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1948-04-27 第2回国会 参議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月二十七日(火曜日)    午前十時四十二分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○夏時刻法案内閣送付)   —————————————
  2. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) 只今から勞働委員會開會いたします。實は御承知の通り委員長の原さんもお差支がありますし、理事の三名の方もおのおの都合があつて差支がありますので、堀理事から昨日年長の故を以て特別代理をせよということでありましたので、今日委員長代理をさして頂きます。さよう御了承をお願いいたします。夏時刻法案につきまして政府委員から説明を求めます。
  3. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 本日は法務總裁が參りまして提案理由を御説明申上げる筈でございましたが、急に差支ができまして參上いたすことができませんので、誠に僭越でございますが、私が代りまして、只今議題となりました夏時刻法案提案理由を御説明申上げます。  この法案は、欧米各國におきまして古くから實施せられて好成績を擧げております、いわゆる夏時刻サンマータイム、或いはデイライト・ゼイヴイング・タイム制度、即ち夏季一定期間を限り、標準時より一時間繰下げた時刻を常用する制度の極めて合理的であり、且つ有益であるのに鑑みまして、これを、我が風土に適合するようにして採用しようとするものであります。その主要な利點は、第一に國民生活において日光を十分に利用することによつて國民保健増進に寄與し得ること、第二に光源としての日光を十分利用することによつて電力石炭等重要資源を節約することができること、第三に、夏時刻という國民常用の新らしい標準時刻を採用することによりまして、心理的に無理なく國民の間に日光活用のよき習性が生れることなどにあるのであります。  さて本法案内容について御説明いたしますと、從來我が國におきましては、明治十九年勅令第五十一號(本初子午線經度計算方及標準時ノ件)及び明治二十八年勅令第百六十七號(標準時ニ關スル件)等によりまして、東經百三十五度の子午線を以て本邦一般標準時と定め、これを中央準標時と稱え、國民一般においてこれを常用しておるわけでありますが、本案によりますと、毎年四月の第一土曜日の中央標準時の午後十二時から、九月の第二土曜日に次ぐ日曜日の中央標準時による午前零時までの期間は、中央標準時より一時間ずつ繰上げた時刻、即ち俗に申しますと、時計の針を一時間進めた時刻を新らしく夏時刻と定め、原則としてこれを常用すべきものといたしたのであります。尤も法令、條約等によりまして、國際關係學術上の必要等から、特に中央標準時によることを定めた場合は、例外として中央標準時によることになつております。尚以上の結果、四月の第一土曜日に次ぐ日曜日は、午前一時より始まることとなるのでありまして、同日は二十三時間を以て一日とし、又九月の第二土曜日の一日は、特に二十五時間としてこれに次ぐ日曜日の中央標準時の午前零時において中央標準時に復歸することといたしました。以上が本法案の第一項の規定する所であります。  次に只今申述べましたように、四月の第一土曜日に次ぐ日曜日は、午前零時から一時までの一時間が消滅し、九月の第二土曜日の午後十一時から、翌日曜日の午前零時までが、二時間となりますので、それぞれその兩日に跨る法律關係につきまして、時間の計算上特別の手當を必要とする場合が豫想せられますが、それらは政令を以て規定するのが妥當と考えられますので、第二項にこれに必要なる委任規定を設けた次第であります。  次に附則について申述べますが、第一項につきましては、特に御説明申上げることはございません。附則第二項は、本年は既に本則に定める四月第一土曜日を經過しております關係上、始期を特に五月の第一土曜日、即ち五月一日の午後十二時とする旨を定めたものであります。  以上が本法案内容の概略でありますが、本法案が成立施行されますならば、國民は晝間の成一夏季の間、早朝及び夕刻の日光を十分利用し得て、國民保健増進が期待せられるのみならず、光源用電力の相當量が減ぜられ、延いては現下の石炭事情にも好影響を與える所が少くないと存ずるのであります。何とぞ愼重御審議下さいまして、速かに可決せられるようお願い申上げます。
  4. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) 今日は豫備審査でありますが、皆様の質疑がありますればこの際お願いいたしたいと思います。
  5. 川上嘉市

