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1969-04-17 第61回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年四月十七日(木曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      占部 秀男君     松本 英一君  四月十七日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     山本敬三郎君      柳田桃太郎君     井川 伊平君      米田 正文君     鬼丸 勝之君      二宮 文造君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡  三郎君     理 事                 大森 久司君                 山内 一郎君                 沢田 政治君     委 員                 井川 伊平君                 上田  稔君                 鬼丸 勝之君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 山本敬三郎君                 米田 正文君                 田中  一君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 塩出 啓典君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        発  議  者  井上 普方君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        建 設 大 臣  坪川 信三君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       細見  卓君        建設政務次官   渡辺 栄一君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省住宅局長  大津留 温君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省住宅局調        査官       沢田 光英君    参考人        日本住宅公団理        事        稗田  治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○都市開発法案内閣提出)     —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、占部秀男君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  都市開発法案審査のため、日本住宅公団理事稗田治君を、参考人として本日の委員会出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定します。     —————————————
  5. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 公営住宅法の一部を改正する法律案(閣法第二六号)(衆議院送付)及び予備審査のため送付されております公営住宅法等の一部を改正する法律案井上普方君外七名提出(衆第二一号)の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。坪川建設大臣
  6. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) ただいま議題になりました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅事情を改善し、国民のすべてが健全で明るい住生活を営むことができるようにすることは、政府に課せられた重大な使命であり、政府としては、鋭意住宅対策拡充強化につとめておりますが、特に政府施策住宅建設は、低額所得者向け賃貸住宅に最も重点を置いて進めてまいっております。  公営住宅法は、昭和二十六年に制定され、以来この法律に基づく公営住宅供給が、わが国の住宅対策の上で最も重要な役割りを果たしてまいりましたことは御承知のとおりであります。しかしながら、法制定以来すでに二十年近くを経過し、現在におきましては、制度上幾多の問題が生じてきましたが、中でも次の事項は当面改善措置を講ずる必要があるものと考えます。  その第一は、公営住宅建設に要する費用に関する国の援助方式についてであります。現在、国は、公営住宅建設にあたって、その用地費についても地方公共団体に対して補助することとしておりますが、用地費の増大に伴い、補助額地価の実勢とかけ離れ、地方公共団体財政負担増高を来たしております。現行用地費に対する補助制度のままで補助単価を適正化し、公営住宅建設の伸長をはかることは、現在の財政事情のもとにおいては、相当困難と考えられます。したがって、用地費については補助制度実額に沿った融資制度に切りかえることが適切と考えられます。  第二は、高額の収入のある入居者の取り扱いについてであります。公営住宅は、低額所得者のための低家賃住宅でありますが、入居所得が上昇し相当な高額の収入を得るに至った者が引き続き入居している現状であります。このようなことは、住宅に困窮する低額所得者が、多数公営住宅入居を希望している現状より見て、著しく公平を欠くのみならず、公営住宅法の本来の趣旨に沿わないものと言わねばなりません。したがって、このような高額の収入を得るに至った者に対して一定要件のもとに明け渡し請求することができるようにする必要があります。  第三は、公営住宅建てかえに関する制度についてであります。最近の公営住宅建設地は、用地取得難のためややもすれば市街地から遠隔化する事例が見受けられます。一方、相当以前に建設された公営住宅市街地建設されたものが多く、その大部分木造住宅で現在ではかなり老朽化しており、これらを建てかえてその土地を高度に利用し、近代的な高層または中層の公営住宅を大量に供給することが、刻下の急務となってまいりました。したがって、公営住宅建てかえに関する規定整備して、事業の円滑な推進をはかる必要があります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次にこの法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、公営住宅または共同施設建設するための土地取得造成に要する費用についての国の援助方式を改めて、従来の補助地方債による融資に切りかえることとし、国は、事業主体がこれらの費用に充てるために起こす地方債について適切な配慮をすることといたしました。  第二に、ただいま申し上げました国の援助方式を改めたことに伴う家賃の変動を避けるため、国は、毎年度事業主体に対して家賃収入補助を行なうことといたしました。  第三に、公営住宅に五年以上入居し、一定の高額の収入を得るに至った者に対する明け渡し請求に関する規定を設けました。この場合、事業主体は、入居者明け渡しを容易にするように他の公的資金による住宅への入居等について特別の配慮をするとともに、請求を受けた者が病気で出費が多いこと等特別の事情がある場合においては、明け渡し期限を延長することができることといたしております。なお、現在公営住宅入居している者に対しましては、法改正後二年間は明け渡し請求ができないものとし、また明け渡しの基準についても相当の配慮をすることとしております。  第四に、公営住宅建てかえ事業に関する規定整備いたしました。すなわち、建てかえ事業施行できる場合の要件を定めるとともに、建てかえ事業施行にあたりましては、事業主体は、あらかじめ建てかえ計画について建設大臣承認を得た後、事業施行に伴い必要があると認めるときは、一定期限を定めて入居者明け渡し請求することができることといたしました。  第五に、この明け渡し請求を受けた者の住生活の安定を確保するため、事業主体は、必要な仮住居を提供するとともに、新たに建設される公営住宅への入居を申し出た者については、その公営住宅入居させなければならないものといたしました。  また、事業主体は、建てかえ事業施行に伴い入居者がその住居を移転した場合においては、通常必要な移転料を支払うべき旨を定めました。  第六に、建てかえ事業を円滑に施行するため、事業主体は、事業の概要について説明会を開催する等、事業施行について入居者の協力が得られるようつとめるべきことといたしました。  このほか、法定の限度額以内の家賃の変更については建設大臣承認を要しないこととする等所要の改正を行なうことといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。  なお、政府原案におきましては、この法律昭和四十四年四月一日から施行することとしておりましたが、衆議院において公布の日から施行することに修正議決されました。
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、発議者衆議院議員井上普方君から提案理由説明を聴取いたします。井上普方君。
  8. 井上普方

    衆議院議員井上普方君) ただいま議題となりました公営住宅法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  住宅は雨露しのげばこと足りる施設ではなく、豊かな社会生活保障し、社会の進歩の基盤となるものでなければなりません。しかるに今日の住宅事情実態は、激烈な公共賃貸住宅応募率をはじめて狭い居住、高い家賃、危険な老朽密集居住、粗悪な設備環境、不便な遠隔地居住、スプロールの拡大、ウナギ登りの地価高騰等の悪条件が一そう強められているのです。  住宅難解決見通しのないまま放置されている最大要因は、住宅水準保障に関する国の責任が不明確とされているところにあります。今日までの個人責任主体とする住宅解決が、ますます住宅難に拍車をかけ、生活環境の悪化と混乱を深めているとき、国の責任のもとで住宅水準抜本的改善をはかることが緊急に必要とされているのであります。  わが党は、かかる基本方針のもとで、住宅難を緊急に解消し、国民住生活の向上を全面的に保障する施策として、この法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一は、住宅建設の中心を公営住宅とするため、特に国の大幅な財政負担を確立し、地方公共団体の過重な財政負担を軽減して公営住宅建設の意欲を強化しようとするものであります。そのため、建設費補助を実支出額とすることはもとより、補助率に関しましても一律三分の二に引き上げ、また住宅規模や構造に関しても第一種住宅、第二種住宅の差別を廃止して、平等な居住条件実現しようとするものであります。  ついで第二は、公営住宅家賃についてであります。公営住宅家賃は近年大幅に上昇せざるを得ない事態にありますが、そのため同じ公営住宅であるにかかわらず大幅な格差が生じております。家賃は、安心して生活を営める金額である必要があります。そのため、政令で定める控除による収入に対し、ほぼ一割以内の金額家賃として定めようとするものであります。これに関連して収入超過者に対する割増賃料の徴収や明渡し要件必要性をないものとするものであります。  第三は、今日の抽せん制度のもとで住宅難世帯は、その解決見通しのないまま放置されておりますが、これを市町村自治体による登録制度によって住宅難実態に応じて計画的かつ確実に住宅保障をはかろとするものであります。  以上は、公営住宅法の一部を改正する主要点でありますが、次に御説明申し上げますものは、住宅建設計画法改正にかかわる問題点であります。  その第一は、住宅建設五カ年計画についてであります。公営住宅建設住宅建設五カ年計画に基づいて実施されておりますが、現行計画は初期の目的から完全に遊離し、住宅難を解消し得ないものとなっていることは明白であります。そのため現行五カ年計画昭和四十四年度の四カ年目で打ち切り、昭和四十五年度を初年度として、職住近接、一人一室等住宅水準実現目標とした住宅建設五カ年計画を発足せしめ、その住宅建設戸数七百六十万戸のうち公的資金による住宅は総建設戸数の六割、さらに公営住宅公的資金による住宅の総建設戸数の六割二百八十万戸を建設することによって、住宅難緊急解消、安心して生活できる豊かな住環境の実現をはかろうとするものであります。  第二は、宅地公的管理についてであります。宅地供給難は、公営住宅建設最大の障害となっており、今年度からの都市計画法の実施により市街化区域内での地価高騰が一そう憂慮されているのであります。公営住宅適正立地良好環境公共施設事業整備公共事業費効率化等実現するためには、市街化区域宅地市町村管理とし、その権限のもとに住宅建設強化はもとより、当該地域の良好な環境施設を全面的に実施しようとするものであります。  以上が、この法律案提出する趣旨でございます。何とぞ慎重な御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたす次第でございます。
  9. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  10. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記を起こして。  本日は、両案とも提案理由説明聴取のみにとどめ、質疑は次回に送ります。     —————————————
  11. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 次に、前回に引き続き都市開発法案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  12. 田中一

    田中一君 十一時から総理大臣が見えるというから、大体総理に伺うことは残しまして、建設省並びに関係のきょう来ている政府委員の方に質問したいと思います。  第一の問題は、今日まで都市開発の問題が非常に大きく叫ばれておりますけれども、その実効というものは見られない点が多々ございます。そこで、いままで政府としてなぜこれらの再開発がはばまれておったかという点の原因を、ひとつ解明していただきたいと思うわけです。これは当然かって防災建築街区あるいは市街地改造事業として行なったところの事業が、なぜこのような一本の姿として法の体系を変えて提案されなければならないかという点から見ても、おそらく大きな経験と反省の上からこの法律案提案となったわけでありましょうから、その点をひとつ問題点説明してほしいと思います。
  13. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 結論的にまず申し上げますと、従来は総合的な再開発に関する法制がなかった。つまり先生御承知のように公共施設に関連いたしまして道路管理者である公共団体部分的に再開発をするという手法は、市街地改造法でございました。それから権利者の集まりでございます組合によりまして防災的な意味防災街区について地区を指定いたしまして、組合世話役になりまして防災建築物に対しまして助成するという制度がございます。しかし、現在都市の中におきまして再開発をいたすべき地域は、この二つ法律がねらっております地域以外にもございます。また施行者の面からいいましても、公共団体が行ないますだけではなくて、さらに組合なり住宅公団なりがある程度強制権を持ちまして事業を遂行するという必要もございます。そういう問題さらに申しますと、市街地の中におきます再開発を行ないます場合に、権利の処理が非常にやっかいでございます。従前のような市街地改造法にありますような収用をいたしまして、その対価として希望によって現物補償として床を与えるという方式につきましての問題もございますし、また、組合が行ないます場合には、権利調整方式法律規定してないというようなことで、権利調整方式を新しく考え出す必要があるというような点、さらには資金なりあるいは税制上の優遇措置というようなことも要望されていたわけでございまして、そういう点を取り上げまして、今回出しました都市開発法におきましては、総合的に再開発ができる法制にすると同時に、再開発推進者である施行者組織権利調整方式資金融通等措置税制上の優遇措置というようなものを盛り込んで提案いたした次第でございます。
  14. 田中一

    田中一君 私もこの都市の再開発の問題につきましては、非常に熱心に過去推進してきたものの一人であります。かつて防災建築街造成法案市街地改造事業のこの二つ法律提案されたときに、これは都市局住宅局から提案されたものであります。その際にもはっきりと申し上げたのは、でき上がるものは一つのものではないかということです。思想的にはこれは両方ともいわゆる都市開発目標とするところものである限り、単一な法律にすべきものであるという点を強調してまいっております。これは結局第一の要因は、同じ主管大臣建設大臣として持ちながら、中の部局においてやはりセクト主義災いをして、そうして国民に非常に迷惑をかけている。これが促進されなかった理由は、都市局住宅局がおのおのでき上がる、出現するところの対象というものは同じものでありながら、同じ局内のセクトによって国民が非常に迷惑をして、したがってこれらの事業が促進されなかったという点が、第一の要因であろうと思います。この点については相変わらず対象となるものが、いわゆる防災建築街区そのものの精神を生かし、かつ、かつての都市開発法手法をまた持っているという、内臓しているという面からいって、政府行政機関としてはどのような主務、主管指導を行なおうとするのか、そうして前回廃案となったところの法律案、この法律案が相当大幅に変革されておる。これはむろんわれわれからも強くその点を指摘し要求したものでありますが、政府部内の運用をどうするかという点を、まず最初に説明してほしいと思うのです。
  15. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この法案の附則第七条に建設省設置法の一部改正がございます。これによりまして再開発法の所管を明らかにいたしております。端的に申し上げますと、法律施行事務のうち、市街地開発組合と、日本住宅公団施行いたします市街地開発事業につきましての指導、助成、監督住宅局で行ないます。それ以外の部分都市局で行ないますが、ただ市街地開発組合も、従来のようにただ家建てるというだけではなくて、当然公共施設整備を一緒に事業内容としてやる。これに対しまして管理者負担金を課すという制度が、この法律で明らかになっておりますので、街路その他の公共施設で、都市計画で定められたものの整備を伴うもの、従前市街地改造でやっておりましたような伴うものにつきましては、都市局のほうで所管する、こういう仕分けにいたしているわけでございます。
  16. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますけれどもね。相変わらず建設省の中には何かがあるわけなんです。これは建設大臣、あなた自身が主管するものなんです。そうしてでき上がるものは同じものなんです。思想も同じならば、手法も再開発法という一つ法律のもとに行なうわけでありますのに、どうして住宅局都市局二つに分割され、印象としては二重行政的な色を濃くしているということは、どういうことでありますか。いま、まあ聞けば防災街区の手法住宅局、それからいまの市街地改造事業的な手法都市局ということになっている。私はそういうものがあっちゃならぬと思うのです。それが、一つ法律案の中で二つ担当部局ということが災いをするんです。かって二つ法律が、この母体となる二つ法律があって、それが一つになったという場合には、行政官庁としての担当部局一つになさい、これが正しい方法なんです。御承知のように、都市局都市局計画局計画局、それぞれ今日は予算組成期じゃありませんけれども、やはり自分の事業費拡大のために、常に新年度予算編成を控えて、大蔵省の廊下トンビをする、こういう風潮がまだ残っておる。それぞれの行政機関部局の職員を養うためにこの法律は生きてるんじゃございません。こういう点につきましては、これは重大な問題なんです。私は建設委員でありますから、建設省の場合を申し上げますけれども、ほかの政府関係機関の中にも、このような二重、三重の行政を行なってるところがたくさんあるのです。建設大臣は一年に一ぺん変わるんだから、これはあなたの威令が都市局長住宅局長にすみずみまで徹底して、あなたのりっぱな方針というもの、姿勢というものが深く浸透するとは思いません。そういう今日の佐藤内閣、しいて申しますならば自民党内閣の今日までの閣僚選考、あるいは任期等、どのくらい国民は迷惑をしておるか、こういう点は端的に現われておる。この一つ法律の中においてすら、そのような二つ指導精神一つとは言いながら仕事の中身を変えております。この点について建設大臣はどう対処しようとするのか、建設省行政部門のためにある法律じゃございません。国民が単一にしてすなおに受けられるという、理解し得るという法律でなければ、これは悪法であります。その意味建設大臣の真剣なひとつ部内の見解を示していただきたいと思います。
  17. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 田中委員が御指摘になりました点につきましては、私といたしましては、これらの現在の行政機構の、建設省行政機構問題点等につきましては、つぶさに検討も加えている次第でございますが、御指摘になりました点につきまして、私はその御趣旨、また御要望等については、私は深くその御趣旨のほどを体しましておるのでございますが、現実責任者として、私はやはり関係局と密接な連絡、また思想の統一、これらを考えながら、やはり国民への奉仕者としての行政の体制でなければならぬと、こう考えておるのでございます。いろいろ具体的な問題点が出てまいること、現実の上においてあることも私は承知もいたし、また認めたいとも思います。したがいまして、私はそれらの総合的な指導監督責任者といたしましては、それらの点を十分こまかい配慮、また太いところの施策の柱を立てながら、私は指導してまいりたいと、こういうような方針でおりますので、現時点におきまして、いろいろ御指摘になりました点、よく私も了承いたしますが、現時点におきましては、私はいま御指摘になりました点を十分配慮いたしながら、その行政の能率の増進と一元化にさらに努力をいたしてまいりたい、こういう決意でおりますので、御了承願いたいと思います。
  18. 田中一

    田中一君 坪川さん、あなた二年か三年建設大臣をやってくれと、私はこんなことは言わないんです。どうせあなたは今年の暮れには首になるでしょう、それじゃ困る、そういう点を憂える。あなたはりっぱな方だから、大いにやってもらいたいと思うと、ある時期になるとやめられる。高級官僚は、大臣はどの大臣が来たって頭を下げていればさっと通ってしまうという気持ちです。実権は官僚組織が持っておる。そこで、この官僚諸君もりっぱなものです。専門家として、行政管理者としてりっぱなものです。しかし、まれに大臣の悪いのが出ますと、それがゆがんでいくわけなんであります。その点について、いま御答弁にあるとおり、せめて国民に直接に利害なり、あるいは禍福なり、幸せとか不幸とかという問題が直接に当たるという問題については、過去の悪い悪弊というものを全く除去して、一つ方針一つの心になって、たとえ地方公共団体が行なう場合にいたしましても、住宅公団が行なう場合にいたしましても、あるいは組合施行の場合におきましても、一本の姿勢で行なうようにひとつしていただきたいと思うのです。  次に伺いたいのは、この都市開発法が成立をする、そうして具体的な出発をするのは大体来年であります。今年は七千数百万円の調査費しかございません。この場合、何を対象として調査しようとするのか。たとえば資料として提出されているものを見ましても兵庫県下の箕面駅前とか、あるいは大阪の阿倍野の駅の付近とか、こういうところが計画されておりますが、これはことごとく市街地改造事業に該当する地区であろうと思うのであります。しかし、今日まで法律が制定されて七、八年というか、この間国民がほんとうにこれを利用し、大きな成績をあげておるのは防災建築街区の手法であります。これは御承知のように心を一つにしております。そうして千数カ所というような大きな効果をあげておるのですが、この示された資料以外には、どういう点に対する調査をしようとするのか、これをまず伺っておきたいと思う。その地点がただ単に駅前の広場とかあるいは過密化したところの区画整理の行なわれていないところとかいうもの以外に、住というものが今度は大きく出ておるわけであります。住の面でどういう地点を選ぼうとするのか、これを第一に伺うと同時に、来年度はどういう意欲的な予算を計上しようとするのか、これを伺っておきたいのです。たとえば予算の計上ということは建設大臣には無理かもしらぬけれども、七千数百万円で調査をされたその地点がどのくらいの事業の予算として計上されるか、これをまず伺います。なぜいまここでこの法律ができる前にこういうことを申し上げるかというと、もはや防災建築街区の思想国民の中の層に行き渡っているのです。と同時に、また市街地改造事業のほうの思想も相当浸透しているわけであります。浸透していないというのならもうあなた方は論外であります。一体何をしたかというのであります。したがって、今度はこの二つ一つになりましたところの法律によって、もっとよりよいしあわせを受けるんではなかろうかというのが、国民の感情であります。でありますから、ただ単に三つや四つの地点を調査をしてこれでいいんだという考えならば、この法律は必要ございません。先ほども都市局長言っているように、ふくそうした権利関係に困るから苦しまぎれのこういう法律をつくったのだ、というふうにしかとらないのであります。でありますから、どうかその点どのくらいの規模の事業計画し、そうしてそれを大蔵当局に要求するかを伺っておきます。
  19. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) この法案の御制定をいただきました場合の私の基本的な気持ち、決意を申し上げますならば、この無秩序な都市現象の一日も放置することのできない重要性をかんがみますときに、私は時間と競争といいますか、時間を敵にすべきほど重要性、緊迫性のある問題であると考えますので、私はその点を踏まえまして、新たなる昭和四十五年に対するところのそれに即応した予算編成作業をやりたいと、こう考えておるのでございますが、具体的な点につきましては、局長から答弁させます。
  20. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 四地区と申しますのは、実は事業実施をしようとするところであります。調査をいたしておりますのは、いままでの体系のもとで防災街区の関係の調査、それから市街地改造の調査という形で再開発事業の調査を行なっておりますが、組合関係のほうといたしましては、四十一年度、四十二年度、四十三年度にわたりまして、十八都市におきまして再開発に関する基本構想の樹立、再開発適地の選定、それから地区の選定、マスタープランというようなものの調査をいたしております。さらに公共施設整備に関連いたしましての再開発につきましては四十三年度までに全国五十一都市、六十五地区につきまして調査をいたしておるわけでございます。これ以外に、先生おっしゃいますような住宅を主といたします副都心とか都心の周辺部におきます低層木造住宅地がございますから、そういうところの事業も来年度は意欲的に取り上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  22. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記をつけて。
  23. 田中一

