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1997-11-18 第141回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十八日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 赤松 広隆君   理事 荒井 広幸君 理事 田野瀬良太郎君    理事 西田  司君 理事 根本  匠君    理事 坂本 剛二君 理事 宮本 一三君    理事 桑原  豊君 理事 中島 武敏君       佐藤  勉君    滝   実君       棚橋 泰文君    西川 公也君       野田 聖子君    平沢 勝栄君       茂木 敏充君    渡辺 喜美君       神田  厚君    旭道山和泰君       中川 正春君    山中 燁子君       玄葉光一郎君    前島 秀行君       岩國 哲人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長         兼国会等移転審         議会事務局次長 林  桂一君  委員外出席者         参  考  人         (国会等移転審         議会調査部会部         会長代理)   石原 信雄君         国会等移転に         関する特別委員         会調査室長   白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十八日  辞任         補欠選任   下村 博文君     平沢 勝栄君 同日  辞任         補欠選任   平沢 勝栄君     下村 博文君     ――――――――――――― 十一月十日  首都機能移転計画延期反対等に関する陳情書  外一件  (第四三号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件      ――――◇―――――
  2. 赤松広隆

    赤松委員長 これより会議を開きます。  この際、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。亀井国土庁長官
  3. 亀井久興

    亀井国務大臣 このたび国土庁長官及び首都機能移転担当大臣を拝命いたしました亀井久興でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  国会等移転は、来るべき二十一世紀を展望した極めて重要な課題でございます。また、国土の災害対応力の強化、東京一極集中の是正に大きく寄与し、国政全般改革と深くかかわる大変意義深いものであると認識をいたしております。  衆議院におかれましては、平成二年十一月の国会等移転に関する決議を初め、平成四年十二月の国会等移転に関する法律の制定、さらには平成八年六月の同法の一部改正等、本問題に積極的に取り組んでこられました。政府といたしましては、このような取り組みに対して深く敬意を表する次第でございます。  国会等移転に関しましては、昨年十二月以来、国会等移転審議会におきまして、移転先候補地選定に向けた調査審議が精力的に進められております。現在は、調査対象地域設定等に関する検討が行われているところでございます。  なお、本年六月の財政構造改革の論議の結果、財政構造改革期間中は原則として新都市建設事業に対する財政資金投入は行わないこととされましたが、移転先候補地選定等の必要な検討は引き続き進めることとされたところでございます。  これらの経緯を踏まえながら、国土庁といたしましても、国会等移転審議会の円滑な調査審議に資するための各種調査を着実に推進してまいります。また、国民的な合意形成の促進に努めまして、国会等移転の一層の具体化に向けて積極的に取り組む所存でございます。  赤松委員長を初め各委員の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)      ――――◇―――――
  4. 赤松広隆

    赤松委員長 次に、国会等移転に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として国会等移転審議会調査部会部会長代理石原信雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤松広隆

    赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  6. 赤松広隆

    赤松委員長 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序ですが、まず石原参考人から二十分程度意見をお述べいただき、その後委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  御発言着席のままで結構でございます。  それでは、石原参考人にお願いいたします。
  7. 石原信雄

    石原参考人 国会等移転審議会委員で、調査部会長代理をしております石原でございます。  本日は、当特別委員会にお招きをいただき、私ども国会等移転審議会調査審議状況について説明する機会をいただきまして、まことにありがとうございます。  国会等移転審議会は、昨年十二月の初会合以来、本日まで、八回の審議会と五回の調査部会を開催し、国会等移転先候補地選定等について鋭意調査審議を進めているところであります。  六月十日に開催されました当委員会におきまして、五月までの調査審議状況について有馬会長代理より御説明する機会をいただきましたが、本日は、その後の経過課題ごと検討状況中心に御説明申し上げます。具体的には、六月以降の審議会及び調査部会開催経過を御紹介した上で、調査対象地域設定移転費用モデル的試算首都機能移転に係る文化的側面、新都市像具体化などの検討課題ごとに、これまでの検討結果も交えつつ御説明申し上げます。  それでは、まず初めに、六月以降現在までの審議会及び調査部会開催経過について、回を追って説明申し上げます。参考資料1を御参照いただきたいと思います。  六月二十日に開催いたしました第六回審議会におきましては、財政構造改革をめぐる経過議論について国土庁長官から説明が行われ、意見交換の後、国会等移転審議会の今後の運営方針について確認をいたしました。  その内容といたしましては、国土庁長官から、財政構造改革の推進に関する閣議決定を踏まえ、六月六日の閣議において、財政構造改革期間、すなわち一九九八年から二〇〇三年度は原則として新都市建設事業に対する財政資金投入は行わないこととし、今後とも移転先候補地選定等必要な検討を引き続き進める旨の発言を行ったことが報告され、これを踏まえて、現在までの審議状況を考えると、まだ課題が山積していることから、必ずしも来年秋の答申にこだわることなく、さまざまな検討課題について十分な調査審議を行うことといたしました。  また、交通計画について調査部会森地専門委員から説明を受け、意見交換を行いました。  さらに、本年一月に実施されました首都機能移転に関する総理府世論調査の結果について事務局より報告が行われました。調査概要につきましては、参考資料2としてお配りしておりますとおりでございます。  次に、七月八日に開催いたしました第三回調査部会では、第六回審議会で確認された国会等移転審議会の今後の運営方針について有馬部会長から報告を行いました。また、移転費用モデル的試算について調査部会としての検討結果の取りまとめを行い、七月二十二日の審議会報告することといたしました。  また、詳細な調査を行う複数調査対象地域設定について、その進め方中心意見交換を行いました。  七月二十二日に開催いたしました第七回審議会におきましては、環境について調査部会井手専門委員から説明を受け、意見交換を行いました。また、移転費用モデル的試算について、調査部会取りまとめ案報告を受け、さらに追加的な検討調査部会に求めるということといたしました。  さらに、新都市の姿をより具体的に検討し、そのイメージを視覚的に示すことが必要であるとの意見を踏まえ、新都市像検討調査部会に求めることといたしました。  次に、十月二日に開催いたしました第四回調査部会では、引き続き調査対象地域設定について意見交換を行い、十月八日の審議会審議内容報告することといたしました。  また、新都市像検討について、その進め方検討を行い、調査部会ワーキンググループを設置し、石井幹子委員中心検討を進めることといたしました。  十月八日に開催いたしました第八回審議会では、情報通信について石井威望委員から説明を受け、意見交換を行いました。  また、首都機能移転に係る文化的側面について堺屋委員より検討結果の報告が行われ、意見交換をいたしました。  報告要旨参考資料5としてお配りしてございますので、その要点については後ほど御説明を申し上げます。  さらに、移転費用モデル的試算について、参考資料4としてお配りした内容により審議会結論とすることといたしましたが、その要点につきましても後ほど御説明申し上げます。  加えまして、調査対象地域設定について調査部会報告を受け、意見交換を行った結果、参考資料3-1としてお配りしてございます調査対象地域設定進め方を了承し、この進め方に従って調査部会において引き続き検討を進めることといたしました。その要点につきましても後ほど御説明申し上げます。  十一月十一日に開催いたしました第五回調査部会では、調査対象地域設定について検討を行い、十二月八日に開催予定の次回調査部会において部会としての意見取りまとめを行うべく、引き続き検討を行うことといたしました。  以上が六月以降の審議会及び調査部会開催経過概要であります。  続きまして、各検討課題ごとに、これまでの検討結果も交えつつ御説明を申し上げます。  まず、候補地選定につきましては、参考資料3-1をごらんいただきたいと思います。  前回有馬部会長より御説明いただきましたが、全体の流れを三つのタームに分けまして、第一タームにおいて、概括的な調査を行い、複数調査対象地域設定することといたしております。  調査対象地域設定進め方としては、まず、国会等移転調査会報告において挙げられている九つ選定基準を、一つは、日本列島上の位置等移転先位置条件に係る項目と、それからもう一つは、土地取得容易性等移転先の新都市開発可能性に係る項目の二つに分けまして、それぞれの項目について客観的な抽出条件設定し、この条件に適合する調査対象地域候補案抽出することとしております。  こうして抽出された候補地案については、機械的に抽出したものでありますので、第二ターム以降詳細な検討を行う必要がないと明らかに考えられる地域もあると考えられます。そこで、それぞれの地域ごと特性把握グループ分け及びグループごとに見た地域特性把握を行って、調査対象地域を絞り込むという作業も必要かと考えております。  他方、国会等移転調査会報告では、三百キロメートル以遠の地域検討についても、極めてすぐれた長所を有する地域については検討対象としておりますので、三百キロメートル圏の周辺地域地元地方公共団体等移転先候補地として表明している地域についても検討を加え、三百キロメートル圏内において抽出された調査対象地域との比較を行うこととしております。  このような作業を経て調査対象地域設定することとしておりますが、現在は、それぞれの地域特性について議論を行いながら検討を進めているところであり、十二月八日に開催予定の次回調査部会において部会としての意見取りまとめを行うべく、引き続き検討を行うこととしております。  次に、移転費用モデル的試算について、参考資料4により説明をさせていただきます。  首都機能移転に係る費用については、国土庁長官が主催した首都機能移転問題に関する懇談会平成四年六月の取りまとめにおきまして、最大で、人口六十万人、面積九千ヘクタール、費用総額十四兆円と試算されておりました。しかし、この試算におきましては、全体事業のうち、民間投資公的負担の範囲が分けて示されていないということ、移転事業は数十年の超長期にわたって段階的に行われるにもかかわらず、第一段階事業費について検討されていない、行政改革が行われ、行政機関移転規模が縮小した場合の移転費用について検討されていない、新幹線、高速道路空港等整備費用についても検討する必要があるなどの問題があり、このため、国会等移転審議会においては、これらの観点に加え、前提データなどを見直し、再試算を行ったところであります。  試算の結果の概要参考資料4の一枚目の表のとおりでありますが、今回の試算におきましては、当面の第一段階事業、すなわち建設開始後十年程度国会中心として移転する事業費用試算を行っております。  これは、移転の全体事業費試算については、数十年の超長期先の不確定要素が多い事業費を提示することとなる一方、第一段階事業費については、現実的な費用としての試算が可能であり、また、公的事業が先行的に行われ、各年の財政支出についても議論しやすいことによるものであります。  その結果、第一段階、すなわち人口十万人、面積千八百ヘクタールに対応した十年間程度費用総額としては四兆円となり、このうち、今後特に議論が求められる公的負担額については二兆三千億円となりました。  また、最終的な移転費用についても、平成四年の懇談会取りまとめとの比較検討も必要なことから試算を行っておりますが、移転規模については、現在の行政改革議論等を踏まえつつ検討する必要があるため、とりあえず、行政機関の二分の一が移転するケースとすべて移転する最大ケースにより幅を持って示しております。  具体的な試算結果については、参考資料4の表にお示ししたとおりでありますが、最大ケースの総費用としては十二兆三千億円、うち公的負担額については四兆四千億円、二分の一ケースについては七兆五千億円、うち公的負担額については三兆円となりました。  次に、首都機能移転に係る文化的側面検討について説明させていただきます。  首都機能移転については、その文化的側面を考察することの重要性審議会委員から提起され、本年五月以降、堺屋委員中心検討が行われ、十月八日の第八回審議会において、同委員より検討結果の報告が行われました。  その要旨参考資料5のとおりでありますが、報告におきましては、新都市たたずまいや人々のライフスタイルが日本人すべてにさまざまな影響を与えることを検討すべきであるとしております。特に、新都市のあるべき、または予想されるたたずまいについて検討を行い、新都市の個性として、軽やかな都市落ちつきのある都市ゆとりのある都市、新しい文化を体現する都市の四点を掲げております。  その内容の一端を紹介いたしますと、軽やかな都市とは、ビルが林立するような集中的な都市ではなく、政府威圧感のないような都市流動性が高く生涯定住者比較的少ない都市。次に、落ちつきのある都市とは、物質的、量的な豊かさよりも精神的、質的な豊かさを表現した町のたたずまいを持つような都市ゆとりのある都市とは、業務のリエンジニアリングや通勤時間の減少等により、余暇が充実し、家族とともにゆとりある生活が営まれるような都市。新しい文化を体現する都市とは、従来の日本文化を継承しつつ、独自の新しい日本文化を体現する都市といったものであります。  なお、検討結果については、今後、新都市像検討などに当たって参考とすることとされました。  最後に、新都市像検討について御説明申し上げます。  移転先の新都市像については、国会等移転調査会報告において、文章により幾つかの姿が記されているところであります。しかしながら、今後、委員の間で共通のイメージを持って候補地選定作業を進めるためにも、また国民的な議論を高めていくためにも、新都市の姿をより具体的に検討し、そのイメージを視覚的に示すことが必要ではないかとの問題提起審議会においてなされました。  このため、国会等移転審議会においても移転先の新都市像について検討することとし、調査部会石井幹子委員を座長とするワーキンググループを設け、検討を開始したところであり、来年春から夏ごろを目途検討結果を取りまとめることといたしております。  以上が国会等移転審議会の六月以降今日までの調査審議状況概要でありますが、第ーターム中心的課題である調査対象地域抽出に向けた検討もいよいよ本格化してまいりました。  今後とも、平岩会長のもと、国会等移転先候補地選定等についての諮問にお答えすべく、審議会委員一同調査審議に励んでまいりたいと考えております。  この問題は、我が国の将来に大きなかかわりのある重要なテーマでございますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
  8. 赤松広隆

