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2016-04-06 第190回国会 参議院 地方・消費者問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十八年四月六日(水曜日)    午前十時四十三分開会     ─────────────    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任      石田 昌宏君     若林 健太君      堀井  巌君     太田 房江君      舞立 昇治君     中川 雅治君      神本美恵子君     小西 洋之君  四月五日     辞任         補欠選任      中川 雅治君     豊田 俊郎君  四月六日     辞任         補欠選任      豊田 俊郎君     上月 良祐君      森 まさこ君     山下 雄平君      小西 洋之君     神本美恵子君      斎藤 嘉隆君     西村まさみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷  大君     理 事                 島田 三郎君                 藤川 政人君                 三木  亨君                 森本 真治君                 安井美沙子君                佐々木さやか君     委 員                 青木 一彦君                 尾辻 秀久君                 太田 房江君                 上月 良祐君                 滝沢  求君                 豊田 俊郎君                 野村 哲郎君                 森 まさこ君                 森屋  宏君                 山下 雄平君                 山田 修路君                 若林 健太君                 金子 洋一君                 神本美恵子君                 小西 洋之君                 寺田 典城君                 難波 奨二君                 西村まさみ君                 林 久美子君                 河野 義博君                 横山 信一君                 吉良よし子君                 和田 政宗君                 吉田 忠智君                 荒井 広幸君                 平野 達男君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方創        生))      石破  茂君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        牧島かれん君        厚生労働大臣政        務官       太田 房江君    事務局側        常任委員会専門        員        藤田 昌三君        常任委員会専門        員        小野  哲君    政府参考人        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        伊藤 明子君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        兼内閣地方創        生推進事務局審        議官       末宗 徹郎君        内閣大臣官房        審議官      増島  稔君        内閣地方創生        推進事務局長   佐々木 基君        文部科学省生涯        学習政策局生涯        学習総括官    岩本 健吾君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  小川  誠君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  坂口  卓君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域再生法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 熊谷大

    委員長熊谷大君) ただいまから地方・消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、堀井巌君、舞立昇治君、石田昌宏君及び神本美恵子君が委員辞任され、その補欠として太田房江君、若林健太君、小西洋之君及び豊田俊郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域再生法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長伊藤明子君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 地域再生法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 島田三郎

    島田三郎君 おはようございます。参議院議員島根選出島田三郎でございます。  地方版総合戦略に基づく取組についての支援について、まずもって質問をさせていただきたいと思います。  我が国は、人口減少地域経済縮小とともに、地方公共団体においても、また政府としても共通の危機感を今抱いているわけであります。その対策については、重要な政策課題をより深く認識をしていかねばならないと思っております。  まず、地方公共団体においては、平成二十七年度中に地方総合戦略策定し、それぞれの地域に即した課題や目指すべき将来像、そして実現するための具体的な取組を明確にしたところであります。  この策定については、一部報道において、コンサルタントへの委託に対する批判も一部ございました。ただ、これは非常に少数であって、地方にとりましてはこれが最後のよりどころでありまして、ある意味コンサルタントに依頼するほどの悠長な課題ではないと地方は思っているわけであります。そういう様々な地域民間の知見を活用しながらこの総合戦略をまとめていったものと私は確信をいたしております。  このような地方創生機運の高まりの中で、この再生法に基づく支援措置がこれらの地方総合戦略を実現するために重要な枠組みになると私自身も期待をしているわけであります。  そこで、大臣にお伺いいたします。  策定の意義についてどのようにお考えでしょうか。また、政府として、これに基づく地方公共団体地方創生取組を今後どのように支援していくのか、お考えをお聞きいたします。
  7. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この地方版総合戦略というのは、かなり異例のことではございますが、法律に基づきまして、自治体に対してその策定努力義務としてお願いをしているものでございます。  そこにおいてキーワードは幾つかございますが、一つは産官学金労言と申します。つまり、市役所が作ればいいんでしょう、町役場が作ればいいんでしょうというものではなく、安来市なら、安来商工会議所あるいは安来商工会、あるいは商店街連合会建設業協会、JAとかいろいろございますですね、経済関係する団体、これが産。そして市役所。学であれば、島根大学でありましょうし、島根県立大学でありましょうし、安来高等学校でありましょうし。産官学。金というのは、山陰合同銀行であり、安来信用金庫でありという、金融機関という形になります。産官学金。労というのは、やっぱり連合島根ということになるんだろうと思います。最後の言というのは、山陰中央新報であり、山陰放送であり、日本海テレビということになるわけで、それぞれの御地元考えていただければお分かりかと思いますが、そうやってみんなで作りましょうねという、産官学金労言。そして、キー・パフォーマンス・インジケーター、指標というものをきちんと設定をする、そしてPDCA、プランでありドゥーでありチェックでありアクションでありと、そういう形でお願いをいたしております。  今までどの自治体におきましても、何々市第何か年総合計画というのは作っているはずです。作っているはずですが、じゃ、町中に出て市民百人に聞きました、あなた、その計画知っていますかと言って、知っているという人は恐らく市役所関係者であって、ほかの人は知らない。それだったらば、それは戦略でも何でもないし、作ってもいないものに責任は持てないわけでございます。そういう形で、産官学金労言、KPI、そしてPDCAというものを備えた総合戦略というものをお作りをいただきたいというお願いをいたしております。  国といたしましては、そういうものに対して財政的な支援交付金で行う、あるいはRESASという形で情報支援を行う。今まで人口五万人以下の市町村には国家公務員なんて出したことなかったですが、そういうところに対して、国家公務員であり、研究者であり、あるいは民間方々であり、そういうような財政的な、あるいは情報的な、人材的な支援を行うということで、国と地方との共同作業としてこの策定をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  8. 島田三郎

    島田三郎君 ありがとうございます。  本交付金は非常に限られた財源であります。先導的な事業のみ選ばれて、採択、交付決定をすることを、これ、私自身は非常に懸念をいたしております。  といいますのは、私どもの田舎の町役場、例えば副町長さんは、副町長人事課長であり、財政課長であります。その上にこの地方創生担当になっておるわけであります。非常に人材が少ない中で先導的な考え方を示していかねばならない。逆に申し上げますと、政令指定都市のように多くの人材がある、そういった地域においてはやはり様々な考え方が提示ができる。そうなりますと、自然とそういう政令都市や大きな都市の先導的な事業が採択される懸念もあるわけであります。  やはり、私はこの地方創生というものは、地方の小ちゃな町村の頑張りこそ最も大事であると考えておりますが、このような考え方について、石破大臣はどのようにお考えでございますでしょうか。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地方実態委員指摘のとおりだと思っております。さればこそ、国は今申し上げた財政面情報面、そして人的な面で、そういうところを重点的にというか、支援をしてまいりたいと思っております。  一方におきまして、例えば島根も私あちらこちらお邪魔をさせていただいておりますが、海士町に行きましたときに、そういう総合戦略を作っているそういうような会議に行ってきました。これはもう夜の八時ぐらいから始めているんですね。そこに、町長さんやあるいは議員の方というのは、どちらかというと陪席をして話を聞いていると。そこにおいて、漁業者代表の方であり、商工業代表の方であり、私びっくりしたのは、中学生や高校生がそこに入って議論をしているということがございました。そういう形でいい総合戦略を作っていく。あるいは、邑南町なんかにおきましてもそうでございます。ですから、実態委員がおっしゃるとおりですが、さればこそ、いろんな人の知恵を結集して作ろうというような機運も生まれてくるんだと思います。  いずれにしても、そうやって一生懸命頑張っているところを国として財政面情報面、人的な面で最大限支援をすることは国の使命だと思っております。
  10. 島田三郎

    島田三郎君 先ほど大臣の方からお話がありました海士町でございますが、過去の経済対策において、いわゆる雇用対策政府は何回か打ちました。その当時、島根県の首長さんは、一年限りの補助であるから後どうするんだという理屈付けで、なかなかこの支援について食い付いていきませんでした。ところが、海士町の実は山内町長は、これに積極的に食い付いていって、それで一年たったら、海士が嫌なんだったらもう帰りなさい、海士気に入ったらここにおりなさいというような積極的な判断をしたわけであります。  そして、私自身が今懸念をいたしますのは、やはりこの総合戦略が単年度で終わるということになります、例えば三十一年度までは決まっておりますが。私の考え方といたしますと、やはり長期的なビジョンというものを図っていかねばならない。つまり、あまた首長さんの言い訳にならないようにしていかねばならない。つまり、あまた首長さんは先がどうなるか分からないからこれは乗っていけないという、今言い訳の手段ともなっているわけであります。  ですから、大きな果実を作るために、やはりこの交付金についてはある一定の期間というものをきちんと確保をし、三十一年までは確保はできておりますが、それ以降をどう維持をし、そして予算を獲得していくか。これはまさに私は石破大臣に与えられた使命であると思っております。それについてはどうお考えですか。
  11. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは委員指摘のとおりです。  ですから、地方版総合戦略というのは五年を目途にして作っていただく、あるいは人口ビジョンも作っていただくということになっているわけですが、どんなに頑張って出生率を上げたとしても、生んでくださるお母さんの数というのはこれから先ずっと減っていくわけです。出生率を上げても、生まれた赤ちゃんがお子さんを産んでいただくのに十数年あるいは二十年掛かるわけで、人口ビジョンだけ考えても二十年という期間は視野に入れていかねばならないということですし、戦後連綿と行ってきた国と地方との関係を変えようとしているわけですから、そうすると、それが一朝一夕にできるはずはないと思っております。  ですから、私どもとして、この制度を安定的、継続的にやってまいりたいと思いますが、予算につきましては、今この時点で確定的なことは申し上げるわけにはまいりません。定性的にはそういうことだと思っておりまして、当委員会始め議会の御議論というものも経て、これが本当に地方創生が不可逆的になっていく、実を上げる、そこまではこの制度は続けていく必要があると私は思っております。
  12. 島田三郎

    島田三郎君 次に、企業版ふるさと納税についてお聞きいたします。  大臣御承知のように、私の地元日立金属安来工場がございます。これは実は日立金属のいわゆる心臓部でございまして、ほとんどの、収益の六割近くを私の地元安来市の工場で生産いたしております、収益のですね。それから、下請も含めまして五千人余りの従業員が働いております。しかし、残念ながら、日立金属のいわゆる法人税というものは品川区に納税をされるわけでございます。  そういう中で、実は私ども思いますのは、やはり企業版ふるさと納税というものをしっかりと見極め、一方では法人税偏在性とこのふるさと納税をいかに活用していくか、これが私は大きな鍵であると思っております。  それで、大臣にお伺いしますが、具体的にどのような企業がどのような地方公共団体事業に寄附をするのか、想定されるのか、お尋ねをしたいと思っております。
  13. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 何せこの事業本邦初演なものですから、自治体の側も企業の側もどんなものだろうねという、そういうような思いが今あることは間違いない事実だと思っております。  これ、本会議でもお答えをしたことでございますが、企業に対して直接的な経済的な利益を与えてはならないというふうに内閣府令で定めるように考えておるところでございまして、そうすると、企業にしてみると、あるいは自治体にしてみると、どのように活用しようかというのが難しいところだと思っております。  例えば日立金属だとするならば、もちろんいろんな調整はございますが、メーンの東京都品川区に入っていくということがございます。そこをどのようにして、例えばですが、安来ならではのこんな事業がある、そこで安来の多くの雇用を支えている日立金属が、じゃ、その安来のそういう事業に賛同して、安来全体のイメージが上がる、企業イメージも上がる、そしてまた、それが安来に人を呼び込み雇用を創出し、安来のいろんなものが活性化していくというものについてお考えをいただくということになるんだろうと思います。例えば水であるとか、環境であるとか、教育であるとか、雇用であるとか、そういうことはいろいろ結び付きやすいのだろうと思っておりますが。  私、今朝も指示をしたのですけれども自治体にとっても企業にとっても、ああ、こういうことなんだねということが分かっていただけるようなQアンドA、あるいは手引みたいなものを早急に作成をして、もしこの制度が国会でお認めいただくということになりました暁にはこれを周知徹底は急ぎたいと思っております。あるいは、そんな制度知らないよということがありますとどんなにいい制度をつくっても駄目なので、企業やあるいは自治体に対してポスターですとかパンフレットですとかそういう形で周知を図って、財源偏在性みたいなものに対して、もちろんそれが主目的ではありませんが、の効果を生ずるようにしてまいりたいと考えております。
  14. 島田三郎

    島田三郎君 実は生涯活躍のまち構想について質問もしたかったのですが、ちょっと時間がないものでございますので、割愛させていただきます。  最後になりますが、地方創生に向けての改めて石破大臣決意についてお尋ねをしたいと思っております。  私の地元であります島根県も、大臣の御地元であります鳥取県においても大体似たようなものでありまして、依然、人口減少地域経済縮小が危惧されているところであります。ただ、大臣も御存じのように、両県では今まで貧乏県で一生懸命頑張ってきたと。(発言する者あり)ありがとうございます。ですから、様々な課題については、ほかの地域よりもより危機感を持って今まで対応をしておったわけでございます。移住対策地域経済の自立に関わる取組についても、はっきり申し上げますと先進県でございます。  そういう背景の中で、実は今般の二〇一五年の国勢調査の速報においては、両県とも減少率縮小した結果もあったと聞いております。特に、島根県の例を取りますと、島根県の九町村の中の六割が、無論お年寄りが多いわけですから自然減でございます。ただ、九町村の中のいわゆる六町村社会増になったわけであります。そして、高校においても、実は県外からのいわゆる流入している高校生も非常に増えてきております。そういう努力を、実は私ども島根も、そして同じように大臣地元であります鳥取県においてもやっているわけであります。  つまり、本当に着実に取り組んでいけばその成果は見えてくる、私はそれは確信をいたしております。これからの地方創生取組を形にしようとする公共団体においては、現在の取組が今後の成果につながるよう、やはり大臣を始めとする政府の後押しを期待することが大変大きな考えであると私は思っております。  平成二十八年度は、まさに地方創生取組を本格的に具現化をするための重要な一年になると私は思っております。そして、先ほど来からお話を申し上げますように、これはやはり一年、五年で終わるものではない、十年、二十年、また三十年の長いスパンにおいて取り組むべき国家的事業であると私は思っております。この辺について、大臣決意を改めてお聞きいたします。
  15. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 我々山陰は、もう過疎の先進地と言われたものでございます。そうであるだけに、委員指摘のように、その問題に対する解を日本で一番最初に出さねばいけない、そういう責任を我々山陰は負っているのではないかと考えております。  島根のいろんなところへ伺いますと、例えば浜田あるいは邑南あるいは雲南あるいは海士のいろんなところにすごく先進的な事例があると。官民連携であり、地域間連携であり、政策間連携でありというのがきちんと具現化されているわけですね。だから、浜田シングルペアレントを対象とした事業というものに賛同して、例えば、浜田は雪が降りますと、じゃ、島根自動車会社が、中古車ですけれども四輪駆動の車をお貸ししましょう、ただでというような、そういうような民間との協働で、シングルペアレント方々に仕事を持っていただき、定住していただき、お母さんにもお子さんにもいい環境の中で暮らしていただくというような、そういうキーワードであります政策間連携地域間連携官民連携というのが具現化していると思っております。  ですから、そういうような地域取組を、そこはすばらしいねということだけではなくて、全国的にこれを広めて横展開もさせていくということが必要なことだと思っております。これは我々山陰に限らず、いろんなところにそういう事例はあるわけでございまして、それはもう政府がどうだの地方がどうだのではなくて、これは常に言っていることですが、政府地方の一体的な作業としてこの国家の将来に責任を持つということで、また委員皆様方の御賛同を得て進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  16. 島田三郎

    島田三郎君 大臣、ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。  以上でございます。
  17. 安井美沙子

    安井美沙子君 民進党・新緑風会の安井美沙子でございます。  地域再生改正法については、これまでも衆参両院で多くの質問がされてきまして、いい議論がされてきていると思います。私は、石破大臣はほかの閣僚と違って御自分の言葉で信念を持って真摯に答弁してくださいますので、耳を傾け拝聴しているわけですけれども、それでも残念ながら腑に落ちるような説明というのは私は余りなかったというふうに思っています。  石破大臣は、御自身地方創生担当大臣になられてから本当に様々なことを研究され、そして御自身確信を持って、政策確信を持って、その伝道師として熱く語られるんですけれども、特に野党側議員がいろんな提案や疑義を呈するときに、そのことに本当に聞いてくださっているのかということを時々疑問に思うわけです。野党議員も、首長経験者も結構おりますし、また、それぞれが選挙区を抱えて、地方のことをみんな本気で心配しているんですね。ですから、政府のやり方が何か少し違うのではないかと思うことに対して、政党、党派の対決という意味合いではなくて、本当にみんな真摯に疑問を呈しているんだと思います。  しかし、そういった質問を幾らしても、政府の方針は微細にも全く変えないという姿勢が私には見えてなりませんで、その辺はもう少し、みんな日本の将来を考えていることは同じですので、いろんな提案質問があったときには少しは耳を本当の意味で傾けていただきたいというのが、私は石破大臣に期待するがゆえのお願いでございます。  さて、私は、これまでも地方創生について、いろんな提言も含めてさせていただいてまいりました。特に、石破大臣就任前の政府地方創生の、そのときは地方活性化と言っておりましたけれども、その政策にはいろいろ思うところがあったものですから、平成二十六年の十一月十二日の、特別委員会が設置されたときに質問させていただいたときの論点、もう一度確認させていただきたいと思っています。  資料をお出ししております。地方創生に係る人的支援制度というものですけれども、この質問をさせていただいたときに、ちょっと質問の順番を変えさせていただきますけれども地方創生支援のためにこれまで創設した各種の人的支援制度等について全体像を示してくださいというふうにお願いしたんですけれども、当時はまちひと・しごと創生本部できたばかりで、その前にあるいろいろな人的支援制度とこれから創設しようとしていた人的支援制度、まだ整理することができないので全体像を図示することができないというお話をいただきまして、そして石破大臣質問して、いただいた結果をまとめたのがこの図なんです。  ですから、これは私が勝手に作ったものなんですけれども、この整理の仕方が正しいのかどうか、そして、このときからまた全ての制度がこのまま残っているのか、また加わったものがあるのか、これを確認させてください。
  18. 佐々木基