    田中一君 おそらく建設委員会総理が出たのは珍しいことでありますから、ひとつこまかい問題抜きにしまして、将来総理が四選、五選しようという将来のもとにおいてとろうとする大きな構想についてただしておきたいと思うのです。  それは、本年度の予算編成の方針を見ましても、社会資本の充実、また社会開発、これを相当強く政策の面で押し出しております。そこで、社会開発の一番ネックになるものは何かというと、今日まで考えてまいりますと土地の問題であります。ことに東京におけるところの巨大都市、これがますますマンモス化するところの今日の現状から見ましても、また投機的な土地対象となって、人為的にこれが上がっていくという現状から見ましても、何とか土地に対するところの考え方を、この際ひとつきめなければならぬ段階にきておるのではなかろうかと思うのであります。これは非常に困難な問題も含みましょうけれども、私はもう時間がありませんからずばりと申し上げますと、今日の段階では土地は国有化する以外にないのではないかという点であります。土地は一体だれのものでございましょう。私はこの日本の国土というものに対しますところの自分の定義は、これは民族共有の領土であるという考え方を持っておるのであります。民族共有の領土であります。したがって、今日与えられるところの土地の所有権というものは、憲法上にも、民法の上におきましても、ただ登記という形においてのみこれが認められ、他の法令の中にはこれは見出すことはできないのであります。日本の領土は私有されておる。これは先進国五十六カ国くらいの憲法を調べてみました。そうすると、土地がただ単に私有財産として自由に動かされておるという国は少ないのであります。問題は、土地の利用によるところの用益権というもので、すべての生産の媒体として土地があるということにすぎません。今日貿易の自由化、あるいは資本の自由化等が行なわれる場合に、私有財産としての日本の土地、個人の土地、いわゆる日本の、民族の領土がどんどん売買されたらどうなるであろうか。今日でも公共事業等を行なう場合の一番のネックは、第三国人が所有しておる土地であります。これが常に一切の事業の前進をはばみ、また社会におけるところの混乱を招いていることは、都市局長にしてもあるいは住宅局長にしても知っているはずであります。したがって、この辺でひとつ土地の国有という構想をお立てになったらどうであろうか。この土地の国有という方向に向かって、政府は何らかの審議をする機関をお持ちになったらどうであろうか。私は自分のことを言っては変でありますけれども、この問題についてはずいぶん長い間調べております。とうとう最近は一つの構想をまとめようとしております。これは私個人がそうした構想を持ってそれの論文を書けばいいというものではございません。政府自身が、将来の国民のあらゆる生産の媒体であるところの国土の利用というものを、土地は国有にする。しかし用益権が所有権と同じような物権として国民に与えられるならば、何にも国民は損はしないのであります。これらの点について総理大臣の所感を伺います。
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 田中君のただいまのお話の点は、私、いままで聞かないでもないように思います。かねてからの御主張だと思います。私も、いまの都市問題、これは土地の問題だと、かように考えておりますので、いわゆる所有権、そういうものがもう何ら制限を受けない、こういうものであってはならないと思います。また同時に、国有地や公有地というものが簡単に払い下げをされる、こういうことがあってはならないと。むしろいろいろな理由から、国有地や公有地、これが拡大される方向で扱うべきじゃないかと、こういう基本的な考え方はしております。でありますから、所有権をやはり制限する方向、やはりこれが社会奉仕、あるいは公共の土地というか、そういうような意味から制限さるべき方向にいくべきだと。あまりにも所有権万能、そういう方向でいっているところに問題があるように思う。もちろん、ただいまの状態ですから、所有権に制限を加えるにいたしましても、納得のいく法制のもとにおいて初めて可能なことでありますけれども、しかしどうもその制限すべき方向じゃないか。まだ、いま言われるような完全国有、ちょっと踏み切りにくいものがある、かように思います。まあ国有にして用益権だけ別にすればいいじゃないかと言われるが、必ずしもそうしたものでもない。その国有は、名目だけの国有であります。用益権者というものが非常にまた強くなってくる、かように考えますので、ここらは田中君、専門にこの辺は考えていらっしゃるので、その用益権についてもある程度の制限をせざるを得ない、そういうところに結論がなるのじゃないだろうか、かように思います。  とにかく根本の問題であります。それだけに簡単には結論は出せないと思います。まあただいま出し得ることは、とにかく所有権、私有権、それが無制限、完全私有ではないんだ、これには必ず制限が加えられる。これは民主的な方法で法律整備して、そういう方向へいきたい。また、国有の土地や公有の土地の払い下げ、これは慎重にさるべきである。またそうして、そういうものはむしろ拡大さるべき方向にあるべきじゃないだろうか、かように実は私も考えながら、さような意味でこの問題と取り組んでおるつもりであります。  なお、具体的な問題等につきまして重ねてお尋ねがあれば、さらにその方向ももっと詳しく申し上げたいと思います。
  25. 田中一

    田中一君 おっしゃるとおり、御答弁のとおり、そう簡単にはまいりません。まいりませんが、ただ問題は、まず精神的な面であります。これはもうだれもはっきりしているとおり、日本の国土は、これは民族の領土です。民族の領土なんです。しかし、いま野方図に台湾をはじめ第三国人が自由に買える土地であります。一体、領土が切り売りされるということになると、これは大問題です。したがって、第一に、これをどうしてとめるかという問題が一つであります。これは、第三国人に土地を売らないということは、それはたくさんございます。かつてフィリピンに参りますと、フィリピンは一切もう売らない、地上権も貸さない、こういうような政策をとっているように聞いておりますが、いまどうなっていますか、私はいまから十七、八年前に行ったときにはそういうことを言っておりました。ところが、日本の現状はどうであろうか。全くあけっぱなしであります。これをまず第一に考えなければならぬことが一つです。  それからもう一つは、第二の問題は、国民土地を所有して、所有するだけで何の利益があるかということです。やはりこれは生産の母体であります。土地によって労働し、そして生産をする、これによるところの媒体であるのです。しあわせのもとです、これは。それが放置されるというものを、ただ単に現象として、それが空間地税を取ればいいんだとは申しません。空間地なんというものは、課税対象としようとするときにはなくなってしまいます。したがって、これはまず現在の地籍のままを裏返して国有にしてしまう、しかし現在利用しているものには、所有権というものはなくなっても、用益権という物権を与えようとするのです。過渡的なそういう第一段の方法をとっていって、これは五年、十年かかってもよろしいです。その中で理解が生まれてきます。ただその土地を目的変更をする場合には、これは当然国に戻ります。それは目的変更されるという、用途変更されるところの価値が新しく設定されるならば、これに対して、これをどうするかという、いわゆる高度の利用計画——国土利用委員会というものが、国全体の国土計画の中から生まれてこれはむろん国民の中からも代表が出て生まれて、そこで国土全体の利用計画というものを立てるという構想でありますが、これはまあ私のみならず、総理もずいぶん御研究になっていらっしゃると思いますが、この点については、ひとつ政府の中におきましても、もはや今日の段階では国民のすべてが、これに対するところの要望を持っているものと私は確信しております。ただかつて農地を失ったというような、収奪というか農地を解放したというような手法でなくして、平和裏に日本の国土は民族の領土であるという観念に切りかえるということのひとつ考え方を持ちながら、政府が何か機関をつくってください、その方向で。それをひとつ要望しておきます。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのは要望という形でございますが、これは基本的な問題だと思いますので、私も少し話してみたいと思います。  日本の国の場合は、民族は一民族だといわれておりますが、とにかく戦前までは韓国人もまた台湾人もわが国民の一部である、そういう関係が戦後もやはりどうもはっきり割り切れないような、どうもそこらに都合のいいときには外国人になり、都合の悪いときには外国人にならないとか、いろいろな扱い方に問題をしばしば起こしております。しかしここらで、ただいまも言われるように大事な土地の問題については、十分政府もしっかりした法制のもとで、差別すべきは差別するようにきちんとする。これはもう御指摘のとおりだと私も思います。  またもう一ついまの所有する者が、土地の利用ということよりも、ただ持っておればというようなことで、そのうちに値上がりする、その利益をねらう。こういうことはやはり生産の基礎である土地、その目的の点から見まして十分生きておらない。そこで及ばずながら今回税制改正をしてみる、これももちろんいろいろの批判がございます。しかし政府のねらっているところは、とにかく働かない土地というそういうことであってはならない、不労所得されてはならないという意味で、税制上何かそこらに一つのくふうをしたらどうかというのが、今回の改正でございます。私はこれをもって十分効果を発揮するとは必ずしも考えません。しかしいま御指摘になりますように、土地の問題こそ、これからきめなければならないものだ、そうしてこれは関係省が非常に多い、したがって建設省だけでもないし、農地の問題から見れば、直ちにただいまの農林省の問題になる、それかといってさらにまた通産省あたりは実際に利用しておる、関係省はその関係から見ましても、単純な扱い方ができません。そこで政府は、関係省が懇談会を持ち、今回のような価格の公示制度を採用するということになると、またその関係でも関係省間の協議に基づく特別機関を設けざるを得ないというように、行政上もこれを単純化して、問題を複雑化ささないように、そして十分効果があがる方向でくふうしておる最中であります。私はそういう意味でただいまの御提案、御提議、これも十分取り入れて、慎重に考えていく。この点まあ時間をかしてください、かように申し上げる次第でございます。
  27. 田中一

    田中一君 次に伺いたいのは、東京自体どうするかという問題です。このままでいったら、一体東京はどうなるか。おそらく総理一つの構想を持たれておると思います。また田中幹事長を中心とするところの都市問題の委員会も持たれて、一つの構想は出ておりますが、あれじゃ満足しません。今日はやはり各省の持つセクトというものがそこに顔を出しております。そうじゃなくて、まあ取り上げてみましても、この過去十年間に人口の移動を考えてみますと、東京、神奈川、埼玉、千葉、これだけを見ても全体の人口の移動が六〇%ふえているのです。それであるいは近畿におけるとか中部におけるとか、大都市集中ということはこれはもう現に統計の上で出ているのです。そこで東京の場合どうするか。今度の都市再開という問題がここに提案されている。これは大幅な事業を行なうのだという印象を国民に与えておりますが、はたして東京はどうするのか。私はここで時間もないから率直に申しますと、たとえば東京都内でもはや三十六階の霞が関ビル、三十八階の浜松町の貿易何とかいいましたあのビルとか、これはたいへんであります。総理は大体反対ではないと言っております。そうした超高層のものは技術的に可能ならば、これは反対ではないという意見の開陳は伺っておりますが、率直にずばり申し上げると、東京海上のあのビルの御返事は、政府としての御返事はどうなったのか、という点であります。もう二年以上も経過しております。これは総理はあそこの地点に超高層ビルを建てるのは好ましくないというような意見があることは仄聞しておりますが、こんなものを通してはいけません。これと同じように新しい許可をしないビルがあるならいざしらず、超高層の建物があるならいざしらず、ほかは全部どんどんと許可をしている。技術的な問題でも何でもない。ただこれは私もどこでも野放図にああした巨大なビルを建てていいとは考えておりません。当然制限されるべきものがあろうと思います。しかしながら申請して過去二年、だれの時代だったか、河野さんの大臣の時代だったか、今日まで何代大臣がかわっても、これは全然御答弁がない。これは佐藤総理が押えているのだという巷間のうわさもございます。これはいけません、これはいけない。技術的にも何にも差しつかえないものなら許可をすべきであります。できないならばできないという答弁をすべきであります。ただ新聞等でもずいぶん美観論争として喧伝されましたけれども、ただ天皇家の居住地に近いからという理由では、これは私どもはとることはできません。しかし地区的に当然たとえば住宅地区に巨大なものがにょきにょき出た場合にはどうなるかというような点とか、あるいはその他にもいろいろな条件はございます。それらの問題は問題として制限されるべきものはあろうということは前提として、ここでひとつ総理の決意を伺っておきたいと思います。決してこれはいま言うとおり、国民に与える政治の当然の政府の答弁のいまだ解決されないものでありますから、坪川建設大臣に伺ってもこれは困ると思うのです。前大臣、前々大臣も、また前々々大臣もこれはとうとう答弁をしないで過ごしたものでありますから、率直に総理大臣に伺っておきます。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの具体的な問題に入ります前に、お答えとして過密化の傾向、都市ができて交通難、住宅難あるいは公害ずいぶん問題があるにかかわらず、都市はどんどん巨大化する。これは適当なところで押えたいというのが皆さんの一致した、国民の一致した考え方だと思います。まあそれぞれの立場に立ちまして、巨大都市については制限をして、できるだけ都市計画法に基づく総合的な計画的な、また住みいい都市にするという、そういう方向に臨んでおります。そうしてまあその場合に、最近の技術からすれば二階建てだとかあるいは平屋建てだとかそういうものはだんだんなくなって、高層建築化したらいいじゃないか。限られた土地を利用するのに、やはり高層化が必要だ。こういうところからいま高層化の方向に向かっておる。そうして私どももそれを賛成している。そうしてこれについてもいまいろいろな問題があります。この高層化建築をした場合に、どの程度のあき地が必要なのか、さらにまたこれから起こる災害を防止し得るそういう可能なもの、それはどう考えるか。ことに地震地帯であるだけに、そういうこともいろいろ論議された。だが大体においてただいまの建築技術から見て、また建築材料等から見て、高層建築をつくってもそれぞれの災害は防除し得る、こういう方向だと思います。ところで、いまひとつ残っておるのは、いまおことばにもありました美観論争、これは一つの問題だと思います。おそらく都心さらにまた副都心、巨大化する大東京というものは、一つの中心地ばかりでなくて幾つも郊外に副都心ができる。新宿、池袋等々のものが考えられる、そして大都市を形成していく。その基本には交通、通信、そういうものが基礎にはなりますが、とにかくいまの副都心を考え都心も考え、そして職場と住まいとできるだけ密接にする。そこでいまの美観論争がある。いまの東京海上の問題について、これは一に美観論争から出てきている。もちろん結論が出ていない。慎重にわれわれも取り組んでいるというのが結論でございます。それにつきましてはただいまのようにいろいろの問題もある。まあ一部から天皇様の近くにそういうものを建てるのはけしからんというのもあるし、さように区別すべきではない、同様に考うべきだ、国民の立場に立って、というのもありますが、あるいはまたパリでもすでに一定の区域を限って美観を存置しようという運動も起こっておる。ロンドンにもそういうことが言われておる。私もロンドンに出かけてみると、ある高い建物ができておる。これが非常にいかにも不調和だ。こういうところはちょっと困るなあ、こうも思います。さらに東京における霞が関ビル、さらにまた最近計画されておる浜松町ビル、さらにまた新宿を中心にしてのいろいろのビルの建設などの計画があります。これは比較的一定の地区を除いたそういう意味からこれは美観論争地区として議論はあまり展開されておらない、こういうこともございます。そこでいまの建物一つにいたしましても、場所その他の建物の関係、これはよく考えてそうしてその美観をやはり存置するようにしなければならん。これが個々の人によってそれぞれの考え方が皆違うのでありますから、まあ多数の意見に従う、こういう意味政府は慎重ならざるを得ない。もう二年たったがまだきまらない、けしからん、おしかりは受けておりますが、ただいま申し上げたような観点に立ちまして美観をそこなわないように、また伝統的なものもございますから、そういうような考え方も十分取り入れたい。これが私どもの考え方であります。
  29. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 田中君、まとめてください。
  30. 田中一

    田中一君 時間がなくなって。総理、少ししゃべり過ぎますね、あなたは。(笑声)結論を出しなさいよ。この問題は結論を出す時期が来ている。前提としては実はどの地区でも建てられるということではございません。したがって、制限されるなら制限されるという前提で結論を出すべきであります。この点一つその答弁を聞いておきたいと思います。
  31. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま言われるように、そろそろ結論を出すべき時期だと思います。よく考えます。
  32. 田中一

    田中一君 これは一つ都市開発のいままでの、ネックでした。どうにもならぬ問題がまだあるのです。税制の問題もそうでありますが、こまかい問題は伺いません。ただ、総理に全般的な結論として伺っておきたいのは、今度の都市開発でもって明年度はどのくらいの予算の計上を必要とするか、これはいまの建設大臣に伺っておいたのですが、いろいろ都市局長からこれもあれも調査していると言いますが、これは何でもない。たとえば明年度都市開発のために五千億の金を出しましょう、あるいはこれは財投になると思いますが、あと三千億の金を出しましょう、こういうような総理としての姿勢ですね。この姿勢が裏づけにならなければ、この事業というものもまた部分的な権利関係でふくそうしていろいろ問題が起きるおそれがあります。ただ、相当の額のそういう面での社会開発のための投資というものが見られなければならないと思う。その点でひとつずばりと、せいぜい明年は一千億程度のものを順次出していこう、十年間で二兆円くらい出しましょうという答弁を期待して最後に質問を終わります。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 田中君から率直にずばりと言えということですが、実はまだ私はそこまでの腹づもりをこしらえておりません。そこで、大体前もってそういうお話でもあれば、建設大臣とも相談し、他ともよく相談してこれはお答えするのでございますが、ただいま突然でございますから、あまり無責任なことは申し上げられないので、ひとつお許しをいただきたいと思います。ただしかし、問題が問題でありますだけに、慎重に、全体の御要望にこたえるように、一そうの努力をするという抽象的な話だけは申し上げておきたいと思います。
  34. 田中一

