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参考人(
柚木茂夫君)
皆さん御苦労さまでございます。ただいま御紹介いただきました
全国農業会議所の
柚木と申します。よろしくどうぞ
お願い申し上げます。
参議院の
農林水産委員会の
先生方には、日頃から
農業、
農村の
振興に多大な御尽力を賜っております。また、私
ども農業委員会組織の
運営等につきましても格別の御高配を賜っております。心から
感謝を申し上げたいと思います。また、本日は大変こういう貴重な
発言の機会をいただきましたこと、改めて
感謝を申し上げたいと思っております。
私
ども、
全国農業会議所でございますけど、先月の二十五日に
全国の千七百二の
農業委員会の
会長大会を
ウエブ形式で行わさせていただきました。その折に、新たな時代の
農業、
農村に向けた
政策提案を取りまとめさせていただいたところでございます。
今日、その要旨を
皆さんのお手元に
資料配付をさせていただいております。本日は、これを中心に御
意見を述べさせていただけたらというふうに思っております。
表紙をめくっていただきまして、まず
農地利用最適化の
取組と
課題ということでございます。一ページ、二ページでございますけど、御案内のように、平成二十八年に
農業委員会法の改正が行われました。それから五年を経過するわけでございますけど、この間、ここにありますように、私
どもとして、
農地利用の
最適化の
取組、大きくこの
三つでございます。
担い手への
農地の
利用集積、
集約化、そして
遊休農地の
発生防止、解消、三点目が
新規参入の促進ということで、この
取組に集中して取り組んできたということでございますが、
右下にございますように、
令和元年に
バンク法の五年の
見直しがございまして、その折に、
農業委員会の
バンク法における役割も明記をしていただいたということで、とりわけ
農地所有者の
農地の
利用意向の
把握の
徹底ということと、それから、人・
農地プランの
地域での
話合いをリードしていくということで、この
取組を集中的に強化をしてまいったということでございます。
同時に、この新しい
制度になって五年を経過する中で、
現場の
農業委員会の
取組について、昨年の秋でございますけど、全
委員会からの
調査を行わさせていただきました。特に、その折に、この二ページにございますように、
農地の
集積、
集約化、それから
遊休農地対策の
課題ということで、約八割の
農業委員会の方から
担い手の
不足ということを一番の
課題に挙げられているということでございます。
このことが、二ページの右の方にございますけど、貸
付け意向の
面積把握はかなり出てきているわけでございますけど、借受けの
意向の方の
面積がなかなか出てこないということでございます。その結果として、具体的に
マッチングといいますか成約に至る
面積も少なくなってきていると、余り上がらないというふうな
状況が見受けられるということでございます。
この
担い手不足の
課題を
地域のそれぞれの事情に即した形でしっかりと解決をしていかないと、今後の更なる
農地集積が難しくなってまいりますし、また、その後の
農地の
集約化ということにもなかなかつながっていかないのではないかというふうに思っています。
今回取りまとめた
提案の中では、特にこうした
現場の実態を踏まえて、
農業委員会とそれから
農業者の
意見交換とか、それから
会議所の
地方、中央の会員の
皆さん、さらには
会議所の方で
事務局の
運営をしております
農業経営者の
方々との
意見交換等を通じまして今回の
提案を取りまとめたということでございます。
それでは具体的に、今回の
提案、大きく
農地政策、それから
経営人材政策、そして
農村政策ということで、この三点につきまして具体的な御
意見を述べさせていただければというふうに思っております。
まず、三ページの
農地政策の
関係でございます。
一つは、今この
農地をめぐっていろんな事項、それからまたいろんな
方面で
議論が行われております。具体的にそういう
議論が詰まった
段階で
現場の方でいろんな
施策が展開されることになろうかと思うわけでございますけど、市町村、
地方の方でそういう
施策を推進するに当たって、いろんなところからの声で
現場が混乱しないように、できるだけ省庁間の連携も含めまして
各種施策の
整合性を是非
確保していただければというふうに思っております。私
どもが知る範囲でも、下の四ページにあるように、いろんな
方面での
議論がなされておりますので、このことを踏まえて
現場段階での新たな
取組がこれから始まると思いますけど、できるだけ
現場が混乱しないような
対応を
一つは
お願いをしたいということでございます。
それから二点目は、人・
農地プランでございます。このことにつきましては、我々
農業委員会の
組織としてもこの