    政府参考人佐々木基君) お答えいたします。  おまとめいただきましてありがとうございます。おおむねこういうことであろうと思っておりますけれども、例えばシティーマネジャーにつきましては国家公務員中心でございまして、一年ないし二年というような単位で常勤を基本として派遣させていただいているというようなことがございますけれども、基本的には、私どもが関与しております人的支援制度の概要についてはこういうものであろうというふうに思っております。  この中で、シティーマネジャー派遣制度につきましては、今年度も同様に五十八の市町村に対して派遣するということを考えておりますし、地域活性化プラットフォームにつきましても、今年の夏にしっかりとフォローアップをするということで事業を続けたいと思っております。それから、一番下にございます地域再生法三十四条による職員派遣につきましては、平成二十六年の臨時国会の改正で導入したものでございますけれども、現時点では実例はないという状況でございます。コンシェルジュにつきましては、各省で一千人弱のメンバーをコンシェルジュということで担当させていただいているところでございます。  以上でございます。
  19. 安井美沙子

    安井美沙子君 少し中途半端に答弁いただいたんですけれど、要は、まず、この制度自体は、今のをお聞きしていますとほぼ変わっていないという理解でよろしいのかと思いますが、その次に質問を、これを政府参考人お願いしたかったわけですが、この中で、地方版総合戦略地域再生計画の策定に向けての支援ということでつくられたものがほとんどだと思いますけれども、実際どのくらい活用されているのかということ、基本的なデータとして、例えば派遣人数であるとか派遣先であるとか派遣日数であるとか仕事内容について、これをお伺いしたいと思います。
  20. 佐々木基

    政府参考人佐々木基君) お答え申し上げます。  まず、お配りいただきました資料に基づきますと、シティーマネジャーの派遣につきましては、今年度、五十八市町村に対しまして、国家公務員中心でございまして、国家公務員が四十二名、大学研究者三名、それから民間の方も十三名と、これは非常勤も多いわけでございますけれども、こういうことで対応させていただいております。  それから、地域活性化プラットフォームにつきましては、これはまさにプラットフォームでございまして、三十三地域に対しまして、今年の夏にも、今までと同様に学識経験の方が中心となりましたワーキングチームでフォローアップをさせていただきたいというふうに思っております。  コンシェルジュにつきましては九百九十一名ということで対応をさせていただきたいと思っておりまして、この一年一か月の経験でいいますと、三百七十件ほどの御相談をいただいているという状況でございます。  それから、先ほど申しましたように、地域再生法に基づく職員派遣の実例はございません。  いずれにいたしましても、この度、地域再生法の改正が、もしここで改正が実現させていただきますと、それに伴います交付金でございますとかCCRCでございますとか、いわゆる企業版ふるさと納税ということもございますので、そういった事業が出てくるということに対しまして、こういった人材が大いに活用できるものというふうに考えているところでございます。
  21. 安井美沙子

    安井美沙子君 そうしますと、まだ実績ということをお聞きするには時期尚早というふうに考えてよろしいのかなというふうにも思いましたけれども、今後この法律がもし成立した暁には、これからどんどん活用されるというふうに理解してよろしいのかと思いましたけれども、これまででも、この各種支援制度の中で最も機能した実例とか、あるいは今までの中でも何か既に課題が見えていると思われるところはありますか。
  22. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは日々検証していかねばならないことだと思っていますが、私は、いわゆるコンシェルジュというのはかなり機能しているというふうに思っておりますけれども、九百何人いて、今説明申し上げましたように、相談件数が三百数十件ということになると、一人が何件も受けている場合もございますから、これをもうちょっと活用できないだろうかと思ったりするわけでございます。例えば、一宮市なら一宮市でもいいのですが、そこの担当者の方が、愛知県のコンシェルジュは誰なんだろうねと、じゃ、農林水産省は誰であり、経済産業省は誰でありということで、もちろん多くは知事さん主宰なのですけれども、そこの自治体の方とこのコンシェルジュの方が、もちろん会費制ですが、懇親をしながらいろんな議論をするというような機会もやっていますけれども、これがもっと活用できるようにならないかと思っています。  シティーマネジャーはかなり効果を出していると思っています。あとは、プラットフォーム、短期出張ベースのもの、あるいは総合コンサル、八ブロックでやっておりますが、こういうものは更に充実をしてまいりたいと考えております。  実績が今のところない地域再生法三十四条のものは、どうやってこれを活用するかということ。つまり、ユーザーフレンドリーで、使う人の立場に立ってみて何が使いにくいんだろうかということを我々の方としてちゃんと把握をして、この制度が使う方々にとって使い勝手のいいように心掛けることは私どもの責務だと思っておるところでございます。
  23. 安井美沙子

    安井美沙子君 質問が前後して恐縮なんですけれども、今のお話を踏まえた上で、二十六年の十一月の質疑のときに、有識者から成るまちひと・しごと創会議に基本政策検討チームを設置して、それまでの政策について検証を進めているというふうに答弁されたんですね。その結果がもう出ている頃かと思うんです。  その中でたくさんの指摘がもちろんあったとは思うんですけれども、こういった人的支援制度についても、それまでもいろいろあった上に残したものもあり、ほとんど残したと思いますけれども、新たにたくさんのものを加えてやるというところで、私は非常に危惧していたんですけれども、その検討会議で何か指摘があったんでしょうか。
  24. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この検討チームにつきましては、かなり早い時点で検証結果は出しておるところでございます。  この検討チームにおきまして検証したものというのは、何が従来の政策としてまずかったかというと、縦割りであり、全国一律であり、ばらまきであり、表面的であり、短期的であったという、ここまで言うのかみたいに徹底的に批判的に書いてあるわけで、それを踏まえまして、例えばKPIを作りましょうねとかPDCAがちゃんと機能するようにいたしましょうねとか、そういうようなことを念頭に置きながら、自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視というふうな形でお示しをしたものでございます。  ここにおきまして、人材支援に特化をして検証したということは特にございません。人材派遣についての検証は、委員懸念というか御指摘のように、今まであるものの検証もきちんとしないままいろんなものを付け加えたというような認識には立ってはいませんが、今までも、法律に基づくもの、あるいは燃える人とか伝道師とかいろんなものがあるわけですが、そこは一度ちゃんと整理をしていかないと、屋上屋を重ねてみたり、あるいはもう何が何だか分からないような状態になったりしますので、そこはユーザーフレンドリーという考え方からきちんと整理をして、そういうファシリテーターみたいな者をどのように活用するか。  これは先般、記者会見でも申し上げたことでございますが、地方創生カレッジというものを設けたいなと思っております。そこにおいてもそういう議論が闘わされて、地方においてどういう人材を活用するのか、松竹梅あれこれございますよではなくて、どういう形で体系立って支援を行うかは更に検証して答えを出したいと思っております。
  25. 安井美沙子

    安井美沙子君 同じ日の質疑で、私は人的支援の一つの形態として、韓国の地方専門契約職公務員制度というのを提案をさせていただきました。そのときには石破大臣は余りこの制度についてお知りでないという答弁でしたので、私が書いた論文をその後にお届けしました。また今日これをしつこく申し上げますのは、様々な人的支援制度、我が国が導入しているものと比べたときに、期限付であっても、専門人材に公務員という身分を与えることでかなり効果的になるんじゃないかというところを私はやはり確信しているからなんですね。  この地方専門契約職公務員制度というのですけれども、一九八七年に韓国で導入されておりまして、資料を一枚配らせていただいておりますけれども、専門人材、様々な分野にまたがりますけれども、期限付で公務員の身分を保障されて、特定の分野における自治体課題を遂行することを可能にする法的制度でございます。専門家でありますので、外部の専門家と協業しなければいけないときにもやはり対等の立場で交渉ができると。  簡単なことを言えば、例えばIT関係のものをその地方自治体でしっかりつくっていきたいというときに、よく外の専門家とやるときに、中身が分からない人が自治体側にいると、ぼったくられることとかもあるわけですね。とんでもないシステムを提案されて、全く無用なものをつくってお金を払わされるということもあるわけですけれども。ITだけに限りませんけれども、中に専門家がいれば、きちっとしたものがつくれるということもあるし、発信力という意味でも、その人がある程度名前が知れているということになれば、この人が言うんだからということで、その自治体のやっていることの発信力が高まると。  こういったメリットもあれば、実務経験というのもある程度求められていますので、その人がそのプロジェクトを動かす能力、お金を調達してくることもそうだし、人を調達してくることもそうだし、そのプロジェクトの推進力といいますか、そういった経験も持ち合わせている。学術的な見識の高さと実務経験のバランスは人によって違いますけれども、そういったものがある。その人を公務員として活用することで、その人も非常に身分が不安定な中で、プロジェクトからプロジェクトに渡り歩いている人たちがいたり、あるいはポスドク、日本でも仕事がないという問題がよく言われますけれども、なかなか能力はあるのに機会に恵まれないという人に公務員という身分を与えるということで、その人のキャリア形成上の一助になるというウイン・ウインの制度だというふうに私は思っているんです。  もちろん自治体の側でも、この制度をうまくするためのいろんな工夫がされていまして、最初に、今、石破大臣が構想していらっしゃる地域版の総合戦略とか地域再生計画のようなかなり明確なビジョンがありきでありまして、そのビジョンに基づいて人材を公募するんですよね。ですから、その公募に対して申し込む方の人材というのもかなりのプレゼンテーションをしなければならないと。そこでマッチングがうまくいくということで、非常にこの制度は定着しているというふうに聞いています。既に私がこれを研究した二〇〇八年の時点で三千人以上が活躍しているというふうに聞きました。  また、自治体の側でも、一般行政職という、つまり行政執行のプロと、異質なスキルを持った専門人材のコラボで、非常にこれがうまくいっていると。更に言えば、地方自治体としては、そのプロジェクトがあるときはその専門人材がとても必要だけれども、その後ずっと抱えなくてもいいと。そのプロジェクトが終われば、その人は、じゃ、もう期限が終わりましたからありがとうございましたということで、行政コストもそんなに掛からないと。  いろんな意味で、そのまま日本に応用できるとは思いませんけれども、着眼すべき制度ではないかなというふうに思っています。こういった制度の検討の余地はありませんでしょうか。
  26. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員冒頭御指摘のように、私が野党方々のおっしゃることを何となくその場で聞いて対応していないとしたら、それはどうか更に御教導いただきたいと思います。  私、衆議院でもそうでしたし、参議院でもそうですが、与党の方々の御提案もそうですが、野党方々の御提案でなるほどねと思うものは、役所の方でこれをきちんと実現できないかということは常に指示をしておるつもりですが、委員のお考えからすれば、何となく聞きっ放しみたいな御指摘ですので、足らざるを反省をいたしておるところでありますが。  と申し上げました上で、あえて委員に御教導いただきたいと思っているのですけれども平成十四年七月に施行いたしております任期付職員法というのがございます。この任期付職員法というものを使いまして、平成二十六年度でいえば、千四百七十人がこの任期付職員法というものに基づいて地方自治体において登用されて仕事をしておるということでございます。累計数でいきますと四千七百人、もちろんその中には被災地における復興支援人材的な方も多いのでございますが、累計的には四千七百人ということになっております。  私自身、この任期付職員法に基づきましてかなりのことはできるのではないだろうか。委員が書かれました論文の中で、韓国において、農村振興でありますとか文化の振興でありますとか、そういう専門の方々が登用されて多くの成果を上げておられるということでございます。その論文を拝読いたしました私の読み込みが足りないのかもしれませんが、この任期付職員法ではできない、韓国においてはこういうことができているが、我が国の任期付職員法ではできないことというのがどういう点なのか、だとするならば、法律を改めるのか運用を改めるのか、その点の御指摘をいただきますと、私ども、また検討させていただき、取り入れさせていただきたいと思っております。  是非、委員の深い御見識で、この法律と比べてみて、韓国に対して我が国の足らざる点はどこなのか、結局、文化の違いなのかもしれませんが、キャリアアップというのか回転ドアというのか、そこにおいてやったことが次のキャリアアップにつながるということがまだ十分ではないのかなという気が私は少ししているのですけれども、そういう点も含めて御教授をいただければ大変幸いであります。
  27. 安井美沙子

    安井美沙子君 私も、その御指摘いただきました任期付職員法についてはこれから詳しく研究をさせていただきたいと思います。  しかし、なぜこの話をもう一度しつこく持ち上げたかといいますと、今まちひと・しごと創生本部の方でいろいろメニューをそろえていらっしゃる人的支援のここに、おっしゃったような任期付きの職員という話が入ってきていないからなんですね。地方創生をしたいんであれば、まずそれをそこに入れたらどうかなと思います。そうすると、地方も、ああそうかと、公務員という立場の人がどっぷり地方に入ってくれて、この韓国の制度だと最低三年間、延長すると五年間とか九年間とか、そういった形でその地方に住み込んでそこの人間としてやるわけなんですけれども、そういった人がいるということが、かなり地元にとっては国の制度としての本気度を感じるものでもあるわけなんですね。  しかし、今の、先ほどお見せしたこの表の一覧を見ますと、やはりこれ、何というか、国の、中央の官僚が上から目線で下りてきて、短期出張でアドバイスをして帰っていくと、このように見えるわけですね。私、韓国で、実際出張して彼らと話をしてきますと、もう本当にその町の人たちと混ざって汗をかいて、彼らもプロですから、その三年なりでしっかりと成果を出さないと、次自分はもうないという危機感の下でやっているものですから、そういう意味で、全くちょっと様相が違うなというふうに見えるわけなんですね。  ですから、せっかく石破大臣から任期付職員法というものを教えていただきましたので、もしこれが、こういった地方創生に役立つ人材としてまちひと・しごと創生本部できちっと位置付けて、これに血を通わせることができるのならば、それもお考えいただきたいと思います。  そして、その御見解も伺いながらですけれども、例えば今度の日本版CCRCで、まさにこういったタイプの任期付公務員というのがいれば、私はCCRCにも役に立つんじゃないかなというように思うんですね。中高年、私もアクティブシニアの一人になりますけれども、こういった、ただ気持ちがあるだけでなく、例えば社会保障、介護、医療などのプランニングとか、そういったもののプロが任期付公務員としてCCRCの土台づくりに貢献できれば、これもまた一つありなのではないかと思うんですね。いかがでしょうか。
  28. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このシティーマネジャー、地方創生人材というのは今度創設したものでございます、今二年目を迎えておりますが、まさしく委員指摘の上から目線みたいな人は行かなくてよろしいということは、もうかたがた言ってございます。  地方からこんな人が欲しいんだと、何でもいいから国に顔の利く力のある人なんて、そんなことを言われても困るんで。我が町は、例えば農業を核とした町づくりをやりたい、あるいはDMOをつくりたい、CCRCをつくりたい、何でもいいんですが、それに通暁した人を求めますということを自治体が言い、霞が関から行く側も、俺が東京から行って教えてやるぜみたいな者は絶対行かなくていいと、そこの人たちと一緒に、共に笑って共に泣いて共に汗をするという覚悟があって、そこの住民となってやる人でなければ行かなくてよろしいということでマッチングを行っているものでございます。そういう考え方の延長線上として今の委員の御指摘は捉えていきたいと思っております。  CCRCというのは、何せこれまた本邦初演でございまして、もちろん今でも、例えばゆいまーる那須でありますとかシェア金沢でありますとか、そういう原型みたいなものはあるのですが、それをどうやってあちらこちらで展開ができるようにするかということを考えましたときに、そのお客様をどういうお客様にするか、事業主体をどうするか、また、そこにおいて包括的ケアシステムとの連携をどうするか等々、課題はたくさんありまして、民間方々の知見というのを必要とする部分がたくさんあるのだろうというふうに思っております。  それが、一企業の利益を代弁するということではなくて、そこにおいて本当にコミュニティーとしてのCCRCを機能させるためには、あるいは教育の関係者というのも必要なのかもしれません。CCRCの運営について、シティーマネジャー的なものでありますとか任期付職員でありますとかそういう方々の活用というものは、CCRCを地域において成功させるための大きな鍵だと思っておりまして、どういう方がそれにふさわしいかということは私どもとしても研究をして、自治体方々にも提示をしてまいりたいと思っております。
  29. 安井美沙子

