○平田説明員 お答え申し上げます。保全経済会につきましては、従来から国税庁といたしましても、地方の税務
機関をいたしまして、いろいろ調査をさせていたのでありますが、今御指摘のように、その
法律上の性格がなかなかはつきりしないとこりがありまして、課税
関係も相当複雑なところがあ
つたわけであります。しかし私
ども税務当局としましては、こういう
仕事をや
つている
一種の団体の法的性格につきましては、なるべく銀行局それから
法務省等との見解と歩調をそろえまして課税をするのが、課税の適正を期するゆえんではないかということで、実は早くからその
方面の見解が一致し、きまるのを待
つていたのでございますが、本年度になりまして、大体におきまして、今
お話の
通り、匿名組合かあるいはこれに準ずべき
一種の無名契約と見るべき節が多いのではないかということに意見が一致したように、私
ども拝承していたのでございます。これに対応いたしまして、税務当局といたしまても、いろいろ調査をし、さらに課税
関係を明らかして来たわつけでございます。まず法人でございませんので、なかなか会自体の所得というものは、法人の形でつかむことができない。そこに非常に問題がございまして、結局
二つに課税
関係はわかれて参るのでございます。
一つは代表者でありまする伊藤氏に対する課税をどうするかという問題、いま
一つは出資者に対する課税がどうなるか、この
二つの問題にわかれて来るかと思います。
前者の問題につきましては、今まで一応給与その他の賞与の形で伊藤氏個人としまして会から所得を受けておりまするので、この方はそれぞれ課税いたしております。その課税実績は簡単に申し上げますと、昭和二十六年分が所得金額で百三十九万円、税額で五十七万八千円、これはすべて納税済みにな
つております。それから二十七年分は、これも税務署等でよく調べまして、本人の追加申告を得て確定した額が、所得で二百三十七万一千余円、それに対しまして税額が七十一万一千余円ということにな
つておりまして、この方も納税済みにな
つております。しかし問題はこれだけには実はとどまらないわけでありまして、保全経済会の所得を、結局匿名組合あるいはこれに準ずべきものであるということになりますると、その内容をよく調べましてもしも伊藤氏自体が得ておりまするこのほかになお余剰がある場合におきましては、これは伊藤氏の所得になるということになるかと思いますが、その辺のところにつきまして実は先般来いろいろ調査をいたしているわけでございますが、これにつきましては先般のようなこともありまして、目下
資料を整理いたしまして、今後はつきりした
結論を下すべくなお調査を継続中でございます。
法律関係その他の問題もなかなかございますので、
結論が出るのにはもう少しかかるのではなかろうかと存ずる次第でございます。
いま
一つは、出資者に対する配当の課税の問題でございます。実はこの問題は預金と見るかということに
一つ問題があ
つたわけでございますが、これは結局預金とは見れない。しかも出資者が保全経済会という組織を通じて所得を得ているということは事実でございまして、この所得をどのようなものとして課税するかということに問題があ
つたわけでございます。預金と見ますれば、これは源泉課税ができ、従来もできたわけでございます。法人形態でありますれば、法人の配当といたしましてこれも源泉課税ができたわけでございます。ところがそのいずれの形態もと
つておりませんので、結局この出資者に対する配当に対しましては、その他の所得としまして今まででございますと申告で納めさせるよりはかなか
つたわけでございます。ところがいろいろ調べてみまと、なかなか正確な調査ができない。口数が多いのと氏名、住所等が不明でございまして、普通の申告で納めさせるという方法ではとうてい適正な徴税ができないという大体の
結論を得ましたので、大蔵省といたしましては、これはやはり配当や預金と同じように源泉課税をした方が一番いいじやないかという趣旨で、去る二月の
国会に実は源泉課税をする
法律案を提案いたしたわけでございます。ところが解散等の
関係もありまして、四月に成立を見ないで、やつと先般の七月に成立を見まして、八月からこれを実行することにな
つた次第でございます。
従つて八月分からは匿名組合員に対しまする配当にいたしましても、二割の源泉課税をする、この法的措置が成立を見まして
実施に移したわけであります。その課税の結果は、八月分と九月分、この
二つにつきまして実績がございますが、八月分は課税額で九百五十五万八千余円でございます。これは配当の二割に相当する所得税額でございます。このうち二百万円ほどは納ま
つておりまするが、残余のものは未納にな
つております。それから九月分が千七百五十八万一千円、これがやはり源泉課税といたしまして一応税額はきま
つておりまするが、この分も納ま
つていないようであります。税務署といたしましては督励をいたしたようでございまするが、ごく最近になりましておそらくこのころから大分金繰りが苦しか
つたと見えまして、未納にな
つておる次第でございますが、私
どもといたしましては、少くともこの分につきましては、適切な方策を講じまして徴収はしたい、このように
考えておる次第でございます。
以上が一応課税の状況でございます、先ほどの
お尋ねは、若干こういうことに対する
お尋ねもあ
つたようでございますから、
ちよつと触れてみたいと思います。私
ども税務当局といたしましても、性格なり構成なり責任
関係等がはつきりしない相当大きな事業体があるということは、課税の上から行きましても、実はいろいろ問題がございまして、はつきりしないところがあ
つて、解釈あるいは事実の調査等につきましても困難をする場合も多いのでございます。従いましてできますればこういう相当大きな事業体に対しましては、はつきりした立法措置ができまして、それによりまして明確に課税ができるということになりますれば、適正な課税を期する上におきましても、非常にいいことではないか、このように
考えておる次第でございます。