運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2017-03-15 第193回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年三月十五日(水曜日)     午前八時五十一分開議  出席委員    委員長 三ッ矢憲生君    理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君    理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君    理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君    理事 寺田  学君 理事 浜地 雅一君       今津  寛君    小田原 潔君       小渕 優子君    大野敬太郎君       熊田 裕通君    佐々木 紀君       島田 佳和君    鈴木 隼人君       武井 俊輔君    辻  清人君       松島みどり君    八木 哲也君       山田 美樹君    石関 貴史君       吉良 州司君    中川 正春君       渡辺  周君    岡本 三成君       笠井  亮君    足立 康史君       玉城デニー君     …………………………………    外務大臣         岸田 文雄君    外務大臣        岸  信夫君    防衛大臣        若宮 健嗣君    外務大臣政務官      小田原 潔君    外務大臣政務官      武井 俊輔君    政府参考人    (内閣大臣官房総括審議官)           井内 正敏君    政府参考人    (外務省大臣官房儀典長) 杉山  明君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 宇山 智哉君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 大鷹 正人君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君    政府参考人    (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君    政府参考人    (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君    外務委員会専門員     辻本 頼昭君     ————————————— 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   佐々木 紀君     八木 哲也君 同日  辞任         補欠選任   八木 哲也君     佐々木 紀君     ————————————— 三月十四日  日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一号)  日本国自衛隊グレートブリテン及び北アイルランド連合王国軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(第百九十二回国会条約第二号)  日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第一号)  日本国自衛隊グレートブリテン及び北アイルランド連合王国軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第二号)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房儀典長杉山明君、大臣官房審議官水嶋光一君、大臣官房審議官宇山智哉君大臣官房参事官大鷹正人君、大臣官房参事官四方敬之君、大臣官房参事官小野啓一君、大臣官房参事官岡田誠司君、内閣大臣官房総括審議官井内正敏君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛政策局次長岡真臣君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。
  5. 小熊慎司

    小熊委員 おはようございます。民進党の小熊慎司です。  過日のこの委員会でも質疑をさせていただきましたが、南スーダンPKOについては、党といたしましても、かねてから、自衛隊派遣については、派遣決定当初とはマンデートが変更され、本来想定されている任務では対応が困難なことである、また現地の厳しい治安情勢がさらに流動化していると考えられること、またシビリアンコントロールが十分機能していない状態での任務継続は重大なリスクがあるということを踏まえて、撤収すべきであるということを党としても表明し、また政府にも意見を具申してきたところであって、これは撤収すべしということを先日の委員会でも私は発言させていただいたところでありますけれども安倍総理は、十日、南スーダンPKOからの自衛隊部隊撤収を表明されたところであります。  撤収を表明したことには一定の評価をしたいというふうには思いますけれども、この撤収に対する説明といったものが、まだしっかりとした納得のいく説明がされているというふうには思えないところでもありますので、まず初めに、政府として撤収を表明した、またこの撤収決定理由についてお伺いをいたします。
  6. 若宮健嗣

    若宮大臣 おはようございます。お答えさせていただきます。  南スーダンPKO部隊自衛隊派遣につきましては、本年の一月をもちまして、派遣の開始から五年を超えることとなりました。施設部隊派遣といたしましては過去最長というふうになってございます。かねてより、今後のあり方につきましては検討を行ってきたところでもございます。  現在、南スーダンでは、国連によります新たなPKO部隊となります地域保護部隊、これは約四千名というふうになりますが、この増強により、ジュバ治安と、この一層の安定に向けた取り組みというのが現状進みつつある状況にございます。また、南スーダン政府も、これはさまざまいろいろな部族、民族、たくさんいますけれども、この融和を進めるために、大統領みずから国民対話を開始しようということを発表もされているところでもございます。こうした国内の安定に向けました取り組み進展をしている、南スーダンとしての国づくりというのが新たな段階に入ろうとしているというのが現状かなというふうに認識をいたしているところでございます。  そうした中、私ども自衛隊といたしましては、この五年間余りの間に、首都ジュバから各地へと通じます幹線道路整備、これまでの我が国のPKO活動の中では最大規模の実績を積み重ねてまいりました。自衛隊が担当いたします首都ジュバでの施設整備につきましても、一定区切りはついたかなというふうに認識をしているところでございます。  日本政府といたしまして、この施設部隊活動は終了いたしますけれども、今後とも、南スーダンPKOへの司令部自衛隊員派遣というものは引き続き継続をさせていただこうというふうに考えているところでございます。そういった意味でも、国連PKOへの貢献ということを念頭に置いているところでもございます。  また、政治プロセス進展ですとか、この辺だったものへの支援、それからまた、委員も御存じだと思いますけれども、非常に現地食料が厳しい状況にございます、こうした食料援助を含む人道支援といったさまざまな形の支援継続、強化をしていこうということで、新たな段階を迎えつつある南スーダン現状におきまして、新たな南スーダン国づくりについて積極的に貢献していきたい、このように考えているところでございます。
  7. 小熊慎司

    小熊委員 今ほど答弁にもありましたとおり、派遣民主党政権時代から五年以上の長きにわたって、厳しい環境のもとで国際貢献任務を果たされてきました。自衛隊員皆様には深く敬意を表しますとともに、また、撤収が表明されましたので速やかに撤収がなされること、また自衛隊員皆様の安全、また命といったものが守られるということを願うばかりではありますけれども。  今ほど答弁にもありました、施設整備一定区切りがついたというのは総理撤収理由として述べているところでありますけれども、そもそも、我々、十一月に、駆けつけ警護などの付与のときに当たって、この南スーダンでの現地状況などを踏まえれば撤収した方がいいんじゃないかということは早々と表明をさせていただいていたところであります。  それについては、もちろん現地情勢、またPKO五原則に抵触するかしないかという議論もありましたが、またそれ以外のところでもかねてから指摘はしていましたけれども自衛隊救護装備などの、他国と比較しての脆弱性ども考えれば、自衛隊隊員たちの安全が図られない、もちろんこれはPKO、またこうした政情不安、情勢不安な地域に行くわけですから、全てが安全とは言えないまでも、しっかりとした国際貢献任務が果たされる状況にはないんじゃないかということで、撤収を早期に決断すべしということを言ってきたところでもあります。  そこで、十一月の段階で我々は撤収すべしということを言っていましたけれども、十一月の段階では駆けつけ警護付与までして継続を決めているわけでありますけれども、この判断についての御説明と、そしてまた、これまでの継続してきた経緯判断についての理由説明をお願いいたします。
  8. 若宮健嗣

    若宮大臣 昨年十一月には御党の方で反対をしておられたということは、よく承知をいたしているところでもございます。  南スーダンPKOへの自衛隊派遣というのは、施設部隊派遣としては、先ほど申しましたように過去最長ということで、もうかなりの長い期間になってございます。今までも六つほど部隊派遣をした経過がございますけれども、明らかに最長期間でございますので、やはり、一定期間、始まりがあれば、ある時期、どこかの段階では終わりを考えなければいけないのかなというところは、どんな場合でもあろうかと思います。  昨年十月での、第十一次隊の派遣に際しましては、このときに国連は、先ほどちょっと申しました、地域保護部隊増強というのは決定はいたしてございました。決定はしておったんですが、展開めどがまだ立っていない状況でございました。また、国民対話のような民族間の融和に向けた具体的な取り組みというのも、まだ余り進んでいない状況というのが昨年の十月の状況でございました。なおかつ、首都ジュバ国連施設整備もまだ途上であったかな、それからまた、引き続き施設部隊派遣継続することがさまざま勘案しまして適当であるというふうに判断に至ったところでございます。  それから、今委員が御指摘になりました駆けつけ警護等につきましても、これは申し上げますと、平和安全法制整備され昨年施行されまして、必要な教育訓練も完了したところでもございました。私ども自衛隊派遣する以上は、邦人保護のための駆けつけ警護任務付与も含めまして、あらゆる手だてを講じるということは当然であろうかなというふうに判断をしたところでもございます。  現在活動中の第十一次隊の派遣期間、これは、三月、今月末をもって期限を迎えることになってございます。そういったことからも、改めてこれまでの検討状況等を取りまとめまして、またさらに、国連地域保護部隊展開というのが、具体的にいよいよ開始されつつある。また、南スーダン政府も、キール大統領自身も、民族融和を進めるための国民対話というのを三月にも開始しようというところにもございますので、いわゆる国内の安定に向けた取り組みというのが非常に進展をしてきているなというふうにも捉えてございます。  また、私どもの方の整備状況ですが、国連施設整備というのが四月の末をめどに、それからまた道路整備も、これは五月の末をめどに完了するという見込みとなってございますことから、やはり、一定区切りがつきますことしの五月の末をめど活動を終了しよう、そういった判断に至ったところでございます。
  9. 小熊慎司

    小熊委員 我々の問題意識としましては、先日も触れた日報の問題もあります。自衛隊が今まで果たしてきた役割に一定程度区切りがついたという点ではなくて、我々が問題視しているのは、日報を含め、現地部隊が強い危機感を持って任務に当たっていた、こうした報告書の取り扱いについて、しっかりと重要視していなかったんじゃないか、現状把握をしっかりしていなかったんじゃないか、そうした意味派遣継続が続いてきてしまったんじゃないかという点を問題視しているところであります。  そうした状況把握、また、現場からの情報を的確にしっかりと把握をしていなかった、また、ここでは議論を避けますが、大臣におかれてはまた違ったいろいろな問題も抱えているところでありますし、そもそも、過日の委員会でも指摘をさせていただいた、大臣シビリアンコントロール統率能力があったのかどうかという点も含めて、このPKO派遣については今後もしっかり検証していかなければいけないなというふうに思っているところであります。また、副大臣が御指摘されたとおり、派遣が終わっても、南スーダンに対するさまざまな貢献といったものは、日本政府としても今後考えていかなければならない、まさに一番重要な人間安全保障として、こうした平和貢献をいかにしていくかということのステージに入ってきたんじゃないかなというふうに思っています。  そもそも、このPKO派遣というのは対症療法的なところもありますし、本当の根本的な対応というのは、そうした人間安全保障によって格差の解消やそうしたものをやっていくということが、こうした紛争を解決していく根本にもなっていきますので、これは外務大臣のもとでしっかりと今後対応していただきたいということを御指摘し、積み残った件に関してはまた後日議論させていただきたいと思います。  きょうはほかの件もありますので質問が次に移りますので、防衛大臣初め防衛省皆さんは、後は御退席いただいて結構でございます。  次に移りますけれども、先日、大臣とも議論させていただきました、国際組織犯罪防止条約についてでありますけれども大臣は、オプションを使ったということで、これは条約解釈の変更ではないという答弁がありました。  きょう、これは資料の一番最後、四枚目になりますけれども外務省のホームページに載っている国際組織犯罪防止条約の抜粋のページであります。大臣の言われるいわゆるオプションというのは、第五条の1(a)のところの、また(1)のこの四行の、二行目の「国内法上求められるときは、」という以下の部分オプションだという説明を、外務省の方からは過日していただきました。  これまで何回も、この共謀罪国会提出をされて、絞り込みはできない、条約上これはできないんだという答弁でありましたが、今回は、過日の大臣答弁によると、このオプションを使って絞り込みができるんだということでありましたけれども。これはそんなに、この文章の中での読み込みですから、過去も、これを使えば絞り込みはできるんじゃないかという判断がされても、優秀な当時の内閣皆さんもそうであったでしょうし、また外務省の方も優秀なスタッフがいたでしょうし、そうした読み込みはできたはずなのに、過去にはしてこなかった。  今回、この読み込み絞り込みができるという解釈をしたという点について、まず説明をお願いいたします。
  10. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘のように、過去、TOC条約国内担保法につきましては、たびたび法律国会提出させていただきました。このTOC条約第五条の1をしっかり適用する形で法律をつくりました。その法律の作成に当たりましては、第五条の本文をしっかり踏まえて法律をつくったわけですが、その中で、一般方々対象になるのではないかなど、さまざまな御指摘をいただきました。御議論いただきましたが、残念ながら御承認をいただけなかった、こういった経緯がありました。  であるからこそ、今度、新たな法律をつくる、法律を作成する段階で、過去の、一般方々対象になるのではないかという御指摘を踏まえて、何ができるのかを考え、法律をつくる段階で第五条のこのオプション部分を使って法律をつくり、そして対象を限定する形で法律をつくれば、より一般方々対象にならないことを明確にすることができるのではないか、こういったことを検討した次第であります。  そして、その結果として、その対象法律についてはどうなるのか、こういった検討を行ってきた次第であります。その検討に基づいて、今法律提出するべく準備をしている次第であります。
  11. 小熊慎司