    安井美沙子君 シティーマネジャーというのは公務員も民間もありだというふうに聞いていますけれども、今のお話で出た公務員ですね、これは若手公務員を中心とするというふうに聞いておりまして、確かに優秀な方が多いと思うんですね。これは前の議論でも指摘したんですけれども、その公務員の方というのが、例えば二年、三年でいろいろな業務を回していらっしゃる、そして、何というんでしょうかね、あくまでも法律の執行人として、ある枠の中で仕事をしていらっしゃるということを考えますと、なかなか、幾ら優秀でまだ若手で頭が柔軟であっても、例えば新しいCCRCというものをつくっていこうというときには、一定の能力のタイプの違いというものがあるのではないかというふうに思っているんですね。  ですから、先ほども指摘しましたような、韓国の任期付公務員になるような、その道のプロ、プロジェクトマネジャーとしてのプロかもしれませんけれども、そういった人が公務員になるということが大事なのであって、このシティーマネジャー制度は、公務員である人か、元々の公務員か、あるいは民間の人ということなんですけれども、私は、民間の人が公務員の身分の保障を与えられるということがポイントだと思っているんですよ。公務員なんだけれども、公務員らしからぬ人なんですよ。  ですから、本当に公務員として必要な行政との連携の部分とか、そういうところはまさに霞が関にいる方と連携すればよいのであって、ただ、民間の人が公務員の身分を与えられることで仕事ができるという部分があると。これは、シティーマネジャーの、公務員でも民間でもない、民間で力のある人、経験のある人が公務員になるというところが一番の違いではないかと思っております。  最後に、この話については最後に、石破大臣にはより御検討いただきたいと思いますので、御見解をお願いいたします。
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 趣旨はそういうことでございます。ですので、任期付職員法も、実際にどれぐらいの成果が上がっているかというのは点検をいたします。また、議会においても御報告をいたしたいと思っております。  ですから、民間の方がその知見を生かして公務員としての身分の下に多くの仕事をする、韓国の例でいえば、決して給料が高いわけではないけれどというところも一つのポイントかと思っております。そこでやっていただいたことが更にその人の次のキャリアアップにもつながっていくために何か工夫ができるかできないかというのは、ちょっと私、考えがあるわけではございませんが、自治体においてそういうような人材を必要としているところもたくさんございます。  ですから、そういう方々の活用法について、また、委員が任期付職員法についても御研究をいただき、ここの部分の運用はここが足りないというような御指摘をいただければ、私どもの方でも研究はいたしますが、また私どもとしても更に充実を図ってまいりたいと思います。
  31. 安井美沙子

    安井美沙子君 ありがとうございます。  よく大臣がいろんな話の中で、例えば、地元から東京に出て商社に勤めて、そこで海外にも行っていろんな知見を積んだ人がまた、一つのキャリアを終えた後に地元に帰ってその能力を発揮してくれたらいいですねというようなことをおっしゃったと思いますけれども、そういう方がもし公務員になったら、また一歩踏み込んで、何というんですかね、コミットメントを持ってやっていただけるんじゃないかと思うんですよね。  ですから、公務員という立場は重いんですよ。そのプロジェクトの、何というんですかね、おもしになるといいますか、信頼のあかしでもありますし、外の人に対して、公務員なんだというふうに思えば、一プロジェクトマネジャーでちょっと来ただけの人というふうにも思われないと。そういう意味もありまして、そういった民間人で地元に帰ってきてくれた人たちが生き生きと働いていただけるためにも、あるいはCCRCの中で活躍していただくためにも、私は公務員の身分というのは一考の余地はあると思います。  さて、最後質問になりますけれども、中小企業庁と地方創生政策との連携のお尋ねでございます。  私は、地方創生の要は中小企業政策だと信じてやみません。中小企業庁が様々やっていることが地方創生取組の中にうまく連携できているのかという部分に時々疑問を感じることがございます。  資料をちょっと用意しましたけれども、私の今の選挙区の一宮の例を出させていただきましたけれども、中小企業庁がやっているふるさと名物応援事業というものですね。これは、地方自治体にスポットライトを当てて、そこにある名産品であるとか産業を紹介するわけです。こういったことを中小企業庁がやっている。これは中小企業をもちろん盛り上げるためにやるわけですけれども、結果的にはその町全体を応援するということにつながっているわけですね。  また、JAPANブランド育成支援事業、これ、同じ事業の中なんですけれども、かつて私が研究したときには、鯖江の眼鏡をどうやって売っていくかという話をやっていました。それに助成がされていましたけれども、鯖江の眼鏡、それぞれの個々の企業を応援するのではなくて、町自体、世界に発信するブランドとなり得るように、ただの下請ではなくてということでやっていたんですよね。  そうすると、中小企業庁の事業ではあるけれども、これ、地方創生以外の何物でもないんですよね。ですから、地方創生という入口から入って、結果的に中小企業を応援するようなことが大事なところではあると思うんですね。それが地域再生計画にもあり得ると思うんですよ。結果的に中小企業を応援する。  こちらの中小企業庁の取組というのは、中小企業という入口なんだけれども、結果的に町全体を応援すると。私は、入口が違うだけだと思うんですね。だけれども、この事業が別個に行われているということ、そして、割と、地方創生の部の方にお聞きすると、中小企業庁の政策に余り関心がないというか、余り知らないという印象を持っております。これは大変もったいないと思いますので、この中小企業庁との連携、もうちょっとダイレクトにされたらいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地方には、余りというか、ほとんどというか、大企業というのは立地をしていないわけで、これ、私ども山陰なんて特にそうなんですけれども地方は中小企業で成り立っていると言っても過言ではないと。それが、かつてのような大企業下請型ではなくて、中小企業は中小企業として、例えばIoTでしたかしら、インターネット・オブ・シングスでしたかしら、そういうような形で、これは予算委員会でも議論があったことですが、例えばドイツではベンツの車体にBMのシートを載せるとかですね、いろんなことが、従来の下請ではないタイプの中小企業のビジネスのやり方というのがこれから先は重要になってくると思っております。  そういうものをいかに支援をするか。また、中企業と小企業というのはこれ違いますので、法律も成立をいたしましたが、小企業というものをいかにして支援をしていくか。そこにおいて企業同士の連携というのを、従来の縦から横、あるいはドメスティックなものからインターナショナルなものに広げていくというようなことについては、私ども、更に中小企業庁と連携を取ってやってまいりたいと思っているところでございます。私どもまちひと・しごと創生本部にも経産省から多くの有為な方々、有能な方々に来ていただいておりますので、さらに彼らの知見も聞きながら中小企業庁との連携というものを図っていくことが地方創生においては肝要なことだと思います。  もう一つは、これは委員の御指摘とは少し外れるのかもしれませんが、いわゆるベンチャーというもの、起業というものをいかにして地方において進めていくかということでございます。中小企業庁というのは既存の中小企業に対する施策というのを中心にして扱うところでございますので、いわゆる起業という起こす業の方は中小企業庁が扱っているわけではございません。  そうしますと、経済産業省におきましてそういうことを取り扱っておるところと私どもが更に連携を密にして、地方課題を解決をするがためのベンチャー企業というようなものを支援をしていく。それはテレワークとも密接に関係をすることだと思っておりますけれども、よく、経済産業政策との連携というものは他省庁とも併せて図ってまいりたいと思っております。
  33. 安井美沙子

    安井美沙子君 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  34. 寺田典城

    ○寺田典城君 民進党・新緑風会の寺田でございます。よろしくお願いします。  石破大臣にお聞きしますけれども、先ほど海士町の話というのが話題に出ていました。海士町は先進的に取り組んでいるというようなお話。私も、通告はしていないんですけれども、そのことからちょっと質問させていただきたいと思いますが。  確かに、さざえカレーだとか、いろんなお魚の加工だとか、いろんなことを先進的に取り組んでいるし、高等学校も残しているし、それから若い人方も全国から募集したりして集めてやっていると。その源は何だと思いますか、その源。なぜそのようになっているか。もちろん町長さんの努力だとか役場の職員の努力もあるでしょうけれども、何が源泉だと思いますか。
  35. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは多分危機感だと思います、危機感。つまり、公共事業というものをあらかたやり尽くしたわけですよね。もちろん全部だとは言いません、まだ必要な公共事業海士町にあることは承知はいたしております。  もう一つは、単独町として残りましたので、当然合併特例債みたいな恩典はございません。国から来るお金は減るわけでございます。そこへ、十数年前の町長選挙において今の山内町長さんが、もう公共事業だけに頼る町はできないんだ、国からの交付金に頼る町もできないんだと。だとすれば、無い物ねだりをするよりもある物探しをしなきゃいかぬだろうということで、海士町に行きますと、ないものはないというスローガンがあっちゃこっちゃにあるのでございますが、やはりそういう危機感に基づいてあの今の海士町の取組というものがスタートした、私はそれが源泉だと認識をいたしております。
  36. 寺田典城

    ○寺田典城君 確かに、いろんなところを歩いても、先進的な考え方をしているということは事実ですが、私、心配したのは、一人当たり交付税が約九十万円とか百万円近く行っているんです。それから、国の国庫負担金と県の負担金合わせて十億円ぐらいなんですよ。予算が、人口が二千二、三百人ぐらいなのに、それこそ倍の四十六億というと、一人当たり二百万ぐらい行っちゃうんですかね。そうなってくると、将来的にこれ持続できるのかなと。交付税も約二十二、三億もらっていらっしゃるし。  だから、そういう点で、確かに離島ですし、経費は掛かることは事実なんですが、これからの、全体的に見て、離島とかこういう地域の、今地方創生ということで、再生ということでやっていますけれども、一人当たり百万円近い交付税だったら、そうすると日本の国はどうなるのかというと、百二十兆円ぐらいの交付税を出さなきゃならぬようになってきているんですね。山内町長さんは、建設関係からはもう脱皮しなきゃならぬとか、そういうことを言っていらっしゃることも事実なんですが。  平成十六年に、小泉改革のとき、地方交付税がいきなり一二%削減されて、あの当時どうやって生きていくというのは、各町村、それがある面での市町村合併につながったんですね、三千二百あるのが千八百まで。あれは要するに、もう合併しなきゃやっていけないと。だけど、合併するしないはやっぱり地域住民の考え方なので。  私は、だから、本論に移りますけれども、国土の均衡ある発展ということで、昭和三十七年から全国総合開発計画というかそういうものを策定されて、五回にわたって改定してきているんですが、やはりみんなますます格差が付くと、そういうことなんですよ。それで、このような状況の中で地方創生というのは本当にできるのかということを、大臣、率直に答えてください。
  37. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 海士町長は、私がいいですねとか言いますと、もうそんなこと言わぬでくれということを必ずおっしゃるんですね。まだ財政は委員指摘のとおりなのであって、海士町を成功事例なんて絶対言わぬでくれということを海士町長はよくおっしゃるわけでございます。  ただ、海士の財政を見ていきますと、ここ何年かで間違いなく改善はしているということでございます。ですから、この延長線上として、例えば、別にさざえカレーだけがあるわけじゃなくて、ほかのいろんなものを加えて、これから先、二十年、三十年後に変わっていくということを町長は企図しておられるのだろうと思います。  そこにおいて、格差ということでございますが、例えば昭和三十七年というお話でしたが、昭和三十六年度、一九六一年の一人当たりの県民所得というものが、三大都市圏と秋田県では一・七三倍の開きがあったと。平成二十四年度ですと、それは一・三二倍に縮まっておるわけでございます。石川県で比べてみますと、昭和三十六年度は一・三五倍であったものが、平成二十四年度は一・一三倍。富山県においては一・二六倍が一・〇五倍と、ほとんど格差がないところまで来ております。つまり、県民所得だけをもって格差と言うつもりはございませんが、県民所得だけで見れば、かつてよりは、昭和三十六年よりは今の方が縮まっておるということは間違いない事実だと思っております。  ですから、そうすると、じゃ、それは縮まっているのに何で人口の流出が止まらないのだという話に必ず逢着するはずでございますので、これは格差は縮まっているからいいでしょうと開き直るつもりはございません。そうであるにもかかわらず、何で地方人口減少が止まらないのかということがまさしく地方創生の本質だと考えております。
  38. 寺田典城

    ○寺田典城君 昔は、私は中学校を卒業したのは昭和三十年ですから、ちょうど、何というんですか、集団就職列車が始まった頃なんです。もう集団就職列車で昭和四十年頃にだあっと東京だとか表日本の方にみんな、裏日本から人がどんどん出てくると。あの当時は裏日本と言ったんですね、表日本と。まあ、それはそれでいいです。  それで、大臣は非常にある意味では歌が好きなようで、「東京砂漠」という、前川清が歌っているんですが、東京砂漠、本当に大渇水したのは一九六四年で、昭和三十九年ですね、東京は水がないと、余り人が一度に集まったものですから。  そういうことなんですが、私は、何というんですか、地方創生という形の中でこういうちまちまな形で推進交付金出したり、制度も変えずにいろいろなことをしてみても、これは私から言うと、いろんな今までの、第五全総だとか、地域再生法というのは二〇〇五年にできていますね。それから、総務省は地域力創造審議官って平成二十年にもやっていますし、増田さんが地方が消滅すると言ったら今度は地方創生というのが出てきたんですが、私は、制度を変えなければ、もうますます進むと思うんです、率直に。  地域再生法の一部改正、今これを申込みするためにだとか何するために、市町村の事務量の多さというのはもう大変なんですよ、これは。何のためにこういうことをしているのかなと率直にそう思います、このことについては。私自身も理解できないです、地方行政、長くやってきたんですけれども。  それで、これ、資料出しましたけれども、あそこへ行ってきました、イタリー、あえて。イタリーはアメリカなんかと違って、ドイツなんかと違って連邦制じゃないんですけれども、簡単な言い方をすると、国、州、県、それから基礎自治体、全て同格であるという、憲法上そういうふうになっているんです。  これなぜ今日あえてしゃべるかというと、議会の皆さんも存じ上げていただきたいと思うし、今まで分権分権とやってきましたけれども、全部中央集権なんですよ、揺り籠から墓場まで、全てが。幼稚園に入るったって補助金、小学校に入るったって補助金、全部、義務教育負担金だとか、そうでしょう。保育園に入るのだってそうなんですよ。介護保険受けるのだってそうでしょう。全部国が取り仕切ってやらなきゃならぬというシステムなんです、道路一本造るのだって。それで自立していきなさいなんて言ったって無理なんでね。  これ見ていただきたいんですが、ヴァッレ・ダオスタ州というんですけれども、ここの州に行ってきました。イタリーというのは借金が多い国で、GDPの一五〇%ぐらいあるんだけれども、大体国民一人当たりの所得は、GDPは日本と同じぐらいだそうなんですが。その州はなぜ行ったのかというと、領事からの話も聞いたんですけれども、一人当たりのGDPが、ミラノだとかトリノだとかああいうところよりも一番強い州だと言っていた。ただ、たかだか人口は十三万ぐらいなんです、十三万で州なんですが。それで、首都が三万五千人で、アオスタ市というんですけれども、ローマ時代の遺跡とかそういうのがあるところなんですが、私、そちらの副知事に十二万八千の中で職員はどの程度おりますかと言うと、三千人いると言うんですよ。びっくりしました。ええっと言ったんです。いや、これでやっていけるのと言った。そして、金持ちの州だと。  そして、モンブランのところに一・三億ユーロ掛けて、というと百七十億ぐらい掛けてですよ、たかだか十二、三万の州が百七十億掛けてゴンドラを造って、全てお客さんに、もうレストランあり、ブティックあり、お土産あり、全て権限があるから何でもやっているんです。それで、これ、どこからお金出しましたと言ったら、一割は国から借りてきたけど、あとは自前だよと、こう言うんですよ。そして、各地域に行くと、ブドウ畑、ブドウとかいろんな事業をやっているんです。だから、州自体が株式会社みたいな感じでやっていらっしゃるんですね。そして、権限が、このとおり、見てください、それこそ県の権限も皆持っていますから、要するに外交、防衛とか基礎的なもの以外は全部共同で持っているんですね。だから、どういうことでもできるんですよ、その州は。  だから、一度、石破さんもそこに行ってみて、そうなると、考え方変わってくると思うんですよ。ミラノまで直行便で行けますから、あとそれから車で三時間もあれば、北に走れば行けますのでね。イタリーの、何というんですか、分権をよく見ていらっしゃれば、だってイタリーというのは、どちらかというとみんな、特徴のある町がたくさんあるでしょう。それのほかに、今一億総活躍社会とよく言うけれども、結構人生楽しむことも覚えている国民でしょう。日本、まねしなきゃ、イタリーについてどうとかこうとかと言うんじゃなくて。  そういうことで、とにかく、こういうことをやるよりも一日でも早く権限移譲をすべきだと私は思うんです。そして、地方を自立させて、国は何をすべきかというと、国はサポーターの役をやればいいんですよ、自立させて。それを自分たちがみんな抱え込んでやろうとして指示するから、そして、今インターネットの時代で、もう、すぐあの資料出せ、この資料出せでしょう。やれるわけないです、それは。だから、この資料をよくあえて見てみてください。とにかく分権することによって、町も州も自立して、それなりの特徴あることができると。簡単に言うと、十二、三万の中に三千人の職員がいるということは、そのほかに、市に職員がおって、町に職員がいて、そういうことなんですね。私は、地方自治体やって、人口千人当たりは、市の職員は十人あればいいなとか、県庁は二人あればいいのか、三人あれば、合理化ばっかりやってきた男なんですが。  考え方として、いろんな権限があれば、例えば財政力指数の強い上野村ってありますね、御巣鷹山の近くの。あそこなんかは、東電の固定資産税でほとんど不交付団体でやっているんですけれども、権限がないから、いろんな施設造っても、何というか、目的外使用ということと、補助金適正化法に触れてやっていけないというんですよ。だから、つり橋あるところは、これで何かやってみたらいかがですかと言ったって、いや、それはもうこれは禁止されているからねと、こう言うんですよ。  そういうことで、問い二になるんですが、大臣は所信の中で、地方創生はお任せ民主主義から脱却こそが肝要であり、知恵は現場にこそあると述べられているんです。であれば、なぜこんなに格差付いたと思いますか、大臣、ちょっと答えてください。
  39. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、多岐にわたる御指摘をいただきました。  一点は、やはりイタリアの場合に、私も委員の御指摘もあって随分調べてみました。私なりに研究もしましたし、委員と同趣旨の御指摘を例えば大前研一先生は昔からずっとしておられるところであります。私、農林水産大臣のときにイタリアは行って以来しばらく行っていないのですが、実際にイタリアの村が、これはドイツなんかもそうなのですが、ヨーロッパに寂れた村はないというのはそれなりの理由があることだろうと思っております。  イタリアにおきましては、一九九九年それから二〇〇一年、憲法改正が行われておりまして、やはり今の姿になるには二回の憲法改正を経ておるということでございます。また、財源配分のやり方も、日本の交付税的なものが活用されているというふうに承知をいたしております。また、民間の活用、先ほど、市全体があるいは州全体が株式会社のようだという御指摘もございました。一時期、神戸株式会社というお話がございましたが、私はそういう考え方も大事だと思っております。  あわせまして、これから先は、スポーツとかあるいはライブエンターテインメントとか、そういうものが大きな比重を占めてくる世の中になるだろうと思っております。私はもちろん議会の許しがなければ海外出張なぞできませんが、例えば東京周辺を見ましたときに、あちらこちらの公共施設が東京オリンピックも控えて閉まっておるわけでございます。厚生年金会館はもうなくなっちゃいましたし、ゆうぽうともなくなっちゃいましたしみたいなことですが、そうすると、スポーツもできる、ライブもできるということになりますと、横浜アリーナか埼玉スーパーアリーナしかないことになりまして、そういうところ、例えばアメリカのニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンみたいな形で、民間の活用によって公費を使わずにその地域に多くの経済効果をもたらすということができるのではないかと思っております。  制度を変えよという委員の御指摘でありまして、私は、例えば連邦制とか道州制というのを否定したことはございません。我が党においてもずっと研究がなされておることでございますし、道州制推進本部というものもございます。ですが、憲法改正を伴い、私どもとして、現行憲法のままで道州制が導入できないとは考えておりませんが、いずれにしても、憲法上に位置付けるというのは一つの考え方だと思います。  ただ、それができるまで地方創生というのを止めるというわけにもいかぬだろうと。実際問題、所得は、大都市圏と地方は間違いなく縮まっているのです。間違いなく、我が党がやってきた政策ということによって地方と中央との所得格差は縮まっているということは私は明確に申し上げておかねばならないことだと思います。  にもかかわらず、何で地方から人口減少が止まらないのかということは、それは、今まで公共事業企業誘致によって多くの雇用と所得がもたらされてきたと。そうであるがゆえに、秋田でもよくお話をする話ですが、秋田は米一辺倒の政策から脱皮せねばならぬということはずっと御指摘いただいていることですが、だけども、じゃ、あきたこまちを海外に出すということを本当に考えたことがあるのか。米の輸出がどんなに難しいかはよく知っています。知った上で申し上げているのです。じゃ、林産品でも輸出するということを考えたことがあるだろうか。本当にインバウンドというものを考えたことがあるだろうか。  何で秋田において人口減少率が全国で最も高いのか。私はその秋田の問題というものをよく分析をすることが非常に大事なことだと思っておりまして、制度を変える、抜本的に変えるということは、私は決して否定をいたしません。ただ、それが一朝一夕でできることではございませんので、今の制度の中でできることはたくさんあるはずだというふうに確信をしておるところでございます。
  40. 寺田典城

