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2017-05-10 第193回国会 衆議院 地方創生に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十日(水曜日)     午前九時二十分開議  出席委員    委員長 木村 太郎君    理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君    理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君    理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君    理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君       赤枝 恒雄君    井上 貴博君       伊藤 達也君    江藤  拓君       尾身 朝子君    大野敬太郎君       加藤 鮎子君    加藤 寛治君       勝俣 孝明君    金子万寿夫君       菅家 一郎君    佐藤ゆかり君       坂井  学君    新谷 正義君       菅原 一秀君    田畑 裕明君       谷川 とむ君    津島  淳君       中谷 真一君    長坂 康正君       平井たくや君    牧島かれん君       三ッ林裕巳君    宮川 典子君       八木 哲也君    山田 賢司君       和田 義明君    小川 淳也君       高木 義明君    武正 公一君       玉木雄一郎君    福島 伸享君       福田 昭夫君    横山 博幸君       渡辺  周君    江田 康幸君       吉田 宣弘君    田村 貴昭君       宮本 岳志君    椎木  保君       丸山 穂高君    吉田 豊史君     …………………………………    国務大臣    (地方創生担当)    (まちひと・しごと創生担当)          山本 幸三君    内閣大臣政務官     長坂 康正君    厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長) 奈良 俊哉君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 木下  茂君    政府参考人    (内閣規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君    政府参考人    (内閣地方創生推進事務局長)          佐々木 基君    政府参考人    (内閣地方創生推進事務局審議官)        藤原  豊君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君    政府参考人    (財務省理財局次長)   中尾  睦君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           藤澤 勝博君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君    政府参考人    (厚生労働省職業安定局次長)           大西 康之君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君    政府参考人    (農林水産省大臣官房統計部長)          佐々木康雄君    政府参考人    (農林水産省政策統括官付参事官)         小川 良介君    政府参考人    (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君    衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   加藤 寛治君     金子万寿夫君   小泉進次郎君     尾身 朝子君   菅原 一秀君     井上 貴博君   福田 達夫君     和田 義明君   宮川 典子君     八木 哲也君   福田 昭夫君     福島 伸享君   横山 博幸君     玉木雄一郎君   丸山 穂高君     吉田 豊史君 同日  辞任         補欠選任   井上 貴博君     菅原 一秀君   尾身 朝子君     新谷 正義君   金子万寿夫君     加藤 寛治君   八木 哲也君     宮川 典子君   和田 義明君     田畑 裕明君   玉木雄一郎君     横山 博幸君   福島 伸享君     福田 昭夫君   吉田 豊史君     丸山 穂高君 同日  辞任         補欠選任   新谷 正義君     津島  淳君   田畑 裕明君     赤枝 恒雄君 同日  辞任         補欠選任   赤枝 恒雄君     加藤 鮎子君   津島  淳君     小泉進次郎君 同日  辞任         補欠選任   加藤 鮎子君     福田 達夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案内閣提出第五四号)      ――――◇―――――
  2. 木村太郎

  3. 木村太郎

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 木村太郎

    木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。
  5. 池田道孝

    池田(道)委員 おはようございます。  本日のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いを申し上げます。  この法案国家戦略特区法そしてまた構造改革特区法の中で、外国人農業従事への受け入れについてお尋ねをいたします。  逆に申し上げますと、それだけ農業従事者方々が大幅に減少しているということであります。昔は、農業家族総出でやっておりました。それが、高度経済成長期に合わせまして、いわゆるあるじが働きに出、農業をするのはじいちゃん、ばあちゃん、母ちゃん、三ちゃん農業に変わってまいりました。それが、農業収入がだんだん減り、主たる、いわゆるあるじ収入がふえてくる。そうすると、兼業農家という言葉が出てまいりました。そしてまた、その兼業農家方々も、農業では収入がなかなか上がらないということから、いわゆる日曜百姓という日曜、祭日にだけ農業をするというところから、現在では、担い手あるいは法人方々農業が集約をしてきております。  それだけ農業を取り巻く環境というものは非常に厳しくなっておるわけでございますが、まず、農業従事する昔からの人口推移、大幅に減っていると思いますけれども、その推移についてお尋ねをいたします。
  6. 佐々木康雄

    佐々木(康)政府参考人 お答えいたします。  販売農家世帯員の中で主として農業従事している方の数の推移を見てみますと、先生御指摘のとおり、平成十八年には二百十一万人おられたところから、十年たちました平成二十八年では百五十九万人へと、五十二万人、約二五%減少しているところでございます。
  7. 池田道孝

    池田(道)委員 それだけ大幅に従事者が減っている、逆に言うと、それだけ農業ではなかなか所得が上がらないということでございます。  その中で、ほかの企業と同じように、農業にも農業実習生という、いわゆる外国人方々受け入れをしてきております。  まず、この数字につきまして、どれぐらい、どの国ぐらいから来られておられるのか、お尋ねをいたします。
  8. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  厚生労働省で集計いただいております外国人雇用状況届け出によりますと、平成二十八年の十月末時点において、農業分野従事する外国人労働者数のうち、技能実習在留資格の方は二万七百九十四人となっておりまして、近年増加傾向にあるところでございます。  また、同じく二十八年十月末時点におきまして、農業分野従事する外国人労働者数について、国別で見ますと、中国が最も多く、次いでベトナム、フィリピン、インドネシアの順になっているというふうに承知しているところでございます。
  9. 池田道孝

    池田(道)委員 今答弁いただきましたように、中国を含め、東南アジアの方々が多く日本実習生として来られております。  そうした中、この特区を使って新しく農業従事をされる方々受け入れるという新しい制度でございますけれども、農業を営んでおられる方々受け入れのいわゆる主となるのは、今は株式会社の農業参入もありますし、生産法人あるいは任意の法人担い手としてやっておられる認定農業者方々、いろいろな方々がおられますが、まず、その受け入れ体条件というのはどういう条件受け入れが可能かどうか、お尋ねをいたします。
  10. 山北幸泰

    山北政府参考人 派遣先農業経営体要件につきましては、内閣総理大臣が定めますところの指針において定めることとしておるところでございますが、現在、その内容については、政府部内で調整しているところでございます。  その内容につきましては、特区指定区域内で農業経営を行っている個人または法人の方ということ等を定める方向で現在調整をさせていただいているところでございます。そういう意味では、法人だけではなくて、いわゆる家族経営の方も対象になるという方向検討しているところでございます。
  11. 池田道孝

    池田(道)委員 全国的にはまだまだ家族経営、いわゆる認定農業者方々を含めて、家族経営が多いわけでございますが、そうした絶対条件特区があるわけでございますけれども、そういう方々は、失礼な言い方ですが、なかなかそういう制度を利用するというノウハウがわかりません。  仮に個人とした場合に、認定農業者方々外国人の方をそういう新しい制度になって受け入れたいという場合には、どういう手続をどこへしたらいいのか、まず教えていただきたいと思います。
  12. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  本法案につきましては現在御審議中でございますが、それを前提といたしまして答弁をさせていただきたいというふうに思います。  まず、外国人材受け入れたいと考え農業者の方には、まず、自分の農業を営む地域特区に指定されているかどうかということを確認いただきまして、また、内閣総理大臣認定を受けた区域計画に本特例がメニューとして含まれているかどうかというのを確認していただくことになろうかというふうに思っております。これらの要件を満たしている場合には、その区域外国人材農家派遣する業務を行う特定機関、これは派遣を行う方ですけれども、相談をしていただくということになろうというふうに思います。  また、この特定機関情報がわからないような場合もあろうかということで御指摘でございますが、本事業の適正な運営を確保するために、特区となっている自治体ですとかあるいは国の機関で構成される適正受け入れ管理協議会、そういった窓口お尋ねいただいて、特定機関の紹介、そういったことをしていきたいというふうに考えているところでございます。  その上で、農業者は、特定機関との間で具体的な条件あるいは業務内容などを調整した上で、最終的に、労働者派遣契約を結んでいただいて、外国人材派遣受け入れるということになろうかというふうに思います。  いずれにしても、随時、適正受け入れ管理協議会にお問い合わせいただくことになっていくものというふうに考えておりますし、制度が成立した暁には、いろいろな周知にも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 池田道孝

    池田(道)委員 これから細部は詰められるんだろうと思いますが、農業を営んでおられる方々が、その地域特区になったぐらいはわかろうかと思いますが、まず、そうした特区、あるいは特区になると外国人受け入れができますよというような、いわゆる広報というのはどういう形でやられるのか。せっかくいい制度をつくっても、隅々までその制度が行き渡らないと効果は全くありませんので、そのあたりについてお尋ねをいたします。
  14. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  制度が成立した暁におきましては、いろいろな関係団体あるいは都道府県等を通じまして必要な情報提供に努めてまいりたいというふうに思っておりますし、特区制度そのものにつきましては、内閣府の方でもいろいろな周知活動を行っているということでございますので、そういったところとも連携いたしまして周知に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  15. 池田道孝

    池田(道)委員 あと、名称はどうなるかわかりませんが、協議会等をつくって、そこへいろいろな相談もしていただきたいという答弁でございましたが、その協議会というのはどういう形でつくられるのか。  と申し上げますのが、都道府県なんかと一緒になってつくったって、農家方々は全く無意味でございまして、少なくとも地元の市町村あるいはJAが入ったところでないと気軽にその相談というものはできかねると思いますが、そのあたりについてはどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  16. 山北幸泰

    山北政府参考人 適正受け入れ協議会につきましては、今現在のところ、関係自治体、これは特区に関係する自治体ということでございますが、それと国の機関地方農政局あるいは地方入国管理局都道府県労働局内閣府の地方創生推進事務局等構成員として協議会というものを設けたいという方向調整しているところでございます。そこが、言ってみれば本事業の適正な運営を確保していくための措置を講じていくということになろうと思っています。  その上で、特定機関が基準に合致しているのかどうかといったようなことを含めまして、適正な特定機関を選んでいただくということになりますので、その特定機関との間で農家方々はいろいろなやりとりをしていただくことになろうかと思いますけれども、今、特区申請をされているところのお話を伺っていますと、例えば、この特定機関につきまして、一部の県では、自治体JAが関与してそういった特定機関を構成していってはどうかというような検討もされているようでございますし、また一部では、JA関係のグループの中の会社でそういった特定機関要件を満たすようなところがあるならば、そういったところを活用していってはどうかということも含めて、現場ではいろいろな検討がされているということでございますので、農家相談しやすいような体制についても、今後、意を用いてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 池田道孝

    池田(道)委員 冒頭言われたのはほとんど国の出先機関ばかりでございまして、先ほど申し上げましたように、それでは全く意味がありません。  後半言われた、少なくとも特区の中の、特区もことし申請もどれぐらい出るかわかりませんが、かなり出るのではなかろうかと思いますけれども、そうした中で、やはり地方自治体あるいはJAという方々機関が中へ入って相談窓口にならないと、せっかくの制度が、先ほどの、いわゆる個人もその媒体になるということでございますから、経営体になるということでございますから、ぜひその点については考慮を、というよりか、もう必ずと言っていいほど、入れていただきたいというふうに思います。  それから、農家仕事というのは、御承知のように、農閑期もあれば農繁期もあります。通年作業というのが通常の、我々のところでも自動車産業なんか大勢の方が来られておられますけれども、そうした通年業務というものが非常に難しいということが当然起きてくるわけでございますが、滞在期間通算三年ということでございますけれども、そのあたりについてはどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  18. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  外国人農業支援人材在留期間につきましては、今御指摘ございましたように、現在調整中ではございますけれども、通算三年を基本として、この期間を超えない範囲内で、帰国、再度の入国を可能とする方向検討しているところでございます。  したがいまして、外国人材は、例えば日本農繁期の数カ月間、特定機関雇用契約を結んで日本での農作業従事し、農閑期はまた逆に母国に帰ってみずからの農業経営に当たる、そういったようなことも可能にしていきたい。また、その上で、翌年度農繁期に再度、日本農業従事するといったことも可能にする方向検討しているところでございます。
  19. 池田道孝

    池田(道)委員 それはわかりますが、肝心な、通算何年が限度なんですか。
  20. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  通算三年を基本として、調整を今進めさせていただいているところでございます。
  21. 池田道孝

    池田(道)委員 通算が三年ということになりますと、例えば稲作づくりだけで半年、四月から十月ぐらいまで、ちょっと忙しいかもわかりませんが、ということになりますと、それが六年ということも可能か。あるいは、水稲だけですと半年でもいいんですが、そうでなくて、果樹なんかはでき得れば九カ月。九カ月で働いていただいて、三カ月帰っていただく。どちらにしてもいいんですが、それは通算の中で三年ということで、半年ずついけば六年、あるいは九カ月、三カ月でいけば四年、それは経営体の自由な裁量でできる、そのあたりについてお尋ねをいたします。
  22. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  通算三年ということでございまして、その限度において、帰国、再入国を自由にするという方向でございますので、まさしく委員指摘のとおり、例えば六カ月ということであるならば、最長六年に、足かけ六年ということで対応が可能だというふうに思っております。  また、先ほど果樹の例もございましたけれども、通算年度が三年ということでございます。  また、ケースによっては、派遣仕組みですので、複数農家にということでございますので、例えば畑作なんかの場合、複数農家で、農繁期の異なる作物で、そういった形で期間を延ばしていく、その場合においても、通算で三年だということでございます。
  23. 池田道孝

    池田(道)委員 そういう形で、先ほど、後半の答弁の中にありましたが、例えば隣の農家あとの三カ月を雇用するということも当然できるんだろうと思いますが、それができないような、例えば個人方々がお二人ならお二人を採用し、この方は九カ月ですよ、この方は通年ですよと。あるいは三人の場合、この方は半年、半年ですよという、農作業ですからいろいろな、そういうようなものも、経営体外国人方々個人契約をされるのか、そういうようなものは、ある程度の機関を通して、機関の中でやっていただけるのか。  後でお聞きしますが、外国の方が来られるわけですから、全然わからない、どちらも内容がわからないということの中でやるわけなので、そのあたりお尋ねいたします。
  24. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  本仕組みのもとで外国人を雇用するのは、あくまでも労働者派遣を行う、外国人労働者派遣する特定機関雇用契約を結ぶということになります。  その上で、派遣先農業経営体ニーズ等調整いたしまして、そこをマッチングさせるということは特定機関において行っていただくということになりますので、そういった対応が可能だということでございます。
  25. 池田道孝

    池田(道)委員 そういう形で特定機関がやっていただくのが一番いいんですが、雇用形態もそうでありますし、また、全く違う、文化も違う、生活習慣も違う、気候風土も違うという日本へ来て仕事をされるわけでございますが、当然、言葉も不自由すると思いますけれども、そうしたいわゆる研修というのか、農家方々になれていただく研修等はどこがされるのですか。
  26. 山北幸泰

    山北政府参考人 御指摘のとおり、外国人材日本農業現場でのトラブルなく就労してもらうための取り組みは重要だというふうに考えております。  現在、詳細については検討中でございますけれども、外国人材を雇用する特定機関が、外国人材日本入国後に、就業上理解しておくべき関係法令に関する研修ですとか、あるいは日本語能力をさらに向上していただくための研修ですとか、あるいは、苦情や相談ができる窓口情報提供などを行う方向検討しているところでございます。  なお、技能実習制度におきましては、外国人実習生受け入れている監理団体実施機関である農業経営体が、例えば、地域のお祭り等への、行事に積極的に参加するですとか、あるいは日本生活習慣文化を学ぶ講座を開設する等の事例もあるところでございまして、そういった事例というのは本事業に当たっても参考になろうかというふうに思っていますので、そういった点からも検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 池田道孝

    池田(道)委員 せっかくこういう新しい制度農業者にとりましては大変ありがたいことだと思いますので、トラブルのないような制度そして研修等をお願いしたいと思います。  最後になりましたが、法案とは直接関係ありませんけれども、地方創生、いわゆる地方自治体では、従来から、地域活性化等を含めて、とにかく人口減少社会の中で地方を発展させなければならないということで頑張ってきておりました。  そうした中、一昨年、総合戦略を、これは言葉が悪いんですが、国の方から、つくれ、早うつくれという形で出させていただきました。それに沿って、今、地方創生を進めておりますけれども、実際は、二十八年の後半から今年度が主だろうと思いますけれども、その点につきまして、山本大臣地方も回っておられることだろうと思いますけれども、どれぐらい、この地方創生の、いわゆる地域に先駆けて国が先導するということでございますけれども、今の進捗ぐあいという形で、どれぐらい地方創生に役立っているか、その点についてお尋ねをいたします。
  28. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 お答えいたします。  地方創生につきましては、これまでも、平成二十六年十二月に国の総合戦略が策定されまして、地方経済分析システム、RESASによる情報支援や、地方創生人材支援制度等による人材支援、そして、地方創生関係交付金等による財政支援等に取り組んできたところであります。  昨年度には、委員指摘のとおり、地方版総合戦略の策定がほぼ完了いたしまして、まさに本格的な事業展開に入っているところであります。総合戦略がまだできていないのは東京都の中央区だけということでありまして、今年度中にはできるというふうに伺っております。  さらに、昨年十二月の国の総合戦略改定では、各地方公共団体が自助の精神を発揮して、地方平均所得の向上のための取り組みを進めることが重要であるとの考えのもとで、ローカルアベノミクスの推進として、地域における仕事の創出や、空き店舗等遊休資産の活用、地域経済を牽引する事業への支援、それから、東京一極集中の是正として、地方大学振興等地方創生インターンシップ推進地方就業者奨学金返還支援制度全国展開、働き方を含め、高度経済成長期のようなライフスタイルを見詰め直す観点から、地方生活の魅力の再発見、発信、郷土への誇り、愛着の醸成、歴史の発掘、地域文化振興などの取り組み推進しているところであります。  私も、昨年八月の大臣着任以来、これまでに全国の八十四市町村、百九十六カ所の地方創生取り組みを視察してまいりましたけれども、先進的な取り組みを行っている自治体も多くて、手応えも感じているところでございます。  引き続き、意欲と熱意のある地方公共団体に対して、情報支援人材支援、財政支援地方創生版三本の矢で強力に支援してまいりたいと考えております。
  29. 池田道孝

