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2017-04-06 第193回国会 衆議院 地方創生に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年四月六日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 木村 太郎君    理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君    理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君    理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君    理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君       青山 周平君    穴見 陽一君       伊藤 達也君    岩田 和親君       江藤  拓君    加藤 寛治君       勝俣 孝明君    神山 佐市君       菅家 一郎君    國場幸之助君       今野 智博君    佐藤ゆかり君       坂井  学君    菅原 一秀君       谷川 とむ君    津島  淳君       中川 郁子君    中谷 真一君       長坂 康正君    平井たくや君       星野 剛士君    牧島かれん君       三ッ林裕巳君    宮川 典子君       村井 英樹君    山田 賢司君       山田 美樹君    小川 淳也君       落合 貴之君    高木 義明君       武正 公一君    福田 昭夫君       横山 博幸君    渡辺  周君       江田 康幸君    吉田 宣弘君       田村 貴昭君    宮本 岳志君       椎木  保君    丸山 穂高君     …………………………………    国務大臣    (地方創生担当)    (まちひと・しごと創生担当)          山本 幸三君    総務大臣        原田 憲治君    内閣大臣政務官     長坂 康正君    厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君    国土交通大臣政務官    藤井比早之君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長) 奈良 俊哉君    政府参考人    (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         加瀬 徳幸君    政府参考人    (内閣地方分権改革推進室次長)         境   勉君    政府参考人    (内閣地方創生推進事務局審議官)        高橋  淳君    政府参考人    (内閣子ども子育て本部審議官)        中島  誠君    政府参考人    (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君    政府参考人    (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 開出 英之君    政府参考人    (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君    政府参考人    (総務省統計局統計調査部長)           千野 雅人君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君    政府参考人    (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    佐藤 安紀君    政府参考人    (スポーツ庁スポーツ総括官)           平井 明成君    政府参考人    (厚生労働省職業安定局次長)           大西 康之君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君    政府参考人    (林野庁森林整備部長)  織田  央君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君    政府参考人    (国土交通省鉄道局次長) 水嶋  智君    衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   大野敬太郎君     岩田 和親君   加藤 寛治君     穴見 陽一君   菅家 一郎君     神山 佐市君   小泉進次郎君     今野 智博君   菅原 一秀君     星野 剛士君   福田 達夫君     青山 周平君   福田 昭夫君     落合 貴之君 同日  辞任         補欠選任   青山 周平君     津島  淳君   穴見 陽一君     山田 美樹君   岩田 和親君     村井 英樹君   神山 佐市君     中川 郁子君   今野 智博君     小泉進次郎君   星野 剛士君     菅原 一秀君   落合 貴之君     福田 昭夫君 同日  辞任         補欠選任   津島  淳君     福田 達夫君   中川 郁子君     菅家 一郎君   村井 英樹君     國場幸之助君   山田 美樹君     加藤 寛治君 同日  辞任         補欠選任   國場幸之助君     大野敬太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 木村太郎

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補宗徹郎君、内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長奈良俊哉君、内閣官房内閣人事局内閣審議官加瀬徳幸君、内閣地方分権改革推進室次長境勉君、内閣地方創生推進事務局審議官高橋淳君、内閣子ども子育て本部審議官中島誠君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長中村格君、金融庁総務企画局参事官松尾元信君、総務省大臣官房審議官池田憲治君、総務省大臣官房審議官開出英之君、総務省情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、総務省統計局統計調査部長千野雅人君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官佐藤安紀君、スポーツ庁スポーツ総括官平井明成君厚生労働省職業安定局次長大西康之君、農林水産省大臣官房審議官山北幸泰君、林野庁森林整備部長織田央君、経済産業省大臣官房審議官小瀬達之君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君、国土交通省大臣官房審議官伊藤明子さん、国土交通省鉄道局次長水嶋智君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村太郎

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 木村太郎

    木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。
  5. 山田賢司

    山田(賢)委員 おはようございます。私は、自由民主党の山田賢司でございます。  質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。本日は、十分と大変短いので、テンポよく行かせていただきたいと思います。  本法案は、地方への事務権限移譲や義務づけ等の見直しを行うというものでございますが、政府が掲げる地方創生において極めて重要なテーマとなっております地方分権改革、従来は政府委員会勧告方式であったものを、平成二十六年から、個々の地方から要望等を上げてきてこれを審議するという形の提案募集方式に変更されました。  そこで、大臣にお尋ねしたいんですが、平成二十八年の地方からの提案に関する対応状況について御説明いただきたいと思います。
  6. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。  地方分権改革推進は、地域がみずからの発想創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生において極めて重要なテーマであります。このため、国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権改革を目指し、平成二十六年から、地方に対する権限移譲規制緩和に関する提案募集方式導入しております。  平成二十八年の提案募集については、平成二十七年とおおむね同じ三百三件の御提案をいただき、私みずからも、閣僚懇談会において、各大臣に対し、検討に当たって強力なリーダーシップを発揮するよう要請するなど、その最大限の実現に向けて努力してまいりました。その結果、ことしの提案に関する対応状況については、提案実現するなど対応できるものの割合は七六・五%と、四分の三以上となったところであります。  具体的には、地域資源利活用等による地方創生や、認定こども園整備促進病児保育実施地域拡大等子ども子育て支援に資する提案が多く実現するなど、地方の現場で困っている具体的な支障に対し、きめ細やかに対応することができたと思っております。  今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと思います。
  7. 山田賢司

    山田(賢)委員 ありがとうございます。  今の地方創生の考え方というのは、従来の霞が関や永田町で考えたものを地方にやらせるということではなくて、住民に身近な地方自分たちのニーズに合ったものを上げていく、これを国が後押しするという形になっている。非常に、大変よい試みだと思っております。  そして、大変すばらしい試みであるんですが、この提案募集方式というのは今年度も続けるのか。もし続けるのであれば、自治体によっては、意識の高い自治体というのはこういうのを上げてくるんですけれども、なかなかまだ消極的な、どうやっていいかわからないといった自治体もあろうかと思います。こういった自治体提案をするためには、いつごろまでにどんなことをする必要があるのか、この手続の概略を御説明願いたいと思います。
  8. 境勉

    境政府参考人 お答えいたします。  提案募集方式につきましては、平成二十六年の導入以来、地方の発意に基づきまして、地方創生住民サービス向上に資する取り組み実現してきておりまして、全国知事会全国市長会などからも、地方分権改革を着実に進めるもの、真の分権型社会の構築に資するものなどの評価をいただいているところでございます。  したがいまして、平成二十九年につきましても、これまで三年間の経験を踏まえまして充実改善を図った上で、引き続きこの提案募集方式に取り組むこととしたいと考えております。  具体的な手続でございますが、ことしの二月に、各地方公共団体に対しまして、積極的な提案をしていただくよう、平成二十九年における実施に向けて呼びかけをしたところでございます。今後、五月の中旬までに地方公共団体から私ども内閣府に事前相談をしていただきまして、論点を補強するなど提案内容を充実させた上で、六月上旬までに正式提案をしていただきたいと考えております。  その後、地方公共団体から提案内容を十分お伺いした上で、地方分権改革有識者会議提案募集検討専門部会における審議を経まして、各省庁と調整を行いまして、年末に対応方針を取りまとめたいと考えているところでございます。
  9. 山田賢司

    山田(賢)委員 ありがとうございます。  ここで、時間のない中で、一般質問についても、どうしても地元の事情がございまして、お聞きしたいことがあります。  ローカルアベノミクスということが叫ばれておりまして、この一環としてスポーツを核とした地域活性化というものが一つ挙げられていると思います。先日も、未来投資会議の場で、総理がバスケットボールBリーグについて触れられております。スタジアムアリーナというものを後押ししていこうというような議題が出たかと思っております。  私の地元にも西宮ストークスというプロバスケットボールチームがありまして、ただいま競技場整備というものを検討しているんですが、競技場といっても、体育館観客席をふやしたというような従来の市民体育館の延長という発想ではなくて、むしろ観客が楽しんでお金を落としていっていただけるプロフィットセンターとしてのスタジアムアリーナというものができればいいなというふうに考えておるんです。  こういったもの、借金を抱えて税金でやるということではなくて、民間取り組み、こういったものを取り入れていく必要があるんですが、この民間取り組みに対して国としてどのような支援策が用意できるのか、御説明を願いたいと思います。
  10. 平井明成

    平井政府参考人 お答えいたします。  スタジアムアリーナを核とした地域活性化につきましては、現在スポーツ庁におきましては、経済産業省等関係省庁と連携し、スタジアムアリーナ推進官民連携協議会を立ち上げまして議論を進めているところでございます。  昨年十一月には、この方向性を示すスタジアムアリーナ改革指針を公表いたしました。これまでのスポーツ施設に対する固定観念前例主義等に関するマインドチェンジを図りまして、多目的複合型、町中立地民間活力導入などをキーワードとした構想のもと、将来に負担を残さない収益性の高い施設整備に向けた官民連携必要性を取りまとめたところでございます。  これらを踏まえまして、スポーツ庁としましては、関係省庁関係機関と連携し、一つには指針に基づく資金調達事業手法のガイドラインの策定、また専門家の派遣による整備計画策定支援、それからコンセッション方式を初めとしたPFIなど民間活力導入促進等を通じまして、全国各地構想されている先進事例の具体的な案件についての支援を行い、スポーツを通じた地域活性化実現に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
  11. 山田賢司

    山田(賢)委員 ありがとうございます。  いろいろな制度を用意していただいているんですけれども、どうしてもやはり、地元自治体におきますと、これ以上借金をふやしちゃいけないとか、市民体育館というものはそういうぜいたくなものをしてはいけないという発想、あるいは、昔の箱物行政みたいになってしまって、結局借金を抱えて、誰も使わないものが自治体財政を、足を引っ張ってしまう、こういうことになってはいけないんですが、その発想を転換して、ここでもうけていただく、こういうことも、もうけることは悪いことではないという自治体マインドチェンジが大事ではないかということで、国においても、そういったことを国が今考えているんだということをいろいろな場面で普及をさせていただければと思っております。  私の持ち時間はこれで終わりますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  12. 木村太郎

    木村委員長 次に、小川淳也君。
  13. 小川淳也

    小川委員 民進党の小川淳也です。  分権一括法に関連してお尋ねをしたいと思います。  まず、先ほども議論のありました手挙げ方式が始まってから、要望件数初年度に比べますと半分以下、かなり減っているように思います。分権に対する熱が冷めているんじゃないかという気がしますが、大臣、この点いかがですか。
  14. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。  提案募集方式におきましては、平成二十六年の導入以来、長年、地方からの要望が強かった農地転用許可権限移譲地方版ハローワークの創設を初めとする権限移譲等を行い、地方公共団体からも高く評価されているところであります。  一方、規制緩和に関する提案につきましては、横ばい傾向ではありますが、権限移譲に関しては、これまでの取り組みの積み重ねもあり、減少傾向にあります。地方からの提案の掘り起こしのために、提案募集の実践的なノウハウを幅広く掲載した地方分権改革提案募集方式ハンドブック、過去の提案状況を簡単に検索できる提案募集方式データベース地方分権改革経緯や各自治体における取り組みの成果を取りまとめた地方分権改革事例集を作成するとともに、ことしに入ってから二十回以上、地方に出向いて研修を行うなど、研修説明会を充実強化しております。  今後とも、地方公共団体住民生活向上に資する提案を積極的に行うことができるよう支援するとともに、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと思っております。
  15. 小川淳也

    小川委員 実績が上がっているから提案件数が減っているという御認識ですか、大臣
  16. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 それもあると思います。同時に、まだまだ市町村のところでは十分にこの方式についての理解が、完全に進んでいないのではないかと思っております。  といいますのも、全市町村の中で、昨年度は四%ぐらいの市町村しか提案しておりません。過去三年の累計を見てもまだ八%程度でありますので、まだまだ市町村理解が十分に進んでいないのではないかと思っておりまして、これについて、我々は、各地研修会を行うなど、あるいは、こういう提案をしたらこんないい事例になりましたよということを見える化していくことが大事だと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、データを提供したり、あるいはハンドブックをつくったり、優良事例集をお配りするということで努力をしてまいりたいと思っているところであります。
  17. 小川淳也

    小川委員 最初は、書いたものを読まれたからそういう御答弁だったんだと思いますが、やはり、実績が上がっているから提案が減っているという御認識だとすれば、それは甚だ世の中の実感、私ども野党の立場とはいえ、感じている実感と異なるんじゃないかという気がします。  ちょっと確認しておきたいと思いますが、かつて手挙げ方式という思い切った手法を採用されたことは、私は評価されるべきだと思います。初年度は九百五十三件の提案があった。しかし、昨年は三百三件、三分の一ですよね。しかし、三百三件の提案があったにもかかわらず、実現の運びになりそうなのが百十六件ということで、三分の一しか採用されていないわけであります。  こういったところに、もし、自治体の側からすれば、提案したところでそんなにいい答えは返ってこない、簡単じゃないという諦めムードが広がれば、この仕組み手法そのものが、これから先、十分機能しない。今大臣周知徹底とおっしゃいましたけれども、それ以上にこの要望をどう実現するかというところにこそ、むしろ注力していただきたいと思いますが、この点、いかがですか。
  18. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 それはもう委員指摘のとおりだと私も思います。したがって、いかに提案を受けて実現を図っていくかということが大変大事になります。  ただ、提案については、実現しなかったものもあるわけですけれども、これにも幾つか理由がございまして、例えば、知事会は反対している、一方で市町村の方からはやってもらいたいというようなことで、意見の相違があって、なかなか結論が得られなかったということもあります。  それから、予算とか、あるいは全体の税財政については、これは総務省等のところで考えていただくというようなこともありまして、そういうものを除いていきまして、そして最終的に提案実現というのが百十六件ということでありまして、その意味では、可能性のあるものについてはかなり、七六・五%ですから、やっていると思いますけれども、その辺の区分けの認識について、まだ十分理解ができていないということがあるのかと承知しております。  ただ、全国知事会市長会は、このやり方については大変評価しておりまして、ぜひしっかりやってもらいたいということでありますので、お互いの理解を深めながら実現を図るようにしていきたいと思っております。
  19. 小川淳也