    赤松委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
  9. 赤松広隆

    赤松委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします、発言は、着席のままで結構です。
  10. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 田野瀬でございます。  十二月八日に次の調査会が開かれるということでございました。今、御説明によりますと、委員意見取りまとめる、そういう表現でございましたが、それはもう既に調査対象地域を発表するということなのでしょうか。それを含めて、調査対象地域設定がいつになるのか、移転先候補地選定がいつになるのか、もう一度詳しく御説明いただければありがたいし、それぞれ何点ぐらいになるのか、どれぐらいの地域になるのか、想定されておられるのでしたら、それもお聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  11. 石原信雄

    石原参考人 先ほども申し上げましたように、参考資料の3-1にございますように、私ども部会としては、目下第ーターム検討作業を続けているところであります。  第一次作業検討の目標といたしましては、十二月八日の部会においてより詳しい調査を行うべき地点を絞り込んでまいりたい。現在は、何カ所をより詳細な調査を行う対象にするかまだ絞り切っておりません。これまで各地域について九つ選定基準を当てはめながら各地域特性等を明らかにする作業を進めておりますが、できればこれらの作業を集約いたしまして、十二月八日の調査部会において、最終的により詳しい調査、例えば現地調査とか、現地関係者のヒアリングとかを行うような対象地域を絞り込んでいきたいと考えております。  ただし、十二月八日にどういう結論になるかまだ予測できませんし、また、そこで部会として意見が集約できたとしても、対外的に決定するのはあくまで審議会の本会議でありますから、それは年明けになると考えております。
  12. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 その十二月八日に、名前は出てこない、地名は出てこないということですか。
  13. 石原信雄

    石原参考人 現在検討作業中でございまして、私は、部会として、内部の検討作業としての絞り込みは行いますけれども、対外的にここが候補地でより詳細な調査を実施する対象地域であるということを公表するところまで行くとは想定しておりません。具体的な地名が対外的にオープンになるのは、あくまで審議会の本会議で御議論いただいた上でのことではないかと考えております。
  14. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 さっき、移転先候補地選定がいつごろになるのか、何点ぐらいを想定しておるのかという質問をさせていただいたのですが、そのお答えがないのですが。
  15. 石原信雄

    石原参考人 最終的な移転先候補地選定につきましては、当初は来年秋ごろを目途と考えておりましたけれども、先ほど御報告申し上げましたように、その後、財政構造改革などとの関連もありまして状況が変わりましたことと、なお調査すべき事項がかなりたくさん残っているということでありますので、来年秋に移転先候補地選定まで行くということは考えておりません。  それから、その前の段階で、第二タームでより詳細な調査を行う対象地域が何カ所になるか、現段階では数字的にお答えするところまでは行っておりません。
  16. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 渡辺喜美でございます。  私が漏れ聞くところによりますと、この第三タームの終わり、つまり答申の時期が再来年の夏ごろであるという話がまことしやかに伝わってくるのであります。それで私は、この国会移転をぜひとも実現をしたいという立場から、若干の懸念を持っておるのでございます。  と申しますのは、今、行政改革ということで、一府十二省という大くくりの再編が決まるかどうかまだわかりませんけれども、仮にこれができたとしても、橋本総理がおっしゃるように一合目にすぎないわけでございます。  国と地方とのかかわりといったことについては、これは正直申し上げて、村山内閣のときに発足した諸井委員会の四次にわたる答申では非常に不十分なところがあるわけでございます。したがって、そういった国と地方との役割の見直しをどう進めていくかという極めて大きな課題は残されたままになっているわけであります。とするならば、国の基本設計図、国家の大改造の基本設計図ができないままに、再来年の夏に国会移転候補地を、一カ所か二カ所か三カ所かわかりませんが決めるということになりますと、一体どこからどこまで引っ越しをやるのだというところが決まらないのですね。  そうしますと、せっかく審議会答申をお出しになった、しかしこれは内閣総理大臣が仕事を審議会発注をしておるわけでありますから、総理大臣のどころに事前に御意向をお伺いするのかどうかわかりませんけれども、いずれにしても結論が出たら発注者に案を持っていくということになるのだと思います。としますと、御案内のとおり、政治的には慎重に検討するという閣議決定がなされているわけでありますから、審議会の案がたなざらしにされるおそれが非常にあるのではないか。また、この法律どおりに進みますと、東京との比較ということですから、ではもうこの際は東京に残しましょうということになりはせぬかという心配を私は持っているのでございます。  したがって、そのあたりのスケジュールと、審議会におかれて、日本構造改革、とりわけ行政改革との、あるいは地方分権との絡みでどのような討議がなされているのか、あるいは全然なされていないのか。もし石原先生のお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  17. 石原信雄

