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2018-05-29 第196回国会 参議院 環境委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年五月二十九日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十四日     辞任         補欠選任      進藤金日子君     鴻池 祥肇君      渡辺 猛之君     佐藤 信秋君      渡邉 美樹君     関口 昌一君  五月二十八日     辞任         補欠選任      関口 昌一君     元榮太一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         斎藤 嘉隆君     理 事                 滝沢  求君                 森 まさこ君                 宮沢 由佳君                 片山 大介君     委 員                 磯崎 仁彦君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 信秋君                 高野光二郎君                 二之湯武史君                 元榮太一郎君                渡辺美知太郎君                 河野 義博君                 浜田 昌良君                 柳田  稔君                 芝  博一君                 市田 忠義君                 武田 良介君    国務大臣        環境大臣     中川 雅治君    副大臣        環境大臣  とかしきなおみ君    大臣政務官        環境大臣政務官  笹川 博義君    事務局側        常任委員会専門        員        星   明君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       牛尾  滋君        厚生労働大臣官        房審議官     吉永 和生君        農林水産省農林        水産技術会議事        務局研究総務官  大角  亨君        経済産業大臣官        房審議官     岸本 道弘君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       高科  淳君        国土交通大臣官        房審議官     首藤 祐司君        環境省地球環境        局長       森下  哲君        環境省総合環境        政策統括官    中井徳太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○気候変動適応法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、進藤金日子君、渡邉美樹君及び渡辺猛之君が委員辞任され、その補欠として鴻池祥肇君、佐藤信秋君及び元榮太一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  気候変動適応法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房審議官牛尾滋君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) 気候変動適応法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 自由民主党の渡辺美知太郎です。  気候変動適応法案について質問をいたします。  我が国平均気温は百年当たりで一・二度のペースで上昇をしていると言われています。この一・二度というのは、世界平均を上回る上昇率だそうです。そして、将来は更に現在の気温よりも一・一度から四・四度ほど上昇すると予測をされています。  この気温上昇対策一つは、根本的な原因である温室効果ガスを長期的な目標で二〇五〇年までに八〇%削減をするという温暖化の緩和の部分も非常に重要でありますが、一方で、現実に今進んでいる温暖化適応について、本法案にも盛り込まれておりますが、この適応について対策を進めていかなければなりません。豪雨多発、農産物の品質の変化や悪化、動植物の生息域の北上など、既に気候変動農林水産業や天候、そして私たちの生活基盤に大きな影響を及ぼしています。  このような気候変動温暖化適応について本法案は非常に重要なものになってくると思いますが、まず、本法案に込めた大臣意気込みをお聞きしたいと思います。
  7. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 気候変動影響は、様々な分野におきまして全国各地で現れております。今後更に深刻化するおそれがございます。こうした気候変動影響に対処し、国民の生命、財産を将来にわたって守るためには、関係省庁等連携しながら適応策の一層の充実強化に取り組むことが重要でございます。  こうした認識の下で、本法案により、国、地方公共団体事業者国民役割を明確化し、新しい法定の気候変動適応計画を作って、関係者が一丸となって適応策を強力に推進したいと考えております。また、国立環境研究所を中核とした情報基盤整備を図り、精度の高い気候変動影響予測情報に基づく適応策を展開してまいります。さらに、広域協議会による国と地方公共団体連携促進等を通じて、地域レベルでの適応策についても強化してまいります。  本法案の下で、国を挙げて適応策充実強化を進めてまいる決意でございます。
  8. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 大臣の御答弁をいただきました。  大臣意気込みからもありましたとおり、この気候変動というのは非常に広い分野にわたって影響を及ぼすものでありますから、本当に多省庁にわたって連携をしていかなければならない。そして、我が国というのは非常に南北に長い地形をしております。その地域ごとによって実情が異なりますので、広い地域広域でしっかりと連携をしていかなければならないと思っております。  この今回の法案の肝は、国立環境研究所への情報の一元化と地域での適応対策実施、この二つだと私は思っております。そこで、まず地域適応対策についても伺っていきたいと思います。  先ほどからございますが、我が国は非常に南北に長い地形をしております。沖縄では例えばサンゴの白化が懸念をされている一方で、これまでは台風が来ないと言われていた北海道ではおととし三回は大きな台風が来たということで、かなり地域によって差がございます。また、私の地元栃木県など海がない都道府県もございますが、そういった地域でも、豪雨が増えた、それから竜巻や突風といったこれまで余り想定してこなかったような災害多発をしております。  このように、地域によって気候地形が全く異なる、そしてまた産業も大きく異なるのが我が国の特徴であります。地域における適応取組を国がしっかりと支援をする必要がありますが、環境省はこれまでどのように地域適応策支援してきたのか、また、地域取組支援するために本法案ではどのような仕組みを設けているのか、伺いたいと思います。
  9. 笹川博義

    大臣政務官笹川博義君) もう委員の御指摘のとおりでありまして、まさに気候変動影響地域によって様々でありますので、やはり地域によっての災害対策、さらには農業政策との連携というものが大変重要になってくるというふうに思っております。  環境省はこれまで、地域適応コンソーシアム事業として、農水省国交省連携をしながら、地域における気候変動影響の将来予測に関する調査科学的知見に基づく適応策検討を進めるなど、それぞれの地方公共団体取組支援をしてまいりました。  地域における適応策の更なる充実強化のため、本法案では、地域実情に応じて地方公共団体計画策定に努めること、そして国立環境研究所地方公共団体に対して技術的サポートを行うこと、地域関係者による連携協力推進するための場として、いわゆる複数の自治体とそれから国の機関が入ります広域協議会を組織できることを規定をさせていただきました。  環境省としては、こうした規定の下での計画策定マニュアル作成、提供、国立環境研究所による技術的サポート広域協議会を通じた地域関係者連携強化等を通じて、地域実情に応じた計画策定の当初の段階からしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  10. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 笹川先生から御答弁をいただきました。  自治体の中では、適応はまだまだこれからというところも多々あると聞いております。現在、四十三の都道府県と十八の政令市適応に向けた計画策定しておりますが、数字上、この四十三都道府県、十八の政令市というのはまずまずなことだと思いますが、内容としてあるいは具体的な中身としてはこれから進んでいくところが大半と聞いておりますので、是非とも環境省からしっかりとした支援をお願いしたいと思います。  今回の法案地方公共団体計画策定することとなっていますが、この計画策定することというのは、今回は一律義務ではなく、努めることとするという努力義務となっています。今回、なぜ努力義務になったのか、環境省に伺いたいと思います。
  11. 森下哲

    政府参考人森下哲君) お答え申し上げます。  地方公共団体計画策定するに当たりましては、地域レベルでの気候変動影響科学的知見充実適応策優良事例共有が必要でございます。こうした取組は、現在、環境省農林水産省国土交通省連携をして実施をしております地域適応コンソーシアム事業等によって後押しをしておるところでございます。  こうした中、お話がありますように、現在、地方公共団体におきましては、既存の計画適応策重要性を記載するなど、自主的な計画策定が進んでいるところでございます。一方、具体的な適応策検討はこれからの段階であるところが多いことから、計画策定を一律に義務付けるのではなくて、現時点では努力義務とさせていただいております。  環境省といたしましては、今後、本法案の下、国立環境研究所による技術的サポート広域協議会を通じた地域関係者取組共有推進をしてまいります。さらには、環境省としても積極的に各地域に足を運びまして、本法案に関する説明会開催することなどを通じて、地方公共団体計画策定を促してまいりたいというふうに考えてございます。
  12. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 気候変動適応というのは、まだまだ科学的に因果関係が明らかになっていない部分も多い。そのため、今現在、ある意味この気候変動適応という部分については、研究と実地が同時進行で進められているような状況だと私は思っております。技術の、テクノロジーの進歩によって、その都度制度を柔軟に変えていく必要があるのではないかと私は思っております。  今回は国交省農水省からもお越しをいただいております。この環境行政全般先ほど来も申し上げました気候変動影響が余りにも広いため、環境省だけでは完結をしません。そこで、国の地方行政機関の積極的な参加について伺っていきたいと思います。  自治体を始め様々な主体連携をして地域適応策推進することは、非常に重要であると思っています。先ほどから御答弁にあります、本法案では気候変動適応広域協議会というのが位置付けられておりまして、気候変動について他省庁との協力体制が必要不可欠であります。地方環境事務所はもちろんのこと、国交省農水省広域協議会是非とも積極的に参加をしていただきたいと思っておりますが、各省庁の御見解、環境省国交省農水省から伺いたいと思います。
  13. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 御指摘のように、非常に重要なことだと思っております。  気候変動影響でございますが、地域気候社会経済状況により異なりますため、地域レベルで幅広い関係者連携協力して適応策を強力に推進していくことが重要でございます。  こうした観点から、先ほど申し上げましたけれども、農林水産省さんあるいは国土交通省さんと連携を取ってきておりまして、国の地方出先機関地方公共団体等関係者から構成をされます地域協議会全国ブロック設置をいたしまして、優良事例共有地域における気候変動影響の将来予測に関する調査など実施をしてきておるところでございます。  今回の法案におきましては、こうした地域における関係者連携を更に強化をするために広域協議会に関する規定を盛り込んだところでございまして、地域レベルでの連携協力推進するための場としての役割を期待しております。  今後は、この既に設置をしております全国ブロック地域協議会を土台といたしまして、この法案に基づく広域協議会に発展をさせ、そして地方環境事務所旗振り役をさせていただいて、地域の幅広い関係者連携協力の下、将来予測に関する調査ですとか情報共有優良事例に関する意見交換なども行いまして、地域レベルでの適応策充実強化後押しをしていきたいというふうに考えております。  その際には、引き続き、農林水産省さん、国土交通省さん等の関係省庁としっかりと連携協力体制構築してまいりたいというふうに考えてございます。
  14. 首藤祐司

    政府参考人首藤祐司君) 気候変動影響に対応していくためには、御指摘のとおり、地域レベルにおいても適応策を進めていくことが重要でありますので、国土交通省におきましても、必要に応じまして、地域の現場に近い地方整備局地方運輸局及び気象台地域における推進主体に積極的に助言、支援等を行っていくことが重要であると認識をしております。  このため、現在、地域において科学的知見に基づく適応策の具体的な検討を行っております地域適応コンソーシアム推進事業におきましても、地方整備局地方運輸局及び気象台地方協議会参加をしているところでございます。  本法案に基づく広域協議会におきましても、環境省を始め関係省庁地方公共団体等連携を取りつつ、地域適応に積極的に貢献してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  15. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 農林水産分野では、気候変動影響を受けやすい分野でございまして、既に我が国でも高温による米や果実の品質低下豪雨による農業被害など、地域気候条件ごとに様々な気候変動影響が顕在化しているところでございます。  このため、農林水産省では、地方行政機関でございます地方農政局等におきまして、地方公共団体等連携して、地域における気候変動による影響適応技術等について情報共有等を図っているところでございます。  今後は、本法案に基づく広域協議会地方農政局等が積極的に参画し、地域実情を踏まえ、都道府県、市町村や国の地方行政機関等連携協力してまいりたいと考えております。
  16. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 農水省は農作物ということで非常に大きな影響を受けると思っておりますし、また、国交省災害水資源に関して本当に大きな影響を受けると思っています。環境省は、是非とも横串を通していただいて連携をしていただきたいなと思っております。  また、今回はお呼びはしていないですけど、この気候変動というのは気候変動リスクに関する保険といった金融にも関わってくるので、本当に広い分野でこれから連携が必要になるのではないかと思っております。  国交省農水省の方々は、質問は終わりですので、これでお戻りになられて結構です。
  17. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) それでは、大角研究総務官首藤審議官については御退席いただいても結構です。
  18. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 続いて、国立環境研究所についてお聞きをしたいと思っています。  この国立環境研究所、これから情報を一元化するということで、非常に大きな役割を担ってくると思います。環境適応について、先ほども申し上げました、その影響であったり、その現象が本当に気候変動によるものなのかという原因の分析と評価が非常に難しいと思っておりますが、今回の法案では、適応策について科学的な調査から評価まで国立環境研究所が一元的に情報管理をして地方公共団体へアドバイスをするという役割となっていきますが、これまでの国立環境研究所取組と今後の対策役割についてお聞きをしたいとともに、また、従来の国立環境研究所調査研究業務がおろそかにならないようなどのような取組を考えているのか、環境省に伺いたいと思います。
  19. 中井徳太郎

