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2014-06-26 第186回国会 参議院 厚生労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年六月二十六日(木曜日)    午後三時開会     ─────────────    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      森本 真治君     石上 俊雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井みどり君     理 事                 高階恵美子君                 西田 昌司君                三原じゅん子君                 津田弥太郎君                 長沢 広明君     委 員                 赤石 清美君                 大家 敏志君                 大沼みずほ君                 木村 義雄君                 島村  大君                 滝沢  求君                 武見 敬三君                 羽生田 俊君                 足立 信也君                 相原久美子君                 石上 俊雄君                 小西 洋之君                 西村まさみ君                 浜田 昌良君                 東   徹君                薬師寺みちよ君                 山口 和之君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   田村 憲久君    副大臣        厚生労働大臣  佐藤 茂樹君        厚生労働大臣  土屋 品子君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        小泉進次郎君        厚生労働大臣政        務官       高鳥 修一君        厚生労働大臣政        務官       赤石 清美君    事務局側        常任委員会専門        員        小林  仁君    政府参考人        内閣官房日本経        済再生総合事務        局次長      赤石 浩一君        内閣官民人材        交流センター審        議官       小河 俊夫君        警察庁長官官房        審議官      宮城 直樹君        総務省統計局長  須江 雅彦君        法務大臣官房審        議官       上冨 敏伸君        文部科学大臣官        房審議官     佐野  太君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        三浦 公嗣君        厚生労働大臣官        房年金管理審議        官        樽見 英樹君        厚生労働省医政        局長       原  徳壽君        厚生労働省健康        局長       佐藤 敏信君        厚生労働省医薬        食品局長     今別府敏雄君        厚生労働省労働        基準局長     中野 雅之君        厚生労働省職業        安定局派遣・有        期労働対策部長  宮川  晃君        厚生労働省職業        安定局雇用開発        部長       内田 俊彦君        厚生労働省職業        能力開発局長   杉浦 信平君        厚生労働省社会        ・援護局長    岡田 太造君        厚生労働省老健        局長       原  勝則君        厚生労働省保険        局長       木倉 敬之君        厚生労働省年金        局長       香取 照幸君        防衛省人事教育        局長       豊田  硬君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   山本  泉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (社会福祉法人内部留保の実情と今後の介護  報酬改定に関する件)  (厚生労働省における不祥事再発防止に関す  る件)  (医薬品の臨床研究における不正事案への対応  に関する件)  (産業競争力会議在り方に関する件)  (大規模災害時の災害派遣医療チーム(DMA  T)の課題に関する件)  (短期集中特別訓練事業の入札問題に関する件  )     ─────────────
  2. 石井みどり

    委員長石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、森本真治君が委員を辞任され、その補欠として石上俊雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井みどり

    委員長石井みどり君) この際、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村厚生労働大臣
  4. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 六月十九日の厚生労働委員会におきまして、政府参考人として出席すべき健康局長遅刻し、委員会の議事を止めてしまうという事態を生じさせてしまいました。これまで度重なる厚生労働省の不手際によって、本委員会の皆様に多大なる御迷惑をお掛けをし、再発防止に向けた取組を開始したさなかに起こしたものであり、大変面目なく、深くおわびを申し上げます。  昨今の一連の誤りは、いずれも初歩的なものではありますが、それが重大な影響を与える結果になったと認識をいたしております。今後こういうことを繰り返すことのないよう、現在、省内の業務適正化推進チーム再発防止策を検討しており、七月初旬に取りまとめ、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。  重ねて今回の事態についておわびを申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
  5. 石井みどり

    委員長石井みどり君) この際、委員長から一言申し上げます。  さきの常会における厚生労働省一連不祥事について、私から、五月二十九日の委員会におきまして、リスクマネジメント体制の構築を強く求める旨発言したばかりであります。  生命に関わる事項を所管する厚生労働省においては、小さなミスが取り返しの付かない事態に直結してしまう可能性がございます。初心に立ち返り、個人のミス組織で防ぐことができるように、一から組織在り方見直し再発防止全力を挙げて取り組むよう強く求めます。     ─────────────
  6. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局長岡田太造君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 大家敏志

    大家敏志君 自由民主党の大家敏志です。  百五十日間に及ぶ通常国会は閉じましたけれども、必要な議論はきちんとやるんだというこの参議院厚生労働委員会の積極的な運営に、委員長を始め理事先生方に敬意を表し、本日は大きく二つについてお聞かせいただきたい、質問させていただきたいというふうに思っています。  先日、六月十六日に、社会福祉法人在り方に関する検討会制度見直しについての報告書が出たということでありましたので、特別養護老人ホーム理事長さんに話を伺いました。その理事長さんいわく、新聞等報道を見ていると内部留保が多額とばかり書かれていて、老人ホームはもうかっていいねといろんなところで言われてかなわぬとこぼされていました。確かに、報告書自体内部留保のことのみならず様々なことが書かれているんですけれども、マスコミ報道によると内部留保のところが強調され過ぎていたようにも思われます。  五月三十日の財政制度審議会報告書でも、特別養護老人ホームには内部留保がたくさんあるから介護報酬は下げるべしと書かれています。来春、介護報酬改定が予定されていますが、そのときに老人ホーム報酬を値切る材料として社会福祉法人制度見直しが扱われているような気がしてなりません。  特別養護老人ホームは、言わば地域高齢者介護最後のとりでとしての役割を担っており、その重要性は言うまでもないと思っています。  そこで、数点について質問させていただきます。  財政審財政健全化に向けた基本的な考え方には、特別養護老人ホームなどを経営する社会福祉法人巨額内部留保の存在と書かれています。巨額内部留保と言われると、素人目としては現金がたくさんたまっているような気になってしまいますが、必ずしもそのような状態でもないようであります。  内部留保定義としては、純資産の部のうち、基本金国庫補助金等特別積立金、これを除いたその他の積立金次期繰越活動収支差額合計額としているようです。  専門的な話ですので正確に説明するとえらく分かりにくくなるんですけれども、バランスシート右側資金の出所、つまり最初に設立者が寄附した基本金幾らで、国や自治体からの補助金幾ら金融機関からの借入金が幾らでと書かれています。左側に、そのお金老人ホーム建物になったとか、内部のベッドになっているとか、銀行に預けてあるとかいう記載になっている。社会福祉法人二つ目老人ホームを建てたり、新たに地域のふれあいデイの施設を造ったりして資金を有効に使った形を取ったとしても、会計上、内部留保とされたまま。また、老人ホームが古くなったので建て替えのためにためた資金、これも内部留保と言われることも同じだと思います。言わば無駄に現金がたまったという印象がここで残ってしまうわけです。別段、金庫にお金を積み上げているわけでもないはずです。  そもそも、厚生労働省が出している数字にも違いがあると思うんです。一つは、発生源内部留保、これは一施設三・一億円という数字が出ていますし、別の見方実在内部留保、これだと一・六億というふうに、三・一と一・六ですから、ほぼ倍の違いがある。にもかかわらず、内部留保という言葉を使うのは明らかにミスリードだと思うんですけれども、この点について、岡田局長答弁願います。
  10. 岡田太造

    政府参考人岡田太造君) 社会福祉法人のいわゆる内部留保につきましては、社会福祉事業から生じた剰余金が積み重なったものと考えられますが、その額は貸借対照表見方によって異なるものでございます。いわゆる内部留保の算出については確立した定義は存在しないというふうに思っていますが、これまで公表している額は一定の仮定を置いて推計したものでございます。  一般的には、先生が御指摘になりましたバランスシート貸借対照表右側、貸方に計上されます剰余金などを指して発生源内部留保として、この場合約三・一億円ということで、一施設平均を取るという調査によりますと、そういうような数字になっています。  しかし、実際には、先生指摘のように、既に建物を建てたりとか設備投資によって法人外に支出されたものも会計処理上そのまま残されているというようなこともございますので、実際に使用可能な預貯金などに着目して内部留保を捉えるという見方がございまして、これは実在内部留保というような言い方でございますが、これで計算しますと、一施設一・六億円というような形で調査の結果を得ているところでございます。  なお、この金額は全体の平均でございますので、実際には施設でばらばらでございますし、平均以下の施設も存在していることに留意が必要だろうというふうに考えているところでございます。  また、社会福祉法人社会福祉事業を実施することを目的に設置されました非営利法人でございまして、事業から生じた余剰金が存在する場合には、社会福祉事業を実施するための建物の修繕、それから新しく建てるための積立金、それから人件費などに活用してもらう。このほかにも、地域に不足する福祉サービスを行うなどの財源とするといった方法で活用していただく必要があるというふうに認識しているところでございます。  厚生労働省検討会規制改革会議などの議論も踏まえまして、社会福祉法人のいわゆる内部留保扱いにつきましては、今後、社会福祉事業を行うための積立てや地域福祉ニーズに対応するために財源とするなど、使用目的明確化を図っていただく必要があるというふうに考えております。また、財務諸表の公表を通じまして、自らその使途についての説明責任を果たしていただくことなどを基本に対応していく必要を考えており、今後必要な制度見直しを検討してまいりたいと考えているところでございます。
  11. 大家敏志

    大家敏志君 局長が言われたとおり、この内部留保扱いに関しては、定義もまちまちであったりするので、とにかく慎重にやっていただきたい。  重ねてになりますけれども、発生源内部留保という見方をすれば三・一億、実在内部留保だと一・六億というふうになっているので、とにかくこれを基準にするということは大きな問題だと改めて指摘をさせていただきます。  また、社会福祉法人の特性からして、非営利法人ですから、これも局長もおっしゃいましたけれども、利益処分が認められていませんから、事業を継続している期間が長くなれば長くなるほど、当然いわゆる内部留保と称される部分が大きくなる、これは当然です。つまり、できたばかりの法人と歴史がある法人ということでは状況は大きく異なってくるというふうに思います。法人によってばらつきがあるということですよね。  にもかかわらず、平均値が例えばさっき言った数字の三・一億、この平均値が高いということをもってして一律に介護報酬を引き下げるということになったらどういうことが起きるかというと、もちろんないところは厳しい状況になりますし、例えば見かけ上内部留保がたくさんあるとしても、それが既に建物になっているということで現金はほとんどないという状況法人であれば、これもまた経営が危なくなるという現実もあるんだというふうに思っています。  ですから、ここでいう内部留保が必ずしも経営実態を反映していないというふうに思いますので、この内部留保を使って議論すること自体に無理があるというふうに私は思っています。ただ、実際に使う予定のない、当てのないお金があるとしたら、それは新規の事業を開始するなり利用者に還元する等々、そういうことは私も大いに賛成であります。  そこで、大臣にもお尋ねをしたいと思うんですけれども、巨額内部留保などを宣伝して、新聞でばんばん取り上げられているんですけれども、これを介護報酬の引下げにつなげるということについて私は理解できませんけれども、大臣のお考えをお尋ねをしたいというふうに思います。
  12. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 介護報酬改定でありますが、御承知のとおり三年に一度ということで、来年度見直すわけであります。この介護報酬改定に関しましては、実調ですね、実態調査をしっかりやりながら、サービス等々をどのような形で出されているか、そのような各サービス実態調査でありますとか、また賃金、物価、こういうものをしっかり見ながら決定をしていくというわけになるわけであります。  今、内部留保お話がございました。正直申し上げまして、この話、私も以前からよく関係者の方々からお聞きをした話でございまして、内部留保があるあると言うけれども、今委員がおっしゃられたように、実際はもう現金ではなくて物が建っているという場合もあるんだと。更に言えば、それは流動資産といいながらも、積立金等々、本来ならば十年に一回の大改修でありますとか、それから建て替えでありますとか、こういうものに向かって積み立てるというものが内部留保の中に入っている、それで全体として非常に大きく見える、こういうお話もありました。  それから、法人によってかなりばらつきもあるようでございまして、これは今、一法人当たり平均というような形で示しておりますが、しかし、かなりのそこには差もあるわけであります。そういうことを考えながら介護報酬改定やっていかなきゃならぬわけであります。  ただ、今言われました閣議決定された骨太方針でありますが、平成二十七年度介護報酬改定においては、社会福祉法人内部留保状況を踏まえた適正化を行いつつ、介護保険サービス事業経営状況等を勘案して見直すと、こういう文言になっておるわけでございまして、内部留保はどういうものかということも含めて我々しっかりとここは、こう書いてありますけれども、今委員がおっしゃられたような内部留保がどういうものだということも含めてしっかり議論をしていかなきゃならぬというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この骨太方針も踏まえながらいろんなものを勘案して、最終的には介護報酬改定、必要なものは必要な形でしっかりと付けてまいりたい、このように考えております。
  13. 大家敏志

    大家敏志君 経営全般をきちんと見て、やっていただきたいということを強く要望したいと思います。  次の質問に移ります。  女性が輝く社会を実現することというのが大きなキーワードになっていますけれども、そこで一点お伺いをします。  保育所待機児童解消加速化プランというのがございますけれども、話が突然飛ぶんですけれども、これは赤石政務官お尋ねをしたいと思っていますけれども、この待機児童解消加速化プランだけでは不十分でありまして、子供小学校入学後に女性が仕事を辞めざるを得ないという状況、よく小一の壁と言われていますけれども、これを解消しなくてはなりません。  政府は、放課後児童クラブについて約三十万人の受皿を確保していくとのことですが、小学生の総合的な放課後対策を充実していくためにどのように取り組んでいくのか、きちっとしたお答えを赤石政務官にいただきたいと思います。
  14. 赤石清美

    大臣政務官赤石清美君) 御指名ありがとうございます。  大家委員質問にあるように、私も七人の孫がおりまして、ゼロ歳から十五歳までおりますので、小一の壁というのはよく分かっているつもりであります。  今の問題ですけれども、女性活躍推進のために、小学校に就学後、放課後等児童の居場所がないという今委員指摘のいわゆる小一の壁を突破するため、放課後児童クラブ等を拡大するためのプランを策定し、五年間で放課後児童クラブを新たに三十万人分整備するよう総理から指示を受けたところであります。現在、九十万人でありますけれども、これを五年後に百二十万人受け入れるという体制をつくるということであります。  一昨日、閣議決定された改訂成長戦略におきまして、文部科学省と共同して放課後子ども総合プランを年央に策定することが盛り込まれたところであります。一体型を中心とした放課後児童クラブ放課後子供教室の計画的な整備を着実に進めていきたいと考えております。具体的には、今後、一万か所以上を一体型の放課後児童クラブ放課後子供教室とすることを目標にしております。  これらの施策によりまして、いわゆる小一の壁の突破に向け市町村の取組が進むよう、学校の余裕教室等を積極的に活用するための支援、それから賃借によるクラブ開設支援や開所時間の延長の促進など様々な施策について検討してまいりたい、このように考えております。
  15. 大家敏志