    石原参考人 まず、再来年の夏に対象地域選定するということについては、私自身全く聞いておりません。現在の審議会における審議状況は、はっきりしていることは、来年秋に対象地域選定することはもう無理である、そういうスケジュールではなくて、もっとしっかりした調査をしていこうということは確認してございます。  それから、この国会等移転の実行に当たりまして、移転する国会及び行政機関がどういう規模になるのか、当然非常に大きなこれは検討課題だろうと思います。ただ、私どもといたしましては、現段階では政府行政改革の像がまだ明らかになっておりませんので、審議会の場で行政改革を含めた国会等移転対象地域選定議論というのはいたしておりません。ただ、先ほど御報告申し上げましたように、移転費用試算につきましては、想定される機関の全部が移転するケースと、半分程度移転するケースについて、仮の計算をやってみたという程度でございます。
  18. 中島武敏

    中島(武)委員 私、一回だけではなくて何度か質問させていただきたいと思っているのですが、最初に石原参考人に伺いたいと思いますのは、移転先地選定基準についてなんです。  先ほどの御報告によりますと、調査会から報告されたのは九項目なんですね。そのうち、欠落しているものがあるのですけれども、例えば、その他の自然災害に対する安全性、地形等の良好性、水供給の安定性、これは何で欠落しているのでしょうか。
  19. 石原信雄

    石原参考人 先ほど御説明申し上げましたように、私ども第一タームにおきましては、移転先候補地抽出作業の第一段階として、移転先位置条件に関する要件を整理して検討をしております。  すなわち、具体的には対象地域日本列島上どういう位置になるのか、全国各地からのアプローチの要件がどういうことになるのか、その列島上の位置に関する要件、これが一つであります。それから、二番目は、新しい国会等移転先地東京との関連ということは非常に重要な意味を持ちますので、東京からの距離をどうするかという点、これが第二の要件であります。それから、第三の要件は、これからの国の行政の中心的な機能を果たす地域でありますので、国際的な交流条件が重要であるということで、国際的な空港の所在地との関連、距離の要件。それから、何よりも地震や火山に関する安全性についての要件。すなわち、具体的には、東京と同時に被災するような場所は避けるという意味で、地震、火山についての安全性についての要件。それから、既存の政令指定都市から一定の距離を置いた方がいいという意味での要件。この五つの要件が移転先位置に関係のある条件ではないかと考えております。その五つの要件をまず整理して議論しております。  それから、二番目のグループとしては、移転先地の新都市開発可能性についての要件であります。すなわち、具体的に土地の取得が容易であるかどうかという条件。それから、その地域の地震、火山に対する安全性、特に火山地帯であるかどうかという要件。それから、地形が良好であるか。すなわち、非常に標高が高いとか、あるいは非常に傾斜度がきついというようなところは避けるべきである、こういうような要件。これが移転先地の新都市開発可能性に絡む要件と考えております。これらの要件をそれぞれ整理して、対象地域検討を加えているところであります。  それから……
  20. 赤松広隆

    赤松委員長 参考人は、なるべく簡潔にお答えいただいて結構です。お願いします。  中島委員
  21. 中島武敏

    中島(武)委員 いや、私先ほどちゃんと説明はよく聞いておったのですが、水供給の安定性というのは何で除かれているのかな、これは全然ないなというふうに思うものですから。
  22. 石原信雄

    石原参考人 私の説明から落ちていたら、それは失礼いたしました。  水の供給の安定性というのは、当然移転先の新都市開発可能性の中の要件としてこれは含まれております。
  23. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっとよくわかりませんけれども、今のお話は。水以外は大体においてその他の自然災害という言葉は出てきませんけれども、入っていると考えてもいいかなと思います。だけれども、水供給の安定性の問題は、この項目だけ除かれているのはなぜなのか。
  24. 石原信雄

    石原参考人 第一タームのこのフローチャートの中で落ちておりますが、次の参考資料3-2の方の左側にあります。八番目。水供給の安定性、これは九つの要件の中に含まれておりまして、当然この要件は次の抽出条件検討のときに含まれてまいります。このフローチャートの中に表示していないというだけでありまして、これは考え方としては、より詳細な調査をする、候補地になった段階でこの問題を検討してはどうかと考えているところでございます。すなわち、第一タームでは水要件は一応外しておりまして、第二タームになってからこの問題も取り上げたらどうかという考え方でございます。
  25. 中島武敏

    中島(武)委員 なぜそういうことをやったのですか。これ一つだけ外しているというその理由がよくわからない。後から出てくると言いますけれども、初めから含めたらいかがなのでしょうか。
  26. 石原信雄

    石原参考人 候補地選定に当たりましては、九つの要件がございますけれども、それが全く同じウエートかどうかということで、この審議会議論としては、まず位置の要件と、それからその次の新都市開発可能性の中での、ここに挙げておりますような土地の取得ですとか火山の問題とか地形とか、こういう要件をある程度クリアしたところについて次のステップで水の要件を検討したらいいのではないかという考え方でございます。ですから、もちろん最終の移転先候補地選定段階までには、この水供給というのは非常に重要な問題でありますから、当然入ってまいります。  ただ、一番初めからないのはおかしいじゃないかという御指摘かもしれませんが、その選定の順番として一番先であるかどうかというのは、この審議会としては、最終段階でその問題を検討してはどうかという考え方に立っているわけでございます。
  27. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 石原委員、どうも大変御苦労さまでございます。精力的に審議会調査していただいておりまして、着々と候補地選定に向かって作業が進んでいるなという感じがいたします。とにかく国民も、関心のある国民はまだ少ないのですけれども、この話が具体化すると一気に加熱してくる、そういう要素をはらんでいるなと私は思いますので、どうかひとつできるだけ早く作業を進められ、しかも慎重にと期待いたすものであります。  私は、どこへ国会が行っても、今この東京にあるよりははるかに効果があるだろう、こう思っております。したがって、根底から賛成する者の一人でございます。特に、九項目選定条件もありますけれども日本国会というのはやはり国の中心日本民族のシンボルでなければならない。したがって、まあちょっと夢のような話でありますが、例の設計、これは国際的なコンペをやるのかなと思うのですが、これも、日本民族というものをよく承知、熟知した、そういう方々にぜひ設計に参加していただくような、アメリカ・ワシントンのように、最大の屈辱はあのワシントンの設計をフランス人に頼んだことだということでいまだに言っておりますけれども日本人も、近隣諸国にいろいろな問題を抱えておりますから、その辺もひとつ心していただきたいと思うのです。  そこで、東京に今まで何でもあって、なかった一つは温泉なのですね。日本文化は温泉文化だと一部で言われておりますけれども、国際社会の中でも、この温泉を日常生活にふんだんに取り入れた生活をしているのは日本ぐらいなもので、この温泉の効果というものは外国人も認めているようですね、その機会がないけれども。国際政治都市が真に心と心、人と人との触れ合いの場になるような意味でも、この温泉を多用した、そんな設計。よその国の議長さんが、議長在職中に一度日本へ行って国賓待遇ですばらしい体験をしたいと言うような、こんな夢のある温泉の活用。あるいは外交、防衛その他の面で国際的な高官の交流もそういう中から生まれていく、成果が生まれていくような、そんな場の設定なんかも必要なのじゃないか。そういうことであれば、日本列島どこへ行っても温泉は出ますからこれはまあ差し支えないのですが、そんな視点をぜひ取り入れていただきたい。  さらにもう一つは、北千住のお化け煙突という話、石原委員は存じていますか。常磐線に乗っていますと、北千住のお化け煙突という、角度によっては一本に見えたり三本に見えたり五本に見えたり、五本のものが一本、二本に見える場合がある。私たち、上京するのが子供のころからの夢だったのですね。日本国会、技術の粋を集めた国会ですから、見る角度によっては宙づりになっている国会議事堂というような感覚、しかもそれは、朝、日が当たるとなおそれが映えるとか夕日に映える、いろいろな日本の自然条件、日の本というこの国にふさわしい自然環境を備えたような、朝日と夕日に映えるような、私はそんな設計感覚もある面では必要なのじゃないかな、こんなようなこと。  ただ、この九項目は、これは基本的なことでわかりますけれども、さらに日本文化性というものを取り入れようという考え方や、この国の民族というものを国会都市に集約するのだということからすれば、そういう観点もあっていいのじゃないのかな、私はこんなような感じがいたすわけであります。そうすると、そんなような方面からも新都市候補地というものもある面では視点として入れていってもいいのじゃないか。  それから、これはだれもがわかっていることでしょうけれども、全国からやってくる修学旅行生のための国会である。今は全然それがなっていません。雨が降れば国会議事堂を中心に写真も撮れない、こんな国会です。ですから、ぜひ子供たちが中心になるような、そして、子供たちが大人になっても年をとっても国会へ三たび、四たび訪れる気持ちになるような、そんな国会をぜひ念頭に置いて、これからいろいろ励んでいただきたいと思います。  以上でございます。
  28. 石原信雄

