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2017-05-18 第193回国会 衆議院 総務委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十九年五月十八日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 竹内  譲君    理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君    理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君    理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君    理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君       池田 道孝君    大西 英男君       鬼木  誠君    金子万寿夫君       金子めぐみ君    川崎 二郎君       菅家 一郎君    小林 史明君       新藤 義孝君    鈴木 憲和君       高木 宏壽君    谷  公一君       土屋 正忠君    冨樫 博之君       中谷 真一君    武藤 容治君       宗清 皇一君    山口 俊一君       山口 泰明君    井坂 信彦君       逢坂 誠二君    黄川田 徹君       近藤 昭一君    重徳 和彦君       鈴木 克昌君    高井 崇志君       福田 昭夫君    稲津  久君       梅村さえこ君    田村 貴昭君       伊東 信久君    吉川  元君       長崎幸太郎君     …………………………………    総務大臣         高市 早苗君    総務大臣        原田 憲治君    総務大臣政務官      金子めぐみ君    総務大臣政務官      冨樫 博之君    政府参考人    (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君    政府参考人    (総務省自治行政局長)  安田  充君    政府参考人    (文部科学省大臣官房総括審議官)         義本 博司君    総務委員会専門員     塚原 誠一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   中谷  元君     中谷 真一君   逢坂 誠二君     福田 昭夫君   高井 崇志君     井坂 信彦君   武正 公一君     重徳 和彦君   足立 康史君     伊東 信久君 同日  辞任         補欠選任   中谷 真一君     中谷  元君   井坂 信彦君     高井 崇志君   重徳 和彦君     武正 公一君   福田 昭夫君     逢坂 誠二君   伊東 信久君     足立 康史君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)      ――――◇―――――
  2. 竹内譲

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方自治法等の一部を改正する法律案及びこれに対する奥野総一郎君外一名提出修正案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官時澤忠君自治行政局長安田充君及び文部科学省大臣官房総括審議官義本博司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 竹内譲

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。
  5. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 おはようございます。民進党近藤昭一でございます。  きょうもまた質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、また、委員長が今お話しいただきましたように、修正案を御審議いただくということで、感謝を申し上げたいと思います。  それでは、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。  まず、自治体窓口業務地方独立行政法人化についてということで質問したいと思います。  実は、私、三月七日の本委員会で、窓口業務の委託について質問をしております。その際に、大臣からは、市町村選択肢一つであって、地方独法設立自治体に強制するものではないとの答弁をいただいたわけであります。  しかしながら、一方で、骨太方針二〇一五では、窓口業務のアウトソーシングを行う市町村数を二〇二〇年度までに倍増としているわけであります。  大臣答弁からすると、こうした数値目標達成のために、総務省からの助言の強化、あるいは都道府県推進役をさせるなど、自治体にある種のプレッシャーをかけて選択せざるを得なくなるようなことにしてはならないというふうに、この御答弁と、二〇一五の方針、これを見て、選択せざるを得なくなるようなことはしないと考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  6. 冨樫博之

    冨樫大臣政務官 お答えいたします。  今回の法案は、窓口業務を行う地方独立行政法人設立を強制するものではなく、外部資源活用の新たな選択肢として、市町村窓口業務地方独立行政法人に行わせることを可能とするものであります。  また、御指摘骨太方針二〇一五をもとに取り組んでいる歳出改革は、広く国民、企業、地方公共団体がみずから意欲を持って参加することを促し、民間の活力を生かしながら取り組むこととされているところでもあります。  したがって、国から地方公共団体数値目標義務づけて進めるものではございません。  いずれにしても、窓口業務についての外部資源活用を含めた住民サービスの提供のあり方については、住民福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を上げられるよう、各地方公共団体において、地域実情に応じて適切に判断されるべきと考えております。  以上です。
  7. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 政務官、どうもありがとうございます。そうした強要するものではないということであります。  さて、今回の関連する地方制度調査会報告書、これを改めて見ますと、地方行政体制あり方として、広域連携外部資源活用する中で、市町村は、他の主体連携をして行政サービスを提供することを進めていくこと等により節約される資源、この資源地域が持つ潜在的な力を高める分野に投入し、地域づくりの政策や企画を行い、他の主体との調整を行う地域経営主体としての役割を果たすことができるかどうかが重要だとしているわけであります。  しかしながら、この間も私も委員会質問させていただきましたけれども、この間、自治体は、人員削減で既にぎりぎりの状態である、さらに、限られた自治体予算の中である、こういう中で、地方独法についての費用を新たに要するわけであります。従来の人員人件費が維持されるかどうかについても不安視する声が当然出てくるわけであります。  地方独法業務を外部化する場合であっても、これまで窓口業務についていた職員数に余裕が出るようなときには、ほかの重要施設へ配置すべきであって、安易な人員削減はすべきではないと考えておりますけれども、このことについて、政府考えをお聞きしたいと思います。
  8. 冨樫博之

    冨樫大臣政務官 総務省としては、厳しい財政状況にあっても、質の高い公共サービスを効果的、効率的に提供する観点から、地方公共団体において、ICTや外部資源活用などによる業務改革を進め、簡素で効率的な行政体制を実現することが必要であると認識をしております。  このような中、地方公共団体においては、行政改革の取り組みなどにより総職員数を抑制する一方で、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置を行っているものと承知をしております。  窓口業務を行う地方独立行政法人は、業務改革を推進するための新たな選択肢として導入するものであり、各地方公共団体が必要に応じて適切に活用することにより、人口減少などの諸課題に集中的に人的資源を投入できるようになるものと考えております。  以上です。
  9. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 冨樫政務官、ありがとうございます。  繰り返しになりますけれども、この委員会でも何回か質問させていただいておりますように、地域住民の皆さんの生活の安心、安全のために、やはり公共サービスをしっかりと行っていかなくてはならない。もちろん、厳しい財政事情があるということであります。そういう中で、今、政務官から御答弁をいただきましたように、効率的に、しかし、しっかりとサービスは守っていくんだ、こういうことだと思います。  そこで、今、政務官から御答弁をいただいたわけでありますが、先般、大臣に三月七日に質問した際にもお答えいただいておりますので、多くの方が、多くの自治体がある種の不安を持っているというところでもありますので、大臣からも、決意といいましょうか、確認の答弁をいただければと思います。
  10. 高市早苗

