○
参考人(
会津泉君)
会津でございます。
私は三つ所属しておりまして、
一つは自分で会社といいますか、一応最近はNPOというのがはやっているんですが、これはノープロフィットカンパニーと呼んでおりまして、利益が全然上がらないのでノープロフィットでございますけれども、私だけでおりまして、後ろの秘書がおりますが、双方で、二人でSOHOをやっていますが、SOHOを双方ということでやっておりますが、これは五年前に
マレーシアに参りまして会社を作りました。
マレーシアで非営利法人を
外国人が作るということは、これは不可能だということもありまして、仕事をするのに、契約を取るためには形にならなきゃいけない、ビザも取らなきゃいけないということで、向こうですと二ドル払う、
マレーシア二ドルですからざっと七十円払うと会社が作れるということで、手続その他でコンサルタント随分使ったんですけれども、それにしてもまず会社を作って、それが
アジアネットワーク研究所で、二〇〇〇年に戻ってまいりまして三年いて、そこで
日本の会社というふうにしております。
その下に国際大学GLOCOM、今日は舛添先生いらっしゃっていますけれども、舛添さんにもずっと特別研究をしていただいておりまして、そういう情報社会論の議論を、大学に附属している独立の研究所でございますが、ということでやっておりまして、
最後にハイパー
ネットワーク社会研究所、
佐賀先生の話にありましたが、大分に一村一品運動というのを現知事、もうじき替わられますけれども、平松さんが言い出したんですけれども、その大分に本部がある、今ですと総務省と
経済産業省共管の、国共管の財団で、地域のコミュニティーの
ネットワーク作りの研究を十年間やってきておるハイパー研と、この三つに属しております。
今日は、
東アジアに焦点を置いてお話ししますけれども、本題入ります前に、私のモットーは百聞は一見にしかずと。
一つは、写真をお見せしますけれども、もちろん、ワン・ピクチャー・イズ・サウザンド・ワーズ・ワースということですけれども、それだけじゃなくて、見を
経験の験に是非していただきたいということを申し上げていまして、つまり
インターネットとかブロードバンドとか、遠くから議論しているだけでは、あるいは教科書を読んだり、私の話を幾ら聞いてもほとんど
理解はできないと思いますが、実際におやりになればすぐに分かる。
大変僣越ですが、
皆さんの中で御自分で電子メールをやっていらっしゃる方ってどのぐらいいらっしゃいますか、ちょっと手を挙げていただくと──おや、結構いらっしゃいますね。僕、三分の一ぐらいかなと思ったんですが。これが全員になるべきだとは申しません。それぞれのお考えがあるんで、秘書がやった方がいいとか、いろんなあれがあるんで。ただ、だんだんやらざるを得なくなる
可能性はありまっせということは申し上げておきたいと思います。
その
数字というか、根拠がこの表でございます。今、
東アジアのブロードバンドの、これ
人口普及率でございますので、韓国で言いますと、去年の十月に一千万人を突破して、
政府が記念式典をやりました。役所が表彰されたんですけれども、二一・四%と。香港が意外と高くて一六・二、台湾、
日本、シンガポールということで、
日本が、これちょっと一年前の
数字で、二〇〇二年、去年の二月、ちょうど一年前ですとまだ二・二%、それが七%まで急に増えたんですけれども、それでもまだ韓国との間は三倍強あると。これは
普及率ですから、数でいいますと、韓国は
日本の
人口の三分の一ぐらいですから、
日本の方が三倍多いということになるんですけれども、実はそんなに変わらなくなってきていますけれども、
普及率では全然違うと。
このデータにはあれしていないんですけれども、お見せしていないんですけれども、韓国の
インターネットそのものは九七年までは大したことなかった。
日本より
普及率低かったわけですね。
経済危機が来てから急に増えていったということで、後でその話もちょっとしますけれども、じゃ、どうしてブロードバンド、韓国に限らず、
東アジアが
世界の中でもこんなに
普及してきたのか。例えば、
アメリカは四%、
ヨーロッパは
平均値でいうと二・三%しかないということで、これはOECDがおととしそういうレポートを出したので急に注目されたわけですけれども、少なくとも今までのどうも常識とは違うことが起きているらしいと。
全
世界的に言いますと、スウェーデンとかフィンランドとか
カナダというのは多少
ヨーロッパの
平均よりはるかに高くて一〇%前後あるんですけれども、それでも圧倒的に