    石原参考人 新しい国会所在都市イメージについて大変貴重なお話をちょうだいしたわけでありますが、先ほど御報告いたしましたように、私ども審議会としては、やはりどういうイメージ国会都市になるのかについての検討も必要であるということで、石井幹子委員中心にしてワーキンググループをつくり、ある程度視覚に訴えた都市像というものを検討していただくことにしております。そうした中で、その検討要素の中に今委員御指摘のような事項が含まれるかどうかは承知しておりませんが、本日の御意見については、貴重な御意見として承らせていただきます。
  29. 中川正春

    ○中川(正)委員 石原委員、御苦労さまでございます。  二、三、確認も含めて御質問したいのですが、一つは、こういう解釈で正しいのかどうかということです。第二タームへ向かっていく判断基準というのがこの資料312で提出されているいわゆる選定基準の整理と抽出条件、これに基づいて第二タームへ向いて収束をしているという理解でいいのだろうと思うのですが、それに加えて、今度、第二タームから第三タームに行くのに、新都市が我が国に与える影響の検討というもの、この項目が加えられることになっていますが、この新しい項目についてのその中身、具体的にこれは何を意味しているのかということ、これをもう少し想定として詳しく御説明をいただければありがたいということ、これが一つですね。  それからもう一つは、文化性というものがこれまた新たに検討が始まったということなのですが、私、これを見ていまして、さっきから日本の民族とか日本の個性とかいう話が出ていますが、それにかかわる中で、歴史背景というのですか、新しい新都市というのがそうした歴史的な背景というのを想定していこうとしているのか、それとも、それとは関係なしに全く新たなものをつくり上げていこうとしているのか、そこのところがもう一つ読めてこないのです。私は、歴史というものの背景もその中にあって当然なのだろう、こういう気がしているのですが、そこのところをどう考えておられるのかということをお示しいただきたい。  それから最後に、タイミングの話がさっき渡辺委員からも出ましたが、私はぜひ早期に進めていただきたいという主張をしている者の一人なんです。それはなぜかというと、これは、行政改革だとか地方分権、あるいはこの国のあり方そのものを考えていく場合に、新首都というのが一つのインパクトとなるように、一つのきっかけとなる部分で一番大切なものだと思います。それが有機的にそれぞれの今の議論とつながっているのだろうと思うのですが、それだけに、これを先行することによって、今行き詰まっているそれぞれの分野というのが一つのインパクトを受けて進む可能性がある、そんなふうに私は解釈をしているのです。それだけに、相手に合わすのじゃなくて、こちらはしっかりしたこちらのペースで先行して進めていただく、そういう姿勢というのが大切なのだろうと思いますが、さっきの話だとどうも逆でして、こちらが相手に合わせていくような流れがあるのですけれども、そこについてぜひ積極的な議論をしていただきたい、こういうことです。  以上、三点をお願いしたいと思います。
  30. 石原信雄

    石原参考人 今お尋ねの、まず第一点でありますが、第三タームにおきまして最終的な移転先候補地選定をするに当たりましては、第一ターム、第二タームにおける選定条件のほかに、最終的にその新しい都市が我が国の国づくりの上でどういう意味を持つのか、どういう影響を与えるのか、当然これは検討しなければならないであろうと考えて、その点をここで表示したわけでございます。ただ、現段階で具体的に、国土構造等の観点から具体的にどういうアイテムに従ってこの問題を行うかの詰めばまだ行っておりません。こういうことが最終段階では必要になるのではないかという問題意識をここに表示したところでございます。  それから、第二の、文化面からの検討堺屋委員中心になりまして検討していただいたわけでありますが、その中で、新しい国会等移転先都市というものが我が国の歴史の上でどういう意味を持つのか、どういう位置づけになるのかという議論、どの程度行われたかは私承知しておりませんけれども、ただ、先ほど御指摘もございましたが、これは二十一世紀の我が国の国政の中心になる都市でありますから、歴史という視点は、当然これは都市づくりの上で必要になってくるものであろうと私自身は思っております。  それから三番目ですが、時期の点でありますけれども、先ほど御報告申し上げましたように、当初の来年秋までに候補地選定を終えたいという目標は、これは現在では、放棄というのはなんですけれども、その目標は困難ではないか、さらに検討する必要があるのではないかという考え方で作業を進めております。ただ、私どもは、国土庁長官からの御諮問もありましたように、西暦二〇〇三年度までは具体的な財政支出ということはないにしても、この問題の重要性にかんがみまして、審議会としては、必要な問題点について着実に、ステディーに審議を進めていくべきもの、このように考えております。
  31. 根本匠

    ○根本委員 石原参考人には御苦労さまでございます。  先ほど、移転候補地の具体的な絞り込みをして、来年の早い時期に何カ所かの候補地が想定されて出てくるというお話だったかと思いますが、この一連の作業進め方で私も一番懸念しているのは、今数十カ所の候補地があるわけですが、何カ所かに絞り込まれると、そのときに一番重要なのは、地価の、つまり投機的な土地の動きが出てくるのではないか。ですから、ある段階で何カ所かがぽっと出たときにその辺の地価が上がってくるという可能性もあって、この全体の議論の中で、その辺の候補地の絞り込みの公表のタイミングと、そのときに地価対策の問題をどのように考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  32. 石原信雄

    石原参考人 この点につきましては、法律でもいろいろ規定されておりますが、審議会としても、具体的な候補地名が明らかにされますとそれに基づいて思惑的な動きなどが想定されますので、この点については当然、政府、具体的には国土庁中心に、政府の側においてもそれなりの対応策を講じていただくべきものと考えております。審議会自身が土地対策との兼ね合いで候補地の具体的な地名を公表する時期をずらすというか、そういう考え方はしておりません。当然、対象地域が絞り込まれていくにつれまして、その地域の土地の動き等については細心の注意を払いながら、必要な手を打っていただくべきものと考えております。
  33. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 三点ほど質問させていただきたいと思いますが、一点目は調査対象地域進め方に関して、あと二点目は具体的にこの中の資料に関して二点ということでお願いしたいと思います。  まず、一番最初のフローを見ていますと、大変わかりやすく、これは311の資料でございますけれども、よく流れているのですが、私はちょっとここで疑問を感じているのは、国会移転するということは国の将来にどういうインパクトを与えるか、それを消極的にするのか積極的にやるのかという姿勢の問題なんですが、もし国会移転することによって二十一世紀、またその後の日本の将来の国のあり方をどういうふうにリードしていくかという観点であれば、この第二タームから第三タームヘの、先ほど中川先生お触れになりました新都市が我が国に与える影響というところは一番最初に考慮されて、国会移転することによってどういう日本全体にいいインパクトを与えるかという視点がもし最初に加味されれば、その九項目の中のどこを重要視するかというその基準の濃淡というのがひょっとしたら違ってくるかもしれないという気が私はいたします。  この流れでいきますと、最終的な判断に近づいたところで、どういう影響を与えるかというのは、ある程度物理的に決まってしまっている中で、どういう影響をそこなら与えるかということになってしまうということ。つまり、こういう影響を与えたいからこういうところを選ぼうという考え方と、こういうところまで来ましたがこれはどんな影響を与えますかという考え方と、これは将来に対して随分違うのではないかというふうに思っていますので、この点について何か御議論がなかったかどうかということが第一点でございます。  それから第二点目は、六ページの用地費についてでございますけれども、総額五兆円から九千億円という、そこのところに原野とか山林とかいろいろ書いてあるのですが、これはどういうところをモデルにして、どういう根拠でこのぐらいの数字の違いが出てきたかということをもうちょっと詳しく御説明いただけたらと思います。  三点目は、九ページの文化のところについてでございますけれども、これからの首都というのは情報の世界への発信地という機能が欠かせない要素だと思いますが、マスコミとかそういったことではなくて、それを超えた通信ネット、電話。いろいろ書いてありますけれども、それを超えたものをきちんと最初から構築していくということの発想がここになければならないというふうに思いますし、それに伴う費用もオンしてくるのではないかというふうに思います。  そういう点で、そこのところの御議論がどうなっているかということと、それから、四回ですか五回ですかにわたってなさった文化に関してのモデルというのは、一体どういうところをモデルにして検討なさったのでしょうか。何か、先ほどのイメージですと、この前行ってまいりましたキャンベラとかいろいろなところを想定するわけですが、世界の各国のどういう首都を参考にしたというのが具体的にもしあれば、その辺を教えていただければと思います。  以上です。
  34. 石原信雄

