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2018-01-25 第196回国会 衆議院 議院運営委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三十年一月二十五日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 古屋 圭司君    理事 石田 真敏君 理事 岸  信夫君    理事 御法川信英君 理事 大塚 高司君    理事 松本 洋平君 理事 熊田 裕通君    理事 手塚 仁雄君 理事 牧  義夫君    理事 伊藤  渉君       大隈 和英君    古賀  篤君       田野瀬太道君    武井 俊輔君       百武 公親君    藤井比早之君       藤丸  敏君    本田 太郎君       牧島かれん君    青柳陽一郎君       落合 貴之君    中谷 一馬君       伊藤 俊輔君  もとむら賢太郎君       原口 一博君    塩川 鉄也君       遠藤  敬君     …………………………………    議長           大島 理森君    副議長          赤松 広隆君    事務総長         向大野新治君    参考人    (検査官候補者検査官))            森田 祐司君    参考人    (公正取引委員会委員長候補者公正取引委員会委員長))          杉本 和行君     ————————————— 委員の異動 一月二十五日  辞任         補欠選任   根本 幸典君     武井 俊輔君   山内 康一君     青柳陽一郎君   福田 昭夫君     原口 一博君 同日  辞任         補欠選任   武井 俊輔君     藤井比早之君   青柳陽一郎君     落合 貴之君   原口 一博君     福田 昭夫君 同日  辞任         補欠選任   藤井比早之君     根本 幸典君   落合 貴之君     山内 康一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  検査官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件  本日の本会議議事等に関する件      ————◇—————
  2. 古屋圭司

    古屋委員長 これより会議を開きます。  まず、本日の本会議における国務大臣演説に対する質疑は、まず公明党の井上義久君、次に無所属の会の岡田克也君、次に日本共産党志位和夫君、次いで日本維新の会の下地幹郎君の順序で行い、本日をもって国務大臣演説に対する質疑を終了することになっております。  なお、質疑者要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。     —————————————  一、国務大臣演説に対する質疑(前会の続)    質疑者      時間   要求大臣  井上 義久君(公明) 35分以内 総理、国交  岡田 克也君(無会) 20分以内 総理  志位 和夫君(共産) 20分以内 総理  下地 幹郎君(維新) 20分以内 総理     —————————————
  3. 古屋圭司

    古屋委員長 それでは、本日の本会議は、午後一時五十分予鈴、午後二時から開会いたします。     —————————————
  4. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、検査官及び公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る二十三日の理事会において、西村内閣官房副長官から、内閣として、検査官森田祐司君、公正取引委員会委員長杉本和行君を再任いたしたい旨の内示がありました。  つきましては、理事会申合せに基づき、検査官候補者及び公正取引委員会委員長候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として検査官候補者検査官森田祐司君、公正取引委員会委員長候補者公正取引委員会委員長杉本和行君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 古屋圭司

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  6. 古屋圭司

    古屋委員長 まず、議事順序について申し上げます。  最初に、森田参考人杉本参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人所信に対する質疑を順次行いますので、委員質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、森田参考人、お願いいたします。
  7. 森田祐司

    森田参考人 森田祐司でございます。  本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。  我が国の社会経済については、少子高齢化に伴う社会保障費の増大、潜在成長力の伸び悩み、東日本大震災からの復興、財政の健全化等課題が山積しております。  会計検査院は、このような社会経済動向を踏まえつつ、内閣から独立した憲法上の機関として、国や独立行政法人等会計検査実施し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されております。  会計検査院組織は、意思決定を行う検査官会議検査実施する事務総局で構成されており、三人の検査官から成る検査官会議は、合議によって会計検査院としての意思決定を行うほか、事務総局指揮監督しています。  私は、監査法人において、公認会計士として上場企業等財務諸表監査等に従事するとともに、パブリックセクター責任者として国、自治体監査業務改革支援等業務を統括、実施してきた後、平成二十三年に両院の御同意をいただいて検査官に就任いたしました。以降、現在まで六年十一カ月余りの在任中、会計検査院意思決定に携わり、会計検査院に課された使命を果たすよう職責を担ってまいりましたが、その職責は極めて重いものと感じております。  そして、この在任期間において、私は、検査官として、前回所信の際に申し上げましたように、正確性合規性に加え、経済性効率性及び有効性観点からの検査を重視していくこと、国や独立行政法人等財務書類等情報も活用するなどして財務状況検査を充実し、基金等の資産、剰余金等状況についても明らかにしていくこと、検査対象機関内部統制実効性に留意して検査実施し、問題点があればその改善も促していくこと、これらを常に意識しながら、現在の社会経済動向、また、国民関心国会での御審議状況などにも注意を払って検査官職務に専念してまいりました。  この間、「租税特別措置相続税関係)の適用状況等について」など六十四件の国会及び内閣への随時報告、「東日本大震災からの復興等に対する事業実施状況等に関する会計検査の結果について」など二十四件の国会からの検査要請に係る検査結果の報告などを行い、また、昨年十一月八日には、平成二十八年度決算検査報告を取りまとめて内閣に提出したところです。  これらに当たって、私は、民間出身検査官としての視点も取り入れながら、会計検査院意思決定に関与してまいりました。  そして、平成三十年次の会計検査について、国会における審議状況に常に留意するなど、これまでと同様に、引き続き国会との連携に努めることとするなどの基本方針を定め、これに基づく検査実施について事務総局指揮監督に当たってきているところです。  仮に検査官に再び任ぜられるとするならば、私は、民間における経歴及びこれまでの在任中に検査官として職責を果たしてきた中で培った知識経験を生かすとともに、国民皆様関心の所在や国会における御審議状況に常に注意を払うなど、いろいろな御意見に耳を傾けながら、誠心誠意、一生懸命努力して、検査官職責を担ってまいりたいと考えております。  以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。  本日は、このような機会を与えていただき、改めて厚く御礼を申し上げます。
  8. 古屋圭司

    古屋委員長 ありがとうございました。  次に、杉本参考人、お願いいたします。
  9. 杉本和行

    杉本参考人 杉本和行でございます。  本日は、所信を述べる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。  まず、公正取引委員会委員長任務についての認識について述べさせていただきたいと思います。  公正取引委員会が担当しております独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高めまして、もって一般消費者利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目的としております。  公正取引委員会は、この目的を達成することをその任務としておりまして、公正取引委員会委員長には、他にも増して、国民全体の奉仕者たる国家公務員としての強い自覚を持ち、国民皆様関係各方面の御意見を伺いつつ、公正に職務を遂行していくことが求められていると考えております。  私は、平成二十五年に両院の御同意をいただきまして、同年三月に着任して以来、公正取引委員会委員長として、他の委員ともども価格カルテル入札談合などの独占禁止法違反行為中小企業に不当に不利益をもたらす下請法違反行為消費税転嫁拒否行為などに対する適正かつ積極的な対処を始めとする競争政策積極的展開に取り組んでまいりました。  これまでの取組を踏まえ、今後取り組むべき施策基本的方向についての考え方を述べさせていただきたいと思います。  公正取引委員会は、昨年七月に創立七十周年を迎え、公正取引委員会が運用する独占禁止法も、施行から七十年がたちました。この七十年の間、戦後の経済復興高度経済成長、そしてバブル経済の形成、崩壊、人口構造少子高齢化と、企業活動を取り巻く経済環境は大きく変化してきており、独占禁止法は、これらの時々の経済情勢を踏まえて運用されてきております。  私といたしましては、公正取引委員会の七十年の歴史と経験を生かしつつ、今後ますます急速に変化していく経済環境に的確に対応し、国民経済発展に資する競争政策を更に推進していくことが必要と考えております。  具体的な施策といたしまして、まず第一に、厳正かつ実効性のある独占禁止法執行を確保していくことが重要であると考えております。  独占禁止法に違反する競争制限的な行為に厳正に対処していくことは、公正かつ自由な競争の実現により、事業者創意工夫を引き出し、消費者利益を確保することにつながります。  したがいまして、国民生活に影響の大きい価格カルテル事件入札談合には厳正に対処していく必要があると考えております。  また、事業者の公正かつ自由な競争を確保するためには、他の事業者事業活動を排除又は支配するような私的独占や、他の事業者事業活動を不当に拘束するといったような不公正な取引方法についても監視し、適切に対応していく必要があります。  合併等企業結合事案につきましては、消費者需要者にとって選択肢を確保する観点から、競争を制限することとなる企業結合を規制するため、的確な審査を進めていくことが要請されていると考えております。  第二には、公正な取引慣行を推進する観点から、中小企業に不当に不利益を与える行為の取締りをしっかりと実施することが必要であると考えております。  優越的地位の濫用、不当廉売などの不公正な取引方法下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為に対しては厳正かつ積極的に対処するとともに、違反行為を未然に防止していくための施策実施していくことが重要と考えております。  また、消費税転嫁拒否行為への対処など、消費税適正転嫁への取組についても、引き続き注力してまいりたいと考えております。  第三に、競争を活発にする環境を整えることも、競争政策の重要な役割であると考えております。  公正取引委員会による法執行方針を明らかにするほか、事業者による独占禁止法遵守支援、推進することによって、法運用透明化及び予測可能性を高めるとともに、違反行為自主的予防を促すことが重要であります。  また、市場における公正かつ自由な競争を促進する観点から、調査等実施してまいりたいと考えております。  最後に、国際的連携の推進があります。  経済グローバル化によって、サプライチェーングローバル化が進み、さらには国際的な企業結合事案も増加しております。こうした中にあって、独占禁止協力協定経済連携協定等の二国間や多国間の枠組みを通じて、諸外国の競争当局との関心情報を共有する体制を強化し、また、競争法執行に当たって協力を推進してまいりたいと考えております。  両院の御同意がいただくことができまして、公正取引委員長に任ぜられました場合には、その職責をしっかり認識し、国民の代表である国会の御議論を始めいろいろな御意見に耳を傾けながら、公正取引委員会使命を達成すべく、他の委員とともに努力を尽くしてまいる所存でございます。よろしく御指導賜りますようお願いいたします。  以上、私の所信を申し述べさせていただきました。  本日は、このような機会を与えていただき、まことにありがとうございます。
  10. 古屋圭司

    古屋委員長 ありがとうございました。  これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。  杉本参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。  議長、副議長は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  理事会申合せに基づき、報道関係の方々は御退席をお願いいたします。     —————————————
  11. 古屋圭司

    古屋委員長 これより森田参考人所信に対する質疑を行います。  質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  松本洋平君。
  12. 松本洋平