    高市国務大臣 三月七日の答弁で、「窓口業務を行う地方独立行政法人設立を強制するものではございません。それぞれ市町村において選択をすることができることとなるものでございます。」こう私は答弁をいたしております。この点は、法律案の御審議が始まってからも同じでございます。  また、今、余剰人員が出た場合はどうするんだというお話もございました。特に、今、各地方公共団体において、防災ですとか児童相談所、また福祉事務所など、大変人員へのニーズが大きいところもございます。また、窓口サービスといいましても、むしろ適切な部署に住民の方をおつなぎしたり住民と直接相談をするような業務について、またそれぞれ地方公共団体が判断をされて、しっかりと中のことを全てよくわかっていらっしゃる職員を充ててサービスを充実させる、こういったことも考え得ると思っております。
  11. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。  政務官から詳細にお答えいただき、また大臣からもそういう方向だということをいただいて、ありがとうございます。  それでは、次の質問に行きたいと思いますが、今回の改正案の中の監査制度についてお伺いをしたいというふうに思います。  百九十八条の四第五項で、総務大臣監査基準策定または変更について指針を示すことになっているわけでありますが、この指針とはどのような内容レベルを想定しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  12. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  現行の監査制度におきましては、監査に関する共通認識が確立されていないため、監査委員などの個人任せ監査になっているという課題があると認識しているところでございます。  そのため、今回の改正では、監査委員監査基準に従って監査を行わなければならないとするとともに、総務大臣監査基準策定に関する指針を示すということにしているところでございます。  こうした趣旨から、指針内容は、各地方公共団体監査基準策定する際に参考となる、監査を行うに当たって必要な基本原則を定めることを想定しております。具体的には、例えば、監査の目的でございますとか監査委員役割、責任、監査結果の報告等々について定めるということでございます。  改正案規定に基づきまして監査委員が定めることとしております監査基準につきましても、監査の手順といったマニュアルではなくて、監査を行うに当たっての必要な基本原則を定めていただくということを想定しているものでございます。  したがいまして、この指針参考といたしまして基準を設けていただく、こういうことを想定しているところでございます。
  13. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  あえて、あえてといいましょうか、質問させていただきましたのは、地方公共団体は、東京都があるわけであります。東京都から地方町村レベルまで、規模人員予算等が全く異なるわけでありまして、御承知のとおり、そういう中で、全都道府県監査委員協議会連合会、あるいは全国都市監査委員会、あるいは全国町村監査委員協議会などがあって、それぞれが監査基準考え、それを参考にしてそれぞれの自治体規模あるいは人員、さまざまな状況を勘案しながら基準を定めている、そういうことであります。そういう中で、今回の法改正があるということで、一体どういうことの指針になるのかなということでお伺いをさせていただいたわけであります。  私は、地方分権という観点から見ても、その指針が余り、余りというか、内容に入るようなものであってはならない、それは地方分権地方主権考えにはそぐわない、こういう観点質問させていただいたわけであります。  そういう意味では、今御答弁をいただきましたように、基本的な方針なんだ、こういうことであります。監査の基本的な視点、そしてまた留意事項、こういうことだというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
  14. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたように、監査基準というものがそもそもマニュアル的なものを想定しているものではございませんので、これを策定するに当たって参考とすべきこの指針につきましても、基本的な考え方なり基本原則といったようなものを定めるということを想定しているところでございます。
  15. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 繰り返しになりますけれども、基本的なものであるべきだ、そういうお答えだというふうに理解するわけであります。  さて、この四の第五項では、総務大臣監査基準策定または変更について、普通地方公共団体に対し必要な助言を行うものとする、「行うものとする。」とあるわけでありますが、助言はどこに対してどのような形で行うことを想定しているのか。  監査基準監査委員策定するものであります。監査独立性考えれば、監査委員に対するものとしか考えられないわけでありますけれども、各地方公共団体監査委員に対して直接助言を行うことは、また一方で各地方公共団体自主性を損なわないか、こういうことを懸念するわけであります。いかがでありましょうか。
  16. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今回の改正案による改正後の地方自治法第百九十八条の四第五項においては、助言の相手方は地方公共団体としているところでございます。  ただ、具体的な文書の通知先ということになりますと、これは当該団体内における監査担当部局、すなわち監査委員やその事務局とすることが想定されているところでございます。  こうしたことが各地方公共団体自主性を損なわないのかというお尋ねでございますけれども、この助言は、監査基準策定変更について助言するものでございまして、個別の監査事務に関与するというものではないということもございますので、自主性を損なうということにはならないというふうに考えているところでございます。
  17. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 お答えとしては、監査委員会事務局助言をするということであるということ、そしてそれは変更するときについての助言であるということである。つまり、直接的な変更の中身でない、こういう理解でよろしいでしょうか。
  18. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  指針内容につきましては、これは監査基準策定するに当たりまして参考となるものということで考えておりますので、それを参考にしながら監査基準策定していただくということではございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、この助言は個別の監査というものについて助言するものではございませんし、あくまで助言でございますので、これに拘束力はないわけでございます。それを参考にして、各地方公共団体において自主的に判断していただければ足りるということで、自主性を損なうものではないというふうに考えているところでございます。
  19. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  ただ、今回の改正案を見ていささか危惧を思うのは、つまり、条文では「必要な助言を行うものとする。」と、ある種、義務規定ともとれる記載になっていることなんであります。そうすると、つまり、これで、「行うものとする。」ということでありますから、総務大臣としては助言することが義務になるのか、それとも、自治体から問い合わせがあったときにそれに応ずるのかということであります。  義務でないとすると、私はやはりこの「必要な助言を行うものとする。」というところに懸念を持つわけであります。そして、義務であるとすると、地方公共団体、これは繰り返しますけれども、先ほどは内容ではなくて基準なんだ、こういうお答えもいただいておりますけれども義務であるとすると、地方公共団体自主性監査権裁量権を損なうことにならないか、こういう懸念を持つわけであります。いかがでありましょうか。
  20. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今回の改正案では、地方公共団体が個別に監査基準を定めるということにしている一方で、地方公共団体監査あり方に関する認識を共有しつつ、全国的な監査の質の向上を図りたいということから、総務大臣助言を行う責務を課しているものでございます。  したがいまして、単に地方公共団体問い合わせに応答するということにとどまらず、総務大臣責務として、各地方公共団体監査基準策定する際に参考となる指針を示して助言を行うということにしているものでございます。  ただ、この場合であっても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、指針助言には法的拘束力がなく、義務づけているのは総務大臣義務づけているというだけでございますので、地方公共団体自主性自立性監査上の裁量権を損なうということになるとは考えていないところでございます。
  21. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  そういうことであって、監査をしっかりするために、私もこの委員会の中で、総務省として各地の行政消防行政あるいは防災行政なんかについても質問させていただきましたが、それぞれの地域に合わせた、ある種きめの細かい、そして効率的なものを求める一方で、やはりそれが全国がばらばらになってもいけない。質を一定程度といいましょうか、質を高めていくという意味でも、国としての総務省のかかわりというものもお願いをしてきたところであります。  そういう意味では、一定理解を得る一方で、やはりそれぞれの自治体自主性を損なわないようにしていかなくてはならない、こういうふうに思っております。  そういうことで、もう一度お聞きしたいわけでありますけれども、これは百九十八条の助言とは別に、二百四十五条の四では、技術的な助言ができる、こういう規定の仕方もしているんですね。これは「技術的」と書いてあるわけですが、技術的な助言ができるとの規定が存在しているわけでありまして、今、一定程度お答えをいただいたんだとは思いますが、両者の関係をどのように考えているか。つまり、助言するものとするというところと、できるというところです。  やはりここでもう一度、技術的なレベルとは違って、内容に踏み込むことにならないかということを懸念して質問させていただきたいんですね。各自治体監査自主性をくれぐれも損なわないように、また、監査執行上の裁量を損ない地方実情を反映しない画一的な監査をするおそれがないように、心配するわけであります。  改めてお答えをいただきたいと思いますし、また、質問の最初のころにちょっと指摘をさせていただきました。これまでも、全都道府県監査委員協議会連合会、あるいは全国都市監査委員会全国町村監査委員協議会など、それぞれ自治体規模に応じてこうした連合会協議会委員会があって、そこがある種の参考になるようなものを定めている、それをそれぞれが採用しているというところがあるというふうな指摘をさせていただきました。  そういう意味で、今回、総務省が今までよりも一歩踏み込んだような形で助言をするということになる中で、先ほどのはそれぞれの自治体規模に合わせていたわけでありますが、今度は、そうした協議会のようなもので、全国的な組織のようなものができて、そこがある種のものをつくっていくのではないか、そういうような懸念もするわけでありますが、いかがでありましょうか。
  22. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  まず、今回の改正案による改正後の百九十八条第五項に基づく助言でございますけれども、これは二百四十五条の四に基づく技術的な助言と同じ内容、同じものでございます。  今回、わざわざつくったということでございますけれども、これは、地方公共団体監査あり方に関する認識を共有しながら、全国的な監査の質の向上を図るという観点から、総務大臣助言を行う責務を課するという意味で、この新しい条文を設けているということでございます。したがって、内容の点におきましては、助言技術的助言と相違はないわけでございます。  また、もう一つの御質問がございまして、新しい共同した組織のようなものは考えないのかということでございますが、確かに、第三十一次地方制度調査会につきましては、全国的な共同組織というものが統一的な監査基準をつくるということを答申の中に触れております。  ただ、これは立案の段階で、私ども内部でもいろいろ検討いたしましたし、また、監査委員都道府県レベル都市レベル協議会町村レベル協議会等とも議論いたしまして、今のような形になったわけでございます。全国的な共同組織を設けるという内容は、法律の中に入っていないということでございます。  ただ、指針を定めるに当たりましては、事実上、事実上といいますか、監査専門家でございますとか実務者意見を聞きながらこれを策定する必要があるというふうに考えておりまして、今申し上げました都道府県市レベル町村レベル監査委員専門家方々監査委員実務者方々、こういう方々にも参加していただいて、指針内容を議論していきたいというふうに考えている次第でございます。
  23. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 ありがとうございます。  御答弁をいただいて、私の方からも懸念をあらわさせていただいたわけでありますが、今お答えをいただいたわけでありますが、多くの懸念がありますので、大臣の方からも、そういうことではない、地方自主性をしっかりと尊重していくんだという決意と申しましょうか、お考えを聞かせていただければと思います。
  24. 高市早苗

    高市国務大臣 この法律案趣旨としても御説明申し上げましたが、あくまでも監査基準は各地方公共団体監査委員が定め、公表するとしております。各地方公共団体監査委員方々がその基準を定める主体でございます。  地方公共団体との意見交換の中で、監査基準に関する具体的なイメージを示してほしいといった御意見伺いました。  それで、先ほど、本来の技術的助言助言の違い、実質的には違いはないんだけれどもという説明局長からございましたけれども、やはり技術的助言として大臣に任意の権限を与えている助言と違って、今回は総務大臣にむしろその責務を課す助言でございますので、地方公共団体参考にしていただきながら、あくまでも地域実情に応じた監査を可能とするものでございます。
  25. 近藤昭一

    近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。  くれぐれも地域自主性を担保していただきたいと思います。  また、ちょっと時間の関係で触れることができませんでしたが、私ども修正案を出しております。それに関連して配付資料を配らせていただきましたので、またお読みをいただければと思います。  どうもありがとうございました。
  26. 竹内譲

    竹内委員長 次に、井坂信彦君。
  27. 井坂信彦

    井坂委員 民進党井坂信彦です。  ふだんは厚生労働委員会におりますけれども、本日は総務委員会質問の時間をいただきまして、与野党の皆様には心より感謝を申し上げます。  本日は、議会権利放棄議決に絞って質問をさせていただきたいと思います。  私は、国政に来る前は神戸会議員を三期務めておりまして、そのときまさに起こったのがこの議会による権利放棄議決でありました。  当時、神戸市長が、外郭団体、いわゆる第三セクターに違法な補助金を支払ったとして住民訴訟が起こり、大阪高裁とそして最高裁で、合計六十億円近い神戸市長に対する損害賠償を求める判決が出たわけであります。ところが、当時の神戸市議会が、神戸市が神戸市長に対して請求すべき六十億円の損害賠償請求権を放棄するということを議決しまして、最高裁判所の判決があっさりと無効になったわけであります。  私は、住民が役所の仕事がおかしいと住民訴訟を起こし、そして司法の場でそれが判決で確定したにもかかわらず、また地方の場で、特に地方の首長が直接地方議会に半ば頼んで、権利放棄議決をしてくれ、それであっさりとその司法の決定が無効になってしまうことが実際に起こり得るこうした制度は大いなる矛盾をはらんでいる、このような立場で本日質疑をさせていただきたいと思います。  全て通告に従ってお伺いをいたします。  まず一点目ですが、今回、過失の軽い、軽過失については損害賠償のお金を減らす、責任を軽減する。これはこれでわかります。ただ、軽過失が責任軽減にとどまるのに対して、故意、重過失、わざと、あるいは過失が重い、こういった場合でも権利放棄議決で全て責任が免除をされたり、あるいは軽過失で責任軽減をされた後に重ねて権利放棄議決で責任が丸ごと免除され得る、こういう制度になっております。  これは、大臣、制度として完全に矛盾しているのではないでしょうか。
  28. 高市早苗

    高市国務大臣 今回の改正案でございますが、職務執行上の萎縮効果を低減するために、軽過失時の責任を制限するものでございます。よって、議会の議決による放棄を禁じるものではございません。  しかしながら、今回の改正案で免責条例制度が導入されましたら、今後は、故意、重過失の場合でしたり、また最低責任負担額部分の権利放棄ということにつきましては、平成二十四年の最高裁判決の趣旨に照らして、より一層慎重かつ厳格な判断が求められると考えています。  それから、今回の見直しの中で、新たに監査委員への意見聴取手続を設けております。手続面での適正性を担保したいという思いからでございます。  したがって、議会の議決による放棄につきましても、免責条例との均衡を踏まえて適切な判断がされると思っております。  また、今御審議いただいております法律案を成立させていただきました暁には、各地方公共団体に対しては、今回の改正案趣旨を踏まえていただいて、損害賠償請求権の放棄について適切な運用を行っていただけるように助言を行ってまいります。
  29. 井坂信彦

    井坂委員 議会がちゃんとバランスのいい議決をしてくれれば、それは性善説に立てばそれでいいんです。あるいは裁判所が今後より慎重に判断をしてくれるということになればそれでいいんですが、ただ、本当にそうなるのかということであります。  参考人にお伺いいたしますが、今御答弁があったような軽過失の場合の責任軽減制度を今回創設する、そのことによって権利放棄議決が裁判でもより慎重に判決されるようになる、認められにくくなる、本当にそうなるんでしょうか、なぜそういうことが言えるんでしょうか。
  30. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  平成二十四年の最高裁判決では、議決による権利放棄につきまして、議会裁量権に基本的に委ねられているが、諸般の事情を総合考慮して、これを放棄することが裁量権の範囲の逸脱または濫用に当たると認められるときには、議決は違法となり、放棄は無効となるというふうに判示されていると承知しております。  これは、地方公共団体の長等の損害賠償責任の免責、今回導入しようとしているものでございますが、これについて何ら規定がない中で、一般的な議会の議決の有効性について判示したものでございます。  今回、条例による地方公共団体の長等の一部免責を制度化することによりまして、最低責任額に係る放棄、あるいは故意、重過失の場合の放棄につきましては、この一部免責制度に加えて、それを行う必要性の説明が求められることになるものと考えておりまして、議会の放棄議決の有効性に係る考慮要素にも影響を与えるのではないか、このように考えている次第でございます。  この点、住民訴訟制度の見直しの具体的な方向性について取りまとめを行いました有識者懇談会でも議論がされておりまして、「長や職員個人が負担する損害賠償額を限定する措置を講じることとすれば、故意・重過失の場合の損害賠償請求権の放棄や、軽過失の場合に最低限負担すべきとされる損害賠償額に係る請求権の放棄に際しては、より一層慎重な判断が求められる」、このようにされているところでございます。
  31. 井坂信彦

