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2014-02-25 第186回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十六年二月二十五日(火曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 安住  淳君    理事 今津  寛君 理事 関  芳弘君    理事 西銘恒三郎君 理事 宮路 和明君    理事 菊田真紀子君 理事 阪口 直人君    理事 佐藤 英道君       秋元  司君    伊東 良孝君       岩田 和親君    國場幸之助君       武井 俊輔君    武部  新君       永山 文雄君    福山  守君       堀井  学君    堀内 詔子君       宮崎 政久君    渡辺 孝一君       前原 誠司君    石関 貴史君       西岡  新君    遠山 清彦君       杉本かずみ君    井坂 信彦君       赤嶺 政賢君     …………………………………    外務大臣         岸田 文雄君    国務大臣    (沖縄及び北方対策担当) 山本 一太君    内閣府副大臣       後藤田正純君    防衛大臣        武田 良太君    外務大臣政務官      石原 宏高君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   井上 源三君    政府参考人    (内閣沖縄振興局長)  石原 一彦君    政府参考人    (内閣北方対策本部審議官)           山本 茂樹君    政府参考人    (外務省欧州局長)    上月 豊久君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君    政府参考人    (水産庁資源管理部長)  枝元 真徹君    政府参考人    (国土交通省北海道局長) 関  博之君    政府参考人    (環境省自然環境局長)  星野 一昭君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君    衆議院調査局第一特別調査室長           本多  満君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   杉本かずみ君     三谷 英弘君 同日  辞任         補欠選任   三谷 英弘君     杉本かずみ君 同月二十五日  辞任         補欠選任   國場幸之助君     武井 俊輔君   比嘉奈津美君     堀内 詔子君 同日  辞任         補欠選任   武井 俊輔君     岩田 和親君   堀内 詔子君     福山  守君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     國場幸之助君   福山  守君     比嘉奈津美君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 安住淳

    安住委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、昨二十四日、沖縄問題に関する実情調査のため、委員十名が参加して沖縄県内視察を行いましたので、参加委員代表して、私からその概要を御報告申し上げます。  まず、那覇市において、沖縄県の市長会議長会など四団体代表及び各圏域団体代表方々と、沖縄が抱えるさまざまな課題等について意見交換を行いました。  その後、金融IT特区に指定されている名護市において、「みらい館」を視察し、参入企業方々から、特区制度がもたらす効果等について説明を聴取しました。  次いで、宜野湾市において、西普天間住宅地区視察し、跡地利用検討状況について説明を聴取した後、普天間飛行場視察し、その概要を聴取しました。  さらに、那覇空港において、第二滑走路建設予定地視察し、施工計画概要を聴取したほか、新貨物ターミナルビル視察し、国際貨物事業概要を聴取しました。  以上が、今回の委員会視察概要でありますが、視察に当たり御協力いただいた方々に深く感謝を申し上げるとともに、本視察を生かし、沖縄の一層の振興に向け、当委員会審議をより充実したものにしてまいりたいと存じます。     —————————————
  3. 安住淳

    安住委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、内閣沖縄振興局長石原一彦君、内閣北方対策本部審議官山本茂樹君、外務省欧州局長上月豊久君、厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君、水産庁資源管理部長枝元真徹君、国土交通省北海道局長関博之君、環境省自然環境局長星野一昭君及び防衛省防衛政策局長徳地秀士君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 安住淳

    安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 安住淳

    安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。
  6. 関芳弘

    関委員 それでは、トップバッターとして質問をさせていただきます。自民党の関芳弘でございます。  昨日は、本委員会委員方々沖縄に、日帰りという強行な日程の中で現地視察していただきまして、本当に私からも皆様に御礼を申し上げたいと思います。  沖縄歴史を考えますに、今までの沖縄歴史の中で、我々が実際には心の底からは理解し得ないような心の苦しみや悲しみなどを今なおずっと心の中に抱きながら、それでもなお日本国家の一員として努力していこう、みんなと一緒に頑張っていこうという思いを持ってくださっている沖縄県の皆様方に本当に心から敬意を表し、感謝思いを抱いて、そして、沖縄のこれからの発展を私も全力で支えてまいる所存でございます。  きょうは、少し、大臣からの、法案がこれから改正されるめどでありまして、その趣旨説明と相前後してしまうんですが、これから沖縄に対してしないといけないこと、我々が考えていかないといけないことというのは、法律云々もさることながら、やっていかないといけないことに対するその趣旨については、我々は一本筋の通った理念を持ち、そして信念と行動を貫いていかないといけないと思いますので、少し先走ってしまうんですが、沖縄振興に関しまして、これから見直しがされていこうとされております、振興特別措置法内容をよくしていこうというこれからの状況を踏まえまして、法律改正を今後予定されます中におきまして、沖縄自主性ということがキーポイントになるかと思うんですが、その趣旨そして目的等につきまして、大臣の方から御説明を賜りたいと思います。
  7. 山本一太

    山本国務大臣 今、関議員沖縄に行かれて、いろいろと沖縄思いを感じられたというお話がございました。  沖縄担当大臣になって一年以上経過いたしましたけれども、沖縄振興日本政府としてこれまでやってきた。もちろん、歴史的な理由、社会的な理由、地理的な理由、いろいろありますけれども、私は、沖縄が将来は日本フロントランナーとして経済を引っ張っていく、そういう存在になる可能性潜在力を秘めているというふうに考えておりまして、そういう沖縄の未来の姿を描きながら、振興担当大臣として力をこれからも注いでまいりたいというふうに考えております。  さて、今お話のあった、今国会に提出している沖縄振興特別措置法の一部改正案でございますが、これは、昨年末に決定された平成二十六年度税制改正大綱中身を実現するために所要の措置を講ずるものでございます。  改正案におきましては、一つは、従来、国が指定するとされていた情報通信産業振興地域特別地域国際物流拠点産業集積地域について、地域指定権限事業認定権限沖縄県知事に移譲するということが一つのポイントです。  もう一つは、現行の金融業務特別地区制度にかえて創設する経済金融活性化特別地区制度において、課税特例対象産業、これを沖縄県知事が策定する計画で設定できるようにいたします。と同時に、この事業認定権限というものを沖縄県知事に移譲するという中身になっております。  今、関委員のおっしゃったように、沖縄県の主体的な役割を尊重し、その自主性をより一層発揮できる制度としようというふうに考えております。  今般の改正が実現されることによって、沖縄県による機動的な企業誘致、あるいは多様な産業集積を通じた経済金融活性化が図られ、沖縄自立経済発展することを期待しております。
  8. 関芳弘

    関委員 ありがとうございました。  地域の力というのは、それぞれ日本全国、一番よく御存じなのはやはり地域の方だと思います。そして、その地域の方の思いが自由闊達で、しかも日本の国内において整合性を持ちつつ、十二分に発揮されるベストバランスというのは非常になかなか難しいところでございますが、私は、沖縄に関しましては、今回の法律趣旨そして理念につきましては非常に大切であり、沖縄にとっては、特に今回の改正目的そして思いは十二分に達成され得るものと信じておりますし、これを沖縄県知事初め県民の皆様方が喜んでいただけることを心から祈念申し上げたいと思います。  それでは、二つ目質問でございます。  沖縄県知事が策定します経済金融活性化計画でございますけれども、知事集積を促進しようとする産業につきましては、いろいろなことが考えられると思いますけれども、これは沖縄県知事に聞くのが本当は一番いいんですが、その対象業種については、沖縄県としましては今どのような考え方を持っていらっしゃるのか、その点について情報がございましたら、聞かせていただきたいと思います。
  9. 山本一太

    山本国務大臣 今の御質問沖縄県知事が策定する経済金融活性化計画集積を促進しようとする産業対象業種をどういう考え方で選ぶのか、どういう考え方で決めるのかということだと思います。  改正案におきましては、経済金融活性化特別地区対象産業というものは、沖縄県知事が、この経済金融活性化計画において、沖縄経済金融活性化を図るために集積を促進しようとする産業を記載するということになっておりまして、先ほども申し上げたとおり、沖縄県知事の判断によるものでございます。  経済金融活性化特別地区は、実体経済の基盤となる産業金融産業が車の両輪として沖縄経済金融活性化に寄与するということをこの制度趣旨にしております。  このため、対象業種として、金融業は、もちろん想定されます。それ以外の対象産業についても、やはり、相乗効果、こういったものを踏まえながら、沖縄県知事が総合的な観点から定めるものだというふうに認識をしております。  沖縄経済金融活性化が図られて、沖縄自立経済発展に資するように適切に定められることを期待しております。
  10. 関芳弘

    関委員 今大臣からお話をいただきましたように、金融経済界企業、この二つ両輪でというお話でございました。  私も、議員になります前には十七年ほど金融の世界におりました。また、今は党の中小企業小規模事業者調査会事務局長を務めておりますが、経済金融の方をともに両輪として、どちらも欠けることなく両立させていくことというのは、経済を考える上においても、どうしても金融の力というのはかりざるを得ないと思いますし、企業がたとえ黒字であっても金融の面だけで破綻してしまうこともあります。ですので、今回のその方針産業を促進するために金融両輪でという考え方は私は大賛成でございますので、ぜひその両輪が両立して沖縄経済発展させていただきますことを心から祈念申し上げたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  この経済金融活性化計画に関してですが、沖縄県におきましては、施設整備も十二分に、今回の計画で整えていこうという策がとられると伺っておりますが、その施設整備に関する基本的な方針を聞かせていただきたいと思います。
  11. 山本一太

    山本国務大臣 これはこれからのことでございますが、これまでに整備された既存のインキュベーション施設等、これを少し具体例として挙げさせていただければと思っております。  企業集積を図るに当たっては、予算措置も含めた総合的な施策展開が重要になるというふうに認識をしております。沖縄県においても、これまで、各特区業種の特性に応じてさまざまな対策を講じてまいりました。  例えば、ちょっとメモで持ってきたんですが、情報金融産業については、情報セキュリティーや電源の安定化などに配慮をしたインキュベーション施設整備を行っております。さらには、情報通信コストを低減するための措置、これは企業への補助ということでございます。さらに言うと、主に製造業については、賃貸工場整備とか、あるいは輸送コストの低減のための措置等を行ってまいりました。さらに言うと、人材確保人材育成の面でいうと、若年層を雇用した場合の助成金とか、あるいは情報金融といった業種ごと人材育成支援事業の実施等々、さまざまな試みをこれまで行ってまいりました。  今後、経済金融活性化特区において集積を促進する産業については、先ほど申し上げたとおり沖縄県の方で検討していくことになりますが、その中身を検討しながら、施設整備も含めた施策が検討されるということになります。  いずれにせよ、税制のみならず予算措置も含めた総合的な施策展開によって企業集積が図られていくということですので、経済金融活性化特区税制措置とあわせて、先ほど申し上げた相乗的な効果を生み出していくための各種の施策沖縄県においても展開していただく、このことを期待しております。
  12. 関芳弘

    関委員 ありがとうございます。  施設整備に関してですが、私の拙い持論でございますけれども、日本は今一千兆円もの赤字がたまっている国家でございますが、一方、貸借対照表からいきますと、その一千兆円にもまさるほどの資産を持っているのも、これまた日本の実態だと思います。  今まで国、そして地方がいろいろお金をつぎ込んできた施設につきましては、十二分に活用がされていなかったり、まだもっと力が発揮できるような施設がそのままになっているのがたくさんあるのも、これまた事実だと思います。私はこれを、自分で名づけているんですが、眠れる日本宝物というふうに呼んでおります。  私は地元神戸でございますが、神戸におきましても、阪神大震災が十九年前にありまして、その被災された方々のために公営の、県営そして市営住宅避難地住宅がたくさんつくられました。そして、この十九年の間にたくさんの方々が御高齢になって、お子様の自宅の方に移っていかれた後、県営住宅市営住宅もたくさんあきができているようなのが神戸状況でございます。  こういうふうな国とか地方が持っております公営施設、これは本当に眠れる宝物だと思うんですね。こういうふうなところを、例えば保育園に使っていくですとか、高齢者施設に使っていくですとか、そういうふうな知恵を今どんどんと日本は出すべきだと考えております。  今回、沖縄振興に当たりましても、施設整備につきましてもいろいろな策を県知事は考えられると思いますが、ぜひ、そういうふうな観点からも、これから国が支援することにつきましても、できるだけお金が有効に動いていきますように、そういうふうな眠れる資産を起こしていくような観点一つ持っておいていただければ何よりだと思います。  続きまして、最後の質問をさせていただきたいと思います。  今までは国が策定しておりました情報通信産業振興地域等指定権限、並びに同事業に関する所得控除課税特例対象となる事業者を認定する権限、これを今後沖縄県知事に引き渡すことによって期待される効果というのをお伺いしたいと思います。  これも、今まで国が持っていたものを、まさに地域権限移譲ということでございまして、その活性化が図られることと思いますが、その効果、今見積もりされております内容につきましてお伺いできればと思います。
  13. 山本一太

    山本国務大臣 今回の改正案においては、今、関委員の方からお話がありましたとおり、これまでは主務大臣が行っていた情報通信産業振興地域地区、そして国際物流拠点産業集積地域指定権限及び所得控除課税特例対象となる事業者認定権限、これを沖縄県知事に移譲するということにしております。  地域指定権を移譲することによって、まず第一に、沖縄県が把握している進出予定企業の立地の意向とか、あるいは沖縄県独自の支援制度との相乗効果とか、そういったものを十分踏まえた地域指定を迅速に行うことが可能になるというふうに考えております。  さらに、事業認定についても、企業誘致を実際に働きかけ、進出予定企業の相談に当たっているのは県ですから、その県が事業認定権者となることで、円滑なコミュニケーションを通じた迅速な事業認定が見込める、機動的かつ効果的な誘致に資するものと期待をされております。  今般の改正が実現されることによって、沖縄県における機動的な企業誘致、多様な産業集積を通じた経済金融活性化が図られ、沖縄自立型経済発展するということを担当大臣として期待しております。
  14. 関芳弘

    関委員 ありがとうございました。  国と地域地方との権限の持ち方、そして役割分担というのは、非常に難しい点も内包されているのは事実だと思います。  地域が、ここが必要だと思っていろいろ手を加えようとしましても、国家全体とすれば整合性を欠いていたり、また、国が、ここは沖縄県に対して非常に重要だと思っても、実は沖縄県では、お金を出してくれるとありがたいんですけれども、実際には余り効果がないなと地元の人が思ったりというふうなことがあってはなりません。  今回は沖縄県に権限移譲をたくさんされるということで、自主性沖縄県に与えるということ、これは私は非常に大切であり、また、ぜひ成功させないといけないと思うんですが、ただ一点、国家のありようとしての整合性はやはりチェックをすることが必要だと思います。  それに加えまして、強い権限沖縄県知事に与えられることによりまして、知事の活動並びにその方針が本当に妥当であるということのチェック体制については、我々はやはり定期的に見直していくという体制が必要だと思いますので、その点のフォローアップにつきましても、この法案は非常にいい内容だと思いますし、沖縄発展に寄与すると私は信じておりますので、そのような国家全体としての整合性をとる点と、そして、本当に有益にこの法案が進んでまいりますことを心から祈念申し上げ、その後の国家としてのフォローアップ体制をきちんとやっていただきますことをお願い申し上げまして、少し早いですが、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  15. 安住淳

    安住委員長 次に、伊東良孝君。
  16. 伊東良孝

    伊東(良)委員 それでは、私は、北方領土の方で質問をさせていただきたいと思います。  それぞれ大臣所信についてお聞きさせていただきますけれども、まず岸田外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  安倍総理が、昨年は四回、ことしはソチオリンピック開会式の翌日にプーチン大統領会談をされました。この一年間の間に五回も首脳会談ができるということは、非常にすばらしいことだと思いますし、いよいよファーストネームで呼び合う仲になってきたかと、人間関係信頼関係の向上が感じられるところであります。  北方領土問題の進展に向けたこの会議の意義について、改めて聞くのもなんでありますけれども、お聞きしたいのが一つ。  それから、所信の中で、政治対話テンポよく進んでいる、このようにおっしゃられておりますけれども、首相を初め外務大臣も、さらにはまた、前回は2プラス2の防衛大臣も加えてのお話でありましたし、また、次官級の接触も行われているということでございます。ことし、またロシアで2プラス2も行う予定、さらにはまた外務大臣も訪ロされるというようなお話でございますので、これは安全保障面でも非常に有益かつ初めてのことだと思います。  この点の一連のテンポのよい外交について、領土問題の見通し等含めてお聞きいたしたいと思います。
  17. 岸田文雄