    大家敏志君 大きな目標ですから、しっかりやっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  16. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  本来、私は今日は出番がなかったんですが、委員会冒頭大臣発言に関わる問題について一言申し上げなければならないということでございます。大変ある面では悲しい、怒りというよりも、何か悲しい感じが私はしております。  こんなことを聞くのもまたつらいことなんですけれども、さきの百八十六国会において、厚生労働省政府参考人衆参厚生労働委員会答弁遅刻したことは衆参それぞれ何回あるか、大臣、お答えいただけますか。
  17. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 衆議院厚生労働委員会に関しましては、遅刻をした事案はありません。  参議院厚生労働委員会におきましては、先ほど来おわびを申し上げておりますが、六月十九日木曜日、健康局長遅刻をしたということであります。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 佐藤健康局長遅刻が唯一の例と。  これ、前日に厚生労働省処分、発表されました。大臣も、大臣としての給与の一か月返納、事務次官以下訓告という形で、大変厳しい処分だと思います。当然、夏の一時金は相当返納されるわけでございますから、そういう面でも厳しい処分をされたと私は思っております。  六月十九日、まだ忘れもしない。私が、二度とこのような不祥事発生しないのか、再発防止は万全と断言できますかという質問に対して、大臣が、二度とこのようなことが起こらないように更に気を引き締めて努力をしてまいりたい、その十分後に事件が発生をしたわけでございます。こういうのを、世に言う、舌の根も乾かないうちにというふうに言うわけでございますけれども、まさに、これではせっかくの大臣答弁がもうふいになってしまったということでございます。  綱紀粛正というのは、口で言うのは簡単ですが、実際にきちっと粛正をする、間違いが起きないようにするということを徹底するというのは一定程度時間が掛かるのかもしれない、ひいき目に言えばそういうことだと思います。  今日、資料に、業務適正化推進チーム設置要綱というのをお配り申し上げておりまして、趣旨が立派なことが書いてあります。そして、構成員佐藤大臣を主査にして、事務次官以下の幹部の皆さん、ここには健康局長の名前も入っているわけでございます。そしてこの方が中心になって綱紀粛正をしっかり行っていくんだということであるにもかかわらず、その構成員がまずルール破りをしてしまうという、非常に何とも言えないことでございます。  私は、今日の任務は、もう一回だけ大臣決意を聞かせていただきたいと思います。最後ですよ、これが。今後二度とこのような不祥事発生しないのか、今度こそ再発防止は万全だと断言できるのか、大臣決意をもう一度お伺いします。
  19. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 重ねて、六月十九日の件に関しましては深くおわびを申し上げる次第であります。  いろいろと分析もさせていただきました。前回のときに申し上げましたのは、ミスが起こっても、それをしっかりと組織の中でチェックして、表に出るときには改められている、そういう組織にすべきである、こういうことを申し上げたわけでございまして、それに向かって今検討チーム議論をいただいております。七月の初旬には報告をもらえるものだというふうに思っております。  一方で、今般のミスというものを私なりにいろいろと分析をしますと、もちろん組織として強靱な組織になることも重要ですが、そもそもやはりミスを起こさないということも重要であるわけでありまして、特に入って新しいそういうような職員に関して、今まで厚生労働省として一元的に教育をするということが余りなかったという実態を私も理解したわけであります。それぞれの部署で働きながらそれこそやっておるという状況でありますが、そうではなくて、組織として最低限こういうことに関して、また心構えも含めて教育をしていくということ、特に国会というものが国民の代表であって、いかに大切なものかと、当たり前のことなんですけれども、それをしっかりまず理解をしてもらうということも重要でございまして、そういうことも含めて、我々、こういうことが二度とないように努力をさせていただきたいというふうに思っております。  大変申し訳ありませんでした。
  20. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 三度目は言わせないでください。  終わります。
  21. 足立信也

    ○足立信也君 民主党の足立信也でございます。  今日の閉会中審査は、皆さん、本当にお疲れさまでございますが、これ、いつぞや福島委員が、研究不正については日本にとって非常に大きな問題であるから集中的な審議をやってもらいたいという提案に基づいて開催されたと、そういうふうに認識しております。私が武田関係、それから小西委員がノバルティス関係ということに絞っておりました。  皆さん御案内のように、先週の金曜日、国会最終盤の、特に参議院は大混乱の中で発表されたのが、ジョーンズ・デイ法律事務所の武田薬品工業に対する調査報告書、これです。七十四ページあります。私、これ詳細に読んで、そして質問通告を昨日して、これは武田薬品並びにこの法律事務所に来てもらわないととても解明できないなと思いましたので、昨日の午後、一時から六時間ぐらいずっと出席の交渉をしておりましたが、かないませんでした。  そこで、今日、資料に、一番最後に、大部ではありますが、私が質問項目として両者に、法律事務所と武田薬品に対して質問項目を送りました。七項目ですが、文書で返ってきておりますので、その点も踏まえて質問をしたいと思います。ですから、大変申し訳ないのですが、今日は私がしゃべる時間が相当多くなるような気がしておりますので、申し訳ないですが、いらっしゃっていないので。  そこで、小泉政務官もお見えですが、これ最終的には私、内閣委員会それから厚生労働委員会総理入りのときも、産業競争力会議委員として長谷川社長、本当にいいんでしょうかということを申し上げて、とどのつまりはそこになるんです。官房長官も総理も、経済同友会の代表幹事だからと、そして、しっかり注視していきたいという答弁で同じなんですね。本当にそれでいいのかどうかを、ずっと聞いていただいて、政務官としては答弁は非常に難しい立場だと思いますけれども、是非理解していただきたいと思います。  そこで、資料の一から入ります。  ちょっと、私なりの理解は、よくこのノバルティスも武田の件も報道では臨床研究というふうに言われておりますが、これシーズから製造販売まで、私、書かせていただきました。これで、私の認識では、臨床研究というのは申請前で、今回の法律事務所の報告書もきちんと医師主導型臨床試験と書いてあるんですよね。ここで、申し訳ないですけど、今別府局長に、今回、STAP細胞は一番左のシーズのところですね。それから、②、③、④は今問題になっている、あるいは話題になっている患者届出療養と先進医療、そしてアクセス制度、これはコンパッショネートユース制度ですね、これがどの位置に属するかというのを示しました。そして、今話題になっている武田、ノバルティスの件は⑤、⑥、⑦、これはもう既に販売されているものの販売促進の面ですね。  局長にちょっとお答えいただきたいんですが、今話題になっているこの⑤、⑥、⑦は臨床試験であって臨床研究ではないですよね。そこを明確にした方が私はいいと思うんですが。
  22. 今別府敏雄

    政府参考人(今別府敏雄君) 今、足立先生からお話がありましたように、ここで臨床研究・治験と書いてありますような、いわゆる医薬品の承認申請に必要なデータを集めるというものではなくて、承認後の臨床試験ということでございます。
  23. 足立信也

    ○足立信也君 言葉は大事ですから、そういうふうに皆様認識していただきたいんですね。これは臨床試験で、臨床研究ではないと。混同するとちょっと困りますので。  そこで、ちょっと私、訂正があります。済みません。化合物、承認のところを二万九千六百九十九分の一のスラッシュが消えております。それから、これ、武田のブロプレスの件、これから私やります。ノバルティスのディオバンの件は恐らく小西委員がやられます。その他四件と書いておりますが、これ実は昨日公表がございまして、東大が関与した不適切臨床試験、臨床、これも研究と書いてある、試験ですね、五件です、五件になりました。これも全部製造販売のところです。  この問題がなぜ重要か。これ今、私、名前挙げただけでも、理研、日本トップの研究機関ですね、それから世界一のノバルティスと東大、それから昨日発表されたのはブリストルと東大、そしてこの武田ブロプレスの件は日本一の武田と京大、こういう組合せなんですよ。これは極めて日本にとって大きな話です。ここをしっかりしないと、先ほど、私、何度も言っていますが、日本が信用されなくなる、そのように思っています。  そこで、この七十四ページ、大部の、これ全部コピーするわけにいかなかったので、概要の意味で、二枚目から、m3の「医療維新」というところから書きましたが、ここにある結論は、このCASE―J試験、武田のブロプレスの試験は、結論ですよ、ブロプレスの付加価値最大化、売上げ最大化が目的である、そこに研究段階から学会発表まで一貫して強く関与したと、これが結論なんです。  昨日発表された、皆さんよく御存じのノバルティスそれからブリストル・マイヤーズの件も、これは、事務局機能の代行、プロトコールの作成支援、講演会における資料の代行作成をやったと。同じなんですよ。同じことが、今報道は相当な差がありますので、ここはきちっと認識してもらいたいなと、そういう私の意図でございます。  それから、いよいよその法律事務所の調査報告書に入るんですが、これは、表紙だけは資料の三としてそこにお付けいたしました。いろんな報道を読みますと、このジョーンズ・デイ法律事務所は武田薬品の顧問弁護士が所属しているのではないかということがありましたが、これは質問に対して、いないということでございました、文書で回答。ただし、武田薬品はジョーンズ・デイ法律事務所のクライアントです。それはそのとおりでございます。  それから、この調査報告書の内容をちょっと御紹介しておきたいんですが、これは全て武田薬品の文書資料、社内関係者へのインタビュー、そして公開されている情報を基にやられております。ですから、このCASE―J試験における武田から開示された情報の正確性あるいは真実性、あるいはそれが完全なデータかどうかというのは一切調査しておりません。武田からの情報に基づくものです。それを前提に、この調査目的は、この試験におけるデータの捏造、改ざんがあったかどうか、それからこの試験に対する武田薬品の関与は何であったか、そして販売促進資材と薬事法違反との関係、この三点です。  ですから、この三点に沿って私は質問をしていきたいと思いますが、さっき申し上げましたように、この問題は、武田薬品側と京大側両方をやっぱり調べていかないと真実は分からないんです。一方の文書だけですから、資料だけですから。その京大に対する調査というのは、やっぱり厚生労働省が同じ国立としてやらなきゃいけないんだろうと思いますが、例えば、私、これまでに資料で出しましたあの「選択」の記事に出ている中心人物、この人物はこの報告書には出てこないんですね、ということもあります。率直に言うと不完全だと思いますが、しかし、これによって、研究が始まったときの国内売上げが五百三十六億円から終わったときの千二百三十五億円まで飛躍的に伸びていると、こういうことでございます。  そこで、順を追って申し上げます、長くなって申し訳ないですが。  二〇〇〇年の七月、ブロプレス及びアクトスの製品付加価値最大化プロジェクトが、この試験を優先的に実施することを経営企画部長に答申をしました。そして、同じ年の十月、二〇〇〇年十月に、取締役会で京大に三十億円の寄附が承認されました。そして、二〇〇一年、翌年一月、三か月後です、CASE―Jプロジェクトチームというものが社内に発足をしました。リーダーは、先ほど関与が余り明確に書かれていないと言った人間外七名です。二〇〇一年一月にプロジェクトチームが発足し、その年の二〇〇一年九月、症例登録が開始されました。スタートですね。そのときの、先ほど優先的に実施すると言った経営企画部長は誰なんですかと、その質問に対して文書の答えは、現在の長谷川閑史社長です。  それから、二〇〇二年の十二月に症例登録が終了します。この途中の状況で、これは余り差が出ないなということがありました。そして、二〇〇四年九月、CASE―J試験の、いいですか、成績がどう転んでも大丈夫なように解析内容を考慮するよう、社内で認識されました。そのときの社長は誰ですかという質問です。長谷川さんです。  このため、二〇〇四年十一月、今の社内決定を受けて、CASE―J対応プロジェクトが立ち上がりました。目的、ブロプレスについて、悪い成績が出ることにより売上げに悪影響が及ぶことを防止すること、これが目的のプロジェクトチームです。  先ほど三つ挙げました。一つずつ挙げます。  まず、データの捏造、改ざんについて。これはそういうものはなかったと言っているんですが、ですが、調査票の入力、症例登録して入力しますよね、それがオンラインという形で行くわけですが、この調査票の入力作業の代行を武田の社員がやっていたものもある。  これは、調査票入力を社員がやっていたら、捏造あるいは改ざんの可能性というのは極めて高くなる、あるいは誰もが懸念を抱くのではないかと、そのように思いますが、その入力作業をやっていたということについて、その懸念はどう判断されますか。これは局長、お願いします。
  24. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。  ちょっとその前に、先ほど医薬局長の方から臨床試験と臨床研究の話が出ましたけれども、一般的に余り厳密な意味での使い分けをしているわけではありません。幅広い意味で使う場合には臨床研究という言い方をしております。ですから、今回の事案も幅広い意味での臨床研究であると。英語で言うと、クリニカルトライアルとクリニカルリサーチの違いではないかと思いますけれども、一般的には臨床研究という言い方をしているということをちょっとまず前もってお話をしておきたいと思います。  その上で、現在のそのデータの入力についてでございますけれども、先ほどからお話がありますように、このジョーンズ・デイ法律事務所での報告書によりますと、武田薬品工業の一部のMRが、試験参加医師同席の下で、試験参加医師に貸与されたパソコンを使って調査票に入力するなど、調査票入力作業を代行していたというようなことが書かれております。  もしこのとおりであるとすれば、CASE―J試験に本来関与しないはずの製薬企業の社員が本試験の入力内容を操作し得る状況に置かれているということから、データの信頼性も大きな懸念を生じさせる行為であることは否定できないと考えております。
  25. 足立信也

    ○足立信也君 そう思います、私も。  それから、先ほどの研究と試験のことなんですが、これは念のため申し上げますが、私が政務官のときに厚生労働省でつくったもので、臨床研究と試験のところは明確に区別しておりますので、それは、現状はそういう方もいらっしゃると思います。  そこで、じゃ、今データ捏造、改ざんのことについて申し上げているんですが、ここで、この報告書でも大きな論点となっている学会発表、論文作成への関与は、これも明らかにしているんです、社員がかなり関与してやられたと。  しかし、報告書では、これは非常に大事な、カプランマイヤー曲線というんですが、私もがんを専門にやっておりましたからよく使いました。イベントの発生がどういうふうに起きてくるかと、階段式に累積していくと。よく使いました。  それから、そこで有意差があるかどうか、これ、p値ということで、有意差検定に使います。これのデータも示されておりますが、これは、この報告書に書いてあるのは、実際に学会発表や論文作成のデータは作った、でも、グラフの形を比較しているだけで元のデータはチェックしていないと、そういうふうに書かれているんですね。データベースへ武田の社員はアクセスできなかったというふうに書いてあるんです。しかし、私の経験からいいますと、有意差水準のp値を計算するにもカプランマイヤー曲線を描くにも、元のデータがないとできません。しかし、それを作っていると報告書は書いてあるんです。でも、データにアクセスできなかったと書いてあるんです。  これは一般的に、これは詳細はそれ以上分かりませんから、一般的に、その有意水準の、危険水準といいますか、p値あるいはカプランマイヤー曲線を描くのにも生のデータがないとできませんよね。
  26. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。  今回、武田薬品工業が委託した第三者機関、先ほどの報告書でございますけれども、その中で、カプランマイヤー曲線については次のように書かれております。  これについては、京都大学がCASE―J試験の結果報告で使用するスライドのKM曲線を基にして作成したと。その方法としては、画像データをそのまま写し込んでそれをなぞったという、いわゆるトレーシング手法という形でそれは作られたというふうに報告されています。  一方で、先ほどの帰無仮説を間違って棄却してしまう危険率p値、この値については実は記載がございません。両方とも、厳密に言いますと、KM曲線を描くにしてもp値を計算するにしても、基のデータがないともちろん算出できないというのは、一般論としてはあり得ると思います。ただ、今回のこの資料に使われた値は、例えば学会発表であるとか、あるいは論文から引用されたのか、その辺りはちょっと私ども承知しておりません。
  27. 足立信也