    池田(道)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  30. 木村太郎

    木村委員長 次に、桝屋敬悟君。
  31. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。  早速、時間がありませんから、内容に入りたいと思います。きょうは大臣もいらっしゃいますので、よく聞いていただきたいと思います。  今回の法改正の具体的な中身とは若干離れるわけでありますが、極めて大事な問題だと思っております。  ことし二月十日でありましたが、東京圏の国家戦略特区区域会議におきまして、東京都から提案されました事業として、選択的介護、混合介護と言う人もおりますけれども、選択的介護の話が報道されております。  報道によりますと、介護保険サービスと保険外サービスの同時一体的提供、あるいは、介護保険サービスに付加価値をつけて、例えば、ヘルパーの指名料とか指定料などという別途の料金設定を行うなどのモデル事業をやりたい、こういうことのようでありますが、具体的にどのようなことが検討されているのか、これは内閣地方創生推進事務局、事務方からで結構でございますが、どういう情報が入っているのか、教えていただきたいと思います。
  32. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  本年の二月十日に開催いたしました国家戦略特区区域会議におきまして、東京都から、ただいまおっしゃいました選択的介護に係る御提案があったところでございます。具体的には、東京都と豊島区が連携いたしまして、特区認定を得た上で、平成三十年度から選択的介護に係るモデル事業を実施して、効果や問題点の検証を図るというものでございます。  その後、四月二十日に行われました区域会議におきましても、検討状況の報告がございました。その中で、モデル事業の実施に向けて、想定される状況あるいはニーズ、留意点、法的規制等につきまして、東京都と豊島区が共同で事業者や学識経験者等へのヒアリングを実施しているという御報告がありました。また、四月から豊島区で担当課長を置くなど、モデル事業の準備体制を整備したということについても御報告がございました。  このようなことが明らかになっている状況でございます。
  33. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 そうしますと、東京都、豊島区を舞台に相当本気でお考えのようでありますが、これから、国家戦略特区のスキームとして、この東京都の提案、これは豊島区ということでしょうか、具体的に実行されることとなるのかどうか。今、三十年という話がありましたが、特区のシステムからいきますと、これからどういう作業を三十年に向けて、具体的に、本当に始まるのかどうか、越えなきゃいかぬ山が何なのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  34. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、東京都におきましては、状況、ニーズ、留意点等につきまして整理中であると聞いているところでございます。  内閣府といたしましても、東京都の具体的な御提案を踏まえまして、とりわけ、平成三十年度に効率的かつ有意義なモデル事業が実現できるよう、当然、関係省庁とも連携を図りつつ、国家戦略特区ワーキンググループ等におきまして積極的な検討調整を進めてまいりたいというふうに考えております。
  35. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それは、具体的にこの案が実行されるについては、それこそ国家戦略のスキームとして、区域の計画として諮問会議認定を受けなきゃならぬということになるんですか。
  36. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  最終的にこれが規制改革事項として実現されるためには、これから、東京都等と話を聞きます、あるいは厚労省さん等と話を聞きながら、ワーキンググループで調整検討を進めてまいりまして、その上で、今お話がありましたように、最終的には、区域会議それから諮問会議ということで決まっていく、そういう手続になるわけでございます。(桝屋委員認定をされるわけですね」と呼ぶ)そうですね、はい。最終的にはそういう手続になります。
  37. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  それで、私は決してこの動きに反対しているわけではないのでありますが、ただ、大きな問題だな、こう思っているわけであります。多分、東京都は今後の急激な高齢化、超高齢化に対応しなきゃいかぬ、かつ、介護人材の不足が言われる中で、地域において介護保険サービスの柔軟な展開を考えていきたい、こういうことかなと理解しているわけでありますが、現行の制度においても、今提案のありました介護保険の保険内のサービスと保険外のサービス、これは併用が可能ではないかなと。  ただし、これは一定のルールのもとにということだと理解しておりますが、今、現行制度でできることというのはどういうルールになっているのか、ちょっと事務方から。厚労省、来ていますね、お願いします。
  38. 坂口卓

    坂口政府参考人 お答え申し上げます。  今桝屋議員の方から御指摘がありましたとおり、現行の介護保険制度では、多様な介護ニーズに対応できますように、保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することを一定のルールのもとで認めております。  具体的には、保険サービスと保険外サービスが明確に区分されていること、それから、利用者等に保険外サービスの提供に当たってあらかじめサービスの内容等を説明し、同意を得ていることなど、そういったことを求めているというところでございます。
  39. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 恐らく、今回、東京都の提案は、今おっしゃった明確な区分、区分を明確に分けるというようなことに対して、実態としてなかなか難しいということで、そのルールを緩和してもらいたい、こういうことではないかなと。私もこの世界をよく知っておりますが、なかなか、明確な区分とはいえ、自治体によって区々としている、その判断基準が大分異なっているというようなこともあって、事業者の中から、ぜひそこは自由にやらせてもらいたい、こういう声があるのかもしれません。  ただ、ここは公的サービス、公的保険として極めて大事な部分でありまして、このルール、今おっしゃった区分を明確にするというようなことについて、この辺を緩和するというようなことになったらどういう問題が起きるのか、厚労省、もし認識があれば見解を伺いたいと思います。
  40. 坂口卓

    坂口政府参考人 お答えいたします。  今委員指摘のように、保険のサービスと保険外サービスを組み合わせて利用することを検討する際におきましては、私どもとしましては、やはり、利用者が事実上保険外の負担をしなければ介護保険サービスが受けられなくなるおそれはないかとか、あるいは不明朗な形で料金が徴収されるおそれはないかとか、あるいは自立支援とか重度化防止ということについての阻害が出てこないかということ、それから給付費の増加につながるおそれがないかといったような点が留意点になると考えております。  いずれにしましても、厚生労働省といたしましても、検討に当たっては、利用者やその家族にとってトータルとしてプラスになるかという観点が重要であるということで認識をしております。
  41. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の問題点は極めて大事な話でありまして、今回の東京都の提案は、例えばホームヘルパーの派遣についても、当事者、その世帯に派遣対象者がいらっしゃる、家族もいらっしゃる、では家族のお世話も、食事のお世話とか洗濯とか掃除とか、一緒にやってあげればいいじゃないか、その分は別途料金をいただきますよと。あるいは、ヘルパーさんが、公的ヘルパーは利用者が選べないわけでありまして、希望はできるでしょうが、あのヘルパーさんに来てもらいたいというのはなかなかできないわけで、いやいや、私はあのヘルパーさんがいい、指名料を別途いただきましょうというようなこと。  ここは極めて制度基本にかかわる問題でして、これをいいかげんにしますと、付随したサービスが、保険外サービスがひっついた、必ずついてくるようなサービスになってしまったり、何よりも、さっきおっしゃった自立支援ということからいきますと、今、介護保険は自立を支援する、重度化予防ということが極めて大事でありますから、本人の介護の状態、要介護の状態よりも家族の要望を優先させてしまうような、ひいては、お金さえあれば、お金がある人は、保険外の負担ができる人はサービスを使えるけれども、負担ができない方は使えないというようなことになりますと、これはまさに公的保険制度としての根幹にかかわる問題だろうと私は思っております。  ここは、さっき御説明の中に、豊島区も特命担当課長をおつくりになったようであります。これは全国の制度に影響を与える、全国も関心を持って見ていると思いますので、きょう厚労省から堀内大臣政務官にも来ていただきました、ぜひここは厚労省もしっかりコミットして、特区だから厚労省は手をつけられないんだ、内閣府で全部やっているんだという姿勢ではなくて、ここは極めて大事な部分だということで、東京都やあるいは豊島区とも十分連携をしていただきたいな、相談があればしっかり対応してもらいたい、こう思うわけでありますが、政務官、いかがでしょうか。
  42. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 桝屋先生御指摘のとおり、この東京都の提案は、自立支援、重度化防止といった介護保険制度の理念等にかかわるものであり、しっかりと検討する必要があると私どもも考えております。  現在、東京圏国家戦略特別区域会議において、保険サービスと保険外サービスの組み合わせに係る提案がなされ、具体的な内容については、今後、検討が進められていくものと認識しております。  厚生労働省といたしましては、利用者やその家族にとってトータルとしてプラスになるかという観点を大切にしながら、東京都や、先ほどお示しいただいた豊島区や、内閣府などからの相談には真摯に応じるなど、丁寧な対応を心がけて、しっかりと連携してまいりたいと存じております。
  43. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひよろしくお願いをします。  私も、これは大事なモデル事業だろうというふうに思っております。  政務官、東京都はもともと、ホームヘルパーについては、介護保険の始まる前から特別な区域なんです。有料職業紹介事業者がホームヘルパーの派遣仕事を担ってきた、こういう歴史的経緯がありますので、今でも実際に、公的介護保険のサービスと有料職業紹介とをうまくあわせて使っているという実態もある。そういう背景もあるわけでありますから、ぜひ本当に、利用者の希望、ニーズ等、介護保険の趣旨というものを十分踏まえて、私は、検討にコミットしていただきたい。大臣にもよくお伝えをいただきたい。私は、豊島の担当課長とも会ってまいりました。また厚労委員会でしっかり議論したいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。  それで、この点について、全く同じような提案が規制改革推進会議から、「介護保険内・外サービスの柔軟な組合せに関する意見」というのが先般発表されたようであります。  この意見書で示されている改革の方策について、規制改革推進室、きょう来ていただいていると思いますので、その部分だけちょっと御紹介をいただきたいと思います。
  44. 刀禰俊哉

    刀禰政府参考人 お答えいたします。  規制改革推進会議におきましては、これまでも、必要に応じて各分野の規制改革の方向性について意見を提示してきておりますが、本年四月二十五日に、今御指摘のございました「介護保険内・外サービスの柔軟な組合せに関する意見」というものを提示したところでございます。  この意見におきましては、一つ、訪問介護サービスにおける柔軟な組み合わせ、二つ、通所介護サービスにおける柔軟な組み合わせ、三つ、介護サービス価格の柔軟化、四つ、サービス提供体制の整備といった、利用者の目線に立ったきめ細かなニーズに応える介護サービスを実現し、かつ、柔軟な組み合わせにより生じると指摘される弊害への対策を盛り込んだ標準ガイドラインといったものを平成二十九年中に策定し、発出すべきとしているところでございます。
  45. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  さっき、特区で行われている検討の状況をお聞きになったと思いますが、東京都、豊島区が今から連携をして、今、準備のための会合を重ね、ニーズも調べ、そして三十年からモデル実施をする。モデル的に事業を実施してみて、どういう問題が出るのか、どういう効果が出るのかということを検討しようと。こういう流れの中に、規制改革会議が、二十九年度中にガイドラインをつくれと。これはちょっと、私は順番がどうなっているんだと。  やはり、確かに岩盤規制を突破するということは大事です。規制改革も大事だけれども、平成十二年、二〇〇〇年から始まった介護保険制度、十七年たってきて、この根幹の部分が、この規制改革によって、私は、屋台骨がぐらぐらしてしまうということを大変心配しているわけであります。  私は、反対しているわけではない。進める以上は慎重に現場を見きわめてやらなきゃいかぬと思っているわけでありまして、ここは、山本大臣、大臣は地方創生担当大臣と、それから内閣府の国家戦略特区の特命担当大臣というお立場でありまして、どうも役所に聞きますと、これはもう特区で、内閣府でやっているんだから、厚労省は余り物を言えないんですというような雰囲気を感じるわけであります。  ここは、ぜひともいい制度にするように、いいものであれば全国展開しなきゃなりませんし、介護保険も本当に今困難な状況になっていること、今年末までに報酬改定もしなきゃいかぬという、こういう中で、どうぞ大臣、少なくとも、特区でやろうとしていることと規制改革会議のこの提案とは、私は、大臣の調整、大臣としてのコーディネート、ぜひ手腕を発揮していただきたいとお願いするわけでありますが、いかがでしょうか。
  46. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘の点はまことに大事なことだと認識しております。  規制改革推進会議の意見書にあります標準ガイドラインは、平成二十九年中に策定されるべきものとされておりまして、東京都が平成三十年度特区で実施予定のモデル事業に係るよりよい計画づくりに大いに役立つものと考えております。  逆に、東京都が平成三十年度に行うモデル事業で得られた成果や課題については、標準ガイドラインの必要な見直しに示唆も与えるというように思われます。  このように、両者が相互に適切な連携を図ることにより相乗効果が期待できて、御指摘のとおり、国家戦略特区と規制改革とを一体的に担当する大臣として、非常に重要な役割を担っているものと考えております。  御懸念の介護保険制度に悪影響が生じないように、厚生労働省そして関係者と慎重かつ丁寧に議論を進めつつ、両制度の適切な連携が図れるように配慮してまいりたいと思います。
  47. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 尊敬する山本大臣でありますが、ぜひお願いします。  どうも今の話を聞くと、まずはつくってみて、特区の結果が出ればまた変えればいいではないかというお気持ちかと思いますが、一旦始めたら、なかなか戻れぬのであります。  そういう意味では、私は、規制改革会議が、これは大田議長にもぜひ伝えてもらいたいんですけれども、何を焦っているんだ、規制改革会議がここまで言う必要があるのかという怒りすら感じるわけでありまして、ぜひ、豊島区において検討されるこういう内容を十分踏まえてこれからの作業を進めていただきたい。これをお願いして、きょうの質疑を終わりたいと思います。  これは、しつこく私はこの部分を見ていきたいと思っております。何度も言いますが、反対しているわけではありません。いいものにしたいという思いでありますので、制度の屋台骨が壊れては困る。その先に、特別養護老人ホームも民営化すればいいではないかというようなことがもう見え隠れするわけでありまして、私は、規制改革会議の皆様方にぜひそういう声も届けたいと思っている次第であります。どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。終わります。
  48. 木村太郎

    木村委員長 次に、椎木保君。
  49. 椎木保

    ○椎木委員 日本維新の会の椎木保です。  本日議題となりました国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について質問いたします。  初めに、待機児童の解消について質問いたします。  昨年十二月に総務省が取りまとめた子育て支援に関する行政評価・監視に関する勧告によれば、保育所の定員は目標を上回って整備が進んでおりますが、待機児童数は八年連続で二万人超となっております。子供の数は減り、保育所の定員は増加しているのに、待機児童は減らない。これはどういった理由によるものなのでしょうか。お尋ねいたします。
  50. 吉本明子

    吉本政府参考人 御答弁申し上げます。  政府といたしましては、待機児童の解消に向けまして、待機児童解消加速化プラン、平成二十五年度から二十九年度末までの五年間、五十万人といった目標を掲げまして、これを超える保育の受け皿整備に努めているところでございます。  一方で、加速化プランの策定の前と比較いたしますと、二十五歳から四十四歳の女性の就業率、これとあわせまして、一、二歳児の保育所の利用率、さらには保育所の申込者数、それぞれ、いずれも二倍近い伸びということになっておりまして、その結果といたしまして、待機児童数は依然として二万人を超える水準で推移しているというふうに考えております。
  51. 椎木保

    ○椎木委員 今答弁いただきましたけれども、ただいまの理由に対して、いかなる対策を講じようと考えているんでしょうか。答弁の方をお願いします。
  52. 吉本明子

    吉本政府参考人 待機児童解消に向けましては、まず保育の受け皿整備が重要でございますが、それとともに、それを支える人材の確保、さらに、そのための処遇改善を含めた総合的な支援に取り組むことが重要だというふうに考えております。  このため、具体的には、一つは、受け皿拡大につきましては、各自治体によります受け皿整備の前倒し、加速化に対する支援、また、企業の主導型の保育事業の創設、普及促進、二つ目に、保育人材の確保につきましては、処遇改善でございますが、平成二十九年度予算で保育士の処遇を二%改善いたしますとともに、技能、経験による四万円あるいは五千円といった形での処遇改善、さらに、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職、そういった観点からの総合的支援をいたしております。  さらにそのほかにも、昨年三月には、待機児童解消に向けて緊急的な対策というのを出させていただきまして、さらに昨年の九月には、切れ目のない保育のための対策を発表し、また、市町村長と私ども厚生労働大臣との対策会議を開催するなど、次々と、考えられるさまざまな手段を講じてきているところでございます。
  53. 椎木保

    ○椎木委員 大変詳細な、丁寧な御答弁をありがとうございました。  次に、勧告では、小規模保育施設等の整備において、卒園後の受け皿となる連携施設の確保に向けた市町村の支援が不十分であると指摘しています。この点について、いかなる対策を講じようとしているのか、お尋ねいたします。
  54. 吉本明子