    小熊委員 今の大臣の言ったことは理解できないわけじゃないです。理解しているんですね。法律賛否は別ですけれども。  当時から範囲が広過ぎるという指摘は受けてきていて、過去の議事録を見ると、当時の南野大臣も何回も、条約絞り込みはできないんですという答弁が繰り返されるんですね。  今大臣の言われたとおり、第五条の1のこの後段部分活用をすることによってそうした懸念を振り払う絞り込みができるということを、当時何でできなかったのか。何度も言いますけれども法律賛否は別として、今大臣の言われたことはそう難しくもないことだというふうに思いますよ。当時から、対象範囲が広過ぎる、絞り込みしなきゃいけないんじゃないか、でも、条約絞り込みできない。でも、今回はこれを使えばできる。  これを使えばできる、活用すればできるんだというのが今大臣説明ですが、それはそんなに難しい発想でもなくて、当時からこれは絞り込みが必要なんじゃないかと指摘を受けていて、何とかしなきゃいけないなといえば、これを活用すればできるんだというふうに発想が至ると思うんです。  今回、その発想活用しているわけでありますけれども、ありていに言えば、何でそんな、簡単と言っては語弊があるかもしれませんが、簡単なこの解釈判断というのが当時できなくて今回できてしまっているのかという点について言えば、その判断の違い、手法の違いといったものを、今回変わったというか、活用に気づいた、当時気づかなかったということが今回気づいたというのは、そんなに難しくないことを今回気づいたというふうに思うと、もしこれが正しいのであれば、何でなんだということなんです、能力のある外務省が、法務省が。  今言われたことで今条文をつくる、この後国会提出されてくるわけですけれども、この読み込みが当時できなかったということであれば、当時の外務省は相当能力が低いということにもなりかねませんし、そういうことだったんですか。  何でこれを読み込まなかったのか、過去。今読み込んだからこれをつくりますということですけれども、過去、何で読み込まなかったのか。読み込まなかった判断は何なのかということなんです。
  12. 水嶋光一

    水嶋政府参考人 お答え申し上げます。  若干繰り返しになって恐縮でございますけれども、当時は、政府として国会の方に提出いたしました法案の立て方というものに基づいて政府としても御説明を繰り返してきたわけでございますけれども、その審議過程等で、やはり一般方々対象になるのではないか、あるいは内心のみをもって処罰されるのではないか、そういった御批判が多々ございまして、そういったことも踏まえながら、今回提出を考えております法案におきまして、先ほど大臣からも御答弁いただいたような形で、条約で認められているオプション、これをしっかりと使った上で、一般方々対象にならないということを明確化するというようなことで、今最終的な検討を行っているところでございます。
  13. 小熊慎司

    小熊委員 ほかの質問もありますし、次に移りますが、これは、前回のと言いますけれども、何回も出てきているわけで、そのたびにこの指摘がされてきていたわけですよ。  私は、前に提出されたときは国会議員ではありませんでしたが、党としてはそっち側にいた人間でありますけれども提出前からそういうのは自民党内でも種々さまざま意見があったところであって、それは絞り込みしなきゃいけないんじゃないかという議論はたくさんある中で、条約上それはできないんだということでそのまま提出していたわけですよ。当時からこれは絞り込みしなきゃいけないという意見もあったし、それでこれが読み込めなかった。いや、条約上それは無理なんですと言ってそのまま出してきていたということですから。  その経過については今後もちょっと議論させていただきますし、実際法律が出た段階でもしっかり精査をしていきたいなというふうに思っています。  次の質問に移ります。  先週の土曜日、三月十一日で、東日本大震災原発事故災害から丸六年を経過して、七年目に入ってまいりました。そうした中で、いまだに解決をされない問題、新たに解決していく問題等ありますけれども、この外務委員会でも何回もやってきましたが、いまだに国内外とも風評被害といったものがまだ残っている部分があります。  外務省においても、科学的根拠のない諸外国輸入規制等撤廃に関しては努力をしてきたところであり、時間経過とともにその規制撤廃をされているのが積み上がっているのも承知をしているところでありますが。  何回もこの委員会でも指摘をさせていただいてまいりましたけれども、インバウンドで、訪日外国人観光客対策で、昨年は二千四百万人になったということで、これはいいことでありますけれども配付資料のとおり、震災前から比べると、昨年、直近のデータでいえば、全国では、これは宿泊客数でありますけれども、およそ二・五倍までふえているところですが、福島県においては震災前の八割程度にしかまだなっていない、マイナスの状況が続いている、秋田もそうなっちゃっているんですけれども、こういった状況が続いてきているわけで、とりわけ、訪日外国人客数の七割以上が韓国、中国、台湾といった人で、そこに規制がまだ入っているわけでありますから、とりわけこういった国にどう対応するのかということが重要であります。  まず、大臣にお聞きをしたいのは、これは配付資料の一枚目にありますけれども風評被害の前に風化してしまっている、そのあらわれがこの追悼式典での総理の、原発事故という、東日本大震災ということで終わってしまっている。福島の復興に尽くしていますというのが文章に入っているというのが官房長官記者会見で、知事がこれは遺憾だと言ったことに関して、違和感があると言ったことに関して、官房長官記者会見でそういうふうに反論しているんですけれども、この反論自体も、これは私は地元の皆さんと、またいろいろな方と時間のない中で意見を交換しましたけれども、この官房長官反論も、これは県民感情を逆なでしていることになるんですよ。  今ほど私も、冒頭に言ったとおり、東日本大震災そして原発事故災害から丸六年が経過しましたというような言葉を使いましたけれども、これは日常我々が使っている言葉です、どんな場面でも。原発事故災害は今現在進行形災害でもありますから、この式典で抜け落ちてしまったことに関して、外務大臣も一生懸命風評被害対策、国際的な風評被害対策に尽力をされているところでもありますので、まず、外務大臣として、これが抜け落ちたことに対しての所感、御意見をお伺いしたいと思います。
  14. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘の、式典の式辞の中に原発事故という言葉が入っていなかったという御指摘につきましては、官房長官も、この式辞の中に、福島において順次避難指示が解除されているなど、具体的に原発事故に対する対応については述べているという説明をさせていただいていたと記憶していますが、あわせて、総理は、被災地に数多く足を運び視察をしているわけですが、たしか式典の直前、あれは岩手だったと思いますが、原発事故に触れて、政府対応の重要性についてもしっかり発言をしていたと記憶しています。  総理において、あるいは政府において、この原発事故に対する意識が薄れているということはないと信じております。ただ、被災地そして県民の皆様方の感情、思いというものは大事にしていかなければならないと考えます。  こうした式辞に対する指摘については、しっかり受けとめて今後に生かしていかなければならない、このように考えます。
  15. 小熊慎司

    小熊委員 対応に関してはいろいろな意見がありますから、対応を全くしていないということでもないですし、今言われた、意識としてあるかないかで震災への対応原発事故災害への対応というのが、その心構えから、心構えの精神論になるかもしれませんけれども、そこからやはり違ってくるというふうに思うんですね。  そういう意味では、これはしっかりと、東日本大震災、そして東日本大震災で起きた原発事故ですけれども原発事故災害自体はいまだに継続しているんです。ずっと前のこの委員会でも、仙台で行われた世界防災会議でも原発事故災害指摘がなかったということが言われてきたところであって、また、私は委員会でもこれを指摘させていただいたところであります。  知事が違和感を持っていると公の場で言って、そして官房長官が談話で反論して、それに対してもいかがなものかとなっているというのは、これは重大な問題だと思いますから、しっかりと政府の一員として、外務大臣も今後こうしたことのないようにしっかりと取り組んでいく、そうした思いのもとでしっかり対応を図っていただきたい。  武井政務官にお聞きしたいのは、とりわけ今ここで言った訪日外国人客、対策はとっていますけれども、一番パイの大きい中国が規制撤廃していない。科学的根拠はわかると中国の政府も言っていた。お互いに一緒に中国に行った仲でありますから、中国政府、何とか、韓国、台湾もそうですけれども、これまで努力してきても結果が出ていないんです。今後の対応、今までどおりでは変わらないということですよ。  一部には、私が聞いたら、科学的根拠はわかる、でも政治的なことでこうなっているんですと。外交上の道具にされているんです、福島が。そうした背景のもとで、武井政務官、この対応、東アジア地域、とりわけ規制撤廃に向けた東アジア地域への対応についてお伺いします。
  16. 武井俊輔

    武井大臣政務官 お答えをいたします。  東アジア、なかんずく中国につきまして大変大事であるということは、委員指摘のとおりであるというふうに考えております。  日本産食品の輸入規制については、この委員会でも再三取り上げられておりますが、私どもといたしまして、要人往来の機会、また在外公館でのさまざまな外交ルートを通じて、また外国関係者の招聘、さまざまな機会を通じて、特に科学的根拠に全く基づかない規制の緩和については非常に強く働きかけをしているところでございます。  その中で、今二十一カ国において規制撤廃が実現をし、現在もいるわけですが、一方で、現在も、中国、韓国、また台湾等で輸入停止を含む規制が維持されているというのは事実でございます。  中国につきましては、委員も本当に中国に毎年足を運んでいただいて中国政府に直接申し入れをいただいていることは十分私も承知をしているわけでございますが、中国政府に対し、さまざまな機会で、これは議員の先生方のお力もかりながら、早期の規制緩和、また撤廃を働きかけておりますほか、中国各地での食品の見本市、また日本紹介のイベント等の機会を通じて日本産食品のPRにも取り組んでいるところでございます。  これは重要な課題でございますので、引き続き政府一丸となって取り組んでまいりたいというふうに思っております。  ありがとうございます。
  17. 小熊慎司

    小熊委員 しっかりと対応をお願いします。  以上で終わります。ありがとうございました。
  18. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 次に、渡辺周君。
  19. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ただいま小熊委員が三・一一の追悼式典のことに触れましたので、私も引き続いて質問させていただきます。  私も、国立劇場に土曜日の日に行ってまいりました。そこで、この式典に参加された国と機関の内訳、こういうのが入り口で配られまして、参列国はアイルランドから始まって欧州連合まで、そして駐日台北経済文化代表事務所、そのほかには米軍であるとか国連機関が名前を連ねておりますが、中国の名前がございません。  中華人民共和国は参加していなかったか。参加していたのか、していなかったかということでは、参加していなかったということでよろしいですか。確認でございます。
  20. 杉山明

    杉山政府参考人 お答え申し上げます。  中国は、本年の追悼式には欠席しております。
  21. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 これだけの大きな出来事、日本じゅうが喪に服し、慰霊と、そして復興への祈りをささげるという、日本国挙げての大事な日に参加をしていない。その理由は一体何かということは把握していますか。
  22. 杉山明

    杉山政府参考人 中国側の欠席理由につきましては、我が国政府としてはお答えする立場にはございません。
  23. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それは、案内を出したけれども来なかったということは、何か欠席の通知に丸がついて、まあ、我々もたくさん、いろいろなものの会合の御案内をいただくと、参加します、欠席しますとあって、丸をつけて返事しろと、することはありますけれども、つまり、それは欠席という返事が来たということなんですか。
  24. 杉山明

    杉山政府参考人 お答え申し上げます。  中国に対しても招待状を発出いたしまして、欠席の通知がございました。
  25. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 過去の五年間はどうだったんでしょう。お答えください。
  26. 杉山明

    杉山政府参考人 お答え申し上げます。  二〇一二年の一周年追悼式には中国の出席を得ましたが、二周年追悼式以降、中国の出席は得られておりません。
  27. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 この理由についても明らかにされていない、過去の出席しなかった理由については明らかにされていないということでいいんですか。
  28. 四方敬之

    四方政府参考人 お答え申し上げます。  中国が過去欠席しておる理由につきましては、明確に中国側からの説明はございません。
  29. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 日本政府としては、お越しいただけないのでしょうか、それぞれの被災された地域にも日中友好協会があって、どの自治体も中国とは姉妹都市提携を結んだり、さまざまな人的交流、文化的交流を行ってきた、そういう意味では、年に一遍、その国がいろいろな考えがあるにしたって、この日ぐらいはぜひ来て、国を代表する方にやはり献花をしていただきたい、そういう要請もしないんですか。それは、欠席の通知が来たら、受けっ放しで終わりですか。
  30. 四方敬之

