運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2012-08-28 第180回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十四年八月二十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月二十五日     辞任         補欠選任      長谷川 岳君     鈴木 政二君  七月二十六日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     長谷川 岳君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 勝也君     理 事                 金子 恵美君                 中谷 智司君                 野村 哲郎君                 山田 俊男君     委 員                 岩本  司君                 郡司  彰君                 今野  東君                 徳永 エリ君                 松浦 大悟君                 青木 一彦君                 加治屋義人君                 鶴保 庸介君                 長谷川 岳君                 福岡 資麿君                 白浜 一良君                 横山 信一君                 外山  斎君                 小野 次郎君                 紙  智子君    衆議院議員        修正案提出者   石津 政雄君        修正案提出者   宮腰 光寛君    国務大臣        農林水産大臣   郡司  彰君    副大臣        農林水産大臣  岩本  司君        農林水産大臣  佐々木隆博君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       森本 哲生君        経済産業大臣政        務官       中根 康浩君        国土交通大臣政        務官       室井 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        稲熊 利和君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       米村  猛君        文部科学大臣官        房総括審議官   田中  敏君        文部科学省科学        技術学術政策        局次長      渡辺  格君        農林水産大臣官        房長       本川 一善君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 一雄君        農林水産大臣官        房審議官     櫻庭 英悦君        農林水産省消費        ・安全局長    高橋  博君        農林水産省食料        産業局長     針原 寿朗君        農林水産技術会        議事務局長    藤本  潔君        林野庁長官    皆川 芳嗣君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      糟谷 敏秀君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院首席統括        安全審査官    山本 哲也君        国土交通大臣官        房技術参事官   難波 喬司君        国土交通省水管        理・国土保全局        砂防部長     南  哲行君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    梶原 成元君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (東京電力福島第一原子力発電所事故による農  林水産業への影響対策に関する件)  (森林除染に関する件)  (放射能汚染植物系資源処理に関する件)  (農林水産物等中国輸出促進協議会問題に関す  る件)  (原子力発電代替のための木質バイオマス発電  施設整備に関する件)  (口蹄疫問題に関する件)  (水産業・漁村の多面的機能の発揮に関する件  )  (豪雨災害対策に関する件) ○株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房総括審議官田中敏君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 金子恵美

    金子恵美君 民主党・新緑風会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。  まず、森林林業関連質問をさせていただきたいというふうに思います。  今年度で京都議定書の第一約束期間は終了ということになりますが、地球温暖化は進行しております。大変残念なことであります。来年以降も森林吸収源対策を継続していく必要があるというふうに思います。これまでの我が国の森林吸収源対策は、もちろん間伐推進中心に行われてまいりました。引き続きこれを推進していく必要があります。  しかしながら、間伐推進するためには林業経営健全化、これが重要となっておりますが、近年、木材価格が低迷し、林業経営に著しい影響を及ぼしております。林業経営採算性悪化により間伐推進が滞るおそれはないのでしょうか。直近の木材価格の低迷についてどのような御認識をお持ちでしょうか、お伺いします。  そしてまた、その木材価格を安定させるために国産材需要拡大のための対策をしっかりと進める必要もあるというふうに思いますが、御見解をお伺いさせていただきます。
  6. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 金子委員にお答えさせていただきます。  今の御指摘、私自身も非常にここのところ深刻な問題だと受け止めさせていただいております。というのは、杉の材は大体一割ぐらいの価格で下がっておりますし、今、一万六百円ということなんですが、ヒノキが一五%を割っておりますので、かなりここのところはもう経営的にも非常に厳しい状況があるということでございます。  そして、市場流通についても、やはり木材を非常に集中的に伐り出すということが、木材流通を図るということの量の問題ということもこれから間伐の問題と大きく、これ災害の問題と、伐捨て間伐とかかわってくる、これは総合的にかなり大きな問題に私はなっているということで認識をさせていただいております。  そうした中で、実は木材住宅着工については、これは増えておるんですけれども、残念ながら主力になる大工さん、工務店さんの受注というものが少ない、大手ハウスメーカー受注が多いということが一つの原因になっております。というのは、円高の問題があるわけでございますので、そうした問題の中で、とにかくおっしゃいますように出口対策、ここのところをしっかりやっていかなければならないということでございますので、とにかく供給サイド需要サイド情報交換の場の設定とか、住宅メーカー、今申し上げた大手ハウスメーカー工務店への国産材の利用をただお願いをする以外にはないというふうに思っております。  森林土木工事についての間伐材活用、これは合板等国交省等も積極的に使っていただいておりますので、こうした今要請を行っておるところでございますので、あと、また余り時間、お話ししておりますと質問時間がありません、この程度で、今とにかく出口対策頑張ってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
  7. 金子恵美

    金子恵美君 公共建築物にはどんどん国産材をということの仕組みというのはつくり上げられているわけなんですけれども復興住宅等にもこの国産材活用というのを是非していただきたいというふうに思っております。  続いて、福島県の森林除染についてお伺いさせていただきます。  環境省環境回復検討会森林全体の除染を行う必要性は乏しいと、つまり森林全体の除染は不要との見解を示したということでございまして、関係者から、福島県そして県森林除染推進協議会などからの抗議文要望書などが出されたところでありました。  私はもう既に、八月の二十日に開催されました決算委員会では環境大臣にお尋ねしまして、どうなっているのかということでしたが、あれは、環境大臣からは環境回復検討会が出した一つ見解にすぎないというようなお言葉もありましたので、これから、中間取りまとめも延期をいたしているところでありますけれども林業関係者からの意見をしっかりと踏まえた上で再検討していくということだというふうに思っております。  さらに、今回、福島県内からの要望の中には、林野庁森林における放射性物質の除去及び拡散抑制等技術指針というものがありますが、これを環境省除染関係ガイドラインに組み込むべきとの要望がありました。私は、これは林野庁がこれまで取り組んできたことへの評価、そしてまた期待の表れではないかというふうに思っておりますので、林野庁とそして環境省ともっとしっかりと連携を組んでいただきまして、今後、森林除染についての考え方をしっかりと確立していただきたいというふうに思っているところでありますが、御見解をお伺いいたします。
  8. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今委員から御指摘がありましたような経過の中で、もう御存じだと思いますけれども、明日二十九日に再度検討委員会地元の方々の御意見を聞くということになっておりますから、もう少し前向きな形での検討ということにもなるんだろうというふうに思っております。  これまでも、連携を密にしろということでございましたけれども、先ほど言いました技術指針、それからまた、実際には、環境省の形の中に組み込む形で林野庁の職員の方それからOBの方等も既に福島の方のところに入ってお手伝いをさせていただいております。  それとは別に、この除染ということとは別にしても、やはり温暖化対策としての間伐でありますとか、こういうようなことはやはり福島においてもしっかりやらなければいけない。こういうような幾つかの問題が重なる中で、私ども、今御指摘をいただきましたように、より一層連携をして、そして、これからの林業のそうした取組というものが地域の中の雇用あるいはこれからの福島県の活力の源になるように一生懸命取り組んでいきたいというふうに思っております。
  9. 金子恵美

    金子恵美君 それでは、今、除染関係についてはお答えいただいたわけでございますけれども福島県の林業再生に向けては、やはり除染とそして森林整備一体的かつ効率的に実施する、そういう事業を早急に創設する必要があるというふうに思います。  さらに、除染とその森林整備一体として行えば、放射性物質を含む木質資源が大量に発生するということが想定されます。その処理のために木質バイオマス発電施設整備ども必要になってくるというふうに思いますが、原発の問題で大変な被害を受けている福島県に再生可能エネルギー発電所、そういう整備をしていくことは大いに意義があることだというふうに思っておりますので、福島県の林業再生そして復興に対しての見解そして決意をお伺いしたいと思います。
  10. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えいたします。  福島県の林業再生に向けた事業につきましては、これまで福島県や福島森林組合連合会などからも要請をいただいているところでありまして、農林水産省といたしましても、環境省環境回復検討会での議論や現在実施しております除染実証事業成果等を踏まえながら、今後どのような対応が可能か検討しているところであります。  また、木質バイオマス発電等に有効利用していくことは、廃棄物等減容化林業活性化雇用の創出、エネルギー安定供給等の面から極めて重要であることから、東日本大震災復興交付金等のメニューに位置付けまして発電施設整備を行っていくこととしており、現在、南相馬市、川内村におきまして施設整備実施可能性調査が行われているところであります。  福島県の林業が業として再生するとともに、またそのことが再生エネルギー拡大、発展にもつながるよう、地元意見を聞きながら十分に検討してまいる所存であります。
  11. 金子恵美

    金子恵美君 副大臣からのお答えをいただきました。副大臣福島県にお運びいただきました。現状をよく知っていただいている上でのお言葉だったと思います。大臣、副大臣そして政務官、共に林業再生に向けてのこれからの御尽力にも期待したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは次に、酪農、畜産について質問させていただきますが、今、配合飼料の高騰というのが大変心配になっている時期でもありますが、今日は、私は、福島牛肉のまず風評被害対策についてお伺いしていきたいというふうに思います。  東京市場における牛肉枝肉卸売価格が、昨年は出荷制限四県、岩手宮城栃木福島中心価格が低下したものの、二十三年度後半からは回復傾向で推移しておるところであります。しかしながら、福島県においては、今申し上げましたこの四県を除く全国平均のほぼ八割の価格水準となっている状況でありまして、依然として、風評被害と思われますが、鎮静化していないという状況になっています。このため、小売業、そして流通業、そしてまた消費者皆様方福島産の牛肉が安全であるという理解を繰り返し求めていくことが必要であるかというふうに思いますが、まず具体的な取組についてお伺いします。
  12. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 金子委員のおっしゃるとおりでございますので、ここのところは安全性を十分確保してということを私どもはしっかりとPRをしておるところでございます。特にキャンペーンのお願いも今、八月二十二、二十三日、都道府県、流通機関お願いをさせていただいたところでございます。  私ども、先般、桃の出荷、そしてまた広島の方にも果物の関係でお邪魔をしてまいりました。ですから、そうした私どもが今おっしゃられるようなことをしっかり政務三役が現地へ出向いてお願いもするというような、そうしたこともこれからもしっかり続けてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  13. 金子恵美

    金子恵美君 そして、これまで肉用牛農家は国や福島県の肉用牛経営緊急支援対策により経営を維持していましたが、その後、東電からの損害賠償金経営の根幹となっているところであります。しかし、七月の三十一日現在で昨年十二月以降の請求分は五〇%しか支払われていなかったということでした。  肉用牛農家経営存続の危機にあります。何としても損害賠償支払が急がれるところであります。東電も努力をしていることは理解はしますが、支払がなぜ迅速に行われないのか、農水省としてどのようにこの理由を把握していらっしゃるでしょうか。そして、またさらに、引き続き農水省からも迅速な支払をするように東電に対して指導していくべきだというふうに思いますが、見解をお伺いさせていただきます。
  14. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えいたします。  農林水産省といたしましては、これまで原発事故連絡会議を九回開催するなど、東京電力に対しまして賠償金早期かつ本格的な支払を求めてきたところであります。  福島協議会によりますと、肉用牛価格下落等にかかわる損害につきましては、昨年八月までの請求分につきましては本払いが行われ、昨年九月から十一月までの請求分については約九〇%の概算払が行われたものの、昨年十二月から本年七月までの請求分については請求額の五〇%の仮払いにとどまっていると聞いているところであります。  本払いが進んでいない理由といたしましては、請求書類の量の膨大さによりまして確認事務が遅れていること、子牛の損害にかかわる血統加算生産費算出方法等賠償額算定方式につきまして東京電力福島協議会との間で協議中の事項があることと聞いているところであります。  被害者の本格的な救済のためには東京電力による本払いが着実に実施されることが基本であることから、農林水産省から東京電力に対しまして、証拠書類確認作業福島協議会との協議を急ぐとともに、これらを終えたものから順次本払いを行うなど、被害者救済に最優先に取り組むよう申し入れているところであります。  この結果、東京電力福島協議会の間で協議が進み、順次本払いが行われる方向作業が進められていると聞いておりますけれども、今後とも、東京電力により早期かつ本格的な賠償が実現できるように、引き続き取り組んでまいる所存であります。
  15. 金子恵美

    金子恵美君 そして、福島県では汚染稲わら堆肥最終処分方向性について大変な大きな悩みを持っているわけです。  八月三日現在、汚染稲わら宮城福島岩手栃木の四県で約七千トンあると推計されています。また、汚染牛ふん堆肥については十三県の約二千五百戸の農家で確認されていますが、その農家のほとんどは福島岩手宮城栃木の四県が占めています。現在、これら汚染稲わら堆肥については隔離一時保管がなされたままとなっています。  地元福島県で私も畜産農家現状を見てまいりましたが、こうした汚染稲わら堆肥最終処分されず、そしてまた、特に牛ふんは毎日増加するものでありますので、一時保管する場所確保が困難となり、畜産経営の支障ともなっている、そういう農家もあるわけであります。こうした状況が新たな風評被害を生じさせ、例えば福島産の牛肉価格を更に低迷させる、そういう状況にもなるのではないかと大いに憂慮しているところでもあります。  この汚染稲わら堆肥処理について実態に合った形での方向性を示すべきと考えますが、見解をお伺いします。
  16. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 汚染稲わらにつきましては、七県に約七千トン保有されていると推定されておりますけれども、これまでパイプハウスによる共同隔離保管等取組が実施されているところでありまして、保管作業進捗率は、処理済みが六割、保管場所確保済み及び隔離施設設置作業中が約二割、全体で約八割という状況であります。  汚染稲わら等の一時保管後は既存の廃棄物処理施設仮設焼却炉による焼却等が必要となってきますけれども政府全体が連携してできるだけ早く処分を進めたいと考えておりまして、これまでも農水省環境省共同現地に赴きまして焼却等について提案、協議しているところであります。  今後とも、汚染稲わら等処理の円滑な推進のために、環境省としっかりと連携をいたしまして、県、市町村等との連携を密にしながら、周辺住民理解を得つつ、しっかりと粘り強く、しかしスピーディーに、もっとスピーディーに取り組んでいく所存であります。
  17. 金子恵美

    金子恵美君 時間ですので、終わります。ありがとうございます。
  18. 山田俊男

    山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。  今国会、もう少し農林水産省農林水産委員会との間できっちり議論を進めたかったんですが、とうとうこういうことに相なりまして、もしかすると本日が最後じゃないかということであります。  今、農林水産政策を取り巻きます諸課題につきまして総括的にといいますか、私が何としてもここは明らかにしておかなければならないというふうに考えております課題につきまして集中的に御意見を申し上げて、大臣始めとする農林水産省の皆さんのちゃんとした決意を聞いておかなければならない、こういう立場でありますので、端的に、時間を有効に質疑させていただきたい、こんなふうにお願いするところであります。  まず最初に、再生可能エネルギー取組についてであります。  これは、本日は経済産業省からも見えてもらっておりますので、どうぞ、経済産業省、見えてもらっているね、質問します。  原発稼働実態一体どういうことになっているのかということであります。事故が起こる前に五十四基あったということでありますが、福島事故が起こった後、四基は廃炉にするということで聞いております。一体、現在何基あるんですか。
  19. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) 事故の前に五十四基ありましたうち、先生が御指摘のとおり四基が廃炉になりまして、現在五十基、このうち大飯の三号、四号の二基が稼働しておるという状況でございます。
  20. 山田俊男

    山田俊男君 原発依存からの脱却を強く求める声が圧倒的に強いわけであります。そんな中で、もう新増設はできないぞという方向を出しておられるわけですね。それからさらに、四十年経過した老朽化した原発については、これはもう稼働できないだろうということでこれも方向を出しておられる。  そうすると、今議論になっていますが、将来見通しとして、二〇三〇年時点でどれだけの原発稼働可能性があるんですか、お聞きします。
  21. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) 現在五十基ある原子力発電所について、四十年が経過した時点で止まると単純に仮定をして計算をいたしますと、二〇三〇年時点で四十年が経過をするものが三十基ございます。したがって、逆算しますと、五十から三十を引いて、残り二十基が二〇三〇年の時点で四十年未満ということでございます。
  22. 山田俊男

    山田俊男君 その中でも、活断層が通っているとか、それからさらには、もしも地震、津波があった場合、その備えが必ずしも十分できていないとか、それから検査中であって、それを稼働させるにはまだいろんな形で検査が必要だというふうな議論がいっぱいあるわけでありますけれども、そう考えますと、一体この二十基のみの内、ちゃんと稼働させられるよというふうにおっしゃるのは何基あるんですか。
  23. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) 原子力規制委員会が発足いたしました後、原子力規制委員会安全基準を定めまして、その基準に従って判断をされるということになりますので、最終的にそれにクリアをしたものが運転ができるということでありまして、ちょっと今の段階で何基ということを具体的に申し上げるのが難しゅうございますが、そういう考え方でございます。
  24. 山田俊男

    山田俊男君 ただ、それじゃ聞きますが、二十基稼働するということであれば、二十基稼働させて一体必要な電力の何%カバーできるんですか。
  25. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) 二十基が仮に八〇%の稼働率稼働したとしますと、千四百八十八億キロワットアワー発電が可能でございます。他方で、二〇一〇年のこの原子力発電による発電電力量が三千四億キロワットアワーでございますので、それに比べますと半分以下になるという状況でございます。
  26. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、大体三〇%ぐらい、必要量の三〇%ぐらいは原発でカバーしていたということであれば、半分になるということであれば一五%ということですか。
  27. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) もちろん、二〇三〇年の段階でどれぐらい節電がされているか、若しくは逆に需要量が増えているとか、そういうことも考えますと、全体量がどうなるかということにもよりますけれども、現在の需要量使用量を前提に考えますと、単純計算でいけば先生指摘のとおりであろうかと思います。
  28. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、何としても原発に代わる代替電力確保が必要になってくるわけでしょう。そうすると、水力依存するということがあったにしても、大きな大規模な水力発電を造り上げるというのはなかなか容易じゃないですね、現時点ではね。それからさらに、そうなってくると、あとは火力に依存ということであれば、燃料の確保ということでそれぞれ課題があります。  そうなってくると、再生可能エネルギーについて大変期待が強いわけであります。その中でも木質バイオマスによる発電取組一体どんなふうに想定されていますか。  経済産業省でいいですか、それとも農林水産省木質バイオマス発電量はどんなふうに想定されているんですか。これは経済産業省、そういうことをやっていないんですか。
  29. 糟谷敏秀

    政府参考人糟谷敏秀君) ちょっと質問通告をいただいておりませんのと、担当が隣の部でございますので、ちょっと今具体的にお答え申し上げることができませんが、進めていく、加速をしていくという方針は間違いございません。
  30. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) 木質バイオマス再生可能エネルギーの一環として発電に使っていくということについては、私どもも特に森林林業の観点からも非常に大事な取組であるというふうに思ってございます。  今、二千万立米ぐらいの未利用の間伐材があるということでございますが、例えて言いますと、それを全面的に全部発電活用するというふうにした場合にどのぐらいの発電量があるのかということを試みに計算をいたしますと、大体二千万立米全部使えば百万キロワットぐらいのものができるということはかなり、原発一基分ぐらいのものはポテンシャルとして持っているんだろうなというように考えてございます。  また、それを再生可能エネルギーを振興するという立場でしっかりと推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  31. 山田俊男

    山田俊男君 原発一基分を二千万立米の間伐でカバーしたからといって、ここはもう全然足りないわけですよね、そうでしょう。これ、どのぐらいを、どんな数、ちゃんと木質バイオマス発電しようというふうに計画されているんですか。計画なきゃ何もできないでしょう。
  32. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) 今、木質バイオマス再生可能エネルギーの法律ができました、FIT法という法律でございますが、これに基づきまして、まず、七月に施行されまして、第一号が認定をされているということでございます。そういった形で、今後増えていくだろうと思ってございますが、今、既存のものとしては、RPS法と言われる法律に基づく発電をしている施設が五十六か所ございます。  また、近々でございますけれども、申請をされるであろうというところについては、大体二十数か所の発電施設が手を挙げてこられるというふうに聞いてございまして、それ以外にも各地で事業構想が進んでいるということでございますので、各地域の事業構想をなるべくそれを実現化するように、私どもとしても様々なアドバイスもしながら、また、一部助成もしながら推進をしていきたいということでございますが、木質バイオマスで今何キロワットという明確な落とした計画があるということではないので、なるべくとにかく推進方向で各地域の構想を磨いて、また、守り立てていきたいというふうに考えているところでございます。
  33. 山田俊男

    山田俊男君 木質バイオマス電力化に向けて希望がたくさんあるということでありますが、じゃ、予算はちゃんと準備できるの、準備してあるんですか。
  34. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) FIT法自体のスキームからいたしまして、今回、未利用間伐材での発電ということについて、これは経済産業省の方ともよく調整をいたしまして、三十三円というキロワットアワー当たりの購入価格、買電価格ということになってございまして、これはかなり、今までのRPSの水準に比べましても二・五倍ぐらいある、そういった価格が提示されているということでございますので、民間自体の取組としてもこれは十分に進み得ると思ってございますし、また、予算のお話がございましたけれども、私どもとしては、森林林業の再生という観点で、二十三年の三次補正で約千四百億円の再生の基金というものを三年間で措置してございます。  こういったものの中で、いわゆる地域の森林林業の再生ということにつながる木質バイオマス推進ということでの助成策ということも用意してございますので、そういった価格、FIT法自体における価格というものが非常に十分採算可能なラインに設定されているということに併せまして、私どもの助成策ということも活用いただければ、相当数各地域の構想が現実のものになってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
  35. 山田俊男

    山田俊男君 どうも、長官、必ずしも決意が見えてこない、取れないんだよ。買取り制度がありますから買取り制度に乗っていただければいいですよと、一つね。二つ目は、各事業体それぞれ工夫してやってください、助成事業はありますよと。相当程度カバーできるけれども一体どれだけ、どんなふうにカバーできるかはまだ試算もしておりません、そういうことは分かりませんと。  だって、さっき、何で原発がどういう事態になっているかということを聞いたわけ。そうすると、そのことに伴って、一体再生可能エネルギーでどれだけちゃんとカバーしなきゃいかぬのかということのやっぱりもくろみなり思想がなきゃいかぬわけよね。このことをちゃんと当事者意識を持ってやってもらいたいんだよ。それを、だって、今経済産業省に聞いても、一体どうですかと言って、いや、これは担当がちょっと違いますと言っているわけだよ。そして、林野庁、あなたのところへこの話が回ったわけだ。  やっぱり当事者が決意を持って、そして乗り出して、我々はこれだけのものを再生可能エネルギーでカバーしますよということを言わなかったら、この電力の問題、原発依存をゼロにするという、こんな動きの中で何も問題解決しないよ。どうですか。
  36. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) 全体のエネルギー政策という観点での御質問かと思いますけれども、そういった観点も当然ございます。私ども再生可能エネルギーを増やしていくということ自体は農林水産省の大きな責務であろうというふうに思っております。これは当然木質バイオマスだけではなくて、地熱もそうでございますし、風力もそうだという観点でございます。  そういった中で、ただもう一点、木質バイオマス発電推進するということは、地域林業又は地域経済にとっては非常に大事だということについて少し述べさせていただきたいんですけれども、例えば五千キロワットぐらいの、発電の能力としてはそう大きくないわけですが、それが一基地域に設置されるということによって、例えばいわゆる間伐材の燃料代の収入が大体七億円から九億円ぐらいその地域に落ちるということになるわけでございまして、これは未利用間伐材の場合ですね、さらには、間伐材等の収集、運搬、加工、さらには発電所の維持ということにつきまして約五十人ぐらいの地域雇用が生まれるといったような試算がございます。  そういった意味で、地域の森林林業又は地域経済にとっては非常に大きなインパクトのある事業でございますので、こういったものについては、全体の計画ということの御質問ではございますが、私どもとしては個々のその地域ごとに、こういった大きなインパクトのある事業でございますので、しっかりと私どもとして推進するという立場でやっていきたいと思っておりますし、また、それがひいては森林整備という面でも大きな効果があるだろうと。  要するに、森林間伐を進めるということ一つ取ってみましても、間伐材の出口がないということが間伐の遅れということにつながってきた面がございますので、これをいかに早く進めるかという観点でも、この木質バイオマス推進ということが非常に大きな価値があるというふうに思ってございますので、しっかりした決意で取り組んでまいりたいと思ってございます。
  37. 山田俊男

    山田俊男君 決意は分かりました。だから、その決意経済産業省の全体の需給見通しなり、エネルギー政策にかかわらなきゃ駄目だというんだったら経済産業省エネルギー政策にきちっと農林水産省が今おっしゃったような立場でもって提言していくということをやらなきゃいかぬというふうに思うんですよね。是非、具体化してほしいというふうに思います。  ところで、お手元に七月に発生しました九州北部豪雨災害の実情の資料を差し上げております。お行きになった先生方も多いというふうに思いますから、こうでしょう、私も伺ってびっくりしました。  要は、どんなふうに山が崩れているかといったら、阿蘇の外輪山がこんなふうに崩れているんです。最初の紙は、上の方の牧野みたいなところから崩れて、そしてあとは、戦後、人工林として杉を植えました、それを全部なめるように落ちているわけ。そして、麓にある家々が、次の紙を見てもらってもそうですけれども、全部崩れているわけね。こんな実情であります。  さて、外輪山見ると、こんなふうに今崩れたところ。ところが、あれは二十年前に崩れたところじゃないかなというふうに思われるところ、これまた同じように残っているんだよ。この阿蘇の実情を見ますと、昭和三十三年に一回起きているわけ。そして、平成二年に起きているわけ。そして、今度平成二十四年に起きた。五十年の間にもう三回このことが起きているわけ。また、これは十年以内にまたもう一回起きる可能性は大いにあり得ますよ。  とすると、これを、二十年前に起きたこれに対して手を打たれたところがあると思う。だって、新聞はともかく、二十年前の新聞と今度の新聞比べてみたら、かいてある絵も写真も二十年前と今全く同じだよ。同じ事故が起こって、同じ災害、そして死亡者も含めた被害が出ているわけ。  これ、国交省にお聞きしますけれども、専門家なんだから、こんなふうにこれらの絵を見て、この災害対策を何とかしなきゃいかぬ、国土を守る立場からしてという思いがあると思うんだよ。どんなふうにお考えですか。
  38. 南哲行

    政府参考人(南哲行君) お答えさせていただきます。  七月の九州豪雨災害では、熊本県阿蘇地方におきまして八十一件の土砂災害が起こっております。特に阿蘇市、それから南阿蘇村におきましては死者二十一名、行方不明一名、負傷者三名のほかに全壊家屋二十四戸にわたる災害が起こっております。  国土交通省といたしましては、災害発生状況の把握、それから今後の対策のため、これらの地域におきまして、国土技術政策総合研究所、それから土木研究所から土砂災害の専門家、それから各地方整備局からテックフォースを派遣いたしまして、技術的な指導、支援を行ってきたところでございます。  その結果、今回の災害におきましては、流木によって被害拡大が見られた一方で、砂防堰堤が流木を捕捉して被害を軽減していることが分かっております。このことから、現在、阿蘇地方における流木対策も含めた土砂災害対策を早急に実施すべく熊本県と協議を進めておるところでございます。一日も早い安全確保のために全力で取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。
  39. 山田俊男

    山田俊男君 どうも、もうちょっとこう何というか大局的な見解を期待していたんだけれども、まあともかく分かりました。  ところで、大臣に、だから聞きましょう。  大臣、特殊土壌地帯なんですよ。だから、しかし、特殊土壌地帯なんだけれども、そこに戦後植林してきたのは間違いないんだ。そして、この写真を見てもらっても分かるけれども、崩れなかったところは立派な材が、杉の木が林立しているわけ、本当に林立しているんだよ、密植する形で。しかし、一方、崩れたところは、今もあったけれども、まさにその流木が大変危険なものとして、もうあらゆる家屋も壊して橋も壊して、それからそれが橋に引っかかるからそれが水田その他に土砂を流す原因になっているわけ。  この林材を一体どんなふうに管理するか、これから問題解決するかと。この山の問題をどう解決するかという観点でここの地域のことを考えないと災害復旧にならないし、復興に私はならないというふうに思うんですよ。だから、単に堤防を造りますという話だけじゃなくて、ここの問題をどうするためにこそ私は再生可能エネルギー取組を意識的にここに導入していく、それこそ国の政策でどんと入れていくと。地方の取組を待っていますという話じゃないんだと思うんだよ。こういう政策をこそ、国交省も必要だし、農林水産省も必要だし、経済産業省も必要なんだというふうに思うんだよね。  この点についてどうですか。じゃ、林野庁長官
  40. 皆川芳嗣