    小川委員 まさに、知事会市長会意見が合わないようなときこそ、大臣リーダーシップが問われる、その真価が問われる事案だと思うんですよね。そういう意味で、大臣に期待される力量といいますか、それは非常に大なるものがあろうかと思います。  今回、幾つか複数の改正項目がありますが、目玉一つは、いわゆる幼稚園型と保育所型のこども園に関する許認可権限を、現在の都道府県から政令市に移すというのが目玉一つだと理解をしています。  ただ、これも、今まさに、知事会市長会、あるいは関連の業界団体がいろいろあるでしょう。その兼ね合いがあってこその現在の形かもしれませんが、ちょっと制度論的に理解に苦しむ部分も多いんです。  例えば、幼保連携型、幼保一体型のこども園は、既に中核市まで含めて権限移譲されているわけですよね。幼保連携型ですから、従来にない類型ですよ。新しく設けた類型。したがって、さまざまな複雑な制度運用から、あるいは補助金許認可を含めた手続から、あるいは子供たち受け入れ体制から、かなり工夫と苦労がある世界だと思います。これが中核市まで移譲されているのに、なぜ幼保幼稚園型、保育所型という従来型のシンプルな形態が都道府県でなければならないのか。  今回、政令市に移すことが一つ目玉ですが、なぜ中核市はだめなのか。これはちょっと説明するのは難しいと思いますが、いかがですか。
  20. 中島誠

    中島政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の点については、歴史的経緯がございまして、今、現行法はこうなっているということを今から御説明させていただきます。  認定こども園法ができたのは平成十八年でございまして、そのときに、幼保連携型の認定こども園については、幼稚園保育所というものの類型を合体させるということで、幼稚園部分については都道府県認可をしていただく、保育所については、都道府県政令市中核市認可をしていただく、その前提の上に立って、認定こども園として都道府県認定をしていただくという、ある意味複雑な仕組みになっていたわけです。  それが、平成二十四年に、先生方民主党政権のときに、総合こども園構想というものを打ち出されまして、保育所といわゆる認定こども園の全類型総合こども園に一本化しようという形の構想を御提示いただいたわけでございます。  その中では、その総合こども園は、認可認可認定、そういう複雑な仕組みじゃなくて、認定という形で手続を一元化し、その認定を行う主体も、都道府県のみならず、政令市さらには中核市まで落とすという中身であったわけです。それがいわゆる総合こども園構想です。  それが、その後の税と社会保障一体改革議論の中で、民自公協議をし、合意をされた結果、総合こども園の一本化というものはとりあえずおいておいて、現行認定こども園制度というものを基礎づけて、それを改善していこうという形で制度が見直されることになった。ただ、その際、幼保連携型の認定こども園については、従来のような複雑な認可認可認定という形ではなくて、認可に一本化し、そしてかつ、認可権者も、都道府県のみならず、政令市中核市まで落とすという形になっていたわけでございます。それは、衆議院における修正でしていただいたということでございます。  その際、今委員指摘のその他の類型については特段の手当ては行っておられなかったということで、制度的には若干複雑な仕組みにこれまでのところはなっておったという経緯でございます。
  21. 小川淳也

    小川委員 ちょっと政府担当官の方に申し上げますが、参考人登録は容認しています。が、私は大臣に聞いている。大臣は今、手を挙げようとされたんですよ。それを横から挙手して出てこられて長々と答弁されるようだと、参考人登録を拒否しますよ。  今、歴史的なことをおっしゃったが、私は今、平たい目で制度論をお聞きしているんです。なぜ、幼保連携型は中核市までできるのに、幼稚園型は政令市なんですか、保育所型も政令市までなんですかと聞いている。さらに言えば、保育所中核市までいけるのに、なぜ幼稚園都道府県のままなんですかと聞いているわけで、これはまさに、歴史的経緯とおっしゃったけれども、冒頭申し上げたように、都道府県市町村の綱引きとか、それから背後にいる業界団体とか、いろいろ経緯はあるでしょう、それは率直に受けとめたいと思いますが、そういうところを突破することこそが大臣のお務めじゃないですかというのが冒頭の問いであります。  改めて、かつて九百件あった提案が三百件に減っている、三百件提案があっても百件しか実現していない、その中に政府分権に対する取り組みの熱がこもっていますかという文脈でお尋ねをしているわけですから、この点は、正当化する答弁も結構ですが、非常に課題が多い、道半ばだということを率直におっしゃった方が、私どもの受けとめは納得感がありますよ。なかなかこれは論理的に説明できる状況じゃないと思います。  ただ、念のため、今回の法案、私ども賛成です。反対はいたしません。が、もろ手を挙げてというよりは、甚だ道半ばであるということを、よく政府の側におかれても御認識をいただきたい。  関連して、幼保を含めた保育、あるいはこども園ですか、この取り組みは極めて重要な取り組みです。  確かに、民主党政権のときに、やはり保育園と幼稚園、この役割、機能分担、もちろん歴史的な経緯にはいろいろあるわけですが、子供さんを預かって教育と保育に万全を尽くすという意味ではお互い協力できるんじゃないかという議論がさんざん、当時の政務のメンバーの間でありました。ですから、垣根を越えて何らかの対策を打つという、そこには理念、哲学があったわけです。  もちろん課題もあるでしょうし、まさに道半ばなわけですが、一つ、待機児童がどうなっているかという結果、成果からお尋ねをしたいんですが、これは厚生労働省の御担当で結構です。  安倍総理は先般、待機児童を目標年限、来年度ですか、までに解消するということは事実上難しいということを表明されました。  この待機児童の推移を見たときに、十年前が一万九千人、現在が二万三千人、若干の増加傾向です。一方、保育所等の定員なんですが、十年前が二百七万人、そして現在が二百六十万人、ですから、確かにふえている。  ただし、ここを御説明いただきたいんですが、丁寧に見なきゃいけないと思うんですね。というのは年齢別にということです。  ゼロ歳児、一、二歳児、三歳児がそれぞれ待機児童数上どう推移しているのか、まずこの事実関係、厚生労働省から御説明いただきたいと思います。
  22. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 待機児童数の推移につきましては、平成十八年度時点でゼロ歳児が千九百八十一人でございましたところ、平成二十八年度では三千六百八十八人となっております。  また、一、二歳児におかれましては、平成十八年度一万一千六百六十九人でありましたところが、平成二十八年度一万六千七百五十八人、三歳以上児におきましては、平成十八年度が六千百四十四人でございましたところが、平成二十八年度三千百七人という推移をしております。
  23. 小川淳也

    小川委員 大臣もこの数字をちょっと頭に入れていただきたいわけですけれども、まさにゼロ歳児は、十年前の千九百から現在の三千六百にほぼ倍増しているわけですね。一、二歳児は一万一千から一万六千、一・五倍です。ところが、三歳児以上は、当時の六千人、十年前の六千人から現在三千人ということで、極めて事態は好転しているわけです。  そういう状況の中で、次にお尋ねします。  保育所定員は今申し上げたとおり、二百七万人から現在二百六十万人まで増加しているわけですが、先ほど年齢別に分析していただいた御答弁を前提にすれば、この定員が年齢別にどうなっているか御説明いただく責任があると思いますが、いかがですか。
  24. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 ただいま持ち合わせている資料によりますと、保育所等の定員数の推移についてはございますが、年齢ごとに区分した資料はただいま持ち合わせておりません。
  25. 小川淳也

    小川委員 大臣、これはどう思われますか。  申し上げたように、まさに保育需要が増大しているのはゼロ、一、二歳児、三歳児以上は減っているわけです。保育所の定員がふえたふえたと言っていますが、年齢別に違いますよね、ゼロ、一、二歳児の受け入れ体制と三歳児以上の受け入れ体制は、極めて設備、人員、違うと思います。それは把握していないということなんですね、確認ですが。  いや、事務的にお聞きしたところ、把握していないというお答えでしたが、時間をかければ答えられるのか、それともそもそも持ち合わせていないのか、どっちですか。
  26. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 申しわけありません、ただいま年齢ごとの資料についてはございません。  通告の方につきましては、年齢ごとの定員の差というものについていただいていなかったように私自身認知しております。
  27. 小川淳也

    小川委員 いや、そういうことをおっしゃるのなら、きのうレクチャーに来た事務局の方、参考人で来ていただいてもいいですよ。  今ないのか、持ち合わせていないのか、そもそもデータがないのか、仮にないとすれば、これは政策検証評価上どう考えるか、あわせて御答弁ください。
  28. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 大変申しわけございません、ただいま年齢ごとの定員の数についてのデータを持ち合わせておりませんが、自治体の方にきちっと問い合わせをいたしまして、御質問の趣旨に沿って考えさせていただきたいと思います。
  29. 小川淳也

    小川委員 ちょっと言葉が紛らわしいんですが、今ないのか、厚生労働省にそもそもないのか、どっちですか。
  30. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 申しわけございません、言葉が紛らわしかったかもしれません。厚生労働省の方にそもそも年齢ごとのデータをただいま持ち合わせておりません。
  31. 小川淳也

    小川委員 じゃ、あわせてお尋ねしたい。  それはどうですか。これだけ、年齢ごとに見ると極めて重大な変化が確認できるにもかかわらず、その受け入れ体制たる定員面から年齢ごとの分析をしていないという現在の厚生労働省の政策検証なり評価なり、どう思われますか。
  32. 堀内詔子

    ○堀内大臣政務官 ただいまお尋ねいただいた趣旨に基づきまして、市町村の方にもよく問い合わせをさせていただいて、真摯に受けとめさせていただきたいと思っております。
  33. 小川淳也

    小川委員 ただいまの御答弁に従って、これは、いや、山本大臣にも今お聞きいただいたとおりですが、大事なことですよね、この指摘は。恐らく、人員もそうですし、設備関係を整えるのも単価が大きく異なると思いますよ。  そういう意味で、これは委員長、ぜひ厚生労働省から関連の資料を委員会にも提出していただくようにお願いしたいと思います。
  34. 木村太郎

    木村委員長 今政務官から御答弁がありましたので、それを踏まえて後ほど理事会で協議させていただきます。
  35. 小川淳也

    小川委員 ということ、一事が万事でありまして、分権という切り口からのお尋ねではありますが、非常に、政策効果の検証また実現に向けた意気込みにおいては極めて道半ばだということは改めて指摘をしたいと思います。  二、三、追加でお尋ねしたいのが、大臣、私ども民主党政権時代、もちろん大きな、いろいろな反省があるわけですけれども、ただ、この分権改革、当時は地域主権改革と言っておりました。目玉一つは、やはり一括交付金だったんですよね。各省にまたがる補助金を統合して、そして地域のニーズに合わせて、場合によっては予算配分を組み替え、そしてできるだけ手続も簡素にして、自治体自主性なり自立性を高めたいという文脈での政策でありました。それが廃止されているわけです。  一方、これはちょっと二つの観点から疑問に思うんですが、沖縄に対しては、この交付金は当時のまま残され、あるいはさらに拡充をされ、そしてソフト事業にまで踏み込んでいるわけであります。沖縄で喜ばれる施策であれば、全国四十六、その他の都道府県であっていいと思うんですよ。  今回の提案募集方式、約二百件が未実現実現不可能ということなんですけれども、よく見ると、例えば、はねられたものの中に、TPP関連対策の補助事業を一元化してほしいという要望とか、それから、まさに、こども園に係る交付金制度がさまざま複雑なので一元化してほしいという、補助金の統合化に関する要望が出ているんですよね。それは、さまざま理屈がついているようですけれども、はねられているわけです。  大臣、これは改めて、どの政権がとか誰が政権を担当しているかにかかわらず、いいものはいい、望まれるものは望まれるで、この補助金の統合、一括交付金とあえて呼ばなくて結構です、各省にまたがった補助金の統合、そして自由度の高い交付金化こそがこの分権改革においては極めて大きな目玉になり得ると思いますけれども、大臣、いかがですか。
  36. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘の趣旨はよくわかりますが、沖縄については、本土復帰、四十七年に成ったわけでありますけれども、累次の沖縄振興法制に基づいてさまざまな振興策を講じるなど、本土とは異なる特殊な諸事情がございます。  このため、沖縄振興交付金については、沖縄県からの要望を最大限尊重し、沖縄の実情に即してより的確かつ効果的に施策を展開するために、ソフト、ハード両面から措置する必要があることから、沖縄振興特別措置法の改正時、平成二十四年四月施行ですけれども、に新たに規定を設けて創設されたものと承知しております。  一方、沖縄を除く全国を対象とした地域自主戦略交付金につきましては、地域の自由裁量を拡大するため投資補助金の一括交付金化に取り組むものとして創設される等、その政策的な位置づけが、そもそも成り立ちが異なっているということで、同様に扱うことは適当でないと考えております。そういう問題がございました。  それから、一括交付金を廃止したということでありますけれども、これは、運用する中で、対象事業が従来の補助金事業に限定されていることや、事業規模の年度間の変動や地域間の偏在を考慮すると、交付対象を一般市町村に拡大することは困難であったこと、それから手続の煩雑さといったさまざまな問題点が地方公共団体から指摘をされまして、平成二十五年度に廃止し、運用改善を行った上で各省庁の交付金等に移行しているものと、そういう意味で改善を図ったというふうに理解しております。
  37. 小川淳也

