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2017-03-21 第193回国会 衆議院 総務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年三月二十一日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       井上 貴博君    池田 道孝君       石崎  徹君    大西 英男君       金子万寿夫君    金子めぐみ君       川崎 二郎君    菅家 一郎君       小林 史明君    新藤 義孝君       鈴木 憲和君    田畑 裕明君       高木 宏壽君    谷  公一君       土屋 正忠君    冨樫 博之君       中谷  元君    中村 裕之君       前川  恵君    武藤 容治君       宗清 皇一君    山口 泰明君       逢坂 誠二君    黄川田 徹君       近藤 昭一君    鈴木 克昌君       高井 崇志君    武正 公一君       稲津  久君    梅村さえこ君       田村 貴昭君    足立 康史君       河野 正美君    吉川  元君       長崎幸太郎君     …………………………………    総務大臣         高市 早苗君    総務大臣        あかま二郎君    総務大臣政務官      金子めぐみ君    総務大臣政務官      冨樫 博之君    政府参考人    (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局電波部長)         渡辺 克也君    参考人    (電波監理審議会会長)    (京都大学特任教授)   吉田  進君    参考人    (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君    参考人    (日本放送協会会長)   上田 良一君    参考人    (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君    参考人    (日本放送協会専務理事技師長)         森永 公紀君    参考人    (日本放送協会専務理事) 今井  純君    参考人    (日本放送協会理事)   坂本 忠宣君    参考人    (日本放送協会理事)   根本 佳則君    参考人    (日本放送協会理事)   松原 洋一君    参考人    (日本放送協会理事)   黄木 紀之君    参考人    (日本放送協会理事)   大橋 一三君    総務委員会専門員     塚原 誠一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   高木 宏壽君     石崎  徹君   土屋 正忠君     前川  恵君   山口 俊一君     中村 裕之君   足立 康史君     河野 正美君 同日  辞任         補欠選任   石崎  徹君     高木 宏壽君   中村 裕之君     井上 貴博君   前川  恵君     土屋 正忠君   河野 正美君     足立 康史君 同日  辞任         補欠選任   井上 貴博君     山口 俊一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として電波監理審議会会長京都大学特任教授吉田進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、情報流通行政局長南俊行君及び総合通信基盤局電波部長渡辺克也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  5. 竹内譲

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。
  6. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 民進党奥野総一郎でございます。  早速、質問に入らせていただきます。  きょうはNHK予算審議ということでありますが、NHK予算というのは全会一致慣例としてまいりました。  と申しますのも、皆さん承知のように、NHK受信料運営されている。かつての反省を踏まえて、公正中立自主自律を貫くために、税金ではなくて、国民皆さん視聴者皆さんが自主的にお支払いいただいている受信料によって支えられているということであります。  そして、自主的にお払いいただいているわけですから、視聴者皆さんが、本当にその意に沿ってNHK運営されているかどうか、きちんとチェックしていく必要があるわけです。それを、まさにこの予算審議の場で、国民の代表たる我々が行っている。もし、その公正中立自主自律、あるいは受信料使い道等について問題があるというふうに判断すれば、国会としては反対に回る党が出てくるということだと思うんですね。  そうしたことがないように、全会一致というのは、NHKがきちんと運営されているかどうか、そのバロメーターだというふうに私は思います。そして、その慣例がずっと維持されてきた。自民党から共産党さんまで、みんな一致すると。  ところが、残念ながらこの三年間は、三年続けて全会一致が崩れたというのは、まさに異例中の異例、これまで例がなかったことだと思います。  そこで、会長にまず伺いたいんですが、なぜこの三年間全会一致が保たれなかったか、そして、この三年間の評価、さらには、それを踏まえて今後どういう経営を行っていかれるのかということをお尋ねしたいと思います。
  7. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  公共放送であるNHKは、視聴者国民皆様からの幅広い信頼基盤の上に成り立っており、国民を代表する国会において全会一致予算承認をいただくことがその信頼のあかしになると考えております。  三年続けて全会一致予算承認を得られなかったことにつきましては、当時の浜田経営委員会委員長が、痛切に反省し、執行部とともに、受信料で成り立つ公共放送意味を再確認すると総括しておりまして、経営委員会の一員だった私も同様に感じております。  皆様全会一致予算承認していただけるように、誠心誠意、丁寧な答弁に努めてまいります。
  8. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 会長も、御就任以来ずっと全会一致を心がけてこられたということであります。きょう、この審議を通じて、我々、最後の判断をしてまいりたいと思っています。  そこで、この三年間ということでありますけれども、一つ経営状況だけ見ると伸びている。伸びているというのは、支払い率も上がって、受信料収入がずっと上がってきたわけですね。これは、従来であれば、過去の例を見ても、いろいろな問題発言不祥事が起きた場合には、不払いがふえて受信料収入が下がる。かつて六〇%台までたしか支払い率が下がったことがあったかと思いますけれども、今回は下がらずに着実に伸びてきているということだと思います。  私は、そこには実は、営業が頑張ったというふうに思っていますが、頑張ったといえばいいんですけれども、逆にかなり無理がかかっていたんじゃないかというふうに思います。  伺いたいんですが、全会一致が崩れる、ある種異例の、異常事態の中で、支払い率が伸び、受信料収入が伸びた理由は何だと思われますか。
  9. 松原洋一

    松原参考人 お答えします。  今回の不祥事について、営業の現場ではお客様から厳しい御意見をいただいておりますが、丁寧に御説明し、御理解いただけるように努めています。  受信料公平負担徹底に向けては、これまでも、契約収納体制の見直しや民事手続の着実な実施、公共企業との連携など、営業改革を進めるとともに、全役職員を挙げて受信料制度理解促進に取り組んできました。  支払い率の向上はこうした取り組みの結果であると考えていますが、今後も丁寧なお客様対応に一層努め、受信料公平負担に向けて引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。
  10. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 今もあえて否定はされなかったと思うんですが、受信料外部委託をして支払い率も伸びてきたんですが、週刊誌の記事ですけれども、これを見ると、例えば長崎放送局における不祥事についてここで書かれていますが、受信設備がなくて衛星放送が映らない世帯にも、地上契約よりも割高な、高額な衛星契約を結ばせていた事例とか、あるいは故人、亡くなられた方についても契約を結んでいた、こういう事例が書かれているわけであります。  これは、事実関係、事実かということを一言伺いたいのと、それから、これについて、なぜこういうことになったのか、そして再発防止策についてはどのように考えておるのか。こういうことはあってはいけないと思うんですね。NHK信頼を損なう行為ですから、あってはいけないことだと思いますけれども、再発防止策についてあわせて伺いたいと思いますが、再発防止策については会長ですね。
  11. 松原洋一

    松原参考人 お答えします。  長崎委託先事業者が、訪問先お客様に対して、衛星放送設備がないにもかかわらず不正な契約をとったということについては、お客様に御迷惑、御心配をおかけしたことを心よりおわび申し上げます。  営業部門においては、これまでも、効率的な契約収納体制を構築するため、法人事業者への委託を推進してきました。まず、委託するに当たっては、丁寧なお客様対応に努め、訪問マナーを含めた、行き過ぎた契約勧奨あるいは収納活動が行われないよう、委託先事業者の育成に最重点で取り組んできているところです。  今回の不正事案を受けて、改めて、全国委託先事業者に対し、丁寧なお客様対応と適切な契約手続徹底を図っていきたいというふうに思います。  委員から、再発防止会長ということですが、私の方からお答えさせていただきます。  今回の不正事案を受け、二度とこういう事案を発生させないために、しっかりと再発防止策を実施していくことが本当に重要だというふうに考えています。  具体的には、契約手続後にお客様に送付するはがきの様式を変更して、契約者契約内容をより確認できるように改めていきたいというふうに思います。  さらに、高齢者の方への専用の説明資料をつくる、あるいは契約後の電話確認をするということと、契約書に、適切な説明を受けましたという、確認する署名欄を設けてお客さんに署名をしていただくというようなことを検討して、最終的には、今全国調査を行っていますので、その調査の結果を分析した上で、専門家へのヒアリング等を行い、可能なものから速やかに実施していきたいというふうに思います。
  12. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 そもそも、やはり説明をしっかりして、公共放送意義をきちんと御理解いただいてお支払いいただくのが筋だと思うんですね。地上放送とか衛星放送とか、よく説明せずに御契約いただく、そういうことはあってはならないと思います。  それから、もう一点リクエストですが、この全国調査、結果はきちんと公表していただきたいと思いますが、それでよろしいですか。
  13. 松原洋一

    松原参考人 お答えします。  結果がまとまり次第、速やかに公表したいというふうに考えております。
  14. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 ぜひ、しっかりお願いしたいと思いますし、また問題が出てくれば、それはこの国会の場できちんと議論していきたいというふうに思います。  今、不祥事とそれからこの三年間の評価等について会長に伺ったんですが、同じように経営委員長に、去年からかわられたということでありますが、経営委員長について伺っておきたいと思います。  このほかにも不祥事刑事事件の、逮捕された職員の問題、あるいは、あってはいかぬのですが、ずっと、これは前の体制から私もこの場でも伺ってきたタクシーの不正、不適切使用ですか、あるいは受信料の着服の問題、ガバナンスの問題、さまざまあると思います。また、いろいろ反論があるかもしれませんが、BPOから、「NHKスペシャル」、STAP細胞についても勧告を受けている。そもそも、小保方氏を不正の犯人として追及するような姿勢があったのではないか、こういう指摘も受けているところであります。  やはり経営委員会として、きちんと執行側を監督して、ガバナンスをきかせていく必要があると思いますが、経営委員長、そのあたりについて伺いたいと思います。
  15. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、NHKに関する不祥事が相次いでいることは、視聴者国民皆様信頼を損なうものであり、経営委員会としても大変遺憾なことと受けとめております。  経営委員会は、これまで一貫してNHKグループ役職員コンプライアンス意識徹底信頼回復に向けた取り組みを求め、さまざまな報告を受けてまいりました。しかし、いまだにこのような事態が発生したことは、執行部がこれまで進めてきた取り組みが十分に浸透していないと言わざるを得ません。  このことを痛切に受けとめて、二度とこのような事態が発生することがないよう、今後も、NHKグループ役職員が一丸となって信頼回復に取り組むことを執行部には強く求めてまいります。
  16. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 今挙げたいろいろな問題のほかにも、これは事実関係いろいろあるかもしれませんが、「NHKスペシャル」の北方領土のスクープの問題、政府提供映像をそのまま流した、こういう指摘もあります。  ですから、そういった指摘もされないように、李下に冠を正さずではないですけれども、疑念を招かないように、自主自律、それから放送公正中立、しっかり経営委員会の側にはチェックをいただきたいし、会長も心がけて、先ほど言った全会一致意義を踏まえながら運営に当たっていただきたいと思います。  次に、受信料の話に残りの時間を充てたいと思いますけれども、最初に伺ったように、受信料はふえているんですね。支払い率がふえて、受信料収入がどんどんふえ続けている。これは経営自体にとってはいいことなんですが、ふえ続けたときに何に使うのかということが問題になってきます。  大臣伺いたいんですが、受信料というのはどうやって計算するか。これは私の理解ですが、総括原価方式、要するに将来かかるお金見通してそれを支払い者数で割る、単純に言うとそういうことだと思うんですね。そうすると、このまま支払い率が上がってきて、受信料収入がふえ続けるということになって、お金が使い切れない、要するに将来の支出見通しを将来の収入見通しが上回る、こういう事態になった場合に、これはあくまで一般論としてですけれども、受信料引き下げということになるんでしょうか。
  17. 高市早苗

    高市国務大臣 受信料の額につきましては、放送法第七十条第四項の規定によりまして、国会収支予算承認することによって定めることとされておりますから、まずはNHKが算定するものでございます。  NHKでは、受信料の額の算定に当たりまして、今、奥野委員おっしゃいましたとおり、総括原価方式、つまり事業運営に必要な総収入が総経費に見合うよう設計する方式を用いておられます。  受信料の額は経営重要事項でございますから、経営委員会議決事項になっております。  余れば返すのかということなんですが、今回は、執行部からは値下げの提案があったと聞いております。経営委員会において、単年度ではなく中長期的な視点で、公共放送としての使命を果たしていくための財源として適切であるかどうかを見きわめる必要があると判断したと聞いております。  一般論として申し上げますと、受信料は、やはり国民視聴者皆様にとって納得感のあるものにしていく必要がございます。NHKにおいて、例えば、受信料公平負担徹底する、そして業務の合理化効率化を進めていただく、その利益を国民視聴者皆様還元していくといった取り組みを継続していくことが求められると考えております。
  18. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 かつても、還元ということ、七%、八%引き下げたこともあるわけですね。ただ、中長期できちんと見ていかなきゃいけなくて、公共料金ですから、一旦下げたらまた上げるというわけにはいきませんから、そこは慎重にというのはよくわかりますが、ただし、あくまで、支払い率がふえて収入がふえたからいいというものではない、その額を使い切れないということになれば、そこは還元ということで、引き下げという議論に私はなっていくというふうに思います。  その意味で、中長期支出といったときに、見たときに、放送センターの建てかえの話が上がってきています。時間がなくなってまいりましたのでちょっとはしょって話していきますけれども、千七百億円という見積額が出ています。それは建物だけでありまして、設備の額が入っていないということのようです。  そうなると、これからネット同時送信に幾らかかるか。それから、4K、8Kですね。4Kは軌道に乗り出していますが、NHKが開発した、世界に冠たる8K、これをオリンピック以降どう実用化していくかということについては、まだまだ私は見通せていないというふうに思います。  さらにもう一つNHKホールは建てかえの対象から外されていると思います。私は、NHKホールについて言えば、文化をもう少し大事にしていくという観点で、長い目で見たときに、建てかえてもいいんじゃないかというふうに思っています。  伺いたいのは、千七百億以上本当に放送センターお金がかからないのかどうか。この見積もりで、設備も入れてということですけれども、確定しているのかどうかということを伺いたいと思います。
  19. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  NHKでは、現在、平成三十年度、二〇一八年度以降の次期経営計画の策定に向けてさまざまな経営課題検討を進めているところであります。  御指摘がありましたように、スーパーハイビジョン、4K、8Kやインターネットサービスなどの具体的なサービスをどのように実施していくか、こうした方針を早く決めていく必要があるというふうに考えております。その上で、新放送センター設備についての検討についても急ぎたいというふうに思っております。  いずれにしても、視聴者の期待に応えられるよう、しっかりと経営資源の配分を検討してまいりたいというふうに考えております。
  20. 奥野総一郎

    奥野(総)委員 時間が来たので終わりますが、このほかにも、ネット同時送信の際に、ネットだけ見ておられる視聴者にどう負担していただくか、負担の公平の観点からの問題もあります。  今は使い道の話でしたけれども、入りの話もあって、これらを総合的に勘案して、次の経営計画においては、引き下げも含めた受信料のあり方について議論していただきたいとお願い申し上げて、私の質問とします。  きょうは以上で終わりたいと思います。
  21. 竹内譲

    竹内委員長 次に、逢坂誠二君。
  22. 逢坂誠二

    逢坂委員 民進党逢坂誠二でございます。  きょうは、NHK予算について少し議論をさせていただきたいと思いますが、その前に、最近世間を騒がせている森友学園の話を若干させていただきたいと思うんです。  二十三日に籠池理事長証人喚問が決まったということなんですが、私は、籠池理事長証人喚問だけではやはり真相がよくわからない、当時携わった大阪航空局近畿財務局の方、現職でいらっしゃるわけですから、来てもらうのが筋だなというふうに思っております。  この問題については、ここでこれ以上しゃべることは控えたいと思いますけれども、大臣、それで、ちょっと通告はしていなかったんですけれども、もしかしたらどこかで聞かれているかもしれませんが、大臣も関西というかあちらの地方でありますから、籠池理事長とどこかで接点というか、パーティーに来ていただいたとか応援してもらっているとかどこかでお会いしたとか、そういうことはございますか。
  23. 高市早苗

    高市国務大臣 それはございません。
  24. 逢坂誠二

    逢坂委員 全く面識がない、知り合い関係でもないということでよろしいでしょうか。
  25. 高市早苗

    高市国務大臣 少なくとも、どこかで名刺を交換したりといったことでの記録もございませんし……(発言する者あり)
  26. 竹内譲

    竹内委員長 御静粛に願います。
  27. 高市早苗

    高市国務大臣 そしてまた、支援を私からお願いしたり、私の主宰する行事に来ていただいたということもないと承知をいたしております。
  28. 逢坂誠二

    逢坂委員 どうもありがとうございます。  唐突な質問で大変申しわけございませんでした。ありがとうございます。  それでは、NHKのことについて議論させていただきたいと思いますが、まず最初は、きょう私は、NHK理事会経営委員会議事録についてお伺いをしたいと思っているんです。  一昨年、NHKで土地の取引の問題がございました。このときに、この委員会でも相当いろいろなやりとりがあったわけでありますけれども、その際に、議事録に必ずしも十分な記載がなかった、議事録概要しか記載しなくてもいいんだということだったように承知をしているんですが、議事録は、やはり私は、もう少し正確にきちんとした内容を記載すべきではないかと思うんです。  まず、NHKの方にお伺いをしますが、なぜ議事録は全部を記載せずに、概要というふうにとどめているのか、根拠になる条文と理由をお知らせいただければと思うんです。
  29. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  理事会議事録につきましては、平成二十八年度のNHK予算に対する衆議院総務委員会附帯決議を踏まえまして、昨年四月から、公表内容工夫を重ねております。  例えば、複数回にわたる予算審議議事録につきまして、これまでは、経営委員会に付議する最終案審議のみ詳細を公表していました。平成二十九年度予算審議につきましては、開催回ごとに、途中経過がわかるような議事概要を作成して、経営委員会議決後に公表し、議論の過程が追えるように工夫いたしました。  このほか、議案に対する意見の有無や質疑内容をできるだけ記載し、理事会決定のプロセスを明示化しております。  視聴者皆様からの受信料に支えられているNHKにとりまして、経営等にかかわる情報透明性の確保は極めて重要なことと考えており、今後も公表内容工夫を重ねてまいりたいと考えております。
  30. 逢坂誠二

    逢坂委員 経営委員会の方はいかがでしょうか。
  31. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  経営委員会議事録は、放送法で、経営委員会の定めるところにより作成し、公表することになっております。これに基づいて、経営委員会が自律的に作成しているところでございます。  NHKは、視聴者皆様からいただく受信料経営している公共放送でありますので、経営透明性は大変重要なことであると考えております。  議事透明性はこれまでも意識してまいりました。内容により、一部非公表とさせていただくことはありますが、引き続き、この点を踏まえて議事録作成に当たってまいりたいと考えております。
  32. 逢坂誠二

    逢坂委員 それでは、上田会長に改めてお伺いしたいんですが、昨年の附帯決議を踏まえて理事会議事録については随分改善がされているということでありますけれども、それでは、理事会議事録概要のみにするというのは何で決まっていたんでしょうか。この点、わかりますでしょうか。
  33. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  審議機関であります理事会議事録につきましては、放送法規定はありませんけれども、視聴者への説明責任を果たすため、みずから規程を設けて、議事概要を作成し、公表いたしております。  さきにお答えいたしましたとおり、公表内容につきましては、今後も工夫を重ねてまいりたいと考えております。
  34. 逢坂誠二

    逢坂委員 私が聞いたのは、それはどこかに、協会内部の規程なりなんなりで、ルールが明確に記載されているのかということなんです。  といいますのは、例えば、経営委員会でしたら経営委員会規程というのがあって、その六条に経営委員会議事録規定があって、「議事録の作成・公表および会議運営については、本規程で定めるほか、経営委員会議事運営規則の定めるところによる。」というふうになっているんですね。  それからもう一つは、理事会でいうと、理事会も似たような規程があったかと思うんですが、理事会運営規程ですか、理事会運営規程の九条に、理事会議事録を備え、次の事項を記載する、そして、五番で、議事概要となっているんです。  ここが根拠だとは思うんですが、この議事概要というところを少し直すとかということはしたのかという意味です。
  35. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  議事録の作成に関しましては、今委員指摘のとおり、内規を設けておりまして、それに基づいて公表いたしております。  さきにお答えいたしましたとおり、公表内容につきましては、今後も工夫を重ねてまいりたいと考えております。
  36. 逢坂誠二

    逢坂委員 それでは、上田会長議事概要公表という基本姿勢は変わらないということでよろしいでしょうか。
  37. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  概要ということで公表させていただきますけれども、繰り返し申し上げていますように、今後も工夫を重ねて、できるだけ透明性を高めるような形に持っていきたいというふうに考えております。
  38. 逢坂誠二