    岸田国務大臣 安倍総理は、二月七日、ロシアソチで行われましたオリンピック開会式出席をし、そして翌日、二月八日に五回目の日ロ首脳会談に臨みました。当日は、会談に続きまして昼食をともにし、そして、合わせて二時間以上にわたりまして率直な意見交換を行った次第です。  その中で、今後の日程としましては、六月にG8のソチ・サミットが予定されていますが、その際に次の日ロ首脳会談を行うこと、さらには、ことしの秋、プーチン大統領の訪日を行う、こういったことについて確認をした次第です。  そして、平和条約締結問題につきましては、この首脳会談に先立ちまして、日ロ次官級協議が行われ、そして日ロ外相会談も行われました。こうした次官級協議外相会談を踏まえまして意見交換を行い、今後引き続き議論を重ねていく、こういった点で首脳間で一致したという内容でありました。  それ以外にも、経済安全保障文化スポーツ、あらゆる分野において日ロ協力関係を確認いたしましたし、また、国際場裏におきましても、中央アジアにおける国境管理の問題ですとか、あるいは麻薬問題につきましても協力をしていく、こういったことを確認いたしました。  こうした首脳会談ですが、まずは、日ロ首脳間の個人的な信頼関係を一層強固に確認することができたということでありますし、今後一年間の日ロ協力の展望を確認する、こういった意義ある内容であったと認識をしております。  御指摘のように、ことしの春には私自身もロシアを訪問させていただく、こういった点で日ロ間で一致をしております。  今後とも、御指摘安全保障経済文化、あるいはスポーツ等、あらゆる分野を通じて日ロ協力を進めていく、日ロ協力レベルを全体として底上げしていく、この中で、ぜひ、北方領土問題、平和条約締結問題につきましても粘り強く交渉を進めていきたいと考えております。
  18. 伊東良孝

    伊東(良)委員 両国がレベルが上がってきている、友好関係も含めて上がってきているのはいいんですけれども、実は、ビザなし交流が始まってちょうど二十年たつわけであります。昨年二十年を迎えました。  二十年前にロシア人根室あるいは日本に来たときに、大変すばらしい国だ、町だ、うらやましいという称賛の言葉があったんですけれども、二十年たって、最近根室を訪れるロシア人は、非常に寂れてしまった、寂しい町だという話を評価として下されるようになってまいりました。極めて残念であります。  二十年前、根室市あるいは近隣四町、合わせて人口九万一千二百七十五でありました。これが、昨年末では七万九千六百一人ということで、一万二千人以上も人口が減少している。そして、経済も疲弊する。本当に寂しくなってきているわけであります。  こんなことで本当にいいんだろうか。首脳同士交流は深まる、しかし、現地はどんどん寂れてしまう。これでは本当に寂しい話でありますので、地域振興策にさらに私は力を入れるべきだと思いますし、沖縄に配分されておりますような一括交付金的な、もう少し自由度の高い予算の配分なども本来ここにされるべきではないのかな、そんな思いがあるわけでありますけれども、これは、担当国土交通省北海道局でありますので、国交省に、この点について、振興策をお聞きしたいと思います。
  19. 関博之

    関政府参考人 お答えいたします。  北方領土問題の早期解決に向けまして、隣接地域が魅力的な地域として映ることが重要であると考えているところでございます。また、北方領土隣接地域が安定した地域社会となるよう、振興対策を推進していく必要があると考えております。  平成二十五年度を初年度といたします第七期の隣接地域振興計画には、隣接地域振興のための重点的施策が位置づけられておりまして、総合的な事業効果を発揮させるために、ハード事業ソフト対策を一体的に組み合わせて推進しているところでございます。  ハード事業では、通常の公共事業に加えまして、北海道特定特別総合開発事業推進費のテーマの一つに、北方領土隣接地域における魅力ある地域社会の形成を設定いたしまして、効果的に進めているところでございます。  また、ソフト対策につきましては、北方領土隣接地域振興事業推進費補助金の見直しを行いまして、重点的な取り組みに係るソフト対策への支援を充実させたところでございます。  これらの施策を総合的に実施することによりまして、隣接地域のより一層の安定、振興を図ってまいりたいと考えているところでございます。  なお、御指摘沖縄で導入されております一括交付金につきましては、導入された経緯も含めまして、よく勉強させていただきたいというふうに思っております。
  20. 伊東良孝

    伊東(良)委員 北海道局長に一括交付金の話をしても、なかなか、所管の違う話でありますので、簡単な話にはならぬかと思います。  これは山本大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど言いましたように、ビザなし交流、二十年たちました。おととしに、新造船「えとぴりか」という交流船が完成し、非常に快適に四島に訪問をすることができるようになってまいりました。ところが、この発着場所、いわゆる根室港の岸壁というのが、仮岸壁、本当に何もないところに接岸する。トイレもなければプレハブの待合所も何もないというところで、天気がちょっと悪いと、雨の中、一時間も二時間もみんなそこで待たされるような話になるわけであります。  行く側も、向こうからロシア人が来る側もそうでありますけれども、これは、大臣、昨年ビザなし交流で渡航された際、よくおわかりだと思いますけれども、せめて待合所、トイレくらいはあの岸壁に、恒久的な物すごいものでなくても構わないので、私はやはり設置をしていくべきではないのかなという気がいたしますが、この点について大臣はどうお考えでしょうか。
  21. 山本一太

    山本国務大臣 伊東議員におかれましては、北方領土隣接地域が御地元ということで、返還要求運動はもちろん、隣接地域振興について大変な御尽力をいただいていることを、まず北方対策担当大臣として感謝を申し上げたいと思います。  私も昨年九月の訪問時に現場を確認いたしました。確かに、ビザなし交流において使用している専用船「えとぴりか」の接岸岸壁は、臨時的なものだということで、現在、おっしゃったとおり、待合室もトイレもないという状況です。  伊東議員からも再三お話がございましたし、宮路議員や今津議員の方からも強い御要望もいただいておりますし、おっしゃったとおり、訪問される方々が御高齢ですので、本年のビザなし交流事業からは、接岸岸壁においてテントや簡易トイレを設置するなどの措置を今検討しております。きょうの御質問も受けて、北方対策担当大臣としてちょっと事務方に作業を加速させたいと思いますし、できる限り何らかの形で実現をさせたいというふうに考えております。  引き続き、議員からの御提案も受けながら、ビザなし交流をよりよいものにしていくように頑張ってまいります。
  22. 伊東良孝

    伊東(良)委員 これは本当に我々の悲願でありますけれども、将来、島が返ってくるようなことになった場合、その北方四島の開発拠点は、当然、根室市及びその隣の釧路市あたりになるんだろうというふうに思います。根室市のいわゆる物流拠点、人流、物流の拠点は、港であり、JRのステーションなわけであります。  ところが、釧路—根室間のJRは、路盤が非常に弱くて整備がなかなかされておらず、貨物列車が通っておりません。それから、札幌から釧路までは、特急列車が一日に七本くらい通っているのでありますけれども、これが、例えば車両台数を減らしても、一台も現実に通すことができない形になっています。国道は、一般の国道、片側一車線国道が一本あるだけという形になっておりまして、本格的に返還、あるいはその先の開発ということになりますと、物流も人流も全く根室まで整備されていない、届かないという話になるわけであります。  やはりここは、北海道横断自動車道、札幌、函館あるいは旭川と結ぶ横断自動車道が、ことし、来年にも釧路付近まで来るわけでありますので、できることなら根室まで高規格道路の整備というものをすべきではないか、このように思います。また、根室港の整備ということが、根室からの北方四島に対する物流、そしてまた開発という形になってくるのではないかな、こう思うところでございます。  この点につきまして、大臣の御認識をいただきながら、これは地元整備で、港あるいは道路ということでありますので、国交省の北海道局にその進捗というか開発をお願いしたい、こう思う次第でありますので、関局長、よろしくお願いします。
  23. 関博之

    関政府参考人 お答えいたします。  北海道におけます公共事業の国庫補助負担率につきましては、北海道特例といたしまして、沖縄を除くほかの都府県に比べて高率になっているところでございます。  また、先ほども御説明いたしましたけれども、通常の公共事業に加えまして、北海道特定特別総合開発事業推進費を活用いたしまして、ハード事業効果的に実施しているところでございます。  さらに、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律第七条の特別の助成では、国の補助を受けて隣接地域の市町が実施する事業のうち、政令で定める事業につきまして補助率のかさ上げ措置が規定されているところでございます。  北方領土隣接地域の重要性は認識しておりまして、釧路—根室間の整備も含めまして、これらの制度を活用しながら、引き続き、隣接地域における基盤整備効果的に推進してまいる所存でございます。
  24. 伊東良孝

    伊東(良)委員 もしかしたら、これは大臣の所管がちょっと違うかもしれませんけれども、ぜひ、共通の御認識ということで、地域の開発、あるいは開発拠点としての根室港の整備、あるいは根室地域への交通網ということをお考えいただきたいというふうに思います。  もう一点。  これは島民の皆さんからも随分要請のあるところでありますけれども、元島民の平均年齢は八十歳に相なりました。思いを果たせぬままお亡くなりになった人もたくさんいらっしゃるわけでありまして、今この返還運動は三世、四世へと受け継がれているところであります。ただ、三世、四世の皆さんのお話をお聞きしますと、仕事もしながら、あるいは職場に気兼ねをしながら、返還運動であり、あるいは会議出席をしなければならない、勤務先の理解もなかなか簡単に得ることができない、経済的な負担もまたこれありということであります。  運動を先細りさせないためにも、政府として、もっと三世、四世の負担軽減あるいは運動支援というものをお考えいただきたいと思いますけれども、山本大臣の御見解をぜひお伺いしたいと思います。
  25. 山本一太

    山本国務大臣 今、伊東委員の御指摘のとおり、元島民の平均年齢は大変高齢化しております。今約七千五百人ということですが、平成二十四年度末で平均年齢七十九歳ということで、後継世代による返還運動への支援は、今おっしゃったとおり大変重要だと考えております。  このため、元島民の意思を直接受け継ぎ、今後の返還運動の中心を担う元島民の後継者、二世以降の方々に対しては、後継者活動の推進のために、北方領土問題対策協会によって、後継者の語り部の育成とか、あるいは後継者研修会の開催などの支援を実施してまいりました。  また、北方対策本部としても、北方領土近接地域と連携をし、これは伊東議員御存じだと思いますが、北方領土返還要求原点の声派遣事業を実施しておりまして、元島民後継者等を全国各地で開催される大会、研修会等に今講師として派遣する事業も行っております。  さらには、今月六日、私自身も、元島民団体である千島歯舞諸島居住者連盟青年部の元島民後継者世代、舘下後継者活動委員会委員長等とお目にかかりました。この方々がITを利用した活動を大変活発にやっておられまして、そこら辺のことも聞かせていただきましたし、今後の後継者支援についてのヒントもいただきました。  やはり、切れ目のない返還運動の継続が重要だということは言うまでもないことだと思いますので、引き続き、後継者の方の御意見も踏まえながら元島民後継者世代への支援を行うとともに、あらゆる手段、機会を捉えて、若い世代の北方領土問題への認識を高めるための啓発あるいは世論の喚起を行ってまいりたいと考えております。
  26. 伊東良孝

    伊東(良)委員 岸田外務大臣にお伺いしますけれども、所信の中で、北方四島の帰属の問題を解決して日ロ平和条約を締結するとの基本方針のもと、関係団体と密接に連携しながら全力で取り組みたい、こうされているわけであります。  この四島の帰属についての考え方、これは国内にもさまざまな考え方があるわけでありますが、政府の基本的な四島の帰属という考え方についてお伺いをしたいと思います。
  27. 岸田文雄

    岸田国務大臣 北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、これが我が国の基本的な方針であります。  そして、四島の帰属の問題というのは、北方四島の領有権に関する問題であると認識をしております。そして、これはもう既にさまざまな場で申し上げているところでありますが、北方四島の帰属の問題が解決したならば、実際の返還の時期ですとか、あるいは条件ですとか、あるいは対応ですとか、こうした具体的な進め方については柔軟に対応していくというのが我が国の基本方針でもあります。
  28. 伊東良孝

    伊東(良)委員 これは山本大臣所信の中に最後の方で書かれていたことでありますけれども、「領土問題の解決に寄与するという本来の目的を実現するための戦略的な北方四島交流事業の推進に努める」、こうありますけれども、この戦略的な交流事業の推進というのはどういうことを言おうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  29. 山本一太

    山本国務大臣 四島交流、いわゆるビザなし交流ですけれども、平成四年度の事業開始から平成二十五年度まで、これまで約二万人が相互に訪問をいたしました。相互の友好関係はおおむね構築されてきたというふうに認識をしております。  他方、しかしながら、事業のあり方については、さまざまな課題の指摘がなされております。  二十四年度に新船「えとぴりか」が就航したので、これを機に事業のあり方を見直すことといたしまして、昨年三月末に、将来を担う若者など各界各層の幅広い参加を促進することとか、あるいは視察中心のプログラムから対話中心のプログラムに改めることなどを盛り込んだ、北方四島交流事業の見直しについてという提言を取りまとめさせていただきました。  これを受けて、昨年の事業においては、一つは、各界各層の幅広い参加を促進するため、受け入れ事業に参加した大学生に訪問事業に参加していただいたり、あるいは、対話中心のプログラムとなるよう、四島側住民の参加を得るべく、クラシックバレエなどの文化交流も開催をさせていただきました。  私は、昨年九月に四島交流訪問団の一員として国後及び択捉を訪問した際の文化交流、これは和装のショーなどがあったんですけれども、たくさんの四島側住民にも参加をしていただいて、相互理解を深めることができたというふうに考えています。  引き続き、関係団体の御意見、昨年の北方領土訪問の経験等を踏まえ、もちろん外務省とともに、領土問題の解決に寄与するという本来の目的を実現するための戦略的な北方四島交流事業の推進を進めていきたいと考えております。
  30. 安住淳

    安住委員長 伊東君、時間が参っております。
  31. 伊東良孝

    伊東(良)委員 時間が来ましたので終わりますが、「ジョバンニの島」というアニメ映画がつい三日前に封切りになりました。色丹島で終戦を迎えた十歳と七歳の兄弟の話であります。感動的な話だといいますし、そしてまた、北方領土に対する理解を深める映画だという高い評価もいただいているようでございますので、政府としても、ぜひこれを応援していただきたいというふうに思う次第であります。  質問を終わります。ありがとうございました。
  32. 安住淳

    安住委員長 次に、佐藤英道君。
  33. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道でございます。  昨日、当委員会視察沖縄を訪問させていただきました。率直な意見交換など大変に有意義な視察でありまして、安住委員長を初め関係各位に心から御礼を申し上げたいと思います。  私は、前に質問されました伊東良孝委員と同じ北海道でありますけれども、沖縄戦におきましては、北海道民も一万人以上が亡くなっております。その鎮魂のための慰霊碑、北霊碑が沖縄県の糸満市に建っておりますけれども、遠く、慰霊に行けない北海道の遺族にかわって、沖縄方々はこの慰霊碑を守ってくださった歴史がありまして、この場をおかりして心から感謝を申し上げたいと思います。  一昨年、五年ぶりに沖縄と北海道の直行便が就航したことをきっかけに、連携ミッションや大交易会など、北海道と沖縄が互いの利点を生かして、アジアのマーケットに向けても挑戦を始めているところでございます。この進展にも注目し、支援もお願いしてまいりたいと思いますが、山本大臣にもお力添えをぜひいただきたいと思います。  大臣から、まずこの件について御所見を頂戴できればと思います。
  34. 山本一太