    石原参考人 今お尋ねの、まず一番初めの、国会等移転先都市が我が国の今後のあり方に大きな影響を与えるではないか、そういうことの議論がまず先に行われて、しかる後九項目選定基準議論に移るべきじゃないかという御指摘でございます。  実は、御案内のように、私ども審議会は、この前の国会等移転調査会において大変長い時間をかけて、この国会等をそもそも移転することの是非、その意義、影響等御審議をいただきましたその答申を踏まえて、最終的にその答申に沿って国会等移転先の候補地を具体的に選定してほしい、そういう流れの中で私ども委員を拝命したわけでございます。そして、私どもとしましては、そもそもの、国会等移転の必要性とか意義とか影響とかという議論は前の調査会において十分御議論をちょうだいしたという理解の上に立ちまして、その先の作業として、九つ選定基準を踏まえて具体的な候補地抽出して、政府に対して御報告するというのが役割だと考えております。そういうことで、まず候補地を絞り込んでいく作業をしているところでございます。ただ、そうはいっても、最終的な候補地を決めるに当たっては、国土構造といいましょうか、国全体のあり方との関連でもう一遍検討してみたい、そういう意味で、ここに国土構造との関連について触れたわけでございます。  それから、経費の積算、用地費の積算についてでございますが、用地費については、当初の計算では、当時の全国的な平均的な宅地価格によって費用を計算したわけでありますけれども、八千五百ヘクタールにも及ぶ開発を行う、そういう可能な土地が宅地として現に存在するところではなかなか考えにくい、むしろそういった可能性のあるところとしては、山林とか原野あるいは田畑の地域になるのではないか、そういう考え方のもとに、山林や原野や田畑等の平均的な価格によって用地費の再計算をした結果として、トータルの金額が五兆円から九千億円に減少したということであります ですから、想定の前提として初めから宅地というものを想定しておった前回の算定方法について今回改めたところでございます。この辺については想定の置き方の問題でございますけれども、私どもとしてはより現実的な考え方に立つて再計算をしたと考えております。  それから、新しい国会等都市が、情報ネットワークの面から、二十一世紀の情報化社会の中で国の行政の中心としての役割を果たす上で、当然情報通信関係の最新の機能を持った都市としてつくられなければならないという問題意識は持っております。その点につきましては、先ほども御紹介申し上げましたが、石井威望委員などの御意見もちょうだいしながらその議論を進めているところでございます。  ただ、全体としての新しい国会等都市費用計算につきまして、現段階ではそう細かい積算作業をするだけの前提要件がまだ絞り込まれておりませんので概括的な計算をしておるわけですけれども、より詳細な積算作業段階になれば、その時点における情報通信の発達の状況を踏まえて、やはりこれからの我が国の中心都市としての役割が果たし得るような要素は当然織り込むべきである、このように考えております。  それから、文化面の検討について、堺屋委員が中、心に御検討いただいたわけでありますけれども、その場合には、恐らく世界の首都の状況ども念頭に置かれて作業されたものと私は承知しております。ただ、具体的に特定の都市、例えばキャンベラでありますとかあるいはワシントンでありますとかいう特定の都市を想定してというふうには聞いておりません。各国それぞれの歴史と風土の中で首都が形づくられております。それぞれの国の文化というものを体現している面があると思いますから、そういった点は当然検討の基礎として取り上げていただいたのではないかと想定しておりますが、ただ、固有名詞で表現できるような特定の都市をモデルにしたということは聞いておりません。
  35. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 そうしますと、一番最初のところは、今までの審議会議論をもう一度整理し直した基準で第二タームから第三タームへ行く、そのときの見直しであるというふうに理解してよろしいのですか、チェックという形で。
  36. 石原信雄

    石原参考人 もちろんこれまでの国会等移転調査会における調査結果というものが大前提でございますから、私どもはそれを踏まえて具体的な候補地選定作業を現在行っているところでありますけれども、さらに最終候補地選定のときには、新しい都市が我が国の将来に与える影響について国土構造の観点からもう一遍検討してみたい、このように考えているところであります。
  37. 山中あき子

    ○山中(燁)委員 ありがとうございました。
  38. 荒井広幸

    ○荒井委員 荒井でございます。  御苦労さまでございます。  調査会から審議会ということで、かなり比重としては変えていくべき点があるのじゃないか。それが、先ほど石原代理からお話がございました、その情報通信の部分なのです。  例えば、私がイメージしておりますのは、特許庁は、既に六割が端末を決めて、特許庁にオンラインで実用新案をしております。三割がフロッピーディスクで出願等をするのです。一割が御持参なのですね、様式に沿ったものを持ってくる。ということは、極端に言いますと、特許庁が移転する必要があるかというデジタル革命が起きているわけです。  これは、もちろん有馬先生や先ほどの石井威望先生、そこで筆頭理事の西田司先生等々が相談してメンバーに入っていただいているわけでございます。こちらの文書に書いてありますけれども、「首都中、心的垂直型思考から各地域均等の水平型」、こういうことだと私は思うのです。デジタル水平分部と私は言っているのです。そうなりますと、例えば特許庁は九州のある県で十分だと思うのです。それと、情報通信の高度機能を持った移転したその新しい首都で、そこをきちんと結んでいけばいい、もうオンライン出願しているわけですから、ということになってきます。  そうしますと、申しわけございませんけれども、先ほどの移転費用のモデル試算というのは、私は、まず根本から変わってくる、それによって、特許庁がない分面積も小さくなりますし、水の問題やあるいは面積の問題というのも変わってくる、こういうことだろうというふうに思っております。  そういったところで、調査会から審議会に、尊重しながらもというお話ではございましたが、比重が変わっている、そういう要件、要素というのはあるのではないかと思います。こういった、特に情報通信等を私は念頭に置いておりますけれども、この辺の比重の置き方というのはどのような変わりぐあいがございますでしょうか。
  39. 石原信雄

    石原参考人 実は、私どもこの国会等移転審議会委員を拝命した時点と今日とでは、かなりいろいろな要素が変わってきております。最も大きな要素としては、行政改革によって、現在中央省庁のあり方が大きく論議されております。そうした中で、例えば政策立案部門と行政執行部門を分離するというような御議論もなされております。こういった議論は、当然国会等移転に当たりまして影響をもたらす要素になるのではないかということは考えております。  ただし、現段階では政府行政改革の全体像も明らかになっておりませんので、一応これまでの国会等移転調査会における論議をベースにして、選定基準検討しながら作業を進めているわけでありますが、承るところによりますと、行政改革の全体像もそう遠くない将来明らかになると聞いておりますので、私どもの最終的な選定作業の時点ではまた状況が変わっているのではないか、当然私ども、その最終選定作業段階におけるもろもろの条件を踏まえた作業をさせていただくことになるのではないか、このように考えております。
  40. 荒井広幸

    ○荒井委員 行革と同時に、その一つであります情報通信の高度利用によって、そのような形も、例えば特許庁をそういうふうに全国に配置することによって地域多極化が実行できるわけでございます。移転するところだけがよくなるというのが風潮でございます。そこに行かなければ反対に回るという風潮もあるわけです。しかし、首都機能移転を進めることによって、なるほど分権にこれだけ具体的な形であらわれたということは非常に重要なことであり、そのための移転だと私は思っております。  それから二つ目は、これは議運におりまして、今議運で最終段階でございますが、来年の四月から、国会のいわゆるお茶の間傍聴席といいましょうか、先ほども傍聴の皆さんがいらっしゃいましたけれども、CSチャンネル、一チャンネルを衆議院で、参議院も同じように考えているようですが、デジタル化で電波も非常に安くなりました。それで、国会みずからが今中継しているこのテレビを使いましてありのままを放送するということで、与野党ともにほとんど合意をいたしました。そういう流れになりますと、全国の人が、まさにどこに移転しようと、実は国会の審議あるいは国の意思決定に参画できるというチャンスを持つわけでございます。それが今度、例えばここで、見ている皆さん、参考意見としてちょっと御意見を下さいというようなことも可能かもしれません。  情報通信高度化で、そういうような双方向で議論ができるようになってくる。こういうものも視野に入れておかないと、どこの国をモデルにしている、あるいは都市づくりはどうだというような話では全くない時代に入っているだろうと。しかし、当然ながらそこには国会議員、世界の要人も集まるわけでございますし、触れ合うという人と人との本当に必要なものがあるわけですから、そういう意味での形は必要でございます。箱づくりというのは必要でございますが、ちょっとそこに力点が置かれ過ぎている議論というのはいかがなものかなということを、まさに機能として考えなければいけない、こういうようなことを思っておりますので、先ほどの石原代理からのお話のように、行政改革という中でも変わってくるものがあるので、ぜひそういった点も、いろいろなところにわたって御検討をさらにつけ加えていただければというふうに思っております。
  41. 石原信雄