    逢坂委員 理事会経営委員会も私は同じだと思うんですが、例えば、国の公文書管理法という法律があって、そこにはこう書いてあるんですね。経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、または検証することができるよう文書を作成しなければならない。これはいわゆる行政文書に対する規定ではありますけれども、後にどういうプロセスで意思決定ができたのかというのをちゃんと検証できるようにしなければならないというのが、国が定めている公文書管理法の規定なわけであります。  私は、この間のNHKとのいろいろなやりとり、経営委員会もそうですし、理事会もそうでありますけれども、どこまでを公表するとかしないとかということで、随分無駄な時間を使ったような気がしているわけであります。だから、基本姿勢として、NHKが、理事会経営委員会もそうですけれども、概要公表するという基本姿勢ではなくて、基本姿勢が、理事会経営委員会の中身は全部公開するんだ、議事はちゃんと残すんだ、ただし公表できないものは何々であるというようなやり方をするのが、私は開かれた姿勢ではないかなと思うんですね。  今、上田会長が、従前よりも進化しているという説明をいろいろいただきました。それはそれで私は評価をしたいと思いますけれども、そうではなくて、基本姿勢が、概要をまず出すんだという基本姿勢ではなくて、基本は全部お知らせするんだ、その中で不都合なものについてはこれこれこういう理由によって公表しないという姿勢に転ずるべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  39. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  内規の運用につきましては、議論の過程を追えるように、工夫をして改善を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  40. 逢坂誠二

    逢坂委員 今すぐここでそれを、私が言うように、概要公表というのをやめて、基本は全てを公表するんだという方向へ転換するのは、私は簡単ではないというふうには思っておりますけれども、ぜひお考えをいただきたいと思います。そうしなければ、やはり、皆様NHKではなくて、皆様国民ではなくて、NHKのためのNHKになりかねないというふうに思いますので、ぜひ、石原委員長上田会長も、この辺、御検討いただければと思います。  昨年までの議論で、この議事録の中身について、私は、不毛とまでは言わないけれども、本来公表されていればあんなことをやらなくてもよかったのにという議論が相当あったように思いますので、議事録についてはさらに御検討いただきたい、そのことをお願い申し上げさせていただきます。  それでは、次でありますけれども、NHK公共放送としての役割、これは私がいつも言っているわけですが、公共放送は国営放送ではない、だから政治からある種、遮断されている、それから、民間放送でもないから営利目的ではないし、民間の資本にも左右されないんだということであります。  NHKを、そういう公共放送である、その放送がちゃんとされているんだというチェックをする仕組み、これについて以前もお伺いをさせていただきました。そうしたところ、番組審議会が地方と中央にあるんだ、それから、視聴者皆さんから御意見も伺っているしアンケートもとっているということでありました。  加えて、考査室で番組のチェックもしているということでありましたけれども、考査室の仕組みについて若干説明していただけますか。
  41. 木田幸紀

    ○木田参考人 お答えいたします。  考査室は、みずから番組の質の維持向上を図るために設けております。  放送現場とは一線を画した立場から、番組が国内番組基準などに従って編集されているか評価検討するものであります。問題があれば、現場に見解を伝え、必要な措置の要請や助言などを行います。  また、考査報告という形で、月に一回、主な内容理事会等に報告しております。
  42. 逢坂誠二

    逢坂委員 まず一点指摘したいのは、事前のヒアリングによりますと、考査室は年間千本余りの番組のチェックをしているんだというふうに伺いました。  ただ、NHKが一日に流す放送番組の数というのは百八十本程度と聞いておりますので、これを年間に換算しますと六万五千本を超えるわけであります。だから、千本チェックしているというのは、なかなかこれは多いなというふうには思うんですが、でも、全体から見ると一%強、一・五%ぐらいしかチェックされていないというふうにも聞こえるわけでありまして、私は、考査室の機能をもう少し強化するという必要があるのではないかということを一点指摘させていただきたいと思います。  それから、あわせて、放送倫理委員会というのがあるというふうに伺っているんですが、考査会議放送倫理委員会の違いは何でしょうか。
  43. 木田幸紀

    ○木田参考人 放送倫理委員会は、ふだんからみずからを律するために、放送関係の部局長で構成されております。  放送ガイドラインに照らして、問題と思われるような事例を毎月この会議で報告、検証して、再発防止に役立てております。必要に応じて、見解を全国に周知し、現場での指導に役立てているということでございます。
  44. 逢坂誠二

    逢坂委員 私は、この考査会議とそれから放送倫理委員会の話を、余り深くは聞けなかったんですが、聞いた限りでは、両者の違いが余りよくわからなかったんですけれども、機能的に、受け持ちはどういう違いがあるのかというのをもう少し説明できますでしょうか。
  45. 木田幸紀

    ○木田参考人 考査室は、先ほど言いましたように、放送現場とは一線を画した立場でございます。  しかし、放送倫理委員会は、むしろ放送総局あるいは放送関係の部局長で、それだけ制作現場に近いところでの委員会ということであります。
  46. 逢坂誠二

    逢坂委員 私は、国民皆様NHKに期待する役割の大きな柱は報道だというふうに思っています。もちろん、バラエティー番組やいろいろなものにもNHKには期待はしておりますけれども、報道はやはりNHKならではだというところが、多くの国民皆さんが感じているのではないかと思います。  その意味において、考査会議なり考査室が、報道の内容というのは事前に何らかチェックできるという体制にはなっているんでしょうか。
  47. 木田幸紀

    ○木田参考人 もちろん全部ではありませんけれども、放送前にある程度の番組を事前に考査するという仕組みになっております。
  48. 逢坂誠二

    逢坂委員 きょうは資料は持ってくることができませんでしたが、今、きょうですか、多分法務省の方で、共謀罪の法案が閣議決定されたと思うんですが、この法案に対する各社の報道姿勢が随分違っているというふうに私は感じているんです。  したがって、例えば、政府がいうところのテロ等準備罪をそのまま言う報道もあれば、それを、やはり過去の経過も踏まえてテロ等準備罪、前の共謀罪とはこういう点を変えてテロ等準備罪にしたと言っている報道もあれば、私は、随分それは違っている、そしてその言葉遣いによって国民皆様が受ける印象が随分違ってきているというふうに感じておりますので、きょうはもう時間がございませんけれども、報道の内容をどう公共放送としてしっかりしたものにしていくかということについては、改めて、再度しっかり検討する場といいましょうか、そのことについて協会内でも御議論いただければということを指摘して、終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  49. 竹内譲

    竹内委員長 次に、黄川田徹君。
  50. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 民進党の黄川田徹であります。  私は、NHKの災害報道について、通告に従い順次質問していきたいと思います。  まず、東日本大震災の発生から丸六年を迎えました。時間の経過とともに風化しつつあることも現実であります。  また一方、昨年のNHK予算に対する附帯決議の中には、東日本大震災と津波の記憶や教訓を風化させないこと、そしてまた、首都直下地震や南海トラフ地震等に備え体制を強化すること、これが盛り込まれております。  そこで、東日本大震災に関するこの一年間の報道、どういう状況であったか、お尋ねいたします。
  51. 木田幸紀

    ○木田参考人 NHKは、この一年、被災地の現状や課題、復興への取り組み放送してきました。  例えば、震災六年となる今月、これまでに「NHKスペシャル」を六本放送いたしました。仮設住宅での生活長期化の問題や福島の住民帰還の問題などを取り上げ、全国でごらんいただきました。  また、総合テレビの「明日へ つなげよう」「証言記録 あの日 わたしは」、Eテレの「東北発 未来塾」など多様なジャンルの番組を放送し、各地の復興の取り組みや人々の暮らしを紹介してまいりました。  また、仙台、盛岡、福島の三放送局は、平日午後六時台の地域情報番組を中心に関連のニュースをきめ細かく伝えるほか、三県合わせて百カ所ほどの復興の様子を継続的に記録し続け、随時お伝えしております。  これからも、地元放送局を中心として、被災地と向き合い、震災を風化させない放送を続けていく所存でございます。
  52. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 お話しのとおり、NHKの本部そしてまた地方局、特に岩手、宮城、福島、しっかりと報道していると私も思っております。しかしながら、震災から七年目ということで、報道の切り口も変わっていかなきゃならないのではないかとも私も思っております。  それから、被災地それから被災者間の復興の格差が拡大しているとも私は思っております。岩手、宮城と違って原発事故があった福島に関しては、定点取材をしっかりと継続しなきゃいけない、こう思っております。  そしてまた、昨年は熊本で大きな地震がございました。  さまざま、来年度、どういう形で災害の報道をやっていくかということでありまして、来年度の災害関連の報道計画はどうなっているか、会長にお尋ねいたしたいと思います。
  53. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  平成二十九年度の国内放送番組編集の基本計画におきまして、東日本大震災や熊本地震など、甚大な災害を受けた被災地の現状と課題や、原発事故後の対策についても継続してお伝えし、復興を支援するということを重点事項に掲げております。  また、首都直下地震、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備える意味でも、東日本大震災の教訓を将来に伝えていくことは、公共放送の重要な使命と考えております。  今後とも、さまざまなニュース、番組で取り上げ、放送してまいりたいと考えております。
  54. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 大震災の教訓を後世に伝承する、未来へつなげる大事な仕事であります。  そういう中で、日本列島は災害列島ということで、お話しのとおり、直下型あるいはまた南海トラフとか、必ずやってくるということになっておりますので、時折こういうことに関して報道しないと、人間はすぐ忘れる動物といいますか、そこがいいところでもあるのでありますけれども、しかしながら、災害は必ずやってくる、備えがあれば人命だけは何とか支えてやれるんじゃないのかという気も、私も経験からしておりますので、民放もありますけれども、やはりNHKは災害報道第一にやっていくということで、引き続き頑張っていただきたいと思います。  次に、東日本大震災でさまざまな取材をし、蓄積された資料があると思うんですが、このアーカイブの利活用についてお尋ねいたしたいと思います。
  55. 木田幸紀

    ○木田参考人 震災の経験を風化させないために、多くの人が震災の記録に触れられるようにすることは、公共放送の大事な使命だと考えております。  インターネットでごらんいただけるNHK東日本大震災アーカイブス、このホームページでは、地震発生から七十二時間の被災地の映像や、被災した方の証言およそ七百七十人分を掲載しているほか、NHK放送した被災地関連のニュースやリポートなど七百五十本を公開しております。  また、埼玉県川口市にありますNHKアーカイブスや、全国の各放送局などの番組公開ライブラリーでは、震災関連の番組をごらんいただけるようにしております。
  56. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 今NHKは触れられませんでしたけれども、たしか三月七日から九月の十日まで半年間にわたってNHK放送博物館で震災の特別展を開催しておると思っておりますが、間違いないですよね。
  57. 木田幸紀

    ○木田参考人 ただいま触れませんでしたけれども、それで間違いございません。
  58. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 続いて、大規模災害等の緊急時放送での字幕放送についてお尋ねいたしたいと思います。  災害では、災害弱者という方が多数おられます。それで、視聴覚障害者向け放送普及行政の指針、これは平成二十四年にまとめられたわけでありますけれども、この字幕放送についてどういうことになっているか、お尋ねいたします。
  59. 木田幸紀

    ○木田参考人 字幕放送は、人に優しい放送サービス一つとしまして、充実を図っております。  総務省の指針における普及目標の対象時間、午前七時から深夜零時について、緊急時の放送にすぐに字幕を付与できる体制をとっております。また、それ以外の深夜、早朝の時刻でも、災害の規模により字幕を付与することにしております。  字幕放送以外でも、災害についてのニュースはテロップや静止画で情報を詳しく伝えるよう努めております。とりわけ緊急度の高い大津波警報、津波警報の際は、子供たちにも危険がわかりやすく伝わるように、「にげて」と平仮名で大きく表示するとか漢字にルビを振るなどの工夫をしております。  さらに、Eテレ「手話ニュース」は、災害時は必要に応じて特設枠を設けて放送しております。
  60. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 今は、人工知能といいますか、物すごく技術革新が進展しておりますので、災害弱者に対するさまざまな支えをこれからもやっていただきたいと思います。  あわせて、災害時の外国人向け報道対応なんでありますけれども、観光立国日本ということで、インバウンド、外国人の旅行者の方々が大勢日本にやってこられます。この方々への災害対応への報道といいますか、こういう取り組みはどうなっているでしょうか。
  61. 木田幸紀

    ○木田参考人 NHKでは、大規模な災害が発生した際、総合テレビの副音声で英語による音声多重放送を実施するなどして、国内の外国人に向けた情報提供に努めております。  また、英語以外の言語につきましては、ラジオ第二で総合テレビの英語副音声を放送するとともに、ラジオ国際放送ラジオ日本の英語、中国語、朝鮮語、ポルトガル語放送を活用して、多言語による情報の提供に努めております。  また、とりわけ緊急度の高い大津波警報、津波警報の際には、避難を呼びかけるコメントを英語、中国語、朝鮮語、ポルトガル語の四つの言語で繰り返して伝える緊急多言語放送、これを総合テレビ、BS1、BSプレミアム、スーパーハイビジョンの副音声とラジオ第二で実施しております。
  62. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 これまでは、外国語といえば英語で事足りたという時代があったかもしれませんが、私の田舎でも、中国の方々あるいはまたペルーの方々とかさまざまな方々も住んでおりますので、緊急時の際のさまざまな情報、あるいはまた、外国人の研修生といいますか、大勢来ておりますので、その辺の充実もよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、災害情報の媒体は多い方がいいわけでありまして、その中で、災害時等の放送のインターネット同時配信についてであります。この同時提供の現状、特に災害に関しての部分、これまでやっておると思いますけれども、どうでしょうか。
  63. 木田幸紀

    ○木田参考人 人々の命と暮らしを守ることは、公共放送の最も重要な使命の一つであります。  放送法改正に伴い、平成二十七年度から、テレビの災害関連ニュース等をNHKのホームページ、NHKオンラインで同時提供しております。二十八年度は、今月十七日現在で、熊本地震あるいは台風十六号の関連のニュース等で二十五回実施しました。  また、スマートフォンが普及する中で、災害情報やライフライン情報の提供について、昨年六月から、スマートフォン向けのニュース・防災アプリというものを開始しました。このアプリでも災害関連ニュースを同時提供でごらんいただけます。  災害時等においては、放送同時提供だけではなく、空港や港等のロボットカメラの映像や記者会見の模様等のライブ映像のリアルタイム提供も行っております。
  64. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 上田会長は、就任の際の取材で、たしか、放送と通信の融合、これが最も大事な仕事だとお話しされております。  災害報道に関しては今お話しのとおりなんでありますけれども、そのほかにも、試験的にAとかBとかさまざまやっている。あるいはまた、そういう中で、民放との関係とかさまざまな課題がある。  これをやる中で、今の災害報道も含めて、その課題とそれに対する対応、現時点でどのようなお考えがあるか、お話しいただきたいと思います。
  65. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  放送と通信の融合時代におきまして、NHKは、新しい技術を積極的に取り入れ、放送だけではなくインターネットも活用して、より多くの人々に多様な伝送路で公共性の高い情報や番組などのコンテンツを届けたいと考えております。  災害時、緊急時など特別なときだけに同時配信を実施するのではなく、日常的に実施して、視聴者皆様に広く認知してもらい、信頼できる情報の社会的基盤の役割を果たしていきたいと考えております。  これまでNHKは、放送の二元体制の中で、民間放送皆様ともともに公共的な役割を担ってきましたが、今後も、放送だけではなくインターネットも活用して、民放の皆様とともに、健全な民主主義の発展や文化水準の向上に貢献してまいりたいと考えております。
  66. 黄川田徹

    ○黄川田(徹)委員 同時配信の全面的な解禁には放送法の改正も必要だと思いますし、それから、お話しのとおり、民放の方々との協調といいますか、アナログからデジタルということで十年間かかってやり遂げましたが、これも民放とNHK一体となって改革してきたということであります。  それから、あと、今、スマホ等でさまざまな情報が出回ります。いい情報もいっぱい出てくるわけでありますが、極端な情報も出ております。そういう情報が交錯する中で、確かな、そしてまた必要とされる災害情報をしっかりと届けるのはやはりNHKだと私は思っております。ですから、今後とも会長には目配り、気配りをしっかりやっていただきたいと思います。  最後に、話をちょっと戻しまして、震災の関係なんでありますけれども、被災三県、岩手、宮城、福島で国が復興祈念拠点施設をつくるということで、岩手の陸前高田、宮城の石巻では着工式が行われました。その都度さまざま報道されるわけでありますが、後世に伝えるということで、そういう復興の公園であるとか、あるいはまた被災した遺構、震災遺構であるとか、どうやって残すとか、石巻の大川小学校であるとか、岩手であれば大槌の役場庁舎とかさまざまありますので、個別の情報もそうなんでありますけれども、横軸を通して、そういう部分も報道していただければと思います。  以上であります。
  67. 竹内譲

    竹内委員長 次に、近藤昭一君。
  68. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 民進党の近藤昭一でございます。  きょうもまた、NHK予算に関連して質問の機会をいただきましたことを、感謝申し上げたいと思います。  また、上田会長また石原経営委員長、新たな体制公共放送としての役割をしっかりと担っていただきたい。まず、就任、新しい体制をお祝い申し上げたいと思います。  この委員会でも私は受信料について何回か質問をさせていただいております。ということで、まず受信料に関連して質問させていただきたいと思います。  昨年八月に、さいたま地裁が、ワンセグ放送を受信できる携帯電話を持っているだけではNHK受信料を支払う義務はないと判断したことについて、大臣は、九月二日の記者会見で、携帯用受信機も受信契約締結義務の対象と考えていると述べられました。同地裁では、ワンセグ機能つき携帯電話の所有者が、放送法六十四条一項で受信契約者の義務があると定められている、放送を受信できる受信設備を設置した者に当たるかどうかが争われたわけでありますが、大臣は、NHK受信設備を設置するということの意味を使用できる状況に置くと規定されたわけでありまして、総務省もそれを認可していると説明されたわけであります。  そこで、改めて、最初にお伺いをしたいと思います。  政府は、ワンセグつき携帯など携帯用受信機もこの受信契約締結義務の対象であるという見解に立つという立場でよろしいでしょうか。
  69. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、ワンセグと申しますのは、我が国の地デジの方式の大きな特色の一つでございまして、このワンセグチューナーを搭載した携帯電話の取り扱いにつきましては、そのサービスがスタートいたしました平成十八年以降、一貫して、NHKの受信契約の対象に含まれるというふうに解釈し、運用してきているところでございます。
  70. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 そういう見解ということを確認しましたが、スマホやワンセグつき携帯、よくガラ携とも言われますけれども、このテレビの受信の機能は、もともとNHKを受信するために購入したものではなく、あくまでもおまけというような形でついている、附属してついているというものであり、放送法六十四条の、放送を受信できる受信設備を設置という条項を全て適用して、かなり強制的に契約させようというのは無理があるのではないでしょうか。そこに国民的な合意が得られているとは私は思えないのであります。  大臣が言われるように、ワンセグつき携帯電話やスマホの保有者全員にNHK受信契約義務が生じるとなると、チューナーを内蔵したスマホが多いわけでありますが、こうしたものを販売していくのに困難な状況になっていくのではないか、そういう可能性が高いのではないかと思うわけであります。  また、現状、携帯電話以外、チューナーつきのタブレットPCもあるわけでありますし、将来的には、ゲーム用などのヘッドマウントデバイスなども、携帯なのか設置なのかという問題が出てくると思うわけであります。そうなると、技術進化に伴うデバイスが多様化しているこの状況の中にあって、契約対象者が際限なく拡大していくのではないか、受信料の徴収がある意味複雑、そして困難な課題に直面していくのではないかと思うわけであります。  そういう中で、この状況を放置していくと、いわゆるインターネット放送受信料の課題がますます複雑になっていくのに加えて、NHKの受信契約対象者がどんどん広がっていく。  ここからでありますけれども、受信料の安定財源に基づく大きな資本を持っているNHK、そして、一方で広告収入の減少が続くというわけでありますが、民放、このNHKと民放との格差が拡大をしていくおそれがあるのではないか。例えば、こういう中で、オリンピックの放映権をNHKが単独で持っていき、独占をし、民放の収入が減少する、こういう懸念もあると思うわけであります。  私の考えといたしましては、放送法を改正し、NHKの受信契約対象者を明確にする。そして、NHKの役割、先ほど来同僚委員からも何点か災害に関連して、緊急災害の場合、あるいは、残念ながら時とともに記憶というものでいうと薄くなっていく、あるいは記録ということでいっても重要な、これまでに起こった、そして今なお続いている福島また東日本大震災、全体でいくと十二万人もの方が避難をしていらっしゃる、こうしたことに対してしっかりと報道をしていく。そうした公共放送としての大きな役割、NHKのそうしたことを中心とした役割と民放との役割分担を改めて議論していく、こういう必要があると思うのであります。  そういう中で、高市大臣、どういうふうに考えられますでしょうか。
  71. 高市早苗

