○
福田(昭)
委員 民進党の
福田昭夫でございます。
先日に引き続いて
質問の時間をいただいて、大変ありがとうございます。
質問に入る前に、通告いたしておりませんので
指摘だけしておきたいと思っていますが、NHKの最近の朝の七時のニュースとか夜の九時のニュースで気になる報道の仕方がありますので、
指摘しておきたいと思います。
それは、共謀罪の構成要件を改めたテロ等準備罪について、今、国会でもめている云々の報道がありますが、共謀罪の構成要件を改めたテロ等準備罪じゃないということをNHKもしっかり
認識をして報道すべきだということを
指摘しておきたいと思います。
それでは、
質問に入りたいと思います。
本年は、日本国憲法と
地方自治法が一九四七年五月三日に施行されてから、七十年の節目の年であります。憲法も大変心配でありますけれ
ども、
地方自治も、国と
地方が対等となる中で、
自治体のガバナンスというのは本当にちゃんとあるのかなと、その低下が大変心配されております。
元
総務省の役人で、鳥取県知事も務めて、
総務大臣も務めた片山善博氏も、共同通信のインタビューで大変心配をいたしております。
住民のチェック機能が空洞化、
議会のチェック機能不全だということを
指摘しております。私も全く同感であります。
そうした
意見を踏まえて、きょうは
地方自治法等の一部を
改正する
法律案について
政府の
考えをただしてまいりますので、簡潔に
お答えをいただきたいと思います。
質問時間が十時十一分までしかありませんから、通告をしておりますけれ
ども、相当はしょったりしながら
質問したいと思います。
まず、今回の
改正で、本当に首長のガバナンスは強化されるのか、
監査委員はどうだ、
議会はどうだ、
住民の監視機能は強化されるのか、甚だ疑問であります。
そこで、栃木県内における具体的な事例を挙げてから
質問に入りたいと思います。
具体的事例、三件挙げたいと思いますが、まず
一つは入札の制度であります。
ある市の入札制度でありますが、予定価格と最低制限価格を事前公表しておりますので、一般競争入札をやったとしても、例えば三十社が応札してきたら、全部が最低制限価格を入れている、つまり同額を入れている。では、その同額でどうやって落札者を決めるか。電子くじで落札者を決める、これが本当に公正な競争入札と言えるのかどうか。
このことについて、
総務大臣と国土交通
大臣連名で、
地方自治体に何回か是正をするようにという通知を出しておりますが、一向に
変更する様子はありません。
もう
一つは、ある町の例でありますが、小学校の校舎新築工事の実施設計
業務で、プロポーザル方式で審査を行った結果、町長が五社のうち二社に、それぞれ審査員に勝手に十点ずつつけ加えて、一位と二位を逆転させて設計業者を決めてしまうというようなことが行われております。こうした入札が本当に適切なのかどうか、そういう問題があります。
それから二つ目は、ここで前回も宇都宮市と芳賀町が進めるLRT事業について脱法行為だということを
指摘いたしましたけれ
ども、ここで実は、
住民から一回、
議会から二回、
住民投票にかけるべきだという提案がありました。しかし、首長からの要請を受けて、
議会は三度とも否決をいたしました。
住民の皆さんがなぜそういう提案をしているかというと、この会社は必ず赤字になって潰れるとみんなほとんどの人が思っているから、そう言っているんですね。
ですから、昨年の宇都宮市長選挙でも、二カ月前に手を挙げた新人とたった六千票差まで迫られちゃった。しかも、当日のNHKの出口調査では、現職の市長に入れた人も加えて何と六二%の人が反対であった、このLRT事業について。でも、どんどん仕事は進められていく、
議会のチェックもきかない、
監査委員のチェックもきかない、
住民のチェックも残念ながらきかないというような
状況にあります。
三点目は、株式会社エコシティ宇都宮の国庫
補助金返還問題についての裁判であります。
皆さんのお手元に資料の二と三と配ってありますので、まず資料の二から見ていただきたいと思います。
タイトルに「「知事過失」一転認めず 県勝訴 国命令の拒否「困難」」と書いてあります。まず、最初のリード文でありますが、
国の
補助金を受けた産業廃棄物処理業者「エコシティ宇都宮」が事業停止し、県が
補助金相当額を返還したのは違法だとして、市民オンブズパーソン栃木が県に対し、
福田富一知事へ約一億九千六百万円の
損害賠償を請求するよう求めた
住民訴訟の控訴審判決が二十六日、
東京高裁であった。
裁判長は「知事に過失があったとは言えない」と
指摘。請求を認めた一審宇都宮地裁判決を取り消し、パーソン栃木の請求を棄却した。
ということであります。
その下の四角の枠組みのところを見ていただきますと、「エコシティ
住民訴訟の判決のポイント」、争点三点ありますけれ
ども、
補助金の相当額返還の違法性については、一審、二審とも、まさに
補助金を返還したのは違法だというのを認定いたしました。それから、2の県の損害、これも発生したということを認めました。しかし、3の
福田富一知事の過失については、一審は、知事としての指揮監督上の