徹底を図っているところでございますけど、とりわけ、この
プランを
地域のこれからの
農業振興、また
農地の
利用の
基本に
位置付ける必要があるんではないかというふうに思います。そのためにも、
制度的にこの
位置付けをしていくことが大事だというふうに思っております。
その場合でございますけど、現行のこの
プランにつきましては、
担い手への
集積、
集約化というのがメーンになっているわけでございますけど、
現場段階ではこの
担い手がなかなか
利用しづらい、いわゆる
担い手利用外の
農地も多々あるわけでございまして、これの
利用管理の
計画も含めた形の、多様な
農地利用も含まった人・
農地プランということが今後必要になってくるんではないかというふうに考えているところでございます。
また、これを進めていくに当たっては、具体的にこの
プラン実行のためのいろんな
施策、それから、
プランも一回作れば終わりということではなくて、日々
見直しも必要になってまいりますので、そのための
農地所有者の
意向の
把握とか、それから
地域での
話合いというものを進めていくための
支援措置といいますか、予算的な
措置も重要だというふうに考えておりますので、そのことを申し上げさせていただければというふうに思っております。
次に、
地域の
農地を具体的に
集積、
集約を進めていく
方策ということでございます。
先ほど申し上げましたように、なかなか
担い手が
不足している
地域が多いということの中で、今後どのような形でこの
集積、
集約化を進めていくかということで我々もいろいろ検討を進めてまいっておりますが、その
一つの
方策ということで、ここに書かせていただいておりますように、
集落の
農地を一括して
農地中間管理機構の方に貸出しをして、その上で
地域全体で改めて借り受けて
利用を管理する
取組を推進していく必要があるのではないかというふうに考えております。
また、
担い手間の
利用権交換によって
農地の
集約化を図ることも大変重要になってくると思っております。これは、八割とか九割近く
担い手の
集積が進んだところで、
担い手の
方々がより効率的な作業を進めていくためには
農地の
集団化は欠かせないわけでございますので、そのためには、
一定程度、
中間管理権として
農地の
利用権をプールする、その機能が
中間管理機構にございますので、それをしっかりと活用していくことが大事ではないかというふうに思っております。
それからもう一点は、
農地所有適格法人の
要件緩和の
議論がされているわけでございますけど、これは
国家戦略特区等の
議論とも相まってということになろうかと思いますけど、
大変現場の方で
懸念なりどうなんだろうかというふうな不安の声が多々寄せられているところでございます。
私
どもも、
農業委員会の
組織としては、
農業経営の
法人化ということにつきましては、もう昭和三十年代に、まだ
農地制度上そういうものが認められていないときに、
現場段階の
経営の確立という
観点から
農業経営の
法人化を推進してまいった立場にあるわけでございますけど、やはり
現場の方の、新しいことをしようとするといろんな
懸念も出てまいりますので、我々は
基本として、
一つは、投機的な
農地取得にならないようにやはり考えていく必要があるのではないかと、それからもう
一つは、
農業者以外の
方々によって
農業法人の
経営が支配されるようなことになってはならないのではないかと、やはり
農業に携わっている方が
経営の
主宰権を持つということが大事だというふうに思っております。
そして、一番大事なのは、やはり
地域農業との調和を図るということが大事ではないかと。経済的な
観点だけで
農地を捉えるのではなくて、やはり
地域の貴重な資源としての
農地をみんなで維持して、また活用していくという
観点が必要ではないかというふうに思っております。この点を是非今後の
議論の中でも御検討いただければ有り難いというふうに思っております。
次に、先ほどちょっと触れました
農地の
集積、
集約の推進の
事例を二つほど
資料の中に入れさせていただいております。
一つは、先ほど申し上げました、
地域の全体の
農地を一旦
機構にプールした上で、また
地域でそれを活用していくという
事例でございます。
愛知県の豊川市の
農業委員会で今取り組んでいる
事例を掲載させていただいております。
これは後でまたお読みをいただければいいんですけど、中
山間でなかなか
担い手がいらっしゃらないようなところで、しかも高齢化しているというところ、ただ元気なうちは頑張るんだというところを、個々でそのまま進めているとぽつんぽつんと欠けてきますので、一旦全体を集めて、そしてそれを
受皿として、その
農地を貸し出した方が改めて、
社団法人でございますけど、
法人をつくって、それを
受皿としてやっていくと。ただ、元気な人は、自分でまだやりたいんだと、
農業機械もあるんだという方もいらっしゃいますので、そういう場合は