    ○足立信也君 それ以上は答えられないと思いますが、学会発表や論文から引用された、それは写した、それは当然あるでしょう。しかし、そのデータを作ったと認めているんです、この報告書は。そこでデータにアプローチできなかったというのが僕は理解できないということを申し上げておきたいと思います。  そこで、販売促進に極めてその後有益になったと思われる事柄が一つあります。結局、これ二つの薬の比較なんですが、有意差はなかったんです。ところが、糖尿病新規発症については、後々の追加解析で有意差ありというふうになったんですね。それはなぜかと。  これは報告書に書いてあるんですが、糖尿病の新規発症の定義の解釈を変更したと。これは、武田の社員が定義の解釈を変更した追加の解析の実施をお願いしたということなんですよ。解釈が途中で変わったというんですね。このことを、私、どう変えたのかと武田薬品に質問してあるんですが、答えが今厚労省にも届いておりますが、ちょっと曖昧ですね。変更していないみたいなことを書いてある。しかし、報告書には変更したと書いてある。ですから、そこは両者をお呼びして是非聞きたかったところなんですが、問題のポイントはそこにあるんです。解釈の変更をしたということです。  そこで、その販売促進の更に一つの手として、メディカルレビュー社で「CASE―Jに学ぶ」というものを作ってあるんですね。まあ著書になるんですかね、作成してあるんですよ。そこに、この研究者の最終確認や、あるいは最終原稿の署名、原稿って署名しますよね、が確認できなかったと書いてあるんです。紛失したんだろうと結論付けているんですが、これは当然のことながら持っていないはずないですよね。そんなことは許されるはずもないし。本当に紛失したということであれば、例えばメディカルレビュー社、あるいは武田も関わるかもしれない。むしろ京都大学は間違いなく署名を残していますわね、そういう研究者であるならば。一般的に、こういうもの、最終原稿に署名なしというのはあり得ることでしょうか。
  28. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 今回の報告書では、同社内の審査機関での最終確認書と、それから専門家ですね、専門医の署名を得た最終原稿は紛失されたものと推認したというふうになっております。これは、調査する第三者機関の方でもその辺りは見付からなかったということであろうと。  ただ、一般的に言いますと、製薬企業がどのようなプロセスを経て公表していくかという中で、業界団体であります日本製薬工業協会の医療用医薬品プロモーションコード、規則ですけれども、これにおいて、プロモーション用の印刷物及び広告等については、社内の管理体制を確立し、その審査を経たもののみを使用する旨が掲げられているということから、それに準じて対応はされていたのだろうと。ただ、その現物がなかったので第三者機関では紛失したものと推認するということであったんだろうと思います。それ以上のことはちょっと私どもでは分かりかねます。
  29. 足立信也

    ○足立信也君 その糖尿病の解釈変更をしたときの有意差が出たという発表もやられたと報告書に書いてあるんですが、その調査報告がここには書いてないんです、入っておりません。これも聞きたかったんですが、お見えにならないので聞けません。  資料の三の二。結局、京大に対して三十七億五千万円寄附があるんです。これに加えて、実は医療疫学講座に、二〇〇五年、二〇〇六年、各二百万ずつ行っています。  そろそろまとめに、まだ聞きたいことはあるんですが、まとめに入りたいと思います。  結局、販売促進資材と薬事法違反との関係で、最後の項目になるんですけれども、これは、この報告書でも一貫して関与したと。そのことについては長谷川社長も謝罪をされているんですね、研究の質、あるいは大きな懸念を招いたと。これは実は武田薬品も属している製薬協の通知に違反することでありまして、違反しているということで、製薬協のコンプライアンス委員会は武田薬品に対して役職活動停止というふうになっているんです。今、これは今年の三月から半年間の役職停止中という処分をされているんです。  今日の産経新聞にありましたが、あした株主総会で、その関係で関西の方に行かれているので出席できないと武田の方はおっしゃるんですが、大荒れになるだろうという予測が出ていますね。あしたのその株主総会で長谷川社長も社長から会長になって、外国人の方が社長に就かれると。官房長官も総理も、経済同友会の代表幹事であるということをおっしゃっていますが、来年退任予定だということも聞いております。そして、同じグループの製薬協からは役職活動停止というふうになっている。  この方々、こういう状況でありながら、まさに販売促進活動、薬事法違反の可能性もあるということの中で、それはどういう内容かというと、重篤な有害事象というものを武田薬品は情報を入手していたのに厚労省へ報告していなかったということなんです。これは事実で、今大臣もうなずいていらっしゃる。それで、後で報告させたんですよね。こういう薬事法違反のところもあるんです。  ということを受けて、政務官、三度目の私、質問になるんですが、やはり捏造に関与した可能性が極めて高い。ずっと関与していて、販売促進のために薬事法違反を犯している可能性もあるという方が、同じグループの役職停止にもなっている、その方を、どんどんどんどんこれから売って産業力として高めようという産業競争力会議委員で本当にいいんでしょうか。その点をお聞きしたいと思います。
  30. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) まず、産業競争力会議というのは、その名のとおり、日本の産業をどうやって競争力を強化していくかということを議論している場なんですが、民間議員の方は一人ではなくて複数おられます。そして、政治家もそこには関係政務が入ります。そういった中で、一部の声しか聞かないような方は、これは民間議員に限らず、政治家も相手にされないのと同じように、一部の声しか聞いていないと、そういった方がもしもいた場合、そういった一議員の偏った結論が導かれるようなことはありませんので、これからも国家の産業競争力をどうやって強化していけばいいのか、この産業競争力会議という場で様々な観点から議論をしていきたいと思っております。
  31. 足立信也

    ○足立信也君 手法として誤ったことをやってきた部長であり社長であって、手法として誤ったことをやってきた、それが日本の信用を大きく失墜させている、その方が産業競争力会議委員でいいんですかということです。これは皆さん、本当に考えてもらいたいと、そのように思います。  これ以上の答弁は恐らくできないでしょうからこれでやめますが、大変な問題、日本にとってここに活路を目指すしかない分野でありながら、大きな問題を抱えていることを提示しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 小西洋之

    ○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。  私の方から、臨床研究をめぐる様々な問題が続いておりますけれども、そうした課題とその解決の方向性の在り方、またその前提として、これ、広くコンプライアンスに関する問題だと思いますけれども、厚労省含めて我が国全体のコンプライアンスについての問題について取り上げさせていただきます。  ちょっと初めに、田村大臣の方に順番を変更して伺わせていただきますけれども、配付した資料の二ページ目を御覧いただけますでしょうか。これ、朝日新聞の記事でございますけれども、衆議院の伊吹議長が、労働者派遣法の条文を間違えていた、本来はそういう条文にしたかったのかもしれませんけれども、罰則を間違えていた、一番法令の中で重要な条文ですけれども、罰則というのは。また、我が参議院に対してあってはならない、審議のための資料に、配付に間違いがあった。  こうしたことを捉まえて、憲法六十六条の三項に、国会に対して内閣は連帯して責任を負うという規定があるんですけれども、この憲法の規定に鑑み、官房長官なり総理大臣が本来はおわびをするべきである、それが憲法の法理だというふうに述べられているということでございますけれども、このように大臣はお考えになりますでしょうか。憲法とはそういうふうに定めたものであって、本来は内閣を代表する内閣総理大臣あるいは官房長官がおわびをすると、そういう問題であったというふうにお考えでしょうか。
  33. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これは、伊吹議長が、今般、我が省が重ねて起こしておるミス、労働者派遣法に関しては法文附則のミス、そしてまた、今般の医療・介護総合確保推進法におきましては参議院でお配りをさせていただいた資料のミス、こういうことに対してしっかりせんかいというようなお叱りをいただいた、そのような厳しいお言葉というふうに私は認識をさせていただいております。  内閣は、行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負うものと、こうなっておるわけであります。これに関して申し上げると、衆議院の方に、議院運営委員会だったと思いますが、加藤官房副長官がお伺いをしておわびをされたというふうに理解をいたしております。  いずれにいたしましても、我々、二度とミスのないようにしっかりと強い組織にしてまいりたい、このように考えております。
  34. 小西洋之

    ○小西洋之君 報道ベースではございますけれども、伊吹議長がおっしゃっているのは、加藤官房副長官が、この記事にも書いていますけれども、衆議院の議運でおわびをなさった、それでは足りないと、憲法の六十六条三項の本来の趣旨、内閣国会への連帯責任の趣旨に鑑みれば、本来は内閣総理大臣あるいは官房長官がしっかりとおわびをすべき、そういう事柄ではないのかということをおっしゃっていたんですけれども、今のような御答弁でございました。  実は、この憲法の六十六条三項でございますけれども、内閣法という規定の中で、下に付けておりますけれども、第二項ですね。内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員から成る国会に対して連帯責任を負うというふうに書いております。全国民を代表する議員から成るというのが内閣法の第二項で特別に加えられている言葉ではあるんですけれども、田村大臣、この内閣法の第一項には、内閣は、国民主権の理念にのっとり、憲法の定める職権を行うというふうに書いておりますけれども、この内閣法の第一項と第二項を見て、今第二次安倍内閣において、もう一つこの憲法及び内閣法の趣旨に反するとんでもない蛮行を今犯そうとされているんですけれども、何を、何の問題を今生じているかということをお分かりになりますでしょうか。
  35. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 委員がおっしゃりたい意図は、委員の意図は理解いたしますが、私の方からそれに対してこれだというような発言は控えます。
  36. 小西洋之

    ○小西洋之君 田村大臣内閣を構成される大臣でございますので、発言を控えられてはいけなくて、むしろ内閣法に違反していない、憲法に違反していないと堂々と国会で述べていただかなければいけないんですけれども、代わりに私から説明させていただきますけれども、まさに解釈改憲です。集団的自衛権行使の解釈改憲です。  国民主権の理念にのっとり、国家が戦争を起こす、国民の生死に関わる事柄です、国家が戦争を起こすということを、国民に問うことなく、憲法改正、条文改正をすることなく、解釈の変更で行うということは、これは立憲主義に反するんです。立憲主義というのは、内閣の閣議決定や、あるいは我々立法府が講じる法律によってもなお決することができない国民の命や自由や権利というものを憲法で守る。それは、主権者の国民でなければつくれない、国民投票でなければつくれない、憲法によって守るというのが立憲主義の考え方なんです。そうすると、その立憲主義が立脚するところの国民主権、つまり国民投票を行わずして解釈、集団的自衛権という新しい戦争行為を可能にすることは、これ国民主権の理念に反するんです。内閣法第一条違反です。  二つ目、我々国会議員が、あるいはこの議会が大臣にお越しいただいてこういう質疑をさせていただく、それは憲法の定める議院内閣制の下で我々国会内閣を国民に代わって監督させていただく、チェックさせていただく、そういう原理なんですよ。  じゃ、何を監督しているのか。内閣の憲法解釈ですよ。憲法九条についての解釈を、集団的自衛権の行使という戦争行為はできないという解釈を我々は国民に代わって六十年間以上ずっと監督してきたんですよ。憲法の条文を変えない限り無理だという確立した憲法解釈をこの国会政府の間で確立してきたわけですよ。  にもかかわらず、国会に憲法改正の変更案、また、憲法の解釈というのは自由にできない、過去との論理的整合性を踏まえなきゃいけない等々の解釈変更の原則がありますけれども、政府答弁している、それとの適合性、そういうものを国会審議に諮らずに勝手に最高法規である憲法の規範を変えてしまう、新しい憲法規範を定立するというのは、内閣法第二条にまともに違反しているんですよ。  安倍政権の解釈改憲というのは、立憲主義に違反する、国民主権を否定する、議院内閣制を否定する、そして明文規定である内閣法にも違反する。もちろん、明文規定である憲法にも違反します。憲法違反であり、内閣法という法律違反である無効の行為であるということを、閣議決定を強行されるそうですから、それに先立ってこの委員会の場でしっかりと申し上げさせていただきます。  では、本日の本題に参らせていただきます。  今、ただ、これ笑い事じゃございませんで、なぜそういうことを申し上げましたかというと、もう法治国家が崩壊するんですよ。我々国会がどんなに法律を作ろうと、またその法律に基づいて大臣がどんなにきちんとした行政をやっていただこうとしても、国民から見れば、何だ、憲法すら勝手に変えられるんだと。また、その法令を担当している行政官からしてみても、もう憲法すら勝手に変えられる。しかも、憲法九条ほどすごいもの、内容的にもすごい、命に関わるものです。平和主義という国是にも関わる。また、これほど国会議論を積み重ねられてきた憲法の条項はないですよ。これですら、できないと言われた百八十度逆のことが、条文変えなきゃできないと言われたことができるんだったら、我々行政官だって、どんな裁量で、どんな恣意的な意図的な解釈だってできるということになるんですよ。  そういう法治国家を崩壊させる行為だということをしっかり御認識いただいて、その上で、実は臨床研究に関してですけど、もう一つ、今朝ですけど、新聞で新しい事案指摘されているところでございます。  配付資料の一ページでございますけれども、ちょっとまだ事案は分かりませんので会社名は控えますけれども、この会社が、既に厚労省とやっていた研究事業において不正を起こしていて、その不正はもう明らかになっていますので申し上げますけれども、J―ADNIファーストと読むんでしょうか、そういう研究プロジェクトにおいて既にデータに関する扱いについて不正があったと。  にもかかわらず、そこは、厚労省から、またこの研究事業の第二段階ですね、J―ADNIセカンドというんでしょうか、いや、ツーですね、という事業が続いているところに補助金の二億円を出したと。昨年の六月に補助金の申請書が出て、十月に補助金の二億円を支給したといいます。  昨年のまさにこの時期は、ノバルティス社のディオバン事件で厚労省が製薬企業をめぐる利益相反の問題について一生懸命頑張られていた時期ですね。そのまさに利益相反をめぐって頑張られていた時期に、厚労省の補助金を受け取る先の組合が、果たしてこの研究事業との関係で利益相反があるのかないのかどうか、利益相反委員会を設置と、その審査をしなきゃいけないことに厚労省のルールでなっているんですけれども、その利益相反があるかないかの審査の結果を受け取りもせず、確認もせずに補助金を出してしまったということなんですけれども、この事案についての事実関係と利益相反の有無、利益相反がないというふうに考えられているんであれば、その根拠について、厚労省、お願いいたします。
  37. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) お答えを申し上げます。  御指摘のいわゆるJ―ADNI研究でございますけれども、これは医薬品の治験とは異なりまして、認知機能に軽度の障害のある方、その前段階の方や健康な高齢者に対して二年から三年間にわたってMRIや生化学検査などを行いまして、その所見の変化を追跡し、アルツハイマー病の病態を忠実に反映する指標の基準値を作成すると、こういった目的の研究でございます。  御指摘ございましたJ―ADNI2は、平成二十五年度に補助金を交付をしております。厚生労働科学研究費補助金でございますけれども、研究費の交付申請書提出時までに、原則として、実施施設又は外部機関の利益相反委員会、COI委員会と呼んでおりますけれども、これに対しまして当該研究の利益相反の審査について申し出なければならないというルールになっております。その一方、利益相反委員会の審査については、できるだけ早期に結論を出していただく必要があるわけでございますけれども、必ずしも交付申請時までに審査が完了している必要はないとされております。  本件は、交付申請時におきまして、本来ならば利益相反委員会への申出だけは済んでいるべきところを、利益相反委員会の申出状況については今後実施する予定ということで申請を行ったにもかかわらず、その後、年度末に近い時期まで利益相反の審査が完了していなかったということでございますので、大変遺憾であると考えております。  また、当省におきましても、補助対象者に対し、利益相反の審査が速やかに完了するようもっと早い時期に指導を行うべきであったと考えております。今後このようなことがないように徹底をしてまいりたいと思います。  なお、議員の方からバイオ組合の話がございましたけれども、このCOI委員会は主に研究者個人の利益相反の管理を目的としたものでございますけれども、本研究の実施主体であるバイオ組合の適格性につきましては、これらの補助金採択時におきまして、専門家などから構成されます事前評価委員会というのがございますけれども、ここにおいて適切に審査されており、利益相反上問題があるとの指摘はなされておりません。
  38. 小西洋之