    山本国務大臣 今委員がおっしゃったように、沖縄と北海道は異なる豊かな自然環境に恵まれております。それぞれが固有の強みを持っていると思います。  例えば、北海道の豊かな食材、アジアへの貿易拠点である沖縄が連携することによって海外への販路が拡大する、こういった相乗効果が期待できるというふうに考えられます。  それぞれの強みを生かして、沖縄と北海道がウイン・ウインの関係を構築していくということは、単独での取り組みではなかなかできない効果を生み出すものであり、大変重要な視点だというふうに認識をしております。  沖縄と北海道の経済交流としては、これは議員御存じだと思いますが、本年一月に、沖縄産業振興公社と北海道科学技術総合振興センターが連携協定を締結いたしました。食品、ライフサイエンスなどの分野における経済交流を促進するということになりました。  同じく一月ですけれども、沖縄県が特産品アジア輸出促進セミナーを北海道で開催いたしました。沖縄貨物ハブを活用した、北海道の事業者の輸出拡大の機会を紹介していく。あるいは、沖縄企業と北海道の企業による連携も進んでいる等、こうした取り組みが今活性化をしております。  こういった動きが進んで、沖縄と北海道の両地域活性化が一層強化されるよう、政府としても、沖縄県とも連携をして、こうした施策の推進にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  35. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。  昨日の沖縄におきます意見交換において話題となりましたが、沖縄においてはいまだに、毎月数回程度は不発弾処理に伴う避難案内の記事が掲載されるということでありました。大変に御苦労されている実情もお聞かせをいただいたところでございます。  本年、予算におきましても、平成二十六年度で二十五億円が概算決定されておりますけれども、不発弾処理に係る経費については、国としても今後さらに積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。この点についても御所見をいただければと思います。
  36. 山本一太

    山本国務大臣 今議員がおっしゃったように、さきの大戦で激しい戦闘が行われた沖縄には、今日でもなお多くの不発弾等が存在すると考えられております。  磁気探査についての補助率のかさ上げとか、あるいは、住民の方々の要望を受けて行う広域的な探査発掘事業の実施等、本土に比べて手厚い支援を行ってまいりました。  さらに、平成二十一年に糸満で発生した爆発事故等を踏まえて、一つは、公共事業において事前探査を原則ルール化する、二つ目として、広域的な探査発掘事業を拡充する、三つ目として、住宅等の開発時における新たな補助事業平成二十四年度から試行的に開始する、こういったことを行っております。  予算額は、平成二十年度の約四億円から、平成二十六年度予算案では約六倍の二十五億円という形で、思い切った拡充を行っております。  沖縄における不発弾等対策は大変重要な課題だというふうに認識をしておりまして、引き続き、着実に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  37. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、北方問題について伺います。  昨年の予算委員会で、私は、山本北方担当大臣に、交流事業への参加、北方領土訪問をぜひにとお願いをさせていただきました。大臣は、昨年九月十九日、元島民の方々の期待に応えて、現職の閣僚としては八年ぶりの訪問を実現してくださいました。心から敬意を表したいと思います。  返還要求運動はことし六十九年目を迎え、元島民の方々も平均七十九歳になられ、既に半分の方が亡くなられました。総理も、さきの予算委員会で、私の任期のうちに解決をしたいとおっしゃられたとおり、この問題は時間との闘いという面も強くなってきたと思います。と同時に、後継者の育成も大変に重要になってきたわけでありますけれども、元島民の子孫だけではなく、全国の若い世代に北方領土問題に対する理解ももっと広げていかなければならないと痛感をしているところであります。  二十六年度の予算案に、若者の北方領土隣接地域への視察を支援するパイロット事業が開始されますが、この事業現地視察した若者たちには、帰った地域で、それぞれ身近な方たちに理解の輪、支援の輪を広げてほしいと思います。そのためには、視察後の、帰った後のフォローもまたしっかりと考えていただきたい。視察に訪れた際には、ぜひとも、直接元島民の方々からお話を聞いていただきたいと思いますし、同世代である元島民の三世、四世の方々とも交流をしていただきたいと思います。  北方領土問題の本質と返還運動の意義などを少しでも深く胸に刻んでもらえるように、この事業の運用について具体的に御要望させていただきました。山本大臣、いかがでしょうか。
  38. 山本一太

    山本国務大臣 佐藤議員におかれましては、地元選出議員として日ごろから北方領土返還要求運動に御尽力をいただきまして、北方対策担当大臣として感謝を申し上げたいと思います。昨年の委員委員会での質問に背中を押されて、八年ぶりに現職の北方対策担当大臣として国後、択捉を訪問させていただきました。  今のお話ですけれども、平成二十六年度の北方対策本部予算案については、厳しい財政状況の中で、若い世代を対象にした啓発、教育機会の拡充などに重点化をしつつ、平成二十五年度とほぼ同じ約十六億円を確保しております。  この中で、御指摘事業は、実は私の方から北方対策本部に指示をして予算化をさせたものでありまして、ある意味でいうと、きょう議員から応援をいただいたということで、本当にありがたく思っております。  具体的には、若者に北方領土隣接地域視察させるだけではなくて、北方領土問題に対して必ずしも関心が高くない高校生、大学生を啓発サポーターとして選任して、実際に北方領土を間近で見てもらった上で、みずからが普及啓発のために事後の活動に従事すること、あるいは内閣府の啓発活動に対する具体的な提案などを行ってもらおうと考えております。  これは、いわば返還要求運動の底上げを図るという趣旨で運用をさせていただくというものでありまして、御提案の元島民の方の講話とか、あるいは元島民後継世代である三世、四世との交流、これも重要かつ効果的な要素であるというふうに考えておりまして、今の議員の提案を受けて、プログラムの中に盛り込むことをしっかりと検討させていただきたいと思います。  そのほかにも、青少年に対する継続した後継者育成事業もありますけれども、引き続き、あらゆる手段、機会を捉えて、若い世代の北方領土問題への認識を高めるための啓発あるいは教育の充実を含めた、一層の啓発活動に力を入れてまいりたいと考えております。
  39. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。  次に、プーチン大統領の訪日について伺います。  昨年十月に、公明党の山口代表に、北方領土返還運動発祥の地、根室を訪問していただきました。山口代表は、安定政権が誕生し、日ロ首脳間でも積極的な流れが出てきている中、与党公明党としても、今回の視察を重要なステップにして、問題解決へ努力したいと会見で述べていただきました。  振り返れば、昨年四月の安倍総理の訪ロからこの十カ月間、首脳会談五回、外相会談三回など、日本ロシアの関係はかつてない友好ムードに包まれていると思います。  ことしも政治経済交流日程がメジロ押しであります。六月にはソチのG8で六度目の首脳会談、秋にはプーチン大統領が来日して、七回目の首脳会談が行われます。おのずと私たちの期待も膨らんでまいりますが、私としては、プーチン大統領には、全国どの都府県よりも圧倒的にロシアとのつながりの深い北海道にぜひとも訪問していただきたいと思っております。  日ロ両国の自治体間の姉妹都市交流においても、その半分は北海道に集中しております。現在の日ロ経済交流においても、北海道の企業団体は大変積極的に取り組んでいるところでございます。また、農業の分野でも日ロ協力が進んでいる中、大統領に北海道を訪問していただき、直接北海道の農業を見ていただき、北海道の秋の実りを味わっていただきたいとも思っております。  その上で、プーチン大統領の訪日は秋と言われておりますけれども、具体的に何月ごろになるのか、訪問地はどこになるのか、現段階で知り得る範囲について外務大臣に御所見をいただければと思います。
  40. 石原宏高

    石原大臣政務官 佐藤委員にお答え申し上げます。  二月八日のソチでの安倍総理プーチン大統領会談において、プーチン大統領の訪日を秋に実施することで合意いたしました。  訪日の具体的な時期や訪問地については、今調整中でありまして、決まっていないというところでございます。
  41. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ぜひ提言の内容も御検討いただければなと思います。  次に、日ロ平和条約の締結についてお伺いをさせていただきたいと思います。  日ロに平和条約がないことは異常であると、先日の首脳会談では安倍総理が、また、昨年二月にはプーチン大統領が同じ発言をされました。つまり、両国、両首脳とも、平和条約の締結が必要だとおっしゃられているわけであります。  そして、この一年の日ロ関係は、誰が見ても、平和条約の締結に向けて両国が急速に距離を縮めている状況だと言えるのではないでしょうか。日ロ平和条約が締結されれば両国間の関係はがらりと変わるだろう、日ロ歴史の大きなエポックになると思います。  そこで、いま一度、平和条約を締結する意義について、特に何がどう変わるのかということについて、両国のメリットなども含めて、国民の方々にわかりやすい、明確な御説明を、生活者目線でもわかるような言葉で御説明をいただければと思います。  あわせて、我が国において、現在、日ロ平和条約のたたき台の作成や問題点の整理などされているのか否か、そうした検討状況についてはどうなっているのか。安倍総理も、任期中にこの問題を解決していくという、かなりスピード感を持っているわけでございます。外務大臣の御所見をいただければと思います。
  42. 岸田文雄

    岸田国務大臣 日本ロシアの間においては、戦後六十九年たちますが、隣国でありながら平和条約が結べていない、こういった状況が続いています。  我が国としましては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こうした基本的な方針に基づいて臨んでいるわけですが、平和条約を締結することができたとしたならば、日ロ間におきましても真の友好関係を築くことにつながるでしょうし、そして、そのことによって、例えば安全保障の問題を一つ考えましても、昨年十一月、日本ロシア歴史上初めて外務、防衛の2プラス2の会議を開催いたしました。こうした安全保障分野においても協力が進んではいますが、平和条約を結ぶということになりましたならば、日本ロシアの二国間の安全保障関係もずっと安定することになると考えますし、また、そのことが、地域ですとか国際社会の平和や安定にもつながっていく、こういった結果につながるのではないかと期待をいたします。  そして、安全保障分野以外にも、経済ですとか、文化ですとか、さまざまな分野において協力関係が存在いたしますが、そもそも、日本ロシア、それぞれの国の潜在力を考えた場合、現状はこの二つの国の潜在力を十分発揮し切れていない。二国間関係はもっと大きく発展できる、成果を期待できる、こういった関係であると私は考えております。平和条約を結ぶということになりましたら、こうしたさまざまな分野において両国間の潜在力をしっかりと発揮して、より充実した協力関係につなげていくことができるのではないか、こんなことも期待できるのではないかと考えています。  そして、御質問で、具体的な交渉はどのように進んでいるのかという御質問がありました。  安倍総理も、平和条約締結問題については並々ならぬ意欲を示しています。外相レベルあるいは次官級レベル、事務レベルにおきましても、今粘り強く交渉を開始しているところでありますが、今時点で具体的な中身について申し上げるということは、相手もある話でありますし、交渉の手のうちを見せるということもありますので、ちょっと、具体的な内容についてお示しをするということは控えさせていただきたいと存じます。  いずれにしましても、平和条約締結をするということ、これは大きな、意義あることであると考えておりますし、政権を挙げて、この問題解決のために全力で取り組んでいきたいと考えています。
  43. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 最後の質問とさせていただきます。  今外務大臣お話しされた日ロ平和条約の意義について、私は、今お話しいただいたように、どんどん発信をしていただければと思います。  私自身は、北海道におりまして、元島民の方々も身近におりますので、日ロの関係、条約の重要性というのは大変に身にしみて感じるのでありますけれども、やはり北方領土の返還運動を国民的な運動にさらに広げるためにも、北方領土の問題と一緒になって、日ロ平和条約の重要性というものをどんどんアピールしていくことも重要じゃないかなと考えているところでございます。  領土問題や平和条約の前提が政治、経済等の交流であるとすれば、その一番根っこになるのが、利害を超えた民衆レベル交流であると思います。民衆レベルで築き上げた信頼関係は、時として起こる突発的な出来事によって崩れないということを考えれば、こうした地道な両国の心と心をつなぐ努力こそ何にもかえがたいものであります。政府が四島交流を活発に推進してきたのも、そうした両国の深い信頼関係を醸成することが重要だという考察があったからだと思います。  そこで、私は、まず、四島交流の中に位置づけられている専門家交流について、大胆にその枠を広げ、学術分野にとどまらず、文化、芸術、スポーツなどの専門的な技能を持った人々の力をかりていってはどうかと提案したいと思います。四島のすばらしさを両国の人々に広く知っていただくための制作活動や、四島の住民の皆様のための公演やイベントを開催してもよいのではないかと思います。所見を伺います。
  44. 山本一太

    山本国務大臣 御指摘の点につきましては、昨年三月末に取りまとめました、先ほども申し上げましたけれども、北方四島交流事業の見直しについてにおいて、現行の専門家に加えて、継続的な交流を目指すために、スポーツ文化の指導者、学術研究者、生活環境の専門家の交流の促進を盛り込みました。これを受けて、昨年の事業で、クラシックバレエなどの文化交流にバレエ講師の赤池樹菜さんが専門家として参加をいただいております。  引き続き、関係団体の御意見、昨年の北方領土訪問の経験を踏まえて、外務省と連携をして、相互理解を増進し、領土問題の解決に寄与するという本来の目的を実現するために、佐藤議員指摘の、文化、芸術等の専門家の参加も含めた戦略的な交流事業の推進に努めてまいりたいと思います。
  45. 佐藤英道

    ○佐藤(英)委員 ありがとうございました。終わります。
  46. 安住淳

    安住委員長 次に、前原誠司君。
  47. 前原誠司

    ○前原委員 民主党の前原でございます。  私も、個人的にも非常に思い入れの強い沖縄また北方問題について質問させていただきます。  まず、山本大臣沖縄振興計画について二つ確認をさせていただきたいことがあります。  まず一つは、昨年の十二月二十四日の閣議におきまして、安倍総理は、沖縄振興の取り組みを強化するため、現行の沖縄振興計画期間、平成二十四年度から三十三年度においては沖縄振興予算について毎年三千億円台を確保と発言をされている。これは事実でありましょうか。そしてまた、事実であれば、どういうふうに担保するのでありましょうか。
  48. 山本一太

    山本国務大臣 前原議員におかれましては、平成二十一年九月から一年間沖縄担当大臣を務められ、さらに、沖縄県から海外への留学生の増大を目指す万国津梁人材育成基金を実現するなど、きのうちょっと資料を読ませていただきましたが、沖縄振興に力を尽くされたというふうに認識をしております。  今のお話ですが、毎年、現行の沖縄振興計画期間、平成二十四年から三十三年度において、三千億円台の沖縄振興予算を確保すると安倍総理が閣議で発言したのは、事実でございます。  御指摘の発言についてはどう担保するのかというお話がありましたが、法的な効力があるものではありませんけれども、総理が、閣議において、平成三十三年度まで毎年三千億円台の沖縄振興予算を確保する、こう発言をしたということは大変重いと思っておりますし、その際に、沖縄振興の推進のために、関係各大臣への一層の取り組みと協力をお願いするというお話もありました。  いずれにせよ、沖縄振興予算総額、これは、この総理の閣議発言を踏まえつつ、各年度の予算編成の中でしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
  49. 前原誠司

    ○前原委員 もう一つ確認をさせていただきたいんですが、現在の振興計画、これは、御承知のように、一九七二年五月十五日に沖縄が返還をされて、そして初めに十年間、そして累次四回、十カ年計画を行ってきて、今回は民主党政権下で五回目の振興計画をつくったわけであります。  過去四回と大きく違うのは、沖縄県に計画を主体的につくっていただいて、私は政調会長をしておりましたけれども、小川淳也議員が政調筆頭副会長をして、彼は総務省にいるときに沖縄県に二年間出向していて、当時の上原副知事のもとで働いていたということもありまして、彼が中心となって、あとポスト軍転法もですが、つくり上げたものということでありまして、我々は、この振興計画、うまくいってもらいたいというふうに思っているわけであります。  そのときに、先ほどの三千億の話にもなりますけれども、沖縄県の仲井真知事からは、これは仕上げの十カ年の計画だということの中で、とにかく仕上げの計画だから三千億円を確保してもらいたい、こういう要望が私にも何度もありました。  ということは、私は、これは民主党政権下で確認をしたことで、現政権でも確認をされるのかどうか伺いたいわけであります。こういう十カ年計画というものは、これで十年たったら五十年になるわけですね、沖縄返還して。まさに知事がおっしゃっているように、この計画というものは最後の仕上げの計画だという認識で我々はつくったわけでありますけれども、どういう認識を今の政権では持たれていますか。
  50. 山本一太

