回の議論の中でも発議者松沢議員から、とりわけ百平米の話がありました。神奈川県は大失敗だったと、百平米にした、飲食店対象から外した、努力義務にした、大失敗だったと、百平米は広過ぎると明確に御答弁をされております。  松沢議員、これ松沢議員でいいのかな、もう単刀直入に、率直に言ってください。今回の政府案御覧になって、これで受動喫煙成功すると思われますか。率直な御意見お願いします。
  152. 松沢成文

    委員以外の議員(松沢成文君) 質問ありがとうございます。  前回の委員会でも、私は、神奈川県で条例を作ったときに、百平米という面積の基準で、それより小さなお店は努力義務ということにせざるを得なかったんですね。というのは、そうしないと議会が通らなかったという非常に難しい政治状況でした。ただ、努力義務になったとしても、大抵お客さんがたばこを吸いたい、灰皿ないのと言われたらどんどん出してしまって、約七〇%近い神奈川県の飲食店は結局受動喫煙の防止が徹底できなかったわけです。ですから、そういう意味において実効性が保たれなかった、大失敗であったというふうに私は申し上げました。  政府は、今回、また神奈川県の百平米を参考にしていただいて、これあしき条例だったんですが参考にしていただいて、また百平米という非常に緩い基準でどの業種にも認めた、まあ中小の規制とかありますけれども。私は、この失敗を二度と繰り返してはいけないということで、三十平米という厳しい中で、それもお酒を飲めるお店だけ、そして従業員の全員の同意も得た上じゃないと駄目だという厳しいところに持っていって、これが最低限の基準だなというふうに思っております。  先ほどありましたように、もうこれ国際基準には遠く及びません。我々の案でも国際基準ではまだ遅れているんですね。ですから、オリンピック開催都市としては非常に恥ずかしいルールになってしまうわけでありまして、是非とも、今後また見直しを重ねて、一刻も早い国際基準の法案にしていかなければならないというふうに考えています。
  153. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ありがとうございます。よく分かりました。  今、先ほどの図でいっても、確かに議員立法案でも国際スタンダードからいったら残念ながらまだまだ不十分だということでありますので、いかに今回の政府案がそういった意味で遅れているものかということもお分かりいただけたと思います。  もう一問、発議者にお聞きしたいと思います。  その意味で、この間、罰則の在り方についてもこの委員会で議論をされております。私、罰則の在り方、実は僕自身は罰則、むしろもう違反あったら罰金だというふうにした方が効果があるんじゃないだろうかと。つまり、額が例えば二十万、三十万というよりは、例えがいいのかどうか分かりませんが、駐車違反したら切符切られるわけです。罰金取られますからね。そういった意味で、もうその罰金、その場で科した方が抑止力はあるんじゃないかなとも個人的には思ったりするんですが。  今回の議員立法でも基本的には過料ということになり、額が違うのが大きな違いだと思いますけれども、これ罰則で先ほど私が言ったような案にしなかった理由は何なのか。だったら政府案と違う五万円に、個人でいけば抑えた理由は何なのか。そこを、抑止力という観点も含めて、ちょっと考え方、御説明いただければと思います。
  154. 片山大介