    ○寺田典城君 確かに、地方自治法の九十二条だとか九十三条だとか、道州制だとか何かになる場合は、これはどうするかというのは、憲法上は手を着けていかなきゃならぬことだと思いますよ、それは。だけども、今までの自民党政策として、所得の格差、地方とあれが詰まってきているというのは、所得の格差は今開いてきていますよ。そうですよ。  それと、この制度、もう各省庁が全部壁になっているんですよ。例えば、三十人学級をやるといったって、定員に関するあれというのがあって、公立義務教育学校等の編制及び教職員の定数に関する法律とかという、そういうのがあるんです。私が強行して三十人学級にしたら、平成十三年なんです、六月二十九日、私は四月一日からやっているんです、しようがないからということで、特別な場合は認めるというふうな通達が出てきたり。  例えば、国立大学の医学部、病院があります。ほとんど県民が、九五、六%県民がそこを活用しているんです。ところが、サービス向上とか能力向上のために高度な機械だとか駐車場だとか県が寄附するというと、これ、地方財政法上駄目なんですね。それを、どこまでも出すという行政訴訟をやりましょうよというぐらいやって、それを、この間、法律ではあるんです、今は全部、二〇〇七年だったかな、それは認められているんですよ。  だから、そういう全てが、幼保一元化だって、今これ、死ねというくらいやられるというのは、要するに、幼保一元化だって進めていけば、幼児教育も幼児保育も大事なんですよ。だから、一貫してやっていけばいいんですよ。ところが、厚生労働省と文科省で張り合ってというか、学校教育法上は文科省はこうだと言うし、児童福祉法からいけばこうだと言っちゃうんだから、壁があるからなかなか進められないんです。  それで何が弊害出ているかというと、そのことによって零歳児で保育園が囲って子供を入れてしまえば、小学校、義務教育に入るまでそこでいざるを得ないかなということなんです。ところが、今度、気の利いた人は、ある面では幼稚園に三歳になったら行かせて、保育も欠けるからというんで二股掛けている人もある。お金ある人はいます、それは。だったら幼保一元化をしたらいいんです。それで、簡単な言い方をすると、幼稚園から小学校に入るのと保育園から小学校に入るのと、成績が五ポイント違うんですよ。  だから、制度を変えない限り、地方創生にはならぬということなんですよ。思い切ってそういうことに手を着けていただければ、いろんなことが変わっていくと思うんです。ですから、それを私は一生懸命、石破さんは将来総理になる人なんだから、俺はこうするよって、がちがちやっていきゃいいんですよ。要らない気を遣って、こんなことして見る必要は何もないのでね。そういうことをやれば地方も変わりますよ。そういうことです。  それから、こういうことがありました。地方自治体、肥満というか、物を持ち過ぎているんですよ。財政力以上の資産を持ってやっているんですよ、特に過疎地域なんかは。温泉を、町村合併でもすればこうなると。それで、何とするというので、公共施設等の除却に係る地方債というのを発行を認めたのが、私、平成二十六年なんですよ、何回か質問して、そういうふうになったんですけどね。だから、物をこれから地方に造るとかというのは無理だと思う。近代的なことで必要だというものはあるけど。  ところが、自民党政権はどちらかというと、民主党もそういうところもあったかも分からぬけれども、今は民主党なくなっちゃったんですけれども、物を造ることとか何かすることが、日本の国はハードで物を、そういうものが国の発展とか地方の発展につながるということでやっているんですが、やっぱり、もうそろそろ人材育成と子育て支援とか、そういうことに的を絞ってやった方が、それから、あとは国際化対応していかなきゃ。若い人方は、もう海外にだってこれからの人方は住むようなことにならなきゃならぬから、幼稚園から外国人を一人ぐらい入れて語学でもやらせるとか異文化を教えるとか、そういうぐらいのことをすれば変わっていくと思いますよ。それから、今、八%を一〇%にするんだったら、軽減税率なんか、ああいうのなんか絶対やめて、一兆円とか二兆円使って留学させることですよ、高校生のうちに、高校を四年にして。そのぐらいのことをすれば日本の国は変わりますよ。だから、こういう地方創生でくちゃくちゃくちゃくちゃしたものを出してよこしても何もプラスにならぬということだけは、私はあえて言わせていただきます。  今、夕張市なんか、市長も頑張っているけれども、あのとき、産炭法でいろいろな振興策しました、各省庁みんな支援したんですが、金と物だけなんですよ。制度を変えて、ここに法人税一五%にしますから企業来てくださいといえば、働く場所あるから、十五万の人口がどの程度、インフラだって、十五万住めるようなインフラ、住んでいるんだから、何かで残ったはずですよ。だから、夕張市は、日本の行政の一番駄目な見本が、あそこにみんな負担来ちゃったなということで、私はそう思っています。  だから、ばらまきとかそういうことで面倒を見るとかサポートとかというんで金でやるんじゃなくて制度でやってもらわなきゃ何ともならぬと、そういうことを一つあれさせていただきたいと思います。  では、問い三の方に行きます。  全国各地にショッピングモールがありますね。ショッピングモールは社会的にどういう役割を果たしているか、石破大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  41. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一言だけ申し上げますと、前も申し上げましたが、熊本県というのは、まさしくいろんな新しい交付金というものが額において一番、二番、上乗せにしても先行型にしても。それは、熊本は何年も前からこの地方創生のやり方を先取りして、それぞれの自治体が自分たちで計画を作るということでやってきたと。であるからして、熊本の場合にいろんな効果が現れている。それは島根なんかもそうだと思います。  ですから、危機感を持ったところほど今回の国の政策について御賛同をいただいているということは、私はそこは申し上げておかねばならないことだと思っております。全国知事会、全国市長会、町村会からもそれなりの御評価、つまり、国に向かってこんなことはけしからぬと言えるわけないだろうがという御指摘もあるかもしれませんが、地方団体とも常にお話をしながらやってきておることだということは申し上げておきたいと思います。  ショッピングモールにつきましては、そこにおいて人が集まっているということは事実でございます。私の選挙区鳥取市におきましても、大きな大きなショッピングモールがあって、人の流れががらっと変わりました。  ショッピングモールと既存の市街地、なかんずく中心市街地との共生をどうするかという課題はございますが、ショッピングモールに大勢の人たちが集まっているということは確かでございます。そこにおいて、そういう人が集まるという利点を生かしてどういうようにして地方創生に寄与するかということは、私どもとしてもよく留意をしたいと考えております。
  42. 寺田典城

    ○寺田典城君 私もショッピングモールには余り関心なかったんですけれども、あるとき、倉敷のチボリ公園が破綻したので、アウトレットとか、それからイトーヨーカドーですか、がショッピングモール造ったんですね。そして、人は約一千万ぐらい年間おいでになるし、一千何百万来るといって、千五百万ぐらいだったかな、千二百万と六百万で一千八百万とか当初来たという、今でも来ているようなんです。  すると、今度は、岡山行って、ずっと東京の、あちらの方の、幕張の方のショッピングモールにも行った。あれ、びっくりしたのは、秋田県なんてもうショッピングモール、人口三十万単位には大きなのが一つぐらいあるんですけれども、一年に千万人近くも来るでしょう、恐らく。雇用は二千人、三千人しているということなんですが、おじいちゃん、おばあちゃんが散歩がてらに来ているんですね。バリアフリーですし、立派なソファーもあるし、そして昼御飯とか食べて帰っていくと。それから、若い夫婦も来ているんですが、女性の方が乳母車に乗っけて子供を連れて、何というか、散歩かたがたみたいなストレス解消にも来ているという、ああいう効果が物すごいなと思います。そういう視点で見るようになりました。  だったら、そこで、若い人方千人も働いている、若い人が何百人働いている、それを、例えばそこに職業能力専門学校みたいなものを付けてスキルアップするようなあれしたらいかがなものかだとか、それからカルチャースクールつくっているところもあると思います。診療所だってあると思うし。それと、あと、老人というか、ある程度、リタイアした六十五歳でもまだまだ元気な人方が、要するにそこで老人大学校みたいなものをつくって若い人方に教えるとか何するとか、そういうヤドカリ方式で行政がもう少し考えた方がいいなと率直に思うんです、ああいう人見ると、それだけ人が来るということは。中心市街地はやはり共生といったって無理だと思います、それは。だから、その辺もひと考えてやっていただきたいなと思います。  それではもう一つ。私、心配で、震災地、二月二十五から二十六、三月二十日、二十一、四月二日と、いわきから宮古までずっと見てまいりました。いや、あの道路、橋、防潮堤、宅地、災害公営住宅、全て町の中を新しくしているということなんです。悲惨なのは、やっぱり原発の放射能ですね。除染しても人は誰も入れないです。いなかったです、帰ってきている人は。たまにちらっと見えるかというぐらいのことなんですね。フレコンが山のごとくあるんですが。  私は、率直に言って、地方創生でなぜこれ言うかというと、恐らく、防潮堤なんかはそうなんですけれども、道路もあれなんですけれども、宅地とか災害公営住宅は半分ぐらい余っちゃうんじゃないかなと思うんです。そういうんだったら、あともう一般の人方にそれを開放して、新しい人方入れてやることを考えた方がいいんじゃないかと。それだけオーバースペックです。フルスペックだし。みんな、そのことを聞くと、頭抱えちゃうんですよ、どうですかと言うと、やっぱり五年もすると無理だよと。うちはじいちゃん、ばあちゃんしか行かないとかって、そういうことなんですよ。  だから、地方創生が今新しい形で先取りして、時代を先取りした形で地域再生というか、今、再生法の中ででも何でもいいから、その法律も含めて、そういう支度をしたらいかがですか、被災地に対して。ほとんどが、ある面では、仙台地区を除けば、みんな人口減少の顕著なところだったですね、あの地域は全部。だから、要するに、若者に魅力のある、呼び戻す特区制度みたいなものをつくるとか、いろんなものを今先取りしてあの地域に持っていくというようなこと、いかがですか、それ、大臣考えてみませんか。
  43. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 東北を新しい日本のモデルにしたい、つまり、復旧ではなくて復興でなければならないと思っているのは、あの地域においていろんなものが不幸にして滅失をいたしました、震災と津波がダブルで来ているわけですから。特に津波というのは、もう本当に根こそぎいろんなものがなくなってしまうという大災厄でございます。そこにおいて、新しい農業の姿であり、漁業の姿であり、林業の姿でありというのをお示しをするのは、被災された方、落命された方に対する私どもがやらねばならない御供養だと私は考えております。ですから、新しい日本をつくるんだという思いの下に、農業であり、漁業であり、林業であり、あるいはコンパクトシティーもそうなんだと思っております、そういう姿を示したいと思っています。  その中において、例えば前段で御指摘のショッピングモールどうしますかという話になってきますが、私は、ショッピングモールであれ、ほかの施設でもいいのですけれど、人の集まるところに、いろんな公共の施設であるとか教育の施設であるとか医療の施設であるとか、そういうものを造っていくというのは大事なことだと思っています。  一方において、郊外型大型店舗というものがあちらこちらで店じまいをしているということは間違いない事実でございます。これをどう捉えるかということであって、稼げるだけ稼いだらばそこから撤退してしまうということがないようにするためには、ショッピングモールであれ、大型店舗であれ、それが稼げるだけ稼いでという考え方ではなくて、そこにおいて雇用と所得を創出する、委員の御指摘に従って申し上げれば、そこに若い人たちが働いてくれる、それがサステーナブルであるということが、これから先のショッピングモールあるいは大型店が目指していくべきものだと思っております。稼げるだけ稼いでとか、搾取とは申し上げませんが、そういうような形の大型店の展開というものは、私どもとしてよく考えねばならないことだと思っております。
  44. 寺田典城

    ○寺田典城君 確かに、大型ショッピングモールで、地域的に合わなくなったとかそういうことで、別の方がもっといい条件だと、また新しく人を集めるという能力がある会社はたくさんあるでしょうし、やめるところもあると思います。ですが、経済原則からいけばこれは致し方がないのかなと、人の動きですから、どちらが魅力度あるかということなんで。  だけれども、私から言わせると、そういうショッピングモールというのは非常に、ある面では若い人方にも、それからお年寄りにも、生きるために活力にはなっているなと。私は、今までは店なんか見ることなかったですけれども、ずっとそのことについてはそう思っています。被災地とかそういうものだったら、今イオンでも何でも、ショッピングモールできたところには人来ていますよ、みんな。  だから、そういうことで、それを今度もう少し行政的なサイドで、人材育成するとか社会の発展のためにこういうことを活用するとかということをもっとヤドカリ方式で進めていったらいかがですかということなんです。そういうことを一つ提案させていただきたいなと思います。  震災地なんかも、必要でないものが出てきた場合は、これは税金の無駄遣いになりますから、早めに法律を改正して、被災者でなくても活用できるというような、宅地でもそれから住宅でもそうですね、そういうものも含めてお考えになっていただきたいと思います。  もう時間になりましたので、ただ、最後、言っておきます。地域再生法は、私は何ぼ考えてみても、これは無駄な法律だなと、付いていけない法律だということだけは申し述べさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  45. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  46. 熊谷大