    小川委員 大臣、肝心なところで読まれるのは非常に残念なんですが、なぜ沖縄は自由度が高くて、他の四十六都道府県はそうでないのか。  確かに沖縄は特殊事情を抱えていますよ、歴史的にも。仮にそうだとしても、交付金の自由度が高い高くないは説明にはなりません、沖縄の歴史的な経緯のみをもってしては。そこはやはり余り意地を張らずに、誰がやったとか、どの政権がつくったとか、意地を張らずに、ぜひ虚心坦懐、一から、地方分権推進される担当大臣なんですから、ぜひとリーダーシップを発揮していただきたい。  最後に、もう三分しかありませんが、きょうは、国交省、総務省から、政務官、副大臣にお越しをいただいております。二点、駆け足でお尋ねをして終えたいと思います。  まず、国交省は、この分権に関連して、首都機能の移転に関連する予算、これは、いただいた資料ですと、二十年以上前から、多いときは何億も、現在なおもって一千万。先般の報道にもありましたが、もうこの予算は必要ないんじゃないですか。一体何をやっているんですか。一千万の予算をどう使ったのか、国交省から御答弁をいただきたい。  そして、総務省からは、ふるさと納税の返礼をようやく三割に引き下げるよう通知を行ったとのことでありますが、再三にわたる私ども野党からの慎重意見がようやくここへ来て一つの形になったと受けとめています。三割に返礼を抑えるべきだという通知を発するに至った経緯について、ちょっと時間がなくて恐縮なんですが、お二人から簡潔に答弁をいただいて終えたいと思います。
  38. 藤井比早之

    ○藤井大臣政務官 お答えいたします。  国会等の移転に関しては、平成二年の国会決議や、平成四年に議員立法で制定された国会等の移転に関する法律に基づきまして、一貫して国会主導で検討が行われてきたところです。  国会等の移転に関する法律には、国会等の移転の具体化に向けた積極的な検討が国の責務として定められています。  そのため、政府におきましては、旧国土庁、現国土交通省を中心に、国会での議論を踏まえつつ、首都機能移転のあり方について、必要な調査検討や広報業務を行ってきております。  委員指摘のとおり、最大のときは、平成十二年度四億三千万ということで、これは平成十二年度から十六年度までは、移転先候補地の絞り込みのために必要な調査を行ったほか、国会等の移転に関する法律で、広く国民の意見を聞き、その合意形成を図ることが規定されていることから、国土交通省として、国民各層を対象にした情報提供を積極的に行い、国民に議論を喚起してまいりました。  また、平成十七年度以降は、平成十六年十二月の国会等の移転に関する政党間両院議員協議会における座長取りまとめの考え方を踏まえ、分散移転や危機管理機能の中枢の優先移転の検討や、近年、行政機関の一部移転を実施した韓国など、諸外国の事例の調査を継続的に行っております。  平成二十五年度以降は、毎年約一千万円ということになっております。
  39. 原田憲治

    ○原田副大臣 お答え申し上げます。  ふるさと納税制度は、もう委員御案内のとおりでありまして、子育てやまちづくりなどに活用されるということとともに、災害時の災害地支援としても活用されておるところでございます。  一方、一部の地方公共団体でふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されているほか、地方団体間で返礼品競争が過熱しているなど指摘がされているところでもございます。  今般、有識者や地方団体の実務者の御意見をお伺いしながら、返礼品の送付に係る課題を洗い出し、改善策を検討したところでございまして、返礼品の送付は、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に地方団体独自の取り組みとして行われているものでありまして、本来、地方団体みずからの責任において自主的に良識ある取り組みを行うべきであります。  しかしながら、地方団体から国において具体的な基準を示してほしいとの意見が多くあること、行き過ぎた返礼品競争に対する批判が高まっておりまして、このような状況が続けば制度に対する国民の信頼を損ないかねないということから、総務省として、返礼品送付等に特化した通知を発出することとしたところでございます。  今回の通知においては、これまで具体的な水準を示してこなかった寄附額に対して返礼割合の高い返礼品について、少なくとも三割を超える返礼割合の返礼品について速やかに三割以下とすること、金銭類似性の高いものや資産性の高いものについて例示を追加するとともに、これらについて、換金の困難性や地域への経済効果のいかん等にかかわらず送付しないことを要請するなどいたしまして、制度の趣旨に反する返礼品について、より具体的な考え方を示して、改めて制度の趣旨に沿った責任と良識ある対応を厳に徹底するよう求めてまいることといたしておるところでございます。
  40. 小川淳也

    小川委員 また改めて議論させていただきます。  終わります。ありがとうございました。
  41. 木村太郎

    木村委員長 次に、渡辺周君。
  42. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民進党の渡辺でございます。  法案の中身、問題点について指摘すべき点につきましては、我が党の小川委員からも今指摘がありました。  先ほど質問の中で、小川委員からもふるさと納税について、最後、幾つかの確認がございました。私も質問を用意しておりましたので、その流れで、ちょっと通告の順番は違いますけれども、ふるさと納税についてお尋ねをいたします。  今もありました、四月一日付で返礼品の仕入れ価格を寄附額の三割以下に抑える通知というのが出されております。ここでちょっと確認したいんですけれども、この三割というのは、そもそも原価なのか市場価格なのか。  というのは、私の地元は静岡県の伊豆半島ですけれども、返礼品の中には水産加工物、例えばキンメダイの干物とか、東京のスーパーで買ったらそこそこ値段が張るようなものが送られることもあるんです。人気を博していて、相当な寄附を集めている自治体もございます。  そういう中で、こういうものというのは特性的に値段がよく変わるんですね、原価が。ですから、市場価格なのか原価なのかということを考えますと、これは厳格な三割という線引きは難しいんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかなる判断をしているのか、判断をしたらいいのか、お答えいただけますか。
  43. 開出英之

    開出政府参考人 お答えいたします。  四月一日付の大臣通知では、返礼割合につきまして、先ほど副大臣から答弁申し上げたとおり、三割を超えるものを送付している団体においては、速やかに三割以下とすることを要請しているところでございます。  この場合の返礼品の価格につきましては、今御指摘ありましたように、市場価格といたしますと、必ずしも一義的に定まらないということもございますし、また、変動し得るということでございますので、地方団体が返礼品の購入に当たって実際に支出した価格である調達価格としているところでございます。
  44. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 そうしますと、地域でいろいろなばらつきがあると思うんですよ。  ただ、そういう意味では、今回の通知で自治体が萎縮することがないように、これは確かにぜいたくなものや、今までも私、総務委員会なんかで指摘をしましたけれども、例えば、換金性の高いものとか、いわゆる地域の特産品、ある意味では地元産、地場産のもののPRというものに寄与するという効果も実は期待されるわけですけれども、例えば、地元に工場があるということで貴金属類が送られたり、そういうことはやはりあってはならないと思いますけれども、ぜひとも、ふるさと納税のあり方につきましては、いろいろ指摘される問題点をいろいろと少しずつ改善しながらも、やはり本当に自主財源の乏しい自治体にとっては、これはもう命綱でございますので、そこのところはぜひ、一定の規制がありながらもやはり自由度を認めながら続けていただきたいと思うわけなんです。  今申し上げたようなことを考えますと、実際、では通知は出したんだけれども、どこかで正直者がばかを見るようなことがあっては損だ、だから、どうしても、隣の自治体、周りの自治体を見ながら、そうはいうけれども、うちが真面目に従って、よそはどうなんだということで、やはり、当然自治体間の一種の疑心暗鬼もあろうかと思います。  ちょっと例を参考で挙げますと、二〇一五年度の寄附総額千六百五十三億円に対して返礼品で六百七十五億、自治体によるネット通販、先ほど申し上げたような随分と多様な返礼品がある中では、こんなものまでというものもある。やはり横並びで考えると、正直者が損をしないようなそういう意味でのこの通知の実効性というものをどう担保するのか、その点はいかがでしょうか。
  45. 開出英之

    開出政府参考人 今回の通知におきましては、これまで具体的な数字を示してこなかった返礼割合について示すとともに、金銭類似性や資産性の高いものについて、例示を今までも示しておりましたけれども追加するということと、今お話ございましたが、換金の困難性であるとか地域への経済効果のいかん等にかかわらずそういったものについては送付しないことを要請するなど、より具体的な考え方を示して、制度の趣旨に沿った責任と良識ある対応を求めることといたしてございます。  その上で、ふるさと納税の趣旨に反するような事例につきまして、これまでは、都道府県を通じて見直しの働きかけを行ってきたところでございますが、今後は、総務省として、必要に応じ、個別の団体に直接見直しを働きかけていくこととしてございます。  こうした取り組みの強化を通じまして、過度の返礼品競争について具体的な改善につなげまして、制度の健全な発展が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  46. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ほかの質問もありますのでこれ以上はやりませんが、ぜひ、健全な政策競争が行われるような、今お話がありましたような制度として、我々も折に触れて取り上げてまいりたいと思います。  さて、もう一つ、ちょっと時事的な問題をお尋ねしたいと思うんです。  これも最近の報道でありましたけれども、総務省はNECなどと、訪日外国人客がJR東日本の交通系ICカードSuicaを使ってホテルの宿泊や免税品購入の手続を簡単に行えるシステムを開発したと。これを二〇二〇年のオリンピックまでに、東京五輪までに実験をして、試験的に運用して、そしてこれを一つのインバウンド者のための利便向上のために役立てるという方針だと聞いております。  IoTおもてなしクラウド事業ということで資料もいただいておりますが、この制度について簡潔にちょっと説明いただけますでしょうか。
  47. 谷脇康彦

    谷脇政府参考人 お答え申し上げます。  総務省におきましては、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会及びそれ以降の我が国の持続的成長を見据えまして、訪日外国人へのICTによる快適なおもてなしを実現するIoTおもてなしクラウド事業を実施しているところでございます。  本事業の内容でございますけれども、訪日外国人がクラウドに登録した自国の言語やパスポート情報、食の禁忌情報などの属性情報を交通系ICカードなどのIDにひもづけを行いまして、レストランやホテルといったさまざまな場面で、このICカードをリーダーにかざしまして属性情報を提供することによって、快適なサービスを受けることを可能とする仕組みでございます。  平成二十八年度におきましては、約二千人を上回る訪日外国人の方に実証に参加をいただきまして、スムーズなホテルのチェックインや、レストランにおける食の禁忌情報の伝達などのサービス実証を行ったところでございます。  総務省としましては、今年度の実証の成果を踏まえまして、訪日外国人の方の快適な滞在を可能とするためのさらなる機能の拡充、サービス範囲の拡大に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
  48. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 いただいた資料にも、実際、地域で実証事業をやったと。対象地域は、港区六本木、虎ノ門、乃木坂、竹芝、あるいは渋谷区とか、あるいは成田周辺、幕張、千葉というエリアでやって、実際今、実証データをいろいろ精査しているところだと思うんです。  ここでお尋ねしたいのは、私の地元で静岡県の東部というところは、ちょうど今出てきたSuicaとJR東日本、これは実はJR東海とのちょうど境目でございまして、静岡県の東海岸、熱海、伊東はJR東日本なんですが、その熱海から西に行ったところの函南というところから私の住んでおります沼津市、三島市、新幹線のとまる三島と沼津、西に行きますと、これはJR東海のエリアなんですね。そうすると、これはまた違う実は交通系カードがございます。SuicaとTOICAといったかな、JRの東日本と東海ですと、非常に互換性の意味において実は不便なんです。  つまり、何を言いたいかといいますと、熱海から西に向かって東海道線はつながっているんですよ、熱海駅で乗ってきて沼津駅でおりようとすると、このカードは使えませんと。逆で、JR東海の交通系カードを持ってJR東日本の管内でおりようとすると、これは使えませんと。実は現金で精算するような仕組みになっています。  しかも、そこに私鉄の電車が走っている、あるいは私鉄のバスがあります。そうしますと、これは実は、地元の交通関係の会社にちょっと確認しましたところ、やはり今まだ使えないということなんですね。  せっかく総務省がこういう交通系のカードを使って、まさにインバウンドの利便性を高めるために、宿泊だけじゃなくて、免税店での購入でこれをかざせば決済ができるような仕組みをせっかくつくって、では交通系カードをある程度普及させようとしたときに、これを使って国内をちょっと旅行しようとしたら、実はまだ現時点ではそういう幾つか不便なところがございます。  そこでお尋ねしたいんですけれども、この一気通貫で精算できない部分、我々でもなかなかちょっと戸惑うところがあるので、外国人にしてみると、なぜ使えないんだと言われたとき、これは、駅員さんやバスの会社の人たちが説明するのは甚だ難解だと思います。実際、ここのところをこれから解消していかないと、せっかくのおもてなしの精神も、来てみたら使い勝手が悪いでは、かけ声倒れになってしまいますが、ここについては国土交通省はどうお考えでしょう。
  49. 水嶋智

