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2016-03-23 第190回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年三月二十三日(水曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────    委員の異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      田村 智子君     山下 芳生君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 浩郎君     理 事                 赤池 誠章君                 上野 通子君                 大島九州男君                 那谷屋正義君     委 員                 衛藤 晟一君                 堂故  茂君                 野上浩太郎君                 橋本 聖子君                 堀内 恒夫君                 水落 敏栄君                 吉田 博美君                 斎藤 嘉隆君                 水岡 俊一君                 蓮   舫君                 新妻 秀規君                 若松 謙維君                 田村 智子君                 柴田  巧君                 松沢 成文君    国務大臣        文部科学大臣   馳   浩君    大臣政務官        財務大臣政務官  中西 祐介君    事務局側        常任委員会専門        員        戸田 浩史君    政府参考人        内閣官房東京オ        リンピック競技        大会東京パラ        リンピック競技        大会推進本部事        務局総括調整統        括官       芦立  訓君        内閣官房東京オ        リンピック競技        大会東京パラ        リンピック競技        大会推進本部事        務局企画推進        統括官      岡西 康博君        文部科学省生涯        学習政策局長   有松 育子君        文部科学省初等        中等教育局長   小松親次郎君        文部科学省高等        教育局長     常盤  豊君        文部科学省高等        教育局私学部長  杉野  剛君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       伊藤 洋一君        文部科学省研究        振興局長     小松 弥生君        スポーツ庁次長  高橋 道和君        文化庁次長    中岡  司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十八年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十八年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (文部科学省所管)     ─────────────
  2. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房東京オリンピック競技大会東京パラリンピック競技大会推進本部事務局総括調整統括官芦立訓君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 去る十六日、予算委員会から、本日一日間、平成二十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 赤池誠章

    赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  来年度の文部科学省所管政策予算について御質問をさせていただきたいと思います。  昨日、三月二十二日に、欧州、EU本部が置かれておりますベルギーのブリュッセルにおきまして、空港、地下鉄において相次いで連続テロ事件が発生しました。多数の死傷者が出ており、邦人も一人重症、一人軽症ということで、本朝、岸田外務大臣が明らかにしているところでございます。  昨年のパリの同時多発テロ事件もありまして、欧米各国では国際テロへの警戒レベルを上げております。国際テロが横行して、内戦で混乱する国々からEUへ難民が押し寄せており、国際社会全体の安全保障環境が大きく変化をしているところでございます。  我が国においても、テロへの脅威が高まるとともに、安全保障環境は厳しさを増しております。御承知のとおり、北朝鮮は、国連の安保理決議に違反をして今年一月に四度目の核実験を行いました。各種ミサイルの発射を現在も繰り返しているという状況でございます。拉致問題もある中で、サイバー攻撃も繰り返していると言われております。さらに、経済大国となったチャイナ、中共は、発展する経済力を原資に軍事力を広範かつ急速に強化をしているところでもございます。また、ロシアは、ウクライナにおける力を背景とした現状変更を行い、極東においても軍の活動を活発化をさせているところでございます。  今、世界は、技術革新背景に人、物、金、情報が国境を越えて急速に移動、交流するいわゆるグローバル化の中で、安全保障上の脅威となる事案世界中のどの国、地域、領域で発生しても我が国の平和と安全に影響を及ぼすようになっております。また、海外で活躍し、渡航する日本人が増える一方で、世界テロ発生件数は急増しており、今回の事案のように、残念ながら邦人が被害を受けるテロも発生しているところでございます。  我が国を取り巻く厳しい国際環境変化にどう対応していくのか。一国のみで平和と安全を保持することが難しい時代だからこそ、安倍政権におきましては、積極的平和主義を掲げて、地球儀を俯瞰する外交を展開をしております。そして、一昨年、集団的自衛権限定行使へと憲法解釈を変え、昨年、平和安全法制を、与党の自公のみならず野党の御賛同もいただきまして、五党において制定をさせていただきました。  いよいよ来週、三月二十九日には平和安全法制が施行されることになります。そういう面では、世界各国我が国の一連の取組について積極的に評価をしていただいて、既に五十九か国から支持を得ており、今後も輪が広がっていくこととなります。また、国内においても国民理解が広がっております。三月十九日、二十日、直近の産経とFNNの世論調査におきましては、集団的自衛権行使を限定的に認める平和安全法制について、必要と考える人が五七%と過半数となり、また、必要ないと考える人の三五%を大きく上回る結果が出ております。昨年九月の同調査と比較すると、賛否の数字が完全に逆転をしてしまっているという状況でございます。二十九日の同法施行前に、国際情勢の激化含めて、国民理解が着実に深まっているのではないかと考えている次第でございます。  そのような我が国を取り巻く厳しい国際環境の中で、国家国民としてどうあるべきか。これは、政府与党、我々政治家に課せられた責務であると考える次第でございます。その中で、文部科学行政として、普遍的な理念を掲げて、教育文化科学技術スポーツに取り組むと同時に、このような激変する環境にどう対応していくかということも当然考えていかなければならないということでございます。  教育基本法では、教育目的を戦後一貫変えることなく、人格の完成を目指して、平和で民主的な国家及び社会形成者として国民育成するということを掲げております。しかし、残念ながら、個人の尊厳が利己主義や刹那主義に堕してしまう、ゆとり教育緩み教育となってしまったり、教育の荒廃が叫ばれるようになり、十年前に第一次安倍政権において教育基本法改正をさせていただきました。教育を改革するために、具体的な教育目標として、幅広い知識と教養、豊かな情操と道徳心を培い、公共の精神に基づき、主体的に社会形成に参画し、伝統文化を尊重し、そして我が国郷土を愛し、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与するということを明記をさせていただいたところでございます。  その理念をどう実現をしていくか、文部科学省としてどう取り組み、来年度予算にどう反映させていくのか、改めて見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  6. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、グローバル化する中で世界と向き合うことが求められております我が国におきましては、日本人としての美徳や良さを備えつつ、グローバルな視野で活躍するために必要な資質、能力の育成が求められているものと考えております。  このようなことから、平成十八年に改正をされました教育基本法、これを踏まえまして、平成二十年から二十一年に改正をいたしました学習指導要領では、各教科等の特質や発達の段階に応じて、伝統文化郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うということに関する教育充実を図ったところでございます。  具体的には、例えば国語科において古典の学習指導充実することや、あるいは社会科において、歴史教育、近現代史重視等、それから、文化遺産世界遺産国宝等に関する指導充実するといったようなこと、その他各教科において、そろばんや和楽器、唱歌、美術文化などの指導充実や武道の必修化といった形で行っているところでございます。  それから、昨年三月には、道徳教育の抜本的な改善充実を図るために、これまでの道徳の時間を特別の教科とすることなどに係る学習指導要領等の一部改正を行いまして、伝統文化の尊重、国や郷土を愛する態度国際理解国際親善などに関する内容の充実を図ったところでございます。  これら全体を踏まえながら、平成二十八年度政府予算案におきましては、道徳教育の抜本的な改善充実のための経費として約十五億円を計上しており、そのほか、我が国伝統文化に関する教育充実を図るための経費なども計上しているところでございます。  このような中、現在、中央教育審議会において、学習指導要領の改訂に向けた審議が行われているところでございますが、その諮問におきましても、伝統文化に立脚し、高い志や意欲を持つ自立した人間として、他者と協働しながら価値の創造に挑み、未来を切り開いていく力を付けることを重視して御検討いただくように文部科学大臣から述べているところでございます。  文部科学省といたしましては、これら御説明いたしましたような取組を通じまして、引き続き、児童生徒に、教育基本法に規定されております、伝統文化を尊重し、それらを育んできた我が国郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うための教育充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  7. 赤池誠章

    赤池誠章君 文部科学省の来年度当初予算というのは大体五兆円超ということであります。これ多い順に言うと、義務教育国庫負担金が約一・五兆円、国立大学運営費交付金が一兆円超、科学技術振興費が八千六百億円、それ以外にも、私学関係予算、高校生への修学助成金とか、文化庁関係一千億、スポーツ庁関係が三百二十四億。これ以外に、国立高専学校施設整備費奨学金教科書購入幼稚園就園奨励金など、これ毎年毎年ほとんど予算の使途が決まっているということで、なかなか時代に合わせた裁量的な、機動的な予算配分というのが余りできないのではないかということを言われる方もいるんですが、だからこそ、何もできないのではなくて、今こそ発想の転換が求められているのではないかなというふうに感じております。  ちょうど、文部科学省としても、教育方法ですね、今まで受け身ではなく、自らが調べ、考え、発表をし、討論をする、能動的、主体的な学習方法、いわゆるアクティブラーニングと称する、そういったものをどんどん取り入れていこうというふうに今後は取り組んでいるというふうに聞いておりますが、教育現場だけではなくて文部科学省自体行政手法予算措置発想もこれを機会に変えるべきではないかなということを感じております。つまり、積み上げ方はもちろん積み上げ方として大事なんですが、やはり今ある、目の前にある国家課題をどう解決していくか。予算の量が変わりなくても、目的意義付けを更に明確にして質を高めていくという発想の中であれば、結果的に成果、結果というのは大分違ったものになるのではないかなということも感じている次第でございます。  この後聞きたいと思うんですが、国民の稼ぐ力、経済活性化すれば税収が上がるわけでありますし、健康寿命を延伸すれば結果的に社会保障費を削減していくことにつながっていく、そういう面での課題解決型の行政というものに、今までもしていないわけではないとは思いますが、今までより以上に課題をどう解決するかということをそれぞれの部門が意識をして取り組んでいくというものに転換する必要があるのではないかと思っております。  その中で、課題解決型の第一として、やはり経済再生地方創生GDPを五百兆から六百兆へということを掲げているわけであります。経済活性化して税収が上がればこそ、教育予算に、また社会保障予算にもつながっていくということでありまして、改めて文部科学行政として、経済再生地方創生GDP五百兆から六百兆円に向けてどう取り組んで、来年度どこにどう予算を付けようとしているのか、まずは高等教育機関関係取組をお伺いをしたいと思います。
  8. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) グローバル化あるいは生産年齢人口の減少という変化の激しい時代を迎えている中で、高度人材育成という役割を担う高等教育、極めて重要であるというふうに考えております。  お尋ねの点に即してお答えを申し上げますと、まず第一に、経済再生という観点でございますけれども、昨年六月に日本再興戦略閣議決定をされております。その中で、日本産業再興プランということで、人材力強化ということに取り組みたいということで、学部から大学院を通じまして高等教育の各段階専門職業人養成強化ということが必要だと考えてございます。  具体的には、大学等でございますけれども、社会人企業等ニーズに応じた実践的、専門的なプログラム文部科学大臣が認定する制度職業実践力育成プログラムという制度を創設をしたということがございます。そして、大学院レベルでございますけれども、高度専門職業人養成という観点から、専門職大学院制度の検証と見直しということに取り組んでいるところでございます。また、制度改正という側面からは、実践的な職業教育を担う新たな高等教育機関制度化ということに向けた検討を進めているという状況でございます。  また、もう一点の地方創生という観点でございますが、地域で活躍する人材育成あるいは大学地域産業活性化等役割を果たしていくという観点がございます。こういう観点から、これ、政府全体といたしましても、まちひと・しごと創生総合戦略がございます。この中で、地方大学強化地元学生定着促進地域人材育成という三つの柱から成る取組推進ということが求められております。  具体的に申し上げますと、本年度からでございますが、複数の地方大学が自治体あるいは地域企業、民間団体とも協働いたしまして、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業COC+という事業を実施をしてございます。この事業によりまして、四十二拠点、二百五十六大学において、雇用創出あるいは学卒者地元定着率向上を図る取組をそれぞれの大学の強みを生かしながら進めていくということで取り組んでいるという状況でございます。
  9. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  アベノミクスの成果という形でデフレ不況からの脱却という道筋が付く中で、やはり地方課題というのは、実情として、いろんな声を聞く中でまだまだ課題があるというのはこれまた現実ではないかと思っておりまして、そういう面での大学COC+の取組というのは重要かなというふうに思っております。  まちひと・しごとのいろんな議論の中でも、地方大学期待をするという声は大変大きかったので、その事業を今回強化をして取り組むということで大変期待をしておりますが、ちょっと各大学計画書、いろいろ申請書を見てみると、やっぱり新規雇用数目標数値が低いんじゃないかという、ちょっと期待が大きい反面、現実的な数値とはいえ、各大学が数十人から百数十人レベルというのはもっと頑張ればできるんではないかという感じも持っておりますので、引き続き、これ今回大学COC+で数値目標、今回初めてだということだと思いますので、より、当然現実可能性の問題と同時に、これだけ地域に立地した高等教育機関への期待が大きいわけですから、その辺しっかり文科省としても指導していただきたいと思いますし、まだまだ、例えば大学の立地している地域経済に与える効果とか聞きましたら、している大学としていない大学があるということなんで、これを機会に、是非全ての大学でどれだけ地域経済に貢献しているかという、そういった全体の数値がなければこれまた評価のしようもないということになると思いますので、引き続き御指導をいただきたいと思います。  次に、経済再生に向けての科学技術分野での取組をお伺いをしたいと思います。
  10. 伊藤洋一

    政府参考人伊藤洋一君) 科学技術我が国の持続的な成長実現する大変重要な鍵でございまして、政府としてもその振興に努めてきているところでございます。これによりまして、これまで例えば青色発光ダイオードiPS細胞などの優れた研究成果を多数生み出すとともに、こうした成果事業化産業化、これを支援することによりまして、今後経済成長にも大きく寄与するものと期待されているところでございます。  一方、この十年間を見てみますと、政府研究開発投資横ばい傾向にあり、伸び悩んでいることでございますとか、人材、知、資金のこれらの好循環に向けた産学官連携促進、あるいは若手人材育成確保必要性指摘されているところでもございます。  このため、政府といたしましては、第五期の科学技術基本計画に基づきまして、安倍総理が掲げる世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けまして、政府研究開発投資を拡充するとともに、文部科学省におきましては、例えば人工知能ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティーなどの統合的な研究開発推進、また健康医療環境エネルギー、宇宙、海洋分野など、経済的、社会的課題に対応した研究開発推進、さらにはオープンイノベーション促進に向けた産学連携の拡大や、今委員からも御指摘もございましたような地域発イノベーション実現に向けました取組を進めているところでございます。さらに、こういったイノベーション創出の基盤となります人材育成、あるいは学術研究基礎研究なども積極的に推進することとしております。  こうした取組によりまして科学技術を基にした経済成長地方創生実現し、政権で掲げておりますGDP六百兆円、この達成に向けて努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  11. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  我が国は、御承知のとおり、ノーベル賞の受賞に見られますとおり、自然科学、また文学賞に代表される人文科学については、国際的な評価成果が出ているんではないかなというふうに言われております。その一方で、社会科学分野ですね、これがいま一歩ではないかとも言われているところがあります。  ノーベル賞でも、これ主体が違うとはいえ、経済学賞というのがいまだに出てこないというところは、やはり今の日本のこういう縮図を象徴しているような気がいたします。やはり経済学とか社会科学分野でもしっかりやっていけば、今の財政の問題とか科学技術を、個々ではなくて全体として経済的にどう評価するかとかという新たな評価手法みたいなものが出てくるのではないかなという気がいたしておりまして、是非文部科学省としても、ノーベル経済学賞我が国から出そうというような、余り大きな声で言うと、言えませんが、ひそかに取り組むような、全然私がここで言うとひそかではないんですが、そういった視点も踏まえて検討をいただければなと考えている次第でございます。  次に、三番目に、社会教育分野でもまだまだ取り組む視点が、経済再生視点としてあるのではないかなと考えておりまして、社会人学び直しについて御見解をお伺いしたいと思います。
  12. 有松育子

    政府参考人有松育子君) お答え申し上げます。  急速な経済社会変化に応じまして職業の在り方が様変わりをしているという中で、社会に出た後も生涯にわたって学び続けることによりまして、新たに必要とされる知識技術を身に付けていくということが不断に求められているものと考えております。  このため、文部科学省といたしましては、専修学校を始めとした教育機関産業界が協働いたしまして、地域産業界人材ニーズに対応した社会人学び直しのための教育プログラムですとか、特色ある教育推進のためのカリキュラムの開発等を行いまして、成長分野等における中核的専門人材育成等を戦略的に推進するという事業を実施しているところでございます。  また、産学連携によりまして効果的な教育手法開発を行います専修学校版デュアル教育推進事業というものを新たに二十八年度予算案に計上しているところでございます。  文部科学省といたしましては、今後とも、こうした社会人学び直し専修学校教育振興を始めとして、経済活性化にも資するよう生涯学習推進に努めてまいりたいと考えております。
  13. 赤池誠章

    赤池誠章君 政府全体としても、産業競争力目標として社会人学び直し数値を掲げているところなんですが、中間評価を見てみると、なかなか伸びていないという厳しい評価も下されているわけでありまして、そのためにどうしたらいいか。これは文部科学省だけではなくて、厚生労働省教育訓練給付金活用とかやはり経済産業省産業分野とか、もうちょっと、今でも連携なさっているのは知っていますが、強化をして、やはり社会人がどうしたら学び直しができるのかという視点で更なる強化お願いをしたいと思いますし、また社会教育でいうと、公民館という全国津々浦々一万五千の施設がございます。そういったところへも、生涯学習という自らいろんな勉強すると同時に、人生設計のプランニングの支援強化みたいな形で、生涯どうやって働くのかとかそういったものを、どうお金をためるのかとか、賢くどう投資するのか、また、人生充実させるためにはやっぱり消費ということも大事な視点だというようなことも含めた活用もしていただきたいと思いますし、放送大学もございます。教育再生実行会議からの御提言もありますから、是非そのような形での充実強化お願いをしたいと思います。  四番目に、初等中等教育経済再生への取組をお伺いをさせていただきたいと思います。
  14. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  経済再生地方創生GDP六百兆円達成に向けては、まず、人々が職業に必要な知識、技能を確実に身に付けて社会職業生活の中で力を存分に発揮できるようにすることが重要でございます。  そこで、文部科学省といたしましては、初等中等教育段階から、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育や、職業に従事するために必要な知識、技能を育てる教育を通じて我が国成長を持続させるための人材育成に取り組んでいるところでございます。  具体的には、一つは、小中学校等における起業体験推進事業というものを平成二十八年度の予算案に盛り込んでおります。これは、子供たちが、地域社会や外部講師のサポートを得ながら模擬会社の設立等の起業体験を実施することを通じて、チャレンジ精神や他者と協働しながら新しい価値を創造する力等を養う、そういうための事業でございます。  もう一つ申し上げたいと思いますのは、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール事業でございます。こちらは、社会変化や産業の動向等に対応した高度な知識、技能を身に付けて社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するために先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定して調査研究を行うものでございますけれども、こちら、来年度の予算案の中で拡充を図っているところでございます。  私どもといたしましては、我が国成長を持続させる観点からも、こうした事業を含めまして、初等中等教育におけるキャリア教育職業教育充実を一層図ってまいりたいというふうに考えております。
  15. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  起業家養成ということで大変ユニークな試みがなされるということでその動向を注目したいと同時に、やっぱり数が限られているモデル事業でありますから、算数とか数学とかを勉強するときに必ず日本の場合は活用、応用に課題があるということで、全国学力テストの中でもその点がいつも課題として出てくるわけでありますから、ふだんの勉強の中でそれがどう社会にとってつながっていくのかという視点からも是非やっていただくことが大事かなと。学校教育の中でお金というとちょっと何か忌避する傾向も若干あるやに感じているところもございますので、経済や家計とどう算数、数学が結び付くかという視点での意義付けの再構築も改めてお願いをしたいと思います。  五番目に、文化庁が、対して経済再生取組をお伺いしたいと思います。
  16. 中岡司

    政府参考人(中岡司君) お答えいたします。  地域における文化財、あるいは漫画、アニメ、ゲーム等のメディア芸術、舞台芸術や各地の芸術祭を始めとする文化芸術活動など、多様な文化芸術資源が全国に存在いたします我が国におきましては、文化芸術資源を一層活用をし、観光地の魅力や産業の付加価値の創出につなげることにより経済波及効果を生み出すことができると考えております。  このため、文部科学省といたしましては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化プログラムなどの実施を契機といたしまして、地域文化芸術活動の魅力を最大化し、地域経済への波及を創出すること、また、地域文化財の戦略的活用や適切なサイクルの修理、美装化によりまして、文化財で稼ぐ仕組みへの転換を図ることなどに取り組むこととしております。  今後とも、文化芸術資源の活用や国内外へ向けた地域文化芸術の魅力の発信に取り組むことによりまして、外国人も含めた観光客の増加につなげるとともに、他の産業や地域経済への波及を一層促進するなど、日本経済活性化にしっかり寄与してまいりたいと考えております。
  17. 赤池誠章