    吉本政府参考人 今般の総務省からいただきました勧告を踏まえまして、厚生労働省におきましては、連携施設の確保ということに関しまして、一つは、市町村みずからが連携施設のコーディネートを行う、間に立って連携施設を見つけるようなマッチングを行うといった、そういう連携施設の設定につきまして効果を上げた好事例を収集いたしまして周知をしていくということ、さらには、保育事業者間の懇談の場、情報交換の場といったようなものを設定しまして、連携施設を見つけやすくする、そういった対応を求める通知の発出を通じまして、積極的な関与を各市町村に促しているところでございます。  さらに、二十九年度予算におきましては、保育園と小規模保育所との接続、調整に必要なコーディネーターを配置するための支援を盛り込ませていただいております。
  55. 椎木保

    ○椎木委員 連携施設を確保しても、小規模保育施設に子供を預ける親あるいは子供にとっても転園は大きな負担であり、いわゆる三歳の壁の根本的な解決にはなりにくいと考えますが、この点について、どういった見解をお持ちでしょうか。お伺いいたします。
  56. 吉本明子

    吉本政府参考人 現行の小規模保育事業でございますが、これは、待機児童の八割以上がゼロ―二歳だということを踏まえまして、その対象年齢を原則ゼロ―二歳としているわけでございますが、三歳に達して卒園する児童が必要な教育、保育を継続的に受けられるようにということで、連携施設を適切に確保することを求めているところでございます。  一方で、御指摘いただきましたとおり、保護者の方々、小規模保育事業を利用されていると、三歳になった以降、転園先が見つけられるかどうかといったことで御不安を感じていらっしゃるといった指摘もいただいているところでございまして、そうした意味から考えますと、今回、特区で、小規模保育につきまして、対象年齢をゼロ―五歳に拡大するということにつきましては、いわゆる三歳の壁の問題の解消に向けた一つの選択肢を提供することにはなるのではないかと思っております。
  57. 椎木保

    ○椎木委員 次に、制度創設時に、人口減少地域でも、小規模保育施設の整備は地域の子育て支援機能を維持、確保する上で有効としておりましたが、そのような小規模保育施設の箇所数、具体的な事例や効果をお示しください。
  58. 吉本明子

    吉本政府参考人 小規模保育事業におきましては、都市部の待機児童対策とあわせまして、御指摘ありましたように、人口減少地域において、身近な地域で子育て支援機能を確保するといった役割を担うものでございます。  制度を創設いたしました平成二十七年四月時点で全国で千六百五十五件、二十八年度四月時点では二千四百二十九件が認可されております。  ただいまお尋ねいただきましたところの、人口減少地域に限ったといったことではちょっと数字が整理できておりませんけれども、待機児童が発生していない県のうち九県で、この小規模保育というのが活用されておりまして、七十三事業があるといったことでございます。  そういう意味では、一部の自治体に確認をいたしましたところ、児童数の減少に伴って、それまで認可保育所であったけれども小規模に移行したとか、あるいは僻地保育所から小規模に移行したといったようなことで、本来期待しておりました役割を担っているといったケースも認識しております。
  59. 椎木保

    ○椎木委員 今回の法案の小規模保育所の対象年齢拡大は、昨年十二月の総務省の勧告で指摘された事項について、どのように応えることが期待されるのでしょうか。
  60. 吉本明子

    吉本政府参考人 総務省の勧告に対しましては、卒園後の受け皿を確実に確保するということで、先ほども申し上げましたような連携施設の確保に向けた市町村等の取り組み支援していきたいというふうに考えているところでございますが、今回御審議いただいておりますこの特例措置につきましては、ゼロ―五歳まで保育できるようになりますため、その意味では、卒園後の受け皿確保に資するものだというふうには考えております。
  61. 椎木保

    ○椎木委員 次に、保育士試験の実施主体は各都道府県知事ですが、現実には全国統一の試験で、資格を全国で活用できるということが、保育士の都道府県間移動を促し、地域偏在が生じる原因となっているのではないか、この点について厚生労働省の見解をお伺いいたします。
  62. 吉本明子

    吉本政府参考人 保育士は児童福祉法に位置づけられた資格でございまして、その資格を有する方は全国で保育士として働くことができるといった制度基本的な考え方でございますが、特に保育士の確保が課題となります中で、保育士試験の実施回数をふやすとともに、地域における保育士の確保を行いたい、そういった自治体の要望を踏まえまして、平成二十七年度から地域限定保育士試験を創設したといった経過でございます。  この地域限定保育士試験は、資格取得後三年間は、保育士として就業できる地域について、試験を行った自治体内ということになっておりますので、自治体にとりましては、保育士確保の方策の一つというふうに考えられると考えております。
  63. 椎木保

    ○椎木委員 待機児童の解消の質問は、これが最後になりますので。  今回の法案地域限定保育士試験の実施主体の拡大は、年三回目の保育士試験を実施するために必要と言われておりますが、年二回目の保育士試験や年四回目の保育士試験を、この特例を使って実施することは可能なのでしょうか。
  64. 吉本明子

    吉本政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、今般のこの法案の実施主体の拡大につきましては、年三回目の試験だけではなく、二回目あるいは四回目の試験として実施することも可能でございます。  なお、地域限定保育士試験の実施に当たりましては、この社団法人等以外を指定試験機関として活用する場合につきましては、設備、経理的、技術的な基礎、役員構成、試験委員の十分な人数の確保など条件を設けるということにしておりまして、実施回数がふえたといたしましても、公正、適正かつ確実に試験を実施することが重要だというふうに考えております。
  65. 椎木保

    ○椎木委員 この待機児童の解消、大変大きな問題だと思っていますので、八項目、質問させていただきました。大変丁寧な御答弁をいただけたと思っています。ありがとうございます。  次の質問に入ります。  コンセッション事業者の施設経営の自由度向上についてお伺いいたします。  本法案検討規定を置くこととなったのは、コンセッション事業者が市民ホールなどの公共施設を運営する際、指定管理者の指定も受けないといけないという、いわゆる二重適用問題の解消のためとお聞きしておりますが、二重適用問題は、具体的にどのような場合に支障となるのでしょうか。わかりやすく説明をお願いいたします。
  66. 木下茂

    木下政府参考人 お答え申し上げます。  現状では、公の施設である市民ホール等におきまして、コンセッション事業者が特定の第三者にこれを使用させる場合には、地方自治法上の指定管理者の指定をも受けることが必要であり、この場合、PFI法と地方自治法のそれぞれの手続を経る必要があり複雑であること、また、利用料金について地方公共団体の承認を受ける必要があり、利用料金の決定に関するコンセッション事業等の裁量が狭くなることといったような問題が指摘されているところでございます。
  67. 椎木保

    ○椎木委員 この法律案の附則二条の一項を読みますと、公共施設等運営権者が第三者に対して公共施設等の使用を許すことが可能となるよう、その具体的な方策について一年以内に検討し、必要な措置を講じるとなっております。  現行制度ではコンセッション事業者が第三者に対して公共施設等の使用を許さないとは、具体的にどのようなことを言われているのか、わかりやすく説明をお願いいたします。
  68. 木下茂

    木下政府参考人 お答えいたします。  コンセッション事業者が第三者に対して公共施設等の使用を許すことができないということは、公共施設等の利用に係る処分の権限をPFI法上有していないために、公の施設である市民ホール等を特定の第三者に使用させることができないということをいうものでございます。
  69. 椎木保

    ○椎木委員 ありがとうございます。  次の質問に入ります。  テレワークについてお伺いいたします。  これまで、厚労省を初めとする各省では、種々のテレワーク関連施策を講じてきておりますが、なかなかテレワーク人口の拡大という成果に結びついていないようにも見受けられます。  今回の法改正を契機として整備するテレワーク拠点では、テレワーク人口という成果を上げるために、どのような施策を講ずることを考えているのでしょうか。答弁を求めます。
  70. 藤澤勝博

    藤澤政府参考人 お答え申し上げます。  テレワークは、子育てあるいは介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるものであり、働き方改革を進める観点からも、その推進を図ることが重要であります。  今回、この国家戦略特別区域法の改正におきまして、国と自治体が連携をして、テレワークを導入しようとする企業などに対して、各種相談支援を行うテレワーク推進センターの設置を盛り込んでいるところでございます。  現時点では、厚生労働省東京都とで連携をして、本年の夏ごろから事業を実施する予定でございますけれども、国は専門的な助言、相談を行い、また、東京都はワーク・ライフ・バランス施策と連携して対象企業の掘り起こしを図るなど、それぞれの強みを生かして、企業に対してテレワークに係る情報提供、あるいは相談、助言などをワンストップで実施をすることとしているところでございます。  また、テレワークを実施する上での課題として、仕事の進行管理が難しいでありますとか、あるいは労働時間の管理が難しいといったような声が企業から寄せられておりますので、厚生労働省では、今般の働き方改革実行計画に基づいてテレワークのガイドラインを改定し、労働時間管理の留意点などを明らかにする予定でございます。  さらに、厚生労働省ではセミナーあるいは導入経費の助成なども実施をしているところでございますが、このテレワーク推進センターにおいても、ガイドラインやこうした取り組みを紹介して、実効性のあるテレワーク導入支援を企業に対して行う予定でございます。  こうした取り組みを通じてテレワークを推進し、御指摘のテレワーク人口の増加にもつなげていきたいと考えているところでございます。
  71. 椎木保

    ○椎木委員 それでは最後に、山本大臣に、全般について質問させていただきたいと思います。  国家戦略特区は、これまでの構造改革特区や総合特区とどのような点が異なるのか、また、国家戦略特区でしかできないことは何か、山本大臣の見解をお伺いいたします。
  72. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。  国家戦略特区、構造改革特区、総合特区特区制度全般につきましては、いずれも地域を限定して規制改革を行うものでありますけれども、まず構造改革特区は、全国どの地域でも活用できる規制改革を措置する制度であります。それから、総合特区は、財政支援も含めた総合的な支援制度ということであります。それに対して国家戦略特区は、岩盤規制改革に突破口を開く制度でありまして、そういう点が、異なった意義、目的を有しているというふうに考えております。  国家戦略特区は、規制改革の実験場として、地域を厳格に限る一方で、岩盤規制改革を目指すための仕組みでありまして、国の制度を変えてまで事業を実現したいとする地域の意欲を具体的かつスピーディーに実現できる点で、大きな意義があるものと考えております。  国家戦略特区によりまして、企業の農地所有やあるいは家事支援外国人材受け入れなど、長年実現できなかった項目について実現を果たしたところであります。  今後とも、国家戦略特区を加速的に推進し、引き続き、必要な規制・制度改革を実現してまいりたいと考えております。
  73. 椎木保

    ○椎木委員 残った時間で、最後にもう一問だけ質問させてください。  私が今回の法案で最も期待を寄せているのが、日本版レギュラトリーサンドボックスについてです。  我が国が近未来技術で世界をリードするには、実証実験を迅速に行い、早期の実用化につなげるための制度的基盤が必要だと思います。国家戦略特区の突破力である、時代の要請を先取りするような制度が生まれることを切に願っています。  ただ、一点気になるのが、近未来技術の範囲です。  これまでドローンや自動走行が議論の中心で、それ以外の近未来技術は十分に議論されていないと感じております。制度の対象となる近未来技術は、フィンテック、ブロックチェーン、遠隔診療も含めるべきであると思いますし、そもそも、近未来技術の範囲も可能性も無限大であると思います。  制度化に当たっては、発展的な議論をしていただきたいと考えておりますが、そこで、山本大臣に、ドローンや自動走行以外の幅広い近未来技術を含めた制度化を検討することについての所感と、今後の制度検討に向けた決意をお伺いいたします。
  74. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 日本版のレギュラトリーサンドボックスは、昨年十一月の特区諮問会議で民間有識者議員から御提案をいただき、検討を進めた結果、ことし二月の特区諮問会議取りまとめを経て、三月十日の法案提出に至ったものでございます。  サンドボックスは、近未来技術の実証を迅速に行うために、安全性に十分配慮しつつ、事前規制や手続を抜本的に見直す新しい仕組みであります。本法案が成立すれば、施行後一年以内に、関係法令の改正等も含め、具体的施策を講ずることとしております。  国家戦略特区では、日本再興戦略等に基づいて、自動運転、ドローン、遠隔医療、遠隔教育の四項目を近未来技術の主な対象分野としてきたところであります。さらに、委員指摘のフィンテックやブロックチェーンも近未来技術の一環であるなど、その分野はさらに広がりを見せております。  こうした中で、まずは、二〇二〇年に完全自動走行サービスの開始を目指す自動運転と、早ければ二〇一九年、宅配の実現を目指すドローンという、取り組みが急がれる分野を主な対象とすることを考えておりますが、フィンテックなど他の分野でのサンドボックスの活用も十分視野に入れていきたいと思っております。  近未来技術は、我が国に大きな成長をもたらす可能性を有しております。同時に、近未来技術の可能性を引き出すには、技術だけではなくて、制度的基盤についても不断のイノベーションが必要であると考えております。  私も、こうした考えのもとで検討を進め、近未来技術の実証や実用化に果敢に挑戦することを後押しできるような制度としていきたいと考えております。
  75. 椎木保

    ○椎木委員 期待以上の決意が最後にお聞かせいただけまして、ありがとうございます。  公明党の桝屋先生は、尊敬している、大臣のことを尊敬と言っていましたけれども、私は、委員長の時代から信頼を置いていますので、引き続き、切磋琢磨、力を合わせて、地方創生、頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございます。
  76. 木村太郎

    木村委員長 次に、福島伸享君。
  77. 福島伸享

    福島委員 民進党の福島伸享でございます。よろしくお願いします。  四月二十五日の本委員会の審議に続きまして、続きの議論をさせていただきたいと思います。  まず、農業への外国人労働者の就労の解禁についてでございますけれども、今回受け入れる人材は、農業の専門知識と経験を有する熟練作業者と前回答弁がありました。熟練作業者というと何か物すごい人のようなイメージがあって、私の地元の人でも、石塚達之輔さんという八十を超えた農家の人がいまして、この人は生き物のリズムがわかるんです。今肥料を欲しがっているなと思ったらそのときに肥料を与えて、なるほどというおいしい野菜や果物、技術にたけているんですけれども、恐らくそういう熟練作業者ではないと思うんですね。  具体的にどういうことかというと、現場の作業に応じて作業手順をみずから考え、施肥ですとかあるいは農薬散布等の栽培管理、あるいは収穫、出荷調製等の作業を行える者というふうに言っていますから、作業手順をみずから考えるのは当たり前でありまして、農業をやっている現場を見れば、一々横に誰かがついて指導しなきゃならない人は働き手になり得ませんから、一人で勝手にいろいろなことができる人というのは恐らく普通の労働者です、熟練作業者といっても。  それは、法律上、十六条の五第一項で、農業支援活動として、「農作業従事し、又は農作業及び農畜産物を原料若しくは材料として使用する製造若しくは加工の作業その他農業に付随する作業であって政令で定めるもの」という規定があります。  そして、外国人というのも定義がありまして、「農業に関する知識経験その他の事項について農業支援活動に従事するために必要なものとして政令で定める要件を満たす」と書いてあって、政令に落ちていて、具体的にわからないんですね。  この農業支援活動として政令で定めること、外国人として政令で定める要件、それぞれどういうものを想定しているのか、簡潔に御答弁をお願いします。
  78. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  政令の内容につきましては現在検討しているところでございますが、まず、農業に付随する作業ということでございます。まず農作業が前提となるわけでございますが、付随作業といたしましては、貯蔵、運搬、販売、あるいは農業生産に必要な資材の製造を対象とする方向調整したいというふうに考えているところでございます。  また、受け入れ外国人要件につきましては、農業支援活動を適切に行うために必要な知識経験を有する者といったようなことを定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  79. 福島伸享

    福島委員 これは、先例のある家事支援サービスにも同様な記述がありますね。それと同様のものということを確認させていただきました。  この特に必要な知識、技能を有するとかというのは、誰がどうやって確認をするんですか。前回の維新の丸山委員の質問に対して、技能実習三年間を終了した場合の試験という制度もあります、そういったことも参考にしながら今後検討と言っていますけれども、入るのに試験のようなものを課す可能性はあるんですか。
  80. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  専門知識と経験につきましては、例えば農業機械の操作ですとか、あるいは農薬の取り扱い、施肥設計といった具体的に必要不可欠な項目につきまして、試験により、一定レベル以上のものであるということを評価、確認する方向、そういった方向検討しているところでございます。
  81. 福島伸享

    福島委員 それは本当ですか。試験なんてやるんですか。もし試験をやるんだったら、ちゃんとその試験を法律に規定しなきゃならないんじゃないですか。  恐らくこれは、使う人が使える程度の能力があればいいのであって、また新たにどこかの機関を設けて試験をつくるという、いわば新たな規制をつくるということでよろしいんでしょうか、どうぞ。
  82. 山北幸泰

    山北政府参考人 外国人要件につきましては、今申し上げたとおりでございますけれども、指針等におきまして一定レベルのということにした上で、その要件、判断の方法としてそういった試験といったことも検討してまいりたい、それに限定しないのでございますが、それにかわるべきものがあればそういったものも含めて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  83. 福島伸享

