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2016-10-27 第192回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年十月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月十九日     辞任         補欠選任      徳茂 雅之君     野上浩太郎君  十月二十日     辞任         補欠選任      野上浩太郎君     徳茂 雅之君  十月二十六日     辞任         補欠選任      松川 るい君    渡辺美知太郎君  十月二十七日     辞任         補欠選任      山谷えり子君     自見はなこ君     渡辺美知太郎君     朝日健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤川 政人君     理 事                 大家 敏志君                 長峯  誠君                 三宅 伸吾君                 大塚 耕平君                 平木 大作君     委 員                 愛知 治郎君                 朝日健太郎君                 石田 昌宏君                 自見はなこ君                 徳茂 雅之君                 中西 健治君                 三木  亨君                 宮沢 洋一君                 山谷えり子君                渡辺美知太郎君                 風間 直樹君                 古賀 之士君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 杉  久武君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 藤巻 健史君                 渡辺 喜美君                 中山 恭子君    国務大臣        財務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        麻生 太郎君    副大臣        内閣府副大臣   越智 隆雄君        財務大臣    大塚  拓君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        武村 展英君        総務大臣政務官  金子めぐみ君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 伸一君    政府参考人        金融庁監督局長  遠藤 俊英君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       安藤 英作君        財務省主税局長  星野 次彦君        財務省理財局長  佐川 宣寿君        経済産業大臣官        房審議官     保坂  伸君    参考人        日本銀行総裁   黒田 東彦君        日本銀行総裁  岩田規久男君        日本銀行理事   桑原 茂裕君        日本郵政株式会        社専務執行役   原口 亮介君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (長短金利操作付き量的・質的金融緩和に関す  る件)  (金融情報通信技術の融合に関する件)  (研究開発税制に関する件)  (内部留保に着目した法人税制に関する件)  (金融行政方針に関する件)  (経済成長のための財政政策に関する件)     ─────────────
  2. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  冒頭、この場をお借りいたしまして、本日薨去されました三笠宮崇仁親王殿下に対して謹んで哀悼の意を表します。     ─────────────
  3. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 委員異動について御報告いたします。  昨日、松川るい君が委員辞任され、その補欠として渡辺美知太郎君が選任されました。     ─────────────
  4. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁監督局長遠藤俊英君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁岩田規久男君、同理事桑原茂裕君及び日本郵政株式会社専務執行役原口亮介君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 風間直樹

    風間直樹君 おはようございます。  今日は、九月の日銀の新政策決定を受けて、黒田総裁岩田総裁お尋ねをしていきたいと思います。  まず、岩田総裁お尋ねをします。  九月の新政策は、いわゆるリフレ派皆さんから非常に厳しい批判を浴びています。私、この委員会で、かねて岩田総裁日銀金融政策をめぐって幾多の議論をしてきました。今日は、まず岩田総裁にこの批判に対する弁明を伺いたいと思います。  批判ですが、例えば、元審議委員中原伸之氏、原田岩田両氏は敢然と反対すべきだった、日銀職員の説得と圧力に負けたと、非常に厳しい言葉岩田さんを批判されています。さらに、嶋中雄二氏、自分委員なら反対した。首相の経済ブレーンの本田現スイス大使に至っては、日銀は次回会合で追加緩和を行う必要がある、国債購入額はまだまだ拡大できると、こうおっしゃっています。  岩田総裁、どのようにこれらの批判弁明されるのか、伺います。
  10. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 日本銀行は、先般導入した長短金利操作付き量的・質的緩和の下で量と金利両面から強力な金融緩和を推進していく方針であります。  すなわち、新たな枠組みでは、長期金利水準金融市場調節操作目標とすることにいたしましたが、長期金利目標を実現するためには引き続き多額国債購入、買入れが必要不可欠であります。この点、公表文においても、国債買入れ額について、おおむね現状程度の買入れペース、保有残高増加額約年間八十兆円をめどにしつつ、金利操作方針を実現するよう運営すると明記しております。また、オーバーシュート型コミットメントを導入し、消費者物価上昇率実績値が安定的に二%の物価安定の目標を超えるまでマネタリーベース拡大方針を継続するといたしました。総括的な検証で示したとおり、マネタリーベース拡大は、物価安定の目標に対するコミットメント多額国債買入れと併せて、金融政策レジームの変化をもたらすことにより、人々の物価観に働きかけ、予想物価上昇率の押し上げに寄与したと分析されております。  こうした認識を踏まえて、新たな政策枠組みにおいては、マネタリーベースについて、オーバーシュート型のコミットメントを採用することによりフォワードルッキングな期待形成を強め、予想物価上昇率をより強力な方法で高めていくことにいたしました。  このように、日本銀行は、今後とも、量及び金利両面から強力な金融緩和を推進し、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現する方針です。
  11. 風間直樹

    風間直樹君 今の答えは日銀の新しい金融政策の御説明でありまして、どう抗弁するんですか、弁明するんですかという私の質問に対するお答えではありませんので、いま一度弁明を伺います。
  12. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 今申し上げたとおり、長期金利目標を実現するという、それを操作目標にしましたが、それを実現するためにも、多額国債買入れをするという点では量の面を重視しているということには変わりはないということでございます。
  13. 風間直樹

    風間直樹君 すると、今回の新政策は、これまで岩田さんがリフレ派の旗手としておっしゃってきた、主張してきた内容、お考えと全く整合的である、何ら変わるものではないと、こういう理解でよろしいですか。
  14. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 基本的には私の考えは、日本銀行は今物価安定の目標として二%を目標にしておりますが、それを達成するために日本銀行が使えるあらゆる手段を動員するということに尽きますので、その中に一つ長期金利目標操作するということも入っているわけでありまして、何も何かそういう金利の面を全く最初から排除しているということではございません。
  15. 風間直樹

    風間直樹君 二〇一三年三月十五日だったと思いますが、黒田総裁岩田総裁就任国会同意人事案件として諮られ、可決され、お二人が就任されました。私は、そのときお二人の就任には反対票を投じました。  以来、岩田さんの御主張をこの場でるる聞いてまいりましたが、今日の主張を聞くのは私は初めてであります。あなたは今まで、金利操作を含めて自分目標達成するということをおっしゃったことはこの場では一度もありません。いずれも量に主眼を置いた主張を繰り返していらっしゃいました。整合的ではないと考えますが、いかがですか。
  16. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) おっしゃった意味は、私がこの副総裁就任する前は、基本的にはゼロ金利金利というのはそれ以上下がらないというようなことでありました。その場合にはもう量、しかも量は、量を拡大するということは長期国債を買うということですから、長期金利を下げるということで初めから金利が入っているわけであります。つまり、量と金利というのは両面あるわけであります。  さらに、最近の欧州の経験などを含めて、マイナス金利もあり得るということで、金利操作は更にできると。そして、それと国債の買入れと合わすと、かなり長期金利もある程度範囲操作できるということがだんだん分かってきたわけでありまして、そういう意味で私の考えはある面進化していったということは認めますが。  いずれにしても、量というのを増やすときに長期金利に働きかけるわけであります。量というのは、長期国債を買うということでありますから、一年満期以上のものを。初めから金利も視野に入っているということは初めから申し上げていることに含まれているというふうに考えております。
  17. 風間直樹

    風間直樹君 先ほども引用した嶋中雄二さんがこういうことをおっしゃっているんですが、安倍政権の掲げる二〇二〇年度名目GDP六百兆円目標を半期ベースで同年度末までに達成するには、一年半のタイムラグを考慮すれば一九年度上期までにはマネタリーベースを平残で六百七十六兆円に拡大させる必要があると。  岩田総裁、今の御答弁を踏まえると、御自身は量の目標を全く放棄していないんだということでありますが、では、どこまでこのマネタリーベース拡大が可能とお考えになっていらっしゃるのか、その点をお尋ねします。
  18. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 基本的には拡大に限界というのはないというふうには思っておりますが、二%の目標達成するために、どの程度国債を今買い入れていけばいいのかということ、それはいろいろな経済情勢がありますので、そこはその都度、海外情勢とかそういうことも考えながら判断していきたいというふうに思っています。
  19. 風間直樹

    風間直樹君 岩田さんの答弁には根本的な矛盾があるんですよ。日銀長期金利ゼロ%を目標としたわけです、今回の決定で。現状マイナス水準。したがって、ゼロ%を達成するためには、当然ですが、国債を売らなくては達成できないと。しかし、副総裁答弁国債を大量に買うとおっしゃっている。これはどういうことなんですか。
  20. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 当面は、ゼロ%程度を維持するためには現状の八十兆円ぐらいだというふうに思っております。それは経済情勢によってはもっと金利を下げた方がいいと、十年債、あるいは上げた方がいいという場合もありますので、その場合には量も同時に変化するということでありまして、量と金利は一体であります。
  21. 風間直樹

    風間直樹君 この場で度々、複数の委員から、岩田さんの去就についてこれまで質問が出てまいりました。あなたは、就任時、二年以内に必ず二%目標達成すると断言をされました。さらに、達成できなかったときには自分は職を辞すとまでおっしゃいました。ちょうど二年経過したときに、職を辞すんですかという質問が出ましたが、あなたは職は辞しませんとおっしゃった。  あなたの任期は二〇一八年の三月末であります。あと一年半でありますけれども、現状で二%達成ができるとお考えになっていますか。
  22. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 任期中にということでございますか。
  23. 風間直樹

    風間直樹君 そうです。
  24. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 現状で、私自身は最終的には二%程度には達するというふうには思っておりますが、二%ぴっちりとは申し上げませんけれども、その程度には達していく経路は見えてくるというふうに思っております。
  25. 風間直樹

    風間直樹君 改めてその根拠をお尋ねします。
  26. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 現状は、物価が二%に達していない理由でありますが、それは一つ原油価格が急落したということでありますが、それがだんだん、次第に今上がってまいりますので、この効果が剥落してくるということが挙げられます。それから今後は、為替ももう少し安定してくるというふうに予想されておりますし、財政政策も相まって相乗効果が働いてくるということで、経済はだんだん良くなってくるというふうに思っております。
  27. 風間直樹

    風間直樹君 二〇一三年以降、過去三年余りにわたって我々が聞かされ続けてきた理由を今おっしゃいました。しかし、物価は上がっていない。この先一年半で二%に到達するという保証は、今の御答弁を聞く限り、ないのだろうと改めて思いました。  さて、元審議委員中原さんが、今回の新政策について非常に厳しく、また同時に鋭い切れ味の批判をおっしゃっています。例えばイールドカーブの問題なんですけれども、こうおっしゃっています。イールドカーブ国家管理の下に置こうとするなど、戦時中の統制経済と同じ発想であり、ばかげていると。  岩田さんはこれに対してどのように弁明されるのでしょうか。
  28. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) イールドカーブ自体をコントロールするということは、以前はずっと困難であるというふうに考えられていたわけですが、今、我々の経験によると、それはある程度範囲でコントロールできると。その場合には、イールドカーブの、今度の総括的検証では、大体十年以上の、金利がそこで下がっても需給ギャップには余り影響を与えないということになりますと、大体十年程度までのイールドカーブをある程度操作するということが物価安定の目標に達する道であるというふうに考えたわけであります。
  29. 風間直樹

    風間直樹君 そうしますと、十年超の長期金利についてもコントロールできるとお考えなんでしょうか。
  30. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) それ自身余りコントロールする対象にはならないというふうに思っております。
  31. 風間直樹

    風間直樹君 その理由お尋ねします。
  32. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 今申し上げたとおり、需給ギャップ影響するのは十年未満、特にもう少し短いところでありますので、それ以上の年限についてそれほど大幅に金利低下を促すというようなことは必要ないというふうに思っております。
  33. 風間直樹

    風間直樹君 この十年債の利回りですが、現状、〇%を割っている状況です。これを〇%に上昇させるという新政策なわけですけれども、私疑問なことがありまして、政府発行国債、当然、十年債の金利がゼロ%だということは、政府国債発行によって資金を調達してもそのコストはゼロだということであります。そのことが今後の我が国の財政運営上、大きな影響を及ぼすのではないかと思います。  つまり、資金調達コストが掛からないわけですから、国債発行に対する制御がなかなか働かないと。この点のリスクについて、岩田さんはどのようにお考えでしょうか。
  34. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 先ほど申し上げたとおり、日本銀行は、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために最も適切と考えられるイールドカーブ形成を促していくという方針であります。  具体的な財政運営国債管理政策については、こうした金利環境の下で政府国会責任において行われるものと認識しております。
  35. 風間直樹

    風間直樹君 つまり、それはもう日銀責任じゃないんだと、我々はイールドカーブを管理してこの十年物の長期金利はゼロ%程度まで上げるけれども、それ以上のことは、つまり財政上のリスクについては日銀責任を負わないと、こういうことでよろしいですか。
  36. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 要するに、具体的な財政運営国債管理政策については、それは政府国会責任においてなされることだという認識であるということであります。
  37. 風間直樹

    風間直樹君 同様の質問黒田総裁に伺います。
  38. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 今、岩田総裁から申し上げたとおり、日本銀行金融政策は、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということで行ってきております。そうした下で、今回の新しいフレームワークでは、長短金利操作付き量的・質的金融緩和ということで、二%の物価安定目標を実現するために経済に最も適切なイールドカーブを促していくということであります。  そうした下での財政運営るい国債管理政策自体は、やはり政府及び国会において決定され実施されていくものというふうに理解をしております。
  39. 風間直樹

    風間直樹君 麻生大臣お尋ねをします。  今の正副総裁の御答弁を踏まえて、財務大臣として今後の国債発行についてどのようなお考えをお持ちなのか、伺います。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 質問通告を受けておりません、たしか私の記憶では。質問通告が出されていないという前提答弁をさせていただきますが、私どもは日本銀行との間で連携を密にしてやってまいりたいと考えております。
  41. 風間直樹

    風間直樹君 岩田総裁への質問に戻ります。  残り任期一年半ということですけれども、あなたは今、二%達成ができると考えるとおっしゃった。ただ、その道筋は見えてきません。任期を迎えたときに二%を達成できていなかった場合、あなたの矜持としてどのような対応を取られますか。
  42. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 二%、二%といって、何かきっちりと二%と言われると困ってしまうわけですけれども、二%に非常に近づいている少なくとも経路にあるというふうには期待しておるということでございます。
  43. 風間直樹

    風間直樹君 確認ですが、つまり、物価上昇を今後していって、二%には到達していなくても、その時点で、上昇傾向にある場合は御自分責任は果たされたと、このようにお考えになるということでよろしいですか。
  44. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) それは程度に結局よりますけれども、余りにも二%と懸け離れているという場合には、そこではやはり説明責任というのが発生するというふうに思います。  現在、私が想定している原油動向であるとか円・ドルレート動向であるとか、あるい政府財政政策動向とか、そういったある程度前提の上で申し上げておりますので、その前提が崩れる場合、あるい海外でまたいろいろな逆風が吹く場合、国際金融市場が混乱するとかいろいろな問題がありますので、そういう場合には二%の達成はやはり後ずれするということで、そういう要因をきちんと説明していきたいというふうに思っております。
  45. 風間直樹

    風間直樹君 つまり、最終的に任期を迎えた時点で二%に達していなかったとしても、それは諸般の経済情勢によるものであって、自分責任とはならないと、こういうことでよろしいですか。
  46. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 要するに、そのできなかった説明責任を取るということであります。
  47. 風間直樹

    風間直樹君 あなたは就任時に、二%を達成する、できなかったときには職を辞するとおっしゃいました。そのときには説明責任というお話は一切されていません。今回、説明責任という話が出てきた、これまでこの委員会でほかの委員の方がお尋ねになっても、あなたは説明責任とおっしゃった、就任時と今、なぜ違うのですか。
  48. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 就任時には、二回の国会答弁で、ちょっと説明責任という言葉が思い付かなかったので、どのような責任の取り方が適当か分からないけれども、最終的には、あるい最高責任の取り方としては辞職だろうということでありますと。その後、総裁、副総裁記者会見がすぐありまして、そのときには、いろいろな責任の取り方があるだろうという点を説明責任というふうに、きちっと、日銀法に基づいて、考え直して、説明責任という言葉もその日は申し上げているわけでありまして、いずれにしても、いろいろな責任の取り方はあるだろうけれども、最終的になった場合、あるい最高責任の取り方ということを申し上げたのであって、説明責任を取れない場合にはどなたでも結局は最終的には辞任ということになるという一般論を申し上げているということで、何か新しいことを申し上げたつもりはございません。
  49. 風間直樹

    風間直樹君 岩田さんの御答弁を伺っていますと、説明責任を果たされようということでいろいろ説明を今までされているんですが、その説明内容が、現在と過去、全く整合性がないというのが特徴であります。一年半後、任期を迎えるときにあなたの目標達成されていればよいとは思いますけれども、そうでなかったときに、あなたの果たす説明責任が整合的であるようにお祈りをしております。  さて、この元審議委員中原氏でありますが、こういうことをおっしゃっています。アベノミクスにおける第一の矢が日銀のこの金融政策なわけですけれども、日銀独立性を盾に量的緩和レジームから離脱し、安倍政権が掲げる三本の矢の中で先駆けてこの第一の矢の総括を行ったことを疑問視をした上で、日銀は第二の矢である財政政策、第三の矢である成長戦略にも総括を迫っているのかと、こう疑問を投げかけていますが、この点について岩田さんはどのようにお考えでしょうか。
  50. 岩田規久男

    参考人岩田規久男君) 我々は、金融政策物価安定の目標達成するために金融政策を運営しておりますので、金融政策に対してだけ総括するということで、政府は何かほかの総括するということについては我々の関与することではないと、それは政府自身でお考えになることだと思います。
  51. 風間直樹

    風間直樹君 最近、日銀内部リフレ派皆さんの足並みが随分乱れてきているのを感じます。  十月の十二日、原田審議委員が長野の松本で記者会見をされました。その内容、非常に注目をされていたわけですけれども、驚くべき発言をされました。リフレ派のお一人として原田さんがこの日銀政策について事実上の政策変更理由をどう説明されるか、釈明されるかという点に注目が集まったわけであります。原田さんはこの日の会見で、日銀政府に関係している人も皆リフレ派先進国、多くの途上国も二%目標を掲げており、全世界もリフレ派だと。マスコミ報道によりますと、次々と新解釈を披露したとやゆされています。  ここまで来ると、私、日銀審議委員という方のお立場、見識というものはこれまで非常に高いというふうに敬服をしておったわけですけれども、その権威も随分落ちたんだなという感を持たざるを得ません。  今日、黒田総裁にこのいわゆるリフレ派の定義について、この場できちんともう一回定義をし直していただいた方がよかろうと思いますので、総裁にその点をお尋ねします。
  52. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 原田委員が言われたことを、審議委員の個別の発言についてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにせよ、日本銀行としては、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために金融緩和を推進していくという方針であり、これは政策委員の間で共有されているというふうに思っております。  なお、リフレ派、いわゆるリフレ派というものの定義について、私から定義するような立場にございませんので、その点については特に申し上げることはありませんが、一般的には、リフレ派と言われている、マスコミ的に言っている方々、リフレ派はこういうものだと言っている方の話を聞くと、物価安定の目標達成するために金融政策を総動員して達成するし、達成できると、金融政策によって物価安定の目標、つまりデフレから脱却することができると言っているのかなと思いますけれども、先ほども申し上げたとおり、私からリフレ派とはこういうものであるというふうに定義するというのは僣越であろうと思っております。
  53. 風間直樹

    風間直樹君 総裁、それは完全に逃げの答弁ですね。  原田さん、この方は審議委員です。先般の国会同意人事で、別の方が国会に提出された経歴に様々な間違いがある、あるいは事実と異なる点があるということで、承認が随分紛糾しました。同じ審議委員原田さんが、会見でマスコミも唖然とするような内容のことを平然とおっしゃる。これは、総裁がこの場で個々の審議委員が何を言ったかについては関知しないと、こういう答弁で済む話じゃないですよ。やはり、日銀総裁として、審議委員の明らかに逸脱した発言については、それを総裁のお立場で修正されるべきだと思います。もう一度同じお尋ねをします。
  54. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 今おっしゃったことは現在の日銀法では不可能です。日銀法ではっきりと金融政策決定に関して、つまり金融政策内容、方向については各政策委員会のメンバーが独立して決定するというふうになっておりまして、総裁が何か、政策審議委員るいは副総裁についてもですけれども、考え方について指揮命令するような立場にないわけであります。  なお、政策審議委員内閣において任命され、これはもちろん両院の賛同を得て内閣で任命されているわけでありまして、総裁が任命するという立場にもありません。  したがいまして、基本的に、政策委員会のメンバーはそれぞれがそれぞれの見識に従って議論をし、そして、それぞれが独立の立場で決定に参加し、合議体として金融政策決定していくという形になっております。これは日本銀行だけでなく、欧米の合議体で金融政策決定する場合も全く同じでございます。
  55. 風間直樹

    風間直樹君 よく分かりました。そうすると、総裁の今の答弁を踏まえれば、この原田さんという審議委員はやはり日銀審議委員に足る見識をお持ちでないというふうに理解せざるを得ないと思います。我々は、また任期が来て、この方の人事が改めて国会に提出された場合には、今回のこの方の対応を踏まえて判断をしなければいけないというふうに改めて感じた次第です。  さて、続けて総裁に伺いますが、この新しい政策発表後の超長期金利についてですけれども、これは上昇はしていないですね。低下傾向にある、変わらないと思っております。この点について、総裁、どのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをします。
  56. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) この長短金利操作付き量的・質的金融緩和におきましては、一番短期のこの政策金利、これは日本銀行が市中銀行が日本銀行に預けている当座預金の金利の一部にマイナス金利を付けているわけですが、このマイナス〇・一%というのはこれは日本銀行が完全に決定できて執行できるものであります。  他方、もう一つのポイントであります十年国債金利は、これは操作目標でありまして、ゼロ%程度ということでありますので一定の幅はありますけれども、現時点で導入したときとほとんど変わらない水準にございます。マイナス〇・〇五とか〇六というような水準でありまして、導入のたしか前日もマイナス〇・〇六だったと思いますが、十年債についてはほぼゼロ%程度という操作目標に沿った形で実現ができていると。これは、長期国債をバランスよく、年間八十兆円程度保有残高を増やすというめどに沿って行っているということとの関係で実現しているとは思いますけれども、操作目標が実現をできていると。イールドカーブ全体も決定したときにイメージした形になっているというふうに思います。
  57. 風間直樹