    山本国務大臣 仲井真知事がおっしゃった仕上げの計画というその定義は、ちょっと私には正確にはわかりませんけれども、前原議員沖縄担当大臣をやられて、その間、いろいろ沖縄振興について新しいイニシアチブを打ち出す等、大変貢献をされたわけです。  少なくとも、おっしゃったとおり、戦後ずっと政府として沖縄振興に取り組んできた。それは、歴史的な理由、そして地理的な理由、あるいは社会的な理由、いろいろありましたけれども、きょう、ちょっと先ほどの表も見せていただきましたが、沖縄振興を振り返ってみると、これも本当に釈迦に説法なんですが、もう大臣も務められた前原議員にこういうのはちょっと失礼なんですけれども、本土との社会資本整備の差は縮まった、リーディング産業である観光やITも伸びてきている。  しかしながら、やはり県民所得がまだ低いレベルだとか、あるいは失業率が高いとか、こういう課題もある中で、この十年間の中で、私は何度も申し上げているとおり、やはり沖縄は、今回の安倍政権の再興戦略、成長戦略でも位置づけられたように、国家戦略として、将来日本経済を引っ張っていくような、東アジアの中心にあるという地理的優位性等々を生かして、東アジアのフロントランナーになっていく、そういう道筋をつけるための十年ではないか、そんなふうに知事はお考えになっているのではないかというふうに推測をしております。
  51. 前原誠司

    ○前原委員 現在は自公政権ですから、主体的に今の政権で御確認をいただきたいと思いますけれども、私の認識は、当時政調会長をしていた認識といたしましては、仕上げという意味は、こういう十カ年の振興計画は最後の十カ年の振興計画だ、こういう思いの中で、委員長である安住議員にも、財務大臣として六百億円上積みをしていただいて、沖縄振興予算、約二千四百億から三千億にしたわけです。  それは、まさにその仕上げで、とにかくトータルで五十年の振興計画をやることになるわけですから、そういう意味では、今大臣がおっしゃったように、沖縄の特殊要因、これは我々も痛切に感じております。まず何よりも、一九七二年までは沖縄はアメリカの施政下にあったということ。それから日本に返還をされて、そこからのハンディを持ったスタートであるということ。それから、沖縄県というのは、日本の領土でいいますと〇・六%の非常に狭い土地でありますけれども、そこに米軍の施設・区域の約七四%が集中をしているということ。沖縄本島に至っては二〇%ですよね。嘉手納町に至っては八三%が基地によって占められている。  こういった成長したくてもできないような制約要因があるということの中で沖縄振興というものがされてきて、そういう意味では、我々としては、六百億上積みをして三千億にしたということについては、この十年間でテークオフをしてほしいという思いの中でつくったものなんです。  これについては、今後の沖縄のどういう道行きかということも含めてお考えをいただければ結構なんですが、それを前提にちょっとこれから議論したいというふうに思うんです。  お配りをしている資料をごらんいただけますか。  きのう、予算委員会で、安倍総理が我が党の議員質問に対して、民主党政権では賃金が下がっているじゃないですかとおっしゃったそうなんですが、その議員も切り返しができなかったということで、歯がゆい思いをしているんですけれども、民主党政権の前の自民党政権でも、長らくずっと賃金は下がっているんですよね。平成八年から平成二十年の十二年間で、全国平均で八・四%賃金は下がっているんですよ。その中で伸びたのは、四十七都道府県で二つだけあるんです。東京都と沖縄だけなんですね。  これは、一九九一年から二〇〇一年と、二〇〇一年から二〇一〇年度の県民所得の伸びを示したものであります。二〇〇一から一〇年までは、東京はマイナスに転じました。全県でいうと、マイナス〇・六からマイナス六・一ということで、リーマン・ショックがありましたので、これまた相当落ち込んでいるわけであります。  沖縄県は、先ほど、平成八年から平成二十年では沖縄と東京だけだと申し上げましたけれども、これを見ていただくと、二〇〇一年から二〇一〇年で伸びているのは、沖縄と福岡と滋賀と、それから若干伸びている千葉と、四つだけなんですね。振興計画というのは、そういう意味で、ある程度の沖縄県の所得の伸びというものには寄与しているというふうに私は思っています。  しかし、裏を見ていただいて、下、三番目のチャートを見ていただきますと、ただ、やはり四十七都道府県の一人当たりの県民所得を一位から並べた場合、残念ながら、ずっと沖縄県が最下位なんです。平成二十二年度までとった場合に、やはり沖縄県がずっと最下位なんですね。  そういう意味を含めて、先ほど山本大臣お話をされたように、歴史的な経緯、そして過重な基地負担を引き受けていただいているという制約要因を含めて、やはりしっかりとした手当てをすることが大事だというふうに思うわけです。  その上で、先ほど、安住財務大臣にも御尽力いただいて、六百億円上積みしました。それは平成二十四年度の予算から反映されているわけでありますけれども、それで三千億、ずっと十年間やるということになると、恐らく沖縄は最下位から抜け出ると思うんですね。ほかのところが逆に、後で質問しますけれども、沖縄だけは一括交付金。先ほど伊東議員からは、何で北海道は一括交付金じゃないのかという話がありましたけれども、沖縄だけは一括交付金で、予算を三千億の丈にした場合、恐らくこれは変わりますよ、今の日本の財政状況を考えたときに。そういった場合に、本当に三千億、十年間というものを固定していいのかという観点一つです。これは、ほかの都道府県の観点から。  もちろん、沖縄が置かれている歴史的、あるいはほかの制約要因も含めて考えて、トータルで判断しなきゃいけませんけれども、こういう問題が出てきますねということなんです。  それと同時に、あわせてお答えいただきたいんですが、仮に、知事がおっしゃるように十年間の仕上げのものとした場合に、しかも、安倍さんがコミットメントされているように三千億やるということは、逆に言うと、十年たったら三千億切れるということなんですよ。これは、むしろ沖縄経済に大打撃になりますよ。  つまりは、十年間、沖縄でずっと予算をとっていて、そして十年間は担保します、しかし、十年たったらそれはわかりませんよということです、逆に言えば。  こういうことになると、やはり国の予算でつけたことによるプラスの面とマイナスの面、つまりは、他の県との県民所得一人当たりの兼ね合いの問題が出てくるということと、国の予算経済の底上げをするのではなくて、まさに中身によって、いわゆる自立的経済成長というものをテークオフさせるようなところでしっかりと予算措置をしていかないと、この十年計画が切れたときは、むしろ沖縄は大ダメージを受けるという二つの意味から、私は本当に三千億というものを固定することはいいのかどうかと思うわけです。いかがですか。
  52. 山本一太

    山本国務大臣 前原元沖縄担当大臣の今の御質問は、現職の担当大臣として大変参考になりました。これから沖縄振興をどういう視点で見ていくかということについては、いろいろと御示唆をいただいたと思います。  ただ、三十三年まで三千億円台を続けるということは、いろいろ、今後の予算状況や、あるいは、これは改正沖振法で、民主党政権の時代だと思いますが、きっかけをつくった沖縄一括交付金の話、それから今の沖縄状況等々を勘案して、私は、三十三年まで、これは総理が決断されたわけですが、三千億円台の振興予算をつけるということは、妥当だと思っております。  前原議員のおっしゃった、三千億円台を確保する、その後は一切知らないということではなくて、先ほど申し上げたとおり、沖縄振興をやってきたのにはいろいろな理由がある。前原議員おっしゃったように、基地の問題や、過去の歴史の問題や、あるいは東西千キロと四百キロメートルの海域に百六十の離島があるとか、いろいろな状況でやってきたということですから、三十三年までは三千億円台を確保するから、その次の年からゼロになる、そういう考え方はしなくてもいいのではないかと思います。  一括交付金については、いろいろ御議論もあると思うんです。地域戦略自主交付金でしょうか、こういうものを切る中で、なぜ残したのかと。それは、先ほど、前原議員御存じだと思いますが、沖縄のさまざまな事情に鑑みて、この一括交付金というものを、全会一致だと思いますが、設けたということで、これは二年目になりましたけれども、私はかなり有意義に使われていると思いますし、やり方によっては文字どおり沖縄を羽ばたかせるために極めて有効に使えるのではないか、こんなふうに考えております。
  53. 前原誠司

    ○前原委員 私も、十年たったら三千億がゼロになるとは全く思っていないです。  しかし、日本の今の財政状況を考えたときに、対GDP比で二・三三倍の長期債務を抱えていて、平成二十五年度の予算では、税収と公債発行収入がほぼ同じですよね。こういった状況下において、恐らく聖域なき歳出改革をこれからやっていかなきゃいけない中で、先ほど懸念をしたように、他の県との見合い、しかも一人当たり所得が低い県との見合い、それと同時に、仮に三千億維持できたとしても、その後、減らすようなことになれば、後で御質問しますけれども、相当やはり落差のダメージを沖縄経済自体に与えるということの中で、私は、額というものは柔軟に考えて、中身をより重要視した方がいいのではないかということを申し上げているわけです。  何かそれに対して答弁はありますか。
  54. 山本一太

    山本国務大臣 今の前原議員のおっしゃった、額というよりは中身を充実させるべきだというのはおっしゃるとおりだと思いますが、三千億円台を確保すると政権として決めた状況の中で、この三千億というものをできるだけ有効に活用する。  おっしゃったとおり、十年たった後の沖縄経済お話がございましたけれども、各県との落差という話は出てくるかもしれませんが、この十年間で、先ほど申し上げたとおり、沖縄日本経済全体を引っ張ってもらうような、フロントランナーになってもらう、沖縄経済から日本経済が元気になってくれるような、そういう構造を振興担当大臣ではつくれるように、これから一括交付金の使い道についても、もちろん沖縄県主体でこの事業を決めるわけですけれども、しっかりと戦略的には国としても、沖縄県主体ではありますが、しっかり関与をして、おっしゃったとおり、額だけではなくて中身の方も充実させるように努力をしてまいりたいと思います。
  55. 前原誠司

    ○前原委員 二つ質問させてもらいたいと思うんですが、我が政権のときは、全国一括交付金をやったんですよ。ほかのところは一括交付金をやめて、なぜ沖縄だけ残したんですか。
  56. 山本一太

    山本国務大臣 先ほど申し上げたとおり、沖縄振興については、歴史的、地理的、社会的等々の特殊事情を抱えているということで、沖縄振興特別措置法を制定して、全会一致だったと思いますが、国の責務として各種の政策を実施してきたということでございます。  このため、沖縄振興交付金については、沖縄県からの要望を最大限に尊重して、ハード事業に加えてソフト事業対象とした独自の制度も設ける等々、改正沖振法に基づいて創設された、法律に基づいて創設されたものであり、地域主権戦略大綱等に基づいて創設され、投資補助金のみを対象としていたと思いますが、地域自主戦略交付金とは政策的な位置づけが異なるのではないかというふうに考えております。  今後とも、沖縄の未来につながるような戦略的な事業に、沖縄振興交付金、この一括交付金がしっかりと活用され、先ほども申し上げたとおり、沖縄日本経済フロントランナーにしていく、モーターにしていくべきだろうというふうに考えております。
  57. 前原誠司

    ○前原委員 沖縄担当大臣にこれを聞くのは酷な話だというのはわかっているんですけれども、やはり一国二制度ですよね。これは私は整合性がとれていないと思いますよ。本当に沖縄に対して意味があるということであれば、全国でも意味があるはずなんですよ、一括交付金というのは。その地域地域で創意工夫をしてもらって、そして自由に使えるお金をふやしていくということは大事なことであるし、だから沖縄には残したんでしょう。今の答弁だと、裏返したらそうなりますよね。  ですから、これは山本大臣にきりきり詰めても仕方がない話なんですけれども、そこは安倍政権として整合性がとれていないということははっきり申し上げておきたいというふうに思います。  その上で、先ほどから、十カ年計画が終わった後の沖縄がむしろ心配だというふうに申し上げましたけれども、この一括交付金は相当厳しくチェックしてもらいたいと思うんです。  もちろん、これは知事チェックすることに一義的にはなるわけでありますけれども、予算を一挙に六百億ふやして、そして、一括交付金の割合がかなり高いですから、初め、沖縄予算を組むのも大変だったんですよ、これは聞かれていると思いますけれども。相当いろいろな事業が紛れ込んでいますよ。したがって、そこは、やはり担当大臣沖縄県知事としっかり話をされて、丈はとったけれども、中身をしっかりしてほしいと。  そして、別に私の名前は出さなくていいですけれども、私が質問している、つまりは、仕上げとおっしゃった。私は、仕上げという意味は、やはり、こういう十カ年計画というのは最後だという思いを恐らく仲井真知事は持っておられると思うんですよ。  そうであれば、逆に、そういった一括交付金、ソフトもハードもつくって、自立的な経済の成長に資するようなものに使っていかないと、ただ単に、それぞれの市町村の今何とか間に合っている事業に一括交付金が使われてしまえば、これが打ち切られたときは、本当に地域も、持続的な経済の成長性がない中で予算が縮小されるということになると、不満だけが残ると思うんですよ。よかれと思ってやったことが、不満だけが残るんですよ。  そういう意味では、この一括交付金、ソフト、ハードを含めて、やはりしっかりと、一義的には沖縄県知事が見られるものでありますけれども、担当大臣としても厳しくチェックしていただくということが大事だと思いますが、いかがですか。
  58. 山本一太

    山本国務大臣 前原議員御存じのとおり、一括交付金は、一義的には沖縄県側が決めていくということですけれども、今おっしゃった、政府としてもしっかりチェックをし、評価をしていくということは、そのままアドバイスとしてきちっと受けとめさせていただきたいと思います。  沖縄一括交付金、もう言うまでもないことですが、御存じのことですけれども、観光や産業振興、例えば国際物流拠点、施設整備、また、これまで必ずしも行政のサポートが行き届いていなかった離島振興とか福祉、例えば、高校のない離島出身者のための寄宿舎等の設置とか、離島住民等の交通コストの支援、離島における人工透析施設整備、幅広い分野に活用されておりまして、県内の経済面に好影響を与える旨、報道もされておりますし、沖縄振興には私は大きく寄与していると認識をしております。  昨年十一月の沖縄振興審議会でさまざまな議論がなされましたが、今、前原議員の御指摘も踏まえて、やはり本交付金制度をよいものにしていく、中身をきちっとよくしていくために、制度の初年度であった平成二十四年度事業の事後評価の中身平成二十六年度事業に生かして、PDCAサイクルをきちっと確立していきたいと思います。  もう一度申し上げますが、やはりこれだけの規模の交付金を残したわけですから、もちろん、沖縄自主性に委ねる部分もありますけれども、そこは中身がきちっとなっていくように、政府として、今の御指摘を踏まえてきちっと評価をさせていただきたいと思います。
  59. 前原誠司

    ○前原委員 私は、沖縄担当大臣とあわせて国土交通大臣をやっていて、やはり一番大きな沖縄からの要望は、那覇の二本目の滑走路。私が大臣のときに、これの認可をおろし、調査を始めました。これについては、やはり律速段階になっているんですよ、一本しか滑走路がないということは。南西航空師団がありますから、スクランブル発進もあるわけですね。  そういう観点において、やはり二本目の滑走路が非常に必要だということで、その認識は持っていただいていまして、これも、十二月二十四日の閣議において、平成三十一年度までに確実に工事を完了すると述べていただいていることは、大変ありがたいことだと思います。これは必ずやってください。一言お願いします。
  60. 山本一太

    山本国務大臣 これは、沖縄担当大臣としては全力で取り組ませていただきたいと思いますし、もちろん、安倍内閣も五年十カ月ということで決めているわけですから、必ずその方向で実現できるというふうに考えております。
  61. 前原誠司

    ○前原委員 基地問題は時間があれば後でさせていただいて、北方領土の問題、特に外務大臣にさせていただきたいと思います。  まず、山本大臣北方領土ロシアによる不正占拠ですか。
  62. 山本一太