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、JR東日本エリアでICカードを利用して乗車をいたしまして、JR東海エリアで降車をする場合、JR各社のエリアをまたいだICカードの利用ができないということになっておりまして、乗車時に使ったICカードでそのままタッチして降車するということができないというのが現状でございます。  JR東日本及びJR東海からは、JR各社のエリアをまたいだICカードの利用を可能とするためには、運賃設定の対象駅数が大きく増加してしまうということでございまして、システム改修などにかかるコストが膨大となってしまうということなどの問題が非常に大きいというふうに聞いておるところでございます。  では、どうしているかということでございますけれども、JR東日本及びJR東海では、ICカードエリアをまたがって乗車した場合に、降車駅の窓口においてICカードの精算手続を行えるようにしているということでございますが、特に、委員指摘の静岡地区の東部におきましては、非常に利用が多い沼津駅、三島駅、御殿場駅、こういったところにつきましては、この精算手続の処理が可能な新型の自動の精算機の導入を行っているということでございます。  また、外国人の方々への対応について御指摘ございましたが、ICカードを御利用される外国人向けの周知といたしましては、例えば、JR東日本では、JR各社のエリアをまたいだICカードの利用ができないことを多言語でホームページで御案内するといったような取り組みを行っているということでございます。  いずれにいたしましても、国交省といたしましても、先ほど申し上げたような新型の自動精算機の導入推進していくとか、事業者において利用者の皆さんの利便性向上取り組みが進みますように、適切に働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
  50. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今、自動精算機のお話もありました。これはぜひ普及をしていただきたいんですね。  というのは、富士箱根伊豆という一つの国立公園地域で、富士山が世界遺産に認定されたこともございまして、当然、非常にたくさんの方々が来られるところでございます。そして、周遊ルートでもあります。そして、何よりも、二〇二〇年はオリンピックの自転車競技が伊豆で行われるんですね、伊豆市で。ですから、当然、観戦に来られる方もいるでしょうし、そこで知名度がこれからますます上がってくれば、オリンピックの前にもプレイベントがございます、いろいろな人が来る。  ところが、来たときに、その国の言語で、なぜ使えないかということを説明されても、それは事業者側の理屈なのであって、来た人にしてみると、そんなこと知るかよと。やはり、せっかく来たんだから見たい。だけれども、何か窓口でトラブって、ただでさえややこしい仕組みを、どうやって日本語でない、日本語でもよくわからないのに、よその国の言葉でこれをやるというのはなかなか大変なので。  例えば、この自動精算機は、つけるときに補助か何か出ないんですか。もっと言えば、JRの駅のみならず、私鉄だとかバスだとか。  ちょっと例を挙げますと、京都とか奈良へ行きますと、例えば、奈良の中のバスだとかコインロッカーなんかも、荷物を預けるところなんかも、これは例えば東京でいうPASMO、Suicaじゃなくて地下鉄系のPASMOなんかで、実は奈良のバスに乗れて、法隆寺、いろいろな大仏だとか五重塔を見るときの周遊ルート、これが使えるんですね、交通系機関。全国の交通系機関のカードがほぼ使える。やはり、奈良のような観光客の多いところ、京都とか、そこまでもう既に導入されているんです。  これからオリンピックに向けて、こういう、地域の、電子マネーというかキャッシュレス社会というか、決済できるような、インバウンドを見越した地方のインフラ整備。今、例えば駅の精算機の導入に対する補助ですとか、あるいは民間会社への互換性を導入するための精算機だとか、これは何か考えられないんでしょうか。
  51. 水嶋智

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  国交省では、地域の鉄道事業者さんを中心に、ICカードシステムの導入に対しては支援を行っているということでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、特に、訪日外国人の快適で円滑な移動確保に寄与するという観点から、訪日外国人利用者受け入れ環境整備緊急対策事業というのがございまして、その中で、全国で相互利用可能な交通系ICカードの利用を可能とするシステムについて、その導入費用、券売機、改札機などの導入費用などを対象に、その費用の三分の一を補助しておるということでございます。  ただ、JR各社におきましては、私ども、この限られた予算をどのように有効に使っていくかという観点からは、JR各社は全額自己負担という形で整備を行っておられるということでございます。
  52. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ぜひ、もう質問時間は十分しかありませんからほかの質問にも移りますが、これは、地方都市の交通インフラをなりわいとしている企業はなかなか厳しいんですよ。そういう意味では、確かにその設備投資をしたいんだけれども、そのコストたるや相当なものだ。だとするならば、ソフトの面も含めてさまざまな改修や投資をするということになっていきますと、どうしても二の足を踏むのが現状です。  ですので、せめてオリンピックの前までに、オリンピックの開催地域に関しては、ぜひそこは、自治体とも協議をしながら、そうした地方のインフラ整備を、そういう意味でのインフラ整備をぜひ進めるために取り組んでいただきたいと思いますが、もう一言いかがですか、その点について。今後の取り組みについてぜひお答えをいただきたいんですけれども。
  53. 小瀬達之

    小瀬政府参考人 お答え申し上げます。  委員長の御指摘のとおり、キャッシュレスの推進は、インバウンド需要を含む消費の活性化、消費者の利便性の向上、事業者の生産性向上など、さまざまなメリットがあるというふうに考えてございます。  政府としましては、再興戦略二〇一六において、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会をキャッシュレス環境の飛躍的改善の契機とすべく、二〇二〇年までに、外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて一〇〇%のクレジットカード決済対応を実現するとの明確な目標を掲げているところでございます。平成二十九年度の予算には、商店街によるキャッシュレス決済端末の導入にも使える補助金を盛り込んでおり、地方のキャッシュレス化にも寄与するものと考えております。  また、訪日外国人を含め、消費者が安全、安心にクレジットカードを利用できる環境整備をするため、さきの臨時国会で割賦販売法を改正し、加盟店にIC対応等のセキュリティー対策を講ずることを義務づけたところでございます。  経済産業省としましても、二〇二〇年に向けて、さらなる安全、安心なカード利用環境の整備とともにキャッシュレス化を推進していきたいというふうに考えてございます。
  54. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ですので、どうぞ各省庁はそこは連携をしながら、地方の、ぜひともインバウンドに対応したインフラ整備、特に交通機関においては互換性を高めるべくいろいろ取り組んでいただきたい、そのことをぜひ強く申し上げたいと思います。  さて、それでは次の質問に移ります。  やはり、きょうの議題となっております法律、地方自主性自立性ということで、いろいろな法律の義務づけ、枠づけの見直しということが、我々も、先ほどの小川委員と同様に、反対するものではございません。むしろ、我々としては物足りないぐらいなんですが。  やはり、そうはいっても、法制度を幾ら任せても、変えていっても、肝心な地域の活性、地方創生ということに関しては、最初に申し上げたような例えば財源、自主財源ね、ふるさと納税はちょっとだけ触れました。それから、もう一つはやはり人ですよね。特に若い人たちの流出というものが今深刻な問題になる中で、きょうはちょっと残り限られた時間ですが、高校と大学について国の考え方を伺いたいと思います。  一つは、大学。最近、地方の私立大学の公立化ということが進んでいます。もうこれまでに大学七つが公立化をして、今後、六つの大学が予定、検討をしているということでございますが、これは、若者の流出、大学の経営が非常に厳しい中で、今、大体、私立大学の四割が定員割れと言われる中で、地方から撤退されると若者もいなくなる。だから、どうしても、公立にしてでも残したい。  反面で、私立の大学にしてみますと、公立化することによって、これは地域活性化の担い手をつくるということも地域にとってはありがたいが、実は、この交付金は国からの交付税で賄われるということになるわけです。  学生にとっては公立化によって学費も下がるし、競争率も上がったし、若者は残ってくれるし、うれしいんですが、ただ、これがずっと続いていくと、私立大学がどんどん公立化をすべく、ある意味では救済をされるということに関して、私立の学校の中でも不公平感が出てくるんじゃないかという指摘もございます。その点について、この私立大学の公立化について、大臣はどうあるべきだとお考えになっているのか。  それともう一つは、高校の、ちょっと時間がありませんので、分けていた質問一つにしますと、地方への留学制度。  有名なのが、島根県隠岐の島の島前高校というところで、これは、島の外から、島根県はもとより全国から募集をして、今、この方式をまねて沖縄や北海道でも、いわゆる島外からの留学をふやして、若者の移住、定住をしていこうと。そのためには、ICTを導入したさまざまな授業の、先生が足りない部分の穴埋めもします。あるいは地域の人たちが一緒になって進学のための公営塾のようなものをつくったり、あるいは、実学として、地域の方々の協力のもとで、教室の中では学べないことを学ぶことによって、生き生きとした、いろいろな勉強ができて、将来は島の活性化に役立とうと。  何とかその島前高校の場合は、定員割れしていた学校が、何と定員が倍になったというような成功例がよくニュースになるわけですけれども、今申し上げた高校と大学、やはり教育機関がなくなることによって若い人たちがいなくなる。特に深刻なのは、高校がなくなってしまうと、十五歳の子供を持った家庭は、地域になかったらもう家族も一緒になって出ていってしまうんですね、教育機会がないということで。ますます若者の流出、働き盛りの流出に拍車がかかってしまうわけなんです。  まず、私立の大学の公立化について大臣のお考え、そしてまた、この離島留学にかかわらず、過疎地域の、例えば高校が今後そういう県外留学なんかをふやしていくための、どのように援助したり支援をしたらいいか、そんなことでお考えがあったらぜひ伺いたいと思います。
  55. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 委員指摘のように、少子化が進む中で地方の中小規模の私立大学の経営は大変厳しくなっておりまして、近年、地方公共団体地域の実情や地域経済への影響などを考えて、大学を地方に残すために公立大学化する事例も見られております。  私立大学の公立大学化につきましては、第一義的には、地方自治体において、大学で養成される人材の需要や定員の充足、法人経営が見通せるのかを十分検討した上で公立大学としての設置の是非を判断されているものと考えております。  ただ、こういう問題については我々も大変強い問題意識を持っておりまして、本年二月に、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議を私のもとに立ち上げまして、地方大学の振興、東京の大学の新増設の抑制及び地方移転の促進、地方における若者雇用機会の創出等について検討を行っていただいているところでございます。  当有識者会議におきましては、こうした論点も含めて現在さまざまな議論を行っていただいているところでありまして、今後、五月中旬を目途に中間報告を取りまとめていただく予定であり、私としても、地方大学の振興等についてはしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  それから、隠岐、島根県海士町の取り組みの、いわゆる島留学制度でございますけれども、私も二度ほど海士町を訪問して、この取り組みについても承知しております。  同町では、大変教育が大事だという認識のもとに、廃校寸前だった島唯一の隠岐島前高校におきまして、島全体を学校、地域住民を先生、地域課題を教材とするということで魅力化して、全国から意欲ある生徒を募集する島留学が平成二十年度から行われております。私も訪問し、同町で、島前高校を支援するために公立の塾を立ち上げております。隠岐國学習センターを設立して高校の学力を上げ、全国からの進学希望者も増加していると。近年、島外枠が厳しいために中学生の段階から親子で移住してくる例も出てきているなど、地方創生モデルとしては大変すばらしいものだと考えております。  また、例えば北海道の音威子府村というところでは、村立の美術工芸高校が、地元木材を生かした木工芸の教育で、北海道最北の宗谷管内から鹿児島県まで全国から生徒を集めている。そして、生徒たちが村の運動会など村内行事へ積極的に参加することにより、村の活性化にもつながっていると聞いております。  このように、地方において高校段階から生徒を集める取り組みにつきましては、地方創生において、新たな人の流れの創出や、生徒や住民に多様な価値観が生まれる、育まれるという観点から大変重要なものと評価し、できるものについては私どもも支援をしていきたいと思っております。
  56. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ぜひ、これは実は、島のいろいろな、昨年の夏に、私が沖縄の委員長をやったときに、久米島でも、やはり島前高校をまねた久米島高校も、こうして実は島外留学を受け入れています、東京や横浜にも説明会に行ってと。やはり進学に対する例えばインフラがありませんから、進学を考えたときに、どうしてもデメリットということもあります。そこはICTの力で、ほかの学校の共通授業を受けたりしながら、何とかできる部分もあります。やはり、そこはぜひ最大限利用していきたいと思います。  島で成功すれば、実は、私の静岡県の伊豆半島も、この春の高校、二月ごろに募集人員に対する応募人員が、もう定員割れをほとんどしているわけですね。そうしますと、いずれ、地方の、これは離島に限らず、やはり過疎地域と言われるところにある唯一の高校も、将来的にはどんどんどんどん縮小して、最後は廃校になるのではないか。そうすると、まさに十五歳を抱える家庭は出ていっちゃうわけですから、ぜひ、これは一つの例として、離島で成功するものならば、地続きの各地、日本全国の各地でも成功するだろうということで、何とか後押しをしていきたいと思います。  もう時間が来ました。いろいろ、実は、中央省庁地方移転についてもただす予定だったのですが、時間がなくなりましたので、別の機会に質問をすることとします。答弁を用意された方には、大変御足労いただいて申しわけなかったんですが、時間の決まりがございますので、これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  57. 木村太郎

  58. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 民進党・無所属クラブの坂本祐之輔でございます。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案、第七次地方分権一括法についてお伺いをさせていただきます。  今回の法案について、政府は、地方分権改革に関する提案募集要項において、国、地方の税財源配分や税制改正に関する提案及び国が直接執行する事業の運用改善に関する提案等については、これまでどおり、権限移譲または地方に対する規制緩和に当たらないものとして、提案募集の対象外とされておりますけれども、私は、ここが地方分権改革推進していく上で最も重要な点であると考えておりまして、この点を排除してしまいますと、地方分権改革は今後も全く進まないと考えております。  ここにこそ政府地方分権に対する姿勢があらわれているのではないか、本当に分権改革を進めようとしている意思があるのか、まず大臣の見解をお伺いいたします。
  59. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 平成二十六年六月に、地方の代表も参画している地方分権改革有識者会議におきまして、権限移譲及び地方に対する規制緩和について提案募集方式の活用が提言され、政府としては、これに基づいて取り組みを進めているところであります。  こうした中で、税財源配分や税制改正等の財源措置については、国、地方を通じた税財政制度全体を視野に入れ、専門的に検討すべき事項であり、地方の多様性を生かして個別に制度改正の提案検討する提案募集方式にはなじまないため、対象外としております。また、予算事業の新設や国が直接執行する事業の運用改善については、地方公共団体に対する権限移譲規制緩和に当たらないと考えられることから、対象外としているところであります。  そういうことでありますけれども、今後とも、地方意見に耳を傾けて、個別具体の提案に対しては丁寧な対応に努めながら地方分権推進するように取り組んでまいりたいと思っております。  こうした国、地方の税財源配分や税制改正というような問題は、これもまた大変重要な問題であることは認識しておりますが、これについては、所管である総務省等の所管省庁において別途検討されるべきものだと考えているところであります。
  60. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 今回の分権一括法におきましては、都道府県から指定都市等への事務権限移譲といった地方の中での権限移譲や、国と地方の間での手続方法の見直し等、国から地方への権限移譲はほとんど行われておらず、地方分権改革とは言っているものの、地方分権を大胆に進めるようになってはいないという印象を受けますが、いかがでしょうか。
  61. 境勉

