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1952-03-04 第13回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月四日(火曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 金光 義邦君    理事 大泉 寛三君 理事 野村專太郎君    理事 床次 徳二君 理事 門司  亮君       門脇勝太郎君    川本 末治君       佐藤 親弘君    前尾繁三郎君       吉田吉太郎君    藤田 義光君       大矢 省三君    立花 敏男君  出席政府委員         総理府事務官         (全国選挙管理         委員会事務局         長)      吉岡 惠一君         総理府事務官         (地方自治庁次         長)      鈴木 俊一君 委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 二月二十八日  委員長尾達生君辞任につき、その補欠として橘  直治君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十八日  本別町上水道敷設事業費起債認可に関する請願  (伊藤郷一君紹介)(第一〇二三号)  狩猟者税軽減に関する請願田嶋好文紹介)  (第一〇二四号)  遊興飲食税に関する請願大泉寛三君外一名紹  介)(第一〇三五号)  小学校改築費起債認可に関する請願塩田賀四  郎君紹介)(第一〇三六号) 三月三日  消防法の一部改正に関する請願川本末治君紹  介)(第一〇八八号)  助産婦に対する特別所得税等課税適正化に関  する請願大石武一紹介)(第一〇九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  地方自治に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 金光義邦

    金光委員長 これより開会いたします。  国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。質疑を許します。立花君。
  3. 立花敏男

    立花委員 この改正によりまして、国家から地方にお出しになる金が幾らばかりふえるのか、これをひとつ聞きたいと思います。
  4. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 お答えいたします。多分お配りしてあると思いますが、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案による選挙経費算出表という一枚刷りのものがございます。この中の裏のページの所に出ておりますが、この改正法計算いたしました場合の、来年度に予想されている衆議院議員選挙費用が、十四億五千二百万円余であります。  そのほかに同時に最高裁判所の裁判官の国民審査がございます。これに要する費用が四千二百万円余でありまして、両方合せましたものが十四億九千万円余になるわけであります。それから参議院費用でありますが、これは現行法計算いたしました費用が約十億六千万円、従つて参議院衆議院と同じようには参りませんで、約四億近くの違いが出て来るわけであります。ただこの中には地方へ配るものばかりでなくて、中央で使うものも入つておりますので、それが約二億ございますから、差引き純粋に法律改正によつてふえる費用というのは二、三億と御承知いただけばいいかと思います。
  5. 立花敏男

    立花委員 それから従来でも選挙事務に従事しております者は非常に選挙に関する業務手当が少い。特に選挙の場合は残業徹夜は普通のことになつておりまして、そういう業務に対する手当が非常に少い。うどん一ぱい食えば足が出るという形でございますし、しかもそれがなかなか払つてもらえないという状態であるので、これは地方のそういう下部の吏員の非常に大きな悩みなんですが、選挙が来るとたまらないという感じなんですが、今度はいかほど手当が引上げられる計算になつているのか、それを承りたい。
  6. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 これは現行法によりますと、超過勤務手当基礎になつております給與というのが、大都市のある都道府県及び区におきましては一人一時間二十六円で現行法はやつております。それを改正案では一人一時間四十四円十三銭、約十八円十三銭の増率です。その他の都道府県と市では従来現行法は二十三円ですが、これを三十八円四十六銭に増加をしております。つまり十五円余の増加であります。それから町村吏員につきましては、現在二十円で計算しておりますのを、改正案では一時間三十二円二十三銭と、十二円ばかりの増ということで計算しております。
  7. 立花敏男

    立花委員 一時間二十円では非常に少いと思うのです。しかもそれが今申しますようになかなかもらえていない。聞くところによりますと、この改正案がなかなか決定にならないで、相当遅れるのではないかという見通しだと思うのです。そうなりますと公務員選挙をやりましても、たとえば今行われている六区分選挙など現実に行われているのですが、実際残業あるいは徹夜をやりながら、少い手当しかもらえないということになつて参りますと、非常に困ると思います。最初お聞きいたしました、全体として地方に参ります二億なり三億なりの金も、地方財政の窮乏の中では立てかえが非常に困難だと思うのでありますが、こういう問題でこの改正案が遅れました場合、何か補償方法をお考えになつているかどうか、これを承りたい。
  8. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この改正案では、一応原案では公布の日から施行ということになつております。従つて東京の六区等には法律案を修正して遡及公布を持たせる以外に適用する目途がないわけであります。しかしながらもしそういうことになりますれば、つまり遡及公布を持たせれば六区の選挙にも適用になる。それに従つて国庫出してくれると思うのでありますが、それまでのつなぎとしては、やはり地方である程度の犠牲を払つて立てかえておいていただかなければ、公務員には行かないという結果になるのです。
  9. 立花敏男

