○内閣
総理大臣(安倍晋三君) 志位和夫議員にお答えをいたします。
火山
防災対策の
推進についてお尋ねがありました。
政府としては、本白根山に新たな監視カメラ、地震計、空振計を設置し、観測体制を
強化するとともに、昨日草津町で開催された火山の協議会に内閣府、気象庁等の職員を派遣し、
火山活動の評価や今後の
対応について情報共有を行ったところです。引き続き、地元自治体と連携し、
対応に万全を期してまいります。
また、今回の噴火
対応の
課題について、専門家にも御意見を伺い、検証を行った上で、
全国の火山の警戒監視体制の
充実強化を図ってまいります。
森友学園への国有地売却についてお尋ねがありました。
森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
文書の
管理、保存については各行政機関が責任を持って行っており、また、報道された音声データを含め
現場でのやりとりについても、これまでも説明してきたところでありますが、今後、
国会の場において、財務省など
関係省庁からしっかり説明させていただきます。
国有地は
国民共有の財産であり、その売却に当たっては、
国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。私としても、国有財産の売却について、業務の
あり方を見直すことが必要と考えており、
関係省庁において今後の
対応についてしっかりと
検討させているところです。
国家戦略特区のワーキンググループについてお尋ねがありました。
特区ワーキンググループは、原則は公開との
方針に基づき、この案件に限らず、八田座長を始め民間有識者の皆さんが決めたルールに基づき運用されているものと承知しています。
御指摘のあった、議事の公開や出席者の取扱いについては、他の案件と同様、こうした運営ルールにのっとって
実施されたものと認識しています。
文書の公表等についてお尋ねがありました。
国会における審議の
あり方については、
国会においてお決めいただくことだと認識しております。また、
関係省庁において、これまでも
国会からの要請に応じて関連資料をお示ししてきていると承知しており、今後もしっかりと
対応させてまいります。
格差と
貧困についてお尋ねがありました。
安倍内閣が進めている
政策は、
成長と分配の好循環をつくり上げていくというものです。
成長し、富を生み出し、それが
国民に広く均てんされ、多くの人
たちがその
成長を享受できる
社会を
実現してまいります。
安倍内閣発足後の格差、
貧困を示す指標の動きを見ると、長期的に上昇傾向にあった相対的
貧困率については、政権交代後、
雇用が大きく増加するなど、
経済が好転する中で低下に転じました。特に、
子供の相対的
貧困率については、総務省の
全国消費
実態調査によれば、ずっと上昇し続けてきたものが、
平成二十六年の
調査において、つまり安倍政権になって初めて行った
調査でありますが、その
調査になって初めて、集計開始以来初めて低下しました。
また、所得再分配後のジニ係数は、近年の
雇用・所得
環境の
改善や、
社会保障、税による所得再分配が機能した結果、おおむね横ばいで推移しています。
こうしたことから、安倍政権の五年間で格差が
拡大し
貧困が悪化したとの御指摘は当たりません。
また、実際に、
雇用者数の増加を加味した
国民みんなの稼ぎである総
雇用者所得を見ると、名目で見ても、実質で見ても、二〇一五年七月以降、前年比プラスが続いています。
こうした中、二〇一七年の内閣府の
調査によれば、現在の
生活に満足と回答した者の割合は、七三・九%と過去最高となり、所得、
収入面で満足と回答した者の割合も、
平成八年以来二十一年ぶりに不満を上回っているところです。
引き続き、アベノミクスを更に
加速させながら、
成長と分配の好循環をつくり上げることで、格差が固定化しない、許容し得ない格差が生じない
社会の構築に向けて取り組んでまいります。
生活保護基準の見直しについてお尋ねがありました。
今回の見直しでは、年齢、
世帯人員、
地域を組み合わせた
世帯特性ごとに一般低
所得世帯の消費の
実態と
生活保護基準額との乖離を
是正するため、基準額が上がる
世帯、下がる
世帯が生じるものです。
一方、モデル
世帯、夫婦子一人
世帯では一般低
所得世帯の消費水準と
生活扶助基準とがおおむね均衡しており、
生活扶助基準を全体として引き下げるものではありません。
なお、減額となる
世帯への影響を緩和するため、減額幅を
最大でも五%以内としつつ、三年をかけて
段階的に
実施することとしております。
低所得者の
生活支援などについてお尋ねがありました。
低
所得世帯の消費を支える
賃金引上げについては、安倍政権になって以降の四年間で、最低
賃金を約百円引き上げました。今後も、年率三%程度を目途として引き上げていき、
全国加重平均で千円を目指していきます。
また、
生活に困窮されている方に対する就労、家計、居住面の
支援体制の
整備などを行うため、
生活困窮者自立
支援法の
改正法案を
提出します。
いわゆる
生活保護の捕捉率については、保護の申請がなされていない人の割合は正確に把握することは困難ですが、保護を必要とする方には確実に保護を
