○
穗積委員 私はそれは何というか、今までの立場上言わざるを得ないということでおっしゃっておるのだろうと思うのです。私
ども推測するのに、たとえば今問題になっております沖繩基地にいたしましても、そのほか
国内におきましては主要な空軍基地は、ことごとく最近また問題を起しておるわけですが、なるほどアメリカは朝鮮戦争を契機といたしまして——その前におきましても御承知の
通りアメリカの軍の方針というものは、空軍に主力を置き、海軍並びに空軍を従属国に対するアメリカ軍の主力として考えて、陸上軍はその肩がわりをさせたいという考えを持っているということは明瞭だと思います。私
どもの見るところでは、すでに朝鮮戦争の起きる前におきましても、アメリカ軍部の中において、陸軍と特に空軍との間における
意見の対立、一体いずれを戦闘力の主力とするかということについては、空軍がずっと優勢を占めてきておるわけです。あなたも軍隊へ行っておられた。私は陸軍の幹部候補生で行っておりましたが、
日本はかつては主力は陸軍であり、空軍、海軍は補助戦闘力として考えられておったわけです。アメリカにおいては、特に前の戦争の経験と
国内における世論等々から見ることと、もう
一つ大きくは、戦争によりまして従属国化した諸国との作戦
計画から見て、空軍を主力にしたい、海軍も主力にしたい、陸軍はこれは不得意でもあるし、従属的に考えていきたいという考え方がずっとあるわけです。ところが朝鮮戦争によって苦い経験をして、ますますその考えを強くして、そうして一番消耗が多くて、一番費用がかかって、そうしてアメリカ
国内の国民に一番人気の悪い陸軍は、
現地調弁をやっていきたいという考え方に変っておることは、これはあなたもお認めにならざるを得ないと思う。私
どもはそういうふうに見ておるのです。そういたしますと、陸軍はなるほど北海道初め撤退を始めております。これは
日本の再軍備ができたからやがてすべての軍隊を引き揚げるための撤退ではなくて、今申しました、従来の第二次大戦後のアメリカ軍部内における方針、特に極東におきましては朝鮮戦争によってその認識が強化された、それを行なっておるにすぎないのでありまして、アメリカ軍の主力、すなわち空軍、海軍は私
どもは永久に撤退しないと思うのです。今度の
協定でも、この日米間における軍事
協定、安保
条約その他をとりましても、これが期限が切ってないというようなべらぼうな話は、当時私
どもは国会に発言権のないときでありましたから、切歯扼腕をいたしました。また最近における沖繩基地に対するかの国の軍部の人たちの態度等は、もう半永久どころか、永久基地だという考え方であり、しかもそれを
実行しております。そのときに、陸軍についてはなるほど肩がわりはするでしょうが、空軍、海軍を撤退するなんという考え方は、これは国民を欺くもはなはだしいものだと私
どもは思うのです。そういうことについて私の考えが間違っており、偏見であり、誤解であれば仕合せでございますから、その考えが誤まっておるということなら、あなたが次官になってかの国と一体どういう
交渉をなさり、一体どういう材料によって、われわれの考え方が間違っておって、あなた方の考え方、すなわち一個師団や二個師団の陸軍の撤退をしたからやがて全部撤退するんだとおっしゃるその立論、つまり
意見の食い違いですが、それを外交的材料の中から実証していただきたいのです。