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2014-02-19 第186回国会 衆議院 文部科学委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十六年二月十九日(水曜日) 午後零時十五分
開議
出席委員
委員長
小渕
優子君
理事
中根 一幸君
理事
丹羽
秀樹
君
理事
萩生田光一
君
理事
山本ともひろ君
理事
義家
弘介
君
理事
笠 浩史君
理事
鈴木
望君
理事
稲津 久君
池田
佳隆君
小此木八郎
君 神山 佐市君
菅野さちこ
君 木内 均君
工藤
彰三
君
熊田
裕通
君
小林
茂樹君
笹川
博義
君 新開 裕司君
冨岡
勉君 永岡 桂子君 野中 厚君 馳 浩君
比嘉奈津美
君
藤原
崇君 宮内
秀樹
君 宮川 典子君
菊田真紀子
君 津村
啓介
君 吉田 泉君 椎木 保君 三宅 博君 中野
洋昌
君 柏倉 祐司君 井出
庸生
君 宮本 岳志君 青木 愛君 吉川 元君 …………………………………
文部科学大臣
下村
博文君
文部科学
副
大臣
櫻田
義孝君
文部科学
副
大臣
西川 京子君
文部科学大臣政務官
冨岡
勉君
文部科学大臣政務官
上野 通子君
文部科学委員会専門員
久留 正敏君
—————————————
委員
の異動 二月十九日
辞任
補欠選任
青山
周平
君
笹川
博義
君
桜井
宏君
藤原
崇君
細野
豪志君
津村
啓介
君 同日
辞任
補欠選任
笹川
博義
君
青山
周平
君
藤原
崇君
桜井
宏君 津村
啓介
君
細野
豪志君
—————————————
二月十九日
教育費負担
の
公私間格差
をなくし、
子供たち
に行き届いた
教育
を求める
私学助成
に関する
請願
(
山田賢司
君
紹介
)(第一二号) 同(
重徳和彦
君
紹介
)(第三七号) 同(
関芳弘
君
紹介
)(第三八号) 同(
石崎徹
君
紹介
)(第四三号) 同(
漆原良夫
君
紹介
)(第四四号) 同(
高橋ひなこ
君
紹介
)(第四五号) 同(
長島忠美
君
紹介
)(第四六号) 同(
池田佳隆
君
紹介
)(第六三号) 同(
熊田裕通
君
紹介
)(第六四号) 同(
小林史明
君
紹介
)(第六五号) 同(
藤丸敏
君
紹介
)(第六六号) 同(
近藤昭一
君
紹介
)(第七一号) 同(
工藤彰三
君
紹介
)(第九五号) 同(
鈴木克昌
君
紹介
)(第九六号) 同(
小川淳也
君
紹介
)(第一二九号) 同(
原田義昭
君
紹介
)(第一三〇号) 同(
菊田真紀子
君
紹介
)(第一四〇号) 同(
今井雅人
君
紹介
)(第一五七号) 同(
藤井孝男
君
紹介
)(第一五八号)
教育
の
無償化
を目指して全ての
子供たち
に行き届いた
教育
を求めることに関する
請願
(
篠原孝
君
紹介
)(第六一号) 同(
務台俊介
君
紹介
)(第六二号)
教育費負担
の
公私間格差
をなくするための
私学助成
に関する
請願
(
今津寛
君
紹介
)(第七〇号) 同(
今津寛
君
紹介
)(第一五九号) 同(
高橋みほ
君
紹介
)(第一六〇号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
文部科学行政
の
基本施策
に関する件 ————◇—————
小渕優子
1
○
小渕委員長
これより
会議
を開きます。
文部科学行政
の
基本施策
に関する件について
調査
を進めます。
文部科学大臣
から
所信
を聴取いたします。
下村文部科学大臣
。
下村博文
2
○
下村国務大臣
第百八十六回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し述べます。 意志あるところ必ず道あり。前途ある若者がみずからの人生に一つの志を持ったとき、その目標は半ば実現しているのではないでしょうか。しかし、その志を疑いなく持つことがいかに困難であるかということは言うまでもありません。若者一人一人が志を持ち、その道を追い求めることができる状況を用意することが、我々大人が果たすべき役割です。 私は、
文部科学大臣
並びに
教育再生
及び
東京オリンピック
・
パラリンピック
を担当する大臣として、我が国の未来を担う
若者全員
がみずからの人生に誇りを持ち、幸福であると思える社会の実現を目指して、教育の再生、
科学技術イノベーション
の推進、
文化芸術
、
スポーツ
の振興など、
文部科学行政