    赤池誠章君 今年度から日本遺産という形で、従来の文化財の保護のみならず、活用視点に立って申請がなされ、来年度も全国の自治体から多くの応募があるというふうに聞いております。また、文化庁が観光庁と連携をしてということもあります。  私も、日本遺産、回らせていただいたり、各地の教育委員会の担当の方と意見交換もさせていただく中でちょっと感じるのは、文化庁もそうなんですが、今までそういう発想で、守ることがあっても活用するという視点が少ないので、教育委員会教育委員会で、文化財保護というので、言ってみれば産業部門とか観光部門とか地域振興部門とのこの辺はやっぱりきちっと連携が大事かなと。ですから、国が連携するだけではなくて、是非、各地の教育委員会も、元々、知事部局、首長部局と、産業部とか、経済地域振興観光部と連携するということが大事な視点かなということも感じておりますので、是非その辺の指導強化お願いをしたいと思います。  六番目に、昨年十月発足いたしましたスポーツ庁の経済再生への取組をお伺いいたします。
  18. 高橋道和

    政府参考人(高橋道和君) 見るスポーツやするスポーツに関するサービス業などスポーツ関連産業が活性化すれば、その収益をスポーツ団体や環境充実に再投資する好循環を生み出し、国民の健康増進や地域活性化を図ることができると考えております。  このため、スポーツ庁では、経済産業省と合同でスポーツ未来開拓会議を開催し、スポーツ施設の収益化やスポーツに関連する新事業の開拓、IT、食、観光といった他分野との連携など、二〇二〇年以降も展望した戦略的な取組の展開に向けて、現在有識者を交えた議論を行っているところであります。今後、スポーツを通じたGDPの拡大を目指して関係省庁やスポーツ関係団体等と連携を図り、スポーツ環境充実に取り組んでまいりたいと考えております。
  19. 赤池誠章

    赤池誠章君 スポーツの産業というのは成長産業の一つというふうに言われているわけでありまして、日本政策投資銀行の調査によると、教育部門やいわゆる公営ギャンブルを除くと、スポーツは約五・五兆円と。小売が一・七兆円、施設業が二・一兆円、する方ですね。それから、見る、興行、放送等で一・七兆円という数字がございますし、こういう面では、先進諸国と比較するとまだまだ伸び代が大きいということだと思っております。  競技の中でどのスポーツが一番市場規模が大きいかというと、そのデータによるとゴルフということが挙げられているわけでありまして、そういう面ではオリンピックでもいよいよ百十二年ぶりに正式種目、リオ・オリンピックから復帰をいたしますし、先日も取り上げられておりましたが、ゴルフ場利用税廃止問題もございますので、その辺をしっかりやると、地方も良くなり、産業も活性化し、健康増進にもつながるのではないかなということも感じている次第でございます。  する、見る、買うということで、経済産業省からも人もいただいていると聞いておりますので、是非産業の活性化に向けても取り組んでいただきたいと思います。  次の課題といたしましては、少子化対策というものがございます。  安倍政権全体として希望出生率一・八というふうに目標数値を掲げているわけでありまして、文部科学省としてどう取り組むか、改めて見解をお伺いしたいと思います。
  20. 有松育子

    政府参考人有松育子君) お答えいたします。  将来を担う子供たちは日本の宝であり、教育費の負担軽減を始めとする子育て家庭への支援を積極的に行っていくことが重要であると考えております。  このため、文部科学省では平成二十八年度予算案におきましては、幼児教育の無償化の段階推進、高校生等奨学給付金の拡充、大学等奨学金事業充実大学等の授業料減免の充実など必要な経費を計上しているところでございます。  このほかに、幼稚園における預かり保育や子育て支援の充実地域住民等との連携、協働によります放課後子供教室や家庭教育支援などの地域学校協働活動の推進などに必要な経費も計上しているところでございます。  これらの施策を通じまして、希望出生率一・八の実現に向けて少子化対策を推進してまいりたいと考えております。
  21. 赤池誠章

    赤池誠章君 今お話しいただきましたように、幼児教育段階的無償化や高校生の就学支援や高等教育における奨学金や授業料減免と、これはやはり少子化の原因は経済的な問題というのが第一に挙げられるわけでありますから、これをしっかりやれば必ず上がっていくということは見えているわけでありますが、残念ながら財源という問題がいつも課題として取り上げられております。既に御検討していただいているとは思うんですが、是非この財源問題を、更なる具体的にどこをどうするのかと、これは文部科学省のみならず我々も一体となって財源確保に力を尽くさせていただきたいと思います。  今年の夏から十八歳選挙権が付与されるということで、国会においても、今まで高齢化対策が議論としては多いことが今回は若者に対して議論が活発になっているなということを感じているんですが、財源さえあれば給付型奨学金、これも導入すべきだなということも私も思っているんですが、これは、なかなかやはり希望しても受けられない奨学金希望者の方にはまず先にやるというのが優先順位でしょうし、現在でも授業料減免という実質的な給付型支援というのは行っているわけでありまして、これ学校にお任せしちゃっているのでなかなか分かりにくいんですが、是非その辺、各大学が国から支援していただいて、どう国立大学、私学、また専門学校も含めて授業料減免しているかという姿をきちっと伝えるだけでも、これは給付型支援なんだということが理解していただければ大分違うのかなという思いもございますので、引き続きPRの方もお願いをしたいと思います。  続きまして、高齢化の問題もお伺いをしたいと思います。  健康寿命の延伸ということでございまして、それぞれの分野にお伺いをしたいと思います。初等中等スポーツ分野ではスポーツ庁、科学技術分野、それから社会教育分野ということで三分野まとめて質問しますので、それぞれ担当の方、局長、よろしく御答弁をお願いいたします。
  22. 高橋道和

    政府参考人(高橋道和君) まずスポーツの面でございますが、スポーツは全ての人々が幸福で豊かな生活を営むために大変重要な役割を果たしております。近年、我が国国民医療費が年間四十兆円にも上る中で、スポーツにより健康寿命を平均寿命に限りなく近づけていくということは大変重要でございます。  このため、スポーツ庁においてはスポーツによる健康増進を重点的に推進することとしており、スポーツの無関心層に興味、関心を喚起するため、平成二十七年度から健康ポイントなどのインセンティブ付き運動、スポーツプログラムの実施など、こういった取組を行う自治体への支援を行っているところであります。  また、平成二十八年度から新たに、関係省庁と連携しながら、最新のスポーツ医科学等に基づくライフステージに応じた運動、スポーツに関するガイドラインの策定、スポーツ、レクリエーション活動等を活用した効果的なプログラム検討などに取り組むこととしております。  また、初等中等教育面におきましては、全国体力・運動能力等調査結果を踏まえ、平成二十八年度から新たに子供の体力向上課題対策プロジェクトを実施することとしております。例えばボール投げのようにまだ低下傾向にあるような課題のある種目に対する運動プログラムの作成、あるいは、特に女子生徒の運動時間の短さやスポーツに対する意識の低さ、こういった種々の課題に対しまして大学教育委員会に委託をした研究を行うこととしております。  今後とも、高齢者を始めとして全ての人々がスポーツを通じて健康寿命の延伸を図り、健康で活力に満ちた生活を営むことができるよう、関連施策の推進に努めてまいります。
  23. 小松弥生

    政府参考人小松弥生君) 科学技術分野でございますが、高齢化対策そして健康寿命延伸のために、医療分野において技術革新を進め、それを実用化していくことが重要だと考えております。  そのため、各省にまたがる医療分野研究開発関連予算を集約いたしまして、基礎から実用化までの研究開発を一貫して推進するため、昨年四月に日本医療研究開発機構、エーメドと呼んでおりますけれども、AMEDを設立いたしました。  AMED関連の予算といたしまして、文部科学省では大きく四つの柱を立てております。まず革新的な医薬品・医療機器の開発、そして臨床研究、治験に向けた橋渡し研究の推進、そして再生医療等の世界最先端の医療の実現、それから、がん、認知症等の精神・神経疾患、感染症等の疾病の克服、これらを着実に実施するため、来年度予算案では約六百億円を計上しております。  AMED以外におきましても、理化学研究所におきまして、老化の解明などに向けて、理化学研究所のライフサイエンス分野の総力を結集して基礎的、基盤的研究開発推進するということ、それから放射線医学総合研究所におきましても重粒子線がん治療研究等の放射線の医学利用に関する研究開発推進しております。  今後とも、関係府省と連携をいたしまして、健康寿命延伸等による健康長寿社会実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  24. 有松育子

    政府参考人有松育子君) 社会教育についてでございます。高齢化対策及び健康寿命の延伸の観点からも社会教育推進していくことは極めて重要であると考えております。  そのため、文部科学省におきましては、長寿社会における生涯学習政策についてのフォーラムを平成二十七年度は全国の四か所において開催をいたしました。地方公共団体の関係者や高齢者の学習社会参加に関わる団体の関係者に加えまして、大学企業等の情報共有やネットワークづくりを推進しております。  また、学びによる地域活性化プログラムの普及啓発を行う事業も実施しておりまして、高齢化問題などの地域の様々な現代的な課題につきまして公民館などでの学びを通じた実践的な解決の取組推進しております。これは、二十七年度は全国九か所において協議会を実施をいたしまして、先行事例の発表や、それに基づいて事例発表者と参加者との協議などを行って、こうした地域課題の解決のノウハウなどを共有したところでございます。こうした取組平成二十八年度においても進めてまいりたいと考えております。  高齢者に対する社会教育は、自らの健康で生きがいのある暮らしに寄与するというだけではなくて、そうした学習成果を生かした社会参画によりまして健康寿命にも貢献するものであります。各地での取組が一層進むように先進的な事例の普及などに努めてまいりたいと考えております。
  25. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  学力、体力のテストはやっていましたけれども、ようやくそこまで、対策まで踏み込んでいただいたということで、是非強力に進めていただきたいと思いますし、科学技術分野も新たな機関ができてよかったんですが、科研費含めて、やっぱりちょっと学者の先生にお任せし切らないで、お任せしなきゃいけない部分も当然なんですが、やっぱりこの課題をどう解決するかというような戦略的な、是非、科学技術振興支援の在り方を更なる検討もいただきたいと思います。  社会教育分野も、先ほど言った公民館ネットワークを活用して、聞きますと、健康ポイントを使って生涯学習をやるとか、就活講座も一部自治体では取り組んでいらっしゃるということも聞いておりますので、是非九か所で行われるそういったものを共有していただければと思います。  最後に、課題解決型の文化行政として、国際化の対応というのをお伺いをしたいと思います。  我が国伝統文化を踏まえた上で、英語教育の必修や「トビタテ!留学JAPAN」日本代表プログラムということで、民間からの浄財をいただいて、負担がなくて若者が世界に飛び立てる事業が始まったということで、大変すばらしい取組がなされております。  その一方で、国民から批判が強いのは、海外から我が国に留学してもらう外国人の方々、留学生三十万人計画に基づくんですが、海外から来ていただく若い方々が日本の若い方々よりも手厚く支援がなされていて不公平ではないかというような批判がございます。改めて文科省見解をお伺いしたいと思います。
  26. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 現在、平成二十五年六月に閣議決定をされました日本再興戦略等において、二〇二〇年までに留学生交流を倍増させるということで取り組んでいるところでございます。  外国人留学生の受入れにつきましては、国費外国人留学生制度予算を前年度同様確保いたしますとともに、新たなプログラムを実施をいたします。これは渡日前に奨学金の支給を確約して、我が国への留学のインセンティブを高めるということでのプログラムの実施ということで、平成二十八年度予算案には合計で二百六十億円を計上をしております。  一方で、日本人学生等の海外留学につきましては、大学等の海外留学支援制度をより効率的な運用方法に見直すことで、大学間交流協定に基づく日本人学生の留学の支援者数をこの三年間で二倍強の約二万三千人に拡充をいたしますとともに、海外留学促進事業によりまして若者の海外留学の機運醸成を図るということで、こちらは平成二十八年度予算案で八十八億円ということでございます。  冒頭申しましたように、いずれの面、留学生の受入れ、あるいは留学生の送り出しといいましょうか、日本人学生の海外留学、いずれにつきましても、政府としては倍増したいということで取り組んでいるところでございますので、その中で、様々な工夫、先ほど申しましたように、日本人の海外留学であれば制度の効率的な運用であるとか、あるいは、先ほど委員からもお話ございましたように、民間企業の協力を得てというようなことで、できる限り工夫をしながらそれぞれ伸ばしていくということで取り組ませていただければというふうに考えてございます。
  27. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、課題解決型の文部科学行政の転換を強くお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  28. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 自民党の堀内恒夫でございます。  今日は時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、障害者スポーツについてお伺いします。  平成二十三年度に施行されたスポーツ基本法において、スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進しなければいけないと明記されております。国レベルでは、平成二十六年度から障害者スポーツの所管が厚生労働省から文部科学省へ移管されたことに伴い、障害スポーツを含めたスポーツの事務が一元化されていますが、多くの自治体においては障害者スポーツの事務はスポーツ担当部署ではなく、障害福祉担当部署が所管している状況です。  スポーツ基本法の理念に基づき、障害者スポーツスポーツとして振興するために、各自治体においてもスポーツの事務一元化を図るべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  29. 高橋道和

    政府参考人(高橋道和君) 現在、国と同様に障害者スポーツの事務をスポーツ担当部署に一元化しているのは、東京都、佐賀県、鳥取県の三都県でございます。さらに、来年度からは、福島県、神奈川県、滋賀県、福岡県の四県も一元化する予定と承知をしております。  スポーツ庁におきましては、今年度から各都道府県、政令指定都市において、スポーツ関係者と障害福祉関係者が連携・協働体制を構築し、相互に一体となって障害者スポーツ推進する地域における障害者スポーツ普及促進事業を実施しているところでございます。  引き続き、このような体制整備を始めとした自治体の取組を支援することにより、御指摘いただきました障害者スポーツの所管の一元化も含め、各地方公共団体における障害者スポーツの体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  30. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。  やはり一元化は大事じゃないかと思います。スピード感を持ってお願い申し上げます。  次に、障害児、障害者が学校や地域におけるスポーツ活動に参加できる機会は十分ではないんです。継続的にスポーツ活動を実施できる環境は整っていないという状況なんです。特別支援学校や特別支援学級の設置校は、障害児、障害者にとって身近で、かつ安心して安全にスポーツができる場と想定されているにもかかわらず、有効に活用されていないように思います。是非、有効活用のために取組推進していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  31. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 特別支援学校は、小中高等学校に比べて運動部活動、クラブ活動が実施されておらず、また、地域住民へのスポーツ施設の開放が進んでおりません。このため、特別支援学校の児童生徒スポーツへの参画の機会を拡充するとともに、地域住民などのスポーツの場として特別支援学校を活用することが必要であると考えております。  文科省においては、来年度から、特別支援学校などを有効に活用し、地域における障害者スポーツ拠点づくりを推進する、特別支援学校等を活用した障害児・者のスポーツ活動実践事業を実施することとしております。具体的には、放課後や休日に、在校生、卒業生、地域住民が共に参加できる地域スポーツクラブを特別支援学校を拠点に設立したり、特別支援学校の体育、運動部活動などに障害者スポーツ指導者を派遣するなどの取組を行うこととしております。  このような取組を普及することにより、御指摘の障害児、障害者が学校や地域におけるスポーツ活動に参加できる機会の拡充を推進してまいりたいと思います。
  32. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。  やはり有効活用というのが大事じゃないかなと思いますし、また、参加してもらえるのが必要だと思います。  次に、パラリンピック関係についてお伺いします。  二〇二〇年の東京大会の成功のためには、パラリンピックの成功が必須です。大会が盛り上がるためには、オリンピックの参加国・地域数二百四とパラリンピックの参加国・地域数百六十四の差を縮めることが重要だと考えます。その取組と方針をお伺いしたいと思います。
  33. 岡西康博

    政府参考人(岡西康博君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、二〇二〇年東京大会は、夏季パラリンピック競技大会が同一都市で二回開催される史上初の大会であり、パラリンピックの成功が二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の成功の重要な鍵であると認識しております。  パラリンピックを成功させるためには、まず、参加国・地域についてオリンピックとの差を縮めることが重要であります。このため、スポーツ・フォー・トゥモロープログラムを通じて途上国のスポーツ環境の整備に協力することにより、オリンピックには参加しているがパラリンピックに参加していない国・地域に対して働きかけを行い、その参加国・地域数が過去最多となることを目指してまいりたいと考えております。  あわせて、共生社会に向けた取組を進め、二〇二〇年東京大会を、世界中の障害者を始め、全ての人々に夢を与える大会としてまいりたいと考えております。
  34. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。  やっぱりこの数字の四十というのは非常に大きいものですから、頑張って是非縮めていただきたいと思います。  二〇二〇年の東京大会成功のためには、日本選手団の活躍が欠かせないと私は思います。平成二十七年十一月に閣議決定されたオリパラ基本方針においても、過去最高の金メダル数の獲得に向けた支援を図ることと記載されておりますので、この基本方針も踏まえながら、今後パラリンピックの選手強化支援をどのように行っていくのか、お伺いしたいと思います。
  35. 高橋道和

    政府参考人(高橋道和君) パラリンピック選手が自らの障害と向き合いながらひたむきに挑戦する姿は人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものであり、パラリンピック選手の選手強化は重要であると認識しております。  先ほど委員から御指摘いただきましたように、平成二十六年度より、スポーツ振興観点から行われる障害者スポーツに関する事業厚生労働省から文部科学省に移管されました。これを契機に、選手強化について、従来はオリンピック競技のみを対象としていた施策についてパラリンピック競技も対象とするなど、国際競技力の向上のための施策を一体的に推進することとしております。  具体的には、平成二十八年度予算案において、パラリンピック競技団体の大会遠征や強化合宿の実施、専任コーチの設置に係る支援を充実する、また、次世代アスリートの発掘、育成強化に係るパラリンピック競技への支援、これを新設をする、メダル獲得が期待される競技へのアスリート支援や研究開発に係る多方面からの専門的かつ高度な支援の充実を図る、こういった費用を計上しているところでございます。二〇二〇年東京大会を見据えて、これまで以上にパラリンピックにおける選手強化活動への支援の充実予算面で図っております。  文部科学省といたしましては、オリパラ基本方針も踏まえ、二〇二〇年東京大会において日本代表選手が活躍できるよう、引き続きパラリンピックの選手強化への支援にしっかりと努めてまいります。
  36. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) ちょっと補足をして申し上げたいと思います。  実は、JOCと比べまして、JPC、日本パラリンピック委員会に所属する各団体の団体運営というのは大変厳しい状況にありますので、こういった団体の組織の運営をまずサポートすることも重要だと思っています。  それから、メダルを獲得するという目標のためには、すべからくではなくて、日本人の特性に合った競技、あるいは実績のある競技、指導者やサポート体制が整っている競技など、やはり絞り込んだ選択と集中も必要だと思っています。  もう一点は、やっぱりPDCAサイクルを回したいと思っています。きちんとしたプランを出していただいて、それを、JPCもそうですが、せっかくスポーツ庁ができましたので、それをちゃんとチェックをした上で、毎年の強化の度合いに応じてやはり資源配分も配慮をし、そういったPDCAサイクルを働かせる中で強化の実を上げていきたいと、このように考えております。
  37. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。  大臣、おっしゃるとおりです。そのとおりにやっていただけると本当に強化ができると思います。  二〇二〇年の東京大会は、東京のみならず各地で盛り上げるためには、障害者のアスリート、観客の方々に対して、政府横断的に交通機関等のバリアフリー化、教育分野等で心のバリアフリーを進めていき、これをレガシーとして残す必要があるのではないかと思います。いかがでしょうか。
  38. 岡西康博

    政府参考人(岡西康博君) お答えいたします。  二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たっては、空港などからのアクセス経路や競技会場等におけるユニバーサルデザインや接遇方法について、国際パラリンピック委員会の承認を受けた東京二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインに沿って整備、実施されることになります。  さらに、二〇二〇年東京大会の競技会場やアクセス経路等にとどまることなく、全国各地において町づくりにおけるユニバーサルデザインや委員指摘のいわゆる心のバリアフリーに取り組み、これらを東京大会の最も重要なレガシーの一つとして残していきたいと考えております。  このため、遠藤東京オリパラ大臣を議長として関係省庁の局長級で構成されますユニバーサルデザイン二〇二〇関係府省庁連絡会議を設置し、先月二十二日に第一回を開催したところであり、ハード面の整備だけでなく、心のバリアフリーの普及を含めた幅広い施策を政府横断的に実行する体制を整えたところであります。  今後とも、二〇二〇年東京大会をきっかけに、障害の有無に関係なく、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、活躍できる共生社会実現し、次世代に誇れるレガシーとするため、引き続き関係者とともに取り組んでまいります。
  39. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。  また、特に子供たちに対してパラリンピックの意義、価値を教えたり、実際にオリンピック競技を体験させることによってパラリンピックへの理解、関心を高めることは、パラリンピックを盛り上げるためにも非常に有効だと思いますが、どうでしょうか。
  40. 高橋道和

