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山内政府参考人 宮内庁書陵部長の
山内でございます。
きょうは、こういう
機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。また、日ごろから
先生方には、私
どもの
業務について御理解、御
協力を賜っておりますことに対しまして、この場をかりて厚く御礼を申し上げます。
お
手元に二枚物の
ペーパーを用意させていただいております。「
宮内公文書館について」ということでございますが、
宮内庁は、言うまでもなく、
皇室を
公私にわたってお支えするということを使命としておりまして、私
どもの
宮内庁書陵部というのは、その一環として、書、
文書、陵、
陵墓、こういったものの
管理を行っている部署でございます。
宮内公文書館について、簡単にこれまでの
経緯と現状について御
説明を申し上げます。
ペーパーの一番目のところに書いてございます「
経緯」でございます。
私
ども宮内庁の
文書関係の
仕事というのは非常に
歴史がございまして、一番
最初は、
明治十七年でございますから、もう百三十年ぐらい前ということになります。このときに、
宮内省図書寮というものが設置をされております。位置づけとしては、
括弧に書いてございますように、「帝室一切ノ
記録ヲ
編輯シ内外ノ
書籍等ヲ
掌ル所」、こういうことでスタートをしたわけでございます。
その後、いろいろ発展を遂げてまいりまして、戦後、
昭和二十二年には
宮内府の
図書寮ということになり、
昭和二十四年には
宮内庁が
発足をして、そのときに、
図書関係だけでなくて
陵墓関係のものも合体して
一つの
書陵部という組織になってございます。
その後でございますが、いわゆる
公文書管理法ができて、間もなく
施行されるということを受けまして、
平成二十二年に、
書陵部の中に
宮内公文書館と
図書寮文庫という
二つの
施設を設置いたしました。
法律の
施行に向けて鋭意準備をして、一年後、
法律の
施行と同時に、
宮内公文書館の方が、
法律の規定に基づく
特定歴史公文書等の
管理を行う
施設として
指定をされ、一方で、
図書寮文庫の方も、その
法律に基づいて、
歴史的もしくは文化的な
資料または
学術研究用の
資料として特別の
管理を行う
施設ということで
指定をされた。要するに、
書陵部の中には、
公文書管理法に基づく
二つの
施設が入っているということでございます。
では、
公文書館の方でございますが、どういう
資料を
所蔵しているかというのを次の二番目のところに書いてございます。
宮内公文書館におきましては、基本的に、
明治以降の
宮内省、
宮内府、
宮内庁が作成または取得をし、
公文書館に移管された
皇室の御
活動等に係る
記録、こういうものを
特定歴史公文書等として
所蔵しているということでございます。
数で申しますと、当初、
発足した時点では五万三千ほど、それが、
法律の
施行までの間に振り分けをいたしまして八万、そして、直近の
平成二十七年七月一日現在で申し上げますと、八万七千件ほどの
所蔵資料を持っているということでございます。
どんなものがあるかというのをその下に書いてございますが、ざっとごらんいただきますと、例えば、
天皇の御
行為等に関する
文書、
謁見録ですとか、
幸啓録あるいは御
用度録、
皇族御
身分録とか、題名を見ただけでも、ほかの
省庁ではお目にかかることがないような非常に独自、独特な
資料であるということがおわかりいただけると思います。
ここで
一つだけ申し上げておきますと、
中身につきましても、かなり独特なものがあるということをぜひ御承知おきいただければと思うところでございます。
と申しますのは、私
ども、
宮内省以来現在の
宮内庁に至るまで、先ほど申し上げましたように、
皇室を
公私ともに二十四時間お世話をする、お支えするということでございまして、これらの
文書も全てそうしたものの
記録ということになります。
したがいまして、
天皇あるいは
皇族方のお
身の回りのこと、場合によっては
機微に触れるような事項も含めて、
公私混然一体となった
記録になっている、そういうものが含まれているということでございます。
そういう意味で、
天皇あるいは
皇族方のお
身の回り、非常に身近なところにある事柄が
記録をされている
文書、こういうものがほとんどを占めているということでございます。
次の
ページをごらんいただきまして、では、
宮内公文書館はどういう
仕事をやっているかということでございます。
ここに書きましたことは、
文書の受け入れ、
保存、
利用、あるいは
情報収集、
調査研究、
法律上で
公文書館がやるべきことというふうに定められたことを書いてあるわけでございますが、私
ども宮内公文書館なりの
特色というものも幾つかございますので、それについて少し御
説明をさせていただきます。
三点ほど御
説明させていただきたいと思うのですが、まず