東アジアが強くなってきていると。どうしてなんだ。これは、去年の四月の
東アジアの
経済統合というシンポジウムでしゃべれと言われまして、僕は
経済学者じゃないんで嫌だと言ったんですけれども、
経済学者で
アジアの
ITに特化して議論というか研究をがんがんしている人ってめったにいないですね、
佐賀先生。ほとんどいないです。これ、ですから、中国、韓国、台湾、みんな呼んだ国際シンポジウムやったんですけれども、だれも議論できないということで、なぜだと。
IT産業全体が例えば
アジアの中で、先ほど
佐賀先生のお話にもあったように、非常に大きなウエートを占めているにもかかわらず、それがどういう、なぜそういうふうになっているかとか、じゃ、どうすればいいかということについて研究している人はほとんどいないというのが実態でございます。それで、しようがなくて、私は別に学者でも何でもないんですけれども、引っ張り出されて、いろいろ議論をすることになっているんです。
それで、そういう、先ほどのデータなんかを示すと、韓国や台湾の
学者たちも知らなかったから一緒に議論しようというようなことになって、でも、じゃ何でそんなにブロードバンドが伸びていったのかということはなかなか説明が難しいわけです。普通でいえば
経済力、
経済的に豊かであればそういうのもどんどん入る、
インフラもあればパソコンも買えるしということで、と考えられるんですけれども、必ずしもどうもそうじゃない。
あるいは、じゃ国が積極的にe―Japanとかサイバー・コリア21とか、そういう
政策を打ち出せば、
皆さんが仕事をされて、お役所と一緒にそういう
政策を作っていけば
普及するのかと、どうもそうでもないらしいというふうに思います。むしろ、社会制度とか
文化とかあるいは国民性、気質とか、そういったものの方が大きな
影響があるんじゃないかというのが私の仮説でございます。
インターネットそのものでも今、
東アジア、特に香港が一番高くなっていまして、これ携帯の
普及率も大体似たようなものですけれども、
日本は少なくとも去年の
段階では四割ぐらいでありまして、数値でいうと
東アジア諸国よりも少し落ちている、台湾と同じぐらいということでございます。
世界でいうと、スウェーデンとか北欧系が一番
普及率高いんですけれども、ほぼ
数字変わらないところにもう来ているということが言えると思います。これ、GDPパーキャピタとか、後で見ますけれども、そういうのを見ると、非常に面白いことが出てきます。
ただし、
アジア全体でも、このブルーにしてあります香港、台湾、韓国、シンガポール等は五割を超えていますけれども、
日本がその次で、その次に
マレーシアがちょっと特異
現象で二四%の
普及率で、ブルネイ一〇パー、タイ五パー、中国二パー、今、中国はちょっと
数字が上がって四パーぐらいまで来ていますけれども、その先は
デジタルデバイドで二%、一%、〇・何%ということで、
アジアの中でも国別の
普及率も非常に違う。もちろん、さっき
佐賀さんが言われた、首都と、あるいは
都市と農村、あるいは田舎との差というのも非常にあります。
ただ、
インターネットの方は、相対的に見ますと、GDP、一人当たりのGDPと
インターネットの
普及率というのは大体並んできます。例外は
日本です。
日本だけは
経済力に比べて
インターネットの
普及率は遅い、低い、これははっきりしております。もう
一つ挙げるとブルネイですけれども。
韓国は逆に、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、指数的に取りますと、一人頭のGDPよりもネットの
普及率がはるかに高い。
数字というのはマジックですから、これは韓国は非常によくやっているという言い方をすることもできれば、反対に、別にそんなに
インターネットなんか使わなくたって
日本はGDPは非常に高い
数字を上げているじゃないかと。だから、余り
コンピューターと
ネットワーク使わない方がGDP上がるということが
日本を基準にすれば言えますし、韓国を基準にすれば逆のことが言えるということになるかと思います。
ただし、ブロードバンドで見たときに、まだ
普及度が短い、歴史が浅いですから、必ずしもこういういろんな要因をきちっと固まった
数字で説明するのは難しいんですけれども、それにしても、そんなに
経済発展の度合いとブロードバンドの
普及度との間の相関関係は余りないかなというふうに今のところ言えます。
例えば、