    政府参考人(高橋道和君) 委員指摘のとおり、子供たちがパラリンピックについて学び、体験することは、パラリンピックの盛り上げだけでなく障害者への理解も深まり、心のバリアフリーを広げるきっかけになるものと考えております。  このため文部科学省では、二〇二〇年に向け、本年度、オリンピック・パラリンピック教育の効果的な推進方策に関する調査研究を行っているところであり、この成果を踏まえ、二十八年度予算案においては全国各地でオリンピアン、パラリンピアンと子供たちの交流活動を促す、あるいは子供たちがオリンピック・パラリンピック競技体験を推進する、こういった経費を計上しているところでございます。  今後とも、パラリンピック教育推進することで二〇二〇年東京パラリンピック競技大会の盛り上げを図っていくとともに、障害者への理解推進に努めてまいりたいと考えております。
  41. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。  次に、ナショナルトレーニングセンターについてお伺いします。  東京都北区西が丘のナショナルトレーニングセンターは、我が国の国際競技力の向上を実現するため、トップレベルの競技者が同一拠点で集中的、継続的にトレーニングや強化運動を行う場所として平成二十年一月に全面供用が開始されました。ナショナルトレーニングセンターの専用トレーニング場の延べ利用者は、平成二十六年度で約十九万人強であります。年間の平均稼働率も九割を超え、非常に高い稼働状況となっており、我が国の国際競技力の向上を支える上では今や必要不可欠なものです。  そこで、このナショナルトレーニングセンターの重要性についての御認識と、拡充整備が行われると聞いておりますので、その進捗状況を教えていただきたい。また、私はナショナルトレーニングセンターを全国に増やしていくということも必要なのではないかと考えております。この点についてお伺いしたいと思います。
  42. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 西が丘のナショナルトレーニングセンターの拡充については、日本スポーツ振興センター、日本オリンピック委員会日本パラリンピック委員会などの関係機関と協議、調整を踏まえて、二〇二〇年東京大会開催の約一年前の完成を目指して計画を進めております。平成二十八年度予算案には、実施設計等として二億円を計上しております。  また、ナショナルトレーニングセンターのみでは強化活動が困難な屋外系の競技などの強化活動拠点については、平成二十七年一月に取りまとめられた有識者会議の最終報告において、多くの課題があるため、諸外国の状況なども参考にしながら、様々な観点から更に効果的、効率的な拠点の在り方について引き続き検討していく必要があると提言されたところであります。  文科省においては、この最終報告の提言を踏まえ、平成二十七年七月に新たに有識者会議を設置し、屋外系競技などの強化活動拠点の在り方について議論しているところであり、この議論を踏まえ、我が国全体のナショナルトレーニングセンターの在り方について今後検討してまいりたいと思っておりますが、我々、オリンピックの成功に向けての強化拠点の整備を最優先でまずさせていただいております。その中で、屋外系も含めて更に拡充が必要であり、ではここはどうですかという提案も各団体からいただいており、自治体からもいただいておるというのが、これは現状であります。しかしながら、限られた財源の中で効率的にと考えますと、やはり優先事項がありますので、オリンピック、そしてパラリンピック大会を契機にというふうに考えて、継続案件として、また重要案件として取り組んでいきたいと思っております。  と同時に、フランスのINSEP、あるいはオーストラリア、海外のナショナルトレーニングセンターからも大変連携をして活動していきたいと、特にスポーツ医科学の連携事業もありますので、共にやりたいという申込みはもうたくさんいただいております。  したがって、海外との連携をすることは我が国の選手の強化にもつながりますが、スポーツを通じた相互理解、協力関係、また、我々の日本チームも海外の拠点でトレーニングできる機会の拡大にもつながりますので、そういった広がりも含めて検討してまいりたいと思います。
  43. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 ありがとうございます。  オリンピックとか国際競技というのは今年だけじゃないんですね。オリンピックだけでもないんです。ですから、長いスパンでやっぱり効果的にやっていただくのが私は一番よろしいんではないかなというふうに思います。  さあ、続きまして、私、今回初めてゴルフ利用税についてお話し申し上げます。  今、本当に多くのスポーツの中で唯一このゴルフのみがプレーに課税をされており、極めて不公平な状況です。スポーツ基本法では、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であることが規定されております。にもかかわらず、スポーツに課税をするのはおかしいのではないでしょうかと私は申し上げたい。ゴルフは今や一千万人プレーヤー、野球が八百万人、はるかにゴルフの方が多いんです。ですから、今や国民的なスポーツであり、スポーツ振興観点から見てもゴルフ利用税を廃止すべきであると考えます。  また、今年のリオデジャネイロのオリンピックにおいて正式競技にも復帰します。かつ、二〇二〇年東京オリンピックでも、東京で、この日本で開催されます。平成二十九年には消費税が八%から一〇%に上がると予定されております。自治体の地方税収は増加すると思います。まさに今が廃止する最適のタイミングであり、今年こそこの不公正なゴルフ利用税を廃止すべきと考えます。  文部科学大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  44. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 御質問ありがとうございます。  多種多様なスポーツの中で、唯一ゴルフのみが施設の利用に対して課税されており、極めて不公平であると考えております。また、消費税との二重の課税の問題もあり、生涯スポーツであるゴルフ振興観点から、ゴルフ場利用税は早急に廃止する必要があると考えております。  そのため、文科省においては、平成二十五年度要望から毎年ゴルフ場利用税の廃止を総務省に対して要望してまいりましたが、同税は地方公共団体の貴重な財源であることなどの理由から、平成二十八年度税制改正においてもゴルフ場利用税について維持されたところであります。  しかし、ゴルフはリオデジャネイロ・オリンピックから百十二年ぶりに正式競技に復帰することが決まっており、かつ、我が国は二〇二〇年東京オリンピックの開催国にも決まっております。また、平成二十九年四月には消費税の増税が予定されており、ゴルフプレーヤーへの負担が更に大きくなることからも、平成二十九年度要望においては、是非とも、何としても同税の廃止を実現させていきたいと思っておりますので、また御支援のほど、よろしくお願いいたします。
  45. 堀内恒夫

    ○堀内恒夫君 本当に難しい問題なんですけれども、やはりスポーツに二重課税というのは僕はおかしいと思います。本当に、時期的にも、増税するときに、この時期じゃないかなと私も考えておりますので、私も頑張ってまいりますので、また大臣の方もよろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 田村智子

    田村智子君 日本共産党の田村智子です。  広島県の中学生が余りにも不適切な進路指導によって自死に追い込まれた、この問題を前回の文教科学委員会で質問いたしました。学校での生徒指導が子供を死に追いやってしまうという痛ましい事件を社会的に、あるいは裁判で訴えてきた方々は、これは指導死であると、私たち国会議員にも問題提起をしておられます。  事例を示します。中間試験の物理の試験中に日本史のメモを見ていた。指導監督の教師はカンニングを疑い、試験後五人の教師が入れ替わり立ち替わり約二時間にわたって事情聴取を行った。本人が否定しても繰り返しカンニングが疑われ、この間、御飯を食べることも、お昼御飯ですね、水を飲むこともトイレの休憩も一切なかった。生徒は帰宅後すぐに外出し、隣町のマンションの立体駐車場から飛び降りたと。これ、高校生の事例です。  内閣府と警察庁の調査を見てみますと、二〇〇八年からの八年間で自殺をした児童生徒のうち、教師との人間関係が理由であるということが判明している方は二十五人に上ります。学校という場所は、児童生徒に対して安全配慮義務を負っています。まして、子供の成長に資するべき生徒指導によって生徒が自死に追い込まれる、このようなことは絶対にあってはならないと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  47. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) ちょっと、三点、整理してお答えさせていただきます。  まず一点目は、いかなる理由があろうとも、やはり児童生徒に、自ら命を絶つ、死を選ぶということのないように、まずそういう配慮また指導が必要であると、まずこれは基本的な考えです。  それから、広島の事案については、私の方で、特に義家副大臣にも指示をし、現場に行ってやっぱり事実関係を時系列できちんとまた踏まえた上で対応してほしいと。そして、年度内には一定の中間報告としてやはり出すべきである。なぜならば、新年度を迎えておりますので、全国の都道府県の教育委員会や学校現場に対しても、やっぱり中間報告を通じて何らかの警鐘を鳴らしておく必要があると、こういうふうに考えております。  その上で、最後に三点目ですが、いわゆる指導により児童生徒が死を選んでしまうというようなことはあってはならない、このように考えております。
  48. 田村智子

    田村智子君 これ、突然我が子の死に直面した遺族の苦しみというのは、想像をはるかに超えるものです。その苦しみを増幅させているのが、学校で何があったのか、調査説明を求めてもそれに応えてもらえないということなんですね。  文部科学省が示している子供の自殺が起きたときの背景調査の指針では、遺族への説明について、また調査のための第三者委員会について、どのように記されていますか。
  49. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  子供の自殺が起きたときの背景調査の指針、これ平成二十三年度に制定して二十六年度に改訂をしたものでございますけれども、この中で、まず遺族の方々につきましては、これ基本調査から始まりますけれども、まずは基本調査の経過、それから整理した情報等について適切に遺族に説明をする、そして、その上で外部者等を交えました詳細調査へできるだけ全ての事案について移行するということが基本でございます。  仮にそれが難しい場合でも、少なくとも学校生活に関係する要素が背景に疑われる場合、あるいは遺族の要望がある場合等につきましては、そういったものを、体制を整えまして、詳細調査を実施するということでございます。そして、そのやり方とか方法論等につきましても、遺族の方の御希望を十分捉えて対応する必要があると、こういう趣旨のことを書き込んでございます。
  50. 田村智子

    田村智子君 改訂をされて、全ての事案についての調査が望ましいと。少なくとも遺族の要望がある場合には詳細調査に移行するというふうにされたということなんです。  しかし、「指導死」親の会の皆さんにお話をお聞きしますと、やはり情報を出さない方が多いんじゃないだろうかという問題提起があります。これ、指導というのはまさに学校教育の中核的な活動で、これが自殺の原因となると、言わばそれまでの学校教育の在り方の根幹が問われてしまうと。だから、いじめの自殺事案以上に責任や因果関係を否定しようとする、そういう力が働くんじゃないかと、そういう問題提起なんですね。  それで、大臣もこういう親の会の皆さんからの要望も受けて、お話も直接お聞きになったことがあるかと思います。やっぱり、こういう指摘、どう捉えるかということと、やはり詳細調査はもう遺族が要望する場合やるというのが文科省の方針です。やはり学校の内部の調査だけでは限界もある。さっき言ったような、力が働いてちゃんとした調査が行われないという場合もあり得る。となると、やはり外部の方が入った第三者機関による調査、これを行うようにということも求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 学校での事故死、あるいは様々な活動上、お子さんが自ら死を選ぶ、被害者の親の会の方を、是非とも直接話をしたいというので大臣室でお話をいただきました。そのときには、基本的な考えとして、事実関係をきちんと把握すること、それが、個人情報の一つの枠というのはありますけれども、できる限り保護者、遺族に対して情報公開されること、この基本的な考えの下で対応するようにと、このことはまず申し上げておるわけであります。  そこで、今お示しいただきました子供の自殺が起きたときの背景調査の指針においては、自殺の調査に当たっては、学校及び学校の設置者が、たとえ自らに不都合なことがあったとしても、事実にしっかりと向き合おうとする姿勢が何よりも何よりも重要であると示しております。また、この指針においては、背景調査を行った際、御遺族に対し適切に説明を行っていく必要があるとしております。  学校においては、この指針にのっとって、事実関係と真摯に向き合い、御遺族の要望に十分に配慮しつつ情報提供していくことが強く望まれると考えております。その上で、この第三者機関によるいわゆる調査ということは、まさしく事案に応じて適切に対応されるべきと、こういうふうに考えております。
  52. 田村智子

    田村智子君 こういう取組を進める上で、私は司法判断というのも是非参考にしていきたいというふうに思うんですね。  昨年十月、さいたま地裁判決で、三郷特別支援学校で起きた事案、教員による小学校一年生の障害児、日常的に暴言とか、つねるとかたたくなどの虐待が繰り返されていたと。これは判決では、学校には、教師による児童に対する暴行の疑いがある場合、当該児童の保護者はもとより、当該学校に在学する保護者が暴行の存在の有無、対象児童の特定、暴行の原因、再発を防止する対策の内容等について知りたいと思うのは当然のことであり、学校がこれらの点を調査し、保護者らに報告するとともに、上記対策を講じ、再発防止をする一般的義務を負うと解すると、こういう司法判断がありました。これは暴行はもちろんなんですけど、これは暴言含まれたものなんですね。指導死についても、やはりこれはまさに命に関わった重大事案です。同様に、調査や報告はやられた方がいいではないと。やはりこれは義務があるんだということで行われていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) まず、児童生徒、お子さんが自ら命を絶つというような事態は本当に痛ましいことでございまして、その再発防止等の目的のために真相解明を行う、そのための調査ということは極めて重要であると思っております。  私どもといたしましては、子供の自殺が起きたときの背景調査の指針におきましては、児童生徒の自殺が発生した場合は背景調査を行うということを基本としております。これは先ほど御答弁を申し上げたところでございまして、文部科学省といたしましては、理由のいかんを問わず、この方針に沿って適切に背景調査が行われるということになりますように指導をいたしております。  文部科学省としては、引き続き、学校がこの指針に沿って適切かつ丁寧に対応していただくというように指導を徹底してまいる必要があると考えております。
  54. 田村智子

    田村智子君 いじめの問題については、信義則上、当然に要請される調査報告義務ということをいじめ防止対策推進法の二十八条に明記をしています。  この法律、施行後三年目に入りましたので、見直しという、話合いが始まるところなんですが、これ、いじめのみならず、やはり学校における全ての重大事案について調査や再発防止策を行うということを法令によって学校に義務付けるということも求められるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
  55. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) いじめ防止対策推進法の際は、私、座長もさせていただきましたので、今回はその話ではなくて、こういった事故あるいは指導に絡む事案ということでのお尋ねだと思いますので。  私は、これは日頃からやっぱり所轄の警察との連携は学校がまずしておくべきということが一点と、もう一つは、設置者である教育委員会とのやっぱり関係ももちろんあると思います。この中において、問題である事案の場合には、警察との連携も当然ですが、第三者調査委員会の設置も含めて、これは私は条例でされるという場合もあると思いますが、やっぱり法律で検討すべきではないかというこの問題提起については重大に関心を持ってまず受け止めたいと思っております。
  56. 田村智子

    田村智子君 これ、なぜここまで強く言うかといいますと、やはり指導死という事案を訴えておられる方々も、これ学校といろいろ話をする、で、一定の調査の報告があったとしてももうそれで終わり、まさに個別の事案で終わりと。厄介な事件が起きてしまったなぐらいで終わらされていて、その後の生徒指導に何にも生かされていないんじゃないのかという、こういう声がたくさん聞こえてくるからなんですね。  学校は何よりも子供の安全と生命を守る安全配慮義務があります。指導など学校の様々な取組でこの安全配慮義務を徹底していく、そのチェックや不断の見直しということが本当に求められていると思うんですよ。  例えば内閣府の調査を見ますと、自殺総合対策の在り方検討会、この中で、青少年の自殺の特徴として、子供は心理・社会的な未熟さにより衝動的に行動するということが挙げられているわけです。これ、大人の想定を超えた衝動的な行動が起こる可能性が高いんだということですね。  ところが、現に行われている指導をいろいろ聞きますと、数時間にわたって叱責をするとか、同じ事案で何度も指導するとか、あるいは数人で取り囲んで叱責をするとか、これは大人でも自己否定感に襲われたりとか無力感を感じてしまったりとか、もう自分には未来がないと思ってしまったりとか、そういうことに結び付きかねないような指導ということがやっぱりいまだに当たり前に行われているというふうに思うんですよ。  これ、こういう見せしめ的とか人格を否定するようなやり方とか、これは子どもの権利条約にも私は反するやり方だと思います。子供の最善の利益が尊重されて子供の成長、発達に資するように、やり直しの可能性も示唆する、希望や自尊心を奪わない、こういうこと非常に大切だと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  57. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 子どもの権利条約も当然だと思いますが、それを、条約を持ち出すまでもなく、教職員として子供と向き合う際にどのようにやはり指導するか、その指導の程度の問題あるいは指導の在り方の問題というのは当然身に付けておくべきでありますし、誰がどう見ても、保護者から見ても、教育委員会から見ても、どこから見ても、教職員は優越的な地位にあると見られています。その立場にある大人が、まだ精神的にも肉体的にも発達の段階にある児童生徒に対してどのような指導を行うのかということは、極めて配慮を持って行わなければいけないと思います。  例えば私のような教職員がいたとして、大きい声を出すだけで、あるいはこうやってにらみつけるだけで萎縮してしまいますよね。あるいは、暴力の一種ですけれども、こうやって黒板をたたいただけで、今も委員の方、ちらっと私の方を見ましたけれども、恐怖感を覚えてしまうんですよね。  この指導の在り方については極めて厳格に、そして極めて丁寧に、段階に応じて、生徒との接触の、そして親密度の段階に応じて配慮がなされなければいけないと思いますし、恐怖で管理をするというふうな考え方が教育の中に私はあってはならないと思います。指導するのであるならば、納得、あるいは子供たちが自ら自制をできるような促し方という指導の在り方はあるわけでありますから、そのことについてのまず配慮は必要であると考えております。
  58. 田村智子

    田村智子君 これ、文科省も国立教育政策研究所生徒指導センターの、今日資料でもお配りしました生徒指導体制の在り方についての調査研究報告書、こういうので、学校にもこういう文書を添付という形で徹底をしておられます。注意、叱責を含めた懲戒についての配慮すべき事項をまとめたもので、教育的な観点から安易な判断のもとで懲戒が行われることがないよう、その必要性を慎重に検討して行うことなどが指摘をされています。この研究所の生徒指導リーフレットでも、どのような児童生徒へと育んでいくのか、どうすれば望ましい大人へと成長、発達していってくれるのかを明確にし、それが実現するように計画的に働きかけを行うことなどを指摘をしています。  私、こういう観点で、学校がやっぱり集団的に、生徒指導の在り方がどうなんだろうかと、こういう見直しをするということはとても大切だと思うんですよ。  指導死の中には、お菓子を食べていたと、このことで長時間の叱責に遭い、ほかに食べていた者はいないかと名前を挙げさせ、これがきっかけで自殺をしてしまったというような事例もあります。  このお菓子食べていたんじゃないかという指導は、当たり前に同じような指導が、私の子供の中学で見聞きしたことも、全く同じことをやられているんですよ。ある日、私も、息子が思い詰めた顔で、申し訳なかったと、学校からの帰り道に友達と一緒にたまたまポケットの中に入っていたお煎餅を食べながら帰って来ちゃったと。部活動でおなかすいたねって友達に言われて、それじゃ、お煎餅あるよって食べたと。何でこんなことを深刻に言うのかなと思ったら、学校の中でお菓子を食べた生徒がいると。それで全体に厳しい指導がやられて、自首しなかったらとんでもないことになるぞという指導が全体にやられたわけですよ。  私、初め、子供が言ったこと、冗談かと思いました。ブラックジョークかと思いました。何でそんなことで反省文書かなきゃいけないのって。あなた、一人で食べずに友達に分けて食べてよかったねと褒めてあげたいような気持ちになりました。  何でこんなことで子供を追い詰めるのか。こんなやり方だと、追い詰められるか、あるいは反発してより問題行動を起こすか、思春期ですから、そういうことになっちゃうというふうに思います。  これは、だから、指導死が起きた学校の問題じゃないんですよ。当たり前に、とりわけ中学などで行われている生徒指導の在り方、あるいはこのリーフレットに基づいてそれぞれの学校でもう一度検証してほしい、こういうことを呼びかけること必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 行き過ぎた指導が、あるいはその場にそぐわない、その状況にそぐわない指導が子供を自殺に追いやる、死に追いやる、あるいは衝動的な行動に追いやってしまうということについては、十分にまず研究、あるいは全国からそういった事例もいただきながら私は対応していくべきだと思っています。改めて重大な私は問題点、論点になっていると、こういうふうに考えています。  したがって、全ての教職員、教育委員会においても、当然、我々文科省も認識しなければいけないのは、指導がまさしく衝動的に子供たちが死を選ぶ方向に行ってしまうような事案があるということを、現実を踏まえた上での対策を練っていかなければいけない、私はそういうふうに思います。
  60. 田村智子

    田村智子君 終わります。
  61. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  62. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 松沢成文

