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杉本参考人 私どもの
企業結合審査の
方針といいますか、考え方について述べさせていただきたいと思います。
この
企業結合審査の考え方というものもいわばグローバルスタンダードになっておりまして、すなわち、国境を越えるような
企業活動がどんどんふえていることによりまして、世界、主要な当局の間で同じ考え方、同じようなコンバージェントした、コンバージェンスが行われた審査
方針によって対応していくということが必要になっておると考えておりまして、私どももそうした国際基準にのっとって対応しているわけでございます。
すなわち、グローバルな企業であろうと地方でローカルな企業であろうとも、同じ基準で、
企業結合というものに、企業合併とか統合というものに対応していかなければいけないと思っております。そのときには、一応、
経済学的な所見に基づきまして市場を画定する、スニップステストと言っている非常に技術的な考え方でございますけれども、そういった考え方で市場を画定した上で、その市場の中で
競争が実質的になくなっていくとか、実質的に
競争が制限されるとか、そういう判断をしていくわけでございます。
したがいまして、市場を画定したときにも、さらに周辺市場、地銀でございますと、周辺の都府県からの
競争圧力があるのかどうか、国内企業ですと、輸出輸入といいますか、海外からの
競争圧力があるかどうか、新規参入の可能性があるのかどうか、供給余力がどれぐらいあるのか、それから、需要側からの
競争圧力といいますか、
需要者が強いと当然
競争圧力が働くわけでございますから、需要からの
競争圧力というものがどれだけあるのか、そういうものを判断していくということにしておりまして、それはいわば国際標準でございます。
地銀の話がございましたけれども、欧米当局でもやはり同じような考え方で対応しておりまして、アメリカでも、地方、ローカルな銀行の合併に対しまして、一地方の
事業を全面的に第三者に移すとか、そういうことを条件としないと認めないといった例もございますし、ヨーロッパにおいても、地域の金融
機関の合併がやはり独占的になると
競争が阻害されるということで、拒否した事例も見られるところでございます。
したがいまして、私どもの立場はあくまでも、
需要者にとって選択肢があるかないか、すなわち、
需要者、
消費者の
利益が確保されるかどうかという
観点から
企業結合審査ということは対応していくことになっていくんだと思います。
結局、その市場において、その商品について独占的な
地位が
合併等によって認められますと、それに対する、企業側としては、価格を上げるだとか供給量を絞る。金融
機関でいいますと、金利を上げたり、若しくは供給量を絞っていく。金融
機関でいけば、優良な貸出先だけに貸していればよくなるということになりますから、金融
機関がそういう行動をとるかどうかはまた別問題でございますが、そういう行動をとり得る構造になるということを
競争政策としては問題にして、そういう
観点から地方銀行の
企業結合については対応していくということになるのだと思っております。