    井坂委員 今お答えいただいた内容というのは、軽過失でこの程度のことなんだから、重過失や故意で丸ごと免責をするような議決については、一つは、議決をする議会のよりはっきりとした説明が求められる、あるいは裁判でもそれを認めるより慎重な論理が求められると期待をされる、論理が期待をされる、大きくうなずいておられますけれども、まさに期待どまりの話であります。  一方、過去の判決、私、一通り読んでまいりましたけれども権利放棄議決に関して、権利放棄議決、すべからく認められてきているわけでありますけれども、何と書いてあるかというと、損害賠償請求権の放棄については法令に何ら特別の定めがないから認めるんだ、あるいは、議会の議決により放棄する場合の要件については具体的な定めが何もないから認めるんだ。要は、法律権利放棄議決の要件が何もないんだから裁判所としては認めざるを得ないんだ、こうやって権利放棄議決がどんどん認められてきたわけであります。  大臣にお伺いいたしますが、権利放棄議決に関する法律条文を変えない限り、権利放棄議決の是非に対する裁判所の判断基準は何も変わらないと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 高市早苗

    高市国務大臣 平成二十四年の最高裁判決によりますと、職員などの帰責性や請求権放棄の影響などを含む諸般の事情を考慮して放棄議決の適法性が判断されるべきものとしています。  今回の見直しによって、軽過失の場合に限って地方公共団体の長などの責任を一定程度軽減するという制度が導入されましたら、これは考慮要素の一つとして、本制度と放棄議決の均衡も踏まえた判断がされるものと考えられます。  平成二十四年四月二十日の最高裁第二小法廷判決の法廷意見のところでも、「諸般の事情を総合考慮して、」という文言もありますけれども裁量権の範囲の逸脱または濫用に当たると認められるときは、議決は違法となり、放棄は無効となるということまで書かれております。  私自身は、これでかなり今後判断基準というものが変わってくるのであろうと。議会も、やはり住民の皆様の代表でございますので、しっかりと責任を持って判断をしていただかなければなりません。そしてまた、住民方々にも、大切な税金の使われ方についてしっかりと行動を起こす権利があるわけでございます。  今回、法改正によりまして、さらにわかりやすく、そしてまた一方で、首長の方々が堂々と必要な職務に取り組んでいただけるように、軽過失の場合には一定の責任を軽減できるという形の対応をとらせていただいたわけでございます。
  33. 井坂信彦

    井坂委員 議会の良識、あるいはより慎重な裁判、そこに期待をするというだけでは、それは性善説で済んだら法律は要らないわけで、やはり地方議会がこうした権利放棄議決をするに当たっても、最低限こうした要件を満たさない限りだめですよと、当たり前の制限が法律に要ると思いますし、それをしないで地方議会と裁判所に期待をするということでは、これは私は立法府の不作為だということになりかねない問題だというふうに思います。  大臣に重ねてお伺いいたしますが、議会が安易に権利放棄議決を行う、現状はそういうことに歯どめをかける法律がありません。こうなると、最終的には裁判で権利放棄議決が認められなくなる、よりなりやすくなるということを期待するということでありますけれども、その可能性が多少高まったとしても、住民訴訟する側にとっては、住民訴訟に加えて、また議会がその後権利放棄議決をしたらその権利放棄議決が違法であるという訴訟に勝たなければならず、まさに住民訴訟の負担が倍増して、住民訴訟制度が結果として機能しなくなるのではないでしょうか。
  34. 高市早苗

    高市国務大臣 議会の議決による権利放棄というものは、従前から可能であったものでございます。今回の改正によりまして住民訴訟における住民の皆様の負担が増加するものだとは考えておりません。  法律で放棄の要件を規定すべきとお考えだと承知をしましたが、住民訴訟で問題となる事案というのはさまざまでございます。だから、どのような場合に放棄を禁止して、どのような場合に許容すべきかということについて明確に規定するというのは極めて困難なことだと思っております。  今回の法改正案で、地方公共団体の財産の管理処分権を一律に制限するということは地方分権考え方にそぐわないのではないかという観点から、地方公共団体の自主的な判断を尊重して、その適正化を図るべく、放棄に当たって監査委員方々意見を聴取するということにしております。  議会としては、監査委員の御意見を踏まえた判断が要求されますので、従来以上に放棄に関する説明責任というものを果たす必要がありますし、それがまた住民訴訟の充実にも資するものだと考えております。
  35. 井坂信彦

    井坂委員 私が申し上げているのは、今回の法改正権利放棄議決がよりしやすくなって大変なことになるんじゃないか、悪化をすると言っているわけではないんです。もともと相当問題のあった権利放棄議決の制度が、今回、何ら修正、制限をされずにこのままいくことが問題だ。とりわけ、軽過失にはこうやって責任軽減制度ができたのに、故意、重過失の権利放棄議決の制度はそのまま何でもオーケーということが一つは矛盾であるし、もう一つは、従前の問題が一切解決されていないまま、このままスルーしてしまうのではないか。こういう問題意識で質疑をさせていただいております。  大臣の御答弁の中で、監査委員のチェックが入るからよくなるんだというお答えがありました。しかし、監査委員意見というのは、大臣地方議会の実態は御存じだと思いますけれども、ほとんどの地方議会では首長与党のベテラン議員さんが監査委員を兼務しているわけであります。  参考人に伺いますが、このような実態に鑑みれば、議会の多数を占める首長与党が権利放棄議決をするわけです、そして監査委員も首長与党のベテラン議員さんが大体兼務をしているわけです、これは歯どめにならないのではないでしょうか。
  36. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  監査委員意見でございますけれども、これは、識見監査委員も含めた監査委員全員の合議による慎重な審議を経た上で、機関としての意見を聴取するものでございます。  今回の改正では、この意見陳述も含めまして、法令に基づき監査委員が行う業務について従うべき監査基準を定めるということにしていることから、この監査基準に従って適切な意見が述べられるものと考えているところでございます。  また、この監査委員意見は、損害賠償請求権の放棄議案の議会審議の中で住民に対しても明らかにされるものでございまして、監査委員としての説明責任も求められるものと考えているところでございます。
  37. 井坂信彦

    井坂委員 今回、住民訴訟に対して、それを全て覆す権利放棄議決ということでありますけれども、そもそも住民訴訟を起こす前には住民監査請求が必ず行われているわけです。監査委員がそんな請求はおかしいと却下をした後で初めて住民訴訟が行われて、その後、結局、そもそも一番入り口でそんな請求はおかしいと言った監査委員がまた最後にその判決をひっくり返すところの意見を言うというのは、これは本当に中立な意見になるのかという疑義もございます。  ここで一つ修正案提出者にお伺いをしたいと思います。  今回、まさにこの一点、権利放棄議決一定の要件、制限をかけるという当たり前の修正を今提案していただいているというふうに私は思います。  ただ、一方で、この権利放棄議決の要件を厳しくすると首長が莫大な損害賠償を請求されることになり問題だ、こういう意見もあるわけですが、その点に関していかがお考えでしょうか。
  38. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 修正案提出者としてお答えをいたします。  まず、地方公共団体の長等が職務を行うにつき、軽過失にとどまる場合、これについては、政府案で新たに設けることとしている軽過失の場合における一部免責規定によりまして、損害賠償請求権等の放棄についての要件を厳しくしても莫大な損害賠償を請求されることはない、上限を設けるわけですから莫大な損害賠償を請求されることはない、これについては我々も妥当だというふうに思っております。  一方で、今委員指摘ありましたけれども、長等に故意や重過失がある場合には、修正案のとおり、避けることのできない事故その他やむを得ない事情によるものであると認められる場合等のほかは、地方公共団体の長の責任が追及されるべきであると考える。住民訴訟の制度の趣旨からして、安易に放棄されるべきではないというふうに私も思います。  委員が今懸念を表明された意見につきましては、住民訴訟において高額な損害賠償請求等をされることにより、地方公共団体の長が萎縮をして本来行うべき施策も行わないことになってしまう、こういう問題意識だというふうに理解しますけれども、一方で、住民訴訟制度によって地方公共団体の長等に萎縮効果が生じているという実証的なデータはない、あくまで定性的な話であって、実証的なデータはない、こういう見解もあるところであります。  今回の政府提出改正案では、あくまで現行法を維持して、先ほど委員がおっしゃられたように、議会の議決による損害賠償請求権等の放棄に何らの制限を加えていないということであります。  しかし、この点について、第三十一次の地方制度調査会答申でも、損害賠償請求権の放棄が政治的状況に左右されてしまう場合がある、こう懸念指摘されているところであります。でありますから、今回の我々の修正案は、その趣旨を踏まえて、住民訴訟の対象となる地方公共団体の長等に対する損害賠償請求権等の放棄について要件を厳しくしているというものであります。  このような規定を置かなければ、地方公共団体の長等の違法な財務会計行為等に対する抑止効果が高まらない、また住民訴訟制度の趣旨が没却されることにもなりかねないと考え、今回の修正案提出しているところでございます。
  39. 井坂信彦

    井坂委員 ありがとうございます。  軽過失でもないのに違法行為が責任免除されるというような法律というのは、そもそもほとんどありません。失火責任法ぐらいではないかなというふうに思います。あともう一つ、会社法で、株主全員がいいよ、許してあげるよと言えば、これは全額免責をされるという極めて特殊な制度がございます。要は、故意、重過失で全額免責されるなどというのは、この株主全員が認めた取締役に対する損害賠償ぐらいしか見当たらないわけであります。  大臣にお伺いしますが、権利放棄議決も、全住民が認めるとまではさすがに申し上げませんけれども、せめて、では、例えば議会の全会一致にするというぐらいが、これは会社法と並べても筋ではないでしょうか。
  40. 高市早苗

    高市国務大臣 会社法第四百二十四条についてのお話かと思いますが、総株主の同意によって、役員などの賠償責任について全部免除することができるとされています。  一方、地方公共団体における権利の放棄につきましては、従前より、地方自治法第九十六条におきまして、議決により放棄できるものとされています。この議決は、同法第百十六条によりまして、出席議員の過半数で決するものとされています。  地方公共団体による権利の放棄、さまざまなことがあると先ほど申し上げましたけれども補助金の返還請求権であったり、また水道料金の債権であったり、公営住宅に係る賃料の債権であったり、さまざまであるんだろうと思います。この住民訴訟に係る地方公共団体の長などへの損害賠償請求権に係る権利放棄についても、他の権利放棄と同様に、先ほど申し上げました規定が適用されるわけでございます。  この点は、平成二十四年の最高裁判決も、議決による権利放棄は議会裁量に基本的に委ねられているとしておりますので、これらの規定変更するということは考えておりません。  会社法の第四百二十六条においては、取締役会の決議または取締役の過半数の同意によって賠償責任額を一部免除することができるとされておりましたので、この改正案はこの規定などを参考とさせていただきました。
  41. 井坂信彦