    松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平でございます。  森田検査官候補者に対しまして、私の方から質問をさせていただきます。  会計検査院は、会計検査院法に基づいて置かれております、内閣に対して独立地位を有する機関、そして、日本国憲法第九十条の規定によりまして、国の収入支出決算検査を行うほか、法律に定める会計検査を行うということでありまして、極めて重要な役割を担っていただいている、そういう機関であります。  そして、その検査官という職は、三人の合議制によって、いわば最高意思決定機関のような役割を果たしていただいているわけでありまして、極めて大切なお役目だと理解をしております。  この三人の検査官でありますが、一人は検査院出身の方、一人は学識経験者、そして森田候補は、公認会計士であり、監査法人の一員といたしまして、先ほども所信の中でお述べをいただいたとおり、上場企業等監査実施をしてきた、そういう経歴の持ち主であります。  まずは、民間出身検査官といたしまして、御自身の強みは一体どのようなところにおありになるのか、そしてそれをどのように生かしたいと考えていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
  13. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  検査官会議を構成する三人の検査官の中で、今御指摘いただきましたように、公認会計士としての経験がございます。  いわゆる官民双方におきましての会計検査でありますとか、それから、情報システムの方の仕事もずっとしてまいりまして、情報システム監査でありますとか、そういうシステムを活用したような監査、そういうようなことにも実務経験がございます。公認会計士としては比較的珍しく、国とか独立行政法人、あるいは自治体なんかの監査、コンサルティングなんかにも従事をしてまいりました。  こういう官民双方での実務経験、この部分が私の経歴、実績の中で特徴的なものというふうに挙げられるのではないかと考えております。  それを生かしていかなければいけないわけでございまして、いわゆる監査法人の中での組織運営に携わった経験からいたしますと、事務総局の効率的あるいは効果的な事務運営とか、そういうようなところに意を配ったりとか、あるいは組織内での自由なコミュニケーションというか、そういうようなところをできるような組織運営にも携わって、意を用いてきたというふうに思っております。  少しテクニカルな面では、いわゆる国、公共団体でも、今、発生主義財務情報が活用されております。こういうようなところを検査にどういうふうに活用していくのか、あるいはそれをどう分析していくのか、このあたり、強化に努めてきたところだというふうに思っております。  さらに、申し上げましたようなシステム情報システムのようなものを検査にどう活用して、いかに効率的、効果的な検査をしていくか、このようなことについても頑張ってきたというふうに思っておりますし、仮に今回、再任、御承認いただけますれば、引き続き、そのような実務経験を生かして会計検査を進めていきたいというふうに思っております。
  14. 松本洋平

    松本(洋)委員 次の質問に移らせていただきたいと思います。  先ほど所信の中でもお話がございましたとおり、森田候補者、これまで一期を務める中で、御自身が、やはりそれまでの経験を生かして、検査基本方針といたしまして、正確性合規性に加えまして経済性効率性有効性、こういう観点を大変大切にしてきたというようなお話をされていたかと存じます。  これは、予算の執行が、より少ない費用実施をできるのではないか、また、同じ費用でより大きな成果を得られるのではないか、また、所期の目的をきちんと上げているのかどうか、こうしたことをこの検査方針として、森田候補としては大変重要視をされてきたというような所信内容であったかと思っております。  言うまでもなく、国民からお預かりしている税金は一円の無駄遣いもできませんし、できる限りの有効活用をしていくというのは極めて重要な事柄であります。そして、それを内閣に対し独立地位を有する会計検査院がやっていくということは、大変重要なことだと思います。  会計検査院は、無駄遣いを指摘し改善をさせる極めて重要な役割を担っているわけでありますけれども、それにどのように取り組んでいこうと考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
  15. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  会計検査院法では、会計検査院目的として、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ是正を図るということが目的というふうに書かれております。  ですから、単に問題点を指摘してそれを直させる、それも非常に重要なことかと思うんですけれども、まずはそれでもって、今御質問いただきましたような無駄を削減していくというところ。  それだけでは個別の指摘ということになりますので、そういうような問題点がどういう原因で起こっているのか、どういう仕組みに問題があるのかといったところを究明いたしまして、その仕組みそのもの改善するというようなことを要求しましたり意見を表示したり、こういう機能も有しておりまして、これは仕組みそのものを変えていくということで、より広く、無駄削減というようなことに、税金有効活用ということに進められるのではないかなというふうに思います。  加えまして、やはり国の検査対象は非常に幅広いことでございますので、ある特定のところでの問題点、あるいはその仕組み改善だけでは無駄削減効果というのはやはり広がっていかないということを思っておりますので、同様の事態が他の省庁なり他の機関にもないのかといったようなこと、いわゆる横展開というものを検査官会議といたしましても常に事務総局注意をし、事務総局の中でもそういうような仕組みを持ちながら進めてきておりますし、一旦改善されても、その後きちっとやれているのかどうかということで、フォローアップを非常に重視しまして、フォローアップ検査というものもやらせていただく、こういうような形で、いわゆるスリーEを通じて、経済性効率性有効性を通じて国の無駄削減に努めていきたいというふうに考えております。
  16. 松本洋平

    松本(洋)委員 やはり国民の期待というものは大変私は大きいと思いますし、大変重要な役割を担っていただいております。その中で、独立した機関として、経済性効率性有効性というものを大切に会計検査院を運営されてきたということは大変重要な観点ではないか、私はそんなことを大変強く思っております。  しかしながら、この会計検査院自身活動につきまして、なかなかやはり国民皆さんに見えづらいということがあるんだと思います。  ぜひ、会計検査院は閉じられた組織ではなくて、みずからチェック情報公開、見える化などの説明責任を果たしていくことによって、国民に広く情報公開をしていくと同時に国民皆さんからのチェックを受けるという、こうした緊張関係を持つことも大事だと思いますので、それをどのように果たしていこうとされているのか。  また、もう一つ質問をさせていただきたいと思いますけれども、一期、六年十一カ月務めた中で、御自身民間経験とは大分違う部分も見えてきたのではないかと思います。  現状の課題、そして、将来こういうことをしていきたいという問題意識をぜひ教えていただきたいと思います。
  17. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさに、会計検査院説明責任をどう果たしていくのかという、まず一点目、御質問をいただきました。  会計検査院憲法機関であるんですけれども、そこで国民の負託を受けて会計検査を行うということでございますので、国民の御理解と信頼を得るということは非常に重要でございますから、検査活動内容をできるだけ御説明をしていく、明らかにしていくということが重要だと思います。  まず一義的には、もちろん検査報告という形で、どういう検査をし、どういう結果が出てきたのか、ここで非常にわかりやすくきちっと御報告する、これが第一義かと思いますが、まずは、どういう方針でやっていくのかというようなことにつきましては、会計検査基本方針というものを九月ごろに策定をしまして、公表させていただいております。  それを受けてやっていくわけですけれども、それ以外に、検査院活動をより国民皆さんに知っていただくということで、検査活動によって得られる効果、こういうようなものについては、財務上の是正改善効果というふうなことで、毎年試算をして公表したりしております。  さらに、広く会計検査院活動を知っていただくために、「会計検査のあらまし」といった小冊子を出させていただいたりとか、ホームページを活用しまして、その中でも、デジタルデータをより活用していただくために、検査報告データベース化をしまして、早くから公表をしたりしているところでございます。  このようなことで、十分に説明をして、国民皆さんからの御意見に耳を傾けながら、検査院検査活動を続けていきたいというふうに思っております。  それから二点目、外から入ってきた者としての課題、外からだからこそ見える課題というようなものを御指摘いただきました。  思った以上にいろいろ改善に取り組む組織だなというのは、入ったときから今に至る感想でございます。  ただ、その中で、強いて挙げるとしましたら、中にいる職員は非常に検査ノウハウ能力を持って、職人といいますか、すばらしい能力を持った人間がいるんですけれども、やはり組織としての能力向上というのですか、そうしますと、そういうノウハウの見える化なり伝承、そういうようなものをいかにしてしていくのかというふうなことというのは、今までも検査院の中でいろいろ取組をやってきているところですけれども、今後とも、そこの部分には注力をして邁進してまいりたいというふうに思っております。
  18. 松本洋平

    松本(洋)委員 ありがとうございました。
  19. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、青柳陽一郎君。
  20. 青柳陽一郎

    青柳委員 おはようございます。立憲民主党青柳陽一郎でございます。  本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。短い時間なので早速質問に移ってまいりますので、よろしくお願いします。  まず、検査官の任期の問題について取り上げたいと思いますが、今、松本委員からも説明がありましたとおり、検査官の定員は三名で、比較的といいますか、物すごく権限が大きいわけですね。そういう職種の中で、一期七年という任期は、私は、ほかの役職に比べてとても長いというふうに感じますし、実際、七年でやっていくと、今回もそうなんですけれども、定年もありますから、任期途中で定年によって退任されるということがしばしばあるというふうにお伺いしました。  ということは、任期が七年でも、その任期途中で退任されるというのは、そもそも任期が長いんじゃないかというふうに、一期七年というのは長いんじゃないかというふうに感じます。そして、今回、森田検査官が再任されれば、定年は六十五歳ですから、残念ながら任期途中で退任しなきゃいけないということであります。  この任期七年という長さの問題と、それから途中で定年で退任される、この問題についてのまず森田検査官自身の御所見を伺いたいというふうに思います。
  21. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  任期七年は、検査院法、法律に書いておりますので、そこの部分を踏まえた上でということで私の考えを述べさせていただきたいと思います。  非常に強い権限を持つ、あるいは外からチェックをしていく検査というような立場からしますと、やはり余り長くやるということについての独立性の問題でありますとか、いろいろな弊害があるということは民間の世界でも指摘をされているところでございますけれども、一方、余り短いと、やはり経験に基づく深度のある業務執行といいますか検査というものにも弊害があるのかなと。  そのあたりで考えますと、七年という任期は、ほかの、例えば裁判官の任期十年とか、国内でいきますとそういうようなこととの比較、あるいは諸外国の会計検査院の、制度が少し違いますのであれですけれども、院長の任期が十五年ですとか十年ですとかいうことから比べても、決して長過ぎるといったようなことはないのかな、冒頭申し上げたメリット、デメリットを考えて、長過ぎるということはないのかなと。  ただ、任期七年の途中退任ということでございますので、これは残任期を次の者が引き継ぐという制度になっておるところではあるんですけれども、できれば七年やっていただくのがいいのかなとは思うんですけれども、やはり法律上、六十五歳というのもございますし、このあたりはいたし方ないところなのかなと個人的には思っているところでございます。
  22. 青柳陽一郎

    青柳委員 率直にお答えいただきまして、ありがとうございました。  次に、我が国の財政赤字の問題について少し御所見を伺いたいと思いますけれども、検査官に求められる能力として、法律そして行財政、企業会計会計検査の分野で豊富な知識と経験に基づき公正な判断力があるかどうかということが求められるということなんですが、その上で幾つかお伺いしたいと思います。  まず、我が国の財政、財政赤字というのは、企業でいえば破綻、破産状態であることはもう間違いないと思います。そして、二〇二〇年度プライマリーバランス黒字化目標、安倍政権、安倍内閣はこれを断念したということです。さらに、次の目標策定がない、まだ示されないまま平成三十年度予算が閣議決定されて、国会に提出されることになった。  こういう状況について森田検査官はどのように見られているか、これも御所見を伺いたいと思います。
  23. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  非常に財政状態が厳しいということについては、御指摘のとおりかというふうに思っております。  どういう財政運営をしていくかというのは検査院職責ではございませんけれども、検査院といたしましても、財政の健全化というのは共通の価値観の一つではないかなというようなことで、ちょうどこの二十八年度決算検査報告においても、財政健全化のこれまで掲げてきた目標がどの程度達成できているのかというふうなことについての状況報告をさせていただき、そういうようなことを今後の予算審議なり国会審議に御活用いただくような、そういうような情報検査院としてはしっかり発信することによって、共通の一つの重要な価値観である財政健全化に寄与していきたいな、そんなふうに考えているところでございます。
  24. 青柳陽一郎