    ○松沢成文君 無所属の松沢成文でございます。  まず、質問に入る前に、今日、質問時間帯の調整で委員長を始め理事の皆さんには大変お世話になりましたこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。  それでは質問に入ります。  大臣、私は、昨年の四月に、参議院の予算委員会と参議院のこの文教科学委員会で、実は国立大学の重要式典における国旗掲揚、国歌斉唱の問題について質問をいたしました。それ以降、メディアの関心も大変に高くて、各新聞社は社説で意見を述べていましたし、また、新聞の投稿欄でも様々な意見が届いていたようでございます。私の下にも様々な意見が届きました。  まず、そこで、馳文科大臣は、国立大学における重要式典においての国旗掲揚、国歌斉唱、まだやっていない大学もたくさんあるわけですね。そういう状態の中で、この問題についてどういう御見解をお持ちでしょうか。
  64. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 小中高校においては、学習指導要領に基づき、国旗、国歌の意義を理解させ、尊重する態度を育てるとともに、入学式、卒業式においては国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導しております。  国立大学では学習指導要領のようなものはなく、入学式、卒業式における国旗掲揚及び国歌斉唱の取扱いは各大学の自主的な判断に委ねられているところでありまして、各大学が適切に判断すべきものであると考えております。
  65. 松沢成文

    ○松沢成文君 文部科学省としては模範解答だと思いますが、私は大臣の御意見を聞きたかったので、またこれから聞いていきます。  私は、国立大学は国あっての大学であります。ですから、この国立大学において、確かに学習指導要領大学には適用はないけれども、やはり国民の儀礼的な感覚としては、重要な式典、それも国の絡む重要な式典では、国旗、国歌があるというのはほぼ常識になってきているんですね。国際的に見ても、どこの国でもそれはやっています。スポーツ大会を見れば御承知のとおり。ですから、私は、国立大学においても、最終的には各大学の自治権がありますから判断ですが、できる限りやっぱりしっかりと対応してほしいなというふうに思っているんですね。  そこで、実は文科大臣に対して、この問題しっかり議論していきたいので、まず全国の国立大学調査お願いして、去年とおととしの分ですね、卒業式、入学式の調査の結果も上がってきました。それと同時に、最終的には大学の自主権だということは、大学の自治だということは分かりますが、しっかりと文科省としても考え方、それを伝えるべきだということで、文科大臣、これは要請と言っては文科大臣は言い過ぎだと、お願いベースで実は国立大学の学長会議お願いをしたということであります。  馳大臣は、この文科大臣の要請の内容についてどのように思われますか。適切だと考えておりますか。
  66. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 下村前大臣の要請は文部科学省の所掌事務の範囲内で行ったものであり、適切であると考えております。  また、各大学における実施状況の把握についても、実施状況という事実関係のみの確認であり、照会を行うことが大学に過度な負担を強いるものではないため適切であると考えております。
  67. 松沢成文

    ○松沢成文君 下村文科大臣のこの要請の中の文言に、最後に、各大学にですね、適切に御判断いただくようお願いをしますという言葉があるんですね。ここで言う適切な判断というのはどういうことを言っているんでしょうか。
  68. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 各大学における入学式、卒業式における国旗や国歌の取扱いについては、国旗掲揚、国歌斉唱が長年の慣行により広く国民の間に定着していること、また、平成十一年八月に国旗及び国歌に関する法律が施行されたことを踏まえ、改めて考えていただき、御判断いただくことであると考えております。  適切に御判断いただくとは、前年までの取扱いを形式的に継続するということではなく、長年の慣行や法律が施行された趣旨を踏まえ、改めて考えていただくということでありまして、ただ、その形式や結果を問うことは考えておりません。
  69. 松沢成文

    ○松沢成文君 各国立大学の学長さんもこの要請の内容について様々なコメントを出しているんですね。やっぱりちょっと勘違いをされているんじゃないかなという学長さんもいて、そういう学長さんの意見は、大学の最終的な自主的な判断に任されているというふうに大臣は言ったから、それを適切に判断するという考え方なんですね。  ところが、下村大臣は、国旗、国歌が長年の慣例によって広く国民の中で定着しているんだと、そしてまた、平成十一年には国旗、国歌に関する法律が施行されたことも踏まえ、これで各大学においては、入学式、卒業式における国旗、国歌の取扱い、今大臣おっしゃったように、前例踏襲ではなく、ここでもう一度考え直してしっかりと判断してくださいよと。  だから、言葉を換えて言うと、最終的には大学の判断だけれども、でも国としては、こういう状況も踏まえて、できればきちっと国旗、国歌を揚げたり斉唱したりしてくださいねと。それをお願いした上での適切な判断ということでよろしいんですね。
  70. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 文部科学省は、文部科学省設置法第四条第十五号の規定により、大学及び高等専門学校における教育振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関することを所掌事務としております。下村前大臣の要請も、この所掌事務の範囲内で行ったものであります。  また、各大学における実施状況についても、所掌事務に基づいて照会を行い、状況の把握を行ったものであります。
  71. 松沢成文

    ○松沢成文君 大臣、それ、次の質問の答弁なんですね。いや、関連していますから。  この下村大臣が行った要請ですね、これの法的根拠はあるのかと、衆議院で大臣聞かれて、衆議院の委員会で、それで、今、馳文科大臣がおっしゃったように、文科省設置法の四条の十五項の規定で、大学、高専における教育振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言、この助言のところを使って、これは文科省の所掌事務であるので、文科省としてこういう考え方を助言したと。だから、できればそれを考えて最終的な判断をしてくださいねと、こういうことだったというふうに思うんですね。  さあ、それでは、大臣もこの文科前大臣が行った要請だとかあるいは状況調査、これはきちっとやったことを評価されているんですね。そうであれば、大臣、今年も大学の学長の会議もございます。今年も、今、各国立大学で国旗・国歌がどういう状況なのか、これについて実態を調査して、そしてまた学長会議ではきちっと文科省として、大臣としての考え方を申し述べる。これ、お願いベースかもしれません、最終的には大学の判断ですが、文科省としてはこう考えているのでしっかりと判断をしてくださいねということをその会議で改めて、新大臣になったんですから、要請をするということでよろしいですね。
  72. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 既に昨年六月の国立大学法人学長等会議において、下村前大臣が各学長に対して国旗と国歌の取扱いについて適切に御判断いただくようお願いをしているところであります。これは各大学の自主的な判断に委ねられるべきものであることから、文科省として改めて実施状況調査することや各学長に対して要請することは考えておりません。
  73. 松沢成文

    ○松沢成文君 大臣、それはちょっとおかしいんじゃないですか。  大臣、実は下村前大臣がこの会議で各学長の皆さんに要請したんですね。そうしたらいろんな反応が出てきているんですよ、私から見ると好ましい反応も好ましくない反応もありますけれども。  例えば名古屋大学の学長さんは、対応を検討する要請と受け止めている、十分に議論をしたいと、前向きに議論していきますよということなんですね。名古屋大学は国旗も国歌もやっていなかったんです。まず国旗については、いろいろそういう動きもあるだろうからきちっと議論していきたいと言っているんですね。前向きですね、議論については。  あるいは、滋賀大学の佐和学長さんはかなり辛口で、学長就任の二〇一〇年、既に国旗は掲揚されていたが国歌は斉唱していなかった、要請があったからといって従い、現状を変えるつもりは全くない、広く国民に定着しているという文科省説明にも首をかしげざるを得ない、それでも要請するなら法律で明確に規定してくださいと言いたいと、かなり厳しい御意見ですよね。  これ、各大学の学長さん、いろんな意見言っていますよ。金沢大学の山崎学長さん、この国旗、国歌の斉唱についてはそれぞれの大学で判断すればいいと言う一方で、昨今、若者たちが国歌、君が代のことですね、国歌という意識が全くないことに懸念を覚える。ですから、金沢大学の場合は国旗はやっていた、国歌はやっていなかったけれども、でも国歌についてもやっぱりしっかりとここは若い人たちに認識してもらった方がいいかなという問題提起もしているんですね。  それから、例えば国旗・国歌、両方ともやっていなかった宮城教育大の学長さんは、要請は学内で考えるいい機会になる、これまで前例踏襲でやってきたが今後検討したいということで、学内でも慎重にかもしれないけどどんどん議論していきたいというふうになっているんです。  大臣の要請というのが、それぞれの国立大学の学長さんあるいは教授の皆さん、いろいろ協議会がありますよね、そこでの議論になってきているんですね。私は、これはしっかりと大臣が要請して、国立大学もしっかり考えて議論するようになる、そしてその理由もきちっと言うようになる、そうなって初めて国民の皆さんも国立大学についていろいろ考えるようになるんですね。あるいは、国立大学を受けようとする受験生の皆さんにとっても、ああ、なるほど、この大学はこういうポリシーがあるのか、それはいいなとか、いや、こういうポリシー俺は気に食わないな、やめたというのもあるかもしれません。  これ、極めて重要な情報なんですよ。というのは、メディアがあれだけ社説で全部取り上げる、そして国民の皆さんの投書もあふれんばかりに来る。私のところにも相当来ました。国民的関心事なんですね。ですから、文部科学省がそれをきちっと把握しよう、全国の大学で今どういう状況になっているか把握しようと、そして、できれば国旗を揚げる揚げない、揚げるにしても揚げないにしてもその理由、国歌を歌う歌わない、その理由というのをきちっと提示をしてもらうと、国の主権者である国民の皆さんが国立大学の運営をしっかり知ることによって判断ができる、受験生たちも国立大学の在り方をきちっと自分なりに判断できることにつながるんですね。  ですから、私は、こういう調査や要請、要請は毎年やれとは言いませんけれども、毎年やることによって国民がいろいろ考えるようになるんです。ですから、是非ともこの実態調査は続けていただきたいと私は考えるんですが、いかがですか。
  74. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 各大学において判断されることでありますので、毎年こういった調査をするようなつもりはありません。  同時に、これはマスコミ等が問合せをしたら、それに対しては適切に各大学の学長も答えておられますので、そういった情報公開というか、ことは各大学もそれぞれされていることでありますので、私はそれで十分だと思っています。  それに私自身も、下村前大臣の問題意識、また法的根拠、そして要請、お願い、この一連の動きについては十分理解をし、その姿勢を受け継いで大臣を務めておるところでありますので、したがって、改めて毎年繰り返し同じようなことをするつもりはありません。
  75. 松沢成文

    ○松沢成文君 国がきちっと国の立場で各国立大学についてどういうふうに対応しているのかというのを調査しないと、実はやっぱりメディアが調査するようになります。というのは、メディアは、国民的な関心事だと分かっていますから、これを必ず各国立大学にアンケートをしていっちゃうんですね。メディアの場合は、できるだけ意見を引き出したいので、大学名は伏せてもいいですよというアンケートになってきます。そうすると、報道がどんどんどんどん偏ってしまう可能性もあるんですね。  大臣、ここをよく聞いていただきたいんですが、国立大学であれば、これ国が関与してつくっている大学です。国の方針も学校の運営だとか教育内容に生きている大学なんですね。そうであれば、どのような理由で国旗掲揚、国歌斉唱を実施しないのか、これは主権者である国民に知らせる義務があるんですよ。ですから、この情報公開、説明責任こそが国民に開かれた国立大学のあるべき姿であって、国民の知る権利に応えるものだと私は考えているんです。  よく国立大学の先生方が大学の自治ということを言うんですね、大学の自治。でも、大学の自治というのは、その前に学問の自由というのがある。これは憲法の二十三条だったかな、学問の自由が保障されています。その学問の自由というのは、あくまでも研究や研究発表や教授の自由であって、それを保障するためのその制度的な保障の枠組みが学問の自治なんですね。ですから、入学式や卒業式という大きな式典に国旗を掲揚する、国歌を斉唱するというのは、何にもこの研究とか研究発表とか教授の自由を侵すものではないですから、これはもう常識的なものであって、国際的な儀礼、あるいは国が関与する団体としての儀礼として私はきちっと対応すべきだというふうに思っているんですね。  ですから、大臣、大学の自治というのは決して秘密主義であってはならないんです。我々は自治があるから自分たち勝手に大学を運用するよ、外にはそのことは絶対知らせないよというのは、国立大学である以上、私は許されないんじゃないかなというふうに思いますね。  ですから、大臣、是非ともこれからもきちっと状況調査をしていただいて、それに対して文科省がコメントする必要はないですよ。今年の卒業式、入学式ではこれが実態でありましたと、国民の皆様はそれを見て御判断くださいという国民に対する情報提供の意味でも、きちっと私はこの調査を実施して国民に情報提供いただきたいと思いますが、大臣はどう考えているんですか、文科省の方針ではなくて。それは必要でしょう。  第一、去年、文科省があれだけのことをやっていただいて、今各国立大学でいろんな議論が巻き起こっているんですよ、賛成論も反対論も。それで、よし、ここは改善しようという大学もどんどん現れているんですよ。これは毎年やっていけば、どんどんどんどんいろんな形でいい方向に大学の運営を改善しようという形になっていくんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  76. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) これは二つの段階、きちんと私もお伝えした方がよいと思っています。  国立大学は、まさしく運営費交付金を大学の運営の重要な財源として運営をされていることは言うまでもございません。したがって、国立大学に教職員として、また学ぶ者として、厳粛な入学式やまた卒業式において、やはりこういう財源の下で運営をされているということを自覚をするという観点からも、やはりしっかりとした感謝の気持ち、こういったことを表現するような式典としての在り方が私は望ましいとまず思っております。  と同時に、もう一つ、私が先ほども申し上げたことは、大学のこういった活動については自主的な運営によって行われておりますし、下村前大臣が取り扱われたことについては私はその方針を受け継いで対応しますと、こういうふうに申し上げておりますので、したがって、毎年のように状況調査をするという、そこまでは考えておりません。
  77. 松沢成文