    政府参考人中井徳太郎君) お答え申し上げます。  国立環境研究所は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護、整備などに関する調査研究実施する国立研究開発法人でございます。  適応に関しましては、これまで、環境に関する調査研究の一分野として、気候変動による影響予測手法開発等を行ってきました。加えまして、平成二十八年から、適応情報基盤であります気候変動適応情報プラットフォーム事務局を務めてございます。このプラットフォームでは、地方公共団体気候変動影響評価適応計画策定支援などを行ってきてございます。  本法案を可決、成立いただきましたならば、国立環境研究所の主要な業務一つといたしまして、研究段階から一歩踏み出しまして、予測手法精度や解像度の向上などを行うことで、より実用的な影響予測実施してまいります。  また、この成果を活用いたしまして、地方公共団体への計画策定支援地域気候変動適応センターに対する技術的支援をより的確に行うとともに、国や地方研究機関との連携協力体制構築を進めていきたいと考えております。  本法案に基づく新たな業務を着実に進めることができるよう、国立環境研究所の組織、人員を含めまして必要な体制整備を進めてまいります。環境省といたしましても、引き続き国立環境研究所体制整備支援してまいります。  また、本法案の成立に伴い適応に関する業務国立環境研究所に追加されますと、独立行政法人通則法に基づきまして、環境省中長期目標を改定し、国立環境研究所がそれに基づいて中長期計画を改定することになります。このプロセスにおきまして、従来進めている調査研究も引き続き着実に進めることができるよう留意してまいります。
  20. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 御答弁にもありました、研究段階だけではなくて、これから実用的な業務が増えるということ、そして自治体へのコンサルティングのような業務がこれから増えていくと思っております。また、中長期計画策定など様々な業務が増えてくると思いますので、是非ともその辺りしっかりと取り組んでいただきたいなと思っております。  次に、適応ビジネスについてちょっと伺いたいと思っています。  気候変動への適応、ある面ではこれはピンチだから適応しなければならないんですが、ビジネスの面においては、ある意味でそれは同時にビジネスのチャンスになる可能性もあります。気候変動影響によって、これまで作れなかったところに新しい作物が作れるようになると。じゃ、例えば、その作物向けに新しい土壌を改良しましょうとか、乾燥や高温に強い品種を作って導入をしましょう、それから、今世界的に水不足になるのではないかと言われておりますので、この水資源の確保、新しい技術によって例えば海水を真水に変えましょうといった、そういった適応についてはビジネス促進も焦点が当てられると思っています。  適応策世界的なニーズを考えれば、その基となる基礎情報を提供して民間活力を引き出すような取組が重要だと考えています。政府活力を引き出せるよう積極的に関わっていただきたいと思っておりますが、どのように適応ビジネス促進をしていくのか、また、国内だけではなく、適応ビジネスをどのように海外へ展開していく方向か、環境省と、今日は経産省も来ていただいております、国内促進海外展開について環境省と経産省にお尋ねしたいと思います。
  21. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 委員指摘のとおり、気候変動への適応推進していくためには、国や地方公共団体による適応策民間事業者が自ら気候変動リスクに対応することにとどまらず、民間事業者が有する適応に関する技術サービスを提供する適応ビジネス、これを促進することが重要だと考えてございます。  こうした観点から、環境省では、平成二十八年に構築しました適応情報基盤であります気候変動適応情報プラットフォームにおきまして、関係省庁皆様方とも連携をしまして、国内海外における適応ビジネス優良事例を広く発信するなど事業者適応取組支援してきたところでございます。  また、特に気候変動に脆弱な開発途上国適応能力向上していくためには、我が国民間事業者が有する適応技術サービスが非常に有効でございます。開発途上国においてその積極的な活用を図ることは、我が国国際協力にもつながるということでございます。  このため、環境省としては、適応情報基盤を国際的に展開することで、アジア太平洋気候変動適応プラットフォームという枠組みを二〇二〇年までに構築をいたしまして、開発途上国における将来の気候変動影響に関するリスク情報と併せまして、我が国民間事業者が有する適応技術サービスに関する情報を積極的に発信してまいりたいというふうに考えております。  また、関係国との様々な協議の場におきましても、開発途上国適応能力向上に資する適応技術サービスを紹介することなどによりまして、適応ビジネス促進海外展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
  22. 岸本道弘

    政府参考人岸本道弘君) 海外展開についてお答えします。  気候変動適応市場につきましては、例えば国連環境計画の二〇一六年の試算では、世界適応ビジネス市場は二〇五〇年時点で約五十兆円の市場規模に拡大すると言われています。一部の日本企業は、自社の新たな物やサービスを生み出すグローバルな事業機会と捉え、海外適応ビジネスを積極的に進めています。  他方、多くの日本企業では、適応ビジネスグローバル展開が進んでいるとは言えない状況認識しております。これは、途上国での適応ビジネスが軌道に乗るまでの長期間にわたる経営層の関与が十分に得られていないこと、国内中心にこれまで取り組んできており海外での事業ノウハウが十分蓄積されていないこと、相手国側自社の売り込みが十分できていないことなどの理由があると認識しております。  このため、経産省といたしましては、国内企業向け適応ビジネス認知度向上を図るセミナー開催海外での成功モデルを横展開していくための日本企業活動事例をまとめたグッドプラクティス事例集作成途上国政府向け日本企業適応ビジネス製品サービスを紹介するための国際セミナー開催に取り組んでおります。国内企業向けセミナーについては、当省やジェトロ、環境省等において昨年度延べ五回開催し、企業中心に約四百五十人が参加するなど企業の関心が高まっていると評価しております。  一昨年度からグッドプラクティス事例集策定、拡充し、横展開していく上でのヒントとなり得る日本企業海外ビジネスでの適応事例事例を取りまとめて公表しております。一例を申し上げますと、気候変動による海水面上昇による浸食、河川や地下水を通じた塩水侵入塩害が深刻化している国が出てきておりますが、ある企業では、バングラデシュにおける塩害地域自社が持っている適切な栽培管理に基づく農業技術を導入して、豆、リョクトウの栽培に二〇一〇年から取り組んでおり、三千五百人の農民が本プロジェクトに参加するなど、現地雇用機会の創出、栄養価の高いリョクトウの収穫量、品質向上による貧困削減、収入増加に貢献しております。  また、水害の増加につきましては、水源の汚染を拡大させ、人々の健康状態の悪化により病人数が増加し、社会経済開発を阻害するという状況にございます。ある企業では、ベトナムを始め東南アジアにおいて、現地政府やNGOなどを通じて、病院、学校、村に小型浄水装置を導入をいたしまして、人々の健康状態及び社会経済環境の改善に貢献しております。  また最後に、途上国政府向けセミナーといたしましては、昨年十一月にドイツ・ボンで開催されましたCOPにおけるサイドイベントを主催いたしまして、複数の途上国政府関係者など約五十名近くに御参加いただき、日本企業適応関連技術の紹介を行いました。  引き続き、環境省とも連携しながら、適応ビジネス海外展開推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  23. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 これまで、ビジネスに余り一見関係がないようなことがビジネスにつながっていくような事象が見られています。気候変動ではないんですけど、先日、気象ビジネスについてのお話を聞きまして、気象データを利用して生産性を向上していこうとか、そういった取組もあります。  適応ビジネスについては、例えば先ほど事例にもございましたけれども、水不足に対してのビジネス展開、小さい話で言うと、例えばハマダラカの北上によって蚊帳を、新しい糸を使って蚊帳が作れないかとか、そういった話もありますので、是非とも民間の活力に資するような取組をしていただきたいと思っております。  時間が余りないので最後に質問させていただきたいなと思っておりますが、ちょっと質問を飛ばしまして、カーボンプライシング、ESG投資など、民間活力の最大化について伺いたいと思います。  先ほど緩和についても触れましたが、適応も緩和も民間活力を用いることが重要だと思っています。適応ビジネスのみならず、緩和についても低炭素技術サービスが選択をされ、企業の投資が低炭素に向かうような仕組みが必要であります。そのために、カーボンプライシングやESG投資の二つの取組を進めることが必要であると考えますが、それぞれについて導入に向けた決意を伺って、私の質問を終えたいと思います。
  24. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) パリ協定やSDGsをきっかけに、世界は脱炭素で持続可能な経済社会に向けて大きくかじを切っております。我が国でも、こうした経済社会に向けて、資金を始め、あらゆる資源の配分を行っていくことが重要でございます。  このためには、社会の隅々まで価格シグナルを送ることであらゆる主体の創意工夫を促すカーボンプライシングが有効と考えております。環境省といたしましては、本年三月に取りまとめていただきました有識者検討会の提言も踏まえながら、前向きに更に議論を深めてまいります。  また、ESG投資は、環境課題に戦略的に対応している企業を経済の血流である金融の側から後押しするものでございまして、現在、金融業界の主要なプレーヤーが一堂に会する環境省に設けたESG金融懇談会において、それぞれが今後期待される役割について意見交換を行っているところでございます。同懇談会での議論も踏まえ、環境省旗振り役となってESG投資の更なる促進を図ってまいる所存でございます。  脱炭素化に向けた民間の動きを加速化し、持続可能な経済社会が実現できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  25. 渡辺美知太郎