    委員長熊谷大君) ただいまから地方・消費者問題に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、豊田俊郎君、森まさこ君及び小西洋之君が委員辞任され、その補欠として上月良祐君、山下雄平君及び神本美恵子君が選任されました。     ─────────────
  47. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 休憩前に引き続き、地域再生法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  では、早速質問に入らせていただきますが、今回の改正によりまして、地方創生推進交付金企業版ふるさと納税、そして日本版CCRCが追加をされて、日経によりますと、地方創生は計画段階から本格的な実行段階に入ったというふうに評価をされておりました。  私もいろいろな自治体を回る中で、この地方創生取組に対して大変意欲的に取り組んでいる自治体もたくさん回ってまいりました。  その中で、北海道の三笠市に行ったときに、ここでは補正の先行型交付金に取り組んでいたところなんですけれども高校生レストランというのを実施をするということで、この三笠市というのは農業地帯でありまして、もう周りはおいしいお米とそれから野菜が豊富にあるところで、ほかには御年配の方たちがいっぱいいらっしゃると、そういうところでありまして、元々三笠高校という高校があったんですが、生徒数の減少で北海道はこの公立高校を廃校するという方向にあったところを、三笠市が、これは調理の専門学校、専門学校というか専門の高校として市立で残そうということで残した学校でもあるんですね。そこで、今回の先行型交付金を使ってもう各地から、三笠市内はもちろんですけれども、全国各地からこの高校に生徒たちを集めて様々な取組を行っていくということであります。  この交付金が始まる前から、学校で年一回、その高校生たちが作ったものを振る舞うというのが学校行事として行われておりまして、これはもう三笠市内周辺の町村を含めて大変に話題になっておりまして、それを楽しみにしておられる方たちもたくさんいらっしゃるということで、この先行型交付金を使って更にどういう展開をしていくのか、非常に期待をしているところでもございます。  他方、やはり自治体首長さんによっては、急に連携と言われてもというふうに言う首長さんたちも実際いらっしゃることはいらっしゃるということであります。  そういう意味でも、この先行型交付金取組というのは、今後のまちひと・しごと創交付金の利用に当たっては参考になる事例も多いと思いますので、大臣が特に興味を持たれたものを御紹介いただければというふうに思います。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この委員指摘の三笠市の取組は実に面白い話であります。御指摘のように、北海道はもう道立高校は閉めちゃうということで、なくなるのかと思えばそうでもなくて、音威子府の村立美術工芸高等学校って、私、拝見もいたしました。そこでなければできない教育というのをやっている。この三笠もそうだと思っております。  平成二十六年度の地方創生先行型交付金、これ二十六年の補正でやっておりますが、一千四百六十六万七千円交付をさせていただいたものでございます。いろんな新しい取組がある。映画の舞台にもなりました。三笠をイメージしたミカサイダー、ちょっと飲んでいないので知りませんが、どんな味がしますことやらみたいなことで、大勢の方々でにぎわっておるところでございます。  この加速化交付金につきまして特徴のある事例を紹介をさせていただきますと、上士幌町でございますが、アクティブシニアが学べる場所として、家庭菜園、農業です、熱気球や登山、体育であります、地域貢献ボランティア、保健福祉であります。この上士幌町は東京でもイベントをやりまして、ふるさと納税が非常に多かったということで、感謝の集いというのを東京で開催をして、私も行ってまいりました。一度来ないかと言われてなかなか行けないでおるのですが、非常に意欲的な町だというふうに承知をいたしております。  また、山形県高畠町というところがございますが、これは先行型交付金の先駆的事業分、タイプⅠと申しますが、ここにおきましては熱中小学校というものをやっている。すなわち、第一線で活躍している企業経営者、研究者による講演を行うということで、これは加速化交付金におきまして全国七つの市、町でその取組を展開しておるということであります。これは連携のいい例だというふうに承知をいたしております。  あるいは、地域商社というのをつくってくださいということで、これは地産多商、地産地消ではなくて、ショウは消費の消ではなくて商いという字を書くのでございますが、地産多商というものを目指します地域商社というのもございます。これも、委員の御地元であります北海道で申し上げれば、神恵内村、岩内町、泊村等々が連携をいたしまして、流通がプロの方々によって販路が開拓をされる、そして地域間で連携をしてナマコの養殖による安定生産、ナマコって結構振れがございますが、これを養殖をするということによってこれを商品として売っていくということでございます。  ですから、地域間連携あるいは地域商社あるいはこういう先駆的な事例というものが多くあるわけでございまして、私どもとして、これをなるべく多く御紹介をすることによって、そうであればうちもやってみようというような、そういうムーブメントをつくってまいりたいと考えておるところでございます。
  50. 横山信一

    ○横山信一君 ありがとうございました。  高畠町では、最初に高畠町がやったのがだんだん連携になったという話も聞いておりまして、非常に参考になるのではないかというふうに思っております。  本年一月のダイヤモンドオンラインの大臣のインタビューを読ませていただいたんですが、その中に、大臣が、コンパクトシティーとなれば富山市の例が出てくるが、その次が出てこない、商店街の再生となれば高松市の高松丸亀町商店街の例が頭に浮かぶが、次が出てこないという、そういう話をされて、こうした成功事例を運動として広げていくその地域の活性化の教科書みたいなものが必要でしょうねということで、事例集も作られているわけでありますけれども、先導的な事業としても先駆的・優良事例横展開を図る事業というふうになっているわけですが、この横展開をどのように進めようとしているのか、これも大臣に伺います。
  51. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、今御指摘いただいたように、コンパクトシティーというと富山市、中心市街地活性化というと丸亀町ということで、そこから先が出てこない。結局、カリスマ市長がいるもんねとかカリスマ商店会長がいるもんねと、以上おしまいというようなことではどうにもならぬことでありまして、そこがどのようにしてこれに取り組んだのか。例えば、高松の丸亀町なんていうのはもう昨日今日始めた話ではない。もう十年、十五年前から、まだバブルでにぎわっているときから、やがてこれは終わるのだと、本四架橋が通って今はにぎわっているけれども、これはいつまでも続くはずがないのだということで、全国の商店街を見て、成功例、失敗例を検証しながら今日があるということでございます。  ですから、どういうような経緯をたどってこういうことになったのか、何が成功し何がうまくいかなかったのかというようなそういう事例集を、文字ばっかり連ねるのではなくて、読んでいる方がそうだねそうだねと思って自分の実体験に重ねて読めるような、なかなかそういう文章って作るのは役所は苦手なんですけれども、読んでもらえなければ仕方がないので、そういうものを作るようにということで今努力をいたしておるところでございます。  島田委員の御質問にもお答えをいたしましたが、島根浜田市のシングルペアレントという受入れ事業がございます。これは、一つの国として気が付かなかったこういうのがあるねという優良事例だと思っているのでございますが、これを上乗せ交付分の事例集で御紹介をいたしましたところが、茨城県の城里町におきまして、じゃ、うちもやってみようということになったところでございます。  だから、そういうようないいものは横展開していく、そして先人が失敗した例というものを重ねないように、できるだけ短い期間で効果を発現するように努めてまいる所存でございます。
  52. 横山信一

    ○横山信一君 ちょっと質問の観点を変えまして、地方版総合戦略策定に当たって、地方創生コンシェルジュが相談窓口となってこれまで対応してきたわけでありますけれども、コンシェルジュの利用状況、どうであったのか、お伺いいたします。
  53. 佐々木基

    政府参考人佐々木基君) お答えいたします。  地方創生コンシェルジュの利用状況でございますが、この制度ができました平成二十七年の二月末から平成二十七年度末までの一年一か月の間に私どものところに相談の報告があった件数は三百七十件でございます。都道府県から五十九件、市町村からは二百九十二件ということでございました。  内容につきましては、今お話ありましたように、総合戦略策定する時期あるいは交付金の申請の時期と重なっておりましたものですからそれに関する問合せというものが多いわけでございますけれども、そのほかにも、やろうとしている事業に対しまして国が一体どんな補助事業があるのかといったような問合せもかなり多うございました。
  54. 横山信一

    ○横山信一君 この三百七十一件が多いか少ないかというのはおいておきまして、地方版総合戦略策定のためにこの地方創生コンシェルジュというのが一旦は置かれていたわけでありますけれども、その役目は一旦は終えたということになります。  今後はその総合戦略の実現に向けてどうしていくかということになるんだと思うんですが、この地方創生コンシェルジュ、これからどういう対応になっていくのか、お伺いします。
  55. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはなかなかいい日本語がなくて、コンシェルジュというのはもう親切な相談相手としか訳しようがないのでございますが、地方の行政の首長さんであれ、あるいは担当の方であれ、それはもう中央政府のこの膨大な仕組みというのを全部知悉をしておられるわけではございません。  そういう方々に対しまして、例えば自分は北海道の出身であると、あるいは北海道の行政機関に勤めていたことがある、あるいは自分の配偶者が北海道出身である、もう理由はないが北海道が大好きである、何でもいいんですが、そういうコンシェルジュという形で、農水省であり経産省であり国交省であり、ほとんど全ての省庁から出ていただいております。それは、私はなぜ北海道のコンシェルジュとなったのか、私はなぜ神奈川のコンシェルジュとなったのか等々、自分の思いというのを書いていただき、もちろん個人情報に触れない範囲で御自身の経歴というのも書いていただき、それを全部の自治体にお配りをしておるところでございます。  また、ほとんどが知事さんの御主宰でありますが、東京にそういう行政の関係の方あるいは議会の関係の方がお出かけいただいて、コンシェルジュが、そこで初めて会うという人もいるわけです、そこはみんなかなり目立つというか分かりやすいというか、ネームプレートを付けて、そこでいろんなお話合いがなされる、じゃ、今度行ったらこの相談に乗ってくださいねというような関係をつくる、そういうものでございます。  今、相談件数が私少ないとは思いませんが、余り多いとも思っておりません、正直申し上げて。そうしますと、一体どれだけの件数がというのは今申し上げたとおりですが、どこの省庁のどういう方々にどんな御相談があったのかというのはちゃんと分析をしなければいけないと思っております。  地方の行政の担当の方々に更に使いやすくしていただくような、そういうふうに変えていかねばなりませんので、地方の行政の方々に、ここのコンシェルジュ制度どうですと、使いましたか、使えませんか、使ってみてどうですか、改善点はありませんかというようなことを、お客様の御意見を聞くというのは大事なことだと考えておるところでございます。
  56. 横山信一

    ○横山信一君 総合戦略策定に当たってコンシェルジュを使った自治体は、引き続き恐らく相談をされていくと思うんですね。でも、大多数は使っていないという、数字から見るとですね、そういう状況にあるわけですから、このコンシェルジュをいかに使いやすくしてもらうかというのはこれからのことになりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  さて、今回の地域再生法では、これまで地域再生基盤強化交付金制度というのがありましたけれども、これが終了することになりまして、ソフト事業を中心とした地方創生推進交付金制度に引き継がれるというふうに承知をしております。  先週の委員会でも、この交付金、新型交付金とそれから一括交付金とを比べての議論が多かったというふうに思いますが、この地域再生基盤強化交付金というのは、道路、港の整備などハード事業が中心のものでしたので、地方自治体からのニーズというのは多かったというふうに認識をしておりますけれども、改めてここでお聞きをしたいんですが、地方創生推進交付金と一括交付金との違いというのはどういうものなのかと。また、そもそも、これら二つの交付金を同列に見ることができるのかどうかということもお聞きをしたいというふうに思います。
  57. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、一括交付金というものを全否定をする立場には立っておりません。縦割りを排除するというその考え方自体は正しいものだったというふうに考えておるところでございまして、民主党がやったものだから全部駄目だなぞということを私は申し上げているのではございません。委員がおっしゃいますように、今回の新型交付金は、対象事業ですとか交付のやり方ですとか、それが一括交付金とは全く違うものでございますので、どっちがどうのこうのということを論じて二者択一みたいな議論を展開するのは必ずしも正しくないと思っております。  今回の新型交付金というのは、ソフトを中心としたものでございます。ハードが随伴することはございますが、それはあくまで政策目的達成のためにやるものでございまして、ハードをハードとして考えている、それ単体として考えているわけではない。ソフト中心かハード中心かと申し上げれば、ソフト中心であるということでございます。  また、客観的な基準によりまして、一律交付をするというやり方ではなくて、審査方式、これは上から目線ということを申し上げているわけではありませんが、審査をさせていただくその間においてもちろん自治体議論もさせていただくという意味で申し上げておりますが、これが一律交付か審査方式かという点も違うところでございます。ですので、一括交付金との長短を論ずるということに私は余り生産性があるとは考えておりません。
  58. 横山信一

    ○横山信一君 よく分かりました。  それで、この地域再生制度の中で、地域再生を進めるに当たっては、地域住民に近い立場でのコーディネーター役として、コミュニティー再生などのノウハウを蓄積したNPOと連携して取り組むことが重要というふうに述べられているわけなんですが、その上で地域再生推進法人の役割に期待してきたわけです。  しかしと言っていいと思うんですけれども、この地域再生推進法人、対象を拡大してきて、二十四年には営利を目的としない法人のみを対象としてスタートしましたけれども、毎年毎年対象を拡大していきました。現在、だけれども、ここは五法人しかないんですね。それで、今回の改正では更に指定要件を緩和することになっているわけですけれども、この地域再生推進法人、しっかりその役割、期待に応えてくれるのか、また期待に応えてもらわなきゃいけないわけですが、今後どうしていくのか、お聞きします。
  59. 牧島かれん

    大臣政務官牧島かれん君) お答えいたします。  今、横山委員から御指摘ございましたとおり、地域再生推進法人制度は、地域住民に近い立場で地域再生事業を行う法人として地域再生推進法人を指定して地域再生推進のコーディネーターといった役割を担っていただく制度平成二十四年の制度開設以来、現在五つの法人が指定されております。  平成二十六年の改正において、地域再生推進法人の対象に営利法人を追加いたしました。今般、地域において官民協働地域再生を推進しようとする機運が高まっておりますので、今回の法改正においては、地方公共団体が出資していない営利法人であっても地域再生推進法人として指定することができるよう指定の要件を緩和することとしております。  さらに、今般の生涯活躍のまち形成事業の実施においては、事業運営を担う主体として、社会福祉法人や医療法人及び民間企業などの多様な主体が想定されています。これによって、今回の法改正においては、地域再生推進法人が市町村に対して生涯活躍のまち事業計画の案の作成及び提案を行うことができるようにするなど、地域再生推進法人の新たな役割を設けさせていただきました。  このような改善を通じて、今後、町づくり全体のマネジメントを担う法人として地域再生推進法人がより広く活用されるよう、引き続き制度の運用を図ってまいりたいと思います。
  60. 横山信一

    ○横山信一君 CCRCがこれから本格的に動き始めると、この地域再生推進法人の役割の期待が大きくなってくると思うんですが、数字だけを見ると、五法人というのはちょっとこれは少ないんじゃないかなということで、やはりもう少し活躍の場というか、もっともっと活躍してもらいたいと、しっかりとお願いしたいと思います。  CCRCについては、以前にも大臣質問をさせてもらいましたけれども、今後の地方創生の行方を決める注目すべき取組だと私も感じております。  先日、北海道の厚沢部町のゆいまーるに行ってきました。ここは、東京のコミュニティネットが運営する介護付有料老人ホームとなっておりまして、入所者の平均介護度が二・七から半年後には一・六に下がったということで有名になったところでありますけれども、ここは町役場のすぐ向かいにあるんですね。隣は小学校でありまして、いわゆる有識者会議の最終報告にある、CCRCは町中にというのがありますけれども、まさに町中でありまして、厚沢部町ですから町中という言葉が想像するのと、町中といっても道路越えるともう全部ジャガイモ畑になりますので、そういうところでありますけれども。  小学校がすぐ隣にあるということで、運動会のときには、ここに入っておられる方たちも運動会に参加することもできるし、体を動かすのが難しい方は窓から観戦することもできるしということで、また、小学校の反対側にはパークゴルフ場もあって、パークゴルフがお好きな方は、もうシーズンになると朝から晩までパークゴルフ三昧というふうにも聞いてきました。  このCCRCの制度では、厚沢部町のように介護付有料老人ホームなどの既存の制度を活用することが想定されております。そこで必要に応じて医療、介護を受けることができるような地域づくりというふうになっているわけですが、それはどのようなものなのかを大臣にお伺いいたします。
  61. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このCCRCは、要介護になってから地方へ行っていただくというよりも、基本的には介護になる前の段階から行っていただき、今御指摘のゆいまーる厚沢部にしても、要介護の方の介護度が改善されたという御指摘がございました。そのとおりだと承知をいたしております。介護にならないような、そういうような運営が必要だなというふうに思っておるところでございます。  この点だけについて申し上げれば、でも、みんなが要介護にならないということは言えません。もちろんなってしまわれる方もあるわけですが、そこにおいて、CCRCの一つのCは継続の、コンティニュイングのCでございますので、そこで継続した形で、なるべく要介護になっても介護度が上がらないようにというふうに努めてまいりたいと思っております。そして、それはみんながそういうことにならなければいいのですが、重篤になった場合でもきちんとしたケアが受けられるということはやはり確保しておく必要があるだろうと思っております。  それは、その施設の中にそういうものを設けるということも必要でしょうし、であらばこそコミュニティーなのでございますが、その地域にある既存のいろんな資源を使いまして、要介護になられた方もきちんとしたユニバーサル社会の一員としての暮らしがしていただけるようにというのがCCRCの考え方でございます。
  62. 横山信一

    ○横山信一君 アクティブシニアを対象にしているわけですから介護とすぐ結び付けるということではないんですけれども自治体からすると、十年、二十年先にはやはり介護というのが現実にやってくるわけでありますから、そこの部分は、やっぱり市町村の皆さん方にはしっかりとどういう手当てをしてくれるのかというのが分かるようにしていかなければいけないんだというふうに思うんです。  厚沢部町の話にちょっと戻りますけれども、厚沢部町ではこのCCRCを核として地域活性化を目指しています。ここの町長は、世界一すてきな過疎の町というキャッチフレーズを掲げておりまして地域づくりを進めているんですけれども、そこで課題になっているのは行政の縦割りの非効率さなんですね。  具体的に申し上げますと、町内に保育園が三か所あるんですけれども、今回それを統合して認定こども園を整備する予定でおります。そこに給食施設も併設をすると。そして、その給食施設では、認定こども園だけではなくて小中学校の給食もやりましょう、また高齢者への配食サービスも併せてやりましょうということで、今までは別々にやっていたものを一か所で全部できるようにしたいと。  この厚沢部町というのは人口四千二百人の町ですから、効率的な施設運営によってCCRCの成功に結び付けようとしているわけですけれども、このような取組大臣はどのように評価をされるのか、お伺いしたいと思います。
  63. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この厚沢部町の先進的な取組から私どもが学ぶことは多いというふうに考えております。  総合給食センターの整備というのは、お子さんから高齢者の方までの配食サービスを一体に行うということなんですが、これが狙いとするものは、お子さんの給食を手掛けることによって教育、あるいは高齢者の方々に食を届けるということによって高齢者福祉、そして地元のいろんなすばらしい産品を使うということで地産地消ということでございます。ですから、食というものを通じて、教育であり、福祉であり、地産地消ということを実現するという意味で、単に効率的にしようということではなくて多くの政策を実現するという、そういう狙いを持ったものだというふうに承知をしておるところでございます。  この厚沢部町が高齢者に対して食を配る配食サービスをしておられるわけですが、従前からこれは、社会福祉協議会への委託をしてヘルパーの方々が見守りも兼ねると。独り暮らしなど食事を作られる御家族がいない、そういうような高齢者の方々への配食サービスを行うということで、自己負担分はございますが、介護保険の事業の一環としてやっておるものでございます。ですので、単なる効率性を追求したものではない、いろいろな政策を実現するという意味において大きな意義のあるものだと考えておるところであります。
  64. 横山信一