    ○小西洋之君 済みません、ちょっと今明らかでなかったんですけれども、結局、その利益相反ですね、この記事で指摘されているような利益相反はないということを厚労省は確認された、組合については今、最後に答えて分かったんですけれども、研究者を含め、ないというふうに確認されているんですか。ないのであれば、それはどういうプロセスでどういう理由でそういう認識に至っているんでしょうか。
  39. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 実際に完了したという報告が三月にございまして、このときには組合の方から口頭で報告がございました。その後、この実施主体であるバイオ組合の方からは、事業終了後に、厚生労働省に対する事業実績報告書というものが出されておりまして、この文書の中で、COI委員会への申出の有無、本研究に関連する経済的利益関係の有無、COIの管理状況を確認いたしまして、報道もございましたので、現在、更にその詳細を事務的に確認中ということでございます。
  40. 小西洋之

    ○小西洋之君 端的に、利益相反の有無についてまだ厚労省としては確認に至っていないと、そういうことでよろしいですか。
  41. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) 私どもとしては、議事録等も一応見させていただいて、実績報告書につきましても、先ほども言いましたように、問題はないということで報告されておりますので、この問題については問題ないと思っておりますけれども、ただ、報道もございましたので、更に詳細についてはちょっと確認させていただきたいと思っております。
  42. 小西洋之

    ○小西洋之君 元々ルール上その業務報告書で利益相反を確認するんだったら、それは多分防ぎようがないんだと思うんですけど。業務報告書で事前にまず確認しなきゃいけないのに、事前に厚労省は確認できてはいなかったわけですよね。かつ、報道等もあり、なお今もう一度精査を重ねると、そういうことですよね。
  43. 原勝則

    政府参考人(原勝則君) これはどこまで個々に中身まで確認をするかという問題かもしれませんけれども、一般的にはそういう形で実施主体者が実績報告書等で文書で報告をすると。もちろんそれを、うその報告をされたら、これはもう問題がございますけれども、実際に外部の委員会、有識者から成る外部審査委員会が設立されて、そこで審議も二回ほど行われておりますので、そのことは確認しておりますので、私どもとしてはそれを一応信頼をして、問題は現段階ではないと考えているということでございます。
  44. 小西洋之

    ○小西洋之君 ちょっとこの事案ばかりやるわけにいかないんですが、要するに、二億円のお金を、組合経由であれ、個々の研究者に、研究に使われるわけでございますから、それを支給する段階で厚労省としてちゃんとした文書の提出等々を受けていないのにお金を渡したのは事実なわけですよね。ですよね、うなずかれていますから。そういうことも含め不適切ではなかったのかということを追及しているんですけれども。持ち時間が二十分しかありませんので、ちょっと重要な件が聞けなくなりますので、じゃ、またの機会に譲らせていただきます。  では、ノバルティス社のディオバン事案について伺わせていただきますけれども、会計検査院にお越しいただいておりますけれども、この事案によれば、薬事法違反の誇大広告によって当該医薬品の売上げが伸びたと。それが医師の薬の処方のガイドライン、学会のガイドラインなどにも載って売上げが伸びたということなんですけれども、これ、事案の全体像を考えたときに、これは国費に関する問題として会計検査院の検査対象にはならないんでしょうか。
  45. 山本泉

    説明員(山本泉君) 会計検査院では、従来から、合規性等の観点から医療費の請求が適正に行われているか、こういった観点につきまして検査を実施しておりまして、その結果、医療費に係る国の負担が不当と認められるなどの事態、これを毎年度の検査報告に掲記をしているところでございます。  誇大広告により薬品の販売が促進をされまして、国が財政援助を行っている医療保険の財政にどのような影響を及ぼすかという点につきましては、厚生労働省から検討の状況を聴取するなど、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  46. 小西洋之

    ○小西洋之君 会計検査院の当然検査対象になるということで、適切な業務の執行をお願いしたいと思います。  厚労省も、医療保険財政について中医協において検討されるということですけれども、どういう観点で、どういうスケジュールで検討されるということでしょうか。
  47. 木倉敬之

    政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。  医療保険財政への影響でございますが、大臣の下に設置をされました高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会のまず中間報告、昨年十月に出ました、この中間報告の中でも、今回の事案に係る医療保険財政への影響の評価について、中医協において検討すべきであるという指摘を受けました。  そこで、昨年のこの中間報告の段階でも、これらの経緯を十月の中医協の総会に報告をし、その中で、中医協の中に薬価の専門部会がございますけれども、そちらの方で検討を進めていくということをされまして、薬価専門の部会の方にも報告をいたしました。その際に、委員の方々からは、ノバルティスファーマ社のディオバンだけでなく、類似の薬品、それらの薬価の推移などのデータを踏まえながら検討を進めていく必要があるという御指摘をいただいて、その準備も進めております。  ただ、この後から、ちょうどその十月の段階からは、中医協、週二回のようなペースで診療報酬、薬価改定の作業に入りまして、この春までは具体的なその後の検討はまだ行われておりません。この間のデータの整理等も踏まえまして、速やかにまた検討を進めたいと思いますが、この間もこの検討会の方の最終報告書、この四月にまとまっておりますが、その段階でも大学の方の研究のその後の報告がなされる、また千葉大の方でも追加の報告がなされるというふうなこともございました。  これらの事実関係も踏まえまして、このデータとともに中医協の場で御審議をいただき、どういう対応を取られる必要があるかということについてよく検討をいただきたいというふうに思っております。
  48. 小西洋之

    ○小西洋之君 時間がもう来てしまいましたけれども、この臨床研究をめぐる問題でございますけれども、様々なステークホルダーに関わる問題で非常に総合的な対策が必要だということで、法改正も念頭にあるのかどうか、検討もされているということですので、しっかり役所として講じていただきたいと思います。  最後田村大臣内閣国会に連帯して責任を負う、もう一つ意味がございまして、内閣の中でみんなが、各閣僚が……
  49. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
  50. 小西洋之

    ○小西洋之君 はい。一言だけ。  各閣僚が一致団結、連帯して行うという意味です。つまり、田村大臣には解釈改憲の閣議決定への署名は拒否をしていただきたい。私は、個人的には大臣を敬愛して、是非、自民党政治家の中では、私、継続していただきたいと思いますけれども、もし内閣改造というようなことがあられるのであれば、国民のために、政治家として、閣僚としての矜持を見せていただくことをお願いして、質疑を終えさせていただきます。
  51. 長沢広明

    ○長沢広明君 公明党の長沢広明です。  通告をした質問を大きく入れ替えまして、初めに大規模災害時の医療提供体制、こちらをちょっと先に質問させていただきたいというふうに思います。  厚生労働省は、医師、看護師含めた医療行政を扱っている。大規模な災害が起きたときに、その災害に対してどういった医療サービスを適切に素早く提供するか、これは厚生労働省として非常に重要な役割であると私は思います。  この際、災害時の厚生労働省が取り得る手として、これまで育成をされてきました災害医療派遣チーム、DMATというのがあります。これは全国の災害拠点病院にはDMATを置くようにという医政局長から通知が出ている。それに基づいて、各都道府県で災害拠点病院にDMATチームを育成しています。この研修は厚生労働省がやっている。その基本的な全国運用も厚生労働省に事務局がある。  そのチームというのは、医師、看護師二人、業務調整員一名という、大体四人というのが一チームの基本の形になっています。これまで各地で様々な取組があって、全国で恐らく千三百チームぐらいが育成をされて、各都道府県にそれぞれがいざというときのために常に待機をしているという状態です。  東日本大震災では、このDMATの様々な課題が逆に浮き彫りになりました。東日本大震災では、このDMATが全国から約三百八十チーム、延べ千八百人の人が三・一一発災直後から三月二十二日までの十二日間、現地に入って大変有意義な活動をされました。ただし、そこにはいろいろな課題が浮き彫りになりましたので、その中の、今日は一つ具体的な事例を挙げたいと思います。  岩手県の新花巻空港、いわて花巻空港にそのときの災害広域搬送拠点というのが決められるわけです。このとき岩手県ではこの岩手の新花巻空港が広域搬送拠点となったわけです。全国からというか、そのうちの一部ですけれども、この新花巻空港に延べ六十一チームのDMAT隊員が集結したんです。これは厚生労働省からきちんと指示を出して、防衛省と連絡を取って自衛隊機で現地に入っている。自衛隊機で六十一チームが入っているんです。  ところが、花巻空港に入った六十一チームのうち、派遣されたのは沿岸部に二十チーム。大半の数十チームは、この花巻空港に着いたはいいけれども、そこから先動く足がない。どこへ行ったらいいか指示がない。二日、三日、四日、五日と花巻空港にとどまったまま、結局何もできずに帰ったチームが四十チームあるんですよ。これは恐ろしいというか、そこに何が問題があったのか。これは事実ですので、この事実の背景、理由、これについてお答えいただきたいと思います。
  52. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 岩手県のいわて花巻空港に参集したDMATチームなんですけれども、御紹介のように、延べ二十チームが被害の大きい沿岸部に派遣をされております。じゃ、残りのチームは何をしていたかといいますと、この花巻空港は災害拠点としてステージング・ケア・ユニット、すなわち、被災地から患者を搬送をして、そこで一旦、何といいますか、一定の処置をした後、それから病院に運ぶ、そういうためのステージング・ケア・ユニットの拠点でもあったわけでありまして、そこにおいてこのDMATチームにも活躍をいただいたものと考えております。  ただ、御指摘のように、沿岸部への派遣が滞ったために被災地域での十分な活動が行えなかったというのは御指摘のとおりだと認識しております。これはやはり、空路で集まったDMATチーム、被災地内での移動手段の確保がなかなか困難であったということ、それから被災地全体でのニーズの把握のための通信手段が確保できなかったということが今回の反省事項としてあるのではないかというふうに考えております。
  53. 長沢広明

    ○長沢広明君 確かに広域搬送の拠点になって、東日本大震災のときに、これは自衛隊機を使って北海道に運んだりとか東京の羽田に運んだりとかということをされて、一回この花巻空港に被災者が来て、そこで一次応急の処置をして出ていったというのはあります。しかし、四十チームは要らない。要らないですよ、全然。  じゃ何で、それだけの人数のチームを集めておきながら、そこから先に送るだけのロジが全くなかった。これは大変な欠陥です。チームがあっても活用できなければ意味がないし、せっかく研修を受けてDMATに自ら志願して来た人たちもやりがいを失うことになります。ここをしっかりと改善する必要がある。  この問題は、例えば、DMATは阪神・淡路大震災を教訓に結成されました。したがって、DMATの研修の内容がいわゆる一次的な外傷に対する、いわゆる建物の下敷きになったとか、こういう外傷に対する処置ということについて、それを対応した研修を受けていた。しかし、東日本大震災は津波被害であったがためにその研修が全く生きなかった。私たちができることが逆になかったというのが隊員たちの実は実感だったわけです。  そして、病院が被災したがために、いわゆる広域災害の救急医療情報システムというのは、どこの病院がどういう被災をしていて、どれだけの患者がいてという情報システムを受けてDMATが動くんですが、病院を支援するために動くんですが、しかし、このときにインターネット回線が全く使えなかった。だから情報が全く届かなかった。DMAT隊員を派遣しておきながら、その人たちが何ら情報もない、そして指示もない、そして動けない、何もできないままむなしく帰っていったというのが東日本大震災で花巻で起きた本当の事実なわけです。これをしっかりと検証して、DMATの今後の在り方、これはやらなきゃいけないことがある。  災害医療のあり方に関する検討会報告書が二十三年の十月にまとめられました。その中でも、東日本大震災では四十七都道府県から岩手県、宮城県、福島県、茨城県へ約三百八十チーム出動したと。かつてないほど多くのDMATが広範囲な地域で活動を行ったと。このため、DMATを統括するDMAT事務局やDMATの都道府県調整本部等の事務作業が膨大となり、DMAT派遣等の調整困難が生じたと。大規模災害のときに調整困難で実は動けませんでしたというのでは、災害に対する医療の準備ができていないということなんですよ。  私は、これを契機に厚生労働省には災害時の医療についてもっと本気になってもらいたい。厚生労働省以外に災害時の医療提供体制をきちんと責任を持ってできるところはないんです。これ、しっかりと体制を取ってもらいたいというふうに思います。  こういう課題、DMATの派遣について適正規模で要請をするとか、現地入りしてから、より効率的な医療活動をするとか、そういう指揮調整機能を強化していくということが非常に重要な課題として浮き彫りになりましたが、このことについてはどういう課題があったと認識していて、厚労省としてどのような取組を行ったのか、また行うつもりなのか、伺いたいと思います。
  54. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 御指摘のとおりだと思っております。  今回、DMATの事務局機能というのが、実は災害医療センター、全国で一つしかなかったと。そこで全体の調整を行っていたわけでありますけれども、今回の、東日本だけじゃなくて、今後起こり得るものを考えて、西日本にも事務局機能を持たせようということで一つ広げたということ。  それからもう一つは、現地における調整機能、これが必要になるだろうということで、都道府県、例えば花巻空港なら花巻空港でいいんですけれども、そこへ行ったところが都道府県の災害対策本部と連携を取りながらやれる現地でのロジスティック、この機能を持っていただくような形を考えていきたいということで、そのための研修制度を今年度から始めていきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、実際に起こったときにあらかじめ何チームが必要かということの推測はなかなか当初は分かりにくいものですから、ある程度はやはり若干多めの形で行くことになろうかと思いますけれども、それをうまく活用できるように、できるだけ現地の中でいろいろな状況を把握しながら、それぞれの近くの中から派遣ができるような形、そういうものを取っていきたいというふうに考えております。
  55. 長沢広明