    井坂委員 時間が参りましたので、最後に申し上げたいと思いますが、水道料金なんかはいいんですよ。  ただ、首長が故意、重過失で違法行為を行ったと裁判で判決が出た、あるいは出そうだ、そういうときには、これは、何の制限も法律上にないまま権利放棄議決を認めるのではなくて、住民自治あるいは三権分立、こうした根本に立ち返って、やはり地方議会が首長に対する損害賠償請求権を放棄する議決は違法行為が避けることのできない事故などやむを得ない事情による場合に限り、それ以外は権利放棄議決は原則認めない、この当たり前の限定を法律に追加すべきだと思います。  これはぜひ与野党の皆様にも、このままいくと、まず法体系として非常に矛盾をしておりますし、将来に禍根を残す制度になると思いますので、一度お考えをいただきたい、そのことだけ申し上げまして、本日の質疑を終わります。  どうもありがとうございました。
  42. 竹内譲

    竹内委員長 次に、福田昭夫君。
  43. 福田昭夫

    福田(昭)委員 民進党福田昭夫でございます。  先日に引き続いて質問の時間をいただいて、大変ありがとうございます。  質問に入る前に、通告いたしておりませんので指摘だけしておきたいと思っていますが、NHKの最近の朝の七時のニュースとか夜の九時のニュースで気になる報道の仕方がありますので、指摘しておきたいと思います。  それは、共謀罪の構成要件を改めたテロ等準備罪について、今、国会でもめている云々の報道がありますが、共謀罪の構成要件を改めたテロ等準備罪じゃないということをNHKもしっかり認識をして報道すべきだということを指摘しておきたいと思います。  それでは、質問に入りたいと思います。  本年は、日本国憲法と地方自治法が一九四七年五月三日に施行されてから、七十年の節目の年であります。憲法も大変心配でありますけれども地方自治も、国と地方が対等となる中で、自治体のガバナンスというのは本当にちゃんとあるのかなと、その低下が大変心配されております。  元総務省の役人で、鳥取県知事も務めて、総務大臣も務めた片山善博氏も、共同通信のインタビューで大変心配をいたしております。住民のチェック機能が空洞化、議会のチェック機能不全だということを指摘しております。私も全く同感であります。  そうした意見を踏まえて、きょうは地方自治法等の一部を改正する法律案について政府考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  質問時間が十時十一分までしかありませんから、通告をしておりますけれども、相当はしょったりしながら質問したいと思います。  まず、今回の改正で、本当に首長のガバナンスは強化されるのか、監査委員はどうだ、議会はどうだ、住民の監視機能は強化されるのか、甚だ疑問であります。  そこで、栃木県内における具体的な事例を挙げてから質問に入りたいと思います。  具体的事例、三件挙げたいと思いますが、まず一つは入札の制度であります。  ある市の入札制度でありますが、予定価格と最低制限価格を事前公表しておりますので、一般競争入札をやったとしても、例えば三十社が応札してきたら、全部が最低制限価格を入れている、つまり同額を入れている。では、その同額でどうやって落札者を決めるか。電子くじで落札者を決める、これが本当に公正な競争入札と言えるのかどうか。  このことについて、総務大臣と国土交通大臣連名で、地方自治体に何回か是正をするようにという通知を出しておりますが、一向に変更する様子はありません。  もう一つは、ある町の例でありますが、小学校の校舎新築工事の実施設計業務で、プロポーザル方式で審査を行った結果、町長が五社のうち二社に、それぞれ審査員に勝手に十点ずつつけ加えて、一位と二位を逆転させて設計業者を決めてしまうというようなことが行われております。こうした入札が本当に適切なのかどうか、そういう問題があります。  それから二つ目は、ここで前回も宇都宮市と芳賀町が進めるLRT事業について脱法行為だということを指摘いたしましたけれども、ここで実は、住民から一回、議会から二回、住民投票にかけるべきだという提案がありました。しかし、首長からの要請を受けて、議会は三度とも否決をいたしました。住民の皆さんがなぜそういう提案をしているかというと、この会社は必ず赤字になって潰れるとみんなほとんどの人が思っているから、そう言っているんですね。  ですから、昨年の宇都宮市長選挙でも、二カ月前に手を挙げた新人とたった六千票差まで迫られちゃった。しかも、当日のNHKの出口調査では、現職の市長に入れた人も加えて何と六二%の人が反対であった、このLRT事業について。でも、どんどん仕事は進められていく、議会のチェックもきかない、監査委員のチェックもきかない、住民のチェックも残念ながらきかないというような状況にあります。  三点目は、株式会社エコシティ宇都宮の国庫補助金返還問題についての裁判であります。  皆さんのお手元に資料の二と三と配ってありますので、まず資料の二から見ていただきたいと思います。  タイトルに「「知事過失」一転認めず 県勝訴 国命令の拒否「困難」」と書いてあります。まず、最初のリード文でありますが、   国の補助金を受けた産業廃棄物処理業者「エコシティ宇都宮」が事業停止し、県が補助金相当額を返還したのは違法だとして、市民オンブズパーソン栃木が県に対し、福田富一知事へ約一億九千六百万円の損害賠償を請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決が二十六日、東京高裁であった。  裁判長は「知事に過失があったとは言えない」と指摘。請求を認めた一審宇都宮地裁判決を取り消し、パーソン栃木の請求を棄却した。 ということであります。  その下の四角の枠組みのところを見ていただきますと、「エコシティ住民訴訟の判決のポイント」、争点三点ありますけれども補助金の相当額返還の違法性については、一審、二審とも、まさに補助金を返還したのは違法だというのを認定いたしました。それから、2の県の損害、これも発生したということを認めました。しかし、3の福田富一知事の過失については、一審は、知事としての指揮監督上の義務違反があると、知事への損害賠償請求を県に命じました。しかし、二審は、県が国の納付命令を拒否することは事実上困難、指揮監督する知事には過失があったとは言えないということで、認めませんでした。  しかし、これは大きな問題があります。今回の国庫補助金の返還は、国が補助金の決定を取り消して全額返還を求めた話ではありません。国は、財産処分申請をさせて、六千万ほど全額返還より安くさせて、その上で県に財産処分申請を出させて、それで国が認可を与えて返還させた話であります。したがって、国が強制的に返させた話ではありません。  しかし、この判決文を読んでみますと、裁判官は国、農水省を助ける判断をしたために、知事の過失も認めないことになっちゃったというふうに私は理解することができると思っております。  と申しますのは、農水省は、このバイオマスの環づくり交付金で、全国自治体、八つの自治体から補助金を返還してもらっています。栃木県だけではありません。したがって、もしこれが、それこそ国に過失があるということになれば、実は、ほかの自治体に返してもらったものも、国が自治体に返さなくちゃならなくなっちゃうというおそれがあります。それをきっと裁判官は阻止したんだと思う。そのために、知事の責任もなくなったというふうに考えられます。  さらに、知事はこのエコシティ宇都宮の事業を主導してきた一人であります。宇都宮の市長として、特に栃木県知事として。なぜなら、このエコシティ宇都宮の代表取締役は、知事の当時の地区後援会長であります。国の何かの事件に似ていますよね。まさに、そういうことで進めてきた事業でありまして、みずからかかわってきた事業である。  それで、資料の三をごらんいただきたいと思います。「エコシティ控訴審 逆転、県の立場重視 失われた血税、責任どこに」ということでありますが、県は、というよりは知事は、このエコシティ宇都宮の国庫補助金返還をめぐって何と三つの裁判をやっております。  まず、二〇一二年の一月、国が県に補助金返還を請求しました。二月に県が国に返しました。七月、補助金返還を求め、県が市を提訴しました。それは、市が県に返してくれないからですね、提訴しました。そして、一三年の一月にはオンブズパーソンに訴えられました。そして、一五年の三月には県と市の一審判決が出て、県の請求を棄却。七月には、県と市の控訴審判決が出て、県の請求を棄却。一六年の三月には、パーソン栃木と県の一審判決が出て、県に知事への賠償請求が命じられました。そして、四月には県と市の訴訟で最高裁が県の上告を不受理しましたので、県の敗訴が確定した。そして、県が返納した約一億九千六百万円の返還を国に請求いたしました。七月には、一億九千六百万の返還を求めて、県が今度は国を訴えております。  このように、このエコシティ宇都宮の国庫補助金返還をめぐって、栃木県知事は三つの裁判を争っております。最高裁までで結審をしたのは、宇都宮市長を訴えた裁判だけですね。今、オンブズパーソンのものは、最高裁に上告、審理中、上告を受理するかどうか裁判所が判断中ということであります。県が国を訴えた裁判は、まだ宇都宮地裁でほとんど進展していないという状況になっております。  この新聞も指摘しておりますように、一億九千六百万の損害を与えた、違法に県に損害を与えたということはほぼ確定ですね、これは。しかしながら、誰も責任をとらない。県の担当者も責任をとらない、知事も責任をとらないということになると、全く、本当にこれで司法の判断も適切なのという話になるわけであります。  しかも、びっくりするのは、二〇一二年の七月に知事が宇都宮市長を訴えたわけでありますが、その年から三年にわたって、二〇一二年、一三年、一四年にわたって、知事の後援会総連合会から自民党栃木県連へ何と二千七百万円の寄附がなされている。普通は、党から政治家に寄附があるのはわかりますよ、政治献金が。しかし、逆献金が行われた。  そして、県議会では何の質問も出ずに、知事が宇都宮市長を訴える、控訴する、上告する。あるいは、オンブズパーソンのものも控訴する、上告する。そして、国を訴える。全て、何のほとんど質疑もなくこれが認められているというのが、こうしたことが本当にガバナンスがきいているのか。首長のガバナンスはもちろんでありますが、議会のガバナンスは本当にきいているのか、こういう事例があるわけであります。  こうしたことを踏まえて、では、今回の地方自治法改正はこうしたことをきちっと阻止できるのかということを考えたら、先ほど井坂委員だとか皆さんから御指摘があったように、ちょっと無理なんじゃないかという話であります。  そこで、質問に入りますけれども、まず一番目の、長のガバナンス強化策としての内部統制に関する方針策定等についてであります。  今回の改正では、都道府県知事と政令指定都市の市長以外の市町村長への義務づけはありません、努力義務となっております。しかし、やはりガバナンスが一番必要なのは、まず首長、そして議会監査委員ですから、そういうことを考えたら、今回努力義務となっているその他の市町村長にも義務づけるべきだ、私はこう思いますけれども、いかがですか。
  44. 高市早苗

    高市国務大臣 今回、内部統制制度を地方公共団体に導入することによりまして、行政サービスの提供などの事務上のリスクを評価、コントロールして、組織として事務の適正な執行を確保する体制を整備、運用することにしております。  ですから、今、福田先生からお話がありましたように、本来、全地方公共団体に内部統制に関する基本方針策定及び内部統制体制の整備が求められるものでございますけれども地方公共団体にとって過度な負担とならないように、まずは、組織や予算規模が大きく、その必要性が比較的高いと考えられる都道府県知事及び指定都市の市長に対してのみ義務づけることとしまして、その他の市町村長は努力義務としました。  指定都市以外の市町村における内部統制の導入につきましては、各団体において地域実情に応じて検討されることになりますが、検討される場合には、総務省としては、先行的なモデル事例というものを紹介したりして、技術的助言、必要な情報提供によって支援をしてまいります。
  45. 福田昭夫

