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2017-12-07 第195回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年十二月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月三十日     辞任         補欠選任      朝日健太郎君     溝手 顕正君  十二月四日     辞任         補欠選任      こやり隆史君     中曽根弘文君      杉尾 秀哉君     大島九州男君      森本 真治君     増子 輝彦君      魚住裕一郎君     山口那津男君  十二月五日     辞任         補欠選任      太田 房江君     武見 敬三君      大島九州男君     杉尾 秀哉君      増子 輝彦君     森本 真治君      山口那津男君     魚住裕一郎君  十二月六日     辞任         補欠選任      武見 敬三君     太田 房江君      中曽根弘文君     こやり隆史君      杉尾 秀哉君     蓮   舫君  十二月七日     辞任         補欠選任      蓮   舫君     伊藤 孝恵君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         竹谷とし子君     理 事                 島田 三郎君                 堂故  茂君                 森屋  宏君                 吉川 沙織君                 秋野 公造君     委 員                 太田 房江君                 片山さつき君                 こやり隆史君                 古賀友一郎君                 二之湯 智君                 松下 新平君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 山田 修路君                 山本 順三君                 伊藤 孝恵君                 江崎  孝君                 那谷屋正義君                 難波 奨二君                 森本 真治君                 魚住裕一郎君                 山下 芳生君                 片山虎之助君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     野田 聖子君    副大臣        内閣府副大臣   松本 文明君        総務大臣    奥野 信亮君        総務大臣    坂井  学君        財務大臣    木原  稔君    大臣政務官        総務大臣政務官  小倉 將信君        総務大臣政務官  山田 修路君        総務大臣政務官  小林 史明君        財務大臣政務官  長峯  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       横田 真二君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        川合 靖洋君        内閣官房統計改        革推進室長    横田 信孝君        内閣官房内閣人        事局内閣審議官  稲山 文男君        内閣大臣官房        審議官      田中愛智朗君        内閣大臣官房        審議官      和田 昭夫君        総務大臣官房総        括審議官     宮地  毅君        総務大臣官房総        括審議官     吉田 眞人君        総務大臣官房地        域力創造審議官  池田 憲治君        総務省行政管理        局長       山下 哲夫君        総務省行政評価        局長       讃岐  建君        総務省自治行政        局長       山崎 重孝君        総務省自治行政        局公務員部長   佐々木 浩君        総務省自治財政        局長       黒田武一郎君        総務省自治税務        局長       内藤 尚志君        総務省情報流通        行政局長     山田真貴子君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       巻口 英司君        総務省総合通信        基盤局長     渡辺 克也君        総務省政策統括        官        三宅 俊光君        消防庁長官    稲山 博司君        消防庁次長    緒方 俊則君        財務大臣官房審        議官       田島 淳志君        財務省主計局次        長        大鹿 行宏君        厚生労働大臣官        房審議官     土屋 喜久君        林野庁森林整備        部長       織田  央君        経済産業大臣官        房調査統計グル        ープ長      渡邊 厚夫君        中小企業庁次長  吉野 恭司君        国土交通省道路        局次長      和田 信貴君        観光庁審議官   瓦林 康人君    参考人        日本放送協会会        長        上田 良一君        日本放送協会理        事        根本 佳則君        日本放送協会理        事        松原 洋一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政制度地方行財政選挙消防情報通信  及び郵政事業等に関する調査  (行政制度地方行財政消防行政情報通信  行政等の諸施策に関する件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、朝日健太郎君及び杉尾秀哉君が委員辞任され、その補欠として溝手顕正君及び蓮舫君が選任されました。  また、本日、蓮舫君委員辞任され、その補欠として伊藤孝恵君が選任されました。     ─────────────
  3. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官横田真二君外二十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会会長上田良一君外一名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等の諸施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 堂故茂

    ○堂故茂君 おはようございます。自民党の堂故でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  地方自治法が施行されて七十周年、先日、十一月二十日には盛大に記念式典が開催されました。出席させていただきましたが、野田大臣の御挨拶にあったように、戦後の我が国を振り返るとき、国民生活向上地方自治の果たしてきた役割は本当に大きいと思います。  しかし、我が国人口平成二十年をピーク減少に転じ、二〇四〇年頃には、総人口は毎年百万人近く減少する一方、高齢者人口ピークになると見込まれています。このような人口構造の変化は自治体の税収や行政需要に大きな影響を与え、それぞれの自治体在り方根本から問われることになると思います。  総務省でも、自治体戦略二〇四〇構想研究会を設け、中長期的視点から研究を進められているとお聞きしています。この研究会には野田総務大臣自らも出席されていると聞いています。  この議論も踏まえ、人口減少時代地方自治在り方をどう展望しているのか、大臣に伺いたいと思います。
  9. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) おはようございます。  今委員指摘のとおりで、日本の総人口は既に減少局面に入りました。今後本格化する人口減少と急速に進む少子化は、日本が抱える最大の危機、そして見えざる有事だと考えているところです。  十月に、今お話がありました自治体戦略二〇四〇構想研究会を立ち上げたところです。この研究会では、まず、高齢者人口ピークを迎える二〇四〇年、そのときの医療福祉、インフラ、公共施設など行政分野における課題を整理し、そこから逆算する形で今後の自治体行政在り方を展望し、速やかに対応策を検討していこうということにいたしました。  いずれにしましても、人口減少時代にあっても地方自治体が持続可能な形で行政サービスがしっかりと提供できるよう、この研究会を通じて検討してまいりたいと思っているところです。
  10. 堂故茂

    ○堂故茂君 先日の式典出席者の中には、相当数自治体関係者、いらっしゃっていました。熱意はあるんだけど、やっぱり不安も、将来に対する不安も抱えている首長さん方が本当に多くいらして、それをじかに感じました。是非、中長期的に展望を持って戦略を進めてもらいたいと思います。  私も、少子化高齢化が約、国の十五年先行する自治体首長をやっておりまして、本当に人口減少というのは非常に厳しいことだということを感じてきました。その中にあっても、地方、特に過疎にうまく血液が回り、そしてその地方から元気が出てこそ日本全体がこの人間の体でいえば健康体、元気になれるんだと、そんなことを感じながら仕事をさせていただいてきました。どうぞよろしくお願いします。  平成合併が進められました、大合併。各自治体、教育、福祉医療、幅広い行政分野を担うことが求められておりまして、基本的にはこのフルセット総合行政が展開されています。しかし、これからの急速な人口減少に立ち向かうためにも、それぞれの自治体がアイデンティティーを持ちつつも自治体連携を進めることが重要ではないかと思います。  従来から、ごみの収集、処理消防などの分野で一部事務組合による事務処理が進められてきています。今後は、老朽化対応する上下水道や地域医療確保する病院など、戦略経営の求められる行政分野においても連携広域化が求められていると思います。  民間企業であれば、事業会社制持ち株会社制や、事業分野によっては競合する他社とも業務提携をすることさえ日常的になっています。地方自治体行政分野ごとに様々な形で連携を進めるべきではないかと思いますが、総務省のお考えを伺いたいと思います。
  11. 山崎重孝

    政府参考人山崎重孝君) 大臣からお答え申し上げましたとおり、人口減少社会におきまして持続可能な行政サービス提供体制を構築することは重要な課題というふうに考えております。  総務省では、全国市町村が単独であらゆる行政サービスを提供するフルセット行政考え方から転換いたしまして、近隣市町村との有機的な連携を視野に入れて対応することが必要と考えております。具体的には、集約ネットワーク考え方に基づきまして、中核市指定都市中心市とする連携中枢都市圏や、人口五万人程度以上の都市中心市とする定住自立圏などの広域連携施策推進しております。あわせて、連携協約などの制度を新設し、市町村が多様な広域連携の手法の中から最も適したものを選択できる環境を整えてきました。  今後、自治体戦略二〇四〇構想研究会におきまして、住民生活に不可欠な行政サービスがどのような課題を抱えていくことになるのか研究を深め、持続可能な行政体制の構築のためにどのような圏域マネジメントを行う必要があるのか、検討してまいりたいと考えております。
  12. 堂故茂

    ○堂故茂君 その際、都道府県役割というのは大変大きいと思うんですね。  サッカーのチームで例えると、住民福祉や町の活性化の最前線に立つ言わばフォワードというのを市町村が担っているとすると、そのフォワードにパスをうまくつなぐ役割としての都道府県役割大事だと思います。知事さんによってはフォワードが得意な方も多いように見えますけれども、行政分野ごとに最適な枠組みを提示したりすること、自治体連携を進める上で都道府県役割は本当に大きくて、その役割、しっかり果たしていただくためにはどんなことが必要なのか、それに対する国の支援などについて伺いたいと思います。
  13. 山崎重孝

    政府参考人山崎重孝君) 都道府県役割、多様でございまして、それぞれの地域に応じてしっかり役割を果たしていただきたいと思いますが、特に核となる都市から相当距離がある市町村間の広域連携というのはなかなか難しい場合がございます。都道府県による補完がそういう場合には有効であるというふうに考えてございます。  そのため、総務省では、平成二十六年に地方自治法を改正していただきまして、地方自治体間の条約ともいうべき連携協約とか、それから、市町村長の名前で県が事務執行できる事務代替執行というような制度を設けました。こういうことを活用しながら、都道府県市町村のある程度壁を乗り越えてお仕事をしていただきたいというふうに思っております。また、国費による委託事業も設けておりまして、連携取組推進してまいりたいと思います。  都道府県がそれぞれの地域の実情に応じて有効な役割を果たしてもらいたいというふうに思ってございます。
  14. 堂故茂

    ○堂故茂君 是非後押しをしていただきたいと思います。  それから、私は過疎をたくさん抱える自治体仕事をしてきました。行政サービスだけではカバーできない様々な住民生活に関わるところがあります。そういう部分は集落の皆さんのお互いの助け合いによって成り立ってきていました。  しかし、そういった地域社会人口減少高齢化によって、例えば草刈りといった共同作業消防団員確保、また基本的な自治会組織機能維持が困難になってきている集落も増加してきています。集落機能維持するため、小さな拠点づくり、これは旧小学校単位であったり小学校単位なんでしょうが、も模索されておりますが、これらの施策を実効あるものとするためにはリーダー存在が大事ではないかとずっと考えてきました。  その点と、集落機能維持することへの支援や、そしてその人材をどう確保して育成していくのかについて伺いたいと思います。
  15. 池田憲治

    政府参考人池田憲治君) お答えいたします。  人口減少高齢化が著しい中山間地域などにおきます集落機能維持につきましては、基幹集落中心に周辺の複数の集落一つのまとまりとして捉え、日常生活に必要な機能集約確保し、交通ネットワークでまず結ぶことで圏域全体の活性化を図る集落ネットワーク圏を形成すること、また、将来にわたって地域で暮らし続けることができるよう、住民中心となり様々な主体を包摂して高齢者の見守りや買物支援など多様化する地域課題解決に向けた取組を行う地域運営組織を形成することが重要であるというふうに考えておりまして、内閣府、国土交通省などと連携しながら、総務省といたしましても過疎地域交付金活用地方財政措置を講じ、その推進に努めております。  また、住民お互いに助け合う共助の仕組みを再構築することで地域課題解決につなげるシェアリングエコノミー活用取組地方団体連携して進めてまいりたいと考えております。  一方、地域力向上には地域資源有効活用人材力の強化が不可欠でございます。御指摘のように、特に地域を良くしたいという情熱と信念や住民の様々な意見を引き出してまとめ上げる地域を引っ張るリーダー存在というものが地域活性化に大きな役割を果たしている地域各地で見られるところでございます。  そうした人材の発掘と育成に今各地域で努められているところでございますけれども、総務省取組といたしましては、人材力活性化参考となりますプログラムを作成してお示ししたり、あるいは、地域づくり関係者地方公務員を対象にいたしまして、自治大学校や市町村アカデミーなどで全国地域づくり人財塾を開催し、地域人材育成に努めているところでございます。
  16. 堂故茂

    ○堂故茂君 どうぞ頑張っていただきたいと、後押ししていただきたいと思います。  過疎地域における人材不足の深刻さは、議会議員在り方の見直しにも及んでいます。高知県大川村では、議員なり手不足から住民総会制度活用が検討されました。長野県喬木村では、この十二月から平日の夜間や休日に議会が開かれることとなったとの報道がありました。全国でも各地で無競争の議会議員選挙が続くなど、議員への魅力の低下、そしてなり手不足は深刻な状況となっています。  議員が他の職業を持つことを前提とし、議員報酬を低く抑えながら、よりボランティア色の強い議員活動を期待するのも一つ考え方ではあると思います。しかし、私は、住民を代表して、首長など執行部緊張感を持ち、そして行政機能をチェックしつつ、まさに地方自治の両輪となってそれぞれの行政体の進むべき道をしっかりと当局と議論して最善の道を選択していくのが議会役割ではないかと思います。そのためには、たとえ、たとえですよ、定数を減らしたとしても、議員活動の質と量が求められるのではないかと思います。  特に、議員なり手となる若い人材も大切だと思います。その確保策についてどう思われるのか。また、そのために一定の報酬とともにサラリーマンと同様程度厚生年金への加入も必要であると私は考えますが、お考えを伺いたいと思います。
  17. 小倉將信

    大臣政務官小倉將信君) 堂故先生指摘のとおりでございまして、議会が多様な民意を集約していくためには多種多様な住民方々から議員が選出されることが重要と考えております。  これまで総務省では、通年会期制の創設など、より幅広い層が議員として参画しやすい環境整備に努めてきたところでありまして、また、各議会においても女性や若者など様々な方に議会への関心を持っていただく取組を進めていただいているものと承知をいたしております。  さらに、総務省におきましては、七月に町村議会のあり方に関する研究会を設置をいたしまして、小規模な市町村議会における幅広い人材確保などについて議論を深めているところであり、各地方議会において自主的な取組を進めていただくとともに、総務省としても多くの小規模な市町村にとって参考となるような議論を行うことで議員なり手確保に努めてまいります。  また、後段の御質問の地方議会議員厚生年金加入につきましては、各党会派におきまして様々なお考えがあると承知をしております。地方議会議員被用者年金加入するとすれば、地方議会における人材確保に資するものと考えられる一方で、保険料の二分の一の事業主負担としての公費負担が生じるなどの論点が指摘をされているところであります。  いずれにしても、地方議会議員の身分の根幹に関わることであり、地方議会議員の声などもよく聞いた上で各党会派においてまずは十分に御議論いただくことが重要と、そのように考えております。
  18. 堂故茂

    ○堂故茂君 総務省においても、客観的な情報を引き続きこのことについて提供いただきたいと思います。  平成十一年から進められました平成合併についてでありますが、多くの市町村が一緒になった合併自治体について、市町村一体感のある町づくりへ様々な苦労を積み重ね、事業も積み重ねているんですが、まだ道半ばではないかなと思います。そのために合併特例債を使って様々なことをしてこられたわけです。しかし、この間、大震災があったり、度重なる全国での自然災害、あるいはオリンピックへの対応などの影響もありまして、特例債活用が遅れている市町村もあるとお聞きしています。  そんな中で、平成三十一年度、三十二年度には特例債発行期限を迎えるわけであります。各いろんな市町村から延長を求める声もお聞きしています。このような状況からすれば、合併市町村課題解決のためにも合併特例債発行期限を更に延長すべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  19. 小倉將信

    大臣政務官小倉將信君) お答えを申し上げます。  堂故先生御発言のとおり、私もつい先日、九州北部豪雨被災自治体方々から同様の要望を承ったところであります。そういった中で、合併特例債発行期限合併市町村一体感を早期に醸成するために設けられたものでありますが、一方で、計画をしていた事業を所期のとおり実施、完了することは合併の効果を住民の皆様に実感をしていただく上で重要と考えております。  このため、東日本大震災後に、立法府における御議論を踏まえ、被災地で十年、被災地以外で五年、延長されております。また、平成三十二年度までに発行期限を迎えます合併市町村が御指摘のとおり多く、累次の災害の発生や建設需要の増大などにより事業実施、完了に懸念がありますことから、発行期限の更なる延長について要望がなされていることも承知をいたしております。  こうしたことから、発行期限の更なる延長につきましては立法府における御議論などを踏まえつつ今後の対応を検討してまいりたい、このように考えてございます。
  20. 堂故茂

    ○堂故茂君 検討、是非お願いしたいと思います。  次に、森林環境税について伺いたいと思います。  木材価格の低迷、ずっと続いています。また、世代交代によって山の境がだんだん分からなくなっているんですね。その結果、森林所有者がほとんど山に足を向けなくなって、また山林が荒れてしまいました。保水力が弱くなって地すべりの被害災害流木災害にもつながっているわけです。また、最近は鳥獣被害、イノシシなどが急激に増えて鳥獣被害が深刻となっています。  今、市町村中心になって山林所有者森林事業者を結び付ける新しい管理システム考えられています。その費用を捻出するための森林環境税が今自民党の税調で議論されています。本当に、伐採期が来ていて、山は宝なんですね、活用されていないんですね、伐採期にある木材が。それから、最近はCLT工法であるとかセルロースナノファイバーといった新しい技術が考えられてきて、もしうまく今言ったようなことを結び付けていくことができれば、見捨てられつつある山が宝の山に再生できるチャンスではないかなと思うわけであります。  この森林環境税について、総務省がここまでこの議論を高めてきてくれたんではないかなと、このことへの、この質を高めてこられた総務省の力量を本当に評価したいと私は思います。今まさに税制調査会における議論が佳境を迎えているわけでありますけれども、森林環境税の創設に向け、総務大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。
  21. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 堂故委員指摘のとおりだと思います。私も岐阜県が地元でありまして、本当に、森林に囲まれた地方の一人として、様々なお話、痛感するところ大であります。  森林は、地球温暖化や今お話があった災害の防止、環境保全など幅広い公益的機能を持っており、私たち国民一人一人に恩恵をもたらしてくれています。今お話がありました森林環境税、まだ仮称ですけれども、これは森林の持つ様々な公益的機能が十分に発揮されるように、林野庁で検討されている新たな森林管理システムの導入を契機として、地方団体実施する森林整備等に必要な財源を充てるために創設が検討されているものです。  森林環境税制度設計については、総務省地方財政審議会に検討会を設置しました。そして、議論を行い、先般、私は報告書を、取りまとめていただいたものをいただいたところです。  今後、この報告書を踏まえて、今お話がありましたように与党の税制改正プロセスの中で更に議論を深めていただき、様々な地方団体の立場に立ったバランスの良い結論を出していただきたいということを考えているところです。
  22. 堂故茂

    ○堂故茂君 是非これは実現したいものだと思います。  そのために、やはり税をいただくわけですから都市住民を含めた国民の皆さんの理解を深めていかなきゃいけないということ、それから、この山林が置かれている状況考えると、やっぱりできるだけ早く、そして額の確保が必要だということを思いますし、また、都道府県が先行して実行している県も数多くあります。都道府県との制度設計、調整する必要があるのではないかと、そのことも含めて是非前に進めていただきたいと思います。  次に、郵政事業についてであります。  全国二万四千局のネットワークを持つ郵便局においては、郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスが提供されているところであります。地域の生活インフラとして大変貴重な存在だと私は思います。特に過疎地域においては大きな役割を果たしていると思います。  そこで、郵政事業のユニバーサルサービスの確保のための、今、負担金交付金制度自民党の郵政事業に関する特命委員会において議論されているわけでありますが、野田大臣には郵政事業に大変熱い思いがある方でいらっしゃいます。野田大臣に、郵政事業のユニバーサルサービスについて今後どのように対応していくのか、お伺いしたいと思います。
  23. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今お話がございましたとおり、自民党において郵政事業に関する特命委員会というのがございまして、そこの委員会におきまして郵政事業のユニバーサルサービスをしっかり安定的、継続的に確保するための方策の議論が行われていることは大変有意義なものであると思っています。これにつきましては引き続き自民党議論がなされるものと考えていまして、私とすれば、総務省としてはしっかりその動向を見守ってまいりたいと思います。  いずれにしても、国民にとって郵政事業が持つユニバーサルサービスがしっかり確保されるということは大変重要なことだと考えています。総務省としては、将来にわたってもユニバーサルサービスが安定的に提供されるように注視していくとともに、利用者目線に立った更なる利便性向上のための取組日本郵政グループ各社により行われることを期待しているところでございます。
  24. 堂故茂

    ○堂故茂君 是非、見守りながら後押しを、強く後押しをお願いしたいと思います。  次に、郵便のインフラ海外展開についてであります。  新興国を中心とした世界的なインフラ需要の増大を受け、日本の質の高いインフラ輸出に政府を挙げて取り組んでおられます。各国の経済成長にとって重要な郵便分野においても、ミャンマーでは二〇一四年四月、ベトナムでは二〇一五年の一月に覚書が締結され、協力が具体化しつつあるとのことであります。  また、昨年十二月のプーチン大統領訪日に際し、高市総務大臣とニキフォロフ通信マスコミ大臣との間でICT・郵便分野における覚書が締結され、あわせて、両大臣立会いの下、日本郵便とロシア郵便との間、そして東芝とロシア郵便との間で各々覚書が締結されたとお聞きしています。  今後も日本型郵便インフラシステムの海外展開を促進していくべきと考えますが、これまでの具体的な成果とこれからの取組についてお伺いしたいと思います。
  25. 坂井学

