○江崎孝君 今
局長おっしゃったとおり、寄附でもない、納税でもない、非常にいいとこ取りみたいなところあって、寄附金税制の名を借りた
自治体間の税の移転システムであるという、こういうことでいいと思うんですが、ちょっと、私も努力をして一枚の
資料を作ってまいりました。これは現行
制度でございます。もう釈迦に説法だと思いますけれども、よくまあこういう
制度を考えたなというのが率直な思いなんですが。
仮定がございます。そこに、B市在住の納税者Aさんが三万円のふるさと納税をC市へ行う場合ということで、B市在住、これは所得税二〇%適用と仮定をします。そうすると、三万円からまず二千円、これ下限額ですね、さっきから何回も
説明をしていただいている二千円を引くと二万八千円なんですよ。その二万八千円に所得税の還付額二〇%、〇・二掛けると五千六百円、これが還付されると。その五千六百円を、今度はB市の
住民税額控除ということで二万八千円から五千六百円引く、すると二万二千四百円になるんですね。これが控除されるという、翌年の
住民税から。
これが、B市に行きますと、B市は在住しているところですね。二万二千四百円の税収減になります、当然これ個人
住民税が。そうすると、これ、B市は
地方交付税の
地方交付税基準財政収入額が減、これ交付
団体と仮定をしますと、B市の
地方交付税基準財政収入額が減額になります。しかし、このシステムは、これを
交付税で補填するというシステムですから、二万二千四百円のうち七五%、これは留保
財源というのがございますね、必ず
交付税には留保
財源というのを見ますので、七五%分、一万六千八百円は返ってくるわけです。
交付税として返ってくるというか、
交付税の中に算入されるわけです。ですから、B市の損失というか、今回の三万円ふるさと納税をしたことによって五千六百円の税収減ということになります。
じゃ、C市はどうかというと、三万円のふるさと納税を受けたわけですね。三万円は、これ
交付税、不交付
団体じゃなくて
交付税の
団体だとしても、余りこれ
関係ないですけれども、C市の
地方交付税の
基準財政収入額のこれ算定外、算入外なんですね、C市は。ですから、丸々三万円はC市の懐に入ってくると。
ただ、これ、返礼品を出すということを
前提にすると、返礼品の
事務コストが三千円掛かったとします。仮定です、三千円掛かったとする。そして、返礼品Xを一万四千五百円の分をやったとします、渡したとします。そうすると、C市の収入は、三万円引く一万四千五百円プラス
事務コストの三千円ですから、一万二千五百円なんですよ。ですから、C市は、一万二千五百円、その下、三万円引く一万四千五百円プラス三千円で、一万二千五百円というのがC市のもうけというか、実入りですね、これね。
今度は、もう一回左に戻ってAさんですけれども、Aさんは、五千六百円の還付税と、
住民税の控除が二万二千四百円、プラス一万四千五百円相当の返礼品をもらいました。トータルが四万二千五百円。それから三万円、納税した三万円を引くと一万二千五百円。ちょうどウイン・ウインの
関係で、たまたま同じ額になるんですけれども。
この結果、これ下の方に書いてありますこの返礼品Xの額ですけれども、二千円が引かれる、下限額ですから、二千円よりも大きくて、三万円の、C市の返礼品は、もらった三万円よりも
事務コストを引いた三千円、これ、そうですよね、
事務コストを引いた以上に出すと損しちゃいますから、三万円から三千円を引いた二万七千円ですよね。ですから、この不等式が、このXというのは限りなく右に近づいていくわけですよ、限りなく。これは全てに当てはまります。
よくこんなこと考えたなというふうに思うんです。(発言する者あり)確かにですよ。だから、本当に寄附金税制に名を借りた
自治体間の税の移転システムですよ。これに
交付税が絡んでくるから非常に複雑怪奇になってしまっているんですけれども、単純にするとこういう感じ。
それで、今回、元々これ自分でやらなきゃいけなかったわけですから、ワンストップサービスも入れました。入れたんですよ、ワンストップサービス、簡単に返ってくるようなシステムを入れたんです。当初は自分でやらなきゃいけないから余り人気なかった。で、ここへ入れた。そうしたら、ばあっと増えていった。
どうですか、これ。システム開発した人じゃないと思いますけれども、これをつくった段階で、今回の問題の原因になるようなことは恐らく分かっていたはずです。善意に解釈して自分のふるさとに云々というのは理屈では分かります。理屈では分かる。しかし、資本主義社会ですから、これは資本のルールにのっとって動いていくわけですから、当然この理屈が成り立つわけですよ。限りなくこの返礼品Xの額がちょっとでも高い方に行くというのはこれは分かっていたはずなんだけれども、最後の
質問にしますが、これ、どうですか。
制度設計をしたわけじゃないんでしょうけれども、予測できたんじゃないんですか、こういう状況になるということは。最後の
質問にします。