    田中一君 それでは、今度の少なくとも四十五年度の予算編成にあたっては、これらの点を十分考慮するということだけは約束できますね。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 田中君の御注意よくわかりますから、さように用意するつもりでございます。
  36. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間もありませんので率直に質問を申し上げておきたいと思います。  現在改定作業を進めております新全国総合開発計画によりますと、昭和六十年における市街地人口は総人口の七〇%に達する、こう予想されております。均衡ある国土の発展をはかるためには、どうしても国土省の設置が必要ではないか、このようにも考えます。その総合的計画に基づいて開発の基本としなければならないと思います、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国土省を建設しろというお話、これも一つの試案であると思います。しかし私は、ただいまの行政機構で各省が連携を緊密にすることによってその目的を達し得るのではないかと、かように実は思っております。かつて、ただいまの点とは違う意味において国土省建設提案がなされました。しかしそれはそれなりに終わって、ただいまの建設省、これが中心になって長期計画を樹立し、各省関係もその長期計画に協力するということで、ただいまのような御要望にこたえたい、かように思っております。
  38. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 なぜそういうことを申し上げますかというと、本法律案都市開発法という法律であり、その前にはやはり市街地改造法とかいろいろ法律が出てきている。それで、現況はそういう都市市街地の改造をやってその事業を遂行しておりますけれども、現状はどうかといいますと、市街地改造法による改造事業の一方的な押しつけが住民の福祉を奪って、去る二月の七日には神戸の三宮市街の市街地改造地区一丁目二丁目の同志の人たちが、国と神戸市を相手どりまして市街地改造事業都市計画決定に対する無効と事業計画の無効取り消しを求めての訴訟があるわけであります。これは住民の福祉を完全に奪う憲法違反である、こういうふうな訴えをしているわけであります。こうした訴えがある事実の上から考えまして、今後さらにこの都市開発法がスタートすることになれば、この種の訴訟は次から次へと起きてくるような現況を私は踏んまえて、そうしてやらなければならぬ、こういう面からも総理の考えを伺っておきたいと思います。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま御審議をいただいております都市開発法はずいぶんくふうして、ただいまのような問題を起こさないようにというくふうのもとに実は案をつくっておるのであります。大多数の方、三分の二以上が賛成しないとこういうものはできないとかいうのでございますから、これができ上がると、おそらくいま問題になっておるような事件はあまり起こらないで済みはしないかと思っております。その意味でも再開発法には一つの救済というか、そういうものがあるのだということを御理解いただきたいと思います。また一部だけの者がどうしても賛成しない場合に一体どうなるか、結局そういう地区はあと回しにせざるを得ない、こういうことにもなるだろうと思います。したがいまして、今日の再開発法でまず大多数の方が賛成され、おそらく不平はよほど解消するのじゃないか。あとの救済なども十分考えられておる。土地の所有者はもちろんのこと、借家の方にも十分の救済の手を伸ばしておる。また組合の形成等についてもくふうした等々の問題がございますので、ただいま御指摘になりました点は、十分考慮したつもりではあります。しかしなおまだ問題が残る。こういうことだと、今度は都市開発のほうから見て不十分な目的を達しないものにもなるということにもなりますので、そこらのところを一体どういうように考えますか、まず一応住民の利益を考えてこの法案を通していただいて、そうしてその上でどうも都市開発に十分の効果をあげない、こういうような結果が出ればさらにまた私どももくふうしたい、かように思います。
  40. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一部の問題じゃございませんので、随所にこういう問題は起きているわけであります。総理はこまかいことを御存じないから一つの例を申し上げまして、こういうこともあるのだということをよく御存じの上で、いまの総理の答えを実現をしてもらいたい、こう思うわけです。と申し上げますのは、鶴見駅の西口の市街地改造事業についてでありますが、この地域は、当初市街地改造法によって改造事業計画されたのです。その後、都市開発法の適用対象地域となった。ところがこの法案は御存じのように今回あらためて出さなければならないような羽目になってしまった。そのために市街地改造法の適用というようにまたなった。それで三転して今日やっておるわけであります。こういう経過をたどっている。なぜその都市開発法という途中で、そういうふうなまだ法律施行されないのにもかかわらずそういうふうな切りかえをさせたのか。それからまたさらにそれが発効されないようになってきたらば、またもとの市街地改造法が適用されて今日進んでおる。さらにはまたこの鶴見の駅の東口のほうは土地区画整理事業による改造整備が行なわれておる。西口のほうは、いま申し上げましたように市街地改造事業によってやっている。この地域住民からいってみますと、東口のような行き方でいくのかと思ったらば、西口のほうは市街地改造事業でやる、それがまたさらに都市開発法によって適用される、またそれがひっくり返って市街地改造事業によるものになった。そういうふうに転々としている。一方的な政府の考え方、そのことによって、地域住民はそのたんびに不安に思い、どうなるだろうかということが非常に問題になっておりまして、いまだにこの地域は住民の全部が不安の中にあって、どうしてくれるんだという声が非常にあるわけです。しかも、その中に住んでおります商人の方々も、今度の都市開発法施行されて、たとえば、その高層建築が建ったとしても、かど店で現在ではりっぱに商売をやっている。ところが、今度は新しい建築物になると、かど店に行けるかどうか、それも疑問である。それからまた、サラリーマンである勤労者の木造建築に住んでいるその借家の人たち、あるいは間借り人の人たち、そういう人たちがどういうふうな三転も二転もしていくような状況下の中にあって、不安でならない。こういう実情を踏んまえて、私は、もう一度総理のお考えをはっきり伺っておきたいと思うのであります。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、先ほどの社会党の田中君のお尋ねにもありましたように、一つの高度の立場からものごとを見ていきたい。そうでないと、なかなか個人の権利ばかり主張しても、うまくできない、こういう基本的な問題がございます。おそらく宮崎君も、そういう点については協力することにやぶさかでないだろうと思う。ただ問題は、協力しようにも協力ができないじゃないか、いまのようなやり方では、というのがその地域住民の方々の切なる考え方じゃないかと思っております。したがいまして、事業計画を立てます前にいわゆる強権を使わないで話し合いでできるという、そういうものが一番望ましいことであります。しかしながら、過去におきましても、しばしば強制収用、それをせざるを得ないとか、まあ全体のためにひとつしんぼうしてくださいとか、こういうようなこともあったと思いますが、とにかく全貌を明らかにしてくれない、そこに問題があるようです。だから、やはり地域住民の方と事前の話し合いを十分つけなくて、一方的にものごとを進めようとすると、途中でただいまのように二転、三転する。これは、まあそれぞれの責任者と申しますか、それぞれ計画遂行者に十分の努力を必要とするんじゃないかと、かように思いますが、もちろんただいまのように、事柄が小さな問題とは言いながらも、まあ特殊な事情にありますので、たとえば自分のところはかど店だ、たいへんないいところにあるんだ。ところが今度、高層建築をつくったら、はたしてどういうところにしてくれるか。まあ二階や三階にはしないでしょうけれども、どうも在来のような便利なところじゃないとかというような不平はきっとあるだろうと思います。しかし、まあ最近の流通機構の改革等から見まして、今度は、やっぱりマーケット式のものにそれができ上がる。そうすると、いわゆるかど店の利益というよりも、やっぱりマーケット式のものが新しい流通機構として適用される。やっぱり高層建築ができて、他の店と一緒に入ったことがよかったというような場合も必ずあるだろうと思います。そこらにも説得の必要もあるだろうと、かように思います。ただ、いまの勤労者の方々、ただ自分は勤労だけだ、そういうところでつとめ人だけだ、こういうのが今度は非常に不便な高いところに上げられる、あるいは自分のうちが北向きだというようなことで日照というような点でこれは問題があるとか、まあいろいろこまかい問題、めんどうな問題がそれぞれの立場においてあるだろうと思います。しかし、そういう場合にどの程度の説得力が効を奏するか、まあ全体がひとつそこらをよく話し合ってもらって、またその中に入らないような場合ですね、立ちのいて他に自分は居住すると、こういうような場合の補償なども今度の法律では一応考えておりますので、そこらの点もやはりくふうし、みんなそれぞれの分野における社会責任を果たすということで、事柄については方向としては賛成だと、しかしその場合におれの特殊なものはどういうように守ってくれるかとか、具体的なものについてもっと事前によく相談しないと、なかなか話はまとまらないのじゃないかと思います。私は特にただいま御指摘になりましたように、計画をする場合に事前の協議、これが必要だ、そうしてそれがただ多数というだけでなしに、まあ三分の二以上の賛成がなければというのも、そういうところに主眼を置いたのじゃないかと思っております。なお注意してこういう問題を進めます。
  42. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは長くなる問題ですから、あとでまたゆっくりお伺いすることにいたしまして、都市化が進展するに従いまして、だんだんと、先ほども申し上げましたように七〇%になるだろうといわれております。そうなりまして、公園あるいは緑地等が占める割合というものが重要な課題になってくると思うのです。で、四十二年の六月の二十三日に総理が閣議でおっしゃったことがあるわけです。国有農地のうちで農地として使えない都市近郷の土地を子供の遊び場に開放せよ、というような提言がありましたけれども、これはどのように提言なさってから実現をされておりますか。また今後、この公園、緑地の件に関しましてどんなふうな構想を持っておられるか、伺っておきたいと思います。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは民間の構想で、まあ皆さん方のところで始まった運動だと思いますが、いわゆる「ちびっこ広場」、これなどは非常に地域住民にも喜ばれておる。まあそういうところに私も同じような思いをした。そうしてどうも国有地がそういう意味で使われていない、それじゃその国有地が生産に役立っているか、そうでもない、非常に中途はんぱな状態で放置されている。たとえば雑草の生える土地、そのためにいろいろな不都合を生じている、ひとつ思い切って「ちびっこ広場」をこしらえるような気持ちになったらどうかというので、閣議でそういう方向を示しました、これは確かに。ところがなかなか国が買収した土地のあと始末というか、法制的な問題がありまして、そう簡単にすぐ他に転用できない、なかなかめんどうくさいものもある。それをいまいろいろ政府ではやっております。検討しております。ただ、私が何と申しましても、こういう問題がみんな期待をされたにかかわらず、法制的なものがよしあるにしろ、その結論があまりにもゆっくりしていて進まないでいる、こういうところに行政の欠陥があるのだと、実は反省しておるような次第でありまして、私はこの問題をぜひとも本来の姿で解決をしたいし、その意味においては旧地主の方の御協力も得て、そうして新しくこの土地が利用されるように、そういう方向に努力したいと、かように思っております。ただいま御指摘になりますように、いままでのところ、どうも構想はよかったけれども、その後実績があまりあがっておらない、おしかりを受けるそのとおりになっておりまして、私もまことに残念に思っておる次第であります。
  44. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 総理に質問いたします。  各党からただいま質問がございましたので、私はダブることはやめたいと思いますが、総理も先ほど答弁されたように、今回の都市開発法は、画期的な私は法律だと思っておるんです。と申しますのは、かつてない——まあ基本的な憲法にも触れるのではないかという二十九条の解釈ですか、公共の福祉を前提とする立場から、法の解釈上もこの法案で決して間違いないんだと、こういう観点に立っておられるわけであります。しかし、こういう法律をつくるのについて、他人資本を、いわゆる財界資本と申しますか、そういう資本も含めてやれる道が開けたことは大きな問題の一つであると同時に、ややもすると、先ほども紛争の問題で現に起こっておるという事実を発表されましたが、それになりかねないという危険すら感ずる点がたくさんあるわけです。私は法律は、言うまでもございませんが、制定する場合には国民が喜んで賛同できる、しかもまた都市の改革ができるような方向に進めるべきだと、こういうふうに考えるわけです。そのためには、やっぱり社会の矛盾点をこれと並行的に是正するという政府に態度がなければならないんではないかと思うんです。御承知のように、しからば今日は、日本は家族制度は過去の状態とはころっと変わって、全くもう二人暮らしの老人が多い、しかも先行きはどうなるのかというような不安を持っておる零細な生活者が、都市にもたくさんおるわけです。しからば政府社会保障制度の確立でもやって、そういう人たちが安心して暮らせるんだというようなことになっておるのかというと、それにはなってない。そうすると、この法案施行されるということになって、万が一自分は反対だけれども、ある程度の補償で打ち切られるということになれば、これまた不安が起こってくるのであります。どうしても私はこういう画期的な法律を制定する場合には、並行的に社会保障制度の充実をはかって生活権だけは守ってやるんだと、こういうものがなければ、私は先ほどのお話しのようにトラブルが起こらないという保証にならないと思うんですね。こういう点について総理はどうお考えになっているか。なるほど今日の都市実態を見て、われわれもこの法案には賛同したいという意思はあるけれども、しかし現実にこれをやった場合にどういう結果になるか、という社会不安がたくさんの人に起こってくる、こういう点を総理はどうお考えになっているかお聞きしたい。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 高山君がいま指摘なすった点が実は一番問題点。私申し上げるまでもなく、いま都市化の傾向、そうしていなかはとにかく過疎、たいへんなものです。そして生産力のある間は別として、生産力のない者ならもとがあるんだから、こんな込んだ中で生活すべきじゃないと、かように思いますが、どうも生産性はなくなっても、これは隠居の身分だといっても都会のほうがどうも住みよいと言っている。これはある人が言うんですが、死んでもやっぱり都会に行きたいという、そういう形だと、どうも故郷の墓には入らなくて都会の新しい墓場に入ると、こういうようないま状態であります。ここにいま言われるような御指摘社会保障の問題が一つからんでくるんではないか。もちろん空気がよく、そうして生活も落ちついてできるいなかがいいのじゃないかと、かように思っているかというと、どうもそうではないんですね。自分自身もそろそろ老齢に入りつつありますが、どうもにぎやかなところに養老院はつくってくれと、こういうような話がある。いなかにはどうもほんとうに住みたくない。ここらにやっぱりみんな苦労ではありながらも、その気持ちも理解して、社会対策、生活対策を立てなきゃならぬのじゃないか。実はこれが一つの私の悩みであります。私はできるだけもう生産に従事しない、いわゆる隠居の身分になればお国にお帰りなさい、かように私は申し上げたい。私自身もやめてひまになったらそうしようと思っておりますが、やはり範を示すことも、そういうことが必要じゃないか、どうもここらに問題があります。  もう一つの憲法の問題でありますが、憲法上もいまの新しいものをやろうとしても、憲法二十九条の違反じゃないか。本法も、本条のこれに違反していろいろな改革をするわけにはいかない。しかし、第二項、第三項等がうまく利用されれば、憲法違反なしに済むのじゃないか。そこらに今回のくふうした点もあるのであります。したがいまして、見方によると、この程度の弱いものでは、十分の効果をあげないのではないか。先ほど私はそういう疑問も投げかけて一応この法律を通してください、そうしてこれでひとつやってみましょう。それで十分の効果があがらなければ、そのときにもう一度考えてみよう、こういうことを申したのも、そこなんです。とにかくわれわれはいまの憲法を守って、憲法の上で可能なこと、その点をただいまの再開発法でやる。しかし、国民の皆さんにもとにかく生産に従わない方は、やっぱり空気のいい清澄な、そうして生活環境もいい所に帰っていただく、これがひとつの望ましいことだ。私はその意味におきましても、このいなかで一番困られるのは、何といっても通信、広い意味のコミュニケーションだと思いますから、道路や鉄道や電話やテレビ等も十分地方においてもおくれないような、そういう施設をしたい。これが根本的な問題で、そうすると、いなかへ帰ることも不便でなくなる、かように私は思います。年をとってから庭のないようなアパートに住むより、このほうがどれだけしあわせかわからない、そういう感じになってもらう。それにはやはりいなかと都会、その文明を受ける程度にいまのような差があっては、なかなかいなかに帰りなさいと言ってもいたしません。その辺にもやはり社会保障もさることながらそういう生活環境整備に特に注意すべきじゃないか、かように思います。たいへん長い説明で申しわけありません。
  46. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は総理、七分しかないのですよ。総理が七分くらいお話しになっているが、どうにもならぬくらいになってくるのだが、総理もわかっておってその答弁をしておられるだろうと思いますけれども、私は非常に残念なことは、やっぱり憲法には触れないとおっしゃるけれども、法律専門家のだれでしたか、早稲田大学教授の篠塚さんを参考人に呼んだのです。やっぱり無理な点がある。これは生活保障の問題です。この点は並行的にやっぱりこういう法律を制定する場合にはやるのだという回答していただけば、それでいいのですよ。実際問題として、これはしつっこく建設大臣聞いておられますから、私はどうしてもこれはやるべきだ。いま総理がおっしゃったように、非常に総理は詳しく御答弁なさいましたが、私はもっとこういういま日本をどうするかという問題は建設省の問題だ。将来の日本をどう築くのかということは、一にして建設省にかかっていると思うのですね。非常にそれが、もう政府計画性が乏しいと申しますか、何といいますか、各局部門でまちまちな計画ではないかというような感じすらするのであります。で、迷惑こうむるのはだれかというと国民ですね。だからそういう面を、これは田中さんもおっしゃってますが、先輩は権威者でありますから、かなり強く言われましたが、私もそれが申し上げたい。一つの例を私は皆さんに申し上げますと、これは国がやるべき仕事です。四十一年度の三月三十一日の現在で、実際の都道府県の、いわゆる舗装の実態を見ると、この実延長に対する改良済み及び舗装済みの現延長を一〇〇とした場合、平均がどうかといいますと、約この都道府県の計で申しますと三〇・二%なんです。そうしますと、これは一五%という県が、東北六県の中では岩手です。一八%、これが福島です。そのほか、関東地区にまいりますとほとんど二五%から以上です。東京は八四%ですがね。それからずっと下にまいりますと、島根県あたりでは一八%、なお、佐賀、熊本、鹿児島あたりで一九%から二〇%、やっぱり僻地はほうってあるのですね。国がやらなくちゃならないことまで僻地はほうってあるんですよ、これ。こういう計画が、国民——税金を納める者の平等の立場、権利を持つ者が、こういう不公平な取り扱いそのものが近代に沿わないと私は言いたいのですね。もっとも市町村の場合はまだひどいです。市町村の平均は五・二%です、道路がですね。そうすると、ひどいのになりますと、岩手県なんかは〇・九ですよ。岩手に福島ですね。それから東京に近い、まあ急行が出てますから、最近。近いといってもいいでしょうが、新潟あたりは一です。茨城あたりは〇・八ですよ。これは財政の関係もございましょう。財政の関係もございましょうけれども、これらの環境を直さずして、そうしてこのできました今度の法案は、われわれがこの委員会では附帯決議をつけて、そうしてもっと国民に公平な都市開発をやれと、こういうふうにするならば、だれも反対する者がないじゃないかという附帯決議までつけようとしておるのでありますが、それから、こうした事態をほんとうに私は行政上で、総理みずからがお考えになり、そうして、こういういわゆる憲法二十九条の解釈も幅広くお考えになって、国民が迷惑をしないという立場で主張されるなら、われわれはもうこれにこしたことはないと思うのです。そういうことが置き去りになりながら強い、しかも第三者の資本が入ってきて、ややもすると犠牲がたくさん出る心配があるというような法案は、これはよほど考えなくてはいかぬのじゃないか。政治をやる者として大いに考えるべきだと思うのですが、総理の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま高山君の御意見、まことにごもっともです。どうも役所がやることは計画性を欠く、ことに一省の計画はあってもセクショナリズムが強過ぎる、そういう意味で意外な結果を生じている、非能率、またときには矛盾すらある、これも御指摘のとおりであります。さらにまたいまの道路舗装率については、たいへん詳しく御説明になりました。私は昨年岐阜県であの水害事故のとき、一日内閣をやりました。岐阜県は最も舗装率の高いほうの県であります。私は知事さんが特に苦労をしておる、簡易舗装をよくもあれだけ普及をしておられると、実は災害地を視察しながら、驚ろいたのであります。また同時に岐阜県は非常な自動車の保有県でもある。そういうことを考えますと、この地方自治体の考え方によって、いかようにもできるものである。ああいうふうな簡易舗装でどんどん進んでいくと、おそらく農道まで舗装ができるようになるのじゃないか、そうすると地方も中央も変わらないようになる。いま御指摘になりましたように中央、地方、ことに岩手県などはずいぶん悪い。これなどは中央からの交付税その他による援助がもっと行き渡るように、これはくふうすべきものであると、かように思います。ただいまのお説は、一々私も胸にこたえるものがあります。また地方の地域住民の方々がさぞ不便をしていらっしゃるであろう、かように思うような次第でございます。感想を申し上げたわけであります。
  48. 春日正一

    ○春日正一君 再開発問題に関して、大都市における再開発目標その重点をどこに置くか、政府として。その点お聞きしたいと思うのですが、総理も御承知のように三十七年以来、国土総合開発計画がいわゆる拠点開発計画という形で、ずっとやっておいでになった。その結果政府も自慢しておるように、いわゆる生産が上がったわけですけれども、同時に反面において、非常な住宅難、あるいは通勤難、それから交通事故、公害、災害というようなものがもうがまんがならぬところまできてしまっている、そういうことを考えてみますと、やはり都市を、私は再開発ということばは好まないのですよ。開発というと観光開発とか何とか、営利につながるようなことばになるものですから、むしろ都市の改造と言うべきだと思いますけれども、そういう立場からすれば、やはりこういったいままでの開発計画がつくり出してきた裏として出た住宅難、通勤難、あるいは交通事故とか公害、災害、こうしたおくれを、それを最大限に回復して、それでつり合いを取り戻していくというところに、重点を置くべきではないかというふうに思うのですけれども、その点政府施策としてどうなんですか。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま春日君が御指摘になったような意味で、その問題をひとつ革命的に、まあ好ましいだろうと思いますが、都市革命という、そういう立場で再開発をやろうというのが、いまの政府の意気込みであります。御指摘になりましたような住宅、通勤、さらに公害、そういう問題に取り組んでいく。しかし、それにしてもそれと取り組むというだけではすまないのでありまして、それをどういうふうに取り組むのか、具体性を持たなければならない。その具体性を持ったものが今回提案している、これは第一歩だと思う。もうすでに都市計画法ができておる、それに対する特別法としての都市開発法を出す、こういうわけでございます。その辺をひとつ御了承いただきたいと思います。いま言われる方向に取り組んでおる。具体性を持たせようというのが、今回のねらいであります。
  50. 春日正一