    政府参考人(皆川芳嗣君) まさしく今回の災害とそれから山の整備ということは非常に密接に関連をしているというふうに思ってございます。いわゆるなだれ、要するに山崩れの状況がやはり表層の森林を巻き込んで崩れているといった状況が見て取れます。そういった意味では、森林整備ということと、まさにこの地域の今回の被災ということが関係があるんだというふうに思っております。  そういった意味で、やはりまずは当然崩れやすいところ、さらには崩れて下流にそういった保全対象があるところでは、これは当然、国交省共々と一緒にそういった治山、それから砂防の事業を入れていくということもありますが、もう一方で、山の整備自体をどうしていくかということと併せて考えませんと、当然にこういったものの将来においての健全な森林ということになっていかないんだろうというふうに思います。そういった意味では、今御提言もありましたけれども、当然にその間伐を促進するということ、さらには複層林化を図るといったことも中では必要かと思います。  そういったことが進められるような環境整備という意味で、地域においてこういったバイオマスを利活用するということができるのかできないのかということも含めて、当然、今後とも県ともよく御相談もさせていただきたいというふうに思います。
  41. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、一言是非お聞きしたい。  この新聞もそうだけれども、「二十二年前の悲劇再び」というふうに書いて大きくとらえているわけ。さっきも話したように、二十二年前ですが、今度十年たったら、何でか地球温暖化が進んでこういう形の異常天候が増えているから、そうすると十年また起きますよ。そして、同じ被害で十年前の悲劇再びだ、こういうことになりかねないわけ。  だからこそ、この植林の問題、林業活用の問題、地域の雇用の問題からして、国が国の責任として、ましてやエネルギーの問題で物すごい苦しんでいるわけだ、この日本という国自身が苦しんでいるわけだ。それに対して手を打っていくという意味でも、国が木質バイオマス取組について現に残存している林業資源をしっかり活用する。もちろんバイオマスに使うだけじゃないよ、ちゃんとした木材利用ということを進めつつ、その残材であったり製材の残りをきちっと使っていく。そして、トータルでレベル上げていかないと駄目だと思うんですね。  是非、大臣決意をお聞きします。
  42. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今、山田委員からの御指摘は、私どもも十分に考えていかなければいけないというふうに思っております。  それに対する今の長官の方の答弁もありましたけれども、私どもで実効たらしめるためにやはり必要な予算というものも確保をしていかなければいけない。これまでのものだけではなくて、やはり温暖化に資するための新たな税源というものも、また皆様方の御意見をお聞きをしながらでありますけれども、考えていかなければいけない時期が来ているのかなというふうに思っております。  それからもう一つは、ちょっと調べさせていただきましたところ、ここ二〇〇〇年代に入ってから非常に災害が多くなってきております。昔のと比べさせていただきましたところ、昔は大雨が降るときに、大体二十四時間で二百五十ミリから三百ミリだとその地形的にもたないというような話がされておりました。ところが、この最近のところは、三日間ぐらいその同じような状態が降り続いて、二百や三百ではなくて、五百や七百やというような量が降るような気候の変動というものも出てまいりました。  したがいまして、山田先生が御指摘をいただきましたように、これまでと同じようなことだけではなくて、これからの気候のこの変化に合わせたもう一度国土あるいは山地、そして森林の在り方というものを見直すような時期にも来ているんだろう、そのように思っておりまして、全体として私どももそのことに意を用いてこれからの山というものを考えていきたいなというふうに思っております。
  43. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、その決意で、農水大臣だけが思っていちゃ駄目なんで、経済産業省それから環境省、そうしたところへしっかり一緒になってまず案をつくってください。よろしくお願いします。  さて、次の課題でありますが、七月二十四日の予算委員会でもこれは私、大臣質疑させてもらった経緯があるんですが、大臣は、農水省がまとめた中間報告、これは対中国農産物ビジネス、輸出ビジネスのことについてでありますが、外部の弁護士等に評価してもらい問題点を明らかにするとされていたわけですね。八月中にまとめるというふうにされていました。今日はもう二十八日、残りもう数日です。ちゃんとまとまっているんでしょうね、お聞きします。
  44. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 御指摘をいただきましたように、二つの調査結果というものをまとめました。一つは機密保持に関するもの、そして国会の中で話をされました新たな論点について、その二つについて調査の公表をさせていただきました。あわせて、検察経験者を含む弁護士の方々に第三者評価をということでありましたけれども、それは、例えて言いますれば、犯罪として成り立つようなことがあったのだろうか、あるいはまた、署名の文書というものが何度か出されておりましたけれども、それが農水省としての責務を負うものなんだろうか、さらには、強制力のない調査という形で御指摘をいただいておりましたけれども、それだけで本当に十分だったのか、不十分な点があったのか、こういうことについて今依頼をしております。  日にちが八月中ということでございますので、大丈夫かということでございますけれども、先週も中間についての状況をお聞きをしまして、今弁護士の方々も受け取ってから一か月というほぼの期間が長いのか短いのか、私どもには直ちに判断できませんが、鋭意取り組んでいただいておりまして、今月中、きちんとした形で公表できるように取りまとめていきたいというふうに思っております。
  45. 山田俊男

    山田俊男君 今月中ですね。ちゃんと、待っていますから出していただきたいというふうに思います。  さて、聞いておきたいことが何点かあるんですが、これは農水省本川官房長にお聞きするんですけれども、どうも官房長名による四月十一日、内部文書が出されているんですよ。まあ、あの内部文書を見てびっくりしたね。ともかく、今まで協議会が、輸出促進協議会中心になって進める事業ですよ、だから協議会が設立した後は、農林省は協議会の自主的な取組ということで一歩引いていましたと。ましてや農産物の輸出、とりわけそれに関連する薫蒸や検疫の問題があるから、それについても自主的な取組ということで一歩引いていましたと。  ところが、この四月十一日の文書は一歩引いているどころじゃないんだよね。もっと積極的にこれを進めます、今までも協議会と一緒に我々は一体としてやってきました、だからちゃんと進めますと。物すごい転換なんだよ。  あれ、どうしてこういう転換になったんですか。三月の二十八日の日に、どうも筒井副大臣と町田事務次官、それとA氏が三者で会談して、その場で、それは中間報告にもそう書いてあるわけですね。ところが、要は三月二十八日のこの会議の内容が結局は官房長のこの積極的な姿勢転換につながったというふうに思うんですが、若干の経緯を明らかにしてください。
  46. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘いただきました文書につきましては、筒井前副大臣の指示によりまして、省内の幹部職員に対しまして常設展示館事業の意義とか進捗状況について改めて周知をするということを目的にしております。本事業に関する問合せとかそういうものに対しまして親切丁寧な対応を促すという趣旨のものであります。  当時の状況でございますけれども、二月二十四日に展示館向けの第一便が輸出されまして、それが中国の税関を通ったわけであります。そして、国内で保管されているという状況で、続いて第二便が出されるといったような状況でございます。御承知のように、輸出事業、特に中国向けの輸出促進ということは非常に重要な事業でございますので、そういう状況の中で、私どもとしてやはりバックアップを最大限にやっていくと、そういう観点から、例えば検疫でいろんな問合せがあるかもしれません、そういったものに親切丁寧に対応する、そういったことを念頭に、三月の中旬ぐらいから準備を進めておったところであります。これにつきましては、三月二十九日に筒井副大臣に中間的な御報告をして、四月の初旬にはそういう通達を出したいというようなことを御相談申し上げておった状況であります。  そういう中で、三月二十八日に町田次官が筒井前副大臣の部屋に呼ばれまして、このときは一部の農林水産省の職員の北京常設展示館事業に対する後ろ向きの対応を指摘する資料を受け取って、その事実関係を調べなさいというような指示をいただいたわけでありまして、その事実関係を調べて、誤解とかそういうものに基づくものが中心であるといったようなことを調べまして、それを四月十日にまた御報告するといったような経緯でございまして、そういう報告の結果も含めて、四月十一日に私の文書で、先ほど申し上げたような、問合せとかそういうものに親切丁寧に対応するようにといったようなことを周知徹底した、こういう経緯でございます。
  47. 山田俊男

    山田俊男君 その三月二十八日の会合に、それから四月十日にもそうであります、官房長が、こういう形で内部文書をまとめましたよということを筒井副大臣の場で、協議されている場所ですね、そこに共に、言うなれば、中間報告にあるように、名前は民間人だからということで明らかにしていないA氏が存在していたわけですね。そう書いてありますよね、報告書にちゃんと書いてあるんだ。そのA氏については、この八月二十四日の自民党の外交・内閣・農林合同部会におきまして、官邸の齋藤官房副長官秘書の松本さんであるということが合同部会で明らかになったんですよね。  松本さんであることに違いありませんね。
  48. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) そのとおりでございます。
  49. 山田俊男

    山田俊男君 この松本さんの身分については、合同部会においてこれも農水省の方から非常勤の一般職の国家公務員であるということが明らかにされていますが、それでいいんですね。
  50. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) はい、そのとおりでございます。
  51. 山田俊男

    山田俊男君 ところで、これも中間報告に記載されているんですが、機密文書について、何点かの機密文書について、輸出促進協議会田中代表理事、田中さんからの聴取によると、これも報告書に書いてあるんだよ、農水省のね。この田中さんの聴取によると、A氏からもらったものだということになっているんです。そう書いてあるんだ。書いてあるのは間違いないですね。
  52. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) はい、間違いございません。
  53. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、松本さんは国家公務員であって、そして、その際同席した会議で手に入れた機密書類を、それを言うなれば田中代表理事に渡したということですよね。これは間違いなく国家公務員法違反になりますね。そういう理解でいいですね。
  54. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 報告書の中に同じように記載されていると思いますが、そのAさんについては田中代表に渡した記憶がないというふうに私どもは伺っております。  それから、機密が漏えいした四文書につきまして、四種類ございまして、一種類の米の文書につきましては非常に機密性が高いという理解でございますけれども、その他の文書については機密性二というような分類をされておる。そういうところを総合的に判断していく必要があろうかというふうに考えているところでございます。
  55. 山田俊男

    山田俊男君 この点、私も今ここで官房長といろいろやり取りしても不十分であります。法務省に来てもらっているわけでもありませんし、警察庁に来てもらっているわけでもありませんので、この法的な位置付けについては、やり取りはここでやめますが。  そうすると、一体、その機密文書の性格はともかくとして、しかし、機密文書というふうに言った以上は、それが安易にどこへ流れていっているということじゃ困っちゃうわけでしょう。ましてや、その機密文書を松本さんは渡していないよというふうに言っていたって、田中さんは、いや、松本さんからもらったよと。もらったよといって中間報告に、農水省の中間報告に書いてあるわけだから。  とすると、先ほどお聞きしましたように、第三者による評価を行うということですから、この点についてもちゃんと弁護士さんに評価してもらうということをやっておられるということでいいんですね。
  56. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) そのようなことも含めて検討していただいているところでございます。
  57. 山田俊男

    山田俊男君 そうすると、この八月の末にはちゃんと報告まとめますよと言っているときに、八月の末の報告の中にこの大事なことがちゃんと記載されていないということになっちゃったら、これはもう弁護士さんによる評価、それから検証、内容がなかったということになるわけですから、こうなると、第三者、もう一回外部の第三者の委員会つくって検証する必要があるんじゃないですか。そう考えていいですね。
  58. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 今、第三者の評価をいただいているところでございますので、それを御覧になっていただいた上で、また御判断いただければというふうに思います。  それから、先ほど私、三つの文書については機密性二と申し上げましたが、機密性三でございましたが、ただ、これは作成途中で機密性三ということで、完成段階では高い機密性が失われていたというようなふうに考えております。そういうことも総合的に踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
  59. 山田俊男

    山田俊男君 次のことに入りますが、どうも事業の実施団体である農林水産物等中国輸出促進協議会、全く事業推進の形を成していないんだと思うんですよ。どうですか。いまだにこの協議会事業推進の実体を成しているということで受け止めておられるんですか、お聞きします。これはどなたですかね。  佐々木副大臣は在り方検討チームの長でおいでになるわけですね。とすると、これは、輸出促進をどうするか、対中国との関係でこの事業をどう考えるかというときに、協議会を介在して仕事をしているわけですから、じゃ、この協議会が全く形になっていないということであれば、この在り方が大きく損なわれているわけですね。だから、そうなってくると、もうこの協議会について、しっかり解散させるなり新しく出発させるなりしなきゃいかぬのじゃないですか。
  60. 佐々木隆博

    ○副大臣佐々木隆博君) 協議会についてでありますが、今委員から御指摘いただきました。実態として総会が開かれていないというようなことなどもあったり、当初の計画どおりに実行されていない点もあったりもしておりますので、その点も第三者評価で今評価をしていただいているところでありますので、それを見極めてまいりたいというふうに思ってございます。
  61. 山田俊男

    山田俊男君 大臣大臣にお聞きしますが、大臣は先般の衆議院の農林水産委員会での質問に答えられて、それで第一便の送ったもの、第一便で農産物、中国へ送りましたね。で、検疫で、中国の検疫で受け入れられなかった、ないしは廃棄処分にしたと伝えられているわけですが、実はそのことについても、事実はどうなのかということをつかめていないんだというふうにおっしゃっているわけですよね。一体、それもつかめていないという中で、この仕事をこのまま続けている、こんなみっともないこと、できないんじゃないですか。  私は、もう農林水産省は、いや、前の大臣や副大臣のかかわった話であるし、それはなかなか難しいんですよということがあるのかもしらぬ。しかし、今、それは大臣以下農林水産省がそう受け止めているだけで、周りは、ほかの省庁も、ほかのマスコミも、ほかの関係者も、一体農林省どうしたんだ、ばかみたいなことをしているじゃないかと。早く結論を出すなら出して、そして整理しなきゃいかぬのじゃないかと。何を隠しているんだ、何に戸惑っているんだと。農林水産省の地位をずうっと下げるだけになっていますよ。ここはもうきちっと決意しなきゃいかぬのじゃないですか。
  62. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今、佐々木副大臣から申し上げたことに加えてということにはなりませんけれども、例えば、私ども今回のことについてやはり反省をしなければいけないとすれば、農林水産省という立場が相手として話し合う部分というのは中国の場合にはどこなんだろうかということになれば、これは農業部ということになるわけであります。  したがいまして、今回の事業だけではなくて、やはり長期的に見れば大きな市場である中国に日本の農産物をどのように輸出をしていくかということ自体は、これはこれとしてしっかり残していかなければいけない。その場合に、中国の農業部としっかりした話合いができるようなことを今回のことを奇貨としてつくっていかなければいけないということもあるだろうというふうに思っておりまして、例えば、その農業部との話合い、今日現在も、今中国の方に出向きまして行っております。  こういう中で、今回のこの事業についてどうするかということ、それから、総体として、対中国だけではなくて、日本の輸出戦略についてどのように私ども農林水産省がこれからのありようというものをやっていくか、その辺のところも含めての在り方というものを今検討させていただいております。  したがいまして、先ほどの第三者の評価も併せて、今月中には一定程度、今協議会の方にもお願いをしていることがございます。それから、中国の農業部や、あるいは中農集団と言われるところにも、どういうふうな形になっているかということで事実関係を含めてただしているところがありますので、それらのことを待ちまして、これからのことをしっかりと決めさせていただきたいなというふうに思っております。
  63. 山田俊男

    山田俊男君 大臣大臣の苦衷はよく分かる。雰囲気からしてもよく伝わってくるんだけれど、しかし、大臣が、いや、苦労しているんだというふうに思われるよりも、ほかの世界は、私の目から見ても、大臣は苦労されているけれど、私から見たって、おい、こんなことを続けていたんじゃ、もう本当に、さっきも言いましたが、農林水産省の地位を下げるだけ。  農業者が本当に多くの課題を抱えて苦しんでいるんですよ。そのときに、前の政務三役かもしらないけれど、そこでだまされた事業をやって、そして、場合によったら、いろんな声明だったり確認だったりしているものだから、あとは中国側から様々なお金の支払を求められるんじゃないかとか、それから前の政務三役をこれ以上追及することはできないんじゃないかとか、それからさらに、官邸の関係者が、松本さんが関与しているから、どうもそこに、後ろには配慮しなきゃいかぬことがあるんじゃないかと。そんなことを考えているのは、そちらでぐずぐず考えているだけの話であって、周りは全く思っていない。周りがあるのは、何だ農林省、頼りない、何やっているんですかというだけの話ですよ。だから、きちっと整理しなきゃいかぬのですよ。こんなことをいつまで抱えているんですか。  だから、先ほどおっしゃっているように、八月中には評価をもらって、それを見てくださいというんだから、見ますよ。見ますんですが、それも中途半端な整理に終わっちゃったまま、事業推進するのか推進しないか分からない、やるのかやらないのか分からない、中国とも一生懸命やっているんだけれども連携は取れていません、情報も入ってきません。そんなことをしていたんじゃ、もう絶対に駄目。もう決断すべきです。きちっと作戦考えて整理してくださいよ。是非それをお願いしておきます。  なお、我々は、この点、国会上のいろんなことがあるけれども、徹底してこれは引き続きちゃんと追及します。八月末にそのことを覚悟して皆さんの整理をすべき、こんなふうに申し上げておきます。  いっぱいやることあったんですが、もうずっと飛ばします。  配合飼料の高騰が予想されるんです。トウモロコシも過去最高の水準になってくるんじゃないかというふうに言われております。このまま推移していると、本当に配合飼料価格安定制度も、基金の内容からしても何からしても心配なところがいっぱいあります。  本日、これは大臣にもしっかり党の方から申入れを行うことにしているわけでありますけれども、この飼料高騰に伴います対策について大臣決意を聞いておきます。
  64. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 大変に穀物の市場が高い状態になっております。それに引きずられて、需給の関係だけではなくて小麦の方の価格も上昇をしていると、こういうような状態が続いておりますけれども、ここしばらくは若干揺り戻しのような状態も続いておりますが、この後、九月の十二日にシカゴの新たな作況というようなものも出てまいるでありましょう。私ども、ただ単に注視をするということだけではなくて、安定的な供給というものができますように、これからまたいろいろなところに働きかけもしながらやっていきたいなというふうに思っているところでございます。  その中で、御指摘をいただきました飼料価格安定制度でございますけれども、これは民間の積立ての御存じのような通常補填、それから国が支援をする、トウモロコシ等の輸入原料価格が直前一か年の一一五%を超える場合に発動をする異常補填、この二つの仕組みがあるわけでございまして、今現在、十—十二月期に対応可能な補填財源、通常補填金額が百七十億円、それから異常補填の基金でございますけれども、これ三百十億円、合わせて約四百八十億円となるような見込みでありまして、異常の方の基金の方の三百十億円の中には、前の第三次補正で九十七億積み足したようなものも含めてとなる見込みであります。  仮に通常補填金が不足をするような事態が生じた場合にも、異常補填基金からの貸付け等によりまして生産者に対する補填が円滑に実施をされるようにこれは努めてまいるというふうに思っているところでございます。
  65. 山田俊男

    山田俊男君 今大臣、貸付けも含めて検討すると言って、貸付けという言葉をお出しになりましたが、貸付けであれば、これはまたこれで返さなきゃいかぬのですよ。抜本的な対策につながらないというふうに思います。だから、早急に検討してくださいよ。一体、このままだと、このことが続くと、本当に日本の畜産潰れますよ。だから、しっかり申し上げておきます。  それから、TPPのことについて、もう時間がありませんから、課題として抱えていたことだけ、項目だけ申し上げさせていただいて、大臣決意聞いておきます。  TPPについては、これは大臣が、しっかり国民的議論をやらなきゃいかぬ、さらには、聖域なき関税撤廃を基本とする、原則にすると言っている限りは、この日本の大事な農林水産業は本当に潰れてしまうという立場から、今協議に参加するという環境ではないということをおっしゃっておられるわけで、この点、もう遠慮なくしっかり発言されるということを申し上げておきます。いいですね、そういうことで。ひとつお聞きします。
  66. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今御指摘をいただいたような内容の発言をさせていただいたということがございます。  私自身は、いつも申し上げているんでありますけれども、経済連携そのもの、そしてTPPもそうでありますけれども、全体として国益にかなうかどうかという、その判断をするための材料をきちんと皆様にお渡しをして、その上で大きな皆さんと議論をしましょうと、こういうようなことでございます。  しかし、私自身の所掌は農林水産を預かる大臣ということでございますから、その分野に限って言えば、先ほど言ったように、関税が完全になくなるというようなことを含めて、大変大きな影響が出るだろう、懸念というものが非常に多く巻き起こっているだろう、そのことを発信をするのが私の農林水産大臣としての仕事だというふうに思っておりますから、これはこれでしっかりと発言をしていきたいというふうに思っております。
  67. 山田俊男

    山田俊男君 それじゃ、最後に三点、項目だけ申し上げます。  一つは米の先物取引について、東穀が試験上場の責任者であったにもかかわらず、自分が解散して、あとは関西に移しましたという話なんだよ。二年間の試験実施になっているわけで、二年間の試験実施の中で本当にちゃんと、いつ何どき、どんなけじめを付けるのかということが全然明らかじゃないわけ。このままずるずるずるずるとやっていたんじゃ、大変、食糧法の精神にももとるというふうに思いますから、この点、十分検討してください。  それから、放射性セシウムを含んだ堆肥の問題、これ、単に宮城県や岩手県やそれから茨城県や福島県や近辺の話だけじゃないんです。西日本のある県なんかでも、大変な苦労をしているんです。そういうことについて、東電損害賠償に当たる立場としても極めて不十分、対応が不十分。  農林水産省はそれなりに工夫しているようだけど、基本的には環境省が……
  68. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 時間ですので、まとめてください。
  69. 山田俊男

    山田俊男君 はい、分かりました。  中間貯蔵施設を造る、その取組をやっぱりちゃんとできていないとか、そういうことが影響していることになります。  それから、この資料に載せましたが、一番最後に、中四国農政局による「まんが農業ビジネス列伝」というのがなかなかいいんですよ、これ見付けた。これを全国版としてもっと普及してもらったらいいと思いますよ。大変子供たちにとっていいという評判であります。是非申し上げさせておいていただきます。  以上です。
  70. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  それでは最初に、多面的機能の発揮から質問してまいります。  水産庁は、本年六月から、水産業・漁村の多面的機能の発揮に関する技術検討会というのを立ち上げまして、八月までに三回議論をされたというふうに聞いております。水産業、漁村の多面的機能につきましては、平成十六年にこれは定量的な試算がなされております。それによりますと、自然環境保全機能九兆四千億円余り、また生命財産保全機能二千億円余り、そしてまた保養・交流・教育機能一兆四千億円などとなっておりますけれども、当時に比べて水産業を取り巻く状況というのは非常に厳しくなっておりまして、そういう状況の中で、今般のこの技術検討会、平成十六年の答申に対してどのような位置付けにあるのか、まず伺います。
  71. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えをいたします。  日本学術会議では、平成十六年に水産業及び漁村の多面的機能につきまして幅広い学術分野からの横断的な研究がなされまして、国民の生命、財産の保全、自然環境保全、居住や交流の場の提供等の機能を有している旨の答申がなされているところであります。  農林水産省におきましては、本年六月に、水産業・漁村の多面的機能の発揮に関する技術検討会を設置をいたしまして、八月まで計三回開催したところであります。  この中で、日本学術会議の答申や我が国水産業、漁村の置かれている現状を踏まえまして、多面的機能の更なる発揮に向けて、現在行っている環境・生態系保全活動支援事業で取り組まれていない海難救助、海の汚染防止、漁村文化の承継等の課題について議論を行いまして、現在、検討委員会により報告を取りまとめているところであります。
  72. 横山信一

    ○横山信一君 大きく情勢が変わってくる中で、多面的機能が本当に発揮をされているのかという、そういったことも含めて検討されているというふうに思うわけですが、今答弁の中にありましたけれども、いわゆる従来からの藻場、干潟の保全活動あるいは離島再生交付金というのがあるわけですが、それに加えて海難救助等検討されているということでありますけれども、今後この多面的機能をより一層発揮するために新たな交付金事業というのを考えているかどうか、この点について伺います。
  73. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今委員から御指摘がありました、数量的には十兆円になるだろうというような多面的機能を持っていると。それが発揮をされる条件というのは何かといえば、これはもう委員がよく御存じのように、漁がきちんと行われていて、その地域にやっぱり人が経済活動を営んでたくさんいらっしゃるような状態の下で初めて多面的な機能というものが行われるんだろうというふうに思っております。したがいまして、逆説的に言えば、水産業をしっかり立て直すということが多面的機能にもなるわけでありますけれども、しかし、それだけでいいのかということの検討をしなければいけないというふうに思っております。  藻場、干潟には今確かに四億円ほどの事業というものが付いておりますけれども、それ以外のところについても、やはり検討会の御意見等も踏まえながら、今委員の方から御指摘があったように、私どもとしてももう少し必要なことに取り組んでいく、そういう姿勢の中で多面的機能というものが発揮をさせる、そして、それはいろんな意味で交流の場になり新たな経済の活性化にもつながるような、そうした取組に寄与していきたいなというふうに思っております。
  74. 横山信一

    ○横山信一君 以前にもこの委員会で取り上げさせていただきましたけれども、いわゆる離島漁業ですね、離島の漁業というのは非常に不利な条件の中で行われていて、それがあるがゆえに離島再生交付金があるわけですけれども、それでもなかなか追い付いていかないという状況があります。  しかし、その離島漁業の持っている役割の大きさというのは、やはり国境警備機能にしても、今問題となっている尖閣なんかも、日本漁船が盛んにそこに行っていれば、少なくともそこに、その近辺で操業していれば、もっともっとその経済的な活動という部分では国際的な認知度は上がってくるわけでありますし、そういう意味では、漁業の担っている役割というのは極めて大きいわけでありますから、そうした部分を評価できるのがこの多面的機能だと、多面的機能を発揮させることだというふうにも思いますので、是非これを強く推し進めていただきたいと思うわけでありますが。  この多面的機能の中に、これも以前から私は取り上げ続けている話でございますけれども、やはり北海道、極めて北海道的な話題になりがちですけれども、海獣被害というのが非常に深刻でございまして、いわゆるトド、アザラシですね。従来からこのトド、アザラシ、個体数管理をしたりあるいは駆除をしたりという、いわゆる抑え込むという形でやってきたわけですが、これもやはり限界に近づいているということでいえば、この海獣類との共存ということを考えれば、これはやっぱり多面的機能の発揮の中で考えるべきなんじゃないかというふうに思うわけです。  これも以前に取り上げさせていただきました。例えばトドを駆除しないということであれば、それは生態系保全といった多面的機能という評価にもつながっていくでありましょうし、あるいはまた、浜単位で追い払いをすればそれも支援をする対象になり得るでありましょうし、そういう海獣類との共存という観点からやはり多面的機能もとらえる必要があるというふうに思うわけでありますけれども、この点についてどうでしょうか。
  75. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えをいたします。  トドによる漁業被害の防止、軽減のため、農林水産省では有害生物漁業被害防止総合対策事業によりまして効果的な追い払い手法の実証試験等について支援するとともに、科学的な根拠に基づきまして関係道県が駆除を行うよう指導しているところであります。  トドによる漁業被害救済につきましては、漁業経営を支援する観点から行われるものでありまして、多面的機能という観点からの支援は難しいと考えてはおりますけれども、いずれにしても重要な課題でありまして、更に有効な方法がないのか、現地の皆様の御意見もお伺いしつつ、関係道県とともにしっかり今まで以上に連携しまして、今後も引き続き研究してまいる所存であります。
  76. 横山信一