    四方政府参考人 お答え申し上げます。  中国側の欠席の理由につきましては、我が国政府としてお答えする立場にはございませんけれども東日本大震災に際しましては、中国政府及び国民の方々から多大なる支援も寄せられておりまして、この点は私どもとしても感謝しているところでございます。  しかしながら、同時に、中国側が平成二十五年の第二回追悼式典以降、式典を欠席していることにつきましては、政府としても残念に思っておりまして、その旨中国側にも伝えてきておるということでございます。
  31. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 最初に、私、さきの出席国の中で駐日台北経済文化代表事務所のことをあえて申し上げましたけれども、当然、台湾の代表部が来ているということで中国は反発をして来ないというふうに報道もされておりますし、そう考えるのは誰でもわかることなんですけれども、それにしたって、やはり近隣の大国が、そして日本と密接な関係にある国がこんなときも来ないのか、また対中感情というのが悪くなるのを、中国はどうしてこういうことがわからないのだろうかと思いますし、また当然、我々の国としても四川で起きた地震のときは大変な額の支援をしている。  ここでちょっと確認しますけれども、先ほど、三・一一のときには、東日本大震災のときには中国から多大なる支援をいただいたと。具体的にはどういう支援を受けたんですか。
  32. 四方敬之

    四方政府参考人 お答え申し上げます。  東日本大震災に際しまして中国からの主要な支援でございますけれども、日本赤十字社に対しまして、計六百万元、約二十六億円の義援金、その他、地方、民間の各団体、個人から数多くの義援金の提供を受けております。  また、緊急支援物資、水六万本、毛布二千枚及び応急の明かりの提供等も受けております。  また、三月の十三日から二十日には、緊急援助隊十五名が岩手県大船渡市で活動しております。  そのほか、中国企業から東電への生コンクリートポンプ車一台の寄贈等も受けております。  以上でございます。
  33. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ですから、中国側にしても当然、事の重大さはよくわかっているはずですし、それだけの支援もした。また、それだけのことも、あるいはそれ以上のことを中国の発展のために我が国はしてきたわけです。ここでちょっと羅列して述べる時間はありませんけれども、当然そういう関係を保ってきている。  ですから、とにかく、中国に対して、日本国としてこれまで受けてきた支援に対しても謙虚に礼を言うところはあると思いますが、やはりこんなときは来てほしい、いろいろ台湾との関係については、国際社会で主張しているようなことは我々も百も承知で、中国が主張している言い分はそうだけれども、やはりこういうときは来なきゃまずいんじゃないの、日本人の感情的に、あなた方の国に対してますますシンパシーを持つ人がいなくなっちゃうよということを私は日本政府は言うべきだと思うんですね。  ちょっと、今せっかく支援の話が出ましたけれども日本政府としてこれまで過去の中国の大きな災害、二〇〇八年の四川での地震ですとか、あるいは雲南省でも二〇一四年にあった、例えばこういう災害が起きた場合は日本として過去どのように具体的に支援をしましたか。例えば二〇〇八年の四川地震のとき。述べてください。
  34. 四方敬之

    四方政府参考人 委員指摘のありました二〇〇八年の中国四川省大地震の際でございますけれども、二〇〇八年の五月十三日、これは地震の翌日でございますけれども、中国への当面の支援として、六千万円相当の緊急援助物資の供与及び四億四千万円の緊急無償資金協力を実施しております。  また、その後、十五日に合計六十一名の救助チームを、また二十日には合計二十三名の医療チームを派遣いたしました。  さらに、同月三十日には、総額五億円を上限とする追加支援を発表いたしまして、中国側から要請のあったテント等の救援物資を現地に輸送いたしました。
  35. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今いろいろと具体的な双方の支援状況が紹介されたんですけれども大臣、やはり、世界第二位の、残念ながら我が国が第三位になってしまいました、この隣国とどうつき合うかということ。  これは、私の友人で、「活中論」という本を出していまして、講談社の中国ウオッチャーで、日本では第一人者じゃないかという方なんですけれども、この人が、活というのは活用の活ですね、もう反中でも嫌中でもない、とにかくこのでかい大国を利用しなきゃだめなんだと、どう活用するかということについての客観的な本も書いているんです。  いろいろ、私どもの政権のときに尖閣を国有化した、その後のことも含めまして、あるいは中国側がいろいろ持ち出してくるさまざまな問題に対しても頭の痛いことは、これは大臣も、お立場も我々もよくわかっておりますけれども。それにしたって、追悼式典のときぐらいはやはり参列をして、先ほど申し上げましたけれども、犠牲者に対して、そしてその御遺族や御家族に対して、鎮魂の思いを共有し、そして復興をともに祈る。ましてや、震災のときに支援もした国、そしてまた我々も、中国が困ったときには、四川の地震の際も、行った日本の緊急援助隊の姿に中国が大変感銘した、何よりも死者に対する敬意の表し方に感銘を受けた、日本人とはこういう人たちなのかということを中国のメディアが取り上げたということも報道されたことを覚えております。  ぜひ大臣、このままほっておいても、来年も再来年も同じことの繰り返しと思います。当然、台湾にも来ていただきたい。真っ先にカンパを呼びかけてくださった台湾の人たち。政治的なことは、国家として二つの中国は認めない、それは中国の理屈かもしれませんけれども日本国としては、やはりともに縁のある国なんだから、三・一一、来年は来ていただきたい。そうしないと、日本の中に中国という国へのシンパシーがますますなくなっていく。これはとてもお互いの国にとってもよくないし、外交を進める上においてもよくない。  そういう意味では、ぜひ大臣にも一肌脱いで、当然中国にもともに祈ってもらいたい、そういうことをさせるべきだ、行わせるべきだと思うんですけれども、どうでしょう、大臣
  36. 岸田文雄

    岸田国務大臣 中国が第二回の東日本大震災追悼式以降欠席していることについては、我が国としまして、これは大変残念に思っておりますし、この旨は中国にも伝えています。そして、先ほどの議論の中にも出ておりましたように、中国は東日本大震災に対して、政府及び国民の方々から多大なる支援をしてくれています。このことについては感謝をしているところです。  こうした式典あるいは震災における我が国の思いについては、これからもしっかりと中国に伝えていきたいと思います。さまざまな課題はありますが、中国は我が国にとって最も大切な隣国です。ぜひ大局的な観点から両国関係を安定させていきたいと考えます。
  37. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ぜひこのことにつきましては、やはり日本人の一番大事な日であると言っても過言ではないと思います。この日に、やはり友好国ということであるならば、ぜひともともに参列をしてほしい、すべきであるということを日本からぜひ中国に引き続き力強く申し入れていただきたいと思うんですね。その上で、日本人のまた感情というものも変わってくるんだろうというふうに思いますので、ぜひとも大臣の働きかけ、リーダーシップに期待したいと思います。  終わります。
  38. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 次に、中川正春君。
  39. 中川正春

    ○中川(正)委員 改めて、おはようございます。  質問を続けていきたいと思いますが、幾つかきょうは準備をしてきています。  まず、北朝鮮の問題について、できれば、評論家というような答弁じゃなくて、大臣自身の意思と、それから日本の国家としての意思、これを反映する形で答弁をいただければありがたいというふうに思います。  いろいろな挑発行為といいますか、ミサイルが次々と撃ち出され、あるいは北朝鮮の内部でも、張成沢に続いて金正男が暗殺をされてきている、いわゆる粛正が続いてきています。こういう状況に対して、日本の国家として、あるいは大臣として、これをどのように分析されて、今、北朝鮮の体制というのをどう理解していったらいいのか。ここからが出発点だと思うんですが、それを一つ、まず最初に整理をして、お話をいただきたいと思います。
  40. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、北朝鮮の挑発行動については、昨年一年の間に二度の核実験を行う、年間二十発以上の弾道ミサイルを発射する、こうした、数だけではなくして、ミサイルの発射につきましても、SLBM、潜水艦からの発射ですとか、あるいは移動式の発射台を使うというようなこと、さらには、昨年は三発同時にミサイルを発射し、ほぼ同一地点に着弾させる、こういったことも行ってきました。  こういったことを考えますと、やはり、数においても、それから質においても、北朝鮮の挑発行動は新たな段階の脅威になっているということを強く感じます。先般、二月の六日の四発の弾道ミサイルの発射も、こうした新たな段階に入った北朝鮮の脅威というものがさらに明らかになったものであると受けとめています。  金正男氏の殺害事件につきましても、VXという、条約上、これは一つの兵器として位置づけられている、こういったものが使われたということでありますので、これは大きな関心を持って注視しているところです。そして、北朝鮮の国内においては、金正恩体制が、この体制を強化しているという見方もある一方で、さまざまな反対の見方をする動きもあります。  引き続き、北朝鮮の内外の動きにつきまして、しっかりと注視をしていかなければならないと思います。  いずれにしましても、我が国としては、我が国の国民や命を守るために万全の体制をしいていかなければならないと強く感じているところであります。
  41. 中川正春

    ○中川(正)委員 私も、金正恩という指導者が、まともな判断をする、あるいは世界の情勢をしっかり把握した上で一つの結論を出すというような、そういう指導者には到底見えない。それだけに、周辺国も含めて、次の手だてというか、どういう形でそれに対峙をしていくかということは、しっかり話し合っていかなければならない。そのことを、ティラーソン国務長官が十五日に日本に来られるようですが、しっかり話し合っていきたいということ、そんな答弁を前回の委員会でもなされたということが報道されています。  そこを前提にして、では、どういう形で日本として次の手だてというのを考えていったらいいのかということ、これをもう少し議論をしていきたいというふうに思うんです。  国連を通じた経済制裁を今やっているわけですが、一つは、それに対して、中国はしっかり乗ってきているのか。石炭をとめるという話も出てきていますが、それ以上に、経済制裁というのがどういう効果を及ぼしているのかという、この分析も必要なんだろうというふうに思います。結果としては、北朝鮮は変わっていないというか既定の路線で、挑発しながら、内部の体制をさらに粛正するような手法でもって突っ込んでいこうとしているということですね。  それを前提にして、この体制が継続していくということをまず考えたときに、次の手だてとして考えられるのは何か。このまま経済制裁をそれぞれの国がさらに深掘りをして進めていくということだけでいいのかどうか、それで一つの結果が出てくるのかどうかというと、私はどうも、逆に、追い込んでいくことによって、予測のつかない形が生まれてくる可能性の方が高いのではないかという気がいたします。  それだけに、もう一つの選択肢としては、これはアメリカでも今議論が始まっているようですけれども。これまでオバマ政権は、中国がやはりその役割を果たすべきだということで、中国にある程度そのイニシアチブを預けてきたような、ということは、逆に言えば、アメリカと北朝鮮の直接対話というのはやらない、そういう前提で来たということでありますが、アメリカの今の議論というのは、特にトランプ大統領がどう判断するのか、これからの課題なんですけれども、アメリカと北朝鮮の直接対話を進めていくということ、これがもう一つのオプションとしてあるんじゃないかということ、こんな議論が始まっているんだという報道がしきりになされています。  これがもう一つのオプションだというふうに思うんですが、大臣としては、そこはどうすべきだというふうに考えられますか。今までのように中国を当てにして、中国が六カ国協議の仲裁をする形で、北朝鮮を制御していきながら包み込んでいこう、交渉に持っていこうという、これまでの既定の路線でいいと思われるか、それとも、もう一つのオプションがあるとすれば、北朝鮮が望むように、アメリカとの直接交渉という形で入っていくということも一つあるんじゃないかというふうに思われるか。  トランプ大統領にかわったという、アメリカの一つの節目があるだけに、直接交渉をもう一回やるというオプション、これでいいんじゃないかと私は思うんですが、大臣はどう思われますか。
  42. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、北朝鮮問題を考える際に、中国の役割が大きいということについてはこれからも変わらないと思います。六者会合の議長国であり、安保理の常任理事国であり、そして、北朝鮮との貿易の九割を占めている中国の存在というのは引き続き大変大きいものがあると思いますし、今行われている決議による制裁の実効性の確保ということにつきましては、中国の北朝鮮産の石炭の輸入禁止措置に注目が集まっていますが、中国が決議を履行するためにやるべきことは、それに限らず、例えば航空燃料の北朝鮮への規制措置ですとか、核・ミサイル計画等に関する団体、個人の資産凍結など、さまざまな国内措置が考えられます。ぜひ、しっかりとした決議の履行を働きかけていかなければならない。これは、まずこれからも変わらないとは思いますが。  一方で、御指摘のように、アメリカは、北朝鮮政策について今見直しを行っていると言われています。あらゆるオプションがテーブルの上にあるというこの姿勢のもとに見直しを行っているということを承知しております。あらゆるオプションですから、実際の中身は私は承知しておりませんが、理屈からいえば、対話ということもあるのかもしれません。  対話ということを考えた場合に、我が国は、北朝鮮との間において、核問題あるいは弾道ミサイル問題、もちろん、これは深刻な問題として捉えていますが、拉致問題という大きな課題もあります。これらを包括的に解決するということを考えますと、対話と圧力、これは両方が重要だというのが従来からの立場です。  ですから、対話という要素ももちろん大事だとは思いますが、ただ、これは対話のための対話であってはならないということも従来から申し上げています。その対話が意義あるものであるためには、北朝鮮の非核化といったことに対する前向きな行動や言動、まずこれがあってこそ意味ある対話につながるということも忘れてはならないと思います。  こういった点を考えながら、この対話の意味というものについて考えていかなければならない、このように考えます。
  43. 中川正春