    ○副大臣(坂井学君) 総務省では、政府全体で取り組んでおりますインフラシステム海外展開の一環として、日本の優れた郵便のノウハウを活用し、各国の郵便事業支援しております。現在は、ミャンマー、ベトナム、ロシアなどを対象として取組を進めているところでございます。  まず、これまでの成果ということでございますが、例えばミャンマーに関しましては、ミャンマーに日本郵便の専門家を派遣をし、郵便品質の向上に寄与したほか、引き続き、同国の主要三都市、ヤンゴン、マンダレー、ネピドーでございますが、ODA技術協力を実施をしているところでございます。  ベトナムに関しましては、日本の企業とベトナム郵便とのビジネスマッチングを支援をしておりますほか、私自身も先日、ベトナム郵便の幹部の方が日本に来られておりまして、面会をさせていただきましてお話をさせていただきましたが、二国間の協力を積極的に推進をしていると、こういう状況でございます。  そして、ロシアにつきましては、ロシア郵便と日本郵便との間で、将来の越境Eコマースの実施に向けた協力、日本製品をインターネットのマーケットで売ろうということですが、ちょうどモスクワでは今日からまたこのテスト販売がスタートするということでございますけれども、日本企業による国際交換局への区分機などの納入につきましても実績を上げさせていただいているというところでございます。  今後、相手国からの具体的なニーズを聞き取りながら、積極的な姿勢を示す国に対しましては、日本側のメリットも実際しっかり考慮しつつ、それぞれのニーズに合致した協力を検討してまいります。
  26. 堂故茂

    ○堂故茂君 大変すばらしいことだと思います。日本のプレゼンスを高め、またお互いの国とのウイン・ウインの関係を築いていく、そして日本の企業、特に地方の企業にとっても海外展開しやすい状況をつくっていくことができるのではないかと思います。  今、政府の方では、生産性革命、あとこの二〇二〇年までの三年間で展開していくということを強く方針として出しておられます。様々な施策が必要なんだろうと思いますが、テレワークというのは非常に有効な地方創生の手段でもあるし、日本全体を地域から元気にしていく道ではないかなと思います。まずお聞きしたいと思います。
  27. 吉田眞人

    政府参考人(吉田眞人君) テレワークは、子育て世代やシニア世代、あるいは障害のある方も含めまして、国民一人一人のライフステージや生活スタイルに合った柔軟な働き方を実現すると、そういう意味で働き方改革の切り札となるものというふうに考えております。  このような認識の下、総務省では、経済産業省あるいは厚生労働省といった関係府省と連携をいたしまして、全国各地でのテレワーク導入のためのセミナーの実施でありますとか、あるいはテレワーク導入を目指す地方自治体や企業への専門家の派遣、あるいは、今年初めて実施いたしましたけれども、七月二十四日のテレワークデー、あるいは、十一月をテレワーク月間としておりますけれども、各種イベントの実施といったような形で、できるだけ多くの企業、団体の方にテレワーク導入の意識を持っていただける、そのような取組を進めてまいっております。  また、テレワークは、ただいま御指摘ございましたように地方創生の有効なツールにもなるものと考えておりまして、総務省では平成二十七年度から、テレワークにより地方でも都市部と同じように働ける環境を実現し、都市部から地方へと新たな人や仕事の流れをつくり出す、ふるさとテレワークを推進しております。  引き続き、地方を含みます全国各地でテレワークの導入が進むよう、各種の施策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  28. 堂故茂

    ○堂故茂君 私事ですが、私の息子は富山で子育てをしながら東京の仕事あるいは世界の仕事に取り組ませていただいています。本当にこういうことがもっともっと普及すれば地方にいても活性化ができる、地方から国、世界に関わっていけることができるということを実感しています。是非総務省はこの生産性革命のリーダーシップを取っていただいて、日本のあらゆる分野で活力を引き出していただきたいなと思います。  最後の質問でありますが、農業など地域の様々な分野でIoTデータを利活用した新サービスの登場による地域活性化が期待されています。しかしながら、現在、地域のIoTデータを集めて分析する基盤であるデータセンターは東京に集中し、地方のデータを東京経由でもう一度地方へ戻さなければならないという、まさに大きなロスが生じています。データセンターが東京に集中していることによって、万が一首都圏災害時のリスクも大きくなってくるわけであります。地域で集めた情報をAIなどを活用し、その地域で分析して活用する、そうしてこそ地域の自発的な活力が生まれてくるのではないかと思います。  IoTの進展により、地域を元気にするような新サービスも期待されるわけであります。地域のデータを地域の実情に合わせて分析、活用ができる環境をつくるために、そのような情報通信基盤の東京一極集中を緩和し、地方整備を促す整備促進税制などのインセンティブが必要ではないかと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  29. 小林史明

    大臣政務官(小林史明君) 堂故委員指摘のとおり、今、このデータセンターについては現在約六割が東京圏に一極集中をしております。  委員指摘のとおり、このIoTの進展というのは大変地域活性化に大きな寄与をするだろうと私たちも思っております。このため、総務省としては、データセンターの地域への整備を促進をして地域のデータをその地域活用できる環境を整えること、そしてあわせて、首都直下地震等に備えた国土強靱化を図る必要があるというふうに考えております。  そこで、御提案いただいたように、総務省では、東京圏以外に整備されるデータセンターのうち、設置場所の近隣地域における利用や東京圏のバックアップを主たる目的とするものの整備について税制上の特例措置を設ける地域データセンター整備促進税制の創設を来年度要望しているところであります。  総務省としては、本税制を含めて、引き続き情報通信活用した地域活性化と国土強靱化に向けた取組を進めてまいりたいと思いますし、実際にこのIoTを使って、実は宮城県の東松島市では、海に浮かべるブイにセンサーを付けて潮の流れや魚の漁獲状況、こういったものを確認をするということをやっています。現地の皆さんは震災の関係で海に出られないと。海から離れ離れにされてしまった漁業者の方々が、僕たちを海とつないでくれている、こういうコメントを私も視察に行って伺いました。  是非先生の地元で氷見の寒ブリの様子をこのIoTで観察をいただけたら私はすばらしい成果になるんじゃないかなと思っておりますので、是非引き続き応援のほどをよろしくお願いいたします。
  30. 堂故茂

    ○堂故茂君 一緒に頑張りましょう。  終わります。ありがとうございます。
  31. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。  野田総務大臣始め、新しい政務三役が御就任をされまして初めての当委員会での質疑でございます。新体制はなじみの先生ばかりでございまして、本当に一層親しみの湧く布陣でございます。心から御就任をお祝い申し上げますとともに、どうかよろしくお願い申し上げまして、早速質問に入りたいと思います。  まず、地方団体の基金の問題についてお伺いをいたします。  この件につきましては、今年五月の経済財政諮問会議におきまして、地方の基金残高が二十一兆円に上っていることを捉えまして新たな埋蔵金などという指摘をされたことから、総務省におきましてその実態について調査分析をされまして、先月その調査結果が取りまとめられたと聞いておりますけれども、まず、諮問会議で実際に議論もなさっておられる野田大臣からその調査結果について御報告をいただきますとともに、それを踏まえまして、地方のこの基金積立状況をどういうふうに評価されておられるかを、御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今回行った地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査によりますと、地方公共団体の基金は平成十八年度末と平成二十八年度末の比較で七・九兆円の増加となっています。  基金残高が増加しているのは、まず国の施策合併といった制度的な要因、そして公共施設老朽化対策や災害など様々な将来への備え、さらに、東京都など交付税を受け取っていない不交付団体の増加などが主な要因でありました。多くの団体が行革や経費節減に努めながら基金の積立てを行っていることも明らかになりました。また、現在の基金残高の水準は東京都、特別区を除いて平成に入ってからの平均程度であって、近年は横ばいという状況でございます。  このように、各地方公共団体というのは、まず行革努力を行い、そして様々な地域の実情を踏まえて基金を積み立てています。ですから、基金の増加を理由として地方財源を削減するということは妥当ではないと私は考えております。
  33. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  まさに、基金を理由にして地方財源をむしろうというのは、私はあってはならぬことだと思います。今おっしゃった結果が行革努力あるいは節減努力によって積み立てられた基金であるとするならば、これを召し上げようというのはまさにモラルハザードを引き起こしまして将来にかなり禍根を残すことになろうと思いますので、大臣におかれましては是非しっかりこれを阻止していただきたいと、このようにお願いしておきたいと思います。  そして、今にこれは始まったことではございませんけれども、今回の諮問会議での議論も納得のいかない指摘が散見をされます。あえてこの委員会の場で申し上げておきたいわけでございますが、まず、臨時財政対策債を発行しながら基金を積み増していると、つまり、借金を増やす一方で貯金している自治体が七割に及ぶということが問題視されたようでございますけれども、そもそもこの臨財債というのは、形式的に自治体の借金の体裁は取っておりますけれども、本来地方交付税で自治体に交付されるべき一般財源でございます。だからこそ、その元利償還金は一〇〇%後年度交付税で措置されるというわけでございます。現状のように、この地方財政に巨額の財源不足が生じている場合には、法律上、交付税率を引き上げるというのがこれは筋でございますけれども、それが国の財政事情でできないから、やむを得ず自治体に借金をしてもらって、それを後に交付税で措置するというシステムになっているだけのことであります。  したがいまして、臨財債で借金をして得た資金を節約をしてこれを基金に積んだとしても何ら問題はない、少なくとも国は地方を批判する資格はないはずであります。  なお、そうした団体が七割に及ぶということにつきましても、交付税の交付団体が九割以上を占めているわけでありますから、これは何ら不思議ではないというふうにも思います。  また、リーマン・ショック後、地方税収が大幅に落ち込んだときでさえ基金残高が増えているという指摘もどうやらあったようでございますけれども、税収が落ち込んだときこそ、この交付税、臨財債の財源保障機能が発揮をされる場面でございますので、むしろこれは制度本来のシステムが機能しているだけだと、こういうふうに思うわけでございます。  結局、この諮問会議での指摘は、地方はどうやら余裕がありそうだから財源保障水準を引き下げてその分を国家財政の足しにしたいということで、リーマン・ショックへの対応で措置された歳出特別枠を来年度で廃止すべきという話もその一環であろうと思いますけれども、結局、毎年のようにそういう議論を持ち出して交付税を切ろう切ろうとするから、地方はますます基金を積もう積もうとするわけでございます。  実際、これはかつて平成十六年度の地方財政対策におきまして、いわゆる地財ショックというのがございました。大幅な交付税削減がなされまして、私も当時、岡山県庁におりましてびっくりした記憶がございます。この地方の基金残高というのはバブル期をピークといたしましてずっと減っていったわけでありますが、この地財ショックの平成十六年、十七年を境にしてまた基金というのは増えていっている。そういうことを考えますと、これは地方サイドにこのトラウマというものがその背景にあるんじゃないかと、私はそういうふうに思えてならないわけであります。  仮に地方に基金を積むなと言うのであれば、その分、毎年の財源保障を的確に行うという保証がなければ、とてもじゃないけど地方は納得をしないと、こういうふうに思うわけでございます。特に、今後とも社会保障費あるいは老朽インフラ対策、こういったことで歳出増大圧力がある中でのことでございますので、これはなおさらのことではないかと、こういうふうに思うわけでございます。  来年度、平成三十年度までは地方一般財源総額の水準を平成二十七年度の水準を下回らないように確保するということが政府の経済・財政再生計画で決まっておりますけれども、これからは特にこの過去の水準と同じ保障レベルではもたなくなるということも考えられるわけでございます。  そうした状況にある中で、この地方の不安というものを取り除くための財源保障について、総務省としてどういうふうに取り組まれていかれるのかを伺いたいと思います。
  34. 黒田武一郎

    政府参考人黒田武一郎君) お答えいたします。  今委員からるる御指摘いただいたことでかなり全てが尽きていると思いますけれども、重複させていただきますが、現在の地方財政、巨額の財源不足を抱えております。この交付税の代替措置としての臨時財政対策債の発行を含め、財源不足を補填するルールは三年ごとに決めております。ただ、これ三年ですので、どうしても長期的な観点からしますと不安が生じてしまう構造になっていることも事実でございます。  こうした不安を取り除くためには、本来的には、御指摘のように交付税率の引上げによりましてこういう恒久的な対応地方税財源を安定させることが望ましいということは、もう御指摘のとおりでございます。ただ一方で、国も非常に厳しい財政状況でございますので、ここにつきましては粘り強く主張をしてやってまいりたいと考えております。  ただ、いずれにいたしましても、住民生活の安全、安心、社会保障、教育等、また社会資本の老朽化、こういうものへの対応はもとより、それぞれの地域の抱える様々な課題に取り組みつつ安定的な財政運営を行うことができますよう、まずは年末の地方財政対策におきまして、地方交付税を始めとした一般財源総額の確保に向けて最大限努力してまいりたいと思います。  先ほど御指摘ございましたが、今の一般財源総額の確保につきましては実質的に同水準という形でやっておりますので、いろいろな条件が変わりましたら、それも含めて実質的に同水準になるべく努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  35. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  私、あえて難しい問いかけをさせていただいたんです。大変そういう意味ではじくじたる思いはあるんですが、やっぱり地方団体の不安を取り除く策というのは大変これは難しいと思うんです。それはもう実際そのとおりだと思います。  ただ、私が申し上げたいのは、そうであるとするならば、地方が自己防衛のために基金を積むということを私は国は批判をできないんだと、こういうふうに思うわけであります。私自身、かつて五つの自治体で勤務をしてまいりましたけれども、これはもう毎年苦心の予算編成でございました。  諮問会議ではこの地方の財政構造を問題視しているようでありますけれども、地方は勝手に赤字地方債を発行することができないという制約下の中で、本当に職員の給料にまで手を付けてぎりぎりの予算編成を行ってきているわけであります。これは国と違う事情だと思います。諮問会議の議論を見ておりますと、私に言わせれば、お手盛りで赤字国債を発行し続けることのできる国とは一緒にされたくないという地方の声が聞こえてきそうな感じがするわけであります。(発言する者あり)御声援ありがとうございます。  いずれにいたしましても、野田大臣におかれましては、この諮問会議、安倍総理や民間議員のいらっしゃる前でございますので今後とも的確な反論を展開していただきますとともに、来年度予算編成、これから佳境を迎えますので、総務省当局の皆さんとともに全力で頑張っていただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移ります。  次に、森林環境税についてお伺いをいたします。  この件は先ほど堂故理事も取り上げられまして、野田大臣からその必要性に対する思いも御答弁ございました。  昨年、これは自民、公明両党で取りまとめました税制改正大綱で平成三十年度税制改正で結論を得るということでございまして、現在、私ども自民党税制調査会でも議論をしている最中でございます。  総務省におかれましても、先ほど御答弁ありましたとおり、今年度、森林吸収源対策税制に関する検討会を設置して具体的検討を行って、先月その報告書が取りまとめられたということでございます。  思いは、先ほどの堂故理事、それと野田大臣と私、全く同じでございます。付言するとするならば、現在、同様の税制が自治体の独自課税として全国三十七の府県と横浜市で設けられておりますけれども、私は、それでもなおこの税は必要だというふうに思っております。それは、この森林整備という課題は一の都道府県内で調整できる範囲を超えていると思うからでございまして、全国最大の森林面積を抱える北海道と全国最大の人口を抱える東京都においてこの税がないということはそのことを象徴していると私は思うわけであります。  とはいえ、税金である以上、その創設には国民の理解が不可欠であることはこれは当然であります。今回は、先ほど来出ております森林の所有者による自発的な整備が期待できない私有林について、新たに市町村が主体となって整備する制度を創設して、それに必要な財源に充てるということになっておりますので、仮に国民から貴重な税金をいただくということになったならば、使途の問題はどこまでかというのもこれは議論はありますけれども、いずれにしても最低限この新たな森林管理システムは確実に実行しなければならないと、そういうふうに思っております。  そのとき私が心配しておりますのは、この主体となる市町村の施業体制でございます。林野庁の調査によりますと、市町村では林務専門の職員がゼロないし一人しかいない団体が三分の二を占めるということでございます。都道府県がこれをカバーするにいたしましても果たしてどこまでカバーできるのかということで、といいますのも、私自身、かつて岡山県庁に在職中に、当時、高知県に続く全国二番目となる、おかやま森づくり県民税の創設と事業執行に携わってまいりましたが、県レベルでも人手の関係などから整備できる事業量には限界があるというのはこれは実情でございます。  したがいまして、今回の場合も、整備すべき森林と自治体の施業能力との間にギャップが生じるということは、これは容易に想像し得るところでございまして、その場合に執行し切れない財源をどうするかという問題が生ずるものと思います。その場合、私は、森林整備以外の事業に財源を安易に充てて使い切ろうとするんじゃなくて、限りある貴重な財源でございますから、あくまでも森林整備を優先することがこの税の本旨にかなうというふうに思っております。  したがいまして、そういった場合には、予算単年度主義にこだわらずに、執行できない分の財源を一旦自治体の基金に積んでもらった上で、後に条件が整い次第それを取り崩して施業してもらうという制度設計にするのが適当と、こういうふうに思っているわけですが、総務省の御見解をお伺いできればと思います。
  36. 小倉將信

    大臣政務官小倉將信君) お答えをいたします。  いわゆる森林環境税につきましては、現在、税制改正プロセスの中で議論が行われているところではありますが、確実に地方団体が行う森林整備等の財源に充てられることを担保するために法令上使途を定める方向で検討されるべきものと、このように考えております。  さらには、先日報告書が出されました総務省の検討会におきまして、地方団体が定められた使途の範囲内で適切に事務を行っていることを担保するためにも、その使途をインターネットの利用等により公表する仕組みが必要であるとされたところでもございます。  そういった中で、まさに古賀先生に御指摘をいただきましたように、森林整備の必要性と自治体の施業能力との間にギャップがあり、市町村によりましては森林所有者との調整状況等によって単年度においてその全額を使えないケースもあり得るものと、このように考えております。その際には、古賀先生指摘のとおり、ほかの目的税の例なども参考にしながら、基金にまずは積み立てて後年度において定められた使途のとおり執行するといった対応も必要であると、このように考えております。  いずれにしましても、今後、与党の税制プロセスの中で御議論をいただき、新税創設の目的がしっかり果たせるような形で具体的な制度設計が行われるものと、このように期待しております。
  37. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 ありがとうございました。  私、全くそのとおりだと思います。私はそのように御提案申し上げますのは、もちろんそれがこの税の本来の趣旨であると、このように思っておりますし、またこれが最も高い事業効果が得られるというふうに思っているからでございますが、それ以外にもう一つ、大きなテーマである地方の独自課税とのすみ分けという問題、こうした観点からもその一定の解答になるというふうに思うわけであります。つまり、直接的な森林整備は言わばナショナルミニマムとしてそういう観点から全国的にこの森林環境税を財源として行う一方で、それ以外の事業についてはそれぞれの地方の実情に鑑みて独自の税金を財源に実施してもらうというのが一番適当なすみ分けではないのかなと、こういうふうに思うからでございます。  いずれにいたしましても、近く党の税調で結論を出していくということになりますけれども、政府におかれましても、今日御提案申し上げたことを含めまして、制度設計の詳細について検討を深めていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、公務員の定年引上げについてお伺いをいたします。  この問題につきましては、実は私、昨年四月の決算委員会でも取り上げました。六十歳で一旦退職させた上で比較的軽易な業務に従事をさせる現行の再任用制度は、本人のモチベーションの観点などから問題があるというふうに思っておりまして、一億総活躍社会を推進していくためには公務員の定年を引き上げて職員の能力を最大限活用すべきではないかと、こういう趣旨で当時の担当であった河野太郎大臣に質問をいたしました。そのときは、現行の再任用制度が定着しているし、民間も再雇用が中心なので引き上げるべきとは思っていないという御答弁しかいただけなかったわけでございます。  この問題は、平成二十三年に人事院が国家公務員の定年を六十五歳に引き上げることが適当という意見の申出を国会と政府に行ったにもかかわらず見送られたという経緯もございまして、大変長年の懸案となっているわけでございますけれども、今のままこれを放置いたしますと、年金支給開始年齢引上げのたびに再任用という、私に言わせれば問題のある雇用形態の職員が激増していくという危機感を持っております。  そして、これは単に公務員の問題だけにとどまらずに、民間も含めた国全体の労働力の問題としても大変もったいないことだと、こういうことで思っておりまして、ただでさえ人手不足の時代に突入した我が国でありますから、元気で働ける方々につきましては、少なくとも年金の支給開始年齢までは各々の能力を最大限に発揮をしていただく働き方を推進していく必要があると、このように思うわけでございます。  民間企業でも少しずつ定年引上げに取り組む企業も出てきてはおりますけれども、まだ八割以上が、これは主に人件費コストの理由ということでございましょうが、再雇用で雇用と年金の接続を図っているというのが現状でございまして、厚生労働省もいろいろ御努力いただいておりますけれども、遅々として進まないということでございます。  そこで、私は、かつて完全週休二日制度が公務員主導で社会に定着をしていったように、もはや公務員の定年を引き上げることによって我が国全体の定年を引き上げていくほかないと、このように考えまして、昨年秋の自民党一億総活躍社会推進本部においてそうしたことを訴えましたところ、本委員会委員でもいらっしゃるわけですが、ちょっと今離席されておられますが、推進本部のシニアPT座長でいらっしゃいます片山さつき先生にお誘いをいただきまして、そのプロジェクトチームの主査として公務員定年の引上げに関する提言を取りまとめまして、今年五月には自民党の提言として政府に申し入れたわけでございます。  政府におかれましては、これを受け止めていただきまして、今年六月に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一七では、公務員の定年引上げについて具体的な検討を進めると明記をしていただきました。長年の懸案がようやく動き始めたと感慨深い思いがいたしますけれども、一方で、クリアしなければならない多くの課題があるのもまた事実であると思います。  政府におかれましては、このための検討会を発足させて具体的な検討を行っていると聞き及んでおりますけれども、これまでの検討状況をお伺いいたしますとともに、次期年金支給開始年齢引上げを二〇一九年度に控えている中にあって、地方公務員の定年引上げまで考えれば、速やかに所要の法案を国会に提出すべきではないかと思うわけでございますけれども、いかがでありましょうか。政府のお考えをお願いします。
  38. 稲山文男