    福島委員 だれが試験をするんですか。
  84. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  今、現段階で確定しているわけではございませんけれども、例えば技能実習制度においては、民間団体が、その技能の検定ということで二号修了者の試験といったようなものを実施しておりまして、そういったところも参考にしながら今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  85. 福島伸享

    福島委員 大臣、こうやって、岩盤規制の突破と言いながら、もう新たな規制が生まれようとしているわけですよ。それをしっかりチェックしていただきたいと思います。  私は、これは使う人のためにちゃんとしたサービスにならなきゃならないのであって、一律の試験とかいう、試験といったって、農作業は限りなくいろいろあるわけです。水田農業から施設園芸から畜産から、全部違いますよ。そんな試験を一々細かくやっていたら、コストもかかる、手間もかかる、大変なんですよ。  役人は、頭で考えると、そうやって試験とか言いますけれども、余計な規制ができることのないように、しっかりチェックいただけませんでしょうか。
  86. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 その点はおっしゃるとおりだと思います。まさに実際に、農業の競争力を強化するために一定の能力のある農業人材を投入するということでありますので、それがかえって規制強化にならないようには、十分、担当省庁と打ち合わせてまいりたいと思います。
  87. 福島伸享

    福島委員 ありがとうございます。  そして、これは特定機関と法律で規定されている派遣会社から、労働者派遣によって農家外国人農業労働者派遣される仕組みになっています。この特定機関というのは法律の十六条の五第一項で規定されておりまして、第三項に規定する指針に照らして必要な措置を講じていることその他の農業支援活動を行う外国人受け入れを適正かつ確実に行うものとして、必要なものとして政令で定める基準に適合するものに限る。だから、この政令によってまた規制ができる可能性があるんですけれども、この政令にはどのようなことを規定する予定でありましょう。
  88. 山北幸泰

    山北政府参考人 特定機関の基準につきましては、まず、法律には書いてございますけれども、指針に即した措置が実施できることというもののほかに、労働者派遣法の派遣業者の許可を受けていることなどを定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  89. 福島伸享

    福島委員 その、などが怪しいんですね。  家事支援代行サービスですとこういうのがあるんです。「三年以上家事を代行し、又は補助する業務に係る事業を行っている者」とあるんですけれども、こういう要件は課される予定はありますか。
  90. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  現段階では、これに加えまして、例えば欠格事由といったものを定めたいというふうに考えているところでございます。
  91. 福島伸享

    福島委員 ぜひ大臣、家事支援サービスのような、従来この事業を行った者という要件は絶対に入れないでください。これはある県から、茨城県じゃないですよ、別のところから聞いた話なんですけれども、この派遣会社にパソナを検討できないかみたいな話が、これはうそか本当かわからないですけれども、農林水産省からあったという話もあるんですよ。  国家戦略特区が、今、非常な疑念を持って捉えられています。公平な競争条件をつくるのではなくて、特定の人だけを優遇しているんじゃないかというおそれがあるんですね。  家事支援サービスはなぜそうなったかというと、この「三年以上家事を代行し、又は補助する業務に係る事業を行っている者」というのを政令で入れちゃったからなんです。これを入れたら新規参入はできませんよね、三年以上やっていなきゃならないわけですから。  こういう新たな規制を、わざわざ国家戦略特区で岩盤規制を突破するといって突破して、また新しい岩盤規制をつくるような制度にしてはいけないと思っておりますので、そういった要件を課さないようにぜひチェックいただけませんでしょうか。
  92. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘の点は十分注意してまいりたいと思います。
  93. 福島伸享

    福島委員 次の問題に行きます。  また同じ外国人の話ですけれども、前回も言いましたけれども、法務省の統計によると、一番不法就労者が多い業種が農業なんですね。その農業の不法就労者が一番断トツで多いのが、残念ながら、我が茨城県。選挙を回っていると、手を振ったりする人がいるので、こんにちはと握手に行くと、大体が、日中に出ている若い人はみんな外国人というのが私の地元であります。本当にこれは、これだけ不法就労がいる中で、大丈夫ですかと前回もしましたが、井野法務政務官は、国と自治体が合同で適正受け入れ管理協議会を設置して、国、自治体みずから受け入れ企業を直接管理するというふうに答弁されました。  国、自治体みずからが受け入れ企業を直接管理するというのは、具体的に何をすることなんでしょうか。
  94. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 お答えいたします。  具体的に適正受け入れ管理協議会がどういう作業といいますか管理をするかということにつきましては、関係府省間で検討中でございますけれども、例えば、この協議会におきまして、外国人を雇用する特定機関に対する巡回指導などを行う予定でございまして、先生御指摘の不法就労に流れていくというようなことがないような管理体制をしきたいと考えています。
  95. 福島伸享

    福島委員 極めて大事だと思うんですけれども、そのことが。国、自治体が合同でと言っていますけれども、どこの、具体的には誰がやるんですか。国、自治体、どちらですか。どういう体制でやるんですか。
  96. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 これにつきまして、今検討中でございますけれども、それぞれ、例えば国の機関でありますと、私どもあるいは厚生労働省の労働基準監督的な行政をするところなどがメンバーになるものと思います。それぞれの行政が必要に応じて役割を果たしていくということを想定しています。
  97. 福島伸享

    福島委員 ただでさえ、例えば私たちの茨城県であれば、不法就労の農業関係が多いんですよ。それは、今の労働基準監督署とか入管とかの人員体制で巡回ができていないからこうなっているわけですよね。今回、特区をやることによってそこの体制の強化というのをする予定はおありなんでしょうか。
  98. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 今の時点で、この作業に特化した例えば体制の強化ということについては、まだこの体制をどうするかというところの検討中でございますので、具体的に想定をしてございませんけれども、今後、この管理協議会の役割、それからどういう役割分担をするか等々が決まってきた段階で、人員配置などについて検討してまいります。
  99. 福島伸享

    福島委員 私は、今回この特区によってこれまでの技能実習とは違う形で労働者として農業の世界に人を入れるというのは、全く違う、まさに岩盤規制だと思っているんです。私は、唯一これが、今回の法案での岩盤規制だと思うんです、唯一、ただ一つの。思うんですけれども、それをやるときに、それに伴って講じる策はこれから考えますというのは私はあり得ないと思うんですよ。国、自治体とポツで並べていますけれども、どっちがやるかすらも、法律上も何も明記されていないという状況で、本当にできるのか。やるに当たって、人員を予算をとって増強する覚悟があるかどうかも不明確というのは、私は極めて不十分だというふうに思っております。  この点、これから検討しますというような甘い話ではなく、根本的なことをやらないと、これをやった結果、不法就労者がふえましたといって後戻りできるんですか。私は、今回大きなチャレンジをしているときに、その弊害を除去するための措置というのが今回の法案では極めて不十分だと思われますけれども、大臣、どうですか。
  100. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 これは、この法案がまさに成立してからきちっとそうした体制を整えていく話でありまして、御指摘のようなことがないように全力を挙げていかなければいけないと思っております。  ただ、技能実習制度のいろいろな問題点を十分私どもは承知しておりますので、ぜひ、そういうことがないようにしっかりと関係省庁と打ち合わせてやっていきたいと思います。
  101. 福島伸享

    福島委員 なぜこのことを言うかというと、これは規制改革のモデルケースなんですね、岩盤突破。今、これを提案しているところは、秋田県大潟村、群馬県昭和村、我が茨城県、長崎県、そして愛知県なわけでありますけれども、そのうち特区になっているのは愛知県だけですよね。  実は、規制の特例措置の実験をする価値があるのは茨城県だと思っているんです。なぜ不法就労が多いかというと、それは、これまでの技能実習制度農業現場に合わないからです。  特にうちの地域は、普通作、田んぼが多いわけですから、業務に波があるんですね。技能実習のように、ずうっと年間実習計画とやると、物すごく何もやらない期間が出ちゃうんですよ。それを片や田んぼでやり、次は別の農家の別の作業に行きといって巡回すればいいかもしれないし、あるいは忙しいときの数カ月だけ来ていただくということができればいいんですけれども、今の技能実習生ではそれはできない。  だから、不法という法の抜け穴を通ったり、違法なことをやることがふえてしまっていて、もしこの制度をやってしっかりとした外国人労働者の管理措置が講じられるのであれば、逆に不法就労の農業の分野の外国人が激減する可能性もあると思っているんですよ。だから、ちゃんと制度をつくってほしいんです。  ただ、残念ながら、茨城県は、地元の利益誘導を言うわけではないというので、ある意味の利益誘導であるんですけれども、今回、特区指定されていないから、幾らこれを提案されていても成らないんですよ。なぜ、愛知ではこの規制の特例がされて、茨城ではできないのか、その違いは何なんでしょうか。
  102. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘のように、農業外国人の就労解禁については、愛知県から提案があったほかに、秋田県の大潟村、群馬県の昭和村、茨城県及び長崎県からも提案をいただいております。  一方で、農業分野における外国人の在留に関しては、技能実習制度において多くの実習生の失踪や問題のある就労環境などの事案も生じていると承知しております。  これらを踏まえて、入管法を所管する法務省、外国人労働者の保護を所管する厚生労働省農業を所管する農林水産省との間で慎重に議論、調整を重ねてきた結果、まずは規制改革事項の活用可能な範囲が限定的な国家戦略特区で規制改革を実現することとなったものであります。  農業外国人の就労解禁が実現した場合は、特区基本方針等に基づいて毎年度的確に評価を行った上で、これを踏まえて、全国展開の可否等についても政府として適切に判断してまいりたいと思います。
  103. 福島伸享

    福島委員 茨城が、ではだめで愛知でいいという理由は何でしょうか。
  104. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 これは、まさにいろいろな問題があることから、まず、地域が限定された戦略特区で始めようということであります。  なお、一般論でありますけれども、特区における規制改革事項は、毎年度その実施を厳格に評価した上で、特区諮問会議における調査審議を通じて、特段の弊害が生じていないものについては、規制改革の効果を全国的に拡大するということが重要だと考えておりまして、農業外国人の就労解禁についても、毎年度的確に対応してまいりたいと思っております。  また、農業外国人の就労解禁に限ったものではありませんけれども、熱意のある全国の自治体事業者から大胆な規制改革事項を募り、今年中をめどに国家戦略特区の第四次指定を行うこととしておりまして、本特例措置について提案を行った自治体についても、その可能性を検討してまいりたいと思います。
  105. 福島伸享

    福島委員 いや、答えていないんですけれども。何で愛知がよくて茨城がだめなんですか。  特区仕組みは、構造改革特区と違って国家戦略特区は、一方的に政府が政令で閣議決定を行って地域を指定するんですよ。そのときに特区諮問会議に諮問をするんですけれども、その議事録を見ると、なぜ愛知が決まったかというのは、八田さんは、「愛知県は、大変高い志とやる気を持った区域」、うわさのパソナの竹中議員は、「本当にこれは首長さんのパッションというか、やる気次第」。  気合いがあれば指定しますよというのだけで愛知県を、なぜ農業でこの地域を政令で指定するかなんというのは、議事録上、一つも出てきません。わからないんですよ、なぜ愛知が農業分野特区地域として指定されたのか。大臣、わかりますか。
  106. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 私は、個人的にまだそのところを十分承知しているわけではありませんけれども、特区のワーキンググループや区域会議等で、そうした地元の熱意あるいは提案の内容等を慎重に審査して決めたものだと考えております。
  107. 福島伸享

    福島委員 国家戦略特区基本方針では、熱意も確かにあるんですよ。ただ、指定基準は、区域内における経済的、社会的効果、国家戦略特区を超えた波及効果、プロジェクトの先進性、革新性等、次に、地方公共団体のたしか意欲、実行力とありますよ。あと、プロジェクトの実現可能性、インフラや社会の整備の状況と、六つ挙げているんですよ。  この基準があるんだったら、この基準に照らしていいのか悪いのかと議論すべきですよ。この基本方針には、情報公開の徹底を図り、透明性を十分に確保されていることと書いてあるんですけれども、そもそも諮問会議にかかる時点で、どことどこを指定したいんですけれどもそれでいいでしょうかとやって、その結果、八田先生や竹中先生みたいな御用学者が、熱意があるからいいじゃないか、気合いが入っているじゃないかと言って指定しているだけなんですよ。  まず、なぜ愛知県が選ばれたかということの議事録を公開いただけませんでしょうか、諮問会議の前の。
  108. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  ワーキンググループ等の議事録については、できるだけ我々も公開したいと思っておりますので……(福島委員「ワーキンググループじゃないですよ」と呼ぶ)はい。  それで、今お話のありました愛知県の指定でございますけれども、御案内のとおり、国家戦略特区に指定されるという際には、今先生おっしゃいましたように基本方針で要件が書かれているわけでございますけれども、愛知県の場合には、公設民営学校の件でございますとか、あるいは農家レストランの設置でございますとか、あるいは自動走行等の近未来技術実証、こういった幅広い規制改革提案を実は行ったわけでございまして、それで、平成二十六年の八月、平成二十七年の二月に特区ワーキンググループのヒアリングもした結果、そういった内容も非常に革新的なものであるということで評価が高かったというわけでございます。  そういう意味でございまして、したがって、特区に指定されたものですから、そこで、今回の農業に関する規制緩和についても対象とできるということでございます。
  109. 福島伸享

    福島委員 だから、それがおかしいと言っているんですよ。農業への外国人労働の規制改革をやりたいんだから、全体のプランじゃなくて、その農業の規制改革をやるのにふさわしい環境で実験するのが一番なわけじゃないですか。全く愛知の特区審議のときには外国人労働者の話なんかしていないところがこの規制適用を受けて、まさに茨城のような、不法の就労者が多い、必要なところが最初に適用されないという制度自体に欠陥があるから、私は、この制度はおかしい。我が党は国家戦略特区法の廃止法案を用意いたしますけれども、全くおかしな制度なんですよ、構造改革特区と違って。構造改革特区なら、手を挙げればそこをできるんですよ。茨城県がやりたいと言ったらできるんですよ。  なぜ構造改革特区だと不都合なんですか、農水省さん。
  110. 山北幸泰

    山北政府参考人 今回の件につきましては、言ってみれば先進的なということでございまして、まずは、こういう新しい、農業にとっては全く新しいことということでございますので、まず特区でということで検討させていただいたということでございます。
  111. 福島伸享

    福島委員 なぜ構造改革特区ではだめで、国家戦略特区じゃなきゃだめなんですか。その理由を明確にお答えください。
  112. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えいたします。  いずれの方法もあり得るというふうに思っておりますけれども、今回は、少なくとも、我々としては、この国家戦略特区の方で対応したいということで提案をさせていただいているということでございます。
  113. 福島伸享

    福島委員 だから、それはなぜですか。国家戦略特区だと、政令で指定された区域しか適用されないんですよ。もしかしたら、もう愛知県のバックにはパソナが既に入っているかもしれない、そう疑われますよ。  法務省さんは、構造改革特区だとだめなんですか。
  114. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 今回の提案につきまして、この国家戦略特区の枠組みの中で提案されたので、それの適否について検討をしているということでございます。
  115. 福島伸享

    福島委員 いや、そうじゃないと思いますよ。国家戦略特区とかじゃなくて、規制改革の要望が集められている中で国家戦略特区でやると政府が判断したのであって、規制改革を求める人は構造改革特区でも国家戦略特区でもよくて、その証拠に、今回も、焼酎のところは構造改革特区でやりますと判断しているわけですよ、そこは。  今何が起きているかというと、国家戦略特区というのが、実は規制改革じゃなくて、新たな特定の人への利益を与えるための道具になっているんじゃないかということなんですよ。やりたい人がやれなくて、みんながやったら困るから、自分たちだけ、やりたい人が恩恵を受けるような今仕組みになっているんじゃないかと言っているんですよ。  私は、一番この農業外国人の規制改革の特例を試すべき点は、私の地元だから言うわけじゃないですよ、客観的に見ても、まず茨城県でやるべきだと思いますよ。それで不法就労の農業外国人が減ったら、やはり技能実習生よりもこっちの制度の方がいいですねといって、それで初めて全国展開をやる理由ができるんですよ。  大臣、その点も含めて、本来は構造改革特区で私はやるべきだと思いますよ。早急に、国家戦略特区でもいいですから、愛知県がほかのプランも含めていいからといってやるんだったら、規制改革の実験の正当性は得ないと思うんですね。もうちょっと、農業労働者のかかわる実態を踏まえた指定を考えていただけませんでしょうか。
  116. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 規制改革でありますので、これまでできていなかったことをやっていくわけであります。その意味で、一気に全国的にすぐにできれば一番いいんですけれども、そういうわけにはいきません。  その意味で、先ほども椎木議員のとき、前の方のところにもお答えをいたしましたけれども、構造改革特区、国家戦略特区とあるわけでありますが、御指摘のように、構造改革特区でどこの地域もできるという形でやって適用を受けるということもあり得ますが、しかし、今回は、いろいろな調整をやっている中で、各省との間で、まずは地域を厳格に限っている国家戦略特区で始めてみよう、そして、その状況を見て、それに応じて特に問題がなければ広げていこう、そういう考え方でやっているという意味で、その意味で、まず国家戦略特区で始めてみようということであります。
  117. 福島伸享