    風間直樹君 すると、超長期金利については現状かそれ以下ということでも構わないということでしょうか。
  58. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 超長期金利、二十年債、三十年債の金利も実は長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した前とほとんど変わっておりません。例えば三十年債でいいますと、前日〇・五二%だったものが足下で〇・四九%とか〇・五〇%で、もうほとんど変わっておりません。ただ、二十年債、三十年債のところについては、十年債のように操作目標にしておりませんので、全体のイールドカーブの中でもう少しスティープになるということもあるかもしれませんし、もう少しフラットになることがあるかもしれません。  ただ、全体として、そういった超長期まで見て全体のイールドカーブが適正かどうかということは、金融政策決定会合においてその都度よく点検をし、長短金利操作目標について変更する必要があるかどうかということも含めて十分検討していくと。ただ、現状、導入した当時とほとんど変わらない形で、その当時のイールドカーブがそのときの経済金融情勢にほぼ見合っているというふうに見ておりましたので、直ちに何か長短金利操作目標を変えるということにはならないと思いますが、これはあくまでも毎回の金融政策決定会合で、イールドカーブ全体を経済金融情勢と言わば見比べて適切かどうかを十分判断していきたいと思っております。
  59. 風間直樹

    風間直樹君 日銀マイナス金利を導入されて以降、金融機関の運用難が非常に強くなったと、特にこの超長期債等で運用している機関投資家の立場が厳しくなったと言われています。今の総裁答弁を伺うと、余りそこに対する配慮は感じられない。超長期債の金利については日銀操作もそう及ぶ対象ではないからと、こういう趣旨でありますけれども、この金融業界、特に超長期債を運用対象としている機関投資家等に対する配慮というのは今の御答弁でよろしいわけですか。
  60. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) これは、総括的検証の中でも述べられておりますし、金融政策決定会合後の公表文等でもいろいろ述べられておりますけれども、超長期のところの金利余り低下してフラット化が行き過ぎるということは、具体的に生命保険会社とか年金基金とか、そういったことも含めて超長期のところの運用の利回りが低下すると。それ自体がすぐにマクロ経済で大きな影響が及ぶとは総括的検証でも言っていませんけれども、それがマインド面での影響とかあるい金融システム全体での金融仲介機能を低下させるのではないかという懸念といったものが生ずるおそれがあるということは指摘しておりまして、その点は私どもも全く同じ意見でありまして、ですから、超長期、長期を含めてイールドカーブがどんどん下がってどんどんフラット化したらいいというふうには考えておりません。  むしろ、従来の状況と比べますと、少しイールドカーブが立ってきているわけですね。それはそれとして、前回の金融政策決定会合で適切であると、こう言っておりますので、超長期のところがもう少し金利が上がってもおかしくないというか、上がったら下げないといけないというふうに考えるかどうかと言われると、今のところそういうふうには思っておりません。  そういった意味で、超長期債の投資家の状況というものも当然のことながら十分考慮しているということであります。
  61. 風間直樹

    風間直樹君 どうも総裁就任当初に比べますと、発言が非常に自信のないものに変わってきています。日銀総裁として我が国の金融政策の操縦桿をしっかり握っていると、こういう感触が伝わってこないわけです。  この辺はマーケット関係者にもやはり共有されている認識でして、例えば日経ヴェリタスの今年十月の十六日号に掲載されていますけれども、債券市場の関係者に聞いたところ、国債の暴落、金利の急騰があり得ると答えた方が七割近く、そのうち八割が日銀金融政策の転換を探るタイミングで起きると見ているということであります。  一つ目のお尋ねは、これに対して総裁はどのようにお答えになるのかというお尋ね。二つ目ですが、長期金利をゼロ%にするには、先ほど申し上げましたように、国債を売らないといけないと。そうすると、日銀国債買入れを減少させるという姿勢を見せたときに、これは緩和の縮小というイメージですから、市場が動揺する可能性がある、ここに今の日銀の置かれた非常に難しい立場があると思っています。これについてどのように今後かじ取りをするお考えか。以上二点についてお尋ねをいたします。
  62. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) まず、現在、年間八十兆円に相当する国債の保有増を日本銀行はやっているわけですね。そうした下でゼロ%程度に十年債が維持をされているということでありまして、現時点でもちろんゼロ%程度操作目標を変えるつもりはありませんけれども、仮にそれを上げる、あるいは上げないまでも、それを維持するために国債をトータルで八十兆円毎年増やすという必要がなくなってくる可能性はありますけれども、ゼロ%の操作目標を維持するために国債を売る、つまり保有額を下げるというような必要が今ある、あるいは当面出てくるとは全く思われません。したがいまして、そういうことは全く考えておりませんで、むしろ、先日の公表文でも述べたとおり、八十兆円のめどを維持してやっていくということを言っておりますので、当然、国債を、その保有を減らすというようなことが今すぐあるというふうなことは全く考えられません。  それから、そういったことを前提に、何か国債が暴落するとか金利が暴騰するとか、そういうことは全く普通の予想ではないと思いますので、市場の人たちが本気になってそう思っているとは思っておりません。  あくまでも適切なイールドカーブを促して二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということでありまして、今おっしゃったような二つの点は今の時点考える必要はないというふうに思っております。(発言する者あり)
  63. 風間直樹

    風間直樹君 同僚の議員の皆さんから総裁のロジックが完全に破綻しているという声が上がっておりますので、指摘をします。  そうしますと、今の長期金利水準は、総裁、ゼロ%程度範囲内とお考えなんでしょうか。
  64. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) ゼロ%程度のもう範囲内そのものでありまして、というのは、先ほど申し上げたように、新しい枠組み決定する前のところとほとんど変わらないわけでして、しかもその水準がマイナス〇・〇六%と。これは誰が見てもゼロ%程度であるというふうに思います。
  65. 風間直樹

    風間直樹君 終わります。
  66. 藤末健三

    ○藤末健三君 皆さん、おはようございます。民進党の藤末健三でございます。もう大分何か眠くなるような御答弁いただきましたので、元気を出してさせていただきたいと思います。  私も、今日は日銀さんに来ていただいて国債の問題を議論させていただこうと思ったんですが、非常に今ちょっと後ろ向きな雰囲気でございますので、今日は前向きに、一つはフィンテック、金融技術の議論、そしてまた、日本で最大、また世界でも最大の資金量を誇りますゆうちょ銀行、郵政グループ、当然これはもう日本の中で金融のユニバーサルサービスの義務を背負っておりますので、そういう郵政グループがどのような将来展開をするか、そういう前向きな話を議論させていただきたいと思います。  まず初めにフィンテックの議論をさせていただきたいと思いますが、フィンテック、なかなか知られない言葉なので簡単に御説明しますと、これはファイナンスとテクノロジーの合成の言葉でございまして、金融技術などと言われています。この背景に何があるかと申しますと、やはり一つありますのは、最近、AI、人工知能とビッグデータとかいろんなものの議論がある中、また新しいインターネットのテクノロジーなどが起こり、一方では、リーマン・ショックなどがありまして金融に対する不信、そしてその金融機関からの人材が流出し、新しいビジネスを起こそうという動きが出ております。  このフィンテック、なかなか日本では名前は売れておりませんけれども、実は世界規模で見ますともう既にこのフィンテックへの投資は何と二〇一五年ベースで二兆三千億円と言われています。これはこの四年間で実は七倍になっているという状況でございますが、世界の投資、主にアメリカとヨーロッパでございますけれども、二兆三千億円の投資。じゃ、日本はどうなっているかと申しますと、二〇一五年ベースで約五十億円というレベルになっています。  御推察のとおり、世界ではどんどんどんどん新しい金融テクノロジーイノベーションに資金がつぎ込まれ進展している中、我が国は正直申し上げて遅れている状況じゃないかと思います。  こういう状況の中、今、金融庁、非常に大きな取組をしていただいているわけでございますが、是非、麻生金融担当大臣にお聞きしたいんですけど、今後のフィンテック、我が国としてどのような取組を進められるか、教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  67. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたとおり、ファイナンシャルテクノロジーというものの急激な進歩によって、少なくともこのフィンテックという関連する企業に対する投資、これは設備投資じゃありませんよ、いわゆる投資が拡大しております一方、日本でもそうした、いわゆるそういったものに対する投資が進んでいないという御指摘のあるところですけれども、足下では一部の金融機関からはフィンテック企業に対する投資というのが動きが出てきておりますのは御存じのとおりです。  したがいまして、こうした中にありまして、金融庁としても、銀行などによってフィンテック等々の企業への出資が容易になるように銀行法の改正を行ったところです。  さらに、法制面の課題については機動的に検討しているのですが、フィンテックがもたらします構造的な変化が起きると思っているんですが、既存金融機関というものの対応というものをどうやって促進するかということ、また、フィンテックのベンチャーに関する有識者の会議というのをやらせていただいておりますけれども、フィンテックベンチャー企業の登場、成長が進んでいく環境整備といったものの取組を進めているところでもあります。  いずれにいたしましても、このフィンテックの動きとか、利用者の利便性とか、生産性の向上とか、そういった面を考えて日本の金融とか経済の発展につなげていくということは、これは重要なものだと思っておりますので、私どもとしては、きちんとこういったものが真っ当に、少なくとも成長していくように私どもとしては後押しをしていくべき、少なくともそれに対する障壁になっているというのであればそれは取り除くという形で法制面の改正などをさせていただいております。
  68. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  前の国会で銀行法を改正いただきまして、銀行がIT企業などの買収ができるというようにしていただいたのは大きな進歩だと私は本当に思っております。  実際に前の国会でも私議論させていただいたことがあるんですが、例えば外国の、欧米の銀行を見ますと研究開発費というのを計上しているんですね、数%。ところが一方、日本の銀行を見ると研究開発費というのはほとんど計上されていない状況でございまして、やっぱり銀行の方に伺わさせていただくと感じますのは、例えば、実名はちょっと挙げられませんけれど、外資系の金融機関ですと、大きな大きなITのプログラムなんかを作る部隊を内部に持っている、そしてどんどんどんどんシステムを最新のものに作り替えていくということをやっているわけでございますが、我が国はまだそこまで銀行は行っていないように思います。  また、これからも法整備、是非やっていただきたいと思いますが、是非大臣のイニシアティブで他省庁も含めた大きなロードマップを作っていただきたいと思います。  次に、日本銀行にもお聞きしたいんですが、やはりこのフィンテック、これからどんどんどんどんイノベーションを起こすには、金融のインフラとしての、決済のインフラとしての日本銀行の機能を高度化することが非常に重要じゃないかと思っております。  たしか日銀さんもフィンテックセンターというものをつくっていただきまして、決済システムの高度化を図りつつあるということではございますが、一方で、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行なんかのこれちょっと話を聞いていますと、ブロックチェーン、ビットコインみたいなサイバー上の仮想の通貨みたいなものによって通貨発行するということを、これは研究段階だと思うんですが、議論をしているという状況にあると聞いています。  日本銀行としてこのフィンテックをどのように支えていくか、基盤整備をしていくかということについてお考えをお聞かせください。
  69. 桑原茂裕

    参考人桑原茂裕君) お答え申し上げます。  情報技術と金融が結び付きましたいわゆるフィンテック、これは決済や金融サービス、また実体経済などに様々な影響を及ぼし得るものと日本銀行でも認識しております。  このことを踏まえまして、今御指摘がございましたように、日本銀行は本年四月にフィンテックセンターを設立いたしました。また、フィンテックセンターを事務局といたしまして、日本銀行行内の関係部署が幅広く参加するフィンテックネットワークを形成しまして、情報共有や知見の活用を図っているところでございます。  このフィンテックセンターが中心となりまして、本年八月下旬に開催いたしました第一回フィンテックフォーラムにおきましては、フィンテックに関わる多様な方々による活発な議論が行われたところでございます。また、十一月上旬にも第二回のフィンテックフォーラムを開催する予定でございます。  日本銀行といたしましては、フィンテックの健全な発展を支援するとともに、これが金融サービスの利便性の向上や決済システムの高度化、さらには経済活動の活性化に結び付いていくよう、中央銀行の立場からなし得る最大限の貢献をしてまいりたいと考えております。
  70. 藤末健三

    ○藤末健三君 桑原理事は金融庁にもたしかおられたと思いますので、金融庁さん、政策側と日銀さんとの連携を取っていただきたいと思いますし、また、お願いしたいのは、国際的な動向を是非把握していただきたいと思います。  私、そんなに深くは知っていませんけれども、自分が知っている範囲でいきますと、相当劣後していると思うんですね。例えば、MITですとフィンテックセンターはもうできていますから、数年前に。集中的にテクノロジーと実際のマネジメントの議論を一体的にやるようなことをもう取り組んでおりますので、是非、日銀、そして金融庁、政府との連携をしていただきたいと思います。  なぜ私がそういうことを申し上げるかと申しますと、このフィンテックはまさしく新しい金融の起爆剤になると思っています。今、例えば皆さんお使いのものでいいますと、グーグルとかヤフーとかフェイスブックとかあると思いますけれど、アップルもそうですね、ああいうグーグルといったIT企業が今このフィンテックの舞台にどんどんどんどん参入しているという状況です。この間発売されました新しいスマートフォンはもう、外国の九割がつくっているスマートフォンは決済機能付いているんですね、実は。お財布代わりに使えますよという話じゃなくて、あれは決済機能でございます。  そのように、どんどんどんどん海外の企業がそういう金融のプラットホームを占めている中で、私は是非日本が新しいプラットホームをつくっていくということをすべきだと思っています。それは日本発のイノベーションが海外に出ていくということをすべきではないかと思っています。そのチャンスがフィンテックではないかと。  実際に、我々が今使っていますカードがございますが、マスターとかビザ、ございますけれど、これ大体使うたびに一%から二%の金額がプラットホームに取られているという状況です。実際にこのマスター、ビザ、どういう株主構成になっているかというと、海外の巨大なバンカーが株主になっている。我々がお金を使うたびに、その資金の一部はそういう外国のファイナンシャルサービスに流れているという状況に私はあると思っております。そういう状況を打破するためにも、このフィンテックをきちんと、日本の新しいイノベーションをつくり、やっていただきたいと思っています。  私は、是非、今国内でももう萌芽が出ていまして、政府日銀がグローバルな本当にスタンダードを取ろうという意思を持ってなさってくれたら、このフィンテックは、グローバルなプラットホームを日本から取るという大きなチャンスであると思うんですが、それにつきまして政府の見解を教えていただきたいと思います。
  71. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) 藤末委員の御質問にお答えさせていただきます。  海外の事情にお詳しい藤末議員からフィンテック関係のプラットホームのことにつきまして御質問いただいたわけでございますが、ブロックチェーンの技術利用等、基盤技術の話もございますので、この辺のことも絡めて政府の取組についてお答えをしたいというふうに思います。  まず、フィンテックは、金融取引の仕組みの変革や従来見られなかったIT関連技術の取組を通じて、金融の将来的な姿を大きく変えていく可能性があるというふうに私どもも認識しております。このような認識に立って、我が国においてもオープンイノベーション、金融機関とIT企業等との連携、協働を推進するなど、技術革新が金融業、市場にもたらす構造的変化に対応していく必要があるというふうに考えております。こうした観点から具体的に幾つかの取組をさせていただいているところでございます。  一つ目は、金融機関とフィンテック企業が連携した金融サービスの基盤となりますオープンAPI、銀行以外の業者が銀行のシステムに接続し、その機能を利用する際に用いるプログラムのことでございますけれども、これにつきましては、今月の二十一日、先週でありますけれども、全銀協でIT企業等を含む関係者が参加する検討会が設置されたというところでございます。  もう一つは、ブロックチェーンの技術でありますけれども、これにつきましても、近く、全銀協を中心にしまして、IT企業等が参加して検討会が立ち上げられる予定でございます。  これ共々、昨年の十二月に、金融審の決済業務ワーキンググループの報告の中で、本年度中、二〇一六年度中をめどに取りまとめをするということになりまして、今年の六月の成長戦略、日本再興戦略二〇一六にも書き込まれたところでございます。  いずれにしましても、官民が連携してそうした取組を推進することを通じて、フィンテックの動きを日本の金融経済の発展につなげていきたいというふうに考えているところでございます。
  72. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、越智副大臣に頑張っていただきたいと思います。やはり、金融の現場を御存じの方ですので、そこの期待は非常に大きいと思います。  私、是非お願いしたいのは、やはり法制度面を整備していただきたいなというふうに思っています。例えば、資金移動事業者においては取扱金額が上限百万というふうに決まっておりますし、また、扱うお金の金額の分を全部供託として準備しなきゃいけないというふうになっている。また、日本がすごく競争力を持っていると思われますネットゲーム、今スマホでゲームとかしておりますが、その中でいろんなコインが流通しています。このコインの発行額の半分の金額を実は供託として準備をしなきゃいけないという、これは資金決済法で決まっているわけでございますけれども、実際に話を聞きますと、どんどんビジネスを拡大する中でコインの販売を増やしたい、しかしこの資金決済法の五〇%の枠があるのでなかなか拡大できないというような話も、実際にこれはネットゲームの会社の方から聞いてございます。そういうところを見ていただきたいと思いますし、また非対面の取引におきまして、例えばマイナンバーの確認をするために、例えば郵便物を送ってください、若しくは対面しなきゃ駄目ですよといったような、本人確認の手続が非常に煩雑ということがございます。  このように、法令としては例えば資金決済法の先ほど申し上げたような送金の上限の問題とか供託金の問題とか、あと犯罪収益移転防止法、マネーロンダリング防止法みたいな形で非常に非対面におけるいろんなチェック、これは金額の多寡に関係なく一律にされる。百円であっても一万円であっても百万円であっても同じようにされる。そういうものを例えばリスクに応じて変えていかなきゃいけないとか、あともう一つございますのは、先ほど、いろんな企業が連合して新しいビジネスを起こそうとしているわけでございますが、やはりそこで個人情報保護法の壁があって情報の統合ができないとか、様々な法律がフィンテックの壁となっておりますので、是非、越智副大臣が主導していただきまして、そういう法制度、もう多分整備していただいていると思いますが、整備していただき、ほかの国に先駆けて我が国が実証的なものをできるようにしていただきたいと思います。  特に、昨年十二月にはフィンテックサポートデスクをつくっていただきまして、新しいファイナンシャルビジネスを行うときにどういう規制があるか分からないという声、私も聞いておりました、実は。それにもう既に今対応していただいておりますので、そういう声をいただく中で、実際に事業を行う方々の声を拾っていただき規制緩和を行っていただきたいと思うんですが、その点につきまして越智副大臣の見解をお願いします。
  73. 越智隆雄