    高市国務大臣 さまざまな問題意識をおっしゃっていただきました。  まず、昨年八月のさいたま地裁の判決ですが、その後、九月にNHKが東京高裁に控訴しておられますので、これは訴訟の行方を見守ってまいりたいと思います。  それから、NHK受信料水準を含む収支予算につきましては、これは放送法規定に基づき国会承認することとされています。受信契約対象というのが際限なく拡大するということは、そもそも想定をしておりません。  その上で、ワンセグつきの携帯電話などのデバイスの多様化に関する御指摘につきましては、現在の受信契約というのは原則一世帯一契約でありますので、デバイスが幾らふえても、既に御家庭で受信契約を締結しておられる場合には、追加的に受信契約また受信料の支払いを求められることはございません。ここはしっかりと、NHKにきちっと規律を守ってやっていただきたいと思っております。  それから、例えば、非常に大きな資本を持ったNHKがということでございますけれども、さまざまな放送権の獲得などについては、基本的には放送事業者の経営判断に基づく契約交渉でございますので、これは総務省としては特にコメントができません。  それから、まずNHKと民放との役割分担という御指摘もございましたが、NHKと民放のいわゆる二元体制のもとで互いに切磋琢磨することによって、我が国における放送番組の質の向上や放送の健全な発達に貢献をしてきていただいておりますので、放送をめぐる環境変化はございますけれども、私は、これを基本的に維持していくということが重要であると考えております。  また、放送法改正の必要性でございます。受信契約対象を明確化すべきではないかということでございますが、これも、今NHK自身においても業務、ガバナンス受信料を含めた検討をしていただいておりますので、NHKから具体的な提案が行われる場合には、総務省としてもこれを受けとめて検討してまいります。
  72. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございます。  まさしく大臣がおっしゃったように、放送業界の中で切磋琢磨をしていくということが重要であると私も思うわけであります。  ただ、そうした切磋琢磨ができる状況にあるためにも、どんどんとNHKが今申し上げたような中で拡大をしていく懸念を持つということでありますし、そうしたことに対して、やはり改めて議論、地裁ということであり、またNHKが控訴をしているという状況の中ではありますけれども、携帯電話を対象と考えているということに対しては、さいたま地裁としては、受信料を支払う義務はない、携帯電話を持っているだけでは受信料を支払う義務はないと。今、大臣も、二重に支払うことを請求しているわけではないということでありますけれども、私はやはり、これからますますそうした多様的な受信の機械が出てくる中で、改めて、放送法の定義といいましょうか、きちっとした定めという意味でも議論をしていく必要があると思うんです。  そういう中でいうと、受信契約の締結を拒んだ、テレビがあるのに、いわゆる設置されているのにNHK受信料を請求できるか争われた訴訟もあります。昨年十一月に、最高裁大法廷に回されることが決まったわけであります。今年中に判断が下されると見られておるわけでありますが、司法判断を国民に強く求めていく、強要するというような形で受信料負担を確定する、そうした方法は私は決して望ましいと思えないわけであります。  そういう意味でも、受信料公平負担原則を再定義して、国民の合意を求めるべきだ、先ほど申し上げたことも含めて改めて再定義をして求めるべきではないかと思いますが、現状の認識と今後の対応について、NHKそして政府から答弁をお願いしたいと思います。
  73. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  受信料公平負担につきましては、これを徹底することが重要であると認識しておりまして、NHKとしても、放送法にのっとり不断に努力していくことが必要だと考えております。  公平負担という観点からは、メディア環境や社会環境等が変化していく中で、受信料を御負担いただく対象についてどのように定義していくのかも大きな課題であると考えております。このため、会長の諮問機関として、外部の有識者によるNHK受信料制度検討委員会を二月に設置いたしまして、公平負担徹底のあり方や常時同時配信の負担のあり方などについて検討を始めたところであります。  今後、その結果を踏まえながら、NHKとしても視聴者国民皆様に御納得いただける仕組みを検討してまいりたいと考えております。
  74. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  NHK受信料制度のあり方につきましては、現在、業務の範囲それからガバナンスを含めまして三位一体で、有識者の検討会議検討をいただいているところでございます。  特に、受信料ということに関しましては、今NHKさんから御要望が出されております常時同時配信を認めるかどうかということを行う前提としまして、業務の位置づけをどうするかとか、あるいは現に受信料を支払っている世帯との負担の公平性をどのように確保するのかといったさまざまな論点につきまして議論を深めていく必要があるというふうに考えてございます。  現在、NHKさんの方におかれましても、委員会を設置して受信料体系のあり方全般について幅広く御議論は開始しているところでございますので、こういった御議論全体を踏まえまして、国民的なコンセンサスが得られるよう丁寧に議論を積み重ねてまいりたいと思っております。
  75. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございます。  ぜひ、さまざまデバイスが進化していく中で、改めてのそうした議論がしっかりされていくこと、また決められていくことを望むわけであります。  そこで、関連して、受信料支払い義務化を含む受信料制度についてお伺いをしたいと思います。  籾井前会長は、一昨年、三月五日でありましたが、総務委員会における我が党の高井委員質問に対して、「もし義務化ができれば、本当にこれはすばらしいことだと思います。」と答えられたわけであります。  上田会長受信料支払い義務化についてどのような考えを持っておられるか、お聞かせをいただければと思います。
  76. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  放送法受信料支払いの義務を明文化することであれば、放送法契約義務を課し、放送受信規約に支払い義務を記載するという現在の二段構えの構造を放送法に一本化するものであると受けとめております。  支払い義務の明文化は、放送法の改正が必要であり、仮に改正を行う場合には、国民的な議論が十分に行われ、視聴者理解が得られることが何より重要であり、大前提になると考えております。
  77. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 そうすると、そうした合意が得られれば支払い義務化をできればよいというふうに会長はお考えということでありましょうか。
  78. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今御説明いたしましたように、放送法受信料支払いの義務を明文化するということは、現在の、契約義務を課し、それから放送受信規約において支払い義務を記載するということを二段構えでやっているわけですが、これを一本化するものであると受けとめておりまして、支払い義務の明文化は、委員指摘のとおり放送法の改正が必要であり、仮に改正を行う場合には、国民的な議論が十分に行われ、視聴者理解が得られることが何よりも重要である、これが大前提になる、こういうふうに考えております。
  79. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございました。  質問の時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、義務化ができれば、義務化ができればというか、そうした議論が進んでいけば、一本化ができれば、こういうふうにお考えになっているということだと思います。  私は、この間、残念ながら全会一致とならなかった、しかしながら、やはりNHKの果たす役割は本当に大きいわけでありますし、私たちも、国民も、いわゆる受信料を払ってそこに期待するものは、やはりNHKとしての、公共放送としての大きな役割だと思うんですね。  そういう意味では、先ほど来同僚委員からも質問、言及がありましたが、緊急災害のとき、日本に来ている外国の人たちに対する警告といいましょうか情報提供、そうしたことも含めて、しっかりとNHKとしての役割を果たしていっていただきたい、そう祈念いたしまして、終わります。  ありがとうございました。
  80. 竹内譲

    竹内委員長 次に、鈴木克昌君。     〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕
  81. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 民進党鈴木でございます。  私も、二十九年度のNHK予算について、何点かにわたって御質問をさせていただきたいと思います。ただ、限られた時間でありますので、私がきょう通告をしておる要点だけ先に申し上げておきたいというふうに思います。  一番最初は、NHK改革ということで通告をさせていただいておるわけでありますが、ここは恐らくある程度の時間をかけて議論させていただけるのではないかなと思います。  二つ目は、放送分野、放送業界の新しい取り組みについてということで、例のネット配信をお伺いしたいというふうに思っておるわけであります。  このネット配信については、いろいろと議論もありましたけれども、メリットもあればデメリットもあるということでありまして、例えば、メリットとしては、どこでもテレビが見られるということになる、それからテレビの地域格差がなくなるということでありますが、デメリットは、民放にとってはこれは死活問題になってきてしまうということ、それから、先ほども議論がありましたけれども、スマホを持つだけで受信料が発生をする可能性があるということ、それから、例えばテレビの売れ行きが悪くなるのではないかとか、いろいろと、やはり何をやるにしても、メリットもあればデメリットもあるということであります。これが二つ目。  三つ目は、放送センターについてお伺いをしたいわけであります。  もちろん、一千七百億円の規模で今計画に入っていくということは十分承知をいたしておりますが、例えばドイツの公共放送でありますZDFですか、これは人口二十万ぐらいのところにあるわけですね。これは、地方の活性化ということも含めて、例えば災害等のリスク分散等も含めて、やはりこのドイツなどの生き方というのもしっかりと研究する必要があるのではないかな、こんなお話をさせていただきたいというふうに思っておるわけであります。  そして、最後の四つ目でありますが、いわゆる国際放送について、認知度が低い、そして少ないということについてお話をしたいというふうに思っておりますが、どこまでできるかわかりませんので、まず最初NHK改革から入らせていただきたいと思います。  お配りをいただきました収支予算と事業計画の説明資料、私もずっと拝見をさせていただいたわけでありますが、当然、おさらいということではありませんけれども、二十九年度の国内放送については、「事実に基づき、公平・公正で正確・迅速な報道、何人からも干渉されない放送自主自律と不偏不党を貫きます。日本や世界の課題に向き合い、広範な取材ネットワークを生かして、わかりやすく丁寧なニュース・番組を視聴者に届けます。」以下続くわけであります。  そこで、これは本当に、まさしくおっしゃるとおりでございますけれども、ちょっと通告にはありませんけれども、今、NHKの職員は何人おみえになるか、御答弁いただけるとありがたいと思います。調べなきゃわからない、時間がかかるようなら私の方から。一万人を超えておるわけですね、一万人を超えておる。  何が言いたいかというと、一万人を超える企業というのは、日本で、上場企業でいうと二百社くらいしかないんですね。それから、売り上げという言い方ですか、予算ですけれども、七千億を超えておるわけですよね。これは上場企業の中では約二百社ぐらい、二百番目ぐらいなんです。ということは、ある意味では巨大な人とそして予算を持つ組織であるということになるわけであります。  通告をしておけばよかったんですが、大変申しわけありません。  ということで、ここから質問に入らせていただくんですが、先ほどからもお話がありました、いわゆるNHKの改革、例えばグループ改革とか、職員の不祥事とか、それから、先ほども議論になりましたけれども、長崎での例の不適正な受信料の徴収等々を考えていくと、私、これを見たときに、約十年前にNHKが大変な危機がありましたよね。受信料、不払い運動が起きてしまって、もう大変な状況になりました。  そのときに、平成十八年の四月の二十一日に「公共放送NHKに何を望むか 再生と次代への展望」ということで、懇談会が設立をされたわけであります。  この懇談会のあれを少しひもといてみますと、   NHKはいま、危機のさなかにある。一昨年以来相次いで発覚した金銭的不祥事と、政治との距離に対する疑念をきっかけに噴きだした視聴者からの批判と不信は、受信料の不払いや保留の急増へとつながって、その経営基盤を揺るがすまでに至った。 続くんですが、飛ばしまして、   当初、懇談会に諮問されたのは、「デジタル時代の公共放送のあり方」「公平負担のための受信料体系のあり方」等のテーマである。しかし、すべての委員に共通していたのは、いま目の前にある危機は小手先の対応などでは解決できない、ということであり、さらに公共放送NHKの再生如何、その内容如何が日本のマスメディアの、ひいてはこの国の民主主義の将来をも左右するだろう、という危機意識であった。 ということから、くどくなりますけれども、この懇談会が設立をされたわけであります。  そこで、この中間報告の最後に、私、これも本当に印象に残っているんですが、デジタル時代のNHK懇談会の中間報告の附属文書というところに何が書かれておったか。まさに十七人の委員の、私たちの怒りを伝えておきたい、こういうサブタイトルなんですね。  これも時間の関係で、はしょって御説明しますけれども、   今回の不正、そして、過去に発覚した不祥事も、指摘された疑念の数々も、どれもあわただしく動いている仕事の場で起きている。どんな理念も、その壁の一角に掲げただけでは何の意味もない。コンプライアンスの徹底を叫んでも、むなしいだけだろう。そういう形ばかりの弥縫策で乗り切れるほど、現在のNHKの危機は浅くない。   私たちは現在の、また将来の民主主義社会に、政治的に中立であり、特定のスポンサーに依存しない公共放送が必要だと考えている。NHKがそういうものとして再生し、十全に機能することを期待もしている。多くの視聴者もそう考え、受信料を支払っているのである。   今回の事件を機に、NHKのすべての職員と関係者にいま一度考えていただきたい。日々動いている職場や現実にはさまざまな隙間があり、誘惑があるかもしれない。すべての穴をふさいだら、仕事は止まってしまうだろう。個々人の裁量と決断にゆだねられる余地の大きいマスメディアの仕事がそういうものであることを、私たちも知っている。   だからこそ、あなたたちは、受信料を支払っている視聴者一人ひとりの顔を、その期待するものを、ありありと思い浮かべ、受け止めなければいけない。そのようにして成り立つ公共放送の理念をたえず自覚し、その役割をていねいに果たしつづけなければならない。そのことによってしか、この種の不祥事の再発は防げない。理念もまた、日々のそうした仕事のなかで生命を吹き込まれ、具体化していくものである。そのことを、どうか忘れないでいただきたい、と私たちは心から願っている。 これは十年前の懇談会の、十七名の委員皆さんの、いわゆる中間報告として出されたものであります。  そこで、十年たちました。確かに、いろいろと御努力をいただいてきたことは私も認めます。しかし、先ほど申し上げましたように、一万人を超す職員、そして七千億を超える予算。  例えば、NHKは一万人なんですけれども、二番目のNテレビ千三百人、Fテレビやはり千三百人、Aテレビ千百人、Tテレビ千人ということですから、いかにこの一万人という職員の数が大きいかということであります。それだけに、いろいろな問題が出てくるわけですね。  だけれども、それは、先ほどから私が時間をかけて申し上げたように、まさに、十年前、十七名の委員皆さんが出された、いわゆる私たちの怒りを伝えておきたいというこの文章を、私は、やはりもう一度本当に真摯に受けとめていただいて、新しい会長のもとでしっかりとやっていただきたい、このことをまず申し上げたいと思いますが、会長、今るる申し上げたことに対して何かコメントがあればお答えいただきたいと思います。     〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  不祥事が後を絶たないことに対しましては、大変遺憾であります。一つ一つ不祥事の原因を究明し、再発防止のルールをつくって対処してまいっております。  さらに、不祥事の根絶を目指し、ルールやチェック体制のあり方や倫理教育を抜本的に見直したり、不祥事を起こさせない業務の仕組みを根本に立ち返って考えるなど、総合的な対応策の検討に着手したところであります。  改めて、組織の隅々にまでコンプライアンスの意識を根づかせ、公共放送の使命と役割をしっかり果たしてまいります。
  83. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 先ほども石原委員長も、そして今会長も、再発のないようにしっかりとやっていくということをおっしゃいました。恐らく、当時の委員長会長も、あの提案書ですか、提言を読まれたときには、まさにそう思われたというふうに思います。しかし、組織というのは、やはり大きくなればなるほどコントロールが難しいし、その精神を徹底することは本当に大変だ、私はこのように思っています。  しかし、先ほど申し上げましたように、国民は視聴料を払い続けている。それは本当に、公平公正、そしてしっかりとやってもらいたいという期待の代償といいますか、対価として料金を払ってみえるわけでありますから、くどくなりますけれども、ぜひ、原点を忘れずに、国民皆さんの気持ちというものを受けとめていただいて、しっかりとしたNHK改革を進めていただくようにお願いをしたいというふうに思います。  二つ目でありますが、総務省がこのたびテレビ番組のネット同時配信解禁の方針をお示しになったというのが、昨年の暮れの新聞記事に載っておったわけであります。放送法を改正して平成三十一年からの実施を目指すということでありますが、この辺について、事実関係をお示しいただきたいと思います。
  84. 高市早苗

    高市国務大臣 まだ現時点で、NHKに常時同時配信を認めるかどうかについては、有識者の検討会において御議論いただいている最中でございますので、方針が決まっているわけではございません。
  85. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 先ほども申し上げましたように、もしそういうことになっていくと、メリットもあればデメリットもあるということであります。  もちろん、メリットがあることは何ら問題はないわけでありますが、デメリットについてしっかりと検討していただいて、一つでもデメリットをなくす、ゼロになることが一番いいわけでありますが、物事なかなかそんなわけにはいかないと思いますので、その辺は本当によくお考えをいただいた上で、私は基本的には大いに進めていただきたいという立場に立っておる者でありますが、しっかりと議論そして研究を重ねていただいてお進めをいただけたら、このように思うところでございます。  この問題についてはこれぐらいにさせていただきたいというふうに思います。  あとわずかな時間でありますので、放送センターについてお尋ねいたしますが、先ほども申し上げましたように、渋谷の放送センターの建てかえというのは一千七百億円の大プロジェクトということでございます。これを機に、地方の発信力を強化する、機能の分散を図る、このことを私はぜひあわせやっていただきたいというふうに思うんですね。  先ほど申し上げましたように、ドイツのZDFについては、マインツという、私はちょっとドイツの地の利がよくわかりませんが、人口二十万ぐらいの小さな町だそうでありますが、そこに本部を置いておるということであります。  そういうことで当てはめていけば、渋谷につくることを私は基本的に反対するわけじゃありませんけれども、同時に地方に対しても、危険、リスク分散、同時に地域の活性化、そして地域に対するNHK情報徹底等々、人材育成も含めて、私はやはり地方への充実というのは非常に大事じゃないかなと思いますが、その一点だけ御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  86. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  去年の夏に公表いたしました放送センター建替基本計画では、今後の検討課題の一つとして、「地方のさらなる活用検討」を挙げております。  緊急時に総力で情報発信できるように本部への機能集中を図る一方で、災害時のバックアップやリスク分散、それに地方の発信力強化などの観点から、渋谷以外に機能を配置することを検討する必要があると認識いたしております。  このうち、災害時のバックアップにつきましては、東日本大震災をきっかけに、放送センターが機能を失った場合に備えまして大阪放送局の機能強化を既に実施しておりますが、それ以外の観点からも、最適な機能配置について、建てかえ計画の具体化に合わせまして議論を進めてまいりたいと考えております。
  87. 鈴木克昌

    鈴木(克)委員 終わります。
  88. 竹内譲

    竹内委員長 次に、高井崇志君。
  89. 高井崇志

    ○高井委員 岡山から参りました高井崇志です。  きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。  きょうは、NHK受信料で成り立つ公共放送でありますが、公共放送として今のNHKはふさわしいかどうかという観点から御質問をしたいと思います。  上田会長は四代続けて民間企業出身者、NHK出身者以外そしてマスメディアの出身者でもない会長が四代続いたというのは極めて異例で、過去のNHKの歴史を見ますと、ほとんどがNHK出身者かマスメディアの出身者であります。  この四代続いた民間出身者というのは私はちょっと異常ではないかと思っておりますが、マスメディアの使命あるいは公共放送の使命というものを会長がどのように考えておられるか。特にお聞きしたいのは、政権との距離。マスメディアと政権の距離、公共放送と政権との距離をどのように考えておるか、お聞きをいたします。
  90. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKといたしましては、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保し、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが公共放送として信頼されるかどうかの生命線であると考えております。  国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持する、この認識で業務の執行に当たってまいりたいと考えております。
  91. 高井崇志

    ○高井委員 私も、マスメディアの使命は何だろうとネットでいろいろ検索してみました。多くの方が称賛している亘英太郎さんという元ジャーナリストがジャーナリズム論という本を書いておられて、その中にこんなエピソードがあるんですね。  この方が新聞記者時代に上司から怒られた、役所で不祥事が起きたときに、その役所で不祥事が起きたのはおまえのせいだ、新聞記者であるおまえのせいだ、つまり、ジャーナリストがちゃんと監視していないからこうなるんだということを上司から怒られたというエピソードがあるんです。チェック機能はジャーナリズムの生命である、欧米では象徴的にウオッチドッグ、番犬と表現されるこの監視、チェック機能こそ、メディアが健全な社会をつくり、維持するために最も期待される役割だ、これを忘れてメディアが権力と癒着したり、メディア自身のモラルを低下させてセンセーショナリズムに走ったりすることは許されないと。  本当にそのとおりだと思うんです。  しかし、近年、マスメディアのトップと安倍総理が頻繁に会食をしている。さすがにNHKのトップが会食をしているという首相動静の記事はありませんけれども、しかし、解説委員が何度か、去年だけでも二回、さらに安倍政権になってから振り返ると数度、かなりの数、会食というのをしています。  これは、私のドイツのマスコミの友人が見て驚いていました。ドイツではこんなことはあり得ない、こんなことが新聞に載ったら両方の首が飛ぶと。そのくらい、やはり政権とマスメディアとの距離というのは大事にされているんです。  これは、会長、どう思われますか。他のマスコミのことはわからないかもしれません。せめてNHKはそれをやめるという考えはありませんか。
  92. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  ジャーナリズムの役割、権力を監視するというメディアの役割をどう考えるかという御質問だと思いますけれども、ジャーナリズムは国民の知る権利に応えることだと認識いたしております。この役目を果たすためには、放送法に基づいて、不偏不党、自主自律の立場を守り、何人からも干渉されず、番組編集の自由を確保して放送することが何よりも大事だと認識いたしております。
  93. 高井崇志

