○二之湯智君 まず、報告に先立ち、今回の地震により亡くなられた
方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された
方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。
ただいま
議題となりました
平成二十八年度決算外二件につきまして、決算
委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
平成二十八年度決算外二件は、昨年十二月四日の本
会議において、財務
大臣から概要の報告を聴取いたしておりますので、その
内容につきましては、これを省略させていただきます。
委員会におきましては、
国会が議決した予算及び
関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを精査するとともに、
政府施策の全般について
国民的視野から実績
評価を行い、その結果を将来の予算編成及びその執行に反映させるとの観点に立って審査を行ってまいりました。
まず、
内閣総理大臣を始め全閣僚出席の下での全般
質疑を行った後、全六回に及ぶ省庁別の審査など、合計九回の審査を行い、新たな財政健全化計画の下での
社会保障
制度の考え方、森友学園に対する国有地の売却等をめぐる諸問題、子ども・
子育て支援全国総合システムの運用の見直し、効果が発現していない
政府開発援助事業に対する認識、就労継続支援A型
事業所の経営破綻による障害者の解雇問題、鳥獣被害防止設備の不適切な維持
管理の
改善など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、その詳細は
会議録によって御承知願います。
六月十八日、
質疑を終局し、委員長より、
平成二十八年度決算について本
会議で議決すべき議決案及び五
項目から成る
内閣に対する
措置要求
決議案を
提出いたしました。
以下、議決案の
内容を申し上げます。
一、本件決算は、これを是認する。
二、
内閣に対し、次のとおり警告する。
内閣は、適切な
措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。
1 松山刑務所の開放的施設である大井造船作業場からの受刑者の逃走事件に関し、法務省は未然に防止できず、身柄が確保されるまでの二十三日間にわたり、地域住民に多大な不安を生じさせるとともに、検問等により極めて不便な日常
生活を強いることとなったことは、遺憾である。
政府は、受刑者の更生に資する開放的施設となるよう適切に運用することを堅持しつつ、開放的施設の保安警備等を早急に見直して再発防止に万全を期すべきである。
2 学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関し、本院の要請に基づく会計検査院の検査では、十分な根拠が確認できない
状況で売却価格等の算定が行われていた
事態などが明らかとなった。さらに、財務省が、
国会において事実に基づかない
答弁を行い、決裁文書の
改ざんや交渉記録を廃棄したことなどにより、
国会審議の前提が覆され、
国民の
信頼を著しく失わせたことは、極めて遺憾である。
政府は、財務省の問題行為が、あってはならないことであるとの痛切な反省の上で、国有
財産の
管理及び処分手続を明確化し、処分価格等の客観性を確保するとともに、合理的な検証を確実に行うことができるよう、適切に
行政文書を作成、
管理すべきである。
3
平成二十八年十二月に廃止
措置への移行が決定された国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅについて、数次にわたる保守
管理の
不備に対し、保全計画に基づく点検を適切に実施する体制の
整備が図られていないなど安全が確保されなかったことは、極めて遺憾である。
政府は、機構がもんじゅの廃止
措置を安全かつ着実に実施するよう、厳重な監視を続けるとともに、今後の大型研究開発
プロジェクトにおいては、もんじゅの反省を踏まえ、安全確保に万全を期すべきである。
4
日本年金機構において、
委託業者の入力漏れ等が多数発生したことにより本来支払われるべき
年金額が正しく支払われなかったこと、
契約に違反して
委託業者から
中国の関連
事業者への再
委託が行われていたことなど機構のチェック体制が機能していなかったことは、極めて遺憾である。
政府は、近年、機構において不祥事が頻発し、
信頼が大きく揺らいでいることを重く受け止め、機構の調達手続や
業務委託管理の抜本的な見直しを早急に進めるとともに、
厚生労働省による厳格な指導監督を行うことにより、組織の立て直しと再発防止に万全を期すべきである。
5 株式会社商工組合中央金庫(商工中金)の危機
対応業務における不正行為については、
平成二十九年六月に本院が警告
決議を行ったところであるが、全件
調査の結果、全国で職員四百四十四名が関与し、融資実行額二千六百四十六億円を超える不正融資が行われていたことが明らかとなった。その後も新たな不正が多数判明し、商工中金において、組織的な
隠蔽や書類のねつ造が常態化していたことは、極めて遺憾である。
政府は、商工中金の在り方と危機
対応業務の枠組みを抜本的に見直し、中小
企業の経営支援に資するビジネスモデルの再構築やガバナンスの強化を図るとともに、主務官庁による適切な指導監督体制を構築して再発防止に万全を期すべきである。
6 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構によるスーパーコンピューターの研究開発に係る五助成事業の助成金三十五億円の一部を、株式会社ペジーコンピューティングが不正に受給し、同社の代表取締役が詐欺容疑等で起訴されたことは、極めて遺憾である。
政府は、機構が立入検査等を実施したにもかかわらず、不正行為を防止できなかったことを重く受け止め、
事業者に対して厳正に対処するとともに、国からの助成に係る研究開発事業の実施に当たっては、事業採択に係る審査過程の透明性の確保や抜き打ち検査の実施等を含めた抜本的な対策を講じるなど再発防止に万全を期し、機構に対し不正に係る助成金の返還請求を行うよう求めるべきである。
7 除染事業における不適切な事案に対し、
平成二十九年六月に本院が警告
決議により是正を促したが、除染の請負
事業者による宿泊費の水増し請求や、汚染土壌を詰めた汚染袋の不適切な取扱いなど、いまだに除染事業に係る不正や不適切な事案が相次いでいることは、極めて遺憾である。
政府は、不適切な事案が後を絶たないことを重く受け止め、建設業界に対して
企業統治の強化や法令遵守の徹底を要請し、現場における監督体制を強化するとともに、不適切な行為を行った
事業者を指名停止とするなど厳正な
措置を講じ、再発防止に万全を期すべきである。
8 陸上自衛隊のイラク日報に関し、
平成二十九年三月に陸上自衛隊研究本部において該当文書が確認されていたにもかかわらず、速やかに防衛
大臣等に報告されず、
国会に対し結果として
虚偽答弁を繰り返してきた。一年以上にわたり組織として
対応が不適切であったこと、また、南スーダン日報に関する
情報公開請求への
対応がずさんであったことは、極めて遺憾である。
政府は、イラク日報に係る事案が防衛省・自衛隊におけるシビリアンコントロールに関わる重大な問題であることを深刻に受け止め、組織文化や職員の意識の
改革に全力で取り組むとともに、文書
管理や
情報公開が適切に行われるよう、
再発防止策を徹底して実施すべきである。
以上が議決案の
内容であります。
討論の後、採決の結果、
平成二十八年度決算は多数をもって是認すべきものと、
内閣に対する警告案は全会一致をもって委員長
提出案のとおり警告すべきものと議決され、また、
措置要求
決議案は全会一致をもって本
委員会の
決議とすることに決定いたしました。
次に、
平成二十八年度
国有財産増減及び現在額総
計算書は多数をもって是認すべきものと決定し、次いで、
平成二十八年度
国有財産無償貸付状況総計算書は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。
なお、同日、会計検査院における検査体制の強化に関する
決議案について、全会一致をもって本
委員会の
決議とすることに決定いたしました。
また、
国会法第百五条の
規定に基づく会計検査院に対する検査要請を行いました。検査
項目は、待機児童解消、子どもの貧困対策等の子ども・
子育て支援施策の実施
状況について及び有償援助(FMS)による防衛装備品等の調達の
状況についてであります。
以上、御報告申し上げます。(
拍手)
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