アメリカがGDPは非常に高いんですけれども、それほどブロードバンド伸びていませんし、
日本もシンガポールもそうであると。ところが、香港、台湾もそうですが、韓国は非常に伸びたと。ここに書いてございませんけれども、中国でいいますと、中国を
一つの国として比べるの、少なくとも香港や台湾まで一緒にして比べるのはむしろアンフェアでありまして、
上海、北京、それから杭州等の地域だけで見ますと、二%とか三%ぐらいのところに既にブロードバンドで
数字が来始めています。
じゃ、
経済的な要因から説明できないとしたら、じゃ何なのかということを少し韓国の事例で見てみたいと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、去年の秋に一千万人を突破して一千百万、世帯
普及率でいうと六割を超えているということでありまして、国民の六割以上がブロードバンドを日常的に使っている。なぜなんだと。
最初の引き金は、大体、いろんな説があるんですが、ゲームPC房と呼ぶんですけれども、町に失業者があふれ始めて、しようがなくて始めたゲーム
センターに何となく学生とか子供たちが行き始めて、でも夕方からというか、午後か夕方から子供たち来るんですけれども、それだけじゃ飯が食えないというか、回転が悪いですから、昼間は、じゃ朝は主婦とか、それから夜、ビジネスマンも来るようになって、ゲーム好きであるということもあったんですけれども、別にゲームだけじゃなくて、ちょっと株を買うとかメールを出すとか、そういったたわいもないことも含めてみんなが使うようになった。今、大体二万から三万軒あると言われていまして、先ほど申し上げたように、
人口が
日本の三分の一ですから、
日本にすると、六万軒というと、
日本のコンビニが大体今、少し減ったのかな、六万あるかないかですね、五万幾つとかということで、少なくとも
日本のコンビニぐらいには犬も歩けばゲーム
センターというか、PC房にぶつかるというのが韓国の実情であります。最近、ちょっと落ちてきているんですけれども、これは家庭にどんどん入っちゃったんで、何も町になくてもいいんじゃないかということでこうなったんですけれども。
最初のころは、もうずらっとみんな並んで使っているんですが、高速の
ネットワークの言わば家庭に入る前は、ブロードバンドがまだ余りなかったころは、町に行くとすごく速い
インターネットがんがん使えると。これは非常に気持ちいいということで、
皆さんもそうだと思うんですけれども、速いパソコンを一遍使い始めますと、遅いパソコンというのはみんな使わなくなるんですね、どうしても。というようなことで、これも百聞は一見にしかずでそういうことが起きてきた。
ゲームもいろんなゲームがありまして、花札、マージャン、何でもござれでありまして、別に賞金が出たりしないんですけれども、一人一人、みんなニックネームとかそういうのを持っていて、何か名誉を競う。あいつが何かハイスコアを上げたとか。僕の友達で韓国で初めて
インターネットのプロバイダーを始めた人間がいるんですけれども、去年会ったら、うちの母親が、もう七十近い母親が
インターネットを始めたと。メールなんかやらないんだよねって、トランプばっかりやっているというんで、何か町のマージャン、雀荘に通うみたいな感じなんですけれども、主婦の暇つぶしも含めて。でも、必ずおしゃべり、チャットというのが一緒になっていまして、何となく世間話をしながらやるということで、中国でも町のゲーム
センターへ行きましたけれども、やっぱり高速系と低速系と
二つあって、高速系の方が料金高いんで、そっちは満員で、低速系はそうでもなくて、マージャンをやったりとかそういうことも起き始めています。
ゲームなんかでって
皆さんばかにされるかもしれないけれども、これをばかにしたかしないかが韓国のある
意味で分かれ目でありまして、韓国の文部省が
最初のころに、青少年が町で夜も遅くまでゲーム
センター、つるんでいるのはけしからぬから規制しようということを言ったんですけれども、情報通信部が、いや、そういう必要はない、彼らの中から新しい
IT化が進んで
コンピューターが少なくとも使えるようになるのはいいことじゃないかということを金大中含めて言ったわけでありまして、規制しなかった。そうしますと、こういうふうにどこでも
ネットワーク状態で国じゅうにあふれているわけですけれども、どんどん
普及していった。
私の考えでは、少なくとも韓国の場合は、国の
政策は
原動力にはならなかった。今、情報通信部へ行きますと、省と書いてあります、部ですね、違います。我々は、サイバー・コリア21というのがあって、自分たちの