    政府参考人稲山文男君) お答えいたします。  少子高齢化が進展する中、高齢者活用は今後の社会の在り方考える上で極めて重要な課題であり、公務においても、高齢職員の能力及び経験を活用していくことは重要な課題であると認識してございます。  先生先ほどお話のありましたとおり、本年六月九日に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針二〇一七におきまして、公務員の定年の引上げについて具体的な検討を進めるとされました。これを受けまして、関係省庁の局長級により構成されます公務員の定年の引上げに関する検討会が設けられたところでございます。  現時点で何らかの方向性、時期が決まっているものではございませんけれども、現在、この検討会におきまして、各府省からのヒアリングなども行いながら、組織活力の維持のための施策在り方、総人件費の在り方も含めまして、様々な検討事項について幅広に議論を進めているところでございます。今後とも、必要な検討を速やかに進めてまいりたいと考えてございます。
  39. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 まだ検討段階ですからはっきりとしたものは言えないだろうと思いますが、その趣旨は十分分かっていただいていると思いますので、しっかりとそのスケジューリングも含めて御検討をお願いしたいと思いますし、しっかりとした方向性を出していただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。  今御答弁あったのは恐らく国家公務員の話だと思いますけれども、やはり私は、地方公務員の定年引上げまで含めて初めてこれは国全体に波及していくというふうに思いますので、この地方公務員の引上げスケジュールをしっかり組み込んでやっていくということが重要だと思います。しかしながら、やはり全国千七百以上の自治体で定年を引き上げるというのは、これはまた大変なことでございまして、労使交渉でありますとか、議会住民への説明でありますとか、条例や規則の改正とか、いろんな問題があるというのも私は十分承知をしているつもりでございます。  したがいまして、総務省におかれましても、この国家公務員の検討、取組に遅れることなく計画的にしっかりと準備を行っていく必要があると、こういうふうに考えておりますけれども、総務省のお考えを伺えればと思います。
  40. 佐々木浩

    政府参考人(佐々木浩君) 先ほど内閣人事局からお答えしたとおり、公務員の定年引上げについては、本年六月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇一七において、公務員の定年の引上げについて具体的な検討を進めると盛り込まれたところでございます。これを受け、公務員の定年引上げに関する検討会において具体的な検討が開始されたところであり、私自身も検討会の構成員として参加しております。  地方公務員についても、当該検討会における検討などを踏まえ、また関係者の御意見をよく伺いながら適切に対応してまいりたいと考えております。
  41. 古賀友一郎

    古賀友一郎君 まだまだ恐らく地方自治体の方では、こういう検討が行われているということ自体なかなか御存じじゃない首長さんも多いんじゃないかと思うんです。ですから、ある日突然こうなりましたと言われても地方はびっくりするばかりでございますから、こういったことをやっていますよと、まだ検討中ですけれどもという前提を置きながらも、きちんと地方とコミュニケーションを取っていくということは大変重要だと思います。そういった点も含めてしっかりと総務省におかれては準備をやっていくべきだと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと、このように思います。  いろいろ課題はあります。かつては定年の引上げによって若年者雇用を圧迫するという、こういうことで慎重な声もございましたけれども、その後、時代は進んで、今はむしろ若年者の人手不足で悩む時代となったわけでありますから、そういう意味ではこの点も大きく環境は改善をされてきたというふうに思うわけであります。そうした中で、やはり最も重要なポイント、課題というのは国民、住民の理解だと、最後はそこに行き着くという課題であります。  したがいまして、特に公務員が先行することによって、これは公務員優遇であると、こういう誤解を受けないようにしながら進めていくということが大変これは重要でございます。そのため、我が党のこのプロジェクトチームの提言においてもこの点大変腐心をいたしまして、定年引上げによって公務員の総人件費が膨張しないよう抑制すべきということも、これは一方で明記をいたしました。  政府におかれましては、そういった趣旨をしっかり酌んでいただきまして、今現状、検討段階なので答えられないことも多々あるとは存じますけれども、気持ちは十分政府もお分かりいただいていると、私はこのように理解をしておりますので、大変これは大事業でございますから遺漏なきようしっかりと着実に推進していただけますように強くお願いを申し上げまして、多少時間も残っておりますけれども、私の準備した質問は終わりましたので、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  42. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 民進党の吉川沙織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  総務大臣は、所信の中で、「政策評価における取組を通じて、EBPMの実践を推進してまいります。」と発言なさいました。我が立法府たる参議院においては、「政策評価制度に関する決議案」というものを二年前の七月八日、本会議において全会一致で可決し、その最初の項目で、「数値や明確な根拠に基づく評価を実施する」ことを行政府たる政府に、もう二年前、求めております。  政府は、EBPM、これは証拠に基づく政策立案だそうですが、この証拠に基づく政策立案の実践をうたう一方で、その証拠が廃棄されていたり、文書が作られていなかったりする事例がございます。また、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報である統計等データが不正に操作された事例もあります。  そこで、まず内閣官房に伺います。  統計等データとは何か。お願いします。
  43. 横田信孝

    政府参考人横田信孝君) 本年五月の統計改革推進会議最終取りまとめにおきましては、統計等データは、統計、統計ミクロデータ及び統計的な利活用を行うために用いられる行政記録情報と定義されております。  その内容といたしましては、個々の情報が集計された統計、それからその基となる統計調査の個々の情報、さらには統計として使われる行政記録、このようなものが含まれるものとなっております。
  44. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、今年五月十九日にまとめられた統計改革推進会議最終取りまとめ三ページ目の統計等データのところを読み上げていただいたかと思いますが、その中に行政記録情報とあります。行政記録情報について総務省に伺います。
  45. 三宅俊光

    政府参考人(三宅俊光君) お答えいたします。  統計法におきまして、行政記録情報とは、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして当該行政機関が保有するもののうち行政文書に記録されているものをいい、調査情報事業所母集団データベースに記録されている情報及び匿名データを除いたものと定義されております。
  46. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、統計法第二条第十項の定義のところを読み上げていただいたかと思います。今のは行政記録情報で、原則、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した情報でございますが、では次に、行政文書とは何かについて今度は内閣府に伺います。
  47. 田中愛智朗

    政府参考人田中愛智朗君) お答えいたします。  公文書管理法第二条第四項において、行政文書は、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものをいうというふうに規定されているところでございます。
  48. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、内閣府から公文書管理法第二条第四項の定義のところを読み上げていただいたかと思いますが、この行政文書に関しては総務省所管の情報公開法第二条第二項にも同じような、若干最後の文言が違いますが、ございます。  基本的に、行政記録情報行政機関の職員が職務上作成し又は取得した情報行政文書は行政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書、基本的にこれらがなければ政策立案、証拠に基づく政策立案は難しいということになります。でも、残念ながら、これら行政文書については作成や保存も徹底すべき基準が不十分な例があるということで、例えば昨年末に公表された経済産業省自身の統計不正について、三月九日の当委員会指摘させていただいたところではあります。  政府全体の公文書管理の状況について、総務省行政評価局が行政評価・監視を行っています。行政評価局は、「公文書管理に関する行政評価・監視」として結果を取りまとめて、今年九月二十日に全府省に対して勧告したと承知しております。  この結果に学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する行政文書の管理状況について含まれているのか否かのみ、総務省行政評価局に伺います。
  49. 讃岐建

    政府参考人(讃岐建君) お答えいたします。  この調査は、原子力規制委員会に対する引継ぎ文書の紛失などを契機として、歴史的に重要な行政文書に関する管理状況が不徹底ではないかという問題意識により、保存期間が一年以上の行政文書を対象として調査実施したものです。  そのため、平成二十六年に公布された法律などの文書を調査対象としており、御指摘行政文書の管理状況については調査しておりません。
  50. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 参議院は、三月六日、国会法第百五条に基づき、本件に関して会計検査院に対する検査要請を議決し、この結果が会計検査院法第三十条の三に基づき、先月、報告されております。この報告の百十五ページには、「所見」として、「本件土地の売却等をめぐっては、国会で質疑が行われ、報道等も頻繁に行われており、国民の関心が極めて高いものとなっている。」とあります。  行政評価局は、例えば機動的な調査として調査期間を延ばしたり、対象を追加したりということはお考えにならなかったんでしょうか。
  51. 讃岐建

    政府参考人(讃岐建君) お答えいたします。  この調査の開始後、御指摘の森友学園問題などを契機として、保存期間一年未満の行政文書の在り方等が国会等で議論となりました。  これにつきましては、この問題をも踏まえ、文書管理制度を所管する内閣府において議論が進められたことから、総務省としてはその議論を見守ることとし、あえて行政評価局の調査対象に追加することとはしなかったものであります。
  52. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 先ほどの答弁で引用されたのは、平成二十八年四月に総務省が出した平成二十八年度行政評価等プログラムの中に、「行政評価局調査テーマの概要」で、「公文書等管理に関する行政評価・監視」、その中で、「平成二十四年度には、原子力安全・保安院から原子力規制委員会に引き継ぐ行政文書百四十二ファイルの紛失も発覚」、こういった事象がある等の背景事情が説明されていて、それに基づいて調査をされたということはもう重々承知しています。でも、たまたま調査しているときにこれだけ大きな問題があって、書類が作られていない、例えば財務省だって評価調書を作っていなくて予定価格決めたりもしていますし、そんないろんな問題が起こってきた中で、もちろん公文書管理の関係もやっているのは承知していますが、それは行政評価局としてはやらないという判断だったということでよろしいんですね。
  53. 讃岐建

    政府参考人(讃岐建君) お答えいたします。  行政評価局の調査機能の発揮に当たりましては、行政制度運営そのものの改善を図る観点から、改善を要すると考えられる問題の発生状況とその問題への関係府省の対応状況を見ながら調査の必要性を検討しているところでございます。  本問題に関しては、公文書管理制度を所管する内閣府において議論が進められていたことから、その議論を見守ることとしたものであります。
  54. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 内閣府において議論がされているということは承知をしております。  ただ、先月十一月三十日の参議院予算委員会でも総務大臣は答弁されていましたし、総務省行政評価局は政府内における第三者的な評価専門機関を自任しておられます。問題点を実証的に把握し、行政評価・監視を優先すべきだったのではないでしょうか。ほかの府省とは異なる立場から勧告を出せる、これが行政評価局の機能です。事実、平成二十八年二月二十三日、政策評価審議会行政評価局調査テーマ選定に関する中長期的な考え方というのを取りまとめています。この中に、「行政評価局調査は、政府内にあって施策事業の担当府省とは異なる立場からしがらみなく、また、一府省内だけでなく、府省全体を俯瞰し横断的な観点からチェックを行うという点がその独自の強みであると言える。」とされています。  行政文書の管理に関するガイドラインの年内改正に向けて、総理も四日間行われた衆参の予算委員会で同じ文言の答弁を何度も繰り返されていましたけれども、行政評価局は内閣府がやっているガイドラインの改正に合わせてやったということであれば、これはしがらみがあったということになりやしませんか。いかがですか。
  55. 讃岐建

    政府参考人(讃岐建君) お答えいたします。  総務省行政評価局は、政府内にあって、施策事業を担う各府省とは異なる立場から行政の評価・監視を行い、行政の適正性の確保等を図る役割を担っております。  今回の事案に関しましては、国会等の議論の中で御指摘があったことを踏まえ、公文書の管理について、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の趣旨をより徹底するため、公文書の管理に関するガイドラインの改正を年内に行うなど、関係府省において適切に対応することとされておりますので、まずは関係府省における対応状況を注視してまいりたいと考えております。  総務省としましては、必要な場合には行政評価・監視機能を適切に発揮し、行政運営の改善に努めてまいりたいと考えています。
  56. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 では、少し違う観点からまた行政評価局に伺いたいと思います。  今回のこの勧告につきましては九月二十日に各府省に対して行われたと承知しておりますということは先ほど申し上げました。でも、この日は閣議が行われていません。ほかの行政評価・監視の勧告例は、実は今までの、平成二十四年の四月以降全部調べましたら、勧告を行う日に閣議で総務大臣から発言があるのが例でした。例えばですが、本日の閣議におきまして総務大臣から該当の大臣に対して行政評価・監視の結果に基づく勧告を行う旨発言しました、と総務大臣閣議後記者会見の報告ぶりが見られます。  私は行政評価局の監視の内容についてはいつも拝見しておりますので、大体閣議で総務大臣の発言があってから勧告が出ている、若しくは同日に出ている。それで、ずっと突合して調べましたところ、平成二十四年四月以降、全ての勧告は勧告と同日の閣議において報告がなされています。今回は九月二十日に勧告を行って、総務大臣が閣議で発言したのは、初めての例だと思うんですね、平成二十四年四月以降、九月二十二日に総務大臣発言しています。  何で九月二十日に勧告を行ったんですか。
  57. 讃岐建

    政府参考人(讃岐建君) 本調査につきましては、九月の二十日に勧告を行って公表をしてございます。これにつきましては、同日、九月二十日に、公文書管理委員会におきましてこの勧告以外に行政文書の管理に関する議論が行われ、そこで各省に対する通知などについての議論と公表が行われたところであります。これらを合わせて公表することによって、改善を行う各府省に適切に情報が伝わり、対応ができるように、こういう趣旨で九月の二十日に公表したものでございます。  また、閣議につきましては、委員指摘のとおり、その後の九月の二十二日の閣議において総務大臣から勧告について報告をさせていただいております。
  58. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 平成二十四年四月以降、行政評価局が行った勧告は全部閣議と同じ日に大臣が発言をされていました。これは民主党政権のときも自民党政権のときも一緒です。この日だけ違うんです。だから、やっぱり内閣府が、年内総理がガイドライン改正するって言っているから、それに合わせて、第五十七回公文書管理委員会は確かに九月二十日十時半から開かれていて、その議事次第にも公文書管理に関する行政評価・監視の結果についてと載っていますけれども、このスケジュールに合わせて、総務省行政評価局はほかの府省とは異なる立場から勧告を行えるのにこれに引っ張られていつもと違う形で公表したというのは、私はとても残念に思っています。  でも、これら、森友問題でも行政文書なかったわけですけれども、政策立案の基となる行政文書が適切に保存されていなければ、EBPMとやらを推進しようとしても証拠に基づく政策立案の妨げになるのではないかと思っています。  また、先ほど答弁いただきました行政記録情報を含む統計等データについても同様です。その信憑性は絶対的に求められる条件です。そこで、三月九日に取り上げた経済産業省における統計不正操作について、その後の取組について確認をさせていただければと思います。  我が国において、五十六ある基幹統計のうち十二を所管する経済産業省において、昨年末、本当に昨年末でした、統計不正操作が発覚し、当該不正統計については事案の公表と同時にその廃止まで発表をしています。本件に関しては、残念ながら内部からの告発ではなくて外部からの指摘で発覚した、つまり自浄作用が働いていなかったこと、また第百五回、第百六回の統計委員会においては統計委員長がこの件はデータの捏造であると明言していることなど、課題は多くあり、さらには、第百五回統計委員会で経済産業省が出した報告書は突き返されて、第百六回統計委員会で再提出してようやく認められたということがありました。  統計不正操作の際に、その不正を行うということが課長了解事項として決定したにもかかわらず行政文書の作成、保存が行われていなかったことに関し、経産省が第百六回統計委員会に提出した報告書では、文書の保存については記載があるものの、作成についてはありませんでした。そこで、三月九日の質疑で経産省に問うたところ、「ただいまの議員の御指摘を踏まえてしっかりやっていきたいというふうに思っております。」と答弁がありました。  あれから九か月経過しております。再発防止に向けて行政文書の作成も徹底されたのかどうか、経済産業省に伺います。
  59. 渡邊厚夫

    政府参考人(渡邊厚夫君) お答えします。  文書作成につきましては、本委員会での議員からの御指摘も踏まえ、統計調査ごとに作成することとしている実施マニュアルの中に適切に文書作成をするよう盛り込むことによって省内徹底をいたしたところでございます。
  60. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 取組が進んでいるようですので、今後は二度とやっぱり、一般統計でしたけれども、公的統計の信頼性を揺るがしかねないような残念ながら事案でございましたので、是非しっかりそのとおりに進めていただければと思います。  また、経済産業省が監督官庁である商工中金において、残念ながら多くの不正が見付かりました。  商工中金法の直近の法改正は二年前の常会でしたが、当時、私、そのときだけこの総務委員会を離れて経済産業委員長の任にありました。各会派質疑を中立公正の立場で拝聴する中で、当分の間としつつも完全民営化を無期限に先送りして本当にいいのか否か等の思いも抱きながら議場で委員長報告をしたということを今も鮮明に覚えています。  今回、商工中金で多くの不正が見付かった中に、商工中金が毎月実施している中小企業月次景況観測の統計不正も含まれていました。調査先千社のうち、聞き取りを行わずに担当者自身が調査票を自作したことのある調査先が、少なくとも千社のうち百四十二社あることが判明したということを商工中金自身が今年十月二十七日に発表していますが、確認調査継続中となっています。  現在、監督官庁たる経済産業省や中小企業庁は、この百四十二から増えてしまったのかどうか調査状況をしっかり把握されているかどうか、中小企業庁次長に伺います。
  61. 吉野恭司

    政府参考人(吉野恭司君) お答えいたします。  まず、商工中金の危機対応業務における不正事案につきましては極めて大きな問題で大変遺憾なことと考えておりまして、中小企業庁としても重く受け止めております。  本事案につきましては、これまで二十二万件の全件調査や主務省による立入検査によりまして徹底的に問題を洗い出して全容を解明することに注力をしてきております。その過程において危機対応業務以外の分野でも不正行為や不適切な行為が判明しておりまして、御指摘の中小企業月次景況観測もその一つでございます。  この調査は統計法に基づく政府統計ではございませんが、商工中金が、先ほど御指摘がありましたように、自らの取引先のうち千社を対象に電話での聞き取り等を通じましてアンケートを行いまして、その結果をDIという形でレポートとして毎月発表しているものでございます。  今回判明した不適切な事案、これも御指摘のとおりでありますが、アンケート調査の過程におきまして、職員が実際には取引先に対する電話等による聞き取りを行うことなく調査票を自作する等の行為を行っていたものでございます。十月時点では、これも御指摘のとおり、同様のこの不適切な行為が百四十二先あったということが判明しております。  このような調査レポートの信頼性を損なう不適切な行為の判明を受けまして、商工中金では当面はその調査実施、公表を中止した上で、当面の、と同様の行為がないかについて更なる統計調査実施しているところでございます。これは、これまで聞いておりますところでありますと、いま少しやはり事例があるんではなかろうかというふうに推察をしているところでございます。  今後につきましては、この継続調査の結果を踏まえて対応方針を検討していくことと認識しておりまして、主務省としてもしっかりと監督をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  62. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今の中企庁次長の答弁の中に、いま少しあるということは、残念ながら百四十二社プラスで出てしまうということかと思いますが、この担当者自身が勝手に調査票を書いていたというような不正がいつから行われていたかということも含めて、いまだ調査中ということでよろしいですか。
  63. 吉野恭司

    政府参考人(吉野恭司君) お答えをいたします。  そうした過去の経緯も含めて調査中でございます。
  64. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 先ほど申し上げた、昨年末に発覚をした経済産業省自身が行っている公的統計については、不正発覚の事案公表と同時にその統計も、ニーズが薄いだか何だか分かりませんけど、中止を発表しています。でも、今回の商工中金の統計に関しては、取りあえず公表は中止しているが、廃止とはおっしゃっていません。これはもうまた再開、不正の原因と現状が明らかになったら再開をする有用性の高いやっぱり調査ということでよろしいですか。
  65. 吉野恭司

    政府参考人(吉野恭司君) お答えをいたします。  この商工中金の調査でございますけれども、月次で全国ベースでやっている調査ということではほかに例のない調査でございまして、重要性があるとは思っております。ただ、今回の事案の中身、更に調査をした上で今後検討していきたいと思っております。
  66. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 残念ながら、この統計不正以外にも多くの不正が行われていたということもありますので、立法府としてもしっかりチェックをしていきたいと思っています。  この経産省の不正事案をきっかけとして統計法をいろいろ勉強したんですけれども、平成十九年に統計法は全部改正されています。基幹統計調査、一般統計調査に当たってはそれぞれ総務大臣の事前承認制となっていて、それ以降、事後的にチェックする法的担保はありません。その仕組みは要るのではないかということを三月九日の質疑で前総務大臣に問うたところ、「事後の状況を適切にチェックして改善につなげる方策に取り組んでまいります。」と答弁がありました。  次期統計法改正時には事後チェックの仕組みが法的に担保される見込みか否かを総務省に伺います。
  67. 三宅俊光

    政府参考人(三宅俊光君) お答えいたします。  総務省では、各府省の統計調査実施、変更に当たりまして事前に審査を行っているところでございます。それに加えまして、今年度前半には五十一件の基幹統計調査を対象に統計の精度に関する検査を実施をしております。このように、事後のフォローをしっかりとするような体制を整えましてやっているところでございます。  今後、こうした検査を、統計改革の一環で新しく事後チェックの仕組みで導入する統計棚卸しでありますとか品質評価の活動の中でしっかりと発展的に取り組んでいくということで、引き続き個別の統計の改善を推進してまいる所存でございます。
  68. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 是非、統計改革の中で統計法改正も予定されているようなことが政府の文書に書かれていますので、その際は事後チェックをしっかり入れていただきたいと思います。  先ほど指摘しました、昨年末に公表された、発覚をした経産省の統計不正事案を契機に、総務省は統計法遵守に関する各府省等所管の統計調査等一斉点検を行っています。前回の質疑のときはまだ調査結果、報告結果の取りまとめ中だったんですが、その結果については四月二十日に公表されています。  まず、最初に一つ確認させてください。経産省のように公的統計そのものをいじってしまったような不正はあったかなかったか、総務省に伺います。あったかなかったかだけで結構です。
  69. 三宅俊光