    ○高井委員 これはどの世界でもそうなんですよ。いろいろな情報を広く伝える、そのためには取材をして、ときにはスクープなどもとる、しかし、それと同時に政権との距離をとるというこの難しいバランスをどの国も悩みながらつくっているのに、我が国の場合は少し偏っているんじゃないかということをお聞きしたいわけです。  それは、去年まで会長だった籾井会長が就任早々に、政府が右と言うものを左と言うわけにはいかないと、まさに公共放送の使命を履き違えた記者会見をされた。それから私はやはりNHKと政権の距離がおかしくなってしまったんじゃないかなというふうに思います。  例えば、幾つか例を挙げますけれども、昨年三月に降板、「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターが番組をおりました。実は、こういう「キャスターという仕事」という本がことしの一月に出版されたばかりで、私、読みましたけれども、この中に、そのとき、かなりやはり悔しかった思いをいろいろ書いていました。まさか自分が番組のリニューアルに伴いという理由で番組をやめるということは想像もしなかった、それから、制作現場のプロデューサーたちは、上層部から、かわるということに対して、随分最後まで抵抗してくれた、あるいは、菅官房長官へのインタビューが思い浮かんだ、こういうことを二十三年間キャスターを務めたあの国谷さんがこういう本にまで書いているということは、私はやはり相当な思いであったというふうに思います。  あるいは、この委員会でも逢坂委員が取り上げた「NHKスペシャル」、去年十二月放送の北方領土交渉ですね。これは、ホテルの一室に総理と外務省幹部と秘書官が入っている、しかし、外交機密であるから音声は流せませんといって、映像だけが流れた。これはどう考えても、官邸の職員が撮った映像をNHKにだけ提供したか、もしくはNHKだけが取材を許されて入ったか、どっちにしても大問題なんですよ。  あるいは、NHKは最近スクープが多いと言われているんですよ。総理の会見を開くときに、総理の会見と同時にもうテロップが流れる。これは、NHKに長年勤めている職員が、何かやはり違和感を感じる、もう事前に官邸からいろいろな情報をもらっているんじゃないかというふうに思いますと言っている。  あるいは、総理の執務室に初めてNHKのテレビカメラが入ったとか、あるいは、この間、日米首脳会談から戻ってきた総理が「ニュースウオッチ9」で、三十分ぐらいだったんですかね、単独のインタビューをずっと行う。  そして、つい最近は、あの南スーダンから自衛隊が撤退するという放送を、ちょうど十七時半に森友問題の籠池理事長が記者会見すると、それに合わせて官邸は、菅官房長官は発表した。しかし、それは、ほかの民放各局はほとんどテロップが出る速報だったのに、NHKだけは岩田解説委員が「シブ五時」というニュース番組で詳しく長々と解説をする。しかも、それは政府の意向に沿った内容の解説だったということであります。  この岩田解説委員は、実は私の地元の岡山で、初任地は岡山放送局だったんですよ。岡山時代、新人のときから大変有名で、スクープを連発すると。すごい、すご腕の記者だと思うんですが、私が申し上げたいのは、マスメディアである以上、スクープを追い求めたいという気持ちはわかります。しかし、それが、公共放送であるNHKにとって本当に必要なのかということですよ。スクープをとるためにはやはり相手の懐に入る、つまり、政権の懐に入らなければならないんです。そうすれば、当然政権に取り込まれるというリスクもある。  もし、万が一にも、政権が伝えたい内容をそのまま垂れ流すだけのことになってしまったら、これは戦前の大本営発表を放送したその反省のもとに、今のNHK受信料で成り立つ公共放送になったわけです。こういった公共放送と国営放送は根本から違うんだ、会長、そういうことをぜひ御認識いただきたい。  そもそも、NHK、視聴率を気にする必要があるんでしょうか。これだけ受信料、民放はわかりますよ、民放はスポンサーがいるから視聴率が必要だ。そうすると、テレビの番組、去年年末あたりは、どのチャンネルをひねっても、トランプ大統領の話か、韓国の朴槿恵大統領の話か、あるいは東京都の豊洲問題。日本の国内の政治の問題はほとんど流れなかった。最近は、森友問題が流れるようになりましたけれども。  私は、NHKは唯一受信料で成り立っているんですから、視聴率なんて気にせず、一番大事な国内の政治を流す、そういう放送機関であるべきだと思いますが、公共放送のトップであるNHK会長の御見解をお伺いします。
  94. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKは、番組について、視聴率のほか、視聴者の反響、番組審議会での意見NHKが独自に開発した質的な評価指標などにより、見られた方を把握しております。視聴率はあくまで指標の一つと考えております。  また、視聴者の判断のよりどころとなる情報を正確かついち早く視聴者に伝えることは、報道機関の重要な使命の一つと認識いたしております。  そのためにも、取材や制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする姿勢を徹底することが大切で、今後も、社会に必要とされる情報をいち早く伝える努力を重ねてまいりたいと考えております。
  95. 高井崇志

    ○高井委員 会長、ぜひ、ここは本当にこれからの公共放送の肝だと思いますので、もう一度会長自身でよくお考えいただいて、また答弁をしていただけることを期待いたします。  もう一つ、私は、今の新会長にぜひやっていただきたいことがある。それは、今回、籾井前会長のもとで公共放送の使命をNHKは忘れてしまったんじゃないかと私は思っている。その中の大きな要素はやはり人事なんですよ。公共放送の役割、使命というものをよく理解した、そういう有為な人材がどんどん仕事を外されていったんです。これはNHKの職員ならみんなわかっていることですし、監査委員を務められた上田会長もそれは内々よくわかっていると思います。  ぜひ、私は、もう一度、会長の最大の仕事は人事だと思います。この人事で、そういったまさに公共放送の使命をよく理解した職員というのはたくさんいるはずです、そういった方々をしっかり集めて新たな体制をつくる。これは人事、会長みずからやって、副会長とかに任せるんじゃなくて、みずから断行する、そういう御決意をお聞きしたいんですが、いかがですか。
  96. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今御指摘ありましたことを十分踏まえまして、適材適所という人事を実行してまいりたいというふうに考えております。
  97. 高井崇志

    ○高井委員 短い言葉でしたけれども、私は決意をいただいたと思いますので、期待をいたします。  それでは、もう時間がなくなってまいりましたので、最後にNHKの天下りの問題。  これは、NHK関連団体二十六ありますけれども、その役員に占める割合は八割です。そして、トップに至っては二十六人全員がNHK出身者です。  民間企業であれば、いろいろな子会社に天下る、ありますよ。だけれども、やはり今NHKは、公共放送受信料で成り立つ以上、公務員に準ずると私は思うんですね。今、公務員の天下りの問題も大変多く問題になっていますけれども、やはりここは、会長、それこそ民間出身者の役割としてしっかり取り組んでいただきたい。  特に、少し具体的な話ですが、NHKエンタープライズという会社は、NHK受信料NHKがつくった放送番組を管理する。しかし、そこがNHKの子会社に貸し出しているんですね。一応、建前は同じ条件で貸し出していると言うんですけれども、実は、私の知っている人間何人かから聞きましたけれども、実際に営業するときには、いや、うちはNHKの子会社だからそういうのを有利にとれるんですよと。特に今、オリンピック関連の映像をいっぱいつくる会社が競い合っています。しかし、みんなNHKの子会社に受注されてしまう、とられてしまうと。それは営業の中で、いや、うちはオリンピックの過去の素材をいっぱい持っていますから使えるんですよ、そういう営業トークをしているんですね。実際にどういう条件になっているかわかりませんが、少なくとも、そう言って競合他社を追い落としていくということは私はやはり問題だと思います。  これは会長として、親会社のトップとして、こういった実態をちゃんと調べて改善するというお考えはありますか。
  98. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  事前に今の御質問を頂戴するということがわかっておりましたので、早速調査させましたところ、NHKエンタープライズの確認ですけれども、NHKの映像素材を使用する場合は、NHKの定める二次使用料を支払った上で映像を制作しており、他社より有利に活用していることはないと報告を受けています。  今後も、これはしっかり見ていきたいと思います。
  99. 高井崇志

    ○高井委員 もう時間ですから終わりますが、これは、きのう言ってきょう一日で調べるとかじゃなくて、ちゃんと実態、表向きはそう言うでしょうけれども、これは絶対ありますから、ぜひ会長、しっかり調べて、これは引き続き取り上げたいと思います。  それでは、終わります。ありがとうございました。
  100. 竹内譲

    竹内委員長 次に、武正公一君。
  101. 武正公一

    武正委員 民進党武正公一です。  引き続いて質疑させていただきます。  まず、会長、御就任おめでとうございます。  そして、既に会長からも御発言があります放送法にのっとりということなんですが、放送法の一条二号「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」そして放送法三条「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」この一条、三条がやはり私は放送法の真髄ではないかというふうに思っております。  後にまたお聞きをする今回NHK予算に対する総務大臣意見などでも、不偏不党というか公平原則、あるいは多面的角度から、いわゆる四条はあくまで準則であるといった点から、この一条、三条、これをやはり第一義に考えてNHK運営に当たっていただくべきではないかと思いますが、会長の御所見を伺いたいと思います。
  102. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、放送法一条は、放送法の目的として「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保する」ということを挙げておりますし、また三条では、放送番組が「法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」として、放送番組編集の自由を定めております。  私といたしましては、公共放送NHKには、これらの規定を踏まえ、放送自主自律、公平公正、不偏不党を堅持して放送を行うことが求められているものと認識いたしております。
  103. 武正公一

    武正委員 改めて、総務大臣、いかがでしょうか。この一条、三条が放送法の第一義の目的ではないかという見解についてお伺いしたいと思います。
  104. 高市早苗

    高市国務大臣 放送法第一条第二号は、目的規定として「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」を定めるとともに、放送法第三条において、放送事業者の放送番組の編集の自由を定めています。  これらの規定は、放送法に定める規律の確保はできる限り放送事業者の自主的な規律に委ねられるべきものであるという趣旨で設けられていると考えております。
  105. 武正公一

    武正委員 この場でも、何度かこの件はやりとりがございます。  総務大臣からは政府見解の見直しがされ、また一昨年四月には、NHKに対して、小泉郵政大臣以来二度目の大臣みずからの行政指導が行われ、そしてまた、停波と言われるような発言もありということでございました。  この放送法一条、三条、自律、そして放送事業者としての独立、これがやはり放送法で定められているということで、先ほど高井委員からも政権との距離感についても話がありましたが、あくまでNHKの自律であり、そして独立ということで堅持をしていただきたいというふうに思っております。  きょうは、そういった意味で、放送法あるいは電波法に規定をされております電波監理審議会、会長にお見えいただいております。吉田会長、どうもありがとうございます。  戦後は、電波監理委員会ということで、国家行政組織法の第三条に位置づけられた委員会でございました。その当時は、NHKの定款変更の認可、国際放送の命令、今は要請に変わっておりますが、など全てを電波監理委員会が行った、NHK予算、事業計画についても、今は総務大臣意見をつけておりますが、電波監理委員会意見をつけ、内閣を経て国会に提出して審議承認を得る仕組みになっていた、ここには政権与党による介入の余地はほとんどなかった、こういう指摘がございます。  私はやはり、先ほどの放送の自律、独立といった点からいえば、この電波監理審議会の持つ意義、大変大きなものがあるというふうに思っております。  きょう吉田会長においでをいただき、まず今回、NHK予算案について総務大臣意見、先ほどちょっと御紹介させていただきましたが、残念ながら、この総務大臣意見には、今言った放送法一条の自律、あるいは三条の独立性、こうしたものが書かれずに、書かれているのは、国民各層の意見が対立している問題については、「できるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、放送法の趣旨を十分に踏まえ、正確かつ公正な報道に対する国民視聴者の負託に的確に応えること。」というのみになっております。  私は、この総務大臣意見はやはり自律、独立といった点が欠けているというふうに考えるわけですが、この総務大臣意見を適当であるというふうに電波監理審議会は二月八日述べておられます。その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  106. 吉田進

    吉田参考人 お答え申し上げます。  先ほど御質問いただきました日本放送協会平成二十九年度収支予算、事業計画及び資金計画に対する総務大臣意見につきましては、総務大臣の諮問を受けまして、先ほども既に議員の方から御紹介がありましたとおり、二月八日の電波監理審議会において審議を行いました。  これは、これまでの、最近のやり方に従ったやり方だと存じ上げておりますけれども、冒頭、担当課の方から大臣意見について説明がございました。予算全体としておおむね妥当と認められること及び配意すべき事項として八つの項目につきまして説明を受けた後、質疑応答を行いました。  各委員からの御指摘を御紹介いたしますと、例えば、インターネット活用業務について、民間との公正な競争を阻害することのないよう総務省としてしっかりと注視すべきである、あるいは、インターネット同時配信について突き詰めていくと、いずれ誰もテレビを見なくなり、受信料を支払う人がいなくなるのではないかといった指摘がなされました。  また、私の方からは、テレビ国際放送による海外情報発信の強化部分につきまして、昨年も同様な記述がなされておりますことから、評価指標並びに直近の一年間の進捗状況の確認を行わせていただきましたほか、BSによる4K、8K放送について特に新たな受信環境の必要性がありますことから、国民視聴者への適切な情報提供をできるだけ速やかに行うべきであるといった指摘などを行ったところでございます。  これらにつきましては、総務省の担当者からそれぞれ適切な回答がなされました。  このように、審議におきましては、大臣意見に記載の配意すべき八項目を中心に検討を行いました結果、出席委員全員から、先ほど御紹介しました意見を含めましていろいろな意見は出ましたが、大臣意見内容そのものについて変更を要するようなものではございませんでした。つきましては、諮問のとおり大臣意見を付すことが適当である旨の答申を行うことを全員一致で決した次第でございます。  とりあえず、理由としては以上でございます。
  107. 武正公一

    武正委員 どうもありがとうございます。  電監審でもいろいろな意見があったということで、今、例えば常時同時配信についての御意見もありました。これは、民放との検討会も十三回行われている中で、個社の事業や経営戦略に制約を与えることはやめてほしい、あるいは新聞協会からも民業圧迫について懸念が示されておりますので、しっかりとNHKとしてこういった意見も踏まえて、この検討会を進めていただきたいとも思います。  電監審会長に、ちょっと質問項目には挙げていないんですが、もしお答えいただければということでお願いしたいんですが、去年も大臣意見に対して適当と答えておられます。そのときに吉田会長会長ではなく電監審の委員でしたので、多分、同じく去年の大臣意見にも審議に当たられたというふうに理解をしております。  去年のときは、この委員会でさんざん多くの委員から指摘がある「クロ現」について、   平成二十六年五月十四日の「クローズアップ現代」において、事実に基づかず、自らの番組基準に抵触する放送を行ったことに関し、平成二十七年四月二十八日付けで行われた総務大臣による行政指導を踏まえ、再発防止に向けた取組を引き続き着実に実施するとともに、放送番組審議機関の機能の発揮等により、様々な機会において放送番組に対する国民視聴者の声に十分に耳を傾けつつ、国民視聴者信頼回復に努めること。 というふうに昨年の大臣意見は述べております。  当委員会では、先ほど私からも申し上げました、果たしてこの総務大臣の行政指導は適切であったのか、あるいは、政府見解、個々の番組で政治的公平性などどうなんだというようなことが問われているわけであります。  昨年の大臣意見に対しても適当というふうに電監審では示されておりますが、特にこの「クロ現」、あるいは行政指導、ここについてどんな意見があったのか、もし御紹介いただければと思います。
  108. 吉田進

    吉田参考人 今御指摘いただきましたように、私は昨年の電波監理審議会にも出席いたしました。そして、そのような議論があったことは承知しておりますが、それに対して特段、総務大臣の付す意見につきまして異論は出なかったように記憶しております。  むしろ、私自身、気になっておりますのは、毎年というか、去年とことしも割と似たような指摘があるんですけれども、したがって、一年間の間に、昨年指摘したことがどれだけことし反映されたか。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国際放送の拡充の件ですと、評価指標があって、それがどの程度この一年の間に改善されたか、そのあたりを非常に注視しておりまして、そういう意味では、御指摘の件もこの一年どういうことがあったのか。  特に、私の方は、昨年の意見は適切であった、そのように理解しておりまして、それに関する特段の意見は出ませんでした。  以上でございます。
  109. 武正公一

    武正委員 ありがとうございます、急な質問にも答えていただきまして。  今、電監審会長のお話がありましたが、電監審が国家行政組織法三条から八条に、ある面格下げになり、そして、先ほど言ったような、権能が総務大臣に移りということで、電監審が総務大臣あるいは総務省にしっかり物を言うという権能は、残念ながら、もっと強化をしていくべきではないかというふうに思っております。  過去、民主党あるいは民主党政権時代にも、こうした点については、放送については、電波もそうですが、振興と規律ということで、国家行政組織法三条の通信放送委員会設置が望ましいということで行っておりますので、よく総務大臣総務大臣の発言を出されますが、政権を我々が担っていたときも、同様の考えで政権運営に当たっていたことを改めて申し述べたいと思います。  そして、NHK会長伺います。  お手元に資料をお配りしましたが、NHK子会社の現金及び預金、売掛金、それからNHK子会社役員のNHK出身者内訳の推移、先ほど高井委員指摘しましたが、昨年この場で指摘をし、前会長からは改善ということで約束をいただいたんですが、実際、この一年間余り変わっていない。特に役員については、常勤監査役がNHK出身者以外がふえたぐらいで、あとはほとんど変わっていないという状況でございます。やはりこれは改善を求めたいというふうに思っています。これは、先ほどの総務大臣意見でも指摘をされている、子会社とNHKとの透明性確保ということであります。  それからもう一点、会長にあえてお伺いしたいんですが、監査委員会活動結果報告書、昨年十二月十九日、特別監査項目、この間の次期会長の任命プロセスは所定の手続に従った適切なものだったと認識しているということを、当時常勤監査委員である上田会長が、上田会長任命プロセスの手続が適切と言い切っておられます。非常になかなか理解しづらいこういったところについて、御所見を伺いたいというふうに思います。
  110. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  まず、最初の御質問、外部出身の役員に関する御質問と思いますが、外部出身の常勤役員につきましては、ふさわしい人材がいれば必要に応じて任用することとしております。今後も検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、二つ目の御質問の、監査委員会としての報告の件ですけれども、監査委員会では、次期会長の任命に当たって、そのプロセスが放送法経営委員会規程、それに内規等を遵守したものになっているか、監査してまいっております。  会長任命の議決までの経営委員会及び指名部会の手続に、今述べたような法や規程、内規に違反した点がないことを、私を含みます三人の監査委員が確認いたしましたので、次期会長の任命プロセスは所定の手続に従った適切なものだったと経営委員会に報告いたしました。報告は、監査委員会で決議し、行ったものであります。  もとより、十二月六日に会長に任命されることが決まって以降も、監査委員在任中、私は、私自身、監査委員としてその職務を誠実に果たしてまいったと考えております。
  111. 武正公一

    武正委員 この間、三年間、やはりNHKは混乱があったというふうに認識をしております。ぜひ、この三年間の検証もNHKとして進めていただけることもお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  112. 竹内譲

    竹内委員長 次に、小川淳也君。
  113. 小川淳也

    ○小川委員 民進党の小川淳也です。  新体制発足後初めての予算審議ということで、限られた時間ではございますが、お尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、石原経営委員長にお聞きします。  内部、経営委員会からの会長指名、特に監査委員でいらした上田さんを会長に指名するということは、六十年近い期間を経ての極めて異例なケースだと思います。上田会長人選の理由について、経営委員長にお聞きします。
  114. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  経営委員会は、NHK会長の任命が経営委員会の最も重要な任務であると考えて検討を行いました。  経営委員会上田良一氏をNHK会長にふさわしい方だと判断した理由は、次のとおりでございます。  次期会長の資格要件を満たしていることを委員全員が認めました。二つ目が、NHK経営委員会委員、監査委員の経験を通して、NHKの業務や課題に精通しておられること。三つ目、信頼されるお人柄であり、NHK内外からの人望も厚いこと。四つ目、民間企業の経営者として、大きな組織の経営に当たられた実績があること。五つ、海外経験が豊かであり、国際的なセンスが豊かであること。  私は、真剣な議論の結果、NHK会長に最もふさわしい方を選ぶすぐれた選考ができたと考えております。
  115. 小川淳也

    ○小川委員 一定程度、前体制が極めて物議を醸したという教訓なり反省があっての人選ではないかと想像をいたします。  この資格要件には、公共放送としての使命を十分に理解している、あるいは、政治的に中立である、人格高潔であり、説明力にすぐれ、広く国民から信頼を得られる、構想力やリーダーシップが豊かである、社会環境の変化等に的確に対応できる等々と記載をされています。  それから、今委員長が御答弁になられたとおり、海外経験の豊富さや、放送法に明るい、放送現場をつぶさに回っておられる、組織の独立を守る等々、期待が大きいわけでありますが、私ども、率直に申し上げて、まだ御就任から一カ月、二カ月でありますので、きょう、この予算質疑、そしてこの後採決に臨みます、非常に悩ましい思いです。前体制下で心配されたことが果たして刷新されるのかどうか、そういう中で賛否の判断をしなければならないということであります。  そういう意味では、非常に緊張感の中で審議に臨んでいるわけですが、改めて上田会長にお願いをしたいんです。この間、私どもが最大の関心事であった政治的に公平であるということについて、少し自分の言葉で、御自身の言葉で、私どもに説得的に、会長御自身の認識についてお述べいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  116. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  何度も申し上げておりますけれども、放送法にのっとって、やはり自主自律という立場を堅持して、公平公正、不偏不党、そういう事実に基づいた報道をしっかりとやっていくということが公共放送の原点だと考えておりまして、それを徹底すべく、私の方はしっかりと経営をやっていきたいというふうに考えております。
  117. 小川淳也