政策の正しさが証明された、すごいだろうということを、多分
皆さんが訪問されてもおっしゃると思います。私が九八年ごろに、ここ数年間で七、八回行っているんですけれども、会ったときの説明というのは、いや、どうしてこうなったかよく分からない、だれもそんなこと
計画しなかった、偶然が起きたので説明はできないということで、今日持ってきませんでしたけれども、私がおととし書いた「
アジアからのネット革命」という本に詳しく書きましたけれども、その原稿を韓国の
人たちに見せたら、うん、大体そうかなという感じですけれども。
もちろん、通信への競争導入とかベンチャー
育成とか、そういう
政策もありましたけれども、例えば実態でいいますと、九四年からKII、コリア・
インフォメーション・
インフラストラクチャーということで、
アメリカのゴアの向こうを張って、NIIの向こうを張って、
情報インフラをどんどん作るんだということで、かなり国も優遇策を出して、投資をして国じゅうにファイバーとか引っ張り回したんですけれども、そこへやってきたのが
経済危機で、想定していた需要が消えちゃったわけですね、言わば。設備は打ったけれども、お客さんはいない。そこへ競争を入れたものですから、何が起きるかと、価格破壊で、先ほどのPC房の専用線、
インターネットの高速の線というのを非常に安く買ってくれという形で入っていって、家賃よりずっと通信回線の方が安いというようなことになりまして、そういう要素で、言わばある
意味では
政策的なエラーといいますか、あるいは危機が来たことがむしろ
プラスになったということで、一番大きいのは、
経済危機による危機感、もう自分たちはやっていけなくなるんじゃないかということを、ずっと
日本を追い越せ追い付けで来て、うまくいったと思っていたのが突然やっぱりそうじゃなかったということで、挫折したわけですね、あるいは自信を失った。
その中から立ち上がっていく中で、とにかく自分たちは何とかしてこの危機を乗り越えていかなければならない。たまたまPC房が当たったわけですけれども、そうすると、彼らは早いネットがいいなということで家にも欲しいと。たまたま韓国の人は、大体
人口の四割以上が高島平みたいな団地に住んでいます。たまたまそこの
電話設備は韓国
電話会社のものではなくて、団地のディベロッパーか住民たちのものである。そうすると、ADSLという高速の
インターネットの線を普通の
電話線を使って引くんですけれども、そのときに韓国
テレコムの、コリア・
テレコムの許可が要らない。
日本の場合には、総務省さんが大分いろいろやって、嫌がるNTTにちゃんと回線開放をしろ、相互接続をしろということを全部作って行政指導をやって、訴訟が起きて、やっとみんなが入れるようになっていったわけで、その先鞭を着けたのがヤフーBBですけれども、ヤフーも韓国の実例はよく知っています、孫さんも含めて。韓国は、コリア・
テレコムは嫌だと言っていたんですけれども、自分のものじゃないものをつなぐなと言えないわけですから、いつの間にかどんどんハナロとかスルーネットという新しい会社につながれて、ある
意味で仕方がなくてコリア・
テレコムも始めて、
最初のうちは全然やる気なかったんですけれども、やってみたら意外と、これは少なくとも負けるよりはいいということで、今は完全にコリア・
テレコムが
シェアを握っておりますけれども、そういうようなことが起きている。
ゲームのほかに、最近はちょっと有料化も始まっていますけれども、KBSとかSBSとか、全部の
放送局の全部の番組が
インターネットでただで見れたことがずっとありまして、それからポルノがかなりはやった。先ほど申し上げた株も、個人のオンラ
イン取引が、
インターネットが全体の取引の半分以上ということで、機関投資家よりも個人投資家の利用が非常に高いと。ただし、先ほど申し上げたように、その裏にはやはり、もう
英語と
インターネットが使えなければ食っていけないと親たちは思って、子供たちにどんどんやる。ですから、隣の家が
インターネットを入れていれば、自分ちも入れる、ブロードバンド入ったらブロードバンドは入れる。宿題が出てきますから、片付けるためにはやっぱりネット使わなきゃならないというようなことはもう当然であります。
英語もそうですね。最近の、ですから韓国の人は物すごく
英語がうまくなっていますね。
それから、政治家もネットで
評価が決まるということで、例の落選運動のときも、あれ
インターネット使って相当積極的に市民運動の