    ○横山信一君 大臣に大変深く御理解をいただいていることに感謝したいというふうに思います。  先ほどのちょっと介護の話に戻りますが、昨年の日経グローカルに載った日本版CCRCに対する知事、市町村のコメントを見ますと、やはりこのCCRCを進めるに当たって、医療・介護需要の増加に対しての懸念が多いですね。これは昨年の話ですから今は大分少なくなってきているかもしれませんけれども、今回、CCRCの導入に当たって、現在の介護保険制度で認められている住所地特例の適用が見送られました。これは特殊な例外的な措置でありますので見送られたわけでありますが、ただ、アクティブシニアたちの将来の介護サービス、先の話になりますけれども、そういった介護サービスの不安に対してどうしようとするのか、ここがやっぱりクリアにならないと積極的なCCRCの取組になっていかないというふうに思うんですね。  手引を見ますと、移住先自治体の財政影響の考え方というところには、今後特に年齢が高い高齢者の方が多くなる地域においては、今よりきめ細かい財源配分を行う対応が必要になるというふうに書かれているんですけれども、調整交付金の配分方法のことを指しているのではないかというふうにも思うんですが、こうした見直しなども含めてどうされていくのか、これは太田務官に伺います。
  65. 太田房江

    大臣政務官太田房江君) お答え申し上げます。  CCRCの導入に伴って御指摘のような懸念自治体首長さんやあるいは介護の施設関係者等にございますことは、私、この地方特の委員でもございますので、よく承知をいたしております。  一つ申し上げておきたいのは、現行の制度、これにもきちんとした安定装置が組み入れられているということをまず御理解いただきたいと思うんですね。というのは、移住先自治体において医療や介護の負担が過大に増加しないように、これは現行制度でそうなっているわけですけれども、医療や介護において公費負担をする自治体の公費負担分には地方交付税という地方財政措置が講じられることになっておりますのと、また、保険者であります自治体間、当然のことながら財政力指数が異なっているわけですから格差があるわけですけれども、これを埋めるような全国的な財政調整措置が行われる仕組みになっております。ただ、これは現行上の私は安定装置だと思っております。  一方で、やはりこれからどんどん高齢化が進んでいく、特に地域においては進んでいく。特に、二〇二五年問題ということが言われている中で、団塊の世代が後期高齢者にみんななってしまうときにCCRCの運用は大丈夫なのかという懸念を払拭するところまではこれ至っていないというのを私は認識しておりますので、今、次期介護保険制度改正に向けて社会保障審議会介護保険部会を動かし始めました。この中で、介護保険における財政調整、今御指摘になった財政調整の仕組みでございますけれども、これが、より年齢が高い高齢者が多い自治体に重点的に配分されるように見直しを検討していこうと考えております。その過程では、十分CCRCの実態ども踏まえていきたいと考えております。
  66. 横山信一

    ○横山信一君 自治体にとっては非常に大事な点だと思うんですね。今政務官からもおっしゃっていただきましたけれども、財政調整の仕組みを重点配分できるように検討していくということでありますので、そういったところがあって初めて積極的な取組に皆さん向かっていくんだというふうにも思いますので、将来の不安を払拭するような仕組みづくりを是非お願いしたいというふうに思います。  本格的な高齢社会を迎えた我が国では、医療と介護を地域の中でどう展開していくのかというのは重要な課題でありまして、これは、地域社会の中で安心して暮らしていけるような仕組みとして地域包括ケアというのを今進めているわけであります。  この地域包括ケアは、可能な限り住み慣れた地域でというところがポイントになってくるんですけれども、他方、このCCRCの有識者会議の最終報告では、高齢者の希望に応える、それから移り住んだ高齢者が地域社会に溶け込むような町づくりを目指す、そして医療、介護が必要なときに地域で継続的なケアが受けられることを目指すと、この三点から見て地域包括ケアとの連携が図られるというふうになっているわけなんですが、可能な限り住み慣れた地域を離れて移住した先が住み慣れた地域として地域包括ケアと連携するというのは分かりづらいですね。  ですから、その地域の中で、住み慣れた地域を離れて、移住というのはそういうものですから、そういう中でもこの地域包括ケアの中に組み込まれていくというこの考え方ですね、地域包括ケアシステムにCCRCをどのように位置付けようとしているのか、これ、大臣お願いしたいんですけれども
  67. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その点は、ここでよく考えなきゃいかぬことだと思います。  地域包括ケアといっても、誰も知らないところにぽんと行って、私はCCRCというのは地域包括ケアと背馳する概念だと思っておりませんで、CCRCを地域包括ケアになじむような形で運営をしてまいりたいと思っていますが、行ったはいいけれども周り知らない人だらけということになれば、かなりつらいんだろうと思っております。  そういう場合に、やはりこのCCRCというのは、できればなじみのあるところ、自分が生まれ育ったところとか、そういうところへ行っていただくということがまず第一義だと思っていますが、そうでない方々がそういうところへ行かれたときに、住民の方々と、まさしく地域方々と溶け込んでいただけるような、そういう仕組みが必要だろうと。要介護になってから行くわけではございませんので、それまでの間といいますか、ならないにこしたことはないんですけれども、それまでの間に、まさしくコミュニティーですから、地域方々といろんな形で交流をしていただく、そのための仕組みづくりというものに配意をして、そういうような寂しい思いをされることがないように努めたいと思っております。
  68. 横山信一

    ○横山信一君 ここはCCRCの一つのポイントだと思うんですけれども大臣もおっしゃっていただいたように、その地域に溶け込んでいくという、そういった仕組みづくりというのは今まで自治体が経験していないんですね。移住者が来て、その移住者をどうやって地域の中で活躍してもらうようにするかと、そういうノウハウをまだ、これから始めるという手探りの状態でありますので、それをどうしていくのかというのは一つの課題だと思うんですけれども、今日は時間がないのでもうやめますけれども、そうしたことを含めて、是非新たな仕組みづくりを目指していっていただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  69. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  初めに、石破大臣は、三月三十日の本会議、本法案の趣旨説明の冒頭で、我が国の地方創生をめぐる現状は、若者の雇用環境が改善する一方で、合計特殊出生率が九年ぶりに低下に転じ、また、東京一極集中の傾向に歯止めが掛からないなど厳しい状況が続いていると述べられました。  石破大臣、どういう理由から若者の雇用環境が改善したとおっしゃっているのでしょうか。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、事実関係でございますので、数字を御説明するので読み上げますが、お許しをいただきたいと思います。  二〇一三年と二〇一五年を比較をいたしております。就業率で見れば、十五歳から二十四歳の層において、二〇一三年に三九・七%であった就業率が二〇一五年には四〇・七になりました。二十五歳から三十四歳の方の層で見れば、八〇・二%が八一・二%になりました。完全失業率は、十五歳から二十四歳で六・九%から五・五%に下がり、二十五歳から三十四歳では五・三%から四・六%に下がりました。大学卒業者、新規の方々の内定率は九三・九が九六・七になり、高校卒業の方々の内定率は九七・六が九八・八になりましたと。不本意非正規雇用労働者の方々の割合は、二〇一三年に一七・八%であったものが二〇一五年には一二・八%、二十五歳から三十四歳の層で申し上げれば、二〇一三年に三〇・三であったものが二六・五ということで、あらゆる指標において改善が見られるということは事実であるという認識の下にあのように申し上げた次第でございます。
  71. 吉良よし子

    吉良よし子君 あらゆる指標ということで御説明いただきましたけれども、改善したといっても、数字の変化というのは大体一ポイント前後かなと思うわけです。それで改善と言い切れるのでしょうかというところが一つ疑問であるのと、また一方、若者の雇用環境を語る場合には、安定した雇用の形態にあるかということも重要だと思うわけです。というのも、若者が生まれ育った地域や今暮らしている地域で就職して、そして安定して働き続けられるように支援することこそがその地域の活性化、また持続可能な地域づくりにつながる大切なことだと私考えているからです。  その点で、まず見ておきたいのが若者の離職の問題です。新規学卒で就職しても、一年目あるいは二年目、三年目で辞めてしまう離職率の高さの問題があります。  この離職の状況というのがどうなっているのか、厚労省に伺います。大学、高校、中卒の新卒者の離職の状況、また都道府県の状況というのは把握していらっしゃるかどうか、併せてお答えください。
  72. 坂口卓

    政府参考人(坂口卓君) お答え申し上げます。  今委員の方からのお尋ねの卒業後三年以内の離職率ということでございますけれども、長期的には若干改善傾向にはありますけれども、中卒者につきましては約六割、高卒者については約四割、大卒者につきましては約三割ということで依然として推移しているという状況でございます。一番この卒後三年の離職率の新しいものでいくと平成二十四年の三月卒業者の方の状況ということになりますけれども、このデータにつきましては、中卒者が六五・三%、高卒者が四〇・〇%、大卒者が三二・三%ということになっております。  それから、お尋ねの離職率の都道府県別の状況ということでございますけれども、この離職率につきましては、データベースの都合上、離職した都道府県において計上されるという形になっておるものでございますので、したがって、採用された都道府県とは異なる都道府県に移って離職されたというようなケース等々もありますので、都道府県別の離職率のデータそのものが……
  73. 吉良よし子

    吉良よし子君 採用時のです。
  74. 坂口卓

    政府参考人(坂口卓君) 済みません。  採用時のミスマッチを把握するデータとしては信頼性に欠けるので、全国データを公表させていただいておるというところでございます。
  75. 吉良よし子

    吉良よし子君 都道府県については公表されていないということでした。  数字に移りますと、大卒で三二・三、高卒で四〇・〇、中学で六五・三ということで、先ほど説明のあったように、六割、四割、三割というところが全然変わっていないよというお話だったと思うわけです。  もう一つ私注目したいのが非正規雇用の問題です。労働力調査の中でも若者の非正規雇用の割合は四八・三%で、ここ数年高い水準のままだと思うわけです。  お配りした配付資料の一を御覧いただきたいんですが、これは五年ごとに行われる総務省統計局の就業構造基本調査です。これを見れば、二〇一二年で三八・二%が非正規労働者と。その前の調査の二〇〇七年度で三五・五、その前の二〇〇二年で三一・九ということで、比べれば一貫して増え続けていると思うわけですね。  そうしたところから考えますと、やはり大臣の趣旨説明にある若者の雇用環境の改善というのは一面的な見方であるし、一部分においては多少改善していると言えるかもしれませんが、全体として雇用環境が良くなっているということにはならないのではないかと思うわけですが、大臣の認識はいかがでしょうか。
  76. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、都合のいい数字ばっかり並べて説明するということは決して適当だと思っておりません。そうでない数字もきちんと客観的に把握をし分析をしなければ、政策政策になりません。そのとおりだと思っております。  離職が増えている、三年以内の離職が増えているということはいろんな理由があるんだと思いますが、景気が良くなったのでもっといい就職先があるのではないか、実際に見付かりましたということでそちらに移られる方も離職という数字で出てくるわけでございます。それがどれだけかということは、ここで申し上げるだけの知識を私は持ちませんが、そういう部分もあるということでございまして、いずれにいたしましても、そのこと自体は悪いことだと思いません。ただ、心ならずも離職せざるを得ない方というのを減らすような施策は今後も考えていかねばならないことだと思います。  非正規について申し上げれば、高齢者の方、女性の方という、そういう方々が非正規ということでお入りになったということもございまして、結果としてそういう数字に変化が見られるということだと承知をいたしております。ただ、平成二十七年で見ますと、生産年齢人口自体は減っているのでございますが、八年ぶりに正規雇用は対前年比二十六万人増えているという数字もございます。  ですから、そういうようないろんな数字というものを、なぜこうなるのかということの背景をよく分析をして今後も政策に臨んでまいりたいと考えております。
  77. 吉良よし子

    吉良よし子君 背景をということもありましたけれども、例えば、じゃ離職がなぜ増えているのかというところで、景気が良くなって移動されたんじゃないかというお話もありましたけど、一方で、どういうことかといえば、地方などから東京などの大都市圏に出ていくという中で離職が増えているということもあり得ると思うわけです。  やはり、そうした意味では、若者がその地域で働き続けられる環境を整えるというところがやはり地方を再生していく地域再生において重要な課題だと思うわけですから、そういうことを私お伺いしているというところもあるということをお含みおきいただきたいなと思うわけですし、非正規の問題でいけば、どんどん増加しているというところはやはり私問題だと思うわけです。非正規のままでは安定的にキャリア形成ができなくなりますし、正規雇用になることが難しくなっていくというのは、地方において人が育っていかない理由の一つにもなっていくと思うわけですから、やはりそこもちゃんと見ておかなければならないのではないかということです。  先ほど、都道府県の状況、離職については公表されていないというお話がありました。私、自分で資料を探してみたんですね。そうすると、一つは青森県、東奥日報の二〇一五年十二月十二日の記事があります。これは、全国平均の二〇一二年との比較で、高卒では五〇・三%、大卒では三八・六%と、いずれも全国平均よりも一〇ポイントほど高くなっているわけです。もう一つが沖縄県で、これは二〇一二年のものは見付からなかったんですけれども、大体常に大卒で四割から五割の間、高卒では五割から六割の間であって、やはり全国平均よりも一割から二割高い状況にあると。だから、先ほど申し上げたとおり、東京に流出してしまっているのではないかということも含めて、地域の状況も把握すべきではないかということを私思うわけです。  そして、非正規の労働についても同じなわけですね。再び資料も見ていただきたいんですけれども、こちら都道府県別があるわけですが、沖縄県は四四・五%が非正規の労働者である、北海道の方は四二・八%、一方、東京は三五・七%ですから、やはり一〇ポイントぐらい高くなってしまうと。こうした地域差というのに着目する必要はあると思うわけです。そして、私、この非正規雇用の増大というのは、地域における、それが地域の結婚、出産、子育てに大きな影響を与えると、そういうことをやはりこの場では指摘したいと思うわけです。  政府が作成したまちひと・しごと創総合戦略の参考資料の中でも、男性非正規雇用の有配偶率は低く、雇用の不安定が結婚に当たっての壁となっているという指摘があります。結婚だけではなく、子育てにおいての不安要素としてもあると思いまして、それについては、内閣府が昨年三月に公表した結婚・家族形成に関する意識調査においても、子育ての不安要素として、非正規雇用の男性、そして非正規雇用の女性共に経済的にやっていけるかというところを七割近くが挙げているという状況があるわけです。先ほど来あるように、今、若者の二人に一人が非正規雇用なわけです。これが各地方に広がっているとすると、ここで地域で問題になってくるのが結婚、子育てへの影響でありますし、やはり子供の貧困という問題が地方に出てくるのではないかと私思うわけです。  ここで、子供の貧困について今日は伺いたいと思います。日本における子供の貧困率は、政府の公表している数字で一六・三%、日本で生活する子供の六人に一人が貧困な状況下に置かれているということです。  ここで参考人に伺いますけれども、子供の貧困という場合、年間の収入でどのくらいの生活水準のことを指しているのでしょう。端的にお答えください。
  78. 小川誠

    政府参考人(小川誠君) 端的に申し上げますと、貧困線は、平成二十四年の調査によりますと百二十二万円でございます。  したがって、これは等価可処分所得と申し上げまして、平方根で割るとかややこしいことがあるので、それはちょっと省略しますけれども、要は百二十二万以下の所得の人が子供全体のうち一六・三%でございます。
  79. 吉良よし子

    吉良よし子君 先ほどおっしゃっていた相対的貧困率だというお話だと思いますが、二〇一二年のデータでは年百二十二万円未満の方を対象にしてあると、それが一六・三%という数字だと思うわけですけれども、じゃ、年百二十二万円の生活費、これを家族に換算するとどうなるか。親子の二人世帯では年額約百七十三万円、月額でいえば十四万円になるわけです。親子の四人世帯だとどうなるか。年額で約二百四十四万円で、月額に直せば約二十万円だという金額になるわけです。これらの金額というのは、税金も引いて、児童手当を足すなど、所得の再分配も反映済みのものなんですが、先ほどの一六・三%というのを十八歳未満の子供の人口に単純に当てはめますと、三百二十五万人もの子供たちがこういう状況に置かれているということになるわけです。  大臣、伺いたいんですが、家族二人で十四万円の生活、家族四人で月二十万円、その下に子供たちが三百二十五万人もいるというのは、本当に地方にとっても深刻な問題だと言えると思いますし、彼らがどういう生活状態に置かれているかというところ、大変深刻だと思いますが、いかがでしょうか。
  80. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このお子さんの貧困率につきましての計算式は、今厚労省から説明があったとおりでございます。ですから、三人家族であれば共通の経費もございますものですから、ルートで割るという形になって、その数字はOECDのやり方にのっとっているものでございますので、特異な計算をしているわけではございません。数字は数字としてあるということでございます。  それだけそういう御家庭のお子さんが多くおられるということ自体は大問題ですし、それが貧困の連鎖を生むわけでございますので、それは、今の大問題が次の時代に更に拡大再生産されかねない危険性をはらんでいるというふうな認識は私自身強く持っておるところでございます。
  81. 吉良よし子