    ○小川委員 前体制下で、私どもは、非常に政権寄りに過ぎるのではないかということを懸念してまいりました。  ただ、私どもの主張に言う政治的に公平なり中立とは、ここを誤解なくお伝えしたいんですが、何も、野党に配慮しろとか、野党にもう少し距離感を縮めてほしいとかということでは決してないんです。むしろ、野党も国家権力なんですね。国家機関なんです。  したがって、メディアは第四の権力とよく言われますが、与党も野党も含めて政治権力を厳しく監視していくのが一つの大きな務めだという立場に立っていただきたい。その基本をしっかりと押さえていただきたい。そうすれば、必然的にですが、実際の政権運営に当たっている政府やあるいは与党に対して、当然、日々のなりわいがありますので、それに対しては、当然、中立的な立場から厳しく検証を行っていく、批判的立場から言論を行っていくという結論が必然的に生まれると思います。  そこをぜひ誤解なきように、今後の協会運営に当たって、結果でぜひとも私どもを納得させていただきたい、そう思っております。  会長のいろいろな、まだまだ実績はこれからなんですが、一つ確認をさせていただきたいのは、前体制下におけるハイヤーの私的使用について、監査委員としての見識を国会で表明されました。  これは改めて確認をしたいんですが、当時、籾井会長がハイヤーを私的ゴルフに利用いたしました。その手配を協会が行った。そして、落ち度だという総括にはなっているとはいえ、料金も協会が支払い、問題が表面化する前後にそれを精算したという大変残念な経過をたどっています。それに対して、当時監査委員であった会長は、私的使用であっても、協会が手配をすることはあり得ることだ、排除しないという趣旨の御答弁をなされている。  今、みずからが会長に就任されました。まさに、受信料をもとに、視聴者国民信頼を背に協会運営を行っていくという立場を表明されているわけでありますから、監査委員当時のこの見解はなお甘いのではないかと私は思いますし、みずから会長としてこういった使用もあるでしょう、それは。そういった場合に、どのようにこれから律していかれるのか、その点をお聞きします。
  118. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  まず、私が監査委員として籾井会長のゴルフのハイヤー使用に関して報告した内容ですけれども、御指摘の籾井前会長によるハイヤーの利用につきましては、前会長説明したとおり、監査委員会としても私用の目的であったと判断いたしております。  その上で、今委員もおっしゃいましたように、会長としての立場上、身柄の安全の確保、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではないと判断いたしまして、その旨、監査委員会の報告書に記載いたしました。  一方、NHKにとっては公私の区別が極めて重要で、とりわけNHKのトップである会長は高い倫理観と説明責任が求められていることを常に意識して行動すべきであり、そのこともあわせて報告書には記載いたしました。  私に関しての御質問もありましたので、それにお答えいたしますと、視聴者受信料で成り立つNHKにとりまして、公私の区別は極めて重要であり、とりわけそのトップである会長には高い倫理観と説明責任が求められております。このことを改めて胸に刻み、公私混同を決して疑われることがないよう、みずからを厳しく律して行動していく所存であります。
  119. 小川淳也

    ○小川委員 大変力強い御答弁でございました。  刑事事件を含めて不祥事が後を絶たない状況であります。大変苦難の船出かと存じますが、ぜひとも、信頼に足り得る協会運営に粉骨砕身の御尽力をいただきますことをお願い申し上げたいと思います。  きょうお聞きしませんけれども、視聴者からさまざまな意見が、協会運営やあるいは番組内容等について寄せられていると思うんですね。それを事務的にお聞きいたしましたが、全部で、例えば、昨年、一昨年度であれば、三百九十二万三千六十四件の声が寄せられているということであります、これは一日当たり一万件を超えるわけですから、受けとめるだけでも大変でしょう。整理するとなれば、あるいは協会運営、番組編成に反映するとなればなおさら大変だと思いますが、一つ気になりましたので指摘したいと思うんです。  例えば、新聞の投書欄等で、NHKの番組編成等について時々厳しい意見が掲載されていることがあります。そういうところにもアンテナをぜひ張っていただきたいと思うわけですが、少なくとも、この視聴者のふれあい報告書の概要を見る限り、ああ、こんな番組でよかった、ここがすばらしかった、ここは極めて勉強になった、これは褒められたことしか載っていないんですよね。そんなはずないと思いますよ。むしろ、批判なりお叱りの方がたくさん寄せられているはずです。公開資料だと思いますが、こういったものの編集に当たっても、厳しい意見、批判、お叱りをこそ協会運営に生かすという所存でぜひとも臨んでいただきたい。お聞きはいたしませんが、指摘をしたいと思います。  最後に、高市大臣に少し私自身が要請を受けていることに関連してお聞きをし、終わりたいと思います。  NHKはもちろんでありますが、民放を含めてラジオ放送を行っています。その中に、FM放送とAM放送があるわけです。一つ、国政選挙の際の政見放送について、AM放送は公職選挙法上これを担当できるということになっているんですが、FMがこれから排除されている。FMでは政見放送放送できないことに公職選挙法上なっています。  これは、合理的な理由があればいいんですけれども、恐らく歴史的な経緯のみではないかと思います。当然、議員立法でこれは対処しなければならない課題だと思いますが、もし、行政執務上の支障なりあるいは課題なり問題点、それから、もしFM放送で政見放送をやるということになりますと予算関係も出てくると思いますから、そのあたりで留意すべき事項があれば大臣から御指摘をいただいて、質問を終えたいと思います。
  120. 高市早苗

    高市国務大臣 委員がおっしゃるように、FMラジオは放送法第二条第十七号に規定する超短波放送でございますので、政見放送を仮に行うことができるようにするためには、公職選挙法の改正が必要になります。  その場合の課題でございますけれども、まず、県域をカバーするFMラジオ事業者が三つの県において存在していないということ、それから、ラジオの回数をふやした場合には公営費用が増加すること、回数を現状維持とした場合には、AMラジオ事業者などとの調整が必要になるということ、FMで独自に収録が必要だということになれば、これは候補者の負担増が見込まれることなどが考えられます。  小川委員おっしゃっていただいたとおり、選挙運動のあり方に関することですので、各党各会派で御議論いただくことが必要であると思います。
  121. 小川淳也

    ○小川委員 ありがとうございました。終わります。
  122. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  123. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  三年ぶりにNHK会長のもとでの予算審議であります。国民視聴者の関心も高いものがあるかと思われます。  NHK予算は、三年連続で全会一致承認とは至りませんでした。上田会長もこの三年間は本委員会に何度も呼ばれましたように、籾井前会長の言動をめぐっては、国民視聴者から大きな不信と抗議の声が上がりました。そして、NHK経営委員会は、三度にわたって前会長を厳重注意しました。  NHKの最高意思決定機関がNHKのトップを叱責したというのは、どういうことだったのか。この間の何が問題で、今何が大事であると上田会長はお考えでしょうか。
  124. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  御指摘の前会長に対する三度の注意とは、一つ、就任会見の発言に対する注意、二つ、経営委員会での発言に対する注意、三つ、ハイヤー利用をめぐる経理処理に対する注意であったと承知いたしております。  その理由について、経営委員会は当時、会長というみずからの置かれた立場に対する理解が不十分であったことや、ハイヤーの経理処理について、支払いに関する注意喚起や適切な指示を怠った責任があるということを指摘いたしております。経営委員だった私もそのように考えております。  大事なことは、公共放送のトップである会長には高い倫理観と説明責任が求められるということであり、この点をよく自覚し、みずからも厳しく律して行動してまいりたいと考えております。
  125. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 石原経営委員長にお伺いします。  経営委員会は、昨年十月、次期会長指名に当たり、五つの資格要件を挙げました。その資格要件の一、NHK公共放送としての使命を十分に理解している、二、政治的に中立であること、この二要件は基本的重要事項として、本人の資質に関する要件、ほかの三件よりも最初に置くというふうに議論があったというふうにも伺っております。  この経緯と意味について御説明をいただけないでしょうか。
  126. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  資格要件につきましては、項目を整理し、六項目から五項目にして並びかえたわけでございます。  具体的には、旧資格要件の六番目にありました、業務遂行力があり、説明力があるについて、NHK会長が広く国民から信頼を得られるのは大変重要なことであり、そのために必要なことが皆様に対してきちんと説明する力であるという議論があったことを踏まえて、この二つの要素を一つにまとめたわけでございます。  また、業務遂行能力が重要なことは言わずもがなではありますが、構想力、リーダーシップを豊かに業務遂行する力は重要なことなので、これを一文にまとめました。  その上で、旧資格要件の三番目にあった政治的に中立であるを二番目にしました。  各項目の並び順につきましては、重要性の順という意味を持たせることもありますが、最初の二つの項目を大前提となる基本的な重要項目として、あとの三つの項目を専ら本人の資質に関する要素として並べかえたわけでございます。  政治的中立は基本事項の一つであり、極めて大事なことでもありますので、順番を変えたわけでございます。
  127. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 政治的中立が極めて重要であるというような御答弁でありました。  そこで、上田会長に改めてお伺いいたします。  会長の就任に当たりまして、政治権力との距離を置く、このことが、メディアから、そして国民から注文が寄せられています。放送法の原点である放送による表現の自由を確保すること、そのためには、放送事業者にとっての原点は、不偏不党、真実及び自律を保障することであります。会長としての姿勢が今問われています。  政治との距離をしっかり保つということにおいて、改めて会長の所見を伺いたいと思います。
  128. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKのよって立つところは、視聴者国民皆様信頼であります。これが何よりも重要であると考えております。この信頼を得るためには、報道機関として、自主自律、不偏不党の立場を守り、公平公正を貫くことが公共放送の生命線であることを認識し、会長の職責をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
  129. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 今の話をまとめていきますと、あえて確認はしませんけれども、政府が右と言うものを左と言うわけにはいかないであるとか、原発の報道においては公式発表をもとにするとか、そういうことにはならない、当てはまらないということになります。うなずいておられているので、そういうことだと思います。念を押しておきたいというふうに思います。  放送法の歴史についてお伺いしたいと思います。  日本とアジアのあまたの命を奪ったさきの大戦、侵略戦争に、NHKは、政府の統制下に置かれ、そして戦争遂行の宣伝機関の役割を担ってまいりました。人々の考え方やあるいは信条に強い強い影響を与えました。この痛苦の反省の上に立って立てられたのが放送法であります。  放送法第一条、放送の目的について。放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること、放送が健全な民主主義の発展に資するようにするとしています。私は、この意味は非常に大きいものがあるというふうに思います。上田会長の認識をお伺いいたします。
  130. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  御指摘放送法一条は、放送法の目的を定めたもので、昭和二十五年に制定された放送法の根幹ともいうべき重要な規定であると私も認識いたしております。  公共放送NHKには、この規定意義を十分に踏まえ、広く視聴者国民皆様の負託に応え、放送自主自律、公平公正、不偏不党を堅持して放送を行うことが求められているものと認識いたしております。
  131. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 放送法の原点に絶えず立ち返る、そして、恒久平和の憲法上の要請からあった、この放送法が成り立ってきた経緯にまた立ち返るべきだというふうに私は考えます。  こうした原点に基づいて、社会生活の基本となる確かな情報国民視聴者に提供していく、そして、放送を通じて民主主義の健全な発展に資する、こうした番組づくりに取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、スーパーハイビジョン、4K、8K放送について質問をします。  NHKや民放を初め多くの放送事業者が、二〇一八年十二月ごろから4Kの実用放送を行うというふうに伺っております。しかし、今の2Kのハイビジョン放送が自動的に4Kの高精細の画面になるだろうというふうに思っている国民の方も多いのではないか。実は、私もそうでありました。  そこで、総務省にお伺いします。  今販売されている4Kテレビを買ったとして、来年、二〇一八年の4K実用放送をそのまま視聴することはできるんでしょうか。
  132. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  現在市販されております4Kテレビと申しますのは、2Kの映像をアップコンバートして高精細に表示できる機能だとかはございますけれども、来年十二月から開始されますBSの右旋、左旋、あるいは百十度CSの左旋といった4K、8Kの新しい実用放送の受信機能は搭載してございませんので、そのままでは視聴することはできません。
  133. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 そうなんです。いろいろと装置が必要になってくるわけなんです。4K、8Kのスーパーハイビジョンの映像を国民が視聴するに当たっては、放送事業者ごとに割り当てられた電波、周波数によって、アンテナ、チューナー、それからテレビ等々の設備が必要になってまいります。  ここでは、NHKの4K実用放送を見るには何が必要なのかということについて述べていきたいと思います。  資料をお配りしています。  今の2Kテレビで4K放送を見ようとした場合、例えば、現在、地デジとBSを視聴している方、もちろん4Kテレビが必要となります。そして、チューナーが今の4Kテレビには内蔵されていないので、新たにチューナーを買い加える必要があります。そして、今、地デジの放送のみを見ている、BSアンテナをつけておられない御家庭にとって、4K視聴をするときには、テレビが要る、そしてチューナーが要る、新たにBSアンテナが必要になってくるということです。  4K放送を視聴するに当たっては、これらの機材が必要になってくるということでよろしいでしょうか、総務省。
  134. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、来年十二月から始まる新しい4K、8K実用放送を視聴するためには、現在発売されている4Kテレビに加えて、新たに外づけのチューナーが必要になってまいります。  また、この4K、8K実用放送の中には、左旋偏波という新しい電波を使う場合もございますので、この電波を受信するためには、アンテナやブースターの一部機器を取りかえることが必要になってくる場合もございます。  また、ケーブルテレビで放送をごらんになっていらっしゃる御世帯につきましては、放送提供時にセットトップボックスの新しいタイプの準備が必要になってくるというように考えてございます。
  135. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 電波、周波数によっては左旋回の新しいアンテナも必要になってくるということで、負担を伴うことには間違いがありません。  それで、高市大臣、私、家電量販店にこの間ちょっと行ってきたんですけれども、テレビ売り場というのは、東京オリパラを見るために4Kテレビだというふうに大きな宣伝がされているわけです。そして、各メーカーのテレビのパンフレットを見ましたら、この重要事項がなかなか読みづらいですよね。総務省も努力はされていると思うんですけれども、そのパンフレットには、本当に小さい字で、そして隅の方に、4K、8K放送の受信機能は搭載されていません、4K放送を受信するには別にチューナーが必要です、これは本当に小さい字で書かれているわけであります。  今この瞬間にも、楽しみにされて、テレビを買われている方がおられるわけですよね。しかし、その専用のチューナーはまだ市販されていません。混乱を招かぬように、こうしたところの周知を徹底すべきではないかなと思いますけれども、大臣、局長でもいいですけれども、御答弁いただけるでしょうか。
  136. 高市早苗

    高市国務大臣 私も、以前より、まず、家電量販店のPOPなどでもう4K対応テレビと書いてあって、それにプラス外づけのチューナーが必要だということがわかりにくくなっていたり書いていないケース、それから、やはりテレビを新しく購入されようとする方がごらんになるパンフレットにも、物すごく小さな字であったり書き方がわかりにくいということについて、強い問題意識を持っておりました。  これは、家電メーカーの御協力も必要でございますけれども、新たな4K、8K実用放送の受信に必要な機器ですとか視聴方法について、十分な周知、広報を行っていくということが不可欠ですので、総務省で、現在も関係者と連携して、視聴者への周知広報活動を実施している最中でございます。
  137. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 地上アナログ放送から地上デジタル放送に完全移行して五年半余りであります。薄型のハイビジョンテレビを奮発して購入された世帯の多くは、まだ買いかえの時期には至っていないというふうに考えます。  そして、今、4Kテレビを買ったけれども、何だ、チューナーがついていなかったのか、そのチューナーを買うには幾らかかるんだ。今、発売予定の業者さんの宣伝によりますと、二万円以下を目指すということでありますので、大きな買い物になるということであります。  政府と民間企業も、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、4K、8Kテレビ、4K、8K放送の普及を掲げています。その目標としている数値があるというふうに聞いていますけれども、教えてください。
  138. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  昨年六月に閣議決定をいたしました日本再興戦略二〇一六の中で、「二〇二〇年に全国の世帯の約五〇%で視聴されることを目指し、二〇一八年の衛星放送における実用放送開始など4K・8Kを推進する。」というふうに明記をさせていただいているところでございます。
  139. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 4Kテレビが今どれほど普及しているのか、それから、今御答弁あったように、どのように普及させていくのか。  お配りしている資料をごらんいただきたいと思います。  現在、二百十六万台であります。そして、この再興戦略の目標に照らして、二〇二〇年に世帯過半数を目指す、その予測値は二千六百三十三万台であります。これは、四年間で十二倍にふやそうという、言ってみれば国策であります。  私は、技術の発展とかスーパーハイビジョンの導入及びその普及について異議を唱えることはいたしません。しかし、この4K放送を選択する、4Kテレビを購入することを選択するのは、あくまでも視聴者であります。その時期をいつにするかというのも、これは視聴者の判断、決めることであります。家庭への普及というのは市場が決めることであります。ですから、国が押しつけてはいけないと私は思うんですけれども、高市大臣、いかがでしょうか。
  140. 高市早苗

    高市国務大臣 御指摘のとおり、これは視聴者が選択されることでございます。  来年十二月に放送が開始されます衛星での4K、8K放送は、視聴を希望される方が、視聴に必要な設備を設置するなど、それぞれの御負担で視聴をしていただくことが基本でございます。  一方で、来年十二月以降も現在の放送は引き続き継続されますので、現在の放送の視聴を希望されるという方はそのまま視聴していただくことができます。  先ほど上がりました目標値でございますけれども、これは二〇一五年七月に取りまとめられた第二次中間報告で、シンクタンクの協力を得て、二〇二〇年における4Kテレビの国内での普及を予測したものでございます。
  141. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 そうはいっても、政府が、再興戦略、いわゆる安倍政権の成長戦略で、全国の世帯の約半分、五〇%で視聴するという目標があると、これはやはり国民視聴者は踊らされていくのではないかなというふうに思います。4Kチューナーのついていない高価なテレビを買え、買えと。買ったはいいけれどもチューナーがついていない、また買うと。  私は、国民に対して、特定の家電製品の購入に対して政府が目標値を持つというのは、これはちょっとおかしいのではないかなというふうに考える次第です。  そこで、振り返ってみたい文書がございます。放送事業と産業振興との関係で振り返ってみたい文書。「公共放送NHKに何を望むか 再生と次代への展望」と題された、デジタル時代のNHK懇話会報告書という文書であります。これは二〇〇六年、平成十八年の六月十九日に出されています。放送事業と産業振興との関係で何と述べられていますか。御紹介いただきたいと思います。
  142. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  デジタル時代のNHK懇談会報告書、二カ所にあります。  まず初めの「はじめに」ですけれども、「NHKを含めた放送事業はそれ自体が多様な文化を創造し、行き交わせる社会的装置であり、民主主義社会を豊かに育むために不可欠なインフラストラクチャーでもあって、これを安直な利潤追求のための道具や産業振興策の手段として使ってはならない、ということである。放送と通信がめまぐるしい競合・融合・連携を試行錯誤するなかでこそ、放送の理念、とりわけNHKの公共性の理念の再認識が求められている。」  それから、もう一カ所ですけれども、「懇談会の基本的立場 公共放送はどうあるべきか」というところで、「公共的性格を持つ放送は、産業振興策の道具などではなく、ましてや政争の具などに利用してはならない、ということである。このことはとりわけNHKと民放の当事者、また放送事業に関与する立法・行政当局者の見識としなければならない。」  以上であります。
  143. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 これは非常に重要な指摘だというふうに、私も改めて読んで理解をしたところであります。  デジタル時代の公共放送を安直な利潤追求のための道具や産業振興策の手段として使ってはならない、このデジタル懇の指摘を、NHK会長上田会長、重要だと考えておられますか。
  144. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  デジタル時代のNHK懇談会報告書は、デジタル時代のNHKのあるべき姿を視聴者の視点から捉えたもので、公共放送に対する信頼を確立するためのさまざまな御指摘をいただいたものと認識いたしております。  この御指摘は、放送と通信の融合時代に、目まぐるしくメディア環境が変化することを見据え、公共放送NHKの理念と役割を見誤らないように再認識させてくれるものと考えております。  NHKがこれからも信頼される情報の社会的基盤としての役割を果たしていくために、しっかりとかじ取りをしてまいりたいと考えております。
  145. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 このデジタル懇の報告書は、「放送事業に関与する立法・行政当局者の見識としなければならない。」と、政府に対してもその言葉が向けられています。  高市大臣、この指摘は大事であろうかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  146. 高市早苗

    高市国務大臣 今紹介がありましたデジタル時代のNHK懇談会報告書ですけれども、十年以上前にこの懇談会は当時の会長の諮問機関として設置された懇談会でございます。総務省は参加をいたしておりません。  特に、この報告書に対して、総務省としてコメントすることはございません。
  147. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 この指摘政府に対しても向けられていることを指摘したいと思います。  4Kテレビを買って、またチューナーも買って、それで納得ずくの上で4K放送を楽しまれる方は、それでいいわけであります。そして、現行の2Kのハイビジョンテレビでこのまま東京五輪を見たいという方も、それはそれでいいわけなんです。これはやはり視聴者の判断なんです。  先ほど述べましたように、地デジに移行してまだ間がありません。そして、スーパーハイビジョンの導入は、国民視聴者がみずから判断すべきものであります。これは無理強いしてはなりません。放送事業者も政府もそうです。市場において無理強いをすることがないように、国民合意を基本として進めていっていただきたいと思います。  そして、2K放送が、現行地デジ放送が制約されることがないように、私はしっかりと要求したいというふうに思います。視聴者が決して、この新しい技術のもとで、4K放送のもとで置き去りにされてはいけない。  最後に、上田会長、いかがでしょうか。
  148. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  4K、8K放送につきましては、現在の2K放送と併存することを前提に、視聴者のニーズに応じて無理のない形で円滑な普及を図るもので、全ての視聴者に新たなテレビやチューナー、パラボラアンテナなどの買いかえをお願いするものではありません。  このことを前提に、NHKといたしましては、国や関係事業者、団体などと連携して、視聴者皆様にわかりやすく周知、広報していくことが重要だと考えております。
  149. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 わかりました。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  150. 竹内譲