    ○横山信一君 このトド、アザラシ被害に関しては本当にいろんな取組をされてきました。水産庁も取り組んでいただいているということは私も理解をしております。岩本大臣も自ら足を運ばれてトド被害実態を御自分の目で見られているわけであります。しかし、漁業者にとっては余りにも不完全なというか不十分な対策なんですね。要するに、今のままでずっと行けば、これはもう要するにトドに食い荒らされて漁業が衰退をしていくという、それを黙って指をくわえて見ているような、実はそういう状態になっているわけです。  ですから、ここは、今多面的機能という形ではなかなか難しいかもしれないというお話がございましたけれども、ほかに何か方法があるのであればそれは言っていただきたいですが、私は、この多面的機能という今水産庁が取り組んでいる中で是非ともこのトド被害に対して取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。  続いて、虎網のことについて伺いますが、タイガーネットですね、これは近年、東シナ海で中国や台湾の漁船が行っている漁法なんですけれども、私も見たことがないので実態というのはよく分からないんでありますが、駆け回しのような、あるいは巻き網のようなというふうにも言われておりますけれども、この虎網漁船が今東シナ海で非常に多数操業していると。近年、急速に増加をして、百隻から二百隻も操業しているというふうにも言われております。中には七百トン程度の大型船でフィッシュポンプあるいは小型艇も搭載している、そういう船もあるというふうにも聞いておりますし、また、非常に効率的な漁業を行っているようでございまして、日本の巻き網漁船と比べると乗組員の数も少ないというふうにも聞いております。  東シナ海では、日中漁業協定に基づく暫定措置水域あるいは中間水域というのがございます。そこは両国の、日本漁船も行きますし中国漁船も来るという、そういう水域では漁獲能力で上回る漁法であれば日本の漁船が捕り負けをするというか虎網に負けてしまうという、あるいはまた虎網漁業によって乱獲も非常に懸念をされるというふうにも考えられるわけです。  そこで、この虎網の漁獲能力と資源への影響についての見解を伺います。また、効率が優れているのであればこの虎網を日本にも導入することを検討してもいいのではないかというふうにも思うわけでありますけれども、導入する余地があるかどうか、それも併せて伺います。
  77. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えいたします。  近年、中国等において増加しております虎網漁法は巻き網と底引き網を組み合わせたような漁法でありまして、漁獲能力が高く、我が国水産業界には水産資源に悪影響を与えるとの懸念の声もあると承知をいたしております。  このため、本年四月に開催されました日中漁業共同委員会の場でも両国間で議論をいたしまして、引き続き虎網漁船の現状や管理方策について意見交換や協議を行っていくことで合意をいたしております。  我が国でも、過去に虎網と類似の漁法について実証試験を行ったことはありますけれども、漁獲物が潰れる等の問題があり、網の中心が深くなっているものですから、重なっていきますので魚が潰れる等の問題がありまして、現時点では業界から実用化等への具体的な要望は出ていないところであります。  なお、漁獲能力の高い虎網漁法を国内に導入することは、沿岸漁業等との漁業調整上の問題を引き起こす可能性も懸念されるため、実用化のための技術開発が行えたとしても国内での導入に当たっては慎重な対応が必要と現段階では認識をいたしております。
  78. 横山信一

    ○横山信一君 分かりました。  まず、実態把握に努めていただきたいということであります。  では次に、漁船資金のことについて伺います。  漁船・養殖施設整備等利子補給事業、これ今年度末までの事業でありますけれども、この利子助成の対象となる借入金の元本の条件、これは漁業近代化資金の上限になるわけでありますが、これの一号資金では、二十トン以上では一億円、二十トン未満では五千万円と、こういうふうになっているわけですが、今、例えば定置の起こし船、二十トン未満の起こし船を造ろうとすると大体六千万から一億円ぐらい掛かってしまうんですね。そうすると、現状と非常に合わない、そういう貸付限度額になっているという、そういう状況がございます。  新年度に向けて、この漁業近代化資金の借入限度額、これを上げるかどうか、拡充すべきではないかというふうに思うわけですが、これについてはいかがですか。
  79. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えをいたします。  漁船・養殖施設整備等利子補給事業は、認定漁業者が漁船の建造等のために漁業近代化資金又は日本政策金融公庫資金を借りた場合、利子を助成することによりまして金利負担の軽減、実質無利子化でございますけれども、軽減を図る事業であります。  当事業の対象となる漁業近代化資金の借入限度額につきましては、漁業関係団体から拡充の要望を受けておりますけれども、どのような対応が可能か検討をしてまいる所存であります。
  80. 横山信一

    ○横山信一君 是非とも前向きに、これは拡充の方向お願いしたいというふうに思います。実態に合わないという現状を踏まえて、現状に合わせていただきたいということであります。  次に、被災地の話になりますが、海岸堤防のことについて伺います。  宮城岩手福島の被災三県の四百二十八地区海岸では、これは復興庁が堤防建設の計画について事業計画を示しております、計画そのものは各県が作ることになりますけれども。この復興庁が示したものの中に、地域生活、産業、物流、農業の復旧復興に不可欠な施設が背後にある海岸について応急対策を実施し、平成二十三年度末に完了すると、そういうふうに書かれているわけでありますが、この中には農業の復旧復興というのはありますけれども、漁業の復旧復興というのは触れられていないんですね。そういった背景もあって、特に今、宮城県の気仙沼、これはリアス式海岸の深い地域があるところでありますけれども、この一部の漁業集落から堤防建設計画に対し異論が出ております。  防災という観点からこの海岸堤防を一概に否定するつもりはありませんけれども、しかし、漁業の復旧復興という観点からいくと、その漁業集落から異論が出ているというこの現状について、海岸堤防の建設というものを漁業の立場から見たらどう考えるのか、まず伺います。
  81. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 東日本大震災の被災地における海岸堤防の建設につきましては、海岸管理者であります地方公共団体が地域住民の意向を踏まえ検討し、計画を定めることとなっているところであります。  先生指摘の気仙沼市を始めとする三陸海岸地域は漁業が基幹産業であることから、海岸堤防の建設に際しましては漁業者の利便性にも配慮しつつ計画が検討されていくものと期待をいたしております。  農林水産省及び国土交通省は、東日本大震災における海岸堤防の被災状況を踏まえまして海岸堤防の高さの設定基準を策定し、建設に当たって被災地に助言等を実施をいたしております。今後とも、地方公共団体を含めまして関係機関と緊密に連携を取りつつ、被災地の早期復旧復興推進してまいる所存であります。
  82. 横山信一

    ○横山信一君 現地からも、私、声を聞いておりますけれども、五年以内に復旧復興するという、そういうこともあります。一方で、震災後、高台移転をすると、漁村集落そのものがですね。そうすると、そこに海岸堤防を造ったとしても、じゃ、一体浜に人がいないのに何を守るんだということにもなってしまうと。  また、堤防がなくなった後に、例えば舞根湾なんかではアサリ資源が復活をしてきていると。その漁村集落の人たちからすれば、せっかく復活してきたアサリが、堤防を造ってしまうとそれはまた駄目になってしまう。そういう漁業とのやっぱり兼ね合いといいますか、そういうところで、ここのところは是非慎重な対応をお願いしたいんですね。  現地からは、やはりもう諦めムードになっているという声も聞いておりますし、今の答弁の中でも地元と緊密に連携を取るというお話がございましたけれども、慎重な対応を是非やっていただきたいんです。この点についてはどうですか。
  83. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) いろいろな声が出てきているということを認識をしながらやっていくということにしたいなというふうに思っております。  先ほど、基準を設定をするという形を申し上げましたけれども、御存じのように、数十年から百数十年に一度ぐらいのものが来たときに耐え得る高さというような形の今設定をしているはずであります。ですから、人によっては、漁業その他に関係がなければもっと高くして、今回のようなときにも耐え得るようなものを造らなければいけないというような意見もある一方で、漁業に関して言えば、それではやっぱり実用的な漁業に適さないんだというような声があることも承知をしておりますので、地元の方の話を聞くということをやはりきちんとやっていきたい。  ただし、結構、自治体ごとに、例えばうちの方はこれの高さに決めたんだと、うちの方はこちらにしたんだというふうな形でもって連続性、一体性がなくて、逆に被害が及ぶような形も出てこないとも限らないわけでありますから、そういう意味で、自治体のそれぞれとお話をしながら、役に立つような堤防としての一体性、連続性を持ったような形の調整というものを慎重にやっていきたいというふうに思っております。
  84. 横山信一

    ○横山信一君 一度造ってしまうと、これはなかなか逆にそれを下げるなんということはできないわけですから、環境破壊が同時に存在しているということを是非御承知の上で判断をしていただきたいと思うんです。  同じようなこととして、大船渡の湾口防波堤がございます。この大船渡の湾口防波堤も、様々地元検討会も立ち上げられて地元の方たちとの意見交換もされながら進めてきていることは承知はしておりますけれども、今現在、防波堤が決壊をした中で、湾の中ではカキの養殖が非常に良くなっていると。海水交換が非常にスムーズになったものですから、カキ養殖業者は非常に喜んでいるわけですね。  一方で、また湾口防波堤がそこでできてしまうとカキ養殖がこれからまた駄目になるだろうということも非常に懸念をされていると。そういったことに配慮しながら、一三%程度の海水交換が、前のよりは一三%海水交換が良くなるということで、そういう計画が今されているわけですけれども。それでも、例えば具体的に言うと清水地区というところがありますけれども、この地域では漁業補償もないんですね。そういう中で、恐らく……
  85. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 時間になりましたのでまとめてください。
  86. 横山信一

    ○横山信一君 はい。  たとえ一三%であったとしても、これは、多分カキ養殖は影響が出るだろうと言われております。そういうことで、こうした計画変更あるいは漁業補償に考慮した防波堤計画にならないかということで、お伺いいたします。
  87. 室井邦彦

    大臣政務官(室井邦彦君) お答えを申し上げます。  先生はもう専門家でございますので大体のことは御承知かと思いますが、この東日本大震災によって甚大な被害を津波によって受けました。地元の方から、大船渡港の湾口防波堤については至急に、一日でも早く被災前と同様な状態にしてほしい、このような要望もございます。国交省としても積極的に防潮堤と防波堤を組み合わせた元の状況に戻していく、鋭意今進めているところでありますが。  今一三%ということを先生指摘されましたが、確かに、新しく、これは恐らく初めての工法だと思いますけれども、通水口を設けるという、このような方法を取らせていただきながら、海水交換用、そして水質環境の保全を図るという工法で今鋭意進めておりますが、東北地方整備局が設置いたしました今先生指摘のその水質保全対策検討会において、漁業関係者も同席の下で今確認をさせていただき、検討会を進めさせていただいております。  今後は継続的にモニタリングを実施することにより、所要の水質環境の保全が図られていることを確認をしながら、なお、漁業補償につきましてはその必要性を含め今後調整を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  88. 横山信一

    ○横山信一君 終わります。
  89. 外山斎

    ○外山斎君 国民の生活が第一の外山斎です。  あちらの席からこちらの席に移動して初めての質問になります。ただ、農水に関する思いというものは多分私たちも民主党と同じだというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  まず、今日は一般の質疑ということで、口蹄疫からの復興と、そしてまた家畜伝染病の水際対策についてお尋ねをいたしますが、まずちょっと、質問通告をしておりませんが、大臣はこのオレンジのバンドを御存じでしょうか。
  90. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 恐縮でございます。存じ上げておりませんでした。
  91. 外山斎

    ○外山斎君 このオレンジのバンドというのはモーブーバンドといいまして、口蹄疫の被害に遭った方々に対して支援を行っているバンドで、私は、これは口蹄疫が発生したときからずっとこの二年間着けております。その思いというのは、この口蹄疫は世間ではもう終わった問題だというふうに思われておりますが、ただ、まだまだ解決しなければならない問題等があるので、私はずっとこの口蹄疫の問題が解決されるまではこのバンドを着けておこうかなというふうに思っております。  そういった思いから本日の質問をさせていただきますが、二〇一〇年の四月二十日に第一例目の口蹄疫の疑似患畜が確認されて、約三十万頭の牛、豚が殺処分をされました。この口蹄疫は畜産業だけではなく、観光業や商業の方にもいろいろな影響を与え、これは県の試算では二千三百五十億円の、風評被害ども含めてですけど、二千三百五十億円の影響がありました。  多くの皆さんの見えない敵との闘いが約百三十日間続いたんですけど、その百三十日間の闘いで終息宣言をしたのが八月二十七日でした。昨日であの口蹄疫が終息してから約二年たったわけですけど、大臣としてあの口蹄疫を振り返ってどのような思いなのかというのを教えてください。
  92. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 昨日で終息宣言から二年がたったということはお聞きをしておりました。そして、今現在もアジアにおきましては口蹄疫の発生が続いているということでありますから、国内の水際の対策ももちろんでありますけれども、緊張感を持ってやっていかなければいけないというふうなことを基本にしたいなというふうに思っております。  その前に、先ほど来お話をいただきましたように、宮崎の方々には大変な御努力をいただきました。それだけではなくて、精神的な部分についても大変な苦労を負われたというふうに思っておりまして、二年がたって、農家でいうと六割ぐらいの方、それからまた頭数でも同じようなところになっている、それから、意向調査をいたしますと、高齢の方々は自分の代が終わったらばもう閉じてしまいたいというような意向の方も多いというふうに聞いておりますので、これからまた私どもができることをしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っています。  残り一年間、家伝法の防疫体制が取れるわけでありまして、そのことはしっかりとやっていく、そして、それから、三年後からは、例えば埋却をしたところを農地に戻すということもこれは可能になるわけでありますけれども、ただ単に農地に戻しますということではなくて、随分と深く掘り下げて御協力をいただいた、石や何かがもう大変に混じったような状態で、前の農地のような状態ではないようなところもたくさん出ているんだというふうに思っております。  そこに対する手当ては今のところ家伝法ではないわけでありますけれども、しかし、御協力をいただいて御苦労をいただいた地域の方々がもう一度農業にそのための土地を使いたいという意欲があれば、私どもも何らかしら知恵を働かせて、地元の期待に沿えるようなことも含めて、この一年間で三年が過ぎた後の対策というものも十分に検討していきたいなというふうに思っているところでございます。
  93. 外山斎

    ○外山斎君 力強いお答えありがとうございます。  ただ、この口蹄疫というのは、確かに口蹄疫が発生した地域、約六割が再開に向かって動いているわけなんですけれども、どうしてもこの問題をとらえるときに、これは県の方もそうなんですけれども、被災地域しか見ないという例があります。ただ、この口蹄疫の問題というのは、牛、豚が出荷制限等が掛かっているので、これは県内全域でいろいろな影響、種付けの自粛など、そういった問題も出ております。  ただ、この問題、今どうのこうのというのは簡単にはできないのかもしれませんが、今後、多分日本全国のいろいろなところでこういった口蹄疫の問題も同じように起こる場合というものがあると思います。その中で、やはり国としても注意をしていただきたいのは、発生した地域だけを見るのではなく、その発生した地域以外の圏域の農家さんにもやはり目を向けていただきたいというふうに思います。  そこで、先ほど大臣の方から埋却地の再利用の問題がありましたが、大臣も言われているように、この口蹄疫が発生して牛、豚を殺処分してそれを埋却しないといけないという中で、約三十万頭の牛、豚を埋却地の方に埋めていきました。この口蹄疫が発生した児湯郡という地域は特に優良な農地が多いということで、ほとんど土地を提供してくださった方々がもう一回その土地を使って農業をやりたいというような声が多く出ております。  ただ、問題となるのは、先ほど大臣も言われたように、農地を掘ったときに出てきた石をそのまま埋め戻したり、牛や豚を埋めるときに大量の消毒用の石灰を散布したりなどで、簡単に農地に戻せないのではないかというふうに言われております。こうした埋却地が県内に二百六十八か所、計九十七・五ヘクタールあり、これを全て農家負担でやらせるとなると、かなり農家負担としては重いものがのしかかってきて、これも口蹄疫の復興一つの妨げになっております。県の試算では、この石の除去や土壌の入替えなどに約十億円程度掛かるというふうに概算が出ております。  やはり、先ほど力強い御答弁をいただいたわけですけれども、この問題が解決するか解決しないかで、次また同じような口蹄疫等が起こったときに、もしここが、こういった土地を提供してもその後国が何ら責任を持ってくれないというふうになった場合に、同じようなことが起きたときに、もう自分の土地は提供しないという農家さん等がどんどん出てきて、口蹄疫を終息させる上でも大変な弊害になる可能性がありますので、是非国の負担というものを十分にしていただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
  94. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 外山議員におかれましては、本当にこの口蹄疫、大変御苦労いただいて、ありがとうございました。  私も、ちょうど農林水産委員会の衆議院の筆頭理事を当時させていただいておりまして、この特措法がまとまったのがたしか夜中を過ぎておったと思います。与野党こぞって本当に熱心に協議いただいて、そして本会議で私からその説明もさせていただいた。本当に感慨深いものがありますし、それだけにかなりもう心を痛める、非常にもう何と申し上げていいか、農家の方々のお気持ち、本当に察するには余りあるものがございました。  そんな中で、私も、松阪の方でお世話になっておるということがあそこではっきりしてきまして、ですから、やはり地域外ということも、そのことから改めて認識をさせていただいておりますので、このことはおっしゃるようにこれからもしっかりやらなければならないと思っています。  今、御存じのとおり、石とかそういったものについては今でも何とか支援はさせていただいておりますが、大臣が先ほど答弁されましたように、ここのところは、これから私どもが県との打合せもしながらどこまで、財務等も併せながら検討していくか、大臣の発言が全てでございますので、それに従って私自身もしっかり頑張っていく、そのことをお約束をさせていただいて、答弁とさせていただきます。
  95. 外山斎

    ○外山斎君 是非よろしくお願いいたします。  二度とあのような悲劇を繰り返してはいけないというふうに思っておるんですが、ただ、一方で、この日本を取り巻くいろいろな環境というものも大分グローバル化で変わってきております。人と物の移動が多いということは、ウイルスの侵入などを許すリスクというものもどんどんどんどん高まっているというふうに思いますが、その中で、やはり今我が国の周辺諸国でも口蹄疫の発生している事例があります。ただ、我が国は島国ですので、水際対策をしっかりやれば、これは防ごうと思ったら防げるのではないかなというふうに思っておりますし、私もいろいろな、決算委員会等でもこの水際対策を十分にしてくれということを言い続けてまいりました。  ただ、三月の決算委員会質問をしたときに、自分が韓国に行ったときに航空機等でアナウンスがなかったということを言ったら、当時の鹿野農水大臣がしっかり徹底していくということを言われたんですけど、その数日後に中国に行ったときに、帰り、やはり飛行機で帰ってきたときにアナウンスが徹底されておりませんでした。  やはり法律を作って役所として指示をしても、ただ、そこが後のチェックがなかったら、やはり守られているか守られていないのかというのもしっかりとチェックをしていただかなければならないのではないかというふうに思っておりますが、今、我が国の水際対策というものはどのようになっているのでしょうか。
  96. 高橋博

    政府参考人(高橋博君) 委員質問の現段階におけます空港、海港におけます水際対策でございますけれども、海外からの入国者に対しまして、航空会社あるいはフェリー会社などの協力を得つつ、動物検疫、それから旅客の靴底消毒、あるいは探知犬を活用いたしました携帯品の検査、そして今御質問の中にもございました航空機内あるいは空港での注意喚起アナウンス、このような形での家伝法の従来からの措置に加えまして、海外におけます家畜との接触経歴等についての質問ということを改正後の水際対策としても徹底をしているところでございます。  委員指摘の機内アナウンスでございますけれども、私どもといたしましては、この家伝法改正以降、この努力義務を課したわけでありますけれども、その時々、時宜時宜に応じまして、この協力状況ということについて各航空会社、フェリー会社にお願いをしているところでございます。法律施行後直ちにありましたし、また時期を見まして、あるいは御指摘を見まして、更に協力をお願いしています。最近では、例えば国内の全日空でも全面的にこれは御協力いただくというようなことも御返答いただいておりまして、引き続ききちんとした対応できるように進めているところでございます。
  97. 外山斎

    ○外山斎君 是非、水際でしっかりと止められるように体制を強化していただきたいと思います。  もう一方、宮崎県からの要望なんかでもあるんですけど、全国の空港と港湾等において統一的な消毒体制を築けないかというお話もあります。私も、宮崎とこの東京の行き来の中で、宮崎空港の消毒体制というものはしっかりされている方ではないかなというふうに思っております。ただ、ほかの地方空港なんかを使った場合とかというのは、消毒マットが全然薄かったり消毒液がそんなに満たされていなかったりというような問題もありますので、できましたら、農水省として、このような厚さのマットを使ってこのような消毒体制をしっかりしくようにということを全国の方に周知徹底をしていただけたらというふうにお願い申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。
  98. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  放射能で汚染された樹木、花、草、廃材など植物系の資源、東日本全域で膨大な量に達していて、その処理が大きな問題になっています。除染が進めば進むほど、また、季節が移り変わるとともにまた地中から出てくる、成長してくるものがありますから、更に増え続けると思います。国土の自然環境の回復と東日本の農林水産業の復興のためにも、この木質系、植物系素材の目かさを減らすと言うんですかね、言葉が私専門的じゃないのかもしれませんが、何か焼き締めてその後の処理を容易にする技術処理が必要だと思うんですけれども、一方で、放射性物質がそれによって飛散するんじゃないかという不安がまた広がってもいます。  このボリュームを焼き締めるという、それでいながら放射性物質の飛散を防止する技術や施設の普及が急務だと思うんですけれども、この点について環境省の方から御所見を伺いたいと思います。
  99. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 御指摘の植物系のもの、廃棄物でございますけれども、これ自体を、量という観点だけではなくて安全に一定期間保管をするというのはそれなりに難しいことでございますし、また、仮置場あるいは現場の保管場所の逼迫という観点から、御指摘のとおり可燃性の廃棄物を焼却をいたしまして量を減らす、これは減容化と申しておりますけれども、そういうものが不可欠だというふうに考えております。  そのため、国といたしましては、今、直接除染を実施します除染特別地域におきましては、環境省減容化のための仮設の焼却炉を設置するべく必要な施設の容量の検討を行い、また、地元の自治体あるいは住民の方々と調整をしているというところでございます。  また、市町村が中心となって除染を実施していただく地域につきましては、除染実施計画に基づきまして実施されます既存の廃棄物焼却施設における焼却等の措置、それの委託等に要する費用につきましては財政措置を講じてその促進をお願いしているところでございます。  安全性の点につきましては、既存の焼却施設につきましてはバグフィルターといったような排ガス処理装置が付いておりまして、これらの排ガス処理装置によりまして放射性のセシウムの除去に有効であるということが分かっております。  実際に、東日本の放射性物質を含む廃棄物を焼却しております施設、これ十三都県の百八十六施設について排ガスの調査を行ってございますけれども、そのほとんどにおきましてセシウムは不検出でございまして、検出されたものも二施設、百八十六施設のうち二施設あるわけでございますが、検出されたものの、排ガスの濃度限度を大きく下回っているということでございます。  実際に、福島県の焼却施設におきまして排ガス処理施設の前後でどれぐらいの除去ができるんだろうかということを計算して、専門家の先生方にも御評価をいただいたところでございますけれども、実際に排ガスが不検出の場合も検出限界いっぱい出ているんだというふうに仮定をして安全側で評価したんでございますけれども、そういう安全側で評価をしたとしても九九・九二%の除去率があったという評価をいただいているところでございます。  私どもとしては、引き続き放射性セシウムの飛散防止に十分に留意しながら、先生指摘除染廃棄物の減容化を進めるように、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  100. 小野次郎

    ○小野次郎君 九九・九二%の能力を持っているということでちょっと安心しましたけれども、量的な処理能力の話はちょっとはしょられたように思うんですが、仮設の焼却場とか市町村で処理しているものについては支援をしているという定性的な話は聞きましたけれども、施設の普及なり処理能力の増加の方は間に合っているんでしょうか、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
  101. 梶原成元

    政府参考人(梶原成元君) 国がやる部分については仮設焼却炉を設けないといけないと思っておりまして、仮設焼却炉の量自体はこれまた地元の自治体の方々と御相談をして進めることになるわけでございますが、現在保管されている量に将来出てくるものを見込んで余裕を見て設置することを考えてございます。  市町村のところにつきましては、市町村が実際に除染をする場所についてはできるだけ既存の処理施設を使っていただきたいということで、既存の業者さんを御紹介申し上げたりして進めているというところでございます。
  102. 小野次郎

    ○小野次郎君 林野庁の方になるかもしれませんが、製材など林業関係から生じる木質系素材の問題についても同じように減量化、焼き締めというような問題があると思うんですけれども、どのような量的な需要があり、また、これに対して十分に処理、対応できているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  103. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 小野委員の御指摘のこのバークの関係なんですが、大変頭の痛い問題だというふうに認識しています。特に灰の処理が困難ということで、産業廃棄物処理施設でなかなか受け入れていただけない。今のところ五月末、これは県からの資料なんですが、約三万九千トン、大体十一立米ということになりますので、東京ドームと対照しますと十分の一程度の容量が今のところ滞留しておるということで、十一万立米、今、バークが三万九千トンで。ごめんなさい、私がちょっと間違ったかも分かりません、十一万立米ということでございますので、今の現実でございます。  これまでも、この二十三年度の予備費等を通じてこうした圧縮機、今焼き締めというようなことも言われましたですけれども減容化というようなことの中でこれに必要な経費というものは見ておるということでございます。  あと、今後につきましては、やっぱり灰の処理確保、これは環境省との連携が必要でございますし、それと、東電に対しては石炭火力発電所での混焼の中で処理要請していきたい、そのように考えております。
  104. 小野次郎

    ○小野次郎君 今日は減量化、焼き締めの部分だけをお伺いしましたけれども政務官おっしゃるとおり、灰の処理がまた大きな問題なので、まあその点については後日にしますけれども、是非、現場で必要な支援については農水省林野庁の方からもてこ入れを是非してあげていただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に移ります。  基準値以下ではありますけれども、昨年、静岡県内の茶葉から放射能汚染が確認されています。昨日、事務方から教えていただきましたら、ごく微量ではあるんだけれども、静岡の東の御殿場から西の浜松にまでわたってほぼ全域で検出されているように承知いたしました。これがどれくらい福島から距離があるかというと、静岡市で三百五十キロですから、浜松に近くなれば恐らく四百キロぐらいあるんですけれども、こうした地理的に離れているところで検出されたということもあって、私は山梨がベースにしていますが、静岡、山梨など近くの地元では今でも、これ本当に福島原発由来なのかと、近くの浜岡原発に、何らか漏れていたんじゃないのかという風評が消えないんですね。  保安院の方にお伺いしますけれども、浜岡原発から放射性物質が漏出していたという可能性はないか、所見を伺いたいと思います。
  105. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 浜岡原発についてお答えを申し上げます。  昨年、平成二十三年の三月十一日に東北地方太平洋沖地震が発生したわけでございますけれども、その際、中部電力の浜岡原子力発電所につきましては、まず三号機が定期検査中で停止中でございました。そして、四号機は定期検査の最終段階で、いわゆる調整運転ということで運転をしていたところでございます。そして、第五号機につきましてはいわゆる営業運転中ということで、四号機、五号機が運転中だったということでございます。  それで、地震の発生後の状況でございます。御前崎市におきましては震度三ぐらいの揺れが観測されておりまして、それぞれプラントに関しまして揺れを観測しましたところ、十数ガルということで極めて小さい揺れであったということでございます。  したがって、それぞれ各プラントにつきましては特段の異常は確認されておらず、それぞれ運転中のもの、四号機、五号機については運転を継続し、三号機は停止中であったわけでございますが、その状態を問題なく継続をしているという状況でございました。  それから、お尋ねの放射性物質関係でございます。  発電所の放水口、それから排気筒、それから敷地境界線上にモニタリングポストがるるございますけれども、それぞれの放射線データを見ますと地震前と有意な変動はございませんで、通常の範囲内に入っているということが確認をされているところでございます。  したがいまして、浜岡原子力発電所につきましては、放射性物質の異常な放出があったということはなかった、放射性物質の異常な放出はなかったというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  106. 小野次郎