    境政府参考人 お答えいたします。  地方分権改革におきまして、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが重要であると考えておりまして、これまでの地方分権一括法、具体的には第四次の一括法から前回第六次の一括法まででございますが、これらにおきまして、農地転用許可権限都道府県または指定市町村への移譲を初めまして、国から地方への権限移譲に関しまして五十二法律を改正するなど、着実に推進をしてきているところでございます。  御指摘のとおり、今回の七次一括法におきましては、国から地方への権限移譲に係るものはございませんけれども、例えば、認定こども園認定の指定都市への移譲など、政府が重要施策として掲げます地方創生あるいは子ども子育て支援の分野におきまして、地方の現場で困っている具体的な支障に対しましてきめ細やかな対応を図るなど、大きな成果が含まれているものと考えております。  国が選ぶのではなく、地方が選ぶことができる地方分権改革を目指しまして平成二十六年から導入しております提案募集方式は、地方の現場における支障を解決し、地方創生住民サービス向上に資するものとして重要な意義があると認識をしておりまして、知事会あるいは市長会などからも、地方分権改革を着実に進める取り組み、真の分権型社会の構築に資するものなどの評価をいただいております。  今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ちまして、地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいりたいと考えております。
  62. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 それでは次に、認定こども園認定権限移譲につきまして御質問させていただこうかと思いましたけれども、先ほど、小川議員から既に御質問いただきましたので、私の方からはいたしませんけれども、特に、認定こども園の指定都市や中核市以外の市町村への認定権限の手挙げ方式での移譲につきまして、これは、私の市長経験からも可能ではないかと考えております。政府には、地方提案に沿うように検討いただきたいということを御指摘申し上げさせていただきたいと存じます。  それでは次に、森林法の一部改正について質問をいたします。  今回の改正におきましては、都道府県知事による地域森林計画に係る農林水産大臣への協議、同意について、委託を受けて行う森林の施業または経営の実施、森林施業の共同化その他森林施業の合理化に関する事項の部分のみ、協議から届け出ということに改めることとしております。  提案団体は、この協議、同意の廃止を求めているわけでございますが、このように改正をしたのはなぜなのでしょうか。地方意見を反映したものと言えるのかどうか、お伺いをいたします。
  63. 織田央

    織田政府参考人 お答えいたします。  森林法におきましては、都道府県知事は、農林水産大臣が定める全国森林計画に即して地域森林計画を策定することとされ、これを策定または変更しようとする際に、農林水産大臣協議をするということとされているところでございます。  これにつきましては、地域森林計画の計画量や施業の方針が全国森林計画とそごを来すこととなりますと、全国森林計画の目標達成にも支障が生じ、地球温暖化防止あるいは国土保全といった森林の公益的機能の発揮に支障が生ずるおそれがあるということ、さらに、計画の内容が、伐採、造林等に係る勧告、命令ですとか、税制特例、国庫補助金などの国の施策に直接つながるため、全国的な公平性を確保する必要がある、こういった理由で、協議を通じて国が関与する仕組みが不可欠であるためでございます。  今般届け出に移行する森林施業の合理化に関する事項につきましては、森林所有者等が作成する森林経営計画制度という制度が創設されました平成二十三年の森林法改正で計画事項となったものでございますけれども、森林経営計画制度の創設から五年が経過いたしまして、森林施業の合理化の考え方が全ての地域森林計画に記載され、協議において国が意見を出すことがなくなっておりますこと、また、持続的な森林経営を確保する森林経営計画そのものの作成も着実に進んで当該制度が定着している、こういったことを踏まえまして、協議を行わなくても計画達成に支障が生ずる蓋然性が低いと判断をいたしまして、見直すこととしたものでございます。  このように、今回、地方意見を踏まえ、森林施業の合理化に関する事項につきまして、地域森林計画に係る国への協議の見直しを行うことによりまして、最近の情勢の変化に対応した必要な手続の簡素化が図られるものと考えているところでございます。  以上でございます。
  64. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 地域の声、地方の声ということを重要視するということであれば、もう少し大胆に踏み込んで改革をしていく、権限移譲をしていくべきだというふうに私は考えております。  今回の権限移譲につきましては、大規模な財政措置を要する権限移譲はないものの、権限移譲によって、地方側の新たなる事務負担が発生することが考えられます。  政府は、事務権限移譲に伴う財政措置については、地方公共団体において移譲された事務権限を円滑に執行することができるよう、地方税、地方交付税、国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずるとしておりますが、私の市長当時の記憶では、事務権限移譲によって新たに発生した事務負担に対しましては当初の三年間のみの財政措置でありまして、結局は、事務負担と財政負担がそのまま残って、ふえてしまったというふうに記憶をいたしております。  事務権限移譲に伴う地方への必要な財政措置または財源の移譲はしっかりと行われているのか、また、時限的なものでなく恒久的なものとして行われているのか、お伺いをいたします。
  65. 境勉

    境政府参考人 お答えいたします。  提案募集方式により移譲されました事務権限に伴う財源措置につきましては、地方財政計画を所掌いたします総務省などとも連携を図りつつ、時限的なものではなく、地方税、地方交付税や国庫補助負担金などによりまして、確実な財源措置を講ずることといたしております。
  66. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 今回実現しなかった提案、あるいは今後の検討課題とされた提案につきましては、今後も、地方からの重要な提案意見として最大限、実現に向けて検討していくべきと考えますが、どのように進めていくのでしょうか。
  67. 境勉

    境政府参考人 今回実現しなかった提案につきましても、今後、状況の変化ですとか新たな支障事例などがございましたら、改めて地方から御提案をいただきまして、内閣府といたしましても、提案の趣旨を踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。  また、対応方針におきまして、引き続き検討を進めるということにいたしたものにつきましては、関係府省と連携を図りつつ、内閣府におきまして適切にフォローアップを行いまして、検討結果について、逐次、地方分権改革有識者会議に報告をすることといたしております。  今後とも、内閣府におきまして、継続的にしっかりフォローアップを行いまして、提案の最大限の実現が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  68. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 継続的にフォローアップをされるということでございますので、しっかりと前に進めていただきたいと存じます。  また、今後、地域のあり方を考える上で、住民意見は大変に重要だというふうに考えております。地方分権改革に関する提案募集につきましても、市町村を通じて住民の方々から提案を募集することも大切だと考えますが、いかがでしょうか。
  69. 境勉

    境政府参考人 地方分権推進に当たりまして、住民の方々といいますのは、地方公共団体の政策形成に参画をして共同していただく、そういう主体であることが期待をされるものと考えております。  このような認識に立ちまして、住民の方々を初めとする各種団体あるいはNPOなども含めまして、さまざまな意見提案に反映していただくよう、平成二十九年の提案におきましては、提案募集要項によって地方公共団体に明示的にお知らせをするということを行いました。また、ことしの二月から三月にかけまして全国八ブロックで開催した説明会におきましても、住民に身近な市町村等に対しまして、今申し上げたような趣旨を要請したところでございます。  今後、地方公共団体と連携いたしまして、地方分権改革による住民にとっての成果、これを調査、しっかり把握をする、そして住民に対するわかりやすい情報発信をしていくということで、より一層、住民改革プロセスへの参画、住民の意向、ニーズの取り組みへの反映に努めてまいりたいと考えております。
  70. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 それらの成果につきましてもしっかりとチェックをしていただいて、次のステップに進んでいただきたいと思います。  地方分権の確立には、権限、財源を地域移譲するとともに、地方の自立こそ最重要であります。政府の、地方の自立を促す取り組み、あるいは地方の自立を促す上での課題等について、お伺いをいたします。
  71. 境勉

    境政府参考人 地方分権改革といいますのは、地方公共団体自主性及び自立性を高めまして、それぞれの地域の特性を生かして、多様で個性豊かな社会を形成するということを目指して進められてまいりました。  地方の代表の方にも参画していただきました地方分権改革有識者会議が、二十六年の六月に地方分権改革の総括と展望というものをまとめていただきましたけれども、この中で、今後の地方分権改革の目指すべき方向といたしまして、地方公共団体への権限移譲地方に対する規制緩和地方税財政の充実強化といったものが挙げられております。そうした取り組みを進めることが、個性を生かし、自立した地方をつくることにつながると考えております。  また、一層の地方の自立というものを進めるためには、自治体の職員の方々、この方々が、常日ごろから現場感覚と住民目線に基づいて物事を把握して、制度上の問題点を含めて地域の課題を見抜いて、粘り強くその解決を図っていただくということで住民サービス向上を図るということが大変重要でございます。  提案募集方式は、地方公共団体が、住民サービス向上のため、地域が直面する具体的な課題につきまして解決を図っていこうとするものでございまして、その取り組み推進することは、地域の自立に向けての自治体職員の意識改革にも資するものと考えております。
  72. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 地方の時代と言われて久しいわけでございまして、今御指摘をいただきましたけれども、市役所あるいは町、村の役場、職員は常に地域住民と日々接しているわけでございまして、市町村長も市町村会議員も日々その地域住民の中にあって、地域で何が求められているのか、福祉向上に取り組んでいるわけでございますから、これは、御心配をいただくよりは、地域の声をもっと行政、いわゆる国が吸い上げて、どのような形で応援したら本当に地方分権推進できるのか、あるいは地方自主性自立性を高めることができるのかという、しっかりとしたアンテナを持つことも大切だというふうに考えております。  政府は、これまでの一連の地方分権改革取り組みが、この地方分権改革の原点であります平成五年の衆参両院の地方分権推進に関する決議にある、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現、この社会の実現にどの程度寄与したとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  73. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 地方分権改革の起点となりましたのが地方分権推進に関する決議でありますが、それから二十年以上が経過し、その間、国と地方の関係の、上下主従関係から対等協力の関係への転換、三位一体改革による税源の移譲地方に対する権限移譲規制緩和など、地方自主性自立性を高めるための改革を積み重ねてまいりました。  平成二十六年からは、提案募集方式に基づきまして地方の声にきめ細かく対応することにより、地域課題を解決し、住民サービス向上を図る具体的な取り組み推進してきたところであります。  これらの改革によりまして、地域がみずからの発想創意工夫により地域社会の発展を図るための基盤の構築が進められてきたものと考えております。  今後とも、地方からの提案の最大限の実現を図ることにより、地域の実情を踏まえた住民サービス向上、ひいては国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現に資するよう取り組みを進めてまいりたいと思っております。
  74. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 地方分権改革地方創生の関係につきましては、まちひと・しごと総合戦略において、「地方分権改革推進は、地域が自らの発想創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生において極めて重要なテーマ」としております。「国から地方への権限移譲規制緩和に関する地方からの提案について最大限の実現を図るなど制度改正を強力に進めていく」とされています。  また、平成二十六年以降の地方からの提案等に関する対応方針におきましても、地方分権改革推進は、地方創生における極めて重要なテーマと明記をされています。  地方創生取り組みには、まさに権限、財源が伴わなければならず、権限、財源の移譲が不可欠であります。私は、地方分権改革推進地方創生における極めて重要なテーマであることはもちろん、地方創生地方分権とセットで一緒に進めていかなければならないと考えております。  しかしながら、以前から指摘をさせていただいておりますけれども、現在の政府地方創生取り組みは、むしろ地方分権の流れとは逆行して、中央集権体制を強めているのではと感じてなりません。権限も財源も国が握っている状況で、地域が自立をしてみずからの発想創意工夫を生かして地方創生を果たしてすることができるのか、疑問であります。  ここでお伺いをいたしますが、地方を創生するための今後の地方分権改革のあり方について政府はどのようにお考えか、具体的にお示しをいただきたいと存じます。     〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
  75. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 私は、昨年の八月に大臣に就任して以来、地方創生とは地方の平均所得を上げることだと定義するとともに、地方の自助の精神が最も重要だと強調して取り組みを進めてきたところでございます。  地方に対する権限移譲規制緩和を進める地方分権改革推進は、まさに自助の精神のもと、地域がみずからの発想創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものでありまして、地方創生において極めて重要なテーマであると考えております。  平成二十六年からは、国が選ぶのではなくて地方が選ぶことができるという観点から、提案募集方式導入しているところでありますが、平成二十八年の提案募集においても、政府が重要施策として掲げる地方創生の分野において、地方の現場で困っている具体的な支障に対し、きめ細やかに対応することができました。例えば、公有地の拡大の推進に関する法律に基づき取得した土地の活用の促進、既存の住宅を寄宿舎に活用する場合の階段基準の合理化、都市公園内に設置できる施設の明確化など、地域資源の利活用に資する提案実現いたしました。  また、これまでも長年、地方からの要望が非常に強かった農地転用許可権限権限移譲や、地方版ハローワークの創設など、地方創生に資する取り組みを進めてきたものと認識しております。  今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと思っております。
  76. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 私は、平成六年に埼玉県の九万都市である東松山市の市長に就任をさせていただきまして、平成二十二年までの十六年間、続けさせていただきました。  その間に、第一次地方分権改革平成市町村大合併、三位一体の改革、第二次地方分権改革と、国による地方に対するさまざまな取り組みが行われてきました。そして私も、市長在職中は、国の推進をする地方分権改革に大いに期待をしたものであります。  しかしながら、私が期待をいたしました権限、税財源の移譲を伴った大胆な地方分権は一向に進んでおりませんで、進まないどころか、政策的にはどれもが中途半端であったのではないかというふうに考えております。  第一次の地方分権改革以降、さまざまな事務権限が国から地方に移される中で、例えば、パスポートの申請手続市町村でできるようになったこともありました。住民サービス向上事務の効率化の向上という面はもちろんあったものの、その後の地方事務負担や財政負担はふえるばかりでございまして、権限、財源があればもっとさまざまな取り組みができたのではないかと考えております。  現在取り組まれている地方創生につきましても、何度も指摘をさせていただいているとおり、旧態依然とした中央集権的な体制でございまして、国から地方へのばらまき政策でしかなくて、真に地方の本来の活性化や将来の発展を見据えての政策であるとは考えられません。  政府は、地方の将来あるべき姿について本当に真剣に考えているのか、少子化、高齢化、そして地方経済の停滞化等多くの問題を抱えている中で、相変わらず中途半端な政策に明け暮れていてはもう手おくれになってしまう、本当に地方の時代、地域の時代というのがやってこないのではないか、このように心配をいたしております。  地方分権改革のあり方や地方創生取り組みをいま一度見直して、これから日本のあるべき姿、地方のあるべき姿をしっかりと示すとともに、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現のために、税財源と権限を伴った地方分権を推し進めるべきと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  77. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘はもっともだと思います。  そういう意味では、平成二十六年からやっております地方に対する権限移譲規制緩和に関する提案募集方式導入して、地方創意工夫を生かすという取り組みを進め、地方分権改革推進しているところでありますが、その際には、移譲された事務権限に伴う財源措置について、地方税や地方交付税や国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずることとしております。一方で、全体の地方に対する税財源配分など地方税財政の見直しについては、総務省等の所管府省において別途検討され、しっかりとやっていただきたいというように思っておるところであります。  また、今後政府が目指すものといたしまして、現在、我が国においては成長と分配の好循環を全国津々浦々まで波及させて、人口減少等地域経済の縮小の悪循環の連鎖に歯どめをかけて、将来にわたって豊かな地域社会の発展を図ることが必要だと考えておるところであります。  このために、地域が持つ魅力、知恵、人材、資源、それを最大限引き出して、国及び地方において、官民の総力を挙げて地方創生を本格展開していかなければなりません。そのために、地方自分たちの未来をみずからの創意工夫と努力で切り開くという自助の精神が最も重要であり、国としても、自主的、主体的な取り組みを行う地方公共団体に対して、地方創生推進交付金等の財政支援、情報支援、人材支援地方創生版三本の矢で強力に支援しているところでございます。  また、地方分権改革についても、地方の自助の精神を制度面から体現し、地域の実情に応じた住民サービス向上を進めるための重要な取り組みと考えておりまして、先ほど申し上げました提案募集方式に基づいて地方からの提案にきめ細かく対応することにより、地域がみずから課題解決を図るための基盤の構築を進めてまいりました。  今後とも、地方の未来そして日本の未来をみずからの手で切り開くことができるよう、分権型社会の確立を図りつつ、地方創生に取り組む地方を積極的に支援してまいりたいと思っております。
  78. 坂本祐之輔