    福島委員 その答弁は違うと思います。  私、構造改革特区という制度をつくるのに携わりましたけれども、まさにあの制度は、地域を限定して、地域の特性に応じて、その地域がほかの全国と違う特性だからこそ、その地域に限定してやりましょうとなって、法律の条文は、規制の特例措置に、何々であるという地域の特性があると認めて、内閣総理大臣認定するとなっているんですよ、全国でやれるわけじゃないんですよ。まさに茨城県のような、その地域外国人労働者が多くて不法就労が多いという特性に応じたところに限ってまず規制改革をしましょうという意味では、むしろ構造改革特区制度の方がふさわしいんですよ。  今の認識は私、違うと思いますよ、どうですか、大臣。
  118. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 委員の構造改革特区をつくられたときの記事も読ませていただきました。まさに改革を進める上での苦労をされたこともよくわかります。  おっしゃるように、構造改革特区、それぞれのやりたいという地域が手を挙げてくると、それに応じて認めていくということでありますが、それはある意味でいうと、同じような条件があれば自分のところでもやりたいといった場合には同じように認めるという形になって、少し広がるという余地が最初からあるわけであります。  それに対して国家戦略特区は、厳格に地域を限定しているということで、まずはいろいろな問題があり得るものについてはそこでやってみて、そして問題がなければ広げていこうということでありまして、構造改革特区で、今回の問題を見て特に問題がなければそういうやり方に広げていくということも当然あり得ると考えております。
  119. 福島伸享

    福島委員 岩盤規制の突破をすると言いながら、何か突破をするのを嫌がっているとしか思えないですね。そんなに、多くの地域がやるのが嫌なんですか、規制改革をやりたいと言いながら。全く私は、今の説明は理解が不能であります。  あと、先ほどちょっと答弁していただけなかったんですけれども、特区諮問会議の議事録じゃなくて、特区諮問会議にこの地域で政令指定することを諮問しますといって、それから議論した議事録はあるんですよ。でも、そもそも、なぜその地域特区諮問会議に上げたというその議事録がないんですよ。ちゃんと、特区基本方針の中には六つの基準があって、その基準に照らして、例えば、獣医学部の新設であれば新潟とか京都とか今治がある中で、この三つの基準に照らしたら今治だから今治ですといって提案しているはずですよ。その議事録の、その中の検討の経過の資料を御提出いただけませんでしょうか。
  120. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 どの地域を対象とするかということにつきましては、今おっしゃいましたように、いろいろワーキンググループ等で当然いろいろな地域からヒアリングをいたしまして議論しているわけでございまして、そういう意味では、そういうところでの議論の資料はできるだけ公開しようというふうには思っております。
  121. 福島伸享

    福島委員 全然公開されていないんですよ。なぜ今治市でやられたかというのは、今治市のヒアリングはありますよ。ただ、諮問会議では、八田議員は、特区指定により速やかな効果が現に見込まれている自治体だと言っているんですよ、八田議員は。八田議員が諮問会議で速やかな効果が見込まれると言う以上は、速やかな効果が認められる説明を何か受けていて、議論しているはずじゃないですか。その議事録は一切公開されていないんですよ。  だから、この国家戦略特区というのは怪しいと言われるんです。スタートが、政令の指定で区域を初めから政府が指定するから。その指定をどこにしますという案をつくる段階で、もう決まっているんですよ。今まで、諮問会議に出てだめだといった例はないですよね。諮問会議に出た段階でもう決まっていて、諮問会議でやる議論というのは、議事録になっているのはその事後の話なんですよ。その前の議論が全くないから、何でなんですかという話になるんですよ。  そこの経過の議論に関する資料を、本委員会への提出を求めたいと思いますので、委員長のお取り計らいをよろしくお願いします。
  122. 木村太郎

    木村委員長 後刻、理事会で協議いたします。
  123. 福島伸享

    福島委員 済みません、本当はレギュラトリーサンドボックスの話をやりたくて警察庁の方に、二回続けてお呼びしてできなかったんですが、私はこれは非常に、先ほど椎木さんもおっしゃいましたけれども、すばらしい制度だと思いますので、しっかりやってほしいと思います。ただ、この法案では中身は何もありませんが。  しかし、この問題は、国家戦略特区という制度自体の欠陥がさまざまな点で明らかになっていると思います。この法案を通す前にしっかりと国家戦略特区制度そのものに関する議論を行うべきことを私は求めまして、今回の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  124. 木村太郎

    木村委員長 次に、宮崎岳志君。
  125. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 民進党、宮崎岳志でございます。  本日は、加計学園の問題について引き続き御質問をさせていただきます。  本日、この委員会開会前の理事会で、与党側から本日の採決の御提案がありましたが、こちらはお断りをしたという経過がございます。  本日、審議はまだ三日目でございます。そして、その中では、冒頭で、まず山本幸三大臣の学芸員に関する問題発言がございました。これを我々としては、本法案審議に入る前に一般質疑の時間をとって、この山本大臣の発言について審議をすべきではないかということであったんですが、それは法案審議の中で時間をとって十分やっていただけばいいからという御提案がありましたので、法案審議入りに応じた、こういう経過がございます。そういった分も十分見ていただかなければならないというのが私どもの主張であります。  そして、もう一点、おとといの衆議院の予算委員会でも、またきのうの参議院の予算委員会でも、加計学園の問題は大きなテーマになったと思っております。この問題についても、国家戦略特区制度の根幹にかかわるものでございますから、十分解明をしていかなきゃならない。  もちろん、今回の法案と切り離してという議論もわからないでもないのですが、私どもは、切り離すのであれば、やはり十分この審議を行えるという状況をつくっていただきたいということを申し上げている次第であります。  具体的には、加計問題に関する集中審議を行って、加計孝太郎理事長、木曽功内閣官房参与・加計学園理事、それから豊田三郎文教フォーラム常務理事・加計学園元理事、この三名を参考人として招致をして、集中審議を開いていただきたい。そういうことの中で、やはりこの国家戦略特区の今回の法案についても、きちんと皆さんの納得いく形での採決ができるんじゃないか、こういうことを申し上げている次第であります。重々御認識をいただきますようにお願いいたします。  さて、加計学園の問題についてですが、今回の獣医学部なんですが、新設が平成三十年四月開学なんですね。平成三十年四月は、来年四月です。ということは、来年三月中に全てが終わって、校舎もでき、そして教員も全てそろって、三十年開学ということは、だから、試験などはもう来年の一月ごろやらなきゃならないということですよね。  ちょっと私は、やはり学校、特に大学を一つつくるに当たってのこのスケジュール感は極めて厳しいんじゃないか。ことしの一月に公募したわけですよね。来年の一月にはもう入試をやっていなきゃいけない。文系とか座学中心なところであれば、プレハブに机でも置けば授業できるのかもしれませんが、理系では実験施設も必要だ、実習もしなきゃならない、特に動物を扱うわけですよね。何でこんなに急がなきゃならなかったのかというのが一つの疑問なんです。  獣医学部の新設が、平成三十年四月開学だというふうにされた経緯をお話しいただけますでしょうか、大臣。
  126. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 お答えいたします。  国家戦略特区は、自治体等からの具体的な提案をスピーディーに実現することが特徴でございます。したがいまして、獣医学部の新設についても、具体的な事業をいち早く実現することが重要と考え、まずは最速で事業が実現するスケジュールであります平成三十年四月の事業実施を念頭に置いて、共同告示に、平成三十年度に開設と規定したものであります。  なお、医学部の新設のときも、同様の考え方から、平成二十九年度開設と規定している例もございます。  その意味で、最速のスケジュールをできるということで考えているわけであります。
  127. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 理由を聞いているのではないんです。三十年四月というスケジュールがどの段階で決まったのかということ、あるいはどういう検討がなされたのかということをお伺いしているわけです。  なぜなら、この今回の件についても、結局、加計学園に落とすために無理なスケジュールを決めたんじゃないか。このスケジュールであれば、到底、加計学園以外はできないですよね。そういうことなんじゃないかというふうに疑われているんです。  一月四日の文科省と内閣府の共同告示の中で、ことしの一月四日の共同告示の中で、確かに平成三十年ということになったと思いますが、それは事前にどういう検討をされたんでしょうか。あるいは、文科省や農水省とはどういう御検討をされたんでしょうか。
  128. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 新たな分野への対応が急務であることから、まずは平成三十年四月開学が可能な事業者を公募したということは事実であります。  獣医学部の新設については、具体的な事業をいち早く実現することが重要と考えておりまして、まずは最速で事業が実現するスケジュールである平成三十年四月の事業実施を念頭に置いて、共同告示に平成三十年度開設と規定したものでありまして、特に加計学園ありきというような御指摘は当たらないと思います。この点については、当然、文部科学省、農林水産省と調整をした上で、告示を決定したわけであります。
  129. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 調整した上でと言いますが、いつ調整をされたんですかというふうにお伺いしているんです。  前年の十二月二十二日にまとめられたという三大臣合意ですか、内閣府と文科省と農水省のその合意の中には、平成三十年という言葉は出てこないですよね。その後に決めたんですか。その前なんですか。どこなんですか。どういう調整で、どういう協議で、いつ合意したんですか。
  130. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  平成二十八年十一月十八日から開始いたしましたパブリックコメントの資料におきまして、平成三十年度に開設というふうに明記がされております。
  131. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 昨年の十一月十八日のパブコメで平成三十年開学ということが決まった。では、このパブコメの文言にある、パブコメの文言というのは何かに基づいてつくるわけですよね。パブコメで突然出てくるということはないですよ。  では、その三十年はどこから出たんですか。十一月九日の特区諮問会議のときには、それを受けてパブコメをやったはずなんですけれども、特区諮問会議では出てきていますか。
  132. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  開学時期につきましては、特区諮問会議には出てきておりません。(宮崎(岳)委員「では、何でパブコメで出てきたんですか。どういう協議で」と呼ぶ)  基本的には、これは大学の設置にかかわる、開学に関することでございますので、加計学園それから今治市等々が、今治市はもちろん用地に対する支援とかしておりますので、今治市あるいは加計学園の方で、大学の設置については、恐らく間々あることかと思いますけれども、できるだけ早く設置したいという意向で、スケジュールからいって最も早い時期が三十年の四月だということで恐らく判断されて、それをパブリックコメントの資料として使わせていただいたということだと思います。
  133. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 今の話だと、今治と加計学園の意向で三十年四月にした、まだパブコメのときに。そういう話になるじゃないですか。  これまでの御説明だと、京都産業大のことも含めて、まだこの段階で決め打ちしていたわけじゃない、翌年の一月四日から募集した、そのときにどこが応募するかわからなかった、ただ、今治はこれまで言ってきたから、今治は来ると思ったけれども、ほかだって可能性はあったんだ、こういう言い方をしていたじゃないですか。  今の話は、本当に今治ありき、加計ありきじゃないですか。違うんですか。いつ決めたんですか、平成三十年。
  134. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、もちろん最初から決め打ちということではございません。ですから、京都産業大学についても、今回一校に限るということで最終的に今治になったわけでございますけれども、京都産業大学についても、やはり意向としてはできるだけ早くやりたい、当然そういう意向であったと思います。  二十八年の十一月にパブコメを行いまして、ことしの三月に認可申請を行いまして、恐らくことしの夏ぐらいには、通常の手続ですと文科省の認可ということになるわけでございますが、そういたしますと、三十年の四月というのが、スピーディーに移行した場合に一番、最も近い開学時期、そういう判断だと思います。     〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕
  135. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 全然御説明になっていません。  文科省の松尾審議官、いらっしゃっていただいていると思いますが、この平成三十年開学だという御相談内閣府の方から受けて、それを了としたというスケジュールはいつでしょうか。これは質問通告してありますよ。
  136. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 お答えいたします。  私どもといたしましては、認識を申し上げますと、昨年十一月に、内閣府の戦略特区会議においてまとめられた追加規制改革事項において、先端ライフサイエンス研究や感染症の水際対策など新たな分野における獣医師の具体的な需要に対応するため、関係制度の改正を直ちに行うというふうにされたというふうに理解しております。  また、同会議におきましても、有識者からも、新たな分野に係る獣医師系人材の育成は喫緊の課題であるというふうな御指摘、そしてまた、獣医学部の立ち上げを急ぐ必要がある旨の指摘がなされたというふうに承知してございます。  これを踏まえまして、内閣府から御相談があり、それで共同告示ということで、平成三十年度に開設する獣医学部を対象とする旨の規定を告示においてしたということの理解でございます。
  137. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 平成三十年度という言葉が、その共同告示の案をつくったときの十二月二十二日に文科、農水と内閣府との三大臣で合意されたとする文書に出てこないんですよ。だから、どういう経過で決まったんですかと聞いているんです。  今の話も、時期についてお答えいただいていないんですよ。昨年十一月に喫緊にというのはわかりましたよ。だから、十一月に喫緊にというんだから、年度内の一月に共同告示した、ここまではわかりますけれども、その文言の中に平成三十年というのが入った、その平成三十年というのはどこの段階でフィックスされたんですかと。  先ほど、大臣が、きちんと各省庁協議して、農水も含めて協議して、この平成三十年という数字を決めたんだとおっしゃったし、そもそも京都産業大が何でだめだったかみたいな話の中にも、いや、これは、実現がスピーディーにできるのは今治だみたいな話もあったから、では、そのもとになった平成三十年はどこで決まったんですかと聞いているんですよ。いつ決めたかぐらい言えるんじゃないですか。  農水はお話にあずかっているというふうに、今、大臣の答弁です。農林水産省小川参事官、これはいつ相談にあずかって、いつ決まったんですか。
  138. 小川良介