    石原参考人 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、情報通信の発達がこれからの国民生活や行政のあり方を大きく変えていくであろう、それに応じて国会等移転の際に行政機関がどこまで移転すべきかの問題については、これは大きな影響をもたらすであろうということは私どもも当然念頭にあります。その点について、石井威望委員など専門家がおりますので、そこで大いに検討した結果を聞かせていただきながら、私ども作業の上に反映させていきたい、こんなふうに考えております。
  42. 桑原豊

    ○桑原委員 石原参考人、大変御苦労さまでございます。少し議論を引き戻すような話になるかもしれませんけれども、ちょっと私の理解がはっきりしていないので、お伺いしたいと思うのです。  二〇〇三年までは財政資金投入しない、しかし候補地等の選定等については、少しおくれることはあるかもしれぬけれども、それまでに、それまでにといいますか、従来の考え方に沿って詰めていきたいと。具体的に候補地選定される時点と、それから財政資金投入して本格的に実施をしていくというその時点との間に何か少し開きがあるのかどうか。そうなると、具体的に選考されて、それぞれの地域の競争が相当激しくなったり、あるいはいろいろな意味で、逆にもう二〇〇三年まで待てない、決まった時点で早く最終的な選定をして財政資金も前倒しで、前倒しといいますか、投入していかなければいかぬ、そういうことになって混乱が生じてこないのか、そこら辺がちょっとよくわからないのです。  二〇〇三年以降でないと投入しないということになれば、それまでの間に十分に議論をしてきちっと決めていく、そういうタイムスケジュールに改めてしていくのがいいのかなというような気もするのですが、そこら辺の状況というのはどんなふうに考えておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  43. 石原信雄

    石原参考人 今の点に関しましては、私ども審議会としては、来年秋に結論を出すということはもう変えまして、なお多くの検討課題があるということで引き続き一つ一つ問題点を詰めていきたい、選定作業についてもそう急がずに、必要な検討を加えながら結論に持っていきたいというスタンスで臨んでおります。  ただ、今委員御指摘のように、最終段階になりましたときに、これを受け取る側の政府としてどう御判断なさるか、その辺については、私ども作業の進捗状況に応じて、諮問をちょうだいした政府側から何らかのお話があるのではないかと想定します。何もサインがなければ、私どもは諮問を受けた立場でございますから、必要な検討が終われば答えを答申申し上げるということになるであろうと思います。しかし、今御指摘の点はこの移転問題の非常に重要な要素でございますから、当然これは政府側において、そのタイミング等についても何らかの御示唆があるのではないかと想定いたします。
  44. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 佐藤でございます。  一点だけお伺いをしたいのですが、国会移転したということになれば、当然国事行為が行われると思います。そんなときに、開会のときに天皇陛下がお見えになって開会をするということになりますが、その辺の国事行為等々の検討は今この中で行われているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  45. 石原信雄

    石原参考人 私ども今、国会等移転先地選定作業の中で、国事行為の問題といいましょうか、あるいは皇居の問題を含めて、皇室との関係については特段それを取り立てた議論はいたしておりません。今まで国会等移転調査会において論議された要素を踏まえて選定作業をしているところでございまして、国会等移転調査会の論議の中でも、国事行為についてどう扱うかについては特段の結論は示されていないように承知しておりますので、私どもの今の作業の過程でもその問題は特に取り上げてはおりません。
  46. 佐藤勉

    ○佐藤(勉)委員 要望ですが、当然これは検討しなくてはいけない部分だと思いますので、ぜひとも御検討をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
  47. 岩國哲人

    ○岩國委員 岩國でございます。  石原参考人の大変精力的な御審議をいただいていることに感謝申し上げたいと思います。  まず、こうした国会移転の問題についてでありますけれども、先ほど坂本委員の方からもお話のありましたような、そういう夢あふれ、湯煙立ち込めるような、そういった新首都というものに私も個人的には大変興味を覚えますけれども、先ほど渡辺委員の方から御質問がありました、そうした中央と地方の分権の構図がはっきりしていない、こういう段階で本当にこの規模議論することは適切かどうかということが一つと、また国会そのものについても、ある政党は二割国会議員を減らす、個人的には私はもっと減らすべきだと思っておりますけれども、そうした国会規模もはっきりしない、中央と地方の分権がはっきりしない、そういう段階で、どこまでこうした新首都の規模検討に入り得るものなのか、この辺に一つ疑問があります。もう一つは、現在日本が抱えております経済的、財政的な非常に苦しい問題があります。このような環境で、新首都ということについて取り組むだけの体力、財政的な余力はあるのだろうか。  このような二つの疑問から、私は橋本首相が出されましたような限りなく凍結に近い慎重な取り組みということは非常に適切だというふうに思っております。この点について石原参考人はどのようにお考えかどうか、これをまずお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、坂本(剛)委員長代理着席
  48. 石原信雄

    石原参考人 今岩國委員が御指摘になられた点については国会等移転の問題を議論する大前提に属する事柄ではないかと思います。  初めにも申しましたように、私ども国会等移転審議会は、国会等移転調査会におけるこれまでの論議を踏まえて、また国会における御議論も踏まえながら、移転先候補地選定作業を進めているところでございます。したがいまして、地方分権のあり方、あるいは行政改革に伴う国会規模あるいは中央政府規模がどうなるのか、これは大きくかかわってくる問題であることは間違いありませんが、それとの兼ね合いあるいは財政事情等から私ども選定作業そのものを中断すべきかどうかという御指摘ではないかと思うのですけれども、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、国土庁長官から、財政構造改革に関連して新首都の建設のための財政出動というのは二〇〇三年まではないということが閣議で確認されたけれども、しかし選定作業の方は引き続きお願いしたいという要請を受けておりますので、そういうことで私ども作業は進めております。  御指摘のような点が、我々の作業と最終的に大きくかかわってくるという問題認識は十分持っております。     〔坂本(剛)委員長代理退席、委員長着席
  49. 岩國哲人

    ○岩國委員 ありがとうございました。  二〇〇三年になったら財政出動ができるかのような前提は非常に危ないと私は思っております。二〇〇三年になってもこの財政構造改革は成功しないだろうという可能性が非常に高い。であるならば、なおさらこの凍結ということは非常に配慮すべきではないかと私は思います。  それはそれといたしまして、あと二つ質問させていただきます。二番目は費用の問題、それから三番目は東京へのインパクトの問題であります。  二番目の問題ですけれども、この費用という中にはそうした見える費用と見えない費用、見える費用だけをこうして計算していらっしゃいますけれども、例えば仮に第一段階公的負担、小さな数字、二・三兆円をとりましても、この二・三兆円を、今この財政構造改革あるいはそれ以後も恐らく財政については非常に厳しい態度で臨まなければならないときに、何をカットするか。例えば、首都圏の道路整備をカットするのか、あるいは山陰高速自動車道の予算をカットするのか。カットされる、おくれる地方、あるいはおくれる東京、おくらされる公共事業によってマイナス効果、見えない負担、見えない費用というのがやはりそこに出てくるのではないかと思います。  例えば、羽田空港の二十四時間国際空港化の問題、これも二・三兆円をそちらに使ったら得られたであろうそのプラス効果というものを失ってしまう。その失ってしまったものはやはりこの見えない費用として考慮すべきではないか、このように思うわけです。  もう一つの例を挙げますと、例えばこれが栃木県とか群馬県とかそういうところへ行った場合に、今までは東京へ来れば用が足りた地方の市長あるいは議会関係者、陳情の回数というのをこれから減らさなければならないわけですけれども、しかし、陳情だけではなくていろいろな相談にこの霞が関にやってこなければいかぬ、東京にやつてこなければいかぬ、相談に来なければいかぬ。そのときに、そこからさらにまたどこかに行かなければいかぬ。この宿泊旅費、それが全国の自治体の負担になっていく。これも見えざる費用ではないかと思います。  こうした見えざる費用といった点についてはどの程度その審議の中で議論していただいたか、それをお伺いしたいと思います。
  50. 石原信雄