    山本国務大臣 北方領土は法的根拠のない占拠でございます。
  63. 前原誠司

    ○前原委員 お互い与野党を経験して、野党議員山本さんが私どもに大変しつこくそのことを聞かれましたよね。こういった領土問題を本当に解決して平和条約を結ぼうというときは、ぜひこれからは、建設的な議論をしていくという意味で、お互いそういったことについては時間を無駄に費やさないということで確認をしたいというふうに思います。  その上で岸田大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、安倍さんがこの一年余りでプーチン大統領と五回会っておられる、岸田外務大臣もラブロフ外務大臣と三回ですか、お会いいただいている、大変いいことだと思います。私は、平和条約締結はタイミングがあると思いますし、特に、今のロシアの大統領、プーチンという人の個人的な性格も考えれば、やはり首脳間の信頼関係を高めて政治決断をするしかないと思っていますので、そういった頻度で会われて、そして信頼関係を強められているということは、大変重要なことだと思います。  早く決まればいいですけれども、決まらなかった場合において、しかし、これは日本固有の領土ですから、我々としては、平和条約締結運動、北方領土返還運動というものの灯を消さないように努力をしていかなきゃいけない。  そのために、私は、大切なことは二つあると思っているんですね。一つは、北方領土を含む極東のロシア人と我々が良好な関係でいるということが大事だと思うんですね。それから、もう一つは、先ほど伊東議員からの質問にもありましたけれども、旧島民、二世、三世、四世の方々のモチベーションをどうやって維持するかということが大事で、この二つを考えた場合、大事なことは、やはり、もちろん、さまざまな広報、啓発、啓蒙活動というのも大事ですけれども、隣接地域がいわゆる北方領土との経済交流によって恩恵を受けるということが、返還された後はもちろんさまざまな開発がされますでしょうから、そういう意味ではプラスになるわけでありますけれども、される前でも、北方四島との経済交流による地域経済への波及、つまり恩恵を受けるということは私は大事だと思うんです。  三年前に、ちょうど二月に、私はモスクワに行きまして、ラブロフ外務大臣外相会談をやったときに、十五分間だけ二人だけで通訳のみ入れて議論したときに、この交流をやらないかということを言ったわけです。それは当然ながら、言ってみれば、双方の法的立場というものを損なわない前提で、両国間での四島での経済協力活動ができないかということを私は提案したわけですね。ラブロフ外相は、それはいいということで、お互い事務的に詰め合おうという話をしたわけです。  政権がかわりました。だけれども、先ほど申し上げたように、四島でのお互いの法的立場、特に、そういう活動をする場合において、日本人がロシアの法的管轄を受けないということが極めて大事なことなんですね、管轄権を行使されないということが大事なことなんですけれども、そういうようなものをやる必要性はあると思われませんか。
  64. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、日本ロシアの関係につきましては、御指摘いただきましたように、昨年来、五回の首脳会談、三度の外相会談、さらには、そのほかにも、歴史上初めての2プラス2など、テンポよく意思疎通を図ってきております。  こうした意思疎通を図りながら、日ロ関係、経済のみならず、安全保障文化スポーツ、こうしたさまざまな分野全体を底上げして、そして、その雰囲気の中で、北方領土の問題、平和条約締結問題、この問題につきましてもぜひしっかりとした結論を出していこう、こうした大きな方針のもとに取り組んでいるところです。  ですから、北方領土問題について結論を出す際に、それ以外の日ロ関係、経済の問題あるいはエネルギーの問題、こういった分野においてもしっかりとした協力関係の進展、こういったものはしっかりと実現していきたいと考えております。  そして、今御指摘の、日ロの間で共同して経済活動を行う、こうした協力の枠組みをつくるべきではないか、こういった御指摘についてですが、今委員の御質問の中にもありましたように、基本は、我が国の法的立場を害さない、これがまず大前提だと考えています。そういった大前提のもとにこうした取り組みが考えられないか、これは一つ考え方として当然あるとは存じます。  ただ、その後、ロシアのこうした問題に対する取り組み、例えば、二〇一二年のラブロフ外相のインタビューの中でも、ロシアの法令のもとで行う、こういった点を主張している、こういった発言も見ることができます。こうであると日本側としてはなかなかすぐには受け入れられない、このようにも感じているところでございます。  我が国の法的立場を害さないことを前提としながら、こうした考え方についても検討するというのは一つ考え方でありますが、今言った点が、我が国としましてはしっかり考慮しなければいけない点であると思っております。
  65. 前原誠司

    ○前原委員 全体の絵姿としては、入り口戦略に立たずに、出口に行き過ぎると、いいところだけとられる可能性があるので、経済協力をある程度進めながら、平和条約を締結するための、北方領土問題を解決するための努力を行うということが、私は一番立ち位置としていいんだろうと。その中での資源の協力とか経済協力とか医療の協力とか、それはもちろんやっておられるし、我々もそれは進めてきました。  私が申し上げているのは、その中で、隣接地域が疲弊をしている、そして旧島民の方々高齢化をし、二世から四世の方々にもモチベーションを持っていただくということになれば、北方領土四島との経済活動が必要ではないかという提案をして、そして、私もラブロフが言っていることはよく知っていますよ。大臣も何度も話をされているでしょうから、向こうの交渉術というのは、当然ながらそうなんですよ。それで既成事実を積み重ねて自分の立場をよくしようというのは、ある意味では向こうの常套手段ですから。別にそれに乗れと言っているわけじゃない。  私の前提は、先ほど申し上げたように、双方の法的立場というものを損ねない、そしてロシアの法的管轄下には乗らないという中で考えられないかということを申し上げているわけです。  具体的に、日ロで枠組みはもうあるんですよ。例えば、一九九八年に締結された四島操業枠組み協定というのがあるんですね。これは、四島周辺水域における養殖または栽培漁業協力というものの可能性はないのか。それからもう一つは、一九九一年に交換された四島交流に関する日ロ外相間往復書簡というのがあって、例えば、そういうもので、四島住民ニーズの高い医療面に着目をした遠隔地医療、こういったものをやるということの中で、先ほども申し上げているように、もう時間が余りないので、繰り返し長々と御答弁は要りません。ピンポイントでお答えください。そういう前提は、お互いの共通認識の中でそういったものも模索し、ひいてはそれが隣接地域経済プラスになって、そしてモチベーションを高めていただくというためのエンジンにすべきではないかということを申し上げているんです。
  66. 岸田文雄

    岸田国務大臣 我が国の法的立場を損ねないという前提に立った上で、隣接地域発展ですとか、関係者のモチベーションをしっかり維持するためにさまざまな工夫をしていく、こういった考え方は当然あっていい考え方であると存じます。具体的にはそういった考え方のもとに何ができるのか、これは考えていきたいと思います。
  67. 前原誠司

    ○前原委員 今私が申し上げた具体的な二つの事例の中で、検討してもらえませんか。
  68. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘の点も含めて、今申し上げた目的のために何ができるのか考えてみたいと思います。
  69. 前原誠司

    ○前原委員 沖縄北方の問題じゃないんですが、日本の外交の問題で一つ、どうしても外務大臣にお伺いしたいことがありますので、お伺いしたいと思います。  先般の予算委員会で、石原信雄元官房副長官が参考人として来られまして、そして、河野談話をまとめたときのいきさつについて陳述をされました。その中には、十六名の慰安婦の方の発言について、裏づけ調査をしたことはない、こういうことを石原参考人はおっしゃったわけであります。それを受けて菅官房長官が、内々に調査をするということを言われましたけれども、大臣二つ、端的にお答えください。  まず、そういった調査をやる必要があると思われるのかということと、河野談話そのものは見直すべきだと思われているのか、この二つについてお答えください。
  70. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、二月二十日の予算委員会でのやりとりですが、御指摘のように、河野談話をめぐりまして、石原元官房副長官を参考人として招致して議論が行われました。その中で河野談話について菅官房長官が答弁をしているわけですが、あのやりとり、私もその場にいて、聞いておりました。  そのやりとりとしましては、要は、慰安婦の聞き取り調査の結果については、非公開という前提で行われたものである、そして、そうした機密ということを保持する中で何ができるかを検討していきたい、こういった答弁をしたと承知をしております。  ですから、河野談話、これは官房長官談話ですので、菅官房長官のこの答弁が全てであると私は思っております。  そして、見直しをする必要があるかどうかという御質問ですが、私自身、この河野談話の見直しということについては、申し上げたことは一度もありません。  私自身としては、かつて筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた多くの方々がある、そういった方々思い思いをめぐらすときに、本当につらい思いを感ずる、こうした歴代の内閣考え方を引き継いでおりますし、かつて多くの戦争があり、その中で多くの女性の方々の人権が損なわれてきました。二十一世紀こそは、こうした女性の人権がしっかり守られる、大切にされる世紀にしなければならない、こういった思いで外交に取り組まなければならない、日本外交としてもそういった思いで国際貢献をしていかなければいけない、こういったことで努力をしております。  河野談話についての私の思いは以上でございます。
  71. 前原誠司

    ○前原委員 要は、見直すべきでないということですね。イエスかノーかでいいですよ、時間もありませんから。明確に。
  72. 岸田文雄

    岸田国務大臣 今申し上げたとおりでございます。
  73. 前原誠司

    ○前原委員 イエスかノーかでいいんですよ。これは、官房長官談話だけれども、外交を所管するのは岸田大臣、あなたですよ。その中で、いわゆる河野談話というものがどういうふうに扱われるかということについては、それは外務大臣としてしっかり、明確に言わなきゃいけないんですよ。見直すべきか見直すべきでないのか、どちらですか。
  74. 岸田文雄

    岸田国務大臣 河野談話の見直しについての御質問ですが、私としても、そして政府としても、河野談話の見直し、一度も申し上げたことはありません。
  75. 前原誠司

    ○前原委員 今、慰安婦の方々、御存命の方は五十五名、平均年齢が八十七、八歳だと思いますね。十六名の方々の裏づけ調査が行われていないといったって、では裏づけ調査をどうするのか。言った言わないになる可能性がありますよね。  そして、何よりもやはり、さまざまな経緯はあるでしょうけれども、一旦、政府として考え方をまとめて、そして官房長官談話ということで世に出したわけでして、それを見直して、また変えるというようなことがあれば、歴史の修正主義のような懸念に捉えられる可能性があるというふうに私は思っていますので、私はぜひ、外交をつかさどられる外務大臣として、今のような姿勢というものをしっかりと保っていただく中で、うまく戦略的に外交を行っていただくということが大事だと思いますので、これからもその姿勢というものを貫いてもらいたいというふうに思います。  終わります。
  76. 安住淳

    安住委員長 次に、阪口直人君。
  77. 阪口直人

    ○阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。  きょうは、日台漁業取り決めについて質問をしたいと思います。  昨年の四月に締結をいたしまして、これは、十七年間にわたって協議が積み重ねられて、海洋生物資源の保護、そして利用、また操業の秩序について同意に至ったこと、関係者の御努力には敬意を表したいと思います。  一方で、漁業高や操業ルールなどについては棚上げをされて、見切り発車になった、このことによって、台湾漁船と沖縄の漁船との間に多くのトラブルが生じていると聞いております。  一方、この一月に日台漁業委員会を開催して、今後守っていくべき操業ルールについて一致をしたという説明も聞いております。  ただ、私たちは、現場で漁をする方々の声を聞く必要があると思いまして、党内でプロジェクトチームをつくりまして、石垣島で、特にこの海域で漁をしていらっしゃる漁師の方々にヒアリングをし、また意見交換を行いました。その結果、大変に多くの不満を持っていらっしゃることがわかりました。きょうは、そこで得た問題意識をもとに質問させていただきたいと思います。  まず、昨年四月に締結したこの取り決めですが、何でそんなに急いだんだという根本的な疑問を漁師の方々はお持ちです。先ほども申し上げました、基本的にはやはり、こういった取り決めは漁業高また操業ルールなどがしっかりと決められることが先決だと思うんですね。ところが、漁民の方々は、いや、それは後から知ったんだ、こういった大変に大きな不満がありました。  なぜ、ルールを後回しにして、先にこの取り決めを結ばなければいけなかったのか、まずその点についてお伺いをしたいと思います。
  78. 岸田文雄

    岸田国務大臣 日台の民間漁業取り決めですが、この議論は、日台双方の民間窓口等が中心になりまして、実に十七年間にわたって議論を積み重ねてきた課題であります。ですから、今回、昨年四月、署名に至ったわけですが、十七年間にわたって、双方の民間窓口のみならず、双方の漁業関係者、さまざまな関係者の議論を経、意見を承った上で今日に至った、署名に至った、こういった経緯をたどってきました。  その間、当然のことながら、地元の漁業者の方々の御意見も承ってきたわけですが、ただいま御指摘になられましたように、署名後も地元の漁業関係者の皆様方からさまざまな懸念が表明されているということ、このことはまず真摯に受けとめなければならないと思っています。  昨年四月に署名を行った。要は、この適用水域等の枠組みが決まったわけですが、その中での操業ルールにつきましては、その後も議論が行われたということであります。漁業関係者の皆様方にも参加をしていただきながら、日台漁業委員会において、適用水域における操業ルールについて、先月、一月に合意に至った、こういった経緯をたどってきました。  この議論の進め方とかいうことにつきましては、これは十七年間のさまざまな経緯、議論の積み重ねの結果だと承知をしております。そして、まずはこうした取り決めが円滑に実施されることを期待したいと思いますし、政府としましては、しっかりとした適切な支援を、必要であれば行っていかなければいけないと思っています。  そして、この取り決めにつきましては、これから、こうした枠組み、そして操業ルールにおいてさまざまな漁業が実施されるわけでありますが、実施を見ながらレビューが行われるものだと承知をしています。こうしたレビューに基づいて必要な見直しを行っていくものだと承知をしておりますし、これは基本的には民間の取り決めでありますが、そういった方針で、ぜひ円滑な操業につなげていただきたいと思いますし、政府も、引き続きまして適切な支援を行う、こうした思いで見守っていきたいと考えています。
  79. 阪口直人

    ○阪口委員 十七年間かけて協議をしてきた、その部分にフォーカスすると、これは確かに大変に長い議論を経て決まったということだと思います。  ただ、我々の印象、また漁業に携わっている方々の印象としては、尖閣の問題において中国と台湾を連携させない、そういった政治的な大きな課題を克服するために、日々この海で操業している自分たちは切り捨てられたんだ、だから拙速に事を運んで、ルールなどは後回しになってしまったんだ、そんな思いを強く感じたわけでございます。  一方で、この取り決めについて、馬英九総統は、東シナ海で四千五百平方キロの操業区を拡大させた、尖閣の主権に関しては全く譲歩はしていないが、漁業権に関しては大きな進展を得たことは政府の努力の結果であると、国民党関係者の会合で述べております。  この認識というのは、日本政府認識と同じと考えてよろしいんでしょうか。
  80. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、委員の今の御質問の中で、今回の合意が尖閣諸島をめぐる動きに関連しているのではないかという御指摘がありました。  この点につきましては、台湾は、中国と連携しないという立場、これは昨年四月の署名の前、二月ごろにもう既にこういった立場は表明されていると承知をしています。ですから、この御指摘は当たらないのではないかと考えております。  そして、こうした取り決めの評価について、同じ認識なのかという御質問でございますが、これにつきましては、十七年間の長きにわたって議論を積み重ねてきた、そして今回結論に至ったことは、日台双方の実務的協力の充実ぶりを示す歴史的な出来事であると我々は認識をしております。  ぜひ、こうした取り決めが円滑に進められることを期待したいと思っています。
  81. 阪口直人

    ○阪口委員 冒頭に申し上げましたように、私は、政治的判断で、恐らく官邸主導で行われたのではないかと思いますが、この取り決めを行ったことで、尖閣問題について、一つ日本側の意思を示したということについては評価をしたいと思っています。  ただ、どちらにしても、日々生活をしている、この近海の海から糧を得ている漁師の方々に話を聞く限りにおいては、大変な不安を持っていることも事実であります。  ちょっと現状を申し上げると、この海域には、日本側の船は大体十トン未満で十五隻程度であるということですが、台湾からの船が、二十トンから五十トンのはるかに大きな船が数百そうにわたって来るということなんですね。マグロのはえ縄漁業というのは、数十キロから百キロに近い、大変に長い網を流すわけですけれども、台湾側はこの網が大変太いので、操業が重なると切られてしまう。そうすると、一回の被害額が数百万円単位になってしまうということでございます。  また、久米島西側の特別協力水域、今回の協定によって決められた地域では、結果的に、北緯二十七度を境に、北側は日本、南側は台湾の漁法で操業するということですが、台湾側は船と船の間隔が一海里であるのに対して、日本側は四海里離れなければいけないということについても、現地の漁民の方々は大変に不条理、不合理を感じている。  さらに、八重山諸島北側の三角水域及び今申し上げた特別協力水域において、東経百二十四度から東側で漁を行う際に、日本側は五日前に通報しなければいけない。これも、どのような天候になるのかもわからない中で、五日前に通報するというのは現実的ではない、こういった、新しいルールに対しても大きな不満を持っているということがわかりました。  政府は、漁業者の方々の意見も取り入れてという答弁ですが、どこのレベルの漁業者の意見を取り入れたのかということも含めて、少なくとも現場に出て漁をしている方々は、このことについては、不満というよりは、自分たちの生活権、生存権が脅かされている、そういった大変に大きな不安、恐怖感を感じている。このことについてどのように考えているのか、また今後対応していくのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  82. 岸田文雄