    委員以外の議員(片山大介君) 質問ありがとうございます。  我々も、今、石橋委員言われたように、政府案と同じようにやっぱり秩序罰の方で考えているわけなんです。それはなぜかといいますと、まずこれ、この法案では、受動喫煙防止のための規範を定めて、社会的な維持の秩序を求めるものでありますから、そう考えると、刑罰による罰金よりは行政上の秩序罰である過料で十分ではないのかというのが我々の考えです。  その上で、我々は過料の額を政府案より下げました。それはなぜかといいますと、やっぱり取締りの実効性を担保するため、確保するためというふうに考えています。  それで、今の政府案の場合、やはり高いと思いますし、それから、過去のちょっと神奈川県の事例で言いますと、違反行為が年間一千件前後認められていたんですけれども条例施行後八年間で一度も過料、罰金が科されたケースがなかったというんですね。やはりこれは、実際の額とかを感じると、保健所などが摘発したりだとかその命令を出すに当たってやっぱりちゅうちょする、そうしたところがあると思いますが、それであれば、その過料額を下げてよりその摘発を頻繁に行うことにした方が実効力がありますし、そして抑止力も働くのではないかというふうに考えまして、過料額を下げることにしたという次第でございます。
  155. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 よく分かりました。  同じ考え方には立つんだけれども、金額を下げることによって、やはり悪質なものについてはちゃんと罰金を科すんだという考え方でアプローチをしているということだったと思います。私もその考え方、同意をさせていただきたいと思います。  その上で、少し政府案について、幾つか具体的な案について少し確認をしてまいりたいと思いますが、一つは、今回、さっき自家用車云々の話もありましたけど、業務用車両、営業車両、それがどうなるのかということについてこれ確認です。  法案読んだだけだと、これ業務用車両もいわゆる一般車両と同じ扱いになるのではないか、つまりそこには今回の原則禁煙は及ばないのではないかというふうに読めてしまうんですが、これ事実関係どうなんでしょう。業務用車両って仕事で使う車両です。よくあるのは、車に同僚が何人も乗って、一人がたばこを吸うと残りが、それが、同じですね、上司だったりしたら嫌だとは言えないので、狭い車の空間の中でどんどんどんどん吸われれば周り受動喫煙してしまうわけです。  これどうなんでしょう、この業務用車両、営業用車両、これ貨物トラックなんかも対象になるかもしれませんが、そういったものの扱いについて教えていただけますか。
  156. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法案では、原則として多数の者の輸送を目的とする輸送機関、いわゆる公共交通機関を規制対象としているわけで、具体的には道路運送法等の許可を取得して旅客を運送している自動車等が対象になるわけでありますから、御指摘の仕事で使う業務用車両、貨物トラック等の車両は適用除外ということになります。  ただ一方、これらの車両等であっても、従業員を始めとして受動喫煙を望まない者をたばこの煙から守ることは必要でありますので、本法案においても、何人も喫煙可能な場所喫煙をする場合には周囲の状況配慮すべき旨の規定を設けておりますし、また労働安全衛生法において、事業者に労働者の受動喫煙防止の努力義務を課しているということも併せて、その実情に応じて望まない受動喫煙を防ぐための対策を行うよう、これはガイドラインにも盛り込む、そしてそれを事業者等に周知をしていきたいというふうには考えております。
  157. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 大臣、これ是非その方向でしっかり検討してください。  これ、要は動くオフィスと同じなんです。時には長時間にわたってその狭い自動車空間の中で移動します。これはもう大臣、お分かりのとおりです。そういったところで望まない受動喫煙、これ十分に起こり得るし、現在も起こっておるはずです。ですので、これを完全に適用対象外で何のあれもないということにしてしまえば、残念ながら、そこでの望まない受動喫煙、これずっと続いていきます、仕事上で。とすれば、今大臣言っていただきましたので、何らかの対応を促すような措置、ガイドラインの中でと言っていただきましたので、これは是非そういう方向でしっかり検討を、当事者の関係団体意見も聞いていただければというふうに思いますが、対応をお願いしておきたいというふうに思います。  続いて、これも前回の議論の中で、喫煙可能な飲食店等への二十歳未満の立入禁止について、罰則がないじゃないかというお話がありました。先ほど罰則の話もさせていただきましたけれども、これだけなぜ罰則がないのか、罰則なしで抑止力が本当に働くのか、そういった問題が懸念されるわけですけれども、特に、これも木曜日に、入店時に特に身分証明を求めないというお話をされました。これ、何で求めないんでしょうか。  これむしろ、原則、二十歳未満ではないだろうか、若年者ではないだろうかと思われたときには身分証の提示を求めるとした方がお店対応しやすいはずなんです。任せると言われたらなかなかできないです。いや、求められていない、どこにそんな法律があるんだと、よく常套句でお客さんは言うんです。そうしたら、抑止力ないから、まあまあ、ああ、じゃ、いいです、それ信じますで終わっちゃうんですね。  これ、原則ちゃんとチェックしてくれと、身分証明書をというふうにした方がいいんじゃないでしょうか、大臣。これ、検討いただけませんか。
  158. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法案では、標識を掲示することによって二十歳未満の利用者の立入りを防ぐという、こういう仕組みになっております。施設等の管理権原者等が一人一人年齢を確認することを管理権原者等に義務付けるというのはなかなか難しいと考えておりますが、事業者におかれて、本法律の趣旨を踏まえ、二十歳未満の者と思われる者がいる場合には年齢確認をすることや、二十歳未満の者が立ち入っていることを認知した場合には退出を促すことなどによる対応をしていただく必要があると考えておりますので、その旨を通知でお示しをし、その内容を周知していきたいと、そのように考えております。
  159. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ですので、今確認をするんだと言っていただきましたけれども、その確認の方法、手段なんです。単に口頭で大丈夫ですかと言えばいいのか。いや、それはやっぱりちゃんと年齢を証明できるものを。  大臣、一々と言われましたけれども、今、酒類については未成年者飲酒禁止法があります。これ、年齢確認が義務化されています。違反したら営業者側に五十万円以下の罰金が科されるという大変厳しい罰則まで設けて、これもかつては同じだったはずです。未成年は当然飲酒提供してはいけないと。ただ、なかなか身分証明書まで求めてでなくて、口頭で確認して、いや大丈夫と言っていた。でも、それじゃ駄目だからちゃんとここまで義務を課して、罰則までここまでしっかり科して、それで徹底していただいているということで、同じことをやればいいんだと思うんです。もう原則、身分証明書で年齢確認求めるんだと、年齢確認の方法はちゃんと身分証明書なんだと、年齢が分かるものなんだと言っていただいた方が、真に二十歳未満方々、子供たち含めて、絶対に受動喫煙させない、守るんだという決意で大臣言っていただくのであれば、これはもうそこで徹底していただいた方が飲食店側もやりやすいはずだというのは先ほど申し上げたとおりです。  なので、重ねてお願いします。年齢確認、原則化する方向で検討いただけませんか。
  160. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) まず、今委員おっしゃった未成年者飲酒禁止法においても、これ、二十歳未満の者の飲酒を防止するため年齢確認その他必要な措置をとるべきとはしておりますけれども、一人一人の年齢確認を法律上求めているわけではなく、実態として行われているというふうに承知をしているところでございますので、そういった事例等もよく調べながら、どういった形でやるのか含めて、先ほど申し上げた通知等でその中身をお示しをするということを考えていきたいと思います。
  161. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 是非、店側に頑張れ頑張れじゃなくて、むしろちゃんとしたそういった根拠をしっかり確保していただく、その方が店側の対応しやすいと、これ間違いなくそうだと思いますので、是非しっかり検討いただきたいと思います。  その上で、ちょっと確認ですが、これ親子連れで、お子さん連れておられる場合に、親が大丈夫だと、この子は、いや、うちでも吸っているんだから連れて入るって言い張るような場合って往々にしてあると思いますけれども、これ断固そういった場合でもお子さんであれば入れてはいけない、ここは、当たり前ですけど、確保するということでいいんでしょうか。
  162. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今御提示のような場合は、二十歳未満の者は喫煙可能な場所への立入りが禁止をされているわけでありますから、その旨を管理権原者等が丁寧に説明をし、子供を喫煙可能な場所に立ち入らせないようにまず求めていただくことが必要になりますし、それでもということになれば、都道府県の窓口にも相談いただきながら、最終的には保健所等々の職員が当該親子に説明し理解を求めると、こういう手続にもなっているわけでありますが、いずれにしても、そうした状況が生じないように、今回の法案による新たなルール、また受動喫煙が子供に与える健康影響等についてもしっかり周知をしていきたいと考えています。
  163. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 ここは断固とした対応をいただけるようにお願いしたいと思います。  その上で、これも先週木曜日、これ三浦委員とのやり取りで、ここ、私個人的にも大歓迎の答弁大臣にしていただきました。飲食店が特定の時間帯だけを喫煙可能にする場合、でも、それはもう喫煙可能場所となるので常時二十歳未満の者の立入りは禁止されるんだと、時間分煙、これも認めないんだと、こういう答弁でございました。  これは、私、是非そうしていただくべきだというふうに思いますが、実は、今朝の参考人質疑の中で田中参考人からこの問題について飲食店側のお考えということで提起がありまして、この点については法律上、条文上の根拠がないのではないかというような御指摘もありました。  ここはしっかりと大臣、改めて、いや、これは明確に、それは駄目なんだと、認めないんだということを、ちょっと根拠も示して御説明をもう一度いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  164. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法案では、望まない受動喫煙を防止するため、施設の類型、場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所には掲示を義務付けるということにしております。  既存の小規模飲食店においては、喫煙可能という経過措置の適用を選択した上で、経営者が御判断をして、ある時間帯のみ喫煙はできますよと、そういう営業営業の形態としてはあり得るというふうに考えております。  ただ、このような営業を行う場合には、たとえ喫煙可能な時間が一時間だったとしても、この法案においてはその店舗喫煙可能な場所という位置付けになるわけでありますので、したがって、常時当該場所喫煙可能な場所であること、また、当然、二十歳未満の者が立入禁止等の事項を記載した標識を提示しなければならないということでありますし、また、喫煙可能な場所従業員を含めて二十歳未満の者の立入りは、立入りさせてはならないということにもなるわけであります。
  165. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 今明確に答弁いただきました。もうその場所については禁煙タイムだろうが駄目なんだと、だから標識をしっかり掲げていただいて、二十歳未満の者はもうそこには常時入れないんだということで今対応されるということでありましたので、ここは是非しっかりとした対応をお願いしておきたいと思います。  最後に、発議者に最後もう一点お聞きしたいと思います。  喫煙専用室に関して、これ今日、資料の二の方で、これまた議法と政府案と今回東京都条例と三つの比較表をお付けをしておりますが、この一枚目の一番下のところに喫煙専用室に係る指定制度というのがあります。ここが大きく違うんですが、これなぜ指定制度が必要だ、つまり喫煙専用室を事前に、都道府県知事がこの施設を指定する指定制度、これ何で必要なんでしょうか、これなかったら駄目なんでしょうか、ちょっと教えてください。
  166. 片山大介

    委員以外の議員(片山大介君) 確かに、今、政府案の方ではこうした事前な関与はしておりません。ただ、そうなると、事後的にこの喫煙専用室が技術的に適合しているかどうかというのを都道府県が確認するというのは技術上私は困難だというふうに思います。そうなると、ひいては不適切な喫煙専用室がもう横行しちゃう可能性もありますから、受動喫煙防止対策を徹底するという観点からはやはり事前にやった方がいいと思います。事前にその技術的な基準をきちんと見る、それによってそれを徹底を図るという必要があると思いました。
  167. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 この点について今発議者から御説明がありました。  最後に、これ政府として、じゃ、なぜ指定制度しなかったのか。今御指摘が明確にありました。それじゃ適合しない喫煙室があふれ返るんじゃないか、そういう心配があるだろうという御指摘だったと思いますが、なぜ政府は指定制度を設けずに権原任せにしたのか、その点について明確な御説明お願いします。
  168. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) まず一つは、施設の管理権原者が標識を掲示していただく、それによってここが喫煙可能な場所ということが分かるようにしているわけでありますので、そういった判別をするという意味において都道府県知事が指定することまでは必要ないと考えたところでありますし、今発議者の方もお話がありましたが、事前、事後にしろ、これ相当数の数があるわけでありますので、実際なかなかそれも難しいという実態面の問題も当然あるんだろうと思います。  喫煙専用室にはまた守るべき基準を設けておりまして、その基準の内容等については管理権原者に対してしっかり周知啓発を行い、遵守いただけるように対応していく。その上で、義務に違反している事例については、各都道府県等に相談窓口を設置するなどして確認、把握し、また個別事業者には改善を促し、改善が見られない場合には指導、勧告、命令、そしてそれにも従わない場合には罰則が掛かると、こういった仕組み全体の中で実効性を担保していきたいと考えております。
  169. 石橋通宏

