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2021-06-03 第204回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年六月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      馬場 成志君     高橋 克法君  五月三十一日     辞任         補欠選任      高橋 克法君     青木 一彦君      舞立 昇治君     金子原二郎君      宮崎 雅夫君     島村  大君      高橋 光男君     山口那津男君  六月一日     辞任         補欠選任      青木 一彦君     高橋 克法君      金子原二郎君     舞立 昇治君      島村  大君     宮崎 雅夫君      山口那津男君     高橋 光男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         上月 良祐君     理 事                 堂故  茂君                 藤木 眞也君                 山田 修路君                 田名部匡代君                 紙  智子君     委 員                 高橋 克法君                 野村 哲郎君                 林  芳正君                 舞立 昇治君                 宮崎 雅夫君                 山田 俊男君                 石垣のりこ君                 郡司  彰君                 森 ゆうこ君                 河野 義博君                 熊野 正士君                 高橋 光男君                 石井 苗子君                 舟山 康江君                 須藤 元気君    事務局側        常任委員会専門        員        笹口 裕二君    参考人        一般社団法人全        国農業会議所専        務理事      柚木 茂夫君        公益財団法人都        市化研究公室理        事長       光多 長温君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (農地利用等に関する件)     ─────────────
  2. 上月良祐

    委員長上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、馬場成志さんが委員辞任され、その補欠として高橋克法さんが選任されました。     ─────────────
  3. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 農林水産に関する調査のうち、農地利用等に関する件を議題といたします。  本日は、本件の調査のため、二名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、一般社団法人全国農業会議所専務理事柚木茂夫さん及び公益財団法人都市化研究公室理事長光長温さんでございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、柚木参考人光多参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず柚木参考人からお願いいたします。柚木参考人
  4. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 皆さん御苦労さまでございます。ただいま御紹介いただきました全国農業会議所柚木と申します。よろしくどうぞお願い申し上げます。  参議院の農林水産委員会先生方には、日頃から農業農村振興に多大な御尽力を賜っております。また、私ども農業委員会組織運営等につきましても格別の御高配を賜っております。心から感謝を申し上げたいと思います。また、本日は大変こういう貴重な発言の機会をいただきましたこと、改めて感謝を申し上げたいと思っております。  私ども全国農業会議所でございますけど、先月の二十五日に全国の千七百二の農業委員会会長大会ウエブ形式で行わさせていただきました。その折に、新たな時代の農業農村に向けた政策提案を取りまとめさせていただいたところでございます。  今日、その要旨を皆さんのお手元に資料配付をさせていただいております。本日は、これを中心に御意見を述べさせていただけたらというふうに思っております。  表紙をめくっていただきまして、まず農地利用最適化取組課題ということでございます。一ページ、二ページでございますけど、御案内のように、平成二十八年に農業委員会法の改正が行われました。それから五年を経過するわけでございますけど、この間、ここにありますように、私どもとして、農地利用最適化取組、大きくこの三つでございます。担い手への農地利用集積集約化、そして遊休農地発生防止、解消、三点目が新規参入の促進ということで、この取組に集中して取り組んできたということでございますが、右下にございますように、令和元年バンク法の五年の見直しがございまして、その折に、農業委員会バンク法における役割も明記をしていただいたということで、とりわけ農地所有者農地利用意向把握徹底ということと、それから、人・農地プラン地域での話合いをリードしていくということで、この取組を集中的に強化をしてまいったということでございます。  同時に、この新しい制度になって五年を経過する中で、現場農業委員会取組について、昨年の秋でございますけど、全委員会からの調査を行わさせていただきました。特に、その折に、この二ページにございますように、農地集積集約化、それから遊休農地対策課題ということで、約八割の農業委員会の方から担い手不足ということを一番の課題に挙げられているということでございます。  このことが、二ページの右の方にございますけど、貸付け意向面積把握はかなり出てきているわけでございますけど、借受けの意向の方の面積がなかなか出てこないということでございます。その結果として、具体的にマッチングといいますか成約に至る面積も少なくなってきていると、余り上がらないというふうな状況が見受けられるということでございます。  この担い手不足課題地域のそれぞれの事情に即した形でしっかりと解決をしていかないと、今後の更なる農地集積が難しくなってまいりますし、また、その後の農地集約化ということにもなかなかつながっていかないのではないかというふうに思っています。  今回取りまとめた提案の中では、特にこうした現場の実態を踏まえて、農業委員会とそれから農業者意見交換とか、それから会議所地方、中央の会員の皆さん、さらには会議所の方で事務局運営をしております農業経営者方々との意見交換等を通じまして今回の提案を取りまとめたということでございます。  それでは具体的に、今回の提案、大きく農地政策、それから経営人材政策、そして農村政策ということで、この三点につきまして具体的な御意見を述べさせていただければというふうに思っております。  まず、三ページの農地政策関係でございます。  一つは、今この農地をめぐっていろんな事項、それからまたいろんな方面議論が行われております。具体的にそういう議論が詰まった段階現場の方でいろんな施策が展開されることになろうかと思うわけでございますけど、市町村、地方の方でそういう施策を推進するに当たって、いろんなところからの声で現場が混乱しないように、できるだけ省庁間の連携も含めまして各種施策整合性を是非確保していただければというふうに思っております。私どもが知る範囲でも、下の四ページにあるように、いろんな方面での議論がなされておりますので、このことを踏まえて現場段階での新たな取組がこれから始まると思いますけど、できるだけ現場が混乱しないような対応一つお願いをしたいということでございます。  それから二点目は、人・農地プランでございます。このことにつきましては、我々農業委員会組織としてもこの徹底を図っているところでございますけど、とりわけ、このプラン地域のこれからの農業振興、また農地利用基本位置付ける必要があるんではないかというふうに思います。そのためにも、制度的にこの位置付けをしていくことが大事だというふうに思っております。  その場合でございますけど、現行のこのプランにつきましては、担い手への集積集約化というのがメーンになっているわけでございますけど、現場段階ではこの担い手がなかなか利用しづらい、いわゆる担い手利用外農地も多々あるわけでございまして、これの利用管理計画も含めた形の、多様な農地利用も含まった人・農地プランということが今後必要になってくるんではないかというふうに考えているところでございます。  また、これを進めていくに当たっては、具体的にこのプラン実行のためのいろんな施策、それから、プランも一回作れば終わりということではなくて、日々見直しも必要になってまいりますので、そのための農地所有者意向把握とか、それから地域での話合いというものを進めていくための支援措置といいますか、予算的な措置も重要だというふうに考えておりますので、そのことを申し上げさせていただければというふうに思っております。  次に、地域農地を具体的に集積集約を進めていく方策ということでございます。  先ほど申し上げましたように、なかなか担い手不足している地域が多いということの中で、今後どのような形でこの集積集約化を進めていくかということで我々もいろいろ検討を進めてまいっておりますが、その一つ方策ということで、ここに書かせていただいておりますように、集落農地を一括して農地中間管理機構の方に貸出しをして、その上で地域全体で改めて借り受けて利用を管理する取組を推進していく必要があるのではないかというふうに考えております。  また、担い手間の利用権交換によって農地集約化を図ることも大変重要になってくると思っております。これは、八割とか九割近く担い手集積が進んだところで、担い手方々がより効率的な作業を進めていくためには農地集団化は欠かせないわけでございますので、そのためには、一定程度中間管理権として農地利用権をプールする、その機能が中間管理機構にございますので、それをしっかりと活用していくことが大事ではないかというふうに思っております。  それからもう一点は、農地所有適格法人要件緩和議論がされているわけでございますけど、これは国家戦略特区等議論とも相まってということになろうかと思いますけど、大変現場の方で懸念なりどうなんだろうかというふうな不安の声が多々寄せられているところでございます。  私どもも、農業委員会組織としては、農業経営法人化ということにつきましては、もう昭和三十年代に、まだ農地制度上そういうものが認められていないときに、現場段階経営の確立という観点から農業経営法人化を推進してまいった立場にあるわけでございますけど、やはり現場の方の、新しいことをしようとするといろんな懸念も出てまいりますので、我々は基本として、一つは、投機的な農地取得にならないようにやはり考えていく必要があるのではないかと、それからもう一つは、農業者以外の方々によって農業法人経営が支配されるようなことになってはならないのではないかと、やはり農業に携わっている方が経営主宰権を持つということが大事だというふうに思っております。  そして、一番大事なのは、やはり地域農業との調和を図るということが大事ではないかと。経済的な観点だけで農地を捉えるのではなくて、やはり地域の貴重な資源としての農地をみんなで維持して、また活用していくという観点が必要ではないかというふうに思っております。この点を是非今後の議論の中でも御検討いただければ有り難いというふうに思っております。  次に、先ほどちょっと触れました農地集積集約の推進の事例を二つほど資料の中に入れさせていただいております。  一つは、先ほど申し上げました、地域の全体の農地を一旦機構にプールした上で、また地域でそれを活用していくという事例でございます。愛知県の豊川市の農業委員会で今取り組んでいる事例を掲載させていただいております。  これは後でまたお読みをいただければいいんですけど、中山間でなかなか担い手がいらっしゃらないようなところで、しかも高齢化しているというところ、ただ元気なうちは頑張るんだというところを、個々でそのまま進めているとぽつんぽつんと欠けてきますので、一旦全体を集めて、そしてそれを受皿として、その農地を貸し出した方が改めて、社団法人でございますけど、法人をつくって、それを受皿としてやっていくと。ただ、元気な人は、自分でまだやりたいんだと、農業機械もあるんだという方もいらっしゃいますので、そういう場合は特定農作業受託という形で対応して、できなくなったときは今度は法人が受けるというふうな対応で、かなり弾力的に取り組むことによって皆さんが参加しやすいという方法を、これは愛知県の農地中間管理機構の前理事長の方が発案をされ、また農業委員会皆さん方ともお話をしてこういう取組を進めていると。我々としても、全国的にこういうものを展開することが大事ではないかというふうに思っております。  もう一つは、佐賀県の江北町農業委員会でございます。ここはもう既に農地集積担い手に九割以上進んでいるところでございまして、ただ、担い手方々にとっては、面積は増えているんですけどやや圃場が分散しているということで、これをできるだけ集約をしていく、集団化していくということが課題になっています。  そういうステップを踏むということで、農業委員会の方で現況の農用地の利用地図を作って、そして担い手方々話合いをしていただいて集約に結び付けていくという取組を進めているところでございます。平場地域流動化が進んでいるところはこういうものをしっかりと進めていくことが大事だと思っています。  次、八ページでございますけど、多様な農地利用位置付け明確化ということを申し上げております。  当然、利用集積は大事なわけでございますけど、それになかなかそぐわな農地について、全体の食料の安定供給という観点からは、そういう農地もやはり維持をする必要があろうかというふうに思っています。  その場合に、この農地使い方といいますか、用途の区分を少し詳細に設定することによっていろんな使い方を誘導していくということが大事ではないかというふうに思っております。真ん中にございますように、そういう区域のイメージということで幾つか挙げさせていただいております。高生産な農業区域とかですね、それから、昨今、有機農業についても新しい方向が示されましたので、そういうものをしっかりと進めていくための区域といったようなことも必要ではないかと思っております。  あと再生可能エネルギーのことにつきましても、これは計画的に是非進めていただきたいということをお願いしたいと思います。  あと経営人材対策でございます。  ここも、我々も新規就農対策を進めておりますけど、今担い手方々、特に認定農業者方々年齢もかなり、六十五歳以上四割というふうなことでございまして、円滑な経営継承が求められているということでございまして、これをきちっと進めていくためには経営継承者とそれから新規就農者、ここのマッチングと、それから、ある程度同時並行的に経営を進めていって独り立ちしていただくというふうな姿が望ましいのではないかということで、ちょっとイメージ図が十ページの方に掲げておりますけど、両者が並走するような期間、それを応援するような取組も必要ではないかと思っています。  また同時に、そういう経営継承を望む経営体をある程度登録しておくことも今後のマッチングをスムーズに進める上で非常に効果的だと思っております。北海道の浜頓別の、これはお疲れ様登録銀行というふうに呼んでいるわけでございますけど、こういうものを登録した上で、新規就農者とのマッチングを図っていくということを進められております。  それから、あと集落営農組織も特に都府県では重要な位置付けになっておりますけど、こういう方々人材育成確保ということも大きな課題になっております。一方で、企業等定年年齢が延びてきておりますので、従来ですと六十歳ぐらいで定年されて、田舎に帰って集落営農の方も頑張るんだという方、その年齢がどんどん上がっているというふうなことも踏まえてこの辺の対策を講じていく必要があるんではないかというふうに考えております。  あと三つ目農村政策でございます。これにつきましては、一つは、特に条件不利の中山間地域と、中山間地以外でも条件不利地域多々ございますので、そういうものを含めた総合的な人を呼び込む対策が重要だということを申し上げておりますし、また、昨年の基本計画で提起をされています半農半Xにつきましても、これを地域がスムーズに迎え入れることができるような対応制度的にも求められているということを申し上げております。  最後になりますけど、こういった担い手への農地集積集約、それから持続的な農地利用を実現するためには、一つはやはり農業所得確保が欠かせないと思っておりますし、また、農業経営安定化に向けた対策が不可欠だというふうに考えております。  地域担い手を始めとする農業者方々が自信と誇りを持って農業に取り組めるように、引き続きの先生方の御指導、御支援お願いを申し上げまして、私の方の意見とさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  5. 上月良祐