    政府参考人(三宅俊光君) お答えいたします。  一斉点検の結果、繊維流通統計調査のような、公的統計の信頼を損なうような事案はございませんでした。
  70. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 公的統計の信頼を損なうような例はなかったということでございますが、では、届出、事前に承認を総務大臣からもらって、それと内容が違っていた手続上の問題がある例はあったのかなかったのか、もしあるとすれば何調査中何調査あったか、その数字のみでいいのでお答えください。
  71. 三宅俊光

    政府参考人(三宅俊光君) 御指摘の一斉点検の結果でございますけれども、三百七十二の調査のうち、手続上の問題のある事例は百三十八調査でございました。その多くが公表の遅延でございました。  以上でございます。
  72. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 大変な取りまとめ、経産省の事例が奇貨としてやられたことですが、若干とはいえ、公表の遅延が九十五だと承知しておりますが、やっぱり事前に届け出たものと違うことが行われているということもありますので、これはしっかり事後チェックを担保して見ていってほしいと思います。  また、政府自身が統計改革、統計改革とうたう中、しかも、九月一日、総務大臣、閣議後の記者会見で私は統計が非常に好きと発言もされていますし、そういう中で人的体制、リソースの確保、それから人材育成、そういった観点でもこれから求められる、統計に求められる信頼性とかチェック体制とか必要になると思いますので、その辺もしっかりやっていかなきゃいけないことだと思っています。  少し違う観点からお伺いをさせていただければと思います。  大臣は、先日の所信の中で、「本格的な人口減少高齢化の中で、地方公共団体が持続可能な形で行政サービスが提供できるよう、高齢者人口が最大となる二〇四〇年頃の行政課題を整理し、今後早急に取り組むべき対応策を検討してまいります。」と発言されました。その中で、私自身がその世代であります就職氷河期世代が抱える行政課題について少し問うていきたいと思います。  就職氷河期世代は今三十五歳から四十歳代前半を迎えていて、一般には現役世代の中軸として社会を支え、牽引する役割が期待をされています。しかし、基幹統計である総務省の労働力調査によれば、この世代が非正規である理由として、四割もの方が正規の職員、従業員の仕事がないことを挙げています。ほかの年齢層と比べても不本意非正規の割合が高いです。  就職氷河期世代が正社員になれなかったことによる経済的損失を正しく把握し、証拠に基づく政策立案の必要性については、五年前の社会保障と税の一体改革特別委員会指摘し、税収に与える影響額について財務大臣総務大臣それぞれから答弁があり、当時は国税についてはマイナス五百億円程度地方税については大体一千億円程度と答弁がありました。  あれから五年たちました。現在の影響額について、財務省と総務省にそれぞれ伺います。
  73. 田島淳志

    政府参考人(田島淳志君) お答えいたします。  国税は所得税、法人税、消費税などがあり、また税収は経済、社会の様々な動向の影響を受けますことから、試算自体なかなか難しい面がございます。また、試算ではありましても、その結果は幅を持って捉える必要があると考えてございます。  その上で、労働力調査や賃金構造基本統計調査を用いまして、一定の仮定を置いて御指摘のいわゆる就職氷河期世代として三十代半ばから四十代前半の非正規雇用者の方々が正規雇用と同じ年収を得ていないことによる所得税収への減収影響を試算いたしますと、幅を持って捉える必要はございますが、マイナス七百億円程度の減収影響となります。  以上です。
  74. 内藤尚志

    政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。  国税と同様、税収に直接どのような影響を与えるかを試算することは難しい面もございまして、幅を持って捉える必要はございますけれども、同様の仮定を置いて、平成二十八年における三十五歳から四十四歳の非正規雇用者が正規雇用者と同じ年収を得ていないことによる個人住民税への減収影響を試算いたしますと、千二百億円程度の減収となっているところでございます。
  75. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 五年前は、それぞれ国税がマイナス五百億、地方税が一千億。今回御答弁いただきましたら、もちろんそれぞれ一定の仮定を置いて幅を持って考える必要はあるでしょうけれども、国税で七百億円程度地方税で一千二百億円程度。差は、マイナス幅は残念ながら大きくなってしまっています。  非正規雇用者を正規雇用にすることができれば、この世代は本来社会や組織の中心で働き手となっていなければならないはずです。この世代を正規雇用者にすることができれば、所得税、住民税など税収につながるだけではなく社会保障の面でも受け手から支える側に回ることができ、将来的な生活保護費等の負担が減り、収入が増えることで消費が増える可能性があり、経済効果も高いからこそ支援の重要性が問われると思います。  ただ、一方で就職氷河期世代の引きこもりが明らかになりつつあります。  二十一都府県が独自に行った実態把握では四十歳以上が過半数を占める自治体もあることから、内閣府に幾つか事実の確認を行いたいと思います。  まず、内閣府が引きこもりの調査平成二十二年から行っていますけれども、調査対象である十五歳から三十九歳の広義の引きこもりの推計数は直近の調査で何人でしょうか。数字だけで結構です。
  76. 和田昭夫

    政府参考人和田昭夫君) お答え申し上げます。  平成二十七年度に実施いたしました若者の生活に関する調査において、広義の引きこもりの状態にある十五歳から三十九歳までの方を推計した数は五十四万一千人であります。
  77. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 直近は約五十四・一万人、その前に行われた平成二十二年調査では約六十九・六万人であったと承知していますが、この差、十五・五万人。これ減少した要因は内閣府はどのように捉えていますか。
  78. 和田昭夫

    政府参考人和田昭夫君) お答え申し上げます。  御指摘平成二十二年度調査平成二十七年度調査との間で広義の引きこもりの推計数の差が生じた要因については、どれか一つを特定することは困難ではございますけれども、例えば調査の対象といたしました年齢層全体の人口減少、引きこもり支援のための国や地方公共団体の施策や民間団体の方々による支援取組の効果などを挙げることができるのではないかと考えております。
  79. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 十五・五万人減ってはいます。  ただ、調査対象の十五歳から三十九歳の人口は、総務省人口推計を見てみますと三千八百八十万人から三千四百四十五万人へと一割以上減っていて、約半分の七万人は自然減とも言えます。だからこそフォローアップの必要性があると思うんですが、直近の調査でこの世代が年取ったことのフォローアップの調査はしていますか、していませんか。している、していないで結構です。
  80. 和田昭夫

    政府参考人和田昭夫君) お答えいたします。  平成二十二年度に実施した調査対象となった方についての追跡調査実施しておりません。
  81. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 これだけ引きこもりが高年齢化、長期化して、また就職氷河期世代が正規雇用でないことによる国税、地方税の減収に与える影響というのが大きくなっていることが明らかになる中で、例えば実態把握をしっかりしなければいけません。でも、今内閣府が平成二十二年から行っている調査では三十九歳までしか対象ではありません。いずれの調査結果を見ても、四十歳で全ての方が就職して調査結果から抜けたということはありません。  昨年五月三十一日に提出した質問主意書でも指摘をさせていただきましたが、調査に当たっては、対象を三十九歳で区切るのではなくて四十歳以降についても対象にすべきではないかと考えますが、内閣府の見解を伺います。
  82. 和田昭夫

    政府参考人和田昭夫君) お答えいたします。  内閣府といたしましては、四十歳以上の方々についての調査実施すべく、現在、平成三十年度の予算概算要求においてその調査実施に要する経費をお願い、計上しておるところでございます。
  83. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 是非、実態を正しく把握して、EBPMとおっしゃるのであれば、是非そこの世代のことも捉えていただきたいと思います。  引きこもりが長期化、高年齢化することによって二〇四〇年頃の地方行政に与える影響も大きいと思いますが、総務大臣に御見解を伺います。
  84. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 統計というのは大変重要なことだということはもう言うまでもないし、政府においてはもちろんですけれども、私たちは議員立法を作るときもそういう統計を、やっぱりデータを前提として様々な世の中の仕組みをより良い方向に変えていこうとしているわけですから、先ほど経産省の話を聞きましたけれども、しっかり総務省総務大臣としても、私自身がそうやって吉川委員がおっしゃったように統計を大事にしている以上頑張ってやっていきたいと思っています。  今お話しの引きこもりについてですけれども、確かに対象年齢が上がっていくわけですよね。これ、同様なことが例えば重度の障害児もよくありまして、重度の障害児というのは、(者)みたいなふうに取り扱われることが間々あります。それは、昔は重度の障害児は長生きできなかったから、障害児で終わることが多いので者になる人がほとんどいないという前提、これはまだ続いていると思うんです。ですから、今障害者の問題で抱えているのは高齢化した障害、かつての児が、者が高齢者になったときの受皿がないということが別な意味で問題になっているので、これも同様の問題だと思います。  二〇四〇というのは、まさに全ての人々が超高齢社会の一員となるときにどういう地方をつくっていかなければならないかということを、とにかくいろんなことを、余分なことを考えずにダイレクトに、これだけの人が高齢者になる、地方は特に顕著である場合に、こういう問題が発生する、こういう需要が発生するということのテーマを出して、それでそれの対策のために何をするかということを決めた上で逆算して、今からできることに取り組んでいこうということを考えようとしているところです。  引きこもりの方々がそのまま高齢化した場合は当然独り暮らしで生きていく可能性が高くなるわけで、結論から言えば、独り暮らしの高齢者数というのが今後二〇四〇年に向かって増えていくだろうと。これは決して悪いという意味ではないんです、そういう方が増えていくだろうということが想定できます。  例えば、その一つには生涯未婚率の上昇、結婚しないで生きていかれる方も増えておりますし、寿命も延びておりますし、さらには、やはり大家族、三世代の世帯なんかが減少しているところを見ると、やはり独り暮らしの高齢者がもう大変増えるだろうと、主体になってくるだろうということが想定できます。  ただ、今の福祉医療なんかを見ていると、家族があっての福祉だったり家族があっての医療ということになっていますが、そういうことができなくなる。高齢者が増えるということは、また行政需要の増加という形で二〇四〇年の自治体行政影響を与えるということは十分考えられます。
  85. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 具体的な事例を引きながら、地方行政影響がなくはないという御答弁だったかと思います。  大臣が所信で発言をされた二〇四〇年頃、それから今御答弁いただいた二〇四〇年頃というのは、ちょうど私世代、本当に就職氷河期世代で、私は運と縁と巡り合わせで最初から会社員、正社員として仕事を、社会に出ることができました。でも、同世代の多くが、どれだけ卒業式の前の日まで靴の底すり減らして活動しても、非正規としてしか社会に出られなかった時代です。  この年代、二〇四〇年頃には六十五歳ぐらいの年齢になります。その世代がちゃんと働き手となってその年を迎えなければ、生活保護費なんかも増えてくることになります。基幹統計である労働力調査を見ても、賃金構造基本統計調査を見ても、この世代だけ厳しい状況に置かれたままであることが明らかになりつつあり、既にある統計等データでもそう。でも、引きこもりは、先ほど内閣府から今度の調査からは四十歳からも対象にしていただけるということでしたが、今あるものは三十九歳までのデータです。  だから、EBPMの実践とおっしゃるのであれば、そういった本当の意味で証拠に基づく政策立案が必要だと思いますが、端的に総務大臣の見解を伺います。
  86. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) いや、まさにそのとおりで、今御指摘があったような方たちがしっかりと非正規から正規に行くために、私たちは学び直し、リカレント教育というのを進めようと思っていますけど、その対象がどこにあるかというのをフォーカスしておかなければ、やはりその政策が的外れになることは間違いありません。おっしゃるとおりだと思います。
  87. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ありがとうございます。是非取り組んでいきたい課題でもありますし、立法府の立場としても見ていきたいと思います。  今日は、政策評価と統計という側面から筋を通して質問をさせていただいたつもりでございます。政策立案の前提となる公的統計や統計等データに間違いがあったり不正があったりしては、その政策立案もおかしくなってしまいますので、これらについてはこれからもしっかり見てまいります。  ありがとうございました。
  88. 森本真治

    森本真治君 大変お疲れさまでございます。民進党・新緑風会の森本真治でございます。  四十分のお時間をいただいて、ちょっと十二時過ぎまして、皆さんおなかもすくと思いますけれども、しばらくのお付き合いをどうぞよろしくお願いをいたします。野田大臣に初めての質問ということで非常に楽しみにしておりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、通告させていただいたのが、情報公開制度、公文書管理についてということでお伺いをしたいと思います。  情報公開制度総務省の所管でございますが、元々公文書管理についても情報公開法に規定されたものでございまして、不可分の関係にあるということでセットでお伺いしたいと思いますが、今、公文書管理法は内閣府ということで、今日は副大臣もお越しいただいて、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それで、まず冒頭、大臣にお伺いしたいと思います。  情報公開制度、また公文書管理制度というのは、まさにこれは民主主義の根幹を支える上で大変重要な制度であると私は認識しておりますけれども、大臣の御所見をお伺いします。
  89. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 情報公開制度は、情報公開法第一条に定めるとおり、政府がその活動について国民に対する説明責任を果たし、公正で民主的な行政推進する上で極めて重要な制度であると考えています。
  90. 森本真治

    森本真治君 当然の御答弁だというふうに思いますが、今まさに安倍政権、政府がこの重要な制度である情報公開や公文書管理についてどれだけその重要性を認識しているのかということが、まさに今問われていると思います。防衛省日報隠し問題、森友学園問題など、総務省ではありませんけれども、財務省であったり国交省の姿勢というものもあります。国民への説明責任を全うするというこの政府の責務が果たされているのか、疑問を持たざるを得ません。  まさにこの国民への説明責任を果たすという認識が今政府として低下していると言わざるを得ないと私は思いますけれども、情報公開を所管する総務大臣の認識をお伺いします。
  91. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 情報公開を通じて説明責任を的確に果たしていくためには、その前提として、行政文書が適切に作成、保存されていることが必要なんです。行政文書の作成、保存については、公文書管理法第四条において、意思決定過程や事務事業の実績を跡付け、検証することができるような文書を作成しなければならないことなどが定められています。  今御指摘があった様々な指摘を踏まえて、現在、公文書管理法を所管する内閣府において、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保等を内容とするガイドラインの改正を年内に行うことが検討されており、こうした公文書管理の質を高める取組を通じて、こちらの情報公開も更に一層充実したものになると考えています。  情報公開法を所管する私たち総務省としても、各府省等において法の適切な運用が行われるよう、情報公開制度に関する研修等を通じて法の趣旨、解釈について周知徹底を図っているところであり、引き続きしっかりと周知徹底に努めていきたいと考えています。
  92. 森本真治

    森本真治君 私は、この問題については、今本当に政府全体としてやはり危機感を持っていただいて、認識を更にもう一度考え直していただきたいというふうに思っておるんですね。  今大臣の方から総務省としての今後の取組方針なども御答弁をいただきましたけれども、先般の所信の中でもやはり私はこの問題についてはしっかりと危機感の一つとして触れてほしかったし、先般、私、国交委員会、差し替えで大臣所信も聞きましたけれども、当事者の国交省でさえも、国交大臣でさえもこの問題は言及されなかったんです、所信の演説の中で。私は、やはりその部分については、改めて国会の立場からも、今の政府に対してこの問題についてはしっかりと認識を持っていただきたいというふうに思います。  先ほど大臣から、内閣府の方でガイドラインの見直しということでお話がございました。松本副大臣、今日はありがとうございます。  今回、様々な公文書管理に関して不備があったのではないかという認識の中でガイドラインを改正をされるというふうに理解をしております。資料の一に改正案の概要ということでお配りもさせていただいて、私も見させていただいて、相当担当の方々は労力を掛けて御苦労をされてまとめられているんだなというふうにも認識をしておるわけでございますけれども、一方で、もう既に有識者の皆さんから様々な、このガイドラインを改正しても懸念が残るんではないかというような指摘がなされているのも、私も様々な報道等でも見させていただいております。  いろいろと懸念の部分についてはありますけれども、一つ一つそれを確認していくというのもなかなか時間の関係で難しいんですけれども、幾つかの例を申し上げますと、このガイドラインだけを改正しても、結局、個人メモと今回でもいろいろ問われた行政文書の違いであったり、文書の保存期間をどうするかというようなことは、結局各省庁の裁量に任されてしまうということですね、任されたままだということですね。  副大臣も、いろんな検討会などでの委員の皆さんですか、いろんな御意見等も御認識されておりますけれども、幾つかのそういう懸念ということが出されていることに対して、ガイドライン、これ示してもやはり課題として残るんではないかという、そういう懸念に対してどのように御説明をされるのかということですね、ちょっとお答えできれば説明してください。
  93. 松本文明

    ○副大臣(松本文明君) 内閣府といたしましても大変に緊張感を持ってしっかりこの公文書管理をしなきゃならぬ、強い思いを持って、各専門の先生方から成ります委員会で、このガイドラインを、改正案を今まとめていただいたところであります。  各行政機関の業務内容や取り扱う文書の性格が大変に多岐にわたっている、各行政機関の業務プロセスが非常に多岐にわたっている中で、最もよくそれらを理解する当該行政機関が行政文書管理規則を定めて行政文書の管理を行うというのが今の制度であります。  各省庁の規則は、内閣総理大臣が定めるガイドラインの規定を十分に踏まえて、公文書管理法や政令に基づいて策定をされるということであります。また、各省庁の規則がお手盛りになることは何としても防止しなきゃならない。そのために、規則の制定、変更に際しては、公文書管理委員会において第三者的観点からチェックを受けた上で内閣総理大臣の同意を得なければならないという仕組みの中で運用をされております。  各行政機関において、年内に予定しておりますガイドライン、資料でお示しをいただいたもの、今パブコメにかかっておりますが、これをしっかり踏まえて、本年度中に行政文書管理規則をそれぞれの省庁、改正をしていただく予定であります。  なお、そうした規則、これがこれでいいのかどうなのかということを、また改めて公文書管理委員会、専門家の先生方の御意見をいただく中で、第三者の意見を入れた制度へとなっております。  この仕組みを通じて、全行政機関における統一的な考え方の下での運用の確保を図ってまいりたい、こう考えております。
  94. 森本真治

    森本真治君 いろいろ事前に担当の方とお話もさせていただく中でも、これ相当やはり、完璧な制度をつくるということは相当これ困難な作業だろうなというふうにも思いながらも、かといって、国民のやはりそういう知る権利というか、政府の説明責任をどこまで果たしていくか、追求していくかということ、不断の見直しというような話も今の御答弁の中にあったというふうにも思います。  もちろん、ガイドラインでどこまでそれができるかというのと、あとは各省庁がしっかりそれについて対応できるのかということは、所管の内閣府の方でも、かなり膨大ですけれども、できるだけフォローをしていただくということと、我々も逐一国会の中でもチェックをしていくということは続けなければいけないなというふうにも思います。  その一方で、今回いろんな意見の中で、そもそものこの法改正、法律の部分について、根本的なこの本質の部分についてももう一度考え直す必要があるんじゃないかというような議論もあったかと思います。  実は、一昨日、今日資料にもお示しさせていただいておりますけれども、野党共同で我々民進党としてもこの公文書管理法の改正案というものを提出させていただいております。どこまで法律の中でそこが示せるかというところはありますけれども、少なくとも今回の法改正の中で、例えば先ほどの個人メモ、行政文書、どうなのかというようなこともありますが、今回でいえば、例えば加計学園の問題での審議会等の議事録がないというようなこともございました。閣議、一でありますけれども、審議会の議事録、閣僚会議、NSC、省議等も含めてですけれども、これについてはもう作成を義務付けましょうと、しっかりとこれはもう法律の中で規定しようというようなことなどを内容とした法改正を提案させていただいております。  是非、これについては与党の皆さんの御賛同もいただいて成立に向けて御協力もお願いしたいところではございますけれども、政府としても法改正についてのお考え、どのように考えていらっしゃるのかということもお伺いしたいと思います。
  95. 松本文明

    ○副大臣(松本文明君) 先生お話しのとおり、公文書管理について様々な御指摘をいただいております。そのことを踏まえて、行政文書の作成、保存に関する基準の明確化、文書の正確性の確保などを今回のガイドラインの内容としているところであります。  また、現在及び将来の国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的を果たしていくために、公文書を扱う職員一人一人の意識をより一層高めていく、これが最も重要なことである公文書に関する役所の文化を一新しなきゃならぬ、そういう強い思いを持って各府省職員向けの研修の充実を図りたいと、こんなことを考えておりますが、まずは、現行法の中でこうした公文書管理の質を高めるための取組を行うことがまずは重要だと、こう考えております。  こうした取組を不断に行う中で、制度の見直しの必要があれば法改正も含めて検討してまいりたいと、こう考えております。
  96. 森本真治