人たちがこの政治家はけしからぬということを流していったわけで、止めようがなかった。今度の、
御存じだと思いますけれども、盧武鉉の場合でも、
最初は与党の中でもそれほどランク高くなかったのが、ネティズンたち、韓国ではネティズンというのはごく日常用語になっていますけれども、彼らの支持、二十代、三十代の若者たちが支持をして、勝手連というよりももう少しうまくオーガナイズをして、資金も集まりいつの間にか
トップに躍り出て勝っちゃったわけですけれども。
逆に言いますと、六割の
普及率があるということは、テレビの視聴率とは言いませんけれども、
皆さんですと多分テレビに出て何を言うかということが一番ある
意味では
影響力、もちろん選挙区で、参議院の方はそうでもないのかな、よく分かりませんけれども、選挙区でのお話も大事だと思うんですけれども、お付き合いも大事だと思うんですけれども、テレビで少なくとも
マイナスされたら非常にまずいでしょうし、やっぱりいいこと言っていれば反応が高いと思うんですけれども、その有権者がテレビより
インターネット見ていたらどうしますかと。
ある
意味では、韓国は議論型の掲示板とかそういうところは非常にはやっていまして、市民が自分でどんどん議論をするという。これはまだ初めて民主選挙を行ってから十年しかたっていない国ですから、その前は牢屋にぶち込まれるか殺されるかという
時代、少なくとも好きなことが言えなかったわけですから、ちょうどパソコン通信から
インターネットが登場してきたときに、韓国の場合には、それが言論の自由あるいは政治活動の自由と言わば結び付いた。そういう
意味では、必ずしも韓国の例が
世界じゅうに適用されるかとか、あるいは
日本にそのまま来るかというのは分かりませんけれども、しかしみんなが使うようになってメディアとしての
影響力を持っているとすれば無視をできないということで、閣僚候補千人ぐらいも
インターネットで盧武鉉さんは募集したと言っていますし、またそういう姿勢を示すことが非常に重要であると。
もう
一つ、
最後に、パリパリという、韓国語で、僕もよく知らないんですけれども、急げ急げとか早く早くという
意味で、彼らは何でもすごく忙しいというか急ぐということで、食堂でも料理出てくるのを待てないとかというんでブロードバンドもどんどん入れちゃったという、そういう話もあるかもしれません。
対比的に言いますと、そうやって韓国でできていることがどうして
日本じゃできないんだろうか。いろんな理由があると思うんですけれども、少なくとも、先ほど
佐賀先生も
最後に言われましたけれども、韓国の場合には基本的には社会改革というのを進める、そこに
電子政府とか
インターネットの利用というのも組み合わせるということで、前ソウル市長がソウルの市政改革をするときに
電子政府というのを入れて民願システムというのを導入していますけれども、住民が例えば建築許可を取るとかいろんなことをするときに、申請がもちろん
インターネットでできるだけじゃなくて、他人がどこまで申請しているかというのをチェックすることができるとか、あるいは自分の申請が今、委員会のどこまで行ったかということのチェックができるということで、返事が四十八時間以内にしなければいけないとか、そういうことで市政改革団の団長の人が
電子政府の、ソウル市の
電子政府の担当者をしております。その積極的に進めた人が総理大臣に今度なったというような
状況の違いがあると思います。
皆さんの中で随分いらっしゃっている方多いと思うんですけれども、私は是非行って、百聞は一見にしかずで見て
経験されることを韓国との関係では
お願いしたいと思いますし、それが
日本、韓国だけじゃなくて、今ですと香港とか
上海とか台湾にも非常に大きな韓国効果とでも言えるようなことを言えるのかなと。去年も香港、
上海へ行きましたけれども、すごく人気があるんですね、韓国のテレビとか音楽とかドラマ。
政府が結構補助金を、実は韓国
政府のコンテンツ
戦略があるという説もありますけれども、それだけでは説明できない。この間、リバイバルやっていた「おしん」みたいな人気ドラマが随分出てきているわけで、共感を呼んでいるわけですね。
それが、よく見ればゲームとかアニメとかDVDとかカラオケとかプリクラとか、そういうものは
日本とか韓国とか台湾とか香港ですごくはやっている共通のものがあるような気がしまして、恐らくこういった
文化性というかあるいはビジネスというのは、必ずしもハリウッドにこだわらずに、日中韓あるいは東南
