○東徹君
日本維新の会・
希望の党の東徹です。
会派を代表して、
障害者雇用の
促進等に関する
法律の一部を改正する
法律案について、
厚生労働大臣に
質問いたします。
まず、今回の
法改正のきっかけにもなった国の
障害者雇用数の水増し問題について伺います。
昨年、本来は
障害者雇用を率先して進めるべき国において、
障害者雇用数を水増ししていたことが分かりました。
具体的には、
平成二十九年六月一日時点の国の行政機関の実績について、再点検前は実
雇用率は二・四九%と
法定雇用率二・三%を満たしていましたが、点検後は一・一八%と半分以下に大きく減りました。
人数では、国税庁が一千百三人、国土交通省六百二十九人など、合計で三千四百四十五人が不適切な計上であることが判明いたしました。そのうち、既に在職していなかった人は九十一名含まれ、国土交通省では亡くなられた方も含まれていました。ほかにも、過去に在職したこともない人も二名含まれるなど、大変悪質かつずさん極まりない不祥事です。
一方で、
民間企業は、
障害者雇用の
法定雇用率を達していなければ、一人につき年間にすれば六十万円支払わなければなりません。支払うことができなければ、滞納処分として強制的に徴収されます。これは赤字であっても強制的に徴収されます。
民間には大変厳しい
制度となっています。
国の悪質な水増しが明らかになって、
障害者雇用施策に対する
民間からの信頼は失われるだけでなく、もはや真面目に取り組んでもらえなくなってしまうことを一番危惧しております。
この問題は、昭和三十五年の
法改正で国に
身体障害者の
雇用義務化が図られて以降六十年間、漫然と行われてきた可能性すらありますが、なぜこのようなことが起こったのか、国としてどのようにすべきであったと
考えているのか、伺います。
また、国は、水増し問題が明らかになってから、慌てて
法定雇用率を達成するために、今年の十二月までに約四千人の
障害者を
採用しようとしています。
民間企業は限られた人件費の中でやりくりしながら
障害者雇用を進めている中、国が四千人も一気に
雇用しようとすればどういうことが起きるか。
民間で
雇用されている
障害者が退職して国の機関に流れてくる、その結果、
民間での
採用がまた厳しい
状況になってしまいます。
これは、厚生労働委員会の参考人質疑でも指摘されていました。
採用にもう少し時間を掛けるなど、
民間企業にも
配慮した形をなぜ取ることができなかったのか、答弁を求めます。
政府は、今年十月に消費税を増税する方針であり、財政が厳しい
状況にあると主張しています。そのような中で、安易に
国家公務員の定数を増やすことは許されません。ところが、政府は、
障害者雇用の
法定雇用率を達成するために、定員、一千二百五十人も増やしました。
民間は、赤字や倒産のリスクがあるため、
職員を増やすことはそう簡単にはできません。しかし、国は税金で
職員を増やすことができるから何も痛まない。こんなことは認められません。国も、
民間企業と同様、定員を増やさずに
法定雇用率を達成すべきと
考えますが、お答えください。
新たな
認定制度の創設について伺います。
今回の
法案では、
障害者雇用に関して優良な
中小事業主に対する
認定制度を創設するとされています。
しかしながら、女性
活躍の
推進を
目的としたえるぼし
認定制度は、大
企業も含めて、いまだ全国でたった八百三十八社しか認定を受けていません。えるぼし認定は女性
活躍推進にとって何の成果もないと言ってもいいぐらいの
状況で、今回また新たに
認定制度をつくろうとするのは、
厚生労働省が単に上から目線の
認定制度が好みでやっているのではないかと疑いたくなります。
えるぼしやくるみんなど、既にある
制度の成果がよく分からない中で、新たな
認定制度は、いつまでに何社の取得を目標にしているのか、また、それによってどのような効果が出ると
考えているのか、答弁を求めます。
障害者雇用に関する
納付金制度について伺います。
この
制度は、昭和五十一年に創設されました。なぜこのような
制度があるのか、赤字の
企業でも
納付金を納めなければならない
理由は何なのか、改めて伺います。
また、昨年六月一日の国の機関の
雇用率は一・二二%にとどまっています。仮に、国にこの
制度が適用されていた場合、国は過去に遡って一体幾らの
納付金を納めなければならないのか、試算の結果を伺います。
納付金制度の国への適用について伺います。
納付金制度は、国には適用されていませんが、
障害者雇用を進めるために必要な
制度であるならば、率先して
雇用を進めるべき国にも適用するのが当然です。
厚生労働省は、国に適用すると
国民に納付義務を転嫁することになると言いますが、自分
たちの人件費を削れば、納付義務を
国民に転嫁することにはなりません。大臣の答弁を求めます。
また、国は、各
府省で
法定雇用率を達成できなかった場合に翌
年度の庁費を減額しようとしていますが、その減額分は使途が限定されておらず、
障害者雇用のために使われる仕組みになっていません。各
府省の
障害者採用計画の達成を促すことが
目的であれば、庁費を減額するよりも人件費を削減する方が、各
府省は本気で
計画達成に取り組むはずです。
あくまでも
納付金制度の国への適用を否定するのであれば、庁費の減額ではなく、
障害者雇用の
促進に使い道を限定した上で、各
府省の人件費を減額を検討すべきと
考えます。
民間には強制徴収という厳しい
制度を適用している以上、当然だと思いますが、答弁を求めます。
物品等の調達について伺います。
障害者優先調達
推進法に基づき、国等は、文字どおり、
障害者就労施設等から物品等の調達を進めることとされています。しかしながら、
平成二十九
年度の調達実績を各
府省別に見ると、復興庁は僅か二件で八万一千円であり、外務省も十件で三百七十九万円にとどまっています。また、各
府省の合計額を見ても、国の調達額約八億五千万円は東京都の約九億円よりも少なく、国が
一つの自治体よりも下回っている有様です。
障害者雇用を進める上で行政がやるべきは、
法定雇用率の達成はもちろん、
民間が
障害者雇用をしやすくするよう
仕事を発注することです。早急に各
府省の調達額を
拡大させるため、どのような対策を行うのか、伺います。
また、行政以外の国の機関を見ても、例えば、議員会館や国会の建物の中で余り
障害者が働いている姿を見かけることがありません。最新の
障害者実
雇用率は、立法機関が一・〇三%、司法機関は〇・九八%。行政機関よりも
取組が遅れており、調達実績も、最高裁は、
平成二十九
年度は十二件で百七十四万円にとどまっています。
立法機関の
状況については我々も反省しなければなりませんが、全ての国の機関で調達額を増やすよう政府がもっと働きかけていくべきではないかと。見解を伺います。
障害者雇用を進めることは
我が国にとって重要な課題ですが、
我が国の厳しい財政や
民間への
影響を
考えると、国は中長期的に
採用を進めるべきであり、加えて、ただ国で
障害者雇用を増やすのではなくて、
民間での
雇用が更に増えるよう
支援していく、
障害者の
活躍の場が広がるよう国と
民間で
雇用のシェアを進めていくことが重要であることを改めて申し上げ、
質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣根本匠君
登壇、
拍手〕