    ○石橋通宏君 以上で今日の質問を終わります。ありがとうございました。
  170. 武田良介

    武田良介君 日本共産党の武田良介です。  私からも、冒頭、今回の西日本を中心にしました豪雨災害で亡くなられた皆さんに心からお悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  また、政府においては、今回の災害対応を最優先に取り組んでいくべきだというふうに思いますし、総理始め防災担当大臣、国交大臣加藤大臣も含め、関係大臣には災害対応に全力で取り組んでいただきたいということをお願いをしておきたいというふうに思います。  法案に関わって質問させていただきたいと思います。前回の続きになりますけれども加熱式たばこについてもう少し伺っておきたいというふうに思います。  前回の質問で、加熱式たばこでも健康被害が懸念されるということを私は指摘をさせていただきました。政府は、加熱式たばこの健康への影響はまだまだ研究の途上であって全てが分かっている段階ではないと、だから飲食なども可能な加熱式たばこ専用喫煙室喫煙できると、こういう法案になっているんだという答弁でありました。  しかし、これアメリカでは、米国の食品医薬品局、FDAというふうに言われると思いますけれども、ここの諮問委員会加熱式たばこの申請、承認に対する判断を見送っているというふうに伺っておりますけれども、これはどういう理由から見送っているんでしょうか。
  171. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  フィリップ・モリス社が加熱式たばこ、アイコスをリスク低減たばこ製品のカテゴリーで米国FDAへの申請をしていること、そして現時点ではいまだFDAから承認されていないことにつきましては承知をしているところでございます。しかしながら、FDAの審査の基準やまたその見通し等につきましては承知をしてはございません。  以上でございます。
  172. 武田良介

    武田良介君 承知していないということでありましたけれども、これ、たばこメーカーが主張するような有害物質そのものが幾らか負荷が減るということを言うわけですけれどもたばこ使用による死亡、障害、それを明らかに大幅に減らすということを明確に合理的に説明できないということがあるからこそ、これ見送っているんじゃないかというふうに思うわけですね。  この加熱式たばこですけれども日本ではたばこ事業法によってたばこ葉を使っているものを製造たばことして販売許可するという形になっているわけですから、こういったアメリカのような十分な検討をしないまま既に日本では売られているということになっているわけですね。  もう一点お伺いしておきたいと思いますけれども日本ではニコチン入りの電子たばこというものはこれ販売認められていないというふうに思いますけれども、これはどういう理由なのか、御説明お願いします。
  173. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  いわゆるニコチン入りの電子たばことして霧化をして吸入する目的で用いられるニコチン入りの液体につきましては、そのニコチンが薬理効果の期待できない程度の量で専ら着色とかそれから匂いを付けるといったような目的で使用されること等が認められない限り、これは医薬品医療機器法上の医薬品となるということでございます。  そのため、ニコチン入りの電子たばこ用の液体の製造販売に当たりましては、医薬品に該当する場合はあらかじめ医薬品の製造販売の承認を受ける必要がございますが、現時点におきまして同法に基づく承認を受けた製品はなく、国内で合法的に販売されているというそういう製品はないというふうに承知をしているところでございます。  また、国内でこういった販売がされていない理由につきましては、こうした規制も踏まえました企業の販売戦略上の理由なども考えられるため、一概にお答えすることは困難であるというふうに考えております。
  174. 武田良介

    武田良介君 端的に言うと、薬事法で判断しなければいけないんだけれども、ニコチンだとか、ニコチンだとかというか、ニコチンはもうそのものですね、害があるということだから、これ認められないというふうになるわけですよね。そういうことでよろしいですよね、端的に言えば。
  175. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) 結果については、これは薬事法の審査の中で行われますので、その製品がどのような形でその審査を受けるかという、そういうものを踏まえての形になるということで考えております。
  176. 武田良介

    武田良介君 これ要は、加熱式たばこというふうになると、たばこ葉使っているから、そこにニコチン含まれていても、たばこ事業法で販売ができて喫煙することができる。電子たばこ、ニコチン入りの電子たばこというのは、これは薬事法で見る関係があって、今自由に販売しているわけではないということになっているわけですね。どちらにしてもニコチンということはあるわけだけれども、そういった違いが生まれているという状況だということなんです。  これ、そもそもたばこ事業法でたばこ販売が許可されるわけですけど、販売を許可するに当たって、今回でいえば加熱式たばこということもありますけれども、そうしたたばこの危険性の検討だとかチェックというものは、これ行われているものなんでしょうか。財務省、いかがですか。
  177. 古谷雅彦

    政府参考人(古谷雅彦君) お答え申し上げます。  先ほどから先生お話ありますとおり、たばこ事業法上は製造たばこというものを規定しておりまして、お話にありましたとおり、「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたもの」と定義しておりますけれども、この定義を満たすものであれば、安全性の確認といった手続を経ることなく販売することが法律上認められております。  加熱式たばこにつきましても、たばこ事業法に定義を満たしておりまして、安全性の確認などをすることなく販売することが法律上可能となっております。
  178. 武田良介

    武田良介君 私自身は改めてこれを確認して驚きましたし、強調しておかなければいけないなというふうに思うんですね。事前の安全の確認をしているわけではなくて、たばこの販売もやられると。いろんな新商品が出たりしますので、私、吸わないので分からないんですけれども、何ですか、メンソールだとか、そういった味の違いを生み出すようなものが添加されたりするんですかね。そういったものが、いろんな商品によって違いがあるんだけれども一つ一つ健康チェックされているわけでは特にないということなんですね。  これ、最初に言いましたけれども、アメリカではその加熱式たばこの申請承認、許可承認に対して、体内への有害物質が減ることが健康リスクを低減させるということを明確に認められないということで許可を下ろさなかったということだと思うんです。  今日も午前中の参考人質疑の中で望月参考人もおっしゃっておりましたけれども、諸外国では未知のものに対して予防原則の立場に立ってこういう判断をされているんだと思うと、日本との大きな違いだと思うということもおっしゃっておられました。  これ少なくとも、私、日本でも事前に調査研究を行う必要があったんじゃないかと、加熱式たばこについてね。どういうものなのかということを調査研究、チェック、これやっていく必要あるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。福田局長
  179. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) 加熱式たばこについての研究につきましては、平成二十九年度におきましてもう既に厚生科学研究費等におきましてそういった研究を進めてきているところでございまして、委員御指摘のように、加熱式たばこにつきまして研究をしていくということにつきましては、今般の法案におきましても、国の役割として調査研究を行うということ、そしてなるべく早期に結論を出していくというようなことにつきましては御答弁を申し上げているところでございます。
  180. 武田良介

    武田良介君 今、調査しているというようなニュアンスの話ありましたけど、これは、例えば加熱式たばこの主流煙に含まれている主要な発がん性物質の含有量は紙巻きたばこに比べれば少ないとか、じゃ室内でのニコチン濃度はどうかといえば紙巻きたばこより少ないとか、結局そのぐらいの調査なわけですよね、実際上は。  加熱式たばこそのものがどう健康被害を与える影響があるのか、事業者のデータということはもちろんあるけれども、これ事前に厚生労働省としても把握しておく必要があるんじゃないかということを私伺っておりまして、大臣、この点でどうでしょうか。
  181. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今の仕組みの問題として、まず、加熱式たばこ自体がたばこというカテゴリーになっているということなんだろうというふうに思いますが、その上で、加熱式たばこ健康影響に関する調査研究については、これまでも答弁をさせていただいておりますように、それが身体等にどういう影響を及ぼしていくのか、呼吸器疾患等については二、三年、がんとしては二十年、三十年と、こういう経過が必要となってまいりますので、そういったことも踏まえながら引き続き調査研究、これ調査研究をするということも盛り込まれているわけでありますが、それをしっかり行い、また、その結果に応じて必要な対応をその都度検討していきたいと、こういうように考えております。
  182. 武田良介