    ○坂本(祐)委員 地方の時代と言われて大変久しいわけでございます。しかし、依然として地方の時代は到来しておりません。それはひとえに、政府が、そして省庁権限を握り締めて、党利党略あるいは官僚の既得権益がそこにあるからではないか、私たちは地方にいたときにそのように感じてなりませんでした。本当に地方分権推進するのであれば、私は道州制をもっとしっかりと推進するべきだと考えておりますし、また同様に、都道府県のあり方にも問題があるのではないかと思います。  平成の大合併が終わって、本当に地方は豊かになったのでしょうか。都市間競争は激化をして、ふるさと納税のように、真にふるさとを思う、そして地域を思うがゆえに納税を行うのではなくて、個人の利益に走ってしまい、それを、行政が拍車をかけてしまう。本来の地方の豊かさというのは、ふるさとを愛し、そこで生活を営む方々が、ささやかであっても、将来に夢や希望を見出して、そして豊かな生活を続けることができる地域なのではないかと考えております。それは、大都市で暮らしていても、地方で暮らしていても、同じでございます。  国は国で行うこと、地方地方で行うことをしっかりと分けていく、そして、そこに暮らす方々がその地域や郷土に必要なものを行政を通して実現していく、そういった住民主体のまちづくりを実現させることが国の役割ではないのかということを申し上げて、質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。     〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 木村太郎

    木村委員長 次に、田村貴昭君。
  80. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  分権七次一括法案のうち、公営住宅の改正法について質問をします。  まず、公営住宅の集約を前提にした建てかえ事業について伺います。  改正案では、これまでの現地建てかえ要件を緩和して、近隣地への建てかえを可能にするとしています。そして、移転先については、居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内に確保されることと配慮義務が定められています。居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内とは具体的にどういう地域を想定されているんでしょうか。御説明いただきたいと思います。
  81. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  今回の改正においては、建てかえ計画は、公営住宅建てかえ事業が除却する公営住宅の存していた土地に近接する土地に新たに公営住宅を整備する場合においては、新たに整備すべき公営住宅が入居者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されるよう適切な考慮が払われたものでなければならないというふうにしております。  具体的には、例えば同一駅利用圏や同一小学校区など、地域の交通状況、教育や福祉などの公共サービスの状況、地域的状況などの諸条件を総合的に勘案して地方公共団体において判断されるものと考えております。
  82. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 今言った例なんですけれども、地方自治体にはどうやって通知されていかれるんでしょうか。
  83. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  近接する土地の範囲につきましては、先ほど申し上げたとおり、同一駅利用圏や同一小学校区などを例示した上で、地域の交通状況、教育や福祉などの公共サービスの状況、地理的状況などの諸条件を総合的に勘案して地方公共団体が判断すべきだということを技術的助言として通知することを考えております。
  84. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 公営住宅における法定建てかえ事業は、整備すべき公営住宅の戸数は当該事業により除却すべき公営住宅の戸数以上であることとされています。あわせて、ただし、当該土地の区域内で新たに社会福祉施設等を整備する場合は、建てかえ計画の申請をする日において入居者の存する公営住宅の戸数以上であれば足りるとなっています。つまり、入居者の数ということでされるわけであります。  入居者の戸数以上となれば、これは、コンパクトシティーを目指すまちづくりの中で公営住宅の集約を行う場合は提供戸数が減ってしまう可能性があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  85. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 公営住宅の法定事業については、原則として従前の戸数以上を確保することとしておりますが、社会福祉施設整備する場合等特別の事情がある場合には、従前の入居戸数以上を確保することが要件となっております。  今回の法改正においては、近接地における建てかえを可能とするというものでございますが、現行の戸数要件に関しては何ら変更を加えていないところでありまして、この改正によって公営住宅を減少させていくというような趣旨のものではないと考えております。
  86. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 例えば、入居者の戸数以上ということになれば、ある団地とある団地が集約する、一つの団地は著しく老朽化していて人気がなく、入居者数そのものが少ない、これが集約化されて建てかえとなっていくわけです。こうなると、やはり提供戸数そのものが、従前と建てかえ後では減っていくのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  87. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  今回の法定事業に近接地における建てかえ事業を加えるに際しましては、先ほど御説明いたしましたとおり、原則として従前の戸数以上を確保することとする現行の戸数要件に何ら変更は加えていないところです。  よって、公営住宅団地を集約する場合にあっても、基本的に、従前の各団地の戸数の合計を確保することが法定建てかえの要件となっております。したがって、現地建てかえと同様に、社会福祉施設整備する場合等特別の事情がある場合を除き、今回の改正によって戸数が減少されるという性格のものではないというふうには思っております。  いずれにしましても、地方公共団体において、このような要件のもと、地域の実情を踏まえた建てかえ計画に基づき適切に整備がなされるものと認識しております。
  88. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 しかし、その懸念と心配は尽きないというふうに私は申し上げたいと思います。  近隣地の指定も、先ほど例を言われましたけれども、やはり住民にとってみたら、環境とかコミュニティーが変わってしまうのは間違いありません。それから、入居者数を基本とすると、これはもう数の問題ですから、必ず減ってくるという心配があることをこの際指摘しておきたいと思います。  集約を図りたいという自治体側の目標はいろいろあると思います。その中で、財政上の理由を挙げているところもあります。これはある県ですけれども、紹介します。本県では、平成三十七年次までに十団地を用途廃止し、中・大規模団地へ集約する目標値を設定しており、厳しい財政状況の中で再編整備を効果的かつ効率よく推進するためには、非現地での建てかえを法定建てかえとして実施できるよう現地要件を緩和することが必要であると、財政上の理由を立てておられるわけであります。  こういう理由で公営住宅を集約していけば、おのずと提供戸数が減っていくのではないかという懸念もあわせて指摘しておきたいというふうに思います。  続いてお伺いしたいと思います。  今度の改正案では、政令で上限額と下限額を定めた範囲内で、収入基準を条例委任するとしています。この入居収入基準を超えた超過収入者のことについて、この対象となるのはどのぐらいの世帯であるのか、退去を求められる入居者がふえていくのではないかという心配については、どういうふうにお答えなされますか。
  89. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  今般の法改正案において、地方公共団体が条例で決定することとなる高額所得者の収入基準の範囲につきましては、月収二十五万九千円、要は収入分位五〇%、年収でいいますと六百万弱になりますが、以上を超えて、収入分位六〇%以下、三十一万三千円以下の範囲内を政令で定めて、条例で委任するということを検討しております。この範囲内の収入に該当する入居者の割合は、これは平成二十六年度末時点でございますが、全国で約一・六%であります。  ただ、今回の改正につきましては、全国一律の基準を残しつつ、地域の事情によって、特に必要と認められる場合に、条例によって、そういう高額所得者の収入基準の引き下げを可能とするものだということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
  90. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 一律にならないということは、各自治体が条例を設けるということでわかるんですけれども、いわゆる対象者については、公営住宅の全入居者が大体百九十万人というふうにお伺いしていますので、一・六%に当たるといえば、約三万二千人ぐらいというふうに計算上なりますけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。
  91. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、全国の公営住宅の入居者の数は約二百万世帯でございますので、本当に機械的に今の一・六%を掛けると約三万世帯ということになります。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、今回は手挙げ方式で条例をつくるという格好でございますので、現在のところ、千六百七十六団体、公営住宅の事業主体がございますが、今のところ、条例によって場合によったら措置をしたいという御意向があると伺っているのは四十団体程度、約二%程度というふうになっております。  また、今回の改正についての提案団体は、豊田市等六団体でございますが、これら六団体のこの範囲の収入に該当する世帯は、約三百三十九世帯というふうになっております。
  92. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 これからはわかりませんよね、今はそうであっても。  それで、明け渡しを強制することにはならないという法律上の根拠があれば教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
  93. 伊藤明子

    伊藤政府参考人 お答え申し上げます。  現行の公営住宅法においては、事業主体が高額所得者に明け渡しを求める場合には、入居者の居住に対する必要な配慮が規定されておりまして、それらの規定については今回の改正においても何ら変更されることなく、同様に適用されることになります。  具体的には、入居者やその家族が病気にかかっている等の特別な事情がある場合には明け渡し期限を延長できること、それから、ほかの公的住宅等へのあっせんに努めること、他の公的住宅への入居を容易にするよう特別の配慮をすること等としておりまして、明け渡しに当たって、丁寧に対応するということになっております。
  94. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ぜひ、それは貫いていただきたいと思います。  全国どこでも公営住宅の入居待機者がたくさんおられるわけです。今国会には住宅セーフティーネット法の改正案が提出されています。この背景には、本来、住宅セーフティーネットであるはずの公営住宅の応募倍率が高い状況にありながら、地方自治体財政の状況から新増設ができない、老朽化したストックの改修や建てかえをもって優先せざるを得ないという状況があるわけです。だから、空き家とか、それから民間賃貸活用を進めていこうとするものであります。これをよくする方向については、私たちは異論はございません。しかし、この住宅政策の根本に今据えるべきものは、公営住宅をやはり基本に据えること、そして、自治体が増設していきたいだけの財政措置をやはり行うべきだというふうに思うわけです。  国交省の藤井政務官にお越しいただいております。  公営住宅法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とうたった憲法二十五条に基づくものであります。現在の入居者が住み続けられること、その上で、入居待機者がいるのであれば、公営住宅を新たに供給していくことが本来必要であるというふうに考えるわけであります。  住宅セーフティーネット法の改正はもちろんでありますけれども、一番のセーフティーネットというのは、公営住宅そのものを必要分確保することではないでしょうか。地方財政が厳しいからそれができないという現状を大きく変えていく必要が今あるというふうに考えますけれども、政務官、御見解を伺いたいと思います。
  95. 藤井比早之

    ○藤井大臣政務官 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹をなす政策であり、その供給は極めて重要でございます。  地方公共団体におきましては、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況等を勘案し、改修や建てかえを含めて、適切に公営住宅の整備、管理を行っているものと考えております。  国といたしましては、引き続き社会資本整備総合交付金等により、しっかりと支援を行ってまいります。
  96. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 やはり、新設を抑制するという方向から脱却していかなければならない、そういう状況に地方が来ているというふうに思います。  ここの項の最後の質問なんですけれども、公営住宅法の改正は、この間、地方分権改革関連の一括法の中で行われてまいりました。二〇一一年の第一次分権一括法では、入居収入基準についての条例委任が行われました。また、同年の第二次一括法では、建てかえ事業を施行する土地の面積、整備すべき公営住宅の構造といった公営住宅建てかえ計画の記載事項について、義務から努力義務にしたわけであります。  これらは、公営住宅の建てかえ事業制度にかかわる重要な改正でありました。しかし、この国交省所管の法改正を審議するのが、この地方創生特別委員会であります。  今申しましたところの改正質疑に立ったのは、議員でたった一人であります。第二次一括法では誰もされなかったわけであります。なぜなのか。第一次は四十一本の法律が束になりました。第二次では、何と百八十八本の法律が一括して出されたために、取り上げたくても取り上げられなかった、こういう状況であります。こういう提案の仕方というのは、やはり国民にもこの内容が十分行き渡らないというふうに考えるものであります。  山本大臣にお伺いします。  今回も、今議論しましたけれども、たくさんの懸念があります。そういう法改正であります。公営住宅入居の収入基準や建てかえ事業について、これだけ重要な案件にもかかわらず、この審議で国土交通大臣は答弁されないんですよね。そして、立法府の役割をこれでは十分果たせないのではないかなというふうに私は考えます。  こうした、一括して提案していく、重要法案を束となって一括提案するというやり方はもう見直さなければいけないというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  97. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 今回の法案は、過去六次にわたる一括法と同様に、地方公共団体への事務権限移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を通じて地域自主性及び自立性を高め、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものでありまして、一括法として統一的に見直すことが適当であると考えているところであります。  また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置することとした改正事項を盛り込んでいるところであり、関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることにより、改正の趣旨、全体像がわかりやすくなるものと考えております。  今後とも、改正する法律の趣旨、目的及び改正の経緯に鑑み、統一的に見直すことが適当であるかを検討しつつ法案を提出してまいりたいと思います。  なお、公営住宅法の改正についても、提案募集方式による地方からの提案に基づき検討が行われたものであり、現地建てかえ要件の緩和により、円滑な公営住宅の建てかえ、集約の実施が可能となることで、地域の住宅事情を踏まえたより適切な公営住宅の管理運営に資する等、地域自主性及び自立性を高めるものであると考えております。
  98. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 地方自治体からの提案であれば、なおさら重要な案件であります。所管大臣がちゃんと答弁に立てるところ、そうしたところで一本一本やはり法案というのは審議していくべきだというふうに思います。  この辺の改善を求めて、次の質問に移りたいと思います。藤井政務官、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。  続いて、東京圏一極集中の是正について伺います。  総務省から、住民基本台帳人口移動報告、二〇一六年結果が一月に発表されました。この中で、東京圏の転入転出の状況について説明をしていただきたいと思います。
  99. 千野雅人