    委員長上月良祐君) ありがとうございました。  次に、光多参考人お願いいたします。光多参考人
  6. 光多長温

    参考人光多長温君) 光多でございます。よろしくお願いいたします。  私は全く農業専門家ではございませんので、今お話をお伺いして、かなりやっておられて、これは期待が持てるなという感じがいたしましたが、ちょっと視点を変えまして、私は今日はむしろ中山間地域農地利用についてという視点お話をさせていただきたいと思います。  まず、一番最初のフェーズですが、農地の現状で、最近のニュースとして、一つ増田委員会の報告がございました。  これは、所有者不明土地、現在、九州と同じぐらいの面積があると。宅地、農地、林地でこのくらいのことがあると。それから、二〇四〇年までに更に四国を上回るような面積が、所有者不明土地が出てくると。それから、荒廃農地も、そこに書いてありますような割合、また耕作放棄地もかなりの面積があると。こういう形でいくと、日本列島は随分空いてきているなという感じがいたします。これをどうするかというのは非常に大きな問題だと思います。  なお、最近のニュースとして、農業従業者が五年間で二割減ったというニュースもございます。そういう点でいくと、何かもう少し日本農業に関して、農業を含めまして、いろんなことについてもう少しきちっと腰を入れて考える必要があるかなという感じがいたします。  その中で、特に中山間地域事例として、兵庫県の養父市について、いろんな形で関わっておりますので御説明したいと思っております。  特に地図にございますようなところで、但馬地域真ん中にあります。面積は広いんですが、人口が二万三千人に減ってしまったと。それから、高齢化率が四〇%で、基幹的農業従事者平均年齢が七十歳という形で、非常に厳しい状況であります。  次ですが、農業環境として、これ、日本海側地域は大体こうなんですが、右の上に見ていただきますと、大体山合いから川が流れて、そこで、その間に土地ができ、人が住み、農業をやるという形の、こういうところが非常に多いわけでございます。この養父はその典型でございます。山間川沿い農地と住宅が展開すると。したがって、そこでいきますと、農地が細切れ、かつ傾斜であります。  右の下にありますように、真ん中に川が、大きな川が流れていて、その間に土地があって、その左から支流が流れておりまして、まあこういう形で人と農地が点在するというところ、なかなか厳しいわけでございます。  それから獣害、ここは鹿とそれからイノシシ、鹿の方が人間より多いようでございますが、それから耕作放棄地がもうかなり多いわけでございます。そういうことでいくと、山崩れ、災害につながる。  そういうことで、真ん中の写真は、この養父全域がこういう状況でございまして、鹿は三メーターぐらい飛びますので、大体三メーター以上の網が全域に張ってあると。ところが、イノシシは下から潜ってくるということでございます。それから、山崩れですが、左側のところが、棚田が耕作放棄地になりますと、こういう形で山崩れが起こってくると。  経営耕地面積が一ヘクタール以下の農家が八五%という大変厳しい状況でございます。この農家現況について、神戸大学で学生さんと先生とで調べたわけでございます。アンケートをやったわけでございますが、これを見るとなかなか厳しい状況で、まず後継者ですが、これは、いない、それから不明だということを合わせますと、八〇%以上が後継者がいない。農家の方にお伺いすると、大変寂しい話だという形で、特に、一緒に住んでいるけれども後継してくれるかどうか分からぬと、そういう人もいるわけですね。  それから、農家を、農業あと何年続けられるかという形でいくと、すぐやめたいという人から三、四年まで含めて半分近くと。  で、右の下でありますが、じゃ、現在の規模を維持したい理由は何かと。例えば、やめればやめてもいいんだけれども農地を荒らすわけにはいかないと。先祖伝来農地を何とか保全したい。したがって、農地の保全という目的も含めて農業をやっているんだという方も結構おられるわけです。まあ過半ですね。  それから、農業をやめたい人はどうしたい、どうするかというのは、やっぱり誰かに貸したい、売りたいという人が非常に多いわけですね。  こういう形でいきますと、大変厳しい環境にあるわけです。  では、次のページでございますが、その中で、現在の市長さんが二〇一一年に、こういう中で、やっぱりもう一遍、農業と正面から向き合ってもう一遍考えてみたいという形で始められたのが今から十年近く前であります。  しかし、全国の平地を含めた全国画一的な規制でかなり限界がありまして、その中で、この(1)からたくさん書いてありますが、これは全国画一的な規制なんですが、これをこういう厳しい条件の中に適用していくともうこれはにっちもさっちもいかないという形で、国家戦略特区に持ち込んできて、これ現場からいろんな形で出てくる規制をこの中山間地域に限定して緩和お願いしたという形でやってきたわけでございます。この中の鳥獣のわなは、これは県の条例でありましたが、わなも何メーターごとというのは決まりがあるんですが、それを緩めていただいたということであります。  こういう、これを考えるときに、どうするかという形で、これ二〇一六年頃にフランスの農業参考までに調査をしたわけであります。この内容についてはちょっと時間の関係で省略させていただきますが、大きくいくと二つの政策が大きいと思います。  一つは、やっぱり何といってもフランスは農業大国であります。これはカエサルの「ガリア戦記」を改めて読んでも、やっぱりフランス、ガリア人というのは余り動かずに畑を耕している、それに比べるとゲルマニア人はやたらと動いて肉ばかり食うと書いてあるわけですね。やっぱりその歴史的なものがあって、フランスというのはやっぱり何といっても農業がよって立つところの一番大きなところだというのは改めて感じます。  ちなみに、右の上の写真はバルビゾンで、これはミレーの「晩鐘」が、この描いたところがそのままこれは残っているわけですね。  大きな、いろいろありますが、二つございますが、一つは、やはりまず、フランスは農業大国でありまして、農地の売買とか、それから価格、最小の耕地面積等に含めて、国が農業に積極的に関与している。フランスは、御存じのように、日本と比べ、日本に匹敵するぐらいの世界で所有権が強い国でありますが、その中で、農業については政府が積極的に関与して、農地の売買、価格まで含めて政府の、国家管理の中に置くというぐらいの表現をしていましたが、非常にそういう点でいくと政府が国是として農業をやっているということでございます。  二番目ですが、フランスの場合に、その新規就農者、要するに、国で農業を国是とするからには、新しく農業に入ってくる人がいるというのが、これが大前提でありますので、新規就農者確保について物すごいこれは力を入れているわけですね。で、農業商工会がいろんな形で新しく農業をやりたいという人を指導したり、それから、あらゆる補助金を、これはもしあれでしたら後ほど資料事務局通じてお渡ししますが、物すごい補助金をして、一戸当たり大体五十ヘクタールぐらいの単位まで耕作面積を持ってきて、それでやってくるという形で、やはり農業大国として農地についてはきちっとした形で国家が関与してこれを確保していく。それから、就農者については、これはうまくいっているかどうかは別として、とにかく国の政策としてかなりの補助金を入れながらこの中で確保してきているということであります。  次のグラフにありますように、それが各国の、これは農水省の資料ですが、農業従事者の年齢構成ですが、どうも日本だけがちょっといびつな形になっていますが、この中のやはりその年齢別のこの真ん中の緑とか赤の辺り、この辺のところを何とか人を入れたいというところでやっているわけでございます。  そういう形も含めて、なかなか別世界かもしれませんが、最後のページで、じゃ、これからその条件不利地域の中山間地域農地利用について、私、先ほど申し上げましたように専門家ではございませんが、こういう中で二つ三つ、思うところを述べさせていただきたいと思います。  一つは、まず、トゥルーな現場把握条件整備であります。日本の場合、中山間地域、中間地域山間地、このくらいの分け方でありますが、先ほど申しましたように、日本海側のこの急峻な条件とほかの地域とは随分違うわけですね。したがって、その中間地域についてもそれぞれ異なった環境があるわけでございます。  先ほどのように、神戸大学の先生と生徒ですから本音をおっしゃっていただいたと思いますが、それぞれの地域ごとにトゥルーな状況把握、それから、それに対してどういう条件整備をしたらいいかということを真摯に考えていただくことが必要かと思います。できましたら、国会議員の先生方もこういう厳しいところに、選挙区をお持ちの方もおありかもしれませんが、是非足を運んでいただき、本当に現場を見て農地方々と話し合っていただいて、トゥルーな状況把握が必要かと思います。  それから、二番目は、先ほどもございましたが、やはり農地集約統合、整備というのは非常に重要でございます。先ほどバルビゾンで見ましたように、フランスの農地というのはもうよだれが出るほど羨ましい農業条件でありますが、日本の場合、先ほど申し上げましたようになかなか条件厳しい。  農地中間管理機構でやっておられますが、例えば、一つは、日本で非常に耕作放棄地一つの原因だと言われています土地持ち非農家方々は、私の周辺にもたくさんおられますが、できればどこかに渡したい、でも渡す相手がいない。そういう点でいくと、例えばこういう都道府県単位の組織がいいと思いますが、信託という形をお使いになったらいかがかと思います。  例えば、私の場合だと、地域の田舎のお寺さんに私がこの土地持ち非農家農地を信託させていただければこれは非常にいいわけでございますが、そういう形で、例えば、そうはいきませんが、どこかにやっぱり信託をさせるという、していただくと。それで、そこを含めて農地の整備をしていただく。さらには、そこが新規就業者支援主体との一体的運営をしていくという形になれば面白いかなと思います。  それから、最後でございますが、農業農地への横断的対策、これは先ほどもございましたし、フランスでは、例えば農地環境によって、例えば山合い地だと補助金が多くなるという形で、農地環境による補助金が随分違っているわけですね。そういう点でいくと、先ほどのその条件が厳しいところほど、農業を続けるためには補助金をかさ上げしていくという形も必要かと思います。  それから、都道府県単位で、やっぱり農業というのは農業だけの問題、農地だけの問題、農地農業だけの問題じゃなくて、最近多い洪水の一つの原因にもなっているわけです。下河辺さんがおっしゃったんですが、農業の衰退は経済問題であるが、農地の荒廃となると国土問題であるとおっしゃっているわけですね。したがって、先ほど写真にありましたように、棚田が崩壊して丸坊主になって、災害を引き起こしていくということもあるわけでございますから、農地というのをもっと横断的な、例えば国交省の河川局とか、そういうところの横断的な形で整備していくという形も必要かと思います。  最後に、先ほど私申し上げましたフランスの農業農業大国でありますが、これはフランスの農業大国の指標、KPIというのは、やはり一つは食料自給率ですね、もう一つ新規就業者。やっぱりそこで国民に開かれているということでありますから、日本農業国なんでしょうか。もし農業国とすれば、その代表的な指標として何がKPIなんでしょうかということを最後にちょっと、むしろこれは教えていただきたいと思います。  以上でございます。
  7. 上月良祐

    委員長上月良祐君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 高橋克法

    高橋克法君 ありがとうございます。  参考人のお二人、大変ありがとうございます。  実は、五月二十五日に、人・農地など関連施策見直しについてということが政府から発表されました。特に、その中十一項目ありますが、私自身が一番重要だなと思うのは人・農地プランで、これ、一万五千地域以上で人・農地プランが策定されているんだけれども地域との話合いに基づくとは言い難いような、つまり実質が余りないようなプランが多い、だから、これを実質化に取り組むというふうにしているんですね。  ただ、実質化をするぞと言いましたが、現状はどうかというと、しっかりと地域との話合いに基づいた人・農地プランって四割ぐらいしか今でもない。本来、こういったプラン作るときは地域とのしっかりとした話合いをして作るのが大前提なんだけれども、現実はそうではないから見直しをしたわけですが。  そういう現実があるということは、実際にはその実質化に向けた取組においていろんな課題があるんじゃないかなと私は感じます。その辺のところは、現場等を熟知されている、またいろいろな事例を熟知されている柚木参考人からその辺の課題をお伺いしたいと思います。
  9. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 人・農地プランの実質化に向けた取組課題ということでございますけど、一つは、先ほども申し上げましたけど、農地の出し手の意向はかなりあるということなんですけど、それを受ける担い手の方がその地域の中になかなか存在しないということがございます。  プランで、出し手の方は地図に載るんですけど、それを受ける方がなかなか載らないというところがございますので、そこが中間管理機構等で受け手の広く公募しながらやっていくということになっているわけでありますけど、ここのところをやはり、集落営農も含めて受け手の対策をきちっとしていくということが一つは大事だと思っておりますし、もう一つは、なかなか、利用集積だけのプランではなくて、そこにある農地をいろんな形で利用していくという観点も新たに取り入れることが必要じゃないかなというふうに思っております。  以上です。
  10. 高橋克法