    ○春日正一君 そういう御答弁ですけれども、今度いまつくろうとしておいでになる新しい総合開発計画ですね。国土開発計画、これは私第四次試案というものまでは見ております。第五次はいま検討中だと大臣がそう言われましたけれども、これを見ますと、やはり大型プロジェクト計画というような形で、中心都市に管理機能を集中して、大都市問の交通、通信、そういうような機能を充実するというようなことが中心に出されて、それに附属するものとして、住宅その他いろいろな問題が書いてありますけれども、中心はそれですわ。そうしますと、結局はあの拠点開発計画が中心の拠点開発ということがやられた結果、先ほど言ったような矛盾が出てきたということに対する反省というものは何にもなしに、これで都合悪くなったからまた都市のやり直しをやる、それを産業中心にやると。この中心計画はそういう方向でいまつくられているということになると、どうしても、どっちをやるにしてもばく大な金が要るわけですから、そっちに国の費用なり、政策に重点が向けられてしまえば、住宅とか交通難とか、そういうようなものは一つ解決つかないのじゃないか。その辺は計画、いま五次がまだきまっていませんから、総理のところで手直しをされるということは当然しかるべきじゃないかと、いまの御答弁なら。  その点が一つと、もう一つついでにお聞きしますけれども、やはり都市計画をやっていく上に、再開発とも関連しますけれども、大都市の中にアメリカの基地がうんとたくさんある。そうして、それがもう非常に都市計画をやっていく上で大きな障害になっておるわけですね。だから、再開発という場合、まあ都市の中の工場を取り除くとかなんとかということもあるけれども、住宅地の問題にしても何にしても、この広大な都市の中にもうかこみ込まれてしまったような基地を取り除くことなしには、まともな都市計画もできない。再開発というようなことも、そこのところが穴があいてしまう。そういう点で、いまの二点、この基地を取り除くという問題について、政府としてどんな見通しを持っているのか。そこをお聞かせ願いたいと思います。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ都市開発をもう一ぺん検討しろと、こういうまず第一の考え方ですが、私は、わずかな時間ですが、この席へ出て参りまして、各党でこれほど意見がまとまらないだろうか。いま同じように都市問題には各党とも悩みを持っておられるはずなんだが、それがこうも違うかなと思いながら実は私、答弁をしておるのです。やっぱりこの問題は、それぞれの党におきましても重要な問題であり、国民から見てもたいへんな問題だと、かように思うからこそ、ただいま政府提案をしておるわけなんです。その問題と取り組まれた形ではありますけれども、それぞれの立場で、私まあどの政党がどうとは申しませんけれども、比較的私どももわかりいい考え方もありますが、今度はやはり一面に、公共あるいは社会的連帯責任を果たすという考え方でなしに、個人的な権利をやはり考えていこうというところに重点を置いてのお尋ねもあります。これは質問がそういうのに重点を置いたからといって、それはそのまま個人の主張だけであろうとは思いません。また第三国の問題を取り上げましても、いろいろな沿革的なものもありますけれども、ただいまのような共産党から出されるような米軍基地、これをひとつ相手に考えてみないかというような問題もある、これらももちろんくふうしなければならない問題であります。私はいま出しておる案が、ただいま考えられる状態においては適当な案だと思いますので、再開発法を出して皆さん方の御賛成を得たい。それぞれの方からもいろいろな御意見が出ておりますから、そういう点で、なお考えの足らない点は、また適当なときにこれを補足さしてもらう、こういうことにしたいと思います。  そこでいまの米軍の基地の問題、これはいま総体として取り組んでおりまして必要な基地に限り、その必要な基地にいたしましても不適当な場所に置かない、適当な場所が他にあるのじゃないか、そういうような意味でくふうをこらしているつもりであります。都市開発法に、やっぱり基地がいろいろの障害を来たしている。これはもっとも——都市の中心に特別な軍病院をつくるなどは、これは批判の対象になること当然でございますから、あるいはまた特別なレクリエーションの場所が都心に近くある。これなどももちろん政府は考えなければならないし、米軍にもちろんこれらについては交渉するつもりでございます。しかしそれだけではないのですから、いまの骨子である都市開発法、それを骨子にしてそれぞれの皆さん方の御主張も、取り入れるべきは取り入れるという態度で進んで、そうしてこの都市問題は、各党共通の問題としてひとつ取り組みたい、かように思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
  52. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 以上で、総理に対する質疑は終了いたします。     —————————————
  53. 岡三郎

    委員長岡三郎君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、小山邦太郎君が委員辞任され、その補欠として山本敬三郎君が選任されました。  午前の審査はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  54. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  午前に引き続き、都市開発法案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  55. 田中一

    田中一君 先ほど午前中に伺ったこの事業をはばむものとしてもう一つの問題は税制の問題なんです。それでこれは一つの事例として申し上げるわけなんですが、かつて住宅金融公庫の資金を原資として、首都不燃公社ですか、こういうのが事業を行なったところの開発的な中高層建築があるわけなんです。この場合に、これは四十年に完成したものでありますが、これに対して租税特別措置法による買いかえの問題が当時の事件としてそのままになっているわけなんです。現在行政訴訟を起こしておりますけれども、大体内容を報告を受けますと、ある限度額までは買いかえというものを認めて、所得税の対象にはならないというふうにきめられておったはずでありますが、この場合には、その地上権を事業主体の不燃公社のほうで非常に過小に評価しているために、これが所得税の対象になるということになっておって、そのために、政令何号だったかちょっと記憶しないが、これは細見さん知っているはずだからそっちのほうにまかすけれども、評価の二分の一以下のものは買いかえを認めない、所得税としてそれを措置すると、所得税の対象としてこの地上権というものの評価をするんだというようなことがありましたが、これはこの経緯を知っているはずだから、細見審議官からひとつその点をそれらの事業を阻害する事例として説明してほしい。
  56. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 阻害するしないの話は別といたしまして、一体所得税の上で何をもって特に地上権の譲渡と見るかということでありますが、これは私よりも先生のほうがむしろ専門家であられますが、私どもは多数の事例を、本人が極端に申せばいやな税を払っていただくわけでありますから、同一的な取り扱いをしなきゃならない。その場合に地上権の譲渡というのを、上物についての権利というのをどのぐらいのものとして評価するということがあるわけであります。これについてかつては二割とか三割とかというようなものであったこともあったやに思いますが、現在は御承知のように地上権のほうが底地の値段に比べますとはるかにウエートが大きくなっておる。その場合何をもって譲渡と見なすかということで、私どもは、先ほどおっしゃいましたように、政令の上で五割であろうと、実際は七割とか八割とかというのが地上権であろうかと思いますが、この地上権の譲渡というのは、底地の所有にからみまして、後ほど相続税の場合に地上権がすでになくなっておるもの、なくなっておらないものとかいろいろむずかしい問題がありますので、地価の五割以上の地上権の対価が支払われておるものは地上権の譲渡があったものと見なすと、特別の家賃ではないということに限定いたしてやっておりまして、交換の特例と申しますのも、譲渡を便宜非課税にいたしましょうというものでありますものですから、そこのたてまえの地価の五割以上の対価が支払われたものをもって地上権の譲渡だ、というふうに長く税務で伝統的に考えておりました。そこのところが非常にうまくいかない。なぜそういうことが先生のおっしゃった場合に起こったかと申しますと、その新しく設立されておる法人が一族と申しますか、皆さん関係の方々の法人であるために、後ほどにおいて法人と個人との間でいろいろな権利の清算ができるものですから、その点について不燃公社のほうが、そういうこともあって、おまえのところを地上権を安く買えるんじゃないかという話があったでありましょうが、われわれのほうといたしましても個人と法人とはあくまでも別の人格といたしまして、個人のものになったものは個人のもの、法人のものになったものはあくまでも法人のものとして評価せざるを得ない。その場合に個人と法人との間のたとえば地上権の譲渡というものがあったとすれば、それも五割でなきゃならない。それがなかったものですから、やはり譲渡と見なしがたいと、とすれば交換ということにならないというわけであったわけです。
  57. 田中一

    田中一君 ここに問題があるわけなんです。たとえば不燃公社は個人では金を貸すことができないような額の場合は団体をつくれ、法人をつくれと勧奨して、地元の権利者十七名ですかが一緒になって会社をつくった。地上権はなるほど個人が持っているけれども、それだけでは貸せないということになると、やむを得ずそういうものをつくらざるを得ない。しかし、なるほどその内容は同一人でありますから、法人の構成人員も権利を持っている個人々々の同一人であるから、その評価という問題ですが、その評価というものは、その中にあなたが言っているとおりどういう形で決済されるからわからぬ。しかし自由に決済できるということになると思うのです。しかしながら、今回の都市開発事業にいたしましても、街区の問題にしても、これは結局金のない者が金を融資してもらって市街地の新しい開発を行なうための事業なんです、手法としては。住宅金融公庫の金を原資として首都不燃公社ですかが行なう事業もあるわけなんです。ところがこの地上権の評価というものは、これは不燃公社自身が行なっている。この場合の評価は、同時にまた徴税のほうの、税務署のほうの側の評価とおそらく評価の額が相当食い違っているということに起因するのだと思うのです。それが一つと、それでないといま言うとおり個人が法人に譲渡したのだ。したがって、それだけ地上権分の収入があるのではないかということになると、これまた問題になるわけです。事実どういうことがあろうとも、少なくとも零細な個人ではそれだけの建物を建てるという金は貸すことができない。それを引き受けて建築をするという団体をつくれ、法人をつくれと勧奨されて建物会社をつくったわけです。でありますから事実は同一なんです。また自分の持っている地上権を会社のほうにそのまま譲渡したのですが、しかし実態はそうでないということ、ただ聞いてみると、それが評価の二分の一をこえるというものなら、これはいいけれども、あまりにも不燃公社のほうの地上権に対する評価が低いというように聞いておるのですが、その点はどうなんですか。
  58. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 具体的な事例をあまり詳しくはないのでございますが、いまおっしゃった地上権と不燃公社との交換という形におきましては、法人と不燃公社との交換、その間には交換として税金の関係は起こらないわけです。問題はやはり法人と個人との問に起こる問題がすっきりしないということがあるものでございますから、これからそういうような場合におきましても、私どもとしましては、法人に地上権がいったということになりますと、これは相続税の評価は地上権のないものとして評価するわけでございます。その場合にまあ税金のほうでございますから、税金のことを申し上げて恐縮ですが、譲渡があったもの、つまり譲渡所得がかかったものならそれを引きます。引けないものはそのことについて相続税で引いたものとしての評価はできません。こういうことでそのおよその価格は譲渡がなかったものは時価によって推定をしておる。先生のおっしゃるように非常にいろいろな事例もないとは申しませんが、税の立場といたしましてあまり個人的なことに立ち入るわけにもいきませんので、およそ社会的な慣行に従って課税関係を見ます。全然違う場合もあり得ると思いますが、しかし個人と法人との問は別人格になっている。そこで譲渡があったかなかったかということになりまして、その関係ではやはり私どもは長い間五割ということでやってまいり、また譲渡が七割、地上権が七割程度のもの、八割、もっとにもなるということになるということは、これはお認め願えると思います。そこのところいろいろ手続的な問題で私どもも税をかけるのがたてまえでございませんので、法人のほうの財産なら法人のほうの財産、個人のほうの財産なら個人のほうの財産としてはっきりしていただければいいわけで二度税金をいただくことを考えるわけではございませんので、それらの点について解決の方法があるのかないのか、具体的の事案の処理としては検討をいたす問題だと思いますが、なお税が非常に市街地開発法のじゃまをしておるじゃないかというお話にからみまして申し上げれば、たとえば高層ビルを建てられるような場合に、そういう建物の中におられることがあまり適当でないあるいは商売上プラスにならないというようなたとえば風俗営業の方とかおふろ屋の方とか、それ以外の方でもどうもそういう高層ビルには向かないというような方につきましては、一種の建てた後の土地収用というふうに、土地収用法と同じ特典として千二百万円を控除するということにいたしております。またいろいろな関係でほしいだけのスペースがもらえないという方につきましても、その差額につきましては土地区画整理と同じような扱いにして千二百万円の控除ということを考えておるわけで、税といたしましてはできるだけお手伝いをしておるつもりで、今日じゃまをしておるとおっしゃられるのは、まさに心外でございます。
  59. 田中一

    田中一君 今度の手法である権利変換の手法を取ると、これはそういう問題がなくなってきます。しかしいままでの市街地改造法手法でいくと、これは同じような問題が起きるはずなんです。事業主体がこれは都道府県が行なっておりますから、かからないということになるかもわからぬけれども、今度の場合にはいわゆる町の不動産屋もしなければならぬし、また個人が金があればこれも可能なわけであります。だから税の問題は、これは相当にあらゆる場合を想定しながら、あらゆる事業主体を想定しながら、これはひとつ完全を期さなければ阻害されるんじゃないか、という心配を持っておるわけなんです。いま事例としてあげたこの問題は、これは協議団で検討中とのことであるからこれはひとつ善処していただくことにして、今回のこの国会で通過した特別措置法改正案と、この法律が成立した暁の税のほうの対象というもの、買いかえのもの、これはいろいろなケースがあるのですよ。問題はいま権利変換の手法でいくということもあり得るし、そうでない場合もあるわけなんです。だからこうした都市開発のための事業というものの場合には、所得税なりあるいは他の関係の各税法は、どういう形に地元の事業主体国民の利益になるかというような方法を考えておるか。それはひとつ議事録に残しておきたいから、詳細に説明していただきたいと思います。
  60. 細見卓

    政府委員(細見卓君) この再開発法にからみまして税制で行なっておりますことは、土地権利が建物の権利に変換される場合におきまして、土地建物の譲渡あるいは取得がなかったものとして権利変換に際しては課税関係を起こさないというのが基本でございます。しかし、先ほどもちょっと申しましたように、建物は必ずしも希望しないというような業態の方もあるわけであります。つまり権利の変換を希望しないで補償金を受けたいという申し出がありました場合に、ただ、おれはいやだということじゃ困るので、その間やむを得ない事情がある。つまり具体的にはそのようなビルの中では従来のような事業、おふろ屋だとかあるいはすし屋だとかいうのは必ずしも継続できないというようなものにつきましては、補償金について先ほど申しましたように千二百万円の控除をいたして一般の収用の場合と同じように扱いたい、かように考えておる。それから土地が狭くて十分のものが土地としてスペースとしてもらえないものにつきましては、その差額の補償金については、先ほども申しましたように土地区画の整理事業に準じましてその金については千二百万円のワク内であれば非課税、それをこす場合には千二百万円までは控除するというふうにいたしております。なお、登録税につきましては、従来の防災建築街区造成事業と同様に登録税の軽減を考えているわけでございます。
  61. 田中一

    田中一君 いままでは路面から十五メーターまではこれに適用するということになっておりましたが、今度は層が厚い、奥行きの深いものに全部そういうものが適用されるわけですか。
  62. 細見卓

    政府委員(細見卓君) その点の判断は、すべてこの新しい法律の判断に待つことにいたしております。
  63. 田中一

    田中一君 そうすると、指定された区域の構造物は全部それに適用されるというように理解していいのですか。
  64. 細見卓

    政府委員(細見卓君) この新しい法律に基づきまして行なわれる事業につきましては、そうでございます。
  65. 田中一

    田中一君 これはひとつ建設大臣に伺っておきます。この事業組合施行があり、それから公団あるいは地方公共団体等が施行するわけでありますが、これはまあ都市計画法によるところの事業であるから、当然これは公共事業ということになると思いますが、その点はだれがやっても公共事業かということを一つ聞いておきたい。ただ問題は、国からの融資を受けてやるものもあれば、融資を受けないでもこの精神にのっとって可能なものもあるわけです。それが一つ。それから防災建築街区の手法の場合には、これはどこまでも事業費の一部を国が補助するというたてまえをとつておりますが、この問題はそれも同じような公共事業という範疇に入るものなのか、あるいは必要な事業形態なのか伺っておきます。
  66. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 田中委員指摘になりました二点の点につきましては、当然都市計画事業としてその施行をいたし、事業推進をはかっていくことでございます。
  67. 田中一

    田中一君 そうすると、全部これは公共事業だということですね。
  68. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 都市計画法に基づく公共事業として推進いたすことでございます。
  69. 田中一

    田中一君 むろん、組合施行の場合は公共企業体としての仕事をするわけでありますから、いろいろ制約があるわけであります。それはそれで認めますが、そうすると、各同僚委員からもずいぶん質問がありましたところの三分の二の同意でその事業を認可ですか、認可をすることになるのであって、残された問題、三分の一の問題はどういう形でこれを処理しようとするのか、ですね。三分の二の同意があれば認可をする。しかし三分の一の扱い方はどうするかという問題ですね。
  70. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 三分の二の同意がございますれば、組合がその地区について結成されますので、関係権利者は、たとえ不同意の方であっても、その組合事業に参画して事業が進められる、こういう形になります。
  71. 田中一

    田中一君 これも春日君その他、しばしば質問されてる問題でありますが、同意があれば、それに三分の二の同意があればそれに従がわなきゃならぬというだけでは解決されない問題が残るわけですね。というのは、実体の問題としてです。いままでの法律ですと、土地収用法の発動がなし得るということになっておりました。今度の場合にはそれがない。そうすると権利の変換だけが行なわれて実体は動かないという場合には、どういう措置をとろうとしますか。われわれはそうした、いや強権といわれている土地収用法の発動というものが、すべてこうしたものの物件の収用という形であらわれるものだと思いますけれども、ただ抽象的に権利の変換が行なわれるんだ。行なわれるんだが、権利の変換は行なわれても実体が動かぬ場合には、何をもってこれを行為としてあらわすのか、その点を伺っておきたい。
  72. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 権利を変換いたしまして、それぞれ従前権利が消滅し、あるいは新しい権利が生まれる。従前権利が新しい権利に移行します。それを実際に行ないますために、実際工事にかかる前に、一応は権利変換期日で権利は変わりまして、従前失った権利に基づいて、施行地区内に土地なり建物を占有していた者につきまして占有の継続を認めますけれども、工事が始まりますときには、それを明け渡しをしていかなきゃならない。その明け渡し規定は第四款の九十六条以下にございまして、施行者は最終的には強制的な明け渡しができると、こういう規定をつくっておるわけでございます。したがいまして、権利変換後におきましてこの法律の条項にのっとりまして、明け渡しなり除却ができる。それに伴う損失補償も、九十七条に明け渡しに伴う損失の補償として書いてございます。九十八条には、どうしてもできない場合の移転の代行なり、代執行なりの規定を置いておりまして、知事または市町村長がかわって代執行もできる、こういうふうな規定にいたしておるわけでございます。
  73. 田中一

    田中一君 私はこうした単行法で、土地収用法の支店のようなものをここにあげて、そうして単独でできるというような考え方になりますと、今日あるところの土地収用法の精神というもの、これが非常にゆがんだ形でもって転用されておるということになるか、流用されておるということになるか、おそらく少なくとも土地収用法の精神というか、体系というものを乱すものだと思うのです。なぜ土地収用法を適用するということにならないのか。従来はあそこは土地収用法にあるところの業種として、都市計画法事業もうたっております。だからあえてここにそれらのものを単独で持ってこないでも可能ではないかと思う。またそうして個々の法律について、そういうような土地収用法が行ない得る以外に、ただ単に建設大臣がこれを組合の設立を認め、かつそうした非常に民主的な——土地収用法は非常に民主的なものであります。これは決して権利法じゃない、被収用者を擁護する法律であるはずであります。それがしばしばの改正で権力的な性格を持たせてきております。しかし、それもまさに土地収用法の法律のワク外に新しく単独に、この法律に対してそれだけ強権を与えるということは、私はどうしても納得できないものがあるのです。そうなりますと、土地収用法という被収用者を保護する精神法律がだんだんかげをひそめて、一つ一つの行為を伴う法律に単独なこうした強権を与えるということは、これは私には納得できないし、かつまた、そういう改正は、改正と申しますか、提案はこれは国民にいたずらに不利益を与えるのではないか、こう思うわけです。もしもこれが土地収用法にあるところのその収用による手続等をそのまま適用するならば、これは国民にも直ちに理解はできますけれども、そうしないでこの事業だけにそうした強権を与えることに対する問題はどうお考えになっておりますか。そうして、土地収用法の精神なり、あるいは諸手続、これらの問題に対するところの相違点があれば相違点、同じものなら同じものというような親切な答弁をひとつしていただきたいと思います。
  74. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) この市街地開発事業は、従前ございました土地建物を取りこわしまして、地上権を土地に設定して、そこに高層の建物を建てていこう、こういうものであります。それをやります場合には、収用というやり方でやる方法は確かに一つございます。従前のやはり権利者をそのままそこに収容していくという、必要最小限度の目的を達成いたしますためには、新しい土地に新しい建物のための地上権を設定すれば足りるわけでありまして、底地権まで取り上げなくても、そこに地上権を設定することができれば足りるということで、いわばこの権利変換のやり方というものは、強制的に利用権の設定をするということになっているわけです。さらに進んで組合のような機関が収用権まで持つということも、あるいは法制的にさらに検討すれば、そういうところまで進み得るのかもしれませんが、現在の段階におきましては、利用権の設定で、十分再開発ができるということで、あえて収用までいかなかったわけであります。したがいまして、収用と違います点はそこにあるわけでございまして、考え方といたしましては、都市のいろいろな事業をやりますのに、一つは収用というやり方がある、もう一つは区画整理というやり方がある、さらに第三の仕事と申しますか、新しく権利変換という手法をここに強制的な処分として、新しい範疇のものをつくった。したがいましてこれは収用ではない。収用であれば、当然収用法で統一的に読むべきだと思いますが、収用ではないという考え方で、別個の法律にしてあるわけです。ただ先生のおっしゃいましたように、収用とのバランスというものは当然考えなければいけませんが、強制的な権利変換を発動し得る構成要件につきましては、収用法を見比べながら、その点を厳密に構成しておるつもりでございます。たとえば、収用法の改正におきまして、事業認定時の価格で裁決をするというようなこともございますが、そういう点もこの法律におきましては、一定期日における権利の評価をして、その時点において、従前権利と、新しい権利の価値の評価をするというような規定を盛り込んでおります。収用法の考え方なり、程度というものと、この権利変換が著しく不均衡を生じないように、その点は十分配慮しているつもりであります。
  75. 田中一