の充実に全力を尽くしてまいります。
安倍内閣
における
政策課題
の二本柱は、
経済再生
と
教育再生
です。
教育再生
のための原動力として、昨年、
教育再生実行会議
が設置されましたが、ことしは、
教育再生実行会議
における提言等を本格的に実行に移すときだと思います。このため、今国会において、
教育再生
のために必要となる法案の
提出準備
を進めます。 また、ただいま国会で御審議いただいている平成二十六年度予算案においては、
文部科学省予算
として、
幼児教育
の無償化に向けた段階的な
取り組み
や高校生のための
奨学給付金
の創設など
保護者負担
の軽減、
グローバル人材
の育成に向けた
取り組み
の充実などのため、実質的に対前年度比〇・九%増となる額を確保いたしました。 しかしながら、現下の厳しい
財政事情
のもとで、より必要とされるところへ手厚い対応を図るためには、
教育財源
の確保に向けた新たな
取り組み
が求められます。 このため、例えば、現在、日本人の
海外留学
を促進するための財源を確保するため、私みずからが
企業関係者
に趣旨を御説明した上で、御理解を得ながら、幅広く民間からの財政的な協力を得る
取り組み
を進めています。さらに省内では、税制によるものも含むさまざまな
教育財源確保策
について、有識者の知見も活用しながら検討を進めているところです。 官民が協力して若者の夢を応援する。真の
教育再生
の実現のためには、オール・
ジャパン
の体制を構築することが必要であると私は考えます。 あの大震災から間もなく三年が経過しようとしています。しかし、大震災の爪跡はいまだに被災地に大きな影を落としています。私は、今後とも、学校の復旧、
就学支援
、
児童生徒
の心のケア、
学習支援等
を初め、被災者の心に寄り添った被災地の復興に全力を尽くしてまいります。また、被災地からの要請を踏まえ、
関係省庁
との密接な連携のもと、
東北地方
における
医学部新設
のための
取り組み
を着実に進めてまいります。 また、
原発事故
への対応として、除染や廃炉に関する
研究開発
や
人材育成等
に着実に取り組むとともに、
原子力損害賠償
については、和解の仲介の
体制強化
を図り、迅速、公平かつ適正な賠償が行われるよう万全を期してまいります。 常々申し上げているように、
人づくり
は
国づくり
です。日本の将来を担う
子供たち
は国の一番の宝であり、教育は、国の根幹を形づくる最
重要政策
です。 昨年発表された
OECD生徒
の
学習到達度調査
の結果によると、我が国は、読解力、
科学的リテラシー
の分野において
調査開始
以来初めて
OECD諸国
中トップに、
数学的リテラシー
も
OECD諸国
中二位になるなど、過去最高の結果となりました。さらに、
OECD国際成人力調査
でも、読解力と数
的思考力
について、参加した国と地域のうちトップの成績となりました。 これらの結果からも我が国の
学校教育
は世界に誇るべきものであると思いますが、みずから課題を解決し、未来を切り開く
子供たち
を育成するため、我が国の
学力水準
の向上と豊かな人間性の涵養に取り組むことが重要です。 このため、
教育再生実行会議
では、昨年来、いじめ問題への対応、
教育委員会制度
のあり方、
大学教育
のあり方、
高等学校教育
と
大学教育
との接続、
大学入試
のあり方について提言を行い、現在、
義務教育
の年限や
無償教育
の期間など、学制のあり方について審議を進めています。
教育基本法
の理念のもと、第二期
教育振興基本計画
に基づき、また、
教育再生実行会議
のこれまでの提言や議論を踏まえつつ、
教育再生
のための施策を実行に移し、
世界トップレベル
の学力と
規範意識
を備えた人材を育成してまいります。 具体的には、
教育基本法
にのっとりバランスよく記載され、
採択権者
が責任を持って選んだ教科書で
子供たち
が学ぶことができるよう昨年公表した
教科書改革実行プラン
に沿った
制度改革
を進め、今国会においては、所要の
法律改正
を行うための準備を進めます。 また、小学校における
英語教育
の早期化、
高等学校
における日本史の扱いなど
地理歴史
の見直しや新
科目公共
の設置等、
次期学習指導要領
に向けた検討に着手します。 さらに、
全国学力
・
学習状況調査
の活用、
高等学校段階
における教育の質の確保、向上、
言語活動
や
理数教育
の充実、
ICT活用
の促進に
取り組み
ます。 加えて、
グローバル化
に対応した
英語教育改革実施計画