    竹内委員長 次に、梅村さえこ君。
  151. 梅村さえこ

    ○梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。  日本共産党は、この三年間、NHK予算承認に反対をしてまいりました。それは、籾井前会長が、就任直後から、政府が右と言っているものを我々が左と言うわけにはいかないなどの発言を繰り返し、視聴者国民信頼を大きく傷つけてきたからです。放送法から逸脱する、公共放送であるNHK会長としてあるまじきものでした。  今回、経営委員会は、籾井前会長にかわって上田会長を任命されました。この機に、この三年間をしっかり検証し、今後NHK放送法の精神を発揮して公共放送として発展すべきだ、そういう点から質問を行いたいと思います。  まず、経営委員会に確認いたします。  昨年十月十一日、次期会長を選ぶ指名部会を開かれ、会長の資格要件を変更したかと思います。変更点を読み上げ、御紹介ください。
  152. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  項目を整理して、六項目から五項目に、また並び順を変えたわけでございます。  具体的には、旧資格要件の六番目にありました、業務遂行力があり、説明力があるについて、NHK会長が広く国民から信頼を得られるのは大変重要なことであり、そのために必要なことが皆様に対してきちんと説明する力であるという議論があったことを踏まえて、この二つの要素を一文にまとめました。  また、業務遂行能力が重要なことは言わずもがなではありますが、構想力、リーダーシップを豊かに業務遂行する力は重要なことなので、これを一文にまとめました。  その上で、旧資格要件の三番目にあった政治的に中立であるを二番目にしたわけでございます。
  153. 梅村さえこ

    ○梅村委員 先ほども、田村議員の質問にあり、御答弁もありましたが、ここで一つ確認したいんですけれども、今まで三番目だった政治的に中立であるが、公共放送の使命を十分に理解しているに続いて二番目に繰り上がった。これは、この間の教訓も踏まえて、しっかりと、この政治的に中立であるという要件が、会長要件としてこれまでより一層重視されたというふうに捉えてもよろしいでしょうか。
  154. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  各項目の並び順につきましては、重要性の順という意味を持たせることもありますけれども、最初の二つの項目を大前提となる基本的な重要事項である、あとの三つの項目を専ら本人の資質に関する要素として並べかえたということでございます。  もちろん、政治的中立は極めて大事な基本的事項の一つであり、大切なことでもありますので、順番を変えたわけでございます。
  155. 梅村さえこ

    ○梅村委員 この三年間を検証し、やはり会長放送法理解し遵守するということの重要性、そして遵守することは当然のことだということを改めて申しておきたいというふうに思います。  そこで、質問を少し飛ばしまして、上田会長伺いたいと思います。  上田会長は、前経営委員でもあられました。籾井前会長の発言等をめぐりましては、視聴者から大変厳しい意見NHKにも多数直接寄せられ、さらに罷免、解任要求の運動もこの三年間広がったかと思います。  昨年には、市民団体やNHK退職者有志によって、再任反対を求める要請署名が十一万五千人を超えて届けられたということも聞きました。また、この三年間で、視聴者・市民の活動が広がり、NHK問題を考える会などが各地にでき、二十八団体となっているとも聞きました。視聴者公共放送としてのNHKへの信頼が大きく落ちた状況にもあると思います。ですから、何よりも今、信頼回復が急務だと思います。  上田会長、この三年間、視聴者国民皆さんから厳しい声があったことをどのように重く受け取られているか、お願いいたします。
  156. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  私は、公共放送NHKにとりまして、視聴者国民皆様からの信頼が最も大事だと認識いたしておりまして、この信頼回復のために全力を投入したいと考えております。
  157. 梅村さえこ

    ○梅村委員 籾井前会長の再任にならなかった最大の力は、視聴者国民の声であるというふうに考えます。  それだけに、視聴者国民皆さんは、今、上田会長放送法公共放送に対する姿勢をどのようにされていくのか、このことそのものに大変大きく注視をしているのだと思います。  確認させていただきますが、会長は、就任会見で、自主自律の立場から、公平公正、不偏不党を必ず貫くと決意されました。大変重要な点だと思います。  それで、その自主自律にもかかわってお伺いしますが、NHKオンラインの質問集に、「NHKとはどういう事業体なのか」の問いに対して、「政府から独立した公共放送事業体」との明記があります。NHKはなぜ政府から独立していることが求められているとお考えなのか、その点を御答弁ください。
  158. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKは、広く視聴者国民皆様に支えられる公共放送事業体として、昭和二十五年に制定されました放送法に基づいて設立されたものであります。  NHK政府から独立した事業体として設立されたのは、公共放送の使命として、放送自主自律、公平公正、不偏不党を堅持して放送を行うことが強く求められているからだというふうに認識いたしております。
  159. 梅村さえこ

    ○梅村委員 今、昭和二十五年の放送法の制定に基づきということが改めて強調されました。そうなりますと、もう少し突っ込んで、なぜ自主自律ということがこの機に制定されたのかということでございます。  放送法第一条は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、健全な民主主義の発達に資するようにすることをその目的として定めております。そのためには、あらゆる権力からの自立が求められます。  それは紛れもなく、戦前、社団法人日本放送協会が政府の統制下に置かれ、軍国主義的な世論誘導の国策宣伝機関となって国営放送の役割を果たした痛苦の反省からであります。国営放送として、国家の起こした戦争に加担し、先導役となりました。日本が起こした戦争は、アジア二千万人、日本人三百十万人のとうとい命を奪いました。こうした深い反省から、戦後、NHKは、名称と財産を引き継ぎましたが、国営放送ではなく、政府から自立した、独立した、視聴者一人一人の受信料で支えられる公共放送となってスタートしたのではないでしょうか。  このようなNHKの歴史と戦後の放送法の原点を見ることができると思うが、こういうこともあったということをしっかりと原点として踏まえることはできるでしょうか。
  160. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKとしては、御指摘放送法第一条を含め、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保し、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが公共放送として信頼されるかどうかの生命線であると考えております。  国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持する、この認識で業務の執行に当たってまいりたいと考えております。
  161. 梅村さえこ

    ○梅村委員 戦前のそうしたNHKの果たした役割との関係での放送法はいかがでしょうか。
  162. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  前身の社団法人日本放送協会の時代には、放送内容に対する政府からの指示や検閲などが行われており、こうした歴史的な経緯を踏まえ、戦後、民主主義のもとで自由な放送を保障するために放送法が制定され、現在のNHKの形になったものと承知いたしております。
  163. 梅村さえこ

    ○梅村委員 ぜひそこのところを最初から御答弁いただきたかったというふうに思います。  なぜ政府から自立、独立しているか。やはり、多くの犠牲の上で、NHKの果たす役割が根本的に問われ、放送法としてスタートしたんだというふうに思います。そして、今日、その原点が改めて深く問われている。とりわけ、籾井前会長のもとで、右のものを左と言うわけにはいかない、そういうような発言が繰り広げられてきたもとで、改めて、この原点を大事にすることが大切ではないかということを指摘させていただきたいと思います。  その点で、籾井前会長上田会長も、その任命過程や、総括がこの間どのように行われてきたのかということについても伺いたいと思います。  先ほど質問にもありましたが、議事録などではほとんどこの問題についても明らかにされていないのではないか、不透明感が否めないのではないかというふうに思います。経営委員の中から新会長が選ばれることへの危惧の声も出ております。  視聴者のための公共放送だからこそ、広く視聴者国民の声や意見を反映させた人選の進め方、あり方の改善も、この三年間を振り返れば一層今後求められていくと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  164. 石原進

    石原参考人 お答えいたします。  経営委員会NHKの最高意思決定機関でございます。  会長の選考の過程につきましては、指名部会の概要と要旨、任命議決時の経営委員会議事録及び任命時の会見の模様、こういったものを経営委員会のホームページで公開させていただいております。  個人情報を扱う人事案件でございます、一定の部分は非公開とさせていただいておりますけれども、任命当日の議論等につきましては記載を充実させており、できる限り透明性の向上を図ったと考えております。
  165. 梅村さえこ

    ○梅村委員 籾井前会長に対するさまざまな疑念や声が広がった後だけに、どのように新会長が選ばれていくのかということは国民の大きな関心事だったというふうに思います。  それに対して、やはり公共放送との関係では、情報公開がまだまだ少ないのではないか、もっとオープンにされたNHKになってほしいというたくさんの声があるかと思いますので、ぜひこの点も今後改善を図っていただきたいと思います。そして、常に視聴者国民とともにという視点で経営に当たっていただきたいというふうに思います。  そこで、最後になりますが、その視聴者国民にとって大きな影響を与えるテレビ番組のネット同時配信について、これから聞いていきたいと思います。  上田会長は、就任直後に、常時同時配信が実現した際の負担のあり方や受信料体系のあり方などを諮問し、外部有識者から見解を求めるNHK受信料制度検討委員会を設置されました。今後、どんなスケジュールを予定されておられますでしょうか。
  166. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  会長の諮問機関として、外部の有識者によるNHK受信料制度検討委員会を設置し、先月、二月二十七日に第一回会合を開催したところであります。  委員会におきましては、メディアの環境や社会の環境などの変化を踏まえた受信料制度とその運用のあり方について検討していただきたいというふうに考えているところです。  当面の諮問事項として、一つ、常時同時配信の負担のあり方について、二つ目が公平負担徹底のあり方について、三つ目が受信料体系のあり方についてであります。以上につきまして、七月をめどに最初の答申をいただくことをお願いしているところであります。  その後、答申された内容を具体化するための議論をさらにお願いし、年末までには次の答申をいただくことになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  167. 梅村さえこ

    ○梅村委員 大変急ピッチな取り組みにもなっているようにも思われます。  スマートフォンやパソコンで動画を楽しむ時代であり、放送業界では、テレビ番組のネット同時配信への検討が求められていることも事実だというふうに思います。  同時に、NHKの場合、公共放送の業務として通信をどこまで行っていくのか、視聴者国民負担がどうなるのか、受信料そのもののあり方を大きく問う法整備が必要な問題であり、これはNHK公共放送から公共メディアに転換するかどうかの大変大きな問題だというふうにあります。  視聴者が置き去りにされるような進め方、議論ではだめだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  168. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  受信料制度検討委員会の当面の諮問事項につきましては、二月の会見で、次期経営計画にもある程度反映できるような形で検討をお願いしたいと申し上げたことを踏まえまして、七月をめどに最初の答申をいただくことをお願いいたしました。  この答申を踏まえましてNHKとしての考えをまとめることになりますが、常時同時配信の実施や、仮にその受信者に新たな御負担をお願いする場合には、国による法制度の整備が必要であり、NHKだけで検討できることではありません。  いずれにいたしましても、視聴者国民皆様に御納得していただけるような制度となることが重要であると考えております。
  169. 梅村さえこ

    ○梅村委員 本当にそうだというふうに思います。  それで、もう少しお伺いしたいと思いますが、総務省の放送を巡る諸課題に関する検討会において昨年十二月十三日に出されたNHKの資料を見てみますと、例えば、同時配信の実施に要するコスト(試算)も提出されているかというふうに思います。その内容を御答弁いただきたいと思います。  そしてまた、それに対応する財源についても、「テレビ放送を常時インターネットで見られるようにする際には、それに要する費用の適切な負担の仕組みがあわせて整備される必要がある。その際、受信料制度を毀損しない仕組みとなることが重要」ということで、かなり具体的な資料なども既に提供されているように思いますが、この二点についてお伺いしたいと思います。
  170. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  NHKは、去年、総務省の放送を巡る諸課題に関する検討会で、常時同時配信を可能とするための制度整備を要望した際、そのコストについても御説明を申し上げております。  総合テレビと教育テレビの二波を地域放送を含めて配信することを想定し、一定の条件下で試算した場合の初期投資として、数十億円程度を要するとしております。ただ、これにつきましては、常時同時配信にかかるコストは、配信する信号のビットレート、それから視聴者からのアクセス数、システム構成等の前提条件によって大きく変わってくることが考えられます。  また、ランニングコストですけれども、回線費、減価償却費などを含め、年間数十億円から百億円を下回る規模と想定をしております。また、権利確保のための費用は含んでおりません。  権利処理のあり方等につきましては、情報通信審議会の放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会でも検討が行われているところであります。  それから、受信料制度を毀損しない仕組みということにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、外部の有識者によるNHK受信料制度検討委員会を設置して、その中で答申をいただくことで今検討をお願いしたところでございます。  この答申を踏まえましてNHKとしての考えをまとめていくことになりますけれども、いずれにしても、受信料制度を毀損しない、そうした仕組みが重要でありまして、視聴者国民皆様にまず納得していただけるような仕組みを考えていきたいというふうに考えております。
  171. 梅村さえこ

    ○梅村委員 納得するような仕組みということですけれども、大変、スケジュール感としては早い目標でやられているようなことも感じるわけです。  どのタイミングで、どういうふうに国民的な議論を起こして、どういうふうに国民が納得するような手順にしていくのか、その点が全くここでは不明確な一方で、このコストについては、初期費用で数十億円程度、ランニングコストとして年間数十億円から百億円を下回る、このような数字が先に出てきているわけですね。  そして、毀損しないということですと、これまでの受信料は確保しながら、ネット利用者からどう利用料、受信料を徴収するのかという議論にもなっていくのかなとも思いますし、また、義務化につながらないのかというような、そういう不安の声ももう既に大きく国民の中で出てきている問題です。  ですから、国民的な議論、納得と言われますが、そういうことをどのようにやっていくのかということもしっかりと考えていただきたいというふうに思います。  とりわけ、日本民間放送連盟は、権利処理やインフラ整備の費用など、実施する条件が整っていないのが実情だとして、拙速な制度改正は避けるべきだという態度表明を行っておられるということも聞いております。  こういう状況を全体として見ますと、NHKが非常に前のめりになっているのではないか。  最後にもう一度確認しますが、NHK公共放送であり、主人公は視聴者国民です。国民的な議論、合意を得ることが絶対に不可欠だということでよろしいでしょうか。
  172. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  受信料制度検討委員会での答申を踏まえましてNHKとしての考えをまとめていくことになりますけれども、常時同時配信の実施や、仮にその受信者に新たな御負担をお願いするという場合には、国による法制度の整備が必要となります。NHKだけで検討できることではございませんので、そういったところもきちんと対応していきたいと思います。  いずれにしましても、視聴者国民皆様に納得していただけるような制度となることが重要であるというふうに考えております。  それから、民放連、民放各社、放送各社からの御指摘については我々も十分受けとめておりますので、公共放送と民間放送連盟、放送の二元体制をきちんと維持する中で対応していきたいというふうに考えております。
  173. 梅村さえこ

    ○梅村委員 全国民にかかわることですので、新会長の方からも一言お願いいたします。
  174. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  今、坂本理事の方からお答えさせていただきましたけれども、常時同時配信の実施や、仮にその受信者に新たな負担をお願いする場合には、国による法制度の整備が必要であり、NHKだけで検討できることではないという前提があります。  その上で、視聴者国民皆様に御納得いただけるような制度となることが重要であると私も考えております。
  175. 梅村さえこ

    ○梅村委員 繰り返し、仮に負担をお願いする場合にはというようなのがいつでもついてくるんですけれども、まだ負担するということについて国民は納得していないわけですし、そういう議論もないわけですから、負担をするということを前提にするような、結論先にありのような議論はぜひ避けていただきたい。やはり公共放送として、通信との融合というのが大きな課題ですけれども、どうあるべきなのかということを、受信料も含めて、根本的にしっかりと国民的な議論を行う中で進めていただきたい。  そして、NHKは、放送法を遵守し、視聴者国民を何よりも大事にし、放送事業者として役割を発揮していただくことを最後に強く求めて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  176. 竹内譲

    竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  177. 竹内譲

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。足立康史君。
  178. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きょうはNHK予算審議ということで、大臣に加えて、上田会長にお越しいただいています。よろしくお願いします。  日本維新の会は、去年も予算には賛成をしておりますので、ことしも賛成という方向で準備をしてきております。  その上で、去年の予算審議では、そもそも、きょう、これは録画をされて、NHKでまた放映をされるということだと思いますが、夜中ですよね。多分私のこの部分は、ちゃんと整理していませんが、遅い時間、二時とか三時かな、ちょっとよくわかりませんが。去年はそれを、けしからぬとか言って、もっとちゃんとした時間に放送してくださいとかいうことを申し上げましたが、そういうやぼなことはことしはやめて、もうちょっと中身の話をさせていただきたいと思います。  上田会長、お越しをいただいているわけですが、きょうテーブルにのっているこのNHK予算、来年度の事業計画ですが、これは一応、大臣意見をつけて国会に提出をいただいているわけですが、その提出した側、NHKの側から見て、これは端的に言って何点ぐらいのできばえですか。ちょっと。
  179. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  平成二十九年度の予算、事業計画は、経営委員会による議決のときに、メディア環境の変化に柔軟に対応するための予算、事業計画であると御評価をいただいているものであります。執行部経営委員会で真剣に議論を重ね、責任を持って遂行できる内容の計画になったと認識いたしております。  今後の課題は、視聴者皆様NHKに期待することにしっかりと応え、信頼を確立していくことであると考えております。特に、放送と通信の融合時代の放送サービスのあり方や、日本のさまざまな地域と世界をつなぐ国際発信力の充実強化につきましては、急ぎ検討してまいりたいと考えております。
  180. 足立康史

    足立委員 何点と聞かれても答えられないのはわからないではないですが、本当は百点と言っていただきたかったんだけれども、多分いろいろな、NHKもフリーハンドではないわけでありまして、さまざまな制度、規制の体系の中で、制約の中で事業をされておられるわけですから、点数がつけにくいというのもわからないではありません。  そうした意味では、私は、この来年度事業計画、来年度予算、これももちろん大事でありますが、さっき申し上げたように、これは反対するものでもないので賛成ということになりますが、むしろ、今私が本当にNHK皆様あるいは総務省としっかり議論をしていきたいと思っているのは、実はこの一年の取り組みなんですね。  なぜかといえば、御承知のとおり、ことし一年かけて、次の三年、三カ年の経営計画がつくられていくわけでありまして、年末かな、にまとめられると承知していますが、そういう意味では、これから、今会長がおっしゃった放送と通信の融合、こういう大激動の中でどういう公共放送をつくっていくのか。これを決めていく、考えていく、この三年計画というのは、ほとんどこれからの未来を決める。三十年、五十年のNHKのあり方さえ左右しかねないんですね。大変重要な一年である、こう思っているわけです。  今さっき私は制約と申し上げましたが、NHKがいろいろな受信料検討委員会とかそういうのをやられるのと並行して、総務省も検討会を開いています。何か、検討会がどういうふうに進捗していて、あるいはどういう法律がいつごろ出てくるのか、なかなかはっきりしないところもあるわけですが、きょうはNHK皆さんおいでいただいていますから、この際ちょっと総務省に、こうしてくれよと。こういう総務省に対する要望を平場で、どこかでやるんじゃなくてこの場で、総務大臣いらっしゃいますから、ぜひ、この一年の総務省での検討、これだけはやってくれよなというのがありましたら御紹介をください。
  181. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  昨年の六月二十四日に開かれました総務省の第九回の諸課題検討会で、NHKからは、テレビ放送の定常的な同時配信、常時同時配信を可能とする制度整備について検討をお願いしたところであります。  それを受けまして、昨年九月の第一次取りまとめに要望があった旨が明記され、昨年十二月の諸課題検討会で、同時常時配信の対象として想定するサービスについてNHKから御説明を申し上げたところであります。  今後につきましては、諸課題検討会での議論の進展を見ながら、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  182. 足立康史