    石原参考人 私どもは、移転費用のモデル的な試算につきましては、一定の前提要件を置きまして、用地の取得費でありますとか、各種の公共施設あるいは民間の関連施設等について、既存の都市状況等を想定しながら積算しております。あくまでこれはモデル的な試算でございまして、移転対象地域がさらに具体化すれば、当然その具体的な地域に即して、また移転対象機関規模内容が決まれば、それに即してより正確な作業が必要である、このように考えております。  ただ、その点につきましては、今の段階で余りにも不確定な要素が多いがゆえに、この試算作業そのものを行うことにどれだけの意味があるのかという議論も内部ではありましたけれども、ただ全体の作業をする上で、おおよその概数といいましょうか概略の経費は積算するそれなりの意義があるであろうということで作業をしたものでございます。  したがいまして、今岩國委員御指摘のような、間接的な費用というのでしょうか関連費用というのでしょうか見えない費用というものは、当然具体化段階では論議されるべきものであろうと思います。まさにその辺は、最終的に私ども選定し御答申申し上げたその地域国会等移転するかどうか、あるいは東京に置くかどうかのその最終的な検討作業政府並びに国会でなされるものと承知しておりますが、その際に非常に大きな要素になるであろうということは考えられますけれども、私どもの今のこの選定作業段階において、そういう見えない費用までの検討をする材料も不足しておりますし、能力的にも限りがありますので、現段階ではそういった間接費用一関連費用までは積算作業はいたしておりません。
  51. 岩國哲人

    ○岩國委員 時間が来ておりますから、最後に一点だけお伺いいたします。  これは東京へのインパクトについて、資料4の七ページ目、上から七行目、移転の結果、東京圏の防災性が向上するとか、あるいは「過密の軽減等の効果が見込まれ、これらの効果に見合う施策の分だけ、今後講ずべき防災対策や過密対策等のための財政支出を縮減できるものと考えられる。」。  このように、そっちの方ではおつりが、おつりという表現はおかしいのですけれども、来るかのような印象を与えますけれども、今東京都としては、それだけの防災性の向上とか過密の軽減に十分な財政支出をやっているという現状からほど遠いわけです。したがって、そこからカットできるような余裕が国会移転によって出てくる、それを期待するのは非常に先の話であり、金額的にもほとんどゼロに近いものではないか。むしろ、中央官庁の庁舎があったり公務員住宅がある方が防災性の点からはいいという意見もあるのです。そういうことのために、防災、いろいろな対策はできておる。あるいは、国家公務員、地方公務員がたくさんいるということが、災害時に救済人員の確保という点からも、そのような都市の方が安全であるということを考えれば、むしろ国会移転によって東京の防災性は向上するどころか低下する、このような意見もあります。  これについて、参考人はどういうふうにお考えになりますか。
  52. 石原信雄

    石原参考人 この辺のくだりについての記述でありますが、事柄として、現在国の施設が所在するところが空き地になるわけでありますから、その空閑地の利用によって東京の防災性が向上できるのではないかということをこれは指摘したものであります。  今、岩國委員の御指摘のように、そこに国家公務員がいた方がより安全ではないかというような御見解もあろうかと思いますが、私ども作業は、国の各種の機関移転した跡地の利用がそれなりに防災性の向上に役立つのではないか、そういう立場でこのような記述をしているところでございます。  この辺は、それぞれ立場立場、考え方によっていろいろな御意見があり得ると思います。
  53. 岩國哲人

    ○岩國委員 どうもありがとうございました。
  54. 赤松広隆

    赤松委員長 ほかに御発言ございますか。  なければ再度の質問を許したいと思います。
  55. 中島武敏

    中島(武)委員 石原参考人に伺いたいのですけれども、その前に、さっき私、水の問題についてお伺いして、第二タームですか、この中に入れてあるのだ、こういうお話があったのですが、これはどこをどう見ても入っていないのですね。  私、費用のことについて伺いたいと思っているのですけれども、モデル試算について先ほど説明があった。そうすると、水が不足すればその分だけまたふえる、こういうことになるのですけれども、聞きたいことを言いますと、その財源はどんなふうにお考えになっておられるかということについて伺いたいのです。
  56. 石原信雄

    石原参考人 私どもは、移転費用のモデル試算は、一定の前提要件を置いた場合にどの程度の経費が見込まれるかという作業をしただけでございまして、さらにそれを具体的に実行に移す場合にどのような財源調達手段が考えられるかというところまでは検討しておりません。  この財源の問題まで含めて私ども移転候補地選定作業の前提として必要なのかどうかという点については、私どもは現段階では、少なくとも必要な経費についての財源調達は政府の責任において御検討いただくべきもの、このように理解しております。
  57. 中島武敏

    中島(武)委員 国会等移転調査会の宇野会長に私が尋ねたところによりますと、財源については消費税を上げてもらうか建設国債を発行するかどちらかだ、それはひとつ国会で決めてくれ、こういう話だったのです。石原さんも大体そんなふうにお考えですか。
  58. 石原信雄

    石原参考人 何よりも、これだけ大きな金額を必要とする大事業でございますから、当然、政府並びに国会におかれまして、移転の最終的な結論をお出しになるときには財源の議論もなされるのであろうと私は個人的には思っております。ただ、私ども審議会の審議事項として、財源まで検討せよという御諮問はちょうだいしていないということを申し上げたところでございます。
  59. 中島武敏

    中島(武)委員 今大変な財政危機であることは私から申し上げるまでもありません。国、地方を合わせて、隠れ借金も含めるならば国民総生産約五百兆に匹敵する借金を抱えております。そのためにまた現在、財政構造改革法案も出されているわけですけれども、中身は医療、社会保障を中心として国民の暮らしにかかわるものを切り縮める、非常に大変な法案が出されていると思います。  国民の暮らしがそういうふうに切り縮められる一方で、膨大なお金のかかる国会移転というのをやるべきなのかということは、さっきからも議論がありますけれども、私は大問題だと思う。率直に申し上げて、これだけの費用のかかるものをやるということは、こういう日本の財政状況から見ても思いとどまるべきではないのか、すっぱりとやめるべきではないのかというふうに思うのです。  これは石原参考人に聞いてもそうだというふうにはお考えは出てこないかと思いますが、お答えがあればそうしていただきたいし、お答えがなければ、これは私ども意見だということでお聞きいただきたいと思います。
  60. 石原信雄

    石原参考人 今の点は、まさに政府並びに国会において御決定になるべき事柄ではないかと思います。私ども審議会の審議事項を超える問題提起ではないかと承知しております。
  61. 宮本一三

    ○宮本委員 いろいろと検討いただいておりまして、感謝いたしております。  今ちょうど意見が出ましたけれども、財政の問題とか、これから非常に大きな問題であることは確かですし、二〇〇三年以後本当にやれるのかという疑問も出ました。その点も確かに大きな問題点だと思います。  ただ、その問題は、今先生言われるように、国会で我々がもうちょっと詰める議論はいずれ時期が来ると思いますが、審議会の方で受けているタームズオブレファレンスといいますか、その問題から若干離れているのかなと、今お答えになったとおりだと私は思います。そのことを踏まえて、しかし、ある時期、我々の国会で、何とかこの一極集中、この問題はほっておけないという大きな立場から、相当な金がかかることはわかっているけれどもやろうじゃないかという結論を出したということも、ひとつ思い出してもらわなければいかぬと私は思います。そういった上で、やはり私は国会移転の問題はこれからも積極的に審議をして詰めてもらいたいと思います。  質問点は一つございまして、いろいろな基準を示していただくということ、これは非常に審議会の機能としてはありがたいことだし、非常にうまくまとめていただいていると思いますが、ここから先、審議会としては、最終的には特定の地名まで出すということを考えておられるのか、それとも、大体見当がつくでしょうというような基準を示して、距離の制限とかいろいろなことを言うことによって、大体あの辺ですよとだれしもが納得というか理解するようなことをインディケートする、そこまでを考えておられるのか、ちょっとその辺、審議会の内部の意見を聞かせてください。
  62. 石原信雄

    石原参考人 私どもは、これから検討作業を続けまして、最終的には、具体的な土地の名前として、ここが移転先地として適当であるという答申を申し上げるものという理解のもとに作業を進めております。  最終の答申が単数になるのか複数になるのか、まだその辺は作業中でございますからわかりませんけれども、最終的に私ども答申は具体的な地名によって示されるものという理解のもとに今作業を進めております。
  63. 平沢勝栄

    平沢委員 先ほど岩國委員の方からありましたからダブるところは省略しますけれども、今回のこの首都機能移転といいますか国会移転で最も大きなインパクト、影響を受けるのが東京でございまして、その東京はプラス効果よりかなりのマイナス効果を受けるはずでございます。したがいまして、審議会の中で、今まで東京関係者意見というのは十分聞かれたのかどうか、それから今後聞かれる予定があるのかどうか、これについて一言お聞きしたいと思います。
  64. 石原信雄