    高橋克法君 もうちょっと突っ込んで聞きたいんですけどね。  本来、地域との話合いに基づく結果としての人・農地プランを作らなきゃいけないんだけれども、現実としてそれらは四割ぐらいしかないだろうと、いわゆる形だけ作ったみたいな、残念なことなんですよ。  今、柚木さんがおっしゃられたような、出し手と受け手の現実の問題もあるかもしれないけれども、何か自分はそれだけが原因ではないような気がしてならないんですね。何かその辺でお感じになることありますかね。
  11. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 地域話合いをどのように進めていくか、それから、その話合い地域の方にいかに参加していただくのかというところが一つポイントになるというふうに思っています。  かなり世代が替わる中で、そこに住んでいらっしゃっても余り、農業に関心の薄い方もいらっしゃいますけど、それだからこそ、そういう方々に、農業委員会なんかもそうでございますけど、広く呼びかけして、できるだけ多くの方に集まっていただく。それから、会議が、集まった中での会議がいわゆる形式的にならないようにどう工夫するかということで、私どももいわゆるファシリテーションというようなことで、できるだけ参加者全員から話が出るような集会の仕方といいますか、そういうものも工夫しながらやっていくことが効果的ではないかというふうに考えております。
  12. 高橋克法

    高橋克法君 ありがとうございます。  確かに、ファシリテーターって非常に重要で、旧来の役所のやり方で集約しようとしてもできないかもしれないけれども、ファシリテーターが優秀だといろいろな視点から議論が出てというような事例もありますよね。だから、そういうことをしっかりと行政側は認識をしなきゃいけないと。大変ありがとうございました。そのとおりだと思います。  今、僕は農地についての質問をしましたが、次、人材です。人と農地ですから。  もう参考人には釈迦に説法ですが、二〇二〇年、昨年、基幹的農業従事者は百三十六万三千人で、平均年齢六十七・八歳という、先ほど光多先生の表にもありましたけれども農業就業年齢が非常に、日本だけはちょっといびつな形になっているという現実は今あります。  この辺のところも、今回の人・農地など関連施策見直しについてに入っていて、この中には、市町村が具体的な人の位置付けを担いなさい、都道府県は人の確保と育成についてというような役割分担が書いてあるんです。  我が国の人材確保育成について、柚木さんには現場を踏まえた形でちょっと知見を教えていただきたいし、光多先生には、先ほどフランスの農業スキーム、大変参考になるスキームだと思いますけれども、先ほど余り時間がなかったと思うんですが、ちょっと掘り下げてお教えいただければ有り難いと思います。  以上です。
  13. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 人材育成の観点でございますけど、今先生からもございましたように、いかにこの就業に結び付けていくか、特に新規就農の希望者の方はたくさん、我々、新規就農相談センターやっておりますけど、出てこられるわけでございますけど、そこと現場の方のマッチングをやっていくことが一つは大事だと思っています。そのためには、やはりその情報を、それぞれ受皿の情報とそれから新しく入っていきたいという方の情報をどっかでやはり集約しながらマッチングしていくということは一つ大事だというふうに思っています。  それから、できますれば、やはり今までの経営者の方とそれから新しくそこで頑張ろうという方々が少し一年とか二年、一緒に経営をしながらやっていくことが、その地域にもなじみが出てまいりますので、効果を発揮するのではないかなというふうに思っています。  あと一点は、やはりその基盤として、やはり一定の土地条件含めて条件整備を、圃場整備もそうでございますけど、そこをきちっとすることが大事ではないかと思っています。  以上です。
  14. 光多長温

    参考人光多長温君) このフランスの新規就業者が入ってくる、国是としてやっているので非常に手厚いんですが、一つは、まずEUの補助金とそれからフランス政府の補助金、上乗せがあって、まず農業を始める人は平地の場合で一万ユーロ前後のまず一時金が出て、更に先ほどのように条件が不利なところについては上積みされる。例えば、山岳地帯の場合には一万六千ユーロが出るとか、それから棚田の場合にはまた補助金が出る、それから特に優遇税制ですね、若い人には一〇〇%控除があるとか借入金も非常に低いと、それから社会保障費も減額される、それに更に収入として補助金がまた、要するにそれでいくと大体一経営単位当たり日本円にして千五百万から二千万ぐらいの、大体そのくらいのところを目標にしていろんな補助金が出るという感じであります。  是非、ちょっとこれ、私が調べたのは五年前ですので、最近また変わっているかもしれませんし、是非御調査いただきたいと思います。
  15. 高橋克法

    高橋克法君 まさに光多先生がおっしゃっているのは、農業が国家の責任として、しっかり国として責任を持って支えていくというその姿勢の具現化がフランスの制度設計に現れているということだと思います。  日本でも農業の持つ多面的な機能、何兆円とかという議論がかつてたくさんあったんですよね。でも、今余りそれが聞こえなくなってしまって、私自身はもう一度その農業の持つ多面的な機能、さっき先生おっしゃいましたね、国土交通省の河川と農業というのは、中山間地農業というのはこれはもう表裏一体なものなんだよと。そのとおりだと思いますし、そういう視点を持たなきゃ、もう一度持ち直さなきゃいけないというふうに私自身も思っています。  実は、総務省と国土交通省が令和元年調査を行っていて、それはいわゆる条件不利地、中山間地、過疎地域等において、集落機能が低下してしまう、維持困難とどのぐらいの人が答えているかという調査なんですが、これはもうその割合は大分増えてきているんですね。これは現実そのとおりなんですが。  ただ一方で、先生、三大都市圏からの転入者数というのが上回る市町村が全国的に少しずつですが見られるようになっている。これ、いわゆる言葉で言うと田園回帰というような名称で呼ばれているんです。その方々というのは多分、なりわいとしての農業と生き方としての農、この連立方程式の答えを一生懸命出さなきゃいけないと思って、でも生き方としての農を自分は選ぶ、生活はそんな楽じゃないけれどもというような、この連立方程式を一生懸命解こうとして頑張っていらっしゃる方々だと僕は感じているんですけれども、その辺のところの問題、光多先生、フランスの農業スキームに大変詳しいので、先生としてのお考えを聞かせていただければ有り難いと思います。
  16. 光多長温

    参考人光多長温君) まさにそこを、私、実は、今おっしゃったように、首都圏から人が地方に移っていると新聞ではありますが、絶対数はそんなに多くないと思っています。もっと増やさなきゃいかぬ。今のコロナのテレワークでも地方に行っていなくて、やっぱり首都圏の周辺にしか行っていないんで、それは絶対数はそんな多くない、もっと増やさなきゃいかぬ。  その中に、やっぱり今おっしゃったように、私ももう喜寿を過ぎておりますが、私ぐらいの年代だと地方に、私、九州の出身なんですが、ちょっと済みません、こんなことは通常は、地方に戻りたいと思っていますが、その中で、農業をやりながらってやっぱりあるわけですね。その先ほどお渡ししたペーパーの五ページ目の上の方にありますが、新しく農業を始める、年取ってからでも若くても結構なんですが、そういう人の受入れ組織が必要だと思うんですね。  フランスの場合は、そこにアンブレラ方式と書いてありますが、新しく自分たちで行ってそこで農業法人つくるよりは、例えばそのアンブレラがあって、新規就業者がその中に、その農業法人に入るとした場合に、私は例えば先ほど御説明ありました半農半Xで入りますよと、時々農業やりますと、私は例えば農業生産だけやりますと、私はもう丸ごとここで農業やりたいから、この中の事業部制みたいにしてその中の一つの分社としてやりますとか、いろんな方を入れるアンブレラがある、受皿があるんですね。それをまた農業会議所なんかがいろいろな形で指導していると。  何かそういう、おっしゃったように、そういう、本格的に農業をやろうとしている人、それから半分やろうとする人も含めて、その地方での受皿というのをつくっていただくことが必要かなと思います。
  17. 高橋克法

    高橋克法君 どうもありがとうございました。  やはり天つちの恵みに感謝をしながら生きていくというその基本的な精神というのは、この日本という国を守っていく、支えていく考えだと思いますから、農的なものを守っていきたい、しかしなりわいがあるからなりわいを支えなきゃならない。そういう意味で、先生方にはこれからもどうぞ御活躍をお願いします。  終わります。
  18. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 立憲の石垣でございます。  柚木参考人光多参考人、今日はお話ありがとうございました。  まず、すごいちょっと根本的なところから伺いたいと思うんですけれども農地の問題、いろいろもちろんあるんだとは思いますが、そもそも今、荒廃農地耕作放棄地が増えている。それはなぜかというと、担い手、後継ぎを含めて人材が足りないと、そういう現状であるという御認識は、様々なデータからももちろん言えることで、お二人の御参考人共に同じ御見解だと思いますけれども、そもそもそういう状況を招いている原因は何であるかということをお二方がどのようにお考えになっていらっしゃるか、もちろん様々な原因はあると思うんですけど、まずそこから伺っていいでしょうか。
  19. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 荒廃農地が増えている原因ということでございますけど、一つは、農家の高齢化というのがあると思います。それから、農家の子弟の方が農業をなかなか継いでいないというところがあると思います。他産業に就業されている方は多いわけでありますけど、そこは極端に言えば、やはり所得の確保関係だというふうに思っております。  よろしいですか。
  20. 光多長温

    参考人光多長温君) 今の話、一番冒頭申し上げました農地だけの問題じゃないわけですから、先ほど増田委員会にありましたように、日本で空き地、空き家がこれだけあると、耕作放棄地もあると。これは、やっぱり国として本当に考えていただくときに、私は、なぜなったかと、いろいろあると思いますが、やっぱりある面ですね、所有権の強さというのが、絶対的所有権がむしろ逆に幸いしているかなと。  で、例えば、農地ではありませんが、特に空き家ですね、空き家の場合は特に、私は島根県の西の方ずっと調べていったんですけど、これは雪が積もったりするとそこで事故が起こったりするので、空き地よりももっと重大な。ところが、あそこだけで五万軒あるんですよね、空き家が。それは壊すのに百万円以上掛かるから、みんなできれば町に寄附したいけれども、引き取ってくれないと。これ、青森なんか事故起こって、いろんなことがありました。  そういう点でいくと、空き地、空き家、耕作放棄地、これ全部含めて、まさに良識の府である参議院で国の形としてお考えを、私は、遠因としてやっぱり所有権の絶対性というのがかなり大きいと思う。要するに、放棄できないんですよね。  ですから、先ほど私申し上げた、そこでいくと、例えば持っていても所有権放棄できないとすれば、例えば信託みたいなことをお考えいただけないかというのは先ほどの提案一つであります。
  21. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 お二方からそれぞれお話を伺いました。  所得のところが大きいという柚木参考人お話と、あと光多参考人からは、もう少し広い視点で、信託という方法も含めて、放棄できない農地をどうしていくかということをもっと広い視点から抜本的に考えていかなければいけないというお話であったかと思います。  その上で、柚木参考人から、今、所得というお話がありましたけれども、人・農地プランを進めていく上で、やはりその担い手をいかに広く今後発掘していくというか、探していくかという点において、これ絶対的にやはり所得というのは大きなところがあると思いますけれども、現状の、いわゆる作ったものに対して、若しくはいろんな設備を投資していくことに対しての補助金というのは非常に、その年々にもよりますけれども、手厚い部分もあるとは思うんですが、根本的な、就農をするということに対する経済的な生活の安定という点で、現在の人・農地プラン、どのようにその所得の保障という点ではお考えになりますか。
  22. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 一つは、先ほどの農業を継ぐかどうかということなんですけど、やっぱり平場の地域条件のいいところの農業経営者皆さん、これはきちっと後継者の方確保されて、しっかりとまた法人化もしながら進められていると。  やはり、条件不利の中山間等においてやはり耕作放棄地が出ている。そこはなかなか、やはりいろんな工夫をしてもやっぱり所得に結び付かない条件があるんだと思っております。だから、そこは、先ほど先生もおっしゃったように、フランスのように一定の国の支援をしながら、そういう地域でもそこに住んで農業に携われる環境をつくっていくことは大事じゃないかというふうに思います。  したがって、人・農地プランをそれぞれこの平地地域、都市的な地域、それから中山間、また山間地域ということの中で、地域に応じた人・農地プランの在り方があると思っておりますし、またそれに対する一定の支援の仕方というのも、先ほどの多様な農地利用も含めて、集積一辺倒ではない新たな対応が求められるんじゃないかなというふうに思っております。
  23. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ありがとうございます。  そういう点で、その集約をできるところを効率化していってある程度大規模化していくということと、先ほど柚木参考人お話しされていた持続的な土地利用ということで多様性のある就農の形、土地利用の形という御提案がありましたけれども、ある意味方向性としては土地を保全していく、農業を継続していくという点で同じだと思うんですけれども、その経済的な収益を考えるとかなりその差が生まれてくるであろうというふうに感じるんですが、その点をどういうふうに解消していったらいいかというか、それはもうちょっと哲学的な問題になるかもしれませんけれども、どのようにお考えでしょうか。
  24. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) いずれにしても、日本全体として農業生産の基盤をどう維持強化していくかということだと思います。  そのときに、やはりその地域土地条件が左右してきますので、そのときに食料の自給力のために、今、昨年の基本計画では約四百万ヘクタールの維持をしていかなきゃいけないと。それは平場の地域もありましょうし、中山間も含めてでございますので、そこを、国の考え方として、そういう条件の悪いところについては、それを維持するため、またそこで農業をやってもらわないと維持ができませんので、それに対するどういうふうな対応措置をとるのかということを是非詰めていただければと思いますし、またそこがポイントになるというふうに思っております。
  25. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ありがとうございます。  やはり、新しく農業に興味があったとしても実際に生活が成り立たなければなかなか難しいわけだと思いますので、半農半Xみたいな形で、一定の生活費を確保しつつ、農業でプラスアルファで生活していくというスタイルも含めて、やっぱり多様な就農の在り方、農業の在り方というのが今後、中山間地域であるとか非常に耕作が難しいような地域にとっては大きなポイントになるんだと非常に私も感じております。  その上でなんですが、光多参考人、先ほど、就農者がなかなかやはり、土地が荒れていく、就農者が増えていかないということの大きな問題点としてその権利の移譲のお話がありましたけれども、例えば信託というような形でその土地集約していくというような事例お話しいただきました。  例えばフランスのアンブレラ方式のような形もあると思うんですが、養父市ではあくまでリースという形で土地利用されている企業の方ももちろん多い。利用されている土地の分量から見ればリースの方が多いわけなんですけれども、その所有をする必然性、必要性というところで、その信託というのが、それはあくまでも預けるリースという部分であるのか、それとも何かある一定の所有というところも含めたものなのか、ちょっとその辺を詳しくお話しいただいてもいいですか。
  26. 光多長温