    立花委員 立てかえる能力がない。実際今ぎりぎり一ぱいで、地方は当初予算に組みましたものを半分にするというような状態なんです。地方公務員の整理も実際日程に上つております。こういう場合立てかえるということは非常に困難なんで、法律をお出しになるのであれば、すぐやつていただくか、いろいろな都合で延ばさなければならないなら、その間の補償方法を具体的に考えていただかなければならぬと思います。  それから今お話なりました立てかえの問題ですが、二十五年度でありましたか、地方がやはり選挙費用として立てかえました金二億七千万円でありましたか、これがやはり中央査定食い違いまして、なかなかもらえなかつた話がございますが、査定あるいは審査の問題、これを根本的に改正しておいていただかないと、地方が実際必要で入り用なだけ出した場合に、やはりそれが中央査定にひつかかつて地方出しただけ損だ、立てかえがもどつて来ないという場合が現実にあつたわけですから、この点をどういうふうに改正されようとお考えになつておるのか承つて置きたい。
  10. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この前の二十四年の衆議院選挙のときは、ああいう行き違いができまして、ただあのときはあとでこれだけ足りないといつて地方から要求して来られたのに、その金額をそのまま交付はしなかつたのであります。それはつまり足りないといつて要求をした方が得だというような結果になると困るものですから、ああいう措置をとつたのです。今度は改正法を適用するか、あるいは現行法を適用するかのどちらかであります。金額があらかじめわかつておりますから、それは向うの要求改正法計算されたのであれば、要求だけ出せるわけであります。この点はさしつかえないのであります。
  11. 立花敏男

    立花委員 前の場合も現行法地方計算して出したのが、やはり査定の上で行き違いがあつて全部取れなかつたので、今度の改正法では、そういう地方との紛糾が起らないようになつておるのかどうかという点に対する質問なんです。
  12. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この前のときはこの法律がまだ出ておりませんでした。地方計算というのはまちまちであつた。しかしながら今度はこれによつてやりますから、はつきりいたしますので、査定という問題は起らないと思います。
  13. 立花敏男

    立花委員 それから選挙の問題に関連して聞いておきたいのです。最近新聞によると政府は、憲法改正のための国民投票の問題をお考えになつておるということなんですが、どの程度考えになつておるのか、重大な問題だと思いますので聞いておきたいと思います。
  14. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 憲法改正国民投票の問題でありますが、これは私どもの方で資料を集めておる程度でありまして、あれは憲法付属の法典を、いろいろ準備いたしました当時資料を集めまして、ある程度問題点検討をしたわけであります。その後選挙制度調査会で昨年改組しました後に、一回委員会検討しました問題点を、ある程度論議をいたしました。それでそういう程度資料を集めておるというだけで、まだ案というものはつつておりません。
  15. 立花敏男

    立花委員 具体的な案はともかくといたしまして、大体の根本的な考え方でございますが、これは新聞の発表によりますと現行公職選挙法によるのだ、あるいは改正された公職選挙法によるのだというふうに出ておりますが、そういうふうなお考えなのかどうか。別に国民登録法というものをおつくりになるお考えなのか。公職選挙法に準じておやりになるおつもりなのか、基本的な考え方をひとつ承りたい。
  16. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 まだ十分研究しておりませんが、私どもが今までいろいろ資料調べたところでは、やはり別な法律の方がいいんじやないかという私個人の考えを持つておりますが、政府としてどうするかという点は、全然検討はいたしておりません。
  17. 立花敏男

    立花委員 国民登録の問題は案ができていないということですから、それまでにしておきます。元にもどりましてさいぜんの費用の問題ですが、二十四年度の選挙に、地方中央食い違いができましたのは、単に法律ができていなかつたという問題だけではなしに、国でお出しになる基準が実際上は非常に実情にそぐわない低い金額で、それでは地方選挙執行ができない。実際はもつと高いものを出さなければ働き手がないということで、費用がかさんだのだろうと思いますが、これは労務の費用だけではなしに、物品の問題もあるでしようが、結局、中央査定になる基準よりも、地方の方は実際高く払わなければならぬというところから、大きな食い違いが出て来たのだろうと思います。今お聞きしたような一人当りの費用では、やはりこの問題が出て来るのではないかと思うのですが、この問題をどういうふうにお考えになつておるか。実際働く者の手当が非常に少い、実情にそぐわない金額計算されておるということになつて参りますと、どうしても無理ができると思いますが、この問題を実際的にどう解決される御用意があるのか、この点をお聞きいたしたい。
  18. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 ただいま申し上げた数字では、ちよつと御説明が足りないかと思いますが、このほかに勤務地手当が加算になりますから、勤務地手当が支給される地域では、もう少しよけいになります。ただ問題がございますのは、大都市のある府県であります。これはやはり地方で見ている地方財源基礎を採用せざるを得ぬと思うのでありまして、この基準法律に使つております単価は、二十七年度の国庫負担地方委託職員大蔵省で見ておりますが、この基準によつたのであります。この基準のよしあしということはあると思いますが、国としてはやはりこの基準によらざるを得ぬと考えて、こういう数字出したわけであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 たとえば町村ですが、町村はあまり勤務地手当もないような状態ですし、あつても非常に少いが、その場合にもやはり、二時間残つても大十円しかもらえない。晩飯食いますと、何のために残つたのかわからないというような状態が出て来るので、これではどうしても実際上は地方負担にならざるを得ないと思いますが、その点をやはりもつと考えて、実際入用の金だけは出すようにする必要があると思います。これでは非常に少いとお考えにならないかどうか、これで実際の勤務がやれるという見通しがあるかどうか、地方負担にならずに、町村負担にならないので、これで選挙事務がやれるとお考えになるかどうか、お聞きしておきたい。
  20. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 やはり単価の問題は国の予算全体の問題だと考えますので、選挙についてだけどうこうということは、ちよつと申し上げられないと思います。
  21. 床次徳二