    石原参考人 これまでも東京都側のこの問題についての御意見は、審議会として拝聴しております。  それから、審議会委員には前の東京都の副知事をされた牧野委員に御就任いただいておりまして、牧野委員は主として東京の立場でいろいろ御意見を開陳しておられるように承知しております。
  65. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 一つまた要望になるわけでございますが、十一の候補地、県が今名乗りを上げておりますけれども、今現在でこの国会移転に関心を持っているのはそういう地域のみというふうに言っても過言でないと思うのですが、そのほかの方々は漠然とした認識はあったにしても、今真剣にこの問題に取り組んでいる住民というのは、やはり候補地に名乗りを上げている地域の方々かなと。ところが、国会移転候補地の絞り込みによっては外れるわけですね、選出段階では。外れた途端に国会移転に対する関心が薄れるというか、あるいは逆の立場になってしまうような物事の決定の仕方というのは非常にこれはマイナスだ。  したがって、先ほどちょっと夢のような話をしましたけれども、どこへ行ったにしても、国会移転、これだからやるのだというものをぜひその中心に据えて最終報告をしていただきたい。ましてや、東京都民の方々は、具体像が見えませんから今はとにかく感情的な反対もあるのでしょう。これは、やはり百年、二百年、そういう民族の営みの中で決定されていく。しかも、これから先のことを考えたときに、今ここ十年、二十年の近視眼的な物のとらえ方で決定するべきものではないし、東京都民といえども、なるほどな、国会移転というのはそういうことだったのかと納得のいくようなすばらしい最終決着をしていただきたい。  ですから、よその、十一地区のうち外れる地域の方々も、私たちは残念ながら外れたけれどもこういうことなんだからやろうと引き続き国会移転に積極的になっていただけるような最終候補地の絞り込みをお願いしたいということでございます。
  66. 岩國哲人

    ○岩國委員 こうした新首都建設について、できるだけ小さな都市あるいは便利な都市あるいは軽やかな都市イメージとして何かもう一つコンビニのような都市をつくるということではなくて、先ほど坂本委員の方からもお話が出ましたけれども日本の次の時代を担うような若い人あるいは学生生徒にもっと歴史に親しませるような首都づくり、そういったものについての議論はどの程度なされたのでしょうか。  私は、以前、出雲市長をしておりましたときに参考人としてこの席で意見を述べさせていただいたことはありました。それは、日本は限りなく首都を西から東の方へ向かって次々と移動をさせて、もうこれ以上アメリカへ接近できないところまで来てしまったわけです。アジアの時代ということを言われるのであれば、今から方向転換して、むしろ西へ西へと移動をさせて、一遍に日本の原点の出雲へ返るというのも問題かもしれませんけれども、その中間点の京都あたりまで返す、そして京都に新首都を建設する、あるいは奈良に建設する、そういったようなことを議論されたのかどうか。  私は、今のような財政事情の中で新首都を建設すべきではないという立場をとりながらも、しかし、既存の都市の、でき上がった都市の最小のリフォームで、そして若干のインフラ整備をすれば使えるような、そして日本の歴史というものに返っていけるような、そのような新首都が文化の面からもあるいは教育の面からも望ましいのではないかというふうな感じを持っておりますが、参考人として何か御意見があれば伺わせていただきたいと思います。
  67. 石原信雄

    石原参考人 我が国の新しい首都がどうあるべきなのかということにつきましては、国会等移転調査会の場で相当長期にわたって御議論がなされたように承知しております。  繰り返し申し上げますが、私どもは、この国会等移転調査会結論を踏まえまして、具体的な移転候補地選定作業政府から諮問を受けておりますから、そういった限定された範囲での検討作業を現在続けているところであります。  しかしながら、それにしても、新しい都市イメージがどういうことになるのかについては、最小限度、さらに詰める必要があるということで一先ほど申し上げましたように、文化的な側面については堺屋委員中心になりまして検討していただきましたし、また、より具体的な新都市イメージにつきましては、石井幹子委員中心になりましてこれからプロジェクトチームをつくりまして、よりわかりやすい形でこれを提示してもらいたい、そういったものを踏まえて、最終的な移転候補地選定作業にこれを用いたい、こういうことで現在作業中でございます。
  68. 宮本一三

    ○宮本委員 今の岩國委員の質問というか意見にも関連しているのですけれども、私の方からも、今十一あるいは十二の候補地が出ていると聞いておりますし、さっきのアンサーでも、基準から一歩進めて、具体的に一つになるか二つになるかわからぬけれどもピンポイントで答申を出したいというか、出す意向だということを伺いましたので、そのときにぜひ考慮していただきたいと思うのは、今言ったように、ちょっと東、東京に来過ぎているというか、ここから先、東、北ということになりますと、国会だから、どこでもいいというわけにいかぬので、やはりセンター性がなくなってしまうように思うのです。  そういう意味で、東京一つのセンターとして確立はしていまも、動かすとすれば、やはり日本中心から余り離れても困る。それで、明石市がちょうど子午線、百三十五度、ここが日本の標準時になっておりますから、これから余り離れてしまうのもどうかなというふうに思います。  それで、標準時にこだわることはないけれども、やはり余り極端に人口から、密集というか、中心から離れたところが、いろいろなコンティンジェンシーを考えて、危険性のことを考えるとその点はあるのだけれども、東海地方が地震だからといったって、絶対揺れないと言われた神戸に起こったりするのですから、まだ今のところどこが地震に対して弱いかわからないのが現状だし、だとすれば、余り人口から離れない、日本のど真ん中に近いところ、そんな感じでひとつ選考、最後に選ぶときに頭に入れていただきたいという願望でございますが、どうでしょうか。
  69. 石原信雄

    石原参考人 先ほど来申し上げておりますように、私ども国会等移転調査会が示された九つ選定基準中心作業を進めておりますので、今委員御指摘の具体的なイメージに即しての意見開陳は御容赦いただきたいと思います。
  70. 前島秀行

    ○前島委員 要望なので特別な御答弁は要らないのでありまも、九つ選定基準があるのでありますが、第一ターム段階に、やはり国会移転の積極的意義みたいなものをもう少し前面に打ち出していただきたいなと思うのです。  これは、特に最近の財政状況とかあるいは行政改革の進み状況だとか、あるいはさまざまな情報通信技術等々の問題を考えると、国会移転、機能移転の積極的意義というものが問われてくるような状況にあるのではないのかなという感じがしますので、そういう面での積極的な意味を持つのであるならば、もっとそこのところを出していきませんと、個別な条件だけをどうのこうのということになると、何か誘致合戦で事が終わってしまうという危険性があるので、その点を一つお願いしたいということ。  同時に、第一タームの中に、全体的な日本の国づくりといいましょうか、国家構造との兼ね合いということが大きな基本的な要件でもあると私は思いますので、この九つの個別要件をトータルする中で、先ほどの意見ではありませんけれども地域バランスを含めた国づくり、国家構造との兼ね合い、これはここで言うと第二タームのところに出てくるのでありまも、その辺のところがやはり基本的にあって、さまざまな条件議論されて絞られていくということが必要なような気がします。  初期の段階でその辺の議論は十分やったのかなとは思うのでありまも、最近の状況等々踏んまえると、改めてその辺のところを強調しませんと、国民的合意というものも得られないし、逆にマイナス作用が出てしまうのではないかなという危険もなくはないと思いますので、ぜひ今後の御審議の中で御考慮いただければありがたいなと思っているところでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
  71. 平沢勝栄

    平沢委員 私も要望ですけれども、先ほど申し上げたことと関連するのですけれども、今回の移転は、東京都民も納得できるような形でぜひお願いしたいのです、東京都民は大変な不安を抱いていますので。ここに世論調査が出ていますけれども、これは全国に聞いていますけれども東京都の世論調査が出ていないのですよ。東京都民が納得できるような形の移転をぜひお願いしたい。  例えば、今回は一極集中を緩和するというのが一つの大きなねらいだと思うのですけれども、私は二十三区内の葛飾区が地元ですけれども、葛飾区は、かつて四十七万人の人口があったところがどんどん人口が減ってきて、もう四十三万人を切っているわけですよ。年々人口が減っているのです。そういうところが東京の中にもあるわけです。このままいったら過疎地になるのではないかとみんな心配しているわけです。  そういう中でこの議論が出てきていますので、東京都民もこれならばと納得できるような、そういう議論をぜひやっていただきたい、これを要望としてお願いいたします。
  72. 赤松広隆

    赤松委員長 参考人に対する質疑も尽きたようでありますので、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  石原参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べをいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会