アジアも含めて生まれてくるんじゃないか。ですから、それは必ずしも
政策というよりもマーケットあるいは市民たちの声に動きが同調してくるんじゃないかというような気がしていまして、それが今後の
東アジアの大きな流れになるかもしれない。
これに比べますと、私も行っていた
マレーシアとかシンガポールというのは若干、熱心にはやっているんですけれども、今壁にぶつかっているかなという感じがありまして、特に
マレーシアはマルチメディア・スーパーコリドールということで、特区というのを呼び掛けて、マハティールさんが九六年に言い出して、ところが九七年の
経済危機でかなり激しくス
トップせざるを得なくなって、私の記憶では、たしか
沖縄のこのころ特区構想というので、
マレーシアの通信特区みたいのを
沖縄でも展開できないかなという議論をされて、前の知事さんがいらしたりしたのを覚えていますけれども、そういう大胆なビジョンを先に打ち出そうとした。ただし、製造業は強いんですけれども、
ITは必ずしもまだ十分
マレーシアは自分のものにはできていない。それから、
電話会社が非常に問題が多いというようなことで幾つか問題点もあるんですけれども、少なくとも国力に比べれば頑張っているということで、原野の一角を切り開いて、この場合には首相府を先頭にして役所が全部今移動し始めていて、大学を作りということで、人材をつくり、
日本からも若干の協力はしていますけれども、そういうプロジェクトが動いている。
これといつも競争しているのがシンガポールなんですけれども、ブロードバンドを実は
世界初めて本格的に入れたのはシンガポール、九五年から六年に掛けてやったんですけれども、少し早過ぎたことと、それから
インターネットの本質というのを十分よく分かっていなかったということで、従来型のメディアに近い形で仕掛けたものですから、必ずしも需要が付いてこなかったということで、シンガポールでは
政府の批判をすると罰金とかいうことで、なかなかシンガポールの人は本音で言ってくれないんですけれども、かなり問題は多かったと思います。
そういう
英語のペーパーを書いてシンガポールの人にも送ったんですけれども、この前、そしたら役所の人が、おまえのペーパーすっごい評判悪いんだよね、というか、おまえ評判悪いんだよね、来てくれと言われまして、特区だけは是非話を聞きたいということで、来いということを言われておりますけれども、やっぱりうまくいった例だけで見ていちゃいけないわけであります。
それから、
最後に二点ありまして、是非議論も御一緒にしたいと思うんですけれども、
一つは、
佐賀先生も言われた
デジタルデバイド。本当に、それじゃ、貧しい国が
世界じゅうにあって、
世界の七人に一人が飢えているというときに、
沖縄サミットでぶち上げたのは、
一つは、このままいくと更に
格差が拡大してしまう、
IT革命で
ニューエコノミー、
インフレなき
成長で、
アメリカを先頭にして、富める国は富めるようになる、じゃ、その
デジタルデバイドの反対はどうなるんだ、それでいいのかということがあります。
もう
一つは、上手に
ITを応用すれば貧しい国でも、韓国も、ある
意味ではその
経済水準に比べれば
IT化が進んで、その結果、今
IT産業、サムソンを先頭にして非常に調子がいいわけですけれども、そういったことを
途上国でも何とかできないだろうか。ある
意味では、少なくとも設備投資ベースでいうと、半導体の工場を造ったり、車の工場を造ったり、化学プラントを造るよりは、パソコンと
インターネットを引く方がはるかに安く、はるかに大勢の人に直接手に触れる手段を提供することができる。
ただし、それでもって、これはよく
JICAとかJBICさんなんかとの議論にもなる、あるいは
外務省さんとの議論にもなるんですけれども、じゃ本当に水や健康もままならないようなところにパソコンなんて、そんなのぜいたくじゃないかとかいうことをよく言われるんです。我々も、必ずしもストレートに
インターネットを
普及させればみんながすぐ貧しさを脱却できるとは、少なくとも短期間では言えない。
しかし、
日本でも、人材あるいは教育が充実していたからここまで
成長してきたということが言えるとするならば、あるいは国づくりを進めようとしたときに必ず必要になるのは、いわゆる専門職、例えば学校の先生であったり、医者であったり、看護婦であったり、様々なエンジニアであったりというような
人たちが、今一番安く先端の
技術を身に付けたり、あるいは現場で使えるようにするためには、
ネットワークにつながっているということは非常に重要かなと。