    床次委員 ただいまお答えがありましたが、実はこの単価の引上げについては、私は現状から申しまして必要なことだろうと思いますが、実はお説明の中に落ちておりましたのは、地方管理委員会は、どのくらいの単価増加要求をしているかという点であります。当局自体がいろいろお考えになつていることは、まことに適当とは思いますが、はたしてこれで地方要求を満足せしめ得るかどうか、あるいは地方実情となお相当開きがあるのではないかという点について、多少私ども疑いを持つている。この点について、やはり当局側としても、地方要求にも合うし、また実情にも合い得るのだというだけの納得せしめる資料をお出しになることがよいのではないか。なるほど増額には異存はありませんが、これでも足りぬのじやないかということを懸念するのです。どうかその点を御説明できるような御手配をお願いしたいと思います。
  22. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 これは大体都道府県選挙管理委員会連合会、それから五大都市市区町村とおのおのございますが、この当局に話しまして、およそ了承を得た金額であります。もちろん都道府県あるいは市町村希望通りではございません。やはり節約をして選挙執行してもらいたい、こういう考え方でございます。ただこれを使います際に、こちらから交付しました目的通りではなしに、やはりこの選挙費用のうち、相互にある程度融通がききますから、そういう点を考えて、これで十分ではないが、節約すればやつて行ける金額だと思います。
  23. 門司亮

    門司委員 はつきりしないらしいのですが、実は今までの立花君の質問については、十分聞いておりませんのでわかりませんが、今の床次さんとの間の応酬を聞いておりますと、やはりわれわれが一番危惧している問題だと思います。それで今の御説明だけでは、私ども納得が行かないのでありますが、それはこの前の総選挙のときに、当局は苦労をされたので、私は十分御了承だと思う。ああいう事態が私は必ず起ると思います。起らずには済まぬと思います。ことにこの予算を組まれているのが、いつの標準か私は知りませんが、問題は次の選挙の行われるのは、おそらく十一月になりますか、十月になりますか、あるいは吉田さんの筆法一から行きますと、一月になるのかどうかわかりませんが、そのころには物価開き相当出て来ると思います。従つて予算で組んでいても、実際に執行する末端の選挙管理委員会では、この予算だけではやれないのは私は当然だと思います。従つてそこには必ずギヤツプが出て来る。ギヤツプの出て来るだけは地方でカバーしないわけには参りません。そこでカバーしたものが、この前のように、選挙が済んで半年あるいは一年もたたなければ出してくれない。しかもカバーしたのを全管の本部に通知し、あるいは大蔵省に了解を求めると、それがよいとか悪いということで、地方は非常に迷惑をした。そういう迷惑のかからないようにするためには、まずあなた方の方で、この費用をオーバーするようなものがやむを得ず出て来たときには、必ず補償するという言質だけはお願いしたいと思いますが、それができますか。それができないと、この費用も一応暫定的に認めるだけで、実際の選挙はうまく行かない。私はそういうことを心配する。地方選挙管理委員会では、実際選挙にぶつかつて費用が国からこれだけしか来てないから、これだけしかできないというわけに参らぬのであります。やはりいるだけのものはどうしてもいる。従つてオーバーしたものだけはぜひ補償するということを、ひとつこの機会にあなたの方からはつきり言つておいてもらいたい。その点をひとつお願いします。
  24. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 この前の衆議院選挙のときと御比較になりましたが、あのときには、私どもの方にも十分な選挙執行費用調査がございませんで、資料不足のために、やはり多少の食い違いがあつたのであります。今度は相当調べておりますから、そういうことはない。しかしながら一般物価の騰貴で、いろいろやれないような問題があると思う。ある程度であれば二千万円の調整費というのが別にありますから、それでまかない得る。それでもどうしても行かないという場合には、もし法律改正が必要であれば、そのときの措置でやる。ただ全体が来年度の予算に計上しておる問題でありますから、国の予算執行全体の問題とも見合つて行ける、同じ問題ではないかと考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 私は、今度きめられております測定の単位というものがどこにあるかわかりませんが、ただいまの質疑の中で、多少地域給を考慮しておるというお話でありましたが、実際問題として、今の予定の通りに、総理大臣の言つておられる通り、一月になりますと、東北地方は思わざる費用がかかるのであります。実際問題として、ここに見積られております普通の費用だけでは想像のつかないものが、必ず出て来ると私は思う。今のお話で二千万円の予備費がとつてあるということはわかつて参りましたが、それだけでそういうものがまかない得るという御確信があれば別ですが、私はそういうものを危惧するわけであります。選挙はその時期によつて費用が違うのであります。夏に行われれば、実際上の問題として木炭その他の燃料費はいりますまい。冬になれば、普通の所でも燃料費はかさんで参る。これはなかなかちよつと簡単に行かぬものであります。その時期が相当ものをいう。その時期が費用を支配する可能性相当つておりますので、従つてそれだけのものはあなたの方で——今のように間違いないのだ、この前は少し間違いがあつたがということでなしに、私は間違いがあつて選挙支障を来すということが危惧される。この前ああいう結果を見ておりますので、おそらく地方選挙管理委員会では、うつかり費用を使つてしまうと、あとくれるかくれないかわからぬから、このくらいでやめておこうというので、選挙支障を来すということができやしないか。従つて予算を組み直すと大げさなことになつておるようでありますが、私は中央から出そうとすれば、何も補正予算をとらなくても、いくらもやる方法があるんじやないかと考えられる。従つてそういう場合には国が必ず保障する。地方財政には迷惑をかけないということだけは全管の立場としては言つてもらわないと、こういうことでやると、地方に迷惑をかけるかもしれないからそういうようなことは、はつきり言つておいてもらいたいと思います。
  26. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 もし冬季間に選挙があつたらという場合のお話でありましたが、これは燃料費として冬季間に行われた場合の費用は別にとつてありますから、その点は十分にやつて行けると思います。
  27. 門司亮