    ○長沢広明君 DMATは、基本的には病院機能を支援するというのが柱の一つになっているんですね。ただ、災害によっては、本当にその災害の現場に入っていくことも必要になってくる。そうすると、いろんな動きが要求されるわけで、この四人一チーム、医師一人、看護師二人、業務調整員一人と。この業務調整員という人は、医師や看護師は実際医療にもう真剣に携わるわけです。その人たちの例えば衣食の問題とか、それから情報をきちっと受け取って集約して渡す、また整理をする、また医薬品の調達について手を打つ、様々な業務が必要なんですが、この業務調整員という人は病院の中で確保されますので、大体誰がやっているかというと、病院の事務職員だったり放射線技師だったり検査技師だったりするんですよ。じゃ、この業務調整員という大量な、しかも非常に大事な仕事ができるのかということが非常にここで重要になってくるわけです。  そうしたロジスティックをチームレベルで対応することにはもうやはり限界が一つはあった。やはり司令塔をきちんと持って、その司令塔の下でどれだけ細かく対応できるかということを更に煮詰める必要があるというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。南海トラフ地震とか首都直下型とか巨大地震とか、そういうことを含めたあらゆるシミュレーションが必要だと思います。  大臣、お伺いしたいんですが、このDMATの活動をしっかり支えるような後方支援、ロジスティックについて、被災都道府県におけるDMATの本部に、その指揮下のDMATに対するロジスティックを強化する仕組みとか、あるいは現地の災害対策本部との連携、あるいは内閣府の中央防災センターとの連携、こういうことも含めると、内閣府、防衛省、国交省、こうしたところとも横断的に連携する仕組みがどうしても必要、その仕組みの中に厚生労働省がしっかりと入って適切な医療支援を行うという仕組みをきちんと確立する必要があると私は思いますが、御見解いかがでございましょうか。
  56. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 東日本大震災、DMAT、活躍をいただいたわけでありますが、一方で、今委員がおっしゃられたような課題もたくさんあったわけであります。  ロジスティック、後方支援という意味でこれを強化しないと、今言われたように、実際問題、派遣をしても十分に機能いただけないと。もうこれは本当に悲惨な話であるわけでありまして、そこで、反省も踏まえて、二十四年度でありますけれども、この活動要領、これを見直す中において、ロジスティックチームというものを、被災が起こった場合、各都道府県、被災都道府県の中に、DMAT調整本部というものに派遣をさせていただいて、ロジスティック、これしっかりと対応できるようにしていかなきゃならぬということで、これを改正をさせていただきました。  しっかりと今言われたような部分に対して力を入れていくと同時に、あわせて、派遣となればその搬送、今も自衛隊機という話がございました。DMATの搬送、これ自衛隊機、必要なときには使わなきゃなりません。あわせて、道路交通情報、これ共有化をしないといけないわけでありますから国土交通省との連携も必要でありますし、また広域医療搬送ということになれば各省といろんな関わりがあるわけでございます。今委員がおっしゃられたことも含めて、内閣府等ともしっかり連携しながら対応できる、そういう準備を進めてまいりたい、このように考えております。
  57. 長沢広明

    ○長沢広明君 臨床研究の信頼性の問題もちょっと質問を用意しておりましたが、残念ながら時間がなくなりました。  今の災害医療のことでちょっと付け加えて、大臣にちょっと認識していただきたいことがほかにも幾つかあります。  DMATを各地に編成して、結局、でも、DMATの運用は都道府県単位で運用するというのが日常なんです。だから、いわゆる厚生労働省のこの事務局というのは、そういう意味では本当にごく僅かの事務局体制なんです。災害時にどれだけの調整機能を発揮するかということを厚生労働省としてもしっかり研究をしていただきたいというふうに思います。それから、災害時の医薬品の提供体制というのもしっかり組み立てておいておきたいと思います。  例えば、首都直下地震、今最悪として想定されている東京二十三区直下地震が起きた場合、最大の、災害としての一番大きな問題は火災です。ということは、やけどの人がたくさん出るということです。じゃ、やけどの人が何万人と出たときにどういうことが必要か、これもシミュレーションしておく必要がある。あえて聞きませんけど、やけどの人の第一次の応急処置は、そこに皮膚を貼らなきゃいけないんですよ。じゃ、皮膚ありますか。多分備蓄はほとんどないと思う。私は調べましたけど、多分、二、三十人分ぐらいしかないんですよ。何千人というやけどの人が出た、その人たちに対する応急処置に一体何が必要になるか、これをあらかじめ用意しておかなければ、いざというときに対応できない。  厚生労働省の災害時の備え、これはもうこれからしっかりと取り組んでおいていただきたいということを強くお願いをして、質問を終わります。  以上です。
  58. 東徹

    ○東徹君 日本維新の会・結いの党の東徹でございます。  時間も少ないので、早速質問の方に入らせていただきます。  今日もほかの委員先生から、先ほど武田薬品のこととか、そしてまたアルツハイマー病の研究のこととか出ておりましたけれども、今月の二十四日、東大病院、東京大学の方から、慢性骨髄性白血病治療薬の医師主導の臨床研究に関する調査結果の概要というのが出ております。六件の臨床研究に製薬会社社員による労務提供などの不適切な関与があったというふうに発表され、臨床研究に対する信頼がますます揺らいでいっているというふうに本当に思っております。  六月十七日の厚生労働委員会で、安倍総理の方から、臨床研究において不正事案が続けて判明していることは大変遺憾であると、こうした状況を踏まえて、我が国の臨床研究に対する信頼を回復するため、今後の臨床研究制度在り方について、本年秋をめどに新たな立法措置を含めた検討を進めているというふうに答弁がありました。  今年の秋に示される新たな立法措置の内容と、この措置によって生ずる効果について、どのような効果があるのか、まずはお伺いさせていただきたいと思います。
  59. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 臨床研究の信頼性を揺るがすような案件が重なっておるわけでありまして、大変遺憾に思っておりますし、しっかりとした対応をしていかなきゃならぬというふうにも考えております。  ディオバンの件が報道をされる中において、臨床研究に関する倫理指針というもの、これをしっかり見直していかなきゃならぬと、これはずっとやってきたわけでありますけれども、それと同時に、臨床研究在り方に関する検討会、これを昨年立ち上げました。  指針の方は今見直しを進めておる最中でございまして、この中においては、倫理審査委員会の機能強化でありますとか透明性でありますとか、また研究責任者の責務でありますとか、また教育等々に関して、さらにはデータの改ざん防止体制でありますとか、いろんなことをこの中において議論をいただいて、今取りまとめに向かって進めておる最中であります。在り方検討会の方で、今委員がおっしゃられた部分に関しましては、法的な整備も含めてこれは考えている、今議論を始めておるわけであります。  元々はディオバンに関する問題のときのいろんな検討会の中でいただいたもの、こういうものも含めて議論をしておる最中でありまして、臨床研究の質の確保でありますとか被験者の保護、これも重要なことであります。どうも被験者保護の意識が低い、そういう案件が見られておるわけでありまして、これも大変重要な部分でありますし、あわせて、資金提供、労務提供、これの透明性というものをどう担保するかということ、さらには、実施機関の利益相反管理、これをしっかりやらなきゃならぬということも含めて今議論を始めておる最中でございます。法制化をする、そのときに法制化の内容はどうするか、また法制化自身が必要なのかどうかと、これも含めて予断を持たずに議論をしております。  その中において、秋を目途にしっかりとしたものをお出しをいただいて、いずれにいたしましても、日本の臨床研究が信頼をしていただけるような、そんな対応をしてまいりたい、このように考えております。
  60. 東徹

    ○東徹君 これだけ日本の臨床研究が世界から信頼を損なっているというふうな現状ですので、厳しい罰則の措置を設けたような立法措置を是非ともお願いしたいというふうに思います。  続きまして、以前から厚生労働省の不正入札ということで、JEEDの件、いろいろと質問させていただきましたけれども、短期集中特別訓練事業の入札に関して、その中のキャリア形成相談業務について今日はちょっと質問をさせていただきたいと思います。  お配りさせていただいておる資料があるかと思うんですが、この短期集中特別訓練事業には、訓練関連業務とそれからキャリア形成相談関連業務と二つあって、訓練関連業務のところについては、応札がないところ、そして応札があったところというふうなところで、北海道・東北ブロックとそれから中国・四国ブロックについては応札がなかったということなんですね。キャリア形成相談関連業務については、やり直し入札でも決まらなかったけれども、委託先が財団法人日本生産性本部に決まったということであります。  この事業は、そもそも中央職業能力開発協会が行う事業であったはずでありますし、これだけ問題になった中で、今回の随意契約の相手先について、この中央職業能力開発協会ではなくて厚生労働省が決定しているわけですけれども、そこで、今回の委託先の決定に当たっては、協会は事業の実施主体としての当事者意識を持つべきはずであります。にもかかわらず、協会から委託先の決定を自ら行うという話はなかったのかどうか、まず確認させていただきたいですし、また、なぜ協会ではなくて厚生労働省が委託先の決定を行ったのか、その理由についてお伺いいたします。
  61. 杉浦信平

    政府参考人(杉浦信平君) 短期集中特別訓練事業でございますけれども、これは中央職業能力開発協会に造成をしておる基金により行う協会の事業ではございますけれども、制度設計の当初の段階から厚生労働省がその企画を担ってきたという経緯もございます。そういったことで、当初から入札その他の手続については厚生労働省の方でやるということで進めてきておったわけでございますので、それはその方針に従って厚生労働省が選定をし、適当と認めるところに中央能力開発協会から委託をするという手続を引き続きやるということにしたわけでございます。
  62. 東徹

    ○東徹君 いや、もう全く不可解なことがずっとこれ続いておるわけですけれども、余り時間がありませんのでこれ以上聞きませんが、今回の入札が不調に終わったために随意契約の形で委託先が決まったわけでありますけれども、入札が不調に終わってしまった理由を適切に把握し今後に生かしていかなければ、また同様の入札不調に伴う随意契約が増えてしまうというふうに思います。  なぜ入札によって委託先が決まらなかったのに随意契約では決めることができたのか、まずその点、お伺いしたいと思います。
  63. 杉浦信平

    政府参考人(杉浦信平君) 御指摘のとおり、キャリア形成相談関連業務につきましては、再度の入札でも応募がなかったわけで、特命随意契約で委託先を探すということにいたしたわけでございます。一般競争入札の場合には、競争に付しても入札者がいないときは随意契約によるということができることとされておりまして、今回は企画競争でございますけれども、この一般競争入札の不落随意契約の例に倣いまして、公示と同じ条件で相手方を特定して随意契約をするというやり方を取ったものでございます。
  64. 東徹

    ○東徹君 その決め方が本当に分からないわけでして、この日本生産性本部というのが今回のキャリア形成相談関連業務に本当にふさわしいのかどうかも、これもよく分からないなと、この財団法人日本生産性本部の業務内容を見ていても非常に何か分かりにくいなというふうに思いました。本当に不可解な随意契約を決めていっているなというのが率直な感想であります。  六月十六日の衆議院決算行政監視委員会で、田村厚生労働大臣の方が、今回の入札、予算の百五十億円のうちの約半分の七十億円を国庫に返納するというふうに答弁をされております。百五十億円の約半分、七十億円ですから、そもそもこの予算額の算出根拠自体が不明確なんですけれども、この七十億円というのはどのように算出されたのか。  というのは、これ、結局、入札、応札がなかったのは、この六ブロックのうちのたった二つのブロックだけなんです。あと四つのブロックでは入札があったわけでして、にもかかわらず半額を返納するというのが、これはよく分からないんですが。
  65. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) おっしゃられますとおり、北海道・東北ブロックと中国・四国ブロック、二つは応札がなくてこの事業はもう撤回をさせていただくという部分と、もう一つは、度重なる入札で応札がなかったわけでありまして、やっとここで事業が四ブロック進むということで、その遅れた部分、本来はもうスタートしておるんでありますが、遅れた部分がありまして、それによって執行できない部分がございます。そういう部分を含めまして約七十億と言っておりますが、これ見込みでございますので、これは精査して確定額が出たときに返還をさせていただくということになろうというふうに考えております。
  66. 東徹

    ○東徹君 国庫に返納するわけですから、非常にアバウトな何か算出をやっているんじゃないのかなというふうに思います。  次の質問に移らせていただきますけれども、医療費の適正化についてでありますが、医療費の適正化策の一つに、政府財政制度審議会でもこれは言われているところなんですが、例えば外来受診時に一回当たり百円程度の少額の負担を求める受診時定額負担の導入というのがあります。都道府県などが実施する重い障害者を対象とする医療費助成制度では、自治体によっていろいろと異なっておりますけれども、制度持続性を確保するために百円程度の定額負担を患者に求めている自治体もあります。市町村民税非課税世帯には負担を求めないなど、一定の低所得者への配慮というのは非常に大事でありますし、必要だというふうに思いますが、少額の受診時定額負担を導入してはどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  67. 土屋品子

    ○副大臣(土屋品子君) 御指摘の受診時定額負担の導入については、平成二十三年当時、社会保障と税の一体改革の議論の中で検討されたわけですが、当時の与党議員や医療関係者からは受診抑制により病状が悪化するおそれがある等の御意見があったため、その導入が見送られたという経緯があるものと承知しております。  なお、昨年十二月に成立したプログラム法においては、医療提供施設相互間の機能の分担を推進する観点からの外来に関する給付の見直しについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされています。  いずれにしましても、御提案については様々な方面の御意見も伺いながら検討する必要があるものと考えております。
  68. 東徹

    ○東徹君 先ほども言いましたように、一定の低所得者への配慮は必要だというふうに思いますが、これは今でも自治体によって実際にはやっているところもありまして、一定の定額の負担を求めていくということも必要ではないのかなというふうに思います。  次に、会計検査院から指摘されております健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収不足についてでありますけれども、平成二十四年度の決算報告書によりますと、不当事項として、健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収不足ということで、平成二十四年度の検査結果では双方合わせて十二億円の徴収不足額があるというふうに指摘をされております。  徴収不足が生じる理由として、厚生労働省において日本年金機構に対する監督が十分でないというふうに会計検査院の方から指摘されております。この報告書内閣に送付されたのが平成二十五年十一月であり、現在までに半年以上経過しておりますけれども、厚生労働省としては日本年金機構に対する監督をどのように強化して徴収不足の解消に取り組むのか、そして、今後、会計検査院からこのような指摘がされないためにどのようにして保険料の徴収不足解消を図っていくのか、お聞きしたいと思います。
  69. 佐藤茂樹

    ○副大臣佐藤茂樹君) 今、東委員指摘のとおり、健康保険及び厚生年金の保険料徴収不足について、平成二十四年度決算検査報告におきまして、会計検査院から今委員が述べていただいたような御指摘を受けたところでございまして、厚生労働省としても誠に遺憾なことと認識をしているところでございます。  そのような徴収不足を減らすために、まずはやっぱり事業主に各種届出を適正に提出する責任があることをしっかりと御理解いただくと、このことが大事であると考えておりますし、また、こうした責任を果たしていない事業主に対する調査や指導を的確に行っていくということが何よりも大事だと考えております。  そのために、日本年金機構におきましては、まず一つは、毎月送付する納入告知書におきまして、その中にチラシなどをしっかりと同封する、あるいは、機構ホームページにおいて各種届出の時期や届出漏れ等の注意喚起のための周知、広報を更にしっかりとやっていこうということをやっております。  もう一つは、これは平成二十四年度からの新たな取組として、全ての事業所を四年に一回しっかりと調査を行うと、そういうことをしておりまして、その際、特に人の頻繁に入れ替わるような、届出漏れが多い傾向にある、例えば短時間就労者が多いところとか外国人就労者が多いような、そういう事業所等に対して重点的な指導を行っているところであります。  私も、東委員の地元の住之江区を管轄している玉出の年金事務所、あるいは東京の中野の……
  70. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
  71. 佐藤茂樹

