○中曽根弘文君
情報監視審査会は、去る六月七日、
審査会規程第二十二条第一項に基づき、
平成二十八年年次
報告書を作成し、会長から
議長に提出いたしました。
その概要等について御
報告申し上げます。
審査会の活動の柱は、行政における
特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況についての調査と、
委員会等からの
特定秘密の提出
要求を行政機関の長が拒否した場合の
審査の二つでございます。
しかし、今回、
委員会等からの
審査の要請等はなく、行政における
特定秘密の指定等の実施の状況及び本
審査会の
平成二十七年年次
報告書における指摘事項についての調査を行ってまいりました。
以下、調査の
経過及び結果について申し上げます。
行政における
特定秘密の指定等の実施の状況についての調査に関しては、毎年、
政府から
特定秘密の指定等の実施の状況についての年次
報告が、
特定秘密の指定等を管理するための帳簿である
特定秘密指定管理簿を添付した上で、本
審査会に提出されることになっており、昨年は四月二十六日に提出されました。また、
平成二十七年十二月には、
特定秘密の指定等及び
特定行政文書ファイル等の管理について内閣府
独立公文書管理監等がとった
措置の概要が、同管理監から内閣総理大臣に
報告され、公表されました。
これらの
報告を踏まえ、
政府から説明を聴取し、
質疑を行い、調査を進めました。
まず、昨年五月、
政府の年次
報告の概要について、担当の岩城国務大臣から説明を聴取した後、内閣官房から補足説明を聴取し、
質疑を行ったほか、内閣府
独立公文書管理監等がとった
措置の概要について、同管理監から説明を聴取し、
質疑を行いました。続いて、昨年九月及び十月には、二十の行政機関の
政府参考人から、当該行政機関における
特定秘密の指定や適性評価の実施の状況等について、それぞれ全般的な説明を聴取しました。
その後、
特定秘密指定書を抽出しての調査も検討しておりましたが、次に述べるサードパーティールールに関する調査に時間を要したことから、実施するには至りませんでした。
次に、本
審査会の
平成二十七年年次
報告書における指摘事項についての調査においては、公になっていないものの定義の更なる明確化、統一的な
運用及びサードパーティールールの適用基準の明確化、統一的な
運用について、金田国務大臣を始め
政府側から複数回にわたり説明を聴取し、
質疑を行い、調査を進めました。
この中で、公になっていないもの、つまり、
特定秘密を指定する際の要件の一つで、不
特定多数の人に知られていない状態であることについて、内閣官房から、本
審査会において説明した定義及び
運用は各行政機関とも同じ理解であり、統一的な
運用を確保していく旨の認識が示されました。また、外国の
情報機関等から提供された
情報を提供元の承諾なしに第三者に提供してはならないという実務上生まれた慣習であるサードパーティールールに関して、内閣官房から、同ルールの適用がある
特定秘密についても、提供元の承諾が得られた場合には
保護措置の講じられた国会に提供し、できる限り
情報監視審査会への説明を尽くしていくと
政府内で
対応を統一した旨の認識が示されました。
サードパーティールールに関する調査においては、サードパーティールールの適用がある
特定秘密の国会への提供に関する
政府の
対応について、
特定秘密
保護法案
審査時等の国会答弁と同法
施行後の
運用や本
審査会での説明との間で整合が取れていないのではないかとの指摘が一部の委員からなされました。これを
確認するため、公開の
審査会において金田国務大臣に対し
質疑を行う方向で一致いたしましたが、秘密保全と個々の委員の発言権の保障に配慮した
質疑の
在り方について合意に至ることができず、公開の
審査会を開会するには至りませんでした。
他方で、サードパーティールールに関する調査における議論を踏まえ、本
審査会は、
特定秘密
保護法に基づく他の行政機関等への
特定秘密、特にサードパーティールールの適用がある
特定秘密の提供に関し、実情を把握した上で、必要に応じて提供に関する統一的な
手続について検討することについて、
政府の適切な
対応が必要であるとの考えを示しました。
これらの調査のほか、本年二月十七日、
委員会等が
特定秘密の提供を受ける場合の保全
措置の整備の検討について、会長である私から山本議院運営
委員長に申入れをいたしましたことを申し添えます。
以上、
情報監視審査会の年次
報告書の概要を御
報告いたしました。今後も、行政における
特定秘密
保護制度の
運用を常時監視するため、
審査会委員一同尽力してまいりますので、
議長、副
議長始め、
議員各位の御支援を賜りますようお願い申し上げます。ありがとうございました。(
拍手)