    参考人光多長温君) 養父市のリース化、所有化という話はちょっと別として、信託なんですが、それは、私、差し上げましたペーパーの一番最後のところに、宇沢先生が、コモンズを使った中山間地域農業スキームとあって、これは言ってみれば中山間地域農業一つの夢、理想像かもしれませんが、こういう形でみんなで土地を信託して、そうやってみると結果的にはそこでコモンズ、まあ入会的なものになるんですが、そういう形で土地が共有されるという形なんで、それで、そこの中でみんなで農業をしていくと、一つのこれは夢物語かもしれませんが。  ただ、宇沢先生はこれをずっと亡くなるまで、これ、亡くなられる三年ぐらい前に鳥取大学で講演いただいたもののこれは議事録から取ったものなんですが、最後までこれは宇沢先生はおっしゃっていたんで、やはりこれなんかいくと、フランスには余り信託というのはないんですが、やっぱりイギリスとかアメリカとか日本でも信託ということを使われていますし、農地信託をやっていくとかなり違っていく。  それから、ちょっとこれは御質問の趣旨と違うかもしれませんが、先ほど、耕作放棄地の場合に、日本の場合は農地を耕作放棄する又は空き地にする権利があるわけですよね。本当にこれ、社会としてその権利を認めるんでしょうか。  フランスは例えば空き地とするというのは相当難しいんですよね、社会的に罰を受けるし、例えばみんな家がくっついていますから、一つが空き地にすると崩れちゃうというところもあるかもしれませんが。それで、先ほど土地の絶対私的所有権というのは土地がどうするのか。やっぱり日本の場合、例えば空き地にしたり耕作放棄するという、その権利をみんな持っているわけですよね。これは、まさに参議院、国家としてこれどうするかというのを、これだけの面積になってくるとやっぱり是非お考えいただきたい。そのための一つとして、私は、信託というのをどんな形かで検討していただいたらどうでしょうかということを提言申し上げているんです。
  27. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 その信託というのは、信じて託すということなんですけれども、そこがいま少し、所有権を移譲する、いわゆる、この養父市であれば企業に、一定条件は付されていますけれども、所有を認めるというところまで含めた方がより円滑に動くというようなお考えでしょうか。
  28. 光多長温

    参考人光多長温君) 信託というのは、所有かリースかという前段階の話で、土地の一番そのベースをどうするかという話であって、そもそも、ちょっと済みません、釈迦に説法で済みませんが、信託というのは十二、三世紀のイギリスで、貴族なんでしょうが、農地の所有者が教会に信じて託したのが一番始まりでありますね。その場合に、日本には明治三十八年の興銀法で信託というのが入ってきたわけですが、したがって、そこから信託というのがあって、所有権は移転するんですね、信託。所有権移転するけれども、元々の所有者は信託受益証書を持つ、要するに紙を持つという形です。  例えば、先ほどの土地持ち非農家の方は別に土地を持ちたくないんだけど、そこが耕作放棄地になっているわけですね。例えば、地域のそういうところに信託して紙を持っていれば、もう御先祖様への言い訳も立つわけですよね。そこで、その信託された土地地域で、いろんな形でみんなで集約、統合してやっていけばいい形なのかなと。  要するに、ちょっと大げさな話になるかもしれませんが、何かやっぱり根本的なことを考えないといかぬのかなという感じがいたします。済みません、ちょっと話が長くなって。
  29. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 その信託というか、その移譲する先は必ずしも別に企業でなくても、もちろん国がもう少し大きな意味で管理をしていくということでもよいということでしょうか。
  30. 光多長温

    参考人光多長温君) 信託、私が申し上げているのは、営業信託じゃなくて、要するに業務信託というのは信託銀行が受けるわけですね。じゃなくて、民事信託を申し上げているんです。だから、業務じゃなくて、業としてじゃなくて、私法としての信託。例えば、養父市、兵庫県でもいいですけど、養父市受託会社をつくって、それは、宇沢先生書いておられるように、株式会社でも何でもいいという形ですから、そこをつくって、そこに対して、業としてじゃなくて、その地域土地を受託、受けるという形の私法としての信託、あくまで民事信託ですね。
  31. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ありがとうございます。  この信託に関して、じゃ、一言、最後に柚木参考人から伺いたいと思います。
  32. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 農地制度上も農協の信託とか農地の信託の制度はあるんですけど、まだなじみがないというか、余り使われていないのが実態であります。  先生おっしゃるように、今後そういうことも含めて、なかなかもう自ら農地を持っていること自身に負担を感じられている方も増えてきておりますので、そういうものの、農地の寄附行為も含めて、いろんな所有権ベースでの新しい農地の活用というか、管理、利用の在り方ということは検討が必要だというふうに思っています。
  33. 石垣のりこ

    石垣のりこ君 ありがとうございました。
  34. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。両参考人先生方、貴重なお話を賜りまして本当にありがとうございます。  まず、両先生に同じ質問をしたいと思います。  農業地域政策と産業政策の両輪をしっかり回していくということは大事である、これはもう論をまたないと思います。農業農村基本計画の中にでも、これまで大規模化一辺倒だったところを、しっかり家族経営見直していこうという書きぶりになりまして、やや軌道修正が図られる形で政策がつくられていっているものと承知を私はしております。  一方で、担い手確保とやっぱり農地集積というのは喫緊の課題でありまして、もうずっと言われていることですけれども、やっぱり早く進めていかなければなりません。  現場を回っておりますと、やっぱりどうやって人を導いていくかということで、やっぱりちゃんともうかるんだと、稼げるんだということを示していくということは何より大事なんだろうというふうに思うんですけれども、成功している方々にほぼ共通することは、やはりある程度の規模感を持ってやっているということ、それと、ちゃんと売り先が決まっている、若しくは価格が、価格交渉力があるということで、これはもう当たり前ですけれども、価格と数量、価格と数量の掛け算でありますので、この価格と数量がちゃんと決まっているというか、ここに筋道を立てられている方が成功しているんだという私は認識でおります。  成功している人たちは、やはり一定の規模感を持って、ある程度の人数で、ある程度土地に手を入れている。一方で、家族経営の見直すべき、しっかり光を当てていこうとされた家族経営の方では、やはり高齢の御夫妻で、売り先を見出してマーケティングをしながら数量を増やしていくというのはなかなか困難な状況にある。そういった中で、今後、やはり家族経営の重要性ということをどういった点に見出していくのか、家族経営にどういうふうに光を当てていくのかということを、ちょっとその点に関しまして御助言があれば、お二人の先生方お願いしたいというふうに思います。柚木先生からお願いします。
  35. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 私ども、家族経営の重要性についてかねてからいろんな提案もさせていただいているんですけど、一つは、家族経営といえどもやはり経営の管理はきちっとしていかなきゃいけない。そのためには、やはり複式簿記の記帳をきちっとして青色申告をしていくという、まあこれは基礎の基礎なんですけど。ただ、現状から見れば、認定農業者の方の中でもまだ青色申告されていないという方もいらっしゃるわけでございまして、一つは、そういう家族経営の意識改革といいますか経営改善の取組を促していくということが一つ大事だというふうに思っております。  それともう一つは、法人経営の場合はいわゆる就業規則みたいなものがきちっとあるわけですけど、家族経営についても、私ども、昭和三十年代から、農業委員会組織での提案で家族経営協定というものを推進をさせていただいています。家族間でそれぞれ、経営主の方、それから配偶者、それからまた息子さん、御夫婦なんかがやっているそれぞれの役割分担とか、それから報酬とか、それから労働時間とか休みの時間とか、そういうものを家族の中で協定を結んで進めていくということが大事ではないかなというふうに思っております。  フランスでも、やはりそういう家族間の共同経営ということがかなりGAECという形で進められておりますから、そういうものも今後、日本でもそれは既に進んでいるわけでありますけど、それを更に推進することが大事じゃないかなというふうに思います。
  36. 光多長温

