○倉林明子君 私は、
日本共産党を代表して、ただいま
議題となりました
法律案について
質問します。
質問に先立ち、
熊本、大分県を中心とした九州地方の地震で亡くなられた
皆様と御遺族に対し、哀悼の意を表明するとともに、被害に遭われた全ての
皆様に心からお
見舞いを申し上げます。
被害の全容把握はこれからであり、避難所や屋外、車中泊、やむを得ず自宅に戻る被災者の生活改善は急務となっています。
政府として、二次災害や被害の
拡大防止に全力を集中すること、被災者の実態に応じた支援を求めるとともに、
日本共産党も被災者支援に全力を尽くす決意を表明するものです。
今回の地震は、マグニチュード六・五規模の前震の後、それを上回るマグニチュード七・三の本震が発生したもので、気象庁は、過去にこうした例はなく、今までの経験則から外れているとの
見解を示して、地震活動が今後どのようになっていくかは分からないとしています。震源域は九州を横断して
拡大し、識者からは南西側の警戒も必要だと指摘されていますが、
政府はどう認識していますか。
川内
原発が
稼働し続けていることに多くの不安の声が寄せられています。不測の
事態に備えて、川内
原発は直ちに停止すべきです。
規制委員会は今のところ問題はないとしていますが、過酷
事故の発生を想定外として
対策を取らずに引き起こしたのが福島第一
原発事故でした。余震で夜も眠れず苦しむ住民、
国民の不安に応えるために、少なくとも、
稼働継続ありきではなく、
稼働継続の是非について
政府として英知を結集して真剣な検討を行うべきです。
官房長官の答弁を求めます。
本
法案は、
電力自由化の下でも
使用済燃料の再
処理を着実に
実施するために、
原子力事業者に
原発の
稼働実績に応じて再
処理事業費の拠出を義務付けるものとなっています。膨大な再
処理費用を将来にわたり安定的に確保するためには、相当数の
原発の再
稼働が
前提となります。どれだけの
原発の
稼働を
前提にしているのか、経産
大臣、お答えください。
さらに、この
拠出金総額も示されておりません。
現行法制定当時の二〇〇四年に示された試算では十二・六兆円、今回新たに拠出を求める
MOX燃料加工工場に係る
費用は当時でも一・二兆円が見込まれておりました。合計十三・八兆円に上りますが、その後、
原発事故を受けて作成された新
規制基準に伴う新たな
安全対策費は反映されていません。加えて、これまで
積立金の
対象外としていた
使用済燃料の再
処理に係る
費用と合わせると、
原発事業者に義務付けられる
拠出金総額の
見込みは一体幾らになるのか。
経産
大臣は
政府として試算を行っていないと答弁していますが、事実なら極めて無
責任です。また、当時と大差がないとも答弁していますが、具体的な根拠を示すべきです。
しかも、誰がこの
費用を
負担するのかもはっきりしていません。経産
大臣は、衆議院の質疑で、
発電に関わる
費用は電気の利用者から料金の形で回収することが一般的だと答弁し、さらに、再
処理等の
費用を託送料金に乗せることはないのかと問われて、明確に否定しませんでした。
再
処理費用は
原発固有の
コストです。
電力自由化の下で、
原発ではなく再生可能
エネルギーを使いたいという
消費者の選択に応えるためには、全ての利用者に広く
負担させる託送料金に上乗せすべきではありません。一体その
総額が幾らになるのか、今後どれだけ増えていくのかも示さず、巨額の
費用負担を
国民に電気料金という形で転嫁するなど、到底容認できません。
そもそも、本
法案の大
前提となっている
核燃料サイクルは、どこからどう見ても行き詰まっています。
核燃料サイクルは
原子力政策の根幹に位置付けられ、その中核となるはずの高速増殖炉「
もんじゅ」は、これまでに一兆円以上を投じ、年間二百億円の維持費を掛けながらトラブルを繰り返し、ほとんど
稼働せず二十年経過しました。昨年十一月、
日本原子力研究開発機構は、規制委員会から、適格性に重大な
懸念があるとして、新たな
実施主体を示すよう最後通牒を突き付けられました。
一九九五年のナトリウム漏れ
事故以来、
使用済燃料を再
処理、加工した
MOX燃料を通常の
原発で使うプルサーマル
発電で
プルトニウムを利用するとしてきました。しかし、
青森県
六ケ所村の再
処理工場は、
竣工予定を二十三回も延期してなお
完成していません。
MOX燃料加工工場も
完成時期は延期され、経費は膨らむばかりで、国産の
MOX燃料は一度も生産されていないのです。既に
サイクルは破綻していることを認めるべきではありませんか。
それでもなお、経産
大臣は、
核燃料サイクルを推進する意義を廃棄物の
減容化、放射能レベルの
低減及び資源の
有効利用としています。衆議院の質疑を通じて、再
処理をすることで廃棄物量は減るどころか、
日本原燃の見立てでも一年で五・三倍に増えることが明らかになりました。
さらに、通常の
原発では排出しない毒性の高いクリプトン85や
プルトニウムを気体、液体として放出します。また、再
処理で生じるウランは全体の九四%を占め、既に七千トンに上るものの、その使い道は全く示されていません。これでも
核燃料サイクルの意義があると言えるのか、明確な答弁を求めます。
政府は、
プルトニウムの利用について、
計画遂行に必要な量以上の
プルトニウム、すなわち余剰
プルトニウムを持たないとの
原則を堅持し、
プルトニウム利用
計画の透明性の確保に努めるとしています。二〇一五年度までに十六から十八基の
原発で
プルトニウムを利用するという
計画は
実施されないまま、今年三月、電事連は今後の
プルトニウムの利用
計画を出すことができませんでした。
利用するとしていた
プルトニウムが実際は利用されず、使うめども立っていません。利用
計画もない
現状で保有している
プルトニウムは、客観的に見れば余剰としか言いようがありません。
日本は現在、余剰
プルトニウムを保有しているという認識を持つべきです。
以上、経産
大臣の答弁を求めます。
日本が保有する
プルトニウムは
国内外合わせて四十七・八トン、核兵器に換算すれば数千発分にも上ります。二〇一八年七月に満期となる
日米原子力協定は、
日本が再
処理を進める土台となるものです。日米いずれかが六か月前に通告すれば破棄されることとなっていますが、
日米原子力協定の延長にはアメリカ議会の承認が必要となります。
日本が
プルトニウムを減らす具体策を示せない下で、米側からは、再
処理事業の停止や期限を示すべきだとの声が伝わっています。
現状のまま再
処理を進めるなら、
プルトニウムが増えることは明らかです。これで協定の延長ができるとお考えか、
外務大臣の
見解を求めます。
本
法案は、
原発の再
稼働を大
前提に、破綻した
核燃料サイクルにしがみつくものにほかなりません。東京
電力福島第一
原発事故から五年、再
稼働反対、
原発のない
日本を
国民の多くが望んでいます。この声に真摯に向き合い、
核燃料サイクルから撤退し、再エネ最優先の
エネルギー政策へ抜本的に転換することを求めて、
質問といたします。(
拍手)
〔
国務大臣林幹雄君
登壇、
拍手〕