適用するという
方針のもと、適正な運用に取り組んでいます。
生活保護基準の見直しに伴う他
制度への影響については、一月十九日の閣僚懇談会において
政府の
対応方針を確認しており、それぞれの
制度の趣旨や目的、
実態を十分に考慮しながら、できる限りその影響が及ばないようにするなど
対応してまいります。
生活保護
世帯の
子供たちへの
支援についてお尋ねがありました。
先ほどもお答えしたように、今回の見直しでは、
子供のいる
世帯も含めて、年齢、
世帯人員、
地域を組み合わせた
世帯特性ごとに一般低
所得世帯の消費の
実態と基準額との乖離を
是正するため、基準額が上がる
世帯、下がる
世帯が生じるものであります。
そうした中で、
子供のいる
世帯については、
児童養育加算の給付
対象者を高校生に
拡大することなどにより、その約六割では基準額が増額となる見込みであります。
例えば、
地方に暮らす母一人、中学生と高校生の
子供二人の
母子世帯の場合、年間で十一万一千円の増額となります。
さらに、大学等への進学準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の給付を
創設します。また、自宅から大学等に通学する場合に行っていた
住宅扶助費の減額を取りやめるなど、
生活保護
世帯の
子供に対する
支援を
強化します。
生活扶助基準の見直し
方針についてお尋ねがありました。
生活扶助基準は、一般低
所得世帯の消費
実態との均衡が適切に図られているか否かを見きわめるため、五年に一度の頻度で検証を行っています。
今回も、最低限度の
生活を保障する観点から専門的かつ科学的に検証を行い、その結果に基づき、適切な
生活保護基準となるよう見直しを行うものです。
高度プロフェッショナル
制度についてお尋ねがありました。
働き方改革は、働く方の立場に立って、一人一人の
事情に応じた多様な
働き方を選択できる
社会を
実現するための、
労働基準法制定以来、七十年ぶりの大
改革です。
その中で、高度プロフェッショナル
制度は、働く方の健康を
確保しつつ、その意欲や
能力を発揮できる新しい
労働制度の選択を可能とするものであり、残業代ゼロ
制度との批判は当たりません。
残業時間の
上限についてお尋ねがありました。
過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い
決意で長時間
労働の
是正に取り組みます。
そのため、労使が合意すれば
上限なく時間
外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。
史上初めて、
労働界、
経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間
外労働の限度を設けます。
具体的には、時間
外労働の
上限は、月四十五時間かつ年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない
上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めます。
さらに、労使合意を踏まえ、可能な限り時間
外労働を短くするため、新たに
労働基準法に基づき、時間
外労働を適正化するための指針を定め、国が使用者及び
労働組合等に対し必要な助言指導を行えるようにすることを
予定しています。
このように、今回の
改革は長時間
労働に対する規制を
強化するものであり、安倍政権として、
働き方改革関連法案を
早期に
提出し、法案の成立に
全力を傾注していきます。
残業規制についてお尋ねがありました。
先ほどお答えしたとおり、今回、史上初めて、
労働界、
経済界の合意のもとに、三六協定でも超えてはならない、罰則つきの時間
外労働の限度を設けます。加えて、
勤務間インターバル制度についても、その
普及に努めます。
なお、高度プロフェッショナル
制度の
創設、裁量
労働制度の見直しや時間
外労働の
上限規制は、いずれも、健康を
確保しつつ、誰もがその
能力を発揮できる柔軟な
労働制度へと
改革するものです。法案を
早期に
提出し、その成立に
全力を傾注します。
原発の再稼働に関し、
福島事故後の世論
調査、核燃料サイクルの現状、
経済的コストについてお尋ねがありました。
御指摘の廃炉などに要するコストを勘案したとしても、現在、多くの原発が停止している中で、震災前に比べ、一般家庭では平均で約一〇%電気代が上昇し、
国民の皆さんに
経済的に大きな御
負担をいただいている現実があります。こうした中で、原発ゼロということは、責任あるエネルギー
政策とは言えません。
核燃料サイクルについても、資源の有効利用及び高レベル放射性廃棄物の減少化、有害度低減の観点から、引き続き取り組むとともに、最終処分についても、科学的特性マップの公表を契機に、
国民の皆様の理解を得ながら、処分場の
確保に向けて一歩ずつ丁寧に進めてまいります。
いずれにせよ、原発の再稼働については、いかなる
事情よりも安全性が最優先です。東京電力
福島原発事故について、
政府及び原子力