アジアの各地に参りますと、
電話回線が必ずしも十分になくても、パソコンがなくても、これはネパールのポカラなんですけれども、
インターネットのお店が一杯ありまして、
電話一本で、パソコン一台で、みんなで順番に使っている。考えてみれば、自宅のリビングルームに
電話とパソコンを置いておいたって、みんな外に働きに行くわけですから、使える時間なんて限られているわけですけれども、それに比べれば、町じゅうの
人たちが共有することによって、テレ
センターとかコミュニティーアクセスというふうによく言われていますけれども、みんなでこれを使い回す。
最初、これは観光客向けにやっていたんですけれども、ホテルが
外国人観光客を、一日二十ドルで売るときに、代理店に、少なくとも
日本や
ヨーロッパの代理店にそんな手数料二十ドルの中から渡したら残らなくなっちゃうわけですから、
インターネットでウエブを作れば、ほとんどお金掛からなくてお客さんを集めたりする、予約を取ったりすることができると。
その後、チモールに、東チモールに参りまして、これ、
国連で担当している人間がどうしても来いというんで、ちょうどあの百五十億ドルをぶち上げたころだったんですけれども、その直後に行ってきました。
ところが、なかなかこれは難しい問題があって、もう
電話回線も完全に破壊されて、ひどい
状況だったんですけれども、その中でも、飛び地がありまして、西の方、ヘリコプターに乗せられて、誓約書を書かされて、飛び地の先まで行ったんですけれども。そうすると、
現地の人が
インターネットを使っている、これは公共交通機関も何にもないところですけれども。ということで、
外務省の方は、いや、
会津さん、まだ
インターネットとかパソコンはチモールではぜいたくである、早過ぎると言って、必要ないと。そういうプロジェクトやる必要はないということだったし、
国連でもなかなかうまく通らなかったんです。行ってみると、みんな使っているわけであります。
これをどう考えるのかということで、そういったことを含めて包括的に、
沖縄サミットの後にG8ドット・フォースというのができて、我々も、その中でGLOCOMとして、非営利法人、NPOの代表で付き合えということで、随分議論をしました。
それから、カンボジアにも行って、左は大使館で、大使とお会いしたんですけれども、
経済的なこと以前に、カンボジアの文字であるクメール文字というのがカンボジア人が全然いないうちにいわゆる
技術標準を決めちゃったもので、非常に使いにくいものができて、一遍作ったらもう変えられないということで、これもさんざんもめたんですけれども。
こういうときに、やっぱり
経済的な問題だけじゃなくて、いわゆる知的分野といいますか、
技術分野とかそういうところでの
途上国の
意見とか声というのが入らないと、先にゲームのルールを決められちゃ、例えば
電子商取引とかもそうですしポルノの規制とかもそうなんですけれども、
先進国側のルールだけでいろんな枠組みを作っておいて後からおいでとやると、間に合わなくなってしまう、あるいはうまく合わないので、そういったところにも注目すべきじゃないかということを我々はドット・フォースの中で随分訴えてまいりました。
ただし、もう時間がないのであと議論にしようと思いますが、あの百五十億ドルは何だったのかということをどこへ行っても聞かれます。当時から聞かれたんです、どうやってもらえるかというのから始まって。これに対して、少なくとも
皆さんを満足させるようなお答えが出ているとは思えませんし、大変申し訳ないんですが、我が国の体制は無責任であるというふうに私も思っていますが、そう思っている声は強いです、なかなか言わない人は多いですけれども。
それで、産業界も今の景気ですからほとんど、お金が入ってくる方はいいかもしれませんが、お金にならない。それから、
IT分野での
日本の競争力というのは大変低いですから、そういう
意味では、こういったことにコミットしようとしないということで、花火は打ち上がったんですけれども、今、じゃ何が本当に行われているのかということで見ますと非常に問題は大きいというふうに思います。
欧米
政府その他からも、ああいう
数字だけ出されちゃって自分たちが十億ドル出すと言っても全然相手にされないと。だけれども、実際には、今になって、じゃ
日本政府は何をしてくれているのというときには、もちろん
外務省から御説明あると思うんですけれども、少なくとも現場の実感としては非常に
数字は目に見えないというふうに言われております。