    森本真治君 まさにこれは政治への信頼という部分でいったら、我々もしっかりと政府また与党の皆さんともこれは真剣に前向きな議論も続けていきながら、このまさに政治の責務、国民に対する責務というのを果たしていくために努力を続けていかなければならないということも私からもお伝えをさせていただきたいと思います。  先ほど副大臣の方から、職員の意識を高めるというお話がありました。まさにそのとおり。特に今回のガイドラインでいえば、繰り返しになりますけれども、各省庁の裁量に委ねられる、各省庁の職員のまさにこれは見識であったり、モラルというものにもう委ねざるを得ないというところがあるわけでございます。  くしくもこれ、日経新聞の十一月十九日にこの問題の特集で福田康夫元総理がコメントをされているのを見たんですね。まさにこの公文書管理法を制定を主導した方でございます。個別の事案を全てガイドラインで縛るのは不可能。役人のモラルが低下しているときに公文書を全て残せと言っても意味はない。まさに最後のとりでになるのは官僚の倫理観ということです。  研修の充実というお話も先ほど御答弁でありましたが、今は、お伺いすると、この研修も各省庁に任されているというふうにも伺っています。これを機に、政府として一体的な研修の充実などというか、そういうことも考える必要があるんじゃないかというふうに思いますが、もう少しその研修の充実の中身について今考えていることがあればお伺いしたいと思います。
  97. 松本文明

    ○副大臣(松本文明君) まずは、先生、このガイドラインに従って各省庁がきちっと責任を持てる規則を各省庁で作っていただく必要があります。それを急いで作ってくださいという要請をするわけでありますが、それぞれの省庁がその案を内閣府に提出をいただいて、公文書管理委員会、この一般の方々、専門家の方々の意見を十分聞いた上で、これだったらあなたの省庁の規則はこれをしっかり守っていただければ大変いいものになるねということの中で総理の判断をいただいて、最終的にこの規則が決まってまいりますが、規則が全国に点在をする国家公務員の全てのところまできちっと熟度を上げていただくということ、この規則を十二分に理解をしていただくこと。そして、各省庁で文書管理に対するそれぞれのセクションでの責任者をしっかり置いて、公文書管理の責任者の顔が見えるということの体制をしいていくこと。そして、その上で、例えば今急いで開発を進めておりますが、e—ラーニング教材といったようなもの、これは何としても来年度には配付をしたい、出先機関の職員の皆様方も含めて各府省の全ての職員が公文書管理に関する研修を受講できるようにするといったこと等を含めて研修を充実するということに全力を挙げたいと、こう考えております。  公文書管理の質を高めるための不断の取組、これを途切れることなく進めてまいりたいと、こう考えておりますので、どうぞよろしく御指導をお願いをいたします。
  98. 森本真治

    森本真治君 ありがとうございます。  しっかりと、一過性の関心事に終わらせないようにしっかり我々としても国会の役割は果たしていきたいというふうに思います。  情報公開法についても、これも実は一昨日、我々として、この公文書管理法とセットで法案の提出を衆議院にさせていただいております。  ちょっともう時間が進んでいるんで、ちょっと参考人の方にお伺いしたいんですが、この情報公開に関して、総務省の方で行政機関情報公開法の施行の状況についてという報告書を出されて、毎年これ出されているんだと思うんですけれども、見させていただきました。  それで、実は、今回の法改正のポイントの中でも、やはり迅速性ですね、国民の知る権利に応えるために速やかにやはり情報公開をしていくということで、今これは三十日以内ということが法定でなっていると思うんですけれども、様々な諸般の事情があればこの開示の日数を延長できるということになっております。  それで、これは平成二十七年度でございますけれども、延長の手続を取ったのが六千九百八十五件ありました。全体では十万件でありますから、全体としては七%ぐらいなんですけれども、これが三十日以上を要したということで報告書に書いてあります。  それで、細かなその事情については、一年以上を要したものということで一覧があるんですけれども、一年以上を要したものが七十七件ございました。その中で、例えば資料の要求、請求が膨大な量があったりとか、そういう場合に時間を要するというような説明、一年超を要した理由の中でこれは理解ができますが、このうちの、七十七件のうちの二十四件、各省庁の一年超を要した理由の中で、要は忙しかったからという理由だけで一年超を要しているというような報告があるんですよ。  これだと、逆に、何というか、国民の信頼を高めるというよりも、行政がきちんと職務を果たしているのかというような誤解を招きかねないなというふうに私は受け取ったんですけれども、実際はもちろんいろんな理由の中であるんであれば、こういう報告の仕方も、私、ちょっと問題があるんじゃないかなというふうに思いますよ。  本当に忙しくて、なかなか資料を出す時間、資料を調える時間がなかったというのはいうのでそれはちょっと問題かもしれませんけれども、ちょっとこの書き方などについて、総務省、どのように認識持たれているのか、お伺いします。
  99. 山下哲夫

    政府参考人山下哲夫君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、開示決定、原則三十日以内ということでございますが、その延長をしているものが一定程度あるわけでございます。  今先生指摘のものは、先生もおっしゃられましたように、その期限の特例規定で、元々開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合という場合におきまして、六十日以内に行政文書の相当の部分につき開示決定をした上で残りの部分については別途通知した期限内に開示決定を行うと、こういう特例規定があるわけでございますけれども、その特例規定を適用したもののうち、その中で更に特に開示決定までに一年超を要したもの、これが十万件中百四十六件あるわけなのでございますけれども、これについての時間が掛かった理由について記載しているものでございます。というわけで、元々その開示請求に係る行政文書が著しく大量であることということを理由として特例延長を取ったものを挙げているものでございますので、その記述におきましては業務多忙と書いてございますけれども、その大量の文書について判断を行うには通常の業務の中で時間を要したという趣旨だと考えてはおります。  ただ、国民の皆様に御理解いただくという観点から、理由としてそれだけでどうかという御趣旨はよく分かりますので、今後調査において検討をしてまいりたいと思います。
  100. 森本真治

    森本真治君 御説明いただいたら分かりますけれども、これだけ見る多くの国民は全くそういうことは分かりませんので、是非報告の仕方、検討されるということですね。また大臣の方からも指示していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  地方財政について、何度も何度もこの総務委員会では議論になります。先ほども与党の先生方からも取り上げられました。平成三十年度予算に関する財政審の建議が公表されて、いよいよ地方財政に関して財務省とのこれからまさに闘いを総務大臣先頭に頑張っていただかなければなりません。これはまさに党派を超えて、総務委員会では地方の立場に立って大臣に奮起を促さなければならないというふうに思います。今日は、財務省からは長峯政務官、まさに地方出身の長峯政務官が財務省に入っていただいて一緒に闘っていただけると、今日は前向きの答弁を期待をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  先ほどもあったんですけれども、今回の建議で物議を醸しているのがまさに基金の問題ですね。これまでの麻生大臣の発言も正直看過できないものがあります。経済財政諮問会議、国が借金をして地方交付税を手当てしているのに自治体は貯金を増やしているのはいかがなものかと云々というような発言もありました。それで私が心配するのは、財務省がこのような主張をされると国民が、いかにも自治体が悪いことをしているのではないかという誤解も与えかねない、そういうことを強く私は抗議させていただきたいと思います。  長峯政務官、財政審の建議が出されましたけれども、まさか本気で基金の残高規模と地方財政対策や地方交付税の問題をリンクさせようとは思っていないでしょうね。到底信じ難いんですが、真意をお聞かせください。
  101. 長峯誠

    大臣政務官(長峯誠君) お答えいたします。  平成二十三年度以降、地方が安定的に財政運営を行うことができるように、地方一般財源総額について毎年度実質的に同水準を確保する枠組みを導入しているところでございます。こうした中、近年、地方団体の基金残高の増加が続いております。毎年度赤字国債を発行して地方交付税を手当てしている現状を考えますと、国、国ももちろんそうですが、地方も通じた財政資金の効率的配分につなげていくことは重要であろうというふうに感じます。  私も、地方自治体が積んでいる基金が全て悪いとは全然思っておりませんが、中身を精査しますと、例えば、基金残高が景気の動向による税収の変動へ備えるためということで積んであるんですが、リーマン・ショック後もずっと増え続けているとか、本当はこういう変動に合わせるために、そのとき使うために積んでいるはずの基金がその後も増えているとか、よくよく見ますと、確かに見直さなければいけないようなところもあるかなというふうには思っております。  そうした点も踏まえながら、年末の地方財政対策の策定に向けまして総務省と十分に協議をさせていただきたいと存じます。
  102. 森本真治

    森本真治君 もう一つ、政務官、基金残高が増加しているということは、これは地方財政に余裕が出ているというふうに政務官は思われますか。イコールということになりますか、それは。
  103. 長峯誠

    大臣政務官(長峯誠君) それはイコールではないと考えます。
  104. 森本真治

    森本真治君 ちょっと、局長の方で結構でございますが、国に借金までさせて自治体が貯金をため込むようなという麻生大臣の発言がありました。そういう話では私、当然ないというふうに思いますし、基金が積み上がっているから地方財政に余裕があるという、そうではないというような今政務官のお話もありましたけれども、そういうふうに受け取れるような財務省の姿勢ですよ。  この論法はやはりおかしいということで、国民に誤った認識を持たれてしまいますので明確に反論をしていただきたいと思いますが、局長、よろしくお願いします。
  105. 黒田武一郎

    政府参考人黒田武一郎君) お答えいたします。  今、国が借金をしてまでという御指摘でございますけれども、本来的には地方交付税の不足分につきましては交付税率の変更あるいは様々な行政制度の変更によって確保するというのが基本でございます。それは非常に難しいものですから、最終的な財源不足分を国と地方が折半してお互いの責任を持って負担し合うということになっておりますので、その国の責任の部分につきまして財源云々というのは、地方団体にとってはそこは理解を得られない指摘だと思いますし、それは当然の国の責任として二分の一を負担されているものだというふうに我々も考えておりますので、それを前提に様々な議論をしていきたいと考えております。  とにかく、地方団体の財政運営におきましては、この臨時財政対策債のように法律で例外的に認められる範囲内でのみ発行は可能である、そういうものは法律で認められる範囲内でのみ発行は可能ですから、年度間でありますとか年度内における歳入歳出の様々な変動は最終的には基金によって対応すると、これは制度の前提でございますので、これについてはしっかりと主張してまいりたいと考えております。
  106. 森本真治

    森本真治君 基金残高が増加しているということについて少し懸念を持たれている中で、百歩譲ってですよ、まあ百歩も譲っちゃいけないんですけど、一歩も譲っちゃいけないんですけど、適正な積立額、基金の積立額というのがあるとして、大体そういう理屈、そういう論理というのがあるかですよ、要は。局長、どうなんです、その辺りは。ちょっとため過ぎているね、基金をため過ぎているというようなことを思うことが、そういう論理は成り立ちますかね。
  107. 黒田武一郎

    政府参考人黒田武一郎君) 個別の地方団体で財政規模に応じて基金残高が高過ぎるという指摘がございますが、私ども調査いたしますと、それぞれ具体の理由を持って積み立てているケースがほとんどでございますので、そこについては一個一個の問題だと思っております。  この基金の積立額につきましては、それぞれの地方公共団体が財政運営において考慮すべき事項につきまして、災害とか経済状況など地域状況に応じて様々でございます。したがいまして、国としてこの地方団体の基金残高の適切な規模について判断する基準をお示しするようなものではないというふうに考えております。
  108. 森本真治

    森本真治君 この基金残高、基金の残高のことを地方財政の財政力を見る上で判断するということは恐らく不可能なんですよ。是非、政務官、麻生大臣にもしっかりとこの委員会の報告をしていただいて今後の折衝に当たっていただくということを強くお願いをさせていただきたいというふうに思います。  もう一つ財務省の方に、政務官の方にお伺いしますが、今回の論法は、直接基金に手を付けるわけではないけれども、先ほど来繰り返しになりますけれども、実質、基金をため込み過ぎることが良くないみたいな印象を受け取ります。まさにこれは自治体の財政に国が介入することになりかねないというふうに私は思いますね。自治体の自主的な財政運営、ひいてはこれ地方自治の本旨からも大問題だと思いますけれども、政務官の認識を聞きたいと思います。
  109. 長峯誠

    大臣政務官(長峯誠君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、基金残高全体がやっぱり増加し続けているという点について、これは決して国が介入するということではなくて、国も地方も両方通じて財政資金を効率的に配分していく方法はどういうものがあるのかということを議論することは大変重要なことだというふうに思っております。  そういう意味で、年末の地方財政対策の策定に向けまして、総務省とよく協議をしてまいりたいというふうに考えております。
  110. 森本真治

    森本真治君 大変重要なことだとは思わないということを私は申し伝えたいと思います。  それと、もう一つ確認したいのが地方交付税の考え方で、政務官はよく御存じだとは思うんですけれども、あえて聞かせてください。  地方交付税というのは、これは本来、地方固有の財源、地方税ですよ、これは。直接地方に入ってもいいんですけれども、一旦国がお預かりをして財政調整をして地方にお渡ししているという、それにすぎないということだと思うんですね。財務省が地方交付税の、まさに国がですね、この地方交付税の額などについてとやかく言うこと自体が、これはやはり地方の財源に手を突っ込むことに私はなるというふうに思います。政務官の認識をお伺いしたいと思います。
  111. 長峯誠

    大臣政務官(長峯誠君) 御案内のとおり、地方交付税につきまして財務省と総務省で協議をするのはマクロの話でございまして、ミクロの方の個別の自治体在り方についてこういった議論をしていくということではございません。  そういう中で、ただ、国、地方を通じて財源配分についてはやっぱりPDCAサイクルをしっかりとチェックしていくことが効率的な財政の使い方につながって、それがひいては地方活性化にもつながっていくと、そういう考え方の中で、やはり公金の使い方についてはPDCAのチェックをしっかりと回していくことが重要だろうというふうに考えております。
  112. 森本真治

    森本真治君 特別国会はもう総務委員会は恐らく今日が最後で、次、委員会議論できるのはもう通常国会、いよいよ来年度予算についての議論にもなってくるかと思いますけれども、是非また総務委員会にもお越しいただいて、いろんな議論はさせていただきたいというふうに思います。  ちょっと大臣の方に一つ、ちょっと通告をきちんとしていたかどうか定かでないんですけど、まち・ひと・しごと創事業費についてもこれ財政審の建議の中で指摘されているんですけれども、この財政審の指摘について、ちょっと見解があれば。
  113. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 財政制度等審議会でいろいろ、まち・ひと・しごと創事業費を財源として活用した事業実績、成果を把握し、計上の合理性の検証を行う必要があるという、そういう趣旨のことについてですね。  地方団体地域の実情に応じて自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組めるよう、平成二十七年度以降、地方財政計画にまち・ひと・しごと創事業費を一兆円計上して財源を確保しているところです。  地方交付税というのは使途に制限のない一般財源であることから、この財源を具体的にどのように活用するかについては各地方団体が自主的に判断するものであり、その実績や成果は地方議会等においてしっかり検証が行われるべきものだと私は考えております。
  114. 森本真治

    森本真治君 ちょっと、先ほどの私、基金の話とは違って、このまち・ひと・しごと創事業費の部分については少し議論をしなければいけないかなというところもあるんです。  今日はちょっと地方創生の話はもうできないんですけれども、地方創生への各自治体取組ですよ、ここの部分について、これはちょっと総務省なのか内閣府なのかというところは出てきますけれども、財政審でも効果の検証というか、そういうような部分については何らかの形でちょっと考えていく必要もないとどこまで効果的にこの地方創生が進んでいるのかなというところも、思わざるを得ないところもあるんですね。ちょっともう時間がないので、少し問題提起だけをさせていただいて、ちょっとまた次回以降にこの地方創生という部分でのお金のことについても少し議論もさせていただきたいという、ちょっと前出しだけさせていただいて。  もう時間がないので、ちょっと今日確認だけしたかったことがふるさと納税。ふるさと納税で大臣が、これ朝日新聞とか産経新聞で、これまでの高市大臣時代に出した通知のことについて少し方針転換をするような趣旨のインタビュー記事見たんですけれども、ちょっとこの真意ですね、済みません。
  115. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 御承知のように、ふるさと納税というのは、ふるさとや、であった地方団体を応援する気持ちを橋渡しをする仕組みでありまして、地方団体が自ら、先ほども財源の話が出ていますけど、財源を確保して様々な地方に必要な施策を実現する手段としては大変重要な役割を果たしていると思っています。  ふるさと納税制度の健全な発展を目指すという基本的な考え方では、高市前大臣と私は全く変わるものではないと考えているところです。
  116. 森本真治

    森本真治君 ですから、返礼品の額を三割以下とするとか、家電や貴金属、商品券など返礼品としないように求めた通知を出していた部分については、これを何か見直すみたいな記事になっていますよ。これについてはどうなんですか。
  117. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私は新たに発出はしませんですけど、その通知は維持していくというふうに発言しております。
  118. 森本真治

    森本真治君 ちょっとこの、じゃ、新聞の内容が少し誤解があるという理解でいいですね。  では、このまま引き続き、ふるさと納税の方針の下でまた新たな、逆に実効性のある施策を今後展開されていこうという話も聞いているので、またこのことについても引き続きやらせていただくということで、時間になりましたので終わらせていただきます。
  119. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  120. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会日本放送協会理事松原洋一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  122. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 休憩前に引き続き、行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、行政制度地方行財政消防行政情報通信行政等の諸施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  123. 秋野公造

    ○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立てますよう質疑をしたいと思います。  先日、インフラの老朽化対策に関する大変興味深い研究が報告をされました。このインフラの老朽化対策というのは非常に喫緊の課題でありまして、例えば橋梁につきましては、高度成長期に造られたものが大変多いことから、これから順次更新に入っていくということであります。この老朽化対策には適切な点検とその結果に基づく修繕が必要ということでありまして、これは法改正行われまして、平成二十五年道路法の改正にて、二十六年の七月から全国の橋梁やトンネルについては五年に一回の定期点検を始めたということであります。  まず最初に、国土交通省にお伺いをします。  地方公共団体における点検実施状況と、点検結果に基づく修繕の実施状況について御答弁をお願いします。
  124. 和田信貴

    政府参考人和田信貴君) お答えいたします。  橋梁の点検につきましては、今御指摘がありましたように、平成二十六年七月から、全国の橋やトンネルなどについて、国が定める統一的な基準により、五年に一度の頻度で近接目視の点検を行ってきているところであります。地方公共団体が管理する橋梁約六十六万橋のうち、平成二十六年度から二十八年度までに約三十六万橋、五四%になります、の点検が完了し、そのうち早期又は緊急に修繕が必要と判断された橋梁は約四万橋、一一%となってございます。この約四万橋のうち修繕に着手した橋梁は平成二十八年度末の段階で約三千四百橋、九%となっております。  引き続き、修繕の必要性や実施に当たっての課題等について道路メンテナンス会議の場を通じて共有するなど、地方公共団体が橋梁の修繕について早期に着手するよう取組を進めてまいりたいと思っております。
  125. 秋野公造

    ○秋野公造君 今御答弁いただきましたことは資料の一にもお示しをさせていただいておりますが、点検はおおむね計画どおりに進んでいるということでありますが、修繕が進んでいないということであります。  資料二、御覧いただきますと、土木学会による研究報告、堤教授によります報告でありまして、これは地方公共団体が管理する橋梁等の修繕に必要な将来の費用につきまして、事後保全のケースと予防保全のケースについてそれぞれ試算をして、予防保全を選んだ場合、大幅に費用が縮減されると示されたものであります。資料一にも国交省が先に報告をしてございますが、そもそもこの事後保全と予防保全の考え方について国交省より整理をお願いをしたいと思います。
  126. 和田信貴

    政府参考人和田信貴君) お答えいたします。  橋梁等の老朽化対策においては、損傷が深刻化してから大規模な補修を行うことを事後保全型、損傷が軽微なうちに補修を行うことを予防保全型と位置付けております。事後保全型から予防保全型へ転換することにより、構造物の長寿命化やライフサイクルコストの縮減が期待されます。  直轄国道に関しましては、平成二十九年六月に、橋梁等の補修の必要額を推計し、予防保全型によるライフサイクルコスト縮減効果を示したところですが、今回、ただいま御指摘のありました土木学会研究報告におきましても、地方公共団体の橋梁に関して予防保全型によるライフサイクルコストの縮減効果が示されております。  これらを踏まえまして、集約、撤去による管理施設数の削減を図りつつ、中長期的に使用する構造物を見極めながら、事後保全型から予防保全型へと転換することにより、ライフサイクルコストの縮減を目指しているところでございます。
  127. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣にお伺いをしたいと思います。  この老朽化の問題は、地方の管理が多いということを考えますと、地方の大きな問題であります。これを、そしてこの費用をどう賄っていくかということは、これは国と地方と共通する課題でありますが、地方財政にとっても大きな課題という立場から、私もこのインフラ老朽化対策を推進する立場から経済財政諮問会議の基金について少し触れておきたいと思います。  それは増大をしているということで、総務省の結果によりましても、先ほど大臣も御答弁なさいましたが、地方公共団体には巨額の事業費が掛かる老朽化対策に対して大きな不安があるということが位置付けられたのではないかと思っています。  しかし、点検ができても修繕ができていないと、ちゅうちょをしているということを考えますと、将来に備えて基金を積み立てるということは大変重要でありますが、先ほど申し上げたように、老朽化対策は不具合が発見されてから対策を講じる事後保全型ではかえって予算大きく、財政負担が大きくなってしまうということを考えますと、基金も活用しながら予防保全型の計画的な対応、こういったものが必要になってくるのではないかと考えております。  これからインフラ老朽化対策が本格してくることや、地方公共団体が老朽化対策の基金を積み立てている、そんな状況を踏まえ、地方公共団体の計画的な老朽化対策を一層促進させるための取組が更に必要ではないかと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  128. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほど来、基金のお話がずっと各委員から出されておりまして、いろいろ経済財政諮問会議で出たことを受けて、私たちもしっかり中身を精査しなきゃいけないということで調査を行ったわけですね。それで、その調査結果の中の一つに、公共施設等の老朽化対策への備えというのが基金積立ての大きな目的の一つになっているということがよく分かりました。  これから、やっぱり財政マネジメント強化の観点から、各地方公共団体において公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行っていくことがとても今おっしゃったように大事なことになります。既にほとんどの地方公共団体において公共施設等総合管理計画の策定が完了しているところで、これからは同計画に基づいた具体の老朽化対策等の取組が本格化する段階に入ってきています。  このため、今年度から、御指摘の建築物や道路などについて、点検や診断を踏まえて効率的に長寿命化をする地方単独事業地方財政措置の対象として追加してまいります。  来年度に向けては、公共施設等の老朽化対策等に取り組む団体への地方財政措置を拡充するなど、地方公共団体が適時適切に対策を実施できる環境整備していきたいと思います。
  129. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、今拡充とおっしゃっていただきました。是非、対象範囲の拡大とそれから交付税措置の拡充を是非にお願いをしたいと思いますが、もう一言御答弁お願いしたいと思います。
  130. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 来年度に向けては、公共施設等の老朽化対策等に取り組む地方公共団体への地方財政措置を拡充するなど、地方公共団体が適時適切に対策を実施できる環境をしっかりと整備してまいります。  具体的な拡充の内容については、今委員からいただいた御提案とか地方からの要望をしっかり受け止めて、関係省庁と協議をしながら年末の地方財政対策に向けてしっかり検討してまいります。
  131. 秋野公造