    ○小野次郎君 確認のためにもう一度お伺いしますけれども、このセシウム134、137というようなものが浜岡原発の周辺で、震災前から、前後とも、継続的に計測されておられると思いますが、出ていないということですか。
  107. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) お尋ねのとおり、通常、発電所におきましては、先ほど申し上げましたいろんな箇所で放射線の測定を行っているところでございますけれども、今お答えいたしましたように、そのデータについては地震の前後で大きな変化はございません。通常の範囲内に収まっているという状況でございます。
  108. 小野次郎

    ○小野次郎君 通常の範囲内というのが非常にその、もう一遍お伺いしますけれども、というのは、元々検出されたというのも、僕さっき申し上げたとおり基準値以下だし微量なんですけれども、通常の値って、それ、ちょっと不安をそそるようなことをおっしゃっているんですけれども、もう一遍聞きたいんですけれども
  109. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 発電所におきましては、例えば原子炉建屋におきましては内部を負圧にいたしまして換気をして、その排気を排気筒から放出いたします。したがって、放射性物質は全くゼロではございませんけれども、多少の放射性物質がございますが、これを毎時連続的に計測をしているところでございます。時間当たりにどれぐらいの放射線が出てくるかということを確認しているところでございますけれども、その値は全くゼロではございませんが、地震前から通常運転をしている状態の値と何ら大きな変動はないというふうに考えておるものでございます。
  110. 小野次郎

    ○小野次郎君 もう一度聞きますけれども、それじゃ、御殿場から静岡、掛川、菊川、浜松などで微量とはいいながら検出された放射性物質というのは、この浜岡から漏出されたものだとは見ていないという話でよろしいということですね。
  111. 山本哲也

    政府参考人(山本哲也君) 御指摘のとおりでございます。  私どもとしては、浜岡発電所については異常がございませんので、発電所から異常な放出があったということはなかった、異常な放出はないというふうに考えておるところでございます。
  112. 小野次郎

    ○小野次郎君 文科の方もお見えですので、そちら、ちょっと同じ関連で聞きますが、文科省は航空機の計測データがあります。そして、農水省では農地の土壌も調べておられますが、それぞれ農水省と文科省の方にお伺いしますけれども、この静岡県内の汚染について、福島原発事故によるものと考えて合理的な疑いはないのかどうか、それぞれお答えいただきたいと思います。
  113. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 農林水産省では、農地土壌の放射性セシウム濃度について、平成二十三年四月から平成二十四年二月にかけて静岡県を含む十五都県、約三千四百地点の農地土壌を採取しまして、その調査結果を平成二十四年三月二十三日に公表したところであります。  静岡県につきましては、平成二十三年十一月から同年十二月にかけて三十地点の農地土壌を採取し調査したところ、放射性セシウム137につきましてはそのうち五地点で検出されたものの、土壌一キログラム中の濃度が最大でも三十一ベクレルであり、また、放射性セシウム134につきましては検出された地点は全くなかったと承知をいたしております。
  114. 渡辺格

    政府参考人(渡辺格君) 文部科学省におきましては、東電福島原発事故が発生する以前の昭和三十二年から、各都道府県への委託により、全国における環境放射能水準調査を行ってきておるところでございます。  この調査において、静岡県における一か月に雨やちりに混じって降下する放射性物質、いわゆる月間降下物と言っておりますが、これは東電福島原発事故のあった昨年三月には放射性セシウムで一平方メートル当たり千九十ベクレルが測定されました。その後、四月には一平方メートル当たり百七十三ベクレルに減少し、その後、徐々に減少して、昨年十月以降は一平方メートル当たり一ベクレル未満の低いレベルで推移しているところでございます。  また、昨年九月に実施いたしました航空機モニタリングによる放射性セシウムの沈着量の測定結果を見ると、静岡県については県内全域において最も低い水準となっておりまして、この時点において放射性セシウムの沈着はほとんど見られない状況となっておるところでございます。  東電福島原発事故の直後に静岡県において見られた降下物中に確認された放射性物質の値の上昇は、半減期約二年のセシウム134が検出されていることから、過去に行われた核実験の影響ではなく、原子炉から放出された放射性物質に起因するものと考えられます。一方、東電福島原発事故以外に原子炉から放射性物質の異常な放出が起こった事象は確認されていないことから、昨年三月における静岡県での値の上昇は東電福島原発事故に由来するものというふうに考えられるところでございます。
  115. 小野次郎

    ○小野次郎君 ありがとうございました。  残余の質問は、大臣、恐縮ですが、午後またあるものですから、そちらに回させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  東京電力福島原発事故による放射能汚染で漁業者も大変な被害を受けております。私は福島県のいわき市に行きまして、漁業関係者から厳しい現実をお聞きしたわけです。今日、それを踏まえて質問いたします。  福島沖では一部で試験操業を始めましたけれども、漁業者は、国民に安全な魚を供給するのは我々の義務だ、だから福島は駄目かなと思ったという声や、東京電力賠償金は出ているけれども、借金を返済する費用までは出ていないという声、それから、我々の世代に漁業を再開できるかは危ういが、若い後継者のことを考えるならば前に進むように考えたいという声ですね。  ですから、本当に苦悩する日々を送りながらも、何とかやっぱり前に向かおうということで必死の思いでおられるわけですけれども、まず、大臣、こうした漁業者の思いについてどう受け止められるか、お話しください。
  117. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今いわきの浜での話を伺いましたが、私がずっと育ったのはそのすぐ隣の北茨城というところで、同じような今状況で漁民の方暮らしております。津波、震災が起こったときに、漁民の方というのは多く、当たり前でありますけれども、海辺に住んでいるわけであります。したがいまして、家もそうでありますし、それからまた、一人一人の命までも、亡くなられた方がたくさんいらっしゃいます。  そしてまた、海そのものも瓦れき等で埋まって、船もなくなったというような中から、今、僅かながらタコでありますとか貝でありますとか、幾つかのものが試験的に操業し、安全性が確認をされたというような状況の中であります。しかし、まだ四十種類の魚が出荷制限をされているという状況の中で、新たに魚種が増えたりもしております。  そこのところの海図といいますか、どこで捕れたものが数値を上回っているんだというと、一概に原発から南の方にというだけではなくて、突如北の方でもそういうものが出てきたり、全く予断を持たずに結果だけを見ているというようなことが続いているというふうに思っております。  そういう中でありますから、今後のことについて本当に思いを巡らすというのは大変な時期だというふうに思いますけれども、少しずつみんなで、安全なものだけは出荷するんですよ、そして、安全だと言われて出荷するものについては食べて応援をしましょうというようなことも取組が始まっているというふうに聞いております。  それからまた、いろんなところで、簡便に、魚が入ったものの形を崩さずに、若干、三十秒ぐらいの時間でもってその箱そのものが安全かどうかということを調べるような機械というものも出てまいりました。  私どもも、技術的なことを含めて、できるだけ地元の方々が再開をする意思があったときにそれに沿って、必ず消費者の方には安全だということを前提にして出荷ができる体制を取りたいな、それまで本当に御苦労だというふうに思いますけれども、できるだけ再開という気持ちをお持ちの方々に寄り添った施策というものをしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 今、大臣の方からこれからのことを、再開も含めての話があって、二番目にそこも聞こうと思ったんですけれども、漁業者でいいますと、再建を目指して日々必死に頑張っていて、いろいろなことを試みているわけですね。  例えば、私お話しした漁業者の方は、築地市場に出かけていって、それで流通業者や消費者の方と懇談しているわけです。身銭を切って水俣の被害調査にも行っているんですよ。それは、風評被害を含めて、長い時間たっているけれども、どうやって乗り越えているのかということを学びたいということで行っているわけです。そして、そういう中で、買受人からは常磐沖の魚は扱えないというふうに言われて、スーパーは産地で取引すると、だから、もうどこから出ているかというだけで取り扱えないという話になるわけです。  漁業者としては、放射性物質検査数値をきちんとやっぱり示すことで消費者流通業者との信頼関係を築くことが大事だということで、やっぱりそういう意味では、国が本当にこの苦しむ漁業者や水産業、関連するところも含めて一体になって再建することが不可欠ですから、そこは本当に再建の方向を率先して示していただきたいというふうに思うわけです。  それで、漁業者は、国が本気になってやっているのかということは率直に言って伝わってこないというふうにも言っているわけですよ。放射能汚染の実態調査するには、やっぱり海水でどうなっているか、それから泥がどうなっているか、魚の餌がどうなっているかということで把握するということが出発になるということで、放射能は広域に広がっているわけですけれども、海洋、海域の放射能モニタリングの検査、この検査の精度を上げて情報を公開するということが大事だと。  ところが、モニタリング検査の体制が不十分だという声もまた出ているわけですよ。海域モニタリングの測点というのは、海水でいうと二百二十地点、海底土でいうと九十地点、海洋性生物、プランクトンですね、七地点のみ。ですから、農地の土壌の、さっき調べているという話がありましたけれども、農地の土壌の測点は福島県だけでも約二千二百か所、それから他の県を含めて三千四百ということになっているわけですけれども、そうすると、農地土壌に比べると海というのは極めて少ないわけですよ。  農業の場合は収穫した場所が分かりますけれども、漁業の場合は数時間網を引き続けると。魚を引き揚げていくわけですけれども、数十キロ移動するから、どの地点で魚が網に掛かったかというのは分からないわけですよね。いわゆるホットスポットの水産物も含めて、ずっと引いて揚げていくと。そうすると、測点を増やして、やっぱりもっと放射性物質の動きを細かく検査するということが必要だというふうに思うんです。  それで、私、以前行ったときに、福島県の水産試験場は、そういう声も漁業者から上がっていたものですから、独自に、岸から〇・五キロメートル水深で七メートルから、大体二十・二キロメートル水深で百二十五メートルまで、八地点でモニタリングを行って、独自にやっていたわけですよ。  それで、資料を今日お配りしているのでちょっと見ていただきたいんですけれども、この資料で見ますと、これ四倉沖なんですけれども、そこの海底土壌の数値です、水産試験場のですけれども。  昨年五月から今年の一月までの資料ですけれども、浅いところは徐々に放射性物質、最初のころから見ると数字が減っているんですけれども、一番深い場所で見ると、昨年六月はNDということでこれ検出されずだったんですけれども、十月にはどんと高くなっているわけですよね。六・五キロメートルの水深五十メートルのところで見ると、数値が横ばいという状況です。こういういろいろ違いが出てくるということがあって、やっぱりきめ細かい検査体制というのがあって、そういうことでここは薄いのかとか濃いのかということになるわけですから、こういうことが必要じゃないのかと。  海域モニタリングは省庁で役割分担があるわけですけれども、それは分かっているわけですけれども、是非、農水省としての認識、お考えをお聞きしたいと思います。
  119. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 紙委員指摘のように、私、魚が大好きでございますので、本当にたくさん量を食べます。  そんな中で、今、いまだに基準値を超える放射性セシウムが検出されておるということは非常に大きな問題であるという認識もさせていただいております。ただ、私ども中心になるというよりも、政府、確かに今おっしゃいましたように総合モニタリング計画、これは文科省、環境省等の関係省庁でやっておるわけでございますけれども、仙台湾は観測点を増やしました。しかし、増やしたといっても四から六ということでございますので、その御指摘が多いか少ないかということは、これからまた少しでも今日の質問をいただいたということで、私どもも積極的にそのことを申し上げていきます。  特に、私どもが何をするかということよりも、やはりこうした計画全体をどう動かすかということも大事だと思っておりますので、まずそのことについては今後関係機関との協議を積極的にやっていきたい。  そして、今もう一つおっしゃられたことでございますが、この資料につきましても、確かに餌生物の海底、ここのところは非常に重要な分野でございますので、ここのところは福島県の水産試験場等での取組をさせていただいておるところでございますので、ここのメカニズムについてはしっかり解明するということと同時に、これを消費者の皆さんの信頼を得るためにしっかり公表していくということも大事だというふうに考えておりますので、二十三年度の結果については水産庁のホームページ等でお知らせをさせていただきました。今引き続きやっておりますので、この結果はできるだけ早く公表するようにという指示もさせていただいておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 今ずっとプランクトンというか餌生物という問題なんかも含めてお話しされたんですけれども、採取測点については是非広げていただきたいと。それで、静岡で出た話もありましたけれども、やっぱり北海道とか青森とか岩手とか神奈川とか静岡なんかも含めて測点を設けるべきだというふうに思います。特に、仙台湾でこの間放射性セシウムの値が上がっていて、これもモニタリング体制を強化すべきだということも申し上げておきたいと思います。  そして、今お話しされて、もちろんこのメカニズムという問題が大事であると、それはそういうふうに思うんですけれども、やっぱりモニタリングの検査は研究目標という範囲にとどめないで、やっぱり太平洋沿岸の漁業を再生させるということと同時に、消費者の安全につながるように抜本的に強化するということや、情報公開の対象を拡大するということを求めておきたいと思います。これについても再度お願いします。
  121. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 今も申し上げましたことにつきましては重ねて申し上げませんので、委員指摘のことにつきましては、今私がお答えさせていただいたところと重なっておるところもございますので、その視点、十分踏まえながらしっかりやってまいりますので、よろしくお願いします。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 次に、六ケ所村の再処理の問題についてお聞きします。  六ケ所村のこの再処理工場というのは十月に稼働することになっているわけですよね。それで、経済産業省が今日来ていただいていると思うんですけれども、お聞きしますが、本格稼働すれば放出される放射性物質というのは大気、海洋のトータルで年間で何ベクレルになるのか、お話しください。
  123. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 経産省からお答えを申し上げます。  放射能の生態系への影響については、核種により影響の強さが異なることから、放射能量であるベクレル数を単純に足し合わせて比較することは適切でないと考えておりますが、気体廃棄物の放出量は主にクリプトン85により年間約三・三掛ける十の十七乗ベクレル、液体廃棄物の放出量は主にトリチウムにより年間約一・八掛ける十の十六乗ベクレルとなっております。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 十の十六乗とかっていうと物すごい数値なんですよね。年間そんなに出して大丈夫なのかというふうに思うわけですけれども。  いずれにしても、これは従来、各原発がやっている数値に比べても、再処理の場合は更に放出の濃度が高くなるということは間違いないと思うんですよ。  それで、十月から本格稼働するとなると、この大量の放射性物質が大気や海洋に放出されると。海洋への人為的な放出というのは、福島原発事故のときにあれだけ問題になったわけですよね。岩手県の漁民組合は七月に要請しているわけですけれども岩手、青森の関係者は本格稼働は中止するべきだというふうに求めているわけです。  それで、大臣にお聞きしますけれども、海洋への人為的に放出するような再処理工場を認めていいのかということなんですが、これについていかがですか。
  125. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今お答えがありましたような数値というのが、私ども、一般的に聞いてもよくぴんとこないというようなことがございます。  この六ケ所村の周辺海域におきまして文部科学省がいわゆる調査を実施をしてきた、そして、僅かでありますけれども農林水産省も昨年の事故を受けて全国的な海域のそれぞれの調査というものも行ってきているところでありますけれども、いずれにしましても、私ども、その十月にということがどのような形でこれから進んでいくのか、関係をするところとそれぞれ連携をする、情報をきちんと取り合う、そういうことをまず行いながら見ていかなければいけないんだろうというふうに思っております。  漁民の方々が心配をなされるような形ではなく、きちんと安全性確保をされるということが何におきましても前提だというような形で各省庁との連携を進めていきたいというふうに思っております。
  126. 紙智子

    ○紙智子君 経済産業省にお聞きしますけれども、再処理工場は事故が相次いで、これまでもですね、安全だという保証はないわけです。ましてや、アクティブ試験は終わっていないし、国の検査も終わっていないと。十月に本格稼働できる状態なんでしょうか。
  127. 中根康浩

    大臣政務官(中根康浩君) 核燃料サイクル政策については、原子力委員会が提示した選択肢等を踏まえつつ、エネルギーミックスの大枠に応じて政府が整理し決定することとされております。  六ケ所再処理工場の状況につきましては、実際の使用済燃料を使用した稼働に向けた試験、今先生も御指摘のアクティブ試験と言いますが、を実施中であり、その竣工、稼働については今後の試験の状況も踏まえて事業者が判断をしていくものと承知をいたしておるところでございます。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 福島県の原発事故の原因もまだ十分解明されていない、それから、原発そのものについてももっと根本的な見直しということが大問題になっている中で、本格稼働はやめるべきだと。そして、農水大臣としては、非常に不安がある中で、これはやめるように働くべきではないかと思います。いかがですか、最後にそのことを聞いて。質問したいと思います。
  129. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) これまでも他の委員からも同様の御指摘がございました。六ケ所村で今後、核燃料サイクルそのものがどのような展開をするかというのは、今まさに政府の中でしっかりと議論をされているというふうに思っておりますので、私自身は漁民の、そして消費者の方々の安全につながるようなことを政府部内としてもしっかり考える、その形で進めていくべきだろうというふうに思っております。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  131. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  132. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官米村猛君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  134. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。郡司農林水産大臣
  135. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国の農林漁業、農山漁村をめぐる状況を見ますと、農林漁業の就業人口や所得が大きく減少し、農山漁村の活力も低下しております。このような状況を打開するためには、農林漁業によって生み出された農林水産物や生産活動の価値を二次産業、三次産業につなぎ、大きく高めていく取組により、農林漁業が持つ潜在的な成長力を顕在化させ、農山漁村における所得と雇用拡大することが喫緊の課題となっております。  株式会社農林漁業成長産業化支援機構は、このような取組を支援するため、政府と民間が共同で出資して設立するものであります。この機構による出資その他の支援を通じて、拡大するアジア市場への輸出を始め、消費者等の様々なニーズに対応した意欲的な取組推進し、農林漁業の安定的な成長発展、農山漁村の活性化等を図ることを目的としてこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、株式会社である農林漁業成長産業化支援機構について、会社法に定められていない特別な規定等を整備するものであります。  第一に、機構の設立等に関するものであります。機構は、農林水産大臣の認可により一を限って設立される株式会社とし、政府は、機構に対し出資することができることとするとともに、常時、機構の発行済株式総数の二分の一以上を保有することとしております。  第二に、機構の組織に関するものであります。支援の対象となる事業者や支援内容、株式や債権の処分等、機構の業務運営に関する重要事項の決定を客観的、中立的に行うため、機構に農林漁業成長産業化委員会を置くこととしております。  第三に、機構の業務に関するものであります。機構は、出資や資金の貸付け、専門家の派遣や助言等の業務を営み、農林水産大臣が定める支援基準に従って、支援の対象となる事業者や支援の内容を決定することとしております。また、機構は、平成四十五年三月三十一日までに、保有する全ての株式や債権の処分等を行うように努め、業務の完了により解散することとしております。  第四に、機構の財務及び会計に関するものであります。政府は、機構に対し、資金の貸付け等をすることができることとしております。  第五に、機構の監督等に関するものであります。農林水産大臣は、機構の役員の選任や予算の認可等の必要な監督を行うこととしているほか、機構に対し、報告の徴収、立入検査等を行うことができる旨の規定、機構の役職員等による贈収賄や秘密漏えいに対する罰則規定等を措置しております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  136. 小川勝也

    委員長小川勝也君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員宮腰光寛君から説明を聴取いたします。衆議院議員宮腰光寛君。
  137. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。  第一に、株式会社農林漁業成長産業化支援機構の目的に、「農林漁業者の経営の安定向上」、「地域との調和への配慮」、「農林漁業者の所得の確保及び農山漁村における雇用機会の創出」、「農林漁業者の主体性」、「農山漁村における再生可能エネルギーの開発、供給又は需要の開拓」の事項を追加することとしております。  第二に、農林漁業者等の意向を反映させるため、農林漁業成長産業化委員会の支援決定、農林水産大臣による支援基準の策定及び支援決定に係る農林水産大臣の認可の各手続において、農林漁業者等の意見聴取等の手続を追加することとしております。また、委員会委員には、農業、林業又は漁業に関して専門的な知識と経験を有する者が含まれるようにしなければならないこととしております。  第三に、対象事業者と対象事業活動支援団体との区別の明確化等を図ることとしております。また、機構及び委員会による対象事業活動支援団体に対する指導、委員会による支援対象事業者及び支援対象事業活動支援団体の事業活動の状況に対する評価、農林水産大臣による支援対象事業活動支援団体に対する報告の徴収等の措置に関する規定を追加することとしております。  第四に、農林水産大臣が定める支援基準の明確化を図ることとしております。  第五に、機構の支援決定等における農林水産大臣の関与の強化を図ることとしております。  第六に、国による財政上の措置等に関する規定を設けることとしております。  第七に、地方公共団体及び農村漁業関係団体による支援に関する規定を設けることとしております。  第八に、関係者相互の連携及び協力に関する規定を設けることとしております。  第九に、政府がこの法律の施行状況について検討を加える時期を、法律の施行後五年以内から、三年を目途とすることに改めることとしております。  その他所要の規定の整理を行うこととしております。  以上であります。  何とぞ御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
  138. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 以上で本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  139. 中谷智司

    ○中谷智司君 皆さん、こんにちは。民主党の中谷智司です。  株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案について御質問をさせていただきます。  本当に多くの皆様の御尽力によって本法案が本日、参議院で審議ができることを本当に心より感謝申し上げます。  私は、地方を元気にし、日本を立て直すには農林漁業の再生がなくてはならないと思っています。農林漁業をもうかる産業、魅力ある産業にするために、六次産業化や本法案の持つ意味というのは非常に大きいと思っています。  日本を立て直し、これからの日本の進むべき道を指し示す日本再生戦略が七月三十一日に閣議決定されました。この中で、新たな成長を目指す重点三分野として、グリーン、ライフとともに農林漁業、六次産業化が位置付けられています。この件について郡司大臣はどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。
  140. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 成長産業の一つに位置付けられたということでございます。  御存じのことではございますけれども、農業というものは国にとって欠くべからざる産業であるということが一つあるだろうというふうに思っております。しかしながら、その中で担い手が高齢化をしております。それから、農業所得が減少をしております。地域の疲弊が進んでいるという状況の中でございますから、何かしら手を加えることによって、ここの元気を取り戻すということが私どもにとっての待ったなしの課題でもあるというふうに認識をしております。  他方で、農山漁村、しかしながら、考えてみると、農林水産物を始めとするバイオマス、土地、水など様々な資源を有しているということでございまして、農林漁業のポテンシャルというものは高いんだと、こういうようなことも一方にあるわけでありますから、その意味で、六次産業化というものをしっかり行っていくということが先ほど言いました成長産業に資するものであると、このような観点から、再生戦略において農林漁業が位置付けられたというふうにも思っております。  その柱はやはり六次産業化ということになりますけれども、特に農業は、日本の農業の場合は特にそうでありますけれども、女性の比率が高いということがございます。そして、この方々がそれぞれの地域で元気に活動しているところは活力があると言い換えても間違いないだろうというふうに思っております。  そういう意味で、特にこの中でも女性の活力を引き出すということを成長産業につなげていこう、そのことも併せて考えているところでございます。
  141. 中谷智司

    ○中谷智司君 日本再生戦略の重点分野として農林漁業を位置付けたことは私も評価をします。農林漁業を再生させることは、経済の活性化、食料の安定供給、国土の保全や自然環境の保護など、日本の地方の課題を解決をすることにもつながります。是非とも、この日本再生戦略の重点分野として位置付けたわけですから、更にこの農林漁業の再生に力を加えていただきたい、そういうふうに思っています。  そして、本法案の背景ともなる農林漁業の六次産業化を、今、郡司大臣がお話をされたように、推進をしていますが、これまでの進捗や成果についてどのように評価をされて、そして課題としてはどういうふうに考えておられるか、大臣の御見解をお聞かせください。
  142. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 六次産業化を進めるに当たっては幾つかの課題というものがあるだろうと思っています。  まず一つは、人をきちんと育てるということが大事でありまして、言わばプランナーというような方になっていただこう、それから、総合的なサポートを実施をするような形をつくっていこうということで、千人規模のプランナーというものを今取り組んでいるところでございます。それから、もちろんでございますけれども、新しい商品の開発、販路の拡大、それから加工・販売施設の整備等についても行っていかなければいけないと思っております。  三月の施行以来、昨年の三月の施行以来でございますけれども、この六次産業化法に基づく総合事業化の認定件数でございますが、九百三十九件というような数になっておりまして、順調に推移をしているのではないかなというふうに思っております。  今後、更なる取組推進に当たりましては、それぞれの経営の発展段階に応じた支援を行うということが重要になってくるだろうというふうに思っておりまして、そのために、概してでありますけれども、農林漁業者というものは借入金の依存度が高く、新たな借入れというものが経営を圧迫する、それが事業を展開する上でのかせにもなっているのではないかというふうに思っております。  したがいまして、補助事業には使い道の限定といったようなこともあったわけでありますけれども、それらを変えるというようなことも含めまして、本法案に基づいて、民間の資本でありますとかノウハウを十分に生かす農林漁業者が新たな六次産業化の事業に取り組むことを必要な事業としてこれから手伝っていきたいというふうに思っております。
  143. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、郡司大臣から、この六次産業化が順調に進んでいるという、そういうふうなお話もされました。そして、片や一方で課題があると、そういうふうなお話もされました。  農林漁業者の皆様は、六次産業化に対しては、もうかる産業に農林漁業を変えていくという意味で大きな期待をされています。そして、六次産業化という名称自身はかなり浸透してきていると思いますが、ただ、片や一方で、具体的に自分たちがどのような取組をすればいいかという面からすると、まだまだ浸透し切れていないと私は思っています。そして、郡司大臣もお話をされましたけれども、六次産業化に取り組む農林漁業者の皆様が事業展開を図る上で、資本力の弱さや異業種との連携の難しさといった課題を抱えています。  まさに、これの解決を図っていこうというのがこの法案の趣旨であると思いますけれども、この六次産業化における本法案の果たす役割であるだとか、あるいは主な特長について、郡司大臣からお話しください。
  144. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 大きなところでは、冒頭申し上げましたように、地域の元気を取り戻す、つまり、雇用を生み出し所得を増加をさせるということであります。そのために事業を起こしていこう。その事業を起こすということについては幾つかの芽が出てまいりました。その発展段階に応じていろいろなことができるということも先ほど申し上げたとおりでございます。  今回は、加えまして、その政策手段として、追加をする出資、運転資金、人件費等のあらゆる資金需要に柔軟に対応できる自由度の高い資金でありまして、今回支援を想定をしている六次産業化事業体にとって、これまでと違い、使い勝手がいいものだということが大きな特徴になるだろうというふうに思っております。
  145. 中谷智司

    ○中谷智司君 農林漁業者は、一般的には品質の良いものを作るという意味ではプロ意識が非常に高いと思います。片や一方で、販売量を増やしていきたいだとか、あるいは販売価格を高くしたい、こういうふうな意識についてはまだまだ関心が低いように思います。経営意識を持って少しでももうかるようにしようとしている、努力している農林漁業者にはアドバイスをしてチャンスを与えていくことが必要であると思っています。つまり、経営支援というのが私は非常に重要であると思っています。  そして、この経営支援をするためには優秀な人材の確保が必要ですけれども、具体的にどのような人材をどのような方法によって確保していこうとしているか、その件についてお聞かせいただけますでしょうか。
  146. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 中谷委員のおっしゃられるように、その人材、人というのがもう要になるというふうに、こう私自身も思っております。ですから、今、前段で大臣が触れられましたように、このプランナー、ここの位置付けというのは非常に重要になるというふうに考えております。  ですから、定期的な経営状況の確認や指導、助言、そして必要に応じた経営、今、中谷委員もおっしゃいましたが、ここのところもしっかりと経営に参画、この辺りをしっかり二人三脚でこの事業を安定的に成長させていくということ、促していくということが特に大事だというふうに認識をいたしております。また、金融実務、そして経営支援に精通する者、農林漁業の生産活動に精通する、食品加工、もろもろの人材の確保が非常に大事だというふうに認識をいたしております。
  147. 中谷智司