    門司委員 私はただ冬季間の例を引いただけで、冬季間のことを申し上げたのではありませんが、さらにそれを申しますと、予測しがたい大雪が降つて来て交通が杜絶している。そうして選挙管理委員会からあるいは選挙の現場まで監視に行かなければならない場合に、普通なら歩いて行ける、あるいは車でも行けるが、そういう場合にどうしても行かなければならぬときに、思わざる費用がかかる。そういう費用は見てありますか、費用が見てあつたら、その経費はつきりこの中に出しておいてもらいたい。
  28. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 見てあります。
  29. 門司亮

    門司委員 この中のどこに書いてあるか、はつきり説明しておいてもらいたい。
  30. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 今お話のような不時の場合は、やはり調整費にかかつて来ておると思います。
  31. 門司亮

    門司委員 それでは最後に申し上げておきたいと思いますことは、そういう特別の費用がいる、あるいは物価値上り等によつて、この予算の中ではやれないことがあれば、とにかく二千万円の調整費で大体まかなえるという当局の方針でありますが、それまではいいと思います。しかしそれ以上オーバーした場合には、一体予算のことをいろいろ言われておりますが、国はそれだけのものを保障するというお考えですか、保障しないというお考えですか、その点はつきりしておいてもらいたい。
  32. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 地方選挙執行のやり方でありますが、これはなるべくこの法律ないしは予算で予定した金額でやつてもらいたい。それでどうしても足りないという問題であれば調整費その他で考えざるを得ないと思うのです。
  33. 野村專太郎

    野村委員 選挙に関する事前運動については、先般の委員会でいろいろ質疑応答があり、管理委員会選挙法規に関して非常な熱意を持つて研究されておることは了承しておるわけですが、今日国内で行われておる事前運動は、先般の数度にわたる質疑応答によつては、非常に不満足なものでありまして、常に政治に対する啓蒙ということが、やはり一番大切なことであろうかと思うのですが、今日いわゆる選挙粛正を根幹とする活発な啓蒙運動の片鱗が見られないことを、非常に遺憾に思つておるわけであります。どんな完全な選挙法規ができましても、おそらくこれができたときにはもう事実上の選挙が終つてしまつておるのではないか、こう考えておるのでありまして、そういう点からこの選挙粛正に関する常時の啓蒙ということを、私は強く管理委員会に要望いたしてやまないのですが、この啓蒙に対して今どういう手が打たれておりますか、その点を伺いたい。
  34. 吉岡惠一

    吉岡政府委員 選挙に対する刑罰でありますが、これはわれわれも同様の考えでありまして、ぜひやらなければいかぬという考えを持つております。ただ具体的にどういうことをやつて行くかということは、まだ申し上げることができないのでありますが、予算といたしましても、これは選挙刑罰といいますよりも、むしろ民主主義徹度といいますか、そういう目的のために、非常に僅少ではありますが、二千万円計上されているような状況であります。ぜひ御趣旨に沿つたような事柄をやつて行きたいと考えております。
  35. 野村專太郎

    野村委員 やはり必要な経費は、どんどんひとつ要望されるようにしていただきたい。今にしてその経費がないようではおよそ意味がないと思う。どういう法規をこしらえても、これは勝負はおしまいになつてしまうのですから、そういう点から選挙管理委員会が健在である限りは、ひとつ必要な経費は勇敢にどんどん要望されて、今日選挙粛正によつて管理委員会が健在なることを要望してやまない次第でございます。民間の輿論をいろいろ喚起するまでの熱意なり、その打つ手がまだ具体的に表に現われておらぬことは非常に遺憾に思われる。すでにもう今時期おそしの感があるのです。政府当局管理委員会当局に、その健在であるところを具体的に強く示されんことを要望しておくわけであります。
  36. 門司亮

    門司委員 この問題と別ですが、この前のに関連してちよつと聞いておきたいと思います。例の福島県の湯本の財産区の問題ですが、町長がどうして選挙をしなかつたかということをお調べなつ資料がありますか。もしお調べなつ資料がありましたら、ひとつ御報告願います。
  37. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 目下調査中でございまして、できましたら御報告申し上げます。
  38. 門司亮