    ○秋野公造君 ありがとうございます。地方の皆様、大変心強く大臣の御答弁受け止めてくださると思います。  点検はおおむね計画どおりに進んでいるんですが、この質を担保するということが重要でありまして、資料三の方には、この適正な技術力を有する技術者が点検を行うことが重要との観点から、国交省の資料を付けさせていただいております。  橋梁等の点検等を行う技術者の適正な技術力の有無を確認する上では、例えばインフラ調査士のような公共工事の品質確保に関する促進法を受けた国交大臣の登録をされた民間資格を活用すべきではないかと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  132. 和田信貴

    政府参考人和田信貴君) 橋梁等の点検につきましては、必要な知識や技能を有する技術者が行う必要があると考えております。  国土交通省では、インフラの点検や診断に必要な技術水準を満たす民間資格を登録する制度平成二十六年度に創設いたしました。現時点で道路分野におきましては委員指摘のインフラ調査士を含め合計百十の資格が登録されておりまして、登録された資格を有する技術者を点検等の業務に活用する取組を進めております。  今後は、各都道府県に設置されております道路メンテナンス会議において地方公共団体に対して周知するなど、こうした仕組みの活用を図って、我が国の産学官の技術力を結集してインフラの信頼性と安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  133. 秋野公造

    ○秋野公造君 是非総務省連携をして質の高いインフラができるようにお願いをしたいと思います。  次に、防災・減災の観点から消防飛行艇の活用につきまして質疑をしたいと思います。  私は、大規模火災の発生に備えて消防飛行艇が必要ではないかということを平成二十四年十月及び十一月、質問主意書等を提出をさせていただきまして、御見解を問うたところであります。  情報収集を続けるという御答弁でありましたが、現時点における消防飛行艇に関する有用性につきまして、消防庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  134. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  消防飛行艇につきましては、消火活動において、一機一回当たり大量の散水が可能であるとともに、高速飛行によって広範囲に散水することが可能であるため、海外における大規模林野火災では一定の効果を上げていると承知をいたしております。  一方、我が国におきましては、林野火災の空中消火活動を行う山間部ではダムや河川等から給水することが多く、狭隘場所であっても給水が可能であり、かつ機動性に優れたヘリコプターが多数集結することで効果的な消火活動を行っています。消火活動に当たりましては、全国消防防災ヘリコプターを効果的に活用するとともに、より大型の機体を保有する自衛隊とも連携を図ってきております。  消防飛行艇につきましては、消防防災ヘリコプターに比べて一機一回当たりの大量散水が可能である一方で、ヘリコプターより高い飛行高度から散水することになるため、一地点当たりに投下されます水量の指標であります散水密度が低下することになります。また、安全性の観点からヘリと空域を分ける必要があり、ヘリと同時の運用が難しいため運用の効率も低下すると考えられます。そして、ヘリと比較しまして大きな初期投資、維持管理費用が必要になるとともに、機体によって特別な操縦資格が必要にもなります。こういったことなどの課題があると考えております。
  135. 秋野公造

    ○秋野公造君 今課題を挙げていただいたところでありますが、一方で、自衛隊との連携という御答弁もありました。当時、自衛隊が保有するUS2を消防飛行艇として活用すればどうかと御指摘をいたしましたが、現時点における考え方をお示しいただきたいと思います。
  136. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  御指摘の自衛隊が保有します救難飛行艇US2につきましては、消防庁としましても、関係者へのヒアリング等を通じまして、基本的な性能やその運用の実態、課題などにつきまして情報を収集してまいりました。  自衛隊が保有する救難飛行艇US2を消防飛行艇として改造及び機能を付加することは技術的に可能であると見込まれる一方で、延焼抑制に必要な散水密度を保ちながらの運航が可能かどうかなどの課題もあると考えております。
  137. 秋野公造

    ○秋野公造君 五年前とほとんど答弁が変わらないわけでありますが、例えばその前提についてお伺いをしたいと思います。  高度それから空域、こういったものについてどのような前提で設定をしているのか、認識をしているのか、改めてお答えをいただきたいと思います。
  138. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  高度につきましては、飛行艇はヘリコプターと比較しまして高い高度での飛行が基本となり、関係者からの聞き取りによりますと、飛行高度である三百メートル上空からの散水では、延焼抑制に必要な散水密度、これを一平方メートル当たり二リットルというふうに考えておりますが、これを下回っていくことになってまいります。  空域につきましては、飛行速度の異なるヘリコプターと固定翼機が同時に活動する場合には、関係者からの聞き取りによれば、飛行の安全性を確保するため空域を分離して活動することが必要であるといったことでございまして、ある程度限定されました地点の消火活動におきましては同時の活動は難しいと考えております。
  139. 秋野公造

    ○秋野公造君 しかしながら、今、飛行高度三百メートルというお話がありましたが、航空法の規定では、人又は家屋のない地域及び水面の上空では最低安全高度は百五十メートル以上ということになっておりまして、これで計算をしますと、散水密度は半分の高度になると四倍になるということになりますと、これは効果があるという計算になるのではないかと思います。  一方で、同じ空域でヘリコプターと飛行艇は運用させないという御答弁でありましたが、今日、資料四を付けさせていただいておりますが、海外の写真であります。飛行艇の方が低く飛んでいる写真でありまして、かつ、防衛省におきましては、訓令におきまして、自衛隊の航空機の飛行はほかの航空機と六百メートルの水平距離又は百五十メートルの垂直距離を保たなければならないということ、これがルールでありまして、そういうことを考えますと、同じ空域の中で運用することができないという前提も、高度が三百メートルありきという前提も少し見直さなくてはならないかと思うんですが、消防庁の試算、どのように行ったのか、ちょっと確認をしておきたいと思います。
  140. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  先ほど答弁いたしました一平方メートル当たり二リットルといった延焼抑制に必要な散水密度の設定などの空中消火技術に関しますものは、消防庁等におきまして実験を行うなどの研究により得られた知見に基づいております。また、必要な飛行高度や空域に関しましては、関係法令の規定や、実際の運航実態につきまして関係者への聞き取りを行うなどして得られました知見を基にいたしております。試算につきましては、これらを踏まえて消防庁において行ったものでございます。  ただ、委員から今幾つかの知見もいただきましたので、こういったふうなお話を賜りましたことを受けまして、飛行高度とか空域に関しましては改めて関係者への聞き取りを行っていきたいと考えております。
  141. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣にお伺いをしたいと思います。  前提が若干変わってきているようでありまして、この飛行艇の活用につきましては、新しい前提で検討を進めていく必要があるかと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  142. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 空中消火には火災現場に地上から接近できない場合に迅速に到着して消火活動を行えるなどの優位性があることから、消防庁でも幅広く研究や検討を重ねております。現在、林野火災に際しては、今話があったように、ヘリコプターを用いた消火活動が効果的に実施されているところです。  一方、消防飛行艇については、今、秋野委員から様々な、今まで消防庁が五年前言ったのにちゃんと調査していなかったというようなことを指摘されまして、百五十メートルとか、又はこの写真を見て飛行艇の方が下を飛んでいるじゃないかとか、そういう指摘をいただきましたので、今次長も申し上げたとおり、いま一度消防庁において委員指摘消防飛行艇に関する情報収集しっかりして、そして必要な検討を行うようしっかり指示いたします。
  143. 秋野公造

    ○秋野公造君 大臣、ありがとうございます。  次に、災害時の避難対策についてお伺いしたいと思います。  様々な被災地を回りまして、なかなか議論をしにくいんですが、課題になるのがやはりトイレであります。  トイレの確保というのは非常に重要で、最近は例えば公共事業等においても快適なトイレといったようなものが推進されるなど、避難所における快適なトイレ、私は中でも車とトイレを一体化させたようなトイレカーの配備などを行うことによって避難所の環境整備を促進させるべきではないかと考えますが、現状と考え方についてお伺いをしたいと思います。
  144. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  災害時におきます避難所等のトイレ対策につきましては、避難者の健康管理はもとより、避難所の衛生対策を進めていく上でも大変重要な課題と認識をいたしております。  このため、消防庁では昨年四月に、地方公共団体に対しまして、内閣府が作成をいたしました、避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを周知いたしまして、災害時のトイレにつきまして安全性や快適性に配慮するなど、避難所の生活環境向上に資する取組推進するよう要請をいたしております。  トイレカーにつきましてでございますけれども、そういったトイレカーを始めとします快適なトイレにつきましては、民間事業者と事前に協定を結ぶなど、災害時に配備、活用されることも期待されていったりとかしております。  こういったような取組を進めていきまして、快適な避難所のトイレの環境につきましても整備を進めていくことを推進していきたいと考えております。
  145. 秋野公造

    ○秋野公造君 女性職員あるいは女性の団員の活躍も期待をしたいところでありますが、こういった方々にとってもこの災害現場におけるトイレ対策というのは重要であります。今後どのように取り組んでいくつもりか、御見解をお願いします。
  146. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  災害現場におきましても、トイレといった観点で、特に女性活躍という観点につきましても、最近、消防職員・団員につきまして女性の任用を推進することを進めておりますので、そういった観点で活動を推進していく観点でも災害現場におきますトイレ対策は重要だというふうに考えております。  現在、消防職員・団員に対しましては、災害現場におきますトイレといたしまして、仮設トイレの設置とか公共施設のトイレを借用するなどによりまして対応をやってきておりますが、消防庁ではまた、トイレなどを備えました、大規模災害発生時に隊員の消防活動の支援を行うための支援車を消防本部に貸与したりしていっております。また、緊急消防援助隊の活動といたしましてトイレカーなどをレンタルした場合の費用につきまして財政措置も行っております。  災害現場におきますトイレの設置につきましては、今後更に消防本部の実態につきまして意見をよく伺っていきまして、トイレカーを始めとしまして、快適なトイレの紹介とかレンタル業者との情報交換など、取組を進めていきたいと考えております。
  147. 秋野公造

    ○秋野公造君 もう一つお話をしたいと思いますが、資料五を御覧いただきたいと思います。これは、車椅子は押すものという発想ではなく引くものという発想でありまして、押しますと段差が障害になってバリアフリーを進めなくてはならないという議論になるんですが、引く方になりますと、これはてこの原理で、長さと支点と考えますと十分の一の力で車椅子を引くことができるということで、坂道あるいは階段でも活用が可能なものであります。  災害時に自主防災組織が車椅子利用者を迅速に避難することができるように、こういった牽引式車椅子補助装置の普及を促進すべきと考えますが、消防庁の見解、お伺いをしたいと思います。
  148. 緒方俊則

    政府参考人(緒方俊則君) お答えいたします。  御指摘の牽引式の車椅子補助装置でございますけれども、車椅子の利用者の迅速な避難のために有用なものとして、現在、各地方公共団体におきましても導入が進んでいると承知をいたしております。  自主防災組織が整備をすべき防災資機材につきましては地方交付税措置を講じておりまして、消防庁作成の自主防災組織の手引におきましても例示をいたしております。  御指摘の牽引式車椅子補助装置につきましても、更に活用が進んでまいりますように、防災資機材の一つといたしましてホームページ上でも分かりやすく例示をするとともに、研修会など様々な機会を捉えまして周知をしてまいりたいと思います。
  149. 秋野公造

    ○秋野公造君 よろしくお願いをしたいと思います。  平成二十七年度に半島振興法が改正をされました。私は、公明党の半島振興プロジェクトチームの座長として、自民党の森先生あるいは岡田先生、一緒に法案作成に当たりました。大きな改正ができたと思っておりまして、財務省そして総務省の皆さんには大変お世話になりまして、半島振興広域連携促進事業、いわゆる半島振興交付金ができたということ、二つ目には半島振興道路事業債を極めて使いやすくしていただいたというようなことで、委員長であります竹谷委員長財務政務官のときにもお世話になったということであります。  その実績についてお伺いをしたいと思いますが、まずは、半島振興広域連携促進事業、いわゆる半島振興交付金の活用状況につきまして御答弁をお願いします。
  150. 大鹿行宏

    政府参考人(大鹿行宏君) お答えいたします。  委員がただいまいわゆる半島振興交付金と御指摘をされました半島振興広域連携促進事業でありますけれども、これは半島地域の振興を図るために多様な主体が連携して実施する交流促進、産業振興、定住促進に向けた広域的な取組に対して支援を行う制度であります。  この本事業活用状況でございますが、執行官庁である国土交通省から、創設初年度の平成二十七年度は九府県、平成二十八年度は十四道府県、平成二十九年度、今年度は現時点で十六道府県の半島地域において活用されているというふうに聞いております。
  151. 秋野公造

    ○秋野公造君 これは半島内の連携が非常に進むという形で大きな政策効果を上げましたが、もう一方で、かなり期待をされました半島振興道路事業債、道路を造りやすかったわけでありますが、もう私の方で申し上げますが、ちょっと使用実績が地域的に偏っているようであります。これがニーズに即したものであれば結構なのでございますが、地方の公共団体に更に周知をする必要があるのではないかと考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  152. 池田憲治

    政府参考人池田憲治君) お答えいたします。  半島地域におきまして、道路は地域内外との人的、物的な交流の促進ですとか災害時の交通の代替性の確保などにおいて重要であり、こうした観点から、半島振興計画に基づき地方公共団体が実施する道路整備事業などにつきましては地方債を充て、元利償還金の一部を交付税措置することで事業が円滑に実施されるように図ってまいりました。さらに、御指摘ございましたように、平成二十七年の半島振興法の改正を踏まえまして、特に避難場所までの避難の円滑化につながるなどの防災機能強化に資する道路につきましては財政措置の充実を図ったところでございます。  御指摘がございましたが、この仕組みを活用している地方公共団体が必ずしも多くない傾向がございますので、国土交通省とも連携いたしまして、対象地域地方公共団体に対しまして制度の一層の周知を図り、活用が検討されるように努めてまいりたいと考えております。
  153. 秋野公造

    ○秋野公造君 どうぞよろしくお願いします。終わります。
  154. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  NHKの「プロフェッショナル」という番組があります。十一月二十日は過労死事件と向き合ってきた弁護士を取り上げ、娘や息子が過労死した御遺族の声が幾つも紹介されました。  大手広告会社勤務の娘二十四歳を過労自殺で失った母。私は娘を助けられなかった、守れなかったという自責の念でずっと来た。彼女が弱かったから自殺したんじゃないかと思われるのは不本意。彼女の尊厳を守りたいと弁護士を頼った。娘の尊厳を守ることができ、私が今生きていられる。  システムエンジニアの息子二十七歳を失った母。なぜこんなことになってしまったのか合点がいかなかった、一生懸命育ててきた子ですから。息子は、おかん、俺のことあれからどうなったときっと聞くと思って、あの子に説明してやれることをきちんと持ってからあの子に会いに行こうと。こんなことは私だけで十分、繰り返されてはならない。  胸が潰れる思いで聞きました。共通しているのは、なぜ我が子は死ぬほどまでに働いていたのか、なぜそのようなことになったのか原因を知りたい、そして、二度とこのようなことはあってほしくないという思いであります。  野田大臣、こうした御遺族の声を踏まえるなら、私は労働者が働き過ぎが原因で死んでしまうことなど絶対にあってはならないと思いますが、大臣の認識、いかがでしょうか。
  155. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 委員のおっしゃるとおりです。私も母親の一人として、子供が働き過ぎで亡くなるということは絶対あってはならないことだと思います。
  156. 山下芳生

    山下芳生君 番組では、冒頭、NHKで起きた過労死を取り上げました。二〇一三年七月、首都圏放送センターに配属されていた三十一歳の佐戸未和さんが、都議会議員選挙、参議院選挙の取材など連日の過酷な労働の中、参院選の投票日の二日後に寝室で携帯を持ったまま鬱血性心不全で亡くなり、翌年五月に過労死認定されました。  上田会長、NHKの職場でこのようなことが起こったことについてどう受け止めていますか。
  157. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  若く未来のある記者が亡くなったことは痛恨の極みです。我が子を失った御両親の思いは察するに余りあるものがあります。  過労死の労災認定を受けたことは大変重く受け止めています。公共放送を共に支える大切な仲間を失うようなことは二度とあってはならず、命と健康を守ることを最優先として、長時間労働の是正などの働き方改革に不断に取り組んでまいります。
  158. 山下芳生

    山下芳生君 番組では御両親の声も紹介されていました。佐戸未和記者の母、恵美子さん。毎日毎日、娘の遺骨を抱きながら娘の後を追って死ぬことばかり考えていました。本当に宝物だったんですね。それが本当に志半ばで、本人が一番無念だったと思います。私も主人も無念だけど、何より本人が無念だったと思います。父、守さん。未和の過労死の事実を踏まえて、その原因なりを含めて働き方改革を進めていただいて、二度と未和のような過労死が発生しないようにしていただきたいと。重い言葉だと思います。  ジャーナリストの先輩として学生時代の佐戸未和さんを指導した下村健一さんは、あんなにエネルギッシュで、ヒマワリの花のような笑顔を振りまいていたみわっちが突然いなくなった、こんな理不尽な人生の打ち切られ方があっていいのか、NHKがどんなに前途有望な若き報道人を死なせたか知っていただきたいと、追悼記事を書いておられます。  佐戸未和記者はどのような働き方をしていたのか。二〇〇五年に入局後、鹿児島放送局で勤務し、二〇一〇年から首都圏放送センターに勤務となり、主に東京都政の担当となりました。  お母さんは、四回ほど鹿児島に行ったけど一度も会えなかったこと、都庁担当となった頃、一回だけ実家に泊まりに来たが、夕食をまるで飲み込むように平らげ、ささっとカラスの行水、ヨガを済ませるとすぐお布団へ、余りのスピードぶりにぽかんとしたこと、都庁近くのホテルで昼食をごちそうしてくれたときも、ばたばたっと来て、さあっと職場に戻っていったことなどを記者会見で紹介されています。  表彰を二回ほど受けるなど、仕事はしっかりとしていた。責任感も力もある人でした。  その佐戸記者が、二〇一三年六月の都議選、七月の参院選の取材に当たる中、遺族と弁護士の調査によると、時間外労働が六月は百八十八時間、七月は二百九時間にも上り、鬱血性心不全で亡くなりました。六、七月で休みは僅か三日、日付をまたいで二十五時、二十七時まで働く日も何日も続き、徹夜状態でほぼ二十四時間働いていたこともありました。  上田会長にお聞きします。なぜこのような長時間、休日なしの労働を止められなかったのか、若い優秀な記者の死をなぜ防ぐことができなかったんでしょうか。
  159. 上田良一

    参考人上田良一君) 当時、記者には事業場外みなし労働時間制を適用していましたけれども、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力、勤務の始まりと終わり時間を上司が承認する形で把握いたしておりました。  制度上、時間外労働時間という概念はありませんでしたけれども、労働基準監督署が労災認定のために算出した直近一か月の時間外労働時間はおよそ百五十九時間と聞いております。休みについては、当時の勤務記録では、六月が三日、七月が二十二日まで一日だけだと把握しております。佐戸さんが亡くなり、労働基準監督署から過労死と認定されたことは痛恨の極みで、重く受け止めています。  当時の記者の勤務制度であります事業場外みなし労働時間制は、勤務状況に応じた十分な健康確保措置がとることができませんでした。その後、記者については、働き方プロジェクトを立ち上げまして長時間労働の改善などに取り組んできたほか、今年四月からは勤務制度を抜本的に見直して、専門業務型裁量労働制を導入し、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況に応じて段階的に健康確保措置を講じています。  NHK会長として、佐戸未和さんの過労死を重く受け止め、今後二度と過労死を出さないよう、不断に働き方改革に取り組んでまいります。
  160. 山下芳生

    山下芳生君 今会長からあったように、佐戸記者が亡くなった当時、NHKでは記者に対し事業場外労働に関するみなし労働時間制を適用していました。事業場外みなし労働時間制というのは、事業場の外での業務のために労働時間の把握ができないということで、例えば八時間なら八時間働いたとみなすという制度であります。  確認しますけれども、二〇一四年五月、渋谷労働基準監督署がNHKに指導文書を発出しております。内容はNHKから聞きましたけれども、記者に係る事業場外のみなし労働時間制の適用について、記者の業務に通常必要となる時間を調査検討し、必要に応じて見直しを図ること、また記者の働き方にふさわしい労働時間制度について必要に応じて見直しを図ること、こういう指導だったこと、間違いありませんね。イエスかノーかで。
  161. 上田良一