    足立委員 同時配信、これは報道もいろいろされていますし、各委員の方々も御質問されていて、ある程度このテーブルにのってきているわけでありますが、せっかくの機会なので、今一点、最大の柱、同時配信の話を御紹介いただきました。あと一つ二つないですか。
  183. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  第一次取りまとめの際の意見募集に当たりまして、スーパーハイビジョン、4K、8K放送を普及させていくには、受信のための周知啓発活動と受信環境整備に国と関係団体が連携して取り組む必要があるというふうに考えます、このような取り組みに対しては、国において適切な支援を実施することが適当と考えますという意見を表明しております。スーパーハイビジョンに関してであります。
  184. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  いろいろあると思いますが、まずは、既に総務省にもおっしゃっているとおりでありますが、そういう要望を総務省にお示しになられていると。  これは、私たちは国会予算承認したり、こういうことはあるわけですが、不合理な部分についてはいろいろ野党の皆さんも追及したりされてこられていますから、国会でももまれるわけですが、総務省のある種の規制、安倍政権は岩盤規制を破っていくということですから、事業者の皆さんNHKも事業者です、その事業者が、あるいは放送事業者、広く放送事業者がNHKを初めとしてさまざまにサービスを展開していく上で必要な規制改革、これは我々も応援していきたいと思っているんですね。  ところが、残念なことに、NHK受信料検討委員会ですか、この中間答申というのは何か七月になると聞いています。これは国会が閉じちゃうんですね。特にことしは都議選がありますから、確実に閉じます。僕らは余り手伝わなくていいということかもしれませんが、もうちょっと国会開会中にできないんですか、これ。ちょっと変な質問ですけれども。
  185. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  NHK受信料制度検討委員会につきましては、当面の諮問事項としまして、常時同時配信の負担のあり方について、公平負担徹底のあり方について、受信料体系のあり方について、七月をめどに最初の答申をいただくことをお願いしているところであります。  三つの諮問事項につきましては、いずれも極めて重要なテーマでありますし、NHKとしては、丁寧かつ精力的な検討をお願いしたいと考えているところであります。  なお、検討の状況につきましては、NHKのホームページ、あるいは議事要旨や会議資料を公表するなどして、適宜説明してまいりたいというふうに考えております。  以上であります。
  186. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  ぜひ、私たちも、単なる追認機関ではなくて、これから本当に通信と放送、激動の時代ですから、この放送と通信をめぐる激動の時代をどういうふうに国は持っていくのか、これは大切な議論だと思っていまして、総務委員会総務委員の一人としてしっかり意見を申し述べていくつもりであります。  ここまでが前置きでありますが、ちょっと具体的な中身について幾つか、二、三、きょうはあとの時間を使わせていただきたいと思います。  一つ私が、既に委員の方で取り上げられた方もいらっしゃいますが、NHKのワールドTV、これは大変重要だと思っていますが、どうも伺っていると、衛星を通じて全世界にこのNHKワールドを発信されている、これは大変重要なことだと思うし、世界じゅうの方がこれをごらんいただいている、もっともっといただかねばならないし、それにふさわしい内容を送り出していかなあかんと思っていますが、残念ながら、国内の電波に乗っていませんね。これは、NHKからいうと、何で国内の電波に乗せないんですか。
  187. 坂本忠宣

    坂本参考人 お答え申し上げます。  NHKワールドTVは、国際番組基準にのっとって番組を制作してきております。日本を訪れる外国人の方、日本に住んでおられる外国人にNHKワールドTVを見ていただく意義はあると考えているところです。総務大臣の認可を得るなどして国内のケーブルテレビ局にNHKワールドTVの番組を提供し、国際放送の周知広報という位置づけで、外国人の方に視聴していただく取り組みを行っているところです。  ただ、災害時の放送のあり方や番組準則が、国内放送、国際放送というところで異なっていることから、その辺に大きな課題があるというふうに認識しているところであります。
  188. 足立康史

    足立委員 今さらっとおっしゃいましたが、課題はあると。  これは、実は若干、事務的にも議論しました。私はそれほど総務委員会も長くありませんので、そういう意味では先輩委員皆様からすれば素人でありますが、これは普通に考えれば、NHKワールド、今これだけグローバル、それからインバウンドだとか、あるいはいろいろな日本の文化を発信していくんだと言っているときに、何でこのNHKワールドを国内の電波に乗せていないのか、不思議なんですよね。  今ちょっとおっしゃった国内放送と国際放送で、これは国際放送だからという、何かそれを国際放送というある種枠組みに閉じ込める必要は全くなくて、しっかり国内の電波に乗せたらいいと思うんですけれども、大臣、どうですか。
  189. 高市早苗

    高市国務大臣 NHKワールドTVは、外国で受信されることを目的とした国際放送でございますけれども、それでも国内で視聴したいというニーズも大きいと私は思っています。  例えば、訪日外国人は増加を続けておられて、訪日の機会を捉えて多くの訪日外国人がNHKワールドTVをごらんいただくということになれば、またその普及につながると思いますし、英語を勉強されている方が日本人の方でごらんになるというのも大変意義深いと思います。  今、現行の放送法でも、NHKワールドTVの放送番組につきましては、二十四時間常時同時配信が可能でございますので、インターネット配信もしていただき、また、今御説明がありましたけれども、国内放送事業者を通じて国内放送も行っておりますので、引き続き、国内での視聴機会の拡大に努めていただきたいと思っております。  周波数を新たに国内放送のために割り当てるかどうかという話でございますが、これも真に国民視聴者全体の利益になるのかといった点や、NHKの肥大化や民業圧迫にならないかとか、さまざまな論点もありますので、ここは慎重に検討し、できるだけNHK皆さんには視聴機会を大きくしてほしいということはお願いをいたしているところです。
  190. 足立康史

    足立委員 正直余りしっくりこないというか、私が大臣のお立場でも同じようにしか今の段階では答えられないと思いますが。  しかし、インターネットとか、あるいは国内のケーブル事業者に乗せると。いや、それはやったらいいんだけれども、それを言い出せばもう通常の地上波は要らないということになりますから、地上波というか、電波に乗せる必要はないということになりますから。  やはり電波というのがあるわけですから、電波に乗せてやればいいじゃないかというのが普通の発想だと思うんですよね。それを、今までは国際放送だからこれは外向けだということになっていたんだけれども、僕らだって、どういう放送を世界の皆さんが、日本の公共放送NHKNHKワールドでどういう情報が世界に流れているかを知らずに、世界の人と交流できませんよね。  さっき大臣がいみじくもおっしゃったように、これだけインバウンドでまた交流して入ってきて、出ていくわけですから、戻られ、帰られるわけですから、海外と同じように国内でも電波でしっかりNHKワールドが見られるというのは、なぜそれをやっていないのかということから、最初は私は不思議だなと思ったわけです。  大臣、これはもうちょっと前向きに、現状はそういうことはわかりますよ、現状はわかりますが、この際ですから、電波も、この後ちょっと電波の話をやりますが、可能だと思いますよ。  大臣は今、肥大化ということをおっしゃいましたが、私は、NHKのこれからのあり方を考えていくときに、NHKが本当にやらなあかんところの最大のポイントは一つこれだと思いますね。だって国際放送ですから。NHKが、どこの国でもそうですよ、公共放送が、世界に向けて、その国を代表してさまざまな情報を発信しているわけですね。これぞNHKが本来やらなあかん仕事の最たる柱の一つであって、そこをちゃんとやることをもって肥大化だとか、そこをちゃんとやることをもって民業圧迫だとか言う必要は、僕は全くない。むしろ、ほかにいっぱいありますよね、やめてもいいこと。余りあれですけれども。  大臣、もう一声ないですか、もう一言。ちょっと、検討するぐらいでいいですよ。
  191. 高市早苗

    高市国務大臣 もう一声はございませんが、NHKが番組提供している有線テレビジョン放送事業者、現在三十社でございます。視聴機会の拡大を期待いたしております。できるだけ多くの場所で見ていただけるように、国内でもちろん多くの方々に見ていただけるようにということで、今できる範囲での対応をお願いしているところでございます。
  192. 足立康史

    足立委員 今、放送と通信の融合ということで、大激動の時代ですから、その中でどう考えるのかということもあるかもしれませんが、私は、今やらずしていつやるかと思っています。だから、しばらくこのNHKワールドの、国内の電波に乗せる、これはちょっとしばらく執着してやっていきたいと思いますので、嫌がらずというか、懲りずにまたおつき合いをいただきたい、こう思います。  こういうふうに議論をしていったときに、では、電波はどういう状況なのかということです。もちろん、このNHKワールドを国内の電波に乗せるべきだというのは私が勝手に言っているだけで、NHK皆様も、まあ言われてみればそうかぐらいだと思うんですね。それはそれでいいですよ。本当にこれは必要ないのか、必要あるのか、これは国会でまたしっかり総務大臣議論していきたいと思いますが、電波行政に何か要望ないですか、この際。きょうは部長もお越しいただいていますから、ちょっと電波行政への要望をお願いします。
  193. 森永公紀

    ○森永参考人 お答え申し上げます。  NHKでは、V―LOW周波数帯を活用し、AMラジオの難聴対策や津波対策のため、FM波による中継局設置を積極的に進めているところでございます。  しかし一方で、NHKには、都市部の難聴対策などとしてラジオの親局を補完する、FM波を使った大規模中継局の設置が認められておりません。  災害時における公共放送の使命達成と視聴者の利便性を鑑み、民放ラジオ社と同様に、NHKでも大規模な中継局の設置が可能となるよう、周波数の割り当てを国に要望しているところでございます。
  194. 足立康史

    足立委員 今おっしゃったことは、さらっとおっしゃっていますが、この図、委員皆様にもお配りをしていますが、これはまさに、この右上の緑の方にV―LOW、マルチメディア放送と書いていますね。それから、その下のところにV―HIGH、マルチメディア放送と書いています。この辺は、いつでしたか、二〇一一年のころだったと思いますが、いわゆるアナログ停波であいた空き地なんですね。ここについて、御承知のとおり、マルチメディア放送、これはマルチメディア放送自体、私、ちゃんとやっているのかなというところがありますが、きょうは時間の関係で余りそこは深掘りしません。  恐らく今おっしゃったのはここですね、ワイドFM、FM補完放送というところだと思いますが、そうですね。ここの大規模中継地ですか、NHKは、NHKのAM放送を、超短波というんですか、いずれにせよ、このFM補完放送の領域をしっかり割り当ててもらって、災害時なんかにしっかりとAMがFM基地経由で流れるというようなことを確保したいんだということだと思いますが、総務大臣、これは今は総務大臣がいいのか誰がいいのか、電波部長でもいいですよ、どうですか、これはなぜ認めていないんですか。
  195. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の地デジの跡地のV―LOW部分につきまして、V―LOWマルチメディア放送といわゆるワイドFMと呼ばれるFM補完放送が両立するような周波数の割り当てを工夫しているところでございまして、先生御指摘のFM補完放送、AMのFM補完の九十から九十五メガヘルツをどういうふうに割り当てるかということにつきましては、三年前に方針を定めてございます。  この中で、NHKのAM放送の親局と言われている部分は非常にパワーが強うございまして、これに全部周波数を割り当てますと、民間のAM補完が全くできなくなってしまうという事情もございまして、ラジオにつきましては、NHKさんはAMで既に二波持っている上にFM波も所有しておられるという事情もございましたので、今回は、民放のAM親局あるいは中継局のFM補完を優先しまして、NHKにつきましては、都市型の難聴がひどいところ、あるいは災害対策という場合の中継局の補完については、周波数の範囲内で割り当てることというふうにしたところでございます。
  196. 足立康史

    足立委員 現状はそういうことだということですが、何とかなりませんか。  さっき余り詳しくは紹介しませんでしたが、既に割り当てているV―LOWとかV―HIGHのところをまた剥がせといっても苦しいのかもしれませんが、ただ、国民が期待しているほど、ここの領域での跡地利用が進捗しているわけではないと私は思いますよ。それは誰の責任かと、別に総務省の責任じゃなくて民間の責任かもしれません。  しかし、限られた電波の有効利用という意味では、私は、これだけ質の高い空き地がアナログ停波でできた、その跡地利用を今の形で関係事業者に割り当てたまま、国民の利益という意味では、恐らくNHKがさっきおっしゃったところというのは、僕はプラスになると思うし、国民の利益になると思いますよ。  ぜひこれは、FM補完放送について、ちょっと何とかなりませんか。
  197. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  このAMのFM補完に充てております九十から九十五メガヘルツにつきましては、今、民間によるFM補完の中継局、親局の整備が進んでいるところでございますので、その中ではまたコミュニティー放送の置局の割り当てもやってございまして、そういった民間の敷設状況をあわせて、隣接しますV―LOWマルチメディア放送の普及状況、そういったことも踏まえまして、NHKさんから三年前からずっと要望が出されているというのは私どもも承知しております。  そういった民間の進捗状況等もにらみ合わせながら、引き続き、NHKさんの親局部分のFM補完の必要性ということについては私どもも十分認識をしているところでございますので、どういうやり方があるのかも含めて、普及状況を見ながら、よく検討させていただきたいと思っております。
  198. 足立康史

    足立委員 ぜひこれは認識をさらに深めていただきたいですね。ついつい、この国会でいろいろな勢力、勢力というか政党がNHKのことをいろいろ批判して、何か肥大化だとか甘えているとかいろいろ言うかもしれません。確かに、受信料で成り立っているわけですから、緊張感を持ってやっていただかなあかんのですが、NHKがやらなあかんところというのはやはりあると思いますね。だから、めり張りをつけて、本当にNHKが柱として推していくところは、総務省を押し倒すぐらいの思いでちゃんと要望もして、電波行政についてはやはりまだまだ議論の余地があると思うので、私、これはちょっとこだわってやっていきたいと思います。  問題意識は共有していただいているということですので、一旦これはおきたいと思います。  大臣、こういう電波の有効利用というのは、今もう十分に、アナログ停波して、いろいろな形でやっていますが、電波の有効利用という問題は、既に今有効なのか、まだやることがある課題はあるのか、どうですか。
  199. 高市早苗

    高市国務大臣 今取り組んでおりますのは、4K、8Kといった新しい放送サービス、4G、5Gといったモバイルサービス、さらにはIoT、自動走行など、さまざまな分野で電波利用のニーズが高まっています。特に使い勝手のよい周波数帯を中心に、電波の利用も逼迫してきています。  新しい通信・放送サービスをしっかり実現するためには、電波の一層の有効利用を進めるということが必要不可欠になっていると思っております。
  200. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  もう時間が二、三分しかないのであと一つで終わりますが、今大臣がおっしゃった4K、8K、先ほども田村委員からこういう資料を出されて、チューナーが入っていないんだとかアンテナがどうだとかいう、これも何でまだチューナーが入っていないんですか。技術規格がまだ整備されていないからですか。それは何か理由ありますか。誰がわかるかな。なぜまだチューナーが入っていないか。
  201. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  来年十二月から4K、8Kの本放送の開始が予定されてございまして、実は、その4K、8K放送のコンテンツの適正な保護を図るという観点から、私どもで三年前に新たな暗号化方式と言われるものを技術基準として採択したところでございます。  現在、これを受けまして、放送事業者の皆さんとメーカーさんとの間で新しいCASの協議会というものをつくって、民間におきまして、運用ルールでございますとか細かい技術的な仕様というものを含めて、今、最終的な調整の段階だと。これが決まりましたら、チューナーですとか新しい受信機の開発が進んでまいる、こういうふうに期待をしているところでございます。
  202. 足立康史

    足立委員 CASについては、B―CASが破られたということで、新CAS、これを整備されているということですが、加えてもう一つ、いわゆるダビング、コピーの話がございます。  これは、もうダビング10で決まっているということか、これから、まだ未定か、どっちですか。
  203. 南俊行

    ○南政府参考人 お答えを申し上げます。  放送に係りますコピー制御方式というのは、民間の規格として定められるところでございますが、4K、8Kの衛星放送につきましては、今の地デジと同様で、コピーフリーかまたはダビング10、いずれかを選択するという民間技術規格が既に決まっているところでございます。  先生から録画禁止の規格の導入について以前からお尋ねございましたが、これについては一切議論は進んでございませんので、今のままであると録画禁止は運用されないことになるというふうに理解をしてございます。
  204. 足立康史

    足立委員 時間を超過いたしましたが、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  205. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  206. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  上田会長のもと、新たなNHKの執行体制が船出をいたしました。放送と通信の融合、センターの建てかえ、さらには依然として続く不祥事への対応など、公共放送NHKの今後が問われる中での出発です。  上田会長は、就任会見で、まさにこの瞬間から全力疾走できると決意を述べられておられました。会長一人に全力疾走させることなく、経営陣そして職員の皆さんが一体となって前へと進む三年間にぜひしていただきたいというふうに思います。  さて、前会長の就任会見で、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないという発言に端を発し、この三年間、NHKと政治との距離感、放送法に対する認識が問われ続けてまいりました。  そこで、上田会長にまずお聞きをしたいというふうに思います。  放送法の一条の二、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」並びに同四条の二、放送番組の編集に際し、「政治的に公平であること。」について、会長の認識をお聞かせいただければというふうに思います。  NHKのホームページを見ますと、「放送法公共放送」というページがありまして、そこで「NHKの行っている「公共放送」という仕事は、政府の仕事を代行しているわけではありません。「国営放送」でも、「半官半民」でもありません。 放送法は、NHKがその使命を他者、特に政府からの干渉を受けることなく自主的に達成できるよう、基本事項を定めています。」と解説をされておられます。  こうした点も踏まえて、答弁をよろしくお願いしたいと思います。
  207. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  NHKとしては、御指摘放送法一条及び四条を含め、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保し、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが公共放送として信頼されるかどうかの生命線であると考えております。  国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持する、この認識で業務の執行に当たりたいと考えております。
  208. 吉川元

    ○吉川(元)委員 関連して、高市大臣に尋ねたいというふうに思います。  今回、NHK平成二十九年度予算に付された総務大臣意見、その中で、国内放送番組の充実に関して、こういう記述があります。「地方創生の観点から、地域の関係者と連携することにより、地方の魅力の紹介及び地域経済の活性化に寄与するコンテンツの一層の充実及び国内外に向けた積極的発信に努めること。」こういうことが記述をされております。  地方局の機能強化、あるいは地方が発信する情報番組などの充実の必要性、これは私も全く同じ意見であります。ただし、非常に気になるのは、この大臣意見の中の「地方創生」という言葉であります。これは、一般の普通名詞というよりは、安倍政権が推し進める政策の柱の一つ、そういう意味でいいますと、政府の政策用語だというふうに私は思っております。  普通に地方の活性化のためにということであれば別に問題ないんですが、わざわざこの普通名詞ではない固有名詞、そして政策用語である地方創生の観点から放送番組の充実を求めること、これは、まかり間違えば、政府の施策に基づいて番組編集を行うことを求め、放送法による放送の不偏不党、表現の自由の確保や放送番組編集の自由を侵す、あるいは侵すものと受けとめられても仕方がないのではないかというふうにも感じております。  ちなみに、昨年は、「地方の創生」でありました。「の」が入っておりました。ことしはこの「の」すら落ちて、「地方創生」というそのままの言葉が使われております。  この言葉を使わなくても言わんとすることは十分理解されるというふうに思いますので、こうした言葉は大臣意見の中では使うべきではないというふうに思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  209. 高市早苗

    高市国務大臣 地方創生という言葉は、国会で成立したまち・ひと・しごと創生法に基づいて、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生することを目指すという政府の重要政策でございます。国は関連施策を策定、実施する責務を有しておりますので、総務大臣意見に「地方創生」という言葉、文言を用いたことに私は何ら問題はないと思っておりますし、自民党政権でなかった時期におきましても、例えば、総務大臣意見に「成長戦略の推進に寄与するよう、」など、当時、国が実施すべき政策と同じ文言を使っているケースはございます。  NHKにおかれては、放送法第八十一条第一項第二号の規定によりまして、「全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。」ということになっておりまして、この規定も踏まえて、NHKでは、平成二十九年度事業計画において、地域に密着したニュースや情報番組、きめ細やかな生活情報番組、地域の課題やすぐれた取り組み等を深く掘り下げる番組等を編成し、地域の安全、安心と活性化に貢献する、地域からの全国発信を積極的に実施するといった取り組みを実施することになっています。  総務大臣意見では、「地方創生の観点から、」と申し上げた後に、「地方の魅力の紹介及び地域経済の活性化に寄与するコンテンツの一層の充実」「国内外に向けた積極的発信」と述べています。  これは、放送法規定によりNHKに求められている役割、そして、それらを踏まえたNHKの事業計画が、地方創生の観点から有意義であると考え、積極的に前に進めていただき、我が国の地方創生に貢献していただきたいという思いのもとに盛り込みました。  政府が進める地方創生の個別の政策の内容について何か番組で取り上げていただくといったようなことをお願いしたものではなく、政権による放送番組への介入といった類いのものでは決してございません。
  210. 吉川元

    ○吉川(元)委員 決して介入ではないと言われますけれども、言われている「地方創生の観点から、」の後の話、私は別に、これはだめだと言っているわけではなくて、要は、この言葉は別段、どうしてもなければいけない言葉ではないですし、あえて入れるということは、いろいろな思惑があるのではないかというふうにも私は感じざるを得ませんので、その点だけ指摘をさせていただきたいというふうに思います。  さて、NHKでは、子会社を含めその不祥事が、残念なことではありますけれども、続いております。新会長就任後も、受信料着服事件、あるいはタクシー券の不正使用、さらには地方記者による女性への暴行事件も明るみになりました。全てNHKの体質というふうには私も考えませんが、しかし、子会社も含めたガバナンスやコンプライアンスの強化は、受信料で成り立つNHKにとっては避けて通ることのできない課題です。  今後のあり方についてのお考えをお聞かせください。
  211. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  横浜放送局の営業部職員が受信料の返戻手続を悪用し着服していた事案につきましては、公共放送への信頼を著しく損ねた責任は極めて重く、皆様に深くおわび申し上げます。  受信料の返戻処理が悪用されたことから、過去二年間の全国の返金データおよそ百九十万件を調査いたしました。結果として、横浜局の事案以外には不正な返金処理はなかったと考えております。再発防止のため、返金手続のルールを変更するとともに、審査の強化をすることにいたしました。さらに、本部一括で定期的に不正をチェックする仕組みを新設することにいたしました。  不祥事が後を絶たないことに対しましては、大変遺憾であります。ルールやチェック体制のあり方や倫理教育を抜本的に見直したり、不祥事を起こさせない業務の仕組みを根本に立ち返って考えるなど、総合的な対応策の検討に着手したところであります。  改めて、組織の隅々にまでコンプライアンスの意識を根づかせ、公共放送の使命と役割をしっかり果たしてまいりたいと考えております。
  212. 吉川元