    門司委員 このことについてですが、法規上から見ますと、選挙を行わなければならない。いわゆる昭和二十  一年であります場合は、おそらくこれは管理者である町長だと思いますが、選挙を行わなくても実は罰則はないわけであります。告示をしなかつたからといつてこれに対する罰則が、選挙法の中あるいは自治法の中に何も書いてございません。従つて法律的にそれがよくないということは言えないと思いますが、しかし実際道徳上の問題としては非常に困る問題であります。少くとも自治庁できめております以上は、告示をしなくても罰則がないからといつて地方庁がそのまま放つておくわけには行かぬと私は思います。これは現実であり、事実でありますので、否定するわけに参りませんが、そういうときに何らかそれについて当然選挙告示をすべき立場にあつた人が、告示をしないことについての——先ほどから申し上げておりますように、法律の中には別に告示をしなければならない、告示を忘れた場合にはこういう罰則があるという罰則は何もないのであります。その処置を何か考えられておることがありますか、もしありとするならば、この機会にひとつお聞かせ願つておきたいと思います。
  39. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 特に普通の一般職員でございますと、職務上の義務に違背したとか、職務上の義務を怠つたという場合においては、懲戒の処置があるわけでありますが、市町村長等につきましては、そういう特別の規定がないわけでございまして、もつぱら住民のこれに対する批判によつて、解決するほかはないと思います。     —————————————
  40. 金光義邦