    渡辺美知太郎君 私の質問を終えます。ありがとうございました。
  26. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  今回の気候変動適応法案でございますけれども、気候変動対策というのは車の両輪と言われておりまして、一つが緩和策、これは言うまでもなく二酸化炭素の排出量をどう減らしていくかということでございまして、これまでも国際的な議論の中心を占めてまいりました。もう一つ適応策でございまして、今般新たに法制化をし、法律の位置付けを持った計画策定し、それを実行していくということでございます。  前者の緩和策については、これまで累次にわたって様々な議論がなされてきましたし、我が国も地球温暖化対策推進法に基づいて地球温暖化対策計画策定されておりまして、その下、計画推進されているわけでありますが、この適応策に関しては、従来、国際社会でも余り議論の中心ではありませんでしたけれども、二〇〇〇年代に入ってこの議論が高まりを見せ、次第として国際会議でも取り上げられるようになり、各国で適応計画策定されてきました。  我が国でも、法律上の位置付けは持たないものの、気候変動影響への適応計画というものが二〇一五年制定されまして、気候変動影響への防止、軽減のための備えというのが、取組進められております。一方で、やはり、法律的な位置付けを明確にした上でこれを進めていこう、各省連携で進めていこうという立場から、我が党公明党からも昨年七月、適応策の法制化を含む提言を申入れをさせていただきました。その過程を受けまして、今回法整備に至ったというふうに承知をしております。  内容に早速入らせていただきたいと思っておりますけれども、そこで、第十五条関連で伺います。  今般、法的な位置付けを明確にしまして、環境省がその旗振り役となり、各省を巻き込んで連携をし、また地方公共団体にもその計画策定努力義務として位置付けることによって日本全体として政策を進めようとしているわけでございます。  十五条には、国及び地方公共団体は、施策の推進に当たって防災関連施策、農林水産業振興関連施策、生物多様性保全関連施策と、こういった連携が図れるよう努めるというふうに記されておりますけれども、環境大臣として、各省連携のリーダーシップをどのように発揮していかれるおつもりでしょうか、御所見をお聞かせください。
  27. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 気候変動影響は、自然災害、農業、生物多様性など、様々な分野に及ぶものでございまして、適応策推進するに当たっては、関係省庁等との連携協力が不可欠でございます。  まず、環境省としては、国立環境研究所を中核とした適応情報基盤充実させ、将来の気候変動影響に関する、より精緻な情報を積極的に提供することで、関係省庁による科学的知見に基づく適応策推進後押ししてまいります。  また、適応計画の案を策定する際には、関係省庁の農業や防災等の幅広い施策に適応観点を適切に組み込み、具体的な適応策として明記していくよう、精力的に働きかけてまいります。  さらに、地域におきましても、広域協議会の場を活用し、地方環境事務所旗振り役となって、国の出先機関同士の情報共有連携強化促進してまいります。  本法案には、ただいま申し上げましたような、環境省中心となって広い関係者連携協力推進していくための根拠となる規定をしっかりと位置付けております。本法案の下で、環境大臣としてのリーダーシップを発揮し、政府一体となって実効性の高い適応策推進してまいりたいと考えております。
  28. 河野義博

    ○河野義博君 まさに政府一体となった取組が大変重要なんだろうというふうに思いますので、しっかりとよろしくお願いします。  環境省だけではなくて、各省庁との連携が肝要だというふうに思います。法案の中にもありますけれども、国土交通省は自然災害に、農林水産省は農業への影響、そして厚生労働省は感染症に対して、これ、どのように具体的に取り組んでいかれるおつもりか、方針を各省、確認しておきたいというふうに思っておりますが、また、この法案を受けまして、環境省とはどのように連携をして取組強化していくおつもりか、各省の方針を聞かせてください。
  29. 首藤祐司

    政府参考人首藤祐司君) 気候変動影響によりまして、自然災害の頻発化、激甚化や、気温上昇による国民生活への影響が懸念をされておりますので、適応策を進めることは極めて重要と認識をしております。  このため、国土交通省におきましては、平成二十七年十一月に国土交通省気候変動適応計画策定し、この計画に基づきまして、水害等の自然災害分野、渇水等の水資源・水環境分野や交通インフラ等の国民生活分野など、幅広い分野において適応策推進しているところでございます。  その実施に当たりましては、自然災害による頻発化、激甚化に対応するため、施設整備等のハード対策と住民への情報提供、情報伝達等の訓練といったソフト対策を適切に組み合わせまして総合的な対策推進するほか、環境省農林水産省連携しつつ、地域適応コンソーシアム事業に参画し、地域における適応支援しているところでございます。  今後につきましても、法に基づく適応計画策定気候変動影響評価実施の際の協議地域レベル適応策推進に当たっての国土交通省の知見の提供等を通じまして、環境省を始め関係省庁等としっかりと連携をしつつ、適応策を展開してまいりたいと考えております。
  30. 大角亨

    政府参考人大角亨君) 農林水産分野におきましては、気候変動影響を受けやすい分野でございまして、既に我が国でも、降雨による米や果実の品質低下豪雨による農業被害など、気候変動影響が顕在化しているところでございます。  このため、平成二十七年八月に策定いたしました農林水産省気候変動適応計画に基づきまして、まず米につきましては、高温でも白濁などの品質低下が起きにくい品種や技術の開発や普及、ミカンにつきましては、高温により皮が浮いて品質低下することを防止する技術の普及、ブドウにつきましては、高温下でも着色不良が起こらないシャインマスカット等の導入、また、温暖化がもたらす機会を利用したアボカド等の亜熱帯・熱帯果樹等の導入実証、さらには、農地の湛水被害等の防止のためのハザードマップの策定や排水機場、排水路等の整備等に取り組んでいるところでございます。  また、気候変動適応法の下、リンゴの栽培適地マップの作成など、農業分野における気候変動影響評価あるいは広域協議会への参画による情報交換など、環境省を始めといたしまして関係府省庁との連携を一層推進してまいりたいと考えております。
  31. 吉永和生

    政府参考人(吉永和生君) お答え申し上げます。  気温上昇などの気候変動と感染症の発生リスクの関係につきましては、研究事例が限られている状況にございます。現在、環境省におきまして気候変動に関連する影響に関する科学的知見の集積に取り組まれていただいているものと承知しておりますけれども、厚生労働省といたしましても、この知見の集積を踏まえまして、デング熱などの蚊を媒介とする感染症対策などにつきまして、気候変動に伴う影響につきまして検討していくこととしているところでございます。  厚生労働省といたしましては、平時より蚊を媒介とする感染症の対策として、蚊の発生動向の把握、幼虫の発生源を減らす対策や成虫の駆除、蚊に刺されないための対策に関する注意喚起などを地方公共団体連携して進めているところでございます。引き続き、蚊媒介感染症の予防、蔓延防止に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 河野義博

    ○河野義博君 各省とも、しっかり連携を深めながらやっていくという答弁をいただきました。あらゆるフェーズでこの省庁間の垣根をやっぱり下げて、なくして、政府一体となって取り組んでいただけるように改めてお願いをしておきたいというふうに思います。  続きまして、これ四条関連になりますけれども、地方自治体との連携に関して伺います。  第四条では、都道府県並びに市町村に対して、地域気候変動適応計画策定努力義務規定がなされております。これまで、各自治体、まあこれ濃淡はありますが、積極的に取り組んできたところ、そうでないところ、様々だと思いますけれども、これまで各自治体取組状況、これ、どういったように把握をしておられるか、環境省、お願いします。
  33. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 地方公共団体における適応に関する計画でございますけれども、現在、四十三都道府県、十八政令指定都市、さらにはそれ以外の一部の市町村や特別区においても策定をされているというふうに承知をしてございます。  これらの計画の内容は様々でございまして、適応策重要性ですとか方向性を中心に記載をしている計画や、高温耐性の農作物の導入、洪水ハザードマップの作成と活用、生態系モニタリング体制整備、熱中症の注意喚起の強化など、具体的な適応策の内容について記載をしている先進的な計画もあるという状況でございます。  環境省といたしましては、このような先進的な地方公共団体計画ですとか取組事例を広く共有をし、各地方公共団体の実効的な計画策定や具体的な適応策推進後押しをしていくことが必要だというふうに考えてございます。
  34. 河野義博

    ○河野義博君 地方自治体努力義務規定を設けるわけでございますが、じゃ、具体的にどういったものを作るのかということをしっかりとビジョンを示すことが大事なんじゃないかなと私は思います。それぞれ今まで作っているものも濃淡がある、先進的な事例もあるということでしたが、こういった、自治体の関心度合いに応じて今まで様々な対応がされてきたわけですが、一方で、計画策定に当たってはやっぱり国が関与していかないと、ただ作ってくれと言われても自治体は困るわけでありまして、どういったものをどういうふうに作ってどうしてほしいかということはやっぱりもう少し踏み込んで検討しておく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。  条文にも触れられておりまして、第三条においては、情報収集、整理、分析及び提供を行う体制の確保その他の措置を講じるというふうにしてはあるんですけれども、じゃ、具体的にはどういったふうに自治体をサポートして、どういった計画策定してほしいというふうに環境省は考えているんでしょうか。
  35. 笹川博義

    大臣政務官笹川博義君) ありがとうございます。  委員指摘のとおりでありまして、本法案では、地域気候変動適応計画策定に努めるという旨の規定をいたしております。同計画には、政府策定する気候変動適応計画を勘案し、地域における気候変動影響に関する科学的知見、さらには防災、農業振興、生物多様性の保全など様々な分野の具体的な適応策の内容、地方公共団体の関係部局との連携協力体制などを盛り込んでいただくことを想定をいたしております。  今まで環境省といたしましては、先ほど答弁もいたしておりますが、農水省さん、国交省さんとも連携をしながら、地域における気候変動の将来予測に関する調査科学的知見に基づく適応策検討を進めるなどの地域適応コンソーシアム事業を展開をしてまいりました。  引き続きこのような支援をしていくとともに、計画策定マニュアル作成、提供、国立環境研究所による気候変動に関する情報の提供そして技術的なサポート、広域協議会を通じた優良事例共有地域関係者による連携協力推進などが大事だというふうに思っております。さらには、研修会を通じながら地方自治体の職員の人材育成にも取り組んでいくことも課題の一つというふうに考えております。  いずれにいたしましても、それぞれの環境省の職員が積極的に今後地域に足を運んで、そして、本法案に対する説明会開催をするなどを通じながら、地域取組をなお一層力強く支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  36. 河野義博

    ○河野義博君 もちろん国の計画あってのものということでありましょうから、現時点で具体的にどのようなものと言うことはなかなか難しいんだろうとは思いますが、マニュアル策定説明会、非常に大事な点だと思っておりますので、より具体に自治体がスムーズに作業をできる、仕事をできるような環境を、これから施行前後を通じて忙しくなっていくと思いますけれども、お願いしておきたいというふうに思います。  続いて、五条関連であります。  今回、事業者に対しても、事業活動において気候変動適応に努めるということが求められております。事業者と幅広に言いましても様々あるわけでございますが、川上から川下まで、どういった事業者に対して、これはまた具体的に言いますと、どういう適応計画を作ってどう適応してほしいというふうに考えておられるのか、もう一歩踏み込んでより具体に教えていただけたらと思います。
  37. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 気候変動は、気温上昇災害リスクの増大、渇水の深刻化、熱中症搬送者の数の増加等によりまして、製造業、商業、建設業など様々な業種の事業活動に影響を及ぼすというふうに考えております。その結果、国民の生活や社会経済活動に悪影響を与えることが考えられるため、本法案では、事業者は事業活動の内容に即した適応策に努める旨規定をしておるところでございます。  幾つかの事業者は既に適応策に取り組んでおられます。例えば、製造事業者におきましては、工場での止水板の設置ですとかあるいは調整池の確保などの洪水対策強化、あるいは小売事業者においては、異常気象に備えた各店舗への自家発電設備の設置、建設事業者においては、作業場への熱環境センサーの配置や作業員への熱中症予防教育の強化など、様々な業種の事業者取組を進めているというふうに考えております。これに加えまして、農場の観測データに基づく営農支援技術ですとか、洪水のリアルタイムシミュレーションと警戒情報の提供サービスなど、いわゆる適応ビジネスに取り組む事業者も現れてきております。  一方、多くの事業者からは、気候変動影響や具体的な適応策取組に関する情報が不足しているという声も聞こえてまいります。今後は、本法案の下で多くの民間事業者が的確に適応策実施していけるよう、国立環境研究所を中核とする情報基盤を通じまして、将来の気候変動影響ですとか適応策優良事例についての分かりやすい情報の提供を行うほか、民間事業者向けの適応ガイドライン等の検討、さらには適応ビジネス促進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  38. 河野義博