    参考人上田良一君) 受けております。
  162. 山下芳生

    山下芳生君 要するに、事業場外みなし労働時間制が記者にふさわしい制度だったのかということを指摘されたということであります。  しかし、じゃ、事業場外みなし労働時間制度を導入すれば、実際の労働時間、時間外労働が百時間あるいは二百時間でも問題ないのかというと、そんなことありません。労基法一条、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない。労安法三条、事業者は労働者の安全と健康を確保するようにしなくてはならないとあります。  厚労省に確認しますが、たとえどのような働き方であっても、仮に事業場外みなし労働時間制であっても、使用者は労働時間を適正に把握すべきであり、必要な健康確保措置を講ずるべきではありませんか。
  163. 土屋喜久

    政府参考人(土屋喜久君) お答え申し上げます。  労働基準法におきましては、労働時間、休日、深夜業などにつきまして規定を設けておりますことから、使用者は労働時間を適正に把握するなど、労働時間を適切に管理する責務を有しております。事業場外みなし労働時間制などが適用される労働者につきましても、健康確保を図る必要から使用者は適正な労働時間管理を行う責務があるということでございます。  また、労働安全衛生法におきましては、事業場外みなし労働時間制などが適用される労働者を含めまして、全ての労働者を対象に、時間外・休日労働時間数が百時間を超える労働者から申出があった場合には事業者が医師による面接指導を行うということを義務付けております。
  164. 山下芳生

    山下芳生君 上田会長、そういうことなんですよ。先ほど上田会長は事業場外みなし労働時間制だったら労働時間を把握なかなかできないとさらっとおっしゃいましたけど、違うんです。事業場外みなし労働時間制であっても、労働時間を把握し、適切な健康管理措置をしなければならないんです。また、望ましいと、そういうふうに指導されているんですね。ところが、NHKはそれをやっていなかったんですよ。  先ほどありましたが、私、先日、NHK職員の方に何人か直接聞きました。当時、記者は、さっきおっしゃったように、タイムカードを打刻しているんですね、確かに。しかし、それは事業場外ですから、当日じゃなくて後刻ですね、後日、本局に本人が行ったときに出勤時刻と退勤時刻を自己申告で打刻することになっていた。自己申告する場合は、本人が自分の手帳などに記録しているメモに基づいて打刻する。その頻度は一月に一回程度のこともあったというんですよ。これでは、幾ら健康管理をしようと思っても上司はできないですね。だって、適切なタイミングで正確な時刻、時間を把握できないんですから。  ここに問題があったと、本来はやらなければならぬことをできていなかったと、そう受け止めなければならないんじゃないですか、上田会長。
  165. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  当時、今御指摘ありましたように、記者は事業場外みなし労働時間制を適用していましたが、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力して勤務の始まりと終わりの時間を上司が承認する形で把握していました。  事業場外みなし労働時間制は、事業場の外にいるので労働時間の算定が困難という前提の下、労働時間をみなす制度でありますけれども、当時、この制度では勤務状況に応じた十分な健康確保措置をとることができていませんでした。その後、記者につきましては、働き方プロジェクトを立ち上げまして、長時間労働の改善などに取り組んできたほか、今年の四月からは勤務制度を抜本的に見直して、専門業務型裁量労働制を導入し、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況に応じて段階的に健康確保措置を講じております。
  166. 山下芳生

    山下芳生君 もっと亡くなったことに対して胸の痛みを感じる必要が僕はあると思いますよ。みなし制度だから仕方がなかったという認識じゃ駄目なんですよ。  大体、佐戸未和さんは、亡くなる二か月前、選挙の報道の取材でしたよね。だったら、都庁クラブに詰めていたというんですよ、情勢分析するんだったら一人でやるはずないんですよ、チームで集団でやっていたはずなんです。気付かない、人がいない、いなかった、止める人がいなかったということが私は重大な問題だと思います。  一つ紹介したいと思いますが、佐戸記者の御両親は、NHKの職員から、記者は裁量労働制で個人事業主のようなものだとか、お母さんが娘は家族のエースだったと言ったことに対して、要領が悪く時間管理できずに亡くなる人はエースではないと言われたということです。亡くなった御遺族にこんなことを言うこと自体が信じられないんですが、そういうことを言われたそうですよ。事業場外みなし労働制の下で職場の認識がこんな状態、とりわけ直属の上司がこんな認識だったら、これだと忙しい時期に真面目な使命感、責任感の強い労働者は働き過ぎになりますよね。  私は、上田会長、自己責任じゃないと思います。労働時間を把握し、健康管理を確保しなければならない使用者、経営陣、あるいは上司に当たる人たちがこういう認識でいたから佐戸記者を守ることができなかった、ここはしっかり受け止めるべきじゃありませんか。制度があったから、そういう制度だったから仕方がないではないんじゃありませんか。
  167. 上田良一

    参考人上田良一君) 今の御指摘は、会長として私の方でしっかりと受け止めたいと思います。
  168. 山下芳生

    山下芳生君 野田大臣に伺います。  NHKでの記者の過労死は、これは二度とあってはならないと思います。今回明らかになったNHKの事例は、放送あるいは新聞などメディア業界に共通する労働環境がもたらしたものとも言えると思います。放送の現場では一般的に、時間を掛ければ掛けるほど良い番組制作や取材につながるという経験論も根強くあると聞いております。しかし、それでいいのかと、過労死が起こるほど労働者が疲れ果てていて本当に良い仕事ができるのかという指摘もあります。  過労死防止法では、国の責務として、過労死事案についてその原因などを調査、検証、分析しなくてはならないとされています。同様のことをメディア業界で二度と起こさないために、今回の事例を含め、国として調査、分析、検証して今後の教訓にすべきだと私は思いますが、野田大臣から厚生労働大臣にそういうことを進言すべきじゃないでしょうか。
  169. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 過労死等防止対策推進法に基づく調査研究等については、今後、厚生労働省の中の過労死等防止対策推進議会での議論を経て決められるというふうに聞いているところです。  いずれにしても、今御指摘のように、NHKのみならず、各放送事業者においても、過労死等防止対策推進法の趣旨をしっかり踏まえて、是非とも過労死の防止に全力で取り組んでいただきたいと私は考えています。
  170. 山下芳生

    山下芳生君 NHKで根絶するとともに、メディア業界全体で根絶しなければ過労死ゼロ社会は実現できません。大臣役割は大きいということを申し上げたいと思います。  上田会長、NHKは四月から専門業務型裁量労働制度を導入したということですが、これで佐戸記者のような事態は絶対にないと言い切れますか。
  171. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  今御指摘ありましたように、今年四月に導入いたしました専門業務型裁量労働制は、労働状況を把握して健康確保措置を実施すること等が導入の条件になっております。記者に求められる自律的な働き方を担保しながら、法的裏付けのある措置を実施することにより、記者の健康確保を図ることとしています。  この制度導入により、記者の働き方への意識改革が進み、勤務管理や健康確保の強化が図られたと考えていますが、会長として、ササキ未和さんの過労死の事実を重く受け止め、今後二度と過労死を出さないという思いを職員全員と共有するため、働き方改革に関する決意ともう一段の踏み込んだ取組を公表して徹底したいと考えています。その上で、私が先頭に立ち、NHKの業務に携わる全ての人の命と健康を守ることを最大の目標として、働き方改革を加速してまいります。
  172. 山下芳生

    山下芳生君 私、NHKさんから昨日、専門業務型裁量労働制適用者に対する健康確保措置というペーパーをいただきました。これによりますと、第一段階から第四段階まで健康管理時間に対応した健康確保措置を行うということが示されています。  この健康管理時間とは何かといいますと、出勤時刻と退勤時刻の間の時間を暦月積算した時間(休憩等を含む)というふうにあります。この健康管理時間が何時間以上になったらこういう措置をとりますよということなんですが、この中身見て驚いたのは、労基署の認定した佐戸未和記者が亡くなる前一か月の総拘束労働時間、これは始業時刻から終業時刻までの時間の積算でありまして、NHKの言う健康管理時間と同じですが、実はこれ、佐戸記者が亡くなる前一か月は、この総拘束労働時間は三百四十九時間だったんです。このNHKさんの昨日いただいた基準に合わせますと、これ第一段階にとどまって、第二段階にも満たない基準になっていると。  第一段階というのは何するかというと、出退勤画面での注意喚起メッセージの表示、労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストによる自己診断及び産業医による面接指導の勧奨でありまして、メールで気を付けてくださいよということが伝わったり、自己チェックリストでチェックするだけなんですね。だから、第二段階になっても、まだ医師にちゃんと診てもらうということが強制されるわけじゃないんですよ、上司と共有するというだけでね。第四段階になって初めて産業医による面接指導の原則実施ということになるんです。  これで実際に第一段階の時点で亡くなった未和さんの教訓が踏まえられていると言えますか。
  173. 根本佳則

    参考人根本佳則君) お答えいたします。  今先生指摘のように、まだまだ記者の勤務の在り方につきましては改善をするべき点があると思いますので、見直しをできる点につきましては速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  174. 上田良一

    参考人上田良一君) 委員長、済みません。
  175. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 上田会長。
  176. 上田良一

    参考人上田良一君) 先ほど私の答弁で固有名詞を間違って申し上げまして、佐戸未和さんというのを間違って言ったようで、訂正させてください。
  177. 山下芳生

    山下芳生君 もう一つ心配なことがあります。局内全体で未和さんの過労死のことが共有化されていないのではないかということです。  御両親は、未和のことが知られていない、教訓化されていないのではないかということで会見開かれている。だからNHKに公表してくださいということを申し入れたんだと思いますが。  上田会長、私は、二度と過労死を生まないためには、佐戸記者の過労死がなぜ起こってしまったのか、なぜ防げなかったのか、その認識の共有化と一体に進めてこそ可能になるんではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  178. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  御両親の思いを重く受け止めまして、また真摯に受け止めて、これから、御両親のお力添えも頂戴したい、頂戴しながら、再発防止と働き方改革ということに私を先頭にして取り組んでまいりたいと考えています。
  179. 山下芳生

    山下芳生君 時間参りましたので終わりますが、佐戸さんの死を経営陣とそれから全職員の皆さんが各々の胸に痛みとして刻まなければ、どんな制度をつくっても絵に描いた餅になるし、仏作って魂入れずになると思います。二度と起こさないということだったら、これまで十分周知されていなかったと聞きます、公表との関係もあったでしょう。しかし、もう公表されたんですから、未和さんの死はなぜ起こったのか、なぜ防げなかったのか、それを共有化してこそ制度に魂が入るんだということを申し上げて、質問を終わります。
  180. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  181. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 速記を起こしてください。
  182. 片山虎之助

    片山虎之助君 片山でございます。  短い時間ですけれども、順次御質問させていただきます。  まず、NHK会長来られましたから、ついでじゃないんですよ、NHKの問題から入らせていただきます。  昨日、最高裁がNHKの受信料制度について判決を出しましたよね。ほとんど全面勝訴と言っていいと思うんだけれども、契約の義務化というのは合憲だと、こういうことですよね。初めての判決らしい。それはそうなんだけど、恐らく皆さんは、契約を申し込む、契約書を送った段階で契約成立と、こうしておったのが、嫌な人については訴訟を起こして確定判決なけりゃ駄目だということにしたでしょう。まあその両方おもんぱかったんだという説もありますけれども、そういう意味では、私はNHKにとっては八十点か七十五点ぐらいの判決だったと思いますよ。手間は減らないんだから、今とほとんど同じだから。ただ、訴訟をやっても勝てないということに大体思いますよね、普通の人は。  だから、そういう意味では大きなプレッシャーになって受信料の滞納が私は減ってくるんじゃないかと思いますけれども、この判決について会長はどういう御感想ですか。それから引き続いて、簡潔でいいですから総務大臣も言ってください。
  183. 上田良一

    参考人上田良一君) お答えいたします。  最高裁の判決は、公共放送の意義を認め、受信契約の締結を義務付ける受信料制度が合憲であるとの判断を示したものだと受け止めております。  引き続き、受信料制度の意義を丁寧に説明し、公平負担の徹底に努めてまいりたいと思います。
  184. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 昨日、NHK受信料に関する放送法の規定は合憲である旨の判決が言い渡されたことについては承知しております。  NHKにおいては、受信料が広く国民・視聴者の皆さんに御負担いただいているものであるということを踏まえ、引き続き、丁寧に受信料の公平負担の確保に向けた取組推進することを期待しております。
  185. 片山虎之助

    片山虎之助君 大体、一時は四割払わない人がいたんですよ、徴収率が六割ちょっとだった。今は皆さんの努力で、NHKの皆さんの努力で八割ぐらいになっていますよ、七九%に。それは大変偉いんだけどね、払わないという人は固定化しているんですよ、もう。岩盤のような拒否層なんですよね。これは極めて不公平なんですよ、払う人はずっと払っているんだから。だから、私はもう何度もこの総務委員会でも、場合によっては罰則を掛けるとか、契約を結ばない人に、あるいは強制徴収の道を講じろとか言ってきたんですけれども、皆さんはまあまあまあまあ、訴訟その他の努力でやりますということで今日まで来た。それでいいんですけれども、この判決が出てどうなるかですね、後、徴収率が。私はぐっと上がるかもしれないと思う。上がらないかもしれない。その見通しと、今回は公共放送というものをきちっと最高裁が認めたんだから、日本は公共放送と民間放送の二元体制がいいんだと、これが日本の民主主義社会に合うんだといってお墨付きをくれたんですよ。  会長、どう思われますか、この辺含めて。
  186. 上田良一

    参考人上田良一君) 今、片山先生がおっしゃいましたように、従来NHKの方でやっていました営業活動の在り方を認めていただいたというふうに理解いたしております。  今回の最高裁の判決が契約収納活動にどのような影響を与えるかということに関しましては、現時点では、まあ昨日の判断ですので、予測することは難しいと考えています。公平負担の徹底は公共放送として極めて重要であると考えておりまして、引き続き、支払率の向上に最大限努めてまいりたいと考えております。  なお、契約収納活動に当たりましては、従来どおり、公共放送の役割や受信料制度などの制度の意義などについて丁寧に説明した上で御契約いただくという活動を行っていくことが必要ではないかというふうに考えております。
  187. 片山虎之助

    片山虎之助君 これから大きい問題は、まあ十分御承知だと思うけれども、ネットへの同時配信、スマホ含めてね、これをどうやるかということ。そうした場合に受信料をどう考えるかということですよ。これが今回は最高裁は何の判断も示していないんですよ。  これについてどうですか、今後の進め方についての御意見。
  188. 上田良一

    参考人上田良一君) NHKは、正確で公平公正な情報を提供すること、それから安全で安心な暮らしに貢献すること、質の高い文化を創造することなどのいわゆる公共的価値を追求しておりまして、これは放送と通信の融合が進む中にありましても公共的な役割をしっかりと果たしていきたいというふうに考えております。  受信料制度に関しましては、こうした公共的な役割を果たすための財政基盤を支える制度であり、今後の受信料制度在り方につきましては、メディア環境の変化などを踏まえまして、視聴者・国民の理解を得られるよう、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  189. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ今日は時間がありませんから、また通常国会か何かでやりますので、どうぞもうお引き取りください。結構です。それでは、本来の質問と。
  190. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 上田会長は御退席いただいて結構でございます。
  191. 片山虎之助

    片山虎之助君 午前中から皆さん質問されている地方自治体の基金、基金増の問題ね。それは総額が二十一兆円といったら、大きいことは大きいですよね。  しかし、これはずうっと今は財務省も総務省も十年単位で物を言っているんですよ。平成十八年から二十八年までの十年をやっている。平成元年から、私が議員になったときから見てくださいよ、約三十年間を。これ、波になっているんですよ。一番、二十一兆というのは今じゃないのよ。平成四年、五年も二十一兆ぐらいあったんですよ。それからずうっと下がっていくんですよ、安倍さんの言うデフレだから。それからリーマン・ショックがあったり、東日本大震災がありますよね、ずうっと下がって、また上がっていくんですよ。  これは一つの波なんで、何か貯金するのが悪いようなことは困りますよ、財務省。財務省が悪いのか、財政審が悪いのか知らぬけれども。何か貯金を一生懸命したら、努力をして、それが悪いことなんでその金は取り上げるみたいなことは良くないわ、それは、子供に対する教育も。財務省、どう思いますか。
  192. 木原稔

    ○副大臣(木原稔君) 財務省でございますけれども、片山委員のおっしゃるとおり、この基金残高のうち七・九兆円増加したというのは平成十八年度末から平成二十八年度末までの十年間分の積み上げということで承知しておりますが、現実問題として十八年度末までに積み上げられた十三・六兆の基金というのは分析がされていないというところはこれは事実でございますから、そういった点も含めまして、年末の地方財政対策の策定に向けては総務省と十分協議していきたいと思っております。
  193. 片山虎之助

    片山虎之助君 あのね、基金には、財政調整基金というのが一番大きいんですよね、これは収入が上がったり下がったりするので調整する。それから、減債基金というのは借金を返す。それからもう一つは、特定目的基金というのがあるんです。これは国がやらせたんですよ。特にリーマン・ショックの前の麻生内閣や何かで基金をつくらせて対応したんですよ。国の政策に協力したんです、地方は。それを今頃何とかかんとかと言って、地方交付税の削減につなげるつもりはないんでしょうけど、あるんでしょう。  だから、そういうことは私良くないと思うんで、いいことに使うんなら貯金を奨励してくださいよ。その方が安定するんだから、地方財政が。同時に国の財政も安定するんですよ。どうですか、副大臣
  194. 木原稔

    ○副大臣(木原稔君) 委員の御指摘を踏まえながら、しかしながら、毎年度、赤字国債を発行してこの地方交付税を手当てをしているという現状、地方財源分の半分ですけれども、その部分も踏まえながら、しっかりと財政資金の効率的配分につなげていくことが重要だというふうに考えております。
  195. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ地方自治体の中にはいろいろありますからね。ためるのが趣味みたいなところはあるかもしれぬ。しかし、基本的には将来の財政の変動を心配してなので、例えば今、インフラの老朽化対策、更新というのが大きい課題に国も地方もなっているんで、橋なんかもう全部落ちますよ、そのうち、ばんばんばんばん。落ちないようにしなきゃいかぬ。そういうことにうまく使わせるように総務省にやって、その方が国の方も助かるんだから、結果としては。そういうことに有効に前向きにやってくださいよ。それを地財計画なんかに組み込んで全体を圧縮しようなんというのは、地方一般財源を、もう考え方良くない。いかがですか。大臣、どうですか、総務大臣
  196. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) もう初代総務大臣片山委員のおっしゃるとおりでございます。  私も非常にじくじたる思いをしたのは、簡単に借金と貯金というふうな区別をして、だからおかしいという言い方は違うんだと思います。今御指摘のとおり、基金というのは、まあ三位一体があったりリーマンがあったり、その都度やっぱり地方財政というのは危機を迎えるわけですね。そのために、将来の備えとか万が一のためにしっかりと住民が困らないようにということで自分たちの身を削って行革をしたりリストラしたものが結果として基金になっている。そういうやっぱり実態を踏まえた上でしっかりと副大臣にも御理解いただいて、これを一生懸命取り組んだ人がやっぱり報われなければ基金そのものがやっぱり変質してしまうわけですから、そこら辺からもしっかり御理解いただかなければならないなと思っております。
  197. 片山虎之助

    片山虎之助君 それと、地方消費税なんですよ。地方消費税というのは、平成七年に村山内閣のときに、私らも出ていって、わっしょいわっしょい、自社さ政権ですから、そのときに、三パーを五パーに上げるときに一パー取ったんです、まあ取ったというのはおかしいけど、地方消費税をつくって。今一・六が七になっていますけどね。  これは、いろんな経緯があるから配分基準を清算せないかぬのですよね、地方税なんだから。その清算を販売額だとか人口だとか就業者数でやったんですが、古い、もう。だから、これを見直すのは賛成ですよ。ただ、実態に合ったことにしてくださいよ。何か結果として東京だけいじめるようなことは余り傾向としては良くない。しかし、実態に合うのが正しいし、税ですから理屈がなきゃいけませんよ。  最終消費地の消費行動、消費額に応じて分配するというのが地方消費税なんです。それがみんな納得ということにしてもらいたい。それは人口はいいかもしれませんよ。みんな東京周りの人は、大阪周りの人は東京や大阪へ出てきて物を買うんだから、帰って消費行動するんだから。たまたまそれぞれでやるんじゃなくて東京でやっているだけなんだから。だから、実態に合わせるということが一番のポイントだと思いますけれども、これはやっぱり大臣に答えてもらうのかな。
  198. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今、片山委員おっしゃったとおりでございまして、地方消費税清算基準の見直しというのは、最終消費地により適切に帰属させる観点で検討しています。  検討会において報告書が取りまとめられたんですけど、そこでは、まず、統計データの利用方法を見直し、持ち帰り消費など統計の計上地と最終消費地にずれがあるものなどを除外します。そして、これを踏まえて統計カバー率を再設定し、そして、とにかく創設されたのは二十年前ですから、創設された二十年前と比べてサービス統計の調査対象が大きく拡大したこと等を踏まえて、統計のカバー外の代替指標については、従業者数、これはもう必要ないということで、を用いずに、そして人口を基本とすべきとされているところです。  この報告書を踏まえて、与党の税制調査会においての税制改正プロセスの中でまた議論、検討を行っていただいているところで、その後結論を得ていただきたいと思っています。
  199. 片山虎之助