    ○松沢成文君 時間なのでもう最後にしますが、下村大臣の方針を受け継ぐというのであれば、しっかりと状況調査をしてきちっと大臣としての意見を毎年のように学長会議で伝えていく、それによって様々学校の現場も考えるようになる。これが私は改善につながると思いますので、是非とも大臣にはそういう視点で臨んでいただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  78. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 民主党の斎藤嘉隆です。今日はどうぞよろしくお願いをいたします。  来年度の予算について私なりにちょっと大きな課題だなと思う点について、今日は二点、主に様々議論をさせていただきたいというように思っています。  その前に、冒頭ちょっと大臣に基本的なお考えを一点お聞きをしたいというふうに思います。  大臣は、教育行政の今トップでいらっしゃいます。学校教育に対する教育行政役割というか、学校教育に対する教育行政の責務、これについて最も重要なものは何であるというふうに大臣はお考えでいらっしゃるのか、冒頭ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 斎藤委員、学校教育教育行政と、こういう言い方をされましたが、私は、特に義務教育における学校教育において、全国どの地域においてもやっぱり義務教育を受ける子供たちにとってよりふさわしい、ひとしく能力に応じてという言い方もされておりますけれども、そのための環境整備がなされているということ、また教育の力によってそれぞれが希望を実現する、そのための自己の能力を開発をしていく、また社会性を育んでいく、こういうことのための教育環境の整備が重要である、最も重要であると考えております。
  80. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 全く同感であります。今、私、大臣がおっしゃったとおり、いや、私の考えているのと全く一緒なんです。  私は、教育行政の学校教育に対する責務、役割というのはやはり教育環境を整える、教育条件整備だというふうに思っています。かつての教育基本法の第十条には、教育行政目的ということで、教育行政教育条件整備を目的として行われるものだということが実は明記がしてありました。  これが今の、現行の教基法の中ではこの文言自体は消えていますけれども、私は、第十六条であるとかあるいは第十七条の教育振興基本計画、この理念の中に、この教育条件整備、教育行政役割という理念は明確に引き継がれているというように認識をしています。  そこで、この教育条件整備、いろんな条件整備があります。ありますけれども、とりわけ義務教育においては、最も高い現場のニーズ教育条件整備に対するニーズは私は教職員定数増だというように考えています。この教職員定数増に対する、その必要性に関しての大臣の御認識をお伺いをします。
  81. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 教職員定数増という表現をされたと思いますけれども、それについての私の考え方を少し申し上げたいと思います。  先ほども申し上げたように、義務教育における教職員の果たすべき役割は極めて重要であると思っています。学校を運営するに当たっては、担任もいれば、教科の担任もいれば、また、所掌事務として、児童生徒の日常生活の指導であったり、それがゆえに、いじめの対策であったり、部活動の指導であったり、また、職員室の中においては成績を付けたり、報告書を書いたりと、そういったような非常に多忙感を極めるような所掌事務を担っておりますので、したがって、学校の規模というのは大規模、中規模、小規模とそれぞれあるとは思いますが、子供たちに着目をした観点において、やっぱり義務教育である以上はどの地域においても子供たちにとって適切な教育を提供できるような、そういう環境であることが望ましいと私は考えております。
  82. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。  それでは、もう一点お聞かせをいただきたいと思います。  今審議をされている来年度予算でありますけれども、教職員定数の改善は何人を予定をしていらっしゃいますか。
  83. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  現在審議中の来年度予算案につきましては、全体といたしましては、児童生徒の自然減等によりまして減となっております。それに対しまして、定数改善ということで五百二十五人の加配定員の増を盛り込んでいるところでございます。
  84. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 よく分からないというか、ちょっと誤解が多くの方に生じているといけないので、もうちょっと端的にお聞きをしますね。  来年度の教職員定数というのは定数増ですか、減ですか。
  85. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) トータルとしては定数減で予算案に計上しておりまして、それが、自然に減るものとそれから重点として増やすものとの差引きによってそうなっているということでございます。
  86. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 財務省に今日は来ていただいていますので、財務省さんにもお聞きをしたいと思います。  来年度の教職員定数は定数増ですか、定数減ですか。
  87. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 斎藤先生にお答えを申し上げます。  端的に申し上げますと、今言及のあったとおり定数減となっております。
  88. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 来年の定数は、やはり今、中西先生もおっしゃったように定数減なんですね。どう見ても定数減、減であります。  それで、教職員定数の推移が昨今どれぐらいかなということで、ちょっと資料を御用意をさせていただきましたので見ていただければというように思いますが、十八年から来年度の二十八年までの教職員定数の改善の状況であります。  それで、ちょっと数字を入れてありますけれども、これ、こういう意味です。我が党政権政権交代が成ったのが二十一年の夏の話でありますから、二十二年から二十四年まで私どもの下で予算の方を編成をさせていただきました。二十四年の十二月にまた自民党政権誕生しましたので、二十五年の予算はどっちが編成したというとちょっと微妙ですから、ちょっとこれは省いてあります。明確に自民党政権下での、現政権下での予算となりますと、二十六、二十七、二十八年ということになるんですね。  ちょっと数字を、どれぐらいかなということで足し引きをして示させていただいたのがこの図なんですけれども、見ていただければ分かると思います。民主党政権下の三年間、教職員の自然減は一万八百人でした。これに対して、定数を、一万三百人定数を増やし、差引きで五百人の減ということでありました。要するに、自然減で一万人減ったけれども、その一万人分は定数をプラスしたので、ほとんど横ばいで、教職員定数というのはそのまま横ばいであったと、三年間は。その中で定数は一万三百人だったということです。  これが、二十六、二十七、そして今の二十八年度予算、これを見ますと、三年間で自然減は九千九百人です。定数はといいますと、九千九百人を、普通であれば減った分プラスしていただいて差引きゼロということを恐らく文科省さんも目指していたんだろうというふうに思いますが、定数は、実は自然減が九千九百人、しかも定数は四百八十五人です、要するに自然減よりも更に四百八十人以上教職員定数が減っている。合わせて一万三百八十五人の純減ということになっています。これはもう自然減の九千九百人を大きく上回る形で教職員定数というのがこの三年間は減り続けてきたということであります。これ、同じ三年間でですよ。プラスマイナスで一万人の差があるんです、一万人。明らかにこれ、トレンドに変化があります、どこをどう見ても。  この数字を改めて見て、どのような思いを持たれるか、大臣に率直にお聞きをしたいと思います。
  89. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 民主党政権時代後半に義務標準法の改正もございました。小学校一年生のいわゆる少人数学級を、当初の目標は順次という形ではありましたが、まずは小学校一年生から実現をするというふうな法改正がありました。この影響ももちろんあるというふうに思います。  同時に、率直な意見というふうに言われれば、当時、自由民主党の考え方は、財政状況を踏まえた上で少人数教育というふうな観点で議論をさせていただいたと思っております。  今、大臣としてどうかと言われれば、やっぱり現場の声により一層応えられるような、例えば加配を活用した少人数教育であったり、習熟度別の教育であったり、あるいは小学校への専科教員の配置であったり、また、いじめや不登校や暴力等への対応できる、よりきめ細かい、対応できるような教員配置が望ましいと、また、更に言えば、最近、日本教育を必要とする児童生徒も増えておりますので、そういった要望に応えられるような対応が望ましいと考えております。
  90. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 今のお話、ここ三年間の定数、二十六年についてはマイナス十名、二十七年、本年度予算についてはマイナス百人、来年度予算についてはマイナス三百七十五人です。これ、数字だけ見ますと、今審議をされている来年度予算というのは史上最低の定数減予算なんです、教職員定数だけ見ればですね。これは、極めて残念ですけれど、賛成のしようがない、賛成のしようがないですね。  大臣も今もるる答弁をされましたし、前の下村大臣も、この委員会で定数改善の必要性、定数増の必要性については何度も何度も御答弁をされていらっしゃいましたし、この院でも、衆議院も含めて、このことについて、必要性についての決議もしてきました。  しかし、現実を見ると、この出てきた予算案は、全く真逆の状況が生まれています。これは一体なぜなんですか。この原因は一体どこにあるのでしょうか。これは、文部科学省としての認識は今大臣がおっしゃったとおりだと思うんです。だとすると、なぜこんな予算が今このタイミングで出てくるのか。  これはもう財務省の認識なのかというように思います。削れるものは削りたいと。財政負担を考えて、将来のことを考えて、その負担を少しでも軽減をしたい。それは分かりますが、余りにもこれ、事教育に関して、これほどいわゆる政権交代を機に大きくトレンドが変わるというのは極端過ぎるんじゃないでしょうか。  他の省庁の予算案など見ても、もっと削れるものありますよ。これ、教職員一万人削って一体幾らの国の、負担でですよ、幾らの財政効果があるんですか。数百億ですよね、これ、きっと。そんなことを、ここを削って、私は、ほかの予算、いろんな省庁のものを見ていると本当にばらまきに近いようなものもあるし、一体、教育の現状に対してどのような認識をされているのか、疑問でなりません。財務省さん、いかがでしょうか。
  91. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) お答えを申し上げます。  斎藤先生の御指摘のとおり、この教職員の定数につきましては、要求段階の基礎定数の自然減に加えまして、更なる学校統廃合の影響等を見込むことによりまして、三年連続でこれ純減となっておるところでございます。これは少子化や学校統廃合の進展を見込んだ基礎定数の減少に基づくものでございます。  その一方で、先ほど御言及がございましたけれども、学校現場の諸課題に対応するための加配定数、これは馳大臣も年度末の大臣折衝で五百二十五人の加配をつくっていただいたわけでございますけれども、こうした毎年度拡充してきているこの加配定数につきましては、しっかりと対応をこの三年間で増やさせていただいているところであります。  また、チーム学校でありますとか、学校を核とした地域力の強化プランなどに予算を重点化いたしまして、スクールカウンセラーあるいはボランティアなどなど、多様な主体が学校のサポートに携われるよう、教師が授業に専念をできる環境を整備することとしてきたところでございます。  いずれにいたしましても、大変厳しい財政状況でございますが、単純な予算の量的拡充ではなくて、効率的で質の高い教育予算の在り方について、引き続き文科省との間で建設的な議論をさせていただきたいというふうに思っています。
  92. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 差引き一万人の減、一万人の教職員減、国庫負担分でいえば多分二百億、三百億だというふうに思いますが、これを削ってまで今の教育現場の極めて困難な現状、ここを無視して予算編成をしていくと。このこと、本当にこれでいいのかというような思いがあります。教育は重要だということを言っていただきながら、そこに対する本当の思いというのが薄いのではないかというふうに言わざるを得ません。  本当にこの三年間で、教育現場の困難さというのは確実に増しています。逆に、政治の教育現場への要求、期待、これは確実に大きくなっています。人は減る、要求は増える、こういうことであります。このままだと、私は、現場が壊れてしまう、非常に大きな危惧をしています。  今、中西さんからもチーム学校ということにも言及がありました。ボランティアも含めて学校外の人材にいろいろ学校教育に関わりを持っていただく、コミュニティ・スクールもその一環だというふうに思いますけれども、それはそれで結構です。そういったところに支援をしていただくのは結構なんですけれども、そんなことは学校と自治体が考えますから、文科省さん、それから財務省さんには別の次元で是非私は物を考えていただきたいというふうに思います。  私は、国が行うべきは、基礎定数や、今も言及のあった加配定数の拡大で、それを各自治体、都道府県も含めてですね、でしっかり現状に合った形で配置をしていくと、そういうことが本当に望ましいのではないかなというふうに思います。  これね、教職員の資質向上も最近本当にいろんな方が言われますが、資質向上の最大の場は現場ですよ、絶対に現場です。研修の場ではありません。その現場の中で、お互い教職員が指導を見合ったり、指摘をし合ったり、あるいは褒め合ったり、あるいは時にはけんかをし合ったり、そういうやり取りの中でお互いの教職員の力量が高まっていくんです。  そんな環境で私は教師は育つというふうに思っていますけれども、今本当にそういう状況が現場にないんです、小中学校に、本当にありません。是非、何度も私はこの委員会指摘をしてきましたけれども、教育現場の生の姿を是非見てきていただきたいというふうに思います。教師自身に時間的な余裕は今ほとんどありません。授業後は、よくあります部活動に行きますね。部活動終わってくれば事務作業です。物も言わずにパソコンに向かう、ネットカフェみたいな職員室になっています。そんな状況の中で、教師自身が子供たちのことについて情報を共有をし合ったりいろんな改善策を話し合ったりすることも実は時間的にかなり困難な状況になっています。それでもそういうことをしようとすると時間外勤務、異常なほどの長い時間の時間外勤務をせざるを得ない、そんな状況なんですね。  私、こんな状況を看過している政治が教育に物を言うのはおこがましいと思います。是非認識を一つにしていただいて、教職員定数増あるいは多忙化解消、子供と向き合う教育、それから教員の資質の向上をどの場でどうやって図っていくか。もう学校から教員を切り離してどこかの教育センターに集めて、そこで何時間か話を聞かせて研修をすれば身に付く、そんなもの一つもありませんよ。そういったことを御認識を是非いただきたいなと。現場の主体性を生かした教育実現に是非文科省さんとして力を入れていただきたい。財務省の皆さんにも是非そこのところを理解をしていただいて、もちろん財政効果も含めて不必要だとは言いません、言いませんけれども、是非実情に見合った形で文科省と是非議論をしていただきたいというふうに思います。大臣、それから政務官、いかがでしょうか。
  93. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 昨年末の予算折衝の段階においては、一時、財務省との間で厳しいやり取りをしたことも事実でありますし、同時に、お互いに財政状況がやっぱり厳しい、これを改善をしていかなければいけないという政府の方向性については、当然我々も理解しているところであります。  そんな中で、やはり基礎定数の議論になってくると、やっぱり安定的な財源の確保という観点と、同時に、教育の現場はそれぞれの学校において必要とされる課題のある児童生徒への対応の教職員の配置と、こういうふうになっております。義務標準法の改正をしたときに、市区町村の現場からの要請について上げることができると、こういうような法改正の内容になっていたと思います。  できる限り現場の、先ほども申し上げたように、いじめや暴力あるいは貧困対策等に対応できるようにとか、小学校の専科教員とか、小中一貫校への対応した教職員の配置とか、あと習熟度別の授業を展開する、そういう要望、加配において出てくるときにできる限り対応できるような、そしてそれが、配置をしたことが現場にとって本当に効果があるんだということも、これはいわゆるエビデンス論でありますけれども、我々は継続的な調査もしておるわけでありますから、分かりやすい、国民に対しても説明のしやすいデータを基に、だから現場にはこういう教職員のやっぱり配置が必要なんだということを今後とも主張し続け、財政当局ともしっかりとコミュニケーションを取って対応していかなければいけないと思っています。
  94. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 今ほど馳大臣がおっしゃっていただきましたけれども、政府としての財政に対する認識とともに、やはり少子化の、いわゆる子供さんの数が減っていくというトレンドの中で、しかし数が減ったとしても機械的に教員の数を減らしていくということではなくて、より現場の対応をいかに丁寧にしていけるか、こういうまさにことが大事だと思っておりますので、現場のお声にしっかり対応できるよう、加配も含めた様々な対応について丁寧に取り組んでいきたいと思っています。
  95. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 是非、両省ともその点よろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、二点目でありますけれども、今度、昨今大変話題になっている奨学金事業について少し議論したいというふうに思います。  日本学生支援機構、いわゆるJASSOでありますけれども、奨学金事業とか、海外への留学支援ですとか、あるいは外国からの留学生の支援とか、様々なことをやっています。  ここへ来て、この奨学金の話題が国会でも大きく取り上げられるようになりました。給付ではなくローンであることとか、無利子どころか有利子があると、こういったことの問題点がいろんな形で指摘をされているというように思います。今回の予算におけるこの大学等奨学金事業についても、無利子奨学金の部分が有利子から無利子へという流れの中で大きく拡大をしているということであります。これが恐らく今回の予算編成上の成果かなというようにも認識をしておるところでありますけれども。  そこで、ちょっと別の視点からこの奨学金について議論したいというふうに思いますが、最新の奨学金の返済滞納額は今どれぐらいでしょうか。
  96. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 日本学生支援機構の奨学金関係でございますけれども、返還を要する債権における延滞額は平成二十六年度末時点で八百九十八億円でございます。
  97. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 八百九十八億円ということです。  資料もこれ用意をさせていただきましたので、見ていただきたいというように思います。日本学生支援機構の方からいただきました延滞者数の推移であります。三か月以上の債権、三か月未満の債権ということで、ここ十年ほどの推移をグラフにしてあります。  事業規模は年々拡大をしているというように認識をしていますけれども、滞納者は実はここ数年横ばいなんですね、ずっと、横ばいです。これ、横ばいで収まっている理由は何ですか。
  98. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 今お話がございましたように、日本学生支援機構の奨学金の返還について、平成二十六年度末の延滞者数、この資料にもございますように三十二万八千人、平成二十二年度の三十四万一千人をピークに、横ばいないしやや減少傾向という状況であるというふうに考えてございます。  その原因でございますけれども、一つは、やはりこの回収につきまして、延滞の早期から日本学生支援機構において様々な働きかけを行っていることなどが挙げられるかというふうに思ってございます。
  99. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 これ、先般の予算委員会でも話題になったというふうに聞いていますけれども、近年、二か月以上延滞をした者、厳密には恐らく四か月だと思いますけれども、四か月延滞をすると、よく言われますが、信用情報機関に登録をされるという、そういう措置がとられています。これ、JASSOの方、文科省さんにお聞きをすると、それは奨学金を借りる段階でしっかり同意を取ってありますと、こう言われるんですね。それはそうだと思います。同意しないと奨学金を受けることができませんから、皆が同意するんです。  現在のこの情報機関への登録数はどれくらいでしょうか。また、ここ数年の推移はどうなっているでしょうか。
  100. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 日本学生支援機構における個人信用情報機関への登録でございますけれども、平成二十六年度でございますと一万七千二百七十九件ということでございます。そして、二十二年の四月から登録を開始をしてございますけれども、二十二年度が四千四百六十九件でしたので、年次的に数は増加をしているということでございますが、一方で、この個人信用情報機関への登録というのは、奨学金を借りた方が多重債務に陥るというようなことを防ぐという観点もございますので、その点、御理解いただきたいと思います。
  101. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 それも確かなことだと思います。  ただ、数字を見ますと、今、常盤局長からもありましたけれども、二十二年は四千人だったんですね。それが、二十四年には九千八百人、二十五年には一万三千人、二十六年は今お話があったみたいに一万七千人、右肩上がりで増えています。債務の回収、催促、取立てがかなりきつくなっているんだろうなというように思っています。  それで、この債務の回収とか取立て、これはJASSOの職員が行っているんですか。
  102. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 一つ今のお話に関連して申し上げますが、数が増えている部分には、一つは学年進行的な要素で順次増えているという部分もありますので、その点は御了解いただきたいというふうに思います。  それから、奨学金の回収でございますけれども、やはり延滞に陥った段階で、できるだけ早い段階で延滞について例えば返還猶予制度があることなども十分理解をしていただいた上でどうされるのかということを認識をしていただくということがあると思いますので、延滞三か月までの間に、日本学生支援機構の方から、まず一回目には、本人への電話あるいは文書による連絡、それから二回目には、本人及び連帯保証人への電話や文書による連絡、そして三回目には、本人及び連帯保証人への電話、文書による連絡に加えて保証人への文書による連絡、こういうことを日本学生支援機構において行っておりまして、その際に、返還の督促と併せて返還期限猶予制度の案内等を継続的に行います。その上で、こういう対応をした上で、更になお連絡が取れない方あるいは返還がなされない方について、長期延滞の防止という観点から、民間の債権回収会社に回収を委託しているという状況でございます。
  103. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 今もありましたけど、この債権回収を外部に委託をするケースが増えています。こうしたことによって、一部ではこの債権が商品化しているという、そういう指摘もあります。ビジネス、商売になっていると、こういうことでありますけれども、これ来年の予算を見ますと、この部分、奨学金事業の健全性確保ということで、返還金回収促進経費として二十三億三千四百万円が措置されているんです。これ、外部へ委託するお金ですよね、ほとんどは。  私、何が申し上げたいかというと、こんなお金があったら、例えば月五万円、平均的にですよ、月五万円年間六十万円のいわゆる奨学金、四千人近くにこのお金で給付ができるんですよ。ここは何か根本的に考え方が少しずれているのではないかなというように思わざるを得ないんですね。  これ、二十三億三千四百万円ということですが、これは、債権回収の外部委託にほとんど使われているということでいいんでしょうか。一部ですか。
  104. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 今手元に資料ございませんけれども、主にその債権回収業務に使われているという理解でございます。
  105. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 私、ローンである以上は借りたものは返さなきゃいけない、もう当然であります。ただ、これ、奨学金というのは無担保でありますし、学生自身が債務者本人でありますし、通常のローンと違って借りるときに将来の弁済能力というのは全く考慮されないんです。全く考慮されません。この時点での家計の経済状況と高校時代のいわゆる学力が、これが選考基準です。  有利子の二種奨学金については、希望者はもうほぼ全員受けることができます。受けることができます。だから減っているんです。だから減っているんです。ニーズがないので減っている。一種の無利子については、成績等の選考基準がある程度高いので誰でもというわけにはいかない。こういうのもあるのも事実であります。  しかし、弁済能力も分からない者に貸す以上、返済が滞る事態というのは、これはもう金融業界の常識を考えてもですよ、いつまでたってもなくならない、これは当然のことだというふうに思うんですね。いつまでたってもなくならない、こういう滞納に対してブラックリスト登録を行うという状況が、もう残念ながら、いかんともし難く続いているのであります。  私、今回の予算、無利子の増も含めて、奨学金予算の拡充をさっき成果だと申し上げましたけれども、どうなんでしょうか、奨学金って予算増やす必要があるんでしょうかね。そういったことも、もう今本当に根本的な部分を議論しなければ、大胆な言い方をすれば、現行の奨学金予算を増やすことによって、予算が増えれば増えるほど、希望するだけで借りることができる、そんな若者が増え、将来の債務者がこれからも増えていく、そういうケースもあるんではないかと。  何が申し上げたいかというと、今の奨学金事業はもう違う方向へ向かうべきです。有利子から無利子へという流れではなくて、私は、有利子から無利子へというよりも、奨学金、ローンから給付型へという流れをもう今つくらないと、いつまでたっても同じような状況が生まれてくるし、将来このことを理由に結婚できないとか、そういう若者が増えてきます。  昨日も労福協の皆さんが署名を持って院内集会をされました。三百万筆ですよ、三百一万筆の署名がもううずたかく参議院の講堂に積まれました。物すごい数だったと思います。その中身は、給付型の奨学金を導入をしてほしいと、こういうことでありました。  私も今、今、もう来年度の予算を今審議されています。ここでは形になっていません。残念ながら、先般の大臣の所信の中にもこの給付型奨学金についての言及はありませんでした。極めて残念でありますけれども、今、少なくとも早期に、来年度中あるいは再来年度の予算では、この給付型の奨学金を何としても、たとえ一部であっても導入するべきだというように思います。大臣、いかがでしょうか。
  106. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 隣に財務省の政務官もおりますので、改めて声を大きくして申し上げたいと思いますけれども、これまで私は、給付型奨学金制度の意味付けについては否定的ではなく、肯定的に申し上げておりますし、そもそも現状の奨学金制度においてもいわゆる給付的な制度があるということはまずは御理解いただいていると思います。  その上で、原理原則で考えるべき論点は四つあると。就職して税金を納めておられる同年代の方と、同時に、こうして奨学金を受けるという方々の公的資金の使われ方におけるやっぱり公平性、これやはり議論すべきでありましょう。これが一点目。  二点目は、給付型ですから、いわゆる渡し切りとなりますから、その財源は制度をする以上は恒久的な財源を確保すべきであって、そこをどこにどうやって求めるのかという、やっぱり財源の議論はより深めていくべきだと思います。  また、今、斎藤委員もおっしゃったように、対象者を、じゃ、どのように、まずはスタート地点においてどのようにやっぱり選定していくか、限定していくか。この考え方は私も何度も申し上げておりますが、経済的な事情によって入口に立てない国民がいるとすれば、それは一億総活躍社会と言えないのではないか、そのスタートラインに立てるようにすべき方々がいるのではないかという問題意識はこれまでも申し上げてきております。  それともう一つは、給付の在り方、給付の仕方であります。残念ながら、途中で中退される方もいらっしゃるかもしれませんので、恐らくこれは、導入するとしても、毎年のようにやっぱり認定は、あるいは確認ということはされなければいけないと思っています。  じゃ、こういう議論、財源論を特にですね、国民的な合意の下に進められることがやはり望ましいと思っておりますので、これまでもこういう論点を申し上げてきているわけであります。
  107. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 そうですね、例えば給付型、是非大臣のときにその導入にかじを切っていただきたいです。もう対象は最初は少なくてもいいと思います。  例えば親御さんが急に亡くなって大学進学をもう断念せざるを得ない、そういう特殊な状況にある子供について例えば高等学校からの申請によって給付をするとか、あるいは児童養護施設を十八歳で出るその子たちに給付をするとか、それはひょっとしたら数千人規模かもしれません。そういうことでもいいので、まず一歩踏み出すということは具体的に検討されてもいいのではないでしょうか。これだけ大きな社会的な話題になっていますので、是非御検討いただきたいと思います。大学の授業料の減免とセットで実質的に学費負担がゼロだというケースももちろんいろいろ様々複雑にあるというふうに思っておりますけれども、そういったことも含めて制度設計を是非お願いをしたいというふうに思います。  最後にもう一点だけ。  こういったことの業務を行っているこの日本学生支援機構なんですけれども、留学生の送り出しとか迎え入れ、あるいは学生の生活支援、様々なことをこの奨学金以外にもやっています。今の政権が目指していらっしゃるグローバルな人材育成、まさにその最先端に立つべき機構なんですね、JASSO。これ、ところが、ここの職員の配置というのが、昨今非常に非常勤の職員が増えているという話を聞いています。  人員の適正な配置を検討すべきだということを最後に申し上げたいというふうに思いますけれども、この点については、文科省さんあるいは財務省さんでもいいのですが、一度しっかり現場の状況を踏まえて必要な、もうこれからまさに先頭に立ってやっていただかなきゃいけないところですので、重要な組織だというふうに思いますから、業務量に見合う人材の配置、常勤、非常勤も含めて是非検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  108. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) 今お話ございましたように、平成二十七年四月一日現在の日本学生支援機構の職員数、常勤職員四百八十四名に対しまして非常勤職員三百五名ということ、そういう状況になってございます。  日本学生支援機構の業務は、奨学金事業に加えまして、留学生支援事業等、多岐にわたっております。その中で、これらの業務を遂行する上での責任や専門性に応じ適切な人員配置を行っているところでございます。  私どもも、JASSOにおいて、第三期の中期目標計画期間におきまして各事業の業務内容や業務量に応じて適切な人員配置を行うという考え方を持っておりますので、私どもからも日本学生支援機構に対しましてそれを促してまいりたいと思いますし、状況も把握したいというふうに思います。
  109. 斎藤嘉隆