    福田(昭)委員 時間がありませんので、短くて結構です。  それでは、二つ目は、質問を省略しますが、監査委員等のガバナンス強化策についてであります。  やはり何といっても、監査独立性、専門性を高めることが重要だと思いますけれども、そのためには、監査委員がしっかりと公金の不正支出のチェック機能ができるように、そうしたことのためには、議選監査委員の廃止と包括外部監査制度の全面的導入が必要だと思っております。監査制度も、国の会計検査院制度と同じような、そうした権限と役割を持たせるように監査制度を改めるべきだと思います。回答は要りません。  次に、四番目の、住民によるガバナンス強化策としての住民訴訟制度等の見直しについてであります。  一つ目の、住民監査請求から住民訴訟への移行件数について、簡潔に答えてください。
  46. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  平成十四年四月以降の十四年間における全地方公共団体住民監査請求の総件数は、一万二千八百六十一件でございました。  これは住民訴訟の前置手続ということでございますが、住民訴訟に移行して訴訟が提起された件数といたしましては、ちょっと半年統計がずれるのでございますが、十四年九月から十三年半ということでございますけれども、二千八百五件でございました。
  47. 福田昭夫

    福田(昭)委員 私の資料の一の方に書いてありますけれども、ちょっと時期がずれるという話でありましたが、住民訴訟の件数、平成十四年九月一日から二十六年三月三十一日で、この資料では二千四百七十五件でありました。しかし、住民監査請求は一万二千八百件からあったということでありますから、ほとんどがこうした住民監査請求を経て、仕組み上、住民訴訟が行われているわけであります。  そうしたことを考えると、先ほども質問の中でありましたけれども、これは回答は要りませんけれども、いや、後でこれは修正案提出者に聞きますかね。議会損害賠償請求権等の放棄を議決しようとするとき、監査委員からの意見聴取を義務づけておりますが、これは全く意味はないと思います。やはり、一旦監査委員が否決したものをみんな住民訴訟に出しているわけでありますから、全く、改めて監査委員から聞いても意味はないと思いますが、修正案提出者、いかがですか。
  48. 竹内譲

    竹内委員長 福田委員修正案提出者の要求がなかった、このようになっておりますが。
  49. 福田昭夫

    福田(昭)委員 済みません、質問するようにと言われていたから。わかりました。ほかから参入してきたので、済みません、わかりませんでした。  そういうことで、一旦監査委員が否決しているものをもう一度聞いてというのは、これは意味のない話だと思います。  それで、質問の三点目に入りますけれども、四の括弧三にありますけれども説明責任の条文化についてであります。  今や、国も地方も情報公開と説明責任、これは当たり前の世の中になってまいりました。しかし、最近、国では何だか文書も隠したりして、説明責任を果たしていないことがいっぱいありますけれども。  ぜひ、そういった意味では、やはりしっかりと説明責任を果たす、そういう条文が今回の住民監査請求の中でしっかり位置づけられなければ、先ほどの栃木県のエコシティ宇都宮の事件じゃありませんが、既に違法の補助金の返還をして県に二億円の損害を与えても、栃木県の知事は、一切県民に説明もしていない、それから謝罪もしていない、何ら責任もとっておりません。東京都の前舛添知事は、政治資金の私的流用でやめさせられました。公金に二億円の穴をあけた人が何の責任もとっていない、こんなことが許されるんでしょうか。こうしたことが実は実態に行われている。  これは、何といってもやはり、首長も長くなると、議会の皆さんが与党化現象というのが起きちゃって、議会のチェック機能も働かなくなる、それから職員もそんたくがはびこって、首長によってはまさに裸の王様となってしまう、これが地方自治体の実態であります。そうしたことに対して、今回の自治法改正が本当に役に立つんだろうかという大変大きな疑問が上がっています。  そこで、先ほど井坂委員からもありましたけれども、我が党の修正案にありますように、やむを得ない事情にあるものと認められる場合を除くほか、やはり原則として、住民訴訟になったら、公判中も判決後も、議会の請求権の放棄の議決を禁止すべきだ、こういうふうに私も思いますけれども大臣、いかがですか。
  50. 高市早苗

    高市国務大臣 御党の修正案を拝見しましても、放棄の前提となる財務会計行為が違法かどうかということは住民訴訟を経なければ確定しないことが多いことや、放棄が認められるのは「やむを得ない事情によるものであると認められる場合」とされておりますので、やむを得ない事情の有無をめぐって放棄の妥当性が争われるということが想定されるように思います。  今回、参酌基準、また責任の下限額、政令で定めさせていただくことになりますけれども、これも、最低額などにつきましては、住民訴訟制度の見直しの具体的な方向性について議論した有識者懇談会でもさまざまな御意見もございました。むしろ参酌基準の二分の一などとするべきだといった御意見もあったんですけれども、具体的に、国会での御審議内容、それからまた再度有識者の御意見も踏まえて、会社法も目安にしながら、しっかりと政令で定めていかせていただきたいと思っております。
  51. 福田昭夫

    福田(昭)委員 私も軽過失の場合はやむを得ないかなと思っておりますが、先ほど井坂委員からも指摘があったように、やはり、全て請求権を放棄させる議決ができるというのは、これは甚だ問題だと思います。  絶対的な権力は絶対腐敗するというんですね。イギリスに有名な言葉がありますが、これは自治体も全く同じであります。したがって、今回の地方自治法改正地方自治体のガバナンスの強化にはそんなにつながらないということを指摘して、私の質問を終わります。
  52. 竹内譲

    竹内委員長 次に、梅村さえこ君。
  53. 梅村さえこ

    ○梅村委員 地方独立行政法人改正法案について伺います。  一昨日、板橋区役所の委員会視察、また昨日の参考人質疑、大変重要であったと思います。関係者の皆様に感謝申し上げますとともに、こうした中で出た説明意見などを踏まえて質問をいたしたいと思います。  まず、板橋区役所の視察や昨日の太田真庭市長などの意見伺い、新たに加わったマイナンバーを初め地方公共団体の仕事量が非常にふえている一方で、この間の定員削減などがある。このもとで、各地方公共団体がいかに住民サービスを維持向上していくのか、大変な御苦労を抱えながら、懸命に各地で業務に当たっておられることを強く感じました。  しかし、問題は、窓口業務を独立行政法人に委託することをその解決の選択にしていいのかということだと思います。  そこで、少し順序を入れかえて御質問いたします。  まず、安田自治行政局長伺いたいと思います。  昨日の参考人質疑で、窓口業務とは、そもそも住民自治体をつなぐパイプ、地方自治の要衝であり、住民生活の出生から死亡まで、重要な場面において憲法に基づく人権を保障する、大変崇高で重い業務であるということが福島参考人からありました。  そして、その窓口業務自治体から丸ごと切り出してしまうということは、地方自治、住民自治、住民福祉の増進という役割、機能を大きく後退させる大変重大な問題ではないかという問題提起があったと思います。  そこで、窓口業務とこうした憲法に基づく基本的人権保障の関係や重み、こういうことについて、参考人からあった意見についての受けとめを伺いたいと思います。
  54. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  昨日の参考人質疑の中で、窓口業務は非常に重要な業務であるという指摘があったと承知しております。  私どもといたしましても、市町村窓口業務は、出生から死亡まで、住民行政サービスを受ける身分の証明または権利もしくは義務の確定もしくは変動の基礎となる行為が含まれる重要なものでございまして、かつ、特に適切な実施が求められるものと認識しているところでございます。  ただ、これについて、一切、民間委託あるいは今回の地方独法による業務を行わせるというようなことができないかというと、そういうことではなくて、適切な監督のもとでこれは実施することができるもの、このように考えているところでございます。
  55. 梅村さえこ

    ○梅村委員 窓口業務そのものの重要性や重みについては確認できたかというふうに思います。  そこで、さらに、昨日、参考人から触れられた、地方独立行政法人とはそもそも何なのか、特に第二条が挙げられておりました。  第二条の中で、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」、それを地方独立行政法人業務の対象とするということがあるわけですけれども、この記述が二条にあるということは、窓口業務を今回追加するということは、窓口業務地方公共団体が直接に行う必要のない業務とするのか。必要のないのか、直接。そのことについて伺いたいと思います。
  56. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今般の改正法案におきましては、窓口業務のうち定型的に処理することができる事務につきまして、地方独立行政法人に行わせることを可能にしているものでございます。  この窓口業務には、申請、届け出の受理、書面等の交付決定など、専門性は高いけれども、定型的な業務が多く含まれておるわけでございます。今般、市町村からのきめ細やかな関与のもとで、これらを行わせる等の措置をとることによりまして、必ずしも地方公共団体がみずから直接実施するのではなくて、地方独立行政法人が実施することを可能とするものでございますけれども、いずれにいたしましても、みずから直接に実施する必要があるかどうかは、市町村において判断されるものというふうに考えているところでございます。  一方、窓口業務の中には、例えば、住民基本台帳の作成など市町村長がみずから処理することを明らかに予定しているものでございますとか、住民の居住実態に関する調査など裁量性のある判断の余地が大きい非定型的な事務がございまして、これらにつきましては、地方独立行政法人の対象業務とはせずに、引き続き市町村職員が行うべきものとしているところでございます。
  57. 梅村さえこ

    ○梅村委員 みずから自治体が判断するものだということであるという答弁がありました。  しかし、法律的には、地方独立行政法人業務の対象について、「自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」として、それを新たに今回、窓口業務を加えたわけですから、結果的に判断をするのは地方自治体かもしれませんけれども、国としての法律のたてつけとしては、直接実施する必要がないものの範疇として、今回初めて法律的に窓口業務については明記をしたというふうに読めるのではないでしょうか。
  58. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人法第二条第一項で地方独立行政法人の定義を記述しているわけでございますが、ここでは、「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを」、このように書いているわけでございまして、この定義規定は変わっていないわけでございます。  窓口業務につきましても、それをこの規定に沿って地方独立行政法人に行わせるのか、それとも従来どおり市町村が直接実施するのか、これにつきましては市町村が判断するということでございます。
  59. 梅村さえこ

    ○梅村委員 法律としては、みずから自治体が判断するといいながら、やはりそれを対象にしているということは間違いないことだというふうに思うんですね。  そして、今、「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの」という答弁が既にありましたので、これについて引き続き伺っていきたいと思います。  この「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの」というのは、つまり、メリットがない、本来は民間に委託していい業務なんだけれども、委ねた場合に必ずしも実施されないおそれがあるものということで、委ねた場合を前提としているというふうに思うんですね、この書きぶりというのは。その場合、では、民間がなぜ実施されないおそれがある場合があるのか。つまり、それは民間が、メリットがない、営利が上がらない、引き受けない、そういうものについては、独立行政法人がその部分をやるということになってくるのではないかというふうに思うんですね。  それでは、地方独立行政法人設立資金、運営資金は誰がどう出すのかということについて、続いて御答弁をお願いします。
  60. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  まず、地方独立行政法人への出資は、これは地方公共団体でなければ出資できないということになっておりますので、通常の場合でございますと、設立団体が出資していくということになると思います。  また、その運営費につきましては、運営費交付金ということで、これも設立団体、まあ他の団体の業務を受ける場合にはそちらの団体からもということになると思いますが、そういうことになると思います。
  61. 梅村さえこ