    ○河野義博君 ガイドラインを作るなどしていただくということでありました。非常に大切な点だと思います。  やはり、しっかり法を立てても、やるのは行政だけではなくて民間も巻き込んでいく、国民運動を展開していくという趣旨でもこの法律を立てるという意味はあると思いますので、広く事業者を巻き込んでいけるように、なかなか新法を立てる中で事業者の具体例にまでは踏み込めなかったのかもしれませんが、事業者が関心を持つようにもう少し盛り上げていってほしいなというのが正直な感想であります。  最後に、政府は、気候変動適応の進展を把握し、評価する手法の開発に努めると。これは九条でございますけれども、その評価手法に関して現時点ではどういう開発がなされているのか。ちょっと簡単に、私自身もちょっとぱっとどういうふうな評価手法があるのかというのはイメージが湧かないものでありまして、どういう、手法にも選択肢があるのか、また海外事例があるのかないのかもちょっと分かりませんけれども、もし先駆的な事例があるとすれば諸外国ではどういった手法を取り入れて評価をしているのか、併せて教えていただけたらと思います。
  39. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 適応策の効果を把握、評価する手法でございますが、現在、適切な指標の設定が困難であること、適応策の効果を評価するには長い期間を要することなどの課題がございまして、我が国において現時点で開発された手法はございません。これは諸外国でも同様でございまして、試行錯誤をしながら評価手法の開発や適応計画の進捗管理を行っているところだというふうに承知をしております。  例えば、イギリスやドイツにおきましては、政府や有識者委員会が、透水性のあるコンクリート舗装の割合あるいは熱波による死者数など、脆弱性や影響に関する複数の指標を設定をいたしまして、経年的に指標の変化を把握することで適応策の進捗管理を試行、試しに行っておりますけれども、引き続き適切な指標の設定等の検討を行っていくということとしているということでございます。また、フランスや韓国におきましては、関係省庁が公表した報告書の数、洪水ハザードマップの策定率など、適応策のアウトプットに着目をした指標を設定をし、個々の適応策の進捗状況について毎年把握をしていますが、適応策のアウトカムの評価は課題とされているということでございます。  このように、諸外国においても適応策の効果を把握、評価するための手法は検討課題とされておりまして、本法案では、政府は、気候変動適応の進捗の状況を的確に把握し、及び評価する手法を開発する旨の規定を置いているというところでございます。  環境省といたしましては、引き続き、諸外国の検討状況情報も収集をするとともに、評価手法に関する調査研究推進するほか、地方公共団体等連携をしまして、具体的な適応策について可能な限り定量的な指標をもって評価をできるよう、しっかりと事例を集めながら、適応策の効果を把握、評価する手法の開発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  40. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。  世界でも定まった手法というのはないというようですので、やっぱり先んじて日本がつくって、その手法というのを広めていくということも非常に大切なのかなというふうに思いました。  ありがとうございました。
  41. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 立憲民主党・民友会の宮沢由佳です。  気候変動適応法案について質問させていただきます。  質問に入る前に、昨日の予算委員会で公文書についての質問がございましたが、環境省の公文書管理はどのように行われているでしょうか。環境省にはないと信じておりますが、国会で追及されて都合の悪い文書を隠したりはしていないですよね。失礼とは思いますが、確認させていただきます。
  42. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として主権者である国民主体的に利用し得るものでございまして、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要であると考えております。  最近の公文書管理や決裁文書の取扱いをめぐる諸問題に鑑み、環境省といたしましても、公文書管理の在り方について適正な取扱いを確保する観点から、修正履歴等が残る電子決裁のより一層の推進、行政文書の適切な所在管理の徹底につきまして、本年三月に総括文書管理者であります官房長より各職員に向けて指示を行ったところでございます。  今後とも、適正な公文書管理の確保について厳正な取組を進めてまいる考えでございます。
  43. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  加えて、確認ですが、環境省の公文書の内容は、全て事実であり、正しい内容でしょうか。これまでも、これからも国会で審議を行う大前提です。大臣から明確に御答弁をお願いします。
  44. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 環境省といたしましても、公文書管理の在り方について適正な取扱いを確保する観点から、様々な取組を行っております。  環境省の過去のものも含めて、膨大な全ての公文書について、細かい点まで含めて記載内容が全て正しいと現時点で検証することは難しいと考えますが、環境省の職員が今まで誠実に作成してきた公文書につきましては正しいものと信頼して、今までも職務に当たってきたところでございます。  今後とも、適切な公文書管理の確保について厳正な取組を進めてまいります。
  45. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 安心いたしました。失礼とは思いましたが、確認させていただきました。  それでは、法案質問に入ります。  未来を担う子供たちへ安心して暮らすことのできる日本を引き継ぎたいとの思いは、環境大臣、ここにおられる全ての先生方も同じだと存じます。また、それは私たち大人の責任であり、子供たちへの約束です。子供たちが安心して暮らすためには、子供たちにツケを回してはいけません。豊かな地球環境を享受する権利は、今を生きる私たち大人だけのものではありません。子供や孫たち、これから生まれてくる世代のものでもあります。法案第一条にも、「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保」と記しています。  ツケを回さないためにどうすべきか、まず政府の立場を伺います。
  46. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 気候変動の科学に関する国際的な組織でございますIPCCによれば、地球温暖化の進行はもはや疑う余地はなく、人為活動が支配的な原因であるということは明らかでございます。  産業革命以降、既に〇・八五度平均気温上昇し、雪氷の融解、海面水位の上昇などが観測されております。また、現状を上回る温暖化対策を取らなかった場合、二十一世紀末までに最大で四・八度平均気温上昇し、多くの生物種の絶滅、世界の食料安全保障に大きなリスクをもたらすなどの不可逆な影響が起こると指摘されております。  このように、気候変動問題は、その予測される影響の大きさや深刻さから見て、人類の生存基盤に関わる最も重要な問題の一つ認識しております。こうした気候変動の脅威に対応するため、温室効果ガスの排出削減対策である緩和策と、気候変動影響による被害の回避、軽減のための適応策の二つを車の両輪としてしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  47. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  五十年後、百年後の未来を視野に入れたときの今の地球環境、特に地球温暖化に対する日本政府認識を伺わせていただきます。  地球温暖化対策と経済活動の活性化は両立しない場合もあると考えます。もちろん、民間企業も地球温暖化対策のために様々な対策を講じていることは承知しています。地球温暖化対策と経済活動の活性化対策の優先順位はどうなるのでしょうか。
  48. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 地球温暖化問題は、先ほどもございましたように、人類の生存基盤であります環境に対して地球全体に深刻な影響を及ぼすものでございます。パリ協定の目標とする世界全体での脱炭素社会の構築に向けて取り組むべき最重要課題の一つというふうに認識をしてございます。  パリ協定の目標達成に向けまして、我が国は、二〇三〇年度に二〇一三年度比二六%の排出削減を達成するとともに、二〇五〇年までに八〇%の排出削減を目指すということとしているところでございます。  こうした削減目標の達成に向けて、地球温暖化対策への投資を促進し需要を喚起することによりイノベーションの創出をしていくことが経済、地域などにおける諸課題の同時解決につながるものというふうに認識をしてございます。  環境省としては、地球温暖化対策が競争力の源泉ともなり経済成長につながるよう、同時解決の考え方をもって施策を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  49. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 資料を御覧ください。ドイツと日本のデカップリング比較です。デカップリングとは、一定の経済成長や便利さを維持しつつもエネルギー消費を減らしていく、すなわち両者を切り離すという考え方です。  ドイツでは、過去二十年の間、日本以上に高い経済成長を続けつつ、一次エネルギー消費や温室効果ガスを減らしています。再生可能エネルギーの導入やコジェネによる地域熱供給体制構築、住宅の断熱化などにより、関連雇用を大幅に増やしつつ、エネルギー効率を高めてきました。デカップリングの実現に向けた政府の見解を伺います。
  50. 森下哲