    青柳委員 幾つかあるんですけれども、時間が来ましたので、終えたいと思います。  どうもありがとうございました。
  25. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、もとむら賢太郎君。
  26. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 希望の党のもとむらです。どうぞよろしくお願いいたします。  公会計については御造詣が深いということは理解しているんですが、公会計について、役所の方や銀行員、そして政治家を含めて、それから国民も非常に読みづらいという話も一部伺っておりまして、自治体にも企業経営の視点を入れることは無駄削減観点から必要でありますが、他方で、営利企業との違いも考慮しなければならないという点は指摘をしなければなりませんが、いずれの場合も、ステークホルダーに対してわかりやすい会計であるということが求められているわけであります。自治体にとっては、それは第一に住民であるわけでございますが、先ほどお話ししたように、今わかりやすいものになっているとは到底思えないわけであります。  その中で、国の会計についても同様でありまして、より国民にとってわかりやすいものにしていくことが求められていると考えておりますが、御認識をお伺いいたします。
  27. 森田祐司

    森田参考人 御質問いただき、ありがとうございます。  今の検査官になる前は、御指摘のとおり、公会計の改革というものにずっと携わってまいりました。いわゆる官庁会計がわかりにくいのではないか、少しでもわかりやすくするために、民間的な、貸借対照表でありますとか損益計算書のようなもので示すとおわかりいただける範囲が広がるのではないかということで、御存じのように、自治体も、あるいは国、各省庁、あるいは独立行政法人等も、法定化されている、いないにもかかわらず、そのような取組が進んでいるかなというふうに思います。  一点申し上げるとすると、わかりやすいというのが、これがとても、変な言い方ですけれども、わかりにくくございまして、わかりやすいというのは、説明する側が、何をわかってほしいかということがきちっと明確になって、それが受け手側にちゃんと伝わったのかというのが、まさにわかりやすいということだと思うんですね。  その点からしますと、自治体なんか、非常に各団体、御苦労されているところかと思うんですけれども、自治体の貸借対照表で、あるいは行政コスト計算書というような呼び方をしていますけれども、それでもって住民に何をわかってほしいのか、あるいはそれをもとにどういう意思決定をしてきたのかということを住民の皆さん説明することをまずは明確にし、それが公会計の新しい財務書類なんかに的確にあらわれているのか、そういう観点で公会計、わかりやすい説明の改革を進めていくことが重要なのではないかなと常々考えているところでございます。
  28. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 次に、独立性について、ここは、会計検査院、非常に大事なところでありまして、外見的なあるいは形式的な独立性と、それから精神的な独立性があると思うんですが、二点ここでお伺いいたしますが、昨年は、森友、加計といった問題に象徴されるように、そんたくが行われていたことが明らかになったわけでありまして、そんたくは精神的な独立とは対極にございます。  霞が関にこうしたそんたくがまかり通る中、会計検査院では精神的な独立は保たれているのかということが一点と、もう一点は、そんたくが起こる背景にはガバナンスの問題もあると思います。数億円単位の意思決定が大臣、局長も知らないところで行われている点についてどのようにお考えになっているのか、もう少し踏み込んで精査していただければというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
  29. 森田祐司

    森田参考人 会計検査院にとりまして、独立性、非常に重要な考え方であるというふうに思っております。  検査院職員は、私が六年十一カ月前に入りましてからずっと触れる中で、やはり、非常に憲法機関としての責務というものを一職員職員、皆が非常に矜持といいますか、持って業務に当たってくれているということは常々感じておりますし、その点は私も非常に重要な点だというふうに思っておりますので、今後とも、そのような意識を持ち続けて業務をやっていきたいなというふうに思っております。  検査院は、そういう内閣から独立した機関でございますので、会計経理が不適正かどうかという点に着目して、聖域なくきちっと会計検査をやっていく、そのような形で役割を果たしていきたいなというふうに考えているところでございます。
  30. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 ことしは会計検査院の増減ゼロとなっていたわけでありますけれども、会計検査院の人員はここ数年減らされてきておりまして、独立性を担保する関係から、会計検査院にとって人こそ資産であるというふうに思いますが、近年の検査院の重要性を鑑みれば増員すべきと私は考えますが、いかがでしょうか。
  31. 森田祐司

    森田参考人 御指摘ありがとうございます。  ぜいたくを申し上げれば、増員をしてやっていきたいというふうには思うんですけれども、国の機関でございますので、やはり税金を有効にきちっと使っていくという観点で、今やはり一番考えておりますのは、効率的な検査というのをどういうふうにしてやっていくのか。冒頭、所信のところでも少し申し述べましたけれども、やはり機械にできることは機械にといいますか、ITを活用することによって、効率的のみならず、より効果的な検査というものも可能になるのではないかな。  そういったところから、人がなかなかふやしづらい状況でも、検査院能力をより高めていく、そういう努力を続けていきたいなというふうにも思っております。
  32. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 七年前の参議院の議院運営委員会で森田候補は、理想的には、検査院が幾らチェックをしてももう無駄は出てこないというような形に、まずは執行部分で無駄が起こらないような、起こったときには適切に修正できるような仕組みづくりを進めていくことが重要であると答弁されてございます。  重要な御指摘だというふうに思うんですが、この七年、そうした仕組みづくりは行われていたように思わないどころか、森友、加計に象徴されるような無駄が生じていることについて、御見解をお伺いいたします。
  33. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさに七年前、そのようなことを申し上げたことを今思い出しておりました。  やはり、まずはみずからでチェックをして、検査院に指摘される前にそういうようなことを直していただく、これは非常に重要な考え方なんだろうというふうに思いますけれども、なかなかそこの部分がうまくいっていない部分もあるんだろう。ただ、部分的にというか分野によっては、いろいろ検査で御指摘をし、改善を進めていっていただいた結果、ここの部分はもう内部のチェックで大体大丈夫なので、検査の資源をもっとほかの分野に割り当てていこうといったような分野も出てきていることは確かでございます。  今後とも、七年前の理想というか思いを忘れずに、そういう内部統制改善検査院もしっかりと御協力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  34. もとむら賢太郎

    ○もとむら委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
  35. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、伊藤渉君。
  36. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 早速御質問に入らせていただきたいと思います。  先ほどの所信、そしてこれまでの質疑を聞かせていただいて、まず一つ目は、先ほど松本議員の質問とも関連をしますけれども、経済性有効性についての評価ということについて少しお伺いをしたいと思います。  公的事業というのは、どのような事業にも大なり小なりニーズはあると思うんですね。そのニーズがある中で経済性有効性を評価するということの難しさがずっとあると、予算の審議などを聞いていても考えておりました。  というのも、民間事業であれば、やはり利潤を追求するというわかりやすい物差しがありますけれども、そうではない事業だからこそ公的機関が担っているわけで、その事業における経済性有効性の評価というのはなかなか難問だな、こう思いながら予算審議等にも加わってきたわけです。  まず最初は、この公的事業経済性有効性の評価において参考人が心がけていること、また、一つの指標にしていること等あれば、ぜひ御紹介をいただきたいと思います。
  37. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  確かに、民間企業の場合の尺度のような明確な尺度がいわゆる公的機関にはないというのは御指摘のとおりかというふうに思います。  ただ、実際には、いろいろなニーズがある、多かれ少なかれある、とは申せ、その施策事業実施するに当たっては、何のためにそれをやるんですかという一義的な、重要な目的というものがあると思うんですね。昨今の政策評価、行政評価でありますとかそういうような形で、それをできるだけ明確にし、できればそれを定量化、指標化して施策の進行の進捗管理をしていきましょうというのは、政府でも進んでいる動きだと思うんですね。  ですから、我々が経済性、こうした有効性といったところには、まずは一義的に、どのような目的を設定されてやっておられるのか、その目的が達成できているのかどうか、そういう観点で見ていくということが重要なのかなというふうに思います。  ですから、事業がまず実施されていて、その目的が達成できているのか、そちらの方から、まあ下から上というんですか、見ていくということが非常に重要だというふうに考えております。
  38. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 ありがとうございます。全く同感でございます。  そういう意味でいくと、政府も、各事業ごとにレビューシートみたいなものをつくって、さまざまな取組改善は行ってきているように私も感じております。  その上で、次に、決算結果の予算への反映という観点で少しお聞きしたいと思います。  国の各事業を見ておりますと、今のお話とも関連してきますけれども、予算の確保ということについての各府省の関心の強さに比べまして、決算、あるいはまたその事業執行状況、また特に、今言われたとおりで、その執行されている中身、その目標がどうなったのか、こういうことについてはまだまだ関心が低い、これは我々も含めて改めていかなければならないと思っておるわけです。  そういう意味では、会計検査院においては、国民関心の高い事業、例えば今ですと、介護や保育、あるいは幼稚園における、そこで働く皆さんの処遇の改善、かなり予算をつけてきておりますけれども、現場に行くと、全ての方が喜んでいるわけではない現場にも遭遇することなどがありまして、こういった、最終的に確保された予算がどのように現場で執行されるに至っているか、ぜひこうした観点も大切にして、国会に対しての報告もお願いをしたいなと、常々会計検査院報告書を見ながら思っておりましたけれども、参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  39. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさに私もそのように考えております。やはり決算というのが、我々のまずは第一義的にといいますか、しっかり見ていく対象でございますので、今御指摘いただきましたような方向で今後ともしっかりと努めてまいりたいというふうに思っております。
  40. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
  41. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、原口一博君。
  42. 原口一博

    原口委員 民進党の原口一博でございます。  無所属の会を代表して、森田参考人に数問、御質問申し上げたいと思います。  まずは、自治体へも公会計、新しい公会計を入れられた、そして、会計検査院にいわゆる監査法人経験者である森田参考人がお入りになっている、これは大変大きなことだというふうに思います。  公会計は、納税者、現在の納税者だけではなくて、将来の世代に対する責任についてもこれを明確にする大変大きな目的があるというふうに思いますが、森田参考人がチャレンジされた新しい、新公会計、これのモデルの狙いについてお話をいただければと思います。
  43. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  検査院に来る前、ずっとそれを一生懸命やっておりましたので、今も思い出しているところでございますけれども、今御質問いただきましたように、まさに、自治体のつくりました貸借対照表は、片側に今持っている資産、これは行政サービスに活用する、ちゃんと活用できているのかという観点で、幾らあるのかはもちろんのことなんですけれども、それぞれが活用できているのかという観点で見ていただく。その反対側に、財源として、どういう財源で今行政サービスに提供している資産を使っているのか、持っているのかということ。  これは、大きく分けますと、まさに現役世代あるいは過去からの貯金といいますか、それも含めて、現役世代の負担なのか、将来世代の負担なのか。負債と資本、純資産というような言い方をしますけれども、負債の部分というのはまさに将来世代の負担ということだと思うんですね。ですから、今持っております、行政サービスに使っていく資産が、現状、貸借対照表を見ていただきますと、現役世代までの負担と将来世代で、大体、自治体ですと二対一とかそのような形が多いかと思うんですけれども、そこの全体像をまずは把握していただく。  その上で、個々の事業、公共事業なんかも含めて、それをどういう世代間負担でやっていくのか、それをやればどういうように貸借対照表に反映されるのか、そんなような形で新しい公会計自治体経営に生かしていただければな、そんな思いでつくってきたことを今思い出しておりました。
  44. 原口一博