    ○中川(正)委員 もちろん、その中身は大事なんですが、話し合っていくということについては否定しないという意味でいいんですね。
  44. 岸田文雄

    岸田国務大臣 従来から、我が国は、対話と圧力、行動対行動のもとに、北朝鮮問題、この諸懸案を包括的に解決するべく努力するというのが基本的な立場であります。  拉致問題一つとりましても、全ての拉致被害者の帰国を実現するためには、対話という要素、これはなくてはならないと思っています。  引き続き、対話と圧力、ともに重視していかなければならない、そのように考えます。
  45. 中川正春

    ○中川(正)委員 いや、アメリカの大統領と直接対話、こういう話をしているんです、今。
  46. 岸田文雄

    岸田国務大臣 アメリカの選択肢について何か制限するものではありませんが、対話というものについては、意味ある対話でなければならないということはしっかり訴えていかなければならないと思います。  そして、アメリカがどういった政策をとるのか、こういったことについても引き続き政策のすり合わせを日本としてもしっかりさせていただかなければならないと思いますし、戦略目標の共有化、こういったことも重要であると考えます。
  47. 中川正春

    ○中川(正)委員 次に、なかなかどのぐらいの確率でこういうことが起こるのかわかりませんが、しかし、体制が崩壊をするというケース、これについても考えていかなければいけないというふうに思うんです。  これは災害でも一緒ですが、いろいろなことを想定して、それに対していつもしっかりとした対応ができる、そういう国の形というのがやはり必要なんだと思うんです。  そのときに、いろいろな崩壊の仕方があるんだろうというふうに思います。内部でクーデターが起こるということもあるでしょうし、あるいは、ああいう国ですから、暗殺なんというようなこともあるかもしれない。あるいはまた、アメリカを中心に、かつて悪の枢軸ということで定義されて、イラクが先制攻撃されたときに、北朝鮮もあるんじゃないかということで、非常に危機感を持ったときがありました。これは、今、アメリカでいろいろなオプションを考えているというふうに言われましたが、その中にも、この先制攻撃というのは、ブラフも含めて、いわゆる牽制ということも含めて、いろいろな議論が出てくるんだろうというふうに思います。  このことに対して、恐らく、一旦事が起これば、日本にとっては二つの問題が出てくると思います。  軍事力をもって何らかの手だてをするときには、日本はそれに対してどうコミットしていくのかというところ、これが一つ。大きな国内的な議論にもなるんだろうというふうに思います。  それからもう一つは、恐らく北朝鮮の国内は大混乱になる、その中で、以前によく心配された、大量の難民が出てくる可能性がある。これは日本に直接出てこなくても、韓国であるとか中国に対してこうした難民の流出があるだろう。そのことに対して、どこまで日本は準備が今できているかというようなこと。  こんなことも、大臣の意思と、それから今の外務省の体制としてどういう見解を持っておられるのかということ、話をしてください。
  48. 岸田文雄

    岸田国務大臣 米国政府において北朝鮮政策の見直しを行っているということについては、先ほど来申し上げておりますように、承知をしております。  しかしながら、我が国としましては、あらゆる選択肢を検討しつつ、外交努力を通じて平和的に問題を解決していくことが重要であるということ、これはこれからもしっかりと訴えていかなければならないと思います。その上で、米国との間において政策のすり合わせや戦略目的の共有化を図っていかなければならない、このように思います。  そして、朝鮮半島においてどういった事態が起こるのか、政府としましてはあらゆる事態を想定しておかなければならないと思います。特に、韓国国内だけで五万七千人を超える日本人が生活をしています。こうした在留邦人の存在等を考えますと、政府としてさまざまなことを想定しておかなければならない、邦人の安全確保は政府の大変重要な役割であるということを忘れてはならないと思います。  ですので、こうした在留邦人の安全、そして帰国、こういったことに関しましては、関係省庁との間においてさまざまな方法を検討してきているというのが実態であります。
  49. 中川正春

    ○中川(正)委員 全く質問に対して答えてもらえなかったんですが、恐らくそこまで想定して今の体制をつくっているわけじゃないというのが答えなんだろうというふうに思います。  しかし、それは間違いであって、やはり事がここまで進んできた中では、日本の国家としての体制も、さまざまなことを想定しながら、日本でどう対応するか、これを考えていかなければならないときに来ているというふうに思うんです。そこのところ、指摘をしておきたいというふうに思います。  次に、韓国なんですが、これは一点です、大使をいつ戻すかということであります。  私は、メッセージの発信の仕方が間違っていたんじゃないかというふうに一つは思います。  というのは、国家間では約束ができて、合意ができて、少女像に対しても、私は、韓国の国家としてはそれを解決すべく努力をしているということ、今そういう状況にあると思うんです。努力をしていないということであるとすれば、それは大臣の口からそのように表明をしてもらいたいと思うんですが、私は努力をしていると思うんです。しかし、結果が出ない、国民がついてこない、あるいは一部の扇動するグループというのがさらにエスカレートしてきているということなんですが。  その中で、大使をこっちへ向けて召還するというのはどういう意味があるのか。私は、逆に、運動グループをさらに刺激していって、いわば運動体としての大義をつくるだけのことであって、国家間の信頼というのは、逆に、我々が、韓国の国民に対してあるいは運動家に対して状況というのを説明して納得をしてもらうということを、韓国の国家、いわゆる政府と一緒に働きかけていくという形をとらないと、大使を召還するというのは、韓国の政府に対しての抗議になってしまったら、これは実際の目的として逆になっていくんじゃないかというふうにこの問題を捉えています。  だから、いいところできっかけをつくる、お互いがつくるということなんですが、つくって、できるだけ早く大使は戻して、その中で、韓国の政府と協力しながら、国民に対して説明をして、問題を解決していくというスタンス、これが私は日本の政府として正しい対応だろうというふうに思っておりますが、大臣、そこのところを少し考えてみませんか。
  50. 岸田文雄

    岸田国務大臣 長嶺駐韓大使の帰任については、今現在、何も決まってはおりません。  一昨年末の慰安婦問題に関する日韓合意ですが、この合意は国際社会からも高く評価されたものであり、両国政府はこの履行に大きな責任を負っていると考えます。  日本は、この日韓合意に定められた内容をしっかり履行いたしました。その中で新たに在釜山日本総領事館の前に慰安婦像が建てられたということについては、大変遺憾に思っています。  そして、韓国の情勢を考えますと、先日、朴槿恵大統領の弾劾が成立をし、今後、大統領選挙が行われ、そして新しい政権がスタートをします。こうした新しい政権とも大事な日韓関係を安定させていかなければならないと思いますし、さらには、先ほど来議論になっております北朝鮮問題についても、今深刻な状況にあると受けとめています。  これらさまざまな状況を総合的に検討しながら、大使の帰任時期については判断をしていかなければならない、このように考えます。
  51. 中川正春

    ○中川(正)委員 改めて申し上げておきますが、メッセージの出し方が間違っているというふうに思います。  政府間では合意ができて、今、もう一回言いますが、問題は、韓国政府が国民を納得させることができないということなんですよね。それに対して、何でまた韓国政府に対して敵対的な行動をとらなきゃいけないかということだと思うんです。ここのところを履き違えて戦略をつくっているのではないか。そのことによって、韓国国民があるいは運動家がそこを逆に利用して、世論を喚起するようなすきを与えているというか、そんな結果になっているというふうに思います。  ですから、そういう観点から判断をして、早急に政府間同士の協力関係というのを構築していくことが大事だというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。  次に、ミャンマーについて少し確認をしておきたいところがございます。  ミャンマーは、NLD、アウン・サン・スー・チーが政権をとって、民主化の努力というのが進んできていると言われますが、しかし一方で、一番最大の懸案である少数民族との和解、和平というのがなかなか難しい状況になっている。それに加えて、本当にアウン・サン・スー・チーさんが軍部を掌握できているんだろうかどうかということですね。そういうことについて、前の軍事体制のときよりも、軍部というのが逆に好き勝手なことをやり始めているんじゃないかというような批判も出てきているという状況が一つあります。  そんな中で、パンロン会議が半年前にまず開催をされて、一応それぞれの関係者が集まって、それで和平へ向けての話し合いが始まった、ステージができたということであったんですが、しかし、その後、その成果が上がらないままに、二回目のパンロン会議の開催というのがこの二月の末に行われるはずだったんですが、これも今開催をすることができないという状況に陥っています。  この状況に対して、日本政府として、具体的に、さまざま努力をしているということは見えるんですけれども、今どういう問題意識を持って、何を日本政府はこのミャンマーの問題に対してかかわっていこうとしているかというところ、そこを改めてちょっと確認したいというふうに思います。
  52. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、我が国としましては、ミャンマーの少数民族間の対立について、当事者間の対話を促して、ぜひ和平の早期実現に向けて、関係者の努力も期待しますし、我が国自体もしっかりと積極的な役割を果たしていきたい、このように思っています。  御指摘のパンロン会議についても、ぜひ、より多くの少数民族武装勢力の出席を得て、目に見える進展があることを期待しています。  このような姿勢で、今後とも状況をしっかり注視していく所存であります。
  53. 中川正春

    ○中川(正)委員 私も、これはかなりさまざまな方向からコミットをさせていただいているんですが、一つの方法としては、それぞれ和平が調った中で、これまで何回も交渉を重ねた結果、平和が来たねという時期がそれぞれの民族であったんですよね。  ところが、約束はしてもそれが破られていくというのは、中央政府の意思じゃなくて、その地域地域の軍閥が、さまざまな利害関係と、それから背景は中国も含めた複雑な利権関係というのがあって、それで約束が破られてまた戦争になっていくという、そういうことを繰り返してきている。その状況の中で、少数民族が軍事政権に対して信頼を置けなかったというか、約束しても破られてきたという、その部分が、交渉が前に進んでいかない非常に大きな要素だというふうに私は捉えています。  そこで必要なのは、一旦和平が調った時点で、あとモニタリング、パンロン会議にもモニタリングの一つの課題設定があるんですけれども、それをやっていく第三者、国際コミュニティーが入り込んでいって、それで監視をする、いわゆる和平が持続をしていくための監視をするというシステム、これが非常に必要だし有効に働くということだと思うんですね。  少数民族は、そのことに対して、もちろん日本も含めて、アメリカやヨーロッパのコミットを望んでいます。ところが、軍部の方がそれをよしとしない。さらに言えば、中国が既にその中に入り込んでいて、中国がそのことに対して排除をするというような構図になっているんです。それだけに、ここへ向いて入り込んでいく余地、それから日本のリーダーシップというのが求められる、その要素があるんです。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。  パンロン会議だけじゃなくて、さまざま個別に話し合っていくプロセスの中でも、やはり、日本は真ん中に入っていける要素がある、少数民族はそれを望んでいる。特に、戦闘態勢の中にあって、まだ和平が調っていないカチン族なんかを中心にした勢力というのは、それを望んでいるということであります。  そのことを改めて申し上げて、そして、そういう形で日本の役割というのがあるんだということを認識していただいた上で、大臣のミャンマーに対するコミットの心意気というのを聞きたいというふうに思います。
  54. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、ミャンマー政府としましても、三月一日に、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問が、停戦合意に未署名の一部少数民族武装勢力のグループと面会し、和平プロセスへの参加について話し合ったということを承知しています。ミャンマー国軍と少数民族武装勢力との間の停戦の着実な実施、これはミャンマーにおける和平の実現のために必要不可欠であると考えます。そして、ミャンマー政府及び停戦合意に署名した少数民族武装勢力が、停戦監視の役割を担う共同停戦監視委員会を立ち上げているということは承知をしております。  日本としては、共同停戦監視委員会、この取り組みについて、どのような後押しができるのか、こういった点についてミャンマー政府ともぜひ相談をしていきたいと考えます。こういった形で日本として貢献することができないか、ぜひ検討していきたいと考えます。
  55. 中川正春