    小川政府参考人 お答え申し上げます。  獣医学部の新設が平成三十年度に開設されるとされたのは、農林水産省としては、本年一月四日、内閣府と文科省の共同告示が定められたときであるというふうに承知をしております。
  139. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 ということは、確認です。  先ほど山本大臣は、農水省とも相談の上決めたというふうにおっしゃっていましたが、今の農水省の御答弁は、我々は聞いていなくて、告示を読んで知りました、こういう話です。なぜなら、学校のことで、事前にレクを受けています、学校のことで自分たちは直接関係ないからと。  これはちゃんと農水省に事前に相談したんですか、平成三十年の開学ということは。
  140. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 共同告示を出すときには、当然、各省と相談の上、了解を得て告示ということになるわけであります。  御指摘のように、その前に、十一月の十八日からパブリックコメントで出しているわけですが、そのときに、三十年度に開設するということが、もう既にパブリックコメントで出しております。  この点はまさに、諮問会議のものにはなかったわけでありますが、一番早く開設できるのはそのときであるということで、パブリックコメントの文案を見たときに、私がこれで結構だということで決断して出したわけであります。  そして、そのパブリックコメントを受けて実際に共同告示ということになっていくわけでありますが、その共同告示をつくるときには当然各省も了解をしたものということであります。
  141. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 こちらに年表とかスケジュールを用意させてもらいましたが、ここで、十一月九日に特区諮問会議がありまして、獣医学部を新設するということが決まったわけですよね。この後、ここにはありませんけれども、十二月二十二日に三大臣合意ということで、ここの一月四日に出す共同告示が決まっている、そこまではわかりました。十一月九日と十二月二十二日の間にパブリックコメントがあって、これが十一月十八日です。  では、十一月九日と十八日の間に、今だと、事務局から案が上がってきて、それを了とした、こういう話ですけれども、三十年開学という文書はどういう議論で決まったんですか。逆に、これまでの大臣の言い方から見ると、平成三十年開学に間に合わないから京都は今回残念だったというような趣旨に我々には聞こえたんですよ。では、その三十年はどこで決まったかといったら、誰が決めたかもわからない、何か事務局から自然発生的に文書が上がってきて三十年でしたみたいな、そんな話になっているわけだから。  いつ決めたんですか、この十一月九日から十八日までの間に、九日間ぐらいの間に。いつ決めたんですか。
  142. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 九日の諮問会議を受けまして、最速の事業が実現するスケジュールである平成三十年四月ということが念頭にありまして、それを私が最終的に決断して、パブリックコメントの文書として認めたということであります。  そして、そのパブリックコメントを受けて、いろいろなまたそのほかの事情を勘案し、そして十二月の二十二日は一校に限るということについてだけ三省庁で決めたわけであります。そして、そういうことを含めて、最終的に共同告示という形で正式に一般に出すわけでありますので、その段階で最終的に、農水省、文科省と最終的な了解を得て告示ということになったわけであります。
  143. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 では、パブコメで平成三十年というふうに決めたときには、文科省は相談にあずかったんですか。あずかったということでいいんですか。
  144. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 具体的な協議、どういう形かというのはちょっと今定かではございませんけれども、十一月十八日のパブコメでございますので、当然その前には内閣府から協議いただいたものと記憶をしてございますけれども、その具体的な協議のスケジュール等については内閣府の方にお尋ねいただければと思います。
  145. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 では、内閣府に尋ねろと言っていますので、内閣府にお尋ねします。  大臣はわからないんでしょう。そうしたら、佐々木事務局長、おわかりになりますか。
  146. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 先ほどもお話し申し上げさせていただきましたけれども、あくまでもパブリックコメントは告示案についてのパブリックコメントでございまして、これは内閣府と文部科学省の共同の告示でございます。  したがいまして、国家戦略特別区域諮問会議が終わった後、先ほど申し上げましたスケジュールによって、一番早く、我々、特区としてはとにかくスピーディーを心がけておりますので、最も早く開学できる時期、これが平成三十年の四月ということでございますので、それを、何といいますか、特区の趣旨にのっとって、その期日を設定させていただいたということでございます。
  147. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 では、文科省に相談していないということでいいんですね。  先ほど、加計学園や今治側の要望とかで三十年というスケジュールが、ぜひ早い時期にやってくれ、そういうふうに言われたからそうした、こういうお話でありましたけれども、では、文科省には事前に相談していないんですね。四日の告示のことは相談したけれども、パブコメの前には相談していないんですね。
  148. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。  共同告示についてのパブリックコメントでございますので、当然、その共同告示の中に出てくる内容でございますので、先ほど審議官が答弁いたしましたように、当然、文科省とはその辺は調整はできております。
  149. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 文科省の松尾審議官が、にわかにその日程はわからないから内閣府に聞いてくれと言うから、今内閣府に伺っているんじゃないですか。内閣府の方から文科省に投げかけたわけでしょう、このパブリックコメントはこれでいいですか、平成三十年と入っていますけれどもと。だから、松尾審議官が内閣府に聞けと言っているんですから。  松尾審議官、わかるんですか。わかるんだったら、日付まで言えるんだったら出てきてもらって。  では、内閣府、お願いします。
  150. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 大変恐縮でございますが、何日に誰とどういうやりとりをしたかということについてはわかりませんけれども、いずれにせよ、そのパブリックコメントを出した以上、三十年ということで文科省との間では合意がとれているということでございます。
  151. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 合意がとれているというのはわかりましたよ。いつ、どういう経過でとったんですかと。  聞いていらっしゃったでしょう。私は、加計学園に誘導されたんじゃないか、そのための一つの条件平成三十年開学だったんじゃないかと言っているんだから、その観点で聞いているわけですよ。決まっていて、合意がとれているのはわかりましたよ。でも、どういう経過でそれはできているんですか、決まったんですかと言っているのに、誰もお答えになれないじゃないですか。  では、もう一つお伺いいたします。  今回、加計学園が今治に新設されようとする獣医学部の定員百六十人ということです。  日本には今、十六校、既存の獣医学部があると思います。この定員は大体どれぐらいでしょうか。大臣、お答えいただけますか。
  152. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 全国にある既存の獣医学部の規模でございますが、これは、全国で十六大学九百三十名でございます。  内訳……(宮崎(岳)委員「大体でいいです」と呼ぶ)はい。内訳、七大学が三十名、二大学が三十五名、三大学が四十名、一大学が八十名、そして残りの四大学が百二十名でございます。それで、九百三十名でございます。
  153. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 もし加計学園の今治の獣医学部が開設された場合に、日本で何番目に多い定員になりますでしょうか。
  154. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 今申し上げましたが、百二十名が現時点で最大でございますので、百六十名ということであれば最大になります。  先ほどちょっと御答弁申し上げました、三十名が定員になっている大学の数でございますけれども、六大学でございました。
  155. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 最大なんですよ、最大。  では、何か今回、一つ、四国に決まった理由は、四国にはこれまで獣医学部がないからだ、こういう理由でした。各都道府県地方、ほとんどこれは北海道と東京に集中しているんですよね、全国各地にあるといっても。ほかはそんなにあるわけじゃないんですよ。  これは地域別でちょっとお示しをいただけますか、この地域に定員何人かと。
  156. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 具体的にどういう地域割りにするか、昨日、委員から御示唆いただいた地域、全国八地域に分けて申し上げます。  北海道が二百名、東北地区が百五十名、東京を含めます関東でございますけれども三百八十五名、中部が三十名、近畿四十名、中国六十五名、四国がゼロ、九州が六十名という地域割りになってございます。
  157. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 つまり、関東と北海道に次いで、四国が一番多くなるわけですよね。  私、きのうの別の委員会でも申し上げましたけれども、何でこういう割り方にしたかといいますと、四国は獣医学部がない、ほかの地域にはあるんですといった場合に、中部地方を一つにしないと、ほかの地域にあることにならないんですよ、中部地方を東海とか北陸とか信越とかに分けてしまうと。  それで、中部地方は八県あるんですよ。広いんですよ。二千三百数十万人、人口がいるんです。そこに、岐阜に一校しかないんです。定員三十なんです。近畿だって四十しかないんですよ。二千二百万人、人口がいるんですよ。ここに定員四十なんです。  例えば、中部で二千三百五十万ぐらい人口がいまして定員三十といいますと、大体人口七十五万人に一人ぐらいの定員があるということなんです、人口七十五万人に一人ぐらいの。もし四国、四国は三百八十万人ぐらいだと思うんですけれども、定員百六十ができたら何万人に一人になりますか。大臣、わかりますか。
  158. 松尾泰樹

    松尾政府参考人 済みません、今、ちょっとにわかにはお答えしかねます。済みません。
  159. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 にわかにお答えできなくてもいいんですけれども、ざっと計算すれば二・四万人に一人ぐらいだ、大体そういうことだと思いますよ、三百八十万人のところに定員百六十だから。そうすると、定員一当たりの人口というのは、定員一当たりの人口をもし計算したとすると、四国は中部の三十倍なんです。三十倍になるんですよ、加計学園の百六十人が開設されると。  私、おかしいなと思うのは、獣医学部の新設は獣医師会が反対したというんでしょう。反対してもいいし、別にその反対に屈する必要もないと思いますよ。  反対があったんだから一校だけにしました、一校しかつくれないから何とかのんでくれ、こういう話で最終的に共同告示の内容をまとめた、これがこれまでの御説明であります、大臣の。一校なんだけれども百六十人です。ほかは、これまでの既存の学校は、定員三十のところもある、四十のところもある、三十五のところもある、多いところは百二十というところもあるけれども、こういう状況じゃないですか。  一校にわざわざ絞っておいたのに百六十にしたというのは、どういう意味なんですか、大臣。私、ちっともわからない、理由が。どういう理由で決まったんでしょうか。
  160. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 本年一月に特区の特例の対象となる事業者を選定する際に加計学園から提出された資料によれば、実施しようとする事業における獣医学部獣医学科の入学定員は百六十名となっております。  内閣府は、獣医学部の新設は認めないとする現行規制を改革する観点から、事業者の計画内容がライフサイエンス研究の推進地域での水際対策に必要な人材の養成ニーズに対応するものであるか、スケジュールが明確になっているのか等について審査を行い、事業の具体的実現性を確認しております。  専門的立場から法令への適合性を審査するという立場にはありませんけれども、公募手続において事業者から提出された提案書によれば、ライフサイエンス系専門獣医師、国際対応や危機管理のできる専門獣医師を養成するために入学定員を百六十名とする旨の記載がございます。  内閣府は、入学定員を含めた提案書の全体から、事業の具体的実現性があると判断したところであります。  なお、具体的な入学定員については、今後精査されていくものと承知しております。
  161. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 つまり、加計学園と今治市が百六十人だと言ったから百六十です、こういうことでよろしいんでしょうか。
  162. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 加計学園がそういう計画であるということを承知して、また、その中で、最終的に、専門的にそれが適切であるかどうかについては、これは文部科学省が判断することだと思いますけれども、定員、教師の数とか施設の設置する状況、そういうものは一応勘案して、妥当であるというように、具体的実現性があるというように判断したところは、そのとおりであります。
  163. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 四国が獣医師不足だというお話がありました。  私、きょう資料を用意しました。幾つも資料はあるんですけれども、配付資料一というもので、二十八年度修学資金貸与事業というのがあります。獣医師が地元に戻ってこないので、産業動物用、特に牛とか豚とか鳥とか家畜関係、こういった獣医師を確保するために修学資金を貸しましょう、そのかわり地元でちゃんとそういう仕事についてくださいね、こういう資金です。  四国、確かに、徳島、愛媛、高知と、こういう制度がございますけれども、全部合わせて十五人ぐらいですかね。群馬一県で、今十八人ですよ。宮崎県はいろいろ、鳥インフルエンザとかで大変でした。口蹄疫とか大変なことがいろいろあったんですけれども、十六人ですよ。  つまり、四国だけ足りないわけじゃないんですよ。四国全部合わせたって、群馬や宮崎よりも足りているんですよ。  これだけの資料じゃないです。もう一つ、ここにはつけてありませんけれども、平成三十二年に向けて、何人確保するかという目標があるんですよ。四国は、でこぼこはあるんですけれども、全部ならしても、二人足りないぐらいなんですよ。二人足りないぐらい。群馬は十四人足りないんですよ。だから群馬につくれという話でもないんですけれども。  しかし、四国につくらなきゃならない、しかも百六十人つくらなきゃならないという根拠が物すごく薄弱なんですよ。だから、特定のところにこれは落としているんじゃないですか、そういう話をしています。  では、これは獣医師会と協議で、既存の獣医師会が反対している、既存の獣医学部も反対しているから一校に絞ったんでしょう。だって、百六十認めるんなら、京都に八十人、今治に八十人だっていいわけじゃないですか。もっと割って、四十人ずつ四カ所につくった方がもっといいじゃないですか。何で百六十みたいな膨大な、認めるかどうか、これからだといったって、もう工事に入るんでしょう、建設工事。そんなの、やった後で、もうだめだなんて言えないんじゃないですか。  この百六十人という数字、どうなんですか。何で決めたんですか。
  164. 佐々木基

    佐々木(基)政府参考人 先ほど大臣から御答弁がありましたように、特区でやろうという、しかも特別な規制緩和として、規制改革としてやる獣医学部でございますので、先ほどお話ありましたように、ライフサイエンス研究でございますとか水際対策でございますとか、今、国際的な対応も含めて人材の養成が必要であるということでございまして、そういう観点から、百六十人という人数がその目的を達成するのに必要な人数であるというふうに理解をしておるところでございます。
  165. 宮崎岳志

    ○宮崎(岳)委員 時間となりましたので、もう終わりますけれども、きょうの質疑を見れば、圧倒的に不可解な、そして、まさに今、佐々木事務局長は、加計学園、今治のために決めたというような、それに近い話を口走られたと思っています、後で議事録を精査いたしますけれども。  我々は、集中審議をこの委員会でやってくださいということをあわせて要求をいたします。加計孝太郎理事長、元内閣官房参与木曽功氏、そして文教協会常務理事豊田三郎氏、加計学園前理事、このお三方を参考人としてお呼びをして、集中審議をやるということを確約いただければ、私たちは粛々といろいろな採決等にも協力をしていきたいということを思っておりますので、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  166. 新藤義孝