    ○副大臣(越智隆雄君) フィンテックサポートデスクにつきまして御質問いただきました。  御指摘のとおり、金融庁は昨年の十二月に、フィンテックに関する民間事業者の相談等に一元的に対応するためフィンテックサポートデスクを設置したところでございます。今、手持ちにありますのが本年の六月末までの数字でありますけれども、合計で九十一件の問合せが寄せられておりまして、制度開始当初から毎月一定数以上の利用が続くなど、制度の利用の定着が今進んでいるというふうに考えております。  御指摘のとおり、多くの問合せは、やはり許可、登録の要否に係る開業規制を始めとした法令解釈についてでございました。金融庁としましては、おおむね一週間程度で回答をしようということで、事業者のニーズに即した迅速な対応を努めているところでございます。  金融庁としましては、引き続きフィンテックサポートデスクを通じて事業実施に向けた支援を行うとともに、事業者に共通する具体的な課題を整理して積極的に対外公表していきたいというふうに考えておりまして、いずれにしましても、金融イノベーションに向けたチャレンジを推進してまいりたいと思っていまして、先週金曜日に出しました金融行政方針の中でも明確に示したところでございますので、鋭意取り組んでまいりたいと思います。
  74. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非力強く進めていただきたいと思います。  本当に、冒頭で申し上げましたように、このフィンテックに関しましては、前国会で銀行法の改正を行いまして新しい枠組みができたと思います。ただ、まだまだ更なるイノベーションが私は必要だと思っております。  私は、このフィンテックを進めるためには、麻生大臣がおっしゃっていただいたように、一社だけではなく、いろんな企業が連携したオープンイノベーションを進めるとともに、あとシステムのセキュリティーや、先ほど申し上げましたように、実証的なビジネスを試験的に行うような環境をつくっていただいたり、あともう一つございますのは、やはり社会全体がキャッシュレス化することが非常にこのフィンテックの普及に大きな要素になると思いますので、それを是非進めていただきたいと思います。  また、麻生大臣に是非お願いがございますのは、今回このフィンテックの話をさせていただきましたけれど、やはり、大きな銀行とともに、新しいイノベーションを起こすようなベンチャーカンパニー、その両方をプッシュしていただきたいと思います。  今、金融庁の設置法を見ますと、その第三条、金融庁の任務を読みますと、金融システムの安定化、あと預金者、投資家等の保護、そして金融の円滑化というふうに書いてございますけれど、是非、私、経済産業省という役所にいさせていただきましたけど、経済産業省の設置法には産業の発展ということが書いてございます。  是非、我が国の金融産業の発展ということを進めていただきたいと思いますが、麻生大臣のお言葉をいただきたいと思います。お願いいたします。
  75. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三年、四年近く前に金融庁の大臣を拝命したときに、選挙終わって、十二月でしたので、一月の四日だったかな、今でも覚えていますけれども、金融処分庁と言われて何年になりますと、この役所は。できて何年なんだね、ここはと。  できた当時は、御存じのように、二〇〇〇年初頭にできたんですが、九七年のファイナンシャル、ああ、何だっけ、アジア金融危機の後を受けまして、一番最初に住専で穴が空いて潰れて以来、九七年に北海道拓殖銀行、三洋証券、山一証券が潰れて、明けて九八年に長銀が潰れ、日債銀が潰れ、まあちょっと全部覚えていませんけど、ばたばた潰れたんですよ。ざまなかった、本当。  それはなぜそうなったかといえば、デフレ。銀行にみんな金を返したからです。銀行に金を借りに来なくなったのね、銀行に金を返して。したがって、金貸しやっている銀行にとってみれば、借りる人がいなくなれば金貸しという商売は成り立ちませんから、ばたばた潰れて、今では昔の名前で出ていますなんという銀行は、三井、三菱、三井、住友が一緒になり、東京、三菱が一緒になったぐらいで、あとは興銀、富士銀行、東海銀行、どこへ行ったかなんてすらすら言える人はよほどのオタクかプロかというぐらいになっちゃったんですよ。銀行に勤めればまともなところに勤めていると言われたようなものが全部潰れたんですから。  それは、金融を預かる金融庁としてみればこれは大変なことなんであって、これは断固こういったことが起きないようにしなきゃいかぬというのが主眼の目的ですから、当然のこととして、大蔵省から分かれて金融庁ができましたときには、金融処分庁、若しくは、そういったぽかとか穴が空かないようにすることを目配りするのをもって主たる目的ですから、その当時は。  加えて、どうにかなってきたら、いきなり二〇〇八年、リーマン・ブラザーズのバンクラプシー、破綻というのが起きましたので、リャンハン掛かったみたいな形になったものですから更に激しくなってきて、極めて厳しいことになっていったのが二〇〇九年、一〇年。  しかし、日本の場合は、これに対して、IMFに金を十兆円貸して世界の金融危機を回避させるのに成功させ、以来、日本の銀行はこれまでありました不良資産一切を、九七年のときと二〇〇八年の二回にわたって、いわゆる不良資産というものの解消に成功したというのでは多分日本が一番、次がアメリカかな、あとはヨーロッパ、中国等々、極めて内容としては不透明なところもあると言われているぐらい危ないものがありますので、そういった中を経て、今時代が変わって、今、藤末先生言われるように大きく変わってきたのであって、日本の場合は明らかに世界の国際金融の中における地位は飛躍的に、明治以来一番上がっていると思いますけれども。  それくらい上がったのに伴ったときに、もう一個、ここにファイナンシャルテクノロジーというものが出てきたのに対して、これにどう対応できているかというのに対しては、これは金融庁としては、これは明らかに方針を処分庁から育成庁に変えていかにゃいかぬな、金融育成庁にしようと、それが一月四日に言った私の挨拶ですけど、以来四年間、同じことしか言っていないと思っております。少なくとも頭取クラスのところには育成庁という言葉は通じるようになってきていますけれども、下の方がそう言っているかといえば、これはなかなかまだ下の方までは行っておらぬと、僕にはそう見えますね、はっきり言って。しゃべっていても、大体そのレベルが分かりますよ。  それで、この間、このフィンテックサミットというのを今年は九月二十日と二十一日にやらせていただきました。結構な人でしたけど、黒い背広とネクタイしか着たことがないという大銀行と、背広とネクタイ着たことがないという若いのとが一緒のところにいて、まあ、いて、むちゃくちゃな雰囲気の会議でしたけれども、使っている画像やら何やらに出てくるものを見ていたら、明らかに今言われたような大きな変化というのは分かりますので、まあこの種のことは知らないわけじゃありませんから。少なくとも、しばらくすると銀行の支店はなくなる、間違いなく決済は全ていわゆる携帯で、スマホで全部できちゃうという時代に多分なるし、それに対して無線も、開かれたインターネットというものに関しては、ヒラリー・クリントンじゃないけど、危ない情報だというようなあのものも、有線の専用回線ができるという技術も、有線の専用回線じゃなくて無線で専用回線ができますという技術も既に日本で開発が終わっています、日本の特許ですから。  そういったようなものというものが幾つもあるんですけれども、そういったものを有効に利用してやっていくという意識がどこにあるんだねと。言わば、言っている手合いは何となく銀行の金融の分かっとらん手合いばっかり、こっちの方は全くその種のことが分かってないようなのばっかりを、これを融合させるって、まあなかなか難しかったですな、正直。  でも、とにかく事は進めない限りはどうにもなりませんから、もう今はわんわん言って、金融庁としては、これが今一番大きな仕事になりつつあるぐらいいろいろやらせていただいておるんですが、もうちょっと、藤末さん、これは時間が掛かるとは思いますけれども、間違いなくその方向には進んでいます。
  76. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に元気が出るお言葉をありがとうございます。本当に金融育成庁を是非つくっていただきたいと思います。  本当に大臣に申し上げたいのは、若い方々がいるじゃないですか、金融庁の。若い方々は非常に元気いい方々が多いので、正直申し上げて、そういう方々がもっと自由に海外に行ったり、自由な議論をしていただき、ポロシャツばっかり着ている人とネクタイしかしていない人をくっつけるような接着剤の役割をしていければ、もう本当にフィンテック、日本はどんどん進んでいくと思いますので、是非お願いしたいと思います。  続きまして、郵政の話に移らさせていただきたいと思います。  郵政につきましては、私、郵政担当副大臣をさせていただき、また、ちょうど私が総務委員長のときに郵政民営化法の改正法案を成立させていただきました。非常にやっぱり郵政の中で大事なことは何かと申しますと、金融のユニバーサルサービスをきちんとつくっていくということを書き込んでいます。その中で特に重要なことは何かと申しますと、やはりこの金融のユニバーサルの義務を負っていただいていますので、引き続き、昨年から株式を売り始めましているわけでございますが、是非、三事業一体を維持するためにも、この金融二社の売却益を日本郵政がグループの成長のために投資できるように使えるようにしていただきたいと思いますけれど、その考えにつきまして、財務省、ちょっと見解を伺ってよろしいですか。財務省さん、お願いします。どうぞ。
  77. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 日本郵政グループ三社については昨年十一月に上場したところであるが、今後の追加売却については、上場後の日本郵政グループの経営状況や株価の推移、市場の動向等、十分見極めて検討していく必要があると考えております。  また、日本郵政が得る金融二社株式の売却収入については、今後の日本郵政グループの企業価値及び株式価値の維持向上のために活用していくとされておりまして、その使途は、一義的には日本郵政の経営判断でありますけれども、政府が株式を保有する日本郵政の企業価値及び株式価値にも深く関係をするところでございます。金融二社株式の売却収入については、こうした考え方に沿って、日本郵政において適切に検討、調整が行われるものと考えておりますけれども、政府としても、日本郵政株式の売却収入が復興財源になるということも踏まえて、しっかり対応してまいりたいと考えております。
  78. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、復興財源四兆円、これを作っていくことは非常に重要なことでございまして、法律もございます、やっていただきたいと思いますが、この郵政の問題につきましては、是非財務省としてお考えいただきたいのは、まず、先ほどございましたように、やはりグループの企業価値を最大化するということは非常に重要でございますし、同時に、やはり株主とともにステークホルダー、利用者がおります、利用者が。郵便のユニバーサルサービス、金融のユニバーサルサービスを背負っておりますので、そのユニバーサルサービスの義務をどうするかということ。  そして、もう一つ申し上げたいのは、私、実は世界の郵便、郵政の会社、いろいろ回っていまして、十三か国回っています、実は。何を申し上げたいかというと、もうほとんどの国がグローバルな戦いを始めています、はっきり申し上げて。郵政グループも少しその萌芽がございますけれど、やはり様々な規制とかございまして、まだまだグローバルな戦いに臨める状況にないということでございますので、国内だけの様々な規制のみならず、是非とも郵政が、いろんなステークホルダー、株主もそうでしょうし、利用者もそうでしょうし、そして働く人々、そして何よりも国益のために国際展開をするような発想を是非一番大きな株主としての財務大臣にお願いしたいと思います。  次に、そういう状況の中で日本郵政にお聞きしたいのですが、やはりこの利用者の利便性を維持し、高めて、三事業、バンク機能と保険機能と郵便機能を一体的にサービスする局のネットワークを、やはり地域の公益性や、あと地域性の発揮をさせていただくためには大事だと思うんですが、今後どのような展望をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。お願いします。
  79. 原口亮介

    参考人原口亮介君) お答えさせていただきます。  先生のおっしゃるとおり、郵便局ネットワークを地域や公益に役立たせていくこと、それは弊社の大切な責務だというふうに認識しております。そのような認識の下、昨年四月に発表いたしました中期経営計画におきましても、グループが持つ経営資源を最大限活用し、郵便局ネットワークを更に活性化することにより、お客様や地域社会にお役に立てる、そういうトータル生活サポート企業として発展していくと、そのようなことを目指しまして、各種戦略、施策に取り組んでいるところでございます。  これまで、例えばでございますけれども、郵便局の社員が高齢者のお宅を訪問する際に生活の御様子を確認させていただくようなサービス、それからまた、タブレットを活用いたしましたみまもりサービス、そういうような実証実験、実施してまいりました。これらにつきましても、今後更なる充実、場合によっては事業化等も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。  また、本年七月でございますけれども、熊本地震により被害を受けた事業者の方々を支援することで地域の早期復興に資するということを目的といたしました九州広域復興支援ファンドへ出資いたしました。今後とも、地域の金融機関さん等とも連携させていただきまして、地域活性化ファンドへの出資等、地域に貢献できる施策を行っていきたいというふうに思っております。  また、そのほか、ふるさと納税へのサポートだとか郵便局の利便性を高めて地域に貢献していくための様々な業務提携、投資等を行ってきたところでございます。  いずれにいたしましても、お客様や地域の社会にお役に立てる郵便局ネットワーク、もう逆にそれこそが弊社グループの強みであって、今後の成長の大きな柱の一つであると、そのように考えているところでございます。  そういう視点からも、新規事業の検討、業務提携、また新規投資等々、お客様や地域、社会にお役に立てるような郵便局ネットワークづくりに積極的に努めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御支援、御指導をよろしくお願いいたします。
  80. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非頑張っていただきたいと思います。  先ほど私、フィンテックの議論をさせていただきましたけど、我が国で最もフィンテックに力を発揮できるのは私は郵政グループだと思っています。なぜかと申しますと、金融の決済機能を持っていますし、保険の機能も持っていますし、あと物を運ぶという機能も持っている。プラス、もう既にパッド、私使わさせていただきましたけれど、パッドで様々なサービスを受けられるような機能も持っているということでございますので、是非、世界で一番の資金力があり、恐らく日本で最大のネットワークを持っている、その郵政グループがフィンテックの先陣を切って私はやっていただきたいということをちょっとお願い申し上げますので、是非御検討いただければと思います。そこは応援させていただきます。  そして、私、最後の質問でございますけれど、金融のユニバーサルサービスについて議論をさせていただきたいと思います。  総務省におかれましては、この金融のユニバーサルサービス、郵便のユニバーサルサービスも義務が付けられておりますけれど、このユニバーサルサービスにつきまして議論をしていただいているという状況でございますが、正直、私が副大臣させていただいたのはもう四年ぐらい前でございますけれど、そのときから議論をしてほとんど進んでいないというのが私の実感です、正直申し上げて。  このユニバーサルサービスの負荷について今いろんな試算をされていただいていますけれど、そのユニバーサルサービスに対してやはり政府の支援をすべきだと思います。それはなぜかと申しますと、郵政民営化法の改正をしたときに、七条の三に、政府は、七条の二に書いてある、郵政が地域性そして公益性を発揮する、それについて支援をすべしということを明確に書き込んでいるんですね、意思を持って。それについての法律の対応、政府の支援というのは全く進んでいない状況でございますが、それにつきまして是非、総務大臣政務官、金子先生、是非お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  81. 金子めぐみ

    大臣政務官金子めぐみ君) 藤末委員におかれましては、副大臣としてはもちろんでありますが、以前より郵政行政に大変高い御関心をお持ちいただき、また度々御質問をいただいておると承知しておりますが、本日は私からお答えさせていただきたいと存じます。  郵政事業のユニバーサルサービスにつきましては、まずは、郵政民営化の趣旨に沿って、日本郵政及び日本郵便による収益力の強化及びコスト削減等の経営努力によりまして、ユニバーサルサービス提供の責務を果たしていくことが基本と考えております。また、日本郵政グループの平成二十七年度決算及び平成二十八年度第一・四半期決算におきましても全体として黒字を計上しておりまして、ユニバーサルサービスは現状、現時点では適切に提供されているものと認識をいたしております。  一方、総務省におきましては、将来にわたり郵政事業のユニバーサルサービスの提供を確保する観点から、平成二十五年十月に情報通信審議会に諮問し、検討すべき方策について昨年九月に答申を受けました。この答申を踏まえまして、本年七月二十五日に郵便のユニバーサルサービスに係る課題等に関する検討会を立ち上げまして、来年夏頃を目途にユニバーサルサービスに係る現状と課題を検討、整理することとしたところでございます。  総務省としましては、将来にわたってもユニバーサルサービスが安定的に確保されるよう、今後とも日本郵政並びに日本郵便の経営状況等を注視しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  82. 藤末健三

    ○藤末健三君 金子政務官、是非お願いしたいですね。どういう状況かというと、もう何年前からユニバーサルサービスのコストの計算をしなきゃいけませんねという議論が始まりましたと。実際に試算しましたと。じゃ、今度はその試算した数式が正しいかどうかを一年掛けてやりましょうとおっしゃっているんですよ、これ。御存じですか、これ。
  83. 金子めぐみ

    大臣政務官金子めぐみ君) はい、存じ上げています。
  84. 藤末健三

    ○藤末健三君 いつまでやるんだという話ですよ、はっきり言って。  恐らく、国会から送り込まれた人間が、国民の代表が、やはり役所において、全ての方々が金融サービスであり郵便サービスをきちんと受けられるということを担保することを法律に基づいてやらなきゃまずいじゃないですか。これ、議員立法ですよ。我々が作った法律だもの、本当に。役所の答弁は、それはもうおかしい、はっきり言って、それは。いつまで続けるかという話なんですよ。我々が意思を持って、金融であり郵便であるユニバーサルサービスをどんなところでもサービスすることをやりますよ、支えていくんですよということをきちんと決めなければ、役所の方々は二年とか一年で替わっていくから、次々爆弾が爆発するまで送り込んでいるんですよ、次にいつ爆発するか分からないという。是非、政務官、お願いがありまして、意思を持ってやってください、これ。来年に計算式が正しいですかどうですかといったら、次、じゃ、また議論は一年後、一年後、一年後に延びていきますよ。是非それはお願いします。  ちょっと時間になりましたので最後でございますけれど、本当に今日は皆様ありがとうございました。金融庁、新しく金融育成庁ということを麻生大臣に発言いただきまして、是非進めていただきたいと思いますし、また、郵政も、やはり今このユニバーサルサービスという義務をしょいながら、一方でいろんな規制を受けている、自由が利かない。その中で、郵政の人たちが、やはり先ほど申し上げましたように、いろんなステークホルダー、株主もいるし、利用者もいるし、これから国際社会に臨んでいくという中で是非頑張っていただけるようにお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  85. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  今日は研究開発税制について質問をさせていただきます。  本題に入る前に、今資料を配っていただいておりますけれども、研究開発、研究とは何かというそもそも論について少し触れさせていただきたいと思います。  東工大栄誉教授の大隅良典さんが先般ノーベル医学・生理学賞を受賞されました。大変日本人として誇らしいことです。新聞記事、コピーしたのは、大隅さんが記者会見でこんなことをおっしゃっているんです。私の受賞が基礎研究を大切にする社会への弾みになってほしいと。大隅さんは受賞の前から一貫して基礎研究の大切さを主張されてきておられまして、昨今の企業、産業界の利益に直結した研究が優先されていることに強い危惧をずっと抱いておられまして、記事の中にもありますけれど、これは受賞する前、昨年の日本学術振興会のウエブサイトなんですけれども、おっしゃっていることは、書いてありますけれども、研究機関が研究費を獲得しやすい分野の研究者を採用する傾向が強まっている、未知の課題に挑戦することが難しい雰囲気を助長していて、すぐ企業化できることが役に立つと同義語のように扱われる風潮があるけれども、何が将来人類の役に立つかは歴史で検証されるとおっしゃっております。  また、記事の中にもありますけれど、要するに、大学の基礎研究に対する予算が減る一方で、政府は今、産業界主導の研究プロジェクト、実益に結び付く研究には巨額の資金を投入する方向になっているということはいかがなものかと要するにおっしゃっているわけですね。  私も、この大隅さんの受賞記者会見、いろいろ見せていただいて、大変そのとおりだなと思ったわけでありますけれども、大隅さんのような基礎研究というのは、すぐ産業の何かの開発に結び付かないかもしれないけれども、将来にわたって考えれば大変重要な時間も掛かる研究ですよね。  これ、辛うじて、科学者のそれぞれの知的好奇心に頼って、それに依拠して進められているというのが今の現状でありまして、ただ、iPS細胞も最初そうでしたし、このオートファジーもそうなんですけれども、しっかりした基礎研究から生まれるわけでありまして、それが長い目で見れば産業界の未来も切り開くのではないかというふうに思うわけでありまして、この大隅栄誉教授の提起というのは重く受け止めるべきだと私は思っておりまして、その点で、研究開発減税の話に入る前に、全体として今産業界の目先の利益を優先した研究活動に対する国の支援がそこにちょっと偏っている、あるいは予算の使い方も含めて今やっぱり立ち止まって考えてみる必要があるのではないか、もっと基礎研究の分野に国の支援も強めていくときに来ているのではないかというふうに私も思うんですけれども、麻生財務大臣、この大隅先生の提起をどのように受け止めておられるか、お聞きしたいというふうに思います。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この基礎研究の話というのは、これは極めて大事であって、多くの国々の中で、我々の近くの隣国の中でも、結構経済的には大きな国でまだノーベル賞が出ていない国が幾つあるかと、御存じのとおりです。したがって、我々としては、三年連続こういったノーベル賞、平和賞とかいうんじゃなくて、こういった化学、生物学等々で出てきたというのは、誠に大きな喜ばしいことだと思っているんですが、これはすぐに成果が出るものではないということははっきりしておりますので。  私の経験を言わせていただいても、自由民主党の文教部会長でしたかね、文教部会長をさせていただいた平成三年からだったんだと思いますが、岐阜県の神岡町でしたかね、たしか、スーパーカミオカというのをやらせていただくことになりました、たしか百四億円だったんですが。そのときに、カミオカンデって名前に変わってやったんですけれども、あれが少なくとも平成三年から始めて、梶田先生があれでニュートリノというのをやるのが、去年ですかね、あれは、ニュートリノ、二十七年関わっていますから、まあ二十四、五年関わったということになるんですが。そういう意味でですけれども、あのとき梶田がノーベル賞を取るであろうということを予想した人が日本に一人でもいたかといったら、いたんですな。東大の有馬という、この人だけがこのほかに三人いると言った。事実、二人取った。小柴とこれと二人取っていますから、もう一人はちょっと亡くなられたんですけど、三人ノーベル賞取るからと当時断言されたのを記憶ありますけど。私生きているときでしょうかと言ったら、俺は分からぬけど君は生きとると言われて、ありがとうございましたと言ったんですけど、幸いにして生きて両方とも、二つお目にかかれることになりましたけれども。  基礎研究が花開くまでには、これはもう大門先生言われるまでもない、時間掛かる、物すごい時間掛かるんだと思いますので、これをすぐ成果が出ないからといってないがしろにすべきものではない、これははっきりしていると私も思っておりますので、基礎研究の推進というのは重要であろうと思って、私どもとしても、科学研究費助成事業とか、国立大学においても研究開発全般を対象とした使途の限定のない渡し切りの運営費の方の交付金等を伸ばしたりというような形など、いろいろ支援をさせていただいておりますけれども、今後とも、政府として、どのような研究開発投資をしていくべきかということに関しましては、これは文科省を始めいろいろ関係省庁ともよく議論をさせていかねばならぬところだと思っております。
  87. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、本当に重視、重点化と言っていいぐらい力を入れていっていただきたいと思います。  そういう全体像の中で、研究開発減税のことなんですけれども、この研究開発減税は、もう我が党は最初から言ってきましたけれど、今やもうほかの党の皆さんもマスコミも、余りにも減税額が巨大企業に偏っているということでかなりいろいろ取り上げられてきて、安倍総理も麻生大臣も見直しの方向について言及されてきたところであります。  ちょっとまだこれ複雑な税制でもありますので、まず財務省に、参考人で結構です、研究開発減税の概要、資料の二枚目に、ちょっとこれも分かりにくいですけれども、図を一応載っけておりますが、簡潔にちょっと分かりやすく説明していただけますか。
  88. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  研究開発税制の概要でございますけれども、これは試験研究費の一定割合の税額控除を認める制度でございます。具体的には、支出した試験研究費の八%から一〇%を税額控除できる総額型というものに加えまして、その上乗せ措置として、過去三期の試験研究費の増加額の五%から三〇%を税額控除できる増加型、又は当期を含む直近四期の平均売上高の一〇%を超える試験研究費額の一定割合を税額控除できる高水準型、このいずれかを適用できることとされております。  なお、資本金一億円以下の中小法人の総額型の税額控除率は、大法人より高い一律一二%としているところでございます。
  89. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  星野さん、あれですね、主税局長なられたんですね。頑張ってくださいね。いや、長い付き合いで、立場は違いますけど、頑張ってください。  要するに、研究開発費の総額を基に税額控除するというところがいろいろポイントに後からもなってくるんですけれども、このまず実績ですね。資料も用意いたしましたけれど、資料の三枚目、大企業向け減税、中小企業向け減税の金額と実績に占める大企業の割合について一応私の方でグラフにしましたけれど、二〇一二年から二〇一四年ですね、あと、加えて二〇一四年度について、これは次の資料、四枚目で、細かくて済みませんが、上位三社の減税額と上位十社の減税額を示しておりますけれども、上位三社の減税額、上位十社が全体に占める割合などもちょっと説明をしていただけますか。
  90. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  まず、研究開発税制の適用実績でございますけれども、資本金一億円超を大法人、資本金一億円以下を中小法人とした場合に、まず、平成二十四年度、二〇一二年度におきまして、大法人の適用額三千六百六十九億円、中小法人の適用額二百八十三億円、適用額全体に占める大法人の割合は九二・八%でございます。  平成二十五年度、二〇一三年度におきましては、大法人の適用額五千九百十八億円、中小法人の適用額三百二十二億円、適用額全体に占める大法人の割合は九四・八%でございます。  平成二十六年度、二〇一四年度におきましては、大法人の適用額六千三百八十二億円、中小法人の適用額三百六十四億円、適用額全体に占める大法人の割合九四・六%でございました。  次に、平成二十六年度、二〇一四年度におきまして、研究開発税制の適用額上位まず三社の適用額の合計額でございますが、これは千五百七億円でございまして、適用額全体の二二・三%を占めております。また、適用額上位十社の適用額の合計額でございますが、二千四百五十五億円でありまして、適用額全体の三六・四%を占めております。
  91. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  三枚目にグラフにしたわけでございますけれども、要するに減税の恩恵は九割以上大企業にもたらされているということであります。上位十社で、これは資料四枚目ですけど、四割近くを占めて、上位三社、これは実はトヨタ、日産、ホンダのことであります。この自動車大手三社で二割以上減税額を占めているということで、規模が大きいほど占める割合が高まる、この点が大企業優遇になるという点を指摘されてきたところでございます。  さらに、ちょっとこのグラフに基づいてお聞きしますけれども、二〇一二年から二〇一三年、減税額が大きく伸びております。一・六倍ですね。なぜこれほどこのときに伸びたんでしょうか。
  92. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  研究開発税制の適用総額、この表で足し合わせますと、平成二十四年度、二〇一二年度が三千九百五十二億円、平成二十五年度、二〇一三年度が六千二百四十億円でございまして、二千二百八十八億円増加をしております。  租税特別措置の適用額の増加の要因、これを一概に申し上げることはなかなか困難でございますけれども、企業の業績の改善、これも一つの大きな要因であると考えられます。なお、制度上の要因として考えられますものとしては、平成二十五年度改正におきまして、いわゆる総額型の控除限度額がそれまでの法人税額の二〇%から法人税額の三〇%に拡充されたことが考えられます。
  93. 大門実紀史