    ○吉川(元)委員 子会社含め職員一人一人の自覚を促しモラルを高めること、これは精神論を説くだけではなかなか私は実現をしないというふうに思います。  組織のあり方、例えば採用でありますとか職員の育成、本社と地方局、あるいは子会社、外部委託との関係、そして職員の配置の観点などからもいろいろと見直していくことが必要なのではないかと思います。  そして、何より大切なのは、やはり職員のモチベーションだというふうに思います。そうしたモチベーションを高めていくこと、これがやはり必要ではないかということを指摘させていただきたいと思います。  次に、NHK放送センターの建てかえに関して質問いたします。  昨年八月三十日の経営委員会で、放送センター建替基本計画が最終的に了承されました。現在地で建てかえを進め、工期を二〇二〇年からの十六年間、想定建設費一千七百億円というふうになっております。  従来の計画は、建設経費千九百億円に加え、機械、設備経費が一千五百億円と見積もられておりましたが、最終的な基本計画では、放送設備の費用については、将来の放送サービス内容が不確定だということで、具体的な金額が示されておりません。  まず、どのようにしてこの放送設備の確保をしていくお考えなのか、お聞かせください。
  213. 大橋一三

    ○大橋参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、新放送センター放送設備につきましては、4K、8K、スーパーハイビジョンやインターネットを活用した業務を初めとする将来の放送サービスのあり方、それから、技術革新を踏まえ、新時代のNHKにふさわしい設備内容について現在検討を進めているところでございます。  放送センターの建てかえは工期が十六年と長いことから、設備の整備に当たりましては、放送センターの建てかえのスケジュールにタイミングを合わせまして、現在の放送設備の更新整備という形で段階的に実施してまいりたいと思っております。これによりまして、一時期に投資が集中することのないよう設備投資の平準化を図りまして、毎年度の設備投資の計画の中で基本的に整備していく方針でございます。
  214. 吉川元

    ○吉川(元)委員 これは以前説明を伺った際にも尋ねたことなんですけれども、4K、8K、これからいろいろな技術が出てきて、さらにそれを乗り越えるような技術も出てくるかもわからない。そういう中にあって、今現行のいわゆる2Kの放送は依然として続くわけであります。  としますと、2Kを流しながら、今ほとんどの設備は2K対応だと思いますが、これが減価償却でしていく、それに加えて新たに4K、8Kの設備投資もしていかなければいけない。そうなりますと、説明を聞くと、これは減価償却等々で対応をしていくということでありますけれども、どうやってもこれを二つ、二倍とは言いませんけれども、そのぐらいの設備が必要になってくるのではないかというふうにも思います。  いろいろな方に聞きますと、4K、8K等々、非常に高画質の機材というものは価格も非常に高価格であるということで、ここから先、技術革新によってどのぐらいそれが安くなるかはなかなか想定しづらいことではありますけれども、いずれにしても、今おっしゃられた放送設備見通し、これは、減価償却の範囲を大きく上回るようなことが確実になった場合、財源の確保というのはどのようにお考えなんでしょうか。
  215. 大橋一三

    ○大橋参考人 御指摘のとおり、4K、8Kなどの放送設備につきましては、現時点では確かに高価なものではございますけれども、技術革新、量産が進むことで、徐々に、十六年の間には低廉化も進むということも想定をされます。  しかし、現段階でどの程度になるかというのを見通すのは極めて困難でございますので、基本的には、先ほど申し上げましたとおり、減価償却費等を使って、できるだけ今の設備の更新という形をとる形で、平準化を図ってまいりたいと思っております。  ちなみに、現在、NHK設備投資は各年度八百億円から九百億円規模で行っておりまして、この中で放送設備の更新を毎年実施しております。今後、年によりましては投資額が膨らむ年も確かに出てくるとは思いますけれども、一度整備をいたしますと、それらの減価償却がそこからまた始まるという循環がございますので、現段階では、そうした設備投資の循環の中で何とかやっていけないかということで検討しているところでございます。  仮に、減価償却費だけで賄えない場合は、現在も設備投資の一部は繰越金の中から一部充てるというやりくりもしてございますので、今後、長期の中で、そうしたやりくりの中で実施をしていけないかというふうに現段階では考えているということでございます。
  216. 吉川元

    ○吉川(元)委員 来年度予算を見ますと、建設費の中で4K、8K設備の整備に百四億円が必要ということになっております。建設費全体の一二%程度を占めるに至っております。  先ほど、繰越金の中からお金を入れるというふうに言っております。実際に、次年度の予算を見ますと、ここから百二十五億円を建設費に入れるということ、4K、8Kの百四億円と比較的近い数字でありますけれども、百二十五億円を入れるということになっています。残りが、繰越金、もう七百億円しかありません。  そうすると、このペースでいくと、あと五、六年で繰越金が尽きてしまう。そのころには減価償却がだんだんふえていって、確保できるんだとおっしゃいますけれども、ことしの予算、事業収支を見ますと、減価償却七百四十四億円、これが例えば来年度の建設費八百九十八億円と同額にまで膨れ上がったとすると、事業収支、赤字になってしまうのではないんですか。この点、どういうふうにお考えなんでしょうか。
  217. 大橋一三

    ○大橋参考人 お答え申し上げます。  今年度、百二十五億を繰越金から取り崩したのは、まさに4K、8Kの設備整備に充てるために取り崩してございますけれども、基本的には、これまでの建設投資のうち八割から九割は減価償却費で賄ってきてございますので、今後、毎年百二十五億程度を繰越金から取り崩すということではございません。  年によって多分、先ほど申し上げましたように、取り崩しをして、一部、投資額が膨らむ年もあるかとは思いますけれども、先行きの価格が見通せない中でなかなか確定的なことは申し上げられませんけれども、今我々が考えているのは、基本的な方針として、通常の建設投資の中で毎年の投資の平準化を図ってやりくりできないかということを、今、方針として、そういう方針で進めたいというふうに考えているということでございます。
  218. 吉川元

    ○吉川(元)委員 技術が進歩していく中で、機材も含めて価格が安くなっていくことは可能性としては考えられますが、ただ、デジタル放送が完成してまだ間がないという中で、そういう中で新たに4K、8Kというふうに突き進んでいったときに、2Kをやめて4K、8Kに移るというのであれば、私はそれは賛成はしませんが、いわゆる減価償却の中で見ていけるというふうに言えるかもわかりませんけれども、2Kも引き続き継続をしながら、二重の意味設備投資をしていかなければいけない、そういう点でいうと、この先果たして本当にこれでいけるのか。  その結果として、放送体制が毀損するようなことがないように、また、お金がなくなりましたから受信料を上げますなんという話が起こらないように、しっかりその設備投資の計画については万全の注意を図っていただきたいというふうに思います。  さて、来年度の事業計画重点事項でトップに掲げられているのが、判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実させるということでありますが、その際に、現行の職員配置が最適なのかどうか、これはぜひ考えなければいけない課題だというふうに思います。  NHKの職員数を見ますと、一九七九年が一万六千九百二十人、二〇一七年は一万三百三人。数にして六千六百人、率にして四割もの人員が削減をされております。  その間、衛星放送が一九八九年にスタートいたしまして、また、放送の時間も、かなり遅くの時間まで、ほぼ二十四時間に近い形で放送がされている。コンテンツの数も飛躍的にふえているはずです。  もちろん、この間、いろいろなITの技術の進歩で省力化が図れる部分もあるとは思いますけれども、やはり、それにしても、正確な報道あるいはコンテンツの充実を実現するのに、果たして今の職員数で十分なのかというのは疑問に思わざるを得ません。  東京オリンピック・パラリンピックを想定して、今年度は三十一人、来年度は三十人の職員を増員する計画ですけれども、説明資料には「一時的な増員」とされております。そういう意味でいうと、正確な報道、コンテンツの充実の実現に向けて、今後の職員配置、大切だと思いますけれども、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  219. 根本佳則

    ○根本参考人 お答えいたします。  NHKは、先生御指摘のとおり、昭和五十五年度以降、組織、業務全般にわたりまして構造改革に取り組み、効率的な要員体制の構築を進めてきたところでございます。  平成二十七年度からは、将来にわたり公共放送の使命を果たすために、二十七年度の要員数を維持しながら、抜本的に業務を見直し、要員シフトを行うこととしました。これによりまして、取材、制作力の強化や国際発信、ネット展開、スーパーハイビジョンなど、新サービス対応も含む重点業務に要員を配置しております。  また、三年後の東京オリンピック・パラリンピックでは、最高水準の放送サービスの実現に向け、二十八年度、二十九年度で六十一人の増員をしております。  今後も、時代の変化を踏まえながら、質の高い放送サービスを提供し続けるように、柔軟に要員体制を構築していきたいと考えているところでございます。
  220. 吉川元

    ○吉川(元)委員 もう一つ、職員の処遇について少しお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、私の意見だけ簡単に述べさせていただきたいと思います。  二〇一三年度から五年かけて職員の給与一割削減をさせる給与制度改革が、一七年度に期限を迎えます。会長就任会見の中で、一人一人のやる気の総和を極大化するということをおっしゃられておられます。ということは、やはり今、業務もふえている、そういう中で、四十年ぐらい前に比べれば四割もの削減、人が減らされているという中にありますので、職員のモチベーション、やる気、しっかりと出るような、そういう処遇についても考えていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。  続いて、地方局の機能について伺いたいと思います。  放送法の第一条の一、「放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」ということがありますが、言わんとすることは、人口や日本社会の中枢機能が集中する都市部だけではなくて、先ほども少し議論させていただきましたが、地方の立場に立った報道、放送番組の必要性、これは以前にも増して重要になっているというふうに認識をしております。  そこで、まず数字の話なんですが、本部と地方局の間の職員の配置の割合、現在どのようになっているのか、お聞かせください。
  221. 根本佳則

    ○根本参考人 お答えします。  二十九年度の職員配置数は、本部が四千八百六十九人、地域が五千四百三十四人となっております。割合にしますと、本部が四七・三%、地域が五二・七%となります。  全職員の半数以上を地域放送局に配置しておりまして、全国視聴者に支えられる公共放送として、地域放送に必要な要員を確保していると考えております。
  222. 吉川元

    ○吉川(元)委員 地方放送局発の番組数をふやし、充実を図る。例えば、地元のニュースだけではなくて、地元と関連して、地元のいろいろな課題、話題、それと、別段地元に限らず、関連して世界じゅうに取材に行ってもいいというふうに私は思います。  そういう面でいいますと、地方放送局の番組の充実ということを考える場合に、職員の配置、そして予算、それからあともう一つ、権限というものをやはり地方局に充実させていく必要があるのではないかというふうに思います。  また、会長は今、地方をずっと回られて、地方の実情も見られているというお話も聞いておりますが、今後どのようなことを具体的に検討されているでしょうか。
  223. 上田良一

    上田参考人 お答えいたします。  それぞれの地域の実情に合わせて、充実した放送サービスを届け、地域に貢献することは、公共放送NHKの重要な使命であると考えております。  そのために、経営資源をより効果的、効率的に地域放送局に配分し、必要な権限や機能を整備していくことは重要な経営課題であると考えております。  会長就任前の経営委員、監査委員を務めた三年半の間に、今先生も言ってくださいましたように、全国五十三全ての放送局を訪ねまして、それぞれの地域が抱える課題について理解を深めてまいりました。これからの地域放送局のあり方を含め、地域の皆様に寄り添う放送サービスを考えてまいりたいと考えております。
  224. 吉川元

    ○吉川(元)委員 頻発する災害に際しても、地域に密着した地域独自の情報というものがあると思います。また、組織のあり方にしても、放送センターのブランチ、支部として地方局がぶら下がっているというような構図ではなくて、より水平的な関係にするぐらいの大胆な機構を目指していただきたいというふうに思います。  先ほど少しお話ししましたが、例えば、私の地元大分は温泉県ということで、大変温泉が有名であります。しかし、世界じゅうに温泉というのはあるわけでありまして、例えば、大分放送局が、温泉という視点から世界じゅうに取材に行っていろいろな情報を集めて、それをまた全国に発信していくということだって十分考えられることだというふうに思いますので、地方局の配置、できるだけ公共放送NHKでしかできないような、そういうこともぜひ考えていただきたいというふうに思います。  続きまして、4K、8K、いわゆるスーパーハイビジョンの実用放送に向けて、総務省にお聞きをします。  NHK、試験放送を含め、実用化に向けて積極的に開発準備を進めていることは承知をしております。ただし、4K、8Kの実用化は政府の重要政策であって、二〇二〇年に全国の世帯の約五〇%での視聴を目指すことが日本再興戦略二〇一六に盛り込まれております。  NHK放送センターの建てかえの際にも指摘をいたしましたけれども、4K、8Kの導入に際し、どの程度の費用がかかるのか。これは、完全な見通しは今のところ立っていないということであります。とりわけ、政府NHKと民放各社、それぞれに温度差があるというふうにも思いますし、民放連の井上会長の発言や会見を見ておりますと、営業的に収益が確保されることが確実にならない限り、積極的な投資には二の足を踏んでいるというような感があります。  この点、実用放送に向け、民放各社との調整、連携、どのように行われているのか、お答えください。
  225. 南俊行

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  来年十二月に新しい4K、8Kの放送がスタートいたしますが、これは、NHKのみならず、民間からも新規参入も含めまして十一社十九番組の申請があったところでございます。  今現在、A―PABと言われる業界団体の方で4K、8Kの周知啓発の活動がスタートしたところでございます。  先ほど温度差という御指摘ございましたけれども、これから、その取り組みに加えまして、プレーヤーも全部出そろったところでもございますので、放送事業者のみならず、メーカーさんあるいは家電量販店さん、そういった関係団体の御協力もいただいて、オール・ジャパンでこの普及推進に取り組むような新しい枠組みというものの準備を進めているところでございます。  そういう意味で、NHKさんと民放さん、さらには関係する業界団体の皆さんも一体となって、効果的な周知、広報に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  226. 吉川元

    ○吉川(元)委員 これは他の委員質問されておられましたけれども、今の4Kテレビでは、そのままでは視聴できない、新たな外づけのチューナー等を買う必要があるというふうになっております。  地デジ化が完了したのは二〇一一年。技術革新が進んで、すばらしい画像でテレビが見られるというのは結構なことだと思いますけれども、視聴者に新たな負担が生じることについて、総務省はどのような認識をお持ちでしょうか。
  227. 南俊行

    ○南政府参考人 先ほど来から御議論ありますとおり、地デジの移行の場合と違いますので、今回の4K、8Kの新しい衛星放送は、いわばモアチャンネルとして、視聴を希望される方が御自身の御負担で受信していただくというのが基本であろうかと思います。  今御指摘ございましたとおり、新しい衛星放送を視聴する場合には、追加的にチューナーを御購入いただいたり、あるいは、場合によって新しいアンテナに取りかえるという場合も生じてくるわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げました新しい量販店ですとかメーカーさん、放送事業者を合わせた一体的な取り組みの中で、周知、広報を工夫して推進いたしていく中で、価格の低廉化にもつながるような取り組みも推進してまいりたいというふうに考えてございます。
  228. 吉川元

    ○吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。
  229. 竹内譲

    竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  230. 竹内譲

    竹内委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。高井崇志君。
  231. 高井崇志

    ○高井委員 私は、民進党・無所属クラブを代表して、放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件、平成二十九年度NHK予算に賛成の立場から討論を行います。  政府が右と言うことに対して左とは言うわけにはいかないという前会長のもとで、公共放送の立場、不偏不党をうたう放送法の趣旨が揺らぐ事態が続いてきました。この三年間は、ゴルフ参加へのハイヤー使用問題やガバナンス調査委員会のずさんな契約といった前会長自身が生み出した問題のみならず、そうした前会長以下のNHK執行部を見てそんたくする体制がはびこり、組織としての筋と矜持が見通せなくなる中で、現場は何を努力すればいいのかが見えなくなり、ひいては組織、職員のモラル低下につながる悪循環に陥っていたと断ぜざるを得ません。  私たちは、公共放送という重い立場と放送受信料という公金を預かり運営するNHKに対して、問題点を常にただし、国民からの受信料を適切に執行できるのかを問うてきました。その結果、本承認案件は、平成二十六年、二十七年、二十八年と三回連続で国会での全会一致という慣例には達することができませんでした。国会での信頼を得ることができなかったこの事実については、NHKは重く受けとめていただきたいと思います。  その上で申し上げます。  就任した上田会長は、公平公正で自主自律を貫き、視聴者皆様から信頼される公共放送としての役割をしっかりと果たすとの強い決意を表明し、職責を果たしたいと所信を述べられました。過去の三年間で失った信頼、組織のコンプライアンスの失墜ははかり知れず、その傷は回復途上にあります。上田会長を初めとする新体制が、規律ある組織構築へ向けて根本から立て直し、公平公正で不偏不党な放送事業を誠実に実行することができるのか、私たち民進党は今後もきちんとチェックしてまいります。  そうした意味を込めて、今回の承認案件は賛成としつつ、NHKの今後の運営を見きわめていくことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
  232. 竹内譲

    竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  233. 竹内譲

    竹内委員長 これより採決に入ります。  放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  234. 竹内譲

    竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  235. 竹内譲

    竹内委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、葉梨康弘君外五名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小川淳也君。
  236. 小川淳也

    ○小川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 協会は、NHK及びNHKグループの職員による一連の不祥事に対し国民視聴者から厳しい批判が寄せられており、その信頼回復が、本年任命された会長以下新執行部に期待されることから、協会一体となって、コンプライアンスの徹底、綱紀粛正に努めること。また、子会社を含むグループ全体としての経営改革に組織を挙げて迅速かつ確実に取り組むこと。  二 協会は、新執行部の下で、放送番組の編集に当たっては、事実に基づく放送に強い責任を自覚し、かつ政治的公平性を保ち、我が国の公共放送としての社会的使命を果たすこと。また、寄せられる様々な意見に対し、必要に応じ自律的に調査し、その結果を速やかに公表し、国民視聴者信頼回復につなげること。  三 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、放送事業者の番組編集について、引き続き事業者の自主・自律性を尊重すること。また、経営委員の任命に当たっては、社会に対する重大な職務の公共性を認識し、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者を、教育、文化等の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して幅広く選任するよう努めること。  四 経営委員会は、協会の経営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する最高意思決定機関であることを深く認識し、監督権限を行使すること。役員に不適切な行為がある場合、または、公共放送の倫理観にもとる行為がある場合には、監査委員会と十分連携しながら再発防止観点から厳格に対処すること。  五 政府は、インターネット常時同時配信を含む協会の業務範囲の在り方については、民間放送事業者等の見解に留意しつつ、受信料制度及びガバナンスの在り方とともに丁寧に検討を進めること。また、協会は、当該検討に資するよう、視聴者の動向を的確に把握し、国民に対する情報提供や関係者間での情報共有及び連携を図ること。  六 協会は、放送センターの建替えに際し、受信料を財源としていることを踏まえ、透明性を確保するよう努めるとともに、建設費の大幅な増大が生じないように綿密な計画を策定すること。  七 協会は、その運営受信料を財源としていることを踏まえ、経営委員会及び理事会等における意思決定に至る過程や財政運営上の規律、不祥事に伴う処分、子会社等の運営の状況、調達に係る取引等について、国民視聴者に対し、情報を十分に開示し、説明を尽くすこと。    また、経営委員会及び協会は、議事録の作成に関し、議論や案件の経緯も含めた意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう努めること。  八 協会は、公平負担観点から、受信料支払率の一層の向上に努めるとともに、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民理解の促進や信頼感の醸成に努めること。また、受信契約の締結に際しては、視聴者理解を得ながら適正に行われるよう、職員及び業務委託先に指導を徹底すること。  九 協会は、国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝え、我が国に対する理解を促進するよう努めること。また、番組内容の充実、国内外における国際放送の認知度の向上等に努めること。  十 協会は、自然災害が相次いでいる現状に鑑み、地震災害、風水害、雪害等、いかなる災害時にも放送サービスが継続され、正しい情報国民に伝達されるよう、地方局と連携し、放送設備体制の強化を図ること。  十一 協会は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成三十二年までの本格普及に向けた4K・8K実用放送の整備に当たっては、過剰投資、多重投資とならないよう十分な計画性を持って実施すること。  十二 協会は、サイバーセキュリティ基本法に定める重要社会基盤事業者であることに鑑み、率先してサイバーセキュリティの確保に取り組むこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  237. 竹内譲

    竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  238. 竹内譲

    竹内委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、高市総務大臣及び日本放送協会会長上田良一君から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣
  239. 高市早苗

    高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  240. 竹内譲

  241. 上田良一

    上田参考人 日本放送協会の平成二十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚くお礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。  また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、十分踏まえて、業務執行に万全を期したいと考えております。  本日は、どうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  242. 竹内譲

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  244. 竹内譲

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十一分散会