    武田良介君 確かに、諸外国、法体系違いますから、日本の場合は加熱式たばこたばこ事業法がある関係で入りやすくて入ってきたということがやっぱりあると思うんですね。その中で、諸外国ではやっている検討、それは日本では、今の日本法律の枠組みではなかなかやられないということはあるかもしれないけれども、こういう加熱式たばこという新しいものが出てきているわけですから、しっかりこの検討というのは行われてしかるべきだというふうに私思います。  加熱式たばこですけれども日本に主に今これ販売されているのは、フィリップ・モリス社のアイコス、それからブリティッシュ・アメリカンのグロー、そしてJTのプルーム・テックと大きく三つあるというふうに承知をしております。この中で今アイコスが大きくシェアを持っているというふうに伺っておりまして、グロー、プルーム・テックが続いているという状況だというふうに伺っております。  JT、日本たばこ産業、プルーム・テックを販売しているJTですけれども、今年の一月ですか、JTの社長に就任された寺畠氏が、社長に就任したばかりの決算会見で、加熱式たばこでカテゴリーシェア四〇%を目指すということを目標に掲げたということを伝えられています。どんどんこの加熱式たばこを売っていきたいということだと思うんです。本会議の質問でも私触れましたけれども、JT、日本たばこ産業は、東京都の条例について、国会での健康増進法改正案審議を注視し、国が定める取組を全国一律のルールとして国と地方自治体が連携して推進することが望ましいとする意見を公表して、暗に規制を本法案の程度に押しとどめようというようなことを要望しているということですので、JTの立場というのは明らかだというふうに思うわけです。  それから、二〇一六年十一月の公開ヒアリング、行われていると思いますけれども、パチンコ、パチスロ業界の公益法人である日遊協から、加熱式たばこについて遊技中の使用を可能とすることも選択肢として考えられるのではないか、適切に判断していくことをお願いしたいと、こういう発言があったということを承知しております。この提案も、今回の法案にそのままつながるような提案であります。  こうした経過見れば、JTが加熱式たばこをどんどん売りたい、日遊協が遊技中の喫煙も認める方向でお願いしたいと、こういう要望を反映して今回の法案が作られたんじゃないかというふうに思いますけれども、福田局長、いかがですか。
  183. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  受動喫煙対策に関する関係団体の御意見につきましては、今お話ありましたけれども、一昨年は十月それから十一月に、政府受動喫煙防止対策強化検討チームの下に設置をされましたワーキンググループで、関係者に対します公開ヒアリング、これを実施をいたしました。また、昨年九月におきましても、受動喫煙対策について関係者から御意見を伺う機会を得たと、設けたというところでございます。  これらの場でいただきました意見を踏まえつつ、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、多数の者が利用する施設等につきまして、その区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除きまして喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理権原者が講ずべき措置等について定める本法律案をまとめ、提出をさせていただいたところでございます。  こうした様々な立場の方の御意見を踏まえまして、今回、原則屋内は禁煙としつつ、というような飲食店等につきましては一定の経過措置を考慮したというものでございます。
  184. 武田良介

    武田良介君 私が言いたいのは、こういう法案やっぱり考えるときに、国民の命、健康を守るという立場に立って法案を作っているのかどうかということを私は考えているわけであります。  今日の午前中の参考人質疑の配付資料にもありました、FCTCの第五条三項の実施のためのガイドラインというのがあります。ここにも、原則一、二、三、四と出てきましたけれども、原則一、たばこ産業と公衆衛生政策の間には根本的かつ相入れない利害の対立が存在するという原則、二つ目、三つ目に透明性という問題が指摘されていますけれども、原則の四、たばこ製品は死をもたらす危険があるため、たばこ産業がその事業を興し運営するための奨励策を認めるべきでないということも書かれております。  やっぱりこういうFCTCの指摘にしっかりと、今回の法案もしっかりと立場を取った中身になるべきだということを私感じましたし、国民の命、健康をしっかり守るという立場で検討されるべきものだということを重ねて強調して、質問を終わりたいと思います。
  185. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。  私からも冒頭、この度の豪雨災害で亡くなられた方に対して心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された方にお見舞いを申し上げます。  今日は、午前中、この健康増進法法案についての参考人質疑が行われました。四人の参考人の方から貴重な御意見を賜ることができました。また、その中でも、受動喫煙肺がんの当事者でもある長谷川一男さん、そしてまた対がん協会の参事の望月友美子さんからのお話は、本当に貴重なお話が聞けたものというふうに思いました。先ほど武田委員からも話がありましたが、やはり厚生労働省というところは国民の健康と命を守ることが最大の責務でありますし、この委員会はやっぱりそのことをやっていくべき委員会だというふうに思っております。  そんな中で、前回も申し上げさせていただきましたが、最初の政府案規制対象外になるところを三十平米以下というところを百平米にしたということは大変残念なことであります。今日はその続きを質問をさせていただくことになりますが、まず最初に、学校の施設について政府にそしてまた発議者の方にお伺いをさせていただきたいと思います。  学校での喫煙についてでありますけれども政府案では、学校が敷地内禁煙とされているものの喫煙場所設置することができるために、学校の敷地内で児童や生徒が受動喫煙してしまう可能性もあると思います。子供たちは受動喫煙による影響が大きいものと考えられ、特に守られるべき存在であると思いますが、なぜこれ一部であっても学校の敷地内で喫煙が可能としているのか、これ理由をお伺いしたいと思います。
  186. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  学校におきます屋外喫煙場所については、敷地内を全面禁煙とした場合、例えば学校行事などの際に父母、父兄などによります施設外での喫煙に伴う近隣施設等との摩擦などの問題も生じ得ることから、限定的に喫煙を認めることとしたものでございます。  本法案につきましては全国統一的な最低限の規制を設定するものでございまして、既にその規制を上回る対策を取っておられる施設にあっては法案規制レベルに合わせるというようなことを義務付けるものではもちろんございません。学校におきましては、これまで厚生労働省や文部科学省が発出しました通知などにおきまして受動喫煙対策の一層の推進をお願いしていることも踏まえまして、その取組が進んでいるものと承知をいたしているところでございます。    〔委員長退席、理事石田昌宏君着席〕  今回の法案施行に当たりましても、受動喫煙対策を一層強化するというこの法律の趣旨を踏まえまして、関係省庁とも連携の上、学校において特定屋外喫煙場所設置することができることとしているが、原則は敷地内禁煙であることなどを周知徹底してまいりたいと考えているところでございます。
  187. 東徹

    ○東徹君 限定的に認めるというのが政府案でありますよね。それに対して今回の維新・希望案の方では、学校はこれ第一種施設ということとされて、屋内、屋外共に禁煙で、敷地の中は屋外喫煙場所設置できないということにこれされているわけですけれども、このような政府案よりも厳しい規則としている趣旨について発議者にお伺いをしたいと思います。
  188. 片山大介

    委員以外の議員(片山大介君) 質問ありがとうございます。  我々の考えでは、一部であってもやはり学校施設では認めるべきじゃないというふうに考えています。それはなぜかといいますと、やはり成長過程にある子供をきちんと守らなければいけない、そう考えているからでありますし、それで、一部であっても教員などが喫煙するとなれば、それが子供たちにどういうふうに見られるのか、子供たちが変にそれに憧れを持ってしまうんじゃないかとか、そういうこともこの教育の現場では配慮しなければいけないというのが我々の考え方ではあります。  それで、子供たちのやはり受動喫煙による健康への影響というのは大きいと思われますので、ですから、小学校、中学校、高校といったものに対しては、是非より厳格に我々はしていくべきだと思いまして、病院などと一緒に第一種施設として厳しく全面的に禁止することにしたという次第であります。
  189. 東徹