    大門実紀史君 今、星野さんおっしゃった二つ目のところが大きいかなと思うんですけれども、平成二十五年、二〇一三年度改正で、要するに税額控除、控除できる額を、法人税額の、それまでは二〇%以上は駄目よとなっていたのが三〇%まで大丈夫ですよというふうに引き上げたことであります。  このときも問題点を指摘したと思うんですけれども、理由が、なぜこのときに三〇%まで控除していいよとなったのかというと、企業のイノベーションを促進するという抽象的な理由でこの改正は行われたわけですね。これについて、これだけの減税になったと、しかもそれが、もう言ってしまえば、ただ内部留保として積み上げられたようなところがあると。  このときの改正の理由ですね、イノベーションを促進するというのは、これは、あれですかね、財務省として検証されたんでしょうか、そういう効果があった、促進した効果があったというふうに。いかがですか。
  94. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) 当時の研究開発の実態をいろいろ見たところ、税額控除の限度額、これが全体の法人税の総額と比べましてある意味上限に達しているというような実態もございましたので、二〇%から三〇%へ拡充するという措置が、そこの、天井にぶつかっているところの研究を更に促進するという効果、そこを期待して行った措置ということでございます。
  95. 大門実紀史

    大門実紀史君 まだ、二〇一三年の改正ですから、そう検証はされていないというか、検証は難しさはあるとは思うんですけれども、今おっしゃったような話だと、もう上限に達しているから上限を上げてあげたんだということと、そのいわゆる研究開発の促進との関係は、上限が達しているから上げてあげただけだったら、もっと減税してあげましょうと、これだけのことであって、研究開発を増やしたら減税してあげるということとは必ずしも結び付かないのではないかというふうに思います。  とにかく、何といいますか、このときもそうなんですけれども、結局何かイノベーションとかこういう片仮名をいろいろ使って、政府が片仮名使うときは本当にろくな話じゃないなと本当に思うんですけれども、こういうものを使って、要するに、経団連が減税してほしいと、それを経産省がそのまま経産省の要求として財務省に提出をする、あとは、まあいろいろあるでしょうけれども、政権の政治判断で容認してきたと、まあそんな程度のものじゃないかというふうに思うわけです。  その点で、今回もまた研究開発減税について、経済産業省は今年の八月にまたまた税制改正要望を財務省に提出をしております。これについて、経産省ですね、経産省参考人、ちょっとどういう内容で要望されているのか、説明してくれますか。
  96. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) お答え申し上げます。  八月末に税制改正要望で研究開発税制について要望をさせていただいてございます。より幅広い業種や中小企業に活用されるよう所要の見直しを要望してございまして、具体的には四点でございます。  第一に、第四次産業革命が進行する中、製造業、サービス業というこれまでの垣根が急速に崩れ、融合し始めていることから、研究開発税制もこうした時代の流れに即したものに変えていくことが不可欠であると考えてございます。このため、従来の物、技術の開発を支援する税制から、サービスの開発にも可能な限り対象を広げることを要望してございます。  第二に、経営の不確実性が高まる中、あらゆる産業の研究開発投資をしっかり後押しする観点から、試験研究費の増減に応じて控除率にめり張りを付けるとともに、中小企業向けの控除率を引き上げることを要望してございます。  第三に、試験研究費の対売上高比率が一〇%を超えた場合の上乗せ措置の適用期限について三年間の延長を行うことを要望してございます。  第四に、大学、研究機関、企業等との共同研究などを支援する措置の運用改善を図ることを要望してございます。  以上でございます。
  97. 大門実紀史

    大門実紀史君 中身は後でまた質問しますけれども、この経産省の要望どおり改正が行われた場合の減税見込額について経産省は試算を行っておられます。大企業向けどれぐらい減税になるか、中小企業向けどれぐらい減税になるか、それぞれの見込額とその中の大企業の割合について、経産省の試算をちょっと説明してくれますか。
  98. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) お答え申し上げます。  要望ベースでございますが、平成二十九年度に全体で約六千九百二十四億円の減税となりまして、うち中小企業が活用できる中小企業技術基盤強化税制分は約三百十五億円ということでございます。
  99. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  これが、先ほど配ったグラフの一番右側にあるのが経産省の試算であります。経産省の要望どおりまた研究開発減税実施すると、更に減税額が増えて大企業の割合も増えるということでございます。  先ほど申し上げたとおり、研究開発減税というのは、今や我が党だけではなくてほかの党の皆さんも指摘されていますし、マスコミでも取り上げておられますし、安倍総理も麻生大臣もこのままでいいのかということに言及されているわけですね。そういうものを全く無視して堂々とこういうものを出してくる、今までより増やせというような要望を出してくると。国民には消費税の増税とかいろんな負担増めじろ押しですけれども、今どきこんな身勝手な要望をよく出せたもんだなと。もうちょっと謙虚に、財政事情とかいろんなことを考えて出すべきなのに、この厚顔無恥な、こんなよく要望を出したもんだと思いますけれども、どうしてこんな要望になったんですか。どういう神経で出してきたんですか、これ。
  100. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) 経済産業省としましては、税制改正要望を提出するに当たりましては、業界団体の要望に加えまして、中小企業を含めまして、あるいはベンチャー企業を含めまして、企業、有識者へのヒアリングや関係審議会における議論など幅広い意見を踏まえた上で、経済活性化等の観点から真に必要かつ有効な措置に絞って要望しているところでございます。  先ほど経団連の御指摘もございましたけれども、業界団体としては、御指摘の経団連に加えまして日本商工会議所などからも要望をいただいているところでございまして、広くいろんなところの声を取り上げて要望を作らせていただいているところでございます。
  101. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、だから要望をそのまま出してくるんですか、皆さんは。要望をそれはしますよね、各団体は、いろんなことをやってほしいと。それをそのまま出してくるんですか、経産省というのは、国の財政事情も考えずに。この間の総理の発言とか麻生大臣の発言とか、何も考慮せずに増額して出してくるというのはいかがなものかとその神経を本当に疑うんですけれども。  中身も、何を要望しているのかというと、これは本当によく分からないんですけど、資料の二枚目のところの、先ほど審議官が説明されたのは一番下の要望内容なんですけど、まず最初に分からないのは、要望の最初にあります試験研究の定義中にサービス開発を追加すると。今までのよりも定義を個々に対象を広げてくれということなんですけれども、これ、どういうものを新たに研究開発減税の対象にしてほしいということなんですか。
  102. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) 要望につきましては、業界の要望だけではございませんで、私ども、産業構造審議会で一年間掛けて、第四次産業革命等についての議論も踏まえまして、その中でも、これから製造業とサービス業の垣根がなくなっていく、それから研究開発税制は非常に大事であるというようなことで要望をさせていただいております。  経済産業省としましては、IoT、ビッグデータ、人工知能などの第四次産業革命型の技術を活用して行う高付加価値サービス開発を対象とすることを要望してございまして、例えば様々なデータの収集、分析による飲食サービスや農業支援サービスなどの開発について研究開発税制の対象とすることを要望しているところでございます。
  103. 大門実紀史

    大門実紀史君 僕もレクで聞いたんですけれども、分からないんですよ。飲食サービスで、具体的にどんなことですか、飲食サービスで何をやるんですか。
  104. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) それぞれの従業員にセンサー等を付けまして従業員の動き方等を分析をいたしまして、どういう形で飲食のサービスをすれば効率が良くサービスの質が上がるかというようなことを研究している企業等がございまして、それを対象にしたいということでございます。
  105. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、従業員の人にセンサー付けて歩かせて、それがどうしたら効率、そのセンサーという機器とかそういうものは研究開発の今でも対象になっているわけですね。それに加えて、何、その人が歩いてお店の中で効率的に動いたかどうか、動いているかどうか、そういうことを研究する、その研究にも減税しろということですか。
  106. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) それを、全体を、動いている人でどういうサービスが提供ができるかというところまでは、機器ではございませんので、それが対象にならないので、そのサービスの部門について研究開発税制の対象としたいということでございます。
  107. 大門実紀史

    大門実紀史君 何度聞いても分かんないんですけれどもね。  要するに、今おっしゃった飲食サービスというのは、今関西中心にやっているがんこという居酒屋さん、おすし屋さん、チェーン店があるんですよね、そこで試験的にやっていることをわざわざ取り上げてきているんだけれども、それは後から経産省の事務方が考えた話でですね。元々この経団連の要望に入っているんですよね。経団連がすし屋のがんこの要望を取り上げるわけないんですよね。もっと何か具体的な、経団連に入っているような大企業のビジネスモデルがあるから、あるからこういうものを対象にしてくれと言っているはずなんですけれども、経団連は具体的にどんなことを、どんなビジネスを、どんなサービスの研究を対象にしてくれと言っているんですか。
  108. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) 経団連が具体的にどういう事例を念頭に置いているかということはちょっと承知をしてございませんけれども、全体、産業構造審議会等でも製造業とサービスの垣根がなくなったりしてございまして、例えばウーバーのような事業も出てまいりましたので、そういうことも含めてサービスのところに拡大をしているものと承知してございます。
  109. 大門実紀史

    大門実紀史君 技術を活用したサービスの改善ですね。この技術を活用する、技術に関する先ほど出ましたセンサーとかいろんなロボットとか、これは既に対象になっておりますが、それを活用したサービスの改善の研究まで対象にしろと。で、具体的に何ですかと言ったら示せませんと。具体的には何も示せないというのが今の段階のようです。  それで、こんなよく分からない話をこれから、更に聞いてみたら、経済産業省と財務省の事務方で今どういうものがそれに該当するのかという定義、要件を今頃相談していると、ですね。だから、今から定義をつくるようなものをこんな税制改正要望に経産省が載っけてくるというのは変な話じゃないですかね。  星野さん、こんなもの受けていいんですか。
  110. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) 個別の要望の是非について申し上げる段階にはございませんけれども、財務省としては、一般論として、関係省庁からその必要性、具体的内容についてしっかりと説明を聴取した上で精査をしてまいるということで、今そういう段階にあるということでございます。
  111. 大門実紀史

    大門実紀史君 サービスという分野は物より人が動く業態でありまして、その改善に関する研究といいますとつかみどころのない世界に入ってくるわけでありますので、本当によくよく精査しないと何かあれもこれも研究開発の減税の対象になりかねないというようなことはありますので、慎重に検討してもらいたいというか、こんなもの除外すべきだと私は思いますけれども。  経産省の要望の最大の問題点は、先ほどから取り上げております総額型がそのままになっているどころか、むしろ拡充を求めているということであります。  こういう経団連の要望書を見ると、研究開発の総額型を含めて、もう研究開発には指一本触れさせないというような、かなり何といいますか強気の要望書に、経団連の要望書ですね、これは五枚目にありますけれども、なっております。  政府税調でもこの研究開発税制についてはかなり問題視されて議論になってまいりました。これは資料の最後のところに付けてございますけれども、二〇一四年の政府税調の報告書、法人税の改革についてという中で、アンダーライン引きましたけれども、研究開発税制についてはかなり厳しい指摘がされております。  ちょっとこの背景も含めて、どうしてこういう厳しい指摘がされたのか、ちょっと解説をしてくれますか。
  112. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  先生御指摘の政府税制調査会が取りまとめました法人税の改革について、平成二十六年六月二十七日の記載でございますけれども、この報告書の中で、研究開発税制のうち総額型の税額控除については元々平成十五年度税制改正において法人税率引下げが見送られる中で導入された経緯があること等を踏まえて、この法人税改革の中で税率引下げに合わせて大胆に縮減し、研究開発投資の増加インセンティブとなるような仕組みに転換していくべきと提言されているところでございます。
  113. 大門実紀史

    大門実紀史君 じゃ、私の方で解説しますけど、要するに書いてあるのは、税額控除が結果的に補助金と同じ効果を持つと。研究開発の増加のインセンティブとしてどうかという疑問ですよね。総額に対して、増えたかどうかというよりも、とにかく総額に対して税額控除ですから、これは結果的に補助金と同じだという正確な指摘をされているわけであります。この指摘どおりに本当に考え直さないと、ただ減税してあげて、ただ内部留保を積み上げてという状態になっているわけですね。  今日申し上げたトヨタ一社だけで一千億円を超える巨額の減税をやって、しかも実績ベースでいきますと二年連続でございます。麻生大臣も大企業の金余りについてはもういかがなものかと、恥ずかしくないのかというようなことを、見識のある発言をされてこられたわけでありますけれども、本当にこの経産省の要望なんかはもう退けるべきでありまして、この政府税調の答申どおり本当に見直すべきときに来ていると思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。
  114. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この研究開発税制については、これはもう政府税制調査会の提言も踏まえて、昨年でしたか一昨年でしたか、平成二十七年度の税制改正において、これはいわゆる御指摘のあった総額型の税額控除限度というのを法人税額の三〇%となっておりましたものを見直させていただいて、一般の研究開発につきましては税額控除の限度を二五%ということとさせていただいたところで、これで一千百億円ぐらいのあれが増税になったと記憶をしております。  二十九年度の税制改正ということになるんですが、これにつきましては、今から関係省庁、これは何も通産省に限った話じゃありませんけれども、要望内容をよく精査をさせていただきながら、これは今年度末に期限が来ることになります増加型とか高水準型のほかに、いわゆる総額型も含めた制度全般にわたって、これは研究開発投資に向けた有効なインセンティブになっているかといった観点からしっかり検討させていただきたいと考えております。
  115. 大門実紀史

    大門実紀史君 しっかり検討していただきたいと思います。  終わります。
  116. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。  まず、財務省にお聞きしたいんですが、佐川理財局長で結構ですが、釈迦に説法ですけれども、財政法第四条は均衡財政をうたっているわけですね。やむを得ない場合には建設国債を発行してもよいということになっていますけれども、当然赤字国債というのはとんでもないと、発行などとんでもないという趣旨でございまして、だからこそ赤字国債発行するときには特例公債法で発行しているわけですが、その財政法第四条で発行などとんでもないはずの赤字国債、今、直近のデータでどのくらい発行しているのかを教えていただきたいと思います。  それにせっかくですから加えて、建設国債の発行高、そして国債全体の発行高を教えていただければと思います。
  117. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。  直近のという御質問でございますので、現時点でいいますと、今年六月末時点でございますが、特例公債の発行残高、五百四十二・八兆円でございます。それから、財政法四条に基づく建設国債が二百六十六・八兆円でございまして、これらを含めました全体の普通国債発行残高ですが、八百十六・八兆円でございます。
  118. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ちょっと確認をしておきますけれども、赤字国債は二百六十六・八兆円、建設じゃない、逆ですね、建設国債は二百六十六・八兆円の赤字国債五百四十二・八兆円、建設国債よりも赤字国債がとんでもなく多いと。発行するのはとんでもないはずの赤字国債が五百四十二兆円ということで、非常に私は疑問を感じるんですが。  ここで財務大臣にお聞きしたいんですが、六十年償却ルールがあります。建設国債を六十年で償却するというのはまだ分かりますですよね。橋とか道路を造って減価償却するのに六十年、八十年掛かりますから、借金を六十年に分けて返済すると、これは分かるんですが、五百四十二兆円も発行している赤字国債をなぜ六十年で償却しなくちゃいけないのかと。これは、昔は、私の理解ですと、六十年ルールが適用されていたのは建設国債だけであって、赤字国債は適用外だったというふうに私はちょっと記憶というか覚えた記憶があるんですが、これ、いつから赤字国債も六十年償却にしたのか、なぜ六十年償却しなくちゃいけないのか、しているのかと、その辺についてお聞きしたいと思います。
  119. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 償還ルールです。  六十年の償還ルールというものは、これは建設公債の発行により造り出される資産というものが国民経済の発展、向上に役立っているということから、見合いとなる資産が平均的な効用を発揮し得る期間を目安として減債期間を六十年と定められたものだと伺っております。  特例公債、いわゆる赤字公債につきましては、見合いとなる資産が存在をしないということから、昭和五十年代の発行当初は満期時に全額を現金償還するということとされておりました。しかし、厳しい財政状況の中でこれをそのまま実施しようとすれば、短期間のうちに極端な歳出カット又は負担増が避けられず、国民生活に甚だしい悪影響を及ぼすおそれがあったことから、昭和六十年度以降、やむを得ず借換債の発行を認めるとともに、建設公債と同様六十年償還ルールにより償還することとされたものと伺っております。
  120. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 もちろん、厳しい財政状況だからこそこういうことになったと思うんですが、厳しい財政状況になったのであれば、償還ルールを変えるのではなくて、当然赤字を減らすということを考えていく、これが正道だと思います。これ以上、これでこの問題についてはやめておきますけれども。  次に、日銀総裁にお聞きしたいんですけれども、現時点日本銀行の保有する国債、その国債というのは国債発行額残高のどのくらいか、ちょっと教えていただきたいんですが。
  121. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 二〇一六年六月末時点日本銀行国債保有額は、国債発行残高全体の三五%であります。
  122. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ちょっと数字がよく分からぬのですけど。  私も日銀のデータから取ってきましたけれども、六月現在だと国債三百七十六兆円持っていまして、長国三百二十三兆円なんですよ。これ、この日本銀行の統計が三百七十六兆円持っているということになりますと、先ほど佐川理財局長から聞いたトータル八百十六兆円ですよね、これもう五割近いですよね。三五%じゃなくて五割。これ、その数字のそごはどういうふうに御説明になるんでしょうか。
  123. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 今申し上げたものは長期国債ですけれども、この保有額が六月現在で三百四十五兆、そしてその保有比率が三五%ということであります。いろいろな統計がありますので、私どもが準拠しておりますのは資金循環統計でございます。
  124. 佐川宣寿

