○近藤(昭)
委員 ありがとうございます。
インターネットの動画配信は通信だということであります。
それで、ちょっと
議論を進めていきたいと思うんですが、メディア法の第一人者であります清水英夫先生、故人ではありますが、その著書「
表現の自由と第三者機関」という本がありまして、そこでこのように書かれておられるわけですね。ちょっと紹介をさせていただきたいと
思います。
そもそも、
政治的公平に関するこの
規定、この
規定というのは
放送法第四条の第一項のことでありますけれども、当初は
選挙放送、
選挙に関する
放送に関して定められたものであり、かつ
NHKに関する
規定であった。つまり、
NHKが主に
放送していたという時代でありますが、それが、
放送法の
番組準則に盛り込まれた。そしてその後、民放が出現、ふえてくる中で、ほとんど
議論もなく
番組の一般原則となったものであり、違憲性の疑いのある
規定であるとおっしゃっているわけですね。
しかしながら、今では、民放だけではなく、衛星
放送、ケーブルテレビまで適用が拡大をされているのであります。政党と一体化した行政権力が許認可権を盾に監督権限を際限なく拡大させていくのは、非常に私は憂慮すべき事態だと思っているわけであります。
また、別の
憲法学者の渋谷秀樹先生が、その著書「
憲法」という書の中で、こちらはこういう言い方をされておられます。
多チャンネル化の時代に入った今、
電波メディアも印刷メディアと同様、その内容による淘汰は
視聴者の手に委ね、立法目的が曖昧で、かつ時代おくれとなった内容規制は違憲として、もはや撤廃すべき段階に入ったのではないかと。
政府が主張する
電波希少性、先ほど
大臣からも御
答弁がありましたが、今、メディアが大変に多様化をしております。そして、インターネット、まあ、通信とはおっしゃられますが、非常にそれで
情報が媒介されて伝達をされている、広まっている。そういう中で、まさしくメディアが多様化するという中で、立法根拠を失っているのではないか、また、行政権の肥大化と拡大解釈の温床になりかねない
状況になっているのではないかと大きな懸念を持つわけであります。
御承知のとおり、アメリカでは二十九年前です、一九八七年に
放送の公正原則を廃止している。また、
放送法の公正原則が適用されていないプリントメディア、紙の媒体において、自主規制、そして民主主義社会の中で、公正な原則が
日本でも保たれているわけであります。そうした中で、
放送事業者にのみ同原則を課すことの、ある種の不合理性、そして必要性の欠如が出てきているのではないかと私は思うわけです。
そういう
意味で、
大臣、お
考えを聞かせていただきたいわけでありますが、私は、
放送法を改正して四条一項そのものを撤廃する、あるいは、この間いろいろと
議論が出るわけでありますが、同条の解釈を明確な倫理
規定だとする、そうした
議論をしっかりと始めるべきではないかと
思いますが、いかがでありましょうか。