    ○梅村委員 では、続いて、前回御答弁いただいたときに、公権力の行使を含む窓口業務地方独立行政法人でできるようになる理由について、地方独立行政法人は、組織、運営の根幹について地方公共団体の関与が制度として担保されているという御答弁があったと思います。この根拠は地独法の十四条から来ているのではないかという御説明が事前にありますが、この内容を端的にお答えいただきたいと思います。
  62. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今、委員指摘ございましたのは、十四条、役員の任命についての規定でございますが、これはもちろん、役員の任命につきましても、理事長は設立団体の長が任命するということになっておりまして、まさにそれは設立に関して地方団体が関与するという一例になるかと思います。  ただ、これ以外にも、例えば、定款を定める場合において、これは設立団体の議会の議決を経て定めるということになっておりますし、それから、一般の独立行政法人ですと中期目標の設定でございますとか、今回の窓口独法でございますと年度目標の設定ということになりますが、こういう目標につきましても、これは設立団体の方から指示して設けるということになっておりますので、そういう意味で、設立団体の関与が強いものがあるということでございます。
  63. 梅村さえこ

    ○梅村委員 つまり、今の御答弁をずっと聞いておりますと、地方独立行政法人は、自治体が設置をし、理事長は長が任命をする、業務方法書も目標も自治体の長が指示をする、設立資金も運営のためのお金、交付金も自治体が出す。そして、窓口業務の場合は、収入といってもほとんど手数料なので、必要経費からすれば非常にわずかな収入しかない、ほとんど自治体の丸抱えでなるわけだと思います。しかも、住民訴訟がもし起これば、独立行政法人の理事長ではなく、自治体の長に責任があり、自治体の長が訴訟相手になるということだと思います。  こういう一連を考えると、どうしてわざわざ地方独立行政法人をつくって自治体窓口業務を移管するのか。よっぽど直接やった方がすっきりするのではないかというふうに思うわけですよね。それでもあえて地方独立行政法人で丸ごとやるメリットというのは端的に言ってどこにあるのか、お答えいただきたいと思います。
  64. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人に行わせるメリットは何かというお尋ねでございます。  地方独立行政法人は、行政から独立いたしました自主的、自律的な業務執行が可能でございまして、そういう意味で、業務運営の効率化、住民サービス向上といったものが期待できるのではないかというふうに考えております。  具体的には、職員の勤務条件や給与などにつきましても、地方公共団体職員よりも柔軟に設定ができます。例えば、夜間、休日の窓口対応でございますとか、繁閑期に応じた人員配置などが期待できるというふうに考えております。  また、継続して窓口業務を担うことによりまして、窓口業務に係るノウハウの蓄積でございますとか専門性の確保が図られるといったこともメリットだというふうに考えているところでございます。
  65. 梅村さえこ

    ○梅村委員 専門性が図られるかどうかというのは確証がないというふうに思います。  しかも、今、柔軟な働き方が可能になるというふうに御答弁がありましたけれども、これは大変聞こえはいいですけれども、やはり人件費の抑制のためということが非常に一つの大きな目的にあるんじゃないかというふうに思います。  先日視察した板橋区役所、ここで説明を受けました。窓口業務の民間委託によって、窓口には、自治体の正規職員が八十人に対し、委託職員が七十人から八十人、委託費用が二億九千三百万円というふうに聞きました。正規職員の標準的な給与が年六百八十万円というふうな説明がありました。そうすると四十三人しか雇えないんだけれども、民間委託をすれば七十人から八十人を雇えるという説明がありました。  確かに、業務運営からすれば、これは効率化ということが言えるかもしれませんが、単純にしても、一人当たり年三百七十万円の収入になっていく、人件費になっていく。さらに、実際には企業が経費や利益を差し引けば、ここに働く人たちというのは三百万円や二百万円台で働いているということになっていくわけですね。  まさにこうしたやり方が、この間、官製ワーキングプアとかワーキングプアをつくり出して、今働き方改革が大問題になっているんじゃないでしょうか。二十代、三十代の方々が結婚もできない、子供も産めない、生活できない、こういうような流れをやはりもうつくってはならないというふうに思うわけですね。幾ら効率化であっても、こういうふうな、働き方をさらに悪化させていくようなやり方の余地を残すことがあっていいのかどうか、この点についてさらに伺いたいと思います。
  66. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人職員の勤務条件につきましては、民間企業従事者と同様に、労使交渉による設定ということが原則になってまいりますので、給与水準がどのように決まるかということは、この交渉の結果ということでございますので、一概に、どういうことになるのかというのは申し上げることはできないということでございます。
  67. 梅村さえこ

    ○梅村委員 一概に言えないと言いますが、板橋の例を今御紹介いたしました。これは委員派遣で行ってきた事例であります。しかも、自治体財政が大変だから効率化のために切り出すと言っているわけですから、そこに予算をもっとつぎ込むなんということが正当に考えてもあるわけがないというふうに思うし、きのう、参考人の質疑ではその点の強い疑義が示されたというふうに思うんです。そこに対し、前回の答弁と同じように、労使の関係で決まっていくからわからないという答弁は、余りにも不誠実であり、きのうの参考人質疑を受けたものではないというふうに私は感じているところであります。  さらに、それを指摘しながら聞きたいというふうに思いますが、では、偽装請負が地方独立行政法人職員については適用されるのかどうかということについて、確認させていただきたいと思います。
  68. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人窓口業務を行う場合でありましても、市町村職員から地方独立行政法人職員に対して直接指揮命令を行えば、民間事業者の場合と同様に、労働者派遣法上の労働者派遣に該当するということになりますので、民間委託の場合と同様、同法による許可を受けることを想定していない地方独立行政法人職員に対してこれを行うことはできない、こういうことだと思っております。
  69. 梅村さえこ

    ○梅村委員 ガバナンス的には、地方独立行政法人は、地方公共団体の責任において組織、運営の適正を確保することが常に可能であるというふうにしながら、一人一人働いている職員については、全く民間と同じで偽装請負が適用されるというのは、私はさらに複雑にするものじゃないかというふうに思うんですね。  板橋、見せていただきましたが、民間の委託でしたが、いろいろ指揮系統を受ければ偽装請負になるということで、委託業者と直接の自治体職員の中にパーティションがあり、いろいろな書類のやりとりは箱の中に入れる、しかも、附箋をつけるだけでそれは指示したことになるので附箋もつけられない、だからなるべく職場ではしゃべってはいけない、しゃべれない、こういうような職場の実態があるわけで、やはり異様だというふうに思うんですよね。さらに複雑化するものだというふうに思います。  それでは、経験のないアルバイトやパートの職員にも公的権力の業務はさせるんですか、独立行政法人の職員になった場合に。
  70. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  独立行政法人でありましても、例えば、特定地方独立行政法人であれば、地方公務員法の任用の規定が適用されますけれども、この枠の中で、現在でございますと臨時、非常勤といった形で任用する。  また、一般独立行政法人でございますと、地方公務員法の適用はございませんので、さまざまな雇用形態で雇用をするということが可能でございまして、こうした方々が、地方独立行政法人職員として、この法律に基づいて業務を行うということは可能でございます。
  71. 梅村さえこ

    ○梅村委員 いや、それだけじゃなくて、今までいらっしゃった窓口業務職員さんではなくて、新たに雇う場合もあるわけですよね、多分、地方独立行政法人職員さん。そういう方々にも公的権力の行使の作業をやらせるんですか。何か歯どめはかけるんですか。
  72. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  御指摘のございました新規に雇用した方々につきましても、一連の業務、行うことは可能でございます。公権力の行使に観念上当たるものも含めてです。これを実施することは可能でございます。  ただ、あくまで今回の窓口独立行政法人に行っていただく公権力の行使というのは、定型的なものということで、絞りをかけて行っていただくということを予定しているものでございます。
  73. 梅村さえこ

    ○梅村委員 それは前回の質疑でもさせていただきましたけれども、公権力の行使が非常に小さいものと言いながら、まだそれが何なのかというのはこれから省令で決めていくと。いわゆる戸籍上も法務省とやりとりしていくということで、定かではないわけですよね。大変危険で、不明朗なままさらに複雑化していくやり方というのは、私はやめるべきだというふうに思います。  直接窓口で一本化をしていくということが一番すっきりしていて、憲法に基づく窓口業務をできるということ、さらに、もし財源がないというならば、国の無駄遣いだとか税金の応能負担の取り方を正してしっかりと財源確保し、その分を地方に回して、地方自治体が直接、安心して住民サービスを行えるような、そういう施策で打開すべきことを求めまして、質問を終わりたいと思います。     〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
  74. 左藤章

    左藤委員長代理 次に、田村貴昭君。
  75. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  地方自治法改正案のうち、きょうは、監査について質問をします。  改正案の百九十八条四、五項は、総務大臣は、普通地方公共団体に対し、監査基準策定または変更について、指針を示すとともに、必要な助言を行うものとすることとあります。  総務大臣が示す監査基準策定または変更というのは、自治体監査基準変更を強いるものなんでしょうか。従来の監査基準はどうなるんでしょうか。お答えください。
  76. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  総務大臣が示す指針あるいは助言には、法的拘束力はないものでございます。  既に自主的に監査基準を定めている地方公共団体におきましては、この指針助言、それから他の地方公共団体の取り組みなどを踏まえつつ、改めて監査基準あり方について議論をしていただきたいというふうに考えているものではございますけれども、もとより、その結果、既存の監査基準を維持することも差し支えないものでございます。
  77. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 総務省の調査、二〇一五年四月一日現在によりますと、都道府県の九七・九%で監査基準策定されています。指定都市では八〇%、その他の市では五六・二%、町村においては四六・五%。監査基準がない団体においても、都市監査基準準則等の参考基準があります。つまり、基準がないわけではないわけであります。  地方自治体は、基準を持って監査に当たってまいりました。そのあり方が間違いだったというのでしょうか、不十分だったということなんでしょうか。お答えください。
  78. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  御指摘ございましたように、これまでも、個々の地方公共団体の任意の取り組みとして、監査に関する具体的な基準を定めている例が見られるということは承知しております。  この中でも、挙がっておりました都市監査基準といったようなもの、これは、全国都市監査委員会に加盟する約八百の都市に共通の規範性を持った基準を設けようとするものでございまして、内容といたしましても、内部統制との連携を盛り込むなど、先進的な取り組みだ、このように考えているところでございます。  今回の法改正でございますが、全体として監査の質の向上を目指すという考え方でございます。このため、指針総務大臣策定して、助言をしていくということを考えているわけでございますけれども、この指針策定に当たりましては、こうしたことから、監査実務者の参加を求めまして、この都市監査基準を初めといたしまして、これまでの先進的な取り組みを反映させるとともに、監査専門家などからも意見を聞くということを想定しておりまして、こういう場を通じまして、質の向上に資するものをつくっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  79. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 自治体にはどういったことを求めていかれるんでしょうか。監査基準策定それから変更についての指針については、どういう内容を検討されていますか。
  80. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  総務大臣が定める指針内容でございますけれども、これは、各地方公共団体監査基準策定する際に参考となります、監査を行うに当たっての必要な基本原則といったようなものを定めることを想定しております。  例えば、監査の目的ですとか監査委員役割、責任、監査の実施に当たってどういう点を重視すべきか、監査結果の報告に当たってどういう点を記述すべきかといったような内容でございます。
  81. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 高市総務大臣伺います。  この条項なんですけれども、行うことができるではなくて、行うものとすることと、いわゆる義務づけ規定になっております。  国の地方自治体への関与を強めることになりはしませんか。地方自治体自主性自立性との関係で、この条項はどう捉えたらいいんでしょうか。
  82. 高市早苗