    政府参考人(佐川宣寿君) 補足でお答え申し上げます。  今、日銀総裁がお答えになりましたベースは日銀資金循環統計ということでございまして、いわゆるFB等の資金繰り債まで含めて、あるいは財投債等も含めた全体の長期国債の中の保有残高日銀総裁はお答えになったと思われます。  私が先ほど申し上げましたのは、まさに財源債としての普通国債でございまして、TBは入っておりますけれども、FBとか財投債とかそういうものは除いた数字の、いわゆる財源としての発行残高ということでございますので、そういう整理でございます。
  125. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 いや、私は両方とも、日銀財務省もホームページから取ったんですが。  まず黒田総裁に関して言いますと、日銀の統計、バランスシートから取って、全体の国債が三百七十六兆円、長期国債は、これは六月ですが、三百二十三兆円なんですよ。  それで、これ財務省の方の統計、国債及び借入金及び政府保証債務現在表で、借入金残高、普通国債八百十、内国債九百十六兆円で、うち長期国債も、幾らだったかな、六百四十六兆円なんですよね。ごめんなさい、九月だともう九百十八兆円で、長期国債六百四十六兆円という数字になっているんですけれども、どうもホームページで出ている数字と日銀の今聞いた数字とえらい違うんですね。  今、黒田総裁長期国債だとおっしゃっていたんですけれども、長期国債の比率だと私の計算だと五〇%超しているんですけど、ホームページ間違えているんですか、それとも……。
  126. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 資金循環統計では、国債それから財政融資資金、これも含んでおりまして、その合計であります。
  127. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 その議論はちょっと横置いておいて、しかしながら、日銀自分自身で出している日銀のバランスシート、バランスシートの六月末の残高は三百二十三兆円、そして九月、三百四十兆円なんですね。どう考えても、発行国債残高から比べると四〇%、長期だと五三%になっているんですよ。  一つお聞きしたいのは、だから、先ほど岩田総裁は、今後とも強烈なる量的緩和を続けるとおっしゃっていて、それは長期国債を買い続けることだとおっしゃっていたわけです。八十兆円の年間の増というのは当然長期国債目標ですから、これ、長期国債の額というのは非常に重要だと思うんですけれども、もし私の数字が正しくて、若しくは財務省と日銀の数字が正しくて、長期国債が既に日銀が五〇%を買っているのであるならば、もう買う余地ないんじゃないかと思うんですよね。  岩田総裁が異次元の量的緩和を続けると言っても、買うものがなければ増やせないですよ。それは買い続けますってぶち上げるのはいいですよ。私が例えば百メートル十秒で走りますと言う、それはいいですけど、物理的に無理なわけですよね。長期国債が存在すれば、それは確かに、買うことによって日銀当座預金にお金を振り込むということで量的緩和を続けられますけれども、もし買うべき日本国債がないのであるならば、特に長期国債がないのであれば、量的緩和を続けようといったって続けられないわけですよ。  実は、私がなぜこういう質問をしたかというと、今年の、一か月ぐらい前でしたっけね、予算委員会で、日銀はどのくらい持っているかというふうに質問をしたとき、総裁の回答は、御案内のとおり、日本銀行は、量的・質的金融緩和導入以降、国債を買い入れておりまして、現時点日本銀行の保有額は国債発行残高の約三分の一程度でございますとおっしゃっているわけです。これ、この数字って、短期債、FBなんかを含めたんだったらまあその数字、それでもきっと、もっと本来だと四〇%くらいになるんじゃないかと私は思っていますけれども。それ以上に、長期国債だったら、こんなことおっしゃっていないわけですよ。  だから私は、黒田総裁が、たった三分の一しか持っていないから、あと七〇%も買えるから量的緩和をできるというふうに誤解されているのかな、でも、本来、数字見るともう五割超しちゃっているじゃないかと、もう続けられないんじゃないかなと思ったんですが、その辺はいかがでしょうか。
  128. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、多額国債買入れを実施しておりますけれども、日本銀行の保有額は国債発行残高全体の三分の一程度ということで、なお多くの国債が市中で保有をされております。それから、何よりも、これまでのところ、国債買入れのオペレーションは極めて円滑に行われております。  日本銀行としては、二%の物価安定の目標の実現に向けて、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を推進していく上で何か国債の枯渇が問題になるというふうには考えておりません。もとより、物すごく長い期間ずっと続けていけば、今の八十兆円のペースでどんどん続けていけばいずれ枯渇するでしょうということはそうかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、まだまだ市中には多くの国債が保有されておりますし、国債買入れのオペレーションにおいても極めて円滑に行われておりますので、御指摘のようなことが今直ちに何か問題として出てくるということはないと思っております。
  129. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今総裁がおっしゃった、三分の一程度だとおっしゃっているのは、これ短期国債、FBも含めてのことだと私は思っています。数字ですから後で精査すれば簡単なので分かると思いますけれども、私は、半分近くか半分以上か何か長期国債について買っているんではないか。  そして、今総裁がおっしゃったとおり、質的・量的緩和は、これ八十兆円増は長期国債ですから、長期国債がなくなってしまえばこれもう異次元の量的緩和はできないわけですよ。その辺は数字を確認しながら、あとまた御質問、後にしたいと思っております。  ただ、国債の枯渇については、マーケットではあと一、二年でなくなるだろうと言われておりますし、IMFもたしか一年、来年にはなくなるんじゃないかなということをたしか言っていたと思います。ですから、少なくとも枯渇に近い状況に近づいているんではないかなと私は思っているんですけれども、もし、まだ余裕があるとはいえ、まあ五〇%超してきたらもう大変なことだと思いますけれども、まだ余裕があるとはいえ、枯渇したらばどうするんですか。何か、先ほど申しましたように、買うものがなかったら異次元の量的緩和できませんからね。  例えば株だというと、東証一部の株、時価総額ちょっと今日調べてこなかったんですけど、一番ピークのときだって時価総額四百九十兆とかそんなもんですよ、バブルのとき、たしか。ということになると、国債の代わりに日本株買うといったって、ないですからね。何を買っていくのか。それとも、要するに、日本国債が枯渇してしまったらそれで異次元の量的緩和はジ・エンドか。その辺についてお聞きしたいんですが。
  130. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 先ほど申し上げた三五%という数字は短国は除いたベースであります。  それから、先ほど来申し上げておりますとおり、二%の物価安定の目標の実現に向けて、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を推進していく上で国債の枯渇が問題になるというふうには考えておりません。  東証の時価総額はちょっと今手元にございません。申し訳ありません。
  131. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 もし枯渇した場合は、私は日本国債ほど大量に市中に存在するものというのはやっぱり米国債しかないと思うんですね、アメリカの国債。アメリカの国債買っていれば、当然のことながら、日本国債枯渇しても異次元の量的緩和は続けられるわけですよ。  そういう質問をやっぱり前、予算委員会のときにお聞きしたんですけれども、そのときに総裁は、日本国債を買う代わりにアメリカ国債を買うアイデアはどうですかと私が聞いたときに、総裁が、「日本銀行法上、外国為替相場の安定を目的とする外国為替の売買は国の事務の取扱いをする者として行うというふうにされております。したがいまして、そうした外国為替の売買については、やはり法律上、財務大臣が一元的に所管されているというふうに私どもは理解しております。」と、こうお答えになったんです。確かに、日銀法四十条の二項で、これは確かに為替介入は財務省しかできないと思うんですが。  そこでお聞きしたいんですけれども、日銀のバランスシートを見ますと六・六兆円の外貨資産があって、そのうちの四・四兆円は外貨債券なわけです。これ、どうしてお持ちなんですか。
  132. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) これは、経緯的に、かつて外為特会での円資金の調達のために時限的な措置として政府から外貨資産の買入れを実施したわけであります。それは、買い入れた外貨の元本金額は全部外為特会に売り戻しましたので、ただ、その運用益部分が日本銀行の保有資産として残ったために、それが御指摘のような六兆七千億円近くの外貨資産として保有をしているということであります。  その外貨につきましては、あくまでも、中央銀行として円滑かつ機動的な政策、業務の遂行に備えるために保有しているということでありまして、具体的な活用方法としては、現在実施しております成長基盤を強化するためのドル資金供給オペ、それから国際金融協力の観点から行う外貨資金の供給のほか、我が国金融機関に対する緊急時の外貨資金供給を想定して持っているということでございます。
  133. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 そういう理由は分かりましたけれども、言えることは、少なくとも日銀は、日銀法上、外国債券を買っても悪くはない、違反ではないということだと、違反でないからお買いになったと思うんですけれども、確かに日銀法四十条の二項で為替介入のためには買えなくても、要するに金融政策のためだったら買えるわけですよ。  だとするならば、日本国債が枯渇するのであるならばドル国債を買う、そうすれば幾らでも量的緩和は続けられると、こういうふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  134. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) その点につきましては、前回も申し上げたとおり、日本銀行法により、日本銀行の外貨の買入れというのはあくまでも政府のエージェントとして行うということでありまして、御指摘のような外貨の買入れというのは現行法ではできないというふうに理解をしております。
  135. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 確かに、政府のエージェントとしてはできない、すなわち為替介入はできないんですけれども、金融政策のためだったら買えるというふうに思いますですけどね。  それで、一つのまた議論としては、アメリカがそうするとドル高になってしまって文句が出るのではないかとおっしゃる識者の方もいらっしゃるのですが、確かに今アメリカはドル高というのを文句言っていますけれども、これは選挙目的かなと。確かに、農業団体とか自動車業界とか、ドル高に対していろいろ文句を言いますから、それに対してはそんなことないよということを言うのかもしれませんし、選挙が終われば事態は変わってくるのかなと私は思っています。  それ以上に、今、FRBというのはテーパリングは終わりました、要するに、バランスシートの拡大をやめましたけれども、これ、すぐインフレが始まっちゃったら大変なことですよ。インフレが始まるために引き締めるためには、バランスシートの規模を元のバランスの量に戻さなくちゃいけない。すなわち、それこそさっき風間議員がおっしゃいましたけれども、保有している国債を売らなくちゃいけないわけです、アメリカ政府も。  でも、今一応、マーケット的には、若しくはいろんな向こうの専門家も、大体、売っちゃうとマーケット、クラッシュしちゃいますから、七年から十年掛かるだろう、要するに満期待ちということで七年から十年掛かってしまうだろう、バランスシートの規模を昔に戻すのはアメリカでは七年から十年掛かるだろうと、こう言われているわけです。その間にインフレ来ちゃったら、もうお金世の中にじゃぶじゃぶですから大変なことになっちゃうわけで、アメリカとしても、FRBとしても、金融の健全性を保つためには早くバランスシートを縮めたいわけですよ。  だとすると、マーケットに売れない、縮められないというときに日銀が米国債を買ってあげれば、FRBは万々歳ですよ。まさにアメリカの国益にかなうわけで、そういうことをすれば、FRBにとってはいいですから文句は言われないし、日銀が日本国債の代わりにドル国債を買えば、それこそイールドカーブ立ってきます、長期国債金利上がってきますからね。かつ、ドル高円安が進むわけですよ。これは日本経済にとって万々歳じゃないですか。  だって、先ほど岩田総裁が、どうしてデフレが二%達成しなかったかという一つ理由に、為替だとおっしゃったんですよ。この前、総理の代表質問のときの答えに、デフレがうまく脱却できない、それから景気が余り良くないというところ、麻生大臣のときにもたしか発言はそうおっしゃったと思いますが、為替が入ってこなかったんですが、今日は岩田総裁が円高のせいだ、要するに為替のせいだということをきちんとおっしゃいましたね。  やっぱりそうだと思うんです。やはりデフレが脱却できないというのは円高だったせいだと思いますから、これ、日銀が米国債を買って、異次元の量的緩和をするために米国債を買っていけば、円安ドル高が進んで日本経済にとってもいいし、それから、イールドカーブが立ってきますから金融機関にとっても年金にとっても生命保険にとってもいいし、万々歳じゃないかと思うんですよ。そうすれば、イールドカーブが立ってくればマイナス金利の深掘りできますよ、短期金利下げればいいんですから。短期金利下げたってイールドカーブが立っていれば、年金だって生保だって銀行だって全然経営問題ない。  先ほどちょっと郵政の方がいらっしゃっていたので思ったんですけど、今のこんなにイールドカーブが寝ていると、ゆうちょ銀行大変ですよね。だって、もう預金は金利を上げなくちゃいけないのに、あそこ、たしか、今数字覚えていませんが、ちょっと前は四五%ぐらい国債買っていましたから、長期国債はマイナスで、預金のお金払ったら逆イールドカーブになっちゃって、将来やばいことになっちゃいます。それにも増して、今度は預金を増やそうと逆行するようなことをしているわけですから、ますます収益は悪化しちゃうわけで、それはイールドカーブ右上がりになっていけばゆうちょも助かるわけですよ。助かるって、楽になるわけですよ。  全てがうまくいっちゃうんですけど、そういうことを考えれば、米国債を買うというのは一つの、これはだからといって、私いつも大変なことになると思うと、それは時期が先になるだけの話なんですけれども、しばらくの間何とかもつ政策じゃないかと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  136. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) まず第一に、委員御指摘のようなドル高円安をもたらそうというのはまさに為替介入でありまして、日本銀行は、あくまでも政府の代理人としてそうした外貨の売買を行いますけれども、日本銀行自体として行うということはできないわけであります。  米国との関係のいろいろな御指摘がありましたが、私の承知しておる限りでは、委員御指摘のとおり、FRBは拡大したバランスシートは維持しておりまして、今のところはバランスシートを減らしておりません。すなわち、国債その他で償還が来ますと、償還金部分をまた再投資をしてバランスシートを維持しているわけです。その下で御案内のとおり短期金利を上げてきているということで、金融政策を徐々に引締め的な方向に運用しているということでありまして、今のところ私の承知している限りでは、米国はその拡大したバランスシートを直ちに減らそうというふうには考えていないと思います。  それから、やや長期に見たときにも、売るというよりも、むしろ償還期が来たものについて再投資をしないということは将来ある時点決定されるかもしれません。ただ、いずれにせよ、何か米国が経済状況、物価状況に応じてバランスシートを急激に減らさなくちゃいけないというふうな状況にはなっていないし、そういうことが今ある程度の期間で想定できるかというと、余り想定できないのではないかと思います。ただ、これはあくまでもアメリカの経済であり、アメリカの金融政策の問題であります。  ただ、その上で、仮にですね、仮に非常なインフレか何かの事情で国債を売ろうというふうに仮に米国の金融当局、FRBが決定したとすれば、それはそういう形で国債金利を上げようという決定をしているわけですね。そのときに、おっしゃるように、日本が何かの形で買いに行くということは、それは金利を上げないようにすることですから、当然に米国の金融当局によって歓迎されるということはちょっと私は理解できないんです。  ただ、米国のFRBが今の時点国債を売るというようなことは全く言っておりませんし、むしろ今はバランスシートを維持するために再投資を続けているわけです。その一方で、短期金利を引き上げていくことによって経済物価を安定させようとしているわけですので、そもそも委員御指摘のような事態になるというふうにアメリカも考えているとは思いませんし、もし万一、仮に何かのことで長期金利を上げなくちゃいけないということで国債を売るということがあった場合に、仮に日本が何らかの、日本銀行はできませんけれども、仮に何かの形で日本が買いに行ったら歓迎してくれるかと、FRBが、というのはちょっと私は理解できないです。
  137. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 今総裁は、FRBはバランスシートを維持している、バランスシートを縮める気がないとおっしゃいましたけれども、それは全く違っていまして、FRBは早めにバランスシートを縮小したいけれども縮小できないだけの話ですから、それは全然話が別だと思います。  これ、縮小しようと思えば、当然のことながら、満期待ちがもう、御行というか日銀と同じように異次元の質的・量的緩和で長期国債買ってしまいましたから、満期待ちができないわけです。昔は短期国債までしか買っていませんでしたから満期が来ればバランスシート縮まりましたけど、今は質的・量的緩和で長期国債買ってしまいましたから満期待ちができない。売ろうと思えば、これ、それこそ金利を上げたり、売るということは、これは価格暴落しますからね、長期金利暴騰していっちゃいますから、これはできないんですよ。  ですから、FRBも、これ、かなり前から出口戦略発表しました。これもいつも私文句言うところは、FRBは出口戦略、出口を前から、かなり前から発表しているけれども、日銀は発表しないではないかと随分文句を言っているつもりですが。FRBの最初の出口戦略は、やはりバランスシートを縮めるということが最初出ていました。それから金利を上げるだったんですよ。でも、バランスシートを縮めようとなるとマーケットがクラッシュするということが分かったから金利上げが先に入ってきただけで、どの中央銀行も当然バランスシートを縮めたいというのはもう先に頭の中にあるはずです、インフレ加速していったときに。だから、できないというのが正しくて、やろうと思っていないというのは間違いだと思います。  それから、先ほど総裁がおっしゃった、長期金利が上がっていくのを妨害するからFRBはうれしくないというふうにおっしゃいましたけれども、日本だけですよ、長期金利を今コントロールしようと思っているのは。世界の金融界、私も金融、アメリカでも習いましたけれども、中央銀行は短期金利しかコントロールできない、長期金利はマーケットに任せようという話でして、だから、そういう面からしても、FRBが長期金利上がった下がったなんということを気にするというふうには思っておりません。  それで、せっかくですから、ちょっとひとつ質問通告の順番を変えまして、長期金利のコントロールについてお聞きしたいんですけれども、これ、この前、昔ちょっとお聞きしたんですけど、あっ、その前にちょっとあっちの方を聞こうかな。  先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、イールドカーブがフラットになっているから金融機関危ないというふうに、認識もあるでしょうし、おっしゃったんですが、よくマイナス金利が悪者になっているんですけど、私は思うに、マイナス金利じゃないですよ、悪者は。異次元の質的・量的緩和ですよ。異次元の質的・量的緩和、特に質的、要するに十年債、二十年債、三十年債を買わなければイールドカーブってかなり右上がりだったんです。短期のところでマイナス金利にしたところで、これ、十分金融機関というのは利ざやが取れるんです。でも、質的・量的緩和でフラットにしちゃってマイナスになれば、それは危ないですよ。ですから、マイナス金利が悪いのではなくて、質的・量的緩和の質的緩和が悪かったんじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  138. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) 御指摘の点についてのお答えの前に、まず、FRBが出口戦略で、バランスシートを減らして、その後に金利を上げると言っていたことは事実なんですけれども、それは彼らの政策として変えたわけですね。むしろバランスシートは維持して、そして金利を上げていくと。その点について、バランスシートを減らしたいんだけれども減らせないでいるとか困っているとか、そういう話は聞いたことは全くありません。  それから二番目に、長期金利については、これは、リーマン・ショック後、日本のみならずというか、むしろ欧米の中央銀行が長期債券、長期国債を大量に買って長期金利を下げようということをやったわけですね。それは実際に成功したわけです。ですから、かつては、委員御指摘のように、中央銀行というのは短期金利操作して、それが長期金利に波及していくということを期待して、長期金利自体に直接働きかけるということはしなかったわけです。ただ、御承知のように、リーマン・ショック後、短期金利についてのゼロ金利制約等々に直面して欧米の中央銀行も全て長期金利に直接働きかけるということをして、それが成功してきたということを踏まえて、私どもも実際の経験を踏まえましてイールドカーブコントロールということにしたわけであります。  そこで、マイナス金利を今年の一月に導入した後のイールドカーブの動きを御覧になっていただきますと、八十兆円のペースで国債を買い進めるということは全然変えていなかったわけですが、その下でマイナス金利を、銀行の当座預金の一部にマイナス〇・一%掛けると。それまで全てについてプラスの〇・一%の金利を払っていたわけですけれども、ごく一部についてマイナス〇・一%の金利を掛けるということにした結果としてイールドカーブ全体が非常に大きく低下し、特に長期、超長期の方がより多く低下したわけですね。  ですから、そういうことを踏まえて、イールドカーブ余りにフラット化することは適切でないだろうということで今回のイールドカーブコントロールという形を導入したわけでありまして、量的・質的金融緩和が特にイールドカーブを非常にフラット化させたかというと、実際の経験で見ますと、むしろマイナス〇・一%の金利を導入したことがより大きくイールドカーブをフラット化させたことは事実なんですね。  もちろん、私も委員と同じ意見でして、マイナス金利が特に悪いというふうには思っておりませんが、量的・質的金融緩和が悪いとか必要ないとかいうことはなくて、やはりあくまでもこの両者の組合せによって適切なイールドカーブコントロールをしていくことが日本経済にとってもプラスだし、二%の物価安定目標早期に実現するためにも必要であるというふうに考えております。
  139. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 ちょっといろいろ反論したいところは山ほどあるんですけど、これは次回にしましてですね。  今長期金利を下げて成功だ成功だとおっしゃっていますけれども、配付資料を見ていただきたいんですが、長期国債長期金利下げて何のメリットがあるんだと。  先ほど岩田総裁もおっしゃいましたよ、需給ギャップというのはこれ短期金利の問題であって長期国債金利余り関係ないとかおっしゃっていましたよ、たしか。私の聞き間違いだったかもしれませんけど。  長期国債というのは、長期金利というのは、配付資料に見たように、これメガバンクで見ると約一〇%しかないんですよ。銀行の貸金というのは一年未満か若しくは変動金利ですから、短期金利に連動していて、長期金利に連動するところはほとんどないんです。だから、マクロ的に経済にいいなんということは余り言えないわけなんですよ。  どこが一番いいかといったら国ですよ、国はほとんど全部固定金利国債発行しているわけですから。長期金利を下げるというのは国の財政ファイナンスを助けるためであって、イールドカーブが寝て、民間の金融機関にその損失を押し付けていると私には見えちゃうんですけど、いかがでしょうか。
  140. 黒田東彦

    参考人黒田東彦君) まず、今回の総括的な検証でも示しましたとおり、それから委員が指摘されたとおり、イールドカーブの中で金利の年限によって経済活動あるい金融市場に対する影響が異なるということは認めております。  その上で、企業や家計の資金調達を見ますと短期から中期が占めるウエートが大きいということを反映して、こうしたゾーンの金利低下による効果が大きいということはそのとおりでありまして、総括的な検証でもそう述べております。ただ、もっとも、マイナス金利導入以降の大幅な金利低下の下で、御案内のとおり、長期や超長期の社債の発行が増加するといった動きも見られているほか、長期金利の低下が資産価格などにも影響を及ぼすと考えられますので、長期金利の引下げが景気に関係ないということではないと思います。  ただ、御指摘のような面があることは総括的な検証でも申し上げているとおりでありまして、先ほど来申し上げていますとおり、イールドカーブの過度な低下、フラット化は広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらす、そしてマインド面を通じて経済活動に影響が出る可能性があるということを踏まえまして、新しい枠組みの下で二%の目標達成のために最も適切と考えられるイールドカーブ形成を促していくということにしたわけでございます。
  141. 藤巻健史

    ○藤巻健史君 終わります。
  142. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  143. 藤川政人

    委員長藤川政人君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺美知太郎君及び山谷えり子君が委員辞任され、その補欠として朝日健太郎君及び自見はなこ君が選任されました。     ─────────────
  144. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 自由民主党の三宅伸吾でございます。本日は質問の機会をいただきまして、委員長、そして理事、委員各位に心より御礼を申し上げたいと思います。  今年の夏でございますけれども、東京駅近くのオフィス街、大手町のど真ん中に日本旅館がオープンをいたしました。日本旅館ですから、当然温泉がございます。どうも千五百メートル掘って温泉を掘り当てたそうでございます。館内は当然畳でつながっております。旅館の名前は星のや東京と申します。安倍政権の様々な政策により、近年、外国の方から多くの方が日本にたくさん来るようになりました。ビジネス客が多い大手町、そして丸の内でも、近年、片仮名、ローマ字のいわゆるホテルが多く建って、顧客の争奪戦を繰り広げております。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて日本旅館がオープンするということは、我が国独自の和のおもてなしということで今話題になっているわけであります。  さて、本日はまず、この日本旅館の隣に来年の春にオープンをいたします国際機関の話についてお話をしたいと思っております。  政府は、金融分野で国際機関の常設事務局の誘致に初めて成功いたしました。麻生金融担当大臣、岸田外務大臣、菅官房長官、柴山総理補佐官、越智内閣府副大臣、そして武村政務官始め日本政府の関係各位の御尽力に心より感謝を申し上げたいと思います。  近年、我が国では大企業の不正会計が相次いでおります。粉飾決算が明るみに出るたびに、監査法人は一体何をやっていたんだというようなことが話題になるわけでございます。この度、日本に常設事務局が開設されることになりました国際機関、これは監査法人を所管する各国の機関が集まる監査監督機関国際フォーラムと申します。片仮名ではイフィアールというように申します。  麻生金融担当大臣にお聞きしたいと思います。  金融分野で初めて日本に事務局を誘致に成功されたわけでございますけれども、御感想と、それからIFIARの今後の活動に対する期待をお聞かせください。
  146. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) IFIARより星のの話を先にするところが新聞記者らしくていいね、そう思いましたよ。ほとんどの人は、星のの話知っている人ここにいないと思うよ。この後ろに座っている役人なんかほとんど知らない。大したものだよね、あれは。なかなかのアイデアでしたよ、あれは。それはつくづくそう思いました。  さて、いわゆる監査監督機関国際フォーラムというIFIARは、結構いろいろの国と取り合ったんですけれども、結果として、多くの方々に御支援をいただいて、これが日本で獲得することができました。  いろいろ日本にあります、条約として正式に認められている国際機関というのは日本に三つあります。国連大学とかアジア、熱帯何とかとか、三つぐらいあるんですけれども、そのほかのものを入れますと、条約で決められていないものを入れても約四十ぐらいあるんですが、いずれにしても、国際金融関係のものとして日本にできたのはこのIFIARが最初。そういった意味では極めて意義が大きいんだと思いますが、とにかく、常設事務局というのを日本に置くということになりますので、国際組織としてこれ更に発展をしていくんだと思っていますし、今度、BEPS等々、いろいろこの種の話というのは、昔みたいに二重課税から二重非課税防止みたいな方に世の中大きく変わっていますので、いろんな意味でこれは貢献していくと思っております。  日本としても、これはここに設置してもらって我々としてはホスト国みたいな形になりますので、この円滑な運営へ向けて、場所もというのであそこの場所にしたんですけれども、いろんな支援を行ってまいりたいと思っておりますので、監査の質の向上というのは言うに及ばずですけれども、これが国内的な話ではなくて、インターナショナルにこういったものが出てくる時代になっていますので、それに対応できる資質というのを、日本のいわゆる、何というのかね、日本の人の質の向上、国際的に通用する人材を、こういったものが日本にあるおかげで育てやすくなってきているということもあろうと思いますので、これの発展に大いに期待をしていますし、我々としても更に支援をしてまいりたいと考えております。
  147. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 次に、ちょっと話題を変えまして、内部留保法人税制改革についてお話をしたいと思っております。  二〇一四年の三月七日の参議院予算委員会におきまして、私は、財政再建のための法人税改革と題し質問をさせていただきました。その際、私の方から麻生大臣にこのようにお聞きしました。日本の法人実効税率がもしゼロ%の場合、その日本経済への影響はどうなるんでしょうかというふうにお聞きをいたしました。それに対して、麻生大臣は次のように答弁をされました。「法人税収というものはゼロということになります。その場合は、仮に企業が増加した利益を活用して設備投資や雇用を拡大して、所得や消費の増加というものを通じてその他の税収が増加する可能性というのは、これは決してないわけじゃない」と、このように大臣、御答弁をされました。私もそのとおりだと思います。  我が国企業の国際競争力と外国企業の日本への進出促進のため、米国を除く先進諸外国に比べて高かった我が国の法人実効税率を引き下げるため、私も同志を募り、当選以来活動してまいりました。政府も我が国企業が稼ぐ力を取り戻せるような環境整備の一環として税率引下げに取り組み、今年度から三〇%を僅かに切る水準まで来たわけでございます。ただ、一部からは批判が出ております。税率を下げたけれども、利益剰余金、内部留保が積み上がるばかりであるとの批判でございます。  お配りしました資料にもあるとおり、この四年間で非製造業を中心に膨れ上がっているわけでございます。多くの企業が十分な賃上げ、配当を行わず、また設備投資、特に国内での積極果敢な投資に踏み切っておらず、何のために法人実効税率を引き下げたのかという、そういう批判がよくあるわけでございます。こういったため込み批判が何度も国会審議で取り上げられました。麻生大臣が膨れ上がる内部留保に強い違和感を抱いて答弁をなさっているように私は拝察をいたしております。  そこで、本日は、内部留保に着目した新たな法人税制について議論をしたいと考えております。内部留保の多い企業に新たな課税制度を創設するという一般的に言われている内部留保課税の創設ではありませんので、御留意ください。  今、韓国と日本にございます、私のこれから申し上げる提案とは異なるいわゆる内部留保金課税について、財務省の方からごく簡単に御説明を願います。
  148. 星野次彦