    田中一君 かっての市街地改造事業では、事業主体が、土地から諸権利というものを事業主体が全部買い取っていたわけですね、これははっきりしております。しかし、それが困難があったから、こうした権利変換の手法をとったのだろうと思いますけれども、これに対する評価の問題が残るのです。その三分の一の諸君の異議があった場合には、異議の申し立てその他の事務的な手続を経てやはりそれに従うのだということになっている以上は、これに対して不服ならば不服の手続を踏んで結局決定されたものということで今度は評価の問題が起こる。評価の問題は、そうすると、だれが行なうのですか。
  76. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 従前権利の評価につきましては、施行者組合の場合には審査委員という、学識経験者で成ります審査委員の同意を得て組合の機関できめる。それから市町村、都道府県等の公共団体、公団の場合には、市街地開発審査会というものがありまして、それには学識経験者のほかに権利者の代表を入れております。そういう機関の同意を得てきめるわけでございます。ただそれに対しまして、権利変換計画に乗りますので、その従前権利の評価につきまして異議がございますときには異議の申し立てができることになっております。異議の申し立てにつきましても、いま申しましたような審査委員なり市街地開発審査会が意見書の形で出てまいりました異議審査してきめるということになっておりますが、さらにそれでも不十分だという場合には収用委員会に、これは収用ではございませんけれども、補償金をきめるという意味の収用委員会に裁決の申請ができる、こういうふうにいたしておりまして、それにもさらに不服ならば出訴の道がある、こういう構成にいたしておるわけであります。
  77. 田中一

    田中一君 どうも屋上屋を架すような……。組合にいたしましても三分の二の諸君が設立認可手続をそれぞれ出したものは、これは認可をします。これはこれとして、不同意のあとの三分の一に対して結局評価の問題になると、最後には収用委員今に持ってくるということならば、権利というものはそのまま移動するのであるから何ら価値も変わらないのだという前提でこれが認められておると思うのですが、不同意の三分の一はその権利というものを評価されなければならぬ。評価が組合の内部、賛成者の中においてそれが評価されるなんていうことはもってのほかであります。ましてや組合が委嘱する審査委員とかあるいは事業を遂行しようという都道府県とかがきめる評価委員がこれに対する評価をするなんていうことも、これもおかしな話なんです。収用委員会制度にいたしましても、むろんこれは地方公共団体がそれぞれ自分の意思で、その長が、その事業主体者が自分の意思で委員をきめているわけなんです。これは決して公選でも何でもありません。そうした形で持たれている収用委員会でありますが、しかし今日の常識、今日のいままでの過去の実績からいっても、収用委員会委員構成というものに対しては一応認めております。ただその中には、東京の場合には美濃部知事が任命するのでありますから、この場合には議会を構成しているそれぞれの議員等の意見等を聞きながらやるから、一応都民の意思が反映しているという見方もできますが、事業主体組合組合自身がその中でもって評価をするなんていうことは、これは収奪です、その思想は。反対する者に対する収奪になる。ただ賛成している者はこの価値は全然変わらないのでありますから、これは何も金銭的な評価はないわけです。そういう点がまだ非常に割り切れないものがあるのですが、その点は公正に、三分の一の売り渡しという場合にはもっと公正な形で行なうことはできないのでしょうか。
  78. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) やはりその点が一番心配でございますので、最終的にはやはり収用委員会権利者が補償額についての裁決の申請ができると、こういう構成にしたわけであります。収用委員会は、公共団体の長が議会の同意を得て任命するものでございますので、そこで最終的に担保される、こういうような考え方をいたしております。
  79. 田中一

    田中一君 三分の二の同意があれば認可をするということになるということになると、これは四分の三の同意があれば認可をするということも一つの方法であります。三分の二の同意があればこれは認可をするということになると、その根拠はどういうところから生まれてくるのですか。五分の四の同意があれば認可をするということも、一つの方法として可能なわけですけれども、三分の二としたところの根拠をひとつ示していただきたい。また、そのような形の他の法律があるかどうか。私の記憶するところでは、せんだってもちょっと話したと思いますけれども、二十六、七年ころに出た耐火建築促進法、これがたしか三分の二の同意でよかった。しかし、これは事業主体はどこまでも公共団体であったはずです。今度の場合も、都市計画法によるところの公共事業であるならば、これは同じような範疇に入ると思いますけれども、なぜ三分の二の同意があればということできめたか、納得できるような答弁をしてほしいのです。また、ほかの法律の事例があればそれもひとつ知らせていただきたいと思います。
  80. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生言われました耐火建築促進法の第十二条におきまして、公共団体の長が緊急に防火建築帯を造成する必要があります場合には、所有権者、借地権者の三分の二以上の申し出に基づいて、公共団体がみずから耐火建築物を建築するためにその敷地として必要な土地の使用ができる、こういう規定がございます。それから、現在の防災建築街区造成法におきましても、権利者の三分の二以上の申し出があります場合には、公共団体が委託によって防災建築街区造成事業をやることができる、こういう規定がございます。さらにまた、区画整理法におきましても、組合で行ないます場合には三分の二以上の同意があれば区画整理組合が結成できる。土地改良法も同じでございます。ほかの立法例はそういうことでございます。  考え方といたしましては、組合が仕事を進めてまいります場合に、特に組合の存立に影響があるというようなものにつきましては、この法律でも特別議決にかけることにいたしております。つまり三分の二以上の議決がなければその件についてはきめられない、という規定がございます。したがいまして、同様の考え方で、定款と事業計画を添えて組合結成の認可手続をとるわけでございます。その定款及び事業計画を変更いたします場合にも三分の二という規定がございまして、特別議決を三分の二がいいのか四分の三がいいのかという問題になろうかと思いますけれども、通常こういうような過半数よりもさらに加重して、特別議決をするという場合には三分の二というのが、ほかの法律等におきましてもこういうふうになっておりますので、特別議決という意味でこれを三分の二にいたした、こういうわけでございます。
  81. 田中一

    田中一君 いままでの法律の事例があるから、だからそれをまねしたのだということであろうと思うのですが、これはどうですか、四分の三というふうに修正しても一向差しつかえないでしょうね。そのほうが少なくとも少数の意思を、何というか吸収し得ることになろうかと思います。そういう気持ちはありませんか、修正をする。
  82. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 田中先生のいろいろの角度から非常な御検討を加えての御意見でございますが、建設省といたしましては、ぜひとも原案のとおりでお願いをいたしたいと、こう考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います、お気持ちはよくわかるのでございますが。
  83. 田中一

    田中一君 細見審議官に伺います。  不同意であって、そうして金銭買収だ、売り渡すという場合に、これに対するやはり税は、土地収用法の精神にのっとって千二百万まではこれは非課税にするということになるとさっきあなたが言っておりました。しかし、こうして自分の土地でないのにこれを売り渡ししなければならぬということになった場合には、この税の問題は全面的に徴税対象にしないというようなことを考えてもいいんじゃないですか。
  84. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 私どもとしましては、収用法と同じに考えれば、もちろん収用法の場合も、いま先生おっしゃるように、非常に本人が希望しないのにやっぱり公の事業あるいは共同の事業のためにやむを得ず犠牲を忍ぶということになっておりますので、収用法と同じにするのが税の上ではいいのではないかと、かように思っております。
  85. 田中一

    田中一君 では、金はもらわない、金はもらわんから同じ物の物件を、かりに二千万でも三千万でも、特別措置法で示されているもの以外のものでこれを交換しようという場合には、それは千二百万限度であるか、あるいは二千万、三千万でも可能なのか。これは不可能なはずでありますが、その点はどうですか。
  86. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 同一の性質の物件と交換される場合は、交換可能でございます。
  87. 田中一

    田中一君 その金額は、制約はありませんね。
  88. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 物と物でございますから、金額にはつながりません。
  89. 田中一

    田中一君 その問題は一応納得しましたから、帰ってくれてもけっこうです。
  90. 細見卓

    政府委員(細見卓君) 一言、先ほど同じビルの中におってぐあいが悪い商売というのに、すし屋を申しましたが、よく考えますとやはり魚屋くらいで、すし屋は例に適さないと考えますので訂正させていただきます。
  91. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 帰ってもいいです。
  92. 田中一

    田中一君 建築基準法の提案は、いつごろですか、大臣
  93. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) ごく近いうちに閣議決定をいたしまして、国会に御審議を願うべく提出提案いたしたいと、こう考えております。
  94. 田中一

    田中一君 建築基準法と非常に大きな関連があるのですね。建築基準法の提案を見なければ、私はこの法律案は、これはこのまま成立さすことは困難だろうと思うのです、たいへん大きな関係があるのだから。したがって、私は、一日も早く出してもらわなければ困ると思う。それを見てからようやくこの法律案に、私が質問しようという本旨に入るわけなんですけれども、まあ一つの事例として伺っておきますが、日照の問題は、基準法ではどの程度の改正の案であるか、伺っておきます。
  95. 沢田光英

    説明員沢田光英君) お答えいたします。  基準法の改正の要点は三つございまして、一つは、執行体制の整備強化でございます。もう一つは、防災関係の基準の整備。第三番目が、集団規制の整備でございます。その中に先生のおっしゃいます日照にからむ問題が入ってまいります。これは大体、用途地域が四種類から原案では八種類の整備をし直しまして、それぞれ用途を純化をする、その中で住居専用地域に当たるようなところは、二種類ございます。その中におきます斜線制限といたしまして、従来のように道路斜線もございますし、隣地斜線もございますが、特に北側につきましては最近いろいろと問題が多うございますので、日照に寄与し、あるいは通風、採光に寄与するために、北側の隣地斜線制限というものを強化する、そういう制度を組み入れてございます。
  96. 田中一

    田中一君 住宅公団はむろん住宅専用の建築物または商店等も併用の住宅分をつくっておられますが、この市街地開発事業も、この住宅公団の行なう事業一つとして指定されるわけであります。そこで居住というものと、いわゆる商業建築と申しますか、これとどういうぐあいにミックスし、また切り離して、これに対するところの基準法上の割り切り方をするか、これを伺っておきたい。これはむろんいま言うとおり商業地区でも住宅を持たなければならないということです。住宅専用地区でない場合でも、住宅を持たなければならないという思想でありますから、どちらにウエートをかけるかということです。五階分の商店分をつくる、あと上に、六階に住宅分をつくるという場合に、どちらにウエートをかけてどちらを、先行というよりも、あるいは並行かもしれないけれども、基準法上の制約というものを決定づけるかという点を伺っておきます。これから考えると言うかもしれぬけれどもね。しかし、いままでいろいろな問題を実験されていると思うのです、いろいろと住宅公団では。その場合にはどういう形でこれを割り切っておったのか。ひとつ優秀な住宅公団市街地住宅がたくさんありますから、これについてひとつうんちくを傾けて説明していただきたい。
  97. 稗田治

    参考人稗田治君) 住宅公団といたしましては、三十二年のころから、既成市街地の非常に便利な場所にも勤労者の住宅をつくろうというので、われわれのほうでは一般市街地住宅という呼称になっておりますが、他の権利者が持っている地上権の上に、権利者が望んでおります商店、貸し事務所等を下に入れまして、その上に住宅建てるという、まあ通称げたばき住宅といっておりますが、これは数多く建てております。で、その場合にいまの日照の問題でございますが、土地権利者との話し合いのことでございますので、下の商業的な床面積に対しまして、その形態とかあるいは面積とかにつきましては、公団としてそう強制するわけにはいかないわけでございます。で、そういった下の建物の用途、権利者の希望というようなものに、上の住宅も制約されていくわけでございますけれども、やはり既成市街地内におきましても、全部下の商業建築物の床面積のまま、そのまま十一階まで立ち上がるということは、やはり居住条件とすればかなりまあ程度が落ちることになりますので、上の住宅のほうはできるだけ隣の敷地や何かにつきましても配慮をしながら、また公団の住宅にもある程度の日照が入るように、そういうような配慮を重ねながら設計してまいったわけでございます。しかしながら、やはりおのずから非常に地価の高い便利な場所でございますので、また相隣関係におきましても、現に商業建築物でございますと相当背の高い建物が軒を並べておる。そういう場所でございますと、やはり一般の受け取り方も、こういう便利なところであれば若干の日照の低下はやむを得ないというように、まあ納得されておるような状況でございます。まあ家賃居住条件とそういうようなことを考えまして、一般市街地住宅につきましては、しかしその中でもできるだけある程度の日照条件、それから隣接地における建物についての悪影響というのを、公団とすればいろいろの制約はございますけれども、できるだけそういうようなものを考慮に入れましてやってまいったわけでございます。四十年から始まりました市街地住宅に面開発市街地住宅という事業が始まっておりますが、これは全面買収でやっておりますので、大体まあ賃貸住宅としますと、一つの敷地が理想としては三ヘクタール以上、一万坪以上というようなことで、若干の例外はございますけれども、そういうような形の敷地を取得してやっておるわけでございます。この場合におきましては、そのくらいの広さになりますると、敷地の回りの隣接地に対しての悪影響というのは、できるだけ避けるという方針によりまして、ただ非常にまあ面開発市街地住宅の敷地にいたしましても、地価の高いところでございますので、やはりある程度の密度の住宅建てませんと、住宅の負担力というものが、なかなか現実の問題として高いものになってまいりますので、まあ郊外の公団の団地、いわゆる団地という五階建ての並べ方は、冬至の一番太陽が南に低くなった日照時間の短いときにおきましても、最下階のものでも四時間は日が当たるようにという配列でやっておるわけでございますけれども、既成市街地市街地住宅の場合は二時間ということで、日照条件は多少程度は落ちるわけでございますけれども、そういうようなことで計画を立てておるわけでございます。したがいまして、公団の管理する建物の日照条件以上に御近所に迷惑をかけるというのは、都市の全体の構成からいって思わしくないものでございますから、少なくとも隣接する市街地住宅にも市街地の一般の住宅にも、少なくとも公団の二時間以上の日照が当たるようにというので、かなり広い敷地の周囲をこちらが後退して使っておるというのが現状でございます。
  98. 田中一

    田中一君 この今度の手法で行なうとですね、これはもう当然立地条件の制約は強く受けるわけです。だからいままで公団が経験したようなものばかりではない。かりに西側のほうに低層住宅が並んでおった。しかしこれはいつそこに高層住宅群が並ぶかもわからぬ、高層な建築物が並ぶかもわからぬ。したがって当初の計画、公団での自主的な計画だけでは、この問題は解決されないわけなんです。可能性があるわけなんです。そこでいま稗田君の御説明を聞いて、おそらく大臣も聞いたと思いますけれども、私は各都市ごとにほんとうにこの事業を行なおうとするならば、全面的な一つの路線なら路線でけっこうです。全面的な検討をして、そうして隣接の相隣関係が将来どうなるか。現在はないけれども、あるいはここに建つ可能性があるのだ。ある場合はどうなるのだという配慮を、基礎的な調査の上の配慮をしなければならんと思うのです。いわゆる全体計画というものは重視しなければならんと思うのです。これは今度の、これ以外の手法でやるところの都市開発というものは、ことごとく分譲なはずであります。一つも賃貸のものはないはずです、いままでの段階では。あるいは今後とも公営住宅をこれに乗せて賃貸住宅群をつくるのだという構想もあろうと思いますけれども、これはこれとして少なくともその中で建造物の負担をだれがするかとなりますと、結局これは居住者、分譲を受けた者がその負担をしなければならんということになります。買ったときにはこれは日照四時間きた。それはそういう想定のもとにおそらく計画を立てると思うのだけれども、隣接地に高層建築ができた場合にはそれが二時間という場合もあり得る。その点の計画上の問題ですけれども、相当な広域な計画を立てないと、あとから苦情がくることになると思うのです。大体、日本の立地条件というものは非常に恵まれた国でありまして、南のほうの国民はいかにして太陽の光りと熱から逃げるかということが、居住あるいは建築物に対しては常にその約束があるわけです。いかに太陽から逃げるか、熱から逃げるかということ。また北方地区の国民はいかに太陽を近くに持ってくるか、太陽に自分が近づいていくかということが念願なわけだ。日本の立地条件は自然にいい環境の立地条件でありますから、絶えず太陽というものは冬季間においてもこれが全面的に享有することができるわけなんであります。私はこの日照の問題は今度基準法では大体多少の緩和をするということになっておりますが、いま伺ったように多少です、これは。これは全然徹底的にそれが守れるという姿のものではなかろうと思うのです。しかし何といってもわが日本民族がまあ二千六百年かな、それくらいの間、そうした地域社会に住んでおったのだから、それに対する郷愁というものは、これは抜け切れないものがある。しかし、がまんしなければならないものは、がまんしなければならない。居住の面だけは今度は非常に大きな問題が起こる可能性がある。  そこで建設大臣に伺います。そうした地区をとにかくたとえば組合施行の場合でも、想定された地区というものをやはり広域にきめなければならないと思うのです。今度の場合は市街地開発事業のように、ただ単に道路の拡幅または広場をつくるのだという、いわゆる整備のための仕事ではなくて、今度の場合はもう少し広域のはずです。でありますから、その点の今後の考慮というもの、年々それらに対する調査等の費用というものは、当然別途に一般会計から出さなければならんと思うのです。これはただ単に二つ市街地開発事業という法律を一緒にして、そうして多少広げるのだということではないのです。都市問題の一番大きな重要なる施策のはずです。いたずらに地方の緑の山々を切ったり谷を埋めたり小川をつぶしたりして、そして平面的な住宅群をつくるという民間の企業にしても、あるいは住宅公団の行なっているところの仕事にしても、これはもうとんでもない話なんです。われわれはもう十年も十五年も前からこの問題を追及している。住宅公団宅地の造成をおやめなさい、都心にまだ空間があるじゃないかと言っているのです。ところが、政府自身はそうじゃないのです。あなた方の五十坪の宅地と自分で建てる家、自分の持ち家ができるからいいじゃないか、というようなたいへん間違った宣伝をしている。事実においてそれができるはずのものではないわけです。したがって投融資をもって行なうところの今後の国家資金宅地造成というものは、どの辺まで制約をしようとするか、その点を建設大臣にはっきり伺っておきたいと思います。
  99. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 田中委員指摘になりましたこの問題点、言いかえますならば、緑と太陽のある都市環境のこの問題、私は非常に重要な都市計画都市建設の上においての大きな問題点であろうと思う次第でございます。私といたしましても建設行政のあらゆる構想を考えており、また新しい発想を思うときに、都市の緑化また太陽、こうした都市環境、住宅環境というものには最大の配意をいたさなければならぬ。こういうような気持で私は私なりに各関係の当局にも命じまして、いま御指摘になりました二つの問題を踏まえましての都市の太陽、緑の都市環境整備という問題に取り組むつもりの決意でもあり、それを指示もいたし、何らかの結論を、総合的に計画的に打ち立ててまいりたいというのをいま考えてもおり、近くそうした構想も打ち出したいというような、全く田中委員と同様の気持ちを持っておる次第でございます。したがいまして、こうした関連することからくる日照の問題につきましては、十分配意をいたしながらいきたい。ところが一方においては、土地の高度利用というまことに必然性な重要な問題がある。私はこの二つをやはり十分調整しながら、一つ現実に移した都市計画住宅環境の整備に鋭意努力いたしたいとこう考えておる意味から、このたび御審議を近日中にお願いいたしたいと思っておる——また立法措置の最終的段階に入っております建築基準法に対しても、いま住宅公団の理事も申しましたごとく、私はそうした配慮でいわゆる北側の斜線の問題の制限を設けさしたい気持ちで立法措置を講じておるゆえんも、ここにあるような次第でございます。公共物の事業に対しましてももちろんこれを適用してまいりたい。  ただ、ここに一つの大きな問題点といいますか悩みがありますことは、土地の高度利用からくる、これが満足のある日照権の一つのあたたかい現実的な施策が打ち出せ得ないということは、私として非常に悩んでいるというか苦慮いたしておるのでございますが、いま先生の御指摘になりましたような配慮をもちまして、今後も行政指導と、またそれぞれの法的措置、また政令等にも十分配意をいたした措置を講じたい決意である、と申し上げておきたいと思います。
  100. 田中一

    田中一君 だから今年はやむを得ませんが、来年は、都民よ都心に帰れ、市民よ市の中心に帰ってこいという呼びかけなんです。したがって、緑の山々をやたらに切っておるところの政府の投融資によるところの宅地開発は、最小限にとどめなさいと言っているんですよ。来年の措置はどういう方法を考えますか、明らかにしてほしいと思います。
  101. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) いま申しましたような決意と配意を踏まえまして、私は来年度の予算化等につきましては、それぞれの緑の問題あるいはそれらに関連する都市化の美というようなものを、十分細部にわたり考慮いたしながら予算化の努力をはかってまいりたい、という気持ちであります。全く私は田中委員のお気持ちと私は同感でございます。
  102. 田中一