    ○東徹君 今日も午前中の参考人質疑の中でもありましたけれども、やはり子供の目にさらされるのかさらされないのかというのは非常に大きいと思うんですよね。幾ら認められている施設場所であったとはいえ、子供から見えるところでたばこを教員が吸っているのを見たら、生徒に対してもやっぱり悪影響だと思うんですね。  やはり、自分の非常に大好きな先生がたばこを吸っていた、それが何か格好いいなと思う生徒も中にはいるかもしれませんし、また、その受動喫煙ということをしっかりと徹底するべきことももちろん大切ではありますが、さらに、やっぱり子供の目にさらさないということは非常に大事ではないのかなというふうに思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  190. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  学校の敷地内におきます屋外喫煙場所についてでございますが、これは、喫煙場所と非喫煙場所が区画されていること、そして喫煙場所である旨の標識が掲示をされていること、このほか厚生労働省令において必要となる措置を定めることといたしております。    〔理事石田昌宏君退席、委員長着席〕  今お話ございましたけれども、具体的には、屋外喫煙場所におきまして子供たちが受動喫煙にさらされることのないようにすること、これが必要でございまして、例えば子供たちが通常立ち入らないような場所、そういう意味におきましては子供たちの目にも触れにくいところ、そういったところに設置をするなどのことをこれから厚生労働省の省令の検討におきましていろいろと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  191. 東徹

    ○東徹君 そういうことを検討するよりかは、敷地内もう全面的に禁煙するということの方が大事だということを申し上げさせていただきたいと思います。  続きまして、国会及び裁判所の取扱いについてお伺いしたいと思います。  政府案では、第一種施設に位置付けられているのは国及び地方公共団体の行政機関の庁舎だけで、国会や裁判所の施設というのは、これは第二種施設になっております。多くの人が利用するという点では、国会や裁判所と行政とでは何もこれ変わらないわけであります。むしろ、ふだんもそうですが、また夏休みに入ったりとかすると国会にはたくさんの小学生が、ふだんからもそうですが、見学に来ている子供たち、よく目にいたします。  この法案で、政府案の方で国会などを行政と区別した理由についてお伺いしたいと思います。
  192. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  今回の法案におきましては、多数の方が利用する施設につきまして、原則屋内禁煙としつつ、喫煙専用室でのみ喫煙できることを原則とする一方で、国や地方公共団体の行政機関につきましては、これは国民や住民の健康を守る観点から、受動喫煙対策を総合的かつ効果的に推進する責務があるといったようなことを踏まえまして、これは第一種施設といたしまして、対策をより一層高めた敷地内禁煙としているところでございます。  このため、第二種施設でございます議会や裁判所につきましては、行政機関と区別をいたしまして、原則屋内禁煙とし、喫煙専用室でのみ喫煙できるという原則的な取扱いとさせていただいているところでございます。第一種施設に相当する水準とする等、それ以上の取組につきましては、それぞれの機関で御判断いただくべきものと考えてございます。
  193. 東徹

    ○東徹君 国会とか裁判所は、特に国会でありますけれども喫煙専用室たばこを吸うことができるということですよね。  では、維新・希望案の方についてお伺いしたいと思いますけれども、国会、裁判所の位置付けについてどうなっているのか。その理由もお伺いしたいと思います。
  194. 片山大介

    委員以外の議員(片山大介君) 我々の基本的な考えは、受動喫煙防止法案を制定する立法府なのだから、やはり率先して受動喫煙防止対策を、責務を有しているので、行政機関より緩くする理由は全くないというのが我々の考えです。  具体的には、国会及び裁判所の施設も含めて官公庁施設として第二種施設として位置付けて、屋内における喫煙専用室設置は認めない、そして、屋外については管理権原者による区画や標識掲示などの措置がとられた特定屋外喫煙場所においてのみ喫煙ができるようにするというふうに我々は考えております。  裁判所についても、ほかの行政機関と同じように司法サービスを利用する様々な人が出入りしますので、そう考えると、国会もそうですが、ほかの行政機関と異なる取扱いをする理由というのは特にないと思います。  それで、国民や民間事業者に厳しい規制お願いする立場でありますので、そう考えれば、国会こそが率先して範を示すべきでありますし、国会が優遇を受けるような制度にしてしまっては国民の信頼というか支持を得ることはなかなかできないのではないかと思いまして、我々はこういう厳しい案にしました。
  195. 東徹

    ○東徹君 こういった法律を作る国会議員こそが率先して厳しい受動喫煙をやっていくべきだということはやっぱりそのとおりだと思うんですよね。  飲食店皆様にも結構今回、我々は三十平米、政府案は百平米ではありますけれども、それでも、今日の質疑の中でも、参考人質疑の中でもありましたが、やはり厳しいという意見もあるのも当然だと思います。ただ、やっぱりこれからの人たちの健康と命を守っていくためには受動喫煙対策をやっぱり徹底してやっていくべきだと。  その中で、国会こそ、国会こそ厳しい対応をやっぱりしていくべきだということだと思うんですね。何か国会議員だけが特権のようにたばこ吸えるというのは、これは国民から見たときにやっぱりおかしいというふうに思われますよね。やっぱりここは厳しいことを本来やっておくべきだというふうに思うんですが。  これ、加藤大臣、国会の中こそ、屋内で喫煙場所設置して認めるんではなくて、やっぱり屋内も絶対駄目だと、厳しいことをやるべきだというふうに思うんですが、加藤大臣、いかがなんでしょうか。
  196. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 先ほど局長から、国会あるいは裁判所等と行政機関との違い、特に普及啓発、調査研究を行う責務、そして広く国民が様々な手続等のために利用する、そういう機能、そういったことが異なるということを申し上げさせていただきました。  国会も含めて、基本は第二種施設ということでありますから、当然国会の中も原則屋内の禁煙ということになるわけでありますから、たしか前回の質問だったというふうに記憶をしておりますけれども、執務室においてもこれも当然原則禁煙の措置ということで、これは通常の、何といいますか、事業所等と同じ扱いになるわけであります。
  197. 東徹

    ○東徹君 喫煙専用室を設けると、屋内にですね、そういったことをやっぱりもっと厳しくすべきじゃないのかということを申し上げさせていただいております。  あと、もう時間がありませんので一点だけ、施行期日について、政府案の方では二〇二〇年ということでありますけれども、これ維新・希望案の方は来年秋のラグビーワールドカップの開催までに全面実施するというふうなことにしておりますけれども、なぜこのラグビーワールドカップの開催までに、そしてこれが全面実施できると考えているのかどうか、最後にお伺いをしておきたいと思います。
  198. 片山大介

    委員以外の議員(片山大介君) 確かに時間は余りないかもしれませんが、ラグビーワールドカップはオリパラと並んでスポーツのメガイベントでありますので、それでたくさんの訪日客が訪れることを考えると、やはりワールドカップまでに罰則付きの強制力や高い実効性を持った法律を制定する必要があると思っています。  それで、じゃ、大丈夫なのかというのがありますが、法案の成立後直ちに施行に向けた作業に着手して、そして、政省令などについても公布後直ちに速やかに国民に示して、規制内容について周知徹底を図るように努力をしていくべきだと思います。  なお、また政府においても、ラグビーワールドカップの準備、運営に関する基本方針の中では、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化するとしているところであり、やはりこれは十分にこれをやっていくべきだということだと思います。
  199. 東徹