    原口委員 ありがとうございます。  一方で、会計検査院自治体検査に入ったことも過去あります。それは、やはり私たちは、交付税や補助金、そういったもので、国民全体の負担とも自治体の予算というのは関係をしている。そういう意味では、連結をしているというふうに言ってもいいと思います。  合併特例債が期限を迎えるわけですけれども、その特例債を使わなきゃいかぬというぐあいに箱物ばかりつくってやられてしまうと、それは結果、国民の負担になる。  会計検査院自治体に対する検査、このことについての基本的なお考えを伺いたいと思います。
  45. 森田祐司

    森田参考人 自治体につきましては、今も御指摘のとおり、補助金とかいろいろな形で国のお金が入っております。そこにつきましては、当然、検査院検査の対象、権限もありますし、対象になって、しっかりと見ていかなきゃいけない分野だと思うんですね。  ただ一方、地方交付税交付金につきましては、やはり自治体側で一般財源になって使われるということ、それと、やはり憲法にも規定されております地方自治の本旨というもので、そこの個々の全ての使われ方に検査院検査をするのかということについては、そこの部分の本旨、地方自治というものをしっかりと考えた上で検査を進めていく必要があるのかなというふうに思いますけれども。  補助金なんかも通じまして、自治体がよりそういうようなものをうまく使っていけるというか、決算ですとしっかりチェックをして使っていただけるような、少しでもお手伝いができるような検査ができればな、そんなふうに思っております。
  46. 原口一博

    原口委員 ありがとうございます。非常に抑制的で、地方自治の本旨に即した御答弁をいただいたというふうに思います。  その上で、個別のこの間の会計検査院の挑戦について、私も応援をしてきました。  例えば、さきの国会で取り上げたFMS、これは約八百億、番号が合わない。本当に、どうしてなのかと検査官すら首をかしげるようなことがございました。  また、森友、加計の問題についても、森友問題についても会計検査をされましたけれども、必要な書類がない。これは行政書類というよりか、説明をする書類がない。先ほど、新しい情報通信を使った会計検査、今、ブロックチェーン技術が急速に発展をしてきています。そうすると、文書を捨てたりなくしたりということはなくなるというふうに思います。  必要な文書がない、これは私たちの、国会役割でもあるんですが、公文書管理、アカウンタビリティーの確保といったことは極めて重要だと思いますが、会計検査に必要な証拠書類、このあり方について御所見を伺えればというふうに思います。
  47. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさに今御指摘のとおりで、会計経理につきましては、それが適正に行われたということを計算証明という形でそれの証拠書類を添付して検査院に提出していただくという制度がございます。ですから、みずから、みずからの行った会計経理が適正であるということを説明する、こういうたてつけといいますか考え方、非常に重要な考え方だというふうに思いますし、それが問題がある点につきましては、今後ともしっかりと検査院としても検査をして、指摘をしてまいりたいな、そんなふうに思っております。
  48. 原口一博

    原口委員 質疑時間が来ましたので終わります。ありがとうございます。
  49. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、塩川鉄也君。
  50. 塩川鉄也

    ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。  森田祐司検査官候補者にお尋ねします。  第一に、憲法第九十条の意義についてです。  憲法第九十条においては、「国の収入支出決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」と規定をしております。  戦前、機密費は調査対象から除外をされ、軍事関係費は旧会計検査院法の適用が除外をされ、増大する軍関係経費等を検査できなかった反省から、日本国憲法は全てを対象とするとして、このような例外を認めないことを明らかにしたのではないでしょうか。この点についてのお考えをお聞かせください。
  51. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさに全てということで、国の収入支出に関して検査の聖域なしという精神でもって会計検査をさせていただいているというふうに考えております。
  52. 塩川鉄也

    ○塩川委員 第二に、この憲法九十条と秘密保護法との関係についてです。  このような憲法第九十条ができた歴史的経緯を鑑みれば、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあると行政機関が判断すれば秘密指定書類の提供を拒めるという措置は容認できないのではないのか、秘密指定された書類も検査対象とするのか、この点についてお答えください。
  53. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  そのような特定秘密保護法におきましても、検査上必要な書類、証拠書類はしっかりと検査をしていく、いけるという体制になっているというふうに認識しております。
  54. 塩川鉄也

    ○塩川委員 三点目に、防衛費の検査についてです。  憲法は、前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と明記をし、財政民主主義を確立しました。これは、過去の戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政、国民生活を破綻させた痛苦の体験があったからです。  一方、この間、防衛調達長期契約法によって、防衛調達は国庫債務負担行為の年限を十年へと延長する。長期契約だけではなく、後年度負担や秘密保護法の縛りもある中で、FMSの話もありました。  この間増加をしている防衛費の会計検査について御苦労していることがあれば、お聞かせください。
  55. 森田祐司

    森田参考人 ありがとうございます。  御指摘のように、防衛費は通常の国の支出に比べてやはり特殊な部分があろうかと思います。今御指摘のFMSもそうですし、あるいは原価計算に基づいて予定価格を算定するとか、今の長期にわたるとかという、特殊といいますか、そういう面があろうかと思います。  我々も、ずっと防衛費の検査をやっていく中で、それぞれの特殊性に鑑みて、起こり得るリスクでありますとか問題点、そういうようなところも踏まえて、今後とも防衛費の検査、しっかりやっていきたいというふうに考えております。
  56. 塩川鉄也

    ○塩川委員 最後に、学校法人森友学園への国有地売却問題に関する会計検査院報告書についてお尋ねします。  会計検査院は、約八億円の値引きの根拠となったごみ撤去費について、十分な根拠が確認できないと指摘をしました。残された決裁文書で、国交、財務両省と森友学園の詳細なやりとりなどが確認をできず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えないと述べております。  森友学園との交渉記録などを廃棄した財務省などの対応は会計事務の適正さを極めて欠いているのではないのか、この点についての御所見をお聞かせください。
  57. 森田祐司

    森田参考人 ありがとうございます。  その点につきましても検査をさせていただき、検査報告の中でも、文書管理を今後しっかりやっていただくように、問題点があったのでしっかりやっていただくようにと、こういうところを所見に述べさせていただいて、改善をお願いしているところでございます。
  58. 塩川鉄也

    ○塩川委員 その対応が本当にそれでよかったのか。要するに、財務省のその書類は実際には廃棄をしていた、こういう対応そのものが極めて重大だと思うんですけれども、この点について、会計検査院の立場からお考えのところをお聞かせいただけないでしょうか。
  59. 森田祐司

    森田参考人 ありがとうございます。  実際にそのような事態というものが検査の結果わかってきたところでございまして、その点を検査院としてもまず明らかにする、そして改善を促していく、このような形での報告で、我々もまずはその報告を出させていただいたということかと思っております。
  60. 塩川鉄也

    ○塩川委員 ありがとうございました。
  61. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、遠藤敬君。
  62. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。  森田検査官候補者にお伺いをいたします。  会計検査院は、社会的関心の高い事態、国民関心の高い事項について積極的に取り上げるべきと考えておりますか。お伺いをしたいと思います。
  63. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  会計検査は、先ほどからもございますように、非常に広い範囲を対象としておるところでございますけれども、ですから、いろいろな重要性でありますとか過去の問題点なんかを見ながら検査をやっていくところであるんですけれども、そのときのやはり非常に重要な要素として、今御指摘いただきました、国民が非常に関心が高い事項、あるいは国会での御審議状況なんか、こういうようなものを踏まえて、どういうところを重点的に検査していくかを考えながら進めていくということは、今後とも続けていきたいというふうに思っております。
  64. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 東京オリンピック・パラリンピックの関連施策のようにオール・ジャパンで取り組むことが必要な施策については、省庁間の連携がとれているのかといった問題も課題だと思われております。  一方、会計検査院は、組織検査対象ごとに縦割りになっており、横断検査が十分とは言えないと思われるが、これに対する見解はいかがでしょうか。
  65. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  現状の組織は、御指摘のとおり、省庁担当を決めていく、いわゆる縦割りということなんですけれども、これは、検査の効率的な実施ですとか、検査の空白域といいますか誰も担当していない部分がないというようなことで、非常にメリットもあると思うんですね。  ただ、今御指摘の例えば東京オリンピック・パラリンピックのような非常に省庁横断的に行われる事業については、これではやはり足らない部分がありますので、これは過去からもございまして、我々でいきますと第一局、第五局なんかに、そういう特命事項でありますとか横断的なものをやっていく、そういう組織をつくって対応しておりますし、東日本大震災復興に関する検査とかいうようなところでも、そういう横断的な検査というのは力が発揮できたのかなというふうに思っております。  東京オリンピック・パラリンピックにつきましても、府省横断的に検査実施してまいりたいというふうに考えております。
  66. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 最後ですけれども、会計検査院検査を行うに当たっては、検査対象機関の内部監査や総務省の行う行政評価と連携をとっていく必要があると考えておりますが、また、検査結果を予算編成に役立てることも重要だと考えております。最後にお伺いをいたします。
  67. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  まさにそのような重要性というものは大切なことというのを私も認識をしております。内部監査は、まずそれが充実して実効性を高めていただくというのが非常に重要なことだと思いますので、逆にそういうようなところに問題点がありましたら、その改善を促していくというのが我々のまず非常に重要なことかと思います。  行政評価等につきましても同じようなことかと思いますし、そういうようなものを所管しております総務省の行政評価局とかそういうようなところとも、定期的な連絡会なんかを持ちながら意見交換を行っているところでございます。  予算への反映につきましては、年に一度の検査報告を早期に、できるだけ早期に出させていただくという努力に加えまして、検査があった都度、重要な項目につきましては随時報告というような形で、その検査報告を待たずに国会にも御報告をし、あるいは内閣にも御報告をすることによって、検査結果を予算に反映していただく、そのようなことを進めていただくように取組をしておりますし、予算編成当局であります財務省とも、検査結果なんかをもとに定期的な連絡会を催して情報交換をしているところでございます。
  68. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 終わります。ありがとうございます。
  69. 古屋圭司

    古屋委員長 これにて各会派を代表する委員質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。  また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  70. 塩川鉄也

    ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。  過去、その不透明な支出が問題となってきた内閣官房報償費、いわゆる官房機密費の検査についてお聞きします。  今月十九日、最高裁が一部の文書の公開を命じる判決も話題になりましたが、三類型ある官房機密費のうち、調査情報対策費、活動関係費は領収書等支出先が確認できるものを保存することになっていますが、官房長官が直接扱う政策推進費については、いつ、誰に、どのような目的で幾ら支払ったのか、適切に記録する仕組みがありません。まさに官房長官しか知り得ないことがある。それなのに、菅官房長官は、会計検査院に報償費の執行について直接説明を行うことはないと国会で答弁をしていました。  官房長官が直接扱う官房機密費について、会計検査院はどのような検査を行っているのかをお尋ねいたします。
  71. 森田祐司

    森田参考人 御質問ありがとうございます。  先ほども申し上げました計算証明という形で、今回開示が認められました部分についてはきちっと書類を提出されているところでございます。  実際に、実地検査といたしましては、役務提供者等の領収書の関係書類の提示を受けたりとか、あるいは関係者の方々の説明を受けたりなどして検査をしておるところでございます。
  72. 古屋圭司

    古屋委員長 ほかにどなたかございませんか。  ないようでございますので、これにて森田参考人所信に対する質疑は終了いたしました。  森田参考人、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。     —————————————
  73. 古屋圭司

    古屋委員長 これより杉本参考人所信に対する質疑を行います。  質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。  熊田裕通君。
  74. 熊田裕通