    ○副大臣佐藤茂樹君) 年金事務所に行かせていただきましたけれども、そういうところにしっかりと今現場では力を入れておりまして、計画的にそういうものを推進しているところでありまして、それに対して厚生労働省としては、まず、日本年金機構が作成する年度計画の内容をしっかりとチェックするということ、さらには、その進捗状況を把握するとともに、随時この実施状況について指導等を行うとともに、社会保障審議会の年金事業管理部会においてこの日本年金機構から上がってきた報告をしっかりと、実績評価をしっかり年に一回やっていこうということをやっておりまして、今後とも、そういう保険料徴収不足を極力縮減できるように、厚生労働省としてもしっかりと監督をしてまいりたいと考えております。
  72. 東徹

    ○東徹君 時間が過ぎましたので、年金制度の財政検証については次回に質問させていただきたいと思います。  以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  73. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。  まず、大変申し訳ございません、通告はいたしておりませんけれども、大臣に一問だけお願いがございます。  私どもの政党としては絶対にこれは取り上げなければならない問題です。六月十八日、東京都議会において何が起こったのかというものは、もう皆様方も御承知のとおりかと思います。その発言というものが、国内の報道にとどまらず海外のメディアの方が注目をしていると、この現状でございます。  それがなぜかというのを資料一に付けさせていただきました。これは、世界経済フォーラムがジェンダーギャップ指数というものを出している、二〇一三年のものでございます。百三十五か国中、日本は何位に位置するのか。色の見分け方を見ても分かるように、今回、百三十五位でした。じゃ、その前年度はどうだったのか。百一位です。やはり私ども、女性の地位向上と叫びながらもなかなか向上できず、少子化対策と言いながらも少子化対策の成果さえもなかなか得られないというのは、やっぱりこういうことが根底にあるのではないのかなと考えております。  女性に対する人権意識、男女に共有する未婚、不妊等の悩みについて、日本社会における正しい理解とそれから配慮というものが不足しているんだということを再認識して、国を挙げて改善に取り組むべきだと思いますけれども、大臣の見解をお答えいただけますでしょうか。
  74. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) いただいている資料がカラーじゃないものですから、ちょっと色がよく分からないんですが、ただ、今言われたとおり、かなり日本は低いという意味からしますと、ジェンダーギャップをどう埋めていくか、なくしていくかと、これは大変重要な課題だというふうに考えております。  いずれにいたしましても、東京都議会のいろんな問題もあったわけであります。政党がどうだとかいう問題ではなくて、本来そのようなことを言うこと自体がおかしい発言があったということは我々もこれは肝に銘じて、そのような発言が、これは議会だけではなくて、本当に日本の社会、津々浦々で、ないような、そんな環境をつくっていかなきゃならぬわけでありまして、もし意識というものに何らかの問題があるのであれば、それは変えていかなければならぬというふうに思っておりますが。  ただ、私は、決して日本人が皆あのような考えを持っておるとは思っておりません。ちゃんとした考えの方々もたくさんおられる。ただ、今回そういうふうな形で世界に発信されてしまったということは大変残念なことであり、議会人といたしまして、自分自身にもしっかり胸に手を当てながら、これからジェンダーギャップというものをしっかり解消するために努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  75. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 誠にありがとうございました。  では、東議員に続きまして、私も臨床研究の事例に対する根本的な問題というものを質問させていただきたいと思います。  現在、ノバルティスの事件であったり、若しくはJ―ADNI、STAP細胞、そういう事件が注目されております。こういうことが注目される以前でも様々、厚生労働省管轄でも問題になっているかと思います。研究倫理等で問題になった事件について教えていただけますでしょうか。
  76. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) ちょっと時点がなかなか、どこまで遡るかというのがあれなんですが、昨年に厚生労働省文部科学省で共同で大学病院等を中心に調べたことがございます。  その時点では、平成二十一年四月以降に実施したもので、例えば倫理上の問題等について問題がなかったかということで調べました。その中で、臨床研究の本数としては約二万四千件という、これは延べといいますか、それぞれの、共同してやっている場合はそれぞれ累積されますけれども、があったうち、不適切な事案は百三十七件というふうに報告されております。その中でデータの信頼性が損なわれた臨床研究というのが一件ございまして、やはり研究データの捏造が明らかなものというのがございます、一つ。これは東邦大学のものでございます。そのほか、あと倫理審査委員会にかけずにやってしまったとか、あるいはインフォームド・コンセントが不十分であったと、そのようなところが百二十四件等がございます。そのほか利益相反管理の問題が十二件という、合計百三十七件がその意味では不適正な事案があったということでございます。
  77. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  このように、毎年毎年のように倫理的な問題が引っかかってくる臨床研究が行われている。しかし、今まで何も手を打っていないわけではないと私は考えておりますし、そう願っております。  これまで、研究倫理のルール若しくは被験者の保護、研究の公正、不正等に関する厚生労働省がどのような施策を行っていらっしゃったのか、教えていただけますでしょうか。
  78. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) まずは、研究倫理や被験者保護の観点からは、臨床研究に関する倫理指針を始めとしまして、疫学研究に関する倫理指針、あるいはヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針など、各種の指針を定めるなどの対応を講じてきたところでございます。  また、研究のデータの不正といいますか、それにつきましては、公的研究費が配分された研究活動の不正について、平成十八年二月に総合科学技術会議が研究上の不正に関する適切な対応についてという文書を出しております。この取決めを踏まえまして、厚生労働省としては、平成十九年四月十九日に、不正に関する調査などについて、研究活動の不正行為への対応に関する指針を定めて不正行為に対応してきたところでございます。
  79. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  先ほどいろいろな事件の内容が足立先生、小西先生からも質問されたわけですけれども、どの問題にも共通点があるのではないかと私は考えております。三点に絞られるということであれば、研究倫理への配慮のなさ、被験者保護への配慮のなさ、そして研究が公正でなければならないということの配慮のなさだと思うんですね。  平成十六年十一月に出されました、厚生科学審議会科学技術部門の長期的な厚生労働科学研究の在り方に関する専門委員会の中間報告でも研究倫理については全く触れられておりません。  これまで官民が、研究者が研究倫理原則に基づいて公正に研究をすることの大切さ、そして、それを研究者が守れていないことへの危機感というのが共有されていないんではないかと思いますが、局長、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
  80. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 様々な機会を通じてこの研究倫理指針については広報してきた、広報といいますか、関係者には周知を図ってきたと考えておるところでございます。  ただ、御指摘のように、現実的に研究に携わる個々の人たちが必ずしも認識していないというのは今回のいろいろな事案からも感じているところでございまして、研究に携わる方々がこういう倫理指針があることすら知らないということもありますので、そういう意味では、研究に携わる人たちへの倫理教育、あるいは研究そのものの意味についての教育、こういうことが今後とても重要になるだろうというふうに考えているところでございます。
  81. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  結局、法律ではなくて、厳密に法の根拠を持たない指針によって調整をしてきたということは先ほど局長もお答えいただけたと思います。法の根拠を持たない事前の内部審査、いわゆるIRBによってそれを監視してきた、行政手続法と補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律によって、補助金の返還を命ずることができる、事実上それによって行政ガイドラインが守られるようにコントロールしてきたんだということもお答えいただいたかと思います。  行政に権限を残し、規制を守れば適切な補助を出すというこの仕組みのままで今のような事件が予防できる、今後起こらないということをどのようにお考えになられますか。
  82. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 御指摘の専門家たちの自主的なしっかりとした取組を期待をしてきたわけでありますけれども、ただ、それだけで本当にいいのかと。  そういう意味もありまして、今回、臨床研究制度在り方について検討会を設けて、法制度も含めて検討しているところでございます。  ただ、諸外国においても、その規制の幅でありますとか、どういうものに規制を掛けるのか、あるいは規制の内容とか、そういうものは様々でございますので、それらについて今現在検討会の中でいろいろな方々からの意見を聞きながら検討を進めていると。そういう意味で、その結論を待って、法制度が必要であれば秋以降に法制度をつくっていくという形で取り組んでいきたいというふうに考えております。
  83. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  法制化するのかどうかというのが秋以降だというお答えでございましたけれども、大臣お尋ねしたいと思います。  臨床研究の倫理指針というものは平成十五年に定められました。平成二十年に見直しがなされました。その際には法制化すべきという意見はなかったんでしょうか。なぜ法制化にならなかったのか、その理由をお答えいただけますでしょうか。
  84. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) おっしゃられますとおり、臨床研究に関する倫理指針、これは平成十五年に制定されたわけでありますが、十六年と二十年に改正をされております。  二十年の厚生科学審議会の中においていろんな議論がなされまして、委員がおっしゃられたように、法制化をすべきであるという御意見もございました。一方で、欧州のように、法制化したことによって臨床研究の現場自体がやはり萎縮をしてしまうというようなことも起こっておるわけであるというような御意見もあったわけでございまして、この二十年の議論の中においては両方とも議論はあったわけでありますけれども、指針というような形、法制化をせずに指針というような形の中において、やはり高い倫理観が必要な医療、医学の研究といいますか、そういうものに関しましては自発的に最善の対応を関係者にしていただくというような形になったわけであります。
  85. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  今大臣おっしゃいました、現場が萎縮するのではないか。しかし、法制化することによって起こってくることは、萎縮ではなく研究倫理を徹底をしていく、それから被験者保護がなされていく、研究が公正に行われていくと、これを法的に縛っていくだけの話ですよね。  現実、様々な問題が起こっていることは明白であります。臨床研究の倫理指針が法制化されていないということが一因にあるとお考えになったことはないんでしょうか。
  86. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 不適切な事案が見られるということ、これは様々な理由があると思います。  倫理指針自体を法制化しなかったということもあろうとは思いますが、一方で、この倫理指針の中においては、例えば利益相反の問題でありますとか、さらには資料の保管ですね、データの保管、これの期間でありますとか、こういうものに関しては明確に書かれていないわけでありまして、仮に倫理指針を法制化しても、それで今回のことが全て防げたかというと、そこは分からないという部分もあろうと思います。  ただ一方で、おっしゃられましたとおり、やはり臨床研究の質の確保でありますとか、先ほど言われた被験者の保護でありますとか、そもそも資金や労務の提供、これの透明性でありますとか利益相反、これをどう管理するんだと、こういう部分に関してやはりしっかりしたものを考えていかなければならないということで、今、法制化等も含めて議論検討会で始めておる最中でございまして、先ほども申し上げましたけれども、秋を目途に一定の方向性を出していただいて、それにのっとって我々としては対応してまいりたいと、このように考えております。
  87. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  研究の公正についてお尋ねしたいと思います。  日本学術会議・学術と社会常置委員会平成十七年七月二十一日の報告、科学におけるミスコンダクトの現状と対策というもの、さらに、文科省が研究活動の不正行為に関する特別委員会平成十八年八月八日に発表した研究活動の不正行為への対応のガイドラインについてというものが私、見付けることができました。  では、厚生労働省は研究の公正、不正に関するガイドラインというのをお持ちでしょうか。お答えください。
  88. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 研究活動の不正につきましては、平成十八年二月に総合科学技術会議が研究上の不正に関する適切な対応についてという取組を決定いたしまして、研究費の提供を行う府省に対しまして、不正が明らかとなった場合の研究費の取扱い明確化、配分先の研究機関での研究不正に関する規定の策定などの対応を行っていただくということになりました。  これを踏まえまして、厚生労働省におきましても、不正に関する調査などにつきまして、文部科学省と同様に、研究活動の不正行為への対応に関する指針を定め、研究費が配分された研究活動の不正行為に対応しているところでございます。  また、現在、疫学研究に関する倫理指針と臨床研究に関する倫理指針を統合する見直し作業を行っておるところでございまして、モニタリング、監査の規定を新設するなど、研究費の提供の有無にかかわらず、研究の質の向上に向けた更なる対応を行うということにしているところでございます。
  89. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では、一点ちょっと教えていただきたいんですけれども、三浦審議官厚生労働科学研究における利益相反というものも出されていらっしゃいますですね。これも、まさに公正、不正に関するガイドラインだと思います。これは課長通知です。その課長通知でもやはりこういう問題が起こってくる。どのくらいの拘束力があるものなんですか。
  90. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) これは研究を所管しているというような立場から、厚生科学課長の決定という形でお示ししているものでございまして、仮にこれに反するということになれば、研究費の配分などについて改めて見直しをするなど対応を取っていくべきことになるのではないかと思います。  元々、研究ということについては適切に行っていただくということが大前提でございますが、その大前提を、更に厳密に何を守らなければいけないのかということについて特に利益相反という観点から定めたものでございまして、そういう意味で、そういう具体の内容を明らかにすることによって適切な研究を行っていただくということを目指したものでございます。
  91. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  では審議官、もう一問ちょっとお尋ねしたいんですけれども、結局その不正が起こっている背景というものは変わらないわけですよね、昔も今も、古くて新しい問題ですよね。それは様々なガイドラインでも分析がなされております。結局は、最先端の分野というものを中心に研究成果を少しでも早く世に出すと先陣争いをしている、そんな中で、やはり費用が必要なんだ、その中で自分もポストを獲得していかなきゃいけない。さらに、研究組織、研究者の問題点というものは、そんな中でだんだん使命感も薄れてきて、さらに十分に教育も受けていないような現状がある。教育というのは、やっぱり倫理面においてですね、十分教育を受けていないような現状もあると。自浄作用というものが働かずに今回のようなことが起こってしまう。  審議官の中でも、やはりこの、いわゆる課長通知のようなものでは限界があるんじゃないかと思われることはございませんか。いかがでしょうか。
  92. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) これが仮に局長通知ですとかほかの通知になろうとも、役所としてその姿勢を明確にしているという意味では変わらないというふうに思っております。  もとより、研究というのがある意味競争的に行われるということは、研究をより早くその成果に結び付けるという、いい意味でのインセンティブもあれば、逆に、そのために功名争いといいましょうか、そういうものも起き得るということなのかもしれませんが、いずれにせよ、適切に研究を行っていただくということは、これはもう先ほど来申し上げているように、研究の大前提というふうに考えておりますので、そういう意味で、今の指針といいましょうか、ガイドラインなどが決まっているという認識でございます。
  93. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 では、お尋ねします。  我が国には医学研究というものを促進する法律というのがございますか。審議官、教えてください。
  94. 三浦公嗣