    ○東徹君 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  200. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  私も、今回の平成三十年七月豪雨により亡くなられた皆さんに心から哀悼の意を表し、今なお被害に遭っていらっしゃる皆さんに心からお見舞いを申し上げます。地方公務員、国家公務員、消防、警察、自衛隊、そしてNGO、様々な皆さん、また企業も今大量に支援をしようと頑張っていらっしゃいますが、全ての皆さんに心から、頑張っていらっしゃる皆さんに心から敬意を表します。  報道で死者百二十六名、不明八十六名という報道があります。西日本から、たくさんのところから今悲鳴が上がっています。私も、知人の広島の人が、実は家が流されてしまったという連絡を受けました。各地からもすさまじい悲鳴が上がっています。広島県呉市の市議会議員が友人でおりますが、社民党の市議会議員、これは昨日のメールです。  呉市では、死者八名、行方不明十一名を出しています。土砂崩れのため、クレアライン、呉線、国道三十一号線が通行止めになっています。また、いろいろな呉に入ってくる道路も通行止めのため、陸の孤島になっていました。徐々に通行止め解除になっていますが、一番の道路が復旧めどが立たない状況です。道路もですが、広島からの送水管も被害が出て、今、呉市役所のある地帯とほかのところでほぼ断水状況で、給水に二時間から三時間掛けてもらっている状況です。本当にすさまじい状況で、例えば我が地域では、一軒宅地の面が崩れ、下の段の家を崩し、その下の家の道を塞ぎ、避難者を四名出しています。地域で動いている状況です。本当にすさまじい状況です。  また、不明の方が八十六名いらっしゃるので、一刻も早く救援に当たるということが必要です。そこで、今日は国土交通省にも来ていただきました。平成三十年七月豪雨によって道路が寸断され、陸の孤島と化した地域もある。国交省の現状把握と道路復旧に向けた見通しについて教えてください。
  201. 和田信貴

    政府参考人(和田信貴君) お答えいたします。  まず、高速道路につきましては、これまで中国自動車道の通行止めの解除等を行い、まず東西の軸を確保しているところでございます。また、昨日、中国地方四路線四区間の通行止め解除の見通しを公表しまして、このうち山陽道、東広島呉道路につきましては運行を再開し、福山方面からではありますが、広島空港あるいは呉へのアクセスを今朝までに確保しているところでございます。これにより、例えば高速道路につきましては、被災による通行止め箇所が八路線八区間となっております。通行止め中の山陽道では、物資輸送を支えるため、本日朝の十時から緊急車両に加え、救急物資等を輸送する車両を通行可能とする措置を開始いたしました。これにより、山陽道全線を緊急輸送に活用できることとなっております。  国土交通省におきましては、様々な道路がございますが、今後とも早期交通開放に努めてまいりたいと考えております。
  202. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 国道については把握しているが、市町村道については現状把握できていないと聞いております。是非、陸の孤島がなくなるように、時間は掛かるかもしれませんが、道路復旧に向けて全力でお願いいたします。  今日は簗政務官にも来ていただきました。  国交省政務官ですが、兼務としてカジノ法案の所管、内閣府なので、内閣政務官としてもやっていらっしゃいます。カジノについて、法案を成立させるというのではなく、この際カジノは断念し、道路復旧など国交省の問題に全力を傾けるべきではないでしょうか。
  203. 簗和生

    大臣政務官(簗和生君) この度の豪雨災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。  国会審議の在り方につきましては国会においてお決めいただくことでございまして、行政府の一員として申し上げる立場にはないと存じております。  政府としましては、今般の豪雨災害に対し、人命救助、被災者支援、災害からの復旧復興に全力を尽くし、遺漏なく対応してまいりたいと、そのように考えております。
  204. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 二〇一一年三月十一日の東日本震災のときは菅政権でしたが、全ての政党の党首を官邸に呼んで、これから全力で当たるので全力で協力してほしいと、国会対応も全面的に協力してほしいというので、当時、与野党問わず全面的に協力するということで、国会の審議もそれに合わせたと思います。もちろん、災害は違うものですけれども、私は、今やっぱり本当に悲鳴が上がって大変な状況なので、まさにこの対応にこそ当たるべきだというふうに思います。  今般の西日本豪雨に関して、直ちに激甚災害指定をすべきではないでしょうか。どうでしょうか。
  205. 伊丹潔

    政府参考人(伊丹潔君) お答えいたします。  激甚災害の指定につきましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づきまして政令で定めることとされております。具体的には、まず被災地の被害状況調査し、その結果が中央防災会議で定めた激甚災害指定基準を満たしていれば指定することとなります。  また、お尋ねの指定時期につきましては、被害状況の把握が必要となることから、災害の種類や規模等により異なることとなります。この度の平成三十年七月豪雨については、いまだ安否不明の方が多数おられることから、現在、被災者の救命救助等に全力で当たっているところでございます。  このような状況を考慮しながら、関係省庁と連携して、まずは道路、河川、砂防等の公共土木施設や農地、農業用施設等といった激甚災害制度の対象となるものの被害状況について早急な把握に努めてまいりたいと考えております。
  206. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 是非早急にお願いいたします。  今日は気象庁にも来ていただきました。  二〇一三年九月に京都、滋賀、福井の一府二県に大雨特別警報が発令されて以来、今回の豪雨までの約五年間に九回の大雨特別警報が出されております。数十年に一度の降水量が予想される危険が五年間に九回も日本国内を襲うという異常気象が起きています。気象庁はこれをどう捉えていらっしゃるんでしょうか。
  207. 田中省吾

    政府参考人田中省吾君) 日本における豪雨災害をもたらすような雨の発生回数について、明瞭な増加傾向が表れているというふうに捉えております。例えば、ここ三十年余りの変化について、全国千三百か所のアメダスデータを見ますと、例えば一日当たり四百ミリの大雨については約一・六倍という形になっております。  このような大雨の増加傾向、原因としては地球温暖化が影響しているというふうに可能性としては考えております。それについて、将来の見通しですけれども、例えば、気象庁が発表しております、昨年発表した地球温暖化予測情報第九巻というのがございまして、ここで、温室効果ガスの排出が高いレベルで続いた場合、百年後ですけれども、一日当たり二百ミリ以上の大雨の発生頻度は二倍以上になるというような予測もしております。  以上です。
  208. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 国連でSDGsをやっておりますが、まさに降れば豪雨になってしまうという状況を、政治の力によって、ちょっと長期的ですが、変えていかなければならないと思います。  今日は林野庁にも来ていただいております。  今般の豪雨災害で土砂崩れが多く発生をしました。森林の持つ治山治水機能や土砂災害防止機能といった観点から見た森林政策の今後の方針はどうでしょうか。
  209. 織田央