    ○熊田委員 おはようございます。自由民主党の熊田裕通でございます。  杉本委員長候補者質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、所信の中でも、公正取引委員会の存在意義また目的、さまざまなお話を聞かせていただきました。基本的な考え方は聞かせていただきましたが、これまで委員長として五年間任期を務められ、そして、競争政策の強化、こういったものにさまざま取り組んでこられたと思いますけれども、これまでのこの五年間をまず振り返っていただいて、その所感をお聞かせいただきたいと思います。
  75. 杉本和行

    杉本参考人 ありがとうございます。  私が就任して以来も、申しましたように、競争環境の整備というものが日本経済発展にとって非常に重要なことだと思っておりますし、さらには消費者利益を確保するためにも競争環境の整備というものが極めて重要だと考えております。また、今の時代を考えますと、いろいろな大きな変化、デジタル経済の進展等大きな進展がございますので、そういう状況を踏まえてしっかりと競争政策執行していくことが任務だと考えておりまして、そういった形で実行してきておりました。  競争環境を整備するという意味では、反競争的な行為、これをしっかりと取り締まることが非常に重要な任務だと考えておりまして、公正取引委員会として、私の就任以降、独占禁止法違反につきましては六十件の排除措置命令を出しました。また、課徴金納付命令は八百億円超に上っております。さらに、下請関係につきましても、下請法違反事件については三十八件を勧告いたしまして、三万件弱の指導。  両方合わせますと一年間に五千件を超えるような状況が最近続いておりますけれども、そういった指導もやってまいりました。  それから、消費税転嫁対策特別措置法違反事件につきましても、四十一件の勧告、二千件超の指導も行ってまいったところでございます。  こうしたように、独占禁止法の厳正、適正な執行中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化に尽力してきたと考えております。  また、ガイドラインの整備、どういう行動が独禁法上許されないかということを広く普及する必要がありますので、そういったガイドラインの整備。それから、事業者からの事前相談への対応。それから、中小企業の下請法を含めました講習会の開催等によりまして、事業者違反行為を自主的に未然に防止する施策というものを推進してきたつもりでございます。  それから、経済環境の変化に対応したいという視点も踏まえまして、デジタル経済の進展に伴いまして、そういうものに対して競争政策をどういうふうに適用していくのかということについて、研究会を開きまして考え方を整理いたしまして、そういった考え方に基づいて競争政策をデジタル経済に適用していくというようなことも始めておるところでございます。  こういったことも通じまして、市場における自由で公正な競争環境の維持、実現に更に努めてきたところであると考えております。
  76. 熊田裕通

    ○熊田委員 ありがとうございました。  私も、地元を歩いて、さまざまな工場とか、お話をしておると、やはり、大企業ではなくて中小企業そして小さな小規模事業者というものの環境を取り巻いている経済環境というのは、なかなかこれは厳しいんだなということを本当に感じるわけでございます。  先ほどお話の中にありましたように、中小企業にとって不当に不利益を与えるような行為是正というのは更に取り組んでいただく必要があるんじゃないかということを特に感じておりますけれども、今後、新しく委員長になられまして、これからさまざまなことに取り組まれると思いますが、特に中小企業の取引環境改善について、公正取引委員会、また委員長としてどう取り組んでいかれるのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  77. 杉本和行

    杉本参考人 先生が御指摘のとおり、我が国の景気は緩やかな回復基調が続いておりますが、中小企業を取り巻く環境は依然厳しい状況があると認識しております。  こうした状況下の中で、独占禁止法及び下請法違反の行為の未然防止に努めるとともに、違反行為に対して厳正に対処することによって、下請業者が受ける不利益というものに対応していくということが必要だと思っておりまして、就任して以来も、そうした下請法の執行というものに対して積極的に対応してきたつもりでございます。  先ほども申しましたけれども、下請法違反に関しましては、年間、最近では六千件ぐらいに達しておりますけれども、どんどん勧告、指導したりする案件もふやしてきているところでございます。  さらには、いろいろな講習会だとかも開きまして、どういうものが下請法上問題になるのか、中小企業不利益を与える行為として私どもとして問題にするのかということを周知徹底することも更に努めているところでございます。  また、下請法の一層運用強化ということで、先般、下請運用基準を改正いたしましたし、手形通達の見直し、手形の期限というもの、できるだけなくして現金払いを原則とするような通達の見直しもいたしましたし、荷主と物流業者の取引についても書面調査を行って強化しているといったこともやってきております。  また、二十九年度におきましては、下請法の定期書面調査について、親事業者向け、下請事業者向け双方の調査数というものも非常に大幅に増加させたところでございます。こういった調査をやりますことによって、下請は親会社に対してなかなか物を言えないところがありますので、そういうところに対しても、事実、状況の発見に努めているところでございます。  公正取引委員会は、こういった取引条件の改善、長時間労働の是正中小企業、小規模事業者が抱える諸課題の実態を把握し対応策を検討するために、中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議にも参加しているところでございまして、その議論も踏まえつつ、今申し上げましたような取組を更に進めていく、積極的に対応していくということが必要だと考えております。
  78. 熊田裕通

    ○熊田委員 今お話しいただいて、民民の取引ですから、なかなかやりにくいところがあるかもしれませんけれども、ぜひ、中小企業、小規模の皆さんのためにしっかり取り組んでいただきたいなと御期待をしたいと思います。  最後に、先ほどいろいろお話しいただいたように、経済というのはグローバル化をし、そしてまた、起きる事件については複雑化、巧妙化が進んでまいります。競争政策はより一層その重要性を増していくものと考えておりますけれども、これから任期を務められる中で、独占禁止法の趣旨、目的、こういったものを実現していく、そして同法の執行も含めて、公正取引委員会として、また委員長としてこれから特にこういったものに取り組んでいこう、こういうことを求めていこう、そのようなものがありましたら、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 杉本和行

    杉本参考人 先生御指摘のとおり、経済グローバル化というのは急速に進展しております。したがいまして、企業活動も国境を越えまして世界に展開されるというのが現状でございます。さらには、デジタル化の大きな波というものもどんどん押し寄せてきておりまして、こうした世界におけるイノベーションというものもこれから非常に注目されることでございます。したがいまして、そういった経済グローバル化経済のデジタル化ということに対して競争政策としても対応していくということがこれからの課題だと思っております。  グローバル化に関しましては、各国当局と協力しながら、いわゆる競争規範のコンバージェンスと申しますか、共通なスタンダードによります執行に努めていくように努力するとともに、情報交換を行い、かつ、協力体制を構築することによってグローバル化に対する対応をしてまいりたいと思っております。  さらに、経済のデジタル化の波に関しましては、いわゆるプラットホームビジネスというものがありまして、これは、ビジネス形態が現在のものよりもかなり変わっておりまして、両者をつなぐようなビジネス形態になっておりますので、そういうものに対して競争政策観点からどういうふうに対応するか、いろいろな、企業の排除行為だとか支配行為だとか不当に拘束するような行為に対してどう対応するかということを積極的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  80. 熊田裕通

    ○熊田委員 終わります。ありがとうございました。
  81. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、落合貴之君。
  82. 落合貴之

    落合委員 立憲民主党落合貴之でございます。  杉本公正取引委員会委員長候補にお伺いをさせていただきます。  まず、今回両院で承認されましたら、再任ということで二期目ということになりますが、まず冒頭に、いろいろと調べてみますと、歴代の委員長十七名のうち十二名が大蔵省、財務省のOBということなんですが、これは、何で大蔵省、財務省OBが多く選ばれているのかなというふうに御自身はお考えでしょうか。
  83. 杉本和行

    杉本参考人 公正取引委員会委員長につきましては、独占禁止法二十九条二項におきまして、「法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。」というふうに規定されております。このような観点から、任命権者でございます内閣総理大臣において、そういった、法律、経済に対する学識経験等を踏まえまして任命されたものであると承知しております。  任命された歴代の委員長財務省、大蔵省出身者が多いという御指摘でございますが、それぞれその職務を誠実かつ中立厳正に果たしてきているものと承知しておりまして、独占禁止法の公正かつ適切な運用という職務をしっかり果たしていくということが私としても重要だと考えております。
  84. 落合貴之

    落合委員 財務省でそれなりの地位にあった方は学識経験があるんだとは思いますけれども、職務上、財務省と連携が必要なこと、パイプが必要なこと、そういったものはあるんでしょうか。
  85. 杉本和行

    杉本参考人 独占禁止法執行というのは、あくまでも自由闊達な、公正かつ闊達な競争を促進するという観点からやっておりますので、直接財務省の職務ということには関係するところは余りないというふうに考えております。  ただ、行政経験でございますので、いかに行政を執行していくかという、その経験というものが役に立つことはあるのではないかと思っておるところでございます。
  86. 落合貴之

    落合委員 そこが国民が思う一つの疑問点でもあると思います。  それから次に、先ほどもありましたが、今の経済状況、大企業はある程度いい数字も出ているところがありますけれども、問題は中小企業だ。これは政府も認めているところでございます。  先ほど、いろいろなことをやってきたというふうに御説明もいただきましたが、前期の五年間の施策、これで、中小企業と大企業の取引関係、それから中小企業と零細企業の取引関係、この監視において施策は十分であったというふうに、自己評価はいかがでしょうか。
  87. 杉本和行

    杉本参考人 私どもの中小企業対策、中小企業に向けての施策の役目としては、中小企業が不当に不利な条件を押しつけられたというものがやはり下請法違反になるとか優越的地位の濫用になるとかという観点から対応していく必要があると思っております。  したがいまして、私どもは、私どもの役目、私どもの任務からして、できるだけ、中小企業不利益な取引条件を不当に押しつけられたということに対して、発見してそれに対応するとともに、そういうことが起こらないようにということで周知徹底していくということが私たちの役目だと思っております。そういったことで中小企業地位向上といいますか、そういったものに対応していくのが私たちの任務だと思っております。  ただ、私どもの施策だけで中小企業対策が構成されるわけではございませんでして、先ほど申しましたように、官邸で中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議というものが開催されまして、それにおきまして、中小企業、小規模事業者が抱える諸問題の実態を把握して対応するということになっていますので、私どもも、そういう観点からどう貢献していくかということを更に検討を進めていきまして、積極的に対応していくということが必要だと思っておるところでございます。
  88. 落合貴之

    落合委員 今までいろいろやってきたけれども、更に対応が必要であるというふうに考えているということでよろしいですね。
  89. 杉本和行

    杉本参考人 私たちの果たすべき役目をより積極的に果たしていくということが中小企業利益を守るためには必要だと思っていまして、更に施策を積極的に進めていくということをやっていくことが必要であるかと思っておるわけでございます。
  90. 落合貴之

    落合委員 この下請の問題、これは現下ではかなり重要な問題であると思います。ここに御注力をいただければというふうに思います。  それから、前期、消費税が五%から八%に上がっています。これは価格転嫁の問題があったわけですが、この取組も十分であったのか。  それから、政府は来年もう一回上げようという予定もしているわけです。私はこれは反対ですけれども、今問題があるのであれば、もう一回上げたときに更にその傷口は広がるわけです。これは、今までと、それからこれから、いかがでしょうか。
  91. 杉本和行