    政府参考人(三浦公嗣君) 現在、我が国におきましては、例えば、医学を含めまして科学技術全般における研究開発力の強化及び研究開発などの効率化の向上を図るための国の施策を定めました、いわゆる研究開発力強化法、また、医療分野の研究開発の推進などのための国の施策を定めました健康・医療戦略推進法、こういうものがございます。  また、がん対策基本法、肝炎対策基本法など、個別疾患への対策などを定めた法律におきまして治療法の研究開発を推進すべき旨の規定が盛り込まれていると、そういう例がございます。
  95. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  だから、おかしいんですよね。推進する方には法律があって、しっかりこういう研究の質を担保しなさいよという方は全て指針でやる、すごくやっぱりバランスが悪いと私は考えております。  では、現在行われております、先ほどから話題になっております、秋頃には何か方針が出るんではないかという疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議でどのような検討状況なのか、原局長、教えていただけますか。
  96. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 二十四年十二月から、御指摘のように、疫学研究に関する倫理指針と臨床研究に関する倫理指針の統合も見据えた上で、それぞれの倫理指針の見直しに係る合同会議というものを開催しております。  この合同会議では、その間にディオバン事案なども生じたことから、モニタリングや監査の実施、それから研究に係る資料の保存、利益相反の適切な管理、このような規定を新たに設けることとしているところでございます。五月に新たな指針の草案の取りまとめを行いましたので、現在、指針の公布に向けてパブリックコメント等所要の手続を今進めている段階でございます。
  97. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  その資料は、皆様方に資料三としてお配りをいたしております。  これは画期的なことなんですよね。疫学指針と臨床指針というものが、最近の複雑な研究の中で、統一したものを作っていこうではないか、この大きなうねりの中でお尋ねしたいんですけれども、では、この統合指針の内容の一部というものは全ての医学研究に共通する部分というものを含んでいると考えてよろしいんでしょうか。
  98. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) お答え申し上げます。  その前に、先ほどちょっとパブリックコメント、現在実施していると言いましたが、これからということで、それの準備を進めているということでございます。訂正させていただきます。  この統合の形で今進めている中で、あくまでこれは従来の疫学研究の指針の対象、それから臨床研究の倫理指針の対象の研究、これらが合わさるということで、例えば人を対象にした研究全てがこれに当てはまるわけではないと。ただ、いずれにしましても、今回の新しい名称を、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針という名前にしておりますので、ただ、全ての医学研究と言われると、ちょっと外れるものも中には出てくるということであります。  ただ、全体として、従来、疫学研究、臨床研究と分かれていましたけれども、だんだんその分野も融合されてくるような分野もございますので、そういう意味では、今回統合した形で幅広く医学研究の幅広い分野をこの指針の中でカバーをしていきたいというふうに考えております。
  99. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これまた放っておくと指針で終わってしまうんじゃないかと、私、大変心配でなりません。  資料二にも準備をさせていただきましたけれども、現在、このようなガイドラインそして法律、何かすみ分けをするラインが一つ設定されているんでしょうか。局長、教えてください。
  100. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 元々のこの成り立ちも違ってきておりますし、どこまで罰則を付けた規制をしていくかということが大きな視点だろうと思います。そういう意味で、おおむねは、研究という目的としてはガイドラインというものがあるのでしょうけれども、例えばクローンなどの問題については、これは明らかにもう止めなければいけないという意味ではその禁止の法律を作っていると、そういう経緯ではないかというふうに考えております。
  101. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 ありがとうございます。  これをどうやってすみ分けしていくのか、ガイドラインにするのか法律にするのか、まさにそれこそ国会議論すべきことなんではないのかなと私は考えております。特に今回は、これは世界的にも日本の研究というものの質を失墜してしまった一大事件なんですよ。だからこそ、指針に終わらせちゃいけない、ガイドラインに終わらせちゃいけない、これをしっかりと法的に、日本がすばらしいものを作ったなと言わせるぐらいのものを打ち出していただきたいんです。  アメリカの例で申しますと、タスキギー事件というものをきっかけといたしまして国家研究法ができました。それとともに、倫理委員会に法的根拠を加え、コモンルールというものも制定をされております。  だからこそ、日本でも、管轄する省庁、共同でもいいです、もう厚労省だけでも結構でございます、最低限の研究倫理のルールを定めて、被験者保護というものをしっかりと定めていただく、研究の公正性というものもしっかりと定めていただく、これを満たす研究は促進、推進するんだといったような医学研究基盤推進法といったような内容の法律というものが必要と思います。しっかりとしたルールを守った研究は国としても国民としても支援していこうじゃないか、やっぱりこういうものが今回秋に打ち出されるべきだと思いますが、大臣、いかがでいらっしゃいますでしょうか。
  102. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 法制化ということも一つ視野に入れながらといいますか、そうするかどうかということも含めてでありますけれども、今検討会で御議論いただいております。  例えば、今、先ほど話がありました日本医療研究開発機構というものをつくって、これは薬事承認されていく、つまり新薬などを開発する場合にしっかり支援していこうと、それこそ目利きからしっかり対応していこう、創薬支援ネットワークというもので対応していこうというような、こういうようなことはやっておるわけであります。  今般、問題になっておりますのは、先ほど足立委員お話ありましたけれども、足立委員の言われる臨床研究、臨床試験じゃないよという、その臨床試験と言われる部分の話でございまして、ここをどうするか。臨床研究、治験と同じレベルの、例えば世界的な基準、ルール、ICH―GCPのようなものを適用をしてしまうと、これまたヨーロッパのように大変負担が増える、そして現場の萎縮が起こる、こういう問題もあるわけでありまして、仮に法律を作るにしても、どういうような内容にするかということも考えなきゃいけない。そこは、やはりそれによって臨床研究、臨床試験が萎縮をしてしまうと問題もあるわけでありまして、そういうことも含めて議論をしながら、支援をしていくという意味では様々今も支援していくツールはあるわけでございまして、そういうものを含めて応援する部分は応援をしてまいりたいと、このように考えております。
  103. 薬師寺みちよ

    薬師寺みちよ君 時間もございませんので。  やはり、日本というものは不祥事が起こるたびにアドホック的に指針で逃げてきた。もう逃げる場所はございませんので、今回こそしっかりと法制化をするというような強い決意を持って臨んでいただきたいと私から宣言をさせていただきまして、質問、終わりとさせていただきます。  ありがとうございました。
  104. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今日、日比谷の野外音楽堂で大規模な集会が行われました、先ほど。精神科病棟を居住施設に転換することに当事者が中心となって反対の声を上げたわけです。  我が国の精神病床の平均在院日数は二百八十三・七日と異常に長い。入院患者も三十万人を超えて、OECD加盟国でも例を見ないわけですね。  本来、精神医療改革というのであれば、長期入院を解消して一刻も早い退院と地域での生活の開始、そのための施策を打ち出すべきなのに、今の精神科病棟そのものを居住施設に転換するという構想です。  大臣、病院の敷地の中で病院の建物を転換した施設で暮らしていくことが社会復帰、地域移行と言えるのでしょうか。
  105. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 精神障害者の方々が退院をされて地域で生活をされる。今委員がおっしゃられたのは、同じ病院内の敷地でありますとか、例えばその病院の部屋を改装しながら住居として使用する、それが地域移行と言えるかどうかというお話だというふうに思いますが、地域移行、地域へ移っていく途中段階というふうな、そういう考え方はあるんであろうというふうに思います。  でありますから、それ自体が完全に地域で生活されているということではありませんが、その途上、そこで社会とかなりの間離れてお暮らしになられてこられた、社会に暮らすためにいろんな訓練、準備をされなきゃならぬというような場合に、一時的にそういうところで生活をされてから地域社会に出ていただくというような、途上という考え方はあろうと思いますが、いずれにいたしましても、これ検討会で今議論をされておる話でございますので、関係者間でしっかりとした議論をしていただきたいというふうに思います。
  106. 小池晃

    ○小池晃君 一時的なものだと大臣おっしゃるんですが、日弁連の会長声明では、多数の精神病床を減少させることがいかに難航しているかという日本の歴史的経緯に鑑みれば、これが一度整備されれば恒久化してしまう危険性は否定できないと言っている。私、そのとおりだと思うんですね。  厚労省の意向調査でも、入院患者は、退院先が病院の敷地内だったら退院したくないという回答が多数です。病院の中は嫌だ、退院した気にならない、自由な行動をしたい、本当にそのとおりだと私は思う。  我が国も批准をした障害者権利条約は、障害者がほかの市民と平等の機会を持って地域社会に包容されて社会参加し、自立した生活ができるようにする措置を締約国の義務としているわけです。  今回のやり方というのは、まさに病院の敷地内で、しかも病棟を転用した施設地域から分離した生活を継続させることになるわけで、これは権利条約が定めた締約国の義務に逆行すると私は思いますが、大臣、いかがですか。
  107. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) いずれにしても、これは検討会で御議論いただく話でありますけれども、一時的、つまりずっとそういう場所で生活されるとなると、それは難しい部分はあると思います。  ただ一方で、御本人の意思というものはしっかり確認すること、始めからもう地域で生活できるという方を無理にそのような施設等々で生活いただくというのはこれは問題がありますから、やはり本人の御意思ということ。それから、病院とは明確に分かれているということ、つまり自由に出入りができたり普通に生活できるようなそういう環境であること。更に申し上げれば、先ほど来言っております地域移行への途上であるということでありまして、今の御議論からいけば、その住まわれる施設、それから環境、そういうものがどのような環境であるかということがまさに条約と反するかどうかという話になってこようと思うわけでありまして、どのような環境の中にそういうものを提供いただくのかということも含めて検討会で御議論をいただいておりますので、検討会での御議論というものを見守らさせていただきたいというふうに思います。
  108. 小池晃

    ○小池晃君 自由に出入りができるとおっしゃるけれども、それが今の精神科病院でできていないということが問題なんですよ。異常なんですよ、日本の精神科医療の実態は。やっぱりそこをちゃんと権利保障していくというのが世界の流れなわけですよ。  大臣は検討中だ検討中だとおっしゃいますのでお聞きしますが、こういう障害者の問題は、私たちのことを私たち抜きで決めないでというのが大原則で、そう語られてきているわけですが、二〇〇九年に発足した障がい者制度改革推進会議は二十六人の構成員のうち十四人が当事者でした。ところが、今の検討会は二十五人のうち当事者は二人しかいないわけです。  大臣、やはりここは当事者不在の議論を改めて、検討会に障害当事者の声を反映させる、そして検討するべきじゃないですか。
  109. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 議論の過程の中におきましては、長期の入院患者の方々も含めて多くの方々から議論をお聞きをいたしてまいりました、参画もしていただきました。議論を聞いた中には、長期入院者約百七十名、入院中の精神障害者の方々百七十名、退院された方々も四十名ということで、それは患者の方々も含めて、精神障害をお持ちの方々の御議論といいますか、お話はお聞かせをいただき、その内容を反映をさせていただきながら今検討会を進めていただいておるという状況でございます。
  110. 小池晃

    ○小池晃君 検討会そのものに加えるべきだという、そういうふうに申し上げているんですが、そうすべきじゃないですか。
  111. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) いや、ですから、多くの方々に御意見をお聞かせをいただき、参画をいただきながら検討会議論を進めていただいておりますので、そういう皆様方の御意見も反映されながら、検討会、最終的な御議論をいただくんだというふうに考えております。
  112. 小池晃

    ○小池晃君 私は、やはり日本の精神医療の問題、かつて呉秀三という方は、明治期から大正期にかけての日本の精神医療の実態について、病を受けた不幸に加えて、この国に生まれた不幸を併せ持っているというふうに言われたんですね。  今度の病棟転換政策というのは、これはやっぱり遅れた日本の精神医療政策を更に深い闇の方に持っていくことになりかねないと思っています。これは、モデル事業で風穴を開けようとか、あるいは継続審議にするなどという対応ではなくて、白紙撤回、これをするべきだと、最初から考え直すべきだというふうに申し上げておきたいと思います。  武田薬品の問題です。  降圧剤カンデサルタン、商品名ブロプレスの臨床試験CASE―Jのことですが、先ほどからも議論あるように、これは第三者機関が、武田薬品がブロプレスの付加価値最大化と売上げ最大化を図る目的のために企画段階から一貫して関与したというふうに言っております。    〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕  武田の社員が京都大学に置かれたデータセンターを仕切って、京大などの研究チームには三十七億円の資金が渡っています。医学雑誌にはブロプレスの効果を大々的にうたう広告が掲載されて、実はその前に学会誌に掲載された論文では、正式の論文では四十二か月までのデータしか認められなかった。その結果、ブロプレスとアムロジンの効果には差がなかったんですけど、広告は四十二か月以降も使って、そうすると心血管イベントが減少していく。ゴールデン・クロスなんということも言って、これは効果があるんだと。これはまさに捏造と言えるものだと思うんですね。しかも、重篤な副作用について厚労省に報告していなかったことまで明らかになった。  ノバルティスは逮捕者まで出しました。私は、武田の事例はノバルティス以上にこれは悪質ではないかと。いろんな問題点が出てきていると思うんですね。  大臣、ノバルティス社については厚労省は東京地検に告発したわけですが、武田薬品についてももちろん同様の対応が必要だと思いますが、いかがですか。
  113. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 武田の報告書といいますか、法律事務所の報告書が出てまいりまして、これを今我々も精査をさせていただいております。あわせて、今日、足立委員からも鋭い御指摘を幾つかいただきました。それも含めて、独自に我々も聞き取り調査をさせていただきたいというふうに思っております。その上で、分かってきた事実を基に適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  114. 小池晃

    ○小池晃君 これ、厳正な対応が必要だというふうに私、思います。  やはりこの事例を通じて明らかになってきたのは、奨学寄附金が不正の温床になっているということなんですよ。これは去年の委員会でも、私、ノバルティスの問題で、やはりひも付きのお金でどうしても利益相反が生じて公正公平な臨床研究できないではないかということで、基金をやっぱりつくってやるべきではないかということを申し上げました。大臣は、情報開示が大事なんだと、それやればいいんだみたいな、そういう答弁でした。もちろん情報開示必要なんだけれども、やっぱりこのお金の流れという不正の温床を断たない限り、こういう事態は本当に根を断てないというふうに思うんですね。  実は、あの委員会での審議の後の厚労省の検討会の席では、日本学術会議も、臨床研究適正化のために製薬企業からの資金を基金として活用する仕組みというのを提案されています。大臣、やはりいよいよ正面からこういうやり方を検討すべきではないですか。
  115. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これ、やはり製薬会社、メーカーも、今般のいろんな事案がある中において、それぞれやはり襟を正していかなきゃならぬという御意識になってこられているというふうに思います。  日本製薬工業協会でありますけれども、この中において、この研究資金等々を含めてガイドラインをお作りになられて透明性を高めると。これはかなり高い透明性、幾ら、どの研究者にというところまで御報告をされるというようなガイドラインを作ったわけでありますし、今言われた奨学寄附金に関しても、これはもう奨学寄附金等々は出さないというような方向性をお決めに、これはまあ工業協会でありますけれども、この中において決められたと。当然会員企業がたくさんこの中にはおられるわけでありまして、自主的な取組をまず我々としてはしっかりと見守らさせていただきたいと。    〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕  基金に関しましては、これはやはり企業が御理解をいただかないと、国が無理やり基金を出させるということはこれはできないわけでありまして、PMDA等の医薬品の副作用の救済基金、これに関しても、それぞれ製薬メーカーが御理解をいただく中で成り立っておるわけでございますので、今はまずは自主的な取組というものをしっかりと我々は見ていきたいと、このように考えております。
  116. 小池晃

    ○小池晃君 そういう腰が引けた対応では駄目ですよ。やっぱりきちんとやらなきゃ駄目だと。  ブロプレスの発売以来の販売額、総額で幾らになりますか。数字だけ。
  117. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 配付資料にもございますが、この二〇一三年までで約一兆五千六百億円でございます。
  118. 小池晃