    ○中谷智司君 この経営支援をするための人材確保というのは非常に大きなポイントだと思います。ですから、優秀な人材を確保することには農林水産省としても惜しみない支援を是非ともしていただきたいと思います。  また、衆議院での修正によって、六次産業化法の認定を受けた者を支援の対象とすることとされました。六次産業化法の認定を受けた者に対する支援を行っている六次産業化プランナー、ボランタリー・プランナーなどは経営支援にどのように加わってくるのでしょうか。
  148. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) ここのところは、経営診断、資金調達、労務管理、こうしたところまでこのプランナーには関与していただきたいというふうに、こう思っております。  一方、また、国と民間の共同出資により設立されるこの農林漁業成長産業化支援機構が出資する地域ファンド、ここのところなんですが、農林漁業者とパートナー企業からの、六次産業化事業に対してこれは出資を行うわけでございますが、もちろん経営支援、ここのところにもしっかり入っていただくということが私は大事だというふうに思っておりますので、六次産業化サポートセンターがファンド出資に関する農林漁業者の要望を把握して出資案件を確実に地域ファンドにつなぐということ、ここのところは非常に大事だというふうに思っております。  ですから、大臣が認可をする、ここのところの中身というものも非常に大事だというふうに認識をいたしております。
  149. 中谷智司

    ○中谷智司君 農林漁業者と二次、三次産業者とのマッチングや六次産業事業者への経営支援は非常に重要ですので、修正によるそごがないように、この点だけは是非ともお願いをいたしたいと思います。  そして、衆議院における修正によって、財政上の措置等の規定が追加をされました。事業が失敗した場合には、対象事業者及び対象事業活動支援団体に対して国が損失補填の責任を負うことではないという理解でよろしいでしょうか。修正案提案者にお伺いをいたします。
  150. 石津政雄

    衆議院議員(石津政雄君) それでは、中谷委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、衆議院における修正において、財政上の措置等の規定が追加されました。本文第二十七条でございます。この規定は、対象事業活動支援その他の対象事業活動の円滑かつ確実な実施に寄与する事業を促進するために必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずる国の努力義務を規定したものでございます。  機構が行う対象事業活動支援のような事業を促進するための財政上の措置等について規定したもので、対象事業が失敗した場合においてその損失補償を国が行うものではないことは条文上も明らかでございます。  なお、このことは修正案提案者の共通の理解であるとともに、衆議院農林水産委員会における附帯決議においても、政府が損失補償の責任を負うことなどのないよう、本法の趣旨に即した適切な対応を図ることが盛り込まれております。  以上でございます。
  151. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、お話をされましたように、本法案の本来の趣旨に即したとおり適切な対応を図り、徹底をしていただきますようお願いを申し上げます。  本法案の農林漁業成長産業化ファンドのスキームは、サブファンドを通じた支援が盛り込まれています。サブファンドによって適切な運用を担保することはもちろん重要ですが、手続が難しく時間を要するものになることなども考えられます。この点についてどのように対処しようとなされているでしょうか。
  152. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えいたします。  委員指摘大臣認可の運用に当たりましては、透明性を確保いたしまして、意欲ある新しい取組の成長発展を促すよう、支援決定が修正案により明確になった支援基準の規定事項を含めまして、本法案の目的及び支援基準に適合するものとなっているかについて確認するものとする考えであります。機構が農林漁業者の意欲ある取組に対しまして迅速かつ円滑に資金供給を行えるよう、認可の手続については機構や対象事業者の負担軽減にも配慮し、運用する考えであります。  いずれにいたしましても、衆議院の附帯決議にありますように、御指摘大臣認可を行う際には、民間の資金、ノウハウを生かすことによって農林漁業の成長産業化を支援するという本法の趣旨に即して運用に当たる考えであります。
  153. 中谷智司

    ○中谷智司君 岩本大臣がお話をされましたように、農林漁業者や六次産業事業者にとって使いやすいかどうかというのが非常に大切です。是非ともこういったことにも配慮をしていただきたいと思います。  そして、本法案は、先ほども申し上げましたけれども、農林漁業がこれから成長していく上において大変重要な法案です。ただ、今までの法案を見てきても、幾らいい法案を作っても現場にきちんと広がっていかなければ、ある意味、意味がないと申し上げるしかありません。周知徹底というのが非常に重要であると思いますけれども、この法案が成立をした場合にどういうふうに周知をしていこうとしているか、その件についてお聞かせいただけますでしょうか。
  154. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 中谷委員がおっしゃられるように、農林漁業をやる方は、品質は非常にいいものをつくられるというふうに今おっしゃいましたが、確かに、しかしファンドという言葉はなかなか私の田舎では耳慣れない言葉なんですよね、金融関係に、経営参画してみえる方はよく分かるんですけれども。ですから、こうしたところと六次産業化の説明をしっかりやっていくということが非常に必要だというふうに思っています。  ホームページとかサポートセンターがそれを担うわけでございますが、しかし、それよりも、むしろやっぱり地方農政局、地域センター、市町村等を通じた、ここのところはこうした総合的な皆さんにお願いをしてしっかりとPRをしていくということが非常に大事だというふうに私自身も考えさせていただいております。
  155. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、森本政務官がおっしゃってくださったように、このファンドという言葉、非常に聞き慣れない言葉だと思います、農林漁業者の皆様方からすれば。そして、農林漁業者は家族経営など小規模である場合が多いですし、先ほども申し上げましたけれども農林水産物を生産するプロフェッショナルですけれども経営についてはまだそこまでのレベルに達していない方が非常に多いといった実態があると思います。本法案が成立をして、農林漁業者の現状やニーズに合った運用がされて、農林漁業が産業としてもますます魅力のあるものになってほしいと私は思っております。  本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。
  156. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  郡司大臣を始め政務三役の皆さん方には、日ごろから地域農業の、あるいは日本の農業の発展のために御尽力いただいておりますことに、まずもって心から敬意を表する次第でございます。  今、中谷委員の方からございましたけれども、この法案の最初説明を受けましたときに、名前は正式には支援機構法案ということでありましたけれども、六次産業化のファンド法だというのを聞きました。森本政務官も、ファンドというのはなかなか地域では、あるいは田舎では理解されない言葉だし、中谷先生もそういうお話をされました。  いや、農家だけじゃなくて、私ども実は議員が、ファンドとは何なんだという、まず頭にこの話を聞きまして思い浮かびましたのは、ハゲタカファンドあるいは村上ファンド、こういったイメージの非常に悪い金融商品だというイメージがございました。ですから、私どもは、今日も提案者としてお見えいただいている宮腰提案者を始め、党内でも本当にファンドについて、そもそもファンドとはということをどれだけの人が知っているんだろうかと。私ども農林関係の議員でもなかなか理解し難いので、財務金融の皆さんと一緒に勉強会をしようじゃないかということで、長い期間掛けて勉強をいたしました。  ですから、大臣、決して私どもは、与党・政府提案の閣法だからというよこしまな気持ちは全くありませんでした。本当にこれが農家のためになるか、地域農業の発展のためになるか、あるいは、先ほど来お話がありました、本当に成長産業としてのその後押しになるような仕組みなのかどうかという視点から、長期間、私どもは党内で勉強会をしたわけであります。ですから、決して、今日に至ったということは、そういったよこしまな気持ちがなかったことだけは是非御理解をいただきたいと思います。  そこで、先ほど提案理由の説明もございましたけれども、もう一回、どうしても私は分からない点もありますので、大臣の方からこの法案を提出した理由についてお聞かせいただきたいと思います。
  157. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 改めて説明をさせていただきたいというふうに思いますが、その前に、ここに至る経過、自民党さんの中での審議の状況等もお話をいただきました。大変深く掘り下げていただいて、修正が成ったということも含めて御礼を申し上げたいなというふうに思っております。  提案の理由でございますけれども、我が国の農林漁業、農山漁村の状況は、御存じのことでありますけれども、就業人口や所得がそれぞれ減少をする、農山漁村の活力そのものが低下をしているというところがございました。このような状況を打開をするために何をしなければいけないのか。農林漁業によって生み出されました農林水産物や生産活動の価値を二次産業、三次産業につなぎ、大きく高めていく取組によりまして、農林漁業が持つ潜在的な成長力を顕在化させる、農山漁村における所得と雇用拡大をすることが課題であろうというふうに思っておったところでございます。  したがいまして、今回の支援機構でございますけれども、このような取組に対しまして出資等による支援を行う、政府と民間が共同で出資をして設立をする形を取らせていただきました。具体的には、加工、製造、販売、観光等の他産業の販路、ノウハウを活用した農林漁業者が主導して行う加工、販売等の新たな事業に対しまして、政府と民間が共同して出資を行うことにより、地域の農林水産業を軸とした産業おこしを進めていく、農林漁業者の所得向上と農山漁村の雇用創出を図っていく、このように言えるわけでありますけれども、確かに、法案の名称、略称共々ちょっと分かりづらいような名称であったというふうに思っています。  私のところの思いとすれば、先生地元でお使いになっておりますように、ふるさとにもっと元気をというようなことを少し具体化させるような形の法案だというふうに理解をしているところでございます。
  158. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣を責めるわけじゃありませんけれども、この法案ができたときには郡司大臣はここに筆頭でお座りになっておられましたので、責任がないといえば責任がない。ですけれども、私は役所が書いたそのペーパーを読んでいただきたくなかったんです。  なぜかといいますと、今日は農林関係の方々が大臣政務三役に座っておられるわけであります。そのとき、やっぱり皆さん方と昨年からずっと議論をしてきたのは、六次化法案も三党協議の中でやりました。私は、このファンド法というのは、六次産業化を具体的に具現化していくための後押しをする法案だという理解を実はいたしておりました。  しかし、今大臣がお話しになった中で六次化なんという言葉一つも出てきません。私は、民主党のマニフェストで、やはりこれは農政の二つの大きな柱、一つは戸別所得補償であったり、もう一つは六次産業化だったと思うんです。その言葉が今日の趣旨説明の中にも一切出てこないんです。もう皆さん方は、もうあれは過去の、六次化法案が通ったから過去のものだというふうにお思いじゃないと思うんですが、いずれにしても、皆さん方がお出しになった農政の一丁目一番地か二番地か分かりませんけれども、その政策を推し進めよう、そのためにこのファンド法を作るんだということが、気持ちが伝わってくれば我々ももう少し考え方を変えて当初から臨めたのではないか。何か、ファンドをつくるがために、それが目的化したような感じを実は受けたんです。  ですから、私は、皆さん方の省内でどういう議論をしてこの法案を出されたのか。今日は、大臣はそのときではまだ下野、下野とは言いませんけれども委員会の筆頭でありましたので、その当時のメンバーであります岩本大臣森本政務官にどれほどのこの議論をされてこの法案を提出されたかを、お一人ずつお伺いしたいと思います。
  159. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 野村委員にお答えをいたします。  平成二十一年四月、これは自民党政権時代ですけれども、与党としてですね、に取りまとめられました農政改革の検討方向、これにおきまして、従来の補助金、制度融資による支援に加えまして、農業経営体が必要な資本、運転資金、設備資金等をより円滑に幅広いチャンネルで調達できる方策を検討することとされまして、一時期、省内で検討がなされたと聞いております。その後、平成二十二年十一月に設置されました食と農林漁業の再生推進本部、実現会議におきまして、成長産業化、六次産業化のための具体策を議論をいたしました。このような議論を踏まえまして、平成二十三年の八月、同会議の中間提言におきまして、資本力増強のためのファンドによる支援を行うとともに、ファンド組成に当たっての課題解決方策を検討することが記載されたことから、農林水産省として同年九月の概算要求におきまして必要額を要求したところであります。平成二十三年十月の同本部の基本方針・行動計画等での位置付けを踏まえまして政府として概算決定を行い、平成二十四年度当初予算案として国会に提出をしたところであります。本年二月に予算関連法案といたしまして本法案を国会に提出したところであります。このような経緯で現在に至っております。  ファンドにかかわる概算要求及び法案につきましては、事務方より説明を受けており、自分としても議論に参画してきたところであります。
  160. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 私が就任させていただきましたのは二十三年、去年の九月でございますので、それ以降のことにつきましては今も岩本大臣の方からお話がありました。  その前に、今日は田名部筆頭と会わせていただいて、本当に今日はこれ、審議をしていただくのだなと、夜は本当にもう楽しみにしているというような話を今日は伝言で、今日は宮腰筆頭もおっていただきますので、今日はお伝えをさせていただきます。それほど、これに思う皆様方の、党と党の皆さんの御尽力に私自身も心より感謝申し上げなければならないというふうに思っております。  私は、六次化産業で、小さな町でございますけれども、非常に成果を上げ、国の補助をいただいたり、融資をしていただいて非常に感謝をしておる一つのモデルがあります。しかし、それは私の小さな町の中での、アイデンティティーは生かしておりますけれども、しかし、そこに金融機関とか、そうした全体的な総合的な応援というものはなかなかつくれないというのが現状でございました。しかし、このファンド法案が出てきたときに、これはひょっとすると大きなところに飲み込まれる可能性もあるんじゃないかなという疑問も私自身は確かにありました。しかし、そこは小さなものをたくさんつくっていくか、これは田舎にとっては、私の地方にとっては必要なんですけれども、しかし、そこにある程度核になる成功事例もつくっていくという意味では、この出資という在り方が私の感覚にはなかったということは事実でございます。  ですから、そこのところを勉強させていただいて、この中身をいかに充実していくか、これは皆さんが協議をしていただいて、修正を加えていただいて、私は成功体験型に持っていけるというような、そんな思いで感謝をさせていただいておる。私のこれまでの取組は、そうした取組の現実の悩みと、そして将来に向かって、国際的に日本がこれからこのアイデンティティーを生かしながら、消費者の顔も見ながら、そして、しかもクオリティーライフを目指す、そうした田舎づくりをやっていきたいというところから、この法案は大事だというふうに思っております。
  161. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 岩本大臣のお話というのは、推進本部の方でいろいろと決まってきた、いつ決まったという時系列のお話でありましたが、私は、省内でどの程度の議論をして皆さん方がこの法案をお出しになったのかというのを実は質問しているわけでありまして。  といいますのは、この法律に基づきますと、国の金を二百億、あるいは最終的には二千億とも四千億とも五年後には出すという、そういう壮大なるプロジェクト、しかも十五年間という長期にわたるこれは事業ですよ。それを、ただ省内でどういう形で、どういう過程をもって、プロセスでお決めになったのか。まあ、今日お見えの役所の皆さん方、これはもう相当熟慮に熟慮を重ねておできになった法律なんだろうというふうに思いますけれども、私どもはこの法案を見て本当に理解に苦しみました。  それはなぜかといいますと、先ほど来ずっとお話がありますように、確かに第一次産業、そして第二次産業、三次産業につなげていくんだという、そういう言葉がありますけれども、要は、私どもは、六次化産業の狙いというのは農家の所得の向上であり、地域農業の振興というのがうたわれているはずですよ。そういうことが全然目的の中で見受けられない。まず、ここに目的の条項を見たときに、この法律の目指すものは何なのかというのが全く受け止めができませんでした。ですから、今申し上げたように、これほど、十五年も掛かるものを、あるいは金額的には最終は四千億とも言われるような、それこそ農水省でこんな大事業というのは余り例がないんじゃないかと思うぐらいの大変なプロジェクトだと思うんです。それをこういう法律だけで本当にカバーし切れるのかどうか。我々が去った後に、十五年後に、あの法律は失敗だったよなと、何であんな法律を衆議院や参議院で議論も余りしないで通したんだろうかというふうに思われたくないというのも、これはありました。ですから、先ほど来申し上げているように、我々は本当にこのことについては相当な時間を掛けながら議論を実はさせていただいたわけです。  今日は衆議院の方から、法案の修正をされ、今日は提案者になっておられる宮腰先生がお見えになっておられますけれども、この修正された目的、理由を明確におっしゃっていただきたいと思います。
  162. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 野村先生の御質問にお答えいたします。  政府案につきまして、自民党内におきましては、二月下旬から農林部会及び財務金融部会の役員クラスによる勉強会を九回、さらに、農林部会の役員クラスによる会議を八回開催をいたしまして、真剣な議論を重ねてまいりました。  その間、四月二十七日には中間論点整理を行いまして、一、アグリビジネス投資育成株式会社等との関係、二、サブファンドをつくる必要性、三、農林漁業者の主体性の確保、パートナー企業との関係、生産者にとっての今回のファンドの有効性、四、六次産業化・地産地消法との関係といった視点から更に検討を要することとし、議論を継続した結果、七月二十四日、自民党として修正案を取りまとめた次第であります。  今ほど野村先生の方からお話がありました六次産業化・地産地消法との関係におきましては、実は、当時衆議院の農水委員会の筆頭理事を務めておいでになりました現在の副大臣の佐々木先生と修正協議に当たりまして、政府提案のいわゆる六次産業化法案と、それから私どもが与党のときに議員提案で提出をいたしました地産地消促進法案、この二つの法案を一つにして、同時に前文を付けて、進む方向が一緒の方向を向いているので、いろんな問題はあるけれども一つの法案として成立をさせたと、そういう経緯があるわけでありますので、その六次産業化・地産地消法の趣旨に沿った形にこの支援機構法案が果たしてなっているのかどうかということを議論をさせていただいて、その結果として、特に第一条の目的条項に、先ほど申し上げた農林漁業者の経営の安定向上、そして、三年前の農地法の抜本改正のときに当時の民主党さんの方からの強い要望で入れた地域との調和への配慮、それから農林漁業者の所得の確保及び農山漁村における雇用機会の創出、農林漁業者の主体性、それから農山漁村における再生可能エネルギーの開発、供給又は需要の開拓、これはほとんどが六次産業化・地産地消法の目的、あるいは手段も一部ありますけれども、その中に含まれている文言でありまして、それを私どもの修正案として今回の支援機構法案の第一条の目的条項に入れさせていただいたということであります。  そのほかにも、先ほど申し上げたとおりの見直し、修正条項を提出をさせていただいたわけでありますが、衆議院農林水産委員会におきましてこの内容の修正案が全会一致で可決されたところであります。
  163. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 なかなかこういう機会でないと目を通さないんですが、委員先生方も今日配付の株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対する修正案要綱というのの新旧対照表を見ていただきたいと思うんです。それが、ページ数でいきますと何ページなのかな、十二枚ぐらいからです。  ここに載せてありますが、まずこの目的のところ、今、宮腰提案者の方からありましたように、私どもは、こういう形で六次化産業を遵守し、そしてその目的を達するためにこのファンド法がやっぱりあるんだという、そういうことをきちっとこの法案の中に入れるべきだということで、この目的の中に今御説明を受けましたような内容を実は入れたんです。むしろ、民主党さんが出された六次産業化法を、これをやっぱり魂を入れていく、そういう気持ちでこのファンド法の目的に実は入れたという経過があります。  是非そのことは御理解をいただきたいと思いますが、ただ、先ほどどういう形で省内で議論されましたかということを私がなぜ申し上げたかというと、当初のこの法案は、まさしく制度設計において産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法、いわゆる経産省管轄の法律、これの丸写しなんです。丸写しでしょう、皆さん。今日は役所の皆さんも来ておりますが、それは農業に変えたりしてありますけれども、この産活法と言われるものがベースになっている、もうほぼ丸写しだと言ってもいいと思います。ですから、私どもは、どうしても農業の現場にこの法律が下りていったときに、中谷先生先ほどおっしゃいましたけれども、本当に活用できるのかというまず疑問を持ったんです。そして、いろいろ聞きましたら、いや、産活法がベースになっておりますと。  それは、農水省には、こういうファンド法というのは、官民のファンド法というのはないんです。ないから、経産省の法律を、そのままとは言いませんけれども、それをベースにして作ったから魂が入っていないんです。形だけの法案を持ってきたから、私どもは、これじゃ駄目だと、こういうことで大幅な修正を掛けたんです。  ですから、あとの条文もそうですけれども、まさしく農林漁業と一般の産業と大きな違いがあるわけで、規模であるとか、あるいは出資、あるいはその方法、これは異なるわけでありますから、農業なり一次産業、一次産業のやっぱり実態に近い法案にしていかないと、これは絶対に使い物にならないと、こういう思いから実はこの法案を修正をしたような次第であります。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、ずたずたにされたようなお気持ちだと思います。しかしながら、この法案を、今、宮腰提案者からもありましたように、そういう趣旨で法案を修正したんだということでございました。この御感想をお伺いしたいと思います。
  164. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 先ほど宮腰先生の方からも地域への調和の配慮というようなことがございましたけれども、基本のところは、今、野村委員もお話しになりましたように、主たる人たち、つまり農林漁業者の考え方がきちんと入りますよ、農林漁業者が主導的な役割を果たすんですよ、こういうようなことがより明確になったということは、私もそのように思っております。  それから、これまでの日本の金融全体の問題も私ども議論をしてまいりました。例えば、担保というものがあって初めて融資を受けたり出資を受ける。しかしながら、一つ間違いが起こると、昔の言い方で言えば田畑を売って夜逃げをするような形で、もう一度のチャンスというものがなかなか得られにくいような日本の金融の流れというものがありました。それを一足飛びに変えるということはできないにしても、やはり先ほど言いましたような女性のパワーとか、それから思いとか、その地域の活力というものが出せるような、そういう仕組みをつくらなければいけない。そういうようなことが若干先行した嫌いがあるかもしれません。  最初のところに戻りますけれども、いろいろと御議論をいただく中で、より趣旨に沿ったような形の修正になったというふうに理解をしております。
  165. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ですから、当初この法案をお作りになるときに、産活法のそういった法律をベースにされるのはいいんですけれども、やはり一次産業とほかの産業との大きな差があるというか、そういうものがあるということを理解していたならば、私はこういう法律、政府提案の法律はなかったんじゃないのかと。だから、政治主導を標榜されております政務三役がどのぐらいこの議論に参加されたのかなという思いで、失礼ながら副大臣森本政務官に御質問をさせていただいたわけであります。  ただ、私も政務官やった経験がありますけれども、役所の皆さん方というのはこれはもう頭がいいわけでありますから、あるいはまた皆さん方も忙しいですから、そんなに一条ずつ吟味されたことはないと思います。ただ、全体的な思想として何が底流に流れているのかということだけはやっぱり把握されて議論はされたと思うんですが、ただ、私もやっぱり役所にいるころは、役人の皆さん方の作ったのは間違いないと、こういう信じておりましたので、それこそそのまま提出をした法案というのもいっぱいあったんだろうと思いますけれど、ただ、今回違うのは、それほど、私が言いましたように、期間が長い、そして金額もでかい、こういうものはよほど、農水省の言わば今年の多分大きな大きな私は法案だと思います。ですから、そういうものをもう少し慎重に御審議いただいたならばなと、これは結果として、我々がどうのこうのじゃありませんけれども、みんなでより良いものにすればいいわけでありますので、そういう思いがしてなりませんでした。  そこで、具体的な中身の質問に入らせていただきますが、私は、このファンドの前に、先ほどの申し上げました六次産業化法案が出たときも申し上げたんですけれども、いやいやいや、地産地消法案があるじゃないですかと。我々が自公時代に使った、いわゆる商業者、食品産業なり、あるいは農業者とマッチングしながらやる農商工連携法案というのがありました。ですから、何も六次化法案出さなくてもいいんじゃないですかということまで申し上げたこともありました。今度のファンドが出たときも同じことを申し上げました。  それは何かといいますと、実はもう農水省の中では先行している、これは官民じゃないんですけれども、ファンドがあるんです。それは十四年に成立しました、我々の時代ですけれども、農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法に基づくアグリビジネス投資育成株式会社、私どもはよくアグリ社、アグリ社と言うんですけれども、そのファンドが一つあるんです。それからもう一つは、これは系統、JAグループが中心になってつくっておりますアグリ・エコサポートファンドというのもあります。それから、地域の金融機関がつくっておりまして、私の鹿児島でもあるんですが、アグリクラスターファンドというのもあります。それから、先ほど言いました、ほかの省庁でいえば産活法に基づくファンドが、産業革新機構というのもあります。  ですから、いろんなこういうファンドが、農水省の中にもある、あるいは民間にもある、あるいはほかの省庁にもある、これだけファンドがある中で、なぜ農水省がこのファンドをつくらなきゃいけないのか。ですから、どうしても、大臣、私は、農水省でなぜ官民ファンドが必要なんだと、産活法を作って、これをあるいは法改正をして、あるいは先ほど言いましたアグリ社のファンドについても何か法律を改正してでもできるのではないのかと、何で新しい法律を作って新しいファンドをつくらなきゃならないんだということを実は申し上げてきました。  ですから、もう一遍ここは、今回のこのアグリファンド法、アグリファンドをつくる必要性理由について、もう一遍お答えいただきたいと思います。
  166. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 委員指摘のように、実は私も、このアグリビジネス投資育成の関係のここと、このファンドは、一緒に法律を少し変えればできるんではないかという話も議論をさせていただきました。  ただ、私の能力が無能だったかどうかということを含めて、いろんなお話を聞かせていただいておると、やはりこれを修正するよりも、この新しい今のファンドの法案を作らせていただいた方がスマートにいけるというような、そういう、確かに対象、目的や支援が違うというような議論にも実はなったわけでございまして、それ以上詳しく法的な、法制局を呼んで私自身が詰めたという話じゃございませんで、そういう議論は省内でさせていただきました。そこのところで、それなら仕方ないなと。まさか天下り先になることはないだろうなという確認もしながら議論はさせていただいたところでございますが、それ以上のことは、それはそういうことはありませんということでございますので、それを政務官としては信じて、私の範囲では議論はそこまでで終わったということでございます。
  167. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私の質問を先取りされてしまったんですが、私も、このファンドをつくる目的の一つに、天下り先を農水省つくりたがっているんだなということを、よこしまなことを思いました。だから、そのことは役所の皆さん方にも、そういうことはありませんと、こういうことを言われましたけれども、何だかいろんな類似したファンドがあって、法律改正などで仕組みを少し変えれば使えるんじゃないのかと、こういうことも申し上げたんです。それでも無理やりつくりたいんであれば、これは何か天下り先をつくりたいんだなと、こういう話になったことも事実でありますが、そのことについてはもうそれ以上は、大臣に実は聞こうと思ったんですが、森本政務官でお答えいただきましたので、それ以上のことはもうお伺いをしません。  そこで、一つ、非常に私がまだ頭の整理ができないというか理解していないのが、これは私どもの衆議院の農林水産委員会でも質問がありました。鶏が先か卵が先かの話でありまして、言わば、皆さん方にもお配りしておりますけれども農水省が配っていただきましたポンチ絵があります。これを見ますと、農林漁業成長産業化支援機構、そして地域ファンド、テーマファンド、そしてそこから六次産業化事業体と、こうなっているわけでありますが、地域ファンドを先につくるのか、六次産業化事業体、対象事業体を先につくるのか、どちらが先なんですかと、この疑問であります。  もちろん、国にできるのは、農水省が二百億、そして一般の企業等々から同額の二百億で四百億、そしてそれが地域ファンドに行って、流れとしては対象事業体に行くんですが、どっちを先につくるのかという実務的な面が全く分からない。私どもの伊東委員が衆議院で説明されて副大臣がお答えになっておられるんですけれども、どうもあの議事録を読んでも私はまだ理解ができないんですが、もう一遍、これは参議院の場ですので、是非明快に、頭の悪い私が分かるように説明をお願い申し上げたいと思います。
  168. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 今の野村先生の御指摘は、今後のこのファンドの運営の基本的な事項にかかわる大事な質問だろうと思っております。  六次産業化事業体が先なのか、サブファンドが先なのか。まず、サブファンドが先に立ち上がる場合は、そのサブファンドがどのような事業体に出資をするのかが不明確になるわけでございます。したがって、この機構からサブファンドに出資していいのかどうか、ここが不明確なまま出資せざるを得ないと、こういう問題がございます。次に、まず六次産業化事業体を先につくる、こういう場合は、つくったはいいけれども、サブファンドがないから、じゃ、支援がもらえるんだろうか、こういうような疑問に当たるわけでございます。  そこで、同じようなサブファンド制度を取っている中小機構のファンドでございますが、まずサブファンドをつくる申請者が、ある程度六次産業化事業体に相当します中小企業の出資先の案件を幾つか形成して、自分たちはこういう出資先を持っている、自分で持っているので、そこに投資をしたいから中小機構から出資を受けると、こういうやり方を取っております。  したがいまして、基本は、まずサブファンドがあって事業体があるわけですが、幾つかのサブファンドを出資する段階では、どのような事業体に出資しようとしているかがある程度明らかになっている必要があると考えております。したがいまして、どっちが先かということでございますが、基本はサブファンドが先でございますが、支援を想定している対象事業体が同時に成っているというようなことを想定して、この実務例は中小企業のサブファンドを例に具体的な運用を図っていきたいと考えているわけでございます。  幾つかの想定される支援事業体を想定して出資が行われた場合には、次はサブファンドがもうできておりますので、そのサブファンドに対して支援事業体をつくって、そこからまた間接出資が行われると、こういう運用を想定しております。
  169. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、局長の答弁はまさに衆議院のときと同じなんですね。  ですから、これは国の機構はぱっとできますよ。国も出す、そしてそれをほかの食品産業に呼びかけて、あるいは金融機関に呼びかけて、ここに金はたまりますよ。だけど、今おっしゃったように、ある程度この対象事業体を想定しつつまずは地域ファンドをつくるんだと、こういう話です。だけど、じゃ、この地域ファンドに、国からは来ますけれども、この上に書いてある民間等の地方自治体やJAや金融機関、地元の企業体が、出資が、本当にこの対象事業体の、まだ海のものとも山のものとも分からないところに出資しませんよ。  私は、先ほども言いました私の地元のファンドを調べてみました。そうすると、ファンドレイザーがいて呼びかけているわけですよ。ファンドレイザーがいて、ちゃんと呼びかけて、そして地域の金融機関や企業の人から出資をもらって、そして今それを投資をしているわけですよ。それで、聞いてみたら、どうですか、このファンドはって、こういう話をしましたら、いや先生、大変なんですわって。何でと言ったら、まあ融資と一緒ですからって、こう言うわけです。出資なんて考えて、投資なんて考えてはいないと。しかも、五%ですよ、配当を、言わば配当という名の利息ですよ、それが五%ですよ。ですから、今どき五%の、逆に事業体がこの地域ファンドに戻しているわけです。これはファンドレイザーは、やっぱりハイリスク・ハイリターンですから、それはやっぱりそういう、高い金利とは言いません、配当を受けないことには出資者は募れないということなんですよ。  だから、私はどちらが先ですかって、衆議院で針原局長が答弁されていたけど、本当にここ二、三年はこの対象事業体が赤字で、配当なんかできませんけれども出資をしていただけませんかと。乗る人がいますか。どうぞお答えください。
  170. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 確かに今御指摘のとおり、民間のファンドの場合はファンドレイザーの方がある程度五年から七年の資金回収を目して、しかも幾分ハイリスク・ハイリターン、ハイリスクでありますから滅失率も高いわけですけれども、ハイリターンで資金を早期に回収すると、こういうようなことで事業が行われている例もございます。幾つかは農業投資もそういうファンドレイザーの方が投資を行っている。  それに比べまして、今融資と同じですというふうな御指摘ございましたが、このファンドはもう少し、融資の場合はもう少し低いローリスク・ローリターンでございますが、その中間、ミドルリスク・ミドルリターンとでも申しましょうか、そういうところで長期的に六次産業化事業体を育成するということでございます。  民間ですと五年ぐらい資金を寝かすということで回収するわけでございますが、国のお金が入ることにより、国のお金が入ることにより十五年で回収する。しかも、融資ですと一%、二%ですけれども、五%ぐらいの利回りもある程度は見込めるような、そういうような運営をしないと多分この六次産業化事業体は育っていかないんじゃないかと。というのは、今まで六次産業をやっていた方の実例を見ますと、大体五年ぐらいでようやく単黒といいますか単年度黒字になります。十年ぐらいで八%の利益率になる、十五年ぐらいで資本の蓄積があり、それでエグジットが可能になると、こういう事例もございますので、だからこそ国が間に入って、そういうような資金需要、出資需要にこたえていきたいということでございます。
  171. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 じゃ、この地域ファンドを組成していくのは、国の機構がきちっとやっぱり責任を持ってつくらすということですね。それでいいですか。
  172. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 当面は、初めての取組でございますので、初年度、地域のきめ細やかな取組を誘導するためにも、国及び国がつくる機構が、六次産業化事業体、地域ファンドも含めて、最初のしっかりした案件をまず作って、それで、このようにやってはどうかというモデルをまずお示しする。そういう小さな取組を始めて、それで、ほかの地域に、ああ、こうやればいいんだということを分かっていただく、そういう中で裾野を広げる、そういう取組を行っていきたいと思っております。
  173. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私どもは、この地域ファンドを本当につくらなきゃいかぬのかどうかという議論もさんざんさせていただきました。  それで、この表を、ポンチ絵を見ると、この機構から何で六次産業化事業体にストレートに投資ができないんだ、出資ができないんだと、こういうことも実は申し上げたんです。いや、先生、それはできませんと。なぜかと。ここに、地域ファンドの持っている機能は出資とハンズオン、経営支援ですと。国の機構であれば出資はできたにしてもハンズオンができませんと、経営支援ができませんから、これは国からの出資は難しいんですと、こう言ったんです。ああ、やっぱりそれじゃ、これは法律に基づいているんで、ここを修正しなきゃいかぬなと思ったんです。じゃ、この地域ファンドの条文はどこにあるんですかと。今日、法制局も見えていますよ。  じゃ、皆さん、この先ほどの修正案の要綱の二十一条というのを見てください。四ページです。修正案新旧対照表の二十一条、四ページですが、対照表の四ページです。下の方です。第二十一条、これは読みません。対象事業者、さっと目を通してください、皆さん。これが地域ファンドだと誰が読み込みますか。このことは、地域ファンドで、しかも、法制局の説明では、直接投資もできるんですと。私どもは読み込まれません。この中では、民法だ、商法だ、そして、おまけに一番最後に外国の、外資まで入れるような法律になっているんです。ですから、この二十一条で地域ファンドの、対象事業者って書いてあるんですが、全く私どもはこの法律を読み込めませんでした。  それで、何で直接投資ができないんだということでいろいろ法制局と議論をしていたら、いや、この今の、今のというか、当初の政府提案のこの二十一条でできるんです、先生と言うから、そこは法制局の言うことですから間違いはないだろうと思いましたけれども、ただ、このポンチ絵にも直接投資のことは一切書いていない。  二枚目を、この私が今日提出した二枚目、これは法制局に作ってもらったスキームです。これでは一番上に、赤いところは全部今回の法案修正でやったところですけれども、直接出資ができる、当初の法律が出資できるようになっていたわけですよ。できるようになっているにもかかわらず、最初、役所からもらったポンチ絵には直接出資はできないし、そういう形にはなっていない。しかしながら、スキームでは、いや、この法案の読み方では直接もできるんですと、こういうお話でありました。  何で、局長、我々に説明した中身、そしてこのポンチ絵、言わば我々は法案の読み方はできません、読みこなしもできません。しかしながら、何か私どもには直接はできないんだというような誤った説明、そしてこういった偏ったポンチ絵を出して我々に対する不信感を増幅させるようなことをしたのか、明快に答えてください。
  174. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 今お示しになった、私どもがお示ししたスキームでございますが、これは二十四年度予算において財政当局等々と議論して作ったスキームが間接出資、サブファンドを通じた出資をベースに予算が編成された。したがいまして、予算上は間接出資ということを前提にしておりました。その理由は、行く行く大きな案件も手掛けることもあるとしても、まずは地域の小さな案件もきめ細やかに拾っていく必要がある、そういう場合は中央のファンドが東京にいてそういうところに指導するというのはなかなか難しいだろうと。ですから、サブファンドが身近なところにあって、そこにいるファンドマネジャーの方が常に経営支援をする、そういうことを想定して、まずそこから始めようという議論の下に間接出資という予算づくりをいたしました。  法案は前例に倣いまして両方できるような法案にしておりますが、当面の予算づくりにおきましてはこの間接出資を前提にしておりますので、地域の方に誤解を与えてはいけないということでこのようなスキームにしたわけでございます。
  175. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 局長、それはうそですよ。私どもは何回直接投資はできないんだということを聞いたけれども、できませんと、こういう話ですよ。何であなた、うそ言うんですか。  そして、もう一回、もう一回、衆議院の委員会で菊池委員が、そうしますと、たまたま地域ファンドが設立されていない地域の事業者が直接、これは融資と書いてありますけれども、直接投資を申し込むということも可能になるわけでございますねと。この質問に対して、あなた、何と答えたと思いますか。法律上は可能でございますが、二十四年度予算の手当てにつきましては、間接出資ということにさせていただいていますと。誰が決めたんですか、こんなことを、法律が決まる前に。
  176. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 八月二日の衆議院農林水産委員会における質疑でございますが、修正前の政府提出法案及び二十四年度予算に係る事実関係の説明を行うという前提で間接出資に係る説明を行っております。  ただ、その際にも、その際にも、地域ファンドを通じた間接出資のみならず、機構から支援事業体への直接出資も法律上可能になっている。機構の直接出資する案件としては、地域ファンドがない地域の案件や地域ファンドでは対応できない大型案件などが想定されるということも併せて御説明申し上げております。あくまでも二十四年度予算をベースにした説明でございます。  その後、その後、衆議院における修正案が可決され附帯決議が行われたわけでございますので、私どもは国会の意思を体して、そのような国会の意思に基づく運用をしっかりと行っていきたいと考えております。
  177. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 最初からあなた方は間接出資、地域ファンドをつくるのが目的化しちゃって、我々がずっと言ってきた直接出資なんというのは全然、毛頭考えていなかったんでしょう。予算もそういう組み方をしてきたと、こういう答弁をしておりますからね。だけれども、地域ファンドができないところの対象事業者というのは恩恵に被らないわけですよ。だから、直接出資だって選択としてあるわけだから、あるいは法律上も読みこなせるということだったから、じゃ、何でここに直接出資の選択を入れなかったのかと。我々にはそういう説明をしながら、あるいは法律上はそういうことをきちっと書いているというか、私どもは読みこなせませんでしたけれども、そういうことがありながら何で、こういうことを私どもにはっきりと明確に説明してくれれば何の疑義も生じなかったんですよ。だから、分かりやすいようにということで法制局の方にポンチ絵も作っていただきました。ここのところは大変私どもの実は党内でもめたところです。直接なのか間接なのか、なぜ地域ファンドをつくらなきゃいかぬのか、そのことを今日は宮腰提案者の方に御質問しますので、お答えいただきたいと思います。
  178. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) お答えいたします。  政府案第二十一条では、機構の支援の対象となる事業者につきまして、対象事業活動支援団体、いわゆるサブファンドと対象事業者を明確に区別せずに規定されていたことから、対象事業活動支援団体の位置付けが条文上不明確でありました。このことについて自民党内で相当の議論がありました。  そこで、衆議院における修正では、機構の支援対象先を対象事業者と対象事業活動支援団体とに区別して規定をいたしまして、対象事業者とは対象事業活動を行う事業者であって、いわゆる六次産業化・地産地消法の認定を受けた者、対象事業活動支援団体とは対象事業者に対し資金供給その他の支援を行う団体と明確に定義付けることといたしました。  これによりまして、機構による出資のルートとして、対象事業者に対する直接出資、それから対象事業活動支援団体を介しての間接出資の二つのルートがあることが法文上明確になったというふうに考えております。
  179. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私どもが非常にここにやっぱり疑問というか懸念を抱いたのは、本当にこのサブファンドなるものが、言わば国の機構は国が直接管理しますから、じゃ、サブファンドはどこが管理していくんだ、あるいはサブファンドはどういう人たちがこれをつくるんだ、大変議論になったんです。ですから、このサブファンドが成功する成功しないをこの事業体、対象事業体ですね、六次産業化の事業体の成功に結び付くのかというのが非常に私どもは心配だったんです。  なぜそんなことを言うかというと、一番最後のこの今日配付した参考資料の、「官民で農業強化ファンド キッコーマン・カゴメ出資検討」と出ましたよ。一番恐れたのはここなんです。先ほど森本政務官が、田舎で、地域でおばちゃんたちが作っている物をできるだけ高く売れればいいなとか、我々はそういう下からの目線で実は考えていたんです。だけどもこれを見ますと、それは一部上場会社、キッコーマンだ、カゴメだって。私どもはこういう呼び方をしました、今回のこのファンドはキッコーマンファンドじゃないか、カゴメファンドをつくるつもりだな、農水省はと。こういう話も実はさせていただきました。  結局は、こういう方々がファンドを押さえていくと本当に農家の皆さん方の所得につながるのか。やはり原料調達は安い方がいいわけでありますから、ですから、そういう方々が本当に農家のことを考えていただいていると思うんですが、いわゆる下から湧き出てきたような、そういう六次産業化の後押しする法案に本当になり切るかと。  逆に言えば、こういう大手の食品メーカーの皆さん方が系列下に置いていく、それもあります。それは私は決して悪いとは言いません。ですけれども農水省がやっぱり考えていくのは両方、食品産業の育成も当然であります。しかしながら、一方では農家の所得の向上、あるいは地域の農業の振興、そしてまた雇用確保、こういうものをどうとらまえていくか、ここのところが私はマッチしていかないと、一方だけの目線でやっちゃうとこういう法案になるんじゃないかと。産活法を本当にベースにした法案になってしまう。  ですから、先ほど宮腰提案者からありましたように、ここの二十一条のところをきちっと対象事業体とそれからこのファンドと、地域ファンドと分けていかないと、何が何か分からぬ二十一条を、これを通してしまったら、ここにちゃんと書いてありますと言ったって誰も読み込めませんよ。今日お見えの、失礼ですけれども、国会議員の皆さん方も、この二十一条を見て分かったという話にはならないというふうに思います。ですから、そういった意味で私どもはこの法案に魂を入れ込んでいかないと大変なことになるぞと、こういう思いで来たところを是非とも分かっていただきたいなというふうに思います。  そこで、もう時間がありません、あと四、五分ですが。  そこで、ここの、先ほども中谷委員の方から二十七条の話がありました。私は、この二十七条を別な角度で考えていくと、この地域ファンドに対する、このポンチ絵にもありますように、地域の行政なり、あるいはJAなり、漁協なり、あるいはこういう森林組合なりも出資を是非していただいて、地域でやっぱり組成したファンドだというふうになるようにしていかなきゃならないと。  ただ、そのときに、これは今後検討していただかなきゃなりませんが、要は、例えば漁協なり農協が出資をしますとこれは外部出資になっちゃうんですね。外部出資になりますと、これは固定比率の問題だったり、あるいは自己資本比率の問題だったりする、そういう問題が実は起こってきます。いわゆるその比率が下がってしまうというおそれがあります。これはせっかく地域の一次産業あるいはまた二次産業を振興するために出資するんだというそういう目的は分かるんですけれども、ただ、いかんせん、これが規制を受けてしまう、そういう固定比率だとか自己資本比率で。それからもう一つは、やはりこれは地域の農業おこしだ、漁業おこしだということで、農協や漁協がそこにもやっぱり支援しようじゃないかということになったときに、じゃ、これは損金に算入されないのではないかと、こういうことが実際として今後起こってきます。  ですから、この二十七条にそういうことをうたってはもらったんです。うたっているという、まあ修正案で財政、税制などの支援措置を行うことと、そして地方公共団体あるいは農林漁業団体が対象事業者等の取組を支援する、これは第四十条が盛り込まれました。したがいまして、この財政あるいは税制、また規制上の緩和というのを、どうしても今後、これは今即答はお願いしますということにはなりませんが、今後こういう問題があるので、この法律そしてまた衆議院から送られてきました附帯決議等を是非ともこれは尊重していただいて、そういう方向でできるように是非ともお願いを申し上げたいと思いますが、政務官の御答弁をお願い申し上げます。
  180. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) ありがとうございます。これまでの議論、本当に大事な視点だというふうに私自身も認識させていただいております。確かに、地方公共団体、JA、これは本当に地域にとってはやはり信頼欠くべからざるものとして、本当に私は大事な視点だというふうに思わせていただいております。  ですから、修正案で出していただいた、この、詳しくは申し上げませんが、その他というところに盛り込まれておりますので、ここが意図するところは規制見直しとかそういうものが入るんだろうというふうに認識をいたしております。ですから、国会の御意思、これをしっかり踏まえて今後対応をさせていただく、このことをお約束をさせていただきます。
  181. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 政務官で約束をしていただきましたので、是非、今後そういう取組お願い申し上げたいと思います。  大臣にお伺いします。  もう時間ありませんが、今までいろんな御意見を申し上げてきました。私どもは、先ほど、宮腰提案者やあるいは私が質問の中でいろいろ申し上げまして、本当に大幅な修正をいたしました。ところが、ところが、皆さん方のある幹部が、法案は修正されましたけれども運用面で元どおりできるんですと、こういう発言をされました、されたと聞いています。法案は修正したけれども、しかしながら運用で、元々この作った法律でできるんですと、こういう言い方をされているんです。これはけしからぬ話ですよ。法律を遵守するのが役人ですよ。その人たちが、いやいやいや、自民党がやったこの法律は修正は修正で、元々運用でできますからと、こんな発言をしているんです。けしからぬですよ。大臣、法律に基づいてきちっと今後運用するということを、決意を表明してください。
  182. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 御審議をいただいて国会で成立をしたその法律について、法の趣旨にのっとって、もちろん修正されたことも含めて運用するというのは当然なことだろうというふうに思っております。  これまで、物を作るということと売り先を考えるということが、ややもすればちょっと別な次元で行われていたというのが農業の場合にはあったかもしれません。しかし、そういうものをできるだけ一次産業のところを起点にして活力を生み出していこう、所得を生み出していこうというような形にするための修正だということを先ほど申し上げましたけれども、その趣旨に沿った法律の成案の後の運用をきちんとさせていただきたいと思っております。
  183. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 時間が来ましたのでやめますが、是非大臣には、そしてまた政務三役の皆さん方にも、この法律が今日委員会を通ってあした本会議で採決される、この法律どおりに運用していただきますように心からお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  184. 横山信一

