○津村
委員 日本の海運
政策について
質問します。
日本は、領海とEEZを合わせた海洋面積で世界第六位を占める海洋大国でございます。先人たちの苦労を経まして、世界の海運業に占めるシェアもトップクラスの海運大国として発展をしてきました。
しかしながら、省庁間の縦割りであったり、あるいは
港湾行政を地方自治体に委ねていることなど、権限がさまざまに分散している結果、釜山や上海のように、中国、韓国などのアジア各国が
港湾の大型化を進めて、インフラ整備を進めて、そして貨物取扱量で日本の主要
港湾を過去二十年ほど次々と抜いていった。今、日本の国際
港湾は非常に危機的な
状況に立たされている、このことは、与野党の
皆さん、幅広く共有されていることだと思います。
既に
国土交通省は
港湾の大型化を、特に主要港の水深を深めていくという方向でさまざまな努力を進めていらっしゃるわけですけれども、私は、本日議題となっております
海上交通安全法が定めている十一の
航路の活用のあり方、ここにもまだまだ大きな課題があるのではないか、特に、一部
航路に課せられております
巨大船の夜間
航行禁止ということが、事実上そこの
航路を一日のうち半分使えないことにしているわけですから、大きなボトルネックとなっているのではないか、そういった観点で
質問させていただきたいというふうに思っています。
来月の二十六日にはパナマ運河の大幅な拡張がいよいよ実現するということで、さらに船の大型化が進んでいく。そういう中で日本がどういう
政策をとっていくべきかという問題提起でございます。
図表一をごらんいただきますと、こちらはこの
海上交通安全法が
適用される
海域及び
航路でありまして、全部で十一ございます。
一枚おめくりいただきますと図表二でございますが、こちらは
海上交通法が施行された直後、施行されたのが
昭和四十八年ですけれども、翌年、
昭和四十九年と、直近、昨年、
平成二十七年の十一ある
航路の「
航路別
巨大船通航
状況」でございます。
巨大船というのは、
海上交通安全法によって長さ二百メートル以上ということで定められているわけですが、左側の浦賀水道、中ノ瀬
航路、こちらはどちらも
東京湾でございますけれども、
巨大船の通航
状況はかなりふえているわけであります。伊良湖水道も、先ほど車の
お話がありましたけれども、愛知県の
伊勢湾の入り口ですが、こちらも
巨大船の通航は大幅にふえております。
一方で、右側の八つの
航路が
瀬戸内海にかかわる
航路でございますけれども、こちらは減少ないしは頭打ちという
状況でございます。今世界で船の大型化が進んでいる中で、
瀬戸内海におきましては船の利用、通航が減っているというのが見てとれます。
一枚おめくりいただきますと、これは
港湾の側から見た利用
状況ということになりますけれども、一番上の四つの港は全て
東京湾です。真ん中から下は
瀬戸内海にかかわる港でございますけれども、いずれも、二万トンというのが大体、先ほどの長さ二百メートル、船の形は細長いものと幅のあるものといろいろございますので一概に言えませんが、統計
データのあるトン数ベースで見たところでお見せしておりますけれども、この茶色の傾き、
巨大船のウエートが、少し見にくいかもしれませんけれども、
東京湾ではかなり角度をつけて
増加しているのに対して、
瀬戸内海では伸び悩んでいるということを示しております。
図表四に参りますと、こちらは「世界の商船における全長二百メートル以上の
船舶の割合」、
巨大船というのが世界の商船でどういう形でふえてきたかということを示しています。
昭和四十七年、
海上交通安全法が成立をした年ですけれども、当時世界の商船は五万五千二百九十二隻、うち
巨大船は二千百八十四隻でありました。約四%ということになります。そして、
巨大船の割合は年々
増加をいたしまして、二〇一〇年には八%、二〇一五年には、世界全体の商船が十二万九千二百九十一隻のうち、二百メートル以上で登録されているものが一万一千二百三十四隻、約九%ということでございます。