事業者がいわゆる安全神話に陥り、あのような悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえつつ、二度と事故を起こさないことは当然のことです。
今後も、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、これが
政府の一貫した
方針であります。
原発ゼロと
再生可能エネルギーの
普及についてお尋ねがありました。
資源に乏しい
我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への
対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは、責任あるエネルギー
政策とは言えません。
他方で、原発依存度を可能な限り低減するとの考えのもと、徹底した省エネルギーの
推進、
再生可能エネルギーの
最大限の
導入に取り組むことは、安倍内閣の一貫した
方針であり、これからも
全力で取り組んでまいります。
米軍ヘリの飛行再開、緊急総点検と飛行停止、
学校等の上空の飛行についてお尋ねがありました。
米軍の運用に当たって、
地域住民の
方々の安全
確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。
米軍機の事故後の飛行再開については、
我が国としても、米側の事故
調査や再発防止策について、自衛隊の専門的知見も
活用して検証を行い、その合理性を判断してきています。
また、米軍機の事故や予防着陸、緊急着陸が相次いでいる中、在
日米軍の全ての航空機について徹底的な
整備、点検を確実に
実施し、徹底した再発防止のための
対策を講ずるよう、米側に強く求めています。事故等の態様を踏まえ、個別に判断の上、米側に対して飛行停止も求めてきています。
普天間飛行場周辺の全ての
学校上空の飛行を
最大限可能な限り避けるとの
方針については、米側に対してしっかりと遵守するよう求めるのみならず、
日本側においてもその
状況の確認に努めているところです。
今後とも、安全の
確保については、最優先の
課題として
日米で
協力して取り組んでまいります。
普天間の無
条件撤去、辺野古移設の中止、海兵隊の沖縄からの撤退についてお尋ねがありました。
住宅や
学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、もはや待ったなしの
課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、
政府と地元の皆様の共通認識であると思います。辺野古への移設が
実現すれば、飛行経路は海上となり、安全性は格段に
向上します。
辺野古への移設は最高裁判所の判決に従って進めているものです。今後とも、丁寧な説明に努め、御理解、御
協力が得られるよう、粘り強く取り組んでいきます。
米軍の運用に当たって、
地域住民の
方々の安全
確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。安全の
確保は、最優先の
課題として
日米で
協力して取り組んでいきます。
沖縄の海兵隊については、安倍政権のもと、米議会に対する凍結解除の働きかけなどにより、約九千人の要員がグアム等海外へ移転する
計画が本格的に進展してきています。
一方、
我が国を取り巻く
安全保障環境が一層厳しさを増す中、
日米同盟の抑止力及びその中核である海兵隊の存在は極めて重要です。
今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の
方々の気持ちに寄り添い、基地
負担の
軽減に
全力を尽くしてまいります。
憲
法改正についてお尋ねがありました。
言うまでもなく、憲
法改正は、
国会が発議し、最終的には
国民投票により
国民の皆様が決めるものであります。
改正の必要性やその内容、発議の時期等のスケジュールについても、
国会における御議論や
国民的な議論の深まりの中で決まっていくものと考えており、御指摘は当たりません。
スタンドオフミサイルの
導入及び空母の保有についてお尋ねがありました。
スタンドオフミサイルは、
我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を
確保しつつ、
我が国を有効に防衛するために
導入するものです。
専守防衛のもと、あくまでも
国民の生命財産、
我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的
向上を図るものです。憲法上保有が許されない兵器との御指摘は当たりません。
なお、これまで、
政府として、御指摘のような空母の保有に向けた具体的な
検討を行ってきた事実はありません。
いずれにせよ、いかなる装備を保有するかを含め、防衛
計画の大綱の見直しに当たっては、専守防衛は当然の大前提としながら、
我が国を取り巻く厳しい現実に真正面から向き合い、従来の延長線上ではなく、
国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく考えであります。(拍手)
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