    ○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  まず最初にファンド設立の意義からお伺いをしたいと思いますが、先ほどもお話が出ておりましたけれども、この農林漁業経営というのは自然条件の影響を受けやすい、また、収益に結び付くまで時間が掛かるという、そういう特徴がある中で、従来からの系統金融とかあるいはまた政府系金融機関の融資のほかに、いわゆるファンドというのも今は充実をしてきていると。アグリビジネス投資育成株式会社、先ほども話が出ておりました。そうしたファンドもできてきているという、そういう中で、この既存の仕組みを活用しないで新たな出資型ファンドを設立するその意義を改めて確認をさせていただきたいと思います。
  185. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) これまでの議論の中にもございましたけれども一つ、例えばアグリの関係、それから法人を設立をし、その法人の、何というんでしょうか、力を大きくするためにというようなものがこれまでは多かったわけであります。しかし、これから、先ほどありましたように、農林漁業者が主体になって、そして二次、三次、つまり加工や販売のところに乗り出すときの出資の方法、ファンドというものがこれまではなかった、薄かった。したがって、そこのところをきちんとつくっていこうというのが今回の目的だということ。もちろん、その前提として、地域の疲弊でありますとか所得の減少でありますとかというものを六次産業化によって掘り起こしていこうということはあります。  それからもう一つは、先ほどの議論の中にもありましたけれども、出資期間等が、どれぐらいの期間でもって軌道に乗るんだということになりますと、なかなかこれまでのところが軌道に乗るところまでの面倒というものを見ることができなかったけれども、これからはこのファンドによって七、八年の間はしっかりとそういうことの力が付けるような手助けをできるというような形で新たにつくったということでございます。
  186. 横山信一

    ○横山信一君 金も出すけれども口を出し続けるというのがファンドだというふうにも理解しておりますが、そういう意味ではファンドの成否の基準、これも従来マスコミ等でも言われておりますけれども、出資案件を掘り起こしたり、あるいはパートナー企業とのマッチングという、そういうことができる人材というか、そういう人たちを、そんなにいるとは思えないわけでありますけれども、そういう地域ファンドをこれからつくっていく中で、そういう人材確保をどういうふうに進めていくのかを伺います。
  187. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 横山委員がおっしゃいますように、本当になかなか、人というのはなかなか私も難しいという、過去の経験から思っております。ですから、今、中谷委員質問にもありましたように、やはりここのところはプランナーという形で今回私どもお願いをいたしておるわけでありますけれども、特に、やっぱり地域の農林漁業の振興の知見を有する、これはもう当然のことでございます。やはり二次、三次をつなぐ経験のある、目利きのある方という、この辺が非常に難しい、人材発掘には難しいと思うんですが、これはやっぱり食品産業の経験者等もどうしてもそこへ入ってくるというふうに思っております。そして、何よりも経営は金融、会計ということでございますので、こうしたところと併せて、この六次化を経験して、少なくとも消費者ニーズをやっぱり的確につかむということ。今までどちらかといえば生産に集中をして、そこのところは本当におろそかにしてきた部分がありますので、もてなしの心、サービス、そういったところを全体に包括した人材の育成というもの、これは一人、二人ではなかなか難しいと思いますので、そこのところをしっかりやっていかなければならないと思っております。
  188. 横山信一

    ○横山信一君 このファンド法のポンチ絵を見ていても、やはりこれは誰もが危惧するところだと思うんですけれども、そういう人材育成という観点でいくと、やはり役人出身の方たちがある程度そういう知識も経験もおありだということでいくと、やっぱり天下り先が欲しかったんじゃないかというふうにも見えてしまうわけですよね。  そういう意味で、私は一概に天下りは否定しません。そういう公務員という制約を剥ぎ取ったところでもっと社会に役立つという、そうした知識を、経験を生かしていくという場面もあるわけですから。しかし、そうは言っても、天下り先をつくっていくような形に見えてしまうという部分もあるわけです。そういう意味で、この機構あるいは地域ファンドの職員の在り方について、これはもう是非考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。
  189. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 今、野村委員からも御指摘がありましたように、私自身も実は幹部の皆さんとその話をさせていただきました。ですから、そこのところでその印象を与えることのないようにしっかり頑張っていくという、そうした答えも私自身がいただいておりますので、そこのところは信頼関係でやっていかなければならないというふうに思っています。
  190. 横山信一

    ○横山信一君 もう少しちょっと言ってほしかったんですけれども。まあ言ってみれば、例えば機構の役員とか、そういうところに収まってしまって、例えば朝出勤して朝から新聞読むような、そういうようなところに農水省の役人が行ってしまったとしたら、これはやっぱり国民感情としては許せないわけですよね。ですから、やらないようにしますというだけじゃなくて、もうちょっと具体的なお話をお願いしたいと思いますが。
  191. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 国民の皆様からそうした目で見られないような、そうした規律を農林水産省でも政務三役が共有してしっかり監督をしていく、そのことに尽きるというふうに思っておりますので、ここまでのところで御理解をいただきたいと存じます。
  192. 横山信一

    ○横山信一君 では、次の質問に行きますけれども、今回のファンドの設立については、従来の補助金、融資に加えて出資という手法を導入するということで、そういう意味では選択の幅が広がるというふうにも理解をしております。  しかし、投資の規模が非常に大きいので、その大きな規模の中で農林漁業者の意向が反映されるのかという、そういう不安もあるわけであります。やはりその加工、流通の二次、三次産業の主導になりはしないかという、そういう懸念を持つわけでありますけれども、この点について、それを修正するということで農林漁業成長産業化委員会を置くと。この中には、当初は専門家、有識者ということだったわけですが、そこに農業、林業又は漁業に関しての専門的な知識と経験を有するというふうに修正をされたわけでありますけれども、この農業、林業、漁業というここを明示したその趣旨を、これは修正案の提出者の方に伺います。
  193. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 横山委員にお答えいたします。  今ほど御指摘がありましたとおり、政府原案では成長産業化委員会の組織として第十六条に記されているわけでございますけれども、その中に第三項を加えるということといたしております。その趣旨は、この成長産業化委員会が支援対象者及び支援内容の決定、それから対象事業活動支援団体、いわゆるサブファンドに対する指導監督等の措置の決定等を行う権限を有する機関であることから、これらの権限の行使に当たって農林漁業者の意向を反映させ、今ほど横山先生からのお話のとおりであります、そして法の目的に沿ってこれを的確に行わせるため、農業、林業又は漁業に関して専門的な知識と経験を有する者を委員として参画させるということにしたものでございます。
  194. 横山信一

    ○横山信一君 そういう意味では、やはり多少は懸念を払拭していただいたというふうにも理解をしております。  その上で、やはり不安もあるわけで、規模が大きいということだけでやっぱり不安を感じてしまうという、単純に言うとそういうことなんでありますけれども、そういうことで、その次に支援決定をするための大臣認可というのがありますけれども、この大臣認可が必要というふうに修正をされたわけでありますが、この観点、基準というのはどのようなところで行うのか、伺います。
  195. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 御指摘のとおり、衆議院における修正におきましては、機構の支援決定の際にあらかじめ農林水産大臣の認可を受けなければならないこととしております。  今回の機構による支援は、農林漁業分野において補助金や融資ではなく出資という手法で支援をしようとする初めての試みであることから、農山漁村の活性化や農林漁業者の経営の安定向上を図るため、単に市場原理に委ねるだけではなく、また、農林水産大臣に対する意見を述べる機会の付与や、事後的な監督権の行使ではなく、支援決定等が国の関与により更に慎重な手続により行われるべきものであるとの考え方から、機構の支援決定等について農林水産大臣の認可としたものであります。  農林水産大臣は、機構から認可の申請があったときは、当該申請が支援基準に適合するか否かについて審査を行うことになると考えております。したがいまして、農林水産大臣が対象事業活動の経営判断を直接行うものではなく、機構が行うということになると考えております。
  196. 横山信一

    ○横山信一君 済みません、質問をちょっと飛ばしてしまったんですが、経営判断誰が行うのかというところまで答弁していただきまして、ありがとうございます。  次の質問でございますけれども、機構の支援決定と、それから農林水産大臣の認可の際に農林漁業者その他の関係者意見を聴くというふうにされております。このように複数の段階で農林漁業者の意見を聴くというふうな規定になっている、この趣旨を確認させていただきます。
  197. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 御指摘のとおり、衆議院における修正におきましては、委員会の支援決定、そして支援決定に係る農林水産大臣の認可の各手続におきまして、農林漁業者その他の関係者意見聴取手続を追加することにいたしております。  その趣旨は、まず、委員会の支援決定が実質的に機構による支援決定となる重要な決定でありますことから、その決定の前に農林漁業者その他の関係者意見を聴く機会を設け、これらの者の意向をできる限り反映させようとしたものであります。  また、機構の支援決定に対する農林水産大臣の認可に当たっても、その支援決定が支援基準に適合するか否かを判断するには、その支援決定に係る農林漁業者その他の関係者意見を聴いた上で行うという慎重な手続が必要であると判断したものであります。
  198. 横山信一

    ○横山信一君 次に、出資のことについて伺いますけれども、この法案では、機構の発行済株式総数の二分の一以上を政府が保有しなければならないと。  初年度の平成二十四年度予算には、財政投融資特別会計の投資勘定に機構への出資金として二百億円ということで計上されております。これ以外の民間からの出資をどう促進するのかということであります。十分な資金規模を確保できるのか、特に地域ファンドでということになりますけれども、これについてどのように考えておられるのか、伺います。
  199. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) お答えをいたします。  平成二十四年度当初予算では、二百億円の産業投資出資金を確保いたしまして、サブファンドに対する民間などからの出資も合わせまして最大で四百億円の資金規模になる見込みであります。  本ファンドにおける国と民間の出資比率につきましては、サブファンド段階の官民出資比率、これ機構と民間の出資比率でございますが、これがおおむね一対一となるよう運用いたしてまいります。機構の資本につきましても、民間の規律やノウハウを生かしつつ、六次産業化を支援する本法の趣旨に即し、民間から一定の出資が得られるよう努めてまいる所存であります。  仮に機構が着実に成果を上げ、二千億円規模の出資を行ったとしますと六兆円規模の市場創出効果が見込まれまして、十兆円の政策目標にも大きく貢献できるものと考えておるところであります。
  200. 横山信一