に基づく
外国語教育
の強化や
高校生留学
の推進、スーパー
グローバル
ハイスクールとして
グローバルリーダー
を育成する
高等学校
の整備、持続可能な開発のための教育に関する
ユネスコ世界会議
の本年の
日本開催
を通じたESDの推進や、
国際バカロレア認定校
の大幅増に向けた
取り組み
などを進めてまいります。 障害のある
子供たち
の教育については、一人一人を大切にし、力を伸ばしていく観点から、通級による指導の充実、
拡大教科書等
の
普及充実
、
学校施設
の
バリアフリー化等
の必要な
教育条件
の整備を推進するための予算を拡充し、きめ細かな指導や支援を行う
特別支援教育
を推進してまいります。 いじめの問題については、
いじめ防止対策推進法
や同法に基づく
基本方針
をもとに、いじめの問題に関する総合的な対策の実施を進めます。また、心と体の調和のとれた人間の育成に取り組む観点から、
道徳教育用教材
の「心のノート」を全面改訂した「私たちの道徳」の全国の小中学校への配付や、道徳を特別の教科として位置づけることに取り組むとともに、体罰の禁止の徹底を図ります。 学校における食育については、
地場産物
を生きた教材として活用し、地域の自然や和食などの食文化に関する理解を深めるとともに、食に関する感謝の念を育む
取り組み
を進めてまいります。 教育の充実を図るためには、教師の役割が極めて重要です。少
人数教育
の推進を初めとする
教職員等指導体制
の充実に努めるとともに、養成、採用、研修の各段階を通じた教師力の向上に
取り組み
ます。加えて、
公立学校
で多様な教育を提供する観点から、
公設民営学校
の設置について検討を進めてまいります。 また、昨年六月に成立した子どもの
貧困対策
の推進に関する法律を踏まえ、本年四月から、低
所得世帯
の
教育費負担
の軽減や公私間の
教育費格差
の是正を図るため、新しい
高等学校等就学支援金制度
や奨学のための
給付金制度
を円滑に実施するとともに、
幼児教育
の振興のため、幼稚園と保育所の負担の平準化の観点から、低
所得世帯
、
多子世帯
の
保護者負担
を軽減し、無償化に段階的に
取り組み
ます。さらに、関係府省と連携して、子どもの
貧困対策
に関する大綱の策定に
取り組み
ます。 さらに、安全、安心な
学校環境
の構築のため、
防災教育
の充実や通学路の
安全確保
、
天井材等
の非
構造部材
を含めた
学校施設
の耐震化や
老朽化対策
、
防災機能
の強化を推進してまいります。
子供たち
の土曜日の豊かな
教育環境
の実現に向けては、私を初め、
文部科学省
の職員が率先して地域の
教育活動
に参加するよう取り組むとともに、地域や企業の協力を得て、土曜日の
教育活動
が
全国各地
で展開されるよう取り組んでまいります。さらに、
放課後子どもプラン
の
全国展開
や
家庭教育
の支援の充実に
取り組み
ます。
教育委員会制度
の改革については、
教育行政
の
責任体制
を確立し、
教育現場
の問題に迅速かつ的確に対応できるよう、今国会において、所要の
法律改正
を行うための準備を進めます。 大学力は
国力そのもの
です。
世界トップレベル
の大学力の実現や世界を牽引する
リーダー
の養成を目指して、
大学教育
の
改革状況
を踏まえた
重点的資源配分
や、大学の質の保証のためにシステムの改善等の
大学改革
を推進し、質、量ともに充実を図ってまいります。また、大学の
ガバナンス改革
について、今国会において、所要の
法律改正
を行うための準備を進めます。 大学の
教育研究活動
を支える上では、
財政基盤
の確立と、基盤的経費のめり張りある配分を行うことが重要です。このため、
国立大学法人運営費交付金
や
施設整備費補助金
、
私学助成
を安定的に確保します。 また、
国立大学
が社会の期待に応えるための
機能強化
に向けて今後取り組むべき改革の方針等を示した
国立大学改革プラン
に基づき、
国立大学
の改革を実行いたします。 さらに、私学の振興に努めるとともに、運営上重大な問題のある
学校法人
に適切に対応できるよう、今国会において、所要の
法律改正
を行うための準備を進めます。 少子化が進行する我が国において、一人一人が能力を高め、
グローバル
な視点を持ってさまざまな分野で活躍できるよう、
スーパーグローバル大学
への
重点支援
など、大学の
教育研究環境
の徹底した国際化を推進します。 また、官民が一体となって留学の機運を醸成するため、
留学促進キャンペーン
「
トビタテ
!