    田中一君 それはあなたの熱意は非常にうれしく思います。しかし本年も数百億の予算をもって自然の原野をこわしているんです。国の資金でこわしているんです。これをどのようにとどめるかということを伺っているんです。むろん住宅公団には宅地開発本部というものがあり、七、八百人の職員がおって、これを継続しなければならぬと思いますが、住宅金融公庫等々やたらに自然の山山、野原を荒しているわけです。これはおやめなさい、最小限度にとどめなさい。したがって、四十五年の予算の編成にあたっては、その精神をほんとうに生かしますか、どのくらいに生かしますか、と聞いておる。その金はやはりさっきもあなた並びに総理にも伺っているように、この再開発に全部投入なさい、こういうことを言っているんですが、全然御答弁がないので三度目に伺います。三回伺っているんですよ、これで。
  103. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 建設省事業遂行、ことにいまの問題になっている点についての心強い励ましの御意見、私は非常に感謝いたします。したがいまして、いまここで直ちに来年度の予算化に対する具体的な数字あるいはその目標等について、まことに恐縮でございますがまだ申し上げる段階に立ち至っていませんが、先ほど申しました強い決意のもとにおいて予算の拡大に大いに力を入れながら社会資本の立ちおくれを戻しますとともに、配慮あるきめのこまかいような政策を立て、緑化運動等を含めまして私は私なりの構想と発想を、いまいろいろ研究もいたしておりますので、それらの構想が決定いたしました段階で、すみやかに予算化に全力を注ぎたいと、こう考えております。
  104. 田中一

    田中一君 同じ質問を四回いたします。今日、住宅金融公庫、住宅公団等が都心より遠隔地に対する開発を行なっておるのです。これもやります、あれもやりますというような財政状態じゃないと思います。したがって数百億の宅地開発の投資をしておりますが、これをどの程度にとどめるか、私はこの資金があるならばこの再開発のほうにその資金を投入なさい、こう言っているんです。ですから、あなたは予算をきめるのではないんですから、あなたは要求する権利があるのだから、その方法でひとつ無計画宅地造成は何とか制限いたしましょうという答弁をすればいいんですよ。しないとまた五回目を聞きます。なぜ言うかというと、住宅公団がかってに自分の意思でどんどんいわゆる住宅群をたくさんつくる、これに追っかけてこれに関連するところの投資というものが間に合わないのです。これはかつて言ったことがある。住宅公団の中央線におけるところのもう開発をおやめなさいと。複々々線くらいにしなければ通勤が間に合いません。地下鉄を八王子までもっていけば、まあ三分間隔くらいでもって輸送すれば違うかもしれませんが、これに対する間接投資というものは大きなものです。多摩平団地の例を見ても多摩平団地が二千七、八百億の金でできるのです。三千億以上の関連投資をしなければ人間は住めないのです。道路をつくる、下水をつくる、鉄道を持ってくる、あらゆる公共施設をしなかったら、あの三十万、三十五万の人たちは生活できないのです。このようなむだな投資はおやめなさいというのです。私は、われわれが推薦した美濃部知事でありますが、美濃部知事もはっきり言っているんです。これに対する公共団体の負担というものは大きいのだぞ、だからああいう新しい新都市なり住宅群をつくるなら、内閣に一つの機関を置くようにしなさい。プランメーカーでもいいです。そうして文部省なり自治省なり農林省、あらゆる各省が、現業各省が集まって一つ計画を立てなければ。住宅公団は家さえつくればいいんです。山を、木を切って地ならしをして家を並べればいいんです。それに追随するものは住宅公団責任ではないんです。住宅公団は知らぬ顔です。これに関連する公共施設は、学校でも道路でも、すべて地方自治体の負担になる。だからそうした開発はおやめなさいと言っているのです。その方向でいきますと言えばいいんです、おっしゃいよ。
  105. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 再度申し上げましたとおり、私といたしましては、都市の空洞化の激しい現象を見るときに、また、職住近接等を考えるときに、土地の高度利用を大いに促進いたしまして、田中先生御指摘になりました意見を十分そんたく申し上げまして、来年度の予算並びに行政配慮を必ずいたしたいと、こう考えております。全く同感でございます。
  106. 田中一

    田中一君 竹内君に聞きます。この計画に乗っけて土地区画整理法と並行して事業を行なうという構想は、そういう考え方はありますか。再開発の構想に乗っけて、土地区画整理事業を並行して行なうというような考えがあるかどうか。また、この事業そのものは、土地区画整理事業というものを踏まえながら行なうというものがあるかどうか。その点をちょっと聞いておきます。
  107. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 土地区画整理事業は先生御承知のように、宅地整備公共施設整備という目的を持っておりますし、この再開発事業公共施設整備宅地及び建築物の整備ということを目的にいたしております。両方ダブってやれないかどうかという問題につきましては、区画整理をやりました、やっている段階におきまして仮換地の指定を受けた段階におきまして、この法律におきまして、特則として認めております権利者が全員同意して行ないます手法で、建物だけを建てるというやり方はひとつできるかと思います。従来、防災街区造成事業と区画整理事業の合併施行を行なっておりまして、ただ、しかし、この法律では公共施設整備もいたしますので、初めから小さなブロックに一ぺん分けて、それをまとめるのじゃなくて、初めから宅地を大きなブロックに割りまして、公共施設整備いたしまして、そしてそこに新しい建物をつくるわけでございます。土地整備につきましても、この法律規定いたしておりまして、このやり方はあたかも区画整理をやったと同じような方法によって、宅地公共施設を分けろということを書いてありますが、初めからこの法律で区画整理と防災の合併施行をいたしますようなことを、一ぺんにできるわけでございます。この法律で初めからやって、区画整理をやったと同じ効果を得ることもできると、そういうように考えております。
  108. 田中一

    田中一君 道路の拡幅、広場の築造、公園の設置というか、これらのものを区画整理事業に伴って減歩をそこから生み出しながら行なっていく手法は、いままで使っておりました。たしか河野建設大臣の時代だったけれども、またある時点で土地区画整理事業と道路の拡幅を並行してやって、そこから減歩という形で道路の拡幅をしようという考え方を、常にあなた方は手法として行なっているのですよ。新橋の西口の例を見れば、あそこは道路の拡幅というものを、これを買収という形でやっている。広場をつくれば、広場も買収という形で事業主体が取得をして、これを交付して、それをずばり事業の中へ入れている。これは私は申し上げるのは、ここに道路拡幅という事業を行なう場合には、これはどこも買収です。土地区画整理法を適用した事業を併行する場合には、土地区画整理法が先行して、そこで減歩を広場、道路に向けて、道路が、これだけの広い道路ができたから、この土地の価格は上がるのだ、これは万国共通です、この思想は。土地は上がるのだ、よい価格の土地になるのだ、こういうことで行なってきたわけですね。たくさんの事態がありますね。広場においてもしかり。そしてなお減歩の率を上げればそこに保有地もできる。保有地には、かって土地区画整理法を審議し、またずいぶん一緒になって検討したものでありますが、立体換地方式というものが生まれてきている。立体換地とは何か。立体換地こそ今回の再開発的な建築物が生まれるわけなんです。建造物が生まれるわけなんです。したがってこれらの数々ある都市における手法というものをどうミックスして、国民の利益のために国が相当の負担をするという考え方が明らかにならなければ、これは承認できないものなんです。国民の犠牲によってこれが行なわれるのだということならば、これは困るのです。しばしば同僚委員から質問があったと思いますが、ただ単に三分の一の犠牲者ということのみならず、全体の現行法、現在ある法律の適用によって相当大きな損失を招くということもあり得るのです。その点の手法として組合わせ等はここで、まあ将来は知りません、この法律をつくる場合の考え方として、そういうことのないというような証明がほしいわけなんです。その点はひとつ明確にこれは残しておいていだきたい。
  109. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 道路あるいはまあ公園の場合もあると思いますが、等の公共施設につきましては、市街地改造事業公共施設整備いたします、あるいは後退して道路分を出すというような場合には、必ずこの公共施設公共団体に引き継ぐ規定を置いております。同時に公共団体管理者負担金を出さなければならないということにいたしております。管理者負担金に対しては、国庫が補助できるという規定を置いております。現に四十四年度の予算で、先生先ほど午前中に御指摘になりました四地区につきましては、管理者負担金を予算的にも計上いたしております。そういう形で、はっきりと都市計画できまったような街路、公園というようなものにつきましては、公共団体が負担をする、それに対して国が補助をするという方針でいきたい、こういうふうに考えております。
  110. 田中一

    田中一君 本年度の財投できめられた建設省所管の例の基金の問題、それから自治省が持っているところの土地開発基金六百億、これは一般財源から出ている。それから公共用地先行取得事業地方債の二百億、都市計画用地の買い取り資金三十億、これは建設省のほうです。それから工場あと敷地の買い取り資金として四十億、これはむろんこのほかにも債務負担行為の資金があるかもわかりませんが、この地方公共団体の一般財源から六百億出ているという金の使途は、大体どういうものを想定しているかわかりませんか、あなた方。これらが全部、この都市開発法この施行にあたっての関連する資金ということに考えられていいのかどうか。建設省が持っているこの二つの問題、これは全然別個です、その点わからぬですか。
  111. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私ども聞いておりますのは、六百億と先生おっしゃいましたのは、交付税の財源であります。交付税として六百億を引き当てております。その分は公共用あるいは公用のものにつきまして、土地の先行取得をするという資金に当てるわけでございますので、非常に広い先行取得資金でございます。したがいまして、再開発にもこれは利用できる、こういうふうに考えております。それから、起債の二百億の地方債、これは普通は、公共事業土地の先行取得というのに従前も使われておりましたし、二百億でございますので、そういうものに使われておる。それから、建設省所管の七十億、都市開発資金のうち四十億分が工場あと地の買収、これは当然再開発に使われるわけでございます。それから、先行取得、都市施設の買い取り請求に応じます資金でございますが、これはやはり再開発にも関係してまいります。こういうふうに考えております。
  112. 田中一

    田中一君 これは君の所管じゃないから追及しても悪いけれども、これは都市計画法をあげるときに、われわれ社会党からも注文出したところの公共用地の取得の先行資金としての資金だということにわれわれは理解したいのです。そうでしょう。
  113. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) やはりこういうものを自治省なり建設省それぞれ分担いたしまして、用意いたしておりますのは、先生御指摘のように、都市計画法の際にやはり用地の先行取得が必要だということで、そういう考え方が基礎になって四十四年度実現した、こういうふうに理解いたします。
  114. 田中一

    田中一君 そこで、先ほど言っている国が広場なり、道路を拡幅することによって、地方公共団体がこれを買い取るというか、看護婦には買い取りになりますね。管理とかなんとか言うけれども、買い取りにならざるを得ないと思います。これに対する補助金を政府が出そうじゃないか、こう言っています。ところが、この評価です。御承知のように、今度、地価公示制度を適用するこの評価というものは、一方的に地方公共団体が——これは組合施行の場合にしましょう。組合施行の場合、国がかってにこの価額でございますというきめ方をしがちなんでございます。正しい地価というものがどういう形で求めようとするのか。その点、非常に危倶を感ずるわけでございます。それはやはり一方的に事業主体という公共団体が、何の根拠でどういう基礎でこれに対する評価をするか、伺っておきましょう。
  115. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 私ども基本的な考えといたしましては、その道路管理者ならば道路管理者が、いわゆる買収方式で、用地を買いまして道路を築造した。その事業費管理者負担金として投入するということを考えているわけでございます。したがいまして、その評価は、その土地をもしも買収でやったならば、その道路築造を買収でやったならば幾らになるかという客観的な数字を求めまして、それを管理者負担金として交付する、こういう考え方でおります。
  116. 田中一

    田中一君 まだ権利関係の問題でたくさんあるんだ、質問したいことが。  あと、技術的な、今度は、はたしてどんなものをつくるかということを聞いておかんと不安心でならないので、その辺に移りますが、でき上がる建造物の用途、まあ住宅、これはわかります、住宅の分ができ上がる。ですから、諸権利者が要求するものをつくればいいのか、用途を求めればいいのか、あるいは地方公共団体、またしいて言うならば政府がこれに介入して、この建造物はかくかくのものを用途として考えなさいよ、ということを示唆するのか。その点をひとつ明らかにしてほしいと思うのです。これは住宅公団稗田さん、施行者側という立場でやるのだから、君にも聞いたっておかしくない、もう少しあとでそれをひとつやってほしいと思うのです。だれの意思で用途をきめるかという点であります。金はむろん国が貸してやろう、国が財投で融資をしてやろう、それはわかります。国が金を出す以上、国に指導権がある、これは通例どの場合でも同じであります。そうすると、この建造物の用途というものは、だれがきめようとするのか。
  117. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 組合の場合には、組合施行機関が権利変換計画を立てるわけでございます。その場合には、従前の用途、あるいは従前の場所というものと新しい建物の用途なり場所なりが相応するようにきめなさいということが、この法律に書いてございます。したがいまして、従前の用途というものを、原則としては新しい建物においても認めていくという形になると思います。もしそういうことにつきましていろいろ御不満があれば権利変換計画縦覧のときに意見書が出てくると思います。それを先ほど申しました手続によって処理をする、こういう形になるかと思います。当初私ども、この法案を考えましたときに、この用途についての規制を何らかの形でしたほうがいいじゃないかという意見もございましたけれども、その考えはとっておりませんので、ただいま申しましたような結果になる、そういうふうに考えております。
  118. 田中一

    田中一君 これはむろん権利者権利が移動するにすぎないのであって、建物の用途は自主的にそれらの事業を行なうものの意思による、これは当然であります。がしかし、これは都市計画法という少なくとも地域社会の住民のしあわせということを大眼目として立っている以上、これが風俗営業であろうと何であろうと、それはやむを得ません。職業選択自由の原則があるのだから、何にしようとやむを得ませんが、少なくとも、よい町づくりの意思というものは、どこかが持っていなければならぬと思うのです、だれかが持っていなければならぬと思う。これは神様か仏様か知らぬけれども、だれかがその意思を持たなければならぬと思うのです。法律に明示はできなかった、これはできない、これはしないほうが賢明であります。しかし、だれかがどこかに一つの意思というものがなくては、これは相当むずかしい問題が起きてまいります。逆にですよ、東京都の、これは美濃部知事になった以前の問題でありますから、せんだって参考人に呼んだ山田君あたりは、あそこに新橋に芸者屋や葬儀屋があった。こんなものは取っぱらはにゃならぬと言っておりましたよ。芸者屋がなぜ悪い、葬儀屋がなぜ悪い、あるいはあの地域の小さな飲食店は全部取っぱらってしまって、新橋は東京都の玄関口であるから、あそこに、デパートかスーパーマーケットのようなものを持ってくるとか、貴金属を売るとか、毛皮を売るとかという構想であの計画が立っておったわけですよ。こういう野放図もない、独善的な意思ではないのです。私が言いたいのは、そうでなくて、一つの再開発を行なう地区というものは、地域住民の権利であります。しかしながら、これは都民のものであります。その町は都民の地区でありますという何らかの意思が織り込まれなければ、やはりそれはスラム化する危険もあれば、それらの町々が都民のほんとうのしあわせの媒体にはならぬと思う。これは非常に抽象的な言い方をしております。しておりますけれども、これに対する建設大臣の意思というものを、ひとつ聞いておきたいと思うんです。
  119. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 私はやはり、政治の要諦は、法的な背景に立った、国の法治国家としての行政の面に大きく期待することは当然でございますけれども、それとともに、私はやはり考えなきゃならぬことは、いわゆる政治の姿勢、また政治家の、責任者のいわゆる行政配慮にあろうかと思うのであります。私は、まことに抽象的な御返事になりますけれども、そうした姿で行なうことこそ政治の正しい姿であると、こう考えまして、いま御指摘になりました点等は、十分配慮いたしながら、都民、市民の立場に立って、絶えずものを考え、そうして都民、市民、国民の幸福を願う政治配慮をいたしたいと、こう考えております。
  120. 田中一

    田中一君 まあその辺くらいの答弁でいいことにしよう、この問題は。  ただ、ちょっと私はさっき発言したことで訂正しておきますが、せんだってここに呼んだ参考人の山田君のことばと言いましたが、これは山田君ではありません。他の部長の話でありますから、それは訂正しておきます。  次に伺いたいのは、この建造物に対する付属施設の問題です。御承知のように、相当大型化するところのもの、今日の駐車場法から見ますと——私はメートルはちょっと弱いから坪で言いますが、千坪以上の建物の場合には必ず自動車の車庫を置かなければならぬという規定が駐車場法にございます。しかし、この例外としては、直径二百メートル以内——これは「二百メートル」と書いてございますからメートルで言いますが、こういうところに公共駐車場がある場合にはこの限りでないと、こういうことになっている。しかし、現在、駐車場法の施行にあたっては、これを所有しなければならぬということが原則になって、地方自治団体は行なっております。たとえば既設の駐車場がある。これに対しては、株主なら株主というその駐車し得るスペースの権限を持っているということにならなければだめだ、というようなことを言っております。公共用地の場合には、これはよろしい。しかし、これは駐車場法も都市局の所管でありますからよくおわかりだと思いますけれども、私は、今般のこの事業は、必ずその周辺にこの建物の利用者を中心としたところの駐車場を持たなければならないというような形に変えてほしい。したがって、駐車場法の一部を改正してほしいということなんです。なぜならば——竹内君、私語をしないで聞いてくれ。なぜなら、駐車場をつくるために、その建造物のコストは非常に上がるんです。たとえば新橋の例、新橋の西口でやっておりますが、あそこの例を見てみますと、地下四階が機械室、地下三階、二階が駐車場、それも相当台数を入れるから、階段式の駐車場をつくるというようなことになりますと、この負担はだれがするかというのです。全部あれを買い取るという権利者、並びに残余部分のこれを買おうという人たちの負担にかかるのです。私は、まだ事例はたくさんあります。少なくともいかに安くてよいものがつくられるかという建築計画から始まったところのコストダウンというのはもう必須条件です。せんだってもどなたか民間の資金が導入され不動産屋があそこを建てる、その場合にはとんでもない利潤追求になるのじゃなかろうか、こういう心配、また竹内君もそういうような発言をしたということも聞きました。利潤追求なんかできるものじゃないですよ。なぜならば、高かったらば買い手がございません。政府から百億の金を借りてこれをつくった、高いものなら買いません。そうすると百億の金利、七分五厘としても年に七億五千万という金利を払わなければならぬのです。つくったら直ちに売れるというようなものでなければならぬのです。民間の連中はもっともっとそういう点については研究しております。公共団体が行なうような甘いものじゃないわけなんです。西口、東口につくられたところの今度の市街地改造事業のこの仕事を見ても、何とかして高くしよう高くしようという考えを持っている。今度まあ買収が若干あったとしても、これは権利変換で大体安定するからいいようなものの、非常に大きな負担が権利者にかかるのじゃないのです。残余空間を買い取ろうとする方々にたいへんな負担がかかるということを言っているのです。だから、いかにして大衆のものとしてこれが利用されるかということは、よいものは安く早く売れるということが原則なわけです。これは竹内君よくわかっているね、君。そうなると、利潤というものは考えられないものなんです、これは。だから早く回転してくれればいい。したがって、このコストダウンについてどういう検討をしてきているか。私は私なりにこの問題については非常によく調べてきておりますが、この点において一つの問題は、いま言う駐車場法によるところの制限を——公共駐車場はこれはもう論外であります、けっこうであります。しかし、必ずその建物につくらない、適当な地点を求めてそこに、私企業でけっこうです。私企業で契約によって五十台なら五十台の、あるいは百台なら百台の駐車場を民間につくらせる。まあこれは御承知のように今日の駐車場建設というものは、その敷地の五割を駐車場に用いるならば立体化した駐車場ができるわけです。開発銀行が全部貸してくれるわけです、全額貸してくれます。そうして使用料を取りながらその金を返していくという——これは社会施設です——という制度が現在あるわけなんです。もしこれが単なる開発銀行の一つの思いつきとか、あるいは国策によらない利潤追求のための一つの投資だというならば、これに対してはっきりと政府法律的に何らかの形でもってこれに対するところの関連をつけて、その建築物には地下四階とか地下三階、二階なんというような駐車場をなるべく避ける。そうして権利者が安心して商売できるという、地下の零細なものでもそこで仕事ができる、商売ができる、生活ができるという施設を重点にするというようにしなければならぬと思いますが、その点はどう考えますか。
  121. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生からたびたびいままでも御指摘受けておりますように、再開発事業をやります場合に、このできました施設建築物のコストダウンをできる限りはかるということが、一番大事なことだと私ども考えております。そのためにまあ設計上いろいろ、たとえば有効面積をふやすとか、あるいは買い高を適正にするとか、使用料を必要な性能を確保するに必要な分にとどめるとか、設備についてもビルの性格に合わせて適性なものにするとかいうようなことを、私どもといたしましては事業計画に設計の概要というものをつけますが、その設計の基準といたしまして、省令で具体的に定めてきたい、こういうふうに考えております。  もう一つ駐車場の問題でございますが、私どもやはり市街地の中におきまして、相当個々の建物を建てます場合には、当然駐車需要というものがそこに発生いたすわけでございますので、基本的にはやはり大規模な建物を建てます場合に、駐車場の付置義務は必要であるというふうに考えております。ただ現在駐車場の問題につきましては、大都市に限らず地方都市におきましても非常に大きな問題になってきております。これに対しましてぜひ公共的な施設としてもっと援助強化してくれという声もございますので、そういう問題もございますし、また先生御指摘のように都心部等におきまして周辺のあき地が使えない、そのためにどうしても駐車場をとらなければ、ビルの一部を使わざるを得ないというような都心部のビルやアパートの駐車場の問題についても問題が起こっておりますので、そういう点につきまして、駐車場というものの制度を今後どういうふうに考えていくかということは、私どもといたしましても宿題になっておりますので、検討してまいりたいと思います。その場合に、先生おっしゃいましたように、公共駐車場が近くにあるというような場合に、その公共駐車場と再開発事業というものを結びつけて整備することができるようなことも、一つの方向としては考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  122. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 田中君まとめてください。
  123. 田中一