    ○中川(正)委員 あとは、人道支援なんですが、これまでのいきさつからいくと、中央政府がコントロールしている少数民族の領域については、中央政府を通じて人道支援が行っているんです。ところが、少数民族がコントロールしている部分について、これはブラックエリアと彼らは呼んでいますけれども、そこについては、これまで人道支援が十分に行き渡っていくという構図にはなっていなかった。  ところが、ヨーロッパほか、国連機関も含めて、彼らは直接、いわゆる中央政府抜きで、少数民族の中にNGOなんかを通じて入っていって人道支援が行き渡っていくという構図になっています。ところが、日本はそれができていないという現実がありまして、一番大事なところで、ファンドみたいにしてお金はついているんだけれども、それが有効に使われていないという現状があるということ、これも指摘をしておきたいというふうに思います。改めてここのところの工夫をしていくということが必要だということです。時間の関係で答弁ははしょりますけれども、そこを、しっかり一遍検証していただきたいということです。  それから、その答弁ははしょりますけれども、今、クールジャパンという形、あるいは日本からの情報発信ということで、さまざまに政策が進んでいますけれども、私は、その中で一つ、根本的に考えていかなきゃならないというのは、日本語の限界なんだというふうに思うんです。これは外務省としても、ぜひほかの省庁に対して、あるいは政府全体としてトータルで考えてもらいたいんですが。  この間、私の海外の友人から、議員立法でつくったその法律、これをちょっと英語で送ってくれないかと。私はてっきり、こういうものは、ちゃんと翻訳をされて、国の、各省庁だろうと思うんですが、ホームページでアップされて、そこでアクセスできますよということになっているんだろうと思っていたんですよ。  ところが、改めて聞いてみると、いや、まだ翻訳もされていないし、どこがこれを翻訳するのかもわからないし、統一的にどういう形で管理をしていくということもわからない、こういう状況がはっきりしてきました。  大臣、どう思われますか。
  56. 岸田文雄

    岸田国務大臣 日本語の普及は、我が国に対する理解を深め、諸外国との友好関係を強化する上で重要ですし、それから、日本のさまざまな文献が翻訳されて海外にしっかり伝わっていく、これも大変重要な課題であると思います。  そして、御指摘の、日本の法律外国語翻訳については、政府内に関係省庁連絡会議という会議内閣官房主催で設けられており、そこで推進しているということは承知しておりますが、実際どの程度それが対応できているのか、委員の方から今御指摘もありましたので、ちょっと私自身、関心を持って見てみたいと思います。
  57. 中川正春

    ○中川(正)委員 本来は、英語だけじゃなくて、フランス語やスペイン語、あるいは東南アジアということを前提にしていく、あるいは中国や韓国に日本の考えていることを理解してもらいたいというその戦略的な意思があれば、そうした、多言語化していく、それぞれの言語に日本語を直していって、それぞれの言語で向こうで理解をしてもらうような戦略が、国家としてあっていい。  日本語の場合は、日本人だけしかしゃべらないですから。海外で、せいぜい、日本語を勉強しているのは四百万人ぐらいはいると言われていますが、それはアニメなんかが刺激になって、今ちょっとしたブームになっているということなので、基本的な理解には至っていない、そこが限界なんだと思うんですね。それを戦略的に多言語化していくようなシステムというのをやはり国家として持たないと、日本という国は、なかなか外に対して発信ができないし、理解してもらえないということ、これを私は外務省としてしっかり認識すべきだというふうに思うんですね。  外務省の職員というのは、自分が他言語、ほかの言葉をしゃべることに一生懸命になっている。自分がしゃべっても、国そのものの文化とかコンテンツとか、あるいは法律の体系、我々の生きざま等々が理解されようと思えば、それをやはり戦略的につくり込んでいって外に発信をしていくというシステムがないとだめだというふうに思うんです。  大臣、やりませんか。そういうシステムをつくりませんか。
  58. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、日本の書籍など日本のコンテンツは、日本の海外に向けて発信すべきすばらしい魅力の一つであると考えます。それについて、現状について先ほど法律の話をしましたが、書籍でいうならば、外務省では、国際交流基金と連携し、海外の出版社が日本語の書籍の外国語翻訳版を出版する場合の経費の援助支援を実施している、こういった取り組みはあるとは承知をしています。  ただ、今、やりませんかと委員の方から言われました。何を具体的にどうするのかについて、基本的にやる方向で前向きに考えることは私も賛成でありますが、何から手をつけていいか、どういった仕組みがいいか等については、ちょっと、まず、よく現状把握した上で考えてみたいと思います。
  59. 中川正春

    ○中川(正)委員 国際交流基金にも実はこの話を働きかけていまして、彼らも非常に危機感を持っているんです。なかなか、一方的に翻訳しても、向こうで買ってくれないとか。文化庁で一時そういう補助金をつけたことがあったんですが、こちらが翻訳したいという書物を本にしても向こうで売れないとか、さまざまな問題があったので、これは実は事業仕分けでやめてしまったんですよ、我々の政権のときに。  しかし、それでは話にならないので、これは体系として、システムとしてつくり上げるということが大事なので、国際交流基金と相談しながら、こんなものをつくり上げていったらどうかという提案をまずしていきたいというふうに思いますので、ぜひそういう意識を持ってコミットしていただければありがたいというふうに思います。  大分、通告した話が抜けてしまって、また次の機会にやりたいと思うんですが、いずれにしても、今度ティラーソンさんと話をするときには、日本として何をしていきたいかということ、これをしっかり表に出して、国民にわかるように、結果として出る、そのことを期待していきたいというふうに思います。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 次に、笠井亮君。
  61. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  安倍総理は、南スーダン派遣の陸上自衛隊施設部隊撤収について、去る三月十三日の参議院予算委員会で、昨年九月からNSC、国家安全保障会議と国家安全保障局を中心に具体的な検討を始めていたというふうに答弁をされました。  そこで、まず岸田大臣に伺いますが、昨年九月というのは、一体、いつ開かれた、どんな会議だったんでしょうか。
  62. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘の九月からの検討ですが、国家安全保障会議、NSCの議論を中心に検討したということであります。  NSCの詳細については従来から控えさせていただいておりますが、基本的には、ことし一月に南スーダンへのPKO派遣五年という節目を迎えることを念頭に、さらには施設部隊派遣として過去最長となっていることを念頭に置いて、撤収のタイミングを含めて、今後のあり方、どうすべきなのか、こういった議論を行ってきた次第であります。
  63. 笠井亮

    ○笠井委員 九月にはNSC四大臣会合が五日と九日と十二日と二十九日の四回開かれています。NSCの詳細はかねてより明らかにしないと言われますが、開催状況で、政府のホームページを見ても、それぞれテーマが書いてあるわけですが、四回やって、そのいずれかで検討したということなんですか。
  64. 岸田文雄

    岸田国務大臣 これは国家安全保障会議を中心に議論を行ったということであります。四大臣会合はもちろん大変重要な会議でありますが、NSC全体としてこの課題について検討を行い、さらには政府全体で検討を行った、こういった次第であります。
  65. 笠井亮

    ○笠井委員 検討会議でやるはずですから、いつ、どこでやったかも言えないというのはちょっと非常に不可解だと思います。  昨年十月に自衛隊派遣継続決定した基本的な考え方、あるいは十一月に駆けつけ警護の新任務付与した基本的な考え方には、首都ジュバを含め、南スーダン治安情勢が厳しいことは十分認識しているとの記述がありました。  ところが、今回の撤収に当たっての基本的考え方というのが出されておりますが、そこにはそうした文言が一切ありませんが、なぜでしょうか。
  66. 岸田文雄

    岸田国務大臣 今回撤収判断した理由は、先ほど申し上げました、五年という節目、そして過去最長になっているPKO取り組み現状を念頭に、現地においては新たな地上保護部隊展開が進んでいる、国民対話が進んでいる、こういったことを見ながら撤収の時期を判断した、こういったことであります。  現地治安状況については、自衛隊展開しているジュバ周辺は比較的安定していると考えておりますし、いずれにせよ、PKO五原則、これは遵守されていると考えていますし、今でも自衛隊は安全に意義ある活動を続けられる状況にあると認識をしております。
  67. 笠井亮

    ○笠井委員 昨年十一月の基本的考え方には、「自衛隊展開している首都ジュバについては、七月に大規模な衝突が発生し、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がある」というふうに記されておりました。  九月から行っていたという検討ですけれども、当然、昨年七月の大規模戦闘やそれ前後の治安情勢を分析、検討はしたということですね。検討はしたと。
  68. 岸田文雄

    岸田国務大臣 現地治安情勢については、絶えず関心を持ち、確認をしていかなければならないものだと考えています。  そして、ジュバ周辺におきましては、学校や病院など公共施設も通常どおり活動を続けていますし、空港における運航もほぼ平常どおり行われているなど、安定しているというふうに私は報告を受けております。
  69. 笠井亮

    ○笠井委員 それでは、若宮防衛大臣、お越しいただいておりますので伺います。  南スーダン派遣施設隊等第十次要員全般活動計画という、三十八ページに及ぶ通達がございます。私は防衛省からいただきましたが、中央即応集団の司令部から、昨年六月から派遣された施設隊長宛てのものであります。  統合幕僚監部によれば、中央即応集団が第十次隊に一連の日報作成を命じた根拠になった通達だということでありますけれども、それは間違いありませんか。
  70. 若宮健嗣

    若宮大臣 今、笠井委員が御指摘になられました南スーダン派遣施設隊、これは、上級部隊でございます中央即応集団が定めるところによります南スーダン派遣施設隊等全般活動計画に基づきまして、日報を作成させていただいております。  御指摘南スーダン派遣施設隊の全般計画につきましては、平成二十八年四月の十三日に起案され、そして二十七日に発翰されたというものでございます。
  71. 笠井亮

    ○笠井委員 日報の根拠になったということを今言われたわけです。確かに、報告文の一覧には、日々日報の記載というのがあります。  この通達には、南スーダンで起きている事案について、キール大統領率いる政府軍と、マシャール前副大統領率いるSPLA/iO等の反政府勢力との両勢力間の戦闘ということが明記をされております。  中央即応集団の司令部から通達で戦闘というふうに書かれている以上、施設隊が作成した一連の日報に戦闘と書かれるのは当たり前だと思います。  また、ジュバ市内の治安全般についても、政府軍を含む当局によるUNMISS派遣部隊等に対するハラスメントがしばしば発生しており、他の各種事案とあわせ、今後の活動に際し巻き込まれに注意が必要であるとも書かれております。  その上で、通達は、施設隊に対して、活動地域における治安情勢の急変が派遣施設隊等に及ぼす影響が大きいことが予想される場合、部隊の緊急撤収を予期しつつ行動するように通達で命じております。  ジュバにおける兵たん業務では、糧食、燃料等の安全基準として緊急撤収用の軽油、灯油、ガソリンや糧食を装備するように命じております。  改めて確認しますが、この通達は何日付で発せられたものでしょうか、若宮大臣
  72. 若宮健嗣

    若宮大臣 今、笠井委員がお話しになられましたものにつきましては、平成二十八年四月十三日に起案をされ、同じく二十七日に発翰をされたものとなります。
  73. 笠井亮

    ○笠井委員 政府は昨年九月から自衛隊撤収を含めて検討し始めたというわけでありますが、この通達にあるように、実際は、第十次隊の派遣当初、昨年六月から、緊急撤収を予期した派遣が行われていたということは間違いありませんね。予期したと書いてあるんだから。
  74. 若宮健嗣