留学JAPAN
」を展開するとともに、
留学経費
の
負担軽減
や、事前・事後の研修、インターンシップの実施など、国、産業界、大学等が
総がかり
で日本人の
海外留学
をきめ細かく支援する仕組みを築き上げてまいります。 あわせて、優秀な
外国人留学生
の戦略的な受け入れに必要な
環境整備
を図り、双方向の
留学生交流
の倍増を目指します。 さらに、子どもの
貧困対策
の推進に関する法律を踏まえ、意欲と能力のある学生等が
経済的理由
により学業を断念することがないよう、
奨学金事業
を初め
経済的支援
の充実を図るとともに、真に困窮している
奨学金返還者
に対する救済措置の充実に
取り組み
ます。
高等学校教育
と
大学教育
との接続、
大学入学者選抜
のあり方については、
教育再生実行会議
の提言を踏まえ、知識偏重の一点刻みの試験のみによる選抜から、能力、意欲、適性の多面的、総合的な評価への転換へ向けて具体的に検討を進めてまいります。 また、
学生生徒
が
学校生活
から社会、
職業生活
へ円滑に入っていけるよう、各
学校段階
を通じた体系的な
キャリア教育
や、高校、大学、
専修学校等
における実践的な
職業教育
の充実を図ってまいります。 さらに、産業界と協働して、大学、
専修学校等
における社会人、特に、女性の学び直しの環境を充実してまいります。
科学技術イノベーション
は、
安倍内閣
が掲げる三本の矢のうちの一つである
成長戦略
の重要な柱であり、日本の
経済再生
の原動力です。私は、
グローバル社会
で我が国が成長を続けるための鍵は、
革新的イノベーション
の継続的な創出による
国際競争力
の強化、そして、それを支える人材の育成だと考えます。 このため、世界で最も
イノベーション
に適した国をつくり上げることに注力し、これを
国家戦略
として強力に推進してまいります。 具体的には、研究者の独創性に基づいて行われる多様な
基礎研究
の支援、世界に冠たる研究力を有する大学や
研究拠点
の形成、研究不正の防止など、
研究環境
の整備を着実に進めるとともに、
研究開発法人
がその成果を最大化するための新たな制度の創設に取り組んでまいります。また、大学だけでも企業だけでも実現できない
革新的イノベーション
を実現する
産学連携プログラム
の推進や
大学発ベンチャー
の創出等による
研究開発成果
の実用化、
地域科学技術
の振興を図ります。 さらに、先般お認めいただいた平成二十五年度
補正予算
及び
改正独立行政法人科学技術振興機構法
に基づき、ハイリスク・ハイインパクトな
研究開発
を推進する
革新的研究開発推進プログラム
に
総合科学技術会議
と連携して
取り組み
ます。
世界最高水準
の
科学技術
の振興を図るため、
スーパーコンピューター
「京」の約百倍のエクサスケールの計算性能を有する
スーパーコンピューター
の開発に着手するとともに、
最先端研究施設設備
の産学官への幅広い利用を着実に進めます。また、
医療分野
の
研究開発
も強力に推進してまいります。
国家安全保障
や
基幹技術
の強化を図るため、
革新的技術開発
を推進してまいります。 人類のフロンティアである宇宙については、
新型基幹ロケット
の開発に着手するとともに、「はやぶさ2」の開発や
宇宙分野
における
安全保障
、防災への貢献、
国際宇宙ステーション計画
への
取り組み
を推進いたします。 海洋については、
海洋資源調査研究
を戦略的に推進してまいります。 また、世界に先駆けた
次世代インフラ
の整備に向けて、地震・
防災分野
の
研究開発
や
構造材料
の
研究開発
を進めます。 さらに、人類共通の課題の解決に向けて、環境・
エネルギー分野
の
研究開発
や
ITER計画
を着実に推進してまいります。 また、
宇宙創成
の謎の解明に向けた
国際協力
による
リニアコライダー計画
に関する
調査検討
を進めます。 加えて、原子力については、
日本原子力研究開発機構
について、安全を最優先とした、国民に信頼される組織への改革を着実に進めるとともに、
東京電力福島
第一
原子力発電所
の廃炉に向けた
技術開発
や
人材育成
に
取り組み