唯一の成果と言われているのがマルチステークホルダー。NPOも一緒に入って、国や
政府と、あるいは民間と一緒にいろんな議論をしたということは我々もそれを実感として感じましたし、そういう機会を与えてくれたことには感謝しているんですけれども、実際の実行ベースではその資金的なコミット、根拠がほとんどないままに進められているものですから、それに対する不満、批判はかなりございます。
そういったことを含めて、
最後に、グローバルガバナンスということで、添付資料の方に随分書いたものをお渡ししていますので詳しい御説明は省略しますけれども、今までですと、
ITUとか、いわゆる国際組織が、
国連の条約機関、WTOとかそういうところを含めて決められている議論が多かったんですけれども、最近はもう
インターネットの
世界でいいますと、そういう国対国で約束を作って基準を決めていくということが非常にしにくくなっている。
電子メールは国境をどんどん越えちゃいますし、
技術者もそういうことこだわらないということで、ICANNとかIETFとかW3Cとか、ちょっと舌をかみそうな
名前の組織が幾つもできていまして、こういうところが、
皆さんが使っている電子メールの何とか何とかアットドットjpとかドットコムとかというのはどうやってルールを決めるかとか、そういうことのルール作りをやっている、あるいは実際の管理をしているということでありまして、
日本からの参加もないわけじゃないんですけれども足りないですし、
途上国からの参加は非常に少ない。どうやってこういうところで決めるのか。一国一票では必ずしもうまくいきませんし、そうかといって、お金を出しているところが、マイクロソフトがすべてを牛耳れるのかというとそうもいかない。
ということで、
最後に、
世界情報社会サミットというのが今年の十二月にジュネーブで開かれると。これは、
政府は一生懸命かなりまあまあやっているんですけれども、議員さんが非常に少なくて、最近になってパーラメンタリアンということで、市民社会の
一つのセクターに、二十一あるうちの
一つにパーラメンタリアンというのを入れようということが決まったんですけれども、それでいいのかなというふうに思います。これは
国連がやるサミットで、是非
皆さんの中からももっと御関心を持っていただきたいと思うんですけれども。
やっぱり
デジタルデバイドをどうするかということが
一つの動機になっていまして、情報社会が登場するときのあらゆる問題を議論しようということであります。ただし、先ほど
佐賀先生もちょっと言われたように、今年の一月に、この間、
東京で
アジア太平洋の地域会合、総務省さん、
外務省さんがホストとしてやったんですけれども、台湾のNGOを認めるかどうかで大もめにもめました、私も直接そこ巻き込まれましたが。そうはいいながら、実質的にはNGOが非常に前向きに参加をできた、
日本政府もそれを許したということで、海外からは非常に高い
評価を受けております。
そういったことを含めて、本当にやはりリーダーシップを取ってほしいというのは、
アジアの
各国から特に
ITの分野でもあるんですけれども、それだけの体制ができているんだろうか。やっぱりそれだけの人材が
日本の側にいるのかというようなことでいいますと、私は非常に悲観的に考えております。
東チモール、それからカンボジアへも行きましたけれども、悪く言いますと、
アメリカが爆弾を落とすと後から
インターネット引きに行かなきゃいけないんですね。コソボでもそうでした。そのときに、
国連の枠組みでも、
国連の自分たちの
インターネットは引くんですけれども、先ほど申し上げました復興支援とか国づくりということになるとそういう枠組みがなかなかなくて、
外務省さんもやっと最近アフガニスタン、地雷撤去とそれから非武装化というプロジェクトの中に何とか
インターネットも入れられないかということをやっています。
アフガニスタンの通信大臣も一月に来られて、僕もいろいろ議論しましたけれども、国際社会でもやっぱりそこまでなかなか手が回らない。次これ、イラク終わればイラクでも
インターネットを作り直さなきゃならないし、北朝鮮だってどうするかという問題があるので、こういったことを、後から悲劇を繰り返させるんじゃなくて、もっと率先して、先取りした形でのプロジェクトをやるということが必要かなというふうに思います。そういうことをきちっとやることが我が
日本の国益を実現することにもつながるんじゃないかと思います。
ちょっと時間は過ぎたようでございますので、舌足らずですが、私のお話はこのぐらいにしたいと思います。