    ○新藤委員長代理 次に、玉木雄一郎君。
  167. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 玉木雄一郎です。  農業外国人の就労解禁についてまず伺います。  政令事項が多いので、法案を読んだだけでは、どういう外国人がどういう農業分野に入ってくるかが皆目わからないので、与党の先生方の審議の中にもありましたけれども、もう一回、ちょっと整理して教えてください。  在留期間はどれぐらいを考えていて、帰国も可能なのか、家族帯同が可能なのか、そして、どのような農作業、つまり、全ての農作業従事可能なのか。そういった基本的な、入ってくるであろう農業者の性質、性格について、今、政令事項として考えていることを教えてください。
  168. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えいたします。  現在、政令については検討しているところでございますが、まず、農作業に付随する作業といたしましては、まず農作業が前提とあるわけでございますけれども、その上で、貯蔵、運搬、販売ですとか、あるいは農業生産に必要な資材の製造といったものも対象にしていきたいというふうに考えているところでございます。  また、受け入れ外国人要件につきましては、農業支援活動を適切に行うために必要な知識経験を有する者という方向検討しているところでございます。  また、特定機関の基準につきましては、指針に即した措置が実施できること、労働者派遣法の派遣業者の許可を受けること等を考えているところでございます。  加えまして、今、在留期間お尋ねもございました。  在留期間につきましては現在調整中ではございますけれども、通算三年を基本といたしまして、この期間を超えない範囲内で帰国、再入国を可能とする方向検討しているところでございます。こうすることによりまして、例えば、農繁期の数カ月、外国人の方が日本雇用契約を結んで従事していただく、その上で、一旦帰国していただいて、翌年また農繁期に再度日本農業従事するといったことが可能になる方向検討しているところでございます。  家族の帯同のお話もございました。  今回の件につきましては、一定期間後は帰国することを前提とする制度でございますので、家族については認めない方向検討しているところでございます。  また、職種についても今お尋ねがございました。  現在、本法案につきましては、先ほど申し上げましたとおり、法律で「農作業従事し、又は農作業及び農畜産物を原料若しくは材料として使用する製造若しくは加工の作業その他農業に付随する作業であって政令で定めるものに従事すること」と定義しておりますけれども、現段階で特定の職種ですとか作業を限定すべきという要望はいただいておりませんけれども、今後、農業関係者の意見を伺いながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  169. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 移民との関係の整理をきちんとしておく必要があると思うんですね。  私、例えば、長野県で農業を営んでいる方から、外国人研修制度で、結局、冬場は働けないので、一年間ずっと雇っておくとコストもかかるので、夏場だけ雇って冬は帰ってもらって、また同じ人に来てもらってやってくれないかというのが、外国人技能研修制度の中でそういう要望があったので、かつて農水委員会で質問したことがあります。これはできないということなんですが、今回の制度だとできそうなんですね。  私が聞きたいのは、一号、二号と外国人技能実習制度で来ますよね。今度またこれを延ばして五年までいきますけれども、そういう経験を積んだ人が、そこからさらに、今回できる制度を使って、例えば、在留期間三年で、半年ごとに行き来するんだったらマックス六年ぐらいいきますよね。あるいは、二カ月ごと働くんだったらもっといけるかもしれない。そうすると、例えば、五年いて、そこからさらにまた六年とか七年とかいられるとなると、通算日本に十何年いられるようになる。ここはどうなんですか、接続をそのまま認めるのか。  技能研修制度というのは、やはりもともとは、技能を日本で身につけて、それを母国、本国に技術移転するということが目的ですから。その後の日本での農作業に役立たせるために前半の技能実習制度があって、その後、今回の農業労働者制度につなげていくとしたら、事実上、潜脱行為になっていくようなことがあり得ると思うんですけれども、そこはどうですか。  技能実習制度をやった後、さすがに、ちょっと本国に帰って趣旨どおりきちんと技能を本国で移転なりしてからもう一度来るとか、その辺は、法令を見ても一切書いてないんですよ。一切書いてない。だから、どうなっているのかがわからないので、そこを説明してください。
  170. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  受け入れ外国人要件につきましては、即戦力となり得る、農業に関する一定の知識経験等を有する者としたいと考えておりまして、この中には技能実習を終了して帰国した者も含まれ得るとする方向検討しているところでございます。  ただし、今委員まさしく御指摘がございましたとおり、技能実習制度につきましては、我が国で開発された技能、技術等を開発途上地域等に移転することによって国際協力を推進することを目的としている、そういう制度でございますので、実習生は、実習の終了後、まずは帰国してその国の経済発展に寄与していただくものというふうに理解をしているところでございます。このため、技能実習生が終了後直ちに本制度における外国人農業人材となることは考えていないところでございます。  例えば、一定期間経過後、自国でもって農業を展開していただく、そういう中で、自国の農閑期日本農繁期といったような形で日本に入ってきて行うとか、あるいは、技能実習を終えた方でも、地元で経営規模を拡大されているといったようなことも聞いております。雇用もされている、そういう中で、人材育成の観点から、技能実習を経験した中堅の人材をまた日本農業支援活動に従事させるといったようなケースはあり得るんだろうというふうに思っているところでございます。
  171. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 それは、もともとの提案がそうなっているからそうなんですが、これはちゃんと答えてもらいたいのは、経営者の側からしたら、実習制度で雇った、非常に日本語もしゃべれるようになったり、ノウハウを持っている人を、そのままこの新しい制度に使いたいと思うのは当然だと思います。  しかし、今おっしゃったように、一旦帰国してもらうということが条件だということになれば、どれぐらいの期間帰国してもらうんですか。多分、農業経営をやっている人だと、すぐ使いたいでしょう、それは。ただ、今、これは建前の論理と実態がいつも乖離するんですが、建前からすると、帰ってもらって本国で農業経営とかしてもらうわけですよね。でも、そんなこと、たっていたら、すぐ即戦力として使えなくなりますよね。どれぐらいのインターバルを考えていますか。
  172. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えいたします。  技能実習生、終了した者も含まれ得るということでございますが、まずは現地でもって、母国でもって従事していただくということだろうと思います。その後どれくらいのインターバルを置くかというのは、その経営体によっていろいろケースがあろうと思います。  先ほど私が申し上げましたとおり、まさしく自己の経営を始め、その経営を展開する過程で、さらに資本を蓄積していくようなことも含めまして、一定期間日本従事するというようなニーズもあろうと思いますし、まさしく一定期間、個々の経営のケースによって個々であろうと思いますので、一律に何年でなくてはならないということで今検討しているわけではございません。     〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕
  173. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 では、即、一カ月でも構いませんか。
  174. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えいたします。  まずは、技能実習制度の趣旨に鑑みまして、その国の経済発展に寄与していただくということだろうと思いますので、一カ月でというようなことを現段階で想定しているものではございませんが、何年ならいいのか、何カ月ならだめなのかといったようなことを一律に考えているわけではないということでございます。
  175. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 いや、これは重大ですよ。だって、一カ月はちょっと短過ぎるような趣旨でしたけれども、それもケース・バイ・ケースということですが、技能実習制度からそのままつながっていったら、技能実習制度とは一体何なのかということになっていきますよ。  これは、法案審議の中でちゃんとやはり制度設計して示すべきですよ。これもなく、単に、全て、全権委任で法案を通してくれと立法府に言うのは、私は、これはさすがにすかすか過ぎますよ。もうちょっとやはりちゃんと示さないと、ここが一番の問題にこれからなっていきますから。それがない中で、この法案に対して賛否を判断できません、これは。  ですから、技能実習制度を経験された人をその対象にするのはわかります、そういうニーズもよく聞いていますから、私も。ただ、現行制度の建前上、やはり一定の規律、規範は要ると思うんですね。そこが一体どういうものなのかということをこの立法府の場に全く示さないで法案を通そうとすることは、私は問題があると思います。ですから、ちゃんとした基準を決めた上で、ちゃんとこの委員会にやはり示すべきだと思いますよ。それなく法案をとにかく通過させるというのは、私は、これは審議がまさに尽くされていないと思います。ちゃんとここはやはり議論をすべきだと思います。  在留期間だって、三年を考えているけれども、五年かもしれませんよね、もともと要望は五年なんだから。そうすると、半年ごとだと、これは十年いられますからね。一号、二号、三号で技能実習制度で五年いて、そこからさらに十年いますというようなことだって可能になる制度を今回入れようとしているんでしょう。だったら、その要件をもうちょっときちんとやらないとだめですよ。しっかりとした基準を、法案を通す前提として、この委員会に提出することを求めたいと思います。  次に、先ほど同僚議員の宮崎議員からもありましたが、加計学園のことについて聞きたいと思います。  山本大臣、前大臣の石破大臣がこういうふうにおっしゃっています。  不思議ですよね、なぜ大臣がかわることでこんなに進むのか、新たな条件が出るのか。世間の言うように、総理の大親友であれば認められ、そうでなければ認められないのか。そうであれば、行政の公平性という観点からおかしい。これは石破前大臣がおっしゃっているんですね。  お手元にちょっと資料を配っていますが、これは平成二十七年十二月十五日の当時の石破大臣の記者会見録なのでありますけれども、記者さんが、今治市の獣医師系の国際教育拠点の整備についてお尋ねしたいんですけれどもと言って、認める際に四つぐらいの項目を挙げられて、その制限をかけるということを言っていますねと質問していますね。いわゆる四条件というものです。  ここにちょっと網かけしていますが、通常の獣医の養成ではないということ、またライフサイエンスのような新しい分野であるということ、あと既存の大学、学部では対応が困難だということ、そして最後に、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的な見地から本年度内に検討ということでありますけれども、石破大臣が多分、先ほど私が読み上げた中でおっしゃったのは、こういう四要件が本当に満たされているのかどうかということの疑問を呈されているんだと思うんですね。  私、このときも役所の人に聞いたんですけれども、なかなか満たすのは難しいですねという話だったんです。現時点において、この四条件を全て満たしていると山本大臣はお考えですか。
  176. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 日本再興戦略改訂二〇一五では、獣医師養成系大学、学部の新設に関する検討の項目で、今御指摘のようなことが書かれております。まあ、私どもは、四条件というほどのものではなくて、留意点だというように理解しておりますけれども。  これを踏まえて、特区ワーキンググループ等で、文部科学省や農林水産省からヒアリングや日本獣医師会等から寄せられた慎重な意見等を踏まえて、昨年十一月九日の諮問会議取りまとめで規制改革を決定したものであります。そして、ことし一月四日の共同告示と、その告示で引用する昨年十一月の諮問会議取りまとめに適合するかどうかを判断してやったわけであります。  その結果、ことし一月の加計学園からの応募内容については、分科会や区域会議、諮問会議において、この要件に十分適合しているというように考えているところであります。
  177. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 十分適合しているということなんですが、では、伺います。  先ほどもありましたけれども、定員百六十名の獣医を養成するということですね。百六十名全て、この第一要件の、石破大臣がおっしゃる既存の獣医師養成ではないということで養成される獣医師さんになるんでしょうか。また、その百六十名全員が従来の獣医師養成ではないということを何をもって担保されているのか、教えてください。
  178. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 この既存の獣医師養成ではない構想ということについて、私どもの理解は、例えば、鳥インフルエンザなどの人獣共通感染症が家畜等を通じて国際的に拡大していく中で、地域での水際対策の強化や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進、そういう新たな分野の獣医師養成に関するものであるという意味で、構想が具体化したと考えているところであります。
  179. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 いや、水際対策とか鳥インフルエンザとか、いわゆる人獣共通病というのが非常に今、獣医師界での大きな課題であります、世界的にも。これについては、世界じゅうで対応しようということで、いわゆるワンヘルスという概念の中で、動物と人間共通のものに対してしっかり取り組んでいこう、日本獣医師会も、日本医師会と共同して、そういった取り組みをしていこうということを進めておられて、十六ある現在の国公立、私立の獣医大学にも、こういった対応は既になされています。  では、これは農水省に聞きましょうか。文科省か。いませんか。  今の十六の大学で、こうしたワンヘルスという考えに基づく人獣共通病に対する対策がとられていませんか。
  180. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 既存の大学、学部では対応が困難ということについては、十一月の諮問会議取りまとめで示した獣医学部は、新たな人材養成について重点的、本格的に対応するものだということであります。  こうした新たな取り組みは、既存のカリキュラムや体制が固定化しがちな現行の大学、学部の見直しで行うには限界があると考えておりまして、学部の新設が必要だ、そういう判断に至ったものであります。
  181. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 いや、既存の大学でできていますよ。既存の大学でできています、これは。  今おっしゃった、認める際に多分チェックされたと思うんですね、現在の十六大学のカリキュラムとかを。具体的にどこが欠けていましたか。
  182. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 近年の感染症拡大に係る危機管理の重要性の高まりを受けまして、地域での水際対策の強化や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医師が新たに取り組むべき分野の具体的需要が高まっているということであります。  今回新設を認める獣医学部は、こうした新たな人材養成ニーズに重点的、本格的に対応するものでありまして、具体的には、基礎科目の履修後に先端的ライフサイエンス分野をより深く学ぶ科目を豊富に設定するなど独自のカリキュラムを組むとともに、海外の製薬企業で活躍する人材など豊富な専任教員を確保してこれに対応するということであります。  私も従来の大学のカリキュラムを見ましたけれども、項目としてはありますけれども、そういう項目を勉強した後で、こうした先端的ライフサイエンスあるいは製薬関係、あるいは国際的な獣医学行政、そういうところに重点的に取り組むというような、そういうカリキュラムを提供しているのは、今回の加計学園の中に新しいものとして入っているというように理解しております。
  183. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 ちょっと話がずれているんですが。  前段私が聞いたのは人獣共通病、ライフサイエンスの話はちょっとおきましょう、水際対策をしっかりやっていかなければいけないというようなこともこの新しい獣医学部を設ける一つの理由だということでまず説明があったわけでありますが、これは確実になされています。  国際獣疫事務局、OIEというのがありますが、ここがコアカリキュラムということをつくって、このコアカリキュラムを、平成二十三年度に、既存の十六の大学が協力して、これを策定、公表して、国際水準を満たした獣医学教育の達成に向けて、改革に既に着手をしています。平成十七年とか十九年とか、そのころには確かになかったかもしれませんが、ここ数年はそういったものが、現在の十六の獣医大学にもきちんと入っています。  にもかかわらず、それがないから、水際対策が不十分だから、人獣共通病に対する教育が不十分だからといって、そこを新規性の根拠にしながら今回認めているというのは、私は根拠として極めて薄弱なんじゃないかなと思うんですね。  ですから、そこが、もう一度伺いますが、水際対策において、既存十六大学でできていなくて、今回の加計学園が設立する大学の獣医学部で新たにあるいは新規に提供しようとする水際対策、特に鳥インフルエンザを初めとした人獣共通病に対する対策、カリキュラムというのは、具体的にどういうものがありますか。
  184. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 具体的には、多くの有識者からも御意見があったんですけれども、まず、ライフサイエンスについては、動物由来の病気に対する対応策の確立や、動物を用いた研究成果を人の治療や創薬につなげる研究など、医学と獣医学の融合化を求められております。  そうした問題意識の中で、創薬研究や学際的研究に直結する科目を豊富に専攻し、多様な実験動物を扱える獣医師を重点的に養成しようとしている点が、既存のものとは異なるものと考えられております。  また、水際対策につきましては、鳥インフルエンザ等の越境国際感染症の増加に的確に対応するために、防疫対応、食品リスクの評価、管理など、国際的な視野で対応できる公共獣医事へのニーズも高まっております。  その中で、英語による授業の実施を含め、感染症発生時に国際的な協調、調和を図りながら水際対策に対応できる、グローバル対応可能な獣医師を重点的に養成しようとする点についても、既存のものとは大きく異なるというように考えております。  このように、今回の獣医学部に関する制度改正は、ライフサイエンスや水際対策について、獣医師が対応すべき新たな分野の人材養成ニーズが高まっている中で、これに対応可能な高い専門性を備えた獣医師を重点的に養成しようというものでありまして、従来の獣医学部とは異なる特徴を有するものであります。  なお、既存の大学でも対応できるというようなことでありますけれども、私も興味がありまして、国際的な評価機関のランキングというものを見てみましたけれども、その二〇一七年版を見ますと、我が国では、五十校の中には東京大学ただ一校が三十四位に入っているだけであります。アメリカが十八校、イギリスで七校、G8以外の各国でも、オーストラリアで四校、オランダ、ベルギー、スペイン、ブラジルで各二校がランクインしているのに比べて、我が国の獣医学教育の評価は必ずしも高いとは言いがたい、そういう状況にあります。  こうしたことから、国際的にも通用する獣医師の養成に重点的に取り組む必要がある、そういうふうに考えているところであります。
  185. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 今のは大変失礼な発言です。  我が国の獣医学部の教育が国際的に比べて、端的に言えば低いということは、実はずっと認識されていて、これは文科省もずっと、一緒になって、日本における獣医学部の教育レベルをどう高めていくのかというのは、これはまさにこれまで取り組んできた、政府も取り組んできた課題ですよ。  そこに対して、この大学の学部を新たに設けるから、ということは、では、十六大学については低いままで、加計学園のところが百六十名、国際的な水準を維持するため、あるいはそこに追いつくために、そのためにつくったんですか。そうじゃないですよね。全く新しい、従来の獣医学養成とは違うものをするというのが、冒頭、石破大臣も言った四要件の一番最初の要件で入っていたはずなんですね。  今聞いていても、前段、ライフサイエンスの話とか創薬の話をしましたけれども、これは余り獣医と関係ありません。以前、大臣と私、やらせていただいたときに、iPS細胞を、ヒト由来の細胞を動物の臓器に移植してやるような実験ができないから、これはやった方がいいという話をしたんですが、これはまさに東大の中内教授の話を例にして持ち出したんですが、これは別に、獣医学の免許があるなしに関係なく、できないんですよ。では、逆に、この研究は今できるようになっているんですかね。なっていないんですよ。  少し話がずれていると思うのは、本来、四要件をちゃんと満たしたものを特区として認めようということなんですが、どうも何回聞いても、既存の大学教育でもできるようなことを繰り返しおっしゃっているだけで、言うに事欠いたら、今の大学教育のレベルが低いということになって、こっちは高いから認めるという話になっていて、本来予定されていた新規性等についてのきちんとした説明がやはりないと私は思うんですね。  もう一つ、これはさっき聞いていて気になったので伺いますが、百六十名の定員の理由を、もう一回教えてください。
  186. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 百六十名というのは、事業者が事業者公募の応募書類に記載した人数でありまして、事業者としての考えを示したものでございます。  その書類によりますと、ライフサイエンス系専門獣医師、国際対応や危機管理のできる専門獣医師を養成するために、入学定員を百六十名とする記載がありまして、既に認可申請中でありまして、具体的な定員については今後精査されていくというように承知しております。
  187. 木村太郎

    木村委員長 時間が来ていますので、玉木さん、発言をまとめてください。
  188. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 はい、最後に。  大臣、今の十六大学の定員はどれぐらいか御存じですか。
  189. 木村太郎

    木村委員長 山本国務大臣、時間が過ぎていますので、答弁は簡潔に願います。
  190. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 先ほど事務方も述べました、九百三十名。
  191. 玉木雄一郎

    ○玉木委員 九百三十名ある中で、文科省も農水省も言っているのは、偏在とか分野別の偏りはあるけれども、獣医の数自体は足りているというのが九百三十名ですよ。そこに百六十名乗せていくというのは、二割強が加わるというのは相当なインパクトですので、その理由がいかなるものなのかというのは、これまで閣議決定等々経てきた、政府自身が決定したこととの整合性は、より高い説明責任で、これがなぜ百六十も必要なのかということは、高い説明責任が求められると思いますので、これはまた引き続きやりたいと思いますけれども、しっかりと御説明をいただきたいなと思います。  終わります。
  192. 木村太郎

    木村委員長 次に、田村貴昭君。
  193. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  農業支援外国人受け入れ制度について、きょうは質問をします。  既に、日本においては多くの外国人農業従事していますが、その一つが技能実習制度であります。しかし、この技能実習制度においては、これまで、監理団体そして実施機関等による多くの不正行為が行われてまいりました。技能実習生の人権を侵害してまいりました。  まず、法務省にお伺いします。技能実習制度における不正行為の機関数の推移について説明をしてください。
  194. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 お答えいたします。  外国人研修技能実習の適正な実施を妨げる不正行為を行ったと認められる旨を通知した受け入れ機関の数は、平成二十四年百九十七機関平成二十五年二百三十機関平成二十六年二百四十一機関平成二十七年二百七十三機関、そして平成二十八年二百三十九機関となっております。
  195. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 法務省からの資料を私も読ませていただきました。これは年々ふえていますよね。そして、平成二十八年においても二百三十九件と二百台を維持している、そういう状況にあるわけなんですね。  お手元に資料を配付させていただきました。これは類型別の不正行為の件数であります。この類型別の不正行為の件数においても、年間三百件台にある。平成二十八年は三百八十三件の総計になっています。  この中で、類型で一番多いのは、悪質な人権侵害行為等に分類されたところであります。平成二十六年から二十八年の数字が書かれているんですけれども、二十八年では総計で百四十三件にあるわけです。そして、この中には、暴行、脅迫、監禁といったような行為が平成二十七年度で記されており、あるいは、旅券、これはパスポートですね、それから在留カードの取り上げ、あってはならないような行為ですよね、それから、人権を著しく侵害する行為、これが毎年毎年繰り返されているように起こっているわけなんです。  一番ひどいのは、賃金等の不払いというところでありまして、平成二十六年から二十八年、百四十二件、百三十八件、百二十一件と全然直らないという状況にもあるわけなんですね。これは氷山の一角かもわかりません。表に出て、法務省が、入国管理局が統計をとったうちの数でありますので、隠れている不法行為もあろうかというふうに思うわけであります。まさに驚くべき状況が技能実習生において行われてまいりました。  こうした状況があって、多くの技能実習生が失踪しています、失踪しました。この失踪者の状況については、法務省、カウントされていますか。
  196. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 近年、技能実習生の失踪事案が急増していることに鑑みまして、入国管理局では、昨年九月以降失踪した技能実習生が従事していた職種についての調査を行っております。  これを御報告いたしますと、昨年九月から十二月までの集計によりまして、失踪者総数千八百九名のうち、最も多いのが建設関係で五百七十七名、次いで農業関係が三百七十二名、その次が機械・金属関係で百八十九名となっております。
  197. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 この数も多いですよね。その中で二番目に多かったのが農業関係者だという話でありました。三百七十二人の失踪者が生まれたということであります。  技能実習の第一号を終えて技能実習第二号に行きますと、専門に分かれてまいります。平成二十八年で農業者は八千七百八十七人というふうに報告されていますので、単純に見て、農業では四・二三%、百人に約四人の割合で農業実習生が失踪しているというふうになっているわけであります。この割合は、食品や繊維など、ほかの職種よりもかなり高い割合になっています。  こうした経過がありまして、外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律、いわゆる保護法が制定されました。そして、本年十一月に施行されます。  この保護法の制定の目的、技能実習生の保護規定を中心に解説していただけるでしょうか。
  198. 佐々木聖子