    政府参考人(織田央君) お答えいたします。  今般の豪雨災害におきましては、広島県、愛媛県を中心に甚大な山地災害が発生しておりまして、林野庁といたしましても、関係省庁、地元自治体とも連携しながら、被害状況の把握や早期復旧に向けて全力を尽くす考えでございます。  近年、やっぱり集中豪雨等による大規模な山腹崩壊など激甚な山地災害が発生しておりまして、林野庁といたしましては、森林の有する国土の保全、水源の涵養等の機能の発揮に向けまして、樹木の根や下草の発達を促す間伐等の森林整備、あるいは土砂の崩壊、流出や流木の発生を抑えるための治山施設の整備等によりまして、健全な森林の整備、保全を推進しているところでございます。  今後とも、地域の安全、安心の確保の観点から、事前防災・減災に資する国土強靱化に向けまして、森林の整備、保全に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  210. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 気象庁や林野庁、本当に頑張ってください。  厚生労働省も、平成三十年七月豪雨による被害状況等について、第十三報を今朝の五時に出していらして、これを読むと、本当に詳細に調べて、それぞれ介護、医療、そして水道など命に関わる分野について頑張っていらっしゃることがよく分かります。  どうか、大変な状況ですが頑張ってくださるよう、早急にこれに全力を懸けて、道路も含め、国土交通省もこれに取り組んでくださるよう心から本当にお願いいたします。命が関わっているので、よろしくお願いいたします。  健康増進法改正法についてお聞きをいたします。  先ほどもありましたが、加熱式たばこたばこであると、たばこの中に入っていると。なぜこれだけ例外的な取扱いをするのか。午前中の参考人質疑で、望月参考人始め多くの方から意見が出ております。  これについては、改正二十五条の六の、国は受動喫煙に関する調査研究その他の受動喫煙に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するよう努めなければならない、今度検討するということなんですが、危険だという立証が、深刻な影響があるという結果が今のところ認められていないからと前回の私の質問にも答えられましたが、逆に言うと、安全ということも確認をされていない、ニコチンは含んでいる。だとしたら、加熱式たばこについて、このように例外的に取り扱うのは間違っているんじゃないですか。
  211. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  加熱式たばこにつきましては、その主流煙に健康に影響を与える物質が含まれていることは明らかでございますが、現時点での科学的知見では、受動喫煙によります将来的な健康影響を予測することは困難でございます。  このため、紙巻きたばこと同様の規制は行わないものの、仮に、将来、受動喫煙によります健康影響が明らかになった場合には大きな問題となることなどを踏まえまして、喫煙専用室又は加熱式たばこ専用の喫煙室内でのみ喫煙を認めることとしてございます。  また、第一種施設につきましては、これはもう、加熱式たばこ紙巻きたばこと同様喫煙ができないという形に、ここは徹底しているというところについては改めて御説明を申し上げたいと思います。  以上でございます。
  212. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 先ほど大臣答弁でも、これから時間を掛けて、二十年、三十年掛けてということだったんですが、そのときに被害があるって分かったらとんでもないわけで、たばこたばこであると。この加熱式たばこのところでは飲食もできるというのは、私は違うというふうに思っております。加熱式たばこがどんどん増えていけば、使用者が、まさにここで飲食可となるわけで、それも極めて大問題で、まさに加熱式たばこについても紙巻きたばこと同様の扱いをすべきだということを強く申し上げます。  これは前回も質問したのですが、東京都条例だと、従業員がいればそこは禁煙であると。従業員のまさに受動喫煙が極めて大きいと思います。仕方ない、我慢する、働くために飲食店で我慢するという人も非常に大きく出るのではないか。これは、やはり二十歳未満従業員に対するというだけではなくて、そもそも喫煙可能な場所を設ける店舗で勤務する従業員保護に向けた対策、これをちゃんとやるべきだし、本来はもっと規制を強化すべきではないでしょうか。
  213. 福田祐典

    政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。  今回の法案では、望まない受動喫煙を防止するため、施設の類型、場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所におきましては掲示を義務付けること、また、喫煙可能な場所については二十歳未満の立入りを禁止することとしております。  既存の小規模飲食店など、喫煙可能場所のある店舗で働く従業員につきましては、事業者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定を設けるとともに、対応の具体例を国のガイドラインによりお示しすることや、事業主が求人を行う際の明示事項に職場における受動喫煙に関する状況を追加することなどによりまして、望まない受動喫煙が生じないように対応してまいりたいと考えているところでございます。
  214. 福島みずほ

    ○福島みずほ君 これで終わりますが、望まない受動喫煙というのはやっぱりおかしくて、望まないアスベスト被害というのがおかしいように、これはやっぱり非常におかしいと思います。  今朝の午前中の参考人質疑でも、長谷川参考人と望月参考人からありました。受動喫煙も問題だけれど、吸う人本人の健康被害も問題です。  大臣厚生労働省は命と健康を守る役所です。まさにがん対策基本法案も管轄する役所です。そうだとすれば、是非、受動喫煙だけではなく、この法律の射程距離をもっと広げて、まさに吸う人そのものの問題点、依存症を減らす、喫煙する人を減らす、そして喫煙する場所やそういうところを減らすよう是非努力していただきたいということを申し上げ、私の質問を終わります。
  215. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。  私も、この度の豪雨によって被災なさった皆様方に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  その上ででございます。やはり今本当にやらなければならないことというものは、その被災なさっている皆様方、命を守るということでございます。各党のやっぱり対応に追われて議員対応のためにその手を取られてしまうということはあってはならないと思いますので、私もどのように今後発議していくか分かりませんけれども、各党の皆様方にもそのことはお願いをしておきたいと思います。それを踏まえまして、議論をさせていただきます。  今回の政府提案の法案、そして参法の提案、私はどちらもそれは完全なものとは思っておりません。自民党の議連、そして私も所属させていただきました超党派の議連でも、あるべき論というものをこれまで様々議論されてきたものだと思っております。  超党派の議連の幹事長を務めていらっしゃいましたのが松沢議員でございます。中心的な立場でその議連の試案を取りまとめられた松沢議員に、この間の議連を通した議員間での法案提出に向けた動き、そして、そこでの議論というものがどの程度今回の政府案や参法に生かされているのかということについて教えていただけますでしょうか、お願い申し上げます。
  216. 松沢成文

    委員以外の議員(松沢成文君) 超党派の議員連盟についてのお尋ねをいただきました。  WHOたばこ規制枠組条約の締約国として、そして五輪開催国として、国際基準の受動喫煙防止対策を確立しようと超党派の議員連盟を二〇一四年に設立し、私は幹事長を務めてまいりました。  この四年間に、諸外国や国内自治体の先行事例を調査研究し、自民党の受動喫煙防止の議員連盟とも法案の在り方について意見交換もしてまいりました。さらに、厚労省や総理官邸に法案提出の要請もいたしました。こうした超党派議連の積極的な活動が、昨年三月に厚労省が示した、飲食店については三十平米以下のバーやスナックのみを例外とするという厳しい内容の案に大いに影響を与えたものと考えております。  しかし、残念ながら、その後、厚労省と自民党の調整によって政府案は大きく後退してしまいました。そこで、実効性の高い対策を実現するために、超党派議連自ら法案を作成し、野党全体での対案提出を模索しましたが、時間がなく、今回、日本維新の会と希望の党で新たな対案を提出したという次第であります。
  217. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  前回報道の後に、松沢議員のニュースを私も拝見させていただきました。神奈川というものの条例というものがあれは失敗だったんじゃないかというふうな報道でございまして、やっぱりそういう意見というのがすごく私は皆様方の目に触れ、そして、その次の段階に生かされていくべきだと思っております。  喫煙できる飲食店というものを、参法におきましては、二十歳未満の者の利用がほとんど見込まれず、かつ酒類の提供が行われる施設として、バー、スナック、居酒屋などに限定をされております。では、一方で政府案はと申しますと、一般の食堂やラーメンのいただけるようなお店なども飲食店全般で喫煙を認める内容となっております。  望まない受動喫煙を防止するという、目的とするのであれば、飲食店業態でも私は制限する必要があったかと思いますけれども、まず大臣、御意見いただけますでしょうか、よろしくお願い申し上げます。
  218. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 今回の法案では、原則屋内禁煙喫煙を認める場合には喫煙専用室設置が必要と、こういう立て付けになっているわけでありますが、既存の経営規模が小さい飲食店については、直ちに喫煙専用室等の設置を求めることが事業継続に影響を与えるということが考えられることから、一定の猶予措置という、こういうふうに考えたわけでありますので、したがって、この経過措置は、経営規模に着目し、業種を問わず資本金や面積で判断するということにしたところであります。  なお、経過措置の対象となる飲食店においても、喫煙可能な場所には二十歳未満の者は立入りはできないこととしておりますので、例えば家族連れを顧客にしているレストランなどでは経営者の判断によって原則屋内禁煙店舗とすることを選択することもあるなど、全ての店舗喫煙可能となるものではなく、それぞれの判断によって対応が異なっていくのではないかと考えております。
  219. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 では、その中でしっかり業態についても着目をなさった参法提出者である松沢議員はどのようにお考えになられますか。
  220. 松沢成文