    金光委員長 それでは地方自治に関する件、地方財政に関する件の両件を一括して調査を進めることといたします。  それではまず、本国会に政府より提出を予定せられております各種法案につきまして、この際その大綱について説明を聴取いたしたいと思います。鈴木政府委員
  41. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 本国会に提案を予定いたしております法律案は、目下鋭意立案中でございますが、ただいま御配布申し上げました法律案の要綱につきまして、いわば骨子となる点だけが、政府の方針としておおむね考え方が固まつてつておりますので、その点につきまして簡単に御説明を申し上げます。  まず地方自治法の一部を改正する法律案要綱でございます。これは大体地方公共団体の組織、運営に関しまして、その合理化、能率化、簡素化をはかる見地から、それぞれ若干の改正を加えたいという考え方でございます。まず地方団体に対する事務の委任でありますが、今日は事実省令等によりまして委任をされておるものがあるのであります。そういうものをできるだけ法律または法律に基く政令によつて委任をするようにいたしまして、地方事務の膨脹をできるだけ避けて参りたいということが一つであります。それから地方団体に義務的に処理させる事務を明確に法律に規定いたしまして、地方団体の側から申しますれば、どういう仕事が自分たちの責任として、法律要求せられておるかということを明らかにして参りたい。それによつてその事務処理の明確化、責任の帰属を明瞭にいたしたいという考え方でございます。それから市の廃置分合と申しますか、市制施行でございますが、これにつきましては、今日法律上の要件として人口三万なければならぬということになつておるのでありますが、地方行政調査委員会議の勧告におきましては、人口五万にしたらどうかという勧告があるわけであります。ところが現在人口五万未満の市が、たしか百十三ございまして、五万という基準をとりましても、どうも実際に即しないような感じがいたすのであります。また事実五万になりますると、ほとんど市に  なるようなものもなくなつてしまうようなことでございます。ただ現在地方行政調査委員会議で五万にいたしましたそもそもの理由は、いわゆる市らしからぬ市がだんだんとふえて来ておるというような実情で、法律の定めておりまする要件に忠実に市制施行が行われることを保障する必要があるのではないか。やはり市になりまするといろいろ組織、機構等がそれに伴いまして膨脹することにもなりまするので、真に市としての資格に価すするものが市となるようにすべきではないか。またこの市というのは中央の行政と密接な関係があるわけでありまして、行政区画にもなつておるわけでございまするので、そういう意味で国と地方両方の見地からの調整をはかるようにいたしたいということで、総理大臣に協議をしてその承認を得る、総理大臣から各省にさらに協議をするようにいたしたいと思つております。それから市町村の廃置分合、境界変更でございますが、これは現在知事が処置をいたしますると、それで原則として処分が終りまして、ただ届出を総理大臣にして、総理大臣が官報に告示をする、こういうことになつておるのでありますが、どうもその届出が励行せられないのであります。そのために、政府が実際つかんでおります市町村の数あるいは名前と、現実に府県にありまする市町村の数、名前というものが、遺憾なことには食い違つておるのであります。やはりこれは、いやしくも地方団体の名称区域というものがはつきりしておりませんと、国政の上からも困りますので、その把握を正確にする、そうして各省とも行政上みな関係がございまするので、各省にもそのことをはつきり連絡ができるようにいたしたいという意味で、告示によつて効力が生ずるようにしたい、こういう改正でございます。その次は合併の問題でありますが、これにつきましても調査委員会議の勧告がございまするので、府県といたしましては公聴会を開いたり、あるいは議会の議決を経たりいたしまして合併の計画を立てまして、それを関係の市町村に勧告をすることができるようにしたらどうかという考え方であります。それから次は、先般問題になりました青森県と秋田県の間にあります久大島の所属の問題でありまするが、ああいうような場合の所属手続が明確でございませんので、それを書き加えるようにいたした。その他市町村の境界の確定の手続を、実情に即するように調整をしたいということであります。その次は議会関係でありますが、議員定数につきましては、合理的な基準を法定いたしまて、条例でそれが増減できるようにいたしたい。現在都道府県におきましては、これが固定をしておりまして、増減できないようになつておりまするので、そういうふうな点を考慮して調整したい。それから議会は現在定例会、臨時会というふうなことになつておりまするが、これを通常会、臨時会、ちようど国会等と同じような開催方法にいたしたいと考えております。それから執行機関の関係でありますが、これは地方団体の長に対する事務委任を、やはり法律、政令に基くものにしなければならないというふうにいたしまするとともに、義務的に地方団体の長に処理させる事務は、これはやはり地方自治法に列挙するようにいたしたい、そうして責任を明らかにするようにいたしたい。それから都道府県の部局でありますが、これにつきましても現在やや膨脹し過ぎているきらいがありますので、これを合理的な基準の数部に法定いたしまして、ただそれを条例で変更できるようにいたしたい。それから地方団体に置くことを要求されております各種の委員会、審議会、あるいは社会福祉主事、その他特別の資格を持つていなければならぬ職員の設置でありますが、こういうものも義務的なものは法律はつきりと列記して明瞭にいたしたい。それから副知事、助役であります。助役は現在置かないでもよいようになつておりますが、副知事は必置になつておりますので、これを任意にしたい。それから副出納長と副收入役でありますが、これも府県の条例で置くことができる程度にしたい。またこれらの選任につきましても、手続を簡単にいたしたいと考えております。それから会計事務の委任に関しましても、これも簡素化いたしたい。それから地方団体に置かれる委員でありますが、これは法律で特別に常勤と書けば別でありますけれども、そうでなければ原則として非常勤にいたしたい。それからあとその他合理化のためにいろいろの改善をはかりたい。  その次に国と地方団体との関係並びに地方団体相互の関係でありますが、これは合理化のために、地方団体の事務処理につきまして総理大臣なり都道府県知事が報告を求め、あるいは技術的な助言をする、そういうようなことを考えて参りたいと思います。そのの他地方団体の、たとえば地域等に関しましての各種の紛争がございますが紛争について第三者的な調停委員の調停に付するという制度を考えております。それから事務処理を合理化いたしますために、今のように一々組合をつくつて行くのもたいへんでありますので、もつと簡単な方式で市町村が共同で事務が処理できるようにいたしたい。そこで協議会、あるいは委員会の共同設置といつた方式を考えて参りたい。  