    田中一君 これは建設大臣に伺いますが、都市計画というと、やたらに街路樹を切っているんです。この再開発事業は高度の利用という、高さの利用ばかりではありません、地下のほうも利用しろというのです。そうすると敷地一ぱいに地下室をつくる、そこを駐車場にしたりする。私はどうしてもここに、なま地に木を植えることができる余地を必ず残さなければならぬ、これはきめてほしいのです。今後大型化します、街区ももっと大きくなるものもございます。その場合には街路に面しては植樹ができるという余地を残すように、地下の利用を制限してほしいというのです。私の言っているのは、べったりと下に余地のないくらいに地下をつくってしまえば木は植えられない。緑の土地をつくったっていいじゃありませんか。これは建設大臣の念願らしいから、どうか地下の利用に対する部分的な制限をつけて、植樹をするという余地を残していただきたい。これは私自身が大阪等もずっと調べて歩いたときに発見した事例なんであります。どうにもならない。全くコンクリートとほこりの町になってしまう。そこに、周辺に三十本でも五十本でも木が植わることによって非常にいこいになる。都市生活のオアシスなんです。こういう点を考慮して地下はそのまま全部べたべたに地下室、地下街をつくるということに対する若干の制限をしていただきたい、こう考えるのですがどうですか。
  124. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 先ほど申し上げましたごとく、私はいま田中委員指摘になりました都市の緑化運動ということは、都市の美観の上から生活環境の上から、また住宅整備の上からも非常に大事な問題でありますので、私は先ほどから関係各局と協議いたしながら私の発想を大きくひとつ構想として、また計画として打ち出してまいりたい、このような気持ちでいまその検討を加えつつあるさなかでございますが、私はそうした観点から、植樹運動を強く打ち出してまいりたいということで、本年度、三メーター以上の歩道に対しましても植樹をいたすということの補助事業を考えました気持ちも、ここにあるような次第であります。ロンドンあるいはニューヨーク、あるいはウイーンあるいは北京のあのすばらしい美観といいますか、緑の町というもの、樹海に浮かぶ都を上からながめたときの魅力というものは、単なる観光美観という問題でなくして、都民生活のいこいの上においても、また健康保持の上においても非常に重大な問題であると、こういうような気持ちを持っておるものですから、私は植樹運動あるいはそれらに対するところの表彰措置、あるいはあらゆる行事に対するところの一つの付帯的な義務づけというところまではまいりにくいとは思いますけれども、国民一人一本の樹木を植えるというようなことすら具体的にひとつ考えて、本年度建設行政の大きな柱にいたしたい、こう考えておりますので、全く御意見はごもっともだと思います。
  125. 田中一

    田中一君 私の時間が短くなっちゃうのであまりしゃべらんでください、私にしゃべらしてください。あなたは、そういたしますでいいんです。  もう一つの問題は、この共有部分と建造物の有効面積の比率ですね。これをどの程度に押えておりますかという点です。事例を申します。新橋の東口のあの二つの改造事業のビルは四八%が有効面積です。五二%が共有部分でございます。今度つくろうとしている西口のあのビルの計画を見ますと、これは五〇%が有効面積、したがって五〇%は共有部分の余分なものであります。余分なものとは言わんけれども、少なくとも共有部分であります。通路その他です。だから坪単価にいたしますと建築費の倍かかることは明らかなんです。わかりますか。一般の商業建築は大体一番悪いので七〇%から七五%が有効面積なんです。都や政府が行なうところのこれらの施設というものは、いかにむだが多いかということが言えるのです。したがってこれからつくられようというこの計画の具現されたこの建物や建造物というものは、何%の有効面積を原則とするかということを、まず第一に政令できめていただきたいんです。じゃあなぜ半分も直接使用することができないという空間ができるかということを申しますと、主としてこの性格は公共的ホローということが中心になって築造されているんです。公共的ホロー、住んでいる者はそんな必要はございません。商店街をつくってもその場で継続の場合には住民の意思を疎外しちゃって、聞かないで、ただ単に、ここにはこれだけの商店をつくるんだ、ここには金属のものを置くんだということを想定して設計している、通路の幅員が非常に大きいんです。だから有効面積が減ってくるんです。デパートをごらんなさい。デパートの売り場の通路というものは一メーターございません。あれをまねしろとは言いません、決して。しかしながら、遊び人のためにつくっているものではございません。デパートは高度の利潤をあげるためにああいうことをやっている。しかし、これから想定されるところのあの建造物というものは、かつての零細な権利者権利を変換して持つものとか、あるいは剰余部分、残余部分を買うという人たちのためにあるものなんです。半分の有効面積しかないという建造物をつくるなんというのは、東京都とか政府とかがやるものであって、国民の税金を浪費するものです。そうでなくて、市民がここで居住して、市民がここで商売をするのだという前提ならば、せめて有効面積の率ぐらいの最低限度を政令できめるというぐらいの配慮がなければ、私はこれは賛成できません。同時に、公共的性格を持っている施設があるならば、これは当然公共団体が負担すべきですよ。現に東口のところにはいわゆる地下鉄を上がって表へ出るというような通路にも使っているわけです。だれが負担するか。都が負担しておらないのです。みんな居住者の負担として計上されたものです。だから高いものになり、売れない。おそらく東京都はあれをつくったために都民の税金を数十億の損害を受けたはずであります、売れないからであります。こういう計画を再び繰り返すならば、この仕事というものはもうできません。だからそうした関連する問題を政令できめこまかく規定することです。この点はひとつ答弁してください。
  126. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 専用部分の床面積につきまして、先ほど申し上げましたように、省令におきまして、最低限度と申しますか、割合をきめたいと思っておりますが、いま考えておりますのは、住宅等につきましては八〇%以上、それから事務所、店舗等につきましては六〇%以上、原則としておる、こういうふうに考えております。
  127. 田中一

    田中一君 これね、私はもっとふやせと言いたいのです。そこで、この問題はもう議論してもしようがない。その計画は先だっても山田参考人に聞いたのですが、このものがだれがするのか。組合施行の場合、組合員できません。だれかしなければならない。あるいはコンサルタントに頼むとか設計事務所に頼むとかしなければならない。ただ政令でその程度の有効面積では、これはだめなんです、その程度の有効面積では。なるほど一階、二階の商店の人はいいかもしれない。住宅部分住宅部分で切り離して原価計算をするということならいいですよ。そうじゃないのです。一ぱいスペースを余分とる。お客が大ぜい来るような商売をしている人は、これはそれだけのものがなければならないので要求する。その負担はだれがする、大衆が負担しなければならないのです。住宅部分は空間、空間に住宅乗っけるわけですから、したがって壁体、柱、基礎と、それから地価——土地の価格の分担をして別な形で分譲価格の軽減をはかるという分離されて清算をして単価を求めるという方法をとることも、いまここでそれやれとは言いませんが、十分検討してください。むろん上層部の諸君はエレベーターを使います、階段も使います。これらのものはそれぞれの負担になる。一階の者はそのかわり負担しないでもいいという方法になるかどうか、それらの点も十分に検討して、おそらくこれは政令、省令等できめこまかいものはきめるのでしょうから、その点はひとつ配慮していただきたい。要は、でき上がったものが直ちに、完成を待たずして全部売り切れてしまうというような形にしなければだめなんであります。組合施行の場合には組合が破産するのです。自分の持っているところの変換の権利というものも、これもなくなってしまうのです。その危険が多分にある。これは竹内君、わかるでしょう。だから政令、省令できめこまかくそれらの配慮をしなければ危険です。なるほど地方公共団体でやる場合は平気ですよ、住宅公団でやる場合は平気ですよ、金、うんと持っているのだから。組合施行ではできないです、それが。これをひとつきめていただきたい。
  128. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 先生おっしゃるとおりでございますので、その方向で省令をつくってまいりたい。もちろん省令というのは、事業計画審査のときに設計をつけてまいりますその設計の基準でございますので、認可権者がこの省令に縛られて設計を審査して認可する、こういう形になるわけでございます。そういう形におきまして、先生おっしゃいました点を十分考慮に入れて、これはただいま申し上げたのは現在の段階で考えている大筋でございます。きめこまかな配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  129. 田中一

    田中一君 それから住宅部分を乗っける場合に、こんなことは言わずもがなの問題でありますが、必ず洗たく場、乾燥場をつける、必須条件、住宅の場合には。それからこれにくっつけるところの屋外広告塔、屋外広告物、これを原則として廃止する、設置しないということをひとつ考えていただきたいと思うのです。これはあなたのところの大臣は、非常に都市の美観については苦心しておるから、これはおそらく大賛成だろうと思うから、これは大臣に聞いておきたい。屋外広告物を設置しない……。
  130. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 十分検討して御趣旨に沿いたいと思います。
  131. 田中一

    田中一君 そこで、まだあるのだけれども、もう最後にしましょう。  最後の問題として伺っておくのは、用途変更というものをどう考えておるかということです。たとえば事務部分、商業部分あるいは地下の飲食店等、これは何といいますか、風俗営業的な地域、それからあるいは一般物品販売等をする地域、それからあとは事務所等の地域、あるいは住宅の区域というものを分類してみると、これに対する用途変更というものはどういう形で規制しようとするか、あるいは個人々々の所有になったのでありますから、これは自由だということにするか、あるいは憲法の原則であるところの職業選択の自由があるから、まあ風俗営業ですと公安委員会でもって許可したならば、これは一向差しつかえないとか、あるいは住宅部分の中にバーを許可したからバーをやるということが可能なのかどうかという問題、これは完成した後のことを想定しながら計画を立てませんと非常に危険があるのです。これらの点は、どういう形で政令または省令でもって織り込もうとするか伺って、その次に最後の問題にいきますから、これだけひとつ答弁してください。
  132. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 住宅と非住宅の用途につきましては、これは物理的に、当初建てられますときに、用途がある程度物理的に限界づけられる、こういうふうに考えております。それからその後の用途の変更の問題でございますが、百八条の第一項に処分床につきましては「賃貸又は譲渡後の施設建築物の一部等が当該市街地開発事業の目的に適合して利用されるよう十分に配慮しなければならない。」という規定がございます。この規定意味は、こういうような公共的事業市街地開発事業が行なわれるわけでございますので、その目的に従った利用がなさるべきである。したがって譲渡賃貸の契約の際に、その環境を害するような利用のものは入れないように措置をする、まず第一には契約においてそういうような措置をするということが、この規定によって考えられるわけでございます。そういうことは権利床につきましても当然のことでございますので、この法律におきましては、区分所有法の特例をつくっておりまして、施行者が知事または大臣の認可を受けて管理規約をつくることができるようになっております。管理規約をつくります場合には権利者の三分の二の同意でいいということになっておりますので、その管理規約におきましてそれぞれの専用部分の用途を指定いたしまして、その用途変更につきまして違反行為があった場合には、民事上の手続で違反行為の停止とかあるいは規約を根拠といたします原状回復命令の申請というような手続によってこれを担保してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございますが、用途は、じゃあいかなる用途のものをどうするのかという問題でございますが、私ども基本的にはやはり近隣に迷惑を及ぼさない限り、用途変更は、権利者の譲渡なり用途変更なりができるように考えていくべきじゃないかと、こういうふうに考えております。
  133. 田中一

    田中一君 これね幾らそういう契約上のものをつくっても訴訟になると負けるよ、憲法が優先します。この場合には買い取り請求権が必ずついてくる、用途変更した場合にね。もしそれが私契約によって制限されるということになると、これは自分の所有物ですから買い取りを要求する。しかし、地域社会の情勢によっては、おそらくそういう場合には、一坪五十万で買ったものでもおそらく発展する可能性はあるわけだから、じゃあ百万円で引き取れといった場合にどうするかというような問題が必ず起こるんです。いままでそうして私契約によるところの問題で、憲法に挑戦した場合には、必ず負けておるんですよ。これをどうするかという問題、この点はいまここでその問題を君に言ってもしようがないが、十分に検討して万全を期していただきたいと思います。これもせっかくでき上がっても、いつもそういうふうにする傾向があるということ。それから特定街区に指定いたしますと、大体コストダウン三割ぐらいできるんです。ずっとこまかい計算をしてみると、コストダウンができるんですよ。だから、むろん地域によって違いましょうけれども、特定街区の指定は必ずするというようなことを考えていただきたいと思うんであります。  いままでこうして午前、午後にわたって質疑をいたしましたが、大体それらの問題が政令、省令ではっきりした場合に、私自分でこんなものができるんじゃないかなというような一つの印象が浮かんできているわけなんですけれども、これを計画する者、多くの建築家は必ず自分の創作としてつくる、建造物に対して建築家の遊びが多過ぎるということを指摘したいのです。経済性を考慮しないでただ都市における美観だけが先行すると、理想的な一つの建造物をつくろうという考え方が先行するわけです。これは建築家のいいところかもしれません。極端な経済性ということをここに前提として、市民のための、大衆がこの住宅を求められるというような家づくりをひとつしていただきたい。そうしてそれが都市におけるところの地域社会の大きな役割りを果たせるようなものにしていただきたい、これが私の念願であります。したがって、数々の問題もありましょうが、こうした方向にいく以上、大幅な予算の投入、投融資、これをはかっていただきたいということを、最後に建設大臣にお願いして私の質疑を終わります。
  134. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) あらゆる角度から御指摘になり、またいろいろと御質問をちょうだいいたしました諸般の問題につきましては、私深く傾聴しておる次第でございます。これらの御意見十分踏まえまして、その予算的措置にも、また行政配慮にも政令の制定等についても十分ごそんたく申し上げて、御期待に沿いたい、こう考えております。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間の関係等がございますので、要点だけ質問をしておきたいと思います。  前回私が質問をいたしましたことに対しまして、局長の答弁に関係することでありますが、篠塚参考人をお呼び申し上げまして話を伺ったときに、借家人並びに一部借家人の権利の問題のことを伺いました。その折りに当然間借り人もその権利があるのだ、その判例まであるのだという話を私は伺っておきました。そういう話があるにかかわらず、先般の局長の答弁によりますと、会議録の六ページでございますか、そこにあります。長くずっと読みますと時間がかかりますので、一部分だけ読んでみたいと思います。「間借りの場合には、これはいろいろな形態がございまして、」、これは局長の答弁でございます。「必ずしもその地位というものが、いわゆる私の法律——私法上の立場の中で保護されていない、むしろそれをもっと保護すべきじゃないかという議論は議論としてあり得ると思いますが、これは各種の錯綜している権利を調整するために、このようなややこしい法律規定を置いているわけでございます。私法上の立場においてある程度確立された権利につきまして、この権利として処理する、こういうような形にしておるわけでございます。事実上の問題といたしましては、間借り人をどうするかということは、事業施行の段階でいろいろの考え方があろうかと思いますが、この法律的な処理の構成の中には、私法の実体のほうが備わっていないために取り入れにくいという事情があることを、御了解願いたいと思います。」、このような答弁があるわけであります。さらに私のそのことについて民法の共有という二百五十一条の中に「各共有者ハ他ノ共有者ノ同意アルニ非サレハ共有物ニ変更ヲ加フルコトヲ得ス」、このようになっておりますが、この法の解釈は、いろいろあるかと思いますけれども、なぜ私がこういうことを言うかといいますと、政府があらかじめ指定されている地域において全般的に地域住民の方々の実態、その地域の状況というものを全部把握され、そうしてその計画を立てていられるとすると、少し考え方がそういう人たちを離れた考え方が多いのではないか。と申し上げますのは、先ほども総理がおいでになりましたときに、鶴見の実例を申し上げましたけれども、その鶴見の実例でもこれははっきりしているわけであります。借家権者が約四十三名、借家人が五一%もここにいるわけであります。北海道の小樽のほうの件を取り上げてみましても、家屋軒数が百五十軒、土地筆数、これが百三十筆、借地人が五十六名で借家人が百五十五名、その他の間借り人ということになっております。こういう一つ二つの実例をあげましても、これは大きな問題が残されてきていると思うのであります。各同僚議員が同じように言っていることは、その三分の一の人たちをどうするか、その考え方をどうしていくかということが大きな焦点になってくると思うのです。こういう点について先ほどの篠塚参考人と、それから局長との答弁との関係性といいますか、そういうようなものに対してお答え願いたいと思います。
  136. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) まず第一に、借家人をなぜ組合員にしないかという問題でございます。これはその後も参考人の御意見がございましてからも、私ども政府部内で再検討いたしたわけでございます。組合の行ないます市街地開発事業は、市街地土地を高度利用するために土地の利用権をお互いに出し合いまして従前の建物を除却し、高層建物の建築をするという形で、土地の利用方法を根本的に変えようとするものでございます。したがいまして、土地の利用方法についての決定権限を有する者、すなわち土地の所有者及び借地権者が組合員として事業に関する基本的決定に参画するのが適当だというふうに考えられるわけでございますが、借家人につきましては、借家人も建物の除却あるいは新築によって影響は受けるわけでございますけれども、もともと借家権というのは、でき上がっている建物をその用法に従って使用する権利でございます。したがいまして、建物あるいはその敷地についての処分権能を持たないわけであります。そういうものでございますので、借地権とは根本的に違う。そういう観点からいたしますと、むしろ借家人というのはその土地、建物についての抵当権者、その他の担保権者などと同じ立場にあるのではないか。したがって、借家人の権利事業施行にあたりまして不当に侵害するということはもちろん許されないことでございますけれども、このような市街地開発事業の性格あるいは権利の性質から見まして、借家人を組合員として事業に関する決定に参加させることはむしろおかしいのではないか、こういう考え方を政府としてはとっているわけでございます。  なお間借り人の問題でございますが、篠塚先生の速記録によりましても、「借家権を持っている者あるいはその借家権から派生しているところの転借人というものも」というふうに書いてございます。この場合の転借り人はいわゆる借家権を持ち得る転借り人でございまして、間借り人にも、私の答弁にもございますように、いろいろな形態がございますが、いわゆる住宅の一間を借りて、そうしていろいろなところは家族と一緒に共同に使うというような形の間借り人は、現在の借家法でもその点を認められていないというのが判例の考え方でございますので、借家権としては扱えないというふうに考えておるわけでございます。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、組合員にも当然その加入させられないということですか。
  138. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) そのとおりでございます。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常に地域住民のことを考えながらやるという法の立場の上からいきますと、これは私は大きな疑義があると思うのです。間借り人であろうと、長い間その地域住民としての国民の義務というものはそれぞれの立場で当然払ってもおりますし、そうして権利の面からいきましてもかりに部屋を借りるにしても、今日では権利金を払っておりますし、そこを自分の永住の地としている人もおるわけです。そういう人たちのことを考えないで一方的な解釈をするということは、これは私はもう一歩考えていかなければならない問題点じゃないかと思うのです。そういうわけでこの点は一考をお願いしておきたいと思います。  さらに総理に伺ったときの鶴見の駅の西口、東口の件でありますけれども、西口のほうに近い将来に地下鉄が敷ける、こういわれております。地下鉄が敷かれると言われております。その地下鉄が敷かれているということがわかっていながら地下のものに対しては手を触れないといういき方を今度は考えている、こういうふうな計画であります。したがって、いうならば一つ地域開発をし、そこを再開発していくということならば、総合的な立場の上から近き将来に地下鉄まで敷くのだということがわかっていながら、そのままやっていけばまた再開発の再開発をしなければならないようなまた法律を将来つくっていかなければならないような、いきあたりばったりのこれは行政ではいかぬと思う。この点についてもはっきり伺っておきたいと思います。
  140. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 鶴見駅の西口の件につきましては、現在まだ事業計画の認可はいたしておりません。先生おっしゃいますように、あすこは鶴見駅の西口は、たしか横浜の都市計画による地下鉄が将来計画決定される予定になっておりますけれども、まだ都市計画決定にはなっておりません。したがいまして、私も十分この点は、先生おっしゃいました点は検討いたしまして、今後事業をやります場合に、その地下鉄の計画がどの程度いつごろの時期に具体化するのか、あるいは現在ビルをつくって現在地下一階までの計画でございますが、将来ビルを建ててしまってから地下一階、地下二階以外に地下鉄の敷設ができるのかどうか、あるいは地下鉄の駅とか線路等が新しく建ちます市街地改造ビルによって支障を受けないかどうかという点は、もう一ぺん慎重に検討して事業計画の認可までに検討したい、こういうふうに考えております。     —————————————
  141. 岡三郎