    ○小池晃君 一兆五千六百億円ですよ。  これ、比較研究に明らかに不正があったわけですよ。比較研究の対象になったアムロジン、商品名でノルバスクでいうと、ブロプレスの八ミリとノルバスクの五ミリでいうと、薬価差、最初から百円ぐらい違うわけですね、一錠。もちろん全部カルシウム拮抗剤に代えるなんていうのはこれは現実的でないけれども、でも、やっぱりこれは多額な損害を医療保険財政に与えたことは間違いないわけですよ。  大臣、これは医療保険財政上も、臨床研究を進める上でも、やっぱり相応の経済的な責任を武田薬品に果たさせるということは必要なんじゃないですか。いかがですか。
  119. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) もちろんディオバンにしてもブロプレスにしても、今般のような事案が起こったということは大変遺憾であります。  これ、ディオバンのときに検討会をつくりました、検討委員会ですね。この中の結論の中において、やはり今言われた医療財政に対してのいろんな影響、これに対しても対応しなきゃならぬというような御意見もいただきました。  中医協薬価部会の中で、これ今、先ほど来、局長からも話がありましたが、一旦止まっておりますけれども、薬価の推移ですね、それぞれの、それから類似医薬品のやはり薬価の推移、こういうもののデータをしっかりと我々は検証しながら、どのような対応があるのかということ、これは中医協の方でも御議論をいただけるというふうに思っておりますし、我々もしっかりとその御議論をいただきながら対応を考えてまいりたいと、このように考えております。
  120. 小池晃

    ○小池晃君 私も最後は足立委員と珍しくというか、珍しくじゃないけど、一緒のことを、長谷川閑史さんですよ、産業競争力会議で、個人と企業の持続的成長のための働き方改革なんというのを提案しているんですよ。何が持続的成長だと。こんな研究不正に最初から関わってきた人物ですよ。持続的成長というんだったら、もう日本人による日本人のための初めての大規模な臨床試験に泥を塗ったんですよ、この責任を取らせないといけないですよ。持続的成長だというんだったら、まずは研究不正、自らの研究不正を正せと言うべきじゃないですか。製薬工業協会の副会長を停止しているんですよ。  大臣、こういう人が産業競争力会議の分科会の主査、やる資格があると思いますか。監督官庁として、やっぱりこういう人は不適格だと言うべきじゃないですか。
  121. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 経済同友会の代表幹事としてということも含めて、いろんな経済の成長に対する有識者ということに関して、内閣官房でお選びになられたんだというふうに思います。内閣官房の方で適切な対応があられるんだというふうに思います。
  122. 小池晃

    ○小池晃君 いや、監督官庁として、やっぱりこういう人は駄目だと言わなきゃ駄目だというふうに思います。  終わります。
  123. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、ノバルティス問題についてお聞きします。  ノバルティス社はディオバンの臨床研究の奨学寄附金として、京都府立医大に三億八千百七十万円、名古屋大に二億五千二百万円、千葉大に二億四千六百万円、東京慈恵医大に一億八千七百七十万円、滋賀医大に六千五百五十万円を贈ったとされていますが、間違いないですね。
  124. 原徳壽

    政府参考人(原徳壽君) 昨年やっておりました第一回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会でノバルティス社から提出された資料によりますと、御質問のとおりの奨学寄附金が提供されたと報告されております。
  125. 福島みずほ

    福島みずほ君 この委員会でもずっと出ておりますが、巨額の寄附金、何億と寄附して、それを受けたら、その人たちのために論文書くじゃないですか。もうこんなのやめないと、誰も日本の臨床研究、信用しませんよ。  臨床研究を法的規制の外に置いているのは日本だけです。臨床試験に関する法的規制を設けるべきだ、今日何人もの委員がおっしゃいました。私もそのとおり、秋を目途に法規制が出ますが、その場合、臨床試験への資金提供を目的とする奨学寄附金の禁止、後日の検証を可能にするためのデータ保管期間の設定、利益相反管理に関する具体的規制の法制化、企業から独立した臨床試験の実施を支援するための基金設立、とりわけ奨学寄附金の禁止、これをやるべきだと考えますが、田村大臣、短く答えてください。
  126. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 多く質問をいただきましたので、短くはなかなか難しいんですが、まず、法制化も含めて議論を、検討会で秋を目途に結論を出していただこうと考えております。  その中において、基金に関しましては、国が強制的にやれという話になると、これは財産権の問題と絡んでくる話でございますので、やはり一定程度製薬メーカー等々に御理解をいただかなきゃならぬ、こういう問題だというふうに思います。  あわせて、奨学寄附金に関しては、先ほども日本製薬工業協会の方で、奨学寄附金に関しては、これは行わないというふうな方向性をお決めをいただきました。当然、会員企業の方々がそれにのっとって対応いただけるというふうに我々は思っておりますので、それを見守らさせていただきたいと思っておりますし、全ての民間の研究費が全てが悪いというふうには思っておりません。そこに透明性というもの、一定のルールというもの、そういうものが必要であろうというふうに思うわけでございまして、全ての研究をまさか全て国がお金を出すというわけにはいかないわけでございますので、そういう意味からいたしまして、そこは透明性を担保して、国民の皆様方に臨床研究がこれは信頼があるというような形を我々としてもしっかりとつくっていただきたいというふうに考えております。  あと、ちょっと何をお聞きになられたか分からないので、済みません。
  127. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、大臣、違いますよ。京都府医大に三億八千百七十万円払って、そこでそういう論文が出てくるって、もう信頼性を失ってしまう。臨床試験への資金提供を目的とする奨学寄附金の禁止、法規制をきっちり打ち出すべきだ、日本はこれを踏み出すべきだということを申し上げます。  以下に挙げる行為は、薬事法違反に当たりますか。  一、降圧剤投与によって重篤な副作用が発生したにもかかわらず、国に報告しない。二、ライバル社の薬に比べて有利な結果が出るように研究者に対して評価項目の変更を働きかけたり、学会発表の際、有利な結果を示すよう原稿作成を肩代わりしたりして、その結果を広く宣伝する。三、長期服用によって、ある時点で突然ライバル社の薬に比べて効果が逆転するなど非科学的効果をうたい、ゴールデン・クロスなどと宣伝文句を使う。四、元々降圧剤であるにもかかわらず、糖尿病にも効くなど適応外の効用を宣伝する。  いかがでしょうか。
  128. 今別府敏雄

    政府参考人(今別府敏雄君) 一般論としてお答えすれば、製造販売業者が重篤な副作用を国に報告をしないとか、虚偽又は誇大な記事の広告等を行うとか、あるいは承認を受けていない医薬品の効能、効果等について広告を行うということは薬事法違反に該当いたします。  ただし、御指摘の武田薬品の事案が薬事法違反に該当するかどうかというのは、先週の報告書、あるいは今後発表予定の京都大学の調査結果を十分に精査をいたしまして、また我々も独自に事実関係の聴取を行って、その結果を踏まえて判断をしたいと考えております。
  129. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日は検察と警察に来ていただきました。  ノバルティス社、武田薬品の問題、これは個別事案ですが、冤罪を生んでは絶対にいけません。しかし、厳正に対処する、そしてきちっと構造にまで踏み込んでメスを入れるということでよろしいでしょうか。
  130. 上冨敏伸

    政府参考人上冨敏伸君) 捜査機関の活動内容に関わる事柄につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。  一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処するものと承知しております。
  131. 宮城直樹

    政府参考人(宮城直樹君) お答え申し上げます。  個別具体の事案につきまして警察が捜査をしておるかおらないか、あるいはするのかということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますれば、警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づきまして厳正に対処すると、このように考えておるものでございます。
  132. 福島みずほ

    福島みずほ君 冤罪を生んではいけませんが、個別の事案、個別の被疑者、被告人ではなく、構造的な問題にまで、法と証拠にのっとって必要であればしっかりそれにメスを入れてくださるよう要請をいたします。  では次に、私も、今日、日比谷の野外音楽堂に行きまして、精神科病棟転換型居住系施設の問題についてお聞きをいたします。  同じ精神病院の敷地内で暮らすというのは、これ精神病院からの転院ではないですよね。そして、精神病に関しては九七%が医療費、そして三%しか地域支援やっていないんですね。もっと公共事業でそういうところに補助金出して、新たに精神病院の中に施設を造るのではなく、地域で暮らすということを厚生労働省としてやっていただきたい。いかがでしょうか。
  133. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) これ、検討会で多くの方々に御議論をいただいてきている案件で、まだ結論が出ているものではございません。  先ほど来、小池委員からのお話もありましたが、そこでずっと暮らすというのは、これはなかなか、それが地域移行かと、それはなかなか言えないところがあるんだろうと思います。  私が先ほど申し上げたのは、地域に移行する途上において、すぐに地域に移行できる方は、それは当然御本人の意思で移行をしていただければいいわけでありますけれども、なかなか、長く病院生活をされて地域に出るのにも御本人自身も不安があられると、こういう場合において、そういう方々が、一定期間です、一定期間、そこで言うなれば地域に出るためのいろんな慣らし期間みたいな形で地域社会とのいろんな関係を結んでいただくというような意味で、しかも、ちゃんと開かれた状況で、環境として、これは病院ではないというような環境等々をしっかり整備していただくことは重要だと思いますが、そういうことも含めて、そのようなお考え方というものは、今検討会でいろんな御議論をいただいておるわけでございますので、検討会の様々な方々の御意見というものをいただきながら、最終的にいただいた結論をもってして我々としては適切な対応をしてまいりたいと、このように考えております。
  134. 福島みずほ

    福島みずほ君 せっかく障害者権利条約を日本は批准して地域で暮らすと打ち出したわけですから、精神病院の中で、そこに新たに補助金立ててそこで暮らすというのではなく、地域で暮らせるように厚生労働省はやっていただきたい。七月一日、また審議会があると聞いておりますが、ゆめゆめこんなへんてこりんなものを導入しないように強く申し上げます。  次に、ホワイトカラーエグゼンプションは産業競争力会議が執拗に推進しておりますが、中でも有力な旗振り役が、長谷川閑史武田薬品工業代表取締役と竹中平蔵さんです。これこそ、安倍内閣が成長戦略と位置付けている中で、これは今大問題になっております。また、戦略人材派遣会社大手の取締役会長は、利益相反の観点から雇用規制に公平公正な立場とは到底言えません。この二人は産業競争力会議委員として不適格ではないですか。
  135. 小泉進次郎

    大臣政務官小泉進次郎君) 先ほど足立先生からも御指摘をいただいた点と同じ論点だと思いますが、この産業競争力会議は一企業の利益を追求するための場ではありません。産業の競争力の強化をどうやって高めていけるのかと、そういった観点から、国際展開、そして成長戦略、そういったことを御議論をいただいている場でありますので、一議員の偏った意見、また思いで偏った結論に導かれることはないと、そういうふうに考えております。
  136. 福島みずほ

    福島みずほ君 偏っていますよ。  竹中さんは、二〇一三年三月十五日の第四回産業競争力会議において、雇用調整助成金を大幅に縮小して労働移動に助成金を出すことは大変重要、是非大規模にやってほしい、今は雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が千対五ぐらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じていると発言しています。  この発言内容は現実となり、解雇回避のための雇用調整をした事業主を支援する雇用調整助成金は、二〇一三年度の千百七十五億円から半額になり、一方、転職する場合の費用などを助成する再就職を誘導する労働移動支援助成金は五億七千万円から三百一億円に増加をしています。竹中さんが言っているとおり、あるいは自分がやっているところに利益誘導しているではないですか。  自衛隊員の再就職の支援におけるパソナなど人材派遣会社の役割、契約実績、平成二十四年度と平成二十七年度の四年間で、パソナがやっていて六億四千八百万円ということで、防衛省、よろしいでしょうか。
  137. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、防衛省におきましては、任期制自衛官の再就職支援の一部を民間委託しているところでございますけれども、平成十九年度から平成二十三年度までは別の会社でございましたが、平成二十四年度以降は株式会社パソナに委託し、契約額は約六億四千八百万円でございます。これは四年間分を一括して契約したものとなっております。
  138. 福島みずほ

    福島みずほ君 国家公務員の早期退職募集制度に伴い、パソナが一社独占で再就職支援民間企業に選ばれております。これは、二〇一四年予算は五千百八十四万円に膨らんでいるということでよろしいですね。
  139. 小河俊夫

    政府参考人(小河俊夫君) お答え申し上げます。  内閣官民人材交流センターにおいて実施しております再就職支援でございますが、早期退職募集の希望者に対しまして、そのうち再就職支援を希望する者に対して行っているものでございまして、昨年十月から実施しておるものでございます。これにつきましては民間の再就職支援会社を活用したものでございまして、この会社につきましては、二十五年度及び二十六年度、それぞれ入札を行いまして決定したものでございまして、いずれも株式会社パソナに委託し、実施しておるものでございます。
  140. 福島みずほ

    福島みずほ君 パソナはすごい食い込んでいるじゃないですか。国家公務員の早期退職募集制度、それから自衛隊員の再就職の支援、やっているんですよ、こういうのを。しかも、自分たちが言って、ビジネスチャンスが広がるような方向で産業競争力会議でやっている、これは全く不適格だと思います。  大臣、これ衆議院でも聞かれておりますが、大臣は、大臣として、大臣のときに、去年二月、パソナの迎賓館、仁風林に行って講演をされていますね。南部社長と面識があるので講演をしたということなんですが、講演は、タイトルは何なんですか。
  141. 田村憲久

    国務大臣田村憲久君) 社会保障に関してだったというふうに認識いたしております。ゲストスピーカーとして講演をさせていただいた記憶があります。  誤解を招かないように申し上げておきますが、一切、私、パソナから政治献金、パーティー券購入していただいておりません。南部さんとは顔なじみではありますけれども、それほど深いお付き合いということでもございませんし、そのとき来られた方々は、マスコミ関係者でありますとか、大使館の方々もおられました。他党の元国会議員の方々もおられました。そういう意味では、決して、何かいかがわしく思っておられるとすれば、そういうことはない会でございますので、御理解いただければ有り難いというふうに思います。
  142. 福島みずほ

    福島みずほ君 でも、李下に冠を正さずとあるじゃないですか。派遣の問題は去年二月、委員会でもすごく論争がありました。派遣法を、しかも通常国会に出して廃案になりましたけれど、またパソナが産業競争力会議で、しかもいろんな業界に食い込んでいると。  私は、今日、小泉政務官答弁されたけれど、武田薬品の長谷川さんも竹中平蔵さんも不適格だと思いますよ。少なくとも、不適格だと思われているにもかかわらず、こういう人たちに旗振り役をさせて雇用を壊したら駄目ですよ。ホワイトカラーエグゼンプションは年収千万以上というけれど、彼ら、年収千万以上の人は結構残業をたくさん……
  143. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
  144. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  残業をしております。この間、過労死防止推進法が成立しましたが、代表の寺西さんの夫は飲食店チェーン店の店長さんですよね、そして中原さんの夫は小児科医、そしてある方の息子さんはIT、ホワイトカラーでみんな亡くなっているんですよ、過労死で。ホワイトカラーエグゼンプション、産業競争力会議、この人選はしっかり、国民から支持得ませんよ、こんなことやっていたら。ということを申し上げ、私の質問を終わります。
  145. 石井みどり

    委員長石井みどり君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十八分散会