ます。特に、「もんじゅ」については、安全に運転管理する体制を整え、廃棄物の減容化や
高速増殖炉
の
研究成果
の取りまとめにつながるよう、改革にしっかりと責任を持って取り組んでまいります。 先般、
STAP細胞
を発見し、
再生医療
の研究に新たな一石を投じた
小保方晴子博士
の活躍は、我が国の
若手研究者
、
女性研究者
に大きな勇気を与えるものです。
グローバル
に活躍できる
科学技術イノベーション人材
を養成確保するため、
初等中等教育段階
から
高等教育段階
に至る人材の育成や
若手研究者
への支援を強化するとともに、研究と出産、育児等との両立などの
女性研究者
への支援の強化、
若手研究者
や
研究支援人材
の流動化と多様な
キャリアパス
の整備を図る新たな仕組みの構築に取り組んでまいります。 スイスのローザンヌで開催された
国際バレエコンクール
では、二山治雄さんと
前田紗江
さんという二人の高校生が一位、二位に輝きました。また、現在開催中のソチ・
オリンピック
では、
フィギュアスケート男子
で十九歳の
羽生結弦
さんがアジア初の金メダルを、
スキージャンプ男子ラージヒル
で四十一歳の葛西紀明さんが銀メダルを獲得しました。日本人が文化や
スポーツ分野
で活躍する姿は、私たちに興奮と感動を与えてくれました。 このように、文化と
スポーツ
が持つ、人々を引きつけ感動させる力は、人々の心を豊かにし、困難な問題に連帯して取り組む活力ある社会の構築に不可欠なものです。私は、
国家戦略
としてこれらを振興してまいります。
文化芸術立国
の実現のため、我が国が世界に誇る有形無形の文化財の保存、活用や、
実演芸術
や
メディア芸術等
の幅広い芸術の振興を図り、それらのための
人材育成
を強化するとともに、
日本文化
の魅力を国内外に積極的に発信します。そして、
文化芸術立国中期プラン
を策定して我が国の文化力を計画的に強化し、二〇二〇年には、日本が世界の
文化交流
のハブとなることを目指します。 さらに、我が国の文化と日本語の大切さを再認識し、歴史と文化をとうとぶ心の育成を図ってまいります。 加えて、電子書籍に対応した
出版権等
の整備のため、今国会において所要の
法律改正
を行うための準備を進めるなど、新しい時代に対応した
著作権施策
の展開に努めてまいります。
スポーツ
の振興に関しては、二〇二〇年を見据え、
東京オリンピック
・
パラリンピック競技大会組織委員会
を中心に、東京都やJOCと連携しながら
大会成功
に向けて取り組むとともに、
国立霞ケ丘競技場
の全面改築などの
インフラ整備
や、二〇二〇年に活躍が期待される競技者の
育成強化
などに取り組んでまいります。 また、二〇一九年の
ラグビーワールドカップ
の
日本開催
など、他の
国際競技大会
の招致、開催への積極的な支援や、
学校体育
の充実を図るとともに、国民が生涯にわたって
スポーツ
に親しむ機会を充実するため、
地域スポーツ
の推進に
取り組み
ます。 さらに、
スポーツ立国
の実現に向けて総合的、一体的に
スポーツ
を推進する観点から、
スポーツ庁
の設置について、その枠組みや意義、
方向性等
の検討を精力的に進めてまいります。
少子高齢化
が急速に進展する中にあって、今後とも我が国が引き続き成長、発展を持続するためには、一人一人の能力や可能性を最大限に引き出し、付加価値や生産性を高めていくことが不可欠です。このため、特に若者や女性に光を当て、教育の再生や
科学技術イノベーション
の推進のための
取り組み
を強力に推し進めることが必要です。 さきの臨時国会でも申し上げたように、招致に成功した二〇二〇年
東京オリンピック
・
パラリンピック
をまたとない好機と位置づけ、日本の可能性や潜在力を発掘、研磨、発信することにより、新しい日本の創造を実現しなければなりません。二〇二〇年
東京大会
における成果は、前回の一九六四年
東京大会
がそうであったように、人々の心の中にレガシーとして永続的に生き続け、人々の心の持ち方を変えて社会を変え、さらには、日本全体がさらなる発展に向かう原動力となることが期待されます。 このためには、東京だけのイベントとすることなく、
日本全国
に波及効果を生み出すことが重要です。
大会開催