    若宮大臣 これは、海外に私ども自衛隊部隊PKO活動するために派遣をしているわけでございますけれども、海外に派遣をしているということは、一般的に申しまして、さまざまな情勢、それからまた、さまざまな事態というのを現場としては想定しなければいけないかと思っております。  もちろん、平素より、万が一の情勢、これはもちろん今現在もそうでございますけれども、いつ何どき何が起こるかわからない、これは常々、海外への部隊派遣、これはもちろん国内においてもそうでございますけれども情勢が悪化した場合に備えまして撤収検討していくということは、これは当然のことであろうかなというふうに考えているところでございます。
  75. 笠井亮

    ○笠井委員 通達には、情勢の急変が及ぼす影響が大きいことが予想される場合に緊急撤収計画を予期しつつ行動するように命じていると、はっきり書いているわけであります。  さらに若宮大臣に伺いますが、防衛省が、新たに自衛隊部隊日報を、六月から九月分ということで開示しました。この日報も通達に基づくものだと思うんですが、ここに昨年の九月一日付の日報があります。これについて、幾つか確認をしたいと思います。  この日報の二十五ページには、南スーダン国内八カ所での戦闘発生を示す地図が掲載をされております。こういう形で、戦闘と書いて、ばちばちとなっているのが八カ所あって、それ以外も大変な状況ということが書いてあるわけです。  そして、二十七ページには、九月一日の午前十時ごろに、UNハウス、国連のハウス北西で射撃音四発確認、UNハウスでの作業時流れ弾に注意と書いてあります。八月三十一日の午後十一時十分ごろ、宿営地北西方向三百メートル以上から射撃音五発確認、九月一日午前零時九分ごろ、宿営地北西方向一キロメートル以上から射撃音二発確認、夜間における流れ弾に注意というふうに書いてありますが、間違いありませんね。
  76. 若宮健嗣

    若宮大臣 今、笠井委員がお示しになりました九月一日の日報でございますけれども、これは、八月の三十一日の深夜、今お話しになられましたように、宿営地北西方向三百メートル以上から射撃音が五発、それから、九月一日の未明に宿営地北西方向一キロ以上から射撃音が二発というものが確認され、流れ弾に注意すべき旨の記述があるということは事実でございます。  これらの発砲につきましては、日本隊や日本隊のおります宿営地を狙ったものではないというふうに見られることから、流れ弾という記述も記してあるかと思います。  これは、七月十一日の夜に敵対行為の停止が命令をされて以降でございますが、ジュバ情勢は比較的落ちついている状況でもございます。南スーダンでは、独立までに使用されたものを含めまして、独立後まだ五年ということでございますので、多数の武器が確かに国内に出回っていることは否めないかと思います。  治安情勢が引き続き厳しいことは、現実として私ども日本政府としても認識をいたしているところでもございますが、この七月事案の、衝突事案の以降も、やはりジュバ市内におきまして、散発的にではございますけれども、銃撃音が確認されていたことも事実でございます。  私ども防衛省といたしましても、日々現地部隊と連絡をとり、報告を受け、状況につきましては適切に把握をしているところでございます。
  77. 笠井亮

    ○笠井委員 事実とは確認しました。  では、さらに聞きますが、この六十八ページには、予想シナリオと我に及ぼす影響ということが示されております。その中で、関係悪化モデルということが明示をされておりますが、ここの四角に囲んで書いてあるところに何と書いてあるでしょうか、紹介してください。
  78. 若宮健嗣

    若宮大臣 今、委員が御指摘になりました、我に及ぼす影響、これは黄色い部分で書いてあるところかと思いますが、関係悪化モデル、それから和平成立モデルという、二つ項目があろうかと思います。関係悪化モデルのところをお示しになっているのかと思いますが、ジュバでの衝突激化に伴うUN活動の停止、武力衝突に伴う活動の制限による負傷者発生、ジュバ市内での大量のIDPの発生、チェックポイント警戒強化(我の移動制限)、それからウガンダからの物流の停止、これは関係悪化モデルの項目に書いてあるかと思います。
  79. 笠井亮

    ○笠井委員 書いてあるんですが、その中には黒く塗ってあるところがあって、そこは今、副大臣も紹介できなかったか、されなかったわけですが。  和平成立モデルという方もこれはなかなか大変なことが書いてありますね。少数派による新体制批判デモとか、非武装化に伴う市内犯罪の増加とか、SPLAと地元住民との係争とか、さまざまな係争がある、部族間のあれがあるということも書いてある。  では、さらにもう一点伺いますが、この四十一ページに活動の分析及び評価というのがありますが、そこに敵の可能行動というのが書いてあって、そういうふうな欄があって、宿営地活動での流れ弾、UNトンピン地区活動でのIDPに対する攻撃への巻き込まれなどとありますが、ここで敵の可能行動というふうに書いてある敵というのは何ですか。
  80. 若宮健嗣

    若宮大臣 今委員がお示しになった日報活動の分析及び評価というところの、さまざま項目ございますけれども、敵の可能行動というところでございますが、この敵というのは、自衛隊隊員たちが宿営地におりますので、自分らが身の危険を感じる可能性のあるものということで、概念的にこの敵という表現を日報としては書いてあるものと考えております。
  81. 笠井亮

    ○笠井委員 派遣されている自衛隊員が身の危険を感じるようなそういう相手、敵がいる、それで流れ弾とかこういうことが書いてあるというのが現地状況として報告されているということだと思います。  この日の日報の総括、評価の四十四ページには、こう書いてあります。ジュバ市内の移動、活動は移動時間、移動経路及び二両以上での梯隊行動を統制とか、移動時間及び移動経路の統制が必要とあります。また、UNハウスにおける活動は流れ弾及びIDP、国内避難民による投石の可能性があり、近傍における発砲状況によっては前進時期、活動中止、宿営地への撤収等の統制が必要、こういうことがこの日の日報の総括と評価に書かれているわけですね。  政府撤収を含めてNSCなどで検討を開始したと言っている時期に、まさにそういう九月にこういう状況が起こっている。七月の大規模戦闘以降もそういう状況があるという状況の中で、岸田大臣、先ほど、撤収を含めた検討ということが全体としてやられたんだということで、日程、どの会議か言われなかったわけですが、大臣、緊急撤収を予期して行動するように命じた通達に従って作成された例えばこの日の日報が示すように、昨年九月に検討を開始したという時期、既に現地情勢というのは撤収検討するほど深刻な状況で、本来その時点で決断すべきだったんじゃないですか。それがわかっていながら、十月二十五日の閣議で五カ月間もの派遣継続を決めて、十一月十五日の閣議で駆けつけ警護の新任務付与した。  結局、安保法制の最初の発動という実績をつくるというのが一番の、ある意味ではそれだけが目的だったんじゃないか、こういう状況だと思うんですが、いかがですか、大臣
  82. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘のようなさまざまな日報あるいは報告につきましては、これはしっかり確認しておかなければならないものであります。その上で政府全体としての判断というものが行われます。  少なくとも、昨年、我が国として、南スーダンPKOについてのありよう、あるいは今後について議論を始めた当時、現地状況については、首都ジュバ周辺は落ちついていると認識をしておりましたし、少なくともPKO五原則は維持されていると判断しておりましたし、自衛隊としても安全を確保しながら意義ある活動が行われていると判断をしていた次第であります。
  83. 笠井亮

    ○笠井委員 総理は、ことし一月二十三日の衆議院本会議で、安全を確保し意義ある活動が困難と判断する場合には撤収をちゅうちょすることはない、この点は今回初めて、つまり十一月十五日の閣議決定においても明記していると答弁しているわけでありまして、治安悪化のもとで、最初から撤収は織り込み済みで、そして新任務付与して派遣したということだと思います。  先ほど岸田大臣は、今の時点で撤収を決めたという点でいうと、新しい状況になっている、国づくりのプロセスも進んで、国連地域保護部隊展開が開始されつつあるというふうに言われました。  では、伺いますが、国連地域防護部隊というのが展開されつつあるというのは、現在どこに何名、どれだけ展開されているということが確認できているんですか。
  84. 岸田文雄

    岸田国務大臣 詳細については、ちょっと今確認をして報告させたいと思いますが、地域保護部隊については、少なくとも英国は、新たな部隊現地に到着し、展開を始めています。そして、さまざまな国においても拡充が行われている、このように承知をしております。  済みません。英国については施設部隊ということですが、英国の施設部隊も含めて部隊展開している、こうした新たな各国の動きがあるということは承知をしております。  詳細については、ちょっと改めて報告をさせます。
  85. 笠井亮

    ○笠井委員 若宮大臣、どうですか。
  86. 若宮健嗣

    若宮大臣 今、岸田大臣からも御答弁申し上げさせていただいたかと思いますけれども、この地域保護部隊展開についての進展というところでございますけれども、これは、まず、昨年の八月の十二日に採択をされました安保理決議第二三〇四号におきまして創設が決定をされたところでございますが……(笠井委員「わかっています。だから、現在どれだけ展開しているという、まず人数と場所、どれぐらいというか」と呼ぶ)はい。その後、昨年十一月二十五日に即時の受け入れを南スーダン政府が正式に閣議決定をいたしたところでございます。さらに、現在、国連南スーダン政府との間で、展開の細部については調整が進捗をしているようでございます。  詳細な内容につきましては、国連との関係から明らかにすることがちょっとできないんですが、ケニアを含めます、部隊派遣する国が決定をいたしまして、展開の段取りが話し合われていることを承知いたしているところでございます。  また、地域保護部隊の指揮命令系統も整われつつありまして、部隊展開する用地、あるいは国連南スーダン政府との間での調整が進んでいるものというふうに承知をいたしているところでございます。
  87. 笠井亮

    ○笠井委員 要するに、まだ展開できていないんですよ。展開の調整をやっている段階でしょう。南スーダン政府と協議中であって、ことし二月現在でもまだ配備されていなくて、近い将来の配備の見通しが立っていないという報告が出ているんですよ。そういう状況だと。  終わりますけれども、そういうことがあるのにもかかわらず、うまくいっているみたいな話。政治プロセス進展といいますけれども、これだって、繰り返し岸田大臣が、和平合意の進展があると言われてきましたけれども、それが崩れた、そういう状況があって、今回の基本的な考え方を見たって、そこには、衝突解決合意の進展を図ることが大きな課題であり、そのために同国政府国民対話を行うことを決定していたが、今般三月中に国民対話を開始する旨発表ということで、まだ進んでいないんですよ。  区切りがついたなどと、PKO五原則が現地で崩壊している事実を認めないごまかしをやめて、国民に正直に語るべきだ。ここまで来て撤収を五月末まで先延ばすのは危険であります。南スーダンから自衛隊を速やかに撤収すべきだと強く求めて、きょうは終わります。
  88. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 次に、足立康史君。
  89. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  きのう、本会議で、日米、日英、日豪のACSAが審議入りをしました。私は本当に、日米同盟の運用を支えるこのACSAは大変重要だと思っています。  実は、この通常国会でこうして審議入りをしたわけですが、私たち維新の会は、遠藤国対委員長を中心に、臨時国会の時点から、これはやった方がいいということで、むしろ昨年のうちから、このACSAについてはしっかり審議をしていくことを国対で求めてまいりました。ただ、なぜか政府・与党が、まあまあ、通常国会でいいということで今回になったわけでありますが、日英、日豪とパッケージで審議をしていくという意味では、それも一つかなと今は思っております。  しかし、大変懸念をしておりますのは、このACSAの審議が、また、一昨年の安保法制のときのような混乱をしたような状況で、本来議論すべき国益のために、日米同盟を支えていくための議論ができないんじゃないかということを大変懸念しています。  きのうの本会議でも、そもそも重要広範、これは野党が要求したんですよね、違いますか。小熊先生、民進党が要求したんじゃないんですか。重要広範で要求しておきながら、きのうの本会議で、升田世喜男さんという、よく知りませんが……(発言する者あり)まあ一緒にやっていましたね。升田世喜男さんという議員さんが、何か十五分の持ち時間のうち、ACSAについて質問したのは三分ですよ。  ちょっと大臣、これは総理と稲田大臣と並んで、この升田議員の本会議での質問を聞いていらっしゃったと思います。ACSAが重要広範というのは、小熊先生、皆さんが要求したんですよ。これで、十五分の持ち時間を三分しか使わない。あとは何をやっているかというと、森友学園ですよ。これは国益に反すると僕は思いますが、大臣、ちょっと、ひな壇であのとんでもない質疑を我慢して聞いていらっしゃったお立場で、個人的な感想をどうぞお願いします。
  90. 岸田文雄

