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参考人(
堀川愛君)
沖縄県
子ども総合研究所の
堀川と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、まず、このような貴重な
発言の場を設けていただきましたことに心より感謝申し上げたいと思います。
私の方からは、
沖縄の
子供の
貧困問題につきまして、主に
沖縄県より当
研究所の方が
事業委託を受けて実施してまいりました
調査結果を基にした
お話をさせていただきたいと思います。私の方からは、お手元にございます
資料、こちらの横置きの
資料の方に従って進めてまいります。
まず、表紙をめくっていただきまして、二ページ目ですね、
沖縄県
市町村データを用いた
子供の
貧困率の推計という表を御覧いただきたいと思います。こちらの方が、二〇一五年に
沖縄県からの
事業委託を受けまして、
研究所の方で
首都大学東京の
阿部彩教授の
協力を得まして
算出いたしました
沖縄県
単体の
子供の
貧困率と
全国の
子供の
貧困率を比較した表となります。
こちらの方を見ていただくと分かるとおり、
沖縄県の
子供の
貧困率は、Aという列になりますが、二九・九%、これは三人に一人の
子供が経済的に
困窮状況にあるという
データとなっております。それに対しまして、表の一番
右側、
国参考値を見ますと、国の方は一三・九%ということで、二倍強の差異があるということが明確になっております。
都道府県単体で
子供の
貧困率を
算出したのは今のところ
沖縄県のみとなっておりまして、独自の
算出方法で
算出を出させていただいております。
では、この
経済的格差が
子供たちの
暮らしにおいてどのような影響をもたらすのかという点につきまして、次のページ、
参考資料として、幾つかのハンディやリスク見えてきていた中で特に顕著に現れていたものをお持ちしております。三ページ目です。
過去一年間に
食料を買えなかった
経験という
グラフになります。こちらの方が、過去一年間に
食料、普通に
三食のための
食料ですね、特別な
食料ではなく、何か高価なものではなく、
通常一般の
食料品が買えなかったという
経験がどの程度あったかを
調査で
アンケート形式で取らせていただきました。
その中で、そういった
経験がよくあった、時々あった、まれにあったと答えた
割合が、上の棒
グラフの方が
全国で行った
調査の
グラフになっておりまして、よくあったがブルー、時々あったがオレンジ、まれにあったがグレーですね、黄色の
部分がなかった。一般的に、今の現代の
暮らしにおきまして、
三食の食事に欠くということがないというのが一般的な
常識的考えかと思うんですが、その中でも、今
子供たちの
困窮状況大変逼迫しておりまして、
全国の
調査でも、ある
一定数こうした
食料を調達できなかったという家庭がいるというのが
全国データからも見えてきます。
それに対しまして、二〇一六年度に
沖縄県が行いました
県高校調査では、同じように
世帯構成を分けまして
全国と比較しておりますが、よくあった、時々あった、まれにあったの
割合が、
二親世帯で
全国が一五%から一七%に対して、
沖縄県ではもう二五・二%から二六・二%、もう一人
親世帯に至りましては最大で四五%を超えるという大変深刻な
状況であるということが見えてきております。
続きまして四ページ目、今度はこちら、
沖縄県の
保護者に聞きました
子供の将来の
進学への
意識について見たものになります。
沖縄県、経済的に厳しい、学力が低いということが長年言われてきておりましたが、
保護者の
教育への無関心等々が取り沙汰されることも
県内ではかなりございまして、その中で、
保護者が、では
子供たちにどういう
意識を持って
進学のことを考えているかというのを
アンケートで取りました。
その結果、こちら四ページ目、
保護者が
子供を
大学まで
教育を受けさせたいと回答した
割合が、
小学校一年生でも、
貧困世帯であっても五四%、過半数を超えております。非
貧困の
世帯でも八割を超える
保護者が
小学校一年生の段階で
子供を
大学進学させたいと答えております。
これは、
全国では全く同じ
調査は行われておりませんが、
進学意識調査の中では、
小学校一年生の
保護者というのはまだ
子供の将来が見えない
状況でありまして、まだ
大学まで行かせたいという具体的なはっきりした答えは通常しないものなんですね。それを
沖縄県、逆に大変強く
大学進学を望んでいるというのが