    川上嘉市君 ちよつと政府委がにお尋ねしますが、新聞かなんかで勞働組合とかというように、多少これに對する異論ですか、或いは反對があつたようなことを聞いたのでありますが、その異論のある論據と、それに對する政府の見解を一つお尋ねをいたします。
  6. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 勞働省關係の者が今參つておりませんので、果して今お尋ねのような異論組合の方にありますかどうか、私は直接に存じておりませんのですが、恐らく勞働時間に關する勞働基準法の適用について、多少問題があるというこれを原因といたしまして、或いは組合側異論があるのではないとか私は想像いたしております。本法を施行いたしますと勞働時間の計算、或いはこれに伴う給與又は夜間給與時間などについて、一體どういう影響があるのかということが、勞働者内で問題になると思いますが、これにつきましては夏時刻に入るその當夜は實際勞働時間が一時間減縮することになるのですが、定給與は減額しない、時間外手當夜勤手當等、時間を以て計算する給與につきましては、短縮され又は延長された時間によつて計算し、影響のないようにいたすことと考えております。
  7. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) 他に御質疑ございませんか。
  8. 山田節男

    山田節男君 衆議院でも問題になつたように思うのですが、夏時刻法の法文として體裁ですが、こういう例は今まで政府で出したことがありますか。
  9. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) お答え申上げます。これは實は前例がございませんので、我々事務の者が相當苦心して、成るべく分りいいような、而も正確な表現というふうに考えてやつたのですが、多少用語に堅い、或いは通常の我々の習慣語に副わないような點があることは認めざるを得ないと思います。衆議院の方が修正意見が出まして、もう少し分りいい素直な、我々の生活感情に副うようないい言葉によつて修正されることを政府も非常に期待いたしております。
  10. 早川愼一

    早川愼一君 九月の第二土曜日ということになつておりますが、何か特別の理由がございますか。
  11. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) お答えいたします。九月の第二土曜日で打切ることにいたしましたのは、比較的日光と申しますか、太陽の照る時間と申しますか、日中の比較的長い時間というものを一年中を通じて考えて見ますと、大體四月の第一土曜日あたりから九月の第二土曜日あたりが夏時間として採用いたしますのに丁度適當な日中という關係になりますので、一應九月の第二土曜日までを夏時刻と定めたということになるわけでございます。
  12. 穗積眞六郎

    穗積眞六郎君 「特に中央標準時によることを定めた場合を除く外、」とありますが、これは中央標準時によるということを定めるのは、やはり特別の法律ででも定めるのですか。
  13. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) これは法令、條約等によりまして、或いは國際關係學術上の必要等から特に中央標準時によることを定めた場合がございます。中には慣行と申しますか、慣習によりまして、中央標準時によつておるという場合もございます。運輸省關係について申しますと、氣象の觀測と、その通報時刻、これは標準時又はグリニツチの時刻によるということになつておりまして、一九一九年の航空に關する條約によつて、そういうことに定めてあるようでございます。それから氣象關係の統計及び技術的報告、それから水路部關係の航海の暦、それから潮の滿干の表、それが中央標準時による。で今申上げました氣象關係の方は、運輸省部内の達によつて、そういうふうな取扱になつております。それから水路部關係の方は慣例によつてそういうふうに取扱うことになつております。それから遞信省關係について申しますと、國際通信ですが、對外電信電話連絡、これはやはり中央標準時によることになつておりまして、これは國際協定によつておるそうであります。國内的には遞信省の達によつてそう取扱つておるそうでございます。國際放送電報送受信時刻、これも同樣でございます。それから國際通信者通信割當時間、これは遞信省内の通達によつて、その標準時によることになつておるようでございます。それから無線電信による報時、時を報告する、これは中央標準時によるのですが、これは告示遞信省告示によることになつております。その他遞信省告示によるますものでは、無線電信による航行通報標準電波の發射、それから周波數晝夜間切換え時刻と申しますか、これも通達によつておるようであります。それから第三種船舶の聽取時間でございますが、これは省令によつて中央標準時によるというふうに定めておるのであります。
  14. 山田節男