    政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。  先生御指摘の日本と韓国の内部留保に関する税制でございます。  まず、日本の特定同族会社に対する課税でございます。  これは、目的としましては、少数株主が支配する同族会社において、配当が恣意的に繰り延べられるおそれがあるために導入されているという、そういう目的を持った税制でございます。具体的には、法人の各事業年度の所得の金額から配当、法人税等に充当した金額及び所得等の四〇%などの控除額を差し引きまして、その差引き後、残った額に対して一〇%から二〇%の累進税率で税を課すものでございます。現行制度上は、資本金一億円超の大法人のみ対象とされているものでございます。  次に、韓国の企業所得還流税制でございます。  韓国におきましては、二〇一五年から三年間の時限措置として、企業所得を家計所得に還流させることを目的に企業所得還流税制が導入されております。本税制の仕組みでございますけれども、法人の各事業年度の法人税差引き後の当期所得額から、投資、賃金の増加、配当等に充当した合計額を差し引いて、その差引き後、残った額に対して一〇%の税を課すものでございます。現行制度上は一定規模以上の大法人などが対象とされているところでございます。
  149. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 日本にございます特定同族会社、いわゆる非公開のオーナー企業でございますけれども、オーナーが自由に会社の経営も、それから財務も支配できるわけでございますので、自分のポケットに配当として持ってくるといろいろ課税されるわけでございますけれども、自分のポケット代わりに会社の、自分が例えば一〇〇%支配する会社のところにずっと置いておくと、こういうことを課税で防いでいるということではなかろうかと思います。  この日本の特定同族会社に対する留保金課税も、それから韓国で新たに創設された留保金課税も、これ、実は税法の考え方から申しますと二重課税の問題が指摘されるわけでございます。法人税を支払った後の残りについて一定の条件を満たせば新たな課税をすると、こういう意味でございまして、二重課税の批判が絶えないわけでございまして、こういうこともありまして、韓国を除きますと、広く留保金に対して課税をしている国は余りないというふうに私は理解をしております。  私がこれから提案いたします留保金に着目をした法人課税というのは、今申し上げた二重課税の問題が生じる税制とは異なります。ちょっとこれから詳しく説明をさせていただきます。  一言で申しますと、日本の法人実効税率、三割は切りましたけれども、まだまだ高いわけでございます。OECDの真ん中でいうとまあ二五パーぐらい、アジアの国々の平均値を取ると二割近くまでは下げないと、外観上、法人実効税率が公正な競争にならないということはもう皆さん御承知だと思います。可能であればこれからも法人実効税率をもっともっと下げるべきでございますけれども、この国会でも何度も言われておりますように、法人実効税率をこの数年で下げたけれども、ため込んでいるだけじゃないかという批判があります。じゃ、どうすればいいんだというところで、私が考えた案でございます。  一言で申しますと、今後、法人実効税率を下げた場合に、過剰な内部留保を積み上げている企業に対しては現行の法人税率で据え置くと、こういうアイデアでございます。ですから、一生懸命稼いで、そして賃上げをする、設備投資をする、配当もすると、そういう社会に対して利益を還元している会社、適正な留保金の、利益剰余金の会社に対しては、二八、二七、二五と下げていった場合の法人実効税率を適用するけれども、過剰な内部留保を抱えている企業に対しては今の実効税率のままに据え置くと、こういうアイデアでございます。  近年、コーポレートガバナンス原則とか、それから機関投資家に対しますスチュワードシップ・コードとか、企業経営に対する監視の仕組みが徐々にではございますけれども整いつつあります。もし、私が今御提案申し上げましたような過剰な内部留保を蓄えている企業には今後の更なる実効税率の引下げのメリットを享受させないと、もしこういう制度ができますとどういうことになるかと。例えば、株主総会で、例えば五年後、法人実効税率が二五か二〇%になったときに、自分の株主総会に出ていくと、どうもうちの会社はいまだに二九・何%の法人実効税率のまま適用されていると、こういうことが株主に知れ渡りますと、株主は株主総会において経営者を追及するわけであります。どうしてため込んだままなのかと、きっちりと投資し、それから企業価値を高めるために、従業員の給料を上げなさい、配当を出しなさい、設備投資もしっかりやれ、研究開発投資もしっかりやれというプレッシャーを企業経営者に対して与えることになります。  ですから、我が国産業の国際競争力は高めます、そのために実効税率は下げるけれども、稼ぐ力を国から高めるということで法人実効税率を下げてもらったにもかかわらず、稼ぐ力は付けたけれども、稼いだその成果は社会に還元しない企業に対しては、更なる法人実効税率の引下げのメリットは享受させない、享受させないということを株主総会の場、すなわち様々な決算書類等で株主の皆様に知ってもらって、株主が厳しくため込み批判をする、経営者を追及すると、こういうような仕組みでございます。  日本企業が内部留保が多い理由、いろいろございます。国内市場が余り伸びていないとかいろいろございますけれども、実は日本企業が現金をため込む理由は、実は敵対的企業買収のときに、そのお金を使って自分の会社を保身のためにディフェンスしようとか、こういう意図があります。もう一つ理由がございまして、会社の経営状態が悪いときに安定配当するための原資を取っておこうと、こういう、まあ良からぬと申しますか、ちょっと言葉をきつく申しますと、経営力のない保身に走る経営者が安定配当をするため、敵対的企業買収から自分の地位を守るためにため込んでいるという側面が実は多いわけでございます。  こういうことは経済団体は余り口にしませんけれども、私はこの分野、十数年担当、日本経済新聞編集委員としてやってきましたので、よくよく知っております。だから、ため込みの半分ぐらいは保身のためのため込みだと私は確信をいたしております。ただ、当然それだけではありません。リーマン・ショックもございました。万が一のときには、やっぱりしっかり備えておこうという、稲作文化の中の日本的なため込み、貯蓄の精神もやっぱりあるわけでありますが、半分以上が保身のためのため込みでございます。  こういうことも鑑みまして、やっぱり保身のためにため込まれたら困るわけでございます。実効税率を引き下げたのは、どんどん稼いで海外の企業に勝って、稼いだら税金も払いましょう、配当もしましょう、設備投資もしましょう、研究開発もどんどんやってくれと、こういうことで安倍政権麻生大臣筆頭、そして元経済産業大臣の宮沢先生にも御尽力賜りまして下げてきたわけでございますので、今後もっともっと下げるべきなのは私は当然でありますけれども、下げた以上、そのメリットはきちんと企業経営の成果を社会に還元している企業に対してのみ享受させると、こういう……(発言する者あり)ありがとうございます、こういう税制がいいのではないかと拝察をいたしておりまして、是非麻生大臣の御感想というか、いただけないかということでございます。
  150. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっといろいろ言っておられる話が二つ三つ重なっているんですが、まず、法人実効税率につきましては、御存じのように、これは平成二十七、二十八年度の税制改正において、一応国際的には遜色がないと言われております二〇%後半のところというものになりまして、そうすると今度は、アメリカより安くなっていますし、ほぼドイツと同じぐらいのところまで来ておりますので、そういったことが実現できたということがあって、去年できているからといって、今、現時点で更に下げるということは今考えているわけではありません。  しかし、一方の内部留保につきましては、もう度々大門先生から褒めていただくので、余り共産党から褒められるといいことないんじゃないかなと心の中で疑わないわけではないんですが、大門先生から言ってもらっているので、私どもとやっぱり同じ考えの方がおられるんだと思っているんですが、少なくともこの三年間で、二十五兆、二十四兆、二十四兆五千五百億と三年連続でトータル七十五兆ぐらい、結果として三百七十七兆円の内部留保、うち二百何十兆は現預金ですから。ちょっとこの現預金がまず普通じゃないですよね、この率は。しかも、金利があるならいいけど、今はただなので。それで、現預金ためて何するのというのが私はちょっと正直、元経営者としてはちょっとなかなか理解ができないところですが。加えて、労働分配率が私どもの頃は七七、八%あったと思いますが、今は七〇切って六八切っているんじゃないかな。それぐらいまで下がってきているというのは、これはどう考えても、渡してある資料を見ていると、本来の趣旨とは大分離れたことになっているんじゃないんですかということであろうと思います。  そこで、この内部留保金に課税とかいう話は、結構乱暴な話は、党税調で詳しい人は言わないんだけど、詳しくないというのも党税調にいっぱいいますから、そこでいろんな意見があったり新聞に出たり、いろんなところに出ているのは知らないわけではありませんが。今言われたのは、内部留保を抱えた企業の中でもいろいろ区別化して、他の法人より高い税率を掛ける場合、企業の内部留保の仕方によって、ということを言っておられるので、賃金の引上げ等々に全然使っていないじゃないかとか、まあ何でしょうね、配当、設備投資、大体その三つに主に使われるんですが、その三つとも使っていないで、いつの日かと言うけど、確かに今まではデフレでしたから、じっと持っときゃ金の価値が上がって物の価値が下がっているわけですから、じっと持っておくというのは企業が生き抜くためには一つの手段としては分からぬことはありませんけれども、今から物価がというときに、そういう指導者というか経営者では、それは会社のためにはちょっとなかなかいかがなものかと思いますし、社会的にもいかがなものかということになりますので、少なくとも内部の留保というものを吐き出させるというと非常に聞こえが悪いね、もう少し、盗み出すもいかがなものか、ちょっと適当な表現がないんですけど、ため込んでおられるものをしかるべく使っていただくというようなもので、これを、補助金とか税制とかいろんなものがあるんだと思いますけれども、制度としてやるという考え方はこれは理解できるところです。  ただ、一方で、もう経済界としても去年ぐらい、もう今年の初めぐらいでしたかね、経済三団体の新年会でもこの話が三団体の長も触れられるようになりましたので大分変わってきたなとは思っちゃいるんですけれども、とにかく投資の拡大とか賃上げに使いますという話を年頭の挨拶でされるようになってきておりますので、少しこの状況というのを見た上で、その上でまだ全然状況が変わらないというのであれば、これはもう一回ちょっと別の手口を考えにゃいかぬかなと思わないでもありませんけれども、少なくとも今の段階ではちょっと大分効果が上がってきつつあるかなと思っていますし、設備投資も少しずつではありますが増えてきていますが、いずれにしても、マネーサプライって分かる、マネタリーベースが増えている割にはマネーサプライが増えません。最大の理由は、企業が持っている、蓄積している現預金、内部留保が多いものですから、これ資産もありますよ、現預金だけじゃなくて資産もありますが、その内部留保が増えているがために、無理して銀行からただの金利を借りなくても、自分のところでただの現預金を持っているという強みがやっぱり今、日本の企業の最大の強みの一つだと思うんですが、これに安住してじっとしているというんじゃ、これは日本の企業というのは伸びていきませんので、そういったところをどうやって刺激をしてやっていくかと、ちょっと慎重に考えさせていただければと思っております。
  151. 三宅伸吾

    ○三宅伸吾君 終わります。
  152. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之でございます。  新人議員で初の質問ということで大変緊張しております。先輩委員の皆様の議論にしっかり追い付けていきますように頑張ってまいりますので、藤川委員長を始め、よろしくお願いを申し上げます。  本日は金融行政、とりわけ地域金融についてお尋ねいたします。  金融というのは社会経済の血液である、社会経済るいは国民生活にしっかりと循環をさせなければいけないと言います。人間の体に例えますと、金融機関というのはまさに心臓の役割、ポンプの役割であり、お金、まさに血液をしっかりと循環させなければ、場合によっては体が機能停止に陥ってしまう、それほど重要な役割を金融機関は担っているというふうに思っております。  また、金融機関の役割も、グローバルに活躍するメガバンク、リージョナルに活躍する地域金融機関とは明らかに異なっております。中小企業で働く従業者数、これ全従業者数の七割、三千三百万人を超えます。企業数でいけば九九%を超える大きな役割、これを中小企業は果たしています。その消費、あるいは投資、あるいは雇用に与える影響というのは極めて大きいものがあります。  今、安倍政権では働き方改革あるいはGDP六百兆円を目指していると、まさに中小企業の果たす役割は極めて大きいものがあります。その中小企業の経営と深く関わっているのが地域金融機関であります。中小企業は上場企業と異なり、ある意味上場をし、自ら資金調達する機能を持っておりません。まさに間接金融、地域金融機関と一緒になって経営に取り組んでいくような形態、そういう状況にございます。  我が国の金融は、平成バブル、リーマン・ショックあるいは東日本大震災、多くの試練を経験してまいりました。その中で、本委員会においても例えば金融機能強化法であるとか円滑化法、いろんな法律を施行し、またその延期を行うことにより中小企業の経営にしっかりと役立ってきた、これは皆様御承知のとおりであります。  その中で、金融庁は、平成十五年に地域密着型金融、リレーションシップバンキング、リレバン、これを打ち出されて、しっかりと取組をされてきたと思っています。また、以後、何度にもわたりその見直しも行ってこられました。しかしながら、必ずしもその成果が出たというふうには言えないんじゃないか、このように思っております。  先週金曜日、二十一日に平成二十八年度の事業方針金融行政方針金融庁は公表されました。その中で、従来から、過度に保証や担保、こういったものに依存する融資姿勢から、個々の事業体、企業のある意味事業性をしっかり評価する、まさに目利きの役割を果たしていくと、このような方針を出されましたけれども、これはどのような問題意識、背景に基づくものなのか、これは政務官にお尋ねします。
  153. 武村展英

    大臣政務官(武村展英君) お答えいたします。  人口減少や長短金利の低下など、金融機関の経営環境は大きく変化をしております。例えば、横並びで単純な量的拡大競争に集中するようなビジネスモデルはもう既に限界に近づいているというふうに考えます。このため、各金融機関におきまして、自らのビジネスモデルを検証し、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた取組を行うことが求められています。この際、顧客企業の事業内容をよく理解をして、企業価値向上につながるアドバイスとファイナンスを提供することで、金融機関自身も安定した顧客基盤と収益を確保する、そういう取組は持続可能なビジネスモデルの一つの有力な選択肢であるというふうに考えられます。  以上です。
  154. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございます。  一方で、先月ですけれども、ある新聞に金融庁の今のような取組についてのコメントが載っておりました。内容につきましては、金融庁が銀行の融資姿勢に政策的に介入すれば、金融機関の自主的な意思決定金融市場の機能をゆがめる懸念があるのではないかというような内容であります。また、先週二十一日の金融行政方針の報道発表後の翌日の朝刊を見ましても、当局が融資判断まで口出しをするのか、あるいは、もう貸せるところには十分貸しているといったような反発があるというふうにも報道されています。これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  155. 武村展英