    岸田国務大臣 重要広範としての取り扱いにつきましては、国会のルールあるいは議運の手続に従って決められるものであると承知をしております。そして、その日程が決まり、そのテーマ、課題が決定された上においては、その主要テーマを中心に議論が行われるものであるとは考えます。  ただ、その与えられた時間をどのように使うかというのは、それぞれ質問者の見識に基づいて行われるものだと考えます。答弁をさせていただく、質問を受ける側としては、いただいた質問にしっかり答えるべく、全力で対応していかなければならないと思います。
  91. 足立康史

    ○足立委員 私は、やはりこれはおかしいと思うんですね。  日本の国会は、日本の国会と改めて言うのもなんですが、とにかく政府は我慢する、政府・与党は我慢する、野党第一党の民進党はやりたい放題、何でもあり、こういう国会は国益に反します。しっかりと、与党も政府質問者に対して、それは自民党の役割かもしれませんが、いや、それはおかしいと言っていいと思うし、少なくとも私は残念であり遺憾である、こう思いますよ。  それぐらい言えるでしょう、大臣。これは残念なことだと。升田議員の質疑が、ACSAについて十五分が三分しか使われなかった。これは、ACSAについてしっかりと国会審議をお願いしている立場からも、残念だと言えませんか。
  92. 岸田文雄

    岸田国務大臣 国会での議論のありようについて、政府の立場から何か申し上げるのは控えます。
  93. 足立康史

    ○足立委員 それから、済みませんね、きょう、通告で、私も結果を見てちょっとびっくりしましたが、質問、確かに五、六問ちょっと通告をさせていただきまして。きのうの夜、ばたばたで、そもそもバッター表が上がってきたのが夜の八時前。だから、私ももう夜の用事があって外へ出ていましたので、秘書を通じて通告をさせていただきました。  その結果、済みません、外務省は官房審議官、官房参事官六名、防衛省は官房長を初め三名の方にきょうお越しいただいています。これは私のミスでありまして、本当におわびを申し上げたいと思います。もう少し整頓すれば、こういうお手間をおかけする必要はなかったと思いますが。  一番悪いのは野党四党でありまして、野党四党が今回のACSA、これからACSAで暴れてやろうということで、今、いろいろ問題になっています。一つはそういうことで、重要広範であるにもかかわらず、そういうひどい質問をした民進党の議員、これはおりました。  それから、そもそも通告がおくれた、そもそもバッター表が決まるのがおくれた。これ、原因は、私は存じ上げませんが、民進党を初め野党四党の皆様は、稲田防衛大臣辞任、それから安倍総理に対しては稲田大臣の罷免を求めています、それが背景とあって、こういう事態を招いているわけであります。  私、これもおかしいと思いますね。日本維新の会は、稲田大臣辞任要求には乗っていません。乗っていませんというか、立場を異にしています。  大体、小熊先生も、これ、おかしくないですか。稲田大臣辞任要求の理由は、ちょっと、私、つまびらかではありませんが、報道で見ると、何か十二年、十三年前の、通告もしていないときでの質問に対する答弁が間違っていたから辞任だというんですか。  小熊さん、そういうことですか。
  94. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 足立君に申し上げますが、外務委員会としてふさわしい質問をお願いしたいと思いますので。
  95. 足立康史

    ○足立委員 民進党は、本会議に、重要広範にふさわしくない質問をして、不問に付されています。委員長委員長のおっしゃることですから、ちゃんとやりますが。  とにかく、稲田さんは間違ったから辞任なんですね、答弁が間違ったから。私は、蓮舫さんも間違っていると思いますよ。二重国籍で、ずっと日本人だと言っていましたけれども違ったんでしょう。これは辞任じゃないですか。  委員長、ちゃんとやりますから。ちゃんとやりますけれども、これは、大臣、国益にかかわることですから、ちょっと許してくださいね、国益。  きのう、山井国対委員長がこんなことを言っています。国会は神聖な場であり、撤回します、ごめんなさいで済むような軽い場ではない。それから、国会でうそをつくような方が防衛相の職にとどまるのはふさわしくない。  ネット上で、ツイッターでいろいろいただくんですよ。稲田さんという名前を蓮舫さんに変えた方がすっきりするというメッセージがいっぱい来ますよ。  国会でうそをつくような方が、野党第一党の代表として次の首班指名を狙っているというのは、日本国として、極めて問題だと思いますね。  ちょっと、大臣、感想を。
  96. 岸田文雄

    岸田国務大臣 済みません。御指摘の点については、私の立場から何か申し上げるのは控えます。  これは、いずれにせよ、先ほど来、国会のやりとり、国会での発言についての御指摘でありますので、国会において適切に判断されていくものであると考えます。
  97. 足立康史

    ○足立委員 そういうことで、私は、いろいろな委員会で、自由討議ということで、対政府質問だけじゃなくて、対民進党に対する質問も、また、対共産党に対する質問もできるようにしてほしいということをお願い……(発言する者あり)だから、では、やりましょうよ、自由討論を。自由討論をやりましょう。委員長、大丈夫です、また理事会でこれは私から提案を……(発言する者あり)いや、私からまた、まだ理事会で提案をしていませんから……
  98. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 足立君に申し上げますが、先ほど私が申し上げたように、せっかくの外務委員会の場でありますから……(足立委員「おっしゃるとおりですね」と呼ぶ)はい。
  99. 足立康史

    ○足立委員 それで、あと一言だけ。いや、だから、最後に、私は本件については決意を申し上げて終わりにしたい、本件については終わりにしたいと思いますが。  山井さんが、きのう、安倍晋三首相と自民党は幕引きを図っているが絶対にさせない、こうおっしゃっています。私も、民進党を初め野党四党がこういう揚げ足取りをして、ACSA、日米同盟にとって大変重要な審議を形骸化させようとしていることについて、また、蓮舫代表が二重国籍である疑惑を払拭させずに首班指名を狙って活動していることについて絶対に許さないと申し上げて、質問に入りたいと思います。  さて、この民進党の二重基準の問題、これは、外務委員会、あるいは安保委員会でもしっかりこれからも取り上げていきますが。防衛省になるのかな。民主党政権、三年半ございました。民主党政権三年半の間に、それ以前の自民党政権において、自民党がかかわる政権ですね、民進党はたくさんの法律に反対してきましたね。自衛隊法もしかりです。累次の自衛隊法改正について、民進党は反対をしてきました。  その中で、民主党政権三年半の間に、廃止をしたり修正をしたりした法案は何本ありますか。何本かだけ答えてください。
  100. 豊田硬

    豊田政府参考人 事実関係についてお答えいたします。  平成二十一年九月の政権交代前の自民党政権におきまして政府国会自衛隊法改正に関連して提出した法案で、当時の民主党が反対されたものとしましては、例えば、平成十七年に成立いたしました、統合幕僚監部の新設や弾道ミサイルの破壊措置命令の新設等の内容を含む防衛庁設置法等の一部を改正する法律、また、平成二十一年に成立した海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律などがございます。  これらの法律につきましては、民主党政権時においても、改正の手続をとるなどの反対の意思表示はなく、そのまま実施されていたものと承知しております。  一方、同じく当時の民主党が反対された、平成二十年成立のテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法につきましては、民主党政権時に延長がなされず失効し、当該法律に基づく活動は終了したと承知しております。
  101. 足立康史

    ○足立委員 すると、自衛隊は、法律はいろいろありますが、自衛隊法関連ということでいうと一本だということでよろしいですか。ちょっと、一応確認です。
  102. 豊田硬

    豊田政府参考人 私ども承知しております範囲では、民主党政権時代対応を変更しましたのは、先ほど述べましたテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法、この法律につきまして、延長がなされず失効したということでございます。
  103. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  結局、民進党というのはそういう政党なんです。わかりますか、皆さん。二重基準というんです、こういうのを。要すれば、反対していた法律を運用したんですよ。一本は失効したということですから、不作為ということかもしれませんが、今御紹介がありましたように、いわゆるインド洋のアフガニスタンのテロ掃討作戦に係る補給支援特措法というのがありましたね。これは大変重要な法律でしたが、大議論になりました。これについては反対をされた。その法案が民主党政権の間に失効した。これは一件です。あとは全て自民党政権が取り組んできた安全保障政策、これを丸々そのまま三年半運用したんですよ。  その代表例は、私はきょうはちょっと二つ紹介をしておきたいと思いますが、一九九七年の日米防衛協力、いわゆるガイドラインの見直しに伴って、一九九九年、平成十一年に周辺事態法が成立しています。これは反対していますよね、民主党。反対しているにもかかわらず、一切手を触れず、民主党政権はこれを運用しました。  また、二〇〇九年、政権交代直前のどたばたの中ですが、自民党は本当に偉いと思いますよ、麻生政権で大分混乱をきわめていた中でも、ソマリア沖の海賊対処が大変重要であるということで、自民党は体を張って、海賊行為の対処法、これを成立させた。これに対しては、一部、長島議員とか、じくじたる思いだったということを今でもいろいろな場で、雑誌等でおっしゃっていますが、民主党は反対をした。これも、民主党政権は政権になって三年三カ月、これをそのまま運用した。  私は、こういう、言ったこと、いわゆる二重基準ですね、こういう二重基準を恥ずかしげもなく実行するような勢力が政権を担うことは、国際的な信用をかち取っていく上でも国益に反すると思いますけれども大臣、どうですか。
  104. 岸田文雄

    岸田国務大臣 当時の政権の判断について何か申し上げる立場にはありませんが、対外的な観点から申し上げるならば、やはり外交、政治の一貫性というものは大事なことではないかと考えます。
  105. 足立康史

    ○足立委員 何とも言えないやりとりで申しわけありません。  しかし、大臣、これは本当に大事なことでありまして、やはり、民主党政権はいろいろな批判がありますが、私は最大の問題は二重基準だと思います。野党のときにこれは問題があると言っていた法案を、政権になって運用するんですよ。  こうやってきょうは申し上げてきましたが、私がこういうことを外務委員会の場を使って申し上げている理由は二つあって、一つは、やはりACSA、日米、日英、日豪ACSAの審議をちゃんとやりたいんですよ。なぜかといえば、これは安保法制を引き継いできてのルール整備という側面もありますから。安保法制のときにやはり十分議論し尽くせていないんです、民進党のプラカードのおかげで。我々日本維新の会は、安保法制についても対案を出してきた。このACSAの審議においても、これは私たちは賛成ですよ、これはしっかりと環境整備せないかぬと思います。ただ、そのベースとなる安全保障政策全体については、やはり憲法との関係も含めて問題があるということで、憲法改正草案も今出しているところであります。  それから、最後に一言申し上げておくのは、きょう、こうやってやると、何か足立さんはいつも民進党と共産党の悪口ばかり言って、批判ばかりじゃないか、こうおっしゃる方がおられますが、百一本の法案と、それから憲法改正草案、提出しているのは日本維新の会だけです。  ぜひ、日本維新の会の法案、そして憲法審査会での草案の審査、これを同僚の皆様にもお願いして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  106. 三ッ矢憲生

  107. 玉城デニー

    ○玉城委員 自由党の玉城デニーです。  国の外交政策に関する件について、きょうは岸田大臣にメーンで質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  二〇一七年二月十日、安倍晋三内閣総理大臣とドナルド・トランプ大統領は、ワシントンDCで最初の首脳会談を行い、日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認したということで、外務省でもその報告が載っております。  「日米同盟」と、それから「日米経済関係」、そして「訪日の招待」という、その三点が報告されていますが、その中で、在日米軍に関してですが、「日米同盟」の報告の中ほどに、「両首脳は、長期的で持続可能な米軍のプレゼンスを確かなものにするために、在日米軍の再編に対する日米のコミットメントを確認」「両首脳は、日米両国がキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に普天間飛行場の代替施設を建設する計画にコミットしていることを確認した。これは、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である。」というふうに述べられています。  確認させていただきたいんですが、二月に訪米した安倍総理は、このアメリカにおける共同声明で、会談において、昨年十二月、名護市安部沿岸に墜落した米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイの件についてはどのようなやりとりが行われたと認識していらっしゃるか、お聞かせください。
  108. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、日米首脳会談の中身、詳細につきましては、既に発表させていただいていること以上、明らかにすることは控えたいと思います。  ただ、この二月に行われました日米首脳会談においては、沖縄の負担軽減がいかに重要なことであるか、こういったことについて、総理としてもじっくり説明をし、議論をしたということは承知をしております。
  109. 玉城デニー