による効果が全国にも波及するよう、
大会組織委員会等
とも連携して、国内の
強化拠点
や
海外選手団
の
キャンプ地
などの
スポーツ環境
が広く全国で展開されるように
取り組み
ます。大会後も見据えて、
障害者スポーツ
の振興や、アスリートを学校や地域に派遣して
オリンピック
・
パラリンピック教育
を進めるなど、
スポーツ
の裾野を広げていきます。 大会に際して、選手だけでなく観客等も
地方都市
を訪れるように、
関係省庁等
と連携して、日本の魅力や旅行、観光情報の発信などに
取り組み
ます。その際、選手や観客等を市民や学生、
子供たち
が歓迎することができるよう、持続的に
国際交流
に取り組む体制を構築いたします。 あわせて、大会が円滑に運営できるように、政府としても、
交通インフラ
や
バリアフリー環境
の整備、セキュリティーの確保、
オリンピックマーク等
の
知的財産保護
、
医療サービス
の充実、地震、津波等に対する
防災対策
、ボランティアの
育成確保
、
環境保全
などに万全を期します。
オリンピック
・
パラリンピック大会
は、単なる
スポーツ
の大会にとどまらず、
スポーツ
を通じてメッセージを世界の人々に届け、それにより、心の持ち方を変え、社会を変えていく大きな力となるものです。二〇二〇年までの限られた六年半の間に、各界の英知を結集し、若者や女性を初めとする国民全体が参加する大きなうねりを生み出すことが我々に課せられた使命であると考えます。
文部科学省内
においても、我が国が目指すべき姿を描きながら、二〇二〇年、さらにはその先の将来を見据えた
取り組み
を検討するため、現在、省内の若手や中堅の職員が中心となって、
夢ビジョン
の検討を進めています。今後は、オール・
ジャパン
でのビジョンを作成していきたいと考えています。 私は、新しい日本を創造するため、
文部科学行政全般
にわたるさまざまな政策を力強く進めていくことはもちろん、オール・
ジャパン
で日本の再生を実現することができるよう全力を賭して各般の改革に取り組んでいく決意でありますので、引き続き、
関係各位
の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 ありがとうございます。
小渕優子
3
○
小渕委員長
次に、
平成
二十六年度
文部科学省関係予算
の
概要
について説明を聴取いたします。
櫻田文部科学
副
大臣
。
櫻田義孝
4
○
櫻田
副
大臣
平成
二十六年度
文部科学省関係予算
につきまして、その
概要
を御説明申し上げます。
文部科学省関係予算
は、
一般会計
五兆三千六百二十七億円、
東日本大震災復興特別会計
一千四百五十億円、
エネルギー対策特別会計
一千百五十二億円となっております。 第一に、
我が国
の将来を担う
次世代
の
育成
を図り、
世界トップレベル
の
学力
、
規範意識
、
歴史
や
文化
を尊重する態度を育む
教育再生
を
推進
し、
社会
を生き抜く力を
養成
するため、
全国
的な
学力調査
の
実施
により、
子供たち
の
課題
を把握するとともに、
教育再生
実行
の基盤となる
教職員等指導体制
の
整備
や
道徳
教育
の
充実
を行うこととしております。 また、
特別支援教育
、
キャリア教育
、
職業教育
の
充実
、
いじめ
対策
や
食育
、土曜日の
教育活動
の
推進
を図るとともに、情報通信技術を
活用
した学びの
推進
及び専修
学校
、
大学等
における
社会人
や
女性
の
学び直し
の機会の
充実
を行うこととしております。 第二に、
未来
への飛躍を
実現
する
人材
を
養成
するため、徹底した
国際化
を
推進
する
スーパーグローバル大学
やスーパー
グローバル
ハイスクールの
創設
、小中
高等学校
を通じた
英語教育
の
強化
、持続可能な
開発
のための
教育
の普及
促進
を図るとともに、
官民
が
協力
して
日本人
学生
の
海外留学
を
支援
する新たな
制度
を
創設
することとしております。 また、各
国立大学
の強み、特色を生かした
機能強化
への
取り組み
を
支援
することで
国立大学
改革
を
促進