    ○横山信一君 機構と民間から二分の一ずつこのサブファンドに出資をされるということで、地域ファンドのことで考えると、今地方財政というのは非常に逼迫をしておりますし、また地方はデフレで非常に苦しんでおりますから、そういう景気動向の中で、先ほど四百億円と言いましたかね、見込まれるというふうにもおっしゃっておられましたけれども、この先もずっとそれが確保できていくのかという、そういう危惧もあるわけであります。そしてまた、お金を集めて地域ファンドでやっていくとなると、地域を挙げてやるような形にもなっていくわけでありますから、それが、事業が仮にうまくいかなかった場合、そうしたらその地域には大きな影響が出てくることも考えられるわけであります。  そういう意味で、民間からのサブファンド出資が、今めどはあるとおっしゃいましたけれども、そのサブファンドの設立として安定的な運営を政府としてどう見ていくのか、伺います。
  201. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 今回のファンドは、民間の資金、ノウハウの活用を図りつつ、農林漁業者が主導する地域に根差した取組をきめ細かに支援するものでありまして、サブファンドの設立に当たりましては、農協、地元企業、地域金融機関といった地元の幅広い主体と協調する必要があります。このため、法案が成立した暁には、これらの主体に今回のファンドの仕組みを丁寧に説明することにより、サブファンドの設立に必要な民間の出資を促していく所存であります。  修正案により、そもそもサブファンドの設立に当たっては農林水産大臣の認可を受けることとされておりますけれども、サブファンドの運営に対しましては、農林水産大臣が定める支援基準におきまして、サブファンドが六次産業化事業体に出資等を行う場合に機構の同意を要するなどの規律を定めることにより、機構によるサブファンドの適切な監督を確保する予定であります。また、機構の出資を受けましたサブファンドが支援基準の規律に反する事業活動を実施する場合には、機構が必要な指導、勧告その他の措置を講ずること等により事業の是正を図ってまいる所存であります。
  202. 横山信一

    ○横山信一君 先ほど、元々の原案の中に外国資本の話も出ておりました、第二十一条の中にですね、外国の法令に基づいてという話も出てくるわけでありますけれども、六次産業化の市場規模を二〇二〇年までに十兆円にしていこうと、それだけの目標を掲げている以上、その目標達成のためには当然輸出ということが大きな柱になってくるというふうに思うわけでありますが、その輸出促進という中で外国資本というのをどのように考えていくのかを伺います。
  203. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 機構への出資につきましては、法律上、特段、外国企業からの出資を制限はしておりませんけれども、国内の六次産業化の支援による地域の活性化を目指す政府出資のファンドであるという性格から、外国企業による出資は想定しておりません。  また、本法案で政策目標としております農山漁村の活性化を図っていく観点から、資本の内外を問わず、地域の農林漁業者、農山漁村と調和、連携できないサブファンドは機構の支援基準により対象外とする考えであります。  なお、国産農林水産物の輸出促進の観点から真に必要と認められる場合には、適正な審査の上、外国資本から事業体への投資については認められることもあり得ると考えております。
  204. 横山信一

    ○横山信一君 基本的には認めないけど、ある場合もあるという、簡単に言うとそういうことなんですね、これね。それは、輸出促進に向けてその十兆円、ちゃんとこの六次産業化の趣旨に合うという、そういう判断基準を持ってということなんでしょうけれども。  資本構成ということでいくと、やはり危惧されるのが、農林漁業者が二五%、それから六次産業化パートナー企業が二五%、残り、地域ファンド五〇%というふうになっているわけですけれども、この地域ファンドと六次産業化パートナー企業というのが同じ経営母体になる可能性はあるわけであります。そうすると、六次産業化パートナー企業が五〇%の資本を持つということになるわけですね。そうすると、実質上の経営者というのは、結局は農林漁業者ではなくて企業側になってしまうんではないのか、そういう危惧を抱くわけでありますが、これについてはいかがですか。
  205. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 例えば、例えばというか、JA系統がJAグループとしてサブファンドを設立し、系統内の組合の出資会社に出資する場合は別としまして、民間企業がサブファンドと合弁事業体の双方に出資することは、資金効率の面からは想定し難いものと考えております。  ただし、具体的にそのような案件が申請された場合に当たっては、法案の趣旨に照らしまして、農林漁業者の主体性が確保されると認められる場合にサブファンドからの出資が行われるよう指導してまいりたいと思います。
  206. 横山信一

    ○横山信一君 JAグループが仮にそうなったとしても、農業者よりも前に出るということはちょっと考えづらいとは思うんですね。ただ、一つのグループ企業が原料確保のためにグループ内で地域ファンドと六次産業化パートナー企業というのが一緒になるという可能性は、これは否定はできないわけでありますから、そこは十分に注意をして見ていただきたいというふうに思うわけです。  政府は、先ほども申し上げましたけど、この六次産業化の市場規模を現在から十倍の十兆円まで拡大すると、ああ言っているわけであります。  ただ、六次産業化の担い手というのは、これは生産者全てというよりはごく一部の人たちというふうに思うわけですね。そのごく一部の人たちの中にはやはり大規模な人たちは恐らくなかなか入りづらいのではないかと私は思います。大規模にやればやるほど、やはり生産に携わっている、そちらの方がウエートは大きいわけですから、そういう経営の方にまで余力が回せる人というのはそれほど多くはないのではないかというふうにも思うわけでありますけれども、いずれにしても、そういう今の生産現場の状況を踏まえてどのように市場規模を拡大しようとしていくのか、この十兆円という市場規模拡大の道筋はどうなっていくのか、伺います。
  207. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 一口に、十兆円というのは大変なことだろうというふうに思っております。例えば、一つに、貿易を、輸出を増やしていこう、これも当然あるわけでありますけれども、今現在、昨年の震災以降落ち込んでいるところがようやく戻ったにせよ、一兆円という規模にまでするのにやはりまだ努力が必要だというようなことも思っております。したがって、委員の方で御心配をされるような、お互いが市場を取り合うというようなことはできるだけ避けたいと思いますけれども、そうしたこともお互いが努力をする中では一定程度起こってくるやもしれません。  しかし、先ほど山田委員が午前中にちょっと資料で配っていただきましたけれども、葉っぱがお金になるような新たな市場というのも、これはいろいろなところの取組でも出てきております。現に、私の住んでおりますすぐ近くも、それまで普通に山に生えていたもの、それを季節ごとに切りそろえて東京の市場に出すことによって、かなりの市場を新しくつくり、それから雇用地元でもって相当生み出しているというようなことも出ております。  したがって、潜在的な農林漁業というものがポテンシャルを持っている、いろいろな資源を持っているということは間違いのないことでありますし、六次産業というのとは少し異なるかもしれませんけれども、一方でグリーンイノベーションとかライフイノベーションとか、例えば農山漁村のお年寄りの方々が健康寿命は一番長いというようなところに逆に引き込んでいただいて、土に触れるような、そうしたことを地域の中でつくり出すとか、いろんなことがあるだろうと思いますから、九百三十九に増えましたこの認定をされたところを含めて、地域にあるものというものは目の付けどころによっては価値を生み出すんだと、そのようなことを私どもも一生懸命やっていきたい。  それから、十兆円がどうなればなるんだという、その数字の追いかけるということについては一定のものがございますけれども、それよりは、一つ一つ地域の中での実践というものを雇用に結び付ける、所得に結び付ける、そのことに私どもは意を用いたいと思っております。
  208. 横山信一

    ○横山信一君 今までお金を生まなかったところに一工夫加えることで新たな産業が開けていくというのはよく分かります。  そういう中で、この市場規模の拡大の中で書かれている文言として、食品産業関連のマーケットの拡大や、医薬品を含めた新たな商品市場分野の開拓や輸出の促進ということが書いてありまして、市場規模を拡大するのに医薬品という言葉が出てきたわけでありますけれども、確かに医薬品の分野に参入するということは、市場規模が非常にでかいですから、なおかつ、植物には様々な免疫物質というか、そういうのがいろいろ含まれておりますから、そういう意味では創薬分野への可能性は非常にあるわけでありますけれども、一方で、まあ当たればでかいんだけれども、実はこの創薬分野というのはなかなかうまくいかないという、そういう実態もあるわけでありますが、これは内閣府にお聞きをいたしますけれども、この医薬品産業になかなか結び付いていかないこの現状をどのように分析しているのか、伺います。
  209. 米村猛

    政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。  基礎的な研究によりまして医薬品の創出につながる可能性がある物質が見出されたといたしましても、副作用に関する長期的な臨床研究など、こういうことを行うことが不可欠でございます。  このような医薬品開発の特性から、実際に医薬品として実用化されますのは三万件に一件と言われるぐらい非常に難しいものでございまして、シーズの発見、発掘が医薬品の創出に結び付くのはなかなか容易なものではないと認識してございます。  ただ、世界では、こうした状況の中で有用な医薬品を生み出す競争が官民を挙げて行われているところでありまして、政府としても、七月三十一日に閣議決定されました日本再生戦略などに基づいて、優れた成果を確実に実用化につなげる一貫した支援に積極的に取り組むことが必要であると考えております。
  210. 横山信一

    ○横山信一君 ということで、植物工場と漢方薬を結び付ける具体例なんかも示されているわけでありますが、実際のところ、三万件に一件という非常に厳しい現実があって、このようななかなか市場に結び付いていかないという実態があるわけであります。  そういう意味では、この六次産業化がこういった植物工場と漢方薬みたいなところで何か宣伝をされてしまうと、捕らぬタヌキになりはしないかという不安があるわけでありますけれども、改めて、医薬品の新たな商品市場開拓の分野というのをどうしようとしているのか、伺います。
  211. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 御指摘のことにつきましては非常に大事な市場ポテンシャルというふうに位置付けいたしておりますので、大変だと思いますが、日本の再生戦略、今もお話ありましたが、これに位置付ける健康という、レクリエーションとか、もう少し広い範囲でもそうした活用、考えを持ちながらこの件についてはトライをしていきたい、そのように考えております。
  212. 横山信一

    ○横山信一君 以上で終わります。
  213. 外山斎

    ○外山斎君 国民の生活が第一の外山斎です。  本日は、株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案、いわゆるファンド法に関して質問をさせていただきます。  先ほど、野村委員、そしてまた横山委員からもありましたが、様々な民間ファンドがある中で、国も支援する形でファンドをつくる意義と民間ファンドとの違いを教えてください。
  214. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 国がなぜ関与するのか、なぜ民間だけではできないのかということになるかというふうに思っております。  言わば、六次産業化を目指すというようなことを考えますと、長期的に、つまり、逆なことで言えば、すぐに利益を生み出すようなことばかりではないということ、それから、大変に資本力が弱いようなところでもって起業を、つまり業を起こしていくというような形になるんだろうというふうに思います。  したがいまして、このファンドというものをつくることによって、出資期間を最大十五年ということにしておりますけれども、少なくとも七、八年経過が見られるような形でもってやっていただけるような形にしよう、それから資本性劣後ローンを適宜組み合わせて支援をするようなことができ得るようにしよう、さらには農林漁業者と二次産業、三次産業の事業者の一体化した合弁の事業というものを行っていくようにしよう、まさにそのために、先ほど言いました修正の部分も踏まえて、地域での調和、あるいはその人たちが主になって考え、そして主導的な役割を担うような形ということにするためにこのような方法を取らせていただいたということでございます。
  215. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございました。  そこでちょっとお聞きしたいのが、この官民ファンドによって既にある民間ファンドの市場を奪うことになるのではないかというふうに危惧をしているんですけど、そこ辺りはどのようでしょうか。ちょっとこれは通告していなかったので申し訳ありません。
  216. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) ちょっと先ほども同じような質問がございましたけれども、必ずしも全てすみ分けができるということにはならないだろうと思っています。それは、お互いの努力、切磋琢磨の中で、地域の中でそういう方々が場合によってはぶつかるようなこともあるやもしれません。しかし、これまで、特に農村の中で女性の方々の活力を引き出すような取組というものが少なかった、あるいはまた高齢の方や、あるいはこれまで若いときに都会にいた方が地域の方にお戻りになったときに何かをするようなことが、お手伝いができるような形を取ると、こういうような形で、これまでそこにいた方だけではなくて、ほかから来た人たちにとっては新しい価値を生み出すこともありましょうし、それから、先ほど言った女性の中で、何というんでしょう、イメージとして膨らましていたものが実現をするような形というような新しい取組というものもたくさんあるだろうというふうに思っております。  市場そのものを新規のもので拡大をするような、そうした取組についていっぱい努力をさせていただきたいなというふうに思っております。
  217. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございました。  それでは、この法律では国と民間企業が出資する支援機構とは別に地域ファンド、テーマファンドを設置して、これらサブファンドを通じて出資することができることになり、支援機構からの直接出資よりもサブファンドからの出資や支援が大半になるのではないかというふうに思われますけど、それらサブファンドの設置を認めることはよいとしても、一方、地域性やテーマなどのサブファンドの設置趣旨とは合致しないが意欲のある農林漁業者の場合、支援機構からの直接支援はあるものの、これは数的に限りがあるとなった場合に、ある程度制限されることになるのではないかというふうに思いますけど、直接支援はどの程度になるというふうに見込んでいるのでしょうか。
  218. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 衆議院におきまして修正案が可決されまして、附帯決議が行われたところであります。  機構が行う出資につきましては、修正案及び附帯決議に基づきまして支援対象事業活動支援団体に対する民間等の出資の動向、対象事業活動を行おうとする地域の実情、事業分野をめぐる状況等を十分把握した上で対応したいと考えております。  このため、直接出資の金額や割合について現時点であらかじめ見通すことは難しいわけでございますけれども、いずれにしても、機構が行う出資につきましては必要な財源を確保し、支援対象事業者の資金需要に的確に対応してまいりたいと思っております。
  219. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  それでは、支援対象事業者が活発な経済活動を行うためには、事業で行う生産や製造やサービスなどにある程度のロットの確保というものが要求されるというふうに思っております。その場合、資金や生産物量が少ないために意欲のある小規模農家が入れないことも考えられるわけですけれども、意欲のある小規模農家に対してはこのスキームの中にどのような対応があるのでしょうか。
  220. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 確かに、意欲のある方に対してやっぱりしっかり支援していかなければならないというのは基本だというふうに思っています。    〔委員長退席、理事中谷智司君着席〕  ですから、地方ではどうしてもJAさん、農協、森林組合、漁業組合というようなところが、ある面では核になってやっていただけるというふうにも思っております。そうすることによって、今委員指摘のロットにつきましても、ある程度まとめていくということができますから、そうした連携は特に大事だというふうに思っておりますので、特に小規模な農林漁業者の皆さんがしっかりこれは使っていただくような、そうしたPRもしっかり行っていきたいと考えております。
  221. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  小規模農家等を排除しないということですけれども、例えば漁協や農協等、必ずしもそこに頼りたいというような以外の人たちもいると思うんですけれども、そういったところも是非排除されないように、そういう仕組みというかスキームをしっかりと確保していただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に入らせていただきますが、このサブファンドの設立に当たっては、地域の企業、金融機関、自治体、農漁協等などから出資が期待されておりますけれども、地方では景気が大変低迷している中で、必ずしも自治体等が出資なんかできるかどうかというのは、これは分からないところがあると思います。ただ、このスキームの中で自治体が出資する側に入っておりますけれども、その意義というものを教えてください。
  222. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 前段でのお話ありました、今、団体に限らず、JAとか、ここのところは、私の小さな町でもそれでなしに、意欲ある方がグループを組んで結構成功しておる事例もありますから、そうしたところへもしっかりやっぱり指導を、指導という言い方はおかしいんですけれども、情報を流していくということが大事だというふうに思っております。  もちろん、今おっしゃいました地方自治体、これはいろいろな意見もありますけれども、地方自治体がかんでいただくということが、都市交流をやっておったときにでもすごく信頼関係が深まるといいますか、安心感といいますか、そういうものでは、僅かな出資でも非常にそこのところは信頼が生まれていくということになりますので、できればそうした小さな、小規模の方々には、もちろんいい計画ということが前提でございますが、地方自治体からもしっかりと支援をいただくように、そのような勧めをこれからも私どももしっかりやってまいりますので、また地元でもそうした声をどんどん上げていただきたいと思います。
  223. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  先ほど野村委員から配付されたポンチ絵を見ますと、こういう民間等の金融機関等がサブファンドの方に出資ができるというふうにも記されておりますけれども、ただ、金融機関も通常のベンチャー企業等に対する融資はかなり慎重で、私はハードルというものが若干高いのかなというふうに思っております。  このサブファンドがどれだけできるかというのによって、この市場がどのように拡大していくかというのが大変影響が出てくると思うんですけれども、サブファンドの設置に関してどの程度の数になるというふうに見込んでいるのでしょうか。
  224. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 今、御指摘のとおり、このサブファンドをどのように組成するかというのはこのスキームの非常に重要な点になるかと思います。当面は一つ一つの案件を丁寧丁寧につくり上げていくということで、サブファンドの数、出資規模については民間を主体にするということでございますので、役所として具体的な見込みをあらかじめ決めて、それに向かって目標を決めていくような性格のものではないと思っております。  特に初年度でございますので、地元の農林漁業をやっておられる方々に分かりやすい、モデルとなるような案件を一つずつ丁寧につくってまいりたい、その上でその次のステップに進めてまいりたいと考えております。
  225. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございました。  次の質問にまた移りますけれども、対象事業活動支援団体、サブファンドの設置について要件や基準といったものが書かれておりません。サブファンドの適格性等については、出資先を判断する際に機構の委員会が判断するということでありますけれども、今回、衆議院での修正によりサブファンドに対する評価、指導、勧告その他の措置が行えるようになりました。修正により農林水産大臣が定める支援基準の明確化として、対象事業活動支援団体の選定及び監督に関する事項が盛り込まれましたが、これにより対象事業活動支援団体、サブファンドですね、の設立要件、基準などが設定されると考えてよろしいのでしょうか。
  226. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 御指摘のとおり、修正によりましてその点の考え方が非常に分かりやすくなったと考えております。    〔理事中谷智司君退席、委員長着席〕  まず、支援基準に含まれるべき事項として、対象事業者の意思決定における農林漁業者の主導性の確保に関する事項、あるいは今御紹介にありました対象事業活動支援団体の選定、監督に関する事項が規定されるとともに、支援基準を定めるに当たっての配慮事項としても、地域の農林漁業との調和、農林漁業者その他の関係者の意向の尊重等に係る事項が新たに規定されております。これらの事項につきましては、機構による支援が目的に沿ったものであることを担保するため明文化されたものであると認識しております。修正案の規定に従って支援基準をしっかりと明確化して運用していきたいと考えております。
  227. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  このファンド法は、何かちょっとこのポンチ絵を見ても、まあいろいろ今の資料も見てまいりましたけれども、何かスキームがすごい分かりづらくてややこしいスキームになっているのかなというふうに私個人は思っております。  当初このポンチ絵を見させていただいたときに、農水省からいただいた、私はてっきりサブファンドが先にできて、それで対象事業者がサブファンドの方に融資とか出資というものを、まあ出資をお願いしていくという形になっているのかなというふうに思っていたんですけれども、この間の衆議院の方の答弁を見ておりますと、法案のスキームでは農林漁業者と流通加工業者など企業体と、自治体やJAや金融機関や企業が設置するサブファンドが一緒になって合弁事業体が立ち上げられると衆議院での審議の答弁となっておりますが、それでいいんですよね。
  228. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 先ほど野村先生の御質問にもお答えしたとおり、基本はサブファンドがあって、それから事業体でございますが、サブファンドをつくる際にはあらかじめこのような事業体に出資をするんだという想定を持って機構に申請していただく必要がある。そうでないと、その事業がしっかりとした成果を上げるかどうかというのは判断できない。まさに先ほどの支援基準に従った事業活動がサブファンドを行う能力があるかも審査できないので、ある程度の想定はした上で同時に形成するということが必要になる、また、それが中小企業のファンドにおいても同じような運用が行われているということでございます。
  229. 外山斎

    ○外山斎君 それだと、例えば対象事業者等がサブファンドを、こういうサブファンドが欲しいという形でつくったはいいけど、審査によって出資が受けられないということもあり得ると思うんですけれども、そういうパターンも想定しているんでしょうか。
  230. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 当然、サブファンドに出資するかどうかは、まず国が修正により認可、あらかじめ認可を受けるわけでございますが、機構自体の経営審査も必要でございます。したがいまして、サブファンドをつくろうとしても、必ずしも全部が全部認められるわけではないわけでございます。  ただ、そういう場合に、せっかくそのサブファンドを当てにして事業を組まれた方が、期待が外れて混乱するということのないようにしなければいけないと思っております。したがいまして、そのような混乱を防止するためには、極力早い段階から機構がサブファンドの設立検討に関し情報共有を行いながら混乱を回避する、そのようなきめ細かな手当てが必要になってくるかと思っております。
  231. 外山斎

    ○外山斎君 是非、サブファンドをつくってもらいたいというふうに当てにしたけど、それができなくて混乱したということが生じないように、農水省の方としても頑張っていただきたいというふうに思っております。  また、修正により、出資するかどうかの判断に農林漁業者の意見を反映するということに今回の修正でなりましたけど、是非、厳格な審査の中にも事業に取り組もうとする農林漁業者の熱意と可能性に十分に耳を傾けていただきたいと考えますが、審査のときにどのような点をポイントとするのか、これから策定することであると思いますけど、現時点農林水産省としてどのようにお考えなのでしょうか。
  232. 岩本司

    ○副大臣岩本司君) 今回の修正案におきまして、支援基準の策定、支援決定の認可等の際、農林漁業者等からの意見聴取を行う旨の規定が追加されているところであります。これらの規定は、機構の支援がその目的である農林漁業者の所得の確保及び農山漁村における雇用機会の創出等に沿っていることを確認するものでありまして、透明性のある運用を確保してまいりたいと思っております。  具体的な意見聴取の方法につきましては、修正案の趣旨を踏まえましてしっかり検討していきたいと思っております。
  233. 外山斎

    ○外山斎君 時間になりましたので、これで終わります。
  234. 小野次郎

    ○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。  大臣、午前中に予告申し上げたんですが、午後は法案質疑ということでございますけれども、昨日からの質問通告している問いの中で、午前中のどうしてもまとめの部分を大臣に聞かせていただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思いますが、去年からこの委員会でも多くの委員が、やはりこの原発事故の放射能汚染が農林水産業なり食の安全なりに与えている影響について、深刻な質疑が行われてきたと思うんですね。  私は、この農林水産業全体に及ぼしている放射能汚染の影響について、どういう教訓を農林水産大臣として、あるいは郡司という政治家として今お考えになっているか、それをお伺いしたいと思います。
  235. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 昨年の津波もそうでありました、地震もそうでありますけれども、やはり原発事故というのは異質なことが起こったんだと、こういうような認識がございます。  たまたま、小野委員は御存じのことかもしれませんけれども、私は地元が茨城でございまして、ジェー・シー・オーという事故が、十二年ほど前になりましょうか、起こりました。そのときには、建屋が立派なものがあって、今回のようなことではなくて、普通の家屋の中におけますようなところでバケツとひしゃくで臨界事故が起こったというようなことがございました。あのことも大変な驚きでございましたけれども影響そのものは今回に比べればはるかに低いものでございました。  しかし、今回のことは、何年たてば、先ほどの例えば海洋の関係が、半減期がどうなるんだろうか、実際にどのような形になるんだろうか。チェルノブイリでありますれば、今はもうあの都市が樹木に覆われて原生林に戻ったような形の中で、誰も近寄れないというような広大な地域が生じていることもございます。  したがって、人間がつくり出したものでございますから、きちんとコントロールをして利用できるということについて、万全であればそれは問題がなかったのかもしれませんけれども、このような事実を目にしますと、私ども人間としてやはり、科学に対してもそうでありますけれども、特に原発に対して謙虚でなければいけないなというような気持ちを改めて強く持ったところでございます。
  236. 小野次郎

    ○小野次郎君 私も同じ感じを持っていますが、特に農林水産業ということで端的に出てくるものというのは、例えばある農業生産物が汚染されていたというようなことで、それを出荷できるかどうかとか、あるいはその農家に対する様々な支援を考えられるかどうかということになってしまいますけれども、基本的には、今、大臣自らおっしゃったとおり、自然の環境、農林水産業の、全ては山であり森であり里であり水であり海を相手にしてできるなりわいですから、そこをクリーンな状況でしっかりと守っていくというのがなければ、対症療法でそのことだけ、その地域だけ、その商品だけという問題ではないんだと思います。  特に放射能汚染の問題というのは、もう既にそうですけれども、一旦汚染されてしまえばもう限りなく長期にわたってその影響が及ぶわけですから、大臣、自然の環境、特に日本のですよ、国内の、今申し上げたような山も里も海もですけれども、それに対して大臣、政治家としても、もう一遍、どういう教訓というんでしょうか、お考えをお持ちでしょうか。
  237. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) いろいろなところで農業、第一次産業の話をするときに、私は第一次産業というのは命の産業であるという言い方をさせていただいております。そしてまた、生態系の源であるというお話もさせていただいております。その二つがあってこそ私どもは日々の生活を過ごすことができる糧を得るわけでございますので、それを脅かすというものに対して私どもは本当に、先ほど言いましたけれども、謙虚でなければいけませんし、本当にコントロールできないというようなことが起こらないようなことに鋭意、鋭意といいますか、これからは国家の意思でもってやっていかなければいけないんだろうと、そのように思っているところでございます。
  238. 小野次郎

    ○小野次郎君 私は、同時に、例えば食の安全ということでいうと、消費者の受け止め方というのは大事なわけですけれども、安全とか安心とか、日本の農産物を海外でどういうふうに評価されるかということを言うならば、国際的なレベルを含めて信用とか信頼とかというものにかかわると思うんですね。  よく風評被害という言葉が使われますけど、悪い翻訳をすればデマということですけど、でも、この放射能汚染に関しては、低線量の汚染がどれぐらい、基準値以下だからとかいうような問題ではなくて、やはりそれは大きく国民そして国際社会の安心あるいは信頼というものを損なうということは事実だと思うので、物理的に環境を守るということも大事ですけれども、一旦日本の農林水産業に対する安全とか信頼とかが損なわれてしまったら、それを回復するということは極めて長期間、そしてまた難しい問題でもあると思うんです。  現に、去年の原発事故によってかなり日本に関しては、東日本と言ってもいいかもしれませんが、それは損なわれているわけで、そういった安全、安心の回復、信頼の回復ということについて、大臣、どのようにお考えですか。
  239. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) まず、当たり前のことでございますけれども、しっかりと調査を行うということを能力として持たなければいけないというふうに思っております。そして、そのことを隠さずに正確に消費者の方々、国民の皆様方に伝えるということをおろそかにしてはいけないんだというふうに思っておりまして、その上に立ってこそ信頼というものができ上がる、安心というものがつながっていくのだろうというふうに思っております。  その意味におきまして、例えば、今御指摘をいただいておりますのは、セシウムでありますとか一定のものについては検査ができるようにもなりました。そして、そのことによってそれ以外の放射性の物質についても、おおよそセシウムがこれぐらいならばこのものに対してはこういう影響だろうというような形がされておりますけれども、私どもの国のありようとしてはできる限り、時間が掛かりましょうとも、いろいろなものが検出をされることについては検査が行えるならばそのような体制を取って、安全というものに対してみんなが納得できるような、何というんでしょうか、やり得る限りの科学的なもの、信頼というものを与えていく、そしてそれをしっかりと伝えていくということがまず第一ではないかというふうに思っております。
  240. 小野次郎