    吉良よし子君 大問題であり、貧困の連鎖を拡大させていかないというのは大事だというお話がありました。本当に、じゃ、年百二十二万円未満での生活というのがどういう状況になるのかというところでいえば、例えば、家でほとんど食事が取れず学校給食で飢えをしのいでいた小学生の男の子が、夏休みに、食べる物ちょうだいと通りすがりの人にねだっていたという話だとか、始業前の保健室で前日の給食の残りなどを朝食として提供していたら行列ができていたという話だとか、毎日学校に同じ服着ていて、お気に入りの白いスカートが日に日に黒ずんでいく、その様子を見かねて養護教諭が体操着に着替えさせているという話など、貧困に陥っている子供たちの悲惨な状況が、本や新聞、様々なところで紹介されているわけです。  先ほど金額についてというお話ありましたけれど、これ注意すべきなのは、この金額というのはあくまでも百二十二万円未満ですから上限でしかないということであって、それよりも下の生活を余儀なくされているという世帯もあるということであり、そうした人たちが本当に全国にいるということが考えられるわけですね。  じゃ、この子供の貧困問題というのが地方においてどう現れているのか、政府は都道府県ごとの状況というのを把握しているのでしょうか。
  82. 小川誠

    政府参考人(小川誠君) お答え申し上げます。  国民生活基礎調査の所得票は都道府県別に結果を作成する標本設計になっておりませんので、試算しておりません。
  83. 吉良よし子

    吉良よし子君 都道府県別には調査されていないということでしたけど、例えば、沖縄県が今年の一月の二十九日に沖縄県子供の貧困実態調査というものを公表しました。これは、三年前の百八十三国会で全会一致により制定された子どもの貧困対策法に基づいて、沖縄県で昨年から調査、策定が進められてきたものですね。  この調査結果によれば、沖縄県で平均的所得の半分未満で暮らす十八歳未満の子供たちの割合は二九・九%、全国平均の一六・三%と比べて極めて高い状況にあって、およそ三人に一人の子供が貧困な状態に置かれているということなわけです。  それだけじゃなんですので資料を用意したのが、配付資料の二枚目であります。これが、先月三月一日に山形大学の戸室健作准教授が公表した論文の中で出された数字になっています。  先ほどの厚生労働省の数字というのは国民生活基礎調査によるものですが、戸室准教授は独自に、総務省の就業構造基本調査と厚労省の被保護者調査というものを使って計算をされています。子供の貧困率を、十八歳未満の子供のいる世帯のうち生活保護基準以下の収入しかない世帯の割合とし、世帯人数や都道府県ごとの生活費の違いを考慮したもので、厚労省のものよりも精密な計算なのかなと思うわけですけれども。  この戸室先生の指摘によりますと、一九九二年から二〇一二年の二十年間で、十八歳未満の子供のいる貧困世帯の数が七十万世帯から百四十六万世帯へと、子供の貧困率は五・四%から一三・八%に急増しているということを明らかにしているわけです。  これを都道府県別に見るとどうなるかというのがこの表ですけれども、関西から西の地域、それから東北から北の地域で高くなっていることが分かります。高い順に、沖縄三七・五%、大阪二一・八%、鹿児島二〇・六%、福岡一九・九%、北海道一九・七%となっているわけです。  大臣、やはりこういうところを見ると、先ほど重大な問題というお話もありましたが、子供の貧困というのは、地方を持続可能に発展させていく上でもこの問題、重視すべきかと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全く異論ございません。そのとおりでございます。  ですから、これ厚労省の方から御説明したとおり、なかなか都道府県で見るのは難しいとだけ言ったらどうにもならないので、ではどのようにして、少なくとも定性的な傾向だけは把握をしておかなければ対策の打ちようがないと私は思うのですが、算出方法についてはもう専門家の方々の知見が正しいのだろうと思いますが、そうした場合に、どうしてこうなるのだろうかと。この表を見ながら思いますのは、それぞれの県ごとの県民所得あるいは労働者一人当たりの労働生産性というものとこれがどういうふうな関係に立つのだろうかということはよく見ていかねばならないことだと思います。  ですから、平均値とか中央値とかいうものは、それは統計の世界ではあるお話ですが、それが実態をきちんと反映したことになるかというと違う場合がございまして、どれぐらいの所得の階層の方がなぜそうなるのかということは、日本全体のマクロで見るよりも、都道府県別あるいは更に細かく市町村別で見ていかないと実態と乖離することがあるというふうに考えております。  統計の手法は統計の手法といたしまして、この子供の貧困率というものが、仮にこの山形大学の先生の数字が正しいとせば、恐らく全然乖離したものではないと思いますので、何でこんなに増えているのか、何で地域的な雇用の偏在があるのかということは、私ども地方創生の観点からも、厚労省とよく連携を取りながら対応してまいりたいと考えております。
  85. 吉良よし子

    吉良よし子君 是非、都道府県別の調査、背景も含めてということは進めていただきたいと思うんですが、ただ、やはり問題は子供の貧困だけではないと思うわけです。  この戸室先生の調査でやはり注目すべきなのは、ワーキングプアについても調べているというところなわけですね。これがこのお示しした表の右側になるわけですけれども、これについても、ワーキングプアというのは、働いて稼いではいるけれども生活保護基準以下の収入しかない世帯の割合というわけですけれども、これがやはり一九九二年の四・〇%から二〇一二年の九・七%へと増大をしているわけです。重要なことは、このワーキングプア率の高い都道府県というのは子供の貧困率も高くなっているということで、かなりかぶっているということなんです。  そして、併せて見ていただきたいのが、先ほどの非正規雇用労働者の割合の都道府県別の表なんですね。こちらも、非正規雇用の中にはもちろんパート、アルバイト、嘱託契約、派遣、いろいろ入っておりまして、世帯主の就労状況のみを取っているものではないので、単純にワーキングプアと関係しているとは思いませんけれども、ただ、これを見ると、非正規雇用の多い都道府県、非正規雇用の割合が四〇%以上ある道府県が六つあるわけですが、それが高い順に、沖縄、北海道、大阪、京都、鹿児島、福岡となっているわけで、先ほどの戸室先生による子供の貧困率、ワーキングプア率の高い上位の道府県は、沖縄、大阪、鹿児島、福岡、北海道、宮崎と、ほぼ一致しているということになるわけです。  先ほど、様々な背景も含めて調査ということもお話ありましたけれども、やはりこういった子供の貧困とワーキングプア、そして非正規雇用の問題というのは本当に関連もありますし、地方にとって深刻な問題であるというのは、私、明らかだと思うわけです。  大臣は所信で、地方創生の実現のために人と仕事の好循環を確立すると述べられました。だから、子育て世代が生活に必要な収入を得られるような仕事、就労形態や待遇を保障すること、また、貧困状態にある子供たちを地域から支援する仕組みというものをつくって、貧困状態にある家庭を救って、親から子への貧困の連鎖を断ち切ること、これはやはり持続可能な地域づくりに必要なことであると考えます。  改めて伺います。  先ほどは子供の貧困ということで大臣に伺ったわけですけど、最初の離職率についても、やはり都道府県別のデータ取るのが難しいということで、ないというお話もありました。やはり、そういった意味では、こうしたデータ見ても地域差というものはあるわけですから、こうした地域格差をしっかり把握して、関係省庁に対してそうした指示を出して、そうした関連性であるとか原因であるとか、子供の貧困だとか若者の雇用状況、そうしたものをしっかり調査するべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  86. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、私、統計について十分な知識を持ちませんので、統計の専門家がそれは技術的に困難だと言われれば、それに反駁するだけの知識を持っておるわけではございません。ですので、政府として統計を出します場合には、やはりそういう余り精緻ではないやり方でこれが数字ですということは、政府責任として難しかろうと思っております。  一方、例えば全国あまた町村があるわけで、やっぱりその市町村において一体何が起こっているのかということを把握をするというのは、市町村において果たすべき責務だと私は思っております。  例えて言えば、介護離職ゼロといったところで、これはもう加藤大臣の下で今本当に大変なお仕事をしていただいておるわけでありますが、例えば鳥取県岩美町ならどうなんでしょう、兵庫県明石市ならどうなんでしょうと、どれぐらいの方が介護離職をなさり、それはどういうような理由によるものかというのが分からないで対策の打ちようはないものでございます。  そうしますと、ここが統計に多いけど正確性はどうかと言われると、ここは正確なお答えができませんが、地域地域において実態を把握をするという努力はしていかなければならないことだという認識を持っておるところであります。
  87. 吉良よし子

    吉良よし子君 地域地域において実態がどうなっているか把握するのは大事というお話でした。やはり本当に私、それは大事だと思うわけです。  地域地方において、私、仕事、人を再生して出産や子育てしやすくして地方経済活性化するためには、本当に、申し上げているとおり、非正規雇用をなくしていくことであるとか、子供の貧困をなくしていくことであるとか、ワーキングプアというものをしっかり捉えてなくしていくことというのはもう欠かせない取組だと思うわけです。統計のことは分からないと大臣おっしゃいますけれども、やはりそうした客観的な数字も含めてきちんと国で把握する、そういう努力は是非ともやっていただきたいと思いますし、そうした対策をするということは本当に重要な政策だと私思うわけです。  本法案においては就業支援、機会創出ということなどにも触れられてはいるわけですけれども、でも、ただこれについては計画は自治体任せです、お金については、交付金、全ての自治体が交付対象にもなっていないと、そういうやり方ですから、これでは私の問題意識である非正規雇用だとかワーキングプアとか子供の貧困というのはなくならないし、本当に働き続けられる地域をつくるには違うのではないかなと思うわけです。地域経済の好循環など望めないのではないかと思うわけです。  だから、そういう意味で、国として、非正規雇用、子供の貧困、ワーキングプア、こうした問題、実態を、先ほど鳥取県の何町ではというお話もありましたけれども、そうした地域の実情をしっかり把握して対策を打ち出していただくよう強く求めまして、私の質問を終わります。
  88. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 新党改革の荒井です。  質問がかぶっておりまして、途中からの参加で申し訳ありませんでした。  まちひと・しごと創交付金地方創生推進交付金の件についてお尋ねいたします。  冒頭、大臣の方にお願いしたいんですが、三番目になります。東日本大震災の被災地においては、言ってみれば全国の地方創生のモデルにでもなれるようにというような意気込みで様々な展開をしております。こうした事業には、様々でありますから様々な補助金あるいは交付金あるいは基金という形で対応しております。  このように既に多くの補助金等が交付されている被災地について、まちひと・しごと創交付金の交付は限定的なものになるのかどうか、大臣お尋ねします。
  89. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 限定的にはなりません。そのような重複はしないわけでございますし、そもそも交付金というのはそういう性格のものでございます。  被災地において新しい日本をつくっていかなければ犠牲になられた方々に申し訳のないということでございまして、それは出してくる自治体の側も重複を避けて出してこられるわけでございます。被災地であるとかないとかいうことではなくて、被災地であるからしてほかのと重複するから限定的になるということがないように、いろんないい御提案に対しましては積極的にお応えをしてまいりたいと思っております。
  90. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 続いて、地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税についてお尋ねをしたいというふうに思います。  先日の予算委員会の、大臣もいらっしゃったあの予算のときの賛成討論の中で、今後、国民の目標となるのは、単にGDPではなくて、それも必要ですが、経済以外の新たな尺度、こういったものを作って、あるいはそういう目標を作って進むべきだと、こう申し上げました。これは一つは、国民全体が共有できる価値としては、例えば豊かさというのも、漠としますがありますし、自己実現というのもあるんだと思います。こういったものに着目しながら政策をつくっていく、目標を定めていくということも重要だと思います。そういう意味で、私はある種、今度の大臣が担っていただいています分野というのは、みんなで助け合って共に豊かになっていこう、地方も東京もなく、一人一人にまた目を向けながらこれをやっていくというのは非常に重要だと思います。  そこで、今度は企業版ふるさと納税と、こういう形になったわけでございます。地方創生プロジェクトに対して行われる場合、企業から寄附をする、その税制の優遇措置を講じると、こういうことです。今までのふるさと納税の場合は、どちらかというと返礼品という問題が新たに出ておりますが、今度はそういった課題ども克服しながらの制度であるというふうに理解をいたしますが、私は、政府や官僚を通さずに、自分のお金を自分が自己実現、あるいは自分の価値観に合う豊かさ、そういう価値観に合うもの、そういったものについて寄附ができると、こういうのは私は新たな問題解決の方法として有効だと思うんです。  企業もそういう手法を用いると、こういうふうに、私はある種、寄附文化の拡大に貢献するものだと評価をいたしますが、大臣お尋ねしたいんですが、改めて企業版ふるさと納税制度の意義をお尋ねしますのと同時に、直接の担当ではないと思いますが、寄附文化の拡大、こういったことについてどうあるべきかというような御認識がありましたらお聞かせください。
  91. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 企業版ふるさと納税というのは、御指摘のように、個人版とは全くというか、ほとんど違うものでございます。今でも、故郷に錦を飾るというような趣旨なのかもしれませんが、創業者の方が成功をされて、自分の出身の町にピアノを寄附するとか体育館を寄附するとか、そういうことはございました。それを更に拡大をする形で、税額控除の優遇措置というものを拡充をして、そういうような寄附というものを拡大したいなというふうに思っておりますが、これは、法律をお認めいただけますれば、内閣府令におきまして経済的な利益を与えてはならないというふうに書きますわけで、ここが極めて難しいと思っております。  企業、株式会社の場合には株主に対して説明をしなければなりませんもので、そうすると、例えば須賀川なら須賀川、どこでもいいんですが、そこがこういうことをやりたいと。それに対して企業が賛同する。経済的な利益は得られないが、それによってその町に雇用と所得が増える。あるいはイメージがアップする。人がやってくる。企業の側も、それをやったので社会的なイメージが上がる。結果として企業の業績が上がるというような、そんな絵に描いたようなうまい話が簡単にあるとは思いませんが、私が今指示をいたしておりますのは、この企業版ふるさと納税の手引というようなものを作りませんことには、地方公共団体の方も企業の側も何のことだかさっぱり分からぬという話になりかねませんので、ここはよく両方の御意見を聞きながら、分かりやすい手引というものを法律をお認めいただき次第作ってまいりたいというふうに思っております。  寄附文化につきましては、私は、諸外国の寄附の制度、税額控除も含めまして、何でこうなっているのかということをよく調べてみたいと正直思っておるところでございます。アメリカに行きますと、あちこちに寄附によってできた、これはキリスト教の影響が多分相当にあるだろうと思っております。収入の十分の一を神にささげなさいということになっておるわけでございまして、そこは宗教的なものもあるのかもしれません。あるいは税の優遇措置の問題もあるのかもしれません。いろんなことで寄附の文化は異なっているが、日本において寄附文化が非常に盛んであるとは私は認識をしていないところでございます。  ですから、非常にありていな言い方をしちゃいますと、税金で持っていかれるぐらいならということをどのように考えるかでございますが、税金で持っていかれるというのは変な言い方ですね、税金で納めようが、そこを寄附をしようが、それは社会に対して果たす役割というのは同じものなのかもしれない。税金の場合には、これはなかなか基本的に使途を特定できませんが、寄附の場合には特定できるわけでございますので、そこは財源の偏在状況と併せまして、どのように寄附文化というのをつくっていくかというのはもう少々お時間をいただければ幸いでございます。
  92. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣がおっしゃった部分の共通認識は、御一緒の点が大変多いんです。  例えばこの企業版ふるさと納税というものを世界中に見てみてどうかなと思って、少し見てみました。これは非常に少ないんですけれども、この場合は、先ほど言いましたように、経済的になっちゃいけないけれども自治体企業が寄附をすると、こういうことですが、例えば、数少ないんですが、イギリスの場合、刑務所にかなりお金が掛かる、また、更生してもまた刑務所に戻ってくる人も多い、これを民間方々の更生のノウハウを入れながらやってみれないかと、こうなったわけですね。そうしたら、ある民間のそうした更生をしたり、ある種刑務所を経営するみたいなところも入れたりしましたところ、更生率が非常に高くなったんですね。  そのお金はどこから調達したかというと、実は企業と個人からの投資なんです。これは寄附に近いんですが、投資なんです。じゃ、その結果、何が返ってくるかというと、更生率が高いので、地域が犯罪というものが少なくなったという配当をもらう。配当はそれなんです。同時に、国が直接金を出していた、予算を出していた部分を民間に任せて、民間がお金を集めて運営するというところに行きましたものですから、国がいわゆる予算削減できたわけです。この予算削減分を実質配当として、それを、企業と個人の寄附ということを投資家と言ったのはそこなんですが、配当をもらう仕組みなんですね。  実際に、最初からその配当を約束する場合があります。これを社会的インパクト投資ということで言っているんです。これを保育所の世界、保育園でもできるんです。今、二万五千のうち保育園は一万五千が民間です、既に。国のお金を入れなくたってそういうやり方で持っていけるんですね。そういう活動を私は共助の力と言っているんですが、是非、国民的にも支持の高い大臣でありますし、同時に、現内閣の最実力大臣であります。今度のサミットには、私は、こういう分野での意見というのを、これは予算委員会で何度か大臣にもお聞きいただいて、総理に答弁を求めていますが、検討すると安倍総理も言っていただいておりますが、こうした新しい仕組みを是非導入していただきまして、財政再建は結果的に付いてきます。それぞれの志が生かされて社会的課題を解決するという方法を是非御検討いただきたいと思うんです。  そうなりますと大臣の突破力をいただきたいんですが、そこまで行くまでの間、例えばふるさと納税で見ますと、自治体に、何々町に寄附するというと、個人の場合は一〇〇%控除なんですね。ところが、保育園に、学校法人に、NPOに出したいといったら最大五〇%しか控除にならないんです。二分の一です。これは官民格差以外の何でもない。官尊民卑です、相変わらず。しかも、確定申告を、個人の場合は、地方ふるさと納税は要りません。今頃になると、サラリーマンもみんな、サラリーマンは会社がやっていただきますが。もう事業主とか大変ですが、このふるさと納税の場合はその手続を要するんですよ、また。これも官尊民卑で、地方自治団体に出したら控除の確定申告なし、NPOや公益法人に出したら必要。  今度の問題は企業の場合ですが、全額自治体に出すと損金算入です。ところが、NPO、公益法人に出しましても全くそこまで届きません。今後どのようにしていくかということで、企業版ふるさと納税で更に控除を三割から六割に増やしていくというわけですね、枠を。全く、公益法人、認定NPO等に出す場合には、企業の場合、そういう扱いになっていないんです。この辺、財務大臣はつれなく、そんな簡単な問題じゃないよとおっしゃいましたけど、この官尊民卑的な発想を変えないと社会的課題の解決には届かないんではないかと。  国や自治体だけではやり切れないものが今でもいっぱいあるわけですから、この辺、改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 主管される財務大臣がそうだと言っておられるのだからそうだろうと言っちゃうと身も蓋もないのでありますが、そういうことであります。  これは、理屈は考えようと思えば考えられるのでありまして、自治体の持っている公共性とNPOが持っているその崇高な理念、活動は当然立派なものであるとしても、それに裨益する人々の数とか何とかいうことになると自治体の方がという、そんな理屈もないわけではないのであります。そこが官民格差にならないように、そしてまたNPOの活動というものを妨げることがないようにという配慮はしていかねばならないものでございます。  これは、既存の寄附からそちらへ移るということを想定は正直言っていたしておりません。それは、NPOに対して寄附をするというのは、そのNPOの活動に心から共鳴をして寄附をしていただいているものなので、それがこちらの方に振り替わるということは想定をしておらないものでございます。実際にそういう流れが起こったとも承知をいたしておりませんが、よしんばそういうことがありとするならば、この税制によってNPOの活動が阻害されることがないように、それは一つのやり方だけではないと思っております、NPOに対する施策を更に充実するというやり方もありますが、そういうような、結果としてであれ意図的であれ、NPOの活動が阻害されることがないように、官民格差のそしりを受けることがないようによく配意をしてまいりますので、どうぞまた御指摘を賜りたいと存じます。
  94. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 是非、身も蓋もあるようにお願いしたいと思っておりますが。  平野先生と私が二人の会派でやって、こんなに長い時間もらっているというのは初めてなものですから、時間の使い方に非常に困っておるという今現状でございます。(発言する者あり)はい。  それでは、内閣府にお尋ねしたいと思いますが、問いの七番ですね。給付金とかプレミアム商品券というのが今また言われているわけですね。これを私は、前倒しをして補正を組む場合にはこうしたこと、必要だと思います。いわゆる財政支出というのは公共事業が専らですが、租税支出という分野でのいわゆるこれ財政出動ということになります。給付金やプレミアム商品券はまさに租税支出に当たるんですが、こういう交付と家電のエコポイントの付与、ポイントの付与というものではどのような違いがあるのか。例えば、消費者の購買意欲、あるいは経済効果から検証しているんでしょうか、どうでしょう。
  95. 末宗徹郎