    岸田国務大臣 御指摘の操業ルールにつきましては、先ほど申し上げましたように、日台双方の漁業関係者も参加していただいた上で、日台漁業委員会の場を通じて議論をし、そして一致を見た、こうしたルールであります。  こうした過程を経て定められたルールですので、ぜひ御理解をいただき、また、円滑な操業につなげていただきたいとは思っております。  ただ、漁業の関係者、代表、どんな形で選ばれたのかという御指摘がありました。これはまさに、十七年間の議論の中で、関係者の皆様方の中でも話し合っていただき、どういったメンバーで議論をするのか、代表としてどなたを送るのか、こういったことが定まっていった結果であると承知をしております。  いずれにしましても、こうしたルールにつきましてもさまざまな指摘があるということ、これはもう真摯に受けとめなければならないことだと思っています。民間の取り決めではありますが、ぜひ、引き続きましてこの実施状況については注視をし、そしてレビューを行い、必要であるならば見直しをしていかなければいけない、これは当然のことだと考えています。
  83. 阪口直人

    ○阪口委員 生の声をもう少し紹介しますと、マグロは当然、生き物でありますから、日本側、台湾側の水域を分けてはいるものの、本当に年によってとれる場所も違ってくる。また、数十キロから百キロに及ぶ網の長さでありますから、潮の流れによって、ぎりぎりのところで操業していてもどうしてもひっかかってしまう、もつれてしまうことがあるということですね。  ですから、やはり、台湾側の数が余りにも多過ぎる、そして、いろいろな違反的な操業もしているということもあって総量規制をする、そして、ちゃんとルールを守っていることを前提に許可制にする、そういった新たなルールもないと、本当に貴重な資源が枯渇をしてしまう、そして自分たちが本当にこの海域で生活できなくなってしまう、そんな大変な危機感を持っているわけでございます。  一月に新たなルールが決められたということですが、こういった考えを踏まえてさらにルールづけをしていくというようなそういった可能性はないんでしょうか。お答えください。
  84. 岸田文雄

    岸田国務大臣 先ほども申し上げたように、こうしたルールのレビューは行われるものと承知をしております。レビューをし、必要であるならば見直しも行われるものだと考えています。  そうした状況も、政府としましても、しっかり注視していきたいと存じますし、必要であるならば適切な支援は考えていかなければならないと思っています。
  85. 阪口直人

    ○阪口委員 網が切られてしまった場合などは、例えば沖縄漁業基金事業などで補償するといったことも政府から提案していただいている、このこと自体はありがたいことなんだと思いますが、しかし、そもそも、台湾側がルールを守って操業しているのかというようなことに対してきっちり監視する体制がとれるのか、とれているのか、このことも大変に大きな課題だと思います。大変に広い海域でありますし、また、海の中でどのような状況になっているのか、これは簡単にはわからないことだとも思うんですね。ですから、先ほどの総量規制、許可制ということについては、ぜひ重く受けとめていただきたいと思います。  私が話をした限りでは、彼らが求めているのは決して補償ではありません。自分たちが守ってきた、そして代々糧を得てきた海をしっかり守って、そして自分たちの後継者の方々にも、希望を持ってこの地域で漁をする、そういった環境を次の世代に引き継いでいきたい、そういった熱い思いというか、切実な思いを感じました。また、そういった漁民の方々の存在自体が、大変に政治的に微妙なこの海域の安全保障にもつながってくることと思います。  ぜひ、この点を考慮していただいて、漁民の立場に立ったルールづくり、そして、トータルで安全保障を考えていく、そういった我が国の方針を示していっていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  86. 安住淳

    安住委員長 次に、西岡新君。
  87. 西岡新

    ○西岡委員 日本維新の会の西岡新でございます。  きょうは、大臣所信に関する一般質疑ということでありますので、北方領土問題を中心にお尋ねをしたいというふうに思っております。  安倍総理は、二月七日の北方領土の日に、返還要求全国大会の式典に出席後、ソチオリンピック開会式出席をされて、五回目のプーチン大統領との首脳会談を行いました。会談終了後のプーチン大統領の、二国間で最も難しい問題解決のよい環境ができているというような発言を聞きますと、首脳間での信頼関係というのは着実に築いているというような印象も受けます。  一方で、大統領職にプーチン大統領が復帰した際に森元総理が会談された際に、引き分けというような言葉が出されておりました。引き分けというのは一つのキーワードでございまして、この問題についても日本政府として分析しなければいけないというふうに思っております。  一方で、森元総理が先般、福岡で講演をされた際に、四島全部返すことはないし、四島とも返さないこともあり得ない、どういう方法があるか、両政府が真面目に、真剣に話していると話されたと聞き及んでおります。  森元総理は、プーチン大統領とも個人的な関係を築いておられますし、安倍総理とももともと同じ派閥でもあるというようなことでありますので、ある程度、内々の、進んだ話もあるのかもしれませんが、私は、この段階で、四島全て返ってくることが難しいと日本側が諦めているかのような誤ったメッセージがロシア側に伝わるというのは非常に懸念をしておりますし、安倍内閣でも、麻生副総理が外務大臣時代に面積の二等分論を述べられておられました。  こういったことに配慮しますと、二島、三島論、また面積二分論というのもありますけれども、やはり日本政府の立場を改めてお聞きしたいということと、また、引き分けについての、政府は、プーチン大統領の狙う着地点というのはどういうところにあるのか、どう分析しているのかというのをお聞きしたいというふうに思っております。
  88. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、我が国の基本的な方針は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約締結を行うというものであります。この方針は全く変わっておりません。  そして、引き分け発言ですが、プーチン大統領の引き分け発言につきましては、昨年二月ですか、森元総理が訪ロされた際に、この趣旨について質問をしています。そして、それに対しましてプーチン大統領は、その意味するところとして、勝ち負けなしの解決、すなわち、双方に受け入れ可能な解決である、このように述べたと承知をしております。  その後、四月に安倍総理が訪ロをしました。そして、共同声明を発出したわけですが、その中で両首脳は、平和条約問題の双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速させることで一致をしております。  これらから、引き分けというのは、双方受け入れ可能な解決を目指すということだと認識をしていますが、その具体的な内容については、まさに今後進めていく交渉の中で見出すものであると考えております。具体的な内容を見出すために交渉がこれから進んでいくものだと考えております。  ですから、具体的な個別の解決策について今の時点で何か申し上げるというのは、相手もあることでありますし、まさに交渉そのものに影響を与えることになると存じますので、それは控えなければならないのではないか、このように考えています。
  89. 西岡新

    ○西岡委員 この日本政府の立場に関して、山本大臣からも御意思を確認したいと思います。
  90. 山本一太

    山本国務大臣 西岡議員には、秘書をやっておられた時代に、うちの秘書が大変お世話になりました。ありがとうございました。  今外務大臣がおっしゃったことに尽きると思いますが、北方四島、歯舞、色丹、国後及び択捉、これは、いまだかつて一度も外国の領土になったことがない、日本固有の領土でございます。  我が国としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した基本方針のもとで、強い意思を持って粘り強く外交交渉を推進しておりまして、外務大臣がおっしゃったように、この方針に変更はありません。  領土交渉については、安倍総理岸田外務大臣担当となりますけれども、私としては、国内世論啓発の強化も図り、返還に向けた環境整備に積極的に取り組み、外交交渉を強力に後押しすることで、一日も早い北方領土問題の解決に寄与してまいりたいと考えております。
  91. 西岡新

    ○西岡委員 ありがとうございます。  ソチでは、来月からパラリンピックが開催されます。オリンピックの大会中には、懸念されていたテロもなかったようであります。しかしながら、大会中にウクライナ情勢が非常に激化をして、そういった中で、プーチン政権に対して少し暗雲が漂っているのではないかなというような印象も受けました。  今、国内ではプーチン政権も六〇%以上の支持率を誇っておりますけれども、このウクライナ問題によって、ロシア国内でプーチン大統領の評価、支持というのはどう変わってくると政府は分析しているのか、お答えいただきたいと思います。
  92. 上月豊久

    上月政府参考人 お答えします。  ロシアのいろいろな世論調査機関がございますけれども、独立系のレバダセンターというのがございまして、この世論調査によりますと、プーチン大統領の支持率は、ここ一年、六一から六五%の間で安定的に推移しております。  それで、今回のウクライナの問題が発生して以降、例えば、一月と二月を比較してみますと、一月も二月も、いずれも六五%で、今のところ変化はございませんで、二月のデータはこれから出るところでございまして、このウクライナの問題がロシアの国内の支持率、評価にどう影響するかということについて、現時点で分析する材料も不十分でございますし、ちょっと、断定するのも困難だというところが現状でございます。
  93. 西岡新

    ○西岡委員 私は、このウクライナ問題によってプーチン政権の政権基盤が少し沈下していくのではないかということも思っておりますし、極東においては、これはまた国境を接する中国がロシアを圧迫しているというような状況でありますし、経済においては、エネルギー資源を売りながら外貨を獲得してきたロシアにあって、アメリカのシェールガス革命などによって少し厳しい状況にあるというような状況であります。  昨年、この委員会で参考人としてお招きした木村汎北海道大学の名誉教授がおっしゃられていたことに、対ロシアの交渉に当たっては、見せかけ戦術にだまされてはいけないというふうな話がありました。  この見せかけ戦術とは、まず日本の方から経済や技術援助をすることで、環境整備が整って、北方領土が返ってくるかもしれないというような期待だけをさせて、日本の援助だけを引き出すというようなものであります。  この四月には、岸田大臣もラブロフ外相と再び会談をされるということでありますし、またその際には、経済交流の問題、技術援助の問題、さまざまな幅広い協力の問題が議題となってまいると思いますけれども、これはどのような方針で進めていくのかというのが一つお尋ねしたいことでありますし、その後のソチでの六回目の首脳会談に向けて、その環境整備について、やはり岸田大臣の、次のラブロフ外相との会談というのは非常に重要になってくると思いますので、その点に関する意気込みとお考えをお聞かせいただければと思います。
  94. 岸田文雄

    岸田国務大臣 まず、日本ロシアの間においては、経済安全保障文化スポーツ、あらゆる分野を通じて底上げを図っていきたいと考えています。そして、幅広い分野において日ロの関係が進む、その中で、ぜひ、北方領土問題、そして平和条約締結問題についても結論を出していきたいと基本的に考えています。  そして、御質問の中で、だまされるな、いいとこ取りをされるなという御指摘がありましたが、経済交流につきましても、やはり基本的には、互恵の原則に基づいて幅広く進めていかなければならないと思っています。  ことし春、私もロシアを訪問させていただくということについて、ロシアとの間においても合意ができているわけですが、その際には、シュワロフ第一副首相との間で、貿易経済に関する日ロ政府間委員会を開催する予定になっております。日ロの間において最もレベルの高いこうした議論の枠組みをその際に開催して、日本からは経済ミッションを同行させる、こうした方向で調整をしております。こうした際には、エネルギー、農業、都市環境、医療、幅広い分野で関係強化を図りたいと考えております。  このように、経済交流につきましても、日本の国益あるいは日本企業の利益、こういったものに資するよう、日本ロシア双方にとって互恵の原則に基づいて進めていく、こういった点は重要だと考えています。
  95. 西岡新

    ○西岡委員 ありがとうございます。  次に、この北方領土問題に関して、啓発問題に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。  故郷を追われた元島民も、既に約六割がお亡くなりになられている。また、生存されていらっしゃる方も、もう平均年齢が七十九歳と高齢になっておりまして、もはや一刻の猶予も許されないような状況であります。  そういった中で、昨年末に、内閣府の政府広報室が発表した北方領土問題に関する特別世論調査の結果では、やはり、北方領土問題に関して内容まで知っている国民というのは、五年前とほぼ変わらず、二〇%程度にしかすぎないんです。この結果に私も愕然としましたし、参考人でお越しいただいた千島歯舞諸島居住者連盟の萬屋副理事長さんにもお尋ねすると、やはり驚かれていたというような状況でありまして、この啓発活動というのは非常に重要だと思います。  山本大臣は国会でも、北方領土の啓発に関して、特に二十代の若者の認知度の低さを問題視されておられます。また、新しい手法を使いながら、粘り強くキャンペーンをやっていきたいと述べられております。  私も、秘書時代から、山本大臣の発信力とか、広報戦略にたけておられる姿を近くで拝見させていただきましたので、この点に関しての大臣の取り組み、方針というものをお聞かせいただきたいと思います。
  96. 山本一太

    山本国務大臣 大変大事な点を御指摘いただきまして、ありがとうございます。  今おっしゃったとおり、この二〇%という数字は、返還要求運動の認知度のうち、運動の取り組み内容も知っているとする割合でございまして、これは最も認知度の高い人のデータです。おっしゃったとおり、しかし、二〇%であるという事実はございます。  他方、運動の取り組みについて聞いたことがあるが取り組みの中身までは知らないとする者も含めた割合、これは、要求運動を認知しているが、比較的認知度の高くない者も含めたデータ。これは、前回調査で八七・五%だったものが、今回の調査では九〇・五%と増加をしておりまして、返還要求運動に対する認知としては、前回調査よりも増加をしているという認識をしております。  また、返還要求運動の認知度とは別の、北方領土問題そのものの認知度について、今回の調査を年代別に分析すると、今、西岡議員がおっしゃったとおり、とりわけ若い世代において低下をしているという傾向にございますので、親しみやすくわかりやすい啓発活動を行う必要があると考えております。  もう戦後六十八年が経過をいたしまして、私としては、次代を担う若い世代の関心と正しい理解が不可欠だというふうに思っておりますし、若い世代が北方領土問題に対して関心を持って、理解を深め、みずからの問題として捉えられるような啓発事業展開が必要だと思います。  さらに、今回の調査では、やはりインターネット等の媒体を用いた広報啓発活動が、実は若い世代に有効だという回答を得ておりまして、現在、親しみやすい、ゆるキャラのエリカちゃんのフェイスブックとツイッター、まだまだちょっとアクセス数は足りないんですけれども、このフェイスブックとツイッターを立ち上げて、動画、学習コンテンツの配信等を行っておりますが、これをさらに進めていきたいというふうに考えております。  引き続き、あらゆる手段、機会を捉えて、北方領土問題への認識を高めるための啓発活動を通じて、一層の世論喚起に努めてまいりたいと思います。
  97. 西岡新

    ○西岡委員 ちょっと時間もなくなりましたので、次の質問は飛ばさせていただいて、ロシア国内における啓発活動も必要だと思いますけれども、そもそも、北方領土問題に関するロシア国民の意識というものはどのようなものがあるのか、お尋ねしたいと思います。
  98. 石原宏高

    石原大臣政務官 お答え申し上げます。  外務省では、現地の民間調査機関会社に委託する形で、平成十二年、十六年及び二十一年に、ロシアにおいて対日世論調査を実施しております。同調査においては、北方領土に関する調査もあわせて行っているところであります。  平成二十一年に実施した対日世論調査では、領土交渉については、七六%が四島の帰属について交渉が続いていることを知っていると回答しております。また、日ロ双方の立場を知っていると答えた方は四七%でありました。また、日ロ間に平和条約が締結されていない事実については四二%が知っていると回答し、五六%が知らなかったと回答しているところであります。さらに、北方領土問題について、両国が相互に合意すべきと考える者は三二%でありました。一方、五三%の方が、四島は今後ともロシアに帰属すると考えているとの結果が出ているところであります。
  99. 西岡新