    大臣政務官(武村展英君) これまで金融庁といたしましては、金融機関が持続可能なビジネスモデルを構築する必要について問題提起をしてきたところでございます。ただし、具体的なビジネスモデルをどのように実現をするのか、また、その中でどのような融資姿勢を取るかにつきましては、金融機関自身が主体的に創意工夫するものであり、金融機関の自主性を損ねるといったことにはならないというふうに考えております。  なお、金融機関が自らの創意工夫の下で顧客本位の優良なサービスの提供に取り組むことを金融庁として後押しをするために、金融機関に対し自らの取組を顧客に積極的に開示をすることを促すとともに、優れた取組を行っている金融機関を当局が公表、表彰をするといった施策を進めることで、顧客が自らのニーズや課題に応えてくれる金融機関を主体的に選択をする、そういった環境を整備してまいりたいというふうに考えています。
  156. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。  アベノミクスの第一の矢、まさに金融政策、これは先ほどからも議論ありましたように、日本銀行による量的な質的な金融緩和、こういった取組でありますけれども、まだまだ道半ばの状況であります。私は、日本銀行が行う金融政策、それから金融庁が行う銀行行政、金融行政というのは私は裏腹の関係にあるというふうに思っています。いずれも社会経済の発展、あるいは国民生活の向上、安定、これに資するものでなければならない、このように考えております。  地域の中小企業が元気になれば、地域の雇用も増えます。消費も増えます。投資も増えます。地域の税収も増えます。まさに地方創生につながってくる。そのことが地域社会が自ら自立してその活力を高めていくことができるのではないかな、このように考えております。こういった取組を中長期にわたり下支えするのが私は金融庁の役割だろう、まさに金融行政の役割だろうと、このように理解しております。  先日の大臣の所信の中でも、先ほども、午前中もありましたけれども、金融処分庁からまさに金融育成庁への転換を一層進めていくというような大臣の御挨拶ありました。政府の一員として金融庁にはこの姿勢で積極的に取り組んでいただきたいというふうに感じておりますけれども、お考え、いかがでしょうか。
  157. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今から例えば、徳茂さんがおられたところで信州中野、どんどん人口減りますよ。湯田中やら何やら、温泉なんか見ていたって間違いなく減っていっていますものね、人は。そういったところ、あの辺を見ていても分かりますけれども、こういった環境というのはもっと厳しくなりますよ。  だから、そういったときに、この中で今地銀のやろうとしているところとかを見ていると、みんな合併。だって、対象人口が減っていくんだから、それしかほかに方法がないということになって、福岡でも、長崎等と合併して横浜銀行を超えるぐらい福岡銀行が大きくなるほどの勢いでやらないととてもやれないというところまで深刻に、やっぱりそういった経営感覚の高いところはやろうとしているように見えるんです、私らから見ていますと。  したがって、こういったものを考えると、やっぱり地域金融機関というものが果たす役割というのは僕は物すごく大きいんだと思っているんですが、我々がベンチマークとしてこういうのをやって、担保とかそれから社長の個人保証とかいうのは使わないと金は貸さないと言っているところが多いのをやめて、そこの企業の事業の内容とか、その事業がやろうとしている企画の基の、先の見えるところとかいうのを見て、ああ、これは経理は弱いけど、ここのこの話をこっちにくっつけてやったらこれはもっとうまくいくんじゃないかなと一番分かっているのは、多分郵便局長とか地域で一番転勤なく地元を回っている地域の金融機関、いわゆる第二地銀とか信金とか信用組合とか、そういったところが一番詳しいんだと思うんですが、とにかく事業を見た融資をしてやらぬと、担保取ってやっているのなら質屋と変わらないだろうがと、あんた質屋の元締やっているのかといって、この間ちょっと信用金庫大会で言ったらみんなげらげら笑っていましたけど、おかしくはないよと、全然、これみんなそう思われているんですよと、あんたら、それは覚えておいて、知っておいた方がいいですよという話をしたんですけれども。  担保と保証がないから金貸してくれないと、企業というのは今でもいっぱいありますので、そういった意味では、私どもとしては、いわゆる企業の事業というものをよく理解をして、その事業が良くてもやっている社長の能力がなかったらできませんから、両方とも相まって、かつ、アイデアはいい、仕事相手もある、しかし、問題は経理が全然分かっていないとか総務が分かっていないとか、もういっぱい、中小企業とか新しいところというのは抜けているところはいっぱいありますから、そこのところをカバーしてやって、ああ、あそこのあの人がたしか今度定年で辞めるからこれ貸してやればいいじゃないかとか、いろんなことが一番分かっているのというのは間違いなく僕は地方の中小金融の人だと思っていますので、是非そのことを考えて、地域経済の活性化というのはここが決め手、僕はその目利きが決め手だと思っていますので、積極的に応援をしてまいりたいと考えております。
  158. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 どうも大臣ありがとうございました。  ちょっと時間コントロールが悪くて申し訳ありません。最後に一言だけ申し上げたいということがございます。  実は、地域金融機関と郵便局の役割でございます。郵便局、ゆうちょ銀行、もうまさに、地域金融を支える担い手としてはまさに大きな役割を果たしております。全国に二万四千局ある郵便局を通じて、多くの預金の預け入れを受けて地域の暮らしを支えている。この役割は大きいものを果たしているというふうに思っています。  その中で、よく民業圧迫だと、いろんなことをその地域金融機関の皆さんからも言われます。その論拠となっていたイコールフッティング論、これは民営化によってかなりなくなったというふうに思っています。ゆうちょ銀行はもう既に法人税等を千五百億円払っております。預金保険機構にも加入して保険料も払っています。今日いらっしゃる金融庁の皆様の監督検査もしっかり受けています。もう、当時民業圧迫だと言われたまさに官業の特典、こういったものは皆ほとんどなくなったんだろうというふうに思っています。  私は、地域社会、これほど人口が減少し活力が失われる中で、やはり地域金融機関とゆうちょ銀行を含めた郵政が一緒になって地域のために、まさに地域の一員として取り組むことが重要でないかなと、このように思っています。  お手元に資料をお配りしました。もうこの紹介にとどめますけれども、これは七月に報道発表した資料でございます。先ほどもちょっと日本郵便の方からも御紹介ありましたが、九州域内で地域金融機関とゆうちょ銀行が共同出資をして、ファンドをつくって共同出資をするという取組であります。まさに、以前の民業圧迫、あるいは犬猿の仲だとか百年戦争だと言われたような時代からすると、本当に隔世の感があるような取組だというふうに思っております。是非ともこういう取組も含めて、郵貯の資金が地域にしっかりと還流される、こういった仕組みを政府の皆様にも支援いただきながら取り組んでいただきたいというふうに感じております。  本当にいろいろありがとうございました。時間がありませんので、これで質疑の方を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  159. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  当委員会、初めて質問に立たせていただきますので、本日は、まず、先日の大臣所信を受けまして、少し総論的なところからお話を進めさせていただきたいと思っております。  日本経済現状とそして財政再建に対する考え方を、この二点にわたってお伺いしていきたいんですが、私の今持っている問題意識として、二〇〇八年のリーマン・ショック以降、低成長の時代に入ったということが最近よく議論をされております。これは大臣所信の中でも、世界経済の需要の低迷、成長の減速のリスクが懸念されるとおっしゃっていたとおりでありまして、例えば今朝の日経新聞でも米利上げに限界説ということで、世界で唯一と言っていいぐらい経済が好調だと言われているアメリカですら経済の実力、潜在成長率が下がってきており、利上げは今年十二月をもって打ち止めになるのではないか、こういう懸念が記事になっておりました。  また、結局、財政を語る上でも、それから金融を論ずる上でも、現状経済の見通しというものを誤ってしまうと、幾らいろんな施策を打ってみてもやっぱり全くもって意味がなくなってしまう、むなしい結果に終わってしまうわけでありまして、改めて、今世界中で低金利それから低成長の時代を迎えていると言われている中において、改めてこのリーマン・ショックというのは一体世界と日本の経済にどういう影響を与えたのか。特に今日は、当時、この大変な世界的な未曽有の危機の中で宰相として指揮を執られた麻生大臣いらっしゃいますので、是非、このリーマン・ショックの捉え方、どう考えるのか、お考えをお聞かせいただきたい。  あわせて、世界経済リスクに立ち向かうためにあらゆる施策を総動員していくんだと、日本としてもこの世界経済リスクに立ち向かうんだということも先日の所信で述べられたわけでありますが、ここについて、この今の日本経済の見通しと世界経済リスクに対する、どうやって、じゃ、日本の政府として立ち向かっていくのか、これも併せてお聞かせいただけたらと思います。
  160. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 二〇〇八年は、いわゆるサブプライムローンという怪しげな金融派生商品が世界中に売りまくられて、結果として、その売った元の元だったリーマン・ブラザーズという昔からの会社が破綻した。その結果、世界中から金を、そのサブプライムを買っていた、その商品を買っていた世界中の銀行で早い話がなくなりましたんですから、当然のこととして資本、現金、ドルが市場からぱたっとなくなった。  日本の場合は余り、その影響が少なかった。なぜ少なかったかといえば、多分僕は日本の頭取のほとんどが英語ができなかったからだと確信しているんですけれども、だから買わなかったんじゃないかと思っているんですけれども、まあ結果として買わなかった。買っている率はほかの世界の銀行に比べて圧倒的に少なかったのが結果として助かったことは事実です。多分僕は、これ独断と偏見ですけど、多分買わなかった最大の理由はそれじゃないかなと。難しくて何回聞いても分かんない言葉でしたから、それで怪しいなと思って買わなかったんだと思っているんですが。  いずれにしても、そういう状況になって、結果として金融が止まっていますから、早い話が実体経済に当然影響が出ますので、実体経済影響が出る、日本の全て、外需が縮小しますので、結果として日本の経済もという形で悪くなっていったということだと思うんですが。  現在の場合は、これは全体として間違いなく緩やかに回復していますし、金が、現金がないどころか現金余っとるぐらいですから、全然状況は全く違いますし、足下で言われているのは、新興国経済の危なさとか、今アメリカの話も少し出ていましたけれども、そこが少しぐらいのもので、ヨーロッパの場合とかいろんなところがEUの離脱だとか懸念されている状況にあるのも事実ですけれども、いずれにしてもあのときとは全く状況が違っていると思っております。  日本の経済は、もう御存じのようにこの三年間で少なくとも経常収支が過去最高行っていますし、雇用も間違いなくやたら高いし、有効求人倍率も、百人大学出たら百八十七社ですかね、から求人広告が来るほどの時代になって、四十七都道府県で有効求人倍率全て一を超えるなんという過去七十年間で初めてのことが起きていますから、いろんな意味で確実に改善しているんだと思いますけれども。  ただ、一方で消費とか個人消費、設備投資等々に力強さが欠けているのは確かですので、やっぱりまた金がないのが回ってくるんじゃないかという意識があるからみんな貯金する、預貯金率は企業でも上がっている、六%を超えているほど企業は上がっていますから、そういった状況になっていますので、やっぱり日本としては、こういった状況を考えたら、これは消費税を今引き上げるのはいかがなものかということで、延期させていただくという法律を出させていただいているんですけれども。  いずれにしても、日本として今のままじっとしていても駄目ですので、この金利が低いという今の間を利用して、少なくとも未来への投資とか日本の生産性を上げるための社会資本の充実とか、そういったようなものにきちんと投資をしていくということは大切なことなのであって、結果として潜在成長率を高めるということになるんだと思っておりますので、少なくとも、構造改革を進めていきながら強い経済の実現というものをやるためには、ありとあらゆる政策を総動員する、伊勢志摩サミットの各国の合意ですけれども、そういうのを基本として考えていかねばならぬものだと考えております。
  161. 平木大作

    ○平木大作君 もう一問お伺いしたいと思います。  所信の中で、財政再建についても、二〇二〇年度の財政健全化の目標を堅持をするんだということを表明されました。なかなか、二〇二〇年という、ちょっともう見えてきた将来、だけれどもPBの黒字化というのは道筋が見えないなということも言われているわけでありまして、この中で最近私ちょっと気になっているのが、妙な楽観論というのがあります。  先ほど日経新聞紹介しましたけれども、いろんな例、出せば切りがないんですけれども、一個、日経ビジネス、八月二十九日付けなんですけれども、特集で、今こそ明るい未来予測という記事がありました。明るい未来予測を出すって、とっても私、大事なことだと思うんですね。基本的には、先々実はこんな未来が待っているかもしれませんよということを書くのは私はいいなと思うんですが、ただ、この記事の中で一発逆転シナリオというのがたくさん紹介されていまして、財政再建もこれが出てきちゃうんですね。  何て言っているか。日本の財政難は解決したも同然と書いてあって、その根拠は何かというと、最後の最後は日銀から金を借りられると。でも、そんなこと言ったら国債が暴落するんじゃないかという話に対しては、売りに出た国債日銀が全て買い取ると宣言すれば、パニック売りは絶対起きないと、こうしてあって、だから国債暴落は机上の空論みたいな、こういう記事になってしまっている。これが結構まともないわゆるビジネス誌に載ってきてしまっているのは、私、ちょっと違和感を正直覚えます。  このほかにも、そもそも政府日銀のバランスシートをくっつけちゃえば終わるんだとか、そういう話が実際に識者の方から語られることもあるというわけでありまして、私は、例えば経済成長について、いろんな一発逆転ってあり得るなと思うわけでありますが、事財政再建に関してだけは一発逆転とかウルトラCというものは私はないと思っております。こうした議論の受け止め、また財政健全化に向けた決意をお伺いしたいと思います。
  162. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ちょっと、これはきちんと説明せぬと話が込み入っちゃうんだと思うんですが。  今の話は、簡単にその日経ビジネス、日経ビジネスじゃない、何だったっけ、今、東洋経済……(発言する者あり)だから今、何だかが、その話をされましたけれども、早い話が日銀政府のBS、BSってバランスシートを一緒にしちゃえばいいということを言っているんだね、今のその記事は、多分。そういうように見えるんですけれども、これは、日銀というのは政府から独立して金融政策を決められるというきちんとした中央銀行の制度というのがそうなっているにもかかわらず、政府が、日銀が永久に国債を買い続けてくれることを念頭に置いているのではないかと思われる、また、その結果としては、早い話が財政ファイナンス狙っているのということなんじゃないのということになる、簡単に言えばそういうことを言われる、そしりを受けるということは、これは免れないと思うんですね。  また、仮に政府日銀のバランスシートを統合して、日銀が保有している資産、国債ですわな、それが、その分だけ政府の債務、これは政府の場合の債務は国債ですから、それを相殺するというわけでしょう。そうすると、確かに日銀の保有する国債の額だけ、当たり前な話だけど、政府の債務は見かけ上は減少しますよ、それは間違いなく。バランスシートってそうなっていますから。  しかし、これは当然のこととして、日本銀行券とか、それから当座預金とか、そういった日銀のいわゆる持っている、日銀にとっては現金は負債ですから、そういった意味ではバランスシートの統合というのは合わせてこれは負債に計上されることになりますから、そうするとトータルとしてネットの負債超過の状況ってなるんじゃないのかなと、今お話を伺って、そういうような、余り状況は変化しないんじゃないのという感じがするんです。したがって、今、財政健全化にウルトラCはないって、全くそのとおりだと私もそう思います。  したがって、政府としては、これは経済再生なくしていわゆる財政健全化というのはありませんよということを申し上げて、したがって、経済成長をするためには未来への投資というものをちゃんとやっていかないかぬということを目指していろいろやらせていただいているんですが、いずれにしても、経済成長のみで全て解決できるわけではありませんので、歳出とか歳入とかいろんなものを合わせてやっていかないかぬところがいっぱいありますので、今、改革工程表というのに基づいていろいろやらせていただいておりますけれども、いずれにしても、社会保障の改革を含めまして、これは支出の重点化とか徹底的ないわゆる効率化などいろいろの歳出改革も含めてこういうのをやっていきませんと、総合的なものでいかないと、これ一発すれば全て解決なんてことは、この財政バランスというか、このPBのバランスとかそういった話に関してはない。  ただ、極めて厳しい情勢ではありましたけれども、四年前、我々、半減目標ということを掲げたときに、あれで半減が達成できると思った新聞社はゼロですから、現実問題としては達成できましたから、そういった意味では、これは状況によって十分にでき得るというのはこの四年間で証明ができておりますので、更に一層の努力をしていかないかぬと思ってはおります。
  163. 平木大作

    ○平木大作君 是非よろしくお願いいたします。  ここからは少し各論に入っていきたいと思うんですが、先ほど徳茂委員質問されておりましたけれども、私も、先週発表されました今年度の金融行政方針に即して少し質問を幾つかさせていただきたいと思います。  これ、大臣所信の中でも、今日も午前中の議論でも何度も何度も出てきたわけですが、金融処分庁から金融育成庁へ転換していくんだということがうたわれておりまして、今、金融行政というのが大きな転換点に差しかかっているのは間違いのないことであるというふうに思っております。  私もこの方針自体はもう本当に全力で応援したいと思っておるわけでありますが、しかし、本当にそうなるかどうかというのは、これは、これからの検査監督といったものが一体具体的にどう変わるのか、ここにやっぱり尽きるわけですね。そもそも、これまで処分に力点を置いてきた機関が、果たして本当に育成を促す機関に生まれ変わることができるのかどうか、これについてはやっぱり懐疑的な声もあるわけです。  かつて、私自身も、「新しい金融検査の影響と対策」という本が銀行マンのバイブルと言われた時代がありまして、私もそれを一生懸命読み込んで仕事していたときがあるんですけれども、そのときに、金融検査ってどういうものなのか、実際に処分されてしまうとどんなことになるのかということも身をもって経験をいたしました。その経験を受けると、なかなかこれは、金融機関自身がビジネスモデルを転換させること以上に、実は金融庁が変わることの方が私は難しいんじゃないかなというふうに正直思っております。ある意味、野球の審判、アンパイアの方が、自分が選手になるというわけではないんだけれども、チームの監督になってバットの振り方から教えるんだということを言っているように私にはどうしても聞こえてしまう。  ですから、この金融庁の組織改革にどう取り組むのかということについて少し詳しく御答弁いただきたいと思います。
  164. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これはなかなか簡単な話じゃありませんよ。金融庁というのは、これは御存じのように、いわゆる九七年の騒ぎ、今、アジア通貨危機と言うんですかね、あのときのことを。正確にはアジア通貨危機と今呼んでいるのが多いんだと思いますが、金融危機、その前の住専の話、金融国会、いろいろありましたけれども、ああいうのを経て、最終的にできたのは平成十年なんです、あれは、できたのが。そのときには、たしか金融監督庁と言ったと思うんだな、僕の記憶では。  そういう時代を経てスタートしているんですが、創設以来、これはもう個別の貸出し等々がとにかく、おかしいのがいっぱいありましたから、不良資産やら何やら、バブルに乗っかって、土地の神話がありましたので、土地さえ貸しておきさえすれば、その土地の担保がありさえすれば、いずれ土地の値段が上がるからこれはちゃんと貸出金は取れるというような神話みたいなのがありましたので、そういったもので、検査監督というのはそれを中心に行ってきたんですが、結果として不良資産というものがやたらめたらということになったものですから、これは利用者の保護ということを考えると、これはとてもじゃないぞというので、最低基準を徹底しろとか一千万を限度額にしろとか、いろんなことをやった成果があったのでそれなりに良かったんだと思いますけれども。  しかし、その手法をそのまま機械的にずうっと延長して今の二〇一六年でそれができるのかねというと、今は全く状況が違って、金利は御存じのように〇・〇何%というような時代ですから、そういった時代においては、これは担保、保証とかいったものを必要以上に取るということは、結果としてはそれに伴う副作用、みんな萎縮する、副作用等々が起きるんじゃないのということを考えて。  おまけに、何というんですかね、国際的にも金利が下がってきたという面もありますし、日本の場合は人口減少、特に地域においては、地方の減少というのがいろいろありますので、これは地方の金融機関、よほど創意工夫をやらない限り地方の金融、なかんずく小さいのは倒産します。したがって、みんなそれを避けて、今、合併やら何やらいろいろ進められておられるんだと思いますけれども。  したがって、私どもとしては、これは当然のこととして、これはこのままいったらとてももちませんから、処分庁と、問題点を発掘するだけの処分庁と、隠しているところを探し出す、そういうものから、育成する、助ける、そういったものを考えないと、少なくとも地方銀行、なかんずく中小の信用金庫とか信用組合と言われるものは全部倒産しますよ、こんなことしたら。  ということで、少なくとも基本は担保、とにかく、若しくは何か上から言われたときに、いやいや、ちゃんとこれは担保を取ってあるんですという、その自分の身分保障ですよ。そういったようなものではなくて、もっと別のことを考えなきゃいかぬのじゃないか、もっとそういったものをうまくくっつけて、それを太らせてみせたら、偉いっていって、そっちの方が点数が上がる。いわゆるベンチマークというのはそれで考えたんですけれども、そういったことをやらせていただきたいと思って、今有識者会議をさせていただいて、いろいろやらせていただいているんですけれども。  少なくとも、今は、何ですかね、従来は全ての金融機関でいわゆる最低限満たすべき基準が守られているかというのだけをチェックすることが目的となりやすかったのが、従来の手法というようなところを見直さぬとどうにもなりませんから、個々の金融機関の状況とか環境の変化に応じたいわゆる監督、今、あなたの言葉を借りれば監督するとか、動いているかという、ちゃんと動的な監督をするか、又は金融機関の創意工夫というものを促す、そういった対話とか手法とかいうものを監督がプレーヤーに対して、おまえ、ちゃんとそういう動機付けをきちんとできるかどうかといった方向に大変換せないかぬというので、これは大分、上の方は少し変わってきているような感じが正直自分自身はしているんですけれども。  だけれども、現実問題として、若い人がそうかといえば、なかなかそうじゃないんじゃないかという感じがしないでもありませんけれども。ただ、先ほどどなたか御質問でしたけれども、若い人の方がむしろ新しい創意工夫の萌芽あるんじゃないかという御意見も御質問の中にあっていましたので、それは大いに期待するところなので。  これまでもいろいろな、スチュワードシップ・コードとかいろんなことをやりましたけれども、フィンテックとかいろんなものも出てきていますし、面白いものが、今いっぱい新しいものが出てきているのは御存じのとおりなので、こういったものの中で、研修とか人材育成とかいろんなことをやっていかないかぬことは確かですけれども、これは金融はもう間違いなく、今までと違って物すごく日本の金融力、国際金融の場における日本の地位というのはもう確実に今が一番高いと思いますけれども、そういった時代になってきているのに合わせて、日本の意識が、トップに立っている人たちの意識が、金融マンの人の意識が、またそれに伴うだけの、今の時代に付いていっているだけの技術が、金融技術ですよ、フィンテックと称する金融技術がそれにちゃんと付いていっているのかという反省は常に持っておかぬと、これでいずれ、今一番持っていることは確かですけれども、それがどんと下がるのは、もうかつてのアメリカを見るまでもなく、かつてのイギリスを見るまでもなく、かつてのオランダを見るまでもなく、あれだけ繁栄を極めたものが一瞬にして落ちていったという歴史がありますから、我々もそこのところは十分に注意して身を律していかねばいかぬところだと思っております。
  165. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁いただいたように、日本の金融機関のプレゼンス自体が今大きくなってきている。そして、ただ、大きくなって安泰であればいいんですけれども、変化自体も大変厳しくなってきている中において、これ金融庁の役割って本当にどんどん今大きくなってきていると思うわけですね。  今大臣から御答弁いただきましたけれども、例えば、じゃ、各金融機関に対してきちんと対話をしてコーチングをしてというような形に変えていくんだ、行動を変えていくんだということも決意を述べていただいたんですが、これからの金融庁というのは、向いている方が金融機関だけでは実はなくなるということが新方針の中でも書かれているわけであります。どう書いてあるかというと、十分な担保や保証、あるいは高い信用力のない企業に対して金融機関が期待された役割を果たしていないとするこの日本型金融排除、この実態を実際に把握に乗り出すんだということを書かれているわけですね。  これ、本当に実態つかもうとすると、金融機関に幾ら聞き取り調査に行っても全く実態見えてこないわけであります。これ、具体的にどのような例えば機関を使って、あるいはどのような方法でこの実態調査されるのか、教えていただきたいと思います。
  166. 遠藤俊英

    政府参考人遠藤俊英君) 委員御指摘の日本型金融排除の実態把握を行おうとしたことの背景は、これまでの金融庁のモニタリングにおきまして、金融機関側からは融資可能な貸出先が少なく厳しい金利競争を強いられているという主張がございました。他方、顧客企業からは金融機関は相変わらず担保、保証がないと貸してくれないといった認識が示されるなど、金融機関と顧客企業との認識に大きな隔たりが認められたことによります。  こうしたことから、本事務年度におきましては、我々、まず、金融機関が与信判断を行う際の審査基準でありますとか審査プロセスでありますとか、その際の担保、保証への依存の程度、それから、抜本的な事業再生を必要とする先に対してコンサルティングなどによってその顧客の価値向上に向けたどのような取組が行われているか、こういったことを、金融機関へのヒアリングや委員御指摘の企業へのアンケート調査、こういったことを行って実態を浮き彫りにしていきたいなというふうに思っております。  これによって、例えば、地域において事業年数が短く担保、保証も乏しいけれども事業に将来性があるような創業期の企業への融資がどのように行われているか、あるいは、現在業況不振に陥っている地域の中核的な企業などに対する経営改善支援を伴う融資、この可能性について実態把握をすることにしたいと考えております。
  167. 平木大作

    ○平木大作君 今おっしゃっていただいたように、もうこれからの金融庁というのは、金融機関の方を向いているだけじゃなくて、ある意味この貸出先である企業の方にもしっかり歩み寄っていって対話をして、そしてその実態をつかまなければ、なかなかその機能を果たすことができないというわけでありまして、大きな使命がある。  この中で、改めて思うんですけれども、金融機関も、いろいろな金融機関ありますけれども、やっぱり、信用力はないけれども将来性はある企業って、何となくイメージはできますけれども実際に見付けるのは本当に難しいと思うんですね。なぜなら、将来性はあるというのは、例えばベンチャーだとかいろいろあるわけですけれども、じゃ、そこにお金貸したら本当にちゃんと返ってくるか、そういう企業なのかというところまで加えて相手を見たときに、やっぱりこれなかなか自信が持てないわけでありまして、そこについてある意味実態が、将来性はあるなと、でも何で金融機関はこの企業の評価がうまくできないのかなというところも含めて金融庁にこれ考えていただかないと、なかなか実態ってあぶり出されないと思っています。  例えば、中小企業の経営者の方に資金需要ありますかと聞いたら、これ、あるとかないとか当然答えがくると思うんですけれども、将来なかなかビジネスが伸ばせると思っていないところにはやっぱりないですという答えが最初返ってきちゃうと思うんですね。でも、経営者自身がまだ気付いていなくても、あなたのところ、こんなにすごい技術持っていますよということも含めて示唆して見抜いてあげないと、やっぱりなかなか、これはその実態をあぶり出すということに私はならないと思っています。  その意味で、是非、これ一歩、企業のサイドにも、通り一遍のアンケートで終わらせるんではなくて、きちんとした対話、そしてその状況の把握、お願いしたいと思います。  ここに絡んで、今御答弁の中にも少しいただいたんですけれども、結局、金融機関も結構頑張っていまして、何とか貸したいなという思いは、私も様々意見交換させていただく中でお聞きするんですね。じゃ、何で最後の最後に、やっぱり、今信用力はないけれども、担保が出せるかというと出せないんだという会社に融資できないのかというと、もう最後の最後、私、このいわゆる与信のモデル、これがまだ実は古い時代のままになかなかなっていて変われないんじゃないかなというふうに思うわけです。  与信システムの中にぽんぽんぽんといろんな財務の数字とかを入れていくと、ここは貸せないなというところが出てきちゃう。でも、この経営者、将来性があるなというものを数字以上何か語れるもの、具体的に証拠として出せるものがないと、これは当然株主や預金者からお預かりしている大事な資金でありますから、安易に貸し出すことがやっぱりできない。  その意味で、私、この与信モデルですとか審査体制ですとか、こういうもの自体をやっぱり刷新していかないと、なかなかこれ金融機関のモデルを変えてくださいといっても変わるものじゃないなと思っているわけです。  金融庁として、こういういわゆる与信の在り方だとか審査の方法を含めて、転換、どう支援していくのか。もうちょっと言うと、既に実は取り組んでいるところも私あるんじゃないかと思っていまして、具体的な金融機関名は結構ですので、例えば与信の在り方だとか審査の在り方というものを変えたことで貸出しが伸びている、こんな金融機関もあったら是非具体例としてお示しいただきたいと思います。
  168. 遠藤俊英