それから特別地方公共団体でございますが、特別区との間におきまして、事務処理の限界が明確でございませんために、いろいろ問題が起つておるようでありまして、大体神戸委員会の勧告の線に沿いまして、特別区の処理する事務を法定いたしたい。それから特別区との協力関係を明確にいたしたい。大体そういうようなことで、要するに合理化、簡素化という見地から改正考えたいと思つております。  次に地方税法でございますが、これは附加価値税の実施が今年の一月一日からに相なつておりますのを、さらに一年延期いたしまして、二十八年の一月一日からということにいたしたい。地方財政全体として今日相当にきゆうくつでございますので、事業税を廃止いたしまして、附加価値税に移行いたしますると、やはり百数十億の税の減収がございますので、そういうような点も考慮いたしまして、事業税をさらにいま一年続けて行く、こういう建前にいたしたわけであります。その結果として若干財源のゆとりが出て参りました面で、他の負担の均衡、調整をはかるための最小限度の改正をいたそうということでございます。そこでまず事業税及び特別所得税につきましてはいわゆる三万八千円程度基礎控除の制度を設けることにいたしたのであります。現在は二万五千円の免税点という制度をとつております。御承知のごとく免税点でありますならば、とたえば四万円の所得のあります者につきましては、四万円に税金がかかつて来るわけでありますけれども基礎控除にいたしますれば、それから三万八千円を引きました二千円というものが課税対象になるわけであります。そういう意味で少額所得者の負担の軽減ということにもなるわけであります。三万八千円という数字は大体事業税につきましては、前年の所得を押えるわけでありますので、二十六年度の所得税の基礎控除が三万八千円でありますからその数字に調子を合せた次第であります。  それから市町村民税でありますが、これは先般の法人税法の改正によります増徴によつて、法人税割も自動的にふえて参りますので、法人税法改正による増徴をしないのと同じ程度の税収にとどめるように賦課率の改正をいたしたいというのが、この改正であります。すなわち法人税割の標準税率を現行百分の十五を百分の十二・五に押えこれで現在の負担関係に変更を来さないわけであります。制限税率の方は百分の十六というのを百分の十五に改めるということであります。それから固定資産税でありますが、現在名古屋市その他大都市におきまして、都市計画法に基く区画整理をいたしております。これは数年にわたる大事業でございまして、区画整理の結果換地をもらう、あるいは仮換地をもらうということが事実行われましても、土地台帳の整理が遅れまして、課税は土地台帳を基礎といたしておりますために、実際使用収益していないものに対して固定資産税がかかる、こういうような実情になつております。そこでそれを実情に合せますために、仮換地あるいは換地の認可によつて現実に土地を使用できるようになつた者を納税義務者といたしまして、それに対して課税をするというふうにいたしたい、これも実情に合せるための改正でございます。その次は課税台帳の縦覧期間であります。価格を登録いたすわけでありますが、それを十日間縦覧に供し、縦覧期間中に異議がなければ確定する、こういう建前になつております。これをさらに慎重を期しますために、縦覧期間を倍に延長しようというわけであります。  それから木材引取税につきましては、現在価格が課税標準になつておりますが、木材の価格は山元価格によるか、その他どこを押えるか、なかなか問題がありますのと、具体的にしからば価格が幾らであるかということも、なかなか明瞭に把握できませんので、むしろ容積主義によりまして、これを課税標準にした方が、実際の課税の実情に即する面があるようであります。そこでそういう方式をとれるようにいたそう、ただその場合においては、価格を課税標準にした場合と均衡を失しないようにしなければならないというわけであります。  それから雑税と申しますか、比較的収入の少い漁業権税、広告税、接客人税というものを廃止いたしたい。  それから国民健康保険税でございます。これは現在、市町村一部事務組合をつくりまして、国民健康保険事業をやつておるのでありますが、こういう場合におきまして、組合から各市町村に保険給付の市町村負担分を分賦するのであります。分賦された市町村はそれを一般の税でとつて組合に納付することになるのでありますが、事実国民健康保険事業のために分賦されて来た金でございまするから、その組合に加入しておる市町村においても、やはり目的税として国民健康保険税をとつて、その財源を納付する、こういう建前にすることがりくつにも合いまするし、実情にも合いまするので、そういうふうにいたしたいという改正であります。その次は一人当りの最高賦課制限額を現在一万五千円とありますのを三万円程度にしたい。御承知のように国民健康保険税は、所得割でありますとか、被保険者数割でありますとか、世帯主の平等割でありますとか、そういう基準で割当をしておるわけでありますが、その中の所得割の部分につきまして、一万五千円という現行基準を倍にいたしたい。これは物価騰貴あるいは診療単価の増額その他各種の計数上の増加がございまして、そういうものを合せますと、大体倍程度なりますので引上げたいということでございます。  次は地方公営企業法案の要綱でありますが、これは地方公務員法を国会において御制定になりました際の、政府の一つの約束事項のようなことになつておりまして、今回の国会に地方公営企業法案を提案いたしたいと考えておるのであります。原則といたしましては、地方団体の経営しております公営企業、これは電気、水道、ガス、地方鉄道、軌道、バスといつたような種類のものでありますが、こういうものの経営につきましては、国に公共企業体を設けてやつておるのでありますが、地方は特にそういう団体を設けませんで、地方団体自身が住民のサービスのための団体でありますので、地方団体の組織自体を公営企業の経営に適合するように合理化いたしまして、これに対処して行きたい、こういう考え方であります。すなわち企業の経済性と公共性と両々相まつて運営できるようにしたい。それからこの法案は、公営企業の組織なり財務なり、職員の身分取扱い、この三点について規定するわけでありまして、やはりある程度の大きさの規模のものでありませんと、そういう特別の取扱いをすることがかえつて煩雑になりますので、一定の規模以上のものにだけ適用するようにいたしたいと考えております。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕  しかし地方団体が特に小さいものでも適用してさしつかえないという場合には、その規模以下のものにも適用できますし、また列記されております公営企業以外の公営企業、たとえば競馬、競輪、病院事業というようなものにも適用したいというならば、適用するように弾力性を付して行きたいと思います。  その次の組織につきましては、公営企業の全体を管理する責任者を置きまして、それを管理者ということにいたしてあるのであります。東京都に例をとりますと、交通局長とか水道局長という名前のままで、それを法律管理者として呼んで行きたい、その管理者は一般職といたしまして、長が吏員の中から任命をいたしますが、一定の期間はその職におり得ますように、在職をある程度保障して参りたいというふうに考えております。