    ○西岡委員 その数字を聞いて、一定の認識があるんだなというようなことであります。  私は、やはりロシア国民に対して、そもそも、北方領土というのは、日ソ中立条約を一方的に破って南樺太や千島列島をかっさらっていったというようなことで、シベリア抑留でも多くの邦人を犠牲としてきた歴史的経緯があって、日本人の中に、なかなか平和条約も結ばないような、両国間でいびつな関係があるというのは、そういったものがまずあるんだということを認識してもらうことが何より重要であると思いますし、そういった問題が解決すれば、今の経済交流よりもさらに踏み込んだ、もっと大きな利益がロシアにとってもあるんだというふうに、あらゆる手段を使って発信していくことが大事だと思っております。また、これはロシアだけではなくて、諸外国にも波及していかなければいけないというふうに思っております。  「戦争広告代理店」という本がございました。これは、ボスニア紛争において、小国ボスニアが、自国に有利な世論を形成していくために、アメリカやヨーロッパや国連において、PR会社を使いながら国際世論を誘導してきたというような内容が書かれている本であります。  こういうことがやはり重要であって、戦前の中国でも、宋三姉妹の一人である蒋介石夫人の宋美齢が、アメリカ各地で日本が悪いというふうなことで宣伝をしながら、アメリカの対日批判世論を喚起してきたということもございますし、隣の韓国でも、今や竹島問題もそうであります。大統領が、外国に行ってのべつ幕なしに我が国の悪口を言って、告げ口をしていくというようなこともございます。対馬の日もそうであります。グレンデール市のような米国の地方都市に慰安婦像を設置するなんかもそうであります。日本海の表記問題もそうであります。  我々からすると、余りにも空想的な、常識から著しく外れているようなことをしながらも、自国の立場をしっかりと主張している。こういった姿勢は、何もまねをしろというわけではございませんけれども、やはり今までは日本は余りにもおとなし過ぎたんじゃないかというふうに思っておりまして、こういったことに対して日本の立場を宣伝していく必要があるというふうに思いますが、諸外国に対しての我が国の広報戦略の取り組みについてお尋ねさせていただければと思います。
  100. 岸田文雄

    岸田国務大臣 外国におきまして国際広報を戦略的に進めていく、こうした視点、大変重要であると認識をしております。  ですから、今御審議をお願いしております平成二十六年度予算の中にあっても、国際広報予算としまして、前年比四二・七%プラス予算をお願いさせていただいております。ぜひ、御了承いただいたならば、こういった予算を活用しなければならないと思っていますし、その内容につきましても、従来のさまざまな政策を充実させていくのみならず、新しい政策としましては、国際世論に大きな影響力を持つ各国の有識者を横でつなげていく、ネットワークをつくっていく、こうしたネットワークづくりのプラットホームをぜひ日本としても、外務省としてもつくることによって国際世論に働きかけていこう、こうした新しい取り組みも新しい予算として盛り込ませていただいている、こういったことを予算の中に掲げさせていただいております。  このように、さまざまな取り組みを通じまして国際広報戦略を進めていかなければならないと思っていますし、また、先ほど来議論になっております領土問題につきましても、引き続き、外務省のホームページの充実ですとか、あるいはパンフレットの拡充ですとか、さまざまな努力を続けていきたいと考えております。  ただし、北方領土問題については、やはり何といっても当事者同士、日本ロシア、この二つの国の間でしっかりと議論をし、解決すべき問題であります。ぜひ、議論自体は静かな雰囲気で、粘り強く交渉を行っていく、これが重要だと考えています。
  101. 安住淳

    安住委員長 時間です。
  102. 西岡新

    ○西岡委員 はい。  ありがとうございました。  我が国の政治制度ではこういった安定政権ができるというのは非常にまれであると思いますので、安倍総理はもちろんですけれども、岸田大臣山本大臣、しっかりと、歴史的な大仕事をするという覚悟で取り組んでいただきたいと思いますし、我々も応援していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  私の質問とさせていただきます。
  103. 安住淳

    安住委員長 次に、杉本かずみ君。
  104. 杉本かずみ

    ○杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。  沖縄北方委員会ということで、大臣所信に対する質疑でございますが、いろいろな政策課題がある中で、前向きに取り組める沖縄振興であり、北方問題の領土返還でございますので、ぜひ積極的な議論と大臣の活躍を期待したいと、冒頭申し上げます。  その中で、まず山本大臣に伺いますが、所信表明の中で、北方四島の帰属の問題を解決して日ロ平和条約を締結し、両国間に真の相互理解に基づく安定した関係を確立することが重要であると。また、昨年の九月に訪問されているんですが、その際に、現地日本人墓地を訪れて、元島民の方々がお墓に線香を上げ、手を合わせている姿を見るにつけ、一日も早く北方領土返還を実現しなければならないという決意を強くした、こう言われておられます。  去る沖北委員会でも、岸田大臣にも山本大臣にもぜひ四島入りをお願いしたいということで、具体的な期日は御返答いただけませんでしたが、お二方とも前向きな御答弁をいただいた記憶がある中で、去年の秋に行っていただいたという事実がございます。  感情的なものを除いて、現地に入られて国後、択捉と回られたわけでございますが、現地を見られて、クリル発展計画の新しいもの、これで随分お金が投下されて、国後については空港だったり港だったりというものができています。一方で、空港のコンクリートの割れ目からは雑草が生えています。そういうような状況を見られたり、あるいは現地の建物を見られて、かなりカラーになってきれいになっていたりしていると思うんですけれども、この開発の状況をいかに認識されておられるかを、現地に行かれた立場から、八年ぶりということでございますが、教えていただきたいと思います。
  105. 山本一太

    山本国務大臣 杉本議員に昨年の委員会でも御質問をしていただいたことを覚えておりますが、杉本議員御自身も、たしか平成二十二年と二十五年の二回、北方四島交流事業に御参加いただいたというふうに承知をしております。私も、今おっしゃったとおり、昨年の九月十九日から二十三日までの間、両国の相互理解増進のために、四島交流訪問団の一員として、まさに八年ぶりに国後と択捉を訪問してまいりました。  国後島では、新しくできた幼稚園とか教会などを見てまいりました。さらに択捉では、これはギドロストロイという民間会社も入っておりますが、水産加工場とか建設中の空港などを見ることができました。  余り細かいことを申し上げると時間がちょっと長くなるんですが、一言で言うと、予想以上にインフラ整備が進んでいた部分と、それから、予想の範囲内であった部分と予想を下回った部分とがありました。  いずれにしても、北方四島を取り巻く状況を冷静に受けとめ、一喜一憂しない。引き続き、一喜一憂せず、北方四島の帰属の問題を解決して日ロ平和条約を締結するという基本方針を貫くべきだろう。そのもとで、もちろん外交は外務大臣中心にやっていかれるわけですが、粘り強く交渉を続けていくことが重要だというふうに認識をいたしました。  外交交渉については安倍総理岸田外務大臣担当ですけれども、私としては、北方四島交流事業による相互理解の増進を図る等、返還に向けた環境整備に積極的に取り組み、外交交渉を強力に後押しすることで、一日も早い北方領土解決に寄与してまいりたいと考えております。
  106. 杉本かずみ

    ○杉本委員 ありがとうございます。  国後、択捉と回られて、私は去年は色丹だったんですが、さきの予算委員会安倍総理にも申し上げたんですが、色丹の方は開発が進んでいないという実感を私は前に行ったときには思ったんですが、港の桟橋がコンクリート化されたりとか、総合病院ができたり、総合運動場をつくる計画を確認したりというような状況で、色丹は進んでいなかったんですけれども、色丹もこれまた急激に進みつつある状況もありますので、去年のことしということがいいかどうかはわかりませんけれども、やはり、四島全部知っていらっしゃる大臣担当大臣であるというようなことであったり、あるいは極東のロシアの各地を御存じな大臣であっていただきたいと思いますので、そんな点も、重ね重ね恐縮ですが、要望させていただきます。  今の西岡さんの質疑にもありましたけれども、森元総理の発言もございました。その前に、ロシアは十八日に、ラブロフ外相とエストニアのパエト外相で、モスクワでエストニアとの国境を画定する条約を調印しています。EU、ヨーロッパ連合とかNATOの関係から国境画定を求められていたというエストニアの背景もあったと思いますけれども、立て続けに、ロシア・サイドから見ますと、プーチン大統領就任以降、中国、ノルウェーと周辺国境を解決して、今度はエストニアの問題もという状況が、この二月の十八日でございました。  そんな中で、二十日に森元総理が北方問題について、私は、四島にこだわるということをし過ぎても一種国益を損なうと思っていますし、先ほど岸田大臣は、引き分けの中身として、勝ち負けなし、双方受け入れ可能と。安倍総理も、四月に共同声明で、受け入れ可能な形で交渉を加速化するという御答弁をいただいております。  お立場上、なかなか森元総理の発言をどう評価するというのは、お答えを求めるというのは無理があると思っておりますし、交渉当事者でもあられるんですけれども、この森元総理の発言に対してどういう感想というか、お持ちかだけ伺えればと思っております。
  107. 岸田文雄

    岸田国務大臣 政府としましては、北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を結ぶ、こうした基本方針、全く変わっておりません。  その中で、さまざまな議論があるわけですが、やはり、交渉が今進んでおります。そして、相手もある話であります。ですから、個別の問題について何か論評する、評価する、またそれについて何か語るということ、このこと自体が今後の交渉に影響を及ぼすことになります。  そういったことを考えますと、今の時点で何か申し上げることは適切ではないのではないかと考えますので、恐縮ですが、発言は控えさせていただきたいと存じます。
  108. 杉本かずみ

    ○杉本委員 お立場はわかります。  そこで、先ほども申し上げた引き分けのところでありますけれども、双方受け入れ可能な解決策ということですが、交渉というのは、双方にとってウイン・ウインであるかもしれないですが、結構ギブ・アンド・テークでもあるということだと思うんですが、大臣からお答えを求めるのは、これはカードは何ですかと聞く話なので、そういう愚かな質問をしても仕方がないと思いますので。  私の方から、さきの予算委員会で、私もちょっとうまく説明できなかったかもしれませんが、冒頭申し上げた、色丹島の港の桟橋のコンクリートを私が入る一年前につくって、入ったときにまたつくり直しをしていて、鉄筋がむき出しになって置かれていた写真を総理にお見せしたりしたんです。  そんな状況について、本件に一番詳しいと言ったら語弊があるかもしれませんが、国会議員を経験された中で最もこの四島に入っている鈴木宗男元衆議院議員の発言として、全国大会のときにお隣だったんですけれども、とにかく日本の技術力をもっと生かしていかないといけないという言葉がございました。  それで、総理に対して、日本の技術者を少し四島に入れることはいかがでしょうかということを申し上げたところ、先ほどの前原元外務大臣とのやりとりの中でもありましたけれども、双方の法的立場を損ねないということが前提だと私は思っておりますけれども、一方で、やはり申し上げたとおりの港の整備状況が、お金は入っているんだけれども、山本大臣が評価されたように、これはマルなのか三角なのかバツなのかわかりませんけれども、日本の技術から見ると、我々がやればということがたくさんあるように感じます。空港を見ても、国後の空港はペンペン草がコンクリートの割れ目から出ているというような状況だったりしますので、こういったことをぜひとも御検討いただけないかと思います。  ちょっとこれは極論で、また何を言うんだということになるかもしれませんが、環日本海というような考え方をすると、今、北朝鮮の問題で六カ国協議をしておりますが、アメリカを含めて、極東アジアを開発していくというようなことで、我が党の考え方は小さな政府なので、決して大きな政府という意味合いとは言いたくないんですけれども、例えば、極東において、アジア開発銀行のようなものを、北東アジア開発銀行じゃないですけれども、そんなことを提案していくとかいうことも考えられると思います。  そんなことで、ちょっと唐突に申し上げておりますけれども、技術者を例えばビザなし交流の中に入れていくとか、あるいはちょっと投資面で、先ほども答弁の中でございましたけれども、促進するような形で、今度、経済ミッションを連れていかれるというようなこともありましたけれども、そういった我が方が提示できるようなものをぜひとも少し考えていただきたいと思いますし、その中でやはり交渉が進んでいくということかと思います。  今、カードは何ですかというのは大変難しいと思うので、私の一方的な話に対するまた御感想になるかもしれませんし、安倍総理が答弁されたような内容の確認をさせていただいてもいいんですけれども、技術者を入れるとか、あるいは投資環境を整えていくとか、こういった点で何かお答えいただけるものがあれば、ぜひ伺えればと思います。
  109. 岸田文雄

    岸田国務大臣 ビザなし交流の枠組みの中で技術者を現地に入れる等、御提案をいただきました。  こうした御提案の前提は、やはり我が国の法的な立場を害さないことであるということを申し上げなければなりません。  そもそも、御指摘のビザなし渡航と呼ばれる四島交流ですが、これは、北方領土問題解決までの間、相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与することを目的として、日本国民と四島現島民が旅券、査証なしに相互に訪問できることを日ロ間で確認した枠組みということであります。  ですから、この枠組みの中で技術者の活動を考えるということになりますと、やはりどうしてもロシア側の許認可の対象になるなど、四島に対するロシアの管轄権を前提とするものにならざるを得ないのではないか、そのことによって、結果として我が国の法的立場と相入れないことになってしまうのではないか。感想を言えということでありましたので、感想として申し上げさせていただきたいと存じます。
  110. 杉本かずみ

    ○杉本委員 ちょっと答弁が、もうちょっと突っ込んだ回答をいただけるような質問をしなきゃいけないなと今感じておるんですが。  そこで、日ソ共同宣言というのが過去あったかと思います。日本側は鳩山一郎内閣総理大臣で、ソビエト側は誰だったかなと思い出したところ、ブルガーニン・ソ連大臣会議議長とフルシチョフ氏というようなやりとりがありましたが、現時点での日本国外務省としてのこの日ソ共同宣言の評価を改めて確認させてください。
  111. 岸田文雄

    岸田国務大臣 一九五六年の日ソ共同宣言の評価ということですが、これにつきましては、二〇〇一年、イルクーツク声明でも言及されておりますが、日ソ共同宣言は、両国間の外交関係の回復後の平和条約締結に関する交渉プロセスの出発点を設定した基本的な文書であるとされております。ここでポイントは、出発点というところだと考えております。  日ソ共同宣言、この第九項ですが、「両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。」と規定しており、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する考えですが、こうした交渉の出発点になるのが、一九五六年のこの日ソ共同宣言と位置づけております。
  112. 杉本かずみ

    ○杉本委員 ありがとうございます。  もう時間もなくなってまいりました。引き続き、この北方問題、本当にいよいよ佳境に入っていきますし、安定政権のうちに必ず解決していただきたいということで、引き続き御尽力をお願い申し上げます。  次に、沖縄の問題に少しだけ触れさせていただきたいんです。  昨年、国土交通委員会で与那国に入らせていただいて、与那国が最西端の島であって、台湾に一番近い島なのでありますが、第十一管区が駐留している石垣島と比べて、人口が減っていくとかいうような状況の中で、ある意味、非常に振興がおくれているというか、そういう感じを受けました。  そんな中で、自衛隊の常駐を検討されているやに聞いておりますけれども、この自衛隊の常駐の可能性の確認と、こういった与那国等の、特に与那国の離島振興について、政府委員の方から答弁があれば、確認させていただきたいと思います。
  113. 徳地秀士

    徳地政府参考人 まず、防衛省の方からお答えをさせていただきます。  我が国といたしましては、数多くの島嶼を抱えておりますので、島嶼防衛体制の充実は極めて重要な課題でございます。そして、沖縄本島には、陸上自衛隊、海上自衛隊、あるいは航空自衛隊、さまざまな部隊がおりますけれども、南西地域におけるその他の島嶼部におきましては、レーダーサイトのようなものを別といたしますと、実力部隊が配置をされておりません。  そこで、今回の新しい防衛計画の大綱、中期防におきましては、島嶼部侵攻に対する対応に万全を期するという観点からさまざまな事業計画しておりますが、南西地域の島嶼部の部隊の体制を強化するために、与那国島につきましては沿岸監視部隊を新編するということとしておりまして、昨年六月に地元との間で賃貸借契約を締結するなど、駐屯地の開設に向けて、必要な施設整備に向けた取り組みを進めておるところでございまして、引き続き、部隊配置の早期実現に向けて努力をしていく考えでございます。
  114. 井上源三

    井上政府参考人 沖縄の離島でございますけれども、委員指摘のとおり、沖縄本島等と比べまして所得が低い、人口も減少している、そして、移動、物流コストの低減等による離島住民の負担軽減、産業振興による活性化等の課題があるというふうに認識をいたしているところでございます。  これらの課題に関しまして、県や市町村、一括交付金を活用いたしまして、離島住民等の交通コストの負担軽減を行う事業等、さまざまな離島振興策を図っているところでございまして、今後とも、与那国を含めまして離島の活性化を図るため、さまざまな施策の推進に取り組んでまいりたいと考えているものでございます。
  115. 杉本かずみ

    ○杉本委員 冒頭申し上げましたとおり、この沖縄振興並びに北方領土問題、我が国が前向きに取り組める大きな政策課題であると思いますので、きょうは大臣所信に対する質疑ということでございましたが、両大臣に大いに御活躍いただき、解決に向けて、あるいは振興に向けて御尽力をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  以上です。
  116. 安住淳