    片山虎之助君 もう時間がありませんので。  次に、宝くじなんですよ。宝くじというのは、一兆一千億まで行って、売上げですよ、それから長期低落ですよ、なだらかな、今八千五百億ぐらい。これは半分は地方の財源なんですよ、御承知のように。  それで、一番多かったときは一兆一千億で、まあ、そういうことを言うとまた自分の自慢かということなんで、私が大臣のときが一応一兆一千億。それは、平成十年にロトというのをつくったんですよ、残った賞金を全部累積していけるように。それまで当せん金の倍率は二十万倍だったんです、二百万倍にしたんですよ。賞金を上げると伸びるんだね。それで一兆一千億時代が続くんですけれども、なだらかに下がってきている。これが下がっちゃ困りますよ、オリンピックも出すんだから、三百億、それから。  だから、売上げをどうやって上げるかというのを考えてください。サッカーくじは何百億だったのがやっと一千億になった。これ、ライバル視しませんよ、ライバル視しませんけれども、まあ合うところはあるわね。だから、どうやって宝くじの売上げを上げて地方への分配金を多くするか、その他の福祉にどう回すかということは、私は総務省にとっても、あるいは関係自治体にとっても大きな課題だと思いますよ。ネットで売るとか何かいろんなことをやってくださいよ。どなたがいいのか、大臣ですか。
  200. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私も個人的に宝くじのファンでずっと購入し続けておりまして、売上げが落ちていることは大変残念なことだと思います。まずは、魅力というかPRをしっかりやることと、あと今、片山先生が御指摘のように、インターネットとかを使ってなかなか売場まで行けない人たちのための便宜を図ることもこれから進めていきたいなと思っております。
  201. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっと急いで申し訳ないんですけれどもね。それからもう一つは、ミサイルですよ。消防庁、来ていますね。  Jアラートというのはいいけれども、あれは混乱させるわね、人を。だから、どの範囲でどうやるかという、きちっと通知というか、その鳴らし方をちゃんとやってもらわないけませんが、あれは誰が決めてどうやっているの。内閣府か。
  202. 横田真二

    政府参考人横田真二君) お答えいたします。  Jアラートにつきましては、国民の避難に係る時間を最大限確保するということから迅速に情報を伝達することを最優先にいたしておりまして、ミサイルが我が国に飛来する可能性がある旨を防衛省から伝達された段階で、ミサイルの軌道に重なる可能性のある地域、これに対して幅広く情報を伝達するということにいたしております。  八月、九月の事案におきましては、東北地方方面に向けて発射されたという情報が伝達されましたので、それらを受けて直ちに東北地方と及びその隣接県などに対して情報を伝達をいたしました。  仮にJアラートの送信地域をある程度限定するという場合におきましても、情報伝達の迅速性を損なわないことが最も重要でありますので、迅速性を損なわない範囲でどういうことができるのか考えてまいりたいと思っております。
  203. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっと広過ぎるんじゃないの、ちょっと検討してよ、それを。余り関係のないところまで流すと、みんなびっくりするよ。  それから、今はインバウンドが多いんだから、日本語だけでいいの、あれ。英語だとか、まあ韓国語、中国語というのはどういうことになるか知りませんが、そういう研究はしていないんですか。
  204. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今、御指摘のようなリクエストは随分出てきております。外国人の方にもしっかり避難行動を促さなければならないと思っておりまして、また、イベントとしては二〇一九年にラグビーのワールドカップ、二〇二〇年は御承知のように東京オリンピック・パラリンピックがあるということで、外国人がますます増加することで多言語化に取り組んでいます。  それで、消防庁では、関係省庁と連携しながら、外国人向けに外国語で災害情報を提供するアプリというのが、セーフティーチップスというのがあるんですが、それを活用してミサイル発射等に関する国民保護情報を多言語で配信することとし、今年度中の運用開始を目指して今準備を進めているところです。
  205. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、指定避難施設というのはあるのかどうか。国民保護法や災害対策基本法にあったような気がするんですけど、指定避難施設、このミサイルの指定避難施設というのはどこに、地下鉄なの、どこか学校か何か知りませんが。
  206. 稲山博司

    政府参考人稲山博司君) お答えいたします。  国民保護法では、緊急事態における住民の避難のために知事が避難施設を指定すると、こういうふうにされておりまして、今年の四月時点の現状といたしましては全国で約九万施設が指定されております。これはいろんな施設がございます。ただ、地下施設は非常に少ないという現状がございます。  そういったことで、昨今の状況を踏まえまして都道府県に対しまして改めて通知を行いまして、避難施設が適切に確保されているかよく検証してほしいと、それから、いろんな有効な地下施設については、国の基本指針で例示している地下街、地下駅舎のほか、地域の実情に応じまして建築物の地下階でありますとか地下駐車場、地下通路等にも活用するよう要請をしているところでございます。  引き続き、県に対しまして必要な避難施設を指定するよう求めてまいりたいと考えております。
  207. 片山虎之助

    片山虎之助君 それで、その住民の避難指導、長官、住民の避難指導というのはやっているのかどうか。  それから、携帯メールで避難するということを訓練したらどう。それが一番有効なような気もするけど、いかがですか。
  208. 稲山博司

    政府参考人稲山博司君) お答えいたします。  万が一の避難行動でございますが、住民の皆さんが自らの身を守るためにどのように行動すべきか、こういうことを理解し、避難行動を取ることができるようにするためには実践的ないろいろな訓練というものを繰り返し行うことが大切であると思っております。  現状のように携帯電話の所持率が高うございますので、その伝達手段としても携帯メールによる情報伝達というのが非常に有効だと考えております。一部、これまでに全体で九十九団体でいろんな避難訓練、国と共同でありますが、単独でやっていただきました。その中で、まだ少のうございますが、携帯メールによる情報伝達といったことを実施しているような団体もございます。  引き続き、そういったことが進むように進めてまいりたいと思っております。
  209. 片山虎之助

    片山虎之助君 時間が来ましたので、やめます。ありがとうございました。
  210. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 木原副大臣
  211. 木原稔

    ○副大臣(木原稔君) 済みません、片山委員の質問の冒頭で、私ども政府側が今回、入場、入替えの際にちょっと戸惑って一分ほど会議が遅れてしまったことをおわびを申し上げます。  以上でございます。
  212. 又市征治

    ○又市征治君 希望の会、社民党の又市です。  まず、冒頭、大臣からお伺いしたいと思いますが、八月の内閣改造後、速やかに総理や各大臣の所信表明の質疑が行われるべきところ、安倍総理がずっと臨時国会開催要求を逃げ回って、そのために四か月余りも経てからようやく大臣の所信表明と。まさに異常な事態だというふうに言わざるを得ないので、内閣全体に重ねて抗議をしなきゃなりません。大臣はもっと早くそういう意味では所信を表明し、また質疑も受けたかったんだろうと思いますけれども。  そこで、大臣は、この八月に就任された際、次期総裁選出馬に意欲を示されて、また総選挙後の会見でも、総裁選の候補者に常に女性の候補者がいて当たり前で、私も女性議員の一人ですから、皆さんへ自民党の心意気をお見せする場所ではなかろうかと思っていますというふうに発言をされている。  大変いいことだと思いますが、現職大臣ながら総裁選への出馬意欲をこういうふうに示された思い、これを是非お伺いしたいと思います。
  213. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 総務大臣としてしっかりと先生方の御指導を仰ぎながら地方自治行政を進めていきたいと思っておりますが、傍ら、私は一国会議員でございまして、自由民主党に所属して二十五年になります。自由民主党がしっかりと有権者に理解される政党であらねばならないという思いはずっと持ち続けている中で、総裁選というのは数少ない国民の皆さんにお見せできる自民党の開かれた政策の場でありますし、民主主義の象徴だと思っていますので、それをちゃんとかなえられるように取り組みたいということと、あわせて、安倍政権になってから女性の活躍と言われています。  民間企業にも相当数値目標をお願いして取り組んでいただいている中、御承知のように、日本の国の政治的なジェンダーの順位って大変低いし、ますます低くなっています。そういった意味で、人様にだけ何かにつけて押し付けるのではなく、やっぱり自ら隗より始めよということで、総裁選においても常に女性の候補がきちっと出させていただけるような政治環境というのは私は必要だと思っておりますので、そういう思いで取り組まさせていただいているところです。
  214. 又市征治

    ○又市征治君 最近、安倍一強に黄信号がともっていると、まあこんなふうにも言われてきていますが、どうか上からの目線ではなくて、まさに行政をまた私物化することなく、国民、地方のそのために奮闘されることを是非期待をしたいと申し上げておきたいと思います。  そこで、この安倍政権の評価というのは、取りも直さずアベノミクスをどう評価するかということでもあろうかと思うんです。安倍総理は自分には都合のいい数字をよく並べられるんですが、格差の拡大であるとか国民生活の悪化、そして国民経済の疲弊実態というものを余り直視した発言、我々の側がそれをやるとみんなそれを避けると、こういう格好があります。  典型的な例が、今日、企業の内部留保が二〇一六年度は過去最高の四百六兆円にも上る。そういう意味で、二〇一一年度と比較をしますと百二十四兆円もこの間伸びているわけですね。そして、労働分配率は逆に、二〇一二年度に七〇・三%あったものが二〇一五年度には六七・八%に低下をする、こういう状況がある。あるいは、地域経済に目を向ければ景気回復状況というのはまだら模様になっているわけで、アベノミクスが地域経済を再生させた、こんなふうに胸を張れるような状況にはない。それが実感なき景気回復と言われるゆえんだろうと私は思います。東京への一極集中も止まるところがない。こういう状況にあります。  そこで大臣に伺いますが、大臣はアベノミクスが成果を順調に上げているというふうにもろ手を挙げて評価をされているのか、もし問題があるとすればどんな点、問題点だなとお思いなのか。また、地方創生はローカル・アベノミクスなどとも言われているようですけれども、アベノミクスは地方経済の活性化に本当に結び付いているのかどうか、ここらの辺りの見解を伺っておきたいと思います。
  215. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 経済政策というのはここで終了、ここで完了というものではなく、もうずっと経済があり続ける限り進化していかなければならないと思っています。  まず、安倍内閣の下でのアベノミクスのこれまで四年十一か月で、例えば数字で言うならば、雇用情勢というのは大きく改善いたしました。働く場所がなかった人に働く場所が提供されて給料を得ることができるようになったということ。また、GDPギャップもプラスに転じていますし、需要不足は解消しているところです。物価もデフレでない状況になっておりまして、アベノミクスは今日までお約束したとおり一定の成果を上げていると私は認識しているところです。  地方にあっても、とりわけ全ての都道府県での有効求人倍率が一を超えました。要は、もう仕事がないという状態は地方でほとんどなくなっていることになっています。また、地域における景況判断も、まあ細かく言えば程度の差はありますけど、おおむね回復基調ということが明らかになっています。地方税収の方も実は大幅に改善しているところで、地域経済というのは着実に回復しているということが考えられています。  ただ、おっしゃるとおり、今満足している方もおられますけれども、将来に不安を感じている方もたくさんいるわけであります。それは、やはりこれからの先を見通したとき、ここの委員会でも何度かお話が出たように、少子化人口減少というのは私たちがかつて経験したことない、やっぱり静かなる有事ということで、それにしっかり今のアベノミクスは戦っていけるのかという不安を感じておられる方が多いのだと私は思っています。  ですから、とりわけそういう不安が先んじている地方、私もいろいろな人口四千人、五千人で高齢化率が五〇%ぐらいになった地方を訪れて、先々の日本を表しているのは小さな自治体で、お話を聞いているところですが、そういう不安を解消するためにやはり更にいろんな経済政策を重ね合わせていかなきゃならないなと思っていますし、人手不足が一服したからそれでいいんではなくて、雇用がある程度収まったからいいのではなくて、今度は人が足りないということで経済が大変なことになっていくという状況が始まりつつあるということも踏まえて、とにかく、立ち止まることなく、次から次へとやっぱり状況に合わせて経済政策を打っていかなければならないと思っています。
  216. 又市征治

    ○又市征治君 現職大臣ですから、アベノミクスの成果、否定をするわけにはいかないので。私も全否定するつもりはないんです。やっぱりマイナスの部分というか、影の部分にもっと目を向けるべきだと。  例えば、労働環境が大変良くなったというのを胸張って安倍さんおっしゃるんだけれども、人口構成がそうなっているわけですから。団塊の世代辺りから大量に労働力みんなリタイアしていった、すると、若手労働力が足りない、人口構成がそうなっているわけですから。これ全くアベノミクスの成果だなんというのは私は違うと思う。  そういう問題や、あるいは働く人々の依然としてやっぱり四割が非正規雇用であるというこういう実態、どうこれを変えていくのかということがあったり、やはり国民の間に格差、貧困が拡大をしているということなどについてしっかりと目を向けていくということをやっていかないといけない。そのことは是非大臣にはよろしく求めておきたいと、このように思います。  次に、自治体戦略二〇四〇構想研究会ですか、この件についてお伺いをします。  今も言われたが、大臣が危惧されている人口減少という問題では、二〇一四年に元総務大臣の増田寛也さんらが、二十歳から三十九歳の女性の人口動態の分析を基に、二〇四〇年には現在の自治体の約半数が消滅可能性がある、こういうふうに発表して大きな波紋を呼びかけたわけですが、当時、本委員会でも私もこれについて質疑を行いましたけれども、この推計に一定の合理性があるというふうに総務省の方からも答弁がありました。この推計を契機にしてか、地方での人口減、高齢化問題が二〇四〇年問題、こんなふうに論じられるようになってきたような気がします。  これを受けてなのか、総務省はこの十月に自治体戦略二〇四〇構想研究会を設置をされたようですけれども、この研究会の設置趣旨を改めて伺っておきたいと思いますが、また、この研究会委員名簿を見ますと自治体現場の関係者が見当たらないわけですね。適宜関係者からヒアリング等を行うんだということでしょうけれども、それで本当に現場の声を反映できるんだろうか、こうも思うわけでありまして、以上の点について伺いましょう。
  217. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、やはり私たち全ての国民が体験したことのない、経験したことのないこの少子化による人口減少に立ち向かっていかなければならないと。  二〇四〇年がその試算によりますと一番厳しい、マックスの高齢化を迎えると、そして当然、労働力人口は非常に少ないと。そういう今までかつて経験したことのない中で、私たちは、何を今からしていかなきゃいけない、その場でしてももう間に合わない、そこにそういう事態を様々試算をしまして、それを回避するためには何をしていいかと、逆算のような形で、今からできること、五年後にやること、十年後にやることというのをつくり上げていくことができればいいのかなと思っています。  自治体の出身者がいないということでありますけれども、私自身も岐阜県の地方議会を経て今がありますので、極力その勉強会には参加して、自ら地方を歩かせていただいた中の実態も踏まえて皆さんとのやり取りをしていきたいと思いますし、今後可能であれば、地方自治体関係の皆さんにも会に入っていただくということを検討していきたいと思います。
  218. 又市征治

    ○又市征治君 二〇四〇年頃の課題という点は今おっしゃったとおりなわけですけれども、この一定の結論、提言に至るまでのスケジュール感はどういうことになっているのか、そしてまたそれはどのように施策に反映をしていく予定なのかということがあります。  いずれにしましても、今日の今後の自治体在り方あるいは進むべき方向について論じるときに忘れてならないのは、人口減少とか何かを自然現象みたいなことを言われるけれども、私はそうではないと、こう思うわけです。やっぱり長年の施策の結果としてもあるわけでありますから、そういう意味で、現在の自治体の姿、市町村合併問題も含めてこれらに対する徹底した点検、検証をやっぱりやっていく必要がある、こういうふうに思うわけでありまして、一方で地方創生、地方創生と言いながら、片一方では、大変我々はもう反対をしてきましたけれども、TPP問題、これを、アメリカが離脱をして十一か国でやりますということで、何か包括的、先進的なTPPなんという、名前を改めてやっているけれども、こういうのを推進をしていって、あれだけ国会決議まで上げた、日本の農畜産物重要五項目の関税堅持を求めた国会決議なんて無視をして、それでこの農業分野の合意そのものを全く修正を求めない。これで一体全体農村地帯、これが創生できるなんという、こういう話になるのか、こういうことなどもあるわけですね。こういう点含めて、やはりしっかりとこの検証していくべき。  人口減少対策を一方でやりますやりますと言うけれども、こんなことを、片一方で農村が疲弊をするような道を選んでおいて、やれるわけがない、こんなふうに思うわけで、この点についてはどのようにお考えですか。
  219. 山崎重孝

    政府参考人山崎重孝君) 研究会のスケジュールにつきましても申し上げますと、十月に立ち上げたわけでございます。団塊ジュニアの方々高齢者になるとき、これが二〇四〇年ぐらいでございまして、そのときに医療、介護はどうなっているか、それから教育、子育てがどうなっているか、それからインフラをどうするのか、空間管理をどうするのか、それから農業、農村をどうするのか、こういったことを正確にまず議論をして討論を行いまして、その状況を描き出したいと思っております。今、月一、二回のペースでやっておりますが、現在三回終わりまして、今日四回目をやるという状況でございます。  私どもとしましては、まず二〇四〇年頃の姿が描けたところで中間報告をしてみたいと思っております。それを踏まえまして、それから今度はバックキャスティングにどんな施策を打っているか、こういうことをやっていきたいと思っておりまして、その時点で政策に反映していきたいというふうに思ってございます。
  220. 又市征治

    ○又市征治君 これも繰り返しになりますが、大臣自身が述べられているように、人口減少過疎化の問題というのは実に深刻だとは思うわけですが、人口の流出あるいは過疎化というのは、先ほども申し上げたように自然現象ではなくて、単純に対症療法的に考えるのではなくて、根本問題にやっぱりメスを入れていく、そういう論議を是非とも進めてもらいたいということを注文申し上げておきたいと思います。  時間の関係がありますので最後に、これもやっぱり午前中からずっと質疑やられていますが、財政問題、この点に触れておかなきゃならぬと思います。  どうも今後の地方財政の行方を大きく変える一連の動きが出てきている。六月にもこの委員会で私も取り上げたんですが、この五月に経済財政諮問会議で民間議員の方から、基金は新たな埋蔵金、このような発言が出されているということがありました。財政審議会からは建議で基金が取り上げられて、地方財政に余裕があるみたいだ、こういうふうに議論がやられ、そういうことが一方的に宣伝をされている。大変おかしげな状況があるわけですが。  そうした中で、総務省は今年、毎年実施している地方財政状況調査と併せて地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査実施をして、結果を十一月に公表された。この調査の意図、その結果から地方財政の状況についてどのような姿が見えてきたのか。言い換えるならば、この一連の地方財政は豊かだという論に対してどのような認識を持って臨まれようとしているのか。改めて大臣からこの点の認識をお伺いしておきたいと思います。
  221. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 基金の調査をしてよかったなと思います。今伝えられているのは、増えたという、この十年増えたということだけなんですけれども、それぞれの県、都道府県市町村の基金というのは様々です。その地域地域で必要としているものに対して、議会できちっと条例で諮って基金をつくって積み立てて、また出し入れをしています。そういうものをつぶさに見ることができて、それぞれの地域の独自性、そして、ただ、一つ言えることはやはり将来不安、最近は特に自然災害も増えていますから、そういうときにはやはり基金なかりせば対応が遅れるということが明らかになってまいりました。  今後は、何度も繰り返しになりますけれども、いたずらに基金が増えているわけではなくて、やはり地方においては高齢化人口減少、社会保障問題があります。あとは公共施設老朽化、これもやらねばなりません。さらには、そういう将来の何かの備えのためにということできちっとそれぞれの議会が、地方自治体がやっているということを一つの成果として努力をしているんだということで、私たちは、しっかりと地方在り方に対して認めていただけるように努力、そのことが御理解されていない方にはしっかりと申し入れてまいりたいと思っています。  いずれにしましても、借金と貯金というそんな簡単な構図ではありません。そこのところはもうしっかり軸足をぶれないように頑張っていきたいなと思っています。
  222. 又市征治

    ○又市征治君 私もずっとこの委員会十六年いるんですが、それこそ、片山先生さっきおっしゃったけれども、麻生財務大臣自身が基金しっかりつくってくださいと言っていたんですよ。そのことを是非とも閣内の中で議論をしてもらって、やっていただきたい。これを今になったらたまり過ぎだとか何かと言われると、麻生さん自身が言っているようじゃ駄目だね、これね。是非そのことはお伝えいただきたいと思います。  そこで、地方六団体は十月の二十六日に、平成三十年度予算編成等についてという文書の中で、地方財政計画の策定に当たっては、高齢化に伴う社会保障関係費の自然増や人口減少少子化対策への対応地域経済・雇用対策に係る歳出を特別枠で実質的に確保してきたこと等を踏まえ、歳出特別枠を実質的に堅持し、必要な歳出を確実に計上することと要請をされております。  一方、財政審は先月二十九日の建議で、この歳出特別枠については、リーマン・ショック後、雇用対策等のために設けられた臨時異例の危機対応措置である、経済状況は回復し地方税収は過去最高の状況になっていると指摘をして廃止をするように求めているという、こういう状況。今日、朝からいろいろとありました。  ここのところはみんな、ここは党派を超えてこんな認識ではないということをみんな認識しているわけですが、是非、そういう意味では、地方自治体が支出しなきゃならない予算が現実に拡大している中で地方交付税を削減するようなことは断じて認められないということでありますが、このことに対して立ち向かっていく大臣としての決意を伺っておきたいと思います。
  223. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 力強い御支援を賜り、ありがとうございます。  繰り返しになりますけれども、今回の調査によって確認されたとおり、各地方公共団体は、公共施設等の老朽化対策や災害など様々な地域課題に対処するために行革とか経費節減をしていただきながらこの基金を積み立てていただいた経緯がございます。したがって、基金の増加を理由として地方財政に余裕があるような議論は妥当ではないと思います。しっかり取り組んでまいります。
  224. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  225. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  226. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  229. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 竹谷とし子

    委員長竹谷とし子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会