○池田真紀君
立憲民主党の池田真紀です。
冒頭、昨日大阪府北部で起きました
地震により亡くなられた
方々の御冥福と、そして被災された
皆様に心からお
見舞いを申し上げます。
我が党といたしましても、
関係府県連と連携し、二次災害の防止等に緊張感を持って取り組んでまいります。
それでは、本日
議題となりました
健康増進法の一部を
改正する
法律案に、
立憲民主党・
市民クラブを代表して、
反対の
立場から
討論をいたします。(
拍手)
討論に先立ち、一言申し上げます。
東京目黒区で起きました児童虐待事件を受け、我が党を始め
野党が集中
審議を求めたにもかかわらず、それを無視し、
参議院先議の医療法・医師法が既に衆議院に送付されている中で、この
健康増進法を無理やり押し込んできました。
また、六月十五日には
参考人質疑を行いましたが、五名の
参考人からさまざまな御
指摘をいただいた点についてもその後の
質疑で十分に
審議していく必要があるにもかかわらず、たったの二時間で
審議を打ち切り、
採決に踏み切る
判断をしたことに、大変遺憾であり、強く抗議をいたします。
それでは、
政府案に対する
理由を申し上げます。
今回の法
改正は、受動喫煙により年間一万五千人もの命が失われているという現実から、
国民、とりわけがんの患者さんや子供、妊婦さんなどを受動喫煙から守るため、そして、二〇二〇年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに備え、WHOとIOCの合意に基づくたばこフリーのオリンピックを実現するため、受動喫煙防止対策を強化しようというものであります。
しかし、
改正案の中身は、昨年の塩崎前厚労大臣の時代の案からは大きく後退し、一九九八年以来、オリンピック開催都市としては初めて、飲食店での喫煙を認めるという国際的にも恥ずかしい内容となっています。
受動喫煙被害が最も多いとされている飲食店の約五五%が例外となる
経過措置が設けられ、その期限も明らかにされていません。これでは、受動喫煙防止対策としては余りにも不十分であると
指摘せざるを得ません。
受動喫煙防止ということであれば、屋内全面禁煙こそその対策であって、それが国際標準なのだということをまず認識するべきであると思います。
また、今回の
政府案では、受動喫煙の前に「望まない」という
言葉がつきました。その
理由について、加藤厚労大臣は、
対象者をより明確化するためと答弁しましたが、果たしてそうなのでしょうか。
我が党の西村智奈美筆頭理事の
質疑において、社長さんと社員の
関係で、喫煙できる店でいいよねと言われたら、望まないけど嫌とは言えないのではないかという問いに、加藤大臣は、そこは内心の問題で、嫌々ついていった、そこをどう考えるかというハラスメントの話にすりかえました。
嫌々ついていかざるを得なかった受動喫煙に対して受動喫煙防止対策はとらなくてよいのか、その問いには、加藤大臣は、嫌々ついていくということが問題なんだと言いました。お得意の御飯論法です。
「望まない」という
言葉をつけたことにより、かえって法の抜け穴をつくり、受動喫煙の被害が表面化することなく、拡大していくことが懸念されます。これでは、ざる法と言わざるを得ません。
国民の健康を守る厚生労働省としては、望むと望まざるとにかかわらず、
国民の健康を第一に、受動喫煙そのものをなくすということに
全力を尽くすべきではないでしょうか。
もう一つ、昨年の塩崎前厚労大臣の時代の案では、官公庁は屋内全面禁煙でありました。今回の
法案では、官公庁は
行政機関と書きかえられ、
立法府であるこの
国会は喫煙スペースを設けることが可能とされています。
この点について、驚くべきことが起きました。何と、厚生労働
委員会ががん患者
当事者の
参考人を
国会にお招きした六月十五日、その控室に灰皿が二つもあったのです。
がん患者である天野
参考人は、大変驚きました、これでよいのかと思いましたと言い、産業医でもある黒澤
参考人は、私がここの産業医なら、即時喫煙所を撤去するよう責任者に
意見を申し上げるとお答えになりました。