    ○斎藤嘉隆君 百五十人ぐらいだったんですよ、十年前は、非常勤が。もう今は倍になっていますから、是非そこのところの改善をお願いをしたいと思います。  以上で終わります。     ─────────────
  110. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、田村智子君が委員を辞任され、その補欠として山下芳生君が選任されました。     ─────────────
  111. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党の那谷屋正義でございます。前回の大臣所信に続いての質疑ということで、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  あのときにも質問の中でさせていただいたのでありますけれども、将来、子供たちがなりたい夢、どんなものだったのかというお話をさせていただきました。  今日、新聞を見ますと、私がそのときに答えたのは、私は小さい頃はプロ野球の選手になりたかった、堀内さんに憧れていたと、そういうようなことを言ったわけですけれども、昨今といいますか、特に今日の新聞にも出ていました。巨人軍でまた新たな賭博の問題が出てまいりました。非常に子供たちの夢をむしばむというか、本当に落胆をさせるような出来事だというふうに思いますけれども、まず、このことについて、秋口に一旦これ幕引いたんじゃないかと思ったものがまたぼろぼろぼろぼろ出てきているわけですけれども、そうした状況について、馳大臣、通告していないんですけれども、申し訳ありませんが、ちょっと答えていただけたらなと思います。どのように認識をされているか、この問題について。
  112. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 委員長や堀内委員がおられる前ではっきりと申し上げたいと思いますけれども、やはりまず自戒を促したいと思います。当然、選手一人一人、そして球団に対して、また日本野球機構に対して、まず、やっぱり定められたルールにおいて、やっていいことといけないことをやっぱり自覚をしていただきたいと。  その上で、やっぱりルール違反、あるいはファンである子供たち、国民から見て、私は野球は国民スポーツと言っても過言ではないと思っておりますが、大変注目が集まる中で、こういう不祥事が起きたときにどういうふうに見られているのか、改めて見詰め直していただきたいと思っております。
  113. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 これは、言われている賭博云々だけではなくて、どうも最近のプロ野球界を見ていると、何だこれと思うようなことが実はあります。  野球の、例えば最初のときに円陣を組みます。その円陣を組むときに声を出すわけですね。普通はキャプテンが声出すんですけれども、あるチームでは輪番制にしておくと。その輪番制にした人が声を出して、そのチームがそのときに勝ったらば全員から幾ら幾らもらう、負けたらば千円ずつその声を出した人が配るという、こんなようなことが平気で行われているということ、このことというのは、日本における賭博というのがどういうものかという定義が非常に難しいかもしれませんけれども、しかし、これは誰が見ても、何かプロ野球の選手違うんじゃないのというふうなことを言わざるを得ないと思うんですけれども、これ、どうでしょう。
  114. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 質問通告がなかったので、ちょっと言葉を選びながら話をさせていただきたいと思いますが、金銭感覚が麻痺しているのではないかと、率直にこの話を聞いたときに思いました。  もう一点は、これはかばうつもりはありませんが、ただ、慣例としてこういうふうになっていたとするならば、慣例となっていたという意識自体が間違っていると私は指摘をせざるを得ないと思います。  今、オリンピック・パラリンピックを控えている我が国において、大変国際社会の注目が集まっております。IOCにおいては、スポーツ役割を極めて高めようというときに、インテグリティーという言葉を使って、不正を排除しようとかアンチドーピングしっかり取り組もう、スポーツの公平性、公正性、高潔性を保とうという方針で取り組んでおりますし、とりわけ我が国に対しては、スポーツ教育関係性において、日本の学校教育における取組スポーツという言い方ではなくて体育という言い方で、教育の側面を大変重要視していると、実は高い評価を受けております。  そういうことも踏まえて、改めて、プロ野球の選手諸君、球団の皆さん、そしてファンの皆さん、また、スポーツを取り巻いてくださっている多くの国民に対して、何がどうしてこんなことになっているのかということをやはり報告した上で、一つ再発防止は当然でありますが、皆さん方が、プロ野球選手といえども最初は野球少年であったわけでありますので、自分が大好きで取り組んでいた野球、そのやっぱり若かりし頃というか野球を始めた頃の気持ち、この原点に返っていただければより良いと思っています。
  115. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 このほかにも、例えばノックでミスをしたらば、一回ミスをしたらば幾らとか、コーチもそんなようなのに一緒に加わっているようなところがあるというようなお話で、これ全て金絡みになってきちゃうと、これ本当にスポーツと言えるのかなというような状況に、私は言えるというように思うんですよ。  ところで、突然でもう大変申し訳ないんですが、石井委員長、元プロ野球の選手であられたんですが、委員長の頃にそのようなことはございましたでしょうか。済みません、もしお答えいただければ。
  116. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ありませんでした。
  117. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 なかったという明言をいただきました。私もそう信じていたいというふうに思いますし、そうあるべきだというふうに思います。  今、再発防止というお話がございましたけれども、具体的に文科省として、いわゆるスポーツをあずかる、スポーツを担当する、所管する省庁のリーダーとして、この再発防止というものについて何か今お考えがありましたら、これも本当に通告なしで申し訳ないんですが、聞かせていただけたら有り難いと思います。
  118. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 私は、再発防止ということは、まさしく今回、誰がどういう段階でどう関わっていて何をしたのかということを具体的に明らかにすることが私は最大の再発防止だと思っています。つまり、誰もがどうしてあの選手が、あの人がそういうことをしてしまったのかということを不思議に思いながらも、どうしてあの中学生や高校生の頃に純真に野球に取り組んでいた選手がこういうことに関わるようになってしまったのか、その心の変化は何なのか、その背景に何があったのかという部分は、残念ながら余り報道でも明らかにされておりません。  私は、むしろ再発防止というのであるならば、文科省は立場上何か指導命令をするというふうな立場には今ありませんが、ただ、スポーツを所管している省庁という立場で申し上げれば、なぜそうなったのかということをみんなが知ることによって、その一つ一つの段階においてやっぱり、まあまあ、なあなあといいますか、あってはならないのですが、慣例に従ってしまったとか、そんなに重大なことだとは思っていなかったことが今回のこういう事態にまで深みにはまってしまったのではないかと思っています。  したがって、事実関係をしっかりと把握した上で、多くの方が、なるほど、こういう心持ちで、こういう気の迷い、こういう判断の間違いでこういうふうになってしまったのかということを理解することがまさしく二度とこういうことをしてはいけないと、そういうことを理解する私はまずスタート地点なのではないかと思っています。
  119. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 余り具体的なものが見えないですが、確かにすぐに具体的な行動というのは起こしにくいと思いますが、いずれにしても、前回も申し上げましたように、子供たちの夢としても非常に大きく出てくるプロ野球選手とかそういったものでありますから、こういったことで子供たちをがっかりさせるようなことだけは二度と起こらないように、それを所管する文科省としても是非厳しくその辺は監視していただきたい、このことを御要請申し上げておきたいと思います。  それでは、今度は通告させていただいた質問をさせていただきます。  先ほど、同僚の斎藤委員からまず大きな質問がございましたけれども、私の方もちょっと、割と大きなというか、質問させていただきたいと思います。  今の教育現場、いわゆる学校現場で何が一番必要と思われるか、何が欠けているのか、これについて文科大臣そして財務省、今日政務官にお忙しいところおいでいただきましたけれども、そのお二人にお伺いしたいと思います。
  120. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 財源だと思っております。
  121. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 那谷屋先生にお答えをいたします。  財務省といたしましては、日本の小中学校の教育現場では、一般的にいじめ問題あるいは校内暴力、また特別支援児童生徒の急増が見られるなど、教職員を取り巻く環境は多様化、また複雑化しておると思っております。  私個人としても、地元の地方で、徳島でございますけれども、少ない人口が増える地域の小学校に赴いてみますと、二十五年前、私が小学校にいたときから考えますと、非常に多様化したクラス編制、学校の環境にあるなということを痛感をいたします。まさに学校の先生方が授業以外の事務や調査に時間が取られておりまして、先進国でも大変忙しい状況にあるというふうな問題認識を持たせていただいているところでございます。
  122. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 文科大臣としては、大変、それでいいのという感じのお答えだったかなというふうに思います。財源さえありゃ、じゃ、いいのかという話だと思いますけれども、取りあえず全てはそういうふうなところから始まるというふうなことを、先ほどのいろんな審議のやり取りからは一応私の方でしんしゃくさせていただきたいと思いますけれども。  毎年、予算編成の段階の一か月ぐらい前になると、財政審が、ええっと思うような発言が、発言というか、出てくるわけですね。二年前は四万二千人を減らすことができると。そして、昨年においては三万七千人減らすことができる。そのときの審議会の中で、こういうふうに言われています。子供のためという名目で感覚的に教育予算の額を増大させることに着目するのは正しい政策判断とは言えない、結局、子供たちに借金するという形でツケを回すとしていますけれども、これは非常に不見識であると言わざるを得ない。教育は、次世代がこれからも豊かに生きるために、そして稼ぐ力を付けさせるためにも重要なわけですよ。現世代が唯一、次世代に対してできる贈物だというふうに考えるわけですね。そのときに、あのような見解である。  一方で、私が、先ほどちょっと斎藤さんからもお話ありましたけれども、平成二十七年度補正予算において、政府は年金受給者に向けて約四千億円の臨時福祉給付金の支出を決めた。この四千億円こそ次世代への借金のツケ回しじゃないかと私は申し上げたいんですよ。違うとすれば、なぜ教育予算だけが次世代への借金のツケ回しとなるのか、その根拠を聞かせていただきたいと思います。
  123. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 日本の財政状況につきましては、先ほど質疑もございましたけれども、まさに先進国中でも大変厳しい状況でもございまして、一般会計歳出の約四〇%を借金、つまり次世代に負担を先送りするということで賄っておるところでございます。  こうした状況におきましては、毎年の予算編成に当たりましてあらゆる予算事業について無駄を徹底的に排除をしていくということに加えまして、効率化や集中と選択という視点が非常に重要であろうというふうに考えております。  教育予算につきましても例外ではございません。単なる額の拡大だけではなくて、未来を担う子供たち、人材育成、子供たちの学力、能力、人間性の向上などの観点から、より効果の高い政策に資源を集中させていくということで効果的また効率的な予算としていく必要があろうというふうに考えております。  財政審にいただいた建議につきましては、こうした考えを述べてあるというふうに考えておりまして、二〇二〇年度までに基礎的財政収支の黒字化に向けて政府全体として取り組んでいかなければならないという姿勢をお示しいただいたものだと考えております。
  124. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 しっかり応えているかどうかということなんですね。例えば、さっきの四千億円と比べてみて、じゃ、集中と選択でそっちの方が大事だと、こういうふうに理解をするということでいいのかなというふうに思うんですけれども、それで国民は納得できるのかどうか。  もう一つ、財務省、財政審は、ちょっと時間の関係で少し飛ばさせていただきますが、教師は授業の専門家であり、教員を増やすことが本当に効率的、効果的なのかと疑問を呈されています。授業の専門家であると主張することの根拠は何なのか、授業の専門家であると主張することの根拠というのをお聞かせいただきたいと思います。これ、財政審の方で言った話ですので。
  125. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 財務省といたしましては、教師の方々の業務を授業に特化するということを理想としているわけではございません。その上で、むしろ年間の勤務時間はOECD諸国の平均を上回っているにもかかわらず年間授業の時間は下回っているというふうな事実もございますし、さらに、国や教育委員会からの調査等への対応の負担感が最も大きいという文科省からの調査もあります。さらに、授業以外の事務負担の負担感が非常に重たいという問題や、あるいは学校の徴収金に対して先生方が直接対応しなきゃいけない、そうした未納者への対応、あるいは国や県、教育委員会からの様々な調査対応等々が大変負担が大きいということの御指摘もあろうかというふうに考えております。  そうした中で、先ほど申し上げたチーム学校の推進等を通じて先生方の負担を極力緩和をさせていただきたいなと思っておりますし、加配措置につきましてはそうした意味合いも含めて措置をさせていただいたところでございますけれども、いずれにしても、本業とは何かということには戻ってしまいますけれども、こうした先生方が大事だと思われる業務につきまして、しっかり集中できる環境をつくるために努力をしてまいりたいと思っています。
  126. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ちなみに、文科省としては教師の本務というのはどういうふうに今までお考えだったでしょうか。
  127. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 教員の本務は教科指導だけでなく、生徒指導は教員の中核的業務であります。  例えば生徒指導に関する業務としては、いじめ等の問題行動を学校全体で組織として把握する体制づくり、実際に生じた問題事案の解決のための児童生徒への直接の指導、保護者への連絡や相談対応、警察、福祉、法務などの関係機関との連携などが挙げられます。これらの業務は、児童生徒教育上重い責任を伴うものであり、地域の外部人材や住民ボランティアが行えるものではありません。  学校としての責任ある指導体制は教員が中心となって構築する必要があるとともに、教員が総合的な指導を担う日本の学校の在り方は、保護者、地域にも強く期待され、国際的にも高く評価されていると認識をしております。
  128. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私も同感でありますし、これまで全部、現場の学校の先生方は恐らくその認識で、この間教壇に立たれていたり学校に勤務していたりするというふうに思うんですが、財務省は生徒指導についてはSCやボランティアに任せた方が効果的であるというふうにしているわけですけれども、その根拠というのは何なんでしょうかね。
  129. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 御指摘のございましたように、日本の今、小中学校の現場におきましては、いじめ問題やあるいは校内暴力というもの、問題行動の件数が増加しているという認識はいたしております。  これに対して、スクールカウンセラーあるいはソーシャルワーカーの配置に係る予算については極力拡充をして、今その配置を伸ばしてきておるところでございますけれども、単純な配置の拡充ということだけではなくて、経済的理由による教育格差の問題であるとか、限られた予算の中で極力現場に即した効果的な投資となるように工夫しながら予算を配置をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 それじゃ、そのスクールカウンセラーなりスクールソーシャルワーカーはどの程度全国に配置されているのかということについて、お示しいただけたらと思います。
  131. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  まずスクールカウンセラーでございますが、これ平成二十六年度の実績が今出ておりますけれども、二万二千十三か所に配置をされております。この配置というのは、予算積算上、週一回四時間という意味でございます。週一回の、実際には非常勤が多いと把握をしております。小学校で申し上げますと、公立小学校の配置率が五七%、それから中学校での配置率が八七%ということでございます。  また、スクールソーシャルワーカーの数字を見ますと、同じく平成二十六年度の実績として千百八十六人ということになっております。こちらは、多くは教育委員会に配置をされて、必要に応じて学校に派遣されるという形でございます。やはり週一日の積算でございますが、勤務形態の実態としては週二日の非常勤が多いというふうに把握している、そういう状況でございます。
  132. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ありがとうございました。  今、週一回というお話がございました。子供の様々な変容あるいはいじめなりなんなりというのは、週一回、その決まった曜日に起こるということではないんです。それに頼り切っちゃっていいのかどうなのかという問題は、まさにさっきの広島のお話にもありますけれども、いろんな問題が絡んでくると思いますよ、これ。  ですから、財務省さんが、SCだとかSSWに、そういうところに頼るのがいいというふうにおっしゃるんであれば、全校配置で毎日そこにいられるような、そういう条件整備をして初めて言えることであって、そうでない場合にはやっぱり日常先生方がいっぱい関わっておられるわけですよ。そのことを御存じですか。
  133. 中西祐介