    政府参考人森下哲君) デカップリングでございますが、御指摘のとおり、例えば欧州の先進国におきましては、ここ十年余りの間にGDPの成長と温室効果ガスの削減を共に二桁の割合で達成するなど、デカップリングを実現をしてきているというふうに承知をしております。  パリ協定の二度目標の達成のためには、今後温室効果ガスの排出を大幅に低減をさせていく必要がございますけれども、その状況下で経済成長を実現させていくためには、より少ない排出量でより高い付加価値を生み出してデカップリングの傾向を拡大させていく必要があるというふうに考えております。  我が国におきましても、二〇一三年度から二〇一六年度にかけまして、エネルギー起源CO2は八・七%削減された一方で、GDPは二・三%増加しております。これは、デカップリングの傾向が見られているというふうに考えてございます。  引き続き、こうした傾向を拡大させていくため、再エネ、省エネといった優れた環境技術などを生かした取組を進めまして排出削減を図りつつ、経済成長を実現する必要があるというふうに認識をしてございます。
  51. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  気候変動対策においては、緩和と適応が車の両輪と先ほどから河野委員質問にもありましたが、大臣は、先日の参議院本会議においても、本法案の下、適応策充実強化させていくと同時に、地球温暖化対策推進法の下で地球温暖化を防止する緩和策に全力で取り組んでまいりますとおっしゃいました。しかし、車の両輪を地球温暖化対策推進法と今回の法案のように別々の法律に分けると、両輪を連結する軸の部分が抜け落ちてしまう可能性があります。  どうやって両輪の施策を連携するのか、両輪をつなげる軸の部分説明をお願いいたします。
  52. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 気候変動の脅威に対応するには、緩和策と適応策の二つを車の両輪として進める必要がございます。本法案の下で適応策充実強化させていくと同時に、地球温暖化対策推進法の下で地球温暖化を防止する緩和策に全力で取り組んでまいります。  地球環境の保全を任務とする環境省が車の両輪の軸となって、地球温暖化対策推進法と今回御審議いただく本法案の二つを礎に、緩和策と適応策を共にしっかりと推進してまいります。環境省がしっかりと軸になりたいというふうに考えております。
  53. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。心強い御答弁をいただきました。  気候変動に対する適応策ももちろん大事ですが、何より温暖化を緩和すること、地球の平均気温を上げないことが一番です。  では、緩和策について伺います。  適応策推進を緩和策の深掘りをしない理由としてはならないと思います。緩和策、温室効果ガスの排出削減が進まないと適応策に必要な費用は青天井になってしまいます。むしろ、一番の適応策は実効性のある緩和策を一層進めていくことです。日本が提出しているNDCは不十分であると考えますが、いかがでしょうか。
  54. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 我が国は、NDCに基づき、二〇三〇年度に二〇一三年度比二六%減の水準にするとの中期目標を掲げているところでございます。これは、国際的に遜色のない、野心的な目標と考えてございます。  我が国においては、平成二十八年五月に閣議決定をした地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施をし、まずはNDCで掲げた二〇三〇年度二六%の削減目標を達成するということが非常に重要だというふうに考えております。また、この計画では、対策、施策の進捗状況を毎年厳格に点検をするとともに、少なくとも三年ごとに目標及び施策について検討を行い、必要に応じて計画を見直すこととしております。  パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に向けまして、温室効果ガス国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減に最大限貢献してまいりたいというふうに考えてございます。
  55. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 その達成ができるかどうかということが大変不安なんですけれども、確かに、NDCに関して、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を一三年度比で二六%削減する計画を国連気候変動枠組条約事務局に提出しています。その一方で、事業者は、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電所約四十基の建設を予定しています。  約束した二六%は本当に達成できるのでしょうか。どのように目標達成を行うのか、具体的に教えてください。また、石炭火力の比率を低減させることについての環境大臣認識を教えてください。さらに、目標達成のための経済産業省を始めとする他省庁との連携についてもお答えください。
  56. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 石炭火力発電は、最新鋭技術でもCO2排出係数が天然ガス火力の約二倍でございますが、我が国においては、御指摘のとおり、多数の新増設計画がございます。仮にこれらの計画が予定どおり全て実行、運用されますと、既存の老朽設備が順次廃止されたとしても、我が国の二〇三〇年の削減目標の達成は困難となります。  このため、一昨年二月の環境、経産両大臣の合意に基づき、省エネ法等の基準の設定、運用の強化を行うとともに、毎年度、対策の進捗状況をレビューし、目標達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討することといたしております。  また、石炭火力発電所計画環境アセスメントにおいて、削減の具体的な道筋が示されないままの石炭火力の新増設は容認されるべきでないとの考え方に立ちまして、事業者に石炭火力のリスクに対する自覚を促しておりまして、また、老朽火力の休廃止や稼働抑制等による排出削減の実施を求めております。  こうした対応を通じまして、二〇三〇年度の削減目標の確実な達成に向けて、石炭火力発電に対しては引き続き厳しい姿勢で臨んでまいります。加えて、徹底した省エネと再エネの最大限の導入も進め、石炭火力発電比率の低減と電力の低炭素化を図ってまいります。  こうした点につきましては、経済産業省としっかり連携して対応してまいりたいと考えております。
  57. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 どうぞよろしくお願いいたします。  新たなエネルギー基本計画検討が進められていますが、主力電源にするという再生可能エネルギー目標について、現在の目標と同じ水準で据え置く素案が示されております。前回の計画策定から四年間のエネルギーをめぐる状況を全く反映しておらず、主力とするなら上方修正する必要があるのではないでしょうか。
  58. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 現在、エネルギー基本計画についてはパブリックコメントが実施をされている状況というふうに承知をしております。  現在国連に提出をしております日本の約束草案、NDCにつきましては二六%削減目標というのを掲げておりますけれども、これは、地球温暖化対策推進法に基づいて、三年ごとに少なくとも見直すという形になってございます。この地球温暖化対策計画ができまして、これ、三年ごとの見直しのプロセスの中でこの数値の件についてはしっかりと検討を行っていくということを考えたいと思っております。
  59. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  パリ協定、COP21決定で提出が求められている長期戦略について、日本はまだ提出していません。環境省と経済産業省がそれぞれの検討で進めていますが、世界の一・五度目標、脱炭素化を先導するものとなるよう、再生可能エネルギー拡大の明確な道筋を示すとともに、カーボンプライシングの導入を図るべきだと考えますが、先ほど渡辺委員からの質問にございましたのでこの質問は結構でございます。  次に、COP21において、安倍政権は途上国への支援策として、二〇二〇年に官民合わせて年間約一・三兆円の気候変動対策実施すると表明しました。また、法的拘束力を伴わない協定外の合意という形で、二〇二五年までに一千億ドルを下限とする新たな先進国による支援目標が設定されています。  現時点で一・三兆円の裏付けはあるのでしょうか。民間資金をいかに流入させるかが大きな課題ですが、具体的な取組は行われているのでしょうか。お答えください。
  60. 牛尾滋

    政府参考人牛尾滋君) お答え申し上げます。  我が国は、温室効果ガス国内での大幅な排出削減を目指すのみならず、世界全体の排出削減に最大限貢献し、世界経済の成長と気候変動対策の両立をリードしていくという考え方を持っております。  その一環として、COP21首脳会合において安倍総理より、二〇二〇年に官民合わせて年間約一兆三千億円の気候変動分野における途上国支援実施することを表明いたしました。本コミットメントは、二〇一五年時点の直近の実績を踏まえ、達成可能なものとして表明したものでございます。  一兆三千億円の途上国支援の具体的内容については、これまでの支援の実績を踏まえて、地熱発電、都市鉄道、気候変動期の要するに防災に対する早期警戒システムの設置等防災インフラ、あるいは水確保など、日本の得意分野での支援等が考えられるところでございます。  途上国のニーズ等、パリ協定に掲げられた二度目標達成のためにも、二〇二〇年における着実な実施に取り組んでまいりたいと思います。
  61. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 次に、適応策について環境大臣に伺います。  気候変動に関しては、緩和策だけでなく、適応策の必要性は以前から指摘されていました。政府も二年半前に計画策定していますが、その後、今日まで法整備がなされていません。なぜこんなに対応が遅れたのでしょうか。  別の角度から申し上げますと、民主党政権時の地球温暖化対策基本法案、二〇一〇年十月八日提出において、既に適応計画的な推進を法制化しようとしていました。適応計画の法制化を含む適応策の法整備を今のタイミングで行うとした理由は何でしょうか。
  62. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 環境省におきましては、平成二十五年から中央環境審議会での気候変動影響評価を開始いたしました。その当時においては、知見の蓄積が不十分であり、また推進すべき適応策の具体的内容が不明確でございました。このため、法制化の前にまずは気候変動影響評価を行った上で政府計画策定することとしたものでございます。  具体的には、平成二十七年に気候変動影響評価の報告書を取りまとめた上で政府適応計画を閣議決定いたしまして、適応計画の下で各省庁適応策実施してまいりました。平成二十八年には、適応情報基盤である気候変動適応情報プラットフォーム構築いたしまして、平成二十九年には、関係省庁連携による地域協議会の立ち上げや適応計画のフォローアップを行ってまいりました。こうした中で、適応策の一層の充実強化を図るための法制度の必要性について関係者の間で認識が広がり、さらに地方公共団体からも法制化を求める要望が提出されるなど、法制化の機運が高まりました。  このように、平成二十七年の適応計画策定から本法案の提出に至るまで、同計画に基づく取組を着実に進めるとともに、その実施状況を踏まえながら法制化に向けて段階を踏んで検討を進めてきた結果、今般、法案の国会提出に至ったものでございます。
  63. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 地方自治体による計画策定努力義務にとどめている理由については渡辺委員質問で御答弁されましたので、では、地方自治体計画策定し、実際の施策、取組を進めていくに当たっては国としての支援が必要であると考えますが、本法案成立後にどのような取組を行うつもりか、予算、人材について伺います。
  64. 笹川博義

    大臣政務官笹川博義君) 御質問ありがとうございます。  先ほど来の御指摘もございました。大事なことは、やはり先進的に取り組んでいる地域もございますが、基本的には、まだ科学的知見また情報等々で共有をなされていない部分もありますので、大事なことは、やはりそれぞれの自治体が、優良事例も含めて、科学的知見も含めて情報共有化をしていくことが大事だと思っておりますので、国としてはこの法案の下で、計画策定マニュアル作成や提供について、国立環境研究所による技術的サポート、それから広域協議会を通じた地域関係者取組共有推進をしてまいりたいと思っております。  同時にまた、この計画策定するに当たっては、やはり環境省として積極的に地域に足を運んで、そして情報等々をきっちりと届けていく、そして共に寄り添いながらやっていくということでありますので、説明会も積極的に開催をしてまいりたいというふうに思いますし、同時にまた、地方自治体においてもやはり人材の育成ということが大事でありますので、その取組についても今後の大きな検討課題というふうに考えております。  いずれにいたしましても、地方公共団体地域実情に応じた適応策推進できるように、これからも支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  65. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 度々質問に出てきますが、適応という名目で施策が公共工事偏重になる懸念があります。不要な公共工事が増えないための仕組みは考えていますでしょうか。
  66. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 本法案では、科学的な情報基盤構築をいたしまして、将来の気候変動影響に関する精度の高い情報を提供していくこととしております。  具体的には、法案におきまして適応情報基盤として位置付けられます国立環境研究所が、国、地方公共団体事業者等が気候変動影響情報に基づいて効果的に適応策実施できるよう、科学的な情報の収集、分析、提供等を行ってまいります。これによりまして、適応策観点から効果的かつ効率的な事業の推進を図ってまいりたいということでございます。  また、本法案では、気候変動適応計画に基づく施策の進展の状況を的確に把握をいたしまして評価する手法の開発に努める旨規定をするとともに、気候変動適応計画を必要に応じて見直すこととしております。これらの仕組みによりまして、適応策を具体的に実施をするそれぞれの府省庁におきまして、必要性や緊急性を踏まえまして適応策の効果的かつ効率的な実施が図られるものと考えております。  以上によりまして、必要のない事業による予算の無駄遣いを防止する仕組みになるというふうに考えてございます。  環境省といたしましては、関係府省庁連携をし、適応策実施、進捗状況の定期的な把握ですとか気候変動適応計画の見直し、これを行うことによりまして適応策の実効性が担保されるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  67. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 そもそも、本法案検討する適応策はどの気温のレベルで適応を目指すのでしょうか。目標となる気温上昇のレベルによって対応すべき状況が大きく異なります。パリ協定が要請している二度目標なのか、それともBAUベースで四度と考えているのでしょうか。
  68. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 適応策でございますが、気候変動影響の観測、監視、予測等に関する最新の科学的知見に基づきまして、既に生じている、また今後予測される気候変動影響に対応できるように推進をしていく必要がございます。このため、本法案では、最新の科学的知見を踏まえて、おおむね五年ごとに気候変動影響評価を行いまして、その結果を勘案して気候変動適応計画を改善をしていくことを規定してございます。  我が国におきましては、今後予測される気候変動影響につきましては、パリ協定における二度目標も考慮しつつ、最新の国際的知見をベースにIPCCが行う将来予測におきましても幅があることなども踏まえながら、中央環境審議会の専門家とともにしっかりと評価をしていくということだというふうに考えてございます。また、我が国におきます適応策は、その評価結果を踏まえて策定をする気候変動適応計画に基づいて実施をしてまいります。
  69. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  評価というお話が出ましたので、最後に評価について伺います。  評価の際には第三者の評価が入ることが国際的には標準です。本法案では、第三者の評価については明記されておりません。計画の実効性の確保のためにも、外部の視点が必要ではないでしょうか。
  70. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 本法案に基づく気候変動適応計画につきましては、関係省庁連携の下、定期的に実施状況の把握、評価を行っていくこととしておりまして、その結果や最新の科学的知見に基づく気候変動影響予測結果を踏まえながら気候変動適応計画を見直していきたいと考えております。  このような気候変動適応計画のPDCAサイクルを進めるに当たっては、本法案に基づく広域協議会の場を活用いたしまして、地方公共団体を含む地域関係者の御意見を伺います。また、関係審議会等を通じた様々な専門家や有識者からの意見聴取や国民の皆様からいただいたパブリックコメント等を通じて、多様な関係者の御意見を聞きながら進めていきたいと考えております。  こうした仕組みを活用し、外部の視点を取り入れた上で、気候変動適応計画の妥当性を確保し、的確にPDCAサイクルを回していきたいと考えております。
  71. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございました。  気候変動に関する緩和、適応は待ったなしです。スピード感を持って対応していただけますようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  72. 武田良介