    杉本参考人 消費税率の引上げに際しまして、転嫁がスムーズに行われませんとなかなか中小企業に対する影響が大きいという観点から法律が制定されまして、私どもも、転嫁拒否行動に対して積極的に対応していくということをやってきたところでございます。  まず、法律の施行に合わせまして、転嫁拒否行為は、これは違法になるんだよということをかなり周知徹底したつもりでございまして、その上で、まだ違反行為があることについては相当な数で勧告、指導してまいりましたので、徐々にというか相当浸透してきたんだと思います。  まあ、一〇〇%浸透したかといいますと、まだ違反行為が見られるということで、一〇〇%浸透したという実績にはならないかと思いますけれども、かなり浸透してきたと思っておりますし、さらには、違反行為に対しては摘発することによって、一層の浸透に努力したいと思っているところでございます。
  92. 落合貴之

    落合委員 ここもかなり重要な問題であると思います。  それで、今、大企業の独占というよりも中小企業の問題が出てきている中で、調査も数多く行わなきゃいけないということで、だんだんと対象が、数も広がってきていると思います。  前期やられて、職員の数ですとか体制、これは十分だったというふうに言えますでしょうか。
  93. 杉本和行

    杉本参考人 私どもの担います任務というものは非常にどんどん大きくなってきていると思いまして、それに向かったリソースの充実といいますか、体制の充実というものも私どもぜひお願いしたいと思っております。  これまでも、いろいろお願いいたしまして、関係当局、定員管理当局だとかそれから財政当局等からもある程度理解を得ておりまして、リソースの充実には進展があったものと考えております。  しかし、また更にこれからも仕事がございますので、いろいろ御理解を得ながらリソースの充実ということには努めてまいりたいと思っております。
  94. 落合貴之

    落合委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、伊藤俊輔君。
  96. 伊藤俊輔

    伊藤(俊)委員 希望の党、伊藤俊輔でございます。  先ほどの所信並びに公正取引委員会が持つ今後の役割課題を含め、質問させていただきたいと思います。  今回再任ということになろうと思いますが、この五年間の間に特に課題になっているもの、直近では、日本を代表する公共工事、リニア談合問題や、あるいは独禁法改正案、また、これからのビッグデータの活用やフリーランスに対しての保護など、多くの課題があると思います。  時間の関係上絞らせていただきたいと思いますが、まず、独禁法改正案、提出見送りになったことについて、公正取引委員会として、企業の課徴金制度見直しの必要性、あるいは申請者数の上限の撤廃、そして、弁護士による非協力的なアドバイスが行われないようなどを念頭に検討されていることと思いますが、一方で、企業や弁護士側等々から、秘匿特権を認めること、国際的な取引が大きくなる中で通信保護制度の是非が課題になっているかと思います。  今後どのような取組をされるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  97. 杉本和行

    杉本参考人 課徴金の見直しの制度につきましては、昨年、検討会でいろいろ御議論いただきまして、検討会の報告をいただいたところでございます。  その内容に関しまして、独禁法の改正の成案を得るべくいろいろ検討してまいったところでございますが、現段階においてはまだ調整がついていないと私どもは認識しておりまして、調整がつかない段階で成案を得るめどがまだ立っていないということで、本通常国会への独占禁止法の提出は見送らざるを得ないという事態になったと判断しております。  いろいろ御議論がありまして、弁護士・依頼者秘匿特権、今御指摘がありましたようなものについても議論がございまして、私どもとしては、なかなか公正取引委員会の権限の範疇を超えるような議論もございますので、そういった議論が進捗することを待って、その上でまた、成案を得るべく努力したいと思っているところでございます。
  98. 伊藤俊輔

    伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  独禁法のあり方について、今、グローバル化やIT、AIなどを含めてですが、環境が大きく変化するそんな中において、独禁法のあり方、範囲など、いろいろ問われていくと思います。  今、アマゾンやグーグルなど、多くのビッグデータを集中されているという中で、そのこれからの活用のあり方と独禁法の兼ね合いをお聞きしたいと思っています。
  99. 杉本和行

    杉本参考人 企業活動のデジタル化と申しますか経済のIT化というものが急速に進展していることを私どもも十分認識しておりまして、そういったところで競争政策をどう運用していくのか、どう適用していくのかというのは、これからの経済社会にとって非常に重要な課題になってくるんだと思っております。  そうした観点から、私どもも、データと競争政策に対する研究会というものを開かせていただきまして、そこでまさに、デジタル経済競争政策関係というものを議論を整理してもらったところでございます。  そういったことを踏まえまして私どもとしては対応していかなきゃいけないと思いますが、例えば、データを不当に囲い込むだとか不当に収集するだとか、そういうものはそれぞれの経済活動を公正、自由に展開することに対する阻害要因になる可能性が非常に強うございますので、そういったものに対しては非常に厳しい目を向けていく必要があるんじゃないかと思っております。  そういったものに対してしっかりと目を向けた上で競争政策を実行していくということがこれからの課題になってくると思っております。
  100. 伊藤俊輔

    伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  また、もう一つ、今、フリーランスに対して、その保護が検討がされ始めていると思いますけれども、昨今では、契約で話題になったSMAPさんの事例だったり、あるいは、以前からプロ野球のドラフト会議などなどあると思いますが、このフリーランスの保護に対してのお考えを教えていただきたいと思います。
  101. 杉本和行

    杉本参考人 御指摘のように、今、フリーランス的な働き方が非常に急速にふえているんだと認識しております。  それは先ほど申しました経済のデジタル化とも関係していると思いますので、クラウドソーシングだとか、自分で自宅にいて個人でいろいろ企業の活動に寄与できるとか、そういう経済の変化があるんだと思っております。そういったフリーランス的な働き方が増加している、また副業的な働き方も増加しているというような雇用情勢の変化があります。  こういった形態につきましては、今御指摘がありましたように、従来ですと芸能界とかスポーツ界で見られたわけでございますが、そういったものが非常に広範に広がっているというような状況でございますので、そういったものに対して独禁法でどういうふうに対応していくのかということを今、これも研究会を開きまして検討して、考え方の整理をしてもらっているところでございます。  今までそこが、雇用関係が適用できるので雇用関係の法律が適用されるのか、独禁法が適用されるのかという、なかなか議論が整理されておりませんので、そこを議論を整理した上で、独禁法の適用が必要だということで議論が整理されましたら、そういうふうなことでしっかりとこれからも対応していって、フリーランス的な働き方に対して、その市場がゆがめられていないか、すなわち不当に不利な取扱いがされていないかどうか等について目を光らせていく必要も生じるんじゃないかと考えているところでございます。
  102. 伊藤俊輔

    伊藤(俊)委員 これからの独禁法の適用範囲など、環境の変化に対応しなきゃいけないと思いますけれども、経済の公平な競争、これが広がるような、そんな対応をお願いしたいと思っております。  最後に、下請法について一つお伺いしたいと思います。  私も中小企業を自分で十二年経営をしてきた経験もあります。自分の経験上、実体験として、下請業者へのアンケートなども実態調査で行われていると思いますけれども、正直、積極的に情報を提供できない状況下にある下請業者も多くいるという実感です。  下請業者の心情は、アンケートに答えて、結果的に取引先から仕事がマイナスにならないかとか、下請いじめを摘発するだけにとどまらず、その先の対応も考えながら、結果的に中小零細企業の皆さんにその実感が得られるような対策が必要だと思っています。  現状の認識と御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  103. 杉本和行

    杉本参考人 御指摘のとおり、下請業者というものは親業者に対しての立場が弱いということでございますので、例えば、こういうことを申告しているとか、公正取引委員会報告しておりますということになりますと、かえって圧力を受けるんじゃないか、取引を切られるとかそういう圧力を受けるんじゃないかということを心配する向きは非常に多いんだと思っております。  したがいまして、私どもは直接調査をして声を吸い上げることにしておりますけれども、その際にも、匿名性というか、どの中小企業者が、どの下請業者がどういうことを言っているということが全く親会社にはわからないようにということにも十分配慮して、そこで、実際の声といいますか、どういうことが行われているかということを把握することが必要だと思っておりまして、そこについては、今申し上げました匿名性といいますか、わからない、下請業者がどの親会社に対してどういう問題点を指摘しているかということが察知されないように、いろいろ努力しながら事業執行しているというところでございます。
  104. 伊藤俊輔

    伊藤(俊)委員 現実的な状況を踏まえて対応していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  105. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、伊藤渉君。
  106. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 ありがとうございます。  杉本参考人に、早速、これまでの質疑も踏まえて御質問したいと思います。  まず、公正かつ自由な競争という、現代におけるこの言葉の意味というものがどういうものなのかということを少し聞いてみたいと思います。  我が国は、成長期から成熟期に入っておりますので、経済成長は緩やかでも持続的なものであることが望まれる、こういうふうに私は考えております。  緩やかな経済成長の場合は、成長期のときのように、同様な事業を行うほぼ全ての事業者が大なり小なりもうけることができるというわけに徐々にいかなくなってくるんだろうと思います。加えて、利益率は低くなりますので、より資本力のある企業がさまざまな事業分野に進出をしてきます。結果、多角経営により全体の利益の確保をする。これは、経済の合理性から考えれば、一概にもちろん否定もできません。  一方で、これまでその一つの事業分野で成立していた、より小さい資本力の事業者は、その市場から退場をするに至る場合も出てくる。これは、今まで、現在我々が遭遇していることそのものの一つの側面だと思っております。  こうした結果、いわゆる分厚い中間層等の減少の一つの原因になっているのではないかと考えておりますけれども、これは結果的に、全体の経済の緩やかでも持続的な経済成長を困難にする可能性もある非常に難しい問題だと思っております。  緩やかでも持続的な経済成長を可能にする公正かつ自由な競争のあるべきルールのあり方、あるいは方向性について、参考人のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  107. 杉本和行

    杉本参考人 おっしゃるように、日本経済は高度成長を終了しまして成熟化しているという認識は私どもも持っております。しかし、その成熟化した経済のもとで、ではどういうことが必要なのかと思いますと、結局、イノベーションというものが経済を引っ張っていかなきゃいけないんだと思っております。  イノベーションには、プロダクトイノベーション、プロセスイノベーション、それからビジネスモデルのイノベーションとか、いろいろな分野でイノベーションは起こっていかなければならないと思いますけれども、そういったイノベーションを起こすことによって、ある意味では市場を広げていくといいますか、市場を広げていく努力が必要なんだと思っております。市場が縮小しているからということでそれに安住しない、それを与件としないで、どんどん新しい市場を開拓するように企業がそれぞれ努力していく必要があるんだと思っております。  そのためには、やはり競争環境の整備というのが非常に重要だと思っておりまして、そういった中でイノベーションのインセンティブというのは起こっていくんだと思います。  企業が成熟しているからといって、その市場に安住して、だんだん縮小していく市場に安住していることでは、全然、まさにじり貧の道と申しますか、そういうことになってまいりますので、そういった努力を促す、中小企業であろうと大企業であろうと、日本経済を更に発展させていくためにはそういうイノベーション努力に対するインセンティブが必要だと思っておりますので、そのインセンティブのためにも競争環境を確保していくということが必要になっていくんじゃないかと考えているところでございます。
  108. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 ありがとうございます。大変参考になります。  もう一つは、そういう意味でいうと、まさにそのイノベーションの最先端といいますか、仮想通貨取引など、金融市場の高度化というのはすさまじいものがありまして、これは逆に気をつけなきゃいけないのは、バブル経済を生むリスクが非常に高いというふうに私は見ております。  このすさまじいスピードで進化する金融取引についての対応、そして、そこに対応するためにはより高度で専門的な知識を習得した人材の育成が必要になってくると思いますけれども、こうした発展著しい金融市場への対応と人材の育成について、お考えをお聞きしたいと思います。
  109. 杉本和行