    参考人光多長温君) ちょっと私、余りこの分野詳しくないので、ちょっと済みません。  先ほど、養父で神戸大学の先生たちがアンケート取ったのを見ると、後継者というのはもうほとんどいないわけですよね。一緒に住んでいて、この息子は後継いでくれるかどうか分からぬというような緊張状態の中で一緒に過ごしているみたいなところもあったりして、その家族経営というのの、何か日本の家族関係というのがちゃんと保たれているのかどうか。本当に、だから、家族経営に頼ったときに、ちゃんとやっぱり子供が後を、後継者が継いで日本の大切な農地を使っていくという形の、そういう形が必要だと思うんですけれども、やっぱりその事業主体としてゴーイングコンサーンも必要だと思うんですよね。だから、家族経営に、もちろん日本農業の麗しいところだと思うんですが、そこと、先ほどの現実の後継者、うまい形でそこがつながっていけばいいんですけど。  また、例えば、だから事業主体として、ゴーイングコンサーンとしてやっぱり企業というのが入ってこざるを得ないかもしれない。そこら辺は、ちょっと私も現場をよく知っているわけじゃないんですが、少なくとも家族経営だけに頼られるというのは、日本農業というのは可能なんでしょうか、よく分かりません。
  37. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。  次に、人材確保について伺います。  これは柚木参考人にお伺いしたいと思いますが、コロナをしっかり、コロナ禍だからこそ前向きな農業をしっかりやっていこうと、人材確保を行っていこうということで、農水省も旗を振り、そしてその担い手として、担い手といいますか、その役割を、農業会議所さんに大きな役割を果たしていただいてこれまで一年余り取り組んでまいりましたけれども、なかなか人材マッチング、まあ簡単に言うんですけれども現場ではやっぱり難しくて、なかなか他産業からの農業新規就農というのがコロナ禍においても進んでいないという状況があります。  実際にそのマッチング支援を行っていただいている中で、この人材確保進まない大きな原因をどういうふうに考えておられるか、また、新規就農者を増やしていくに当たって改めてどういったことが必要かという観点でアドバイスをいただけたらと思います。
  38. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 人材確保がなかなか難しいというのはそのとおりなんですけど、ただ、私ども今、農の雇用事業とか、それから人材育成投資事業等の中で、それに手を挙げられて対応されている経営体、それからまた新規就農の方々、また法人で雇用型で農業に携わる方々、ここは一定の層として確保といいますか、いらっしゃるのは事実でございますから、一つはそういう方々が継続的に農業に定着していくための対策を今後更に強化していくことが一つは大事になってくるというふうに思っています。  そのためには、法人であれば、やはりそこで長期的に働くといいますか、従事していただくための労働条件なり、そこの環境整備ということが求められてくると思います。一般企業との今度は兼ね合いにだんだんなってきておりますので、農業だからこういう働き方なんだということではなくて、一般の事業体と同じような労働条件の整備をしていくということが一つは大事になってくるかなというふうに思います。  それからもう一つは、自立するといいますか、自営型で農業に就く方々については、一つは、ちょっと最初の意見でも申し上げましたとおり、一方でこの認定農業者方々でもリタイアをする経営も出てきておりますので、その認定農業者の息子さんはその経営は継がないという場合に、その地域では、例えば二十ヘクタール、三十ヘクタールの大きな借地型の経営をやっているとすると、それが潰れるともう地域そのものが、農業が、また農地が疲弊するわけでありますから、そこに新規就農の方、農業をやりたいという方を結び付けていくことが大事だと。我々、第三者経営継承というふうに呼んでおりますけど、この取組がこれから一つ大切になってくるんではないかなと。そこにどういうふうな支援なり活動があるのかということが重要ではないかというふうに思います。
  39. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございます。  就農した後、定着させる政策が大事だ、そのとおりだと思っています。一方で、私は今まで他産業ばかり見てきて、この三年間、農林水産、昨年、政務官もやらせていただく中で勉強させていただくんですけれども、いろんな施策、結構充実しているなと、他産業に比べてこれだけお金がもらえる仕事って余りないんじゃないかなと私思っておりまして、もし具体的に、もっとこういうのがあればというのは教えていただきたいのが一つと、あと、二十ヘクタール、三十ヘクタール所有している人が後継者ができないというのは考えられなくて、それだけの規模があれば必ずもうかりますから、そこは誰かが継ぐんだと思います。課題はやっぱり小規模、小規模の農地をどう承継させ、かつ大きくしていくかということが大事なんだろうと思うんですが。  その中で、レジュメをいただいておりますけれども農地の交換、佐賀県の例ですとか書いていただいておりますが、交換も結構大変なマッチングだと思います。現場でいろんな御苦労があられるかと思いますが、これをまとめ、これをマニュアル化できれば非常に効果的なんだろうなというふうに思いますが、現場でどういう御苦労があって、どのようなそれを解決して成功に導いたか、そういった具体的な例を教えていただけたらなというふうに、ちょっと二つ質問させていただきます。
  40. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 先ほど先生おっしゃられたんですけど、一つは、今これ集落営農を含めてなんですけど、かなり大型でやっていらっしゃる経営体においても、まあその方は頑張ってやってこられたんですけど、もう息子さんは他産業に就業されているような方がいらっしゃって、経営体としてはしっかりしているんですけど、やっぱり後継ぎというかその継承者についてはまだ定まっていないという経営体が相当ありますので、そこは改めてちょっと慎重に対応していく必要があるのではないかというふうに思っております。  それから、江北町の農業委員会を例に挙げておりますけど、一定程度農地利用集積が進んでいる、これは平地地域においてはかなりそういう市町村も増えてきておりますので、そこである程度担い手がある程度認定農業者等の形でもう定まってきておりますんで、その方々話合いの場をつくるということが一つ大切になると思います。  そこで話合いをして、このAさんとBさんの認定農業者が今耕作しているところを地図で見るとこういうことになっているんで、じゃ、こことここを交換したらより団地化が図られるということは地図情報とセットでやればすぐ見える化できますものですから、それを基に話合いをして、また地権者の方には、基本的には今、中間管理機構に預けるということはある意味で白紙委任になっておりますので、そのことも含めて利用調整が進んでくるんではないかと。江北町の例でいえば、そういう話合いの基点として農業委員会委員皆さんとか事務局がいろいろ汗をかいているということですし、また当然、認定農業者担い手方々も積極的にそこに参加をするという状況が生まれていると、そういう状況をつくっていくことが大事だというふうに思います。  やはり大型の経営の方でも、もうここで農業を病気とかで途中リタイアされる方がいて、急に十ヘクタールぐらいが出てくるのが現場でも時々ありますものですから、そういうときにこういう備えがあればいいんではないかというふうなことも我々も提唱させていただいています。
  41. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございます。  最後に、光多参考人に伺います。  フランスの例、示していただいて、非常に勉強になりました。ありがとうございます。信託方式という一つの例を示していただきましたが、今、柚木参考人からもお話があった、中間管理機構集約をしてそれを貸し付けるということであれば、余り、日本でもできないものではないのかなというふうに受け止めながら拝聴をいたしました。やっぱり、でも国がやっぱり方針を示すということが大きな違いなのかなというふうに思いました。自給率、当然上げていかなければいけないというふうに私も考えています。  そういった中で、やはり食料自給率もエネルギー自給率もとっても低い日本です。かつ、もうコロナでワクチンもない。本当に、このままいくと安価な労働力を提供する国になってしまうんじゃないかって危機感がすごく私たちには、世代にはあるんですけれども、やっぱり国がもう少し方針を示して関与を深めていくということが大事じゃないかなと思いますが、そういった観点から、御所見を簡潔に賜れたらというふうに思います。
  42. 光多長温

    参考人光多長温君) いや、非常にいい議論を聞かせていただいて、来てよかったなと思っているんですが。  やっぱり何か農地というのは、大変、農業農地、非常に厳しい状況ですよね。だから、やっぱり長期的な展望かもしれませんが、何か思い切ったことを議論して考えないと、私は、やはり先ほど申し上げたように、荒地にする権利って本当にいいのかということまで含めてやらなきゃいかぬし、それから、先ほどのその小規模農地集約、統合についてはこれは必要なんですけど、今所有権者分からないという状況かもしれませんが、これについては都市内の区画整理って非常にそのノウハウを持っているわけですよね。だから、その都市の区画整理を考えて、私はこの場合は、土地の、第一種の、収用権がある区画整理、耕地整理が必要かなと思いますが、これを日本全体で大々的にやるような、で、私それが、中間管理機構はよく知りませんが、そこがそれだけの任にあるのかどうか分かりませんが、やっぱり日本全体として農地をもう一遍集約、統合して使える形にしようよという、そういう大政策を考えていただいたらどうでしょうか。  何かやっぱり、ちょっと基本的な考え方として、済みません時間が、考え方として、私、農業は専門外ですが、昭和四十年代に加工組立て産業で全国で工場誘致運動が起こって、もう競争ですよね。そこで用地を整備して工場を誘致する運動があったと。今、日本農業ってどうなんでしょうかね。やっぱり今は農地を整備して農業者を誘致するという形が必要なんじゃないでしょうか、来ていただくというか。そのためにはいろんな形の優遇措置、補助金も必要だけど、それは国が考えて、それが日本農業をつくっていくんじゃないか。何かある程度やっぱり国が方向を示して任を担っていかなきゃいかぬのかなという感じがいたします。
  43. 河野義博

    ○河野義博君 ありがとうございました。
  44. 石井苗子

    ○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。お二方、参考人のお二方、今日はおいでいただきまして、ありがとうございました。大変参考になりました。  柚木参考人からお聞きしたいと思うんですけれども、政府の担い手政策というのがあります。今、政策は、政府の政策は充実十分しているんじゃないかという意見もありましたけれども、だったら問題はどこにあるのかということをずばりお聞きしたいと思います。  素朴な質問なんですけれども、私はどうして農業だけ担い手というのかなと思っておりました。金融の担い手とか政治の担い手とかは余り聞かないんですが、医療だと従事者というんですが、農業だけ担い手というと。これは、気持ちが土地から離れないといいますか、ビジネスになっていないからだと思うんですね。仕事が土地と密着していて、生活もいつも密着しているから担い手と言うんで、にしては、あしたからでもすぐお手伝いができるというような仕事が農業だと思うんです。この政府の担い手政策というのは効果が出ているとお思いかどうかという点についてお伺いします。  柚木参考人は、二〇一七年から現在まで、農林水産省とそれから国土交通省に委員として御貢献いただいたということなんですが、この現場とのずれのようなものを感じていらっしゃらないか。政府の担い手政策、効果が出ている、出ていない、現場とのずれのようなものはないか。例えば、農水と国交省の連携が不備だったり、国と地方自治体の連携が不備だったり、縦割り行政の弊害なんというのがあるとお感じになっていらっしゃるか。行政間の政策ですね。そごのようなものはどの辺に顕著に出ているかというような問題点をちょっとずばりとお聞きしたいんですが。  私は、この担い手ということで、現場農業者皆さんは、外国からの人手が来たら、労働力として人手不足を解消する鍵にならないかと思っていらっしゃるかどうか。現在の技能実習生制度には課題がどのようなものがあるかと。  幾つか質問させていただきましたけれど、お答えになられる範囲でよろしくお願いします。
  45. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 大変私の立場で答えづらい点もあるんですけど、一つは、担い手という言葉については、我々はもう肌に染み付いていますものですから、使うんですけど、確かに、今回こういう提案を取りまとめて、うちの会議所の学識経験の方々の御意見としてこの農業担い手という言葉に非常に違和感を感じるとおっしゃられまして、ちょっと戸惑ったんですけど。  我々は、農業経営に関わる人、それからまた一方で、その地域の貴重な資源である農地をちゃんと維持をする、そういう方も含めて我々は農業担い手というふうに考える必要があるんじゃないかというふうに思っておるんですけど、その中で、やはり農業を産業として、経営として捉えてきちっとやっていくという方々をやはり一方ではきちっと育成をしなきゃいけないと思うんですけど、一方で、やはり地域資源としての農地の管理主体ということになったときに、経営経済一辺倒の形態だけではやはり賄い切れない部分が出てまいりますので、そこは、先ほどの産業政策と地域政策を相まった形で進めていくことが、それぞれの地域現場状況に合わせた形で対応していくことが大事になってくるんだというふうに思っています。  そういう意味で、農業政策としても、そこそこのことはめり張りを付けて今進められていると。ただ、それぞれ現場現場で見たときに、まだ足らざるところがあるとか、もう十分過ぎるといったようなことは確かにあるというふうに思いますけど、それを我々としてもしっかりと検証しながら対応していくことが大事じゃないかと思っています。  それからもう一つは、先ほど来、要は農地を所有している方々なり土地を所有している人の責務といいますか、こことやはり重要な関わりを持つのではないかと思っています。  農地制度については、平成二十一年の改正のときに、農地法で農業者の、農地を持っている人の責務規定が入りました。農地農地としてきちっと使うことが基本なんだということが入ったわけでありますし、また全体の土地でも、先般の土地基本法の改正の中でその所有者の、土地を持っている所有者の責務規定というものが盛り込まれたわけでありますけど、そういう意味では、日本においても農地を所有している方々の、農地なり土地を所有している人の管理の責任というようなことが改めて位置付けられておりますので、ある意味では少しそういう方に、土地の活用なり利用についての方向性というのは、また責任は出てきているのではないかというふうに思います。  済みません、ちょっと御質問の趣旨と違うかもしれませんけど、以上です。(発言する者あり)  失礼しました。  外国人の労働力の関係であります。  コロナで今なかなか入ってこられてないわけでありますが、ただ、これまで技能実習生で入ってこられた方々が特定技能の方に移行されるというふうな形も含めて、日本農業の中の生産において大きな役割を果たされているのは事実あるというふうに思っております。  ここのことと、国内での農業の就業者を確保することとのバランスということは我々としてもしっかりと考えていかなきゃいけないのかなと。全て外国に頼るということではないというふうに思います。
  46. 石井苗子