    千野政府参考人 お答えいたします。  二〇一六年の住民基本台帳人口移動報告から東京圏の転入転出超過数を見ますと、十一万七千八百六十八人の転入超過となっております。東京圏の転入超過は、一九九六年以降二十一年連続でございます。また、この転入超過数は、前年に比べますと千四百八十九人の減少となっております。東京圏で転入超過数が減少するのは、二〇一一年以来五年ぶりでございます。
  100. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 資料を配付させていただいています。  都道府県別転入転出超過数ということでありますけれども、これはもう一目瞭然であります。東京圏、東京都それから神奈川県、千葉県、埼玉県、群を抜いて転入超過になっている。ほかの県はほとんど転出超過になっているということです。  私は福岡県でありまして、北九州市に暮らしているんですけれども、山本大臣御存じのように、北九州市の転出超過というのは日本で群を抜いているといったところで問題にもなっています。  その福岡県が転入増になっているのは、福岡市を中心とする福岡市都市圏の転入増の話であります。その福岡都市圏をもってしても、東京圏と比較しますと、東京圏との間では転出超過になっているという状況でありまして、やはり東京圏が全国の若者を中心として吸収しているという状況にあるわけであります。  この一極集中が長年にわたって変わっていないということであります。一九九六年といいますから、二十一年連続で東京圏の転入超過が続いているということであります。  こうした状況の中で、お尋ねしていきたいというふうに思いますけれども、政府は、まちひと・しごと創生総合戦略、二〇一四年のこの戦略の中で、東京一極集中の是正として、二〇一三年を起点に、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させ、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させて、二〇二〇年の時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させるという方針を閣議決定して打ち出しました。  しかし、現実には、二〇一三年以降、目標と真逆の状況になっていることを、私は昨年、本委員会でもそれから別の委員会でも再三にわたって指摘して、この計画の見直しはしないのですかということをお尋ねしてきました。  当時の石破大臣は、KPIについては見直しをしないというふうに言われたんですけれども、今般、まちひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版については、総合戦略の見直しについても言及しています。ここについて説明をしていただきたいと思います。
  101. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘のように、二〇一六年、五年ぶりに若干は減少したんですけれども、依然として東京一極集中の傾向は続いていると承知しております。  こうした厳しい状況が続いておりますが、国としては、企業の地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまち実現地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体取り組みを積極的に支援してきたところであります。  さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正の基本目標達成に向けて最大限努力してまいりたいと思っております。  ただ、二〇一七年度は、まちひと・しごと創生総合戦略の中で五カ年を展望した中間年に当たります。その意味で、総合戦略で設定している基本目標やKPIについても必要な見直しを行い、より効果的な対応を検討することとしているところでありまして、基本目標について必要な見直しを行う中で、その目標を修正する可能性については否定いたしません。
  102. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 まさに、ここの一丁目一番地に掲げた目標については、中間年であるので見直しになっていくというふうな理解として受けとめました。  そこで、私は、この東京圏一極集中の是正が地方創生の一丁目一番地だというふうに思って、前の大臣、石破大臣もそのとおりというふうにお答えいただいたんですけれども、その旗印は鮮明であったとしても、その旗印がオール・ジャパンとしての方針になっているのかという疑問があります。  東京圏の一都三県については、転入超過を縮小させる目標を掲げているんでしょうか。(山本(幸)国務大臣「もう一回質問を」と呼ぶ)
  103. 木村太郎

    木村委員長 もう一度質問して。ごめんなさい。
  104. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 まちひと・しごとの一丁目一番の目標は東京圏一極集中の是正なんですけれども、では、その東京圏である一都三県は、転入超過を縮小させるというような人口ビジョンを打ち出しているのでしょうか。
  105. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 地方創生は、地方と東京都がパイを奪い合うゼロサムではなくて、地方と東京都がそれぞれの強みを生かして日本全体を引っ張っていくプラスサムでなければならないと考えております。  こうした認識のもとで、石破前大臣のときに一都三県との間で地方創生に係る課題についての連絡会議を設けて、連携の方向性について検討したと承知しております。  地方人口ビジョンは、各地方公共団体において、人口減少をめぐる問題の認識の共有と目指すべき将来の方向性を提示することを目的として策定されているものでありまして、委員指摘のとおり、一都三県の地方版総合戦略、人口ビジョンでは、東京圏と地方との転出入均衡という国の目標には必ずしも触れられてはおりません。
  106. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 そうなんです。そうなっていないんですよね。ここは非常に大事なところであるんですけれども、まちひと・しごとの総合戦略の一番中心的な目標が、御本尊の、肝心な一都三県の政策と整合していないという一番の大きい問題があります。  転入超過が桁違いなのは東京であります。その東京は、個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である、人口の流入超過について、これを政策的に動かしていくことは難しいというふうにされています。  去年、石破前大臣は、このくだりにはかなり違和感を持つというふうにおっしゃいました。そして、東京圏の知事と問題意識を共有するところから作業を始めているというふうにお答えになったわけであります。  新しく大臣となられた山本大臣は、この重要問題について、東京都の小池知事あるいは三県の知事と、この問題についての認識を共有する話し合いを持たれておられるでしょうか。
  107. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 直接一都三県の知事と一緒に会合したということはありませんけれども、地方六団体との意見交換会や国と地方協議の場などについて、東京一極集中の是正を含む地方創生の諸課題については地方公共団体意見交換しております。  小池知事とは個人的にもお話をしておりますが、小池知事は、東京をぜひ国際金融都市として引っ張る姿にしたいと言っておられます。  一方で、私は知事に対しても、やはり東京で余りに人口が集中する、特に若者が進学や就職のときに集中するというのは、これは問題があるという指摘もして、ぜひお互いにウイン・ウインの関係になるようにいきましょうねというような話をしているところであります。  私のもとで、今、先ほども紹介しましたけれども、地方の大学の振興や若者の地方での就職支援、あるいは東京における大学の新設、増設についての抑制というようなことについての議論を行っていただいているところでありますが、そこで私が指摘したのは、私は経済理論的に物を考える癖があるものですから、もうこれは市場が失敗している、明らかに。東京と地方では与えられた条件が全く違う、それから情報量が違う、そういう意味からいえば、市場の流れに任せていては全く解決できない。  そういう市場の失敗があるときには行政が介入をすることは可能であるというのがこれまでの私が学んできたことでありまして、そういう意味で、何らかの対策を講じないとこの傾向はなくならないと思いますので、そういうことも含めて今、有識者会議検討していただいているところであります。
  108. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 大臣が小池東京都知事と国際金融都市等についてお話しすることは、いろいろな重要なことがあると思います。  しかし、地方創生担当大臣としては、この問題が一丁目一番地なんですから、国としては、日本全国の人口減少社会に突入している中で、ここをクリアしないと地方創生ができないと言っているわけですから、この問題に限って、東京都、それから神奈川県、埼玉県、千葉県の知事含めてお話をされるのがやはり重要だというふうに考えております。  大臣は、大臣着任以降、六十五市町村を視察されたと。たくさんの地方創生の事業を御視察されたということは、これは非常に有益であるし重要であると思います。しかし、一番大事なところは、私が今申し上げたところだと思うわけなんです。  そもそも、二〇一四年の十一月、まちひと・しごと創生法ができたときに、この総則の目的、第一条には、「急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、」つまり、この問題は、人口問題を考えて、そして扱うんだと。そして、東京圏への人口の過度の集積を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保していくという大前提があるわけですね。この旗頭が基本になっているんです。この旗頭があって、この創生委員会も開かれているわけであります。しかし、現実は、閣議決定した目標も全く変わらない。  先ほど、東京圏の転入超過数が少し減ったと言いますけれども、これは少子化が一層進んで、そもそも移動する若者が減っているということのあらわれでもありますから、ここは余り強調をされない方がいいと思います。  こういう状況に変わりはありませんので、やはり原点に戻って、地方創生の一番大事な、東京圏一極集中の是正について全力を挙げていただきたい。必要な協議は直ちに開始していただきたいということを申し上げたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか、最後。
  109. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 御指摘のところはおっしゃるとおりだというふうに思います。  そういう意味で、必要に応じて、そうした会もしっかりやっていきたいと思います。
  110. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 転出超過の北九州とかの事象については、今度また機会がありましたら議論させていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  111. 木村太郎

    木村委員長 次に、丸山穂高君。
  112. 丸山穂高

    ○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。  維新の会は、今回の地方分権一括法、はっきり申し上げまして賛成でございます。  私、ちょうど役所にいたときにこの分権一括法、原課で、こういうのを、要は、分権すべきものはありませんか、出してくださいという指示が来まして、こんなものを役所に聞いたらあかんやろと思いながら、しかし仕事ですので、しっかりと、これをやるべきだみたいなものを出しました。  しかし、役所に聞いちゃうとどうしても、そんなものは、権限地方が譲ってほしいと思っていても、しかし、国の方は譲るべきじゃないと考えてできない、分権ができないというのが基本だったんですけれども、その後、地方にもきっちり要望を聞かれるようになってまいりまして、それに基づいて、ほぼ毎年のようにしっかりと、要望の上がってきたものを検討して、できるものからやっていくということでやっておられますので、非常にすばらしい取り組みだというふうに思います。  そうした中で、ほぼ毎年のように改正されていますので、どうしても、最初の方はばあんと大きな規制緩和が進んでいるんですけれども、最近はどちらかというと、言い方がよくないかもしれませんけれども、小粒な改正も多くなったんじゃないかなというふうに言われているところです。それはそれで、別に、大きさが小さいから大きいから悪いというわけじゃなくて、現場において、地方においてニーズがあるのであれば、しっかりやっていかなきゃいけないというふうに思うんです。  しかし、こんなにいっぱい、いろいろなところで規制緩和をしていくと、一方で、地方要望として、一度改正した部分でも、実は使い勝手が悪くて、もとに戻してほしいとか、逆に行けば、余りこれは使われていませんよねというような声も出てくるんじゃないかなというふうに思っているんです。  この法案は賛成なのでしっかりやっていただきたいんですけれども、確認だけしておきたくて、そうしたものがあるのかどうか、状況についてお伺いできますでしょうか。
  113. 境勉

    境政府参考人 お答えいたします。  提案募集方式は、地方の発意に根差した息の長い取り組みを図るものといたしまして、これまでの成果として、地方からの要望が強かった農地転用許可権限移譲地方版ハローワークの創設などのほか、本年は地方創生子ども子育て支援関係を初めといたします、地方の現場で困っている支障を解決してほしいという切実な提案を数多くいただいて、きめ細かくその実現を図ったところでございます。  御指摘の、過去の一括法の改正につきまして、改正前に戻してほしいといったような声は私ども承知しておりませんが、必ずしも十分に活用されていない事例といたしましては、例えば平成二十三年の第一次分権一括法によります保育所の居室面積の基準の緩和、これにつきましては、大阪市さんが活用されておられる一方で、地域要件を満たすほかの市、区ではまだ活用がされていないといったような事例はございます。
  114. 丸山穂高

    ○丸山委員 去年ですかね、幼稚園とか保育園落ちた、日本死ねみたいな、死ねというのはけしからぬと思いますけれども、しかし、そうした声が国民の方から上がっているという話が出ていて、保育所が非常に問題になっているんです。  一方で、この面積の緩和、特に東京都なんて深刻で、東京都の話を中心にあのときされていたと思うんですけれども、私なんかは地方の議員ですので、大阪ですけれども、大阪の南の方で、そういった意味でいえば、やはり地方の話というよりはむしろ、先ほど例の挙がった大阪市内だとか、もしくは東京都だとか、愛知もそうなんでしょうけれども、そうした部分の問題にもかかわらず、問題の声が上がっているにもかかわらず、これを利用できていないということなので、実は我が党もこれを見ていまして、今、標準基準にされているんですけれども、参酌基準にしてほしいという要望もさらにあるんですが、一方でほかの、例えば、東京の話、愛知の話も含めて、どうやればもっと使い勝手がよくなるのか、地方の声は本当のところはどこにあるのかというのをしっかりと聞いていただいて、前に進めていただきたいと思います。  担当の方に聞いたら、早速行ってまいりますという話を聞いておりますが、大臣、この点も含めて、今後、改正方針、どういうふうに進めていかれるのか、もし変更とかもとに戻すというものがあれば柔軟にやられていかれるという理解でよろしいんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
  115. 山本幸三

    山本(幸)国務大臣 この提案募集方式に基づく分権取り組みは、地方の現場で困っている支障に基づく提案にきめ細かく対応して、地方創生住民サービス向上に資するものとして重要な意義があると認識しておりまして、全国知事会全国市長会等からも、地方分権改革を着実に進める取り組み、真の分権型社会の構築に資するものとの評価をいただいております。  一方で、御指摘のように、これまでの分権改革の一部には、地方公共団体において十分に活用されていない例があるとは承知しております。ただ、それもいろいろ理由もあるようでありまして、まずはその実態をしっかりと調査、把握して、どうしたら、まさに地方創意工夫が生かせて、地方公共団体課題解決を図れるかということは検討していきたいと思います。
  116. 丸山穂高