    杉本参考人 経済のIT化と申しますかデジタル化というのは急速に進展しているんだと思っております。  私どもの業務執行していくについても、IT化した資料をどういうふうに分析していくのか、読んでいくのかというのも非常に重要な課題でございまして、デジタル・フォレンジックと申しておりますけれども、そういったデジタルな情報をどういうふうに解析していくかというようなことも非常に重要でございまして、そういった人材を育成するオン・ザ・ジョブ・トレーニングもございますし、いろいろなところで研修を受けさせたり勉強させたりすることも必要になってきていると思います。  さらに、私どもの調査対象になりますデジタルエコノミーというものが、どういう構造で、どういうふうになって、非常に複雑かつ技術的な面もございます。プラットホームビジネスがどういうふうに、例えばPRといいますか広告事業をやっているかということも非常に複雑な関係がありまして、IT技術を駆使したやり方が行われておりますので、そういったものに対しても絶えず私どももキャッチアップしていくことがありますので、職員に対してやはりそういうことの勉強というものをしっかりさせていかなきゃいけないんだと思っております。  本当に、非常に技術的といいますか、非常に高度な技術的な問題等もございますので、そういったものにキャッチアップするために、職員の研修とか職員の勉強とか研究というものもしっかりやっていく必要があるんじゃないかと考えているところでございます。
  110. 伊藤渉

    伊藤(渉)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  111. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、原口一博君。
  112. 原口一博

    原口委員 民進党の原口一博です。  無所属の会を代表して、杉本参考人に伺います。  前の竹島委員長のときに、独禁法改正案、かんかんがくがくでつくらせていただきました。その立場からまず一点、リーニエンシー、これがどのようにきいているか、お尋ねを申し上げます。
  113. 杉本和行

    杉本参考人 リーニエンシーを導入する際にはいろいろな議論があったんだと思います。  ただ、今、国際的な独占禁止行政と申しますか、競争政策の法の執行を見ておりますと、やはりどこの国もリーニエンシーを導入しておりまして、それがいわば国際基準、国際標準というものにもなっているんだと思っております。  実際、そのリーニエンシーを導入いたしましてどういうことが起こっているかでございますが、私どもの執行からいきますと、結構、相当な数のリーニエンシー案件が、リーニエンシーの申請、申告もございますし、それに基づいて調査に入り、法的措置をとったという案件も多くありまして、非常に効果的に働いているんだと思います。  私どもとしましては、そういう制度を導入することによりまして、結局、企業のコンプライアンス意識というものも高まるんだと思っております。反競争的な行為があった場合にはそれを速やかに是正するよということが必要になりますので、そういった企業の意識というものもどんどん改善していくと思いますので、そういった意味でも、リーニエンシーというのは非常に効果があったというふうに考えております。
  114. 原口一博

    原口委員 戦う公取委、公正なマーケット、そのためにもリーニエンシーは非常に大事だと私も考えています。その上で、マーケットアビューズについては大きな課徴金を課す、こういう形で持ってきたわけですね。  先ほど、八百億と談合についてお話がございましたけれども、国際的なカルテルあるいは国際的なICT企業の独占については、もっともっと公取委はやれることがあるんじゃないかというふうに思います。  アメリカでは、司法省ビジネスといって、三倍もの課徴金をかけられて日本企業は苦労しているわけですけれども、その逆はなかなか見られない。そのことについて、御所見を伺いたいと思います。
  115. 杉本和行

    杉本参考人 私どもも、企業活動が国境を越えるという実態を踏まえまして、国際的な案件に対しても競争政策を積極的に活用していく必要があるんだと思っております。したがいまして、日本企業だけに適用するんじゃなくて、外国企業が日本市場において行っている行動が私的独占に当たらないのか、それとも企業活動を拘束するような不公正な取引方法に当たらないのかということについても、積極的にモニターして、積極的に対応するということを方針としてやっているところでございます。  外国企業に対しては適用しないのかということでございますが、実際問題として、企業結合案件、いわゆる合併案件に関しましても、外国企業同士の統合等の案件も私どもでは審査しておりまして、それにつきまして積極的に、レメディーと申しておりますけれども、回復措置を条件として認めたというような例もかなり最近では出てきております。  それから、海外でのカルテル行動とか談合行動につきましても、先般、独禁法を適用いたしまして、これはブラウン管のカルテルでございますけれども、それに対して適用いたしまして、そのものに対しまして、先般、最高裁で私どもの判断を是認する判決も出てきたところでございますので、積極的に国際適用といいますか、外国企業に対しても、反競争的な行為、日本の独禁法の範疇にはまるものに対しては対応していく必要があるんじゃないかと考えておるところでございます。  特に、今申し上げましたデジタルの世界では、非常に国際的に大きな、ドミナントな企業が現出しておりますので、そういった事業者の行動に対しては、かなり実際の行動についてモニターして、いろいろ対応していく必要があるんじゃないかと思っております。  先般も、アマゾンの契約内容についていろいろ調査いたしましたところ、アマゾンの方から自主的にこれは改めるというようなことがございましたので、そういったことを是として調査を終了したところでございますが、日本企業のみならず外国企業に対しても、私どもとしては、無差別と申しますか、差別することなく、競争政策、独禁法を適用していくことが必要じゃないかと思っているところでございます。
  116. 原口一博

    原口委員 仮想通貨、つまり、通貨そのもののスタンダードをとりに行く、そして大きな囲い込みをする、このことについて、仮想通貨と競争政策関係についてお尋ねをしたいと思います。
  117. 杉本和行

    杉本参考人 私どもの観点は、あくまでも自由で公正な競争を阻害しているかどうかという観点でございますので、今の仮想通貨の現状について、それがどうなのかという、また、分析とか問題意識というのはまだ持っておりません。  現実問題として、競争政策からそこに切り口があるのかどうかということは今のところまだ検討しておりませんが、これから仮想通貨がどういうふうに使われるのか、どういう事業形態になっていくのか、その展開いかんによりましては、競争政策観点から、すなわち、公正でかつ自由な競争環境に反していないのかどうかという観点から対応することがあるかもしれませんけれども、今のところまだ、仮想通貨に対して競争政策から切り込む切り口というものを持っているわけではございません。
  118. 原口一博

    原口委員 これは早く議論していただきたいと思います。通貨の発行体そのものが不明で、大きな被害が出る危険性もあるということだけ申し上げておきたいと思います。  そして、データ分野に関する競争政策の推進ということで報告書をいただきましたけれども、しかし、データだけじゃないですよね。先ほど委員長がおっしゃったように、プラットホームそのものをとりに行って、プラットホームを独占することによって、そのビジネス全体をとる。ですから、私は、ICT分野における独占と競争政策というのは、世界の最先端を行き、そしてチェックをできる人材が必要だ、そう考えておりますが、委員長の御所見を伺いたい。
  119. 杉本和行

    杉本参考人 先生御指摘のように、プラットホームビジネスというのは、経済のIT化と相まって、ここのところ急速に進展している現象だと思っております。今までの取引形態とは違いまして、プラットホームが真ん中にありまして、供給者と需要者をつなぐというような、また三面構造といったらいいんでしょうか、両面構造というんでしょうか、二面構造というんでしょうか、そういった三者構成の二面構造的な業態になっておりますので、今までとはかなり、プラットホーム、行政というのとは違うと思っております。  しかも、プラットホームを制した者は世界を制するというようなことかもしれませんけれども、すなわち、ネットワーク効果というものがございますので、つながればつながるほど有利になっていくわけで、ウイナーズ・テークス・オールといいますか、自然独占といいますか、そういう形態になりやすいところでございます。  ただ、プラットホームがつながることによりまして、消費者側にとりましても非常に利便性が増すだとか、いつでも取引ができるようになるといった利便性もあります。しかし、プラットホームビジネスが、まさに自由で公正な競争を阻害するようなことがあれば、それは問題だと思いますので、私どもとしても、そういった観点から、プラットホームビジネスによる、業者のいろいろな経済活動の排除行為だとか支配行為だとか、それから不当に拘束する行為だとか、そういった観点からプラットホームビジネスについても切り込んでいきたいと思っているところでございます。
  120. 原口一博

    原口委員 私、放送と通信が融合しまして、そこで一つの大きな資本が言論や報道まで一遍に独占してしまうと、まさに言論の自由や表現の自由まで侵される、そういう思いから、クロスオーナーシップ規制という法改正に挑戦したんですが、当時はまだ早過ぎました。  その上で、もう時間があれなんです、これで最後にしますが、企業結合事案について、地銀の統合事案ですね。  私は、古い競争政策の、その地域をカバーしているからそれが競争を阻害するという考え方は本当にいいのかなと。メガバンク、都市銀行だけでかつては二十行あったのが、今、三つか四つ、あるいは五つですね。そうすると、そこで融資をできない人たちが地銀で融資をしてもらう。その地銀が経営体質を強くするために統合する。そこを妨げてはならぬのではないかというふうに思うんですが、基本的な地銀の統合についての競争政策、お考えを伺って、質問を終えたいと思います。
  121. 杉本和行

    杉本参考人 私どもの企業結合審査の方針といいますか、考え方について述べさせていただきたいと思います。  この企業結合審査の考え方というものもいわばグローバルスタンダードになっておりまして、すなわち、国境を越えるような企業活動がどんどんふえていることによりまして、世界、主要な当局の間で同じ考え方、同じようなコンバージェントした、コンバージェンスが行われた審査方針によって対応していくということが必要になっておると考えておりまして、私どももそうした国際基準にのっとって対応しているわけでございます。  すなわち、グローバルな企業であろうと地方でローカルな企業であろうとも、同じ基準で、企業結合というものに、企業合併とか統合というものに対応していかなければいけないと思っております。そのときには、一応、経済学的な所見に基づきまして市場を画定する、スニップステストと言っている非常に技術的な考え方でございますけれども、そういった考え方で市場を画定した上で、その市場の中で競争が実質的になくなっていくとか、実質的に競争が制限されるとか、そういう判断をしていくわけでございます。  したがいまして、市場を画定したときにも、さらに周辺市場、地銀でございますと、周辺の都府県からの競争圧力があるのかどうか、国内企業ですと、輸出輸入といいますか、海外からの競争圧力があるかどうか、新規参入の可能性があるのかどうか、供給余力がどれぐらいあるのか、それから、需要側からの競争圧力といいますか、需要者が強いと当然競争圧力が働くわけでございますから、需要からの競争圧力というものがどれだけあるのか、そういうものを判断していくということにしておりまして、それはいわば国際標準でございます。  地銀の話がございましたけれども、欧米当局でもやはり同じような考え方で対応しておりまして、アメリカでも、地方、ローカルな銀行の合併に対しまして、一地方の事業を全面的に第三者に移すとか、そういうことを条件としないと認めないといった例もございますし、ヨーロッパにおいても、地域の金融機関の合併がやはり独占的になると競争が阻害されるということで、拒否した事例も見られるところでございます。  したがいまして、私どもの立場はあくまでも、需要者にとって選択肢があるかないか、すなわち、需要者消費者利益が確保されるかどうかという観点から企業結合審査ということは対応していくことになっていくんだと思います。  結局、その市場において、その商品について独占的な地位合併等によって認められますと、それに対する、企業側としては、価格を上げるだとか供給量を絞る。金融機関でいいますと、金利を上げたり、若しくは供給量を絞っていく。金融機関でいけば、優良な貸出先だけに貸していればよくなるということになりますから、金融機関がそういう行動をとるかどうかはまた別問題でございますが、そういう行動をとり得る構造になるということを競争政策としては問題にして、そういう観点から地方銀行の企業結合については対応していくということになるのだと思っております。
  122. 原口一博