    委員以外の議員(松沢成文君) 私自身は、そもそも論として、全ての飲食店を全面禁煙にするしか完全な受動喫煙防止対策はないと思っておりますが、現下の政治状況の中で一挙にそこに行くのは難しいということで、受動喫煙防止対策を徹底するという本法案の趣旨からすれば、特例の対象となる店舗は必要最小限のものに限定されるべきであり、飲食店業態の面においても制限する必要があると考えています。このため、御指摘いただいたとおり、本法案では、バーやスナック、居酒屋等の業態に限定して特例の対象としているところであります。  バーやスナック、居酒屋等については、従来から営業実態としてお酒とともにたばこを親しむというお客が少なくないということは事実だと思います。こうしたことから、受動喫煙防止に関する規制を一斉に実施した場合には事業の継続に与える影響が大きいと考えられるため、必要最小限の範囲で特例を認めることとしたものであります。
  221. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  あくまでも特例としてというところで、私もそちらの方が今後のことを考えましても正しい選択だというふうに認識をいたしております。  参法におきまして、特例で喫煙を認める飲食店要件に、管理権原者等以外に従業員がいない、又は喫煙可能であることについて全従業員の同意を得るということが加えられております。これはどのような趣旨でお加えになったのか、教えていただけますか。
  222. 松沢成文

    委員以外の議員(松沢成文君) 東京都の条例が、従業員を一人でも雇っているところは全部駄目ですというふうになって、これは画期的なことだったと思うんですが、私どもはそこまで発想が至りませんでしたけれども、特例の対象となる飲食店では、お客さん以上に従業員が長時間にわたり受動喫煙を受ける可能性があり、従業員について受動喫煙防止対策を講ずることが不可欠になると考えています。  本日の参考人質疑の中からも、中小の飲食店では従業員家族と同様、従業員受動喫煙は嫌と言えば喫煙スペースに配置することはない旨の発言があったところであります。  このため、従業員がいないか、全従業員の同意を得ることを特例の要件としたものであります。
  223. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  しかし、政府案には同様に従業員受動喫煙を防止する規定というものが盛り込まれてはおりませんが、この点、どのように政府としてはお考えになっていらっしゃいますか、お願い申し上げます。
  224. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) この法案においては、施設の管理権原者等に受動喫煙を防止するための措置を講ずる努力義務規定が設けられ、また、労働安全衛生法においては、事業者に対する労働者の受動喫煙防止の努力義務、これは既に課されているところでありますけれども、こうしたことを踏まえて、これらの努力義務規定に基づく対応の具体例、国のガイドライン、これは従業員に対するということでありますけれども、そういったことについてガイドライン等によってお示しをすること、また、事業主が求人を行う際の明示事項に職場における受動喫煙に関する状況を追加することにしているところでございますし、また、助成金等によってその取組を支援していくということによって、望まない受動喫煙が生じないよう対応させていただいているところであります。
  225. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 大臣、その努力義務ということになった場合に、果たしてどのくらいの皆様方がそれに従っていただけるのかということについてお考えになったことございますでしょうか。  今回努力義務だけれども将来的にそれを義務化する、若しくは、どのくらいの飲食店においてそれが、努力義務というものが果たされたかどうなのかということをしっかり調査した上で次判断なさる、そういう何かプランはお持ちでいらっしゃいますか。
  226. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) いや、まず、今回初めてのこうした取組でありますから、この状況について事業主も含めてしっかりと理解を深め、周知をし、そしてこういうガイドラインをお示しをまずしていく、そしてそれをお守りいただくということでまず取り組んでいくべきだろうというふうに考えております。  ただ、いずれにしても、五年後の見直しの規定というのも盛り込んでいるところではございますので、その際にはそうしたことも含めて考えていく必要は当然あるんだろうと思います。
  227. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  実行可能なものだということで最低限今回出されたかもしれませんけれども、東京都の条例のように更に厳しいものが出されてしまうと、一体国は何をやっていたんだということになりかねませんので、しっかり横並びでやっていただくためにも、東京都の現状なども視野に入れた上で次をお考えいただきたい。五年待つ必要はないと、今日、参考人の御意見にもございましたので、スピーディーに反応していただきたいと思っております。  政府案におきましては、肝腎の飲食店などの第二種施設での規制というものが、先ほどもございました、来年のラグビーワールドカップには間に合わないということでございます。一昨年の予算委員会において松沢議員が総理に質問した際には、ラグビーワールドカップを視野に対策を進めていくというお答えをいただいたところでございました。  ワールドカップというところでも海外から多くの観光客の皆様方がいらしてくださいますし、国際的なメガスポーツイベントを開催するということにもかかわらず飲食店で対応が取れていないということは、私はこれは日本として大変大きな問題になるのではないかと考えておりますけれども大臣の御意見いただけますでしょうか。
  228. 加藤勝信

    ○国務大臣加藤勝信君) 全面施行していくまでには、官民問わず、それぞれの施設において必要に応じ喫煙専用室設置又は禁煙とする等の対応を取っていただく必要があります。これには罰則も掛かってくるわけでありますので、その点を考慮いたしますと、来年のラグビーワールドカップ杯、これは、二〇一九年九月前に全面施行するのは大変難しいというふうに考えております。  ただ一方で、早期に受動喫煙対策を取り組むことは当然必要でありますので、政府としては、そうした施行等を待つのではなくて、受動喫煙による健康影響についての周知啓発、また、事業者に対する支援制度、これについても幅広く周知を行い、また、それぞれの関係者が受動喫煙対策に早期に取り組んでいただくよう支援をしていきたいと思っております。  なお、運動施設に係る規制施行は二〇二〇年四月ということになりますが、ラグビーワールドカップの会場等の扱いについては、主催者とそうした運動施設の管理者との間でもいろいろ御調整があると思いますし、我々もそれにしっかり対応していきたいと考えております。
  229. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  スポーツ議員連盟の方でもオリンピック、パラリンピックというのは視野に入れておりまして、様々な法案も提出をしてまいりました。しかし、その前の来年のワールドカップ、ラグビーワールドカップというものを一つテストケースとして、その次に二〇二〇年をどう迎えるべきなのかということを常に常に議論をしてきたつもりでございます。しかし、これはいきなり本番ということになってしまいますので、是非そこは、開催都市とも相談の上、厳しく指導をいただきたいと思っております。  この点につきまして、発議者であり、そして今回様々な点で中心的な立場で活動なさっていらっしゃいました松沢議員はどのようにお考えになられますか。
  230. 松沢成文

    委員以外の議員(松沢成文君) WHOは、メガイベントをたばこフリーにするためのガイドというのを発行しているんです。このメガイベントというのは、オリンピック、サッカーワールドカップ、ラグビーワールドカップのことを言っているんですね。これによれば、イベントの開催都市を選択するための最重要基準の一番目の項目として、一〇〇%スモークフリー方針を作り徹底させる、法律で定めることが望ましいと記載されているんです。  ラグビーワールドカップはオリンピック、パラリンピックに並ぶスポーツのメガイベントでありまして、ラグビーワールドカップ開催までに罰則付きの強制力の高い実効力を持つ法律を制定する必要があると考えまして、本法案では公布後一年以内に全面施行とすることとし、ラグビーワールドカップ開催までにしっかりとした受動喫煙防止対策を講ずるようにしたものであります。  なお、実は政府においてでも、各省庁横断でラグビーワールドカップの準備、運営に関する基本方針というのを出しておりまして、そこでは競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化するとしているところでありまして、政府案もラグビーワールドカップ開催までの全面施行とすべきであったと考えています。
  231. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今日も様々議論させていただきましたけれども、まだまだその議論の論点というのが残っているかと思いますので、また引き続き質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  232. 島村大

    委員長島村大君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時六分散会