    大臣政務官(中西祐介君) 現場のそうした課題につきましてはお伺いをしているところでございます。  その上で、予算ベース、配置数ベース共に、二〇一四年から一六年の三年間にかけまして各年度、一四年度につきましてはソーシャルワーカーの派遣人員で千三百五十七人、翌年は二千二百人、二十八年度につきましては三千人ということで配置数のベースを増やさせていただいているところであります。  スクールカウンセラーの派遣人数につきましても、派遣の校数につきましても順次増やさせていただいているところでございますが、まだ足らざるところにつきましては、財政状況等も踏まえながら、しっかり現場のお声にお応えできるように努力をしてまいりたいと思います。
  134. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 いずれにしても、予算の編成の一か月ぐらい前にあのような答申をぼこんと打ち上げるということは、日本政府の方針を疑われますよ。教育を大事だと言っておきながら、今このような状況にある中でああいうふうな数字をぼこんと平気で出すという、児童生徒の数が減っているんだから当たり前だみたいな物の言い方では、これはとてもじゃないけど、日本って本当に教育に力入れているのと疑問を言わざるを得ない。来年度予算、つまり今年の十一月にあんな花火は絶対に打ち上げないでもらいたいということを要請させていただきたいと思います。  ちょっと時間がないので、済みません、財務の政務官には一応ここまでということで、お引き取りいただいて結構です。
  135. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 中西政務官、退出されても結構でございます。
  136. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 次に、ちょっと時間の方が大分迫っていますので、答弁の方も端的にいただけたら有り難いと思いますが、多忙化の問題について私の方からまた御質問させていただきたいと思います。  学校現場の多忙化の解消に関わって、この間ずっと私いろいろ質問をしてまいりました。教員の勤務時間に関わる給特法というのがございます。これは、労働基準法第三十七条の適用を除外して、教員には時間外勤務手当を支給しないこととなっているわけです。  給特法の国会審議録では、労働基準法第三十七条の適用を除外したとき、無定量な残業が発生するのではないかという疑念が議論となりました。しかし、昭和四十六年四月二十八日でありますけれども、時の坂田文部大臣、当時文部省ですから、坂田文部大臣は次のように答弁をされています。この法案が通ったからといって、それによって今まで以上にぎゅうぎゅうと先生方の労働を強いていくことにはつながっていかないと述べられました。つまり、当時、文部大臣は、教職員の健康と福祉を害するような残業は発生しないと明確に述べられているわけであります。  一方、先日の文教科学委員会で私の質問に対して馳大臣は、全く違う、平成二十六年度に文部科学省が実施した教職員の業務実態調査では、平日の平均在校時間が小学校教諭では十一時間半、中学校教諭では十二時間となっているなど、改めて教員の多忙化の実態が示されたものと認識しておりますと、全く当時の大臣とは違う話になっております。また、小松局長は、教員のメンタルヘルス対策の充実推進を図ることは大変急がれる課題であるというふうに私どもも考えておりますと答えていただきました。  つまり、この給特法、成立した当時と現状とはもう全然合っていないというふうな認識でいるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 昭和四十六年に成立した公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法における法案審議時において、御指摘のような答弁をしたことは承知をしております。  一方、今日の学校を取り巻く環境は更に複雑化、困難化しており、学校に求められる役割は拡大しております。また、教育の質の向上のための授業革新や様々な教育課題への対応も求められております。平成十八年度に実施した教員の勤務実態調査の結果では、教員の一か月当たりの残業時間は平日、休日を合わせて約四十二時間と、昭和四十一年度の結果に比べておよそ五倍となっており、教員の多忙化の実態が示されたものと認識をしております。  文科省としては、教員の勤務負担の軽減を図り、教員が子供と向き合う時間を確保することは喫緊の課題であると考えております。
  138. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 つまり、この法律が制定されたときとは大きく状況が変わっているというふうに認識しているというふうに私の方では理解をさせていただきました。  さて、給特法第六条一項では、教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする、いわゆる四項目、限定四項目と言われるものでありますけれども、これについて裁判所はどう解釈をしているのかということで私の方でも調べたところ、平成二十五年一月三十日の大阪地方裁判所判決で次のように言われています。給特法第六条二項の配慮義務を踏まえ、単なる時間計測ではなく勤務の実情を把握して、教育職員の健康と福祉を害さないため必要かつ十分な措置をとることが要請されていると解すべきであると述べているわけです。  これは、給特法第六条第二項の立法趣旨として極めて重要なことを指摘しているというふうに私は考えますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  139. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 教員の健康が維持されるためには、勤務時間の適正な把握はもとより、その勤務の実情についても把握しつつ、業務負担の軽減や教員のメンタルヘルス対策の充実に取り組むことが重要であり、文科省としても、これまでも通知等により各教育委員会に対し指導してきているところであります。各教育委員会における取組充実するよう、引き続き指導してまいりたいと思います。  なお、判例中の御指摘の箇所については、その後の控訴審における判決において全面的に修正されておりますので、コメントは差し控えたいと思います。
  140. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 いずれにしても、このときに言われたことというのは現教育現場において非常に大事なことだというふうに思いますので、是非この改善に向けてしっかりと努力していただかなきゃいけないし、大臣が最初に言われたように、そのためには財源が必要だということでありますので、しっかりと財源を分捕っていただきたいと、言葉悪いですね、しっかりと確保していただけるようにまたこれも要請させていただきたいと思います。  お手元に資料をお配りしました。  今、勤務時間を把握することが大事だというふうに言われたんですけれども、連合総研が昨年十二月に実施された教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査では、管理職が勤務時間の把握をしているかという問いに対して把握をしていると回答されたのは、小学校では、そのグラフにもありますけれども、一七・三%なんです。中学校では一七・六%しかありません。連合総研が民間労働者を対象とした調査では、民間の管理職は六一・九%が勤務時間を把握しているというふうに回答されているわけです。労働時間が過重にならないように業務量を調整しているかという問いに対しては、していると思うと回答された教員は、小学校では二七%、中学校では二四・四%であると。連合総研による民間調査では三七・三%が業務量を調整していると思うと回答されているわけであります。  給特法第六条二項を法令どおりに実行するには、管理職による勤務時間の把握、業務量の調整がやはり必要だと、これ、前回私も申し上げたとおりであります。この実態は一刻も早く是正される必要があると考えるわけであります。  ちなみに、学校の管理職の人は全く役に立っていないということを申し上げるつもりはありません。そこにありますように、教職員の健康を気遣っているというところでは、小学校七〇・八%、中学校六七・八%と気を遣っているんですが、実際に、じゃ、具体的にどうするということについては、具体的なことをしておらずに、しかも、勤務実態、勤務時間すら把握していないという、こういう状況になっているわけですけれども、やはりこれを一刻も早く是正する必要があると考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  141. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 各学校において、労働安全衛生対策の一環として管理職が教員の勤務時間を適正に管理することは重要であると考えています。文科省としては、これまでも教員の勤務時間の適正な把握に関する取組を各教育委員会に対し求めているところであります。引き続き指導を行うとともに、業務負担の軽減などの取組も進め、教員が心身共に健康を維持して教育活動に携われるように指導してまいりたいと思います。  なお、具体的な勤務時間の把握方法については、学校の規模や組織運営の実情等によって多様にあり得るものとも考えておりますが、文科省としては、平成十八年四月三日付けの通知により、ICカードなどの客観的な記録や管理職の現認等の具体的な方法を示しております。各都道府県教育委員会等をそのときにも指導しております。
  142. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 何がいいのかというのは、実は私自身もまだはっきり分かっていませんけれども、自分自身のものも持っていませんが、また、何が勤務時間の中でやっているのかという様々な問題もあるので一様には難しいんですけれども、しかし、持ち帰る量だとかいろんなものを考えたときに、やっぱりきちっとそのことを把握しておくということは、教職員の健康管理を預かる管理職としては当然のことだろうというふうに思いますので、是非それが実現するということをまずお願いしたいというふうに思います。  いずれにしても、先ほど給特法の成立のときのお話をさせていただきましたが、もう全く、ある意味形骸化というふうに言っていいかどうか分かりませんけれども、もうその体を成していない、効力というものが全く感じられない中にあって、やはり少しこの部分については今後検討していく必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  143. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 先ほど委員も御指摘のように、超勤四項目、これについては改めて管理職も教職員の皆さんにもやっぱり御理解いただきたいと思います。  その上で、確かに教員の熱意によって頑張っている、長時間労働しているといえば聞こえはよいのですが、それによってむしろ疲れが翌日に持ち越して、せっかく子供たちに向き合って元気よく授業したり校務分掌しなければいけないのに、それができないと。その繰り返し繰り返しが更に疲労の蓄積となって、過労が慢性化してきて、それこそ子供たちにとって良い環境ではなくなっていくわけでありますから、この点も改めて踏まえて対応したいと思います。
  144. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 確かに、現場の先生方、本当に頑張るんですよね。頑張っちゃうので、そこだけに任せっきりにしちゃうと、もう今みたいにどんどんどんどん毎年五千人の人が療養休暇を取らなければならないような状況になるというようなことなので、やはりそこのところをまず改善していくということが、先ほど斎藤委員からお話があった文科行政としての一番必要なことではないかなということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。  済みません、ちょっと具体的な話に次なりますが、来年度予算の方を見ると、そこには養護教諭、栄養教諭等の予算について触れています。若干増になっております。要するに、全国でこれが十人ずつと。全国で十人ずつというふうになっています。例えば今、食教育充実やアレルギー対応の充実に関わる予算というのがほとんどないんですね、これは。栄養教諭の増員については、今言ったように十人ずつとなっていますね。栄養教諭が十人、養護教諭が十人。  文科省はアレルギー対応の充実が焦眉の課題として各教委、学校に求めているわけでありますけれども、予算上全く措置されていないということは、文科省としての責任をある意味果たしていないのではないか、各教育委員会、学校に丸投げしているというふうに言ってもおかしくないんじゃないかと思いますけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) まず、概算要求の段階で養護教諭は百人の要求が査定では十人であった、栄養教諭等は要求が五十人であったものが十人の査定でしかなかったと、ここは大変責任を痛感をしております。  同時に、委員指摘のように、アレルギーのある児童生徒の割合は増加しておりますし、また養護教諭においては、果たすべき役割がいじめへの対応とか不登校の問題とか、様々なお子様の心身のやっぱり苦痛に対応するような業務も増えておりますので、我々も改めてそこを痛感しておりますので、今後とも養護教諭と栄養教諭等の配置については努力をしてまいります。
  146. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 チーム学校ということも結構なんですが、やはり実のあるそういうふうな実態にしていただかないと、なかなか今の問題には様々な山積する課題を解決する状況にはなっていかないというふうに思います。  これはもう質問ではない、時間が来ましたので質問じゃありませんけれども、先ほど午前中、広島の府中、中学校の話が出ました。確かにこれ、許される話じゃありません。私も非常に強い憤りを持ちました。ですが、このことを前の委員会でも申し上げましたけれども、二度と起こらないようにしていただきたいという話を申し上げました。そのための具体的なものには、抜本的な理由は何なのかということもしっかり調査する必要があると思うんですよ。  例えば、その教員と子供が、生徒が話し合う時間というものが十分に確保できていたのかどうなのか。これは見付けるものだというかもしれませんけれども、今の現場ではなかなかそれが難しい状況になってきている、そういう体制の問題。あるいは、そういう問題について、例えば中一の問題を今度、中三のいきなりの高校の入試に使うという話ですから、これ本当におかしな話だなと私も思うんですけれども、そういう制度のおかしな問題とかそういったものをやっぱり先生方が自由に議論できるような、民主的なやっぱり学校の様々な在り方というのがあっていいはずなんですよ。ところが、今それが全くない。そういうことを議論する場がないんです。  そういうふうなところをやっぱり築いていけるような環境整備というのをしないと、これ、その場その場の対症療法ではまた同じようなことが残念ながら起こらないとも限らないというふうなこと、こういったことを申し上げさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 まず、高校生等に対する奨学のための給付金について伺いたいと思います。  資料の一を御覧ください。  この資料の一の上の方にその他教育費とありますが、その右にオレンジの箱で高校生等奨学給付金とありますが、これが住民税非課税世帯、年収でいうと約二百五十万円以下の方のために今支給をされていると承知をしております。この配付資料の二の上の欄にこの制度の詳細が示されています。これは、授業料以外の教育費、すなわち教科書、教材、学用品、通学用品、校外活動、生徒会、PTA会費、入学学用品など、こういう費用の負担を軽減するために高校生等がいる低所得世帯を対象に支援を行う制度承知をしております。  都道府県が行う給付金事業に対して国がその経費の一部を補助するというものですけれども、国の補助基準もありますが、各都道府県によって制度の詳細が異なると承知をしております。予算は、この配付資料の二の右上にあるとおり、二十七年度の七十九億円が、来年度、二十八年度は百三十一億円と、プラス五十二億円の大幅増加となっております。この理由は、この配付資料の二に示されるように、まず左の表、対象学年が今年度は一年、二年だけだったのが、二十八年度からは全学年が対象となること、二つ目に、この配付資料二の右の上の表にあるとおり、第一子における給付額が増加をしたこと、そして、この右の下の表にあるとおり、多子世帯の経済負担の更なる軽減が図られたこと、この三つの要因によると承知をしております。  こうして、この制度、二十六年度導入以来、二十七年、二十八年と拡充が図られており、これは大変評価をしております。しかし、実際に各家庭が必要とする教育費と比べますとまだ不足をしております。  配付資料の三を御覧ください。  配付資料のこの下が高等学校に係る様々な費用なんですけれども、左が公立高等学校、右側が私立の高等学校となっておりまして、授業料以外、この円グラフでいうと左も右も両方とも青を除いたところで見ますと、公立でざっくり授業料以外が二十四万円、私立でざっくり約四十八万円なわけなんです。なので、こうした額と比べるとやはりまだ足りないというのが現状なわけです。  本件については、本年一月二十八日の参議院の本会議におきまして、我が党の山口代表よりこのように質疑をさせていただきました。第一子の給付額の更なる改善に取り組んでほしい、こう訴えましたところ、総理からは、来年度予算、つまり二十八年度予算において、非課税世帯第一子の給付額の増額を盛り込んでおりとの答弁がありました。  確かに、第一子の給付額は、この配付資料二の右の表に示すとおり、この赤字で示される部分ですけれども、国公立が三万七千四百円から五万九千五百円、私立では三万九千八百円から六万七千二百円へと増額をされておるんですけれども、先ほど円グラフでお示しをした公立二十四万、私立四十八万の水準には達していません。  なので、是非とも今後、第一子の支給額を第二子以降並みに引き上げていただきたいと思うんですけれども、文科省見解お願いをいたします。
  148. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) 御質問、奨学給付金とそれから授業料等の関係の就学支援金と両面あろうかと思いますけれども、奨学給付金の方をお答えするということで……
  149. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 はい、そうですね。奨学給付金、高校生等奨学給付金の方だけお答えいただければ。
  150. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答えを申し上げます。  まず、現在、第一子と第二子と差があるわけでございますけれども、一つ御説明をしておかなければいけませんのは、高校生等の奨学給付金につきましては、高校無償化制度の所得制限を導入したときに捻出された財源を活用して平成二十六年度に創設をしたと。その創設の際に、特に多子世帯の重い教育費負担を軽減するという趣旨で、第一子よりも第二子以降の給付額を手厚くしたというまず出発点、考え方がございます。  そこから始まりまして、その後、低所得世帯の教育費負担そのものについて更なる軽減を図らなければいけないという趣旨から、先ほど先生から詳しい数字の御説明、御紹介もございましたけれども、第一子の給付額について、平成二十七年度に増額を図り、二十八年度の今の予算案につきましても、国公立で二万二千百円の増額、私立はそれより多い二万七千四百円の増額を盛り込むという形で努力をしております。  そういう意味では、多子世帯への配慮と、それから低所得世帯への配慮を組み合わせながら更に充実をしていこうという考え方で予算案を組んでおりまして、文部科学省としては、引き続き財源を確保しつつその制度充実に努めていくという考え方の下に、家庭の経済状況にかかわらずに全ての意志ある生徒さんが安心して教育を受けられるような環境というものを更に整えていきたいというふうに考えております。
  151. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今局長がおっしゃった意志ある子供たちがちゃんと学べるような環境づくり、この趣旨にのっとって、是非とも環境整備の方、増額の方をまた御検討いただければと思います。  次に、私学で学ぶ生徒、学生に対する経済的支援について伺いたいと思います。  私立学校は、建学の精神に基づく個性豊かな教育活動を積極的に展開しており、高等学校で約三割、大学等で約八割の学生、生徒が私立学校に在籍するなど、公教育において重要な役割を担い、我が国の学校教育発展に大きく貢献をしてまいりました。  しかし、国から私立学校への支援は低水準で推移をしておりまして、結果として高額な授業料となって生徒、学生の家計を直撃をしております。  資料の四を御覧ください。  これは教育費負担の国公立、私立の比較を示したものなんですが、一番下のところに幼稚園から大学まで全て国公立に行った場合と私立に行った場合の負担の比較を示しています。全て国公立の場合はざっくり七百七十万円、全て私立の場合は一番右ですけれども約二千二百万円、大体三倍弱にも上る負担となっています。  そこで、まず私立の大学への助成について伺いたいと思います。  まず基盤的経費について。配付資料の五を御覧ください。  ここには、私立大学等における経常的経費と経常費の補助金額の推移を示したものです。棒グラフの高さで示される経常的経費、これは徐々に増えてきております。そのうち棒グラフで塗り潰されている部分、これは補助の額なんですけれども、ここ十年くらいずっと横ばいだということがこの図から分かると思います。  日本私立大学連合会の意見書、教育立国実現のための教育投資・財源等に関する意見、これは平成二十七年の五月に出されたものですけれども、次のように指摘をしております。私立大学への公財政教育支出は、他国と比べても類例のないほど極めて少なく、換言すれば、我が国高等教育は私立大学の学生の高負担によって担われている、こう指摘があるんですけれども、確かに、先ほどの資料四、国公立と私立の負担の比較、またこの資料の五を見れば、この指摘はそのとおりだなということが分かると思います。  私立学校振興助成法第四条には、私立大学を設置する学校法人に対し、当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができるとありまして、法の制定時には、この参議院の附帯決議において、国の経常費補助の割合をできるだけ速やかに二分の一とするよう努めることと決めていたんですけれども、その補助割合は、この資料五の折れ線で示したのが補助割合なんですけれども、昭和五十五年に二九・五%とピークを打った後はどんどん減少を続けまして、今日では僅か一〇%なわけです。  今年度の予算案では、私立大学等経常費補助は前年度と同額の三千百五十三億円となっております。これまで約十年間続いた、だんだんだんだん減らされていくという傾向を食い止めたことは素直に評価をしたいと思うんですが、やはり十分ではないのではないかと思います。財務省との厳しい調整があることはもちろん承知をしておるんですが、今後、是非、私立大学の補助の拡充を検討していただきたいのですけれども、大臣の御所見、お願いします。
  152. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 我が国大学の約八割を占める私立大学は、建学の精神に基づいて、社会時代ニーズを踏まえた個性、特色ある教育を実施しており、高等教育における私立大学役割は非常に大きいものと考えております。  このため、文科省では、私立大学に対する基盤的な機関補助として私立大学等経常費補助、私学助成を毎年度措置しておりますが、平成二十八年度予算案では、対前年度同額の三千百五十三億円を確保しているところであります。  しかしながら、委員指摘のとおり、私立大学等の経常的経費の二分の一以内を補助することができるとしている私立学校振興助成法の規定がある一方で、経常的経費に占める私学助成の割合は一〇・一%という事実がございます。  厳しい財政事情の下ではありますが、今後とも、私学の果たす重要な役割に鑑み、私学助成の充実に取り組むとともに、努力する大学のインセンティブになるような効果的な配分に努めてまいりたいと思います。
  153. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 今の大臣の御所見のとおり、是非とも補助の拡充、勝ち取っていきたいと、私も、私たちもしっかりサポートしていきたいと思っております。  次に、低所得の世帯への私立大学学生への授業料免除の拡充についてお伺いをしたいと思います。  私立大学の学生の中には、学費や生活費の支払のためアルバイトを余儀なくされたり、卒業後、奨学金の返還に困難を伴ったりする場合も多いと聞いております。特に、低所得世帯の学生がしっかりと学びに専念できるよう、授業料の減免を拡充すべきと考えます。  近年、授業料減免の対象人数は、平成二十六年度の約三・九万人から平成二十七年度四・二万人、そして二十八年度は四・五万人と増加をし、予算額も二十七年度の八十五億円から八十六億円とやや増加していること、これは評価をしたいと思いますが、今後もう一歩踏み込んだ拡充を求めたいと思います。  私立大学生の授業料免除の更なる充実に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、文科省見解お願いします。
  154. 杉野剛

    政府参考人(杉野剛君) 失礼いたします。  意欲と能力のある学生の皆さんが御家庭の経済事情に左右されることなく大学に進学ができて、教育を受けることができるということはとても大切なことだと考えております。  ただいま御指摘いただきましたとおり、各私立大学がそこに在学する学生に対しまして、家計の状況などを見まして授業料の減免を行うというケースがございまして、そういった場合の補助制度がございます。近年充実を図っておりまして、三年前の平成二十五年度では七十億円の予算計上でございましたが、平成二十八年度予算案におきましては八十六億円、四万五千人の学生を対象として予算を計上させていただいているところでございます。  こうしたことも背景にございまして、この補助制度活用されている大学の数、これが近年増えております。十年前の平成十八年度、三百四十四校の利用でございましたが、本年度は五百十三校ということで、十年間でちょうど一・五倍まで拡大をしておりまして、各私立大学におかれましても、学生への経済負担の軽減の問題に真摯に取り組んでいただいているというふうに考えております。  文部科学省といたしましては、引き続きこうした各私立大学取組を支えるべく、授業料減免の充実を図りますとともに、奨学金事業なども推進いたしまして、私立大学に通う学生が安心して学ぶことができる環境の整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  155. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 是非とも前向きにお願いをしたいと思います。  次に、私立高校、中学、小学などの支援についてお伺いをしたいと思います。  まず、基盤的経費について伺います。  私立高校等経常費助成費等補助の額は、昨年度から十四億円増の一千二十三億円と承知をしております。二十六年度から二十七年度にかけては約十六億円の増なので、連続で増額をされていることは評価したいと思います。今後も引き続きこの私立高校等経常費助成費等補助の額の確保に努めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  156. 杉野剛

    政府参考人(杉野剛君) 私立の高等学校以下の学校につきましては、その学校の所轄庁が都道府県知事となっておりまして、そういったことから、各都道府県におきまして広く私立学校に対する経常費助成を行っていただいているというところでございます。国といたしましても、私立学校振興助成法に基づきまして、そうした各都道府県が行います私立学校に対する経常費助成の一部を補助させていただいているというところでございます。  平成二十八年度予算案におきましては、まず、生徒一人当たりの単価を増額すること、それから、教育の国際化などを進める学校への支援を拡充すること、さらには、私立幼稚園におきます障害のある幼児の受入れへの配慮をすることなどを含めまして、今御指摘のとおり、対前年度約十四億円増の一千二十三億円の予算を計上させていただいているところでございます。  大学教育のみならず、初等中等教育段階におきましても私立学校の果たす役割は非常に大きいと考えておりまして、私立学校の教育条件の維持向上、教育費負担の軽減、さらには学校経営の健全化といった観点から、今後とも必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  157. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 是非前向きな取組お願いをしたいと思います。  次に、低所得世帯の私学の高校生等への就学支援金の拡充についてお伺いをしたいと思います。  また配付資料の一に戻っていただきたいと思います。  この私学の高校生への家計への支援については、平成二十六年度から導入がされました高等学校等就学支援金がありまして、二十八年度は三千六百八十億円が予算計上されていると承知をしております。この図でいいますと、この階段状になっている濃いオレンジ色のベースの上に私立学校のみ、薄いオレンジ色の階段がありますが、これはこの就学支援金の私立学校への加算と承知をしております。  年収が五百九十万円以下の私学の方には加算がありまして、最大でこの就学支援金の二・五倍、約三十万円の支援があると承知をしております。公立については、年間授業料と同額、十一万八千円の就学支援金があるので、実質授業料は無料となり、自己負担はゼロです。  一方、私学は、私立高校の平均の授業料、年額がこの図の縦軸の一番上にあるとおり、三十八万三千五百九十八円とありますので、年収約三百五十万円以上五百九十万円以下の世帯では年間約二十万円強の自己負担、二百五十万円から三百五十万円では年間約十五万円の自己負担、そして二百五十万円以下の住民税非課税世帯でも約九万円弱の自己負担が生じることになります。  なので、こうした特に一人親世帯を含むような低所得層については、私学の高校生への更なる支給額の上積みを検討してほしいと思うんですけれども、御見解お願いいたします。
  158. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答え申し上げます。  平成二十二年度から始まりました高校無償化制度につきまして、平成二十六年度から所得制限を導入をいたしました。その際の捻出財源によって、ただいま御指摘のように、就学支援金の加算そのものの拡充を行っていること、それから、先ほど御質問のございました奨学給付金の制度の創設をしたこと、こうしたことによって、まず低所得の私立のお子さんも含めまして、トータルとして、高校生等の方々が学校へ通われる支援の充実を図っていると、これが一つ方向としては、私どもの取っている方向でございます。  今後とも、家庭の経済状況によって高校進学を諦めることや中途退学することがないようにしていくという政策の考え方の下に、様々な在り方を検証してまいりたいと思っておりますけれども、この点に関しましては、この法律改正時に衆参両院で決議された附帯決議において、改正後三年経過後に見直しを行うということも盛り込まれております。こうしたことも踏まえまして、三年経過後といいましても、平成二十九年度以降に行う政策効果の検証ということもございます。  こうした動きの中で、今御指摘のありました私立高校に通う低所得世帯層の生徒さんへの支援の在り方、これらも種々検証してまいりたいと思っております。方向といたしまして、それらを通じて、希望する質の高い高校教育がどなたでも受けられるようにという方向を更に進めてまいりたいと考えます。
  159. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 是非前向きな検討お願いしたいとともに、我々としてもしっかり議論を深めていきたいと思います。  次に、公立学校の施設の老朽化対策、とりわけ長寿命化改修の計画的な推進について伺いたいと思います。  本年一月二十八日の参議院の本会議におきまして、我が党の山口代表から、このように質疑をさせていただきました。平成二十七年度の施設整備費は六百億円もの予算不足が生じ、多くの未採択事業が発生し、平成二十七年度補正予算と二十八年度本予算合わせて一千百億円が計上されたが、自治体からの要望全てに対応できていない、安全面、機能面で子供たちの学びの環境を整えるとともに、災害時の拠点ともなる防災機能を強化するためにも適切な整備は急務、このように訴えさせていただきました。  配付資料六を御覧ください。  これは学校施設の老朽化による不具合、安全性の低下を示しています。トイレや空調の整備、老朽化対策がこの資料に見られるように現状では遅れております。ちなみにトイレについては浮島委員から三月九日に衆議院で問題提起させていただきまして、馳大臣から前向きな決意もいただいているところでございます。  次の配付資料七を御覧ください。  老朽化の対策の課題について示しております。この右上の棒グラフのピンクのところ、これが建築後二十五年以上経過して改修が必要な公立の小中学校を示していますけれども、これは学校の七割にも上っております。この対応の遅れは、この左上の写真に示すように、コンクリートの落下だとか配管の破裂、破損などを引き起こしておりまして、まさに待ったなしの状況にございます。  また、同じくこの配付資料の七の中ほどに示されるように、長寿命化改修、これは学校施設の老朽化対策を効率的、効果的に進めるための新しい改修方法です。従来のように建築後約四十年で建て替えるのではなくて、コストを抑えながら建て替え同等の教育環境の確保が可能でありまして、この配付資料の七の赤字部に示しますように、工費は建て替えと比較して四割ほどもコストダウンができるということになります。  次のページ、資料八を御覧ください。  この資料八には改築を中心とした改修の場合と長寿命化改修をした場合のコストの比較を示しております。上が改築中心、下が長寿命化改修です。今後三十年を考えますと、改築中心が約三十八兆円、長寿命化改修を中心とした取組だと約三十兆円と大きくコストダウンができますし、また作業のピーク、これも分散されることがこの二つのグラフを見れば明らかでございます。  子供や地域住民の安心、安全のために、空調などの施設整備、そして老朽化対策として長寿命化改修を計画的に推進することが必要だと思います。そのために自治体が必要とする予算をしっかりと確保すべきと考えますが、馳大臣の御所見をお願いをしたいと思います。
  160. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 学校施設は子供たちの学習や生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる施設であります。また、地域コミュニティーの拠点ともなることから、安全、安心な学校づくりが一億総活躍社会実現に極めて重要であります。  公立学校施設については、近年老朽化が大きな課題となっており、工事費を抑えながら改築同等の教育環境を確保できる長寿命化改修の導入等により計画的に老朽化対策を進める必要があります。このため、平成二十五年三月には学校施設の老朽化対策について通知するなど、地方公共団体において老朽化対策に計画的、効率的に取り組むよう要請しているところでもあります。また、空調設置や長寿命化改修を含めた公立学校施設整備に係る予算として、平成二十七年度補正予算で三百八十八億円、平成二十八年度予算案で七百九億円の合わせて約一千百億円の予算を確保したところであります。  今後とも地方の声に十分耳を傾けながら、空調設置や長寿命化改修など、公立学校施設教育環境改善にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  161. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 前向きな御答弁、ありがとうございます。是非とも力強く推進をしていただきたいと思います。  最後に、私立学校の耐震化の推進について伺います。  三月九日の衆議院の文部科学委員会におきまして、我が党の浮島委員が本件について取り上げたところ、馳大臣からの答弁におきまして、早期の耐震化完了に向け、各都道府県、学校法人と連携し、全力で取り組むとの決意が示されました。  ここで、配付資料の九を御覧ください。  これは私立学校の耐震化関係予算なんですけれども、当初予算プラス補正予算で考えますと、平成二十七年度当初予算の百二十五億円と平成二十六年度当初予算の三百六十三億円、合わせて四百八十八億円だったのが、平成二十八年度当初予算の四十五億円と平成二十七年度の補正予算の五十億円を合わせて九十五億円となって、昨年度と比べますと、四百八十八億円に対して九十五億円ということで、五分の一の実質大幅減となってしまっています。  今後、私学の耐震化予算の確保を求めたいのですが、どうでしょうか。また、私立学校の早期の耐震化完了のために予算確保以外にどのような課題があり、どう取り組むのか、文科省見解お願いします。
  162. 杉野剛