    ○小野次郎君 私たちは、今エネルギー政策の方で、例えば二〇三〇年に原発のシェアをどれぐらいにするかというような議論をしていますけれども、その際にも常にこの生産のコストが幾らかと、五・何円という議論もありましたけれども原発について。そういった目に見えた、悪く言えば、例えば裁判所に請求して損害賠償が取れるかどうかというようなことのレベルでこの生産コストを考えて、そのことだけで考えられるのかと、私は大きな疑問があると思います。  今大臣もおっしゃられたし、私も思っていますけれども一つは山も水も海もという自然環境を将来にわたってクリーンな状態に守らなきゃいけないということもあり、また、一旦人の安心とか信頼が損なわれたらそれを回復するというのは何ベクレルという数字の問題じゃないということを考えたときには、この短期的な生産コスト、計算上のコストだけで考えるべきではないと私思うんです。  次の問いに移りますけれども、私はその意味で去年から国会の審議を見ていて寂しいなと思ったことがあります。これは質問じゃないので、私の印象ですが、一つは、今大臣もおっしゃったとおり、自然環境について農水大臣としてもっと積極的にこの原発の問題に対して積極的な発言が、前の大臣も含めてですけれども、おありになった方がよかったんじゃないかなと思うし、人間の健康、特に子供さんの健康とか遺伝子への影響なんかを考えたときには、厚生労働大臣ももっと発言した方がいいと思っていましたけれども、つかさはつかさだという話で、これは経産大臣ですとか、これは原発担当大臣ですとかとなっていますけれども、農水大臣には、日本の自然環境を守る大臣なんだと、国民もそれを期待しているんだということを是非御自覚いただきたいと思うんです。  今、パブリックコメントも物すごい膨大な数の意見が寄せられて、その大半が脱原発ということを言っている。そしてまた、討論型の世論調査結果、聴取会の結果、様々出ていますけれども、その中にはかなりやっぱり農林水産業の関係者とか食の安全に気にしている人が意見を述べているというのは多いと思うんですね。その割合はつかさつかさで整理される問題ではなくて、深く関係があると私は思っています。  その意味で、お答えできれば聞きたいことは一つでございます。今この脱原発という問題が国民的な課題になっていますが、国民に安全、安心な食料を提供し、森林や水産資源など国土の自然環境を守る大きな責任を持っている農林水産大臣として、今、北海道から南九州にわたって全国に点在する原発の今後の取扱いについて、御所見があればお伺いしたいと思います。
  241. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 私の県、茨城県は原子力揺籃の地とも言われておりますけれども、一番日本の中で長い時間原子力にかかわってきた県でございます。  したがいまして、今私どもの県の中で何が起こっているかといいますと、一番最初に造った実験の原子力の炉ですね、これを七年前に廃炉といたしました。そして、今、七年たった今現在も毎日やっている作業については映像化をして残しながら、今その廃炉技術というものを世界に先駆けて確立をするようなことをやっております。しかし、これもまだ十年先に廃炉が完成をするのかどうか分からないという状態の中でございます。したがいまして、私自身は、いつも茨城の中で事故の前後を含めて言っておりますけれども、これから新たに原発を造ろうというようなことというのはほとんどあり得ない時代に入ってきているのではないかなというようなふうに思っております。  そして、その中で、完全に今造ってある、稼働していないにせよ稼働しているにせよ、これらはいずれ廃炉ということを迎えるわけであります。その廃炉についてしっかりとした技術を、そしてその人材を一方でつくっていかなければ、廃炉ということそのものがかなわないわけでありますから、そこのところをしっかりと押さえながら脱原発ということの道筋というものを考えていかなければいけない。  本当に、先ほど私、ちょっと比喩的に申し上げましたが、ジェー・シー・オーというところではバケツとひしゃくで臨界が起こっているんです。ですから、原発を今止める、稼働させないということと、その場所でもう一度同じような地震や津波が来た場合に同じようなことが起こるかどうかというのは、稼働をしているかしていないかとまるっきり別な問題がございます。  したがって、中長期的にこの廃炉技術というものを国がしっかりとやる。それは、ほかの国から技術者に来てもらってということは、これは大変国としては危険な要素を含んでおりますので、しっかりしたその辺のところの廃炉ということに目指した道筋をやるというのが私は国として大事なことだろうというふうに思っております。
  242. 小野次郎

    ○小野次郎君 大臣御自身が茨城の御出身ということもあり、いろいろ御経験もおありのようですから、是非そのきちんとした手順を踏んで、しかし脱原発の方に向かっていくんだということを、政治家としても、また大臣としても力を入れていただきたいとお願い申し上げておきます。  それでは、ファンド法の質疑をさせていただきますが、出資ということの合理性を御説明いただきたいんですが、融資と異なって元本が返ってこないんじゃないかという気がするんですけれども、この点についてどなたか御説明いただきたいと思うんですが。
  243. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 出資は、元本は保証されないものでございます。ただ、運転資金とか人件費等、こうした柔軟的に使えるという意味では、これまでの融資、そうしたものとはまた異なってくる有利性があります。今回、支援を想定している六次産業化事業体、このことについては、創意工夫にあふれた加工、販売等の新たな事業に取り組む事業体を念頭に置いておるわけでございますが、補助金や融資だけでなしに出資の形で支援を行うことということにしておりますので、よろしくお願いします。
  244. 小野次郎

    ○小野次郎君 加えて、さっき岩本大臣もどっか例示でおっしゃったと思いますけど、新聞も日経新聞の記事を、済みません、ほかの委員の方の資料を引用しちゃいけないかもしれませんが、四千億円、多分、ネットでいうと二千億円まで、つまり五年間だから数百億円ずつ積み増ししていくような可能性を皆さん、私は余りよく知らなかったんですけど、おっしゃっていますが、そういった局長が言っていたミドルリスク・ミドルリターンか何か知りませんけれども、そういうものをどんどんどんどん積んでいくということを、もうあらかじめ新聞にも出ているし、当然のようにおっしゃっていますけれども、それってリスクないんですか。
  245. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 出資を追加していくのかどうかということについて言えば、今年度は二百億という予算を計上しております。それらがどういう出資の状況にあって、今後増資というものが必要かどうかということは、今後の課題として、増やしていって事業が大きくというようなことになれば、それはそれで私ども措置をしていくというような考え方を持っているということがあります。それがミドルのリスク、ミドルのリターンということになるのかどうかということは、ちょっとこれは私の段階で即答できるということではありませんけれども、確かに民間だけではない手法を取っているというのは、一定の期間、それから、先ほど言いました三つぐらいの要件という中に、同じような形で裏表の関係でリスクというものも当然入ってくるわけでありまして、そこのところは十分に注意をしながらやっていく。そして、そのための、何というんでしょう、分散をする、あるいはきちんとそれが管理できるような形のスキームとして提案をしているというふうに思っているところでございます。
  246. 小野次郎

    ○小野次郎君 質問じゃないんですけど、先ほどここに座っておられた政府参考人の方がミドルリスクと言ったので言ったんですけど、その人も多分ハイリスクとは言えないからそう言ったんだと思うんですけどね、リスクがあるということだと思うんです。そういうものなんだろうと思います、ファンドの形でファンドから支援をしていくということですから。  そこで、修正提案者、宮腰議員にお伺いしますが、逆のような修正をまた掛けているような気もするんですけれども、この機構の支援決定に際して、元々の政府提出案では農水大臣意見を述べる機会を与えるとなっていたものを、大臣の認可を受けると改めた理由をお伺いしたいと思います。
  247. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 機構の支援決定の際の大臣認可ということでございますが、今回の機構による支援は、農林漁業分野において補助金や融資ではなく出資という手法で支援をしようとする初めての試みであることから、農山漁村の活性化や農林漁業者の経営の安定向上を図るため、単に市場原理に委ねるだけではなく、また、農林水産大臣に対する意見を述べる機会の付与や事後的な監督権の行使ではなく、支援決定等が国の関与により更に慎重な手続により行われるべきものであるとの考え方から、機構の支援決定等について大臣認可としたものでありますが、自民党内の議論の中でも、実は出資する側のリスクと、それから事業がうまくいかなかった場合の農林漁業者のリスクと両方あるのではないかといったような議論もありまして、このような修正に至ったということであると思っております。
  248. 小野次郎

    ○小野次郎君 これは正確には通告をしていないので、宮腰議員、もしお答えいただければということでお伺いしますけど、同じように修正したやつの中に、監督権というか、立入権だとか徴収権の範囲を広げていますよね。機構からの出資先への立入りだとか、三十九条二項ですね、農水大臣による支援対象事業活動支援団体に対する立入りとか報告徴収ということで広げていますけれども、それもやっぱり同じような趣旨ですか。今おっしゃったその認可にするということと同じように、やはり国の影響力を支援する先のところまで及ぼす方がいいというお考えでつくった規定なんでしょうか。
  249. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 政府原案では、この…
  250. 小野次郎

    ○小野次郎君 機構だけです、機構だけですね。
  251. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 政府案では、機構は地域ファンド、テーマファンド、サブファンドに対して出資をするということになっておりますが、今回、指導監督、あるいは報告徴収、立入検査ということを修正で明記をさせていただいたわけでありますけれども、このサブファンドというのは一体どういうものになるのか、現実にやっぱりやってみないと分からないという部分もあろうかと思いますし、それから、テーマファンドといったようなことも想定されるということから、やはりあらかじめ大臣の権限としてしっかりと指導監督権、あるいは報告徴収、立入検査権、こういうものを明記しておいた方がいいという考え方によるものであります。
  252. 小野次郎

    ○小野次郎君 最後の質問大臣にさせていただきますが、大臣、そういう修正を掛けた結果、一方でミドルリスクで、その代わり、何というんですかね、柔軟な経営、運用を期待してつくったものに今度は認可というふうに重い国の関与が入り、そしてまた出資先までの監督権が及ぶようになってくると、一つは、柔軟な経営管理というか合理的な経営というのに官が出過ぎるんじゃないかという心配が一つ。同時にまた、このファンドは金融機関からもお金を出させるし農林水産業者にもかなり負担を掛けるわけですから、そのときに、自主的にやったんじゃなくて認可しているとか、あるいは監督及んでいるとなれば、逆に損失を生んだときには国の責任が一番重いということをこの法律修正によって認めたことになるんじゃないんですか、パートナーの中で。
  253. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 今おっしゃったような側面というものも見方によってはあると思いますけれども、修正の趣旨でありましたように、言わばファンド、資本の投下というものは、基本的には、経済の論理からいえば、アメーバのようにどこまでも広がっていくというのが原則でございます。その中におきまして、六次産業化というのは第一次産業、農林漁業者が主であるというところから、そこのところに重きを置いたような修正になったというようなことでございまして、そこのところは私ども理解をしてやらなければいけないというふうに思っております。  最後のところでございますけれども、国の関与というものが重くなった、大きくなったということにつきましても、これは私どもの範囲の中で、所掌の中で、私どもの今回の取組を行っていく、そのことについては自覚を持って取り組むという形で進めさせていただきたいと思います。
  254. 小野次郎

    ○小野次郎君 いろいろ疑問点が同僚議員からも出ていますので、この追加出資についてはいろいろ効果測定をしてみながら慎重にお考えいただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  255. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  法案の質問の前に一点、記録的干ばつによる世界的な穀物の高騰の問題について質問いたします。簡潔にお答えいただきたいと思います。  米国の記録的干ばつと、それからロシア、インドの干ばつで、世界的な穀物価格が高騰しております。米国のトウモロコシと大豆の先物相場は過去最高価格にまで高騰しているということです。米国の被害実態は今後更に明確になることになりますけれども、収穫量は平年を大きく下回ることになることは必至で、価格高騰にとどまらず供給量の確保の面でも深刻な事態が想定されていると。この点では、飼料用のトウモロコシの九割以上、日本が依存していると。それから、大豆や小麦についても米国に多くを依存しているわけですから重大な事態なわけです。  それで、もう既に、小麦の価格についても輸入麦の政府の売渡価格の平均三%の引上げを農林水産省が発表しましたから、影響が出ているということです。畜産・酪農家は、飼料価格の高騰になれば経営面に深刻な影響を受けることになって不安な状況に置かれていると。これに対して、先日、農水省として情報収集をし動向を注視するという見解を発表したんですけれども、これではちょっと対応は不十分だと言わざるを得ないわけです。直ちに農林水産省内に対策本部を設置して万全な国内対策を取ると同時に、世界的な投機規制なんかも含めて取り組むべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  256. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) アメリカを中心にして、干ばつの影響、そして収量の予測というものが大変下回るのではないか、こういうような懸念と、それから、市況そのものがそれに連動するだけではなくて、小麦などは、何というんでしょうか、そのもののマネーの動きとして高騰をしていると、こういうような状況がございます。  それはどのような見方をするべきかというのは、前回に非常に不作があったときと比べますと、作付け量それから収量そのものもアメリカ自体が相当変わってきております。そしてまた、何というんでしょうか、円高がありますとか輸送コストが変わってきているとか、直ちに二十年とか、逆な言い方をすると、八八年のときのようなものとも若干違う要素があります。そういう意味でいろいろと注視をしていかなければいけないと、こういうような言い方をしてまいりました。  しかし、相当程度供給量の確保についても考えを致さなければいけないのではないかというような御意見をいただいております。例えば、アメリカ以外のところからの供給ということも可能なのか、いろいろなことについて、対策といいますか、これからの動向をもう少し具体的に行う時期にも入ってきているのかなというふうに思っております。  いろんな意味で、直ちに対策本部を設けるかどうかということについては猶予をいただきたいというふうに思いますけれども、注視をするというだけではなくて、何らかの具体的な対応策を検討をすると、そういうことも必要なことを考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  257. 紙智子

    ○紙智子君 それで、もう一点なんですけど、これ、関係団体からも申入れがある話なんですけれども配合飼料価格の安定制度についてです。  通常補填の基金が前回の飼料価格の高騰時に資金不足に陥って千百九十二億円の借入れを行って、借入残高が現時点でも七百四十二億円に及んでいるわけです。この借金の返済を依然として今行っていて、こういう状況の中で前回以上の飼料価格の高騰に見舞われたならば、これは通常補填基金の破綻もあり得るということだと思うんです。そういうことについても、放置しないで直ちに対策を取るべきだと思うんです。  いずれにしても、事態を、今もおっしゃいましたけれども、注視するだけでなくと言いましたけれども、直ちに対策に取りかかるべきだと、これについても、大臣いかがでしょうか。
  258. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) 高値を付けて、ここ一週間ほどはまた逆な動きも出ております。そういう意味では、やはり動きをしっかりと見定めるということも一方でやらなければいけないというふうに思っております。  基金の関係でございますが、二つあるわけでございまして、通常の方が、先ほど、午前中だったと思いますけれども、申し上げましたように、通常の補填基金が百七十億ほどございます。それから、異常補填基金の方が三百十億円、これを今合わせて約四百八十億円となるわけでありますけれども、もし通常の基金が不足をするような場合には異常基金からの貸付け等も行いながら全体として円滑に実施をされるように、そこのところはしっかりと見ていきたいなというふうに思っております。
  259. 紙智子

    ○紙智子君 それでは、次、法案の方に入ります。  農林水産省が五年ごとに発表している産業連関表の二〇一〇年度版で、最終消費から見た飲食費の部門別の帰属額、そして帰属割合の推移というのがありますが、それを見ますと、食料関連産業の生産額規模というのが、一九八〇年四十八兆円だったのが、二〇〇五年には七十四兆円に拡大しているんですけれども、国産の農水産物、言わば農家の取り分について言うと、十二兆円から九兆円に下がっている。国産のシェアについては、農業段階の取り分というのは二六%から一三%に落ち込んでいるわけです。六次産業化というときに、やはりこの農家の取り分を増やすことが重要だというように思いますけれども、この点での大臣認識をお聞きしたいと思います。
  260. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) まさに、申し上げておりますように、地域の力が弱くなってきております。農業所得でいいますと、全体で六兆円から簡単に言えば三兆円に半減をしているわけでございまして、これではなかなか地域が立ち行かないというようなことになろうかというふうに思っております。  御存じだというふうに思いますけれども、庭先の取り分というのは水産の関係が更に低いというような現実がございますから、そのために六次産業化というものを行っていこうということを先ほど来から申し上げておりました。  また、一方で、二〇五〇年のときに、国の人口がどういうような状態でどの地域で減るかというようなことがございまして、これは国土交通省が発表しておりますけれども、中・四国、九州等を中心に一〇〇%減少をする、あるいは五〇%から一〇〇%に近い減少をするという地域が大変多くなっているというところがございます。  そういう意味からも、今先生指摘をいただきましたような、地域の中の所得というものを強めていく、高めていく、このことが六次産業化というだけではなくて国土そのものを保全をしていくということからも大変重要な取組だというふうに私どもは思っております。
  261. 紙智子

    ○紙智子君 それでは次に、修正案の提出者にお聞きしたいと思います。  六次産業化法は農林漁業者が主体的に行う取組を支援する法律ですけれども政府が提案した六次化ファンド法にはそうした規定がありませんでした。ですから、六次産業化パートナー企業や地域ファンドが事業の主導権を握るのではないかと。つまり、出資企業が事業を主導し、生産現場に不安を与えるという懸念を私ども持っていたわけです。  そこで、支援対象事業者についてお聞きしますけれども、農林漁業者が主体であることを明確にしたと思いますけれども、その理由について説明をしてください。
  262. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) お答えいたします。  衆議院における第二十一条の修正によりまして、支援対象事業者は、いわゆる六次産業化・地産地消法の認定を受けている認定事業者であることを要件として明記をいたしました。この六次産業化・地産地消法において認定事業者となるためには、第三条によりまして、農林漁業者が主たる構成員であること、つまり農林漁業者が主体であることが必要になります。  このように、六次産業化・地産地消法の認定事業者がファンド法の対象事業者となることを明らかにすることで農林漁業者の主導性の確保を担保し、御指摘のような出資企業や地域ファンドが主導権を握るのではないかという懸念は払拭できているものと考えております。
  263. 紙智子

    ○紙智子君 次に、地域ファンドが企業主導になるとの懸念があったわけですけれども政府提出のファンド法で位置付けがはっきりしなかったサブファンドに対する国並びに機構の関与が強化をされたと。また、機構の支援決定において大臣の関与が強化をされました。その理由についても説明をお願いします。
  264. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 御指摘のとおり、衆議院における修正によりまして、機構による地域ファンドに対する指導、勧告等、農林水産大臣による地域ファンドに対する報告徴収等の地域ファンドに対する国及び機構の監督を強化をいたしました。  政府案では、そもそも地域ファンドの位置付けが条文上不明確であったわけでありますが、今回の機構による出資という形の支援においては地域ファンドが非常に重要な地位を占めるものであることから、その位置付けを明確化するとともに、御指摘のような国及び機構による監督を強化する規定を追加することとしたものであります。  また、機構の支援決定の際の大臣の関与につきましては、今回の機構による支援は、農林漁業分野において補助金や融資ではなく出資という形の初めての試みであることから、農山漁村の活性化や農林漁業者の経営の安定向上を図るため、単に市場原理に委ねるだけではなく、また、農林水産大臣に対する意見を述べる機会の付与や、事後的な監督権の行使ではなく、支援決定等が国の関与により更に慎重な手続により行われるべきものであるとの考え方から、機構の支援決定等について大臣の認可としたものであります。
  265. 紙智子

    ○紙智子君 今お話を聞きましても、修正の結果、農林漁業者が主体的に行う取組であること、地域ファンド等への国の関与が強化されたことなど、企業主導にならないような歯止めが掛かったという点ではこれは評価できます。そういう点では私たち賛成にしたいというふうに思っているわけです。やはり生産者が大いに生産活動を行いながら所得が増えていく、農家の取り分を増やす取組になることが重要だというふうに思っております。  先日、実は群馬県の甘楽という、甘楽郡って本当に山なんですけれども、山の奥にあります南牧村というところに行ってきました。人口が二千四百人余りです。戦後、養蚕と林業、そしてコンニャクイモ、この生産で栄えていたんですけれども、一万人いたときもあるんですね。それが、その後、養蚕も林業もコンニャクイモの生産も衰退してしまって、高齢化がどんどん進んで、高齢化率が、六十五歳以上の方がもう今五七・二%ということで、もう六割近いんですね。そういう過疎ということになって、一番、日本一、高齢化率は日本一というふうに言われるぐらいなんです。  行ってみて改めて驚いたんですけれども、そういう過疎のところなんです。過疎の地域をどう振興するかということで住民が一生懸命考えてアイデアを出して、住民が主体になって新たな取組をやろうということで、例えば花卉生産組合が気象条件とか土壌条件を生かしてナンテンとか菊を売っているわけですよね。それから、ブルーベリーですか、ブルーベリーを生産してジャムを作って、加工、販売していると。それから、炭に目を付けて、これ何とかならないかと。消臭剤になるということで、そんなことで炭なんかも使ってやるとか、直売施設で道の駅オアシスなんもくというのもあるんですけれども、そこに販売していると。  こういう取組というのは、実はほかにも全国、本当に努力して頑張っているところというのはたくさんあるわけで、それをやる場合には、加工や販売所を安定的に運営するために立地条件も大事だし、施設も大事だし、機材や加工や調理する人も、資金も大事だということで、やっぱり六次産業化というときに、こういう取組を本当に底上げしていくというか応援していくということが必要なんじゃないかというふうに思うわけですけど、いかがでしょうか。
  266. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) とてもそのことが大事だと思っています。  そして、このため、二十四年度では、やっぱりプランナーの総合的なサポートに対しての支援、そして新しい商品開発やら販路開拓、これを二分の一から三分の二、こうした予算を積極的に使っていただいたらいいんじゃないかというふうに思っています。あとは加工・販売施設の整備について支援を、この三つをしっかりやっていきたいというふうに考えております。
  267. 紙智子

    ○紙智子君 それで、六次産業化推進整備事業が去年から始まっているんですけれども、農産物の加工場の申請件数を見ると、これ四十五件と。採択件数は二十八なんですね。この事業というのは法人化を基本にしているということなんですけれども、昨年の、二〇一一年十月二十四日に農水省は農産加工場調査結果の概要というのを発表しています。それによりますと、農産物加工場はどれくらいあるかというと、全国で二万七千二百三十一か所あると。法人化していない農家というのがそのうち二万三千八百六十一で、全体の九割なんですね。法人化していない方が圧倒的に多いと。  法人化していない農家の従業員というと、平均で三・九人ということになっているんですけれども、ですから、ファンド法で機構が支援する法人が伸びるというのはもちろんなんですけれども、法人化していないところも含めて伸びる、支援する必要があるんじゃないかと思いますけれども、これについていかがでしょうか。
  268. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) こうした小さい単位での頑張っていただいておる方々については、現在法人化は原則として三戸ということになっておりますけれども、今回の支援では三名以上の常勤の雇用というようなことで、少しここは緩和をさせていただいておりますので、そうしたことも併せて活用いただけたらというふうに思っております。
  269. 紙智子

    ○紙智子君 六次産業化推進整備事業、今年度、これ予算は増やしているんですけれども、ところが、伝統食の農家レストランというのは対象から外しているとかいうのがあるんですよね。それから、六次化法の法認定事業者でないと申請できないというふうになっていて、加えて、五年後は売上げが五%以上増加しないといけないと。  五年以内に黒字化を図るというのが要件になっていて、言わばこの要件、ハードルを上げているということなんですけれども、何でハードルを上げているんでしょうか。
  270. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) ここは私もかなり皆さんと議論しました。今、どちらかといえば経済がこう落ちているときに、五年で上げる、しかし五%はやっぱり許容の範囲かな、その議論で五%ということについては認めさせていただいたというようなことなんですが、ただ、六次化を既にスタートされておるところもありますので、ここはアイデアでもう新しい一工夫を加えていただいて、補助事業、融資に乗っていただく。そうしたことについても我々柔軟に対応させていただきますので、是非そうした皆さんにお伝えいただければ有り難いと思っております。
  271. 紙智子

    ○紙智子君 やはり頑張る農家を応援するということで、その間口を狭めてしまっては、これは活性化にはつながっていかないというふうに思うんですよ。  農山漁村を回って感じるのは、やっぱり地域のお宝を今探して、我が町のお宝は何だろうかということで必死になって探して、地域資源を生かして、アイデアを出して主体性を持った取組をするということが随分やられてきているわけですよね。それで、やっぱり上から目線で何かはめ込んでいくんじゃなくて、そういう本当に一生懸命やっているところに対して光を当てて、そういう地域の取組を応援するということが今もう何よりも大事だというふうに思うんです。  そういう意味では、私は、農林漁業者が消費者連携して進めている産直運動ですとか、それから地域密着型でいろんな多様な取組が行われているんですけれども、そういうことを支援すべきだということを強く思うわけで、是非そういうふうに動いていくように力を入れていただきたいということを最後にお願いいたしまして、もし最後に一言何かあったらお聞きして、終わりたいと思います。
  272. 森本哲生

    大臣政務官森本哲生君) 大臣からもいただきますが、やはり地域の誇り、そこに大きな知恵がありますので、そうしたところは日本の財産としてやっぱりしっかりと我々も応援していかなければならない。農林水産省としても、とにかく現場に行って汗をかいて何ぼというような話を今させていただいておりますので、そういう地域にも積極的に職員を送り込むような、そんな努力もさせていただきます。
  273. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  274. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長谷川君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川岳君。
  275. 長谷川岳

    長谷川岳君 私は、ただいま可決されました株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会、公明党、国民の生活が第一及びみんなの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案に対する附帯決議(案)  我が国の農林漁業・農山漁村をめぐる厳しい状況に対処し、食と農林漁業を再生するため、民間の資金・ノウハウを十分に生かし、官民が連携した新たな資金循環等による農林漁業の成長産業化が求められている。同時に、農林漁業者の所得の向上、農山漁村における雇用機会の創出と拡大、若い世代も定住できる地域社会の構築により、農山漁村の活性化とその持続可能な発展を図ることが重要である。  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 我が国農林漁業は、家族経営及び地域に根差した法人等による経営中心であり、これらの農林漁業者の経営の安定と所得の向上が農山漁村の活性化に必要不可欠であることを十分認識し、本法に基づく制度の運用に当たること。  二 本法に基づく制度については、関連対策活用も含め、特に、東日本大震災からの農林漁業・農山漁村の復興に向けた被災地域における取組が円滑かつ着実に進むよう、その運用に十分配慮すること。  三 農林漁業成長産業化委員会の支援決定及び支援決定に係る農林水産大臣の認可を行う際には、本法の運用の透明性を確保し、民間の資金・ノウハウを生かすことによって農林漁業の成長産業化を支援するという本法の趣旨に即し、農山漁村における意欲ある新たな取組の成長発展を促すよう努めること。  四 機構が行う支援対象事業者又は支援対象事業活動支援団体に対する出資については、支援対象事業活動支援団体に対する民間等の出資の意向、対象事業活動を行おうとする地域の実情、事業分野をめぐる状況等を十分把握するとともに、必要な財源を確保し、支援対象事業者の資金需要に的確に対応すること。  五 機構の支援決定等を農林水産大臣の認可に係らしめること及び六次産業化・地産地消法の認定事業者に支援対象を限定することについて、民間資金を活用して新しい政策を行うという本法の趣旨に即し、農山漁村の活性化に資する創意工夫を生かした新しい取組が支援の対象となるよう、その運用に配慮すること。  六 本法第二十七条の運用に当たっては、対象事業者及び対象事業活動支援団体に対し、政府が損失補償の責任を負うことなどのないよう、本法の趣旨に即した適切な対応を図ること。  七 本法第四十条に規定する地方公共団体及び農林漁業関係団体による対象事業者及び対象事業活動支援団体に対する必要な支援が適切に行われるよう、環境整備に努めること。  八 本法の施行後三年以内に施行状況について検討を行うに当たっては、本附帯決議に即した運用が行われているか十分に確認するとともに、機構等に関する国の関与の在り方等を含め、総合的な検討を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  276. 小川勝也

    委員長小川勝也君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  277. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 全会一致と認めます。よって、長谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、郡司農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。郡司農林水産大臣
  278. 郡司彰

    国務大臣郡司彰君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。  附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じております。  ありがとうございました。
  279. 小川勝也

    委員長小川勝也君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 小川勝也

    委員長小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会