    政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。  まず、プレミアム商品券等でございますが、これは二十六年度補正予算で消費喚起策の一環として今回やったところでございまして、これにつきましては、かつて実施しました地域振興券あるいは定額給付金事業などと比べまして、より高い消費喚起効果が得られるものと考えているところでございますが、昨年度終わったところでございますので、現在、地方公共団体にアンケート調査などを行っておりまして、全国集計をした上で検証作業をこれから行っていこうと考えているところでございます。  また、家電エコポイントにつきましては、これはかつて実施されたところでございますけれども事業所管省のまとめによりますと、六千九百三十億円の予算を投じて約二・六兆円の販売を押し上げて、全体で約五兆円の経済波及効果があったとの試算がなされているところでございます。  こういった事例もよく参照しながら、プレミアム付き商品券等の消費喚起事業の効果検証、これからでございますが、しっかりと行っていきたいと思います。
  96. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 これは先生方にも是非比較したり研究していただきたいんですが、どちらかというと、大臣、今やっていますのは、国が予算の範囲で、予算で今のような形で商品券だとか給付金にするわけですね。最初に、目的でも何でも、それは現金化と同じことなんですね。ですから、自分の財布の方から使わないでそれを使うということになりますから、いわゆる乗数効果というのは、経済弾性値でもいいですが、非常に低いんです。  ところが、家電のエコポイントというのは、民間に学んでいるわけですけど、最初にお金渡さないんですよ。買うことによってポイントが付くんです。そのポイントが限定されていきますから、何か月とかというのがあったりしますから、また次の購買に行くということですから、今ほど内閣府から説明があったように、六千九百億円を持ち出しして経済波及効果五兆円。つまり、五倍なんという、これ税収でやったら、税収弾性値、財務省は出せないというんですが、経済波及効果といわゆる税収効果、莫大なもので、間違いなく大ヒットなんです。  ところが、我々が提案してやったもんだから面白くないんでしょうね、きっと、財政諮問会議も、官僚の皆さんも。どういうことを言っているかというと、それはエアコン、冷蔵庫、テレビの先食いだったと、需要の、こういうことをおっしゃるんですね。大きな間違いなんですよ。  なぜかというと、あのときは、消費税を五%に上げて約八年、九年目を迎えていくんです。白物家電は平均九年、十年で買換えなんです。その買換えのときに、地球温暖化で、安いからといって買い換えられたら電気を使いますから、どんどんCO2を出していくので、最も排出量を低くする、簡単に言えば、電気を使わない製品を四つ星、五つ星にして、そこにポイントを多く出したんですよ。もちろん三つ星は行きません、四つ星、五つ星なんです。これは排出量取引の考え方なんです。排出量を削減したら、今、二酸化炭素の市場がありますから、そこで取引して収入を得ると同じ発想なんです。それを国が代行しなさいと、こう言ったわけです。もちろん、一トン当たり大体五百円ですから割に合いません。それを大体二十倍、三十倍に換算したんですよ。経産省も総務省も環境省も計算できないと言うんです。そんなこと書くのなんか大変だと、今のインボイスの話もありますが。やってみたら、率先して、うちで買ってください、うちで買ってください、全部手続しますからですよ、結局は。  ですから、効果がないという意味ではなくて、バウチャーも意味はありますよ、それぞれの性格があります、商品券もプレミアムも。圧倒的に今回やるべきことは、減災・防災を含めた、本当に必要だけれどもお金がなくて買えなかった人たちに、何とか頑張ってヘルメット買ってみてください、一〇%付きます、その一〇%で今度は懐中電灯が買えます、言ってみればそういうことなんです。まず買っていただくことによってポイントが付くということにしていかないと、内需喚起はほぼできないでしょうね。  ところが、財政諮問会議で、新聞を見ると、荒井の意見は間違っていると随分やっているというじゃないですか。だから、それを説明してくださいと私言っている。内需の先食いじゃないですよ、それは家電の買換え時期に合わせてやっているんですから。こういうことを内閣府には申し上げておきます。  大臣、先ほどのような形でもう検討に入るということが内々あるのなら、あるいは地方が様々なことを考えるアイデアがあるというならば、このところ十分に考えないと。最初に渡すんじゃないんです。需要をしていただいたらポイントが付くんです。それが更にまた必要なところに行くんです。もちろん、これは全部限定していきますよ、何でもいいというわけではありませんから。それが環境に行くのか、あるいは格差に行くのか、防災・減災に行くのか、やり方は幾つもあります。大臣に、是非ともこのポイント付与型をやるということを十分御検討いただきたいとお願いして、最後の御答弁願います。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 少なくとも我が党は、誰が提案したから面白くないのでなぞという、そういう狭量な考え方は持っておらないところでございます。いい提案はどなたのものでもいい提案であるということであります。  需要の先食いであるというのを全面的に否定はしませんが、まさしく重要な点は、お金を渡しちゃうと、買ってくれないかもしれない、貯金しちゃうかもしれない、だけれども、実際に使ってポイントが付く、そしてまたそれが次の需要を生んでいくというところが大事なポイントでございまして、先に現金をばらばらばらと配っちゃうということよりははるかに効果が発現しやすいということは確かであると思っております。そこにおいてエコポイントという言葉がございましたように、それはCO2削減という政策目的もございました。まさしく家電製品の、特に白物家電の買換えの時期にも当たったということもございました。  どういう形で消費を喚起をするかということにつきましては、今回も、プレミアム商品券等々の検証も、これから先それぞれの自治体からの報告を分析しながらやっていくところでございます。どういうような形で消費を喚起をするか、そして、それがその一回こっきりで終わるのではなくて更に波及効果をもたらし循環をするかという点につきましては、委員の御指摘、あるいはプレミアム商品券の、あるいは旅行券の経済波及効果の分析等々を通じまして考えてまいる所存でございます。
  98. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 老人クラブで旅行をしたらポイント付けられるんです、旅行券を出すのではないんです。  質問時間のプレミアムをいただいたようなものでございました。終わります。     ─────────────
  99. 熊谷大

    委員長熊谷大君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、斎藤嘉隆君が委員辞任され、その補欠として西村まさみ君が選任されました。     ─────────────
  100. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について島田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。島田三郎君。
  101. 島田三郎

    島田三郎君 私は、地域再生法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党及び公明党を代表して、修正の動議を提出いたします。  その内容は、お手元に配付されております案文のとおり、原案において「平成二十八年四月一日」となっているこの法律の施行期日を「公布の日」に改めるものであります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようにお願いを申し上げます。
  102. 熊谷大

    委員長熊谷大君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  103. 森本真治

    ○森本真治君 私は、民進党・新緑風会を代表し、地域再生法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論をいたします。  反対する第一の理由は、地方創生推進交付金です。  まず、交付の前提となる地域再生計画についてでありますが、昨年の会計検査院による指摘に対し十分反省をし、必要な措置を講じたのでしょうか。  今回の改正を受けた後の地域再生計画の認定、あるいは地方創生推進交付金の交付対象事業の認定や交付額の決定に当たって、これまでの運用における不備からどれだけの改善がなされることになるのでしょうか。また、そもそも認定を受けられる計画を作ろうとして、国の意向に縛られ、地方の自主性や主体性が十分に発揮されない懸念もあります。しかも、各府省のひも付き補助金はいまだ残ったままであり、交付金の本年度の予算措置額は僅か一千億円であります。この額でどれほど地方創生が推進できるのでしょうか。  このような交付金制度をつくるよりは、民主党政権時代の一括交付金に改善策を講じた、自由度の高く使い勝手の良い交付金を復活、拡充させるべきであることを改めて主張いたします。  第二の理由は、地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税です。  個人版ふるさと納税においては、寄附を得るために各地で行き過ぎた返礼品競争が繰り広げられ、元々の制度の趣旨であるはずのふるさとである地方への恩返しということはもはや忘れられているのではないでしょうか。  しかし、政府はそれを企業にも拡大しようとしています。地方自治体企業との間の癒着を防ぐため、内閣府令で必要な規定を定めるとしていますが、果たして実効性は担保されるのでしょうか。また、企業の寄附という不確定要因を有するこの制度でどの程度の寄附が行われるのか、どれほど自治体間で減収と増収が発生するのか、国の見通しは甘く、無責任なものであると言わざるを得ません。  地方創生取組が必要な今こそ、税源を国から地方へ移すなど、地域主権改革を行うべきなのではないでしょうか。  第三の理由は、生涯活躍のまち制度日本版CCRCについてです。  有識者会議による生涯活躍のまち構想の最終報告を踏まえての法制化であると理解しておりますが、手続の簡素化や介護保険法上の特例などにとどまっており、中高年齢者の移住先である地方自治体に対する十分な財政的なインセンティブがありません。これでは、財政的負担を移住先の地方に押し付けることになるのではないでしょうか。インセンティブなくして、果たして各地で取組は進んでいくのでしょうか。法制化を図る前に検討すべき事項が多々あったのではないかと考えます。  以上、主な反対理由を述べましたが、地方創生取組自体は非常に重要であると考えております。当委員会での我が会派の意見等を十分に踏まえ、地方自治体が自主性、主体性を発揮して取組を推進できるような、真の地方創生につながるような制度をつくっていただくよう要請いたしまして、反対討論とさせていただきます。
  104. 吉良よし子

    吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、地域再生法改正案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、本法案により創設される地方創生推進交付金政府による政策誘導に活用される問題を持つことです。  地方創生推進交付金は、全ての地方自治体を交付対象とするものではなく、地方自治体からの申請計画を政府が選別し、先導的であると認定する事業に優先的に交付する仕組みとなっています。地方自治体が安定した雇用を創出することや子育て支援を拡充するなどの独自施策を進めるために国が財源支援を行うことは必要です。しかし、本法案においては、交付金の要件を満たす計画とするために地方自治体の施策がゆがめられるおそれがあり、地方自治体の自主性、主体性が発揮できるものになっていません。  反対理由の第二は、企業版ふるさと納税の創設が地方税の応益負担の原則を掘り崩す問題を持つからです。  この制度により寄附を受けた自治体は収入が増え、企業が所在する自治体は税収減となります。法人の意思により自治体間の税源移動が起こる問題が生まれます。さらに、企業版ふるさと納税による寄附行為を行うのは営利を目的とする企業です。寄附の対象となる地方創生事業政府が指定するため、地方自治体企業の寄附を当てにして国の特定政策への誘導に利用されるという点でも問題があります。  また、日本版CCRC、生涯活躍のまち制度は、中高年齢者に地方や町中で自助、共助による生活を送ることを要求するものですが、住み慣れた地域で安心して老後を送ることができる環境を整備することこそ、国、地方自治体が行うべきことです。生涯活躍のまちを国策として位置付け、自治体を誘導することには反対です。  なお、与党により提出されている修正案については、施行期日を遅らせるだけのものであり、本案と同様反対であることを述べ、討論を終わります。
  105. 吉田忠智

    ○吉田忠智君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、地域再生法の一部を改正する法律案につきまして反対討論を行います。  反対の第一の理由は、地方創生推進交付金、いわゆる新型交付金が、極めて不十分な上に、自治体の割り勘となっており、地方の使い勝手がいい交付金とは言えない点です。真に地方創生を実現するには、自治体の使い勝手のいい財源を、しかも安定的に確保すべきであり、本来、国から自治体への税財源移譲や使途が自由な地方交付税の増額で対応すべきです。  第二の理由は、自治体企業の癒着や関係のゆがみ、企業に評価される自治体づくりへの傾斜が懸念される地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税の創設です。  そもそも企業版ふるさと納税は、納税する企業の側の恣意的な税源移転につながり、公共サービスから得られる便益に応じて租税を負担するという地方税の応益課税の原則に反するのではないかとの疑問を禁じ得ません。企業に寄附する余剰資金があるなら、法人税率引下げなど行わず、きちんと法人税を納めていただき、その分、地方交付税を増額すればよいと考えます。  第三の理由は、現代版うば捨て山ともいうべき日本版CCRC構想、生涯活躍のまちの創設です。  住み慣れた土地で暮らし続けたい、介護を受けたいという高齢者の希望にこそ応えるのが政治の役割です。大都市圏で介護サービスが足りなくなるから高齢者を地方に移住させようという考え方自体が問題です。若いときは地方が育てて、都会で働き税金を納め、老後の医療、介護は地方で担えというのは、地方から人や金を吸い上げた一極集中の付け回しであり、余りに身勝手です。地方の病床削減を盛り込んだ骨太方針とも政策上の矛盾があります。  第四に、地域再生推進法人の三%出資規定の廃止は、公益を確保するという従来の趣旨を無視して株式会社に便宜を図るものです。  以上、今回改正案に盛り込まれている新型交付金の官民協働企業版ふるさと納税日本版CCRC、地域再生推進法人の要件緩和は、地方創生の下、公的サービスの産業化につながり、地域再生をビジネスに売り渡すものであることから反対であると申し上げて、反対討論とさせていただきます。
  106. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより地域再生法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、島田君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 多数と認めます。よって、島田君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、森本君から発言を求められておりますので、これを許します。森本真治君。
  109. 森本真治

    ○森本真治君 私は、ただいま可決されました地域再生法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民進党・新緑風会、公明党、日本のこころを大切にする党及び新党改革・無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地域再生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、まちひと・しごと創交付金の交付対象事業を決定するに当たっては、地方の自主性を阻害することがないよう十分留意すること。また、今後、地方の自主性が発揮される予算を十分に確保すること。  二、まちひと・しごと創生寄附活用事業において、寄附を受ける地方公共団体と寄附を行う企業の癒着につながらないよう内閣府令で実効性を担保するなど、その制度設計に当たっては十分留意すること。  三、生涯活躍のまち形成事業の推進に当たっては、地域包括ケアシステムの構築に向けた施策との連携を図ること。また、日本版CCRC構想有識者会議による「生涯活躍のまち」構想の趣旨を踏まえたものとなるよう十分に配慮すること。  四、人材の養成や産業振興の促進など大学が地域に果たす役割の重要性に鑑み、地方大学と連携した地方創生取組を一層推進すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  110. 熊谷大

    委員長熊谷大君) ただいま森本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 多数と認めます。よって、森本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石破内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石破内閣特命担大臣
  112. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  113. 熊谷大

    委員長熊谷大君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 熊谷大

    委員長熊谷大君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十三分散会