○山尾
委員 大臣が局長に聞けと言うから、局長に答弁いただいても、私は、性
被害特有の
事情がありますよねと、合理的な理由を申し上げたと思うんですね。それをお聞きになっているにもかかわらず、答弁の中で、性
被害以外でもいいのかもしれないというような言葉を紛れ込ませて論点を拡散したり、ずらしたりするのであれば、私は
大臣に答えていただきたいというふうに
思いますよ。
性
被害という特有の
事情があるから、未成年者の性
被害については、この時効を成年まで停止させるということには合理的な理由があると
思いますよ。だって、性
被害をそれと
認識できずに、
被害申告して時効を中断することが不可能なのに、不可能を前提にして時効を進行させて、可能になったときは時効が完成している、これはどう見たってこの問題特有の不正義じゃないですか。なぜそれを放っておくんですか。
今、何か、今回はこういう方法があることは承知しているけれども入れないことにしたと。理由になっていないじゃないですか。
そして、最後の方にもう一回おっしゃいましたね。結局、証拠が散逸しているから、実際に有罪にできるのかと。なり得ないというのを、なりにくいと訂正されましたけれども。
そういった、
裁判にチャレンジをし、そして立証にチャレンジをし、そこで実際有罪をかち取れるかどうかは、それはわかりません。でも、大人になって、自分が受けていたのはやはり性
被害なんだ、決して、わからずに受け入れていた自分が悪いのではないんだ、その犯罪に及んだ相手が悪いんだということをやはり社会にしっかり
認識してもらいたい、チャレンジしたい、こういう当事者がいるときに、なぜ、いやいや、やったって有罪になるかどうかわからぬよと。チャンスを奪う理由にはならないと私は
思います。
刑事局長の答弁は理由にならない答弁ばかりだったというふうに
思いますし、イギリスは
性犯罪について公訴時効がありません。フランスは、未成年者に対する
強姦の時効は成年に達したときから進行します。韓国も同様です。ドイツは、主たる
性犯罪について、
被害者が二十一歳になるまで停止です。なぜ日本は今回これだけの
改正をする中でこの
程度の正義すら実現できないのかということを、私は大変不思議に
思います。
政府はできない理由ばかりおっしゃいますけれども、
性犯罪の
罰則に関する
検討会、確かに有識者の方は話し合われました。
法制審議会刑事法部会、これも外部の方が話し合われました。
例えば、この
検討会の
委員あるいは
刑事法部会の
委員としてこの時効停止を猛反対されたのが、共謀罪のときにも法制審幹事として、このときは全面賛成の立場に立たれた井田教授。
検討会、
審議会の中で、この未成年者レイプの問題については、時効停止について猛反対をされています。
そういった立場で
意見をおっしゃるのは専門家として自由ですから、それに対して私が感じたことを申し上げたいと
思います。なぜなら、政府と同じ方向だから。
例えば、この井田教授は、未成年者レイプの時効停止の反対理由として、法制審で、
性犯罪の場合だけ時効の進行をとめるというのは、
性犯罪の場合には、時間が経過してもなお正しい
裁判ができるという特殊性があると言えて初めて合理化できる、正当化できると。相当、被疑者防御の
観点を重視されておられました。
一方、共謀罪における参考人
質疑では、私が、捜査時期が早まって捜査の範囲が広がる危険があるのではないか、こういうふうに丁寧にお尋ねをしましたが、誤った人を捜査の対象にしてしまうおそれというのは、それは全ての刑罰法規につきものであって、それはやはりそれに対応していかなければならないのであって、今回の
法案がとりわけ危険が高いわけではないというように、包括的共謀罪においては、明らかな特殊性を度外視して、私から見るとかなり弛緩した答弁をされていました。
私は、未成年者レイプについても共謀罪においても、被疑者防御の
観点は非常に重要だと思っています。ダブルスタンダードは、私も含めて、こういった議論のプレーヤー一人一人が厳に自分を戒めるべきだというふうに思っています。結論ありきで、そういった被疑者防御の要請を、この犯罪については重視したり、こっちの犯罪については軽視したり、そういうことがあってはならないように気をつけなきゃいけないというふうに私も思っています。
そして、この未成年者を対象にした
性犯罪の時効停止は、もちろん密室犯罪です、第三者の存在が考えにくい、客観証拠が残りにくい、当事者の記憶に基づく供述証拠への依存度が高まりやすい、被疑者防御の
観点から課題があることはわかります。だからこそ、時効の撤廃とは言わずに、成年までの時効の停止ではいかがか、こういうふうに提案をしているわけです。
そういった、被疑者防御、冤罪というリスクを何ら落ち度のない未成年者の
性犯罪被害者に全て転嫁させて、
裁判で事実を明らかにする努力すら国家が、社会が、政府が放棄するというのは私はやはり正義に反すると思うので、
大臣、本
会議では、慎重に
検討すべき事項だ、こういうふうにおっしゃっておられましたが、私としては積極的にこの
改正法実現を契機に
検討していただきたいと
思いますけれども、
大臣自身の言葉で、特に紙を見てどうのということではないと
思いますので、この点について最後に答弁をお聞きしますので、
大臣の考えをお伺いします。