    高市国務大臣 現行制度におきましても、技術的な助言というものは各大臣が任意で行うことができることとされておりますが、今回の改正案では、監査の質を高めること、住民監査に対する信頼向上を図るため、総務大臣責務として、監査に関する考え方を指針として示し、これに関連した必要な助言を行うということにしています。  この指針助言には法的拘束力というものはありませんので、各地方公共団体監査委員方々は、この指針助言を踏まえつつ、地域実情に応じた監査基準を定めていただくということが可能でございます。  むしろ大臣に対して責務を課したものであり、大臣による関与が強まるというものではなく、また、地域自主性自立性を損なうものとは考えておりません。
  83. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 大臣、確認ですけれども、そうしたら、地方が統一監査基準をつくっていいんでしょうか。  地制調の答申では、統一的な監査基準は、地方分権観点から、国が決めるのではなく、地方公共団体が共同して定めることが適当であるというふうにしたわけなんですね。地方が合い議して統一監査基準をつくったら、これはいけないわけなんでしょうか。どうなんですか。
  84. 安田充

    安田政府参考人 三十一次地制調答申では、委員指摘ございましたように、統一的な監査基準地方が共同してつくるという考え方が示されていたわけでございます。  ただ、この考え方につきましては、私ども、これを法案化するに当たりまして、都道府県監査委員協議会、都市の監査委員協議会、町村の監査委員協議会等と議論させていただきましたけれども、特に、地方で共同して法人をつくって、その法人が統一監査基準をつくるということをイメージしていたのでございますけれども、その必要は必ずしもないのではないかという御指摘がございまして、今のような形になったということでございます。  もちろん、今回の枠組みの中でも、各都市なり町村なりが共同してベースのようなものをつくろうということであれば、それは差し支えないものというふうに考えている次第でございます。
  85. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ベースのようなものをつくればそれはいいということですね。確認しました。  日本弁護士連合会意見書が出されていますけれども地方公共団体自主性及び自立性を損ない、地方分権の流れに逆行するものであるとともに、監査執行上の裁量を損ない地方実情を反映しない画一的な監査を強いるおそれがあり、この条項は削除すべきであると。これは重要な指摘であるというふうに思います。  続いて、議会選出の監査委員について質問します。  第百九十六条一項、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができるものとすることとしてあります。義務づけを緩和する目的は何でしょうか。
  86. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  議選監査委員でございますけれども監査委員議会の議員としての地位をあわせ持つ者でございます。現行制度では、全ての地方公共団体において議選監査委員を選任するということが必要とされているものでございます。  監査委員議会は、地方公共団体の執行機関をチェックする役割は共通するものではございますけれども監査委員は、財務管理とか経営管理などの専門的な見地から、長の執行した事業などについて事後的にチェックする機能が求められる一方で、議会は、地方公共団体行政全般にわたって幅広い見地から執行機関をチェックする機能、これが求められるわけでございます。  こうしたことを踏まえて、監査委員議会のチェック機能における役割分担の純化も地方公共団体のガバナンスのあり方としてあり得るために、改正法案において、地方公共団体の判断によりまして議選監査委員を選任しないことも選択肢として認めることにしたわけでございます。  あくまで、これは選択肢として認めるということでございまして、従来どおり議選監査委員を置いておいても、それはもちろん差し支えないわけでございます。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 例えば、二人監査自治体があります。そして議選監査委員がなくなるとします。そうしたら、もう一人の監査委員はいわゆる識見委員ですよね。往々にして、自治体のOB職員の方、OBの方が就任されることが多いと思うんですけれども、そうすれば、もといた自治体ですから業務に精通している。つまり、監査の中立性が低減する、OBの権限が高まっていくのではないか、そういう懸念があるわけですけれども、いかがですか。
  88. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  監査委員は独任制の機関として役割が与えられておりまして、他の合議制の行政機関と異なりまして、個々の監査委員が単独で職務権限を行使することができるものでございます。  議選監査委員を置かないこととした場合に、その後任には識見を有する者が任命されまして、その専門的な立場で、当該自治体とのしがらみなく監査を行うことができることになるものでございまして、自治体OB選出監査委員が置かれている場合であっても、監査の専門性や独立性の確保に影響が出ない人材を選出することは十分可能であるというふうに考えております。  また、自治体OBが監査委員になっている割合でございますけれども、おおむね、全体で一一・八%という数字でございます。
  89. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 この総務委員会審議の中でも、議選監査委員は名誉職ではないか、必要あるのかという議論もあったんですけれども、私は、ちょっと一例を出したいと思います。大臣政務官もぜひ聞いていただきたいと思います。  私の知り合いの地方議員が、今、監査委員を務めておられます。お話をお伺いしますと、なかなかいい活動をされているなと思ったんです。  自分は議会から選出された監査委員だから、その監査で知り得たこと、そして、その結果についてはやはり議会に還元しようという活動をされています。監査結果について公表します。同時に、議長や副議長のところにも報告に行かれる。そして、全員協議会があったときには、議選監査委員として、一緒に監査のメンバーとして監査した結果をその協議会報告するといったことをされているというんです。そうしたら、議員が定例会等議会の中でその監査の結果のことについてまたそれを議論する、そして政策立案につながっていくというお話を聞きました。  これはなかなかいい活動だなというふうに思いますけれども、受けとめはいかがですか。  町内会の監査業務をされたというんです。その結果を校区の代表者に集まってもらって報告したら、ああ、会計管理システムというのはこういうふうにするのかといったことで、勉強になった、そういう、好評であったということも私は伺いました。  この議員さんは、名誉職だなんて思ったことはただの一回もないということで、監査に邁進されているということであります。  議選監査委員もしっかりと役割を果たして頑張っておられます。議選監査委員がこれまで果たしてきた役割や業績を否定したり過小評価してはいけないというふうに考えるものであります。  お尋ねしますけれども、議選監査委員を置かないことができるとする規定を、置かないようにしようというような風評が広がってはいけないと思いますけれども大臣政務官、どちらがお答えになりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  90. 冨樫博之

    冨樫大臣政務官 お答えいたします。  私自身も議選監査委員を務めたことがあります。そういう意味では、役割あるいは業績は理解をしております。  それをもって、第三十一次地方制度調査会でも、議選監査委員は実効性ある監査を行うために導入されたものであり、そうした役割を担うことについて評価する意見があったところであります。  こうした中で、今回の法案では、監査委員議会のチェック機能における役割分担の純化を地方公共団体の判断で可能とするため、条例で定めることにより、議選監査委員を選任しないことを可能とすることにしております。  各自治体におかれては、監査委員役割等について地方公共団体内でよく御議論をいただき、こうした条例を置くことが適当かどうか御検討いただきたいと考えております。  以上です。
  91. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それでは、民進党提出修正案についてお伺いをしたいと思います。ちょっと順番を変えますけれども。  修正案は、議会議決による長などの損害賠償請求権の放棄をやむを得ない場合を除き禁止するものとしています。一方で、地方自治法第九十六条十号は、議会の議決事件として権利の放棄を定めており、これが損害賠償請求権等の議会議決による放棄の根拠ともなっているわけであります。  議会の権限を制限することについてのバランスについて、どのように提案者はお考えになっておられますか。
  92. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 御指摘のとおり、地方自治法九十六条第一項第十号におきましては、普通地方公共団体が権利を放棄する場合には、原則として議会の議決が必要となるという手続的規定、手続的根拠を定めた規定というものが置かれています。  一方、修正案については、住民訴訟の対象となる職員等に対する損害賠償請求等の放棄を実体的側面から制限するものでありまして、住民訴訟の対象となる職員等に対する損害賠償請求権等について、御指摘のように、やむを得ない事情によるものと認められる場合等以外は、議会の議決によっても放棄することはできないと定めているものであります。  ですから、地方自治法規定は手続規定、我々の規定は実体的側面から定めた規定でありまして、修正案の方は、議会の権限を過度に損ねることがないように、原則は放棄できないとしつつも、やむを得ない事由の場合には放棄できることとして、議会の権限を過度に損ねることなく、住民訴訟制度の実効性を担保しようとするものでありまして、我々としては妥当なものと考えているところでございます。
  93. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 よくわかりました。  やむを得ない事情によるものであると認められる場合の、そのやむを得ない事情というのは、具体的にはどのようなことを想定されておられるんでしょうか。お伺いします。
  94. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 今回の修正案によりまして、損害賠償請求権等の放棄については原則禁止としていますが、今申し上げたように、その例外として、御指摘のように、「法律若しくはこれに基づく政令に特別の定めがある場合又は当該行為若しくは怠る事実が避けることのできない事故その他やむを得ない事情によるものであると認められる場合」を規定させていただいています。  前段の「法律若しくはこれに基づく政令に特別の定めがある場合」ということについては、例えば、地方自治法及び同法施行令の規定によって、債務者が無資力等の状態にある場合に一定の条件のもとで債務を免除することができることなどが挙げられます。  そして、御指摘のその他やむを得ない事情と認められる場合ということについては、例えば、上司の業務命令などに基づいて違法に公金の支出や財産の処分を行ってしまった、そしてこれによって地方公共団体に対して損害を与えた場合であって、こうした違法な公金の支出や財産の処分が避けることのできない事故、ちょっと繰り返しになりますが、その他やむを得ない事情だったと情状酌量の余地があるような場合、こういうものを想定させていただいています。  いずれにしても、放棄できるかどうかということは、基本的には議会裁量に委ねられている現行制度よりも相当程度厳しくなるということで考えております。
  95. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 提案者に政府原案に対する御見解もお伺いしたかったところなんですけれども、時間が参りました。  以上できょうの質問を終わります。ありがとうございました。
  96. 竹内譲

    竹内委員長 次に、伊東信久君。
  97. 伊東信久

    伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。  ふだんは文部科学委員会なのですけれども、今回総務委員会での質問の機会を与えていただき、感謝いたしております。  二十分という限られた時間なのですけれども地方自治法等の一部を改正する法律案について御質問させていただくわけなんです。  昭和二十二年に施行されて以来、何度か時代に沿って改正されたこの法律なんですけれども、まずはこの地方自治法のそれぞれの改正の効果について、検証に関しての質問をさせていただきたいんですけれども、先に、平成二十五年六月に公布された第三次一括法、これによって地方独立行政法人の法人統合を可能とする道が開かれた、そういった法改正でしたけれども、まずは、この改正後に統合が行われた事例というのはどのようなものがあるか、政府にお聞きしたいと思います。
  98. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人法の制定当初は、法人の解散に関する規定のみが置かれておりまして、その規定を用いて合併を行うことは可能でございましたけれども、この場合には、解散により消滅する法人の清算手続でございますとか合併により存続する法人への承継手続、これが煩雑でございましたので、事業の承継等に時間がかかるなど、円滑な移行が困難でございました。  御指摘ございましたように、地方独立行政法人の合併でございますけれども、これは、法人単独の経営努力では実現できない行政サービスの質の向上や効率化を可能にし得る有効な手段であるということから、第三次分権一括法により、合併が円滑に行える規定が設けられたものでございます。  この規定を利用いたしまして、平成二十七年四月一日には、高知県公立大学法人、これは県が設立したものでございました、これが、公立大学法人高知工科大学、これも県設立でございますが、これを吸収合併したものがございます。また、平成二十九年四月一日でございますが、大阪府産業技術総合研究所、これは府が設立したものでございます、これと、大阪市立工業研究所、市が設立したものでございますが、これを新設合併して大阪産業技術研究所となったところでございます。
  99. 伊東信久