なお管理者に対しましては、特定の重要事項は別でありますが、それ以外の一般的の経営に関する執行権あるいは、代表権というようなものを與えて、事務の簡素化をはかりたいと考えております。  それから財務に関しましては、特別会計を設けて独立採算制でやつて行く。建前はいわゆる現金主義の官庁式会計ではなくて、発生の都度記帳する発生主義の企業式会計にしたい。従つてその他の予算制度、決算制度、出納制度につきましても、一般の企業の場合とできるだけバランスをとるように改正をしたいと思います。  次は職員の身分の取扱いでありますが、これは公営企業の業務にいつて管理監督の地位にある職員、いわゆる監督者でございます。こういうものは当然地方公務員法の適用を受けるような建前になるわけでありますが、それ以外の企業に従事しておる本来の企業職員につきましては、別に地方公営企業労働関係法といふものをつくつて、そこで労働関係を規定して行きたい。しかし労働関係以外の身分取扱いにつきましては、政治的行為の制限、職員団体等必要な規定についての地方公務員法の適用像外を認めますが、その他は地方公務員法の定めるところによるということにいたしたのであります。これは若干準備がいりますので、もし御協賛を願えれば、十月から施行するようにいたしたいと思います。  それから地方財政平衡交付金法の一部改正でありますが、これは昭和二十六年度までは、平衡交付金の測定の単位及び単位費用というものは、地方財政委員会の規則で定めてよろしいことになつていたのでありますが、二十七年度からは、これを法律で定めなければならぬことになつておるのであります。そこでその趣旨に応じまして、それぞれ法定をして行こうということであります。  まず最初に書いてあります行政項目の測定単位は、現在の建前をここに書いてありますように変更いたそうというのであります。それぞれ地方団体なり関係者の御要望によりまして、この方が合理的であるというのでかえたのであります。一例を申しますと、たとえば警察費でありますが、警察法の中に九万五千という自治体警察の職員の総数が規定されていたのでありますが、今日はそれが削除され、従つて町村は自由に置き得べき警察吏員の数を定めることができるわけであります。そこで警察吏員数を測定単位にいたしますと、市町村によつて非常に不均衡が生じて参りますので、そういう自主的にきめられるものを押えませんで、人口というような客観的なフアクターをつかまえて、警察費をはじき出そうということであります。消防費の床面積も官庁の建物が入りませんとか、農家等の床面積がいたずらに大きくて、どうも調子が合わないというような実情にありますので、人口というような比較的客観的な標準で押えようというわけであります。  社会福祉費につきましても同様であります。それから衞生費につきましては、暫定的な特例を置きたいと考えております。労働費につきましては、今までいわゆる失業対策費というものが、臨時的な経費として一般の交付金の財政需要の中に測定されておらなかつたのでありますが、今回これを一般交付金の中に取入れて参りまして、失業者数を測定単位にいたしまして、労働費を見るようにいたしたい。それから林野行政費につきましては、林産業の従業者数というものは、非常にでこぼこがございますのでそれを落しまして、民有林野の面積で行きたい。徴税費につきましては、税額を一応基準にいたしまして、もちろん納税義務者の多寡によつて変更するわけでありまして、それは補正の方で運用をして行きたいという、実質的な改正をいたしたいと思うのであります。  なお社会福祉費の測定単位でありますが、これは当分の間人口、児童福祉施設入所者数及び被生活保護者数とし、衞生費の測定単位は、昭和二十七年度に限り人口及び保健所数を採用したい。  それから単位費用でありますが、これも法律で二十六年度までは規則でいいが、二十七年度から法律で定めることになつておりますので、法律で定めるが、地方行政にかかる制度の改正その他特別の事情によつて変更する必要があつた場合には、規則で定めることができる。ただその場合には国会に報告するようにいたしたいということであります。  それから測定単位の数値、補正係数及び基準財政收入額の算定方法であります。これは従来恒久制度としても、規則でよいことになつておりますが、こういう数値をいかに定めるかということによつて、まるで財政需要額が変化して参りますので、これも重要事項でありますから、法定するようにいたしたい。ただ実際問題としてまだ確信のある数字が持てませんので、当分の間財政委員会規則で定めることにいたしたい。  次の基準財政収入額の算定につきましては、税務署等にあります国税の課税基礎になつております税額を見せてもらう必要がありますので、その根拠規定を入れたい。  それから特別平衡交付金は、現在普通交付金の百分の十になつておりまして、二十六年度限りでなくすことになつておるのでありまするが、やはり一般の測定方法によつて測定できない各種の財政需要がありまして、それを調整する必要がありますので、ある程度残しておきたい。ただ失業対策事業費のように、従来特別交付金の方で見ておりましたものを、さつき申しましたように、一般の普通交付金の財政需要に入れましたので、そんな関係もありまして、百分の二だけを落して、百分の八の程度にいたしたいということであります。  それからその次は、地方団体の行います行政につきまして、一定の行政水準を維持することが法律要求されておりまする場合には、これを維持するように国の各省に対しての勧告権を認めるようにいたしたい、その要求に従わなかつた場合には、交付金を減額するという措置考えたいということであります。  最後に地方制度調査会であります。先ほど地方自治法の一部改正法律案の要綱について御説明申し上げましたのは、地方行政の簡素化、合理化、能率化というので、現在の根本の建前に触れずして、合理化できる程度改正案を、今回提案いたしたいということであります。今後の問題といたしましては、終戦後の地方制度全体を組織の面なり、税制の面なり財政制度の面なり地方公務員制度の面なり、あるいは大都市制度、府県制度その他全体にわたりまして、もう一度再検討を加えて、実情に即するように改善を加える必要があろうと思います。そういう案をつくるにあたりましては、やはり広く朝野の衆知を集めて、全体が納得できるような改革案でなければならないと思いますので、そういう案をつくつていただくために、地方制度調査会を設けるが、これには特に国会議員の方方にも入つてもらう、こういうような考え方で、地方制度調査会設置法というのを、特別に提案をいたしたいと考えております。  なおこのほかに地方財政法の一部改正がございますが、これはまだ政府として案が固まつておりませんので、固まり次第提出いたします。
  42. 野村專太郎

    野村委員長代理 お諮りいたします。今の御説明に対する質疑は、次回の委員会でやりまして、懇談会を開きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 野村專太郎

    野村委員長代理 御異議なしと認めまして、本日の委員会はこれをもつて散会いたします。     午後零時十四分散会