    ○丸山委員 しっかりとよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  この法案に関しては、きょうこの後採決ということでございますので、我が党もしっかり賛成していくということでございますけれども、次に、閣法として今、特区法の改正も予定されております。我が会派は毎回お時間を、もちろん会派ですのでいただけるんですけれども、いつも大体十五分か二十分でございまして、なかなかそれぞれに対してしっかりとした充実した審議がしにくうございますので、ちょっと先回りぎみなんですけれども、この特区法に関しても少しお聞きしていきながら、次の質疑につなげていきたいというふうに思うんです。  私、今回の、きょう採決する地方分権一括法の方はしっかりやっていくべきだと思うんですけれども、この特区の方は、もちろんやっていくべきなんですが、分野によってはしっかりとチェックしていかないと、五十年後、百年後の日本の姿を考えたときに、もうこれは大変なことになる可能性もあるものが含まれているんじゃないかというふうに思うんです。それは、いわゆる農作業に従事する外国人の受け入れ特区という形で、今回、含まれています。  昨年の臨時国会でも、介護分野への労働者の受け入れの話で、いわゆる技能実習制度の拡充という話をされてきました。そうした中で、まずデータからお伺いしたいんですけれども、どれぐらいの方が今日本に労働者として来られているという数をお伺いしていきたいんです。  まず最初に、我が国における外国人労働者の数とその推移、主な国別、どういった方々が来られているのか、割合についてお答えいただけますでしょうか。
  117. 大西康之

    大西政府参考人 日本国内に就労する外国人労働者の数でございますが、外国人雇用状況届け出というのがございまして、これによりますと、平成二十八年十月末時点での集計で約百八万人でございます。  推移ということでございますが、平成二十六年の十月末時点では約七十九万人、平成二十七年の十月末時点では約九十一万人でございました。  また、国別の割合ということでございますが、平成二十八年十月末時点の外国人労働者の数を国籍別で見てまいりますと、先ほども申し上げた全体で約百八万人のうち、中国が最も多くて約三十四万人、続いて、ベトナム約十七万人、フィリピン約十三万人、ブラジル約十一万人という状況でございます。
  118. 丸山穂高

    ○丸山委員 そのうち、先ほど述べたような技能実習制度に基づいて在留されている方、その人数と主な国別の割合、最新のデータをお伺いできますか。
  119. 佐々木聖子

    ○佐々木政府参考人 平成二十八年末現在におけます在留資格技能実習を有する在留外国人は、総数で二十二万八千五百八十八人で、国籍別に多い順に、ベトナムが八万八千二百十一人、中国が八万八百五十七人、フィリピンが二万二千六百七十四人、インドネシアが一万八千七百二十五人、タイが七千二百七十九人となってございまして、これら五カ国で全体の約九五%を占めてございます。
  120. 丸山穂高

    ○丸山委員 これは何を危惧しているかというと、まさしく今、世界的に見ても、欧州にしろ、米国にしろ、移民の問題が非常にクローズアップされて表面化していますね。  最初はまず、日本と構造が似ているんですよ。そもそも労働力が足らないので、そのために海外から安い労働力で、しかし、いわゆる厳しい条件にあっても文句を言わなくてやってくださるような方に来てもらうという条件で、欧州にしろ、サウジにしろ、あらゆる国がそれで外国人労働者をふやします。景気がいいときはそれでいいんですけれども、しかし、雇用が自国民と次第に競合し始めて、それによって批判や不満が高まって、暴動だとか、また、そもそも外国人労働者の待遇が悪いがゆえに、それによってテロにつながっていく、暴動につながっていくみたいな話もあって、それが表面化して、昨今のEUのイギリスの離脱だとか、アメリカのトランプ大統領の動きだとかにつながっているのがもう日本でもみんな知っていることですけれども、これは日本でも起きつつある、最初のステップを踏みつつあるんじゃないかというところをすごく危惧しております。  特にこの技能実習制度だけじゃないんですけれども、わかりやすいのが技能実習制度なので、技能実習制度の方をピックアップして話していきますけれども、これを調べていきますと、来日した外国人の中で、失踪される、つまり、行方がわからなくなっている方はふえているんじゃないんですかね。その調べたところによると、年間五千人以上、どこに行ったかもわからない、行方がわからなくなっているというふうに聞きますけれども、これは事実なんでしょうかね。  政府が把握されているのかどうかも含めて、把握している最新のこの技能実習制度で来日した外国人の失踪数とその主な国別の割合について、これもデータですから、お伺いできますか。
  121. 佐々木聖子

    ○佐々木政府参考人 平成二十八年の技能実習生の失踪者数は、総数で五千五十八人となっています。  これを国籍別で見ますと、最も多いのがベトナムで二千二十五人、次いで中国が千九百八十七人、その次がカンボジアで二百八十四人、次がミャンマーで二百十六人、次がインドネシアで二百人となってございまして、これら五カ国で全体の約九三%を占めております。
  122. 丸山穂高

    ○丸山委員 年間五千人の方が、どこへ行ったかわからなくなっているわけですよ。非常に問題だと思うんですけれども、そのために、なるべくこれをきちんと、受け入れ先の方を強化するということで昨年やりました。これはまだ施行されていません、ことしの十一月からなんですけれども。  そもそも、その結果もわからない段階で、この特区法で今回改正して、外国人受け入れの枠をふやそうというのが私は少し懸念しているところなんですけれども、この失踪、いろいろな理由があります。現場で雇われている方の話も聞きました。  例えば、三年の期限がある、今回五年になりましたけれども、いずれにしても期限がある中で、三年に近づく方ほど、出る人が多い。つまり、期限が切れてもまだ働きたいけれども、もっと稼ぎたいけれども働けないから出るとか、そもそも現地にブローカーみたいなのがいて、失踪を前提に来られて、日本に来て失踪されるみたいなとか、もっとひどいのは、これは本当かどうかわかりませんが、国民健康保険証を何か貸し借りして、それで不法滞在も医療が受けられるようにするみたいな話とか、あとは難民申請。  今、実は難民申請がふえていまして、〇九年に千三百八十八人が、二〇一五年には五千人以上になっているんですよ。  これは何かというと、例えば、ミャンマーの方が技能実習制度で来て、それで失踪した後に難民申請を出すわけですよ。そうすると、難民申請の申請後の六カ月後から働けるようになるし、この難民申請は、異議申し立てみたいなのを何度も何度もやれば、ずっといられるわけですね。それを手助けするようなそういった組織だとか、異常に今、闇がどんどんどんどん深くなっているなというふうに感じるところなんです。  さらに、技能実習生の犯罪もふえているんじゃないかというふうに思って調べたんですよ。これはふえていると思うんですけれども、データをお伺いしたいんですが、摘発数、千人近いというふうに聞きますけれども、これは事実なんですかね。年々ふえているのかどうか、最新のデータも含めてお伺いしたいんです。  そのうち、不法滞在なので、もちろん入管法違反で捕まえて、強制的に帰すというのもあるんでしょう。でも、入管法違反の、そもそもの刑法犯を含めたその他の犯罪と分けて割合をお伺いしたいんですけれども、よろしくお願いします。
  123. 中村格

    中村政府参考人 お答えいたします。  技能実習の総検挙人員につきましては、過去三年の推移を見ますと、平成二十六年が九百六十一人、二十七年が千三百五十二人、二十八年が千三百八十七人と、在留者数の増加に伴い、検挙人員も増加している状況にございます。  また、平成二十八年中の技能実習の総検挙人員を罪種別に見ましたときに、入管法違反が六百三十九人でありまして、二十七年と比べて四十人、五・九%減少しているものの、依然として検挙人員全体の約半数近くを占めております。  ただ一方で、窃盗につきましては、前年比三十五人、八・二%増の四百六十三人と、検挙人員の全体の約三割を占めているところでございます。また、窃盗のうち約七割はいわゆる万引きでございます。  なお、その他の罪種につきましては、占有離脱物横領、詐欺などがございますけれども、いずれも五%未満という状況にございます。
  124. 丸山穂高

    ○丸山委員 これまで、平成二十三年は千人台、二十四年は二千人台、二十五年は三千五百人、二十六年は四千八百人、そして二十七年は五千人を超えて、去年も五千人を超えて、合計一万八千人、二万人近い方が行方不明、どこに行ったかわからぬ。そうした方のうち、例えば毎年千件以上犯罪が起きているという状況でして、しっかりこの辺の歯どめもかけていかないと、最初にお話ししたように欧州の事例もあります。そもそも、国民における不満の声も高まるということも懸念されるし、同時に、労働者側の環境が劣悪だという部分からの不満、そして、それによって失踪や犯罪につながっていって治安が悪化するという、本当に国家百年の大計とも言える、この国の形をどうつくっていくのかという非常に瀬戸際に私はあるなというふうに考えるんです。  日本の歴史や文化というのは、徐々に積み上げてきたものだと思います。そして、決して日本だけで人々が暮らしていた、そこでふえてきたというわけじゃなくて、もちろん、大陸からも含めて、かつては渡来人と言われたような方々、もっと昔はそもそも丸木舟みたいな形で来られた方々から始まったのがこの国の歴史なんだとは思います。  だから、来られることに関して、私は、完全にだめだというのは変だというふうに考えるんですけれども、しかし、急激に変化することは非常に、その国の形にとって不安を伴います。それが、さっき挙げたような欧州の事例だと思いますし、サウジの事例もそうです。  そうした中で、この国をどうしていくんだというときに、まだまだ検討すべき点がいっぱいあるのにもかかわらず、ちょっと急速過ぎないかなと。特に、今挙げたような犯罪の部分、失踪者の部分、しっかり検討した上でさらに実行して、成果が上がっている段階でふやしていく、さらにふやしていくというのが私は筋じゃないかなというふうに考えているんです。  こうした犯罪や失踪の歯どめ効果、今見えていないと思うんですけれども、もし、歯どめ、もうこれでできるんだとおっしゃるのなら、それはしっかり言っていただきたいです。それが私は見えないと思うんですが、見えない中で新たにこの特区で外国人雇用をふやすということについて、政府はどうお考えになるんでしょうか、お答えいただけますか。
  125. 山北幸泰

    山北政府参考人 お答えをいたします。  委員御承知のとおり、農村の現場におきましては、人口の減少ですとか、あるいは就農者の高齢化が進行しているということがございまして、担い手の確保をどうしていくのかということとあわせまして、収穫等の作業のピーク時に合わせました労働力ですとか、あるいは規模の拡大に対応した労働力の確保というのが課題になっているわけでございます。  そのために、まずは地域における労働をどう使っていくかということが極めて重要だというふうに考えておりまして、二十九年度の予算におきましても、産地において農業労働力の確保を推進する体制を整備いたしまして、労働力とその必要とする担い手とのマッチングを進めるですとか、あるいは省力化の技術の支援、そういった取り組みを進めているところでございます。  そうした上で、今国会に提出させていただいております特区法の改正法案に盛り込まれております国家戦略特区の農業支援外国人受け入れ事業につきましては、複数の自治体からの提案を踏まえまして、地域限定の事業といたしまして、適切な管理のもと、技能等を有する農業分野の専門外国人材の就労を可能とする制度として検討したところでございます。  本事業の検討に当たりましては、国家戦略特区の諮問会議におきまして、日本人の労働条件ですとか、あるいは新規就農に与える影響、外国人の人権に配慮した適切な管理を可能とする仕組みなどの視点にも十分配慮して検討しろということで言われているところでございます。  こうしたことを踏まえまして、本事業におきましては、特区に指定された地方公共団体に加えまして、国の機関である地方農政局ですとか、あるいは地方入国管理局、また都道府県の労働局等で構成する協議会が外国人を雇用する特定機関に対する巡回指導を行うなど、適切な管理体制を構築する方向としているところでございます。  本事業によりまして、地域において農業の成長産業化に必要な人材が適切に確保され、経営規模の拡大、生産性の向上等が一層促進されることを期待しているところでございます。
  126. 丸山穂高

    ○丸山委員 時間が来たので終わります。次回、この話題、続きをしっかりやっていきたいと思います。  今、国家百年の大計を誤れば、今我々生きている政治家、死んでもその罪をあがなうことはできないなと思って、慎重にしっかりと議論したいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  127. 木村太郎

    木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  128. 木村太郎

    木村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。
  129. 宮本岳志

    ○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案に対する反対討論を行います。  本法案は、提案募集方式に基づき、都道府県事務権限移譲、義務づけ、枠づけの見直しに関する法律を一括改正するものであります。  事務権限移譲では、認定こども園に関する認定、申請事項の変更の届け出などの対応を指定都市や中核市が一体的に行うための措置や地方自治体事務手続の負担軽減などにつながる義務づけ、枠づけの見直しが含まれています。  しかし、特別支援学校への就学のための経費支弁の事務処理に際し、マイナンバー制度による生活保護関連の情報連携を追加する個人番号法の改正は、マイナンバーの利用範囲を拡大するものであり反対です。  マイナンバー制度により国民の個人情報を容易に照合できる仕組みをつくることは、プライバシー侵害や成り済ましなどの犯罪を常態化させるおそれがあります。個人番号の利用拡大は、国民の理解を得ながら所要の措置を講ずるとした同法の附則にも反するものです。  なお、公営住宅法の改正では、公営住宅を集約して建てかえをする場合の現地建てかえ要件の緩和や明け渡し請求の対象となる高額所得者の収入基準の条例化など、公営住宅のあり方にかかわる改正内容が入っています。これらは所管法律を審議する国土交通委員会で質疑すべきで、一括法に紛れ込ませるやり方は改めるべきであります。  以上、討論といたします。(拍手)
  130. 木村太郎

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  131. 木村太郎

    木村委員長 これより採決に入ります。  内閣提出地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 木村太郎

    木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 木村太郎

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  134. 木村太郎

    木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十五分散会