    原口委員 終わります。ありがとうございます。
  123. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、塩川鉄也君。
  124. 塩川鉄也

    ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。  杉本和行公正取引委員会委員長候補者にお尋ねをいたします。  杉本参考人公正取引委員長となりました二〇一三年に独占禁止法の改正が行われました。この改正は、公正取引委員会が行うカルテル、談合等の排除措置命令等の行政処分に対する不服審査手続である審判制度を廃止するものでした。準司法的手続である審判制度を廃止したことは、私は、独立行政委員会としての公正取引委員会の権能と独立性を弱め、談合、カルテルの摘発や優越的地位の濫用の是正など、公正な取引ルールを確立するための独禁法の執行力を弱めることになったのではないのか、このことを思いますが、お考えをお聞かせください。
  125. 杉本和行

    杉本参考人 御指摘のように、私が就任いたしまして、独禁法の改正法案というものを提出いたしまして、国会審議していただきまして、法案として成立させていただいたものでございます。  中身は、また御指摘のとおり、審判制度という、排除措置命令、課徴金命令に対して、まず、不服といいますか申立ては審判制度で審議した上で、それでもまだ不服があるときは裁判所に持っていくという制度でございましたが、これにつきましては、審判制度自体がいわば司法手続、検察官と裁判官とが同じ当局によって担われているので問題ではないかという強い批判がございまして、それに対応するために、私どもといたしましては、審判制度を廃止して、排除措置命令とか課徴金納付命令に対する取消し等は直接東京地方裁判所に訴えていただくという制度に変えたところでございます。  ただ、私どもは、これは、私どもの仕事としまして、まさに独立性を持って、それで委員組織でもって中立性を確保しながらやっていくという要請といいますか、必要性というのは全く変わらないと思っておりまして、そういう観点からも、審判制度は廃止いたしましたけれども、私どもが独立性を持って、かつ中立的に仕事を推進していくという体制は変わっていないと思っております。  世の中というか、やはり独占禁止当局の独立性というものは世界的にも必要だというふうにされているところと思いまして、それは、審判制度をとる、とらないにかかわらず、必要だと思われているところだと思っております。
  126. 塩川鉄也

    ○塩川委員 独立性、中立性の確保というお話がありましたが、二〇一三年十一月の独禁法の審議の際に私質問したんですけれども、私の質問に対して杉本委員長は、公正取引委員会の審判制度の廃止を求めるということは、経団連等、経済団体が強く要請されてきたという答弁をされております。  私はそのときに、一九九〇年以降、日本経団連の役員企業三十六社のうち十九社がカルテル、談合事件を起こしているということを指摘しました。日本経団連の役員企業の過半数が談合、カルテルという企業犯罪の常習犯となっていた。経団連は、みずからの談合体質を正す真摯な自己改革をしないまま、検察官と裁判官の兼任などという俗論を流して、審判制度の廃止を求めたわけです。  私は、この審判制度の廃止は、このような経団連や財界の要求を優先したものだったと率直に思うんですが、お考えをお聞かせください。
  127. 杉本和行

    杉本参考人 いろいろな、経済団体のみならず各方面から、審判制度は今おっしゃられましたように検察官と裁判官が同時にするようなもので決して適切なものじゃないということから廃止しろという要望がありましたけれども、私どもといたしましても、そういう御意見があることを踏まえまして、さらに、私どもの審査基準というものが、そういうことで、そういう目で見られることによって、公正じゃないというような批判を受けるようなことを正すためにも、すなわち、私どもの判断の公正さというものを担保するためにも、そういう審判制度というものを廃止してしかるべきじゃないかと考えて行ったところでございますので、審判制度の廃止をもって私どもの執行力が弱まることになったというふうには全く考えていないところでございます。
  128. 塩川鉄也

    ○塩川委員 公正取引委員会はことしの通常国会に、現行の課徴金制度を、調査への協力度合いに応じて金額を変える裁量型課徴金制度導入を始めとした独禁法改正案を提出する予定でしたが、提出を見送ると発表しました。  公正取引委員会の山田事務総長が記者会見しておりますけれども、独禁法改正を行うなら弁護士・依頼者間秘匿特権の法制化を行えと自民党が要求したため、それでは法制度全体にわたる大きな枠組みでの議論が必要となるとして、結果として、公取が求めていた裁量型課徴金制度導入の独禁法改正も見送らざるを得ないと判断したと説明しておりますが、それは事実でしょうか。
  129. 杉本和行

    杉本参考人 課徴金制度の見直しにつきましては、昨年、独禁法の研究会を開かせていただきまして、そこから御報告をいただいたところでございます。  その報告に基づいて、私どもは、独禁法の改正案について成案を得るべく努力していたところでございますけれども、今議員が御指摘になりましたような議論もございまして、そこで、まだ成案を得るまでの調整がついていないということでございますので、私どもとしては、そこはまだ、本通常国会への法案提出は見送るという決断を、決断といいますか、ことにさせていただいているところでございます。
  130. 塩川鉄也

    ○塩川委員 終わります。ありがとうございました。
  131. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、遠藤敬君。
  132. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。  時間が押しておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  我が国経済の成長には企業の生産性の向上が重要と考えております。独占禁止法の運用を中心とする競争政策は、企業の生産性の向上、ひいては我が国の経済成長にどのように関連するか、お考えをお聞かせください。
  133. 杉本和行

    杉本参考人 先進国経済というのは成熟化がかなり進展しているのだと思います。日本の経済におきましても、欧米に対するキャッチアップは完全に終了したという状況にあるんだと思います。その中で経済発展していく、成長していくためには、どうしてもイノベーションが必要じゃないかと考えているところでございます。  イノベーションが起こるためには、やはり公正、自由な経済環境が確保されるということがイノベーションを起こすインセンティブになっていくんだと思いますので、そういった観点から、技術革新が促進されるように、イノベーションが促進されるようにというようなことから競争政策執行していく必要があるのじゃないかと思っております。  したがいまして、競争を阻害するような行為が起こりますと、そこに逆に企業としては安住いたしますので、そこでイノベーションが起こらなくなってくる、そうすると経済成長のインセンティブも損なわれていくということが私どもが懸念することでございますので、そういった観点から競争政策執行していくことが必要ではないかとも考えているところでございます。
  134. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 現在のグローバル化に伴い、国際カルテルが我が国市場に与える影響は増大しております。現在、独占禁止法違反事件のうち、国際的事案に対してどのように取り組んでいくのか、お考えをお伺いいたします。
  135. 杉本和行

    杉本参考人 経済グローバル化し、企業活動が国境を越えるようになりますと、国際的なカルテルというものも起こってまいりますので、そういうものに十分目を向けていかなければいけないと思っております。  そういうものに対応するためには、各国競争当局との協力というものも非常に必要でございまして、私どもは各国当局と意見交換の機会も持っておりますし、さらには、個別の事件処理に当たりましても意見交換なり情報交換なりするということも必要になってまいりますので、そういったことも積極的に行っていくことになると考えております。  例えば、近年におきましても、外国事業者を含む自動車運送業務に関する船舶運航事業者価格カルテル事件について法的措置をとりましたし、本件の審査に対して立入検査のタイミングの調整など、諸外国の当局との連携、それから情報交換等も図ったところでございます。  二十七年度におきましては、アルミ電解コンデンサーとかタンタル電解コンデンサーの製造販売事業者による価格カルテル事件がございまして、措置をとったところでございますが、本件におきましても、意見交換とか連絡をとりながら審査を進めたりしているところでございます。  したがいまして、国際カルテル事件については、各国と協力しながら事案に対応することが必要であると同時に、私どもも、国際的な、標準的なディシプリンというものに基づいて対応していくということが必要になってくるんだと思っておるところでございます。
  136. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 最後に、我が国でも、ウーバーやエアビーアンドビーに代表されるシェアリングエコノミーが進展しております。このようなシェアリングエコノミーの進展や関連する問題について、競争政策観点からどのように対応していくか、最後にお答えください。
  137. 杉本和行

    杉本参考人 シェアリングエコノミーにおきましては、個人が保有する遊休資産、自動車とか建物、不動産だと思いますが、そういうものを利用して所有者と利用希望者が仲介されるというサービスでございます。  当事者にとって、その遊休資産が活用されて収入がふえるとか、安価ないろいろなサービスの利用が可能になるとかというようなメリットがございますし、他方、ホテルとかタクシーといった類似サービスに対する競争というものを促進するという効果もあると考えております。他方で、ただ、シェアリングエコノミーにおきましては、先ほど人材と競争政策関係で述べましたが、その従業員が雇用関係に当たるのかどうかというようなことも確定しておりませんでして、いろいろな議論が行われているところだと思っております。  したがいまして、私どもとしましても、シェアリングエコノミーにおけるインターネット上の企業と人材のマッチングが容易になったということも背景になっておりますが、就労形態が多様化しておりますので、そういったものに対して、人材の獲得競争が適正に行われているのかということで、切り口といいますか、そういった面から競争政策の適用を検討していく必要があると考えておりまして、今、人材と競争政策に関する検討会を設置して、そういった問題、観点の整理を行ってもらっているところでございます。
  138. 遠藤敬

    ○遠藤(敬)委員 終わります。ありがとうございます。
  139. 古屋圭司

    古屋委員長 これにて各会派を代表する委員質疑は終了いたしました。  これより自由質疑を行います。  質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。  また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。  時間が経過もしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  140. 塩川鉄也

    ○塩川委員 先ほどの続きですけれども、弁護士・依頼者間秘匿特権は、日本経団連が公正取引委員会に要求してきたものの一つであります。  二〇一七年四月の公正取引委員会独占禁止法研究会の報告書においては、秘匿特権が認められないことにより、事業者に現実に不利益が発生しているという具体的事実は確認できなかったと、公取としては研究会では法制化に慎重という対応だったわけですが、日本経団連の要求を背景に、秘匿特権の法制化を求める自民党をおもんぱかって、みずから改正しようとした裁量型課徴金制度導入も取り下げるというのでは、他から指揮監督を受けることなく独立して職務を行う三条委員会としての公正取引委員会役割を果たせないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  141. 杉本和行

    杉本参考人 先生の御指摘の研究会の報告におきまして、おっしゃるような報告をいただいているところでございます。私どもは、その報告を受けまして、独占禁止法改正案の成案を得るべく検討作業を進めてきたところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、関係各方面からの調整が困難となった状況でございます。  したがいまして、今、弁護士・依頼者間秘匿特権の話もございましたけれども、そういうことに関しましては、私どもの当事者能力といいますか、司法制度全体にかかわる話でございますので、そこの検討をまずしていただきまして、その検討結果を踏まえて、私どもとしては、更に、独占禁止法の改正法案の成案を得るべく、その検討結果を待って対応していきたいと考えているところでございます。
  142. 古屋圭司

    古屋委員長 他になければ、これにて杉本参考人所信に対する質疑は終了いたしました。  杉本参考人、ありがとうございました。  以上をもちまして検査官候補者及び公正取引委員会委員長候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  143. 古屋圭司

    古屋委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会