    佐々木(聖)政府参考人 御指摘技能実習法の目的は、第一条に規定をしてございますけれども、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進するということを目的としてございます。  そこで、この技能実習法におきまして、特に技能実習生の保護を図る観点から規定をしたものについて御説明を申し上げます。  一つは、新設する外国人技能実習機構に、法的根拠を持って実習実施者及び監理団体を実地に検査する等の指導監督を行わせるとともに、技能実習生に対する相談、援助を行わせること、二つ目、実習実施者等が、主務大臣に対して技能実習生が問題点等の申告を行ったことに対して、それを行ったことを理由として不利益な取り扱いを行うことを禁止するもの、そして、先ほども御指摘がありましたように、旅券の取り上げ等の人権侵害行為に対して罰則を定めることなどを規定してございます。
  199. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 技能実習生の人権を守り、そしてそれを保護するためのさまざまな施策がこの中に込められているという話でありました。  今度の特区法案で出されている農業支援外国人受け入れ制度において、こうした人権侵害とか不正行為が起こらないのであるか、それをちゃんと妨げる法律の定めになっているのかといったところについて、今からお伺いしていきたいというふうに思います。  本法案では、農業支援外国人受け入れのシステム、これは労働者派遣法のスキームで行われるというふうに聞いております。派遣といってもいろいろなやり方があるわけなんですけれども、まずお伺いしたいのは、これは有期雇用なのか無期雇用なのか、あるいは派遣は登録型なのか常用型なのか、これについて説明をお願いします。
  200. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  今回の受け入れスキームにおきましては、受け入れ農業者には年間を通じた作業があるわけではなくて、収穫等の農繁期を中心とした雇用ニーズが多い、また、農業現場において、自然条件等の変化による作業工程の変更に柔軟に対応するために、現場外国人に作業指示を行う必要があるということから、複数農業者派遣する枠組みとする方向検討しているところでございます。この場合、特定機関における雇用の形態としては、常用型の派遣となるというふうに考えているところでございます。  なお、在留期間を設けることとしておりますので、この期間を超えない範囲内で帰国、再度の入国を可能とする方向でございます。雇用期間は、この範囲内で有期となるというふうに考えているところでございます。
  201. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 全て常用型ということでよろしいんでしょうか。登録型は入らないという理解でよろしいんでしょうか。
  202. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  今回のスキームにおきましては、常用型の派遣というふうに考えているところでございます。
  203. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 農業支援外国人は、何らかの事情によって特定機関を移ることは許されるのでしょうか、可能となるんでしょうか。
  204. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  今御指摘のとおり、特定機関に起因する理由によりまして雇用の継続ができなかった、本人の責めによらないということでございます、そういった場合に本人が引き続き本事業による在留を希望するときには、特区で既に措置されている家事支援外国人受け入れ事業参考といたしまして、新たな特定機関を確保する等の措置を講ずる方向で関係府省と調整してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  205. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 特定機関を、本人の責めによらないところであれば移ることができるというお話でありましたけれども、ならば、次の特定機関に移るまでの生活はどうやっていくのかという疑問も出てくるわけであります。  次の質問に行きます。  提案者である自治体からは、雇用保険や厚生年金等の適用除外、派遣法の一部適用除外などが要望されております。今後、法改正など何らかの措置を講じる予定はございますか。
  206. 大西康之

    大西政府参考人 農業支援外国人受け入れ事業における外国人材につきましては、日本で働く労働者と同等に関係法令が適用されるものとしておるところでございますので、関係法令の改正をすることは考えておりません。
  207. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 考えていないということですね。  国民年金それから厚生年金というのは、加入していなければ障害者年金の受給権が得られないということであります。  それから、特定機関の移動が、先ほど御答弁ありましたけれども、可能ならば、次に移るまでの生活を保障していく、こうした対策も必要になってくるわけであります。  答弁ではっきりしましたけれども、適用除外を軽々に認めてはいけないと思いますけれども、要望があっています。これはどうされますか。
  208. 大西康之

    大西政府参考人 先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。外国人材につきましては、日本で働く労働者と同等に関係法令が適用されるということとしておりますので、そういった改正は考えておらないところでございます。
  209. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ということで、この要望は認められないということになりますよね。  派遣というのは、この日本においても大きな問題がずっと続いてまいりました。国会でも何度も何度も、派遣のあり方、派遣のスキーム、そして、今度の国会に至るまでは法改正、法改悪もありました。  この派遣というやり方はさまざまな問題を生んでまいります。何といっても、雇用主と使用者が分離しているといったところであります。複雑な形態を持っているところであります。  今度の場合は、特定機関と、それから就業先、ここが離れる場合がありますよね。町中に農地はありません。ですから、働く場所というのは遠いところにあるといったところから考えても、派遣の形態というのはどういう形になっていくんだろうかと、これはしっかり見ていかなければいけないと思います。  労働者保護がなかなか難しく、そして、給料の不払いが防げるという説明があって派遣にしたというふうにも聞いているんですけれども、では、派遣先が料金を支払わなかった、先ほどありましたよね、技能実習者に対する賃金の不払いというような問題ですよね。いわゆるここで言うところの料金を支払わなかったといった場合なんかは、これはどうしていくということでしょう。一つの事例ですけれども、料金が支払われなかったといった場合は、どういうふうに措置をするんでしょうか。
  210. 大西康之

    大西政府参考人 労働基準監督機関におきましては、こういう、今回受け入れ外国人材に対する賃金不払い等がありました場合には、これは厳正に対処させていただくということで考えておるところでございます。
  211. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 済みません、厳正に対処というのは、どういう対処のことを言うんでしょうか。
  212. 大西康之

    大西政府参考人 賃金の支払いは派遣元の事業主にしていただくことになっておりますので、そういったところでしっかり適正に賃金を支払っていただくよう、監督署がしっかり指導するということでございます。
  213. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 次の質問に移ります。  特定機関及び農業経営体に対する監督体制というのは、この制度ではどうなっているんでしょうか。
  214. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  特定機関及び派遣先農業経営体に対する監督につきましては、関係自治体それから国の関係行政機関で構成されます適正受け入れ管理協議会を管理監督体制の核とする方向検討しているところでございます。  具体的には、本協議会におきまして、特定機関が基準に適合しているか、そういったことを確認するとともに、必要な報告を求め、監査や巡回指導を行うほか、派遣先農業経営体に対しても、必要に応じて現地調査を行うなどによりまして、本事業の適正な運営が確保されるよう措置を講ずる方向検討してまいりたいと考えているところでございます。
  215. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 一応、関係自治体と国の出先がそろって、そして適正受け入れ管理協議会なるものをつくるという立派な構図にはなっています。しかし、これで本当に大丈夫なんだろうかという疑念もあるわけです。  今御説明がありましたように、例えば、この管理協議会特定機関に対して巡回指導、監査を行う、派遣先に対しては現地調査を行っていくということでありますと、これは仕事であります。仕事がふえるということになります。仕事がふえるんだったら、自治体それから農政局、それから、長崎だったら長崎、愛知だったら愛知の労働局などの地方機関は、監督のための人員をふやしていくということを考えているんでしょうか。厚労省と農水省、それぞれにお伺いします。
  216. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  ただいま御指摘がございましたように、本協議会には地方農政局も参画するということで検討を進めているところでございます。  協議会構成員となります地方農政局の体制につきましては、今後の特区の指定状況ですとか、あるいは本事業の実際の利用状況を見ながら、必要に応じて対応検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  217. 大西康之

    大西政府参考人 厚生労働省といたしましても、同様に、都道府県労働局等の人員につきましては、特区の指定状況あるいは本事業の利用状況を踏まえまして、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
  218. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 人員をふやすと明言されませんよね。そこが心配なんですよ。  人権侵害や労働法等の法令違反があった場合に、農業支援外国人は、どこに苦情を申し立てたり、あるいはどこに相談に行ったらいいんでしょうか。この制度はどうなっていますか。
  219. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  今御指摘のとおり、本事業の実施に当たりましては、受け入れ外国人の保護が適切に図られるよう措置する必要があるものと考えております。  このため、外国人材から苦情、相談を受ける窓口、まずは特定機関に設けていく。例えば派遣先農業経営体に問題があるというようなこともございますので、特定機関に設けることに加えまして、関係自治体及び国の行政機関が参画します適正受け入れ管理協議会にも窓口を設ける、直接受けるような窓口も設けまして、特定機関に対して必要な監督が行えるようにする方向で今検討しているところでございます。
  220. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 特定機関に設けると。  特定機関とのトラブルが起こって相談したい場合はどうするのかというたら、国の出先とか、そして、県が申請しているんだったら県庁ということになるわけですね。非常に大ざっぱだと思いますよ。  例えば、私は九州ですけれども、長崎県から提案があっている。長崎県の提案を見れば、この受け入れ機関JA島原雲仙というふうになっています。土地カン、わかるでしょうか。かなり離れていますよ、島原雲仙というのは。ここは半島ですから、しかも鉄路のない地域もあります。そこから、農業支援外国人の方が働く、そして、受け入れ機関との間で何らかのトラブルが起こる、そして、相談に来たいけれども、どこに行ったらいいんだろうと。  今のお話だったら、県庁に行くか、あるいは長崎だったら長崎労働局。これも長崎市、県庁所在地ですよね。それから入管。これにしても長崎市内ですよね。ものすごい遠いところなんですよね。  こういうことで、しっかりと相談やあるいは苦情を受けるような体制になるんだろうかというふうに思われるんですが、まず、土地の距離感の問題についてはいかがお考えですか。
  221. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  窓口につきましては、その両者に設ける方向でございますけれども、そういった中で、例えば外国人が入ってきた段階におきまして、いろいろな研修特定機関にはしていただく。その中には、当然ながら、苦情、相談の申し出先、電話を含めて、いろいろな形で、申し出先ということも明らかにするようなことも含めて、検討しているところでございます。
  222. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 具体的にはなかなかわからない話ですよね。  電話も含めて申し出ることができると。電話は誰が受けるのか。言葉がわかる方がちゃっと出てこられるんですかね。  ちょっと、言語による意思疎通が妨げられないのかという問題についてお伺いしたいというふうに思います。  あらゆる国から農業支援外国人の方が入ってこられるということであります。これは、国籍は指定しない制度ですよね。どこの国からでも受け入れられるという制度ですよね。  特定機関協議会相談窓口、それから労基署、労働局、これらの行政機関窓口の通訳、この配置というのはどうなっていくんでしょうか。どのようにお考えですか。
  223. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  本事業受け入れ外国人材につきましては、現在、政府部内において検討しているところでございますけれども、経営者の作業指示を理解するのに必要な程度の日本語能力を有していること等を検討しているところでございます。  このため、特定機関ですとか適正受け入れ協議会に寄せられた各種相談等においても、一定程度対応が可能と考えておりますけれども、必要に応じまして、協議会構成員であります都道府県労働局ですとかあるいは地方入国管理局とも連携いたしまして、対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  224. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それは非常に甘いですよ、甘い。  なぜならば、私、聞きました。特区を提案している自治体側の方の認識なんですけれども、ある自治体です。ある程度日本語がわかるから、通訳は要らないと思っていると。  日常会話はいいですよ。家で過ごす、作業場で暮らす、そのときの日常会話ぐらいはいいですよ。しかし、やはり先ほどの技能実習生のトラブルも含めて、非常に入り込んだ派遣制度の中でトラブルを抱えてしまう。そして、母国語が通用するところがない、非常に不安になっていく。どうしたらいいのかわからない、行くところも遠い。そして、言葉が通じなかったらもうどうにもならないと。これは先読みして対応しなければいけないんだけれども、ずっと聞いてきても、その明確な対応が措置されているかというと、なっていないわけなんです。  ここから先、大臣も聞いていただきたいと思うんですけれども、労働基準法にしても労働者派遣法にしても、これは日常会話だけでは到底成り立つ世界ではありません。御存じですよね。よくわかりますよね、専門ですから。だから、どういう保護規定があって、先ほどは法務省の方から、新しい保護制度が、保護法が実習生にはできたけれども、今度の農業支援外国人受け入れ事業については、細かなこういう対策が本当にできるのかといったところが問題だと思うわけです。  窓口にたどり着いたときにうまく伝えることができなかったら、これはどうにもならない話であります。多言語対応の問題です、大臣。多くの外国に行かれているので、大臣は御存じだと思うんですけれども。  私は、今度のこの問題で、技能実習生の支援に当たっている方にお話を聞きました。そうしたら、一番今、日本にやってこられるのは中国国籍の方、次いでベトナム国籍の方であると。そのベトナム国籍の方が中国を抜いてしまうのではないかなというふうにも言われているわけです。これは対応できますか、ベトナム語。さらに、中国、ベトナムに次いでフィリピン、インドネシアが多い。今後はネパール、ミャンマー、カンボジアの国籍の方がふえてくるのではないかと。カンボジアのクメール語とか、これは対応できますか、全ての特区地方の出先の先において。実習生だって、この受け入れ事業の対象にもなるわけですよね。これは対応できますかね。  今ずっと議論してきたんですけれども、やはりこれだけ多くの技能実習生のトラブルがあって、そして不法行為があって、それはカウントされている、新法までつくらざるを得なくなってきた。今度の特区は余りにも仕組みが雑であるなという感じを受けるんですけれども、外国人の十分な相談や苦情に対応できるのか甚だ疑問なんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
  225. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 今回の制度は、まさに、技能実習制度のいろいろな問題点を踏まえて、そういうことが一切ないようにしようということがポイントであります。  その意味で、国と自治体が合同で適正受け入れ協議会を設置して、国、自治体がみずから特定機関を直接管理するほか、派遣先農業経営体に対して現地調査を実施するなど、労働時間や賃金等の労働条件等を適切に管理する仕組みを導入する予定でございます。  また、仮に問題が生じた場合は、外国人材を適切に保護できるよう、苦情、相談を直接受け入れ窓口協議会に設置する予定であります。その際には、言語対応ということも、言語の相談、電話等によることもあると思いますけれども、そういうことも考えていかなきゃなりません。  しかし、いずれもそういうことは、協議会がその機能を十分に果たせるということを前提とした仕組みでありますので、協議会を構成する各機関がそれぞれ責任を持って十分な体制を確保することは当然のことと理解しているところであります。  なお、万が一協議会の体制が不十分だというような場合には、改めて区域会議特区ワーキンググループ等において課題と解決策を検討し、適切な体制となるよう取り組んでまいらなきゃならないと考えております。
  226. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 そのワーキンググループで適切な対策を考えている時点ではもう遅いということになるわけです。  外国人の方が来た、そして地方農業地において仕事をするときにトラブルが起こったときに、そして相談があったときに身近に対応できるか、多言語に対応できるか、これは明確にお答えできますか。どうですか。
  227. 山北幸泰

    山北政府参考人 今回、受け入れ協議会におきまして、実際に外国人雇用契約を結ぶ特定機関につきましても一定の基準を設けて対応していきたいというふうに思っています。  そういう中で、適正にその事業を行えるかどうかということを含めて、そういった苦情対応を含めまして、そういう体制をつくっていくように今後検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  228. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 あと数点お伺いしたいこともあるんですけれども、適正受け入れ管理団体が、特定機関派遣会社に対して基準適合性の確認をするというふうにしているんですけれども、その基準適合性というのは一体何のことでしょうか。
  229. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えいたします。  特定機関の基準につきましては、政令におきまして、内閣総理大臣が作成する指針に定める措置を講じること、また、労働者派遣法に基づく派遣事業者として許可を受けた者であること、あるいは、入管法や労働関係法令を遵守していること等を定めるとともに、また、指針におきましては、報酬において、同等の農業支援活動に日本人が従事する場合と同等以上にするようにすること、あるいは、過重労働とならないよう、年間等の総労働時間の規制を導入すること等を定める方向で関係府省と調整をしているところでございます。
  230. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 山本大臣、今、指針とか、それから政令で定めるというふうに言われたんですよ。全てがこのスキームはそこにあるんですよね。  例えば、適正受け入れ管理協議会は、派遣先に対して現地調査を行うと。現地調査を行うというんだから、厳正にするんじゃないかなと思うんだけれども、その現地調査の項目は何ですか、いつ、どういうふうに調べるんですか、これも後で指針を作成するというような話なんですよ。  ですから、私は、やはり仕組みが雑だと思います。ずさんだというふうに思います。何もかもこれから決めるというような状況の中で、本当に、冒頭申しましたように、技能実習生が受けてきた、人権が脅かされるさまざまな行為、そして、今度は新しい特区の中で、この制度も非常にあやふやだというふうな状況があるわけなんです。  保護規定も、適正受け入れ管理協議会の位置づけも、その役割も、権限についても極めて曖昧な状況にあるという中で、本当に就労者の人権を守っていくことができるんでしょうか。大臣、いかがですか。
  231. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 それは、まさに先ほどもお話し申し上げましたように、今回、極めて大事な観点だと思っておりまして、私どもも、その適正受け入れ管理協議会の体制の充実、それについては責任を持ってやっていかなきゃいけないし、関係機関と十分打ち合わせをしていきたい。万一それがだめな場合には、先ほど申し上げましたように、区域会議特区ワーキンググループできちっとまた改めて対策をとっていくというようにして、万全を期したいというふうに思っております。
  232. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 今度の特区を提案した自治体側からのその理由は、農業者の高齢化、そして後継者不足というんですけれども、担うことのできない農業にしてしまったその責任というのは一体どこにあるんでしょうか。  農産物の輸入自由化とか、市場開放を推し進めるとか、小規模農家を淘汰して、いわゆる財界の望みに応じて農地を自由に集積する、そうしたこれまでのやはり政府・自民党の農業政策を改めない限りは、この後継者不足、農業就業者不足の問題は解決できませんよ。絶対できませんよ。  ですから、私たちは何度も言います。食料自給率を五〇%に引き上げること、これを当面の目標に据える。そして、地方創生を語るのであれば、価格保障、所得補償、後継者支援、生産者と消費者との連携、さまざまな施策をまずやはり手を打っていかなければいけない。農業、漁業の振興に国を挙げて取り組んでいくことが急務であります。  そうしたことが基本にあることを指摘して、きょうの質問を終わります。  ありがとうございました。
  233. 木村太郎

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十八分散会