    ○武田良介君 日本共産党の武田良介です。  適応法案について質問いたします。  適応策は緩和策との一体的推進が重要であると、緩和策が最大の適応策であるという立場で、今日は緩和策の重要性観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず、パリ協定について確認をさせていただきたいと思いますけれども、パリ協定の全世界共通の目標とは一体どういうものでしょうか。
  73. 森下哲

    政府参考人森下哲君) パリ協定の目標でございますが、世界共通の長期目標といたしまして、世界の平均気温上昇産業革命以前に比べて二度より十分低く抑えるとの目標を掲げているところでございます。さらに、それに加えまして、一・五度に抑える努力を追求することという規定も置かれてございます。そして、この達成のために、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と、それから吸収のバランスを実現することを目指すことといった規定が置かれているというところでございます。
  74. 武田良介

    ○武田良介君 日本政府の提出したこの削減目標はどのようになっていますでしょうか。
  75. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 我が国の削減目標についての御質問でございます。  パリ協定の下、我が国温室効果ガス削減に関する中期目標は、二〇三〇年度に二〇一三年度比二六%減の水準にするというふうにしてございます。
  76. 武田良介

    ○武田良介君 このパリ協定の目標というのは、日本が国際社会に対して行った約束でありますし、絶対にこれは達成しなければいけない大事な目標だというふうに思いますが、その目標達成のために、今国内での石炭火力発電所の新増設計画が多数あるということは大きな焦点になっていると。  私が先日の本会議質問をさせていただいて、大臣は、CO2排出係数は天然ガス火力の二倍、我が国においては多数の新増設計画があり、仮にこれらの計画が全て実行されると我が国の二〇三〇年度の削減目標の達成は困難となります、引き続き厳しい姿勢で臨んでいくということを述べられました。今日の資料にも付けましたけれども、これらの計画が全て実行されれば、老朽石炭火力発電が廃止されるとしても、二〇三〇年度の削減目標を約六千八百万トン超過するというふうに言われている、このことだというふうに思います。  厳しい姿勢で臨むというふうに御答弁いただいていたわけですが、結果として建設もされているわけですね。二〇一二年以降、アセスを必要としない小規模を中心に七基が稼働をし、十一基は建設工事が開始されていると。どうしてこういうことになっていくのかということをお伺いしていきたいと思うんです。  少し経過を振り返りたいと思いますが、資料は二枚目であります。石炭火力発電をめぐる経緯ですが、この資料、一つ目の黒ポツのところですけれども、東日本大震災の後、CO2排出の多い石炭火力発電のニーズが高まるというふうにありますが、東京電力が火力発電入札による建設に関わって、国の削減目標と整合性の取れた枠組み、これを電力業界に求めたというふうになっています。  二つ目の黒ポツのところ見ると、しかし、なかなか対策が進んでいかないという中で、石炭火力発電の環境アセスの意見で、環境大臣が是認し難いという意見を述べていくようになると。二〇一五年の六月十二日、西沖の山発電所でよろしいでしょうか、新設計画、その後、愛知県の武豊火力、千葉の袖ケ浦、市原、それから秋田港の各アセスでも是認し難い、つまり容認できないという厳しい意見を述べていく。しかし、それ以降は是認し難いという表現がなくなるんだと。  この変化のきっかけは、三つ目の黒ポツにあります環境大臣と経産大臣の合意だと思うんです。これ、いわゆる二月合意というふうに私この後は呼ばせていただきたいと思いますが、この二月合意の中身を簡潔に御説明いただきたいということと、排出係数〇・三七というのがずっと出てきますけれども、これはどういう目標なのかということと併せて、大臣、御説明いただけますでしょうか。
  77. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 電力業界の削減目標として二〇三〇年度二六%削減という国の削減目標や二〇三〇年度のエネルギーミックスとも整合する形で算出したものが、この排出係数〇・三七キログラムCO2パー・キロワット・アワーでございます。一昨年二月の環境、経産大臣の合意は、この目標達成に向けて、電気事業分野における地球温暖化対策取組の実効性を担保する枠組みでございます。  この二月合意の具体的なポイントは三つございます。まず、電力業界の自主的な枠組みにより、目標達成に向けた取組の実効性の向上を促すことであります。また、政策的な対応として、一つは、省エネ法に基づき、全ての発電事業者に対して、石炭火力発電所等の新設基準や火力発電の運転時の発電効率のベンチマーク指標を設定するとともに、次に、このエネルギー供給構造高度化法に基づき、非化石電源についてエネルギーミックスと整合的な数値を設定することとしております。さらに、毎年度、それらの取組の進捗状況をレビューし、目標の達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討することとしております。
  78. 武田良介

    ○武田良介君 排出係数〇・三七、これを業界全体で達成するために業界が自主的な取組をすると。この自主的な取組、何かというと、この二月合意の枠組みで頑張りますと、一言で言えばそういうことですね。そして、省エネ法、高度化法で、これ政策的に発電効率を上げなさいと、で、全体のキャップを掛けるということをやっているんだと、こういう御説明だったというふうに思いますが、この政策的対応、今おっしゃられた省エネ法と高度化法、省エネ法の告示を改めて、発電事業者に、石炭火力発電の高効率化ということで、これから造る石炭火力は超超臨界、つまり最高の効率を持つ石炭火力発電の水準を求めるというふうにしているというふうに思いますが、経産省、これは御確認だけさせていただきたいと思います。
  79. 高科淳

    政府参考人(高科淳君) 御指摘のとおりでございます。
  80. 武田良介

    ○武田良介君 つまり、この経産大臣環境大臣の二月合意では、石炭火力を容認できないというふうに言っているわけではないわけですね。電力業界が、石炭はもちろんですけれども、原発だとか太陽光だとかいろんなエネルギー源ありますけれども、いろんなものに取り組んで、全体として排出係数〇・三七、これを実現するということができれば石炭火力も認めるということに実際上なっているということです。  実際のところどうかということで聞いていきたいと思います。この排出係数〇・三七達成を危うくするような計画もあるのではないかと。  愛知県にあります中部電力の武豊火力のリプレース計画、これまで石油なんかを燃料に火力発電をしていたものを、今度は石炭と木質バイオマスを混ぜて、混ぜて燃やすので混焼と言うそうですが、これにリプレースするという計画になっています。この計画は、先ほども少し言いましたように、一度は大臣意見でも是認し難いというふうに言ったものでありますが、現在は環境アセスの審査をパスして、確定通知も経産省から出されている、建設工事が先月十八日から始まっているという状況です。  これ、石炭と木質バイオマスの混焼によって、ではどれだけCO2排出量が減るのかと。もう私の方で言ってしまいますが、これは、混焼率を一七%にする、年間の設備利用率を八〇%で試算すると、大体九十万トン年間で減るだろうということを環境省からもお伺いをいたしました。そうやって混焼することで、先ほどの省エネ法の発電効率、新設に関わっては四二%、これクリアしようということだというふうに思うんですね。  アセスの準備書に対するこの大臣意見では、二〇三〇年及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討するというふうに述べていました。今、実際は確定通知が出ている、工事が始まっている。  これ大臣にお伺いしたいと思いますが、どのように道筋が描けたんでしょうか。
  81. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 武豊火力につきましては、環境省として、本年四月の本格工事着手前に事業者である中部電力から書面やヒアリングによる情報収集を行いまして、二〇三〇年度のベンチマーク指標の目標達成の道筋を中心に確認したところでございます。  中部電力は、現時点においては、最新鋭のLNG火力である西名古屋発電所の最大限の稼働や知多火力発電所及び四日市火力発電所等の古い低効率の発電設備の休廃止等によりベンチマーク指標の目標達成が可能であり、その道筋が描けていることを確認いたしました。  環境省としては、今後も引き続き、事業者計画的な取組等についてフォローしてまいります。
  82. 武田良介

    ○武田良介君 資料の三番目にも付けましたけれども、今大臣もありました知多だとか四日市の休廃止もここにも出ておりますけれども、しかし、碧南だとか、この石炭火力で非常にたくさん持っているわけですね。二月合意で、この自主的枠組みを基本に先ほどの政策的な対応で支えるということなんですけれども、これで本当に大丈夫なのかということを考えざるを得ないと思っております。  木質バイオマスの安定供給はできるのかという角度からもちょっとお聞きしたいと思いますけれども、この木質バイオマス、チップなどの調達の困難さは指摘がたくさんされております。  例えば、日経新聞ですけれども、今年の四月十七日付けにありましたけれども、政府が掲げている二〇三〇年に国内電力消費の約四%という目標を達成しようとすれば、年間三千万トンの輸入が必要になる、しかし、二〇一六年、世界中で流通した発電用のペレットは一千四百万トンだと。全然足りないということですね。原料となるアブラヤシなどを取るために森林の乱開発にならないかと、こういう懸念もあるわけですね。  世界が全体こういう状況になっている、こういうときにもし供給が途絶えた場合に、省エネ法の発電効率四二%ということを達成できないということもあり得るんじゃないかと思いますが、経産省、いかがですか。
  83. 高科淳

    政府参考人(高科淳君) お答え申し上げます。  委員指摘ありましたとおり、バイオマス燃料の安定調達ができずにバイオマスの混焼比率が当初の計画を下回る場合、発電効率が新設基準に達しない可能性がございます。したがいまして、当初計画している混焼量を安定的に維持し、混焼比率を下がらないようにすることが重要であります。そのため、バイオマス混焼によります発電設備については、新設時の発電効率を継続的に担保するため、毎年度の定期報告におきましてバイオマス混焼比率などの報告を求めることとしてございます。  また、そのバイオマス混焼比率が当初の計画を下回る場合には、その状況を踏まえまして、省エネ法に基づいて事業者に対して指導、助言などの適切な措置を講じることとしてございます。
  84. 武田良介

    ○武田良介君 このバイオマスの混焼ということが、この武豊火力の計画の前提に実際なっているわけですね。この混焼率の維持ということは、環境アセスの愛知県知事の意見の中にも混焼率の維持ということで求めているわけです。非常にこれ大事な問題だと思うんですね。  このバイオマスの混焼に関わって、FIT制度の面からもお聞きしたいと思うんですが、これ、武豊火力発電はバイオマスの混焼ということでFIT認定を受けております。キロワットアワー当たり二十四円、今後二十年間の固定価格で、混焼率一七%、年間五十万トンという計画を考えると、大体二百億円ぐらいという規模で毎年中部電力に入ることになるんじゃないかというふうに思われます。  もし、これ供給が途絶えた場合、一七%が維持できないというふうになったら、FITの申請はその計画で、その前提で認められているわけだと思いますけれども、これ維持できないとなれば、FIT法上だとか、先ほどの省エネ法の関係、また条例の関係、遵守していないということになればどんな対応がされるのか、お願いします。
  85. 高科淳

    政府参考人(高科淳君) お答え申し上げます。  石炭混焼を実施しておりますバイオマス発電事業も含めて、再エネ発電事業におきましては、円滑かつ確実、長期安定的に事業を進めていくことが重要であります。  このため、FIT制度におきましては、関係法令を遵守しない場合には必要に応じて認定を取り消すこととなっております。省エネ法におきましては、新設基準を含む省エネ法第五条第一項の判断の基準となるべき事項を勘案して、事業者取組が著しく不十分であるときは改善に向けた計画、これ合理化計画と呼んでいますけれども、これを作成させた上で、事業者が当該計画を適切に実施せず、実施すべき旨の指示にも従わないときなどにつきましては公表あるいは命令の措置を講じることとしてございます。  他の法令の場合と同様に、省エネ法におきましても、公表、命令の措置を講じる場合など、法律の規定を遵守していないと認められる場合につきましては、FIT制度上の関係法令遵守違反としてFIT認定を取り消す可能性がございます。
  86. 武田良介