    委員長岡三郎君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、柳田桃太郎君、米田正文君および二宮文造君が委員辞任され、その補欠として井川伊平君、鬼丸勝之君及び塩出啓典君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  142. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は単なる例を引いて申し上げているのじゃなくて、これは前の委員会のときにも同僚議員から具体的な例をあげられて質問をしておりまして、私はまだどっさりほかの例も持っております。一部を持って言っているわけじゃありません。少なくとも国土総合開発という面から考えていけば、その総合開発という計画の中から全部の計画がなされていかなければならぬ、そこに考えを及んでもらいたい、こう私は言っているわけであります。したがいまして、そういう観点の上から見ていきますと、この都市開発法をお出しになりました、まだ出し方がもっともっと練り直していかなければならないのじゃないか、このようにも思うわけであります。したがいまして、もしこの再開発をおやりになるとすれば、私はそんなに急がなくても、急がなければならない事態がきているといえば、また考え方は違いますけれども、いずれにいたしましても、十分関係のある各省間におけるあらゆる法的あるいは行政的な総合的なものを練り合った、そのうちの一部分のモデル地区をこういうところでやってみる、国民に全部訴えて、そうして一つのケースを明らかにして、このようにやればこのようなりっぱな再開発ができるのだということを私は提案をし、そうしてまたその考え方について大臣にも局長にも伺っておきたいと思います。これで私の質問を終わりたいと思います。
  143. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) 先ほど御指摘になりました鶴見の西口の問題につきましても、私も局長からその経緯等も聞き及んでおるのでございますが、私の方針といたしましては、百有余人にわたるところの各位に対しては十分話し合いの場を持ってくれということで、おのおのブロックを分けまして協議会をつくりまして、過去十回ほど話を進めていることも聞き及んでおるのでございます。したがいまして、これらの関連される対策協議会もおつくりいただいている様子でございますので、われわれといたしましては十分納得のいく話し合いの場を持って、御理解とまた御協力を仰いで、しかも小さい犠牲のように思いますけれども、本人にとっては生涯を左右する大きな犠牲であるという観点から、私はそれらの人の立場に立って考えていきたいと、これが私の指導方針でありますから、御了承願いたいと思います。  いま最後に御指摘になりました点、それも一つのとうとい方法でもあり御意見であるということは、私はよく理解を申し上げる次第でございますが、何と申しましても、現実都市化の秩序なき現象を見ますときに、私といたしましては、時間と競争、時間が敵であるというような気持ちから、これらに対応する対策を打ち立てたいと、こういうような気持ちを持って制定をお願いいたし、御審議をわずらわせた次第でございますので、いまの御意見は御意見としてその御意見に沿うような配慮で、これらの開発事業の促進と、またりっぱな標準を持ちながら一つ開発事業を推し進めてまいりたいと、こう考えておりますので、御理解願いたいと思います。
  144. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 私のほうから一点伺いたいと思うのですが、いまの借家人の問題ですね。借家人といってもいろいろあると思うのですよ。長期にわたってずっと住んでる人、それから戦後、また最近ごく新しい人、これを一まとめにして借家人といって割り切れるものなのかどうか。この点について、もう少しきめのこまかい返事をもらわぬと、借家人によってもずいぶん違いがあるんじゃないかと思うのです。その点どうですか。
  145. 竹内藤男

    政府委員竹内藤男君) 独立した家屋を全部借りてる場合は問題ないと思いますが、一部を借りてる場合でございます。独立した家屋の一部を借りてる場合に、ただいま委員長が申されましたように、いろいろございます。その場合に、従来の判例等から判断いたしまして、たとえばむね割り長屋の一戸、アパート、ビルディングの一室というようなものは独立して借家権の対象になる。こういうふうに考えられております。それからいわゆる通常の日本式家屋の一部でございますか、併用住宅のように店舗部分住宅部分がございます。そういう場合におきましては、それぞれ独立性を認められて借家権が認められる。それから住宅用の家屋を一部、日本式の住宅の場合に一部を貸してる、いわゆる間貸しの場合でございます。その場合には非常に微妙な例が多いわけでございますが、同居人というような形で、世帯に溶け込んで生活を共にしている場合には、借家権が認められないというようなケースが多いわけでございます。ただ世帯は別でも、いまの場合は世帯が同じ場合でございます。世帯は別でございましても、下宿屋の一室を借りてるというような場合には、やはり借家権が認められない。それ以外のものはある程度独立して生活してる場合には借家権が認められる、こういうような形になってるわけでございます。もう一つは店舗の場合でございます。いわゆるデパートののれん街というようなところに出店を出しており、隣りとの壁が非常にはっきりしておって、独立しているというようなものにつきましては、独立性を認められて、借家権が認められております。それから地下街の店舗のようにむね割り長屋式の場合におきましても、独立性が認められ、借家権が認められる。ただデパートのケース貸しというようなものがございます。そういうようなものにつきましては、場所的占有の独立性がないというような理由で、一般的には借家権が認められていません。それから、やはりマーケットの一部の店の賃貸というものは、これは実態に応じて区々でございます。ある場合には認められ、ある場合には認められない、こういうのが従来の実例なり、判例から拾って判断できるわけであります。要は構造上の独立性をもって、他の部分と客観的に区画されているということが一つの判断の基準になっている、こういうことでございます。
  146. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないものと認め、これにて質疑は終局いたしました。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  148. 沢田政治

    沢田政治君 私は当委員会において、今日まで審議してまいりました都市開発法案に、日本社会党を代表して反対の意見を述べます。  まず基本的にわが党がこの法案に反対する点は、政府当局が、この法案都市開発の単なる手続法規であるとしているのでありますが、いやしくも国民の財産権に重大な制限を加えることを内容としておる以上、国民に納得してもらうための基本的な再開発構想が樹立されておることが前提でなければなりません。しかるに、今日までの審議で明らかなごとく、政府都市全体の機能改善、または整備をはかる総合的な再開発計画や、構想の基本規定が明らかにされていないのであります。さらに加えて、市街地のどの地区からどのように再開発を進めるかという全体計画に基づく段階的計画と、実施方法も全く明らかにされていないのであります。特に本法案第七条に示しているごとく、再開発事業の中心的な役割りをする、遂行するのは、再開発組合であり、しかもこの中に資金を背景として加わる参加組合員、つまり民間業者が支配を強めることは、明らかに予想されるところであります。このような見地から考察すると、冒頭に述べました政府の基本的な再開発の無計画さと、合わせて、醜い再開発スプロールの現象さえ予知、予見されるのであります。  以上のごとく、基本的批判の上に立って、具体的反対理由を若干述べるわけであります。  反対理由の第一は、憲法第二十九条との関連であります。過般参考人よりの意見聴取の際にも出ましたように、再開発を進めるにあたって、だれがいかなる目的でいかなる措置で実施するかが違憲合憲のかぎになることが述べられました。もちろんこの意見が一〇〇%定説とは言えないにしても、民間業者が利潤目的で参加組合員となり、強い支配力に置かれる再開発組合施行主体になる事業は、もうかるところから実施するのが当然として行なわれ、しかも、三分の二の意思で、三分の一以下の者が完全な営業権の補償と、居住並びに生活保障がなされないまま、排除されることは憲法上重大な疑問であります。百歩譲って違憲、合憲の可能性が五分五分としても、本法案成立後計画決定、実施の段階で、多くの訴訟が頻発をすることは、これまた明らかであります。この法の運用いかんによっては、訴訟製造法になるおそれがなしとしないのであります。  反対理由の第二は、住宅についてであります。なるほど本法案は五十八回国会の法案に若干の手直しを加えて、住宅の併設を目標づけている点は是とするものですが、民間業者が支配力を持つ再開発組合施行である限り、国民生活実態に合った低家賃は望めません。デラックスマンション化は必然でありましょう。住宅併設の場合、公共団体のみが責任を持って事業を進める道を開くべきであります。  反対の第三は、土地政策であります。都市計画にしても、また再開発計画にしても、実施にあたって障壁になるのは、地価であります。東京を例にとっても、二十三区の中において相当な遊休地があるのであります。しかも相当部分が法人所有といわれております。これらの値上がり待ち遊休地に厳正な税制等による措置をとらないで、善良にして零細な個人、中小商店の営業権と居住権を強権的に圧迫、無視する可能性にはいかにしても賛成できません。  第四の理由は、国土総合開発計画利用とこの法案が全く関連性を持っていないことであります。そこに山があるから登るというごとく都市化するから対策というのではなく、過密過疎の同時解決の次元において都市問題を解決すべきであります。本法案並びに政府の態度は、あまりにもこの見地から見て一面的であります。  このように数々の欠陥があるにもかかわらず、しかも明確な財政の裏づけもないに至っては国民の犠牲による安上がり都市政策を行なっていると言っても決して過言ではないのであります。都市開発事業が問題解決の一手段であることは是としつつも、以上述べた観点に立って反対の意見を述べます。
  149. 山内一郎

    ○山内一郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、この都市開発法案に対し、賛成の討論を行なうものであります。  わが国は、ここ十数年来の経済の高度成長から人口、産業が都市へ過度に集中し、欧米諸国にも例を見ない広がりと早さで無秩序な都市化が進んでおります。このため地価ははね上がり、住宅難、交通麻痺、あるいは産業公害の発生など、都市機能と市民生活は著しくそこなわれております。特に大都市におきましては、都市中心部を形成する既成市街地は、不健全な過密状態と化し、都市機能の停滞が著しく、かつ、郊外地に広がる平面的で無秩序な市街化が進行しており、いまや都市政策は国民的課題となっておるのであります。  かかる都市化時代に対応して、秩序ある都市の発展を期するため、都市現状と将来の見通しに基づいて健全な近代都市としての更新が必要であると考えるのであります。  このような見地からこの法律案を見てまいりますと、この法律案は、従来の市街地改造に関する手法を改め、現在既成市街地で盛んに行なわれている再開発エネルギーを、合理的かつ計画的に誘導し、不健全な低層建築物の計画的な高層化を積極的に進め、細分化された土地利用を改善し、都市化時代に応ずる市街地の再開発推進しようとするものでありまして、全体的に見て、計画的な都市開発の具体化に大きく踏み出したものと認められるのであります。  私はかかる意味におきまして本法律案に賛成するものであります。
  150. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、公明党を代表いたしまして、都市開発法に対し、反対の討論を行なうものであります。  近時、わが国におきましては、人口、産業の都市集中が急速に進行しており、特に大都市では、著しい無秩序な市街化、地価の高騰、住宅難、交通麻痺や都市公害、産業公害など都市機能と市民生活が著しくそこなわれる状態となっております。  このような過密の弊害は、市民不在の場当たり主義による都市政策を続けてきた政府与党の失政であり、政府与党の限界を如実に物語っていると思うものであります。言うまでもなく、都市は大衆福祉の源泉にして国民文化の根源であって、都市の再開発は、一都市の形態の回復の問題ではなくして、実に、わが国の経済発展と国民生活の改善の根基を形成するものでなくてはなりません。  しかも、再開発によって新しく塗り変えられる都市は、いたずらに外観的都市美を誇り、単に外郭の追求のみに走り、形式的に完成されたものではなく、都市機能が整備され、かつ、生活基盤施設が完備されたものでなければならないと思うものであります。  したがって、再開発事業推進にあたっては、企業利益や経済の合理性の追求のみに終わることなく、そこに住み、あるいは事業を営んでいる大多数の市民のために行なわれるべきであると考えます。  このような基本的精神に立って本法案の内容を検討してみますときに幾多の問題点指摘せざるを得ないのであります。以下、それらのおもなるものについて述べたいと思います。  第一に、国土総合開発という大目標施策に立っての都市開発のビジョンの欠如ということであります。都市開発は、都市革命時代における都市の本質的機能の変革と再編成であり、これには基本的な都市改造へのビジョンと、総合的施策を前提として行なわれるのでなければ、その実効があがらず、単なる建物の高層化、立体化が行なわれるだけで、点的改造に終わる危険が多分に予想される。このことは、かえって都市の一部を無秩序に固定化し一種の再開発スプロールともいわれるような現象を引き起こす結果をもたらすの一ではないかと思うのであります。また、低層木造住宅地域に対する再開発については、何ら触れておらず、これではたして都市開発と言えるでありましょうか。  第二に、住宅建設目標の設定義務をうたっておりますが、本法の施行によって、現下の住宅問題を解決する一助にはなり得ないということであります。都市開発の目的の最大の柱は、適切な家賃の、あるいは分譲価格の、環境のよい住宅都市内に大量に供給することにより、健全な都市生活の確保を指向するものでなければなりません。ところが、再開発による住宅家賃、あるいは分譲価格は、高級マンション並みであり、庶民住宅としては利用されないのではないかと思うのであります。  第三に、施行地区内の住民の意思が十分に反映されないまま事業が強行される可能性が強い点であります。すなわち、施行地区内の宅地について、所有権または借地権を有する者のそれぞれの三分の二以上の同意を得た上で、都道府県知事の認可を受けて再開発組合をつくり、事業施行ができるとしておりますが、その際、同意しない者は、意見書を知事に提出できるものの、それが採択される保証はなく、強制的に組合員にされてしまうわけであります。このように多数をもって少数意見者を無視し、個人の財産権に裁定を下すことは、憲法の精神に反するものであります。都市開発の目的が、住民の福祉につながることを思うとき、住民の理解と協力による計画の実行性が確保されなければならないと思うのであります。  第四に、借家権者並びに一部借家権者の保護の甘さということであります。立体換地方式においては、借家権者並びに一部借家権者は、等価交換の原則により、必ずしも新しい施設建築物に入居できるという保証はどこにもないのであり、再開発がこれら借家人から住宅を奪う結果になることは目に見えております。  第五に、参加組合員になる民間の大資本を有する者にとっては、用地の取得が比較的容易に、しかも安く入手できるのと同じこととなり、負担金の額に伴って事業資金、処分計画などについての発言権を強めることも予想され、結局、民間の大資本が大きな利益を得る道を開く結果となることは必至であります。  以上のことを総合して考えましたときに、この法案の運用いかんによっては、公共の福祉に名をかりた中小企業者及び住民の福祉を考えない、権力の行使を政府みずから容認することになると思うのであります。  以上、おもなるものについて申し述べまして、私の反対討論を終わります。
  151. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、都市開発法案に対する反対討論を行ないます。  反対理由の第一は、この法案が、佐藤内閣の大資本本位の都市政策の一環をなすものであって、広範な勤労市民の要求と希望に全く反するものだからであります。  現在、人口と産業の急速な大都市への集中に伴い、都市の大型化と農山林の荒廃もまた急速に進行しています。そして、大都市では、高層ビル、高速道路、地下鉄、最新設備の工場や事務所、百貨店などが数多くつくられている反面において、深刻な住宅難や通勤難、交通事故や各種の公害や災害の激増などによって、労働者と勤労市民の生活と生命は深刻な不安にさらされています。  このように都市問題の深刻化した原因は、歴代の自民党政府が、勤労人民の福祉と生活を全く無視して、独占資本の高度成長のための重化学工業中心の拠点開発計画を強行したことにあります。また、安保条約のもとで、大都市に広大な米軍や自衛隊の基地を存在させてきたことも、わが国の都市問題を深刻にしている一つの原因であります。  したがって、今日の都市問題を正しく理解するためには、これまでの大資本、大企業本位の都市政策をやめて、住宅難、通勤難の解消、交通事故、公害、災害の防止など住民の生活と生命を守る立場に立った民主的な都市づくりを行なわなければなりません。また、米軍基地など都市計画の遂行に障害となっているものを撤去させることも重要であります。  しかるに、佐藤内閣都市政策は、これとは逆に、安保条約のもとでの独占資本の一そうの繁栄のために、都市の住民を犠牲にして、もっぱら大資本に都合のよい都市づくりを大規模に推し進めることを基本としています。  そして、この法案は、大資本のための都市の再編成を行なおうとするものであります。すなわち、都市中心部における中枢管理機能の集中に必要な業務地の拡大、商業資本の進出のための商業地の確保、幹線道路、ターミナルなどの整備を重点としています。その反面、防災地域や人家と町工場の密集した地域など、住民のために真に再開発を必要とする地域都市改造は全く軽視されています。  反対理由の第二は、この法案が、参加組合員ということで、再開発事業への大資本の参加を予定し、これを大企業のもうけ仕事に提供するものとなるからであります。  この法案では、都市開発事業施行者は地方自治体、住宅公団などの公共団体と民間の組合とされていますが、民間デベロッパーの活用という自民党の都市政策や、地方自治体は公共施設整備で手一ぱいだという本委員会での参考人の意見などに照らしてみれば、特殊な部分を除いて、ほとんど大部分が民間の組合施行になるものと判断されます。この場合、膨大な資本を要するこの事業に、地域外の大資本が参加し、事実上これを支配するようになることは避けられません。しかも、このような大資本の営利を目的とする事業に「公共」の名を与えて、土地の提供その他住民を強制する各種の執行権を与えることになっています。これは、大資本の住民収奪を公的権力によって保障することであり、絶対に容認できません。  反対理由の第三は、この法案が、市街地住民の多数を占める借家人の全員を組合から排除し、また、土地所有者と借地人の三分の一の反対を無視して再開発計画を決定できることにし、また、再開発によって立ちのきを余儀なくされる零細な土地、家屋の所有者や借家人、間借人などの正当な生活補償が行なわれないなど、住民の生活権利を踏みにじるものだからであります。  さらに、この法案は、全国総合開発計画、首都圏近畿圏整備計画など主として独占資本の利益のための開発計画の一環として都市開発計画を立てることを義務づけていますが、これは、住民、の意思を無視して一方的な都市づくりを押しつけるものであります。  本来、都市計画は住民の地方自治を発展させる立場から、広範な住民の参加のもとに民主的につくられ、すべての住民の納得の上で実施されるべきものであります。これに反して、この法案規定されているような非民主的な計画の押しつけは、すでに述べた民間資本の導入によって、都市の改造を利潤追求を第一義とする独占資本の無計画性にゆだねることと相まって、都市の混乱と矛盾を一そう拡大する結果を招くことは避けられません。  最後に、この法案は、野党の批判を取り入れて手直ししたといわれていますが、それは、この法案の反動的な本質をいささかも変更するものではありません。たとえば、新しく建てる高層ビルに住宅を上乗せする住宅建設目標の設定は、それ自体としては、比較的所得の多い都市住民層の住宅要求には多少役立つとしても、一般に住宅不足の著しい大都市において、特に住宅不足の著しい地域と限定していることで明らかなように、住宅建設を一般化したものではなく、業務地、商業地での再開発を通じての大資本の進出を何ら規制するものでもありません。  以上の理由でわが党は都市開発法案に反対します。そして、真に住民のための都市づくりを目ざして住民とともに奮闘するものであります。
  152. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 他に御意見がないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  都市開発法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  154. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 賛成多数と認めます。よって、本案は多数をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  155. 大森久司

    ○大森久司君 私はただいま可決されました都市開発法案に対する附帯決議を提出いたしたいと思います。  まず案文を朗読いたします。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  156. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま述べられました大森久司君提出の附帯決議案を議題といたします。  別に質疑もないようでございますので、これより本案の採決をいたします。  大森久司君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  157. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 全会一致と認めます。よって、大森久司君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坪川建設大臣から発言が求められておりますので、これを許します。
  158. 坪川信三

    国務大臣坪川信三君) ただいま御議決をちょうだいいたしました本法案提出させていただきまして以来、委員長並びに委員各位におかれましては、連日御熱誠なる御審議を賜わり、ただいま議決をちょうだいいたしましたことを深く感謝いたします。  その間に指摘されました貴重な御質疑並びに先ほど各党から御開陳いただきました討論等の内容につきましても、まことにわれわれといたしましてはたっとき指針と考えておる次第であります。したがいまして、ただいま附帯決議をいただきました重要なる六件に及ぶこの附帯決議に対しましても、御趣旨を十分尊重申し上げまして、その法の運営に万遺憾なきを期したいと思います。  ここに重ねまして委員長委員各位の連日の御熱誠あふるる御審議に対し、深く感謝と敬意を申し上げ、ごあいさつにいたしたいと思います。ありがとうございました。
  159. 岡三郎

    委員長岡三郎君) なお本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十四分散会      —————・—————