国民に禁煙を
お願いする
立場の
国会議員こそ、範を垂れるべきです。これでは
国民に示しがつきません。
今からでも遅くありません。
立法機関も
行政機関と同じ扱いにするよう改稿を求めます。
また、従業員の受動喫煙を防止する対策においては、努力義務どまりとなっています。
私は、居宅における訪問介護を行っていました。まさに肺がんで亡くなるみとりも多く経験をさせていただきました。ケアにかかわる人
たちは、チームみんな、必死に最善のケアを目指します。御
本人にとっての最善です。援助に当たり、喫煙の可否は大変悩みます。さりげなく見守ったり見逃したり、
最後には、持っているのがやっとで、吸えなくなる、そういう状況も目にいたしました。
居宅訪問業で受動喫煙に対する法規制はありません。捨て身の覚悟で支援を全うするのでありますから、知らないうちに受動喫煙にさらされることになります。
また、ニコチン依存症のお宅へ精神保健福祉士として訪問することも多々ありました。家から煙が漏れるほどのチェーンスモーカーの場合には、顔がうっすら見えるくらいの煙の部屋で、茶色だか金色だかのようなとろっとしたべたつきのある壁や畳の部屋にも訪問します。
受動喫煙は嫌でも、プロですから、奉仕の精神で我慢せざるを得ません。次の訪問の方に影響がないか心配でした。
法案提出の
理由には、受動喫煙をなくすということに待ったなしの状況と書かれてありますが、それならば、あらゆる職場において規制をしなければならないのではないでしょうか。
政府の方針として、受動喫煙全体を防止するんだという考え方に立たなければいけなかったのではないかと思います。
以上、
政府案につきましては、受動喫煙防止対策としては全く不十分であるとの
反対理由を述べました。
次に、六月十五日の
参考人質疑の一部を紹介したいと思います。
患者
当事者である長谷川
参考人は、八年前に肺がんを発症しました。進行ステージはレベル4、生存率は五%と言われたそうです。長谷川さんは喫煙歴がありません。
長谷川さんの発言です。
親から受動喫煙を受けていた、自分の病気がそこに原因があるのではないかということで、たまに、どう思っているか聞かれることがある。それは、親ですので、私を産み育ててくれた人ですので、非常にその感情は複雑です。
言葉にはあらわせません。また、あらわすつもりもありません。そして、私がこうして言えるのは、父が亡くなっているからです。亡くなっているので言えるという、そんな状況です。そんなふうに、受動喫煙を身内から受けて、もし、それが原因でがんを発症し、自分の命にかかわる、そんな状況が起こっているのであれば、それは本当に
言葉にあらわせない苦しみがあるということはお伝えしたいという御発言でした。
今回の案では、家族の受動喫煙の規制は難しいと配慮
規定になっていますが、
社会全体が完全禁煙に向かっていくことで、結果として喫煙率も下げていく、受動喫煙を望まない人の対策だけではだめで、喫煙者の健康も守っていく、双方向で取り組むべきと考えます。
最後に、昨日、子供がテレビ台の引き出しに閉じ込められて亡くなるという痛ましい事件の報道がありました。待ったなしは、命を守る本気の
法律をつくることではないでしょうか。
先ほどの長谷川さんの
当事者としての
言葉は、受動喫煙の部分を虐待という
言葉に置きかえると、虐待を受けた子供
たちの心の叫びに通ずるものがあると、私は、胸が詰まる思いで受けとめました。この国から虐待という
言葉をなくす、虐待ゼロ
社会に向けて、今まさに真剣に取り組んでいかねばなりません。
受動喫煙の被害者のような声なき声こそ、耳も心も傾け、真摯にその課題解決に向けて
全力を挙げていくこと、命を守る
法案は政争の具にせず、与
野党ともに
全力で実現すること、そのことを強く申し上げ、本日
議題の
健康増進法についての
反対の
討論を終えます。
御清聴ありがとうございました。
そして、
最後にもう一言。維新の
皆さん、本
法案につきましては、同じ方向の結論をいただきましたことに心から感謝をいたします。とりわけ、ありがとうございました。(
拍手)