    ○石井苗子君 ありがとうございました。  それでは、光多参考人にお伺いいたします。  日本農業国であった歴史があるんですけれども、国家戦略において集約、統合に自主性を欠いたという歴史があるのではないかと思うんです。先ほどフランスの農業大国のお話を伺いましたけれども農地の集団利用ではなくて個別所有、つまり日本は地主と小作人の関係であった時代が長く続いていたと私は思っているんですが、それが、戦後、GHQが入ってきて農地改革というのをやったんですが、非常に乱暴だったという感想を持っております。農地の交換分合とか、森林と都市の、都市にあります農地の解放というのは、これは中途半端といいますか見送られてしまったというのが一つと、二番目には、一方で農地の没収といいますか、地主から没収して小作人に売るという非常に乱暴なやり方をされた、その中において、国家戦略ということであえいできたと思うんですね。  それで、兵庫県の養父市の国家戦略特区の話に飛ぶんですが、現在、企業の農地取得について、企業が農地を取得するという、これは、先ほどいろいろと例を具体的に御説明いただきまして、大変養父市でも御苦労なさっているなと思うんです。今後、その全国展開をこれするべきだとお考えになるかどうかというのを一つお伺いしたいんです。全国展開したときに、農業分野に進出するという、企業が農業分野に進出するという未来があると思われているかどうかということなんです。  その背景には、うちの政党はすごくその全国展開を養父市の例をもってしろという政党なんですが、私は、農林水産委員会に一人しかここにいないので、政党に帰っては、もう少し穏やかに頭を柔らかくして考えたらどうかと言っているんですけれどもですね。  企業が農地を取得した場合、利益が上がらなければほかの用途に転用して結局荒廃するという、農地がですね、また荒廃するという反対の御批判もあるわけです。実際にそのようなことになると考えられておりますか。それとも、このような弊害が起こることを防ぐ方法の具体的な、具体的な案が先ほどの信託という考えであられるのか。さっきの御説明聞いて、ちょっと私、余りよく分からないんですが、信託になると農業をしなくてもいい、けれども荒廃しない具体的なアイデアなのか、それとも国家戦略としてのアイデアなのか。  この質問で終わりたいと思います。
  47. 光多長温

    参考人光多長温君) ちょっと質問の意味がいま一つ理解していないんで、済みませんが。  一つは、今おっしゃった、前の担い手という概念と今の御質問というのは多分リンクしていると思うんですけど、担い手というのはそもそも、私もちょっと担い手という意味が、最初よく意味が分からなくて、多分トレーガーの意訳かなという感じがするんですけど、トレーガーですね、ドイツ語の、多分。  今おっしゃった、例えば農地を所有している人の責務というのが担い手の役割とすれば、担い手って、例えばリースをして、今日本農業で一番まだ伸びているのは、企業が土地を借りて農業をしているところが伸びている。それは担い手に入らないのかどうか。要するに、担い手というのは土地を持っている人だけの話なのか、先ほど御質問あった家族経営の人だけなのか、ちょっとそこがまず、まだちょっとよく理解できていないんですが。  後段の質問、ちょっとまだ完全に理解していません。これは、国会での御審議があったんで、それに立ち入ることはちょっと私は控えさせていただきたいと思いますが、企業の農地所有したときに今おっしゃったいろんな懸念があるということについて、これは、一番最初に会議のとき、石破さん、石破大臣がいわゆる石破四原則というのを出されたんですね。やっぱり、転用されないこと、ペナルティーを科すこととかいう形で。  そこの中に、もう一番強かったのが、企業が農地を所有して、それがどうして企業だけそういう悪者扱いするのかよく理解できませんが、そこを例えば産廃置場にしちゃうと、そういうことがないようにという話なんで、これには、念には念を入れて、一遍自治体が、養父市が買い取って、先ほどのように売りたい、貸したいという人たくさんいるわけですけど、そこから養父市が一遍買い取って、それをもし何かあった場合には買い取りますと、停止条件付で公有財産の処分にしているわけですね。なおかつ、毎月毎月、自治体の人が見回りに行っているわけです。養父市の場合は非常に地域のコミュニティーがしっかりしているところですから、みんなでその地域の中に、みんなでお互いに見合いながらやっていると。  ただ、そもそも何のために企業が農地所有するかというと、そこでその地域に根を下ろしてやりますよということのためにやっているわけですね。ですから、今おっしゃった全国展開という話は、養父市の場合は、少なくとも目的としては地域に根を下ろして企業が、例えばいつ出ていくか分からぬじゃなくて、地域に根を下ろして農業やりますよという形で地域の人たちとの融和を図ってやっているわけで、一つの形だと思うんですけど。  それは、例えば全国展開のどんな形で展開していくのかというのは、ちょっと私はそれについてはよく聞いておりませんので分かりませんが、少なくとも養父市の場合にはやっぱりそういう形で、先ほどのあった条件不利地域の中で、私たちは志ある企業と言っているんですけれども、志ある企業がそこのこれだけ条件不利地域の中に十数社来て、そこで農業を展開しておられるわけですよね。そこでその地域に溶け込むという形で、農地を多くはないんですけど所有して、地域の人たちと一緒にやっているという形が一つ条件不利地域の中での一つの形として今あり得るのかなという感じはしております。  これ、あくまでまだ、まだまだ緒に就いたばかりなんで卵の段階なんですが、これは育ててやっていただきたいと思います。
  48. 石井苗子

    ○石井苗子君 終わります。ありがとうございました。
  49. 舟山康江

    ○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。今日はありがとうございました。  多分、お二人とも共通しているのは、この農地問題と農業担い手をどう確保していくかというところは、担い手農業に従事する方ですね、どう確保していくかというところが密接不可分であって、単に農地だけではない、要は、やる人がいないから農地が荒れたり転用されたりということになるわけですから、やっぱりやる人をまず増やす、そのやる人を増やすためには、やはり何をおいても私も所得の確保をどうしていくのかということなのかなと思います。  光多参考人からも御紹介いただきましたけれども、フランスは様々な多面的役割も含めて、そこで農地を使って農業をしていただくことが経済にも国土保全にも役立つということで、そこが成り立つような様々な手厚い補助金がある、それはまた土地条件によってもしっかりと区別をしながら、やはり経営継続できるようにという仕組みになっているのかなと思っています。  そういう中で、日本も、先ほどお話ありましたけれども、かなり様々な補助制度はありますけれども、そこが体系的に薄いのかなと私は思うんです。特に、EU、それからスイスもそうですけれども農業所得に対するその直接補助金、直接支払の割合がスイスではもうほぼ一〇〇%、つまりほぼ所得は公的な支援、それはいろんな様々な役割を配慮して行われていると。EUでも平均して六割、フランスなんかでも多分六割、七割が直接支払だと思いますけれども、そういったことで所得が確保できるから、じゃ、そこで農業をやろうという形になっているんではないのかなと思っています。  そういう観点で、やはり今のこの国のいわゆる所得補償的な、その経営継続のための支援の在り方というものに対して、やはりあるべき、まだまだ足りないんじゃないのかなと思いますけれども、その点に関してお二人から御意見いただきたいと思います。
  50. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 経営を継続していくということのためのどういう支援が必要なのかということだと思いますけど、先ほどの資料の中にも示させていただいたんですけど、我々、やはり就農して、就農相談から、それから実際に就農して、それからまたそこに根付いて経営を確立していくという一定の長いスパンがあるわけでありますけど、そこを途切れ途切れではなくて、少し一気通貫した支援策、もう事業的には全部用意はされていると思うんですけど、なかなかそこを個々の農家で見たときにつながっているのかどうかというところは検証する必要があるんではないかというふうに思います。  ちょっとこの十ページのところにも書かせていただいているんですけど、特に認定新規就農者方々、これは新しく就農する場合、認定を受けて一定の支援をいただけるようになっているわけでありますけど、じゃ、そこから五年たって、今度は認定農業者に移行して、更に経営の発展を目指すというところのつながりが十分なのかどうかと、認定新規就農者で終わってしまって認定農業者になっていないという方もいらっしゃるわけでありまして、その辺のつながりをきちっとしていって自立した農業経営者になっていただくところまで、別にお金だけの話じゃなくて、そこのところをちゃんと一気通貫することが政策的にも求められるんじゃないかというふうに考えております。
  51. 光多長温

    参考人光多長温君) やっぱりフランスでは、やっぱりこれ、先ほど申し上げましたように、カエサルのときからですから、二千年以上も我々は農業国だと。日本農業国なのかどうか。何か、縄文式はむしろ狩猟ですよね。だから、日本は弥生式なのか縄文式かという議論があるんだけど、やっぱり農業は大事だと思うんですよ。  それでいくと、補助金の使い方として、今農地への補助金ってたくさんあるんですが、フランスの場合、やっぱりどうも見ていて、人に補助金出していると、で、そこで担い手を使ってくる。  私は、これから国の形として、例えばそこで補助金を出すことによって、そこで、農業もそこで良くなる、地域も良くなる、国土も保全されるということでいくと、そこについてのコスト・アンド・ベネフィットを計算をすれば、何か一つ補助金の出し方として形が出てくるんじゃないかなという感じがしますけどね。  まさに農業担い手の人が国土保全の担い手になるかもしれないし、そこを人に注目して補助金を出す。日本だと、どうも人に補助金出すということが所得補償的でなかなかティミッドなんですけれども、フランスの場合はやっぱり人に出すことによっていろいろな形で効果を出していくという形なので、補助金の出し方、それからそのコスト・アンド・ベネフィットを考えれば、これからいろんな方法が、出口はあるんじゃないかなという感じがいたします。
  52. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございました。  要は、やっぱり人がいなければその地域、人がいて初めてそこの地域に住んで、住みながらその農地を守り、集落をつくるということを考えると、やはり私も、人ですよね、人が経営継続する、できる、そこで様々な役割を果たし続ける、それは食料生産と環境保全、国土保全、そういった役割を果たし続けられるという観点での支援がやはり体系的にまだ薄いというところの中で、結局、もう俺の代で終わりだ、子供には継げないという形で後継者が、この二ページ目のアンケートにもありますけれども後継者がいないとか、そういった形になっていくのかなと思っています。  一方で、私もその権利者、これ農地法でのいわゆる権利者の責務というのは、所有者と、あと利用者と両方ありますけれども、一義的には所有者の責任というのが一体何なのかというところをもっと突き詰めていかないと、これから、所有と利用の分離という議論もありますけど、私は本来的にはやっぱり所有者がどういう責任を持っているのかということをもっと政策的に議論をして、その在り方を考えていかなければいけないんじゃないかと思っています。  要は、戦後の農地解放のときも、耕作する、いわゆる小作農、自作農の関係の中で、小作人が権利がない、働かされるというところで、やっぱり自ら耕作する人がちゃんと所有者になるべきだということの中で、地主から不当に安い値段で買い上げて安く売り渡すということをやって、やっぱり自分でやるから権利があったということが今余りにも薄くなってしまっていて、私は、本来的には耕作しなくなれば国が買い上げるとか、農地は公共財というところの中で様々な税制の優遇とかもありますから、耕作することをもう少し強く義務化していかないと、いろんな問題が出てきてしまうのかなと思っています。  もう一つの問題を、この同じ二ページ目ですね、ちょっとこれ本当にギャグのような話なのかなと思いますけれども、①、②で、いろんな担い手不足している、だから集約できない、だから遊休農地が出ると言いながら、新規参入のところに関してはあっせんできる農地がない。こんなに農地が余っているのにあっせんできる農地がないというところは、非常に壮大な矛盾であって、そこをどう解決していくのかというのは非常に大きな課題ではないのかなと思っています。  この矛盾に対して、今農業委員会として、農業会議所としてどのように取り組んでいるのかということと、この問題に関しても、これ多分、光多参考人からもまたお聞きしたいんですけれども、私、やっぱりその入口は、やりたい人がもっとできるように、もっと農地を、所有なのか賃借なのかはともかく、やっぱりやりたい人がちゃんと農地を使ってやれるように、だけど、逆に変な転用は許さない、それから耕作放棄は許さないという形で、入口は緩和をし、出口を規制していくということは大きな方向性として今後議論していかなきゃいけないのかなと思いますけれども、その辺りも含めて、お二人からお考えをお聞きしたいと思います。
  53. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 今先生おっしゃったこの①、②と③の関係、私どももこの調査を見て、どういうことだろうかと、委員会で、なぜ一方で農地が余って担い手がいないと言って、新規就農で入ってこようとする方に対してあっせんできる農地が少ないということがある。  大分、分析をしてみました。その一つの要因としては、農地を出される方はいるんですけど、やっぱりまとまった形で、要は新規就農向け団地みたいな形での提供がほとんどできていないわけですよね。そうなると、どうしても、入ってこようとする方も、効率的な農業経営とか、例えば今度は有機農業で入りたいとかと言われたときに、その条件に合った農地がなかなか見付からないというふうな、少し細かい部分でそういうことがあるんではないかというふうに思っております。  したがって、我々、特に今回、みどりの食料システム戦略で百万ヘクタールの有機農業という話が出た中で、新規就農を希望される方の四分の一近くは有機農業でやりたい、そしてまた実際に有機農業をやられている方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々がそれこそスムーズに入ってこれるような形ということになると、ここに有機農地が出た、有機農地というか農地の出し手がいるからということだけじゃなくて、少しまとめた形で、一般の慣行農業のところと有機農業に支障のないような形の団地化を図りながら新規就農を呼び込んでくるとか、そういったような取組も必要ではないかなということを思っております。  我々、もう少しここのところは更に掘り下げて対策を講じていきたいというふうに思います。またいろいろ御指導いただければ有り難いと思います。
  54. 光多長温