    ○武田良介君 これは本当に大問題ということを指摘しておきたいと思うんですね。当面の間は確保できるといっても、これから先、十年先、二十年先、パリ協定の大きな目標に向かって本当に大丈夫なのかどうなのか、非常に重大な問題だということを指摘しておきたいと思うんです。  そもそも、これ、電力大手である中部電力にこれだけのお金を入れて、しかも、混焼とはいえ石炭火力発電所を造るということになっていくということに私は疑問を感じざるを得ません。やっぱり、FITの制度にしても、原資は電気料金から払う、国民の負担というふうになっているわけですから、FITの趣旨が小規模事業者地域の活性化に力になるような、そういう再生可能エネルギーの普及を進めていくという、こういう趣旨からしても反するのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。  それから、中国電力のお話です。島根県の三隅火力発電所です。  この三隅火力の環境アセスの大臣意見には、二〇三〇年度の目標との関係で、具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではないと、先ほど来の話でありますが、とした上で、本事業は単独では当該目標達成の蓋然性が低い中で本計画の石炭火力発電所を新設しようとしているんだということが指摘をされております。  これ大臣にお伺いしたいと思いますが、蓋然性が低いと、これはどういう根拠といいますか、御説明いただけますか。
  87. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 中国電力につきましては、低効率の老朽化した石炭火力発電所を数多く所有しておりまして、現時点でも省エネ法のベンチマーク指標の目標から相当乖離がある状況でございます。  こうした中で、三隅火力発電所の計画は、最新のLNG等の発電所と比べまして相対的に発電効率の低い石炭火力発電設備を建設する計画となっていることから、環境大臣意見の中で、中国電力単独ではベンチマーク指標目標の達成の蓋然性が低い旨述べたところでございます。
  88. 武田良介

    ○武田良介君 資料の四番にも付けましたけれども、確かに多いわけですね。  それで、先ほどの武豊火力同様ですけれども、大臣意見では、道筋が描けない場合は事業実施を再検討するという言葉もありますけれども、この再検討というのは撤回も含んでいるんでしょうか。
  89. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 再検討というのはもう一度一から考え直すということでございまして、あらゆる選択肢の中には事業計画の中止や撤回も含まれると考えております。
  90. 武田良介

    ○武田良介君 事業計画の中止、撤回も含まれるということでありました。  蓋然性が低いという先ほどの話、撤回を含む再検討という環境省の立場ということだと思いますので、そうであれば、ずばり、もう三隅火力発電所は認められないというふうに言ったらどうかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  91. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) この二月合意がございまして、それに照らして、環境省として大臣意見を申し上げるときにぎりぎりの調整をして、このような表現にしたということでございます。
  92. 武田良介

    ○武田良介君 ぎりぎりの表現ということでありましたけれども、中国電力は本当に古い石炭火力を多く抱えているということでありますので、事業者単独では目標達成の蓋然性は低いと。  この点ですけれども、単独では低いけれども複数の事業者が協力をしたら達成できますと、排出係数もっと低い事業者技術だとか、いろいろ共同の取組ができれば達成できるんです、私たちはそういうふうにしますと、中国電力の方がそういうふうに言っていけば達成できることになるのかと。  経産省に確認ですけれども、省エネ法にそうした枠組みがあるわけですね。
  93. 高科淳

    政府参考人(高科淳君) お答え申し上げます。  省エネ法ですが、ベンチマーク指標の評価につきましては事業者単位で行うことを原則としておりますけれども、そのベンチマーク制度の対象事業者同士でベンチマーク指標の向上に向けて共同で取り組む場合には、その共同取組を勘案した評価も認めることとしております。  共同取組の仕組みにつきましては、事業者取組状況を踏まえて今後具体化することとしておりますけれども、平成二十九年度の火力発電に係る判断基準ワーキンググループにおきましては、例えば発電量とエネルギー投入量を複数事業者間でやり取りしてそれぞれの発電効率の算定に反映させる取組を含め、制度設計について議論されたところでございます。
  94. 武田良介

    ○武田良介君 制度の枠そのものがあって具体化しているということですよね、具体化、検討しているということでありました。  やっぱりここが二月合意の限界かなというふうに、私、率直に言って思います。石炭火力を認めていくという枠組みがちゃんとつくられてしまっているということだと思います。そんなことで石炭火力を今許してどうなるのかと。先ほどのパリ協定の目標に照らしてどうなるのかと。大臣もおっしゃられたように、LNGの約二倍のCO2の排出ということになりますし、二〇五〇年を越えてそれを出し続けることになる。パリ協定が既に発効している下で、それでいいのかということが国際社会から今問われているというふうに思います。  今進められている新設計画であっても、これにストップを掛けていくような厳格な規制といいますか政治的な判断もこれ必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  95. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 世界の流れを見てみますと、パリ協定が発効し、諸外国で石炭火力発電に対する抑制の動きがある中で、ビジネスも投資家も脱石炭に向けてかじを切っております。  こうした中で、二〇五〇年八〇%削減、そしてその先の世界全体での脱炭素社会の構築に向けて、石炭火力発電は抑制し、さらにはCCS付き石炭火力発電以外は卒業していく必要があるというふうに考えております。  こうした認識の下で、環境省といたしましては、今後も石炭火力発電の新増設につきましては引き続き厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。
  96. 武田良介

    ○武田良介君 やっぱり、ずっと今日見てきたように、この二月合意で電力事業者の自主的な枠組みに、基本的にそこをして、政策的な下支えということはあったにしても、そういうふうにやってきた。これはやっぱり、この二月合意そのものが石炭火力の新増設を認めるというふうになってきますから、これ、二月合意見直していくということも必要ではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  97. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) もちろん、この二月合意につきましても、それぞれ毎年度の対策の進捗状況をレビューするということで、その二〇三〇年度の削減目標の達成が危ぶまれるということになれば見直しをしていくということにいたしております。そういう意味では、石炭火力発電に対しましては引き続き厳しい姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
  98. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) 武田君、時間が来ております。おまとめください。
  99. 武田良介

    ○武田良介君 はい。  見直しもあり得るということも含めて、今御答弁されたことを非常に私も注目をして聞かせていただきました。  温室効果ガスの削減目標の引上げだとか、石炭火力の引下げ、再エネの引上げ、こういったことで、パリ協定の目標達成に対して日本政府がしっかりとした明確な立場を示せるように取り組む必要があるということを最後訴えて、質問を終わりたいと思います。
  100. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会の片山です。  私、早速質問に入りたいと思います。私も、最初は、先ほど宮沢委員も言われたんですが、法制化をすることの経緯というか、それについて聞きたいと思います。  元々この適応計画は、先ほど大臣から話があったように、三年前の十一月に閣議決定をされました。そして、その計画の下で各省庁が具体的な適応策実施してきて、去年の秋に初めてそれぞれの策の実施状況をきちんとフォローアップする、どこまで進んでいるのかきちんと確認する、これが行われました。そして、おととしには、気候変動適応情報プラットフォーム、これはホームページですよね、ホームページで各種情報をいろいろ地域の方に提供しよう、これも立ち上がってやってきた。そうした中で今回法制化することになったわけです。  私は、先日の本会議でも、法制化することの必要性、そしてその立法事実何なのかというふうに大臣に聞いたら、大臣答弁は、適応策を更に推進するためという感じで、かなり抽象的だったような気がします。  もちろん、法制化することに私も賛成なんだけれども、一応法案審議でもありますから、ですから、法制化しないとできないことはこれまで何だったのか、これまで三年間の課題、これを立法事実として改めてきちんとお話伺いたいと思います。最初にまずこれお願いします。
  101. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 御指摘のとおり、平成二十七年に閣議決定いたしました現行の適応計画は、法的な根拠に基づくものではなかったために、主として関係省庁取組をまとめた計画になっておりまして、地方公共団体事業者国民といった幅広い関係者連携協力推進について十分に盛り込むことはできておりませんでした。  この幅広い関係者連携協力推進が十分でなかったと、こういう立法事実を踏まえまして、本法案では、関係者役割や責務を明確にするとともに、気候変動適応計画を法的に位置付けたところでございます。新たに策定する法定の適応計画には、政府取組に加え、地方公共団体事業者国民等の幅広い主体連携協力による取組を盛り込んでいるところでございます。
  102. 片山大介

    ○片山大介君 分かりました。各省庁、それから各地域含めた全国一体化になるには、やはり法制化しないとなかなか協力も得られないところがあったんだなというのが分かりました。  それで、次にちょっと聞きたいんですが、法案の公布後六か月以内で施行することになっています。ただ、ここで私、ちょっとおやと思ったのが、その法施行前であっても適応計画策定することができるというふうに書いてあって、結構何か急いでいる感じもあるなと思いますが、これ、余りこういうの耳慣れないというか見慣れないというか、それもあるんですけれども、今回こうして急いでいる感じもするけど、この理由については何でしょうか。
  103. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 農作物品質低下ですとか、大雨の頻度の増加、漁獲量の変化、動植物の分布域の変化、サンゴの白化、こういった気候変動影響は様々な分野でもう既に出てきております。今後更に深刻化するおそれがあるということでございまして、こうした気候変動影響に対処しまして、国民皆様方の生命、財産を将来にわたって守る適応策充実強化というのが我々の喫緊の課題であるというふうに考えております。  このため、この法案に基づきまして、速やかに気候変動適応計画を法定計画として策定をしたいというふうに考えておりまして、実効性の高い適応策に着手をする、速やかに着手をするということをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。  その考えに基づきまして、新しい気候変動適応計画につきましては、この法案に基づく法定計画である新しい気候変動適応計画につきましては、国会での御審議を経て法案が成立いたしました場合には、その公布後速やかに検討作業に着手をさせていただいて、施行に間に合うように策定をして、各主体による適応策への本当に速やかな着手を後押しをしたいということでこういう規定を置かせていただいているということでございます。
  104. 片山大介

    ○片山大介君 分かりました。  それで、次に聞きたいのが、気候変動影響評価適応計画の見直しの関係について、これもちょっと聞きたいんです。  これ、適応計画の見直しは、法案では、気候変動影響評価などを勘案し、検討を加え、必要と認められる場合には見直さなければいけない、変更しなければならないとある。それで、気候変動影響評価というのは、これ大体おおむね五年ごとに行うと規定されているんですね。そうすると、計画の見直しも大体、影響評価を勘案してやるんであれば五年ごとにやるのかなと思って、実はこれも本会議で聞いたんです。そしたら、大臣は、その他の事情を勘案して見直すこともあるというふうに言われたんですよね。そうすると、その他の事情というのはこれは何なのかなと。  それで、考え方としては、じゃ影響評価はおおむね五年ごとにやるんだけれども、計画の見直しというのはその五年よりも短いスパンでやるようなイメージなのか、ちょっとそこの考え方が分からないので、これについてお話伺いたいんですが。
  105. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 本法案では、気候変動影響に関する最新の科学的知見を踏まえまして、御紹介のありましたように、おおむね五年ごとに気候変動影響評価を行うことを規定するとともに、この評価結果を勘案し、必要に応じて気候変動適応計画を見直すことを規定しております。  このように、気候変動適応計画の見直しは、おおむね五年ごとに行う気候変動影響評価と連動するということを基本としておりますけれども、それ以外にも、その他の事情を勘案して必要な時期に柔軟に見直すことができる規定としているところでございます。  例えばどういう場合かということでございますが、例えば、適応策の進捗状況が明らかに不十分と判断された場合ですとか気候変動による甚大な影響が確認された場合など、速やかに適応策強化する必要がある場合には、五年ごとに行う気候変動影響評価を待たずに気候変動計画の即座の見直しを行うことがあるということを想定しているということでございます。
  106. 片山大介