するとともに、建学の精神に基づき多様な
人材
を
育成
する
私学
の
振興
を図るため、基盤的経費の
充実
とめり張りのある
配分
、耐震改築事業への国庫補助
制度
の
創設
等を進めることとしております。 第三に、安心して
教育
を受けることができる学びのセーフティーネットを
構築
するため、
幼児教育
に係る
保護者負担
の
軽減
を図ります。また、
高等学校等就学支援金制度
に所得制限を導入し、それによる
財源
で低
所得世帯
の
教育費負担
を
軽減
するため、私立高校の低
所得世帯
等の生徒への
就学支援
金の加算の拡充や、
奨学
のための
給付金制度
の
創設
を行います。さらに、
大学等
奨学金事業
及び
大学
の授業料減免等の
充実
を図ることとしております。 また、公立
学校施設
の
耐震化
、
老朽化対策
等を
推進
するとともに、
国立大学
等の
耐震化
、最先端
研究
施設の
整備
、老朽施設や附属病院の
再生
等に取り組むほか、
防災教育
や
通学路
の安全
対策
の
推進
を行うこととしております。 第四に、きずなづくりと活力あるコミュニティーの形成のため、
学校
支援
地域
本部、放課後
子ども
教室、コミュニティースクールなどにより、
地域
の活性化や
社会
全体で子供を育む
環境
づくりを
推進
することとしております。 第五に、
スポーツ立国
の
実現
を目指し、二〇二〇年
オリンピック
・
パラリンピック
東京大会
に向けて、
スポーツ
の価値を高める国際貢献のための
スポーツ
・フォー・トゥモローの
実現
や、国際競技力の
向上
、
スポーツ環境
の
整備
などを
推進
することとしております。 第六に、
世界
に誇るべき
文化芸術立国
の
実現
を目指し、豊かな
文化芸術
の創造と
人材育成
、
文化
財の保存、
活用
及び継承、
我が国
の多彩な
文化芸術
の発信や国際
文化交流
の
推進
、国立
文化
施設の
機能強化
などを
推進
することとしております。 第七に、
科学技術イノベーション
・システムを
構築
するため、産学
連携
による国際科学
イノベーション
拠点を
構築
するとともに、
基礎研究
力
強化
を図るために、独創的で多様な学術
研究
などを継続的に
推進
します。また、
科学技術
を担う
人材
を
育成
するため、
若手研究者
や
研究支援人材
の
流動化
などを図る新たなる
仕組み
を
構築
します。さらに、ポスト「京」の
開発
に新たに着手するなど、国際水準の
研究環境
及び基盤の
充実
強化
、
科学技術
の国際活動の戦略的
推進
を図ることとしております。 第八に、ライフサイエンスによる
イノベーション
創出
のため、健康・医療戦略
推進
本部の
もと
、
関係
府省と
連携
し、革新的な医療技術の
実用化
を加速するとともに、クリーンで経済的なエネルギーシステムの
実現
を目指し、
ITER計画
などを
推進
します。また、
地震
、津波による被害
軽減
のための
調査
観測などの
実施
により、
次世代インフラ
の
整備
を図ることとしております。 第九に、
人類
のフロンティアの開拓及び
国家安全保障
・
基幹技術
の
強化
を図るため、
新型基幹ロケット
の
開発
着手、
海洋
資源の
調査
研究
、
高速増殖炉
「もんじゅ」の安全
対策
、維持管理に必要な
取り組み
などを
推進
するとともに、東
日本
大震災
からの早期の
復興
再生
を図るため、廃止措置、
除染
等に資する
研究開発
などの
取り組み
を
実施
することとしております。 以上、
平成
二十六年度
文部科学省関係予算
の
概要
につきまして御説明を申し上げました。 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますので、御説明を省略させていただきます。
小渕優子
5
○
小渕委員長
以上で説明は終わりました。 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分
理事
会、午前九時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十七分散会