    参考人光多長温君) ちょっとずれますが、先ほど石井先生がおっしゃったのかな、農地改革のそのときの記録を読むと、やっぱりGHQが目指した農地改革からかなりずれたものになっちゃったと。GHQはやっぱりアメリカ型のようにもうちょっと大規模な形で集約、統合したかったんだけど、何か時間がなかったと書いてあるんですけども、結局従来の形で、かえって細分化して新しい問題ができちゃったと。だから、農地改革、言ってみれば、まだ戦後は終わっていないという感じもするんですけど、そこのところに淵源があるとすれば、やっぱりその農地集約、統合をちゃんとして、それで、先ほどのその所有権何とかというのは、やっぱりこれは例の空き家の問題、随分こうやって、結局登記のところでいろいろやるという形で法律ができたと思いますが、あの間の議論の経緯を見ても、何かやっぱり所有権の話になると、あれ二十九条ですかね、やっぱり憲法問題に触れるものだから、何か途中で議論がちょっと止まっちゃっている印象を受けるんですよね。  でもやっぱり、そこに巻き込まれちゃっている面があるんだけど、何か憲法問題は憲法問題として、やっぱりこれだけ農地が荒廃している、日本農地だけじゃなくて土地が空疎になっているという中で、やっぱり長期的な話として是非議論していただきたい。それは、農地集約、統合化であり、所有とか使い方の問題含めて長期的な議論をしていただきたいと思います。  済みません、答えになっていないかもしれませんが、済みません。
  55. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございました。  やはり、今の農地問題の出発点は、多分、戦後のその農地解放、農地改革というところを考えると、なかなか所有権、個人財産権という中で国が強制的に買い上げるというのは現実難しいのかなと思いつつ、でも、私、原点に立ち返ると、耕作もしないのに持ち続ける、しかもそれを放置して荒れ地にしたままにするということは私は本来は許されないんだろうなという気がするんですね。  そう考えたときに、改めて、なかなか難しいんだと思いますけども、根本的にこの農地の所有、利用の在り方というのは本気で検討していかないと、まさにその耕作放棄地、もう再生不可能な荒廃地がたくさん出てきている状況の中で、もう今手を打っていかないと大変なことになるのかなと思うのが一点と、もう一つは、今、担い手と、さっきからその言葉も含めて議論がありますけども、今担い手の定義を少し緩めていわゆる半農半Xとかそういった人たちも担い手にというけど、そうじゃなくて、いろんな、そこでやっぱり農地を守り耕作をする方々をどう確保していくのかと。  その原点は、もう冒頭に言いましたけれども、やっぱりその規模に応じてそれぞれですけれども一定程度の所得が確保できる体制をつくりながら農地利用し続ける。その際に、やはりその法人に関して、私、お話資料なんかも読ませていただいて、何かやみくもに、失礼ながら、光多参考人もとにかく企業が農地所有したっていいじゃないかという御主張をされているかと思ったらそうではなくて、やはりしっかりと出口を規制する。そのために市が半ば保証人のような形で転用等ができないような手だてもつくった上で、今、養父が進めていますけれども、やっぱりそこの中身が飛ばされた中で、何かとにかく株式会社がどんどん農地を所有していいんだという議論にその養父の問題がすり替えられているような、そんな気がしていますので、そこも含めて出口をどうするのか、その企業の所有に当たっては何が問題で、どうすればいいのかという議論も併せてしっかりしていかなければいけないということを改めて感じました。  時間となりましたので終わります。ありがとうございました。
  56. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  お二人の参考人皆さん、本当に発言ありがとうございます。  それで、私の方からは、まず最初に、この十年間の農地の政策、農政について伺いたいなというふうに思っていて、それで、農林業センサスが四月二十七日に発表されたんですよね。それで、そのセンサスの中で、この十年間の農地状況で、二〇二〇年の経営耕地の面積が三百二十三万ヘクタールと、二〇一五年、この五年間で見ると二十二万ヘクタール減少していて、更にそのもっと前の五年間、二〇一〇年から二〇一五年の減少面積が十八万ヘクタールですから、直近の五年の方が減り方が早いというか、そういうことが分かる中身なんですよね。  それで、ちょっと振り返りますと、安倍政権の下で、前政権の下で二〇一三年のときに日本再興戦略というのが出されていました。それで、その中でいうと、今後十年間で、二〇一三年からですから、十年間で全農地面積の八割が担い手によって利用されるんだと、米の生産コストは現状全国平均比で四割削減をし、法人経営数は五万法人にするということなどが掲げられていました。  その年の十二月に農林水産業・地域の活力創造プランというのが決定をされていて、日本再興戦略を具体化をして、農地中間管理機構による担い手への農地集積集約化耕作放棄地発生防止、解消、そして日本型直接支払制度の創設などが掲げられていたと思います。同時に、当時の安倍総理は、今後十年間で農業農村全体の所得を倍増しますという話もおっしゃっていました。  それで、農林漁業のセンサスで経営耕地面積の減少が、減少幅が増えているわけなんですけど、この十年間の農地政策が実際どうだったのかなと、政策的にやっぱりこういうところがもっと足りなかったんじゃないかとかというところがあったとすればそれは何なのかなということを、ちょっとお二人にお聞きしたいと思います。
  57. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 先生からさっき、農林業センサスでの耕地面積がかなり減少していると。この要因なんですけど、農地政策なのかどうかということも含めてなんですけど、一つ、センサスの数字は、これは御案内のように属人の調査になっていますので、実際の農林省の耕地面積統計の面積よりもぐっと低く出てきています。これは、農家調査でやって、農家が所有している面積で積み上げたらこういうことだということなんですけど、私ちょっと心配しておりますのは、要は、いわゆるこの数字に表れないところがどんどん増えているという、それは何かというと、いわゆる不在村の農地所有者が増加しているのが、これは二〇一〇年のときと一五年でも明らかになっているんですけど、そのことが更に増えてきているんではないかなということ、ちょっともう少しきちっと分析しないといけないんですけど、土地持ち非農家というのはそこにいらっしゃって農地を貸したりしている方々のデータになるんですけど、不在村の数字がここに出てこないということになると、先ほど来、この農地利用のありようとかを集落段階話合いをしようとしても、農地はそこにあるんだけどその所有者の方は外へ出ていらっしゃるということになると、なかなかその全体を含めて地権者の話合いができないというようなことも出てきますので。  そういう、田舎に農地を持っていらっしゃる方々が増える中で、その地域農地利用をこれからどうしていくかの話合いをどういう姿で進めていくのか、そういう方々意見をどう集約していくのか、それから、本来であれば、そういう方々が全部中間管理機構の方へ預けていただいて、もう地域のためにちゃんと活用してくださいよということになれば一番いいんですけど、その辺のところが、これまでそういう状況が増えてきているということを踏まえた今後の課題としてはあるんじゃないかなというふうに思っています。
  58. 光多長温

    参考人光多長温君) 私、農業専門家じゃありませんのでよく分かりませんが、やっぱりこの十年間というのは、経済自体も何となくこう、何というか、張りがないといいますかね、やっぱり、私が大学を卒業したもう五十年近く前は何かこう、みんなで上昇志向だったんですけど、何かやっぱり社会に対する張りがない。だから、それが、先ほどの空き地、空き家、耕作放棄、それから就業者減、何となくこう、そうですね、これ言葉が過ぎるかもしれませんが、ちょっと世の中のこの張りがないような感じの一環かなという感じがします。  ちょっとお答えになっていなくて済みませんが。
  59. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  やっぱり私も、農地農地として活用するというか、利用していくということが大事だというふうに思うんですよね。それで、今十年間という話だったんですけど、私、国会に来たのが二〇〇一年なんですけど、そのときからでいうと、大体二十年ぐらいの間に全体で五十万ヘクタール減っているんですよね。それで、どうして農地があるのに農地として利用できないのか、しないのかというふうに思うと、ちょっといろいろ出ていましたけれども、やっぱり端的に言うと、農業で生活できないという事態があるんだと思うんです。それで、やっぱり生活できれば農業で頑張ってやろうという人はいるんだと思うんだけど、例えば米価が生産費よりも下回っているという状況だとやっぱり続かないわけで、そうすると、やりたいと思っていたけど離れざるを得なくなるという事態もあるんだというふうに思うんですよね。  だから、やっぱりそういう状況が、一つは、ちゃんと見なきゃいけないというのと、今、柚木さんから話があった問題も非常に大事な課題なんだと思うんですよ。やっぱり、今後、話ししていかなきゃいけない、詰めていかなきゃいけない話なんだと思うんですけど、やっぱりそういう基本となる、その所得という話もありましたけど、そこのところというのが本当に大事なポイントになるのかなというふうに思います。  そこで、農林水産省の方向としては、これまででいうと産業政策と地域政策、これが車の両輪なんだという形でやってきたと思うんですけど、その地域政策の中心的な政策でいうと、やっぱり中山間地域の直接支払制度というのがあって、ほかにもありますけど、日本型の直接支払制度と。でも、現状を見ると、これ交付する面積も予算額も横ばいというか減少傾向にあるわけです。  それで、農林水産省の農村政策がこの農地の保全を軸にした政策ということになっているんだけれども、それだけで農地の減少というのは防げるんだろうかというのがすごい問題意識で。それで、やっぱり集落そのものをどうするのかということがないと、やっぱり農地をあっちからこっちへとか、こういうふうに集約してとかという話だけではちょっと大変じゃないのかなと。やっぱり集落そのものをどうするのかということもあるんじゃないかというふうに思うんですけど、この点でまたお二方に意見を伺いたいと思います。
  60. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 冒頭の意見でもちょっと事例で御紹介させていただいた愛知県の豊川の事例でございますけど、やはり、先生おっしゃるように、農地の維持管理、利用の話と、それから集落の体制整備といいますか、これは表裏一体だというふうに思っています。したがって、ここでも御紹介したように、地域全体の農地をどう、その地域の、今いる地域の人で守り、また活用していくのかということで、ただ、これ年がたつと、そういう方々も、次の世代がそこに住んでいらっしゃれば別ですけど、いらっしゃらないとなると、じゃ、外から入ってきてもらうのか、そういうふうなことも検討していかなきゃいけないんですけど、いずれにしても、地域集落としてこの農地をどうするんだというような共通認識を持つ、持っていただくということがまず必要ではないかというふうに思います。その上で、いろんな管理の仕方、利用の仕方についてどういう手法を取っていくのかということを、いろんな事業なんかも活用しながら考えていくことになるのではないかなというようにも思っております。  あと、中山間地域については、とりわけやはり我々が主張させていただいているのは、中山間地域ということで一定のエリアが規定されているわけでありますけど、それに入らない条件不利の地域がかなり全国的にあるわけで、その辺にも目配りをもう少しして、基本的には、知事特認という制度はあるんですけど、なかなかそれが活用されていない県もありますものですから、もう少しそこはきめ細かくやる必要があるんじゃないかということを主張させていただいております。  以上です。
  61. 光多長温