    ○片山大介君 それで、ちょっと追加的に聞くと、計画の見直しを五年、それをやるよりは、何か重大なことが起きたとなったら、影響評価自体も五年にする必要がなくて、それに合わせた方が、そっちを臨機応変にしてもいいのかなと思いましたけど、そこら辺、もしちょっとお考えあれば。
  107. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 気候変動影響の科学での分野での取組でございますけれども、これも数多くの研究者の方々が、これも数多くの確実な論文をしっかりとそれを評価をして、それを評価を踏まえて気候変動適応評価を行っていくということで、非常に実はこれはロングタームのプロセスでもございます。IPCCでも様々なレポート出しておりますけれども、例えば七年であったり、様々な、ある程度一定期間を有しているというところもございます。  ただし、科学的知見充実その他の事情により必要があると認めるときには、その期間を経過しないときにおいても、気候変動影響評価については、これについても行うことができるというふうになってございます。これは法律の第十条に規定がございます。  十条をちょっと簡単に御紹介申し上げますと、先ほど御紹介がありましたように、気候変動影響につきましては、おおむね五年ごとに、中央環境審議会の意見を聴いて、報告書を作成して、公表をしなければならないという規定ございますが、科学的知見充実その他の事情により必要があると認めるときは、その期間を経過しないときにおいてもこれを行うことができるということでございます。  そういった規定も置かれておりますので、柔軟に対応ができるということでございます。
  108. 片山大介

    ○片山大介君 だから、そうすると、両方とも柔軟にやるという感じなんですよね。どうしても、影響評価計画って対になっているなと思うんだけど、一方だけこう書いていて、書いていないというのがちょっとあるので、気になったから聞いたんです。  それのちょっと延長で言うと、影響評価についての報告書の場合は、中環審、中央環境審議会の意見を聴くとなっているんだけど、計画の方には逆に書いていないんですよね。だから、ちょっとそのそごもあるなと思っていて、そこも何か意味があることなのか、そこはどんなお考えなのか、もし分かれば。
  109. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) この気候変動適応計画の方は、農業振興、防災、生物多様性の保全等、多種多様な行政分野にまたがることから、その策定や見直しに当たっては幅広い意見を聴取することが重要でございます。  このため、気候変動適応計画につきましては、中央環境審議会だけではなくて、もっと広い、中央環境審議会はもちろんなんですけれども、中央環境審議会を含むより幅広い専門家からの意見聴取やパブリックコメント等を通じて、多様な関係者の意見を聞きながら策定や見直しを行ってまいりたいと考えております。
  110. 片山大介

    ○片山大介君 分かりました。是非、そういうのを入れて計画はもちろんやっていただけるものだと思っています。  それで、先ほど言ったちょっとフォローアップの関係で次は聞いていきたいんですけれども、現在の計画に基づいて、去年十月に初めてのフォローアップが行われました。これは、それぞれの施策を行っている各省庁が自分たちで自己評価をしたものになっていると。だから、少しお手盛り的なところもあるというふうにも言われているし、省庁間によってその評価の仕方もばらつきがあると言われています。  先ほど、こちらも宮沢委員が言われたと思うんですが、イギリスなんかでは、イギリスの気候変動法というんでしょうか、第三者の、外部の識者が入って、それで把握することになっているんであります。  それで、今回の法案の第九条を見ると、進展の状況を的確に把握するというふうにも規定されているので、この的確に把握するということをどのようにやるつもりなのか、こうした外部の目を入れることについてはどのようにお考えなのか、これをお伺いしたいと思います。
  111. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 御質問は、適応策、どういうふうに評価、把握をしていくのか、それに第三者的な視点が必要じゃないかという御質問だと理解をしております。  もう御案内のところでございますけれども、適応策の効果を定量的に把握、評価をしていくことは非常に我々重要だと思っておりますけれども、先ほども御答弁させていただきましたが、適応策の効果を把握、評価する手法は、これ適切な指標の設定が困難でありまして、適応策の効果を評価するには長い期間を要すること等の課題がありまして、まだ具体的な手法は諸外国においても確立されていないというところでございます。  そのために、私ども現時点でできる範囲で適応策の進捗管理を行うことも重要だというふうに思っておりまして、現行の適応計画、これは平成二十七年に閣議決定をされておりますけれども、関係省庁とも連携をいたしまして、施策が適切に実施されたかどうかを確認することで進捗状況の把握ということは実態面で行ってきているというところでございます。  今後でございますけれども、環境省といたしましては、諸外国の検討状況情報収集ですとか調査研究推進をするとともに、地方公共団体皆様方連携をしながら具体的な対応についても可能な限り定量的な指標をもって評価できるよう、しっかりと事例を集めながら、したがって、いろんな外の方々とも連携をさせていただきながら、様々な専門家あるいはその有識者の皆様方から意見を聴取をするなど、様々なアドバイス、インプットをいただきながら、この適応策の効果、把握、評価する手法の開発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  112. 片山大介

    ○片山大介君 その件でもうちょっと聞きたいんですが、たしかおととしですか、諸外国の五つの国のケースをいろいろ見ながら参考にちょっと調査をしたというのも聞いております。今言われたことというのは、そこからある程度導き出したものなのか、それともオリジナルに考えたものなのか。  それで、基本的には、とはいいつつも、これ、法が新しく施行になれば新しい計画策定され、いろいろ動き出すので、ある程度これは時期の目標というか、そういうのも考えなきゃいけないと思いますが、そこら辺、どのようにお考えでしょうか。
  113. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 御指摘がありましたように、諸外国の取組についても、職員を派遣をする、調査に行かせるというようなことも含めて状況を把握しております。そういった取組情報を踏まえながら、適切な評価の方法、定量的な把握、評価手法の開発に取り組んでいきたいと思っております。  常にこういった努力をしながら、より正確な、そして効率的な施策の実施ができるよう取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  114. 片山大介

    ○片山大介君 是非よろしくお願いします。  それで、恐らくこの適応策きちんと作ることによって、これ具体的に今後はそれによったいろいろな事業が行われることにもなってくると思うんです。  それで、今、やはり御存じのようにお金のない時代になってきていますから、恐らく予算配分の優先順位というのも何から付けられるかというと、やっぱりその適応策のきちんとした評価が基にならなきゃできなくて、それができないとなると、今、こういうことは余りないというふうに昨日ちょっと環境省の担当者から言われましたけれども、やっぱり必要性のない公共工事が適応策の名目でどんどん予算獲得が行われていってしまうんじゃないかと、こういうこともあるから、そうならないためにも、やはりその評価手法というのはきっちり作らなければいけないと思いますが、そこら辺についてどのようにお考えか、もう一度お伺いしたいと思います。
  115. 中川雅治

    国務大臣中川雅治君) 全く御指摘のとおりでございまして、本法案では、科学的な情報基盤構築し、将来の気候変動影響に関する精度の高い情報を提供していくことといたしております。  具体的には、本法案において適応情報基盤として位置付けられる国立環境研究所が、国、地方公共団体事業者等が気候変動影響情報に基づき効果的に適応策実施できるよう、科学的な情報の収集、分析、提供等を行っていきます。これにより、適応策観点から効果的かつ効率的な事業の推進を図ってまいります。また、本法案では、気候変動適応計画に基づく施策の進展の状況を的確に把握し評価する手法の開発に努める旨規定するとともに、気候変動適応計画を必要に応じて見直すこととしております。  これらの仕組みにより、適応策を具体的に実施するそれぞれの府省庁において、必要性や緊急性を踏まえ、適応策の効果的かつ効率的な実施が図られ、必要のない事業による予算の無駄遣いの防止が可能になるというように考えております。
  116. 片山大介

    ○片山大介君 是非よろしくお願いします。  それで、ちょっと時間がなくなってきたので、国立環境研究所はちょっと後回しにして、もしかしたら次回になるかもしれませんが、プラットフォームの方についてちょっとお伺いしたいと思います。  おととし立ち上げた気候変動適応情報プラットフォーム、私も見させていただきました。それで、いろいろと情報を、各地域がどんなような状況になっているのか、ある程度情報提供をしている、きめ細かにやっていこうという話なんですが、それで、アクセス数を実は出してもらったんですね。どれほど自治体からのアクセスがあるのか。これを基に自治体計画を作らなきゃいけないんです。  これ見ると、おととしの八月に立ち上がって、累計のアクセス数が六万アクセスぐらいなんですね。それで、この四月、先月一か月分がどうかというと、四千二百なんですよ。自治体の数が大体千七百ぐらいですから、そうすると、平均しても三アクセスぐらいしかしていないわけですよね。これはなかなかちょっと寂しいかなというふうに思っています。  今後、この法が法制化されて、もっといろいろと自治体計画作っていくことになっていくと思いますが、やはりこれを見ると、なかなかまだ本当に必要なニーズに応え切れていないところもあるのかなというふうに思いますが、地域のアクセス数が少ないことに対しての何かお考えがあるか。それと、あとはどういうふうにこれから充実を図っていくか。その二点、教えていただけますか。
  117. 森下哲

    政府参考人森下哲君) まずは、気候変動適応情報プラットフォームにしっかりとした情報をそこに構築をして、そしてそれを国民皆様方、様々な関係者の方々に分かりやすく御提供していくということが非常に重要だと思っております。  そのためにも、やはり適応ということの認知度、これを上げていくことが非常に今後の適応策推進にとってはまずベースになることではないかと。国民皆様方のやっぱり理解を得る、これは国民皆様方だけではなくて、地方公共団体皆様方、そして事業者皆様方適応策ということについての御理解それから関心を持っていただくということが非常に重要だと思っておりますので、そういったことも含めて私どもしっかりと努力をしてまいりたいと思っておりますし、この法案是非成立していただければ、その大きなきっかけになるのではないかというふうに考えているというところでございます。
  118. 片山大介

    ○片山大介君 そうすると、少し、今、どういうふうにブラッシュアップしていくかというところまでは、具体的なところまではないというようなイメージでよろしいでしょうか。
  119. 森下哲

    政府参考人森下哲君) 気候変動適応情報プラットフォームでございますけれども、こちらについては、適応情報基盤の中核となる国立環境研究所国土交通省農林水産省を始めとする関係省庁の所管の研究機関との連携に努める旨の規定法案でも盛り込んでおります。また、地方研究機関であります地方気候変動適応センターと国立環境研究所気候変動影響に関する情報共有して連携していく旨の規定を盛り込んでおります。  こういった規定の下で、国立環境研究所が中核となって、国そして地方研究機関との連携協力体制構築を図って、この適応情報基盤であります気候変動適応情報プラットフォーム情報を集約をいたしまして、様々な気候変動影響に関する状況を分かりやすくしっかりと提供してまいりたいというふうに考えております。
  120. 片山大介

    ○片山大介君 是非頑張っていただきたいと思います。  残りの質問はまた次回にしたいと思います。ありがとうございました。
  121. 斎藤嘉隆

    委員長斎藤嘉隆君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時六分散会