    山田節男君 この法案を作る上において、いろいろ研究されたことと思うのですがこ、れは私、イギリスの例しか知りませんが、大體サンマータイムというのは、勿論イギリス緯度關係は違います。北緯五十度、ロンドンでは、北緯五十一度と記憶しておりますが、イギリスでは降誕祭のあけた何番目かのやはり火曜日か、土曜日に換えて、そうしてサンマータイム濟むのが、いわゆる何といいますか、ホイツトサンタイド、日本でいうとお盆に當るようなものだと思いますが、それが終ると同時にサンマータイムが、終る、こういうふうに、多分日光節約といいますか、行事的な起源から來たものか、それとも宗教的なものに發生したように聞いておるのであります。これは勿論日本緯度、即ち三月の二十一日のお彼岸のお中日から次第に日が高くなり、九月の二十三日の彼岸のお中日に晝夜が大體半分ずつになつておる。そういうような日本違つた、何といいますか、太陽の日が上るときと、日沒の時間の差がイギリスと違うのであります。それからこのサンマータイムの採用になつたという動機も、今政府委員の言われたようなことは勿論理由になります。なりますが、それのみじやなくて、いわゆる早寢、早起、そういつたような、多分に私は一種の行事的な意味があるのじやないかと思うのです。それにつきまして、この法律に四月の第一土曜日の午後十二時から、九月の第二土曜日に至るという、そういう何は天文學上の根據があるのですか、その點を御説明願います。
  15. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) お答え申上げます。四月の第一土曜日から、九月の第二土曜日までの期間を一應サンマータイムと定めましたのは、先程申上げましたように、日中が比較的長くて、サンマータイム適用するに最も手頃の日中時間というものが、この期間であると、考えて、こういうふうに定めたわけでございまして、土曜日を採り上げましたのは、主といたしまして鐵道とか、その他丁度翌くる日が日曜に當るものですから、切換えに非常に好都合だという點を考えまして、特に土曜という日を選んだわけでございます。今いろいろ細かい御説明がございましたように、イギリスサンマータイム日本とは多少風土的な相違もございますので、その適用期間というものは日本とは大分違つておりますし、又イギリス自身につきましても、一九一六年頃と、一九四〇年以後とは大分適用が違つておるようでございますが、イギリスサンマータイム趣旨を採り入れまして、そうして日本風土に適合するようにいたしたのが、今度の法案であるとお考え頂いてよろしいかと思います。
  16. 山田節男

    山田節男君 今の御説明で大體その趣旨は分りますが、日本のように領土が縮小されたとはいえ、北の天鹽から南の鹿兒島というと、相當緯度からいつても長いのですが、そういつたような場合に、北海道の果と、それから九州の南の鹿兒島、こういうものの時間差というものは、僕は實際上よりいえば非常にこれはあると思うのです。これによつて先程言つたような、勞働の時間として考えて見て、天鹽鹿兒島、こういうようなものを比較した場合ですね、何かそこに不便が起ることは豫想されないでしようか。
  17. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) お尋ね趣旨は御尤もと考えます。實際日照の時間だけを考えますれば、お考えのように多少サンマータイムの時間を區切るということを必要かと思いますけれども、もつと國内の時間の全面的の統一という點が、國民生活にその福祉を確保する上に重大なように考えましたので、北海道の東端と九州の西端とでは確かに實際の日の照り方は違うのでありますが、まあその程度の相違一つ御了解願うことにして、國内の時間だけを統一的に決めるという、より大きな利益のために、この法案では國全體について一律にサンマータイム夏時刻を制定いたしたわけでございます。
  18. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) 政治とか、經濟とかいつた重要な歴史的な記録、又は犯罪の時間ですね、それから出生死亡の時間ということはどうなんですか。
  19. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) やはり一應夏時間で……。
  20. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) サンマータイムによりますか。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  21. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) 速記を始めて……。今日はこれで散會いたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 姫井伊介

    委員長代理姫井伊介君) それでは本日はこれで散會いたします。明日は十時から開會いたします。    午前十一時十三分散會  出席者は左の通り。    委員長代理   姫井 伊介君    委員            山田 節男君            川村 松助君            平岡 市三君            植竹 春彦君            紅露 みつ君            深川タマヱ君            川上 嘉市君            竹下 豐次君            早川 愼一君            藤井 丙午君            穗積眞六郎君            松井 道夫君   政府委員    法務廳事務官    (調査意見第一    局長)     岡咲 恕一君