義務違反があると、知事への
損害賠償請求を県に命じました。しかし、二審は、県が国の納付命令を拒否することは事実上困難、指揮監督する知事には過失があったとは言えないということで、認めませんでした。
しかし、これは大きな問題があります。今回の国庫
補助金の返還は、国が
補助金の決定を取り消して全額返還を求めた話ではありません。国は、財産処分申請をさせて、六千万ほど全額返還より安くさせて、その上で県に財産処分申請を出させて、それで国が認可を与えて返還させた話であります。したがって、国が強制的に返させた話ではありません。
しかし、この判決文を読んでみますと、裁判官は国、農水省を助ける判断をしたために、知事の過失も認めないことになっちゃったというふうに私は
理解することができると思っております。
と申しますのは、農水省は、このバイオマスの環づくり交付金で、
全国の
自治体、八つの
自治体から
補助金を返還してもらっています。栃木県だけではありません。したがって、もしこれが、それこそ国に過失があるということになれば、実は、ほかの
自治体に返してもらったものも、国が
自治体に返さなくちゃならなくなっちゃうというおそれがあります。それをきっと裁判官は阻止したんだと思う。そのために、知事の責任もなくなったというふうに
考えられます。
さらに、知事はこのエコシティ宇都宮の事業を主導してきた一人であります。宇都宮の市長として、特に栃木県知事として。なぜなら、このエコシティ宇都宮の代表取締役は、知事の当時の地区後援会長であります。国の何かの事件に似ていますよね。まさに、そういうことで進めてきた事業でありまして、みずからかかわってきた事業である。
それで、資料の三をごらんいただきたいと思います。「エコシティ控訴審 逆転、県の立場重視 失われた血税、責任どこに」ということでありますが、県は、というよりは知事は、このエコシティ宇都宮の国庫
補助金返還をめぐって何と三つの裁判をやっております。
まず、二〇一二年の一月、国が県に
補助金返還を請求しました。二月に県が国に返しました。七月、
補助金返還を求め、県が市を提訴しました。それは、市が県に返してくれないからですね、提訴しました。そして、一三年の一月にはオンブズパーソンに訴えられました。そして、一五年の三月には県と市の一審判決が出て、県の請求を棄却。七月には、県と市の控訴審判決が出て、県の請求を棄却。一六年の三月には、パーソン栃木と県の一審判決が出て、県に知事への賠償請求が命じられました。そして、四月には県と市の訴訟で最高裁が県の上告を不受理しましたので、県の敗訴が確定した。そして、県が返納した約一億九千六百万円の返還を国に請求いたしました。七月には、一億九千六百万の返還を求めて、県が今度は国を訴えております。
このように、このエコシティ宇都宮の国庫
補助金返還をめぐって、栃木県知事は三つの裁判を争っております。最高裁までで結審をしたのは、宇都宮市長を訴えた裁判だけですね。今、オンブズパーソンのものは、最高裁に上告、審理中、上告を受理するかどうか裁判所が判断中ということであります。県が国を訴えた裁判は、まだ宇都宮地裁でほとんど進展していないという
状況になっております。
この新聞も
指摘しておりますように、一億九千六百万の損害を与えた、違法に県に損害を与えたということはほぼ確定ですね、これは。しかしながら、誰も責任をとらない。県の担当者も責任をとらない、知事も責任をとらないということになると、全く、本当にこれで司法の判断も適切なのという話になるわけであります。
しかも、びっくりするのは、二〇一二年の七月に知事が宇都宮市長を訴えたわけでありますが、その年から三年にわたって、二〇一二年、一三年、一四年にわたって、知事の後援会総
連合会から自民党栃木県連へ何と二千七百万円の寄附がなされている。普通は、党から政治家に寄附があるのはわかりますよ、政治献金が。しかし、逆献金が行われた。
そして、県
議会では何の
質問も出ずに、知事が宇都宮市長を訴える、控訴する、上告する。あるいは、オンブズパーソンのものも控訴する、上告する。そして、国を訴える。全て、何のほとんど質疑もなくこれが認められているというのが、こうしたことが本当にガバナンスがきいているのか。首長のガバナンスはもちろんでありますが、
議会のガバナンスは本当にきいているのか、こういう事例があるわけであります。
こうしたことを踏まえて、では、今回の
地方自治法改正はこうしたことをきちっと阻止できるのかということを
考えたら、先ほど
井坂委員だとか皆さんから御
指摘があったように、ちょっと無理なんじゃないかという話であります。
そこで、
質問に入りますけれ
ども、まず一番目の、長のガバナンス強化策としての内部統制に関する
方針の
策定等についてであります。
今回の
改正では、
都道府県知事と政令指定都市の市長以外の
市町村長への
義務づけはありません、努力
義務となっております。しかし、やはりガバナンスが一番必要なのは、まず首長、そして
議会、
監査委員ですから、そういうことを
考えたら、今回努力
義務となっているその他の
市町村長にも
義務づけるべきだ、私はこう思いますけれ
ども、いかがですか。