    参考人光多長温君) 私は余り詳しくないので、ピント外れかもしれません。  今おっしゃった五十万ヘクタールぐらい減少しているというのは、実際にヨーロッパ、これはドイツもフランスもそうなんですが、農地と都市との区別がしっかりしていますね。ですから、多分、五十万ヘクタール減ったという非常に大きい部分は、都市との境、隣接地辺りで多分都市的利用に移ったんじゃないかなという感じがしますが、特にそういう点でいくと、先ほどバルビゾンの写真がありましたが、もう農地農地で、これを百年以上絶対変えない。  日本の場合にはやっぱりそこを、まあ都市計画法の問題かもしれませんが、用途規制の、用地規制のところが非常に緩いんじゃないでしょうか。だから、土地の所有権だけやたらと強くて、その土地の用途規制のところは非常に緩い。そうすると、結局これはどんどん利益が出る方に移っていっちゃうみたいな話が出てきて、今度のカーボンニュートラルでもまた農地とか林地が減っちゃうかもしれないと。やっぱりそういうところの国土の管理の在り方を少し考えていただいた方がいいと思います。  少なくとも、だから、先ほどのフランスのあれで見ますと、オードセーヌとかずっといろいろ見て回ったんですが、少なくとも農地を都市的利用にどんどん移すというやり方は、形で農地が減るという、そういうシチュエーションがないものですから、日本はやっぱりそこの国土管理の在り方自体を考えていただかないと、だんだん農地がやっぱり追いやられていくという感じがいたします。
  62. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございます。  都市計画法との関係で、例えば東京なんかも空洞化している地域が、元はもう住宅がいっぱい、人が増えるものだから増やしたんだけど、高齢化していなくなってマンションも空いているというところもあって、そういうところの都市計画見直しなんかもなったときに、やっぱりそういう都市計画法の中でもそういうところは例えば農地にするだとか、そういうことなんかも含めて積極的に考えた方がいいんじゃないかというふうに前に質問したことがあるんですけれども、そういったことも非常に求められているんだろうと思います。  それで、ちょっと今後の問題で、あと、時間がなくなっているので一点だけなんですけど、五月の二十五日に全国農業会議会長大会があって、今日もちょっと提起いただいているんですけど、資料を拝見したんですけど、農地政策について、農地について、令和五年、二〇二三年までに農地の八割担い手集積することに加えて、人口減少下における農地確保利用の在り方について、各種制度整合性を確立するというふうに書いてあるわけですよね。  それで、認定農業者が高齢化をして離農した場合に誰が農地を維持するのかということが間近に迫った課題になっていると思うんですけど、これはどうするのかということと、それから、政府の政策でいうと、農地の八割を担い手集積するということなんですけれども、残り二割ですね、八割の話は出るんだけど、残り二割の位置付けはどうするのかということについて、ちょっとこれは柚木さんに伺いたいと思います。
  63. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 先ほども申し上げたんですけど、一つは、認定農業者が今経営をされている農地について、これを次の世代に継承していくための対策、それは間断なくやっていかなきゃいけない。ただ、それは親子間の継承だけではなかなか進まないところがありますので、そこは第三者経営継承という観点を取り入れてやっていく必要があると思いますし、もう一つは、法人経営として、これ規模拡大も含めて、そういうリタイアをされるところの農地集積をしながら対応していくというやり方、ここの部分がいわゆる産業政策としての経営の発展という意味では必要だというふうに思っています。  それからもう一つ、私どもも、もう三年前ぐらいからですけど、このいわゆる二割農地を、担い手利用外の二割の農地をどういうふうに維持をしていくのかということについていろいろ研究、検討もしてきたわけでありますし、昨年の政府の基本計画でもそういう視点で多様な農地利用の在り方等が、これは地域政策の観点を入れて取り込まれたというふうに思っておりますので、そういう視点から、やや粗放的な農地管理の手法を取り込んだ形の、何かあったときにはちゃんとそこで食料の生産ができるというような維持をしていく。それからまた、周りに迷惑を掛けない、荒廃化して周辺の農地に迷惑掛からないような維持の管理の在り方というようなことを全体として考えていく必要があるんだというふうに思っています。
  64. 紙智子

    ○紙智子君 時間になりましたので、これで終わります。  やっぱり農地、大事な問題ですし、それから在り方をめぐっての議論が必要だということも全くそのとおりだと思いますので、引き続きまた議論していきたいということで、終わりたいと思います。
  65. 須藤元気

    ○須藤元気君 こんにちは。無所属の須藤元気です。今日は、貴重なお時間をありがとうございます。  まずは、半農半Xについて質問させていただきます。  令和三年度全国農業委員会会長大会政策提案を拝見しますと、半農半Xなど農地利用しその保全に寄与する者を政策支援の対象とすること、そして、半農半Xの実施者については、今後の農村の大事な構成員と位置付け積極的に誘致するとあり、半農半Xの存在をプラスに評価していただいており、大変心強く思います。  半農半Xは、自分や家族が食べる分は自給で賄い、残りの時間はX、つまり自分のやりたいことに費やすという生き方です。人生楽しいときもあればつらいときもありますが、振り返ればあっという間ですので、好きなことをやる、好きなことを仕事にするというのは大切だと思っています。ですから、この半農半Xという暮らし方にとても共感しており、私自身も半農半政治家をやってみたいなとちょっと本気で考えております。半政治家というと、ちょっと半人前の政治家のようにも聞こえますが。  さて、まず柚木参考人にお伺いいたします。  今日いただいた資料の中で、半農半X当事者とこの迎え入れる農業農村現場がストレスなく対応できる条件整備を至急検討することとあります。半農半Xに期待をされていると同時に、少し心配な存在でもあるように見受けられます。  そこで、半農半X農業農村現場にとってどのような存在として受け止められているのか、また、お互いにとってストレスなく半農半X農業農村方々と共存していくにはどのような条件整備が必要だとお考えなのか、お聞かせください。
  66. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 大変重要な御質問をいただきまして、ありがとうございます。  ここで私どもが問題意識を持っておりますのは、半農半X、言葉としてはあるんですけど、じゃ、実際何なんだということになると、これはもうあえて新規兼業というふうに呼ばせていただいています。  兼業農家は既に既存の兼業農家もあるわけでありまして、これまでの政策的には、新規就農者については、基本的には農業で自立をしていく、一本立ちをしていく方々を最初は小面積でも入ってきていただくということで下限面積をそれぞれ引き下げたりしてきているわけなんですけど、ここに来て、これは国交省の方の関係もあるんですけど、農地付空き家とかですね、先ほどお話あった空き家に付随した形で小面積農地が付いているような場合も下限面積の対象にして引き下げて、極端な例としては、一平米でもいいというふうな状況の市町村もございます。こういうことなんですけど、あくまでもそれは、スタートはそうなんだけど、要は農業で頑張っていただくというのが前提にしています。  ただ一方、今度、半農半X農業で頑張るだけじゃなくて兼業でもいいよということになりますので、今までの方向とは、新しい方向が出てきたわけですので、そこは政策的にも明確にして、特に中山間地域等においてはなかなか効率的な農地利用とか産業的な農業経営というのは難しい地域もございますので、そういうところで人を呼び込んでいく一つ対応としていろんなそういう施策が打ち出しをされておられますので、農地政策上も、例えば特定地域づくりの事業協同組合とかいろいろ新しい仕組みもありますので、そういうところでの働きと農業もやるというような組合せとか、いろんなものが出てくると思いますので、そこのところを農地制度上もちゃんと整理をしておいた方が、農業委員会で新しく農地の権利取得をするのに審査をするようなときに混乱のないように、また、せっかくそういうところで頑張っていこうといって意欲を持って入ってこられても、地元の方が腰が引けていたらうまくいきませんものですから、そこのところは思い切って新しい仕組みをちゃんとつくっていくことが大事だと、それをまた現場に周知をすることが大事だというふうに、そういう問題意識でここは提案させていただきました。
  67. 須藤元気

    ○須藤元気君 次に、光多参考人にお伺いいたします。  中山間地域の活性化にお詳しいと存じます。地域の外から半農半Xが中山間地域にやってくることが中山間地域の活性化、農地の保全管理に与える効果をどのように見ていますでしょうか。また、地域農業と共存していくための何か知恵や工夫などありましたら、教えてください。
  68. 光多長温

    参考人光多長温君) 半農半X、たしか十年以上前から綾部に住んでおられる塩見さんでしたっけね、ずっと主張しておられて、こういう形で受け止めていただいて有り難いなと思います。  一つは、先ほど申し上げましたように、フランスの場合にはそういう人も含めてアンブレラという形でいろんな受皿があるんですね。この人は半日だけやるという受皿があります。ただ、一つちょっと申し上げたい。今、柚木さんがおっしゃったところもあるかもしれませんが、フランスの場合に、いろんな形で農業を新しく就業させるというときでも、やっぱり一定の資格が要るんですね。やっぱりそこのフェンスだけは保っておく。例えば、農業関係の教育機関の卒業者であるとか、農業経験者が、農業経験五年を持つ者とか、やっぱり一定の、やっぱり農業というのはそんなに簡単なものじゃないですから、やっぱりそこについては一定の資格といいますかね、フランスでも資格があるので、だから、その半農半Xというのはやっぱりそこは多分もうちょっと緩いものだと思うんですが、ちょっと、地域おこしにはいいと思いますが、我々が今議論しております農業ということについて、やっぱり一定の訓練を積んで、教育訓練を積んでいただくことが必要だと思います。
  69. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。  今、フランスの農のお話が出ましたけれども、ロシアはいかがでしょうか。このロシアで古くから普及しているこの郊外型菜園、ダーチャを日本にも導入すれば、自給率の向上や農村の維持、さらには都市生活者の心の充足も実現できるのではないかと思いました。ソビエト崩壊後、経済が著しく疲弊し、治安が悪化し、極度のインフレで家計が行き詰まる中、ダーチャがあったおかげで市民が食料を自給し、飢え死にせずに身を守り抜いたとのことです。ロシア国内で生産されるジャガイモの九〇%、野菜や果物の七〇%以上をダーチャが占めていたとの統計もあるといいます。  ここで両参考人に質問ですが、日本でも都市住民が週末などに滞在し農作業を楽しめるこの住宅、ダーチャみたいなものを建設し、コミュニティーをつくるアイデアはいかがでしょうか。もちろん地元の農家さんの協力も必要だと思いますが、耕さずに育てる不耕起農法ならば負担も減るので可能なような気がします。  あと、これと併せて、大規模化や効率化を追求する農業とは異なるこの小さな農の在り方を私は追求していくべきだと考えますが、両参考人の御意見をお聞かせください。
  70. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 日本でも、もう先生御案内のように、市民農園とか体験農園というような形で、そういう小規模というか、農業に親しむような形で野菜作りとかをされている、そういうものが非常に特に都市地域農業の中では大きく展開を今されておられますし、また週末に一定の宿泊を兼ねた形のものも全国的には用意をされている地域もございます。  そういうものは今後更に需要が高まってくるというふうに思いますし、推進を図っていく必要があるというふうに思います。そういう中から農業に本気で取り組む方もまた生まれてくるんではないかというふうに思っておりますので、そういう観点は今後とも大事だというふうに思っております。  以上です。
  71. 光多長温

    参考人光多長温君) この前、笠間に行ったんですけど、クラインガルテンを見に行って、あれ、やっぱりもっと広められないですかね。年間で、家と農地が付いていて、年間五十万でそこを借りて農地を耕せて。結構競争倍率高いんですけど、それで、もっと耕したい人はもっと土地があると。これ、全国的にもっと、ドイツ型なんですけど、もっと広めると、何か農業がもうちょっと身近になってくる。  例えば定年退職してから、そこで、二年間延長も可能なので、何かクラインガルテンをもうちょっと広げると、これは根本的な農業じゃないとはもちろん分かりますが、何かもう少し農業が身近になってくる可能性もいたします。
  72. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。  農林水産省が先月、みどりの食料システム戦略を決定し、今後、有機農業を大幅に拡大していくことになりました。私自身も、有機農業の普及に向けて何かできないかと考え、友達と一緒に国産の有機小麦を使ったパン屋さんをやろうかと計画をしておりました。水分の多い高加水パンというものを試作して、結構おいしくできるようになったんですが、しかし、そこにちょっと問題がありまして、実際に使おうとしている有機小麦の安定的な調達が難しいことに気付き、現在プロジェクトがストップしております。  よく考えれば、有機農業農地面積の割合は僅か〇・五%です。小麦はといいますと、有機JAS認証を取得しているものはたった〇・〇八%しかありません。これは難しいわけです、はい、難しいです。こういった現状も踏まえ、二〇五〇年までに有機農業取組面積割合を二五%、百万ヘクタールに拡大することは果たして可能なのか、疑問に感じております。  そこで、柚木参考人にお伺いします。  政策提案には、用途区分として有機農業区域を設けることや、あと農地情報の積み上げとデータベース化を図ることなど、いろいろと挙げられております。有機農業の拡大に向けて、必要な方策についてお考えをお聞かせ願います。
  73. 柚木茂夫

    参考人柚木茂夫君) 提案に書かせていただいたとおりなんでございますけど、いずれにしても、やはり一つは、この有機農業に関する技術的な革新というのがこれはもう不可欠だというふうに思っていますし、一方で、環境配慮の視点からもこの取組は進めていかなきゃいけない。  ただ、じゃ、どういう形で具体的に進めるのかというふうな観点から、先ほどもちょっと触れましたけど、できるだけ、やはり、一つは既存の農地で有機JAS認証を受けていくという形と、それから荒廃農地のようなところを改めて有機農業圃場として再構築していくというふうなやり方も含めて、ここで書かせていただいたのは、そういう転換を希望する農地の情報をやはり積み上げをして、そしてそこにいわゆる有機認証ができるようないろんな指導、支援もしていくということ、それから、新規就農者を希望する方で有機農業を志す方はかなりいらっしゃいますものですから、そことのうまいマッチングを進めていくということが当面は必要ではないかなということでここへ提起をさせていただきました。
  74. 須藤元気

    ○須藤元気君 ありがとうございます。  次は、光多参考人にお伺いします。  養父市は有機農業取組も盛んであると承知しております。今後の有機農業の拡大に向けて御助言をいただければと思います。お願いします。
  75. 光多長温

    参考人光多長温君) 農業イコール有機農業という世界ですから、殊更、それに、最近、何ですかね、いろんな国際基準みたいなところ、それもクリアしていこうとかいう形でいろいろやっております。
  76. 須藤元気

    ○須藤元気君 今日は貴重なお話をありがとうございました。私の質問は以上になります。
  77. 上月良祐

    委員長上月良祐君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会