先ほども申し上げましたように、ことしからパナマ運河のスペックが大きく
向上いたしまして、長さ二百九十四メートルがこれまでのパナマックスのサイズだったものが、これからは三百六十六メートルまで通航可能ということで、喫水も十二メートルから十五メートルまでさらに深まっているということでございますので、さらに船の大型化が進んでいることが容易に想像されるわけでございます。
図表五をごらんください。
こちらは民主党政権の最末期、
平成二十四年十二月に提示された規制・制度改革
委員会での「今後の改革課題」です。これは衆議院選挙の選挙中だと思いますけれども。
下にございますように、「
瀬戸内海航路における
巨大船の夜間
航行の
制限の見直し」ということは、
巨大船が福岡から神戸に向かう際に夜間
航行できない
航路がたくさんあるものですから、普通なら一晩で行けるところを二日間かけて通らなければいけない。もっと言えば、そんな通れない時間があるんだったら、もう水島港や広島港に行くよりもほかの港を使おうということで、
瀬戸内海にそもそも
巨大船が入ってこないということが起きているわけであります。
図表六に参ります。
これはどういう形でルール化されているかと申しますと、
海上交通安全法の第二十三条の下部法令であります同法の施行規則第十五条第一項に、
海上保安庁長官が
巨大船の
航行について
指示を出せるということが定められておりまして、その中で、各
航路について、どういう船がどういう時間帯に通航できるかということが書かれています。
下の方を見ていきますと、備讃瀬戸東、宇高東、宇高西、備讃瀬戸北、備讃瀬戸南及び水島の各
航路は、
巨大船について、通航時間帯の基準、昼間に
航路を
航行すること、すなわち夜は
航行できないということであります。その下の来島海峡
航路についても同じく、これはさらに厳しいわけですけれども、昼間の憩流時または弱順潮時に中水道を
航行することということで、やはり夜は
航行できないということになっているわけでございます。
この夜間
航行の規制につきましては、
海上交通安全法が制定された当時、当時の運輸省と水産庁の間で何度も議論がなされまして、
一つの大きな背景となりましたのが、
瀬戸内海の満潮と干潮の、六時間置きに島と島の間の流れが大変きつくなる、その早い潮の流れを利用した、こませ網漁といいますけれども、その潮の流れを利用した漁師さんたちの生活を守っていく、このことが当時大きなテーマとしてあったわけであります。
図表七をごらんいただきますと、こちらは、ちょっと左側の数字がけさに間に合わなかったんですけれども、岡山県と香川県、備讃瀬戸
航路のまさに北側、南側、どちら側にもこませ網漁をしている漁師さんというのは大勢いらっしゃるんですけれども、一番漁獲量の多かった
昭和五十五年、右側が香川県におけるイカナゴの漁獲量ですが、岡山県の方も足し合わせますと、二万五千六百四十八トンのこませ網漁漁獲量がございました。直近では、ごらんいただいてのとおり、二千トン前後まで落ち込んでおりますし、右側、その中の中心を占める香川県におけるイカナゴ漁獲量というのはさらに大きく減少しているのが見てとれるかというふうに思います。
直近の
平成二十六年ですと、岡山県、香川県を合わせたこませ網漁全体の漁獲量は二千二百十五トンになっておりますし、その中で最もウエートの高かった香川県におけるイカナゴ漁獲量というのは九百四十八トンということでございます。
この内訳となるのが図表八でございまして、こませ網漁業をしている船が何隻いるのかということで、
平成十五年のベースでは、こちらは、いろいろな漁種があるんですけれども、操業時間が日の出から日没のものは、昼間ですから、時間帯としては夜間
航行と直接バッティングしないわけですけれども、昼と夜の操業時間が認められているものを足し上げますと、
平成十五年では百五十五隻ということになります。
ここで農林水産省さんに伺いたいと思いますけれども、直近、
平成二十七年では、
瀬戸内海海域におけるこませ網漁の夜間操業は
隻数ベースで何隻になっているでしょうか。