    ○玉城委員 では、改めて、中日新聞の昨年十二月十五日付の記事を少し確認したいと思います。  普天間飛行場所属の新型輸送機MV22オスプレイ一機が、十二月十三日午後九時半ごろ、海上に不時着した。不時着したという表現ですが、これは、アメリカでの報道はクラッシュ、墜落という表現が使われていますので、私は墜落というふうに捉えております。記事では不時着となっております。共同通信は、十四日、名護市の岸から約八十メートルに胴体と翼が分離し大破しているのを確認したとあります。  その日、別のオスプレイが、十三日の夜、普天間飛行場で胴体着陸したことも明らかにしています。  安倍首相は記者団に、大変遺憾だ、オスプレイ飛行の安全確保が大前提だと述べ、稲田防衛大臣は、コントロールを失った状況ではなく、墜落ではないとコメントしていますが、翁長知事は、墜落だと認識していると反論をしています。  第十一管区海上保安本部は、海保の捜査を受け入れるよう米軍に口頭で申し入れ、中城海上保安部は、十四日、航空危険行為処罰法違反容疑で捜査に着手もしています。  オスプレイは、陸上自衛隊は二〇一九年度から佐賀空港に順次配備することを地元に要請、米軍の定期整備は来年一月から、つまり本年一月から千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で始まる予定であるというふうになっております。  ここで、総理が大変遺憾だと述べていますが、この墜落事故の後、オスプレイの運用再開は何日後だったでしょうか。
  110. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、政府としては、米軍機の飛行に際して、安全面の確保、これはもう大前提であると認識をしており、MV22オスプレイによる事故が発生したこと、これは地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、遺憾であると認識をしております。  そして、飛行再開について御質問がありました。十二月十三日に発生したオスプレイの不時着水事故に際しましては、事故発生後、米側においてMV22オスプレイの飛行及び空中給油の停止措置がとられましたが、空中給油を除く飛行については事故発生から六日後である昨年十二月十九日に、そして空中給油については事故発生から二十四日後である本年一月六日に再開されたと承知をしております。
  111. 玉城デニー

    ○玉城委員 では、米軍から、この事故原因の説明及び事故後の、六日後、二十四日後、それぞれの運用についてはどのような報告があったのでしょうか。
  112. 岸田文雄

    岸田国務大臣 この事故後、飛行停止と空中給油訓練の停止措置がとられましたが、その再開に当たっては、米側からの説明を受け、そして日本政府としても、防衛省自衛隊の専門的知見及び経験に照らして、独自の分析を行ったということであります。米側が起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広くとっていることを確認した次第であります。そしてその上で、まずは第一段階として、空中給油訓練は陸地から離れた場所でしか行われないこと、こういったことを確認した次第であります。
  113. 玉城デニー

    ○玉城委員 やはり、事故の後の詳細な報告及び運用に対しては、厳格に、これは防衛省外務省も、きちんとアメリカ政府、米軍に求めるべきであるというふうに申し上げておきたいと思います。  このオスプレイは、米軍海兵隊が運用しておりましたCH46の中型ヘリコプターの代替機として、沖縄県普天間基地に、二〇一二年十月に十二機、二〇一三年九月に十二機、合わせて二十四機、CH46とその代替が行われております。  ところが、二〇一二年十月に配備される、その一カ月前まで、いわゆるアメリカから接受国通報が来るまで、政府は、いつオスプレイに代替するか、変換するかということは、報告を受けていないという答弁がたびたび国会でも行われておりました。つまり、本来ならもっと前にアメリカから報告なり連絡なりが来るはずなのに、いわゆる国民に対する説明政府の方からおくれていたという、そういう点もあります。  そして、二〇一三年十二月、前の仲井真知事がこの辺野古の新基地建設の埋め立てを承認したのが十二月の暮れだったんですが、それまで移設計画に、不可能、あるいは辺野古以外が現実的と公言していた当時の仲井真県知事が、埋立承認と引きかえに安倍総理と確認したのは、普天間基地の五年以内の運用停止です。できることは全部やると安倍総理は公言していらっしゃいます。いらっしゃいました。これが過去のものか、今も生きているのか、そのことすらもう曖昧になっています。  二〇一九年二月までに最大限努力するとされるこの件、つまり期限は二〇一九年二月なんですね。二〇一七年三月現在、どのような協議、あるいはどのような状況になっているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  114. 岸田文雄

    岸田国務大臣 米側とのやりとり、詳細については控えますが、沖縄の負担軽減に関する日本政府の立場については、先月の日米首脳会談や日米外相会談の機会を初め、累次の機会に米側に説明をしております。  仲井真前知事から御要望のあった普天間の五年以内の運用停止については、政府としても、辺野古に移設されるまでの間の普天間の危険性除去が極めて重要な課題であるという認識を仲井真前知事と共有したものであります。  このため、仲井真前知事からいただいた埋立承認に基づいて辺野古への移設を進める中、米国という相手のあることでありますが、できることは全て行うという姿勢で取り組んできました。  他方、翁長知事はこの埋立承認を取り消し、普天間の移設をめぐる状況は当時と変化をしています。政府としては、五年以内の運用停止の実現のためには、辺野古移設について地元の御協力が得られることが前提であると考えています。  いずれにせよ、政府としては、抑止力を維持し、負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまでどおり進めていく考えであり、普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないという方針のもと、約二十年越しの懸案であります普天間飛行場の全面返還を実現するため、引き続き全力で取り組む考えであります。
  115. 玉城デニー

    ○玉城委員 本員は、辺野古への新たな基地建設には反対の立場です。それは明確に申し上げておきたいと思います。  しかし、多くの沖縄県民は、沖縄における米軍の基地負担の軽減というその点に関して言えば、普天間基地のまず運用停止が先であろうと思います。工事がもし始まったとしても、五年、十年、この先かかるわけですね。できることは全てやるというのであれば、まずできること、普天間基地の運用停止が先であろうということが多くの沖縄県民の願いだと思います。その願いに対して、特に質問では要求しておりませんが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  116. 岸田文雄

    岸田国務大臣 普天間飛行場の危険除去に対する地元沖縄の県民の皆様方の思い、これは大変強いものがあると思いますし、ぜひ政府としても、しっかりこれは受けとめなければなりません。  少なくとも、政府としては、普天間飛行場の危険性の除去について、しっかりと対応しなければならない、これは大変重要な課題であるという点については、意識を共有しているものであると考えております。  ただ、普天間飛行場の五年以内の運用停止ということにつきましては、先ほど申し上げましたような事情であり、政府の立場については、累次説明をさせていただいているとおりであります。
  117. 玉城デニー

    ○玉城委員 では、別のオスプレイに関するニュースを、これは委員皆さんとも共有をしたいと思います。  米国防総省は十三日、特殊作戦用のオスプレイCV22の、米軍横田基地、東京都福生市などへの配備開始が、従来予定の二〇一七会計年度第四・四半期、二〇一七年七月から九月より最長三年おくれ、二〇会計年度になると発表、配備がおくれる理由などは説明されていないというニュースが、昨日、報道されています。  米軍は一五年五月、一七年後半にオスプレイ三機を横田基地に配備すると発表、二一年までに七機を追加配備し、合計十機を常駐させる計画だったということなんですが、この件について、外務大臣へのアメリカ側からの報告などは、いつ、どのようにして行われたんでしょうか。
  118. 岸田文雄

    岸田国務大臣 結論から申し上げますと、米側からは、昨日の発表に先立って連絡を受けました。CV22オスプレイの横田飛行場への配備を二〇二〇米会計年度に延期する旨、連絡を受けております。
  119. 玉城デニー

    ○玉城委員 私の記憶違いであればいいんですが、昨日の参議院の予算委員会でも、恐らく政府参考人は、オスプレイの横田への配備延期については話していなかったのではないかというふうに記憶しておりますので、それはしっかりと精査をして、また後半、質問したいと思います。  最後に一件。  実は、ちょっともう時間が来ているんですが、先日も、不当勾留であるということで、この委員会でも質問させていただきました、沖縄平和運動センターの山城博治議長の件ですが、その奥さんが、十三日午前、那覇拘置所で約二十分間、議長と初めて接見できました。この勾留、昨年十月に接見禁止決定を出して以来、弁護士以外との接見が四カ月半ぶりに実現したんです。四カ月半も、いわゆる禁錮状態に置かれていたわけですね。しかし、器物破損などの微罪です、要件は。それがこのように長く勾留されているということは、世界的に見て不当だとアムネスティも言っているんですよ。よく調べてみてください。  ここで、奥さんの声を最後に紹介したいと思います。「なぜ初公判前なのか。なぜ私だけなのか。なぜ微罪でこんなにも長く勾留されるのか。おかしなことが多くて、接見と言っても手放しでは喜べない。」「接見禁止を全面的に解除してほしい。勾留されているのは夫だけではない。二人を早く保釈して、正義と良心を見せてほしい。」「今回、私自身が抗議行動の場に行くようになって、夫が多くの方に励まされていることを初めて知った。」「みんなそれぞれの大切な時間を割いてくれている。私一人ではとても耐えられなかったと思う。勇気をいただいている。直接言えない方々にも感謝の気持ちを伝えたい。」「でも、こういう間違ったやり方は長くは続かない。希望を忘れず、平和への思いを強く持って、今ここでやらなければいけないことをやっていきたい。」というふうに語っています。  外国から見ると不当勾留です。人質司法によって、本人が被疑を否定している限りずっと勾留するというやり方は、先進諸国ではおよそ認められません。このことについて、私は何度もこの外務委員会でまたただしていきたいと思いますので、誠実な答弁を求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。ニフェーデービタン。      ————◇—————
  120. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 次に、第百九十二回国会提出日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、今国会提出日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国自衛隊グレートブリテン及び北アイルランド連合王国軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。     —————————————  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件  日本国自衛隊グレートブリテン及び北アイルランド連合王国軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  121. 岸田文雄

    岸田国務大臣 ただいま議題となりました日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援物品又は役務相互提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律等の成立を受けて、平成八年に締結され、平成十一年及び平成十六年に改正された日米物品役務相互提供協定にかわる新たな協定締結することにつき、アメリカ合衆国政府と協議した結果、平成二十八年九月二十六日に署名を行った次第であります。  日米物品役務相互提供協定は、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における、それぞれの国の法令により認められる物品または役務提供に係る決済手続等を定めるものです。この協定により、平和安全法制に基づく物品または役務提供についても、現行の日米物品役務相互提供協定に定める決済手続等の枠組みを適用することができるようになります。  この協定締結は、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間の緊密な協力を促進し、日米安全保障条約の円滑かつ効果的な運用に寄与し、また、平成二十七年四月に公表された日米防衛協力のための指針において言及されている二国間協力の実効性に寄与することとなります。さらに、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊が行う活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与するものと考えられます。  よって、ここに、協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律等の成立を踏まえ、平成二十五年に締結された日豪物品役務相互提供協定にかわる新たな協定締結することにつき、オーストラリア政府と協議した結果、平成二十九年一月十四日に署名が行われた次第であります。  日豪物品役務相互提供協定は、日本国自衛隊オーストラリア国防軍との間における、それぞれの国の法令により認められる物品または役務提供に係る決済手続等を定めるものです。この協定により、平和安全法制等に基づく物品または役務提供についても、現行の日豪物品役務相互提供協定に定める決済手続等の枠組みを適用することができるようになります。  この協定締結により、日本国自衛隊オーストラリア国防軍がそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、日本国自衛隊グレートブリテン及び北アイルランド連合王国軍隊との間における物品又は役務相互提供に関する日本国政府グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  平成二十六年五月以来、英国政府との間でこの協定の交渉を行った結果、平成二十九年一月二十六日に署名が行われた次第であります。  この協定は、日本国自衛隊と連合王国の軍隊との間における、平和安全法制を含むそれぞれの国の法令により認められる物品または役務提供に係る決済手続等を定めるものです。  この協定締結により、日本国自衛隊と連合王国の軍隊がそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  122. 三ッ矢憲生

    三ッ矢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十四分散会