最初は、
利用状況でございます。
下の方に表がございますのでごらんいただきたいと思うのですが、一番上に
利用請求件数というのがございまして、これは
国民から正式な
利用請求があったものということで、
平成二十六年度で申し上げますと四千二百件ほどということでございます。
一番下の欄に移管元
利用件数という欄がございます。これはどういうことかというと、要は
宮内庁の
職員が
利用した
件数ということでございまして、これを見ると、
平成二十六年度で二千六百件ということでございまして、ほかの
公文書館等に比べましても、恐らく
職員の
利用というのが非常に多いというのが大きな
特色の
一つではないかと思っております。
これはどういうことかということでございますが、私
どもの
仕事自身が、先ほど来申し上げておりますように、
皇室をお支えするということでやっておるわけですが、
皇室の
関係の
仕事をするということになりますと、長い伝統を十分に踏まえた上で現在の課題にどう対処していくかということを考えなきゃいけないということで、実は、
一つ一つの
仕事をする上で、特に儀式なんかを考えていただければよくわかると思うのですけれ
ども、過去にさかのぼって、非常に古い
資料を丹念に調べた上で今後どうするかということを検討するということをいたしております。
私も
霞が関に勤務したことがありますので、
霞が関での
お話をすれば、例えば、前のときの
資料はどうだったか、前の前のときはどうだったかということでいろいろ言われることがあるわけですが、そういうときには恐らく、
前任者とか前々
任者、そういった
方々がつくられた
資料を見る、いわば二、三年とか四、五年とか、そういう
資料を見ることが多いと思うのですけれ
ども、
宮内庁の場合には、前のときどうだったかというと
昭和時代の話、前の前はどうだったかというと大正
天皇の
時代ということになりまして、非常に古い
資料、
法律上でいえば、まさに
特定歴史公文書に当たるような
文書を見る
機会が非常に多い、そういう
業務の
特殊性に由来をしている
部分があるのではないかというふうに思っております。これが一点目。
それから二点目は、上の方のポツの
括弧の中に書いてあります
利用該当性の
審査等に関することでございます。
一般的に、
公文書、
情報公開も含めてですけれ
ども、その
基準はほぼ統一的なものかと思いますけれ
ども、特にこの
公文書管理法上で、
個人情報についてなんですけれ
ども、
公開の
慣行があるかどうかというようなことも
一つ基準になってまいります。
実は、
宮内庁というか
皇族方の
個人的な
情報についての
公開の
基準が、恐らく、ほかの
省庁とはかなり違う
部分があるのではないか。
例えば、昨日は
皇后陛下の御病状に関することを発表いたしましたけれ
ども、そういったような形で、恐らく、ほかの
省庁と比較いたしましても、かなり公表の
慣行が違う。そういたしますと、当然、
審査の
内容も結果も違ってくるということがあるのではないかというふうに思っているところでございます。
それから三番目は、
展示あるいは広報、そういった
国民の
利用促進に関することでございます。
これにつきましては、率直に申し上げて、私
どもの
取り組みはまだまだ不十分であるというふうに認識をしてございます。私
どもは自前の
展示施設等も持ってございませんし、また、予算的なこともあるんですけれ
ども、この
取り組みというものはまだまだこれからだなというふうに私
ども自身としても思ってございます。
今のところ、そういうことですので、例えばほかの
公文書館あるいは博物館といったところと
共同で
展示会をやるとか、あるいは、こういう
時代になりましたので、
インターネットを活用した
デジタルアーカイブのような
取り組みもできる範囲で少しずつやっているというところでございます。
そういうことを通じて、これまで
文書の
管理をし、
保存をしてきたということでございます。
今後のことでございますが、今後につきましては、まず、これまで
皇室のもとに集積をされてまいりましたさまざまな
文書、もちろん
公文書も含むわけですが、こうしたものにつきましては、引き続き私
どもが、
皇室をお支えするという立場から、この
文書についても責任を持って
管理をして、そしてそれを後世に引き継いでいくということが重要であろうというふうに思っております。これが一点目。
それから、
最後でございますが、この小
委員会でも議論になったと仄聞をいたしておりますが、新しい
公文書館ができた場合に、場合によっては
共同展示のようなことも御検討になっているというふうな
お話も少しお聞きをしたんですけれ
ども、仮にそのような
機会を設けていただけるということであるならば、我々としてもできる限りそうしたものには積極的に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
ちょっと長くなりましたが、私からの
説明は以上でございます。
ありがとうございました。