    安住委員長 次に、井坂信彦君。
  117. 井坂信彦

    ○井坂委員 結いの党の井坂信彦です。  私は、地元に二人、沖縄から来た秘書がおりまして、本当に沖縄の将来を憂えて、よく議論をしております。また、きのうは日帰りで委員会沖縄視察にも行かせていただきましたので、本日は、沖縄の長期的な振興についてお伺いをいたします。  まず、政府が行う沖縄振興の大前提となります、政府と沖縄信頼関係ということについて伺います。  沖縄の政界においては、従来の保守対革新という対立軸から、沖縄対ヤマトとでもいうべき対立軸へ、対立の構図が変わりつつあるのではないでしょうか。  例えば、昨年十二月に那覇市議会で全会一致で採択された意見書には、オール沖縄、保革を超えた島ぐるみの闘いという言葉とともに、こう書いてあります。「本市議会は、沖縄への圧力を強め、政治家に公約の変更を迫り、「県民総意」を分断し、県知事に新基地建設のための公有水面埋め立て申請の許可を迫るなど、子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に、激しい怒りを禁じえない。」こういう激しい表現がされているわけであります。  そこでお伺いいたしますが、対立の構図がまず変わりつつあるという認識をお持ちかどうか。また、もしそうなら、その原因はどこにあるとお考えか、お伺いをいたします。
  118. 山本一太

    山本国務大臣 沖縄においては、県民の方々の間にさまざまな御意見があるというふうに承知しておりますけれども、基地問題に関して、今議員が御指摘になったとおり、これまで保革に分かれてきたことを乗り越えて、オール沖縄として日本政府や本土の人々に対して基地負担の軽減を強く求めるべき等々の意見とか議論があることはもちろん承知をしております。  これはやはり、沖縄方々の中に、沖縄は本土に比べて基地負担を過重に強いられているが、そのことについて日本政府や本土の人々が十分に理解していないのではないか、こういう思いがあることが一つの要因になっているのではないかというふうに認識をしております。  いずれにせよ、沖縄の基地負担軽減のため、沖縄方々の気持ちに寄り添いながら、できることは全て行うというのが政府の方針であり、政府として、この方針に基づいてしっかりと取り組むことが必要だというふうに考えております。
  119. 井坂信彦

    ○井坂委員 沖縄との関係、やはり現時点で大変こじれつつあるというふうにも思うわけでありますが、信頼を取り戻すためにも、私は、真に長期的に沖縄のためになる振興策が必要だという立場であります。  本日、まずお伺いいたしますのが、子供の貧困問題についてであります。  大臣所信表明を伺って、おおむねそのとおりだと聞かせていただく反面、二点だけ、残念に思うところがございました。一つは、若年出産が多く出生率が高い現状を沖縄の優位性として大変楽観的に評価をされている点、またもう一つは、沖縄の教育水準が全国最低であるのに教育について一言も触れていない点であります。  課題を総花的に並べることの多い所信表明演説において一言も触れないということは、これは単なる言葉尻の問題ではなく、まさに子供の教育を沖縄の優先課題としては認識しておられない証拠ではないでしょうか。  全国学力テストや高校進学率など、沖縄は教育の多くの面で全国最下位であります。昨年、沖縄視察に行った際に、子育て問題の専門家から悲惨な現状を聞いてまいりました。まず、沖縄は、離婚率が全国でトップ、母子家庭のお母さん方は飲食店で夜働くことが多い、夜間の保育所が少ないので、少年の深夜徘回は全国平均の二倍、飲酒は六倍、そして、このような少年少女が若年出産をし、また生活困窮家庭や離婚家庭につながっている、こういう話でありました。  昨日の沖縄視察でも、ある町長から、沖縄の貧困率は二九・三%で全国平均の倍であると聞きました。すかさず私から、子供の貧困問題や教育放棄が一因ではないですかと尋ねましたところ、町長は、このような陳情の場では話題に上りにくいが、それが沖縄の問題の根源だと考えている、こういうお答えもありました。  沖縄の一人当たりの県民所得は最下位ですが、一方で、一千万、二千万を超える高額所得者の割合は全国ベストテンにも入っております。いわば貧富の格差が非常に大きい県になっているということであります。  若年出産、そして生活困窮、さらには深夜就労、育児、教育の後回し、そして非行、不良、若年出産、この負のスパイラルによって貧困あるいは格差が再生産されているのではないでしょうか。この連鎖をどこで断ち切っていくのか、まず大臣にお伺いをいたします。
  120. 山本一太

    山本国務大臣 今、井坂議員の方から、この政権は沖縄の教育の問題について余り重視していないのではないかというお話がありましたが、そういうことはありません。  しかしながら、所信の中に教育という言葉が入っていなかったとすれば、やはり少し配慮が足りなかったかなというふうに思っております。それは恐らく、大きな意味で沖縄人材育成という中に含めて考えていたということだと思います。  沖縄の強みの一つとして、例えば、東アジアの中心にあるという地理的優位性とか、あるいはGDPの伸び率、雇用者数の伸び率が実は全国平均を上回っているとかという中に、確かに、出生率が高い、そして若年の人口が多いというのも一つの強みというふうに捉えている部分もありますが、今、議員お話を聞いて、人口の若年率、これは実はさまざまな側面があるということを改めて考えさせられましたので、そういうところにもしっかり担当大臣としてフォーカスをしていかなければいけないということを勉強させていただきました。  その上で、若年出産、生活困窮、育児困難、深夜就労、そして教育後回し、不良化、さらに若年出産というような、今おっしゃった負のスパイラルによって貧困、格差が再生産されているというお話がございました。  どうやってこの連鎖を断ち切るかというお話だと思うんですが、沖縄は、本土復帰以来、御存じのとおり、振興開発のための諸施策を積極的に講じてまいりまして、社会資本の整備とか就業者数の増加、先ほど申し上げた話ですが、観光リゾート産業、ITも含めて、こうした成長等の一定の成果は上げてきたというふうに考えております。  一方、おっしゃったとおり、一人当たりの県民所得は依然として全国最下位、失業率も全国一高い。今御指摘にありましたが、出産全体に占める十代の出産の割合、離婚率、一人親世帯割合、生活保護世帯率についても、これは全国で一番高いというふうに承知をしております。  今後の沖縄の自立的な経済発展のためには、産業振興、特に雇用の確保に積極的に取り組むとともに、委員が御指摘をされたような、教育、子育て、一人親家庭などの問題に、よりきちっと取り組んでいくことが大事だというふうに認識をしております。  沖縄には、先ほど前原議員の御質問等々にもありましたが、一括交付金という制度がございますので、こういうものを活用して、多様な雇用の場の創出、若年層といいますか若い方々の雇用の促進、待機児童対策地域の子育て環境の整備、一人親家庭への支援等々、各種の施策を総合的、積極的に推進してまいりたいと思います。  一つ一つちょっと例を挙げると時間がなくなってしまうと思うんですが、一応この方向でいろいろな取り組みをやっているということだけは申し上げておきたいと思います。
  121. 井坂信彦

    ○井坂委員 大臣から、この問題についてもしっかり取り組んでいくというお答えをいただきました。ありがとうございます。  ただ、一括交付金の話、これは実は、一括交付金で、本来であれば、こういった問題の根源であるところの例えば母子施設であるとか、そういった福祉的な、子育て環境を底上げするような施設ができればいいと思っているのですが、なかなか、現場で聞く話によりますと、これは結局、内閣府の交付金のため、厚労省関連の施設には使えない、あるいは使いにくい、こういう声も聞いております。ちょっと時間がなくて、本日、質問を飛ばしますが、ぜひ、一括交付金が、経済成長というだけでなくて、こうした貧困家庭の底上げ、子供の教育環境の底上げといったところにもどんどん使えるように、政策の見直し、誘導をお願いしたいというふうにお願いだけしておきます。  次に、農業について伺います。  沖縄の農業の中心はサトウキビ、畜産、花ということで、特にサトウキビは、農家の八割の方、そして面積の五割を占めているというふうに事前に伺いました。しかし、生産額で比べると、サトウキビは沖縄の農産物の二割でしかないということでもあります。しかも、トン当たり四千円でサトウキビを工場に売るたびに、農水省から生産者に一万六千三百二十円の交付金が出る。補助金でいわば売上額を五倍に膨らませてようやく経営が成り立つという現状かというふうに認識をしております。  昨日も、各市長さん、町長さんから、サトウキビがなければ沖縄の農業は壊滅すると悲痛な叫びを聞いてまいりました。確かに、製糖工場など、波及効果も含めて、サトウキビがなければ、特に離島の経済は成り立たないというふうに思います。沖縄農業の現状、また離島に人が住み続けていただくためにも、サトウキビ農業は守る必要がもちろんあろうかと思います。  一方で、長期的な沖縄農業の振興を真面目に考えれば、やはり農産物の多様化が重要だと考えています。世界との厳しい競争にさらされ、これ以上高く売るのが難しいサトウキビに頼らず、私の地元神戸牛であるとかあるいは松阪牛などのブランド牛の子牛、ニンジンやタマネギなど台風に強い根菜、あるいは変わったところでは薬草など、沖縄農業のさらなる可能性を追求すべきです。昨日の視察でもこのような問いをぶつけたところ、もっと野菜をつくってアジアにどんどん売り出したい、こういう力強い返答も現地ではいただいております。  農業の現状はよく理解をしておりますし、また離島は今後もサトウキビを続けて定住していただくことが防衛上も大事であります。しかし、長期的な沖縄の農業振興という意味では、徐々にサトウキビへの依存度を下げ、アジアへの展開も含めた農産物の多様化にこそ予算を投入するべきではないでしょうか。大臣にお伺いをいたします。
  122. 山本一太

    山本国務大臣 沖縄の農業にやはり長期的なビジョンが必要だという点については、私は議員と同じ認識を持っております。ただ、何度も御質問の中で御指摘をされたように、温暖な亜熱帯の気候、台風、干ばつの常襲地域等々のこの沖縄の特性を考えると、やはりサトウキビは沖縄の農業にとってはいろいろな意味で極めて重要な基幹的作物だということは、これはもう否定できない事実だと思います。  それに、私も沖縄を訪問させていただいて随分製糖工場を見せていただきましたが、製糖業を初めとする関連産業への波及効果も実は大変大きいということで、沖縄は特に今、もう議員はよく御存じの上でおっしゃったんだと思いますが、離島の振興においては、これは非常に重要な役割を担っているというふうに思います。引き続き、安定的な生産の振興はやはり必要だというふうに考えております。  一方、今の御質問の中にもありましたけれども、野菜それから果樹、花卉、こうしたものへの多様な作物の生産についても、市場競争力の強化による生産拡大とか、あるいは付加価値の向上が期待されるということで、沖縄県では、これは御存じかもしれませんが、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化ということをテーマに実は拠点産地の育成などについて取り組んでおりまして、これについては、国としても、生産基盤の整備等についてしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  123. 井坂信彦

    ○井坂委員 もちろん、現状、されておられるということでありますが、やはり大事なのは、長期的に依存度を下げていくんだという長期ビジョンと、それから、あとは予算の配分だと思うんですね。片や物すごい予算をかけ、もう片方の方はソフト的な予算のかけ方ということでは大変物足りないというふうに思うわけですから、ぜひまたよろしくお願いをいたします。  ちょっと時間があれですが、あと二点、沖縄の戦後の問題ということについて伺います。  まず、遺骨収集について厚生労働省に伺いたいと思います。  県民の日常から太平洋戦争の影を払拭する、これも沖縄振興には欠かせないことだと考えております。残り三千四百柱とも言われる遺骨収集事業、県と国とで分担をして、年間百柱ずつぐらい今やっているというふうに聞いておりますけれども、これを思い切った予算措置で、一定期間、期限を区切って一気に推し進めることはできないかということについてお伺いをいたします。
  124. 古都賢一

    古都政府参考人 お答え申し上げます。  戦没者の遺骨収容につきましては、国の責務として、悲惨な歴史を繰り返さないためにも、沖縄を含む全ての戦域で進める必要があると考えております。  沖縄県での遺骨収容数は、御指摘にもございましたとおり、平成二十六年の一月末現在で十八万六千七百八十五柱を収容させていただいておりまして、国あるいは沖縄県の推計にかなり近い数字にはなってきております。  厚生労働省といたしましては、御遺骨に関する情報を効率的に収集するために、平成二十三年度から予算を増額しまして、沖縄県に情報収集事業を新たに委託するなどして、御遺骨の収容促進に取り組んでいるというところでございます。  御遺族のお気持ち、あるいは年々情報収集の困難さを考えますと、収容年限を限ることはなかなか難しいのではないかというふうには思っておりますが、御遺族の高齢化が進む中、できる限り早く、一柱でも多くの御遺骨を収容することが大変重要でございますので、今後とも、限られた財源をできるだけ有効に活用しながら、沖縄県とも十分協力して情報収集に努め、御遺骨の収容に努めてまいりたいというふうに考えております。
  125. 井坂信彦

    ○井坂委員 限られた財源とおっしゃいますが、何年に分けて長くやっても、逆に一定期間に集中して予算をかけても、これは結局かかる総額というのはそれほど変わらないのではないかというふうに一方で思いますので、ぜひ、今のペースでやっていくという以外の方法を検討していただきたいというふうに思います。  最後に、もう一点、戦後の処理ということで、不発弾処理について。  先ほど他党の先生からもありましたけれども、この問題、確かに予算額はふえてきております。ところが、この間の予算の実際の執行の数字、執行額を見せていただきますと、平成二十四年には大きくふやして予算二十三億円にしたんですが、結局、最終的に五億円を余らせてしまっており、これは予算がボトルネックになっているわけではないというふうにも見えるわけであります。  この不発弾処理の問題、これはやはり、任意で、民間の方から求めがあれば磁気探査をやるということではなくて、何か一定条件のもとで建てかえのときの磁気探査を義務づける、こういったようなことでさらに進めることはできないかどうか、お伺いをいたします。
  126. 山本一太

    山本国務大臣 今議員が御指摘になったとおり、住宅等開発磁気探査支援事業は、沖縄における不発弾等処理量の約四割を占める民間工事における不発弾等の探査を促すために、平成二十四年度から試行的に開始をいたしましたが、今この資料を見ると、試行一年目である二十四年度の実績件数は五件にとどまりました。このため、二十五年度では、県や市町村から意見を聴取して、より円滑かつ効果的に事業が進められるように制度の見直しを行いたいと思います。  申請件数は、一月時点では昨年を大幅に上回っておりまして、引き続き、事業の利用促進をしっかり図っていきたいというふうに思います。  その上で、いわゆる住民からの要望を待つという形ではなくて、むしろ義務づけ、強制力みたいなものを持たせる等のお話がありました。これについては、御存じのとおり、磁気探査についての補助率のかさ上げとか住民の要望を受けて行う広域的な探査発掘事業は、かなり本土に比べて手厚い支援を実は行ってまいりました。  これも御存じだと思いますが、平成二十一年に糸満で発生した爆発事故等を踏まえて、公共工事においても事前探査を原則ルール化いたしましたし、民間工事などについても、広域的な磁気探査発掘事業の拡充、あるいは住宅等の開発時における新たな補助事業平成二十四年度から開始している等々、住民にとって利用しやすい事業になるように見直しを行い、さらにより活用いただけるように、この事業を、県や市町村などと、関係者と協力して積極的に周知に努めております。  それから、民間工事において、先ほどのポイントですが、磁気探査を義務づける、強制的にするということについては、これもよく御存じだと思いますが、さまざまな課題があって、なかなか難しい点はございます。どこにどれだけあるのかわからないということもありますので、義務づける工事の範囲とか、あるいは磁気探査の経費の負担をどうするのかとか、工期がおくれた場合の補償とか等々、いろいろと困難な面もございます。  いずれにせよ、民間工事における磁気探査の実施も含め、沖縄における不発弾等の対策は非常に大事だと思っていますので、きょうもいろいろ問題提起をいただきましたが、いろいろな意見を踏まえて、よりこれを着実に実施できるようにきちっと検討し、さらに力を入れてまいりたいと思います。
  127. 井坂信彦

    ○井坂委員 誰のための沖縄振興なのかということをこちらもしっかりと見据えて、沖縄の長期的な発展と自立に向けた根本的な課題解決に向けて、今後とも議論をさせていただきます。  本日は、どうもありがとうございました。
  128. 安住淳

    安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会