    政府参考人遠藤俊英君) 委員御指摘のように、地域金融機関は、顧客企業を理解して、その顧客企業の生産力向上につながるような融資あるいは本業支援、こういうことに注力することによって、それが自分の方に返ってくる、顧客基盤であるとか収益を確保しているというような形で好循環を実現している金融機関がございます。  それはモニタリングによって幾つか確認されておりまして、幾つか例を申し上げますと、例えばこれは営業職員のやる気を、ノルマを課すんじゃなくてやる気を持たせるために、そういったそのノルマ、数値目標達成度ではなくて顧客企業との関わり方のプロセス、ここに主眼を置いて業績評価体系を変更し、結果として他のノルマが課されているような支店よりもずっとこの数値目標達成した、そういった銀行がございます。  あるいは、営業現場が自ら開発した評価ツールを用いて取引先の経営計画策定というものを具体的に行うと。非常に簡易なものを使う場合には約百項目の定性面に着目したヒアリングを行うわけでございますけれども、非常に詳細な経営計画、これを作る場合には千項目にわたる定性面に着目した専門的なクエスチョンを投げてヒアリングを実施すると。それにかてて加えて、地域の主力産業の裾野企業群の定性分析を行うということで、企業の今後の事業の方向性を検討する目利き力を向上させている、そういった銀行。  あるいは、一定額以上の与信先、この銀行の場合は約一万二千社でございますけれども、こういった一万二千社を分析して、経営者と経営課題を共有して経営改善支援に効果を上げている銀行等々の事例を確認しております。  金融庁といたしましては、金融機関におけるこうした取組を後押しするために、担保、保証が提供できない先などに対する金融機関の取組の実態把握を更に進めることに加えて、金融仲介機能のベンチマークを活用して金融仲介の質の向上に向けて経営陣と深度ある対話を行う。あるいは、金融機関に対して、自分の銀行の取組を顧客に積極的に開示するよう促し、優れた取組を当局が公表、表彰するといった施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  169. 平木大作

    ○平木大作君 今御答弁の中に次の問いのヒントも少しいただいたかなと思うので、そのまま進みたいと思うんですけれども、今回の方針の中で顧客本位の業務運営という、まあ言葉にするとそのまま当たり前じゃないかという話なんですけれども、これが改めてこの原則として打ち出されたわけです。  ここで何が課題として指摘をされているかというと、例えば手数料稼ぎを目的とした顧客不在の金融商品販売の実態、こういったものが課題としてこれ指摘をされておりました。これまでも例えば回転売買の禁止ですとか、不透明な手数料体系の是正とか、こういったことって業界全般としてあるいは個々の企業としてこれまでも是正に取り組んできたはずなんですね。ところが、なかなか、今回も指摘をされてしまっているという実態があるわけであります。  今回のこの指摘というのは、いわゆるこれまでのある意味取組を更に超えた次のステップというか、更に踏み込んだ措置が必要ということなのか。今御答弁の中にも、営業ノルマを課すみたいなところに余り行っちゃわないようにという話がありまして、最近、アメリカの銀行ウェルズ・ファーゴの問題がありました。余りにも過大な営業ノルマがあって不正に走ってしまったという事例でありますけれども、金融庁としてもこの営業ノルマをどう考えているのか。  ノルマって難しいんですね。現場の営業マンにとっては、これは本当に負担として当然捉えるところでありますけれども、一方で、営業の例えばバジェット、数字みたいなものをやらないで本当に営業マンとして会社の収益支えていけるのかという問題も当然抱えているわけでありまして、営業ノルマに問題ありというところまでは簡単なんですけれども、じゃ、金融庁としてこのノルマの問題どう向き合っていくのかということ、つまり、ノルマをいじるということは、そもそも経営の管理システムそのもの、あるいは人事評価のシステムそのものも変えていきましょうという話になりますので、ここについて具体的にどう取り組まれるのか、御答弁いただきたいと思います。
  170. 武村展英

    大臣政務官(武村展英君) お答えいたします。  御指摘のように、銀行におきまして、投資信託の販売額が増加してきた一方で、残高や保有顧客数が伸びていない状況に見られますように、依然として回転売買が相当程度行われていることが推測されます。また、販売手数料が不透明な金融商品の取扱いが一部に見られるところでもございます。  このため、金融庁といたしましては、金融機関等が真に顧客のために行動しているかを引き続き検証するとともに、金融機関等の自主的な取組を支援してまいる所存でございます。例えば、委員が御指摘をされています顧客本位の経営姿勢と整合的な業績評価、それからまた、顧客が直接、間接に支払う手数料率と、それがいかなるサービスの対価なのかといったことを明確化していく、こうした取組につきまして金融機関と対話を進めてまいります。  また、全ての金融機関等におきまして顧客本位の業務運営を行うべきとのプリンシプルが共有され、実行される必要があるというふうに考えております。
  171. 平木大作

    ○平木大作君 時間がなくなってまいりましたので、一問飛ばして八問目にちょっと移らせていただきたいと思います。  これ、先ほども少し議論の中に出てきましたけれども、各金融機関で取り組んでいる改革と併せて、今やはり地域の金融機関のいわゆる再編統合というものが大分進んでまいりました。以前、これはほかの委員会麻生大臣とも議論させていただいたことがあります。  これについてちょっと最近の動きを見ていると、こことここがくっつくのかなと、これでどういう価値が出るのかなみたいな、ちょっと首をひねりたくなるようなものも含めて少しあるわけでありまして、この状況を見たときに私一つ思い起こすのは、九〇年代の終わりから二〇〇〇年代の初めにかけてアメリカで同様の動きって結構あったんですね。アメリカの元々銀行システムというのは、州際法、基本的には州の中で金融機関が動くというところからスタートしまして、だんだんその州際法の壁が下りていって、州をまたいで活動する銀行が出てきてという歴史が長くあったわけでありますが、この九〇年代の終わりというのは、もういよいよ金融がグローバルになってきて、地域の金融機関のこれからの生き残りって何なんだということで、結局合併、再編が相次いだ。  当時は、ネーションズという銀行がいわゆるスーパーリージョナルバンクというふうに言われまして、だんだん地域の金融機関から州を越えてどんどんどんどんアメーバのように合併、再編を繰り返して大きくなっていくという動きが注目をされて、最後の最後どうなったかというと、このネーションズはいわゆる今のバンク・オブ・アメリカを買収して、買ってしまって、最後はもうリージョナルじゃなくなっちゃったんですね。いつの間にかグローバルバンクになっちゃっていたということで、私の率直な感想では、アメリカの銀行業界って、あれ以降、なかなか地域の金融機関の存在感自体がやっぱりぐっと大きく低下をしてしまったなと。単純な合併、再編というのはなかなか、ある意味、地域の金融機関としての使命って本当に果たせるのかなという疑問を私持っているわけです。  そこでお伺いしたいんですが、先日、十月十二日の講演の中で森長官から、特徴があれば規模が小さくても存続できる、こういう発言が実際にあったんですが、これ具体的に、昨今のこういった動きをどう捉えて、どういう趣旨で発言なされたのか、最後にお伺いしたいと思います。
  172. 遠藤俊英

    政府参考人遠藤俊英君) 金融庁が金融機関といろいろ議論しておりますのは、是非、今の現下の世界的な情勢、あるいは地域経済現状の下で、持続可能なビジネスモデルというものを創意工夫でもってつくっていただきたいということを言っております。決して再編統合先にありきということは、議論は全くしておりません。  金融庁の分析では、貸出規模と経費には強い相関関係があると。規模の利益が働いております。他方、貸出収益率に着目しますと、これは金融機関が大きいから貸出収益率が高いということではありませんで、小さいところも貸出収益率高いところもあれば低いところもあるということで、ばらつきがございます。そういったことを見ますと、そういった特に収益率が高い銀行はどういったビジネスをやっているのかということを詳しくいろいろ議論してみますと、例えばニッチなマーケットを見出して相応の金利水準で融資を実行している銀行でありますとか、長期的な取引関係の追求、あるいは営業支援などのサービスを付加することによって金利競争に陥らない営業を可能にしているような銀行が見出されるところでございます。  こうしたことを踏まえますと、持続可能なビジネスモデルの検討に当たりましては、規模の利益を働かせて効率化のメリットを志向する経営戦略、これは経営統合ということにつながると思いますけれども、そういった経営戦略もあれば、規模の利益の働かない小規模行も含めて、規模の拡大にこだわらずにビジネスモデルの違いによって他行との差別化を図る経営戦略もあるというふうに考えております。
  173. 平木大作

    ○平木大作君 これからも地域の金融機関、本当に大事な使命、今担っていると思います。その意味で、個々それぞれ、また地域の特性に応じた形で経営発展できるよう御支援をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  174. 中山恭子

    ○中山恭子君 日本のこころ、中山恭子でございます。  今回、百九十二国会の安倍総理の所信表明演説を伺って、これまでと少しニュアンスが違っているように感じました。総理は所信表明演説で、「有効求人倍率は、四十七全ての都道府県で一倍を超えています。史上初めてのことです。実質賃金もプラスに転じ、六か月連続でアップ、雇用の拡大、賃金の上昇による経済の好循環が生まれています。」と、自画自賛とも言えそうな御発言をなさっています。  しかしながら、日本経済は、最悪の状況を脱したとはいえ、まだまだ力強さが不足していますし、その中で新自由主義的な考え方が現在も力を持っているように見受けられます。この考え方を推し進めますと、申し上げるまでもないことですが、弱肉強食、強い者だけがますます強くなることは明らかでございます。  自由ということは非常に大事な概念ですが、それほどに恐ろしい内面を持っていること、これを常に強く認識して政策を立てていかなければならないと考えています。特に、今最も注意を払わなければならないことは、日本の中で中流と言われていた階層が崩れ去り、中流意識も消えてしまいました。ワーキングプア、子供の貧困、地方経済の疲弊等、影の部分が大きくなっていることであると考えています。このような状況が広がっていることに、もっともっと謙虚に目を向けるべきであると考えています。  子供の貧困、ワーキングプア、地方の疲弊等に真摯に目を向けて対策を講じるべきではないでしょうか。権利ばかりを主張する大きな声を出す集団に対してではなく、本当に困っている人々、弱過ぎて声すら出せない人々に温かい手を差し伸べるべきと考えますが、麻生大臣の御見解をお伺いいたします。
  175. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 私から御答弁を申し上げたいと存じます。  非常に今、財政状況あるいは人口減少といったトレンドを考えましても、非常に歳出改革の取組というのを強化することはこれは紛れもなく重要でございまして、予算の中身を重点化していくということで、経済再生と財政健全化を両立していくということは安倍内閣方針でやっているところでございます。  特に、二〇二五年、団塊の世代が全て七十五歳以上となる超高齢化社会を迎える中で、この社会保障関係費も非常に伸びが見込まれるわけでございまして、いわゆる改革工程表というものに従って、負担の公平性の確保、給付の適正化といった社会保障の効率化や制度改革に取り組んでいくこととしているところでございます。  一方で、やはり先生御指摘のように、真に困っている方々ということに目を向けることもこれは極めて重要だということも、これも安倍内閣としても方針としては思っていることでございまして、具体的には、平成二十八年度の予算におきましても、一人親世帯などを支援する児童扶養手当の第二子以降への加算額を倍増いたしましたり、あるいは非正規雇用労働者の正社員への転換、待遇改善のための支援を、これは大きく強化をいたしたり、あるいは最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援を拡充するなど、真に困っていらっしゃる方々、子供の貧困問題やワーキングプア、こういったことの対策にも力を入れて取り組んでいるところでございます。  経済再生と財政健全化を両立をしていくという目的の中でも、やっぱり真に必要なニーズというものには応えていくということでやってまいる方針でございます。
  176. 中山恭子

    ○中山恭子君 いろいろ努力していただいているとは思いますけれども、経済格差が広がるということは絶対あってはならないことだと考えておりまして、その点についてより力を入れた政策を立てていただきたいと考えております。  また、以前にもお示ししました、また今日グラフを配付しておりますが、一人当たり名目GDPについてでございますが、三枚目のグラフを見ていただけると一番分かりやすいかと思います。一九九五年、このときがピークでございまして、日本の名目GDPが、その後上下しながら、現在は先進七か国の中で六番目、七番目がイタリアでございます。日本の経済力を考えますときに、私はまだまだ伸び代があると考えておりますが、この一人当たり名目GDPが停滞していること、四枚目の紙を見ていただければと思いますけれども、指数で見ますと日本は九五年からずっと下がってきてしまっています。指数で見ますとそのときの七六・四しかない。ほかの六か国は全て上昇しています。九五年に比べて一番伸び率の低いドイツ、指数の上がり方の低いドイツが一三〇・一、カナダなどはもう二倍を超えて二一三・六になっております。  日本がなぜ、一人当たり名目GDP、日本だけが落ちているのか、このことについてもっともっと真剣に考え、受け止めて、原因をしっかりと分析して対策を考えるべきではないでしょうか。そのことについてどのようにお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
  177. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、先生、まさにこれこそいわゆる資産のデフレーションに伴う不況。多分、一九四五年以来七十一年間で、世界百九十三か国で初めて起きたいわゆるデフレーション、正確には資産のデフレ。例えば、株が三万八千九百円が御存じのように七千円台まで落ち、六大市街化地域の土地が約一五%ぐらいまで落ちておりますから、そういった意味では間違いなく資産、動産、不動産を含めて資産のデフレーションによる不況というのがやっぱり、いつですかね、八九年は株の最後ですから、土地の値段が、最高のピークは九二年ぐらいでしょうか、したがって九三、四年からどっと下がり始めて、一番底になって、銀行の倒産が九六、七年、あの辺くらいから始まっていますので、あの頃やっぱり一番落ちていったんだと思いますので、やっぱりこの間いろいろな対策をやってきたのは、いずれもこれインフレ時の不況対策であったけど、デフレの不況対策ではなかったというのが我々の反省すべきところだと思っております。  これまでと全然違う政策パッケージをやらないかぬということでこの四年間やらせていただいた結果、少なくとも名目GDPは約三十兆、三十二、三兆増えてきておりますし、また、企業収益も過去最高を記録しておりますし、賃金上昇率も最高かな、三年連続でいずれも上がっておりますので、そういった意味では、これから民需主導の経済循環というものをやっていかないかぬところだと思っておりますので、いずれにしても、今後、格差の話も出ましたし、この間やっぱりいろんな意味で人口構成も変わったし、いろんな意味で多くの変化が日本中で起きてきておりますので、そういったものに対応するに当たっては、緊縮財政でやっていくのはできなかった、失敗したと、金融金融引締めだけではできなかったと、もうこれ、日銀財務省も両方ともこれは認めないかぬところが四年前の私の最初の仕事だったんだと記憶しますけれども、その辺からやっぱり始めて今日までやらせていただいてきておりますので、今後ともそういった反省の上に立って予算編成をやっていかないかぬのだと思っておりますので、きちんとした財政出動とか機能的な財政運営とかいろんな表現ありますけれども、いずれにしてもこういったものをやりつつ、かつ、マーケットなり世界から見てれば、じゃ、財政再建放棄かということになると話がまた別の方向に行きかねませんので、そういったものをきちんと対応しながらやっていくという意味のところがこれからの運営の一番大事なところかと思っております。
  178. 中山恭子

    ○中山恭子君 おっしゃるとおり、日本であればこそ何とかこの長いデフレを耐えられたんだろうというように考えておりますし、今やっとデフレの暗い雰囲気から抜け出せそうな段階に来ていると思いますので、是非これからもデフレ脱却が確定するような政策を取って進めていただきたいと考えております。  もう一点は、潜在成長率、これも極端に低下しています。潜在成長率を高めるためにどのような政策が必要なのか、この問題についてもより真剣に議論して、その中身を見極めて、その対策を予算に盛り込んでいくことが肝要であると考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  179. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、この資料の中で公共事業関係費の推移という紙がここに出ておりますけれども、これ見ますと、青で前年度比が増えておりますのは、これは小渕内閣以来麻生内閣のとき一回しか増えておらぬというのは、この数字上ではそういうことに、平成二十一年というのはそういう数字になるんですけれども、事実だと思っておりますが、いずれにしても我々としては、長い間公共事業は悪というようなイメージもありましたし、コンクリートから人へとかふざけたことを言っていた人もいましたから、そういった時代の辺りに、結果として都市高速等々含めて五十年前のオリンピックで造ったときのインフラというものはほぼ耐久年数が来たりしておりまして、ほたっておけば、中央高速道の天井の崩落とかいうのは、トンネルの崩落事故なんかは最たる例ですけれども、そういったメンテナンス含めてきっちりやっていかないといかぬ。  また、これまで、先ほどでいえば、日本で一時期駄目だった造船業界、韓国に完全に置いていかれた造船業界が、今、日本の造船業界は完全に復活してきております。先ほどの小さな中小企業に金を貸し続けたある銀行があるんですけれども、そこのおかげだと思いますけれども、きちんと成功した例の一つだと思いますが、少なくとも今、水深十八メーター、幅五十九メーター、長さ四百メーター、戦艦大和が二百六十メーターですから、それに比べればはるかにでかい、巨大な、二万個積める、コンテナが積めるものができてきておりますが、どこに停泊するんです、日本に停泊できる港はありません、それが実態ですから。だから、それだけ遅れちゃったんです。  だから、したがって、そういったものに対応するためにきちんとしたものをやっていかないと、もうこの船は既に十一杯発注されていて世界中に出ていくんですけれども、日本に止めるところがありませんから多分仁川とか今度できますベトナムのカムラン湾とかシンガポールとかそういうところで荷物を降ろして、そこで横積みして、横積みというのは区分けをして、区分けをして日本に送ってくる、その分だけコストが高くなるというようなものぐらいインフラは遅れてきておりますので、そういったものをきちんとやっていくというのがやっぱり潜在成長力を高めていく上にとっては非常に大きなものであって、政府としてそういったようなものに対する支援というものをきちんとしていかないかぬだろうなと思っております。
  180. 中山恭子

    ○中山恭子君 公共事業について明快なお話を伺えて、大変今回有り難いと思っております。  公共事業は悪であるという、そういった、プロパガンダと言っていいんでしょうか、全国にそういった考えが広がってしまいました。公共事業は決して悪ではないということを政府としてももっともっと説明をしていく必要があろうかと思っております。  さらに、建設国債を使って公共事業をやっていく場合、次世代に負担を残すから駄目だというような意見も聞かれますけれども、建設国債というのは次世代に負担を回すことでは決してなくて、資産をそれでつくって、道路であれば次世代の人たちも道路を使う、みんなで使うものを資産としてつくり上げていくことですから、必要な公共事業は悪ではありませんし、建設国債は子孫に負担を負わせるものではないということをしっかりと説明する必要があろうかと考えております。社会資本整備のための建設国債が、それこそが世代間の負担の公平を図るものだということを皆様、多くの方々に知っておいていただきたいと思っております。  今回の補正予算では、二十一世紀型のインフラ整備として一・四兆円、それから復興、安全・安心、防災対応の強化として一・九兆円が補正予算として計上されております。このことについては私どもの主張に近いといいましょうか、そういった政策を打ち出していただけたかと思って評価しております。  この際、インフラの老朽化というのが異常な速さで進んでおります。こういった復興を図るときに、更新、復元だけではなく最先端技術を取り込んだ高度化を図るということが、今大臣おっしゃられましたように、港も非常に貧弱なものになっております。特に、今大臣おっしゃられたように、ハブとして使える港がないということは今後の経済にとって非常に大きなマイナスになると考えておりますので、大きな船が、貨物もそうですし旅客も含めて大きな船が入る港というのを全国の中で幾つか造っておく必要があろうかと思っております。  空港についても同じでございまして、空港で人の乗り降りだけではなくて、空港そのものがハブ空港になるということが大きな経済、大きな効果をもたらしますけれども、これについても残念ながら日本は成田の話もあって失敗してしまっております。  こういった意味で遅れている部分がたくさんございますので、是非進めていってほしいと思っております。  さらに、この公共事業、老朽化対策を行う場合にも、全国の地方の中小企業、地域の企業が参加できるような形の公共事業の在り方を工夫していただきたいと思っております。全国規模で、長期で全国にどういった公共事業をやっていくのかということを、国交省に任せるだけではなくて、財務省の中でも議論をした上で、規模と長期の公共事業計画というものを打ち出していただけたら有り難いと考えております。  民間企業にとっても、そういった計画が見えていれば、安心して人材確保ですとか設備投資が大きく膨らんでくるはずでございまして、先ほども話に出てきております内部留保もどんどん使っていこうという、そういった方向へ持っていけるはずだと考えておりますので、公共事業の在り方についてもう一工夫又は全国規模、長期の計画を立てていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  181. 大塚拓

    ○副大臣大塚拓君) 御指摘のように、建設業者にとっても将来の予見性というのは非常に重要なことでございまして、今、社会資本整備は、特にその効果も長期にわたると、維持管理も長期にわたるということになりますので、中長期的観点を踏まえた計画というのは政府としても大事だろうということでございまして、今おおむね五年ごとに社会資本整備重点計画というものを策定をして、計画的な社会資本整備を進めようというふうにしているところでございまして、委員の目から見て十分なものかどうか分かりませんけれども、方向性としてはそういうことで進めておりますということでございます。
  182. 中山恭子

    ○中山恭子君 もう一問できるでしょうか。
  183. 藤川政人

    委員長藤川政人君) いや、時間が参っておりますので。
  184. 中山恭子

    ○中山恭子君 そうですね、はい。  今やらなければならない政策財政政策というものがもう山ほどあると考えております。資金をどのように使っていくかについても工夫していただいて、さらには、社会保障制度の抜本的な改革というものがこれは避けて通れない話だと考えております。その骨太二〇一六……
  185. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 中山君、時間が参っております。まとめてください。
  186. 中山恭子

    ○中山恭子君 についても、もちろんもっともっと掘り下げたしっかりした計画を立てていただきたいと考えております。  ありがとうございました。
  187. 藤川政人

    委員長藤川政人君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二分散会