    政府参考人(杉野剛君) 私立学校施設の耐震化につきましては、御指摘のとおり、これまで耐震の補強、それから改築についての国庫補助で集中的に支援強化を図ってまいりました。  年々耐震化率は向上しておりますけれども、残念ながらまだ、国公立学校に比べますと財源の自己負担部分があるといったような事情もございまして、耐震化に遅れが出てきております。早期完了に向けて、まずは予算確保にしっかり取り組みたいと思っております。  それ以外に課題は何かないかという御指摘でございますけれども、三点、考えております。  まず一つは、都道府県、これは高校以下でございますけれども、各都道府県独自の補助制度、この取組が広がっております。これを更に拡充していただくべく、各都道府県にお願いをしたいというのが一点でございます。  二点目は、私立学校振興・共済事業団が行っております長期低利融資制度でございます。自己負担部分の軽減につながりますので、このための予算確保に努めたいと思っております。  最後の三点目でございます。耐震化、あと一〇%程度残っております。逆に申し上げますと、どの学校法人のどの施設が遅れているかということがもう具体的に分かるという状況になっておりますので、個別の学校の御事情をよく聞いてきめ細かな御相談に応じて御指導差し上げたいと、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  163. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 自治体や関係機関、また学校との調整を進めながら、是非とも前向きな取組お願いしたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  164. 柴田巧

    ○柴田巧君 維新の党の柴田巧です。本日の最終バッターです。よろしくお願いします。  先ほどからこの委員会で子供の貧困に関連していろいろ質問が出ておりますが、私も取り上げたいと思います。  まず質問したいのは、いわゆる高校中退をめぐる問題であります。  そもそも高校を中退をしてしまうと、一旦学校をそういうふうに離れてしまうと、そういう世代、年齢層の子供たちは、未成年であるにもかかわらず、もろもろの政策の網から抜け落ちてしまうということが基本的にあるわけですが、改めて言うまでもありませんが、高校中退というのは中卒に扱われると。中卒と高卒と大学等の卒業者と、やはり生涯にもらえる賃金というのはかなり差が出るのは御案内のとおりでございまして、したがって、子供の貧困に関する大綱についてにおいても、生活保護世帯に属する子供の高校等中退率が子供の貧困に関する指標になっているわけです。  そういうことからも、貧困の連鎖を断ち切っていくというためには、この高校中退をどう防いでいくかというのは非常にこれは重要になってきていると思っておりますが、それのいろんな実態把握や効果的な手だてというのはちゃんとなっているんだろうかということを心配をするところでございます。  お手元に資料をちょっと作らせていただきましたが、まず、何といっても実態をより良く把握するというのは大事なんですけれども、今いわゆる中退率と文科省が発表しておりますのは、今、お手元の表でいうと一番下にございますが、平成二十四年度と書いてある下を見ていただくと、一・五〇ということになるんですね。  文科省のこの中退率の算出方法というのは、そこにも書かせていただきましたが、ある年度の学校全体の中退者数をある年度の当初の学校全体の生徒の在籍数で割るということにしているわけですね。つまり、学校全体の生徒数を母集団としているわけですから、学年が上がるにつれて中退者数は減っていくということになりますから、明らかに中退率は下がるということになるんですね。  この方法だと、うがった見方をすると、中退率を下げるというか、中退に関わる問題を隠蔽するためにこういう算出方法を取っているのかなと思わざるを得ないわけですが、思ったりするわけですが、そうではなくて、非卒業者率というもので見たらどうなるかというのが、例えば平成二十四年でいうと百十三万四千人余りの子供たちが入学をしてくる。三年後、平成二十七年三月には百六万余りの子供らが卒業していると。引き算すると、非卒業者数、いろんな理由で卒業しなかった人たちは七万余りだと。パーセンテージにすると六・一八と四倍違ってくるということなんですね。  やはり実態を正しく把握するにはこの中退率でいいんだろうかと、この非卒業者率というものを着目する、あるいは重視をすべきなんじゃないかなと思います。一・五%の中退率で、生活保護世帯に属する子供の高校等中退率は四・九だと言われていますから、この非卒業者率で見るともっともっと恐らく数字はでかくなるんではないかと推測したりもしますが、いずれにしても、よりよく実態を把握するために、中退率ではなくて非卒業者率、これをやっぱり用いるべきじゃないか、重視すべきじゃないかと思いますが、どう考えていますか、お聞きをしたいと思います。
  165. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) 御指摘文部科学省調査でございますけれども、これは児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査というところで行っておりますが、やり方は、年度の途中に校長の許可を受けて、又は懲戒処分により退学した高校生の数ということでございます。御指摘のように、今日お出しをいただきましたこの入学者と三年後の卒業者を比べたものとを見ると乖離が生じます。  私どもとしては、今高校で学ぶ機会を得るということ、それからそれが全うできるということとの関係については非常に重要な問題になってきていると思います、経済格差の問題も含めまして。そういった意味で、できるだけ正確に状況を把握したいということは考えております。  その意味では、私どもといたしましては、詳細な実態調査のためにはこの非卒業率というものが正確に取れるかということについて検討をしてみる必要があると思っております。本日御指摘あったんですけれども、それをやるにはまず抽出調査を実施して、実態を把握できる調査方法等について検討してみたいと考えます。  この数には、例えば移住されたとか留学されたとか留年されたとか、あるいはよその高校へ移られているとか、そういったものを測らないといけないという面があるんです。それには複数年度にわたってその高校生を追跡する必要があります。そのときに、プライバシーの問題とか協力してもらえるかとかいうことはどの程度できるかというようなことは技術的には考えなきゃいけないんです。しかし、それをやるにはむしろ具体に、A高校とかB高校とか、その抽出したところでこういうふうにするとうまく取れるというようなことが研究できれば、それなりに行政的に意味のある、意義のある調査結果が得られるということがあるかなと思います。  御指摘を踏まえまして、そういう形でちょっと是非、今後に向けてそういう方法も研究してまいりたいというふうに考えます。
  166. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、確かに難しさもあるとは思います。しかし、先ほど申し上げたように、より実態を把握をしていくために、今までのものが絶対だということではなくて、いろんなやり方を用いてより実態に近いものを是非見出していただきたいと、これはお願いをしておきたいと思います。  それから、いろんな文科省でも調査をされているわけですが、高校をなぜ中退をしたかという調査を確かにしておられます。これは先生に実際聞いていらっしゃるんだろうと思いますが、ただ、私も不思議だなと思ったのは、その理由調査は択一なんですね、一つしか選べないという、理由が、なんですよ。  そうすると、例えば二十六年度の調査によると、中退者の理由のうち一番多かったのは学校生活・学業不適応が三四・九、次が進路変更だという理由が三四・八なんですね。経済的理由を挙げたのは二・三しかないということになるんですが。  これ、何で学校生活、学業に不適応になったか、あるいは進路を変更せざるを得なかったかというと、場合によったらいわゆる家庭の事情というか経済的理由があったのかもしれませんが、一つしか書けないとなると、そこを選ばれてしまっているというのがあるんじゃないかと思いますと、これ、どうしても択一でやらなきゃいけないということではなくて、複数回答を求める方式に変えてもいいんじゃないかと思いますが、この点どうですか。
  167. 小松親次郎

    政府参考人小松親次郎君) お答えをいたします。  ただいま御指摘の点も、近来、教育的な条件の充実を図る上で非常に大きな問題になっていると私どもも認識しております高校での学習をきちんと全うできるような条件整備ということにひとしく関わる御指摘だというふうに受け止めます。  今、複数回答にしていない理由は、複数回答にしますと大抵複数で上がってまいります。学校をやめるというのはそれなりの大きな動きでございますので、様々な事情が確かに重なってまいります。そこで、それを、聞き方によっては、多くの要因が選択されてきて傾向の把握が困難になるということも懸念されるところはあって、私どもとしては、それを基にどこかに重点を設けて政策に結び付けていくという目的が、浮かび上がらせなければいけませんので、そういった意味では、技術的な制約も含めて、主たる理由を一つだけ答えてもらうということにしているというのが実情でございます。  しかしながら、御指摘のとおり、先ほど私の方からも申し上げましたが、高校中退には複数の要因が重なって中退に至るという場合が当然いろいろ考えられるわけでございます。これが政策にうまく結び付くような形で把握ができれば、それも非常に有意義だというふうに私どもも考えます、御指摘に対しまして。  そこで、先ほどとほぼ同じような方向性になるかと思いますが、より正確に実態を把握するためには、毎年調査内容の見直しを行っておりますので、複数回答方式というのが拡散し切ってしまわない形でうまく取れるか、複数回答でも制限方式とかあるいは単数と複数を併用するとか考えられるかもしれないというふうにも受け止めさせていただきまして、今の時点でちょっと、直ちに複数にするとか、いや、しないとかと言い切れないんですけれども、御指摘を踏まえて、ちょっと調査方法の改善について検討を、抽出方式のような具体的な形を使って深めさせていただきたいと、そのように考えさせていただきます。
  168. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、いろんなちょっと工夫をして努力をしていただきたいと思います。  いずれにしても、いわゆる貧困の家庭に生まれ育った子供たちが進学や就職を考える際に、高校を卒業すればやっぱり選択肢がいろいろ広がるのは事実だと思いますが、現実は、せっかくサポートを受けて高校に上がっても、いろんな問題に直面して卒業できないままに中退してしまうというケースが多いとも見られるようになってきたと思います。  それをやっぱり食い止めるために、魅力ある学校づくりというか生活の支援といいますか、やっていく必要があると思っていますが、文科省でも確かにサポートスタッフの配置などもやってきたのは事実ですが、今後、特にどういうところに力点を置いて事業を展開をしていこうとお考えになっているのか。また、厚労省の方でも、高校進学後も支援員が面談をして中退を防止したりなどの事業をやっているわけですね。ここはやっぱり連携を上手にして、子供たちの高校中退を防止をしていくというのは大事だと思っていますが、どのように取り組んでいかれるか、併せて大臣にお聞きをしたいと思います。
  169. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) まず、文科省としては、中退の未然防止となるように、家庭環境の改善等に係る福祉的サポートを行うスクールソーシャルワーカーの配置拡充などによる教育相談体制の充実教育費負担軽減のための高校生等奨学給付金の拡充、学力向上などを目的としたサポートスタッフの配置充実など、こういった取組を行っております。  また、平成二十七年四月に生活困窮者自立支援法が施行されたことに伴い、厚労省、文科省が、昨年三月二十七日の同日付けで生活困窮者自立支援制度に関する学校や教育委員会等と福祉関係機関との連携についての通知を発出し、教育委員会などと福祉関係機関などの連携を呼びかけたところであります。  その内容について申し上げますが、三つ主なものを申し上げますが、自立相談支援機関の相談支援員などとスクールソーシャルワーカーとの連携、学習支援に関する事業の連携、高等学校等の修学支援に係る連携、こういったことについて通知をしているところであります。  各地域の実情に応じて連携が図られているところでありますが、今後は、その連携の好事例などについて事例集を作成するなどして、地域における福祉関係機関との連携が図られるように支援をしてまいりたいと思います。
  170. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、文科省としても全力を挙げてこの高校中退の問題に当たっていただきたいと思います。これが先ほど申し上げたように貧困の連鎖を断ち切っていく一つの有効な方法ではないかと思いますし、もっと力を注いでいただきたいと思っております。  ちょっと時間が迫ってまいりましたので、幾つか飛ばさせていただいて、奨学金の問題に入りたいと思います。  先ほども奨学金の話が出ておりましたが、いわゆる日本奨学金あるいは日本学生支援機構をめぐる問題は、先ほども斎藤先生からもいろいろありましたが、このいわゆる返済については、もう奨学金地獄だと言われたり、あるいは返還不能となって自己破産せざるを得ない事例も多々見られるようになってきたのは極めて残念なことだと思います。いつの間にか官製学生ローンであったり取立て屋と言われるような今有様になっているということですが、本来、人生を豊かにするはずの教育への投資が逆に人生の選択肢を狭めたり、奨学金制度が貧困を逆に固定化するようなビジネスモデルになっているんじゃないかと心配をするところでありますが、いろいろな見直しが必要だと思います。  確かに、いろいろ返すのが厳しくなっていわゆる返済猶予制度というのが設けられているわけでありますが、また、それは機構から言わせるといろいろの機会に案内はしておりますということではありますけれども、実際、これ機構が行った調査でも、延滞者の実は五三・六%が猶予制度の仕組みについて知らなかったと回答しているんですね。もっと言うと、延滞者の中で猶予制度を知っていると回答した者のうち、猶予制度を一度も利用したことがないという人に聞いてみたら、手続がよく分からない、よく知らないという人が三二・七%もいたということで、せっかくそういう返済猶予制度があったとしても、知られていないのではこれセーフティーネットとして機能しないということになってしまうわけで、ここはやはり機構として丁寧な説明をもっとしたり、あるいはより良く周知をするという発信方法をこの機会にやっぱり改善すべきじゃないかと思いますが、この点、どういうふうにお考えか、お聞きをしたいと思います。
  171. 常盤豊

    政府参考人常盤豊君) お答え申し上げます。  様々な事情によりまして、卒業後、厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な者に対しましては、従来から、毎月の返還額を減額し、長期間掛けて返還する減額返還制度、あるいは経済的困窮による返還期限猶予制度により対応してきたところでございます。  特に、返還期限猶予制度等の内容、手続等でございますけれども、幾つかの段階でその内容についての周知を図っているところでございまして、一つは、奨学金の貸与が終わった段階奨学金の貸与を受けた者全員に配付いたします「返還のてびき」というものがございます、その中での周知ということ。それから、返還開始の直前に貸与終了者全員に郵送する文書がございます。また、毎年返還中の者全員に郵送する奨学金返還の振替案内、こういうそれぞれの段階での書類がございまして、その中でこの返還期限猶予制度の内容、手続等について記載をしております。加えて、各学校が実施する返還説明会等においてもその制度の周知徹底に御協力をいただいていると承知をしております。その中で、年々知らないという方は減少していることはあるんですが、ただ、一方で、今御指摘のように、まだ認知していない方がいらっしゃいますので、文部科学省といたしましては、今後、更に周知が図られるよう、いろいろ工夫を重ねて必要な取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
  172. 柴田巧

    ○柴田巧君 だから、どういうふうにやるのかということをお聞きをしたかったんですが。  今、時間がなくなってきたので最後の質問にしたいと思いますし、いずれにしても、せっかくやっても機能しないんじゃ意味がないと思いますので、しっかり利用する立場に立って、いいもの、いい方法を見出していただきたいと思います。  最後の質問になると思いますが、その奨学金に関連して、この委員会でも、またこの国会では、いわゆる給付型奨学金の問題がずっと取り上げられております。もう決断するときは来ているというか、機は熟してきたと思っていまして、一部でも、先ほどありましたように、一歩でも前進をすべきじゃないかと思っています。  その中で、読まれた方も多いと思いますが、先般、寺脇研さん、京都造形芸術大学の教授で、文科省のOBということにもなるんだと思いますが、この方が、児童養護施設や里親などの社会的養護の下にある高校生で卒業後進学を希望する者を対象にして風穴を開けてはどうかということを提言をされました。彼らは、そういうところにいる子らは親の養育を受けることなく、できずに育った、一切の自己責任も不正もないし、高卒で退所した後は全く独力で生きていかなきゃならないんだと。  いろいろ、先ほどから公金を、税金を使うことにいろんな異論も出るんじゃないかということですが、この子らには恐らくそういう批判はほとんど出ないだろうと推察をしますが、納税者の理解も求めることが可能だと思いますが、実際、対象は千六百人で、寺脇さんいわくですが、年五十万として八億円程度の予算でまずは実施が可能じゃないかという大変具体的な提案をされておりますが、先ほど言いましたように、一歩風穴を開けて前進をしていくというためにも大変意味のある提言だと思いますが、大臣はどう受け止めていらっしゃるのか。  そして、今いろいろ検討されているといいますが、併せてお聞きをします、時間がないので。いつまでに答えを出すおつもりにしていらっしゃるのかお聞きをして、終わりにしたいと思います。
  173. 馳浩

    ○国務大臣(馳浩君) 私は、国民理解が必要だということで四つの論点を今まで申し上げてまいりました。  働いておられる方々と公的資金の使われ方の公平性、公正性の問題と、財源と、対象と、そして給付の在り方と、この議論をすることによって一定の方向性や国民理解が得られるのではないかと、私はそう思っております。そのように先ほども斎藤委員の御指摘にもお答えしたところであります。  この寺脇さんの御指摘というよりも、これまでも与党・自由民主党の中においても、数年間、この給付型奨学金制度の在り方については議論をもうほぼされ尽くしてきたと思っております。改めて、やはりこの問題については、一億総活躍社会というふうな考え方で取り組む中でやっぱり適切に判断されるべきものと、私はそういうふうに考えております。
  174. 柴田巧

    ○柴田巧君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  175. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 以上をもちまして、平成二十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会