データで出ています。
資料の方、赤で囲わせていただいたところが
小学校一年生、六歳、七歳児の
保護者です、この時点で約三割の
保護者がもう経済的な
理由により
大学を受けさせることはできないという回答をしております。これは、やはり
保護者の中で、将来的に
世帯経済の向上を、
子供が小さいうちから
保護者自身が
未来への展望を見込めていないんではないかという推察ができるかと思っております。将来の希望を抱くことができれば、
子供が大きくなるにつれ
世帯所得が上がっていき、将来的には
大学進学を目指そうということをもう
小学校一年生の時点で
保護者が諦めているという
状況が見受けられるかと思います。
続きまして、二〇一六年に実施いたしました高校生
調査の高校二年生生徒への設問で、アルバイトをしている生徒に収入の使い道を確認した
グラフを持ってまいりました。
こちらの
グラフで注目すべきは、本来であれば
保護者が負担することが一般的であります学用品費、これは文具、ノート、鉛筆、シャープペンとか、そういった本当に一般的な文房具ですね。こういったもの、
保護者が大体
子供を育てている期間は出すかと思うんですが、こういった文房具費。また、修学旅行などの学校の行事費、こちらも
通常一般であれば
保護者が普通に負担しているものかと思うんですが、そちら。あと、学校の昼食代ですね、お昼、お弁当の用意だったりお弁当を購入したりとかと、いろいろケースはあるかと思うんですが、こちらの購入費。また、通学のための交通費、先ほど前
泊参考人の方からも出ておりましたが、インフラ整備の不備等々もございますが、通学のための交通費等、この四点を高校生本人がアルバイトから賄っているという点が注目すべき点と考えます。
これがさらに、経済困窮
世帯では、濃いグリーンの方が非困窮
世帯、薄いグリーンが困窮
世帯の棒
グラフになりますが、経済困窮
世帯では、アルバイトをしている生徒のうち実に三人に一人、三人に一人の生徒が家計の足しのためにアルバイト就労をしているということもこの
調査から分かりました。
こちらのこういった
数値に関しましては、やはり
世帯経済状況で大きな差異は見られており、高校生が高校生時代にできる学問に集中することですとか、高校生時代にしかできないような、十代だからこそできる友人との
経験や体験、そういった保障が十分になされていないということにつながっているのではないかと考えます。
また、このあと何ページか続くんですが、高校生本人や
保護者に対して今の
暮らしや将来についてどう考えているのかを自由記述欄という形で取ったものが数ページ、四ページほど続きます。
高校二年生の生徒が、どうしたら確実に将来の夢にたどり着けるのか分からなくなっている不安感を伝えてきたり、奨学金が返せるかとても不安になると。これ、高校二年生の生徒ですが、この時点でもう高校
進学のために就学援助というか奨学金を使っておりまして、十七歳の生徒本人が高校
進学費用を借入れしております。さらに、これで
大学の奨学金が重なってくることというのをもう十七歳の時点でかなり深く不安に思っているんですね。
こういった面を見ていきますと、
世帯経済の
状況が厳しいということが長期化すればするほど
子供たちの将来選択の視野をどんどん狭めているのではないかということが言えるかと思います。
是非、
保護者の声もお読みいただきたいんですが、こういった
沖縄の現状、既存の
資料からも見ていくことができます。十ページ、十一ページと続きますが、児童生徒のいる
世帯収入、是非今日こちらお伝えしたいんですが、十一ページ、児童生徒のいる
世帯収入の
沖縄県と
全国の
所得の比較
グラフです。
こちら、学力テストのきめの細かい
調査の結果から、
保護者の
アンケート結果から取ったもので、オレンジ色の
グラフが
全国の高学年の児童のいる、生徒の
保護者の収入の
グラフとなっておりまして、中央、四百万から六百万の
部分に中央値が来ておりまして山型
グラフ、それに対しまして、
沖縄県の
保護者の
所得グラフはブルーの方になります。一番左、二百万円
未満が一番高い二三%の
割合となっておりまして、右肩下がりという
状況が見えてきます。
資料いろいろお持ちしたんですが、全て今日、お時間の都合もありましてお伝えできないんですけれ
ども、私から是非今回お伝えしたいのは、大変厳しい
沖縄県であるからこそ、今後の
貧困対策につきまして、具体的な、また既存施策や新規施策の抜本的な取組を是非
委員の皆様には御検討いただきたいと思います。
以上となります。ありがとうございました。