特定農作業受託という形で
対応して、できなくなったときは今度は
法人が受けるというふうな
対応で、かなり弾力的に取り組むことによって
皆さんが参加しやすいという方法を、これは
愛知県の
農地中間管理機構の前
理事長の方が発案をされ、また
農業委員会の
皆さん方とも
お話をしてこういう
取組を進めていると。我々としても、
全国的にこういうものを展開することが大事ではないかというふうに思っております。
もう
一つは、佐賀県の江北町
農業委員会でございます。ここはもう既に
農地の
集積が
担い手に九割以上進んでいるところでございまして、ただ、
担い手の
方々にとっては、
面積は増えているんですけどやや圃場が分散しているということで、これをできるだけ
集約をしていく、
集団化していくということが
課題になっています。
そういうステップを踏むということで、
農業委員会の方で
現況の農用地の
利用地図を作って、そして
担い手の
方々に
話合いをしていただいて
集約に結び付けていくという
取組を進めているところでございます。
平場地域で
流動化が進んでいるところはこういうものをしっかりと進めていくことが大事だと思っています。
次、八ページでございますけど、多様な
農地利用の
位置付けの
明確化ということを申し上げております。
当然、
利用集積は大事なわけでございますけど、それになかなかそぐ
わない
農地について、全体の食料の
安定供給という
観点からは、そういう
農地もやはり維持をする必要があろうかというふうに思っています。
その場合に、この
農地の
使い方といいますか、用途の区分を少し詳細に設定することによっていろんな
使い方を誘導していくということが大事ではないかというふうに思っております。
真ん中にございますように、そういう
区域のイメージということで幾つか挙げさせていただいております。高生産な
農業区域とかですね、それから、昨今、
有機農業についても新しい方向が示されましたので、そういうものをしっかりと進めていくための
区域といったようなことも必要ではないかと思っております。
あと、
再生可能エネルギーのことにつきましても、これは
計画的に是非進めていただきたいということを
お願いしたいと思います。
あと、
経営・
人材対策でございます。
ここも、我々も
新規就農対策を進めておりますけど、今
担い手の
方々、特に
認定農業者の
方々の
年齢もかなり、六十五歳以上四割というふうなことでございまして、円滑な
経営の
継承が求められているということでございまして、これをきちっと進めていくためには
経営の
継承者とそれから
新規就農者、ここの
マッチングと、それから、ある
程度同時並行的に
経営を進めていって独り立ちしていただくというふうな姿が望ましいのではないかということで、ちょっとイメージ図が十ページの方に掲げておりますけど、両者が並走するような期間、それを応援するような
取組も必要ではないかと思っています。
また同時に、そういう
経営の
継承を望む
経営体をある
程度登録しておくことも今後の
マッチングをスムーズに進める上で非常に効果的だと思っております。北海道の浜頓別の、これはお疲れ様
登録銀行というふうに呼んでいるわけでございますけど、こういうものを登録した上で、
新規の
就農者との
マッチングを図っていくということを進められております。
それから、
あと、
集落営農組織も特に都府県では重要な
位置付けになっておりますけど、こういう
方々の
人材の
育成確保ということも大きな
課題になっております。一方で、
企業等で
定年年齢が延びてきておりますので、従来ですと六十歳ぐらいで定年されて、田舎に帰って
集落営農の方も頑張るんだという方、その
年齢がどんどん上がっているというふうなことも踏まえてこの辺の
対策を講じていく必要があるんではないかというふうに考えております。
あと、
三つ目は
農村政策でございます。これにつきましては、
一つは、特に条件不利の中
山間地域と、中
山間地以外でも
条件不利地域多々ございますので、そういうものを含めた総合的な人を呼び込む
対策が重要だということを申し上げておりますし、また、昨年の
基本計画で提起をされています半
農半Xにつきましても、これを
地域がスムーズに迎え入れることができるような
対応が
制度的にも求められているということを申し上げております。
最後になりますけど、こういった
担い手への
農地の
集積、
集約、それから持続的な
農地利用を実現するためには、
一つはやはり
農業所得の
確保が欠かせないと思っておりますし、また、
農業経営の
安定化に向けた
対策が不可欠だというふうに考えております。
地域の
担い手を始めとする
農業者の
方々が自信と誇りを持って
農業に取り組めるように、引き続きの
先生方の御指導、御
支援を
お願いを申し上げまして、私の方の
意見とさせていただきます。どうぞよろしく
お願いを申し上げます。
ありがとうございました。