    伊東(信)委員 ありがとうございます。  先ほど、高知の方の大学の事例とかをおっしゃっていただきました。  そもそも、私、文部科学委員会でふだん質疑させていただいている立場と、大阪の枚方市、交野市、大阪府からの選出議員でもあります。加えて、私の母校に対する議論が進んでおりますので、そういった観点からお聞きしたいと思うんです。  私自身、もともと医者でございまして、神戸大学医学部、神戸大学の先輩に高市大臣もおられるわけなんですけれども神戸大学医学部卒業後、もともと幼稚園までは大阪にいてまして、小学校から神戸だったので神戸大学の方に進んだんですけれども、また大学院の方で、大阪市立大学医学部の大学院に戻ってまいりました。  同じく神戸大学医学部の、ラグビー部の先輩でもあるんですけれども、iPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥先生も先輩でございます。山中先生も大阪市立大学の大学院に進学されて、ともに感染動物研究舎で、研究所は違うんですけれども、一緒に研究をしていました。ノーベル賞を受賞された山中教授ですけれども、この大阪市立大学医学部の大学院出身ということは余り知られておりません。  残念ながら、我が母校ですけれども、世界の大学ランキングから比較、世界の壁にぶつかっている現状はあると思います。  現在、母校である大阪市立大学と大阪府立大学の統合も進められております。  私が研究していた現場感でいいますと、私の直接の、PCRというんですけれども、あとシークエンスとかいうんですけれども、遺伝子の研究の技術は獣医学部の先生が私に教えていただきました。  そういったところから、私自身は、大阪市立大学、府立大学の合併、統合にメリットというのを感じているわけなんですけれども、二〇二二年から二〇二四年に一法人一大学としてこの二つの大学をスタートするための統合を視野に準備を進めていますが、少子化に向けて、かつ、日本の大学が世界に向けて戦っていくためには、この統合というのは非常に大事なことだと思うんです。  今回、私がふだん質問している文科省にも来ていただきましたけれども、大学の統合について、どのようなメリット、デメリットを想定しているのか、教えてください。
  100. 義本博司

    義本政府参考人 お答え申し上げます。  大学間の合併ないしは統合は、大学の教育研究の特性を踏まえつつ、各設置者の主体的な判断により行われるものでございますが、これまでの事例を見ますと、大学が既存の資源を有効に生かしながらそれぞれの強みを生かして、シナジー効果と申しますか、教育研究分野の幅の広がりようも確保したりとか、あるいは統合によるスケールメリットを生かして経営基盤の強化を図ったりというふうな一定の効果を持つものと考えております。  今回の大阪市立大学と大阪府立大学につきましても、先生御指摘のとおり、大阪市立大学につきましては、文系から理工系、医学部を含む総合大学でございますし、また、経済系につきましては、一橋、神戸と並ぶ三大高商の大学の伝統を引いております。また、大阪府立大学については、先生御指摘のように、獣医学分野では公立大学で唯一の設置でございますし、理工系に強いとかあるいは学際、応用分野に強いというふうなことを伺っております。こういうふうな特色、強みを生かしてしっかりやっていただいています。  一方、デメリットにつきましては、今後それぞれの自治体の中で具体的に計画を進める中において明らかになっていくものというふうに考えております。
  101. 伊東信久

    伊東(信)委員 ありがとうございます。  メリットについてはいろいろ教えていただきまして、デメリットに関しては、それぞれの個別の中であるだろうというところで、やはり文部科学省からしてデメリットに関してはそれぞれ個別には言いがたいとは思うんですけれども、あるにはあると思うんですけれども、やはりメリットの方が大きいように今の御答弁では感じられました。  それでは、今回の法改正によって地方独立行政法人におけるガバナンスが強化されていくと思うんですけれども、公立大学のガバナンスの改革についての見解も加えてお願いいたします。
  102. 義本博司

    義本政府参考人 お答え申し上げます。  大学が人材育成、イノベーションの拠点といたしまして教育研究機能を最大限に発揮していくためには、学長のリーダーシップのもとに戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することがますます重要になっているところについては論をまたないところでございます。  今回の地方独立行政法人法の改正におきましては、国立大学法人法の規定を踏まえつつ、PDCAサイクルが機能する形での目標、評価の仕組みを構築していくですとか、監事、会計監査人の権限の強化、あるいは内部統制体制の整備を図るなど、公立大学法人における適正な業務運営を図るための制度改正をあわせて行うこととしているところでございます。  今般の法改正によるガバナンスの強化を通じまして、公立大学における適正な大学運営の体制の構築を促し、教育研究の一層の充実が図られるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  103. 伊東信久

    伊東(信)委員 少子化を受けましても、こういった公立大学の業務のスリム化というのは非常に大事なものだと思います。  ただ、合併するに当たり、関係者の中ではやはり賛成される方ばかりではないというのが事実なので、今御答弁の中でPDCAサイクルのことをおっしゃっていただきましたので、しっかりとチェック機能を果たして、そこからの最終的なアクションがやはり大事だと思います。今回我が母校も関係していますので、よろしくお願いいたします。  それでは、加えて今回の改正質問をさせていただきたいと思うんですけれども、この改正によって市町村の窓口関連業務地方独立行政法人が行うことができるようになります。  今まで、同じ部署の正規の公務員と、時給計算で給料が支払われる臨時職員が混在しておりました。同一労働同一賃金という趣旨とは矛盾する、同一労働にもかかわらず給与に格差があるということで、職員の士気が上がらない、能力も磨かれないという懸念を現場の職員の方から耳にしておりました。  それでは、先ほどちょっと先輩だと御紹介しました総務大臣から、今回の法改正趣旨と、窓口業務などにおいて地方独立行政法人活用する意義、効果についての御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 高市早苗

    高市国務大臣 第三十一次地方制度調査会において、市町村の窓口関連業務に関して、地方独立行政法人活用を制度上可能とするということが答申されました。  これを受けまして、今回、地方独立行政法人業務に申請等関係事務の処理を追加し、また、それだけじゃなくて、市町村は、連携中枢都市圏の中心都市などが設立した地方独立行政法人と直接規約を締結して、窓口関連業務を行わせることを可能とするという措置を講じます。  また、地方独立行政法人業務方法書に内部統制体制の整備に関する事項の記載を義務づけるといった措置も講じます。  地方独立行政法人というのは、行政から独立した自主的、自律的な業務執行が可能ですから、まず業務運営の効率化と住民サービス向上が期待されます。  具体的には、勤務条件や給与などについても地方公共団体職員よりは柔軟に対応できますので、夜間、休日の窓口対応ですとか繁閑期に応じた柔軟な人員配置というものが期待できます。  また、人事異動というものが必ずしもない、定期的な異動ではないということによりまして、窓口事務でノウハウを蓄積するという効果も期待できると思っております。
  105. 伊東信久

    伊東(信)委員 ありがとうございます。  公立大学の病院に勤めていて、特に休日とか夜間の対応に関して今大臣がおっしゃられたメリットというのは非常によく感じております。私自身、医療法人の理事長になって、自分自身が経営するに当たって、夜間、休日の対応というのは本当に、非常に職員の問題がありますので、大きな課題だと思います。その中で柔軟な対応ができるというのは非常にメリットだと感じております。  では、デメリットは何かということをちょっと考えるに当たり、外部資源活用ということを耳にしたところで、一つ想定される話なんですけれども住民の皆さんの貴重な情報、住民基本台帳のようなデータのセキュリティーというのは大丈夫かということを危惧する声も聞こえております。  ただ、身近な例を挙げますと、我々が事務所を置いています議員会館の警備、セキュリティーは、二〇一〇年に現在の議員会館が竣工した際に、これは民間なんですけれども、民間委託されるようになりまして、契約書に明記されている内容どおりのセキュリティーチェックというのがきちっと行われまして、昔からいてる秘書とかに聞きますと、融通がきかなくなったと窮屈に感じているらしいんですけれども、逆に、私は、それはセキュリティーの意味では厳しくなっている証拠じゃないかと感じています。  最近の話題なんですけれども、五月十五日に、菅官房長官より、ランサムウエアというコンピューターウイルスの被害が、国内でも報告があるというお話がありました。どうしてもテクニカルな質問になりますけれども、ちょっと御容赦いただいて、国民の皆さん、住民の皆さんに安心してもらうために、以下のことを質問したいと思います。  ランサムウエアに有効なITシステムの運用ポリシー、特にセキュリティー関連のポリシーは、もう全官公庁宛てに通達をされているのか。万が一被害に遭った際に、現行システムが自動で隔離されたオフラインバックアップをとれるようになっているのか。隔離バックアップがない場合、システムの改修を進めているのか。それでも被害があった場合、ランサム、つまり身の代金支払いに関するガイドラインがあるのか。ある場合は、末端まで通達、浸透されているか。  政府に見解をお伺いいたします。
  106. 時澤忠

    時澤政府参考人 お答えいたします。  済みません、私ども地方公共団体の今回のランサムウエアということで担当していますので、その観点からでございますけれども。  先週末に、ウィンドウズの脆弱性をつきましたランサムウエアによるサイバー攻撃による被害が世界じゅうで発生しているとの報道がありました。  私ども地方公共団体の情報セキュリティーを所管しておりますので、日曜日でございますが、五月十四日に、地方公共団体の情報セキュリティー担当課、そして登録のありました担当者個人宛てにも、ウィンドウズ7などの以前のOSを利用している場合に、速やかにセキュリティー更新プログラムを適用すること、感染の被害がないか確認を行うこと、そして、内閣サイバーセキュリティセンターからも注意喚起がなされるという旨の通知をいたしたところでございますが、週が明けまして業務が開始されました十五日月曜日に、二つの市で被害報告がなされております。  その感染でございますが、OS等の更新プログラムを適用するサーバー等のあるネットワークから隔離、要するに、ネットワークにつながっていない外部の持ち出し用端末、あるいはスタンドアローン、独自でつながっているという端末において発生をしたという状況でございましたので、私ども、昨日でございますが、こうした環境にあります情報端末、あるいは情報担当部門が管理運用していない端末についてセキュリティー対策を講じること、さらに、対策を講じた後には、各団体のセキュリティーポリシーを厳格に適用すること、こういったことの対応を求めたところでございます。  引き続き、サイバー攻撃について適切に地方公共団体が対応できるように、私どもも努力してまいりたいと考えております。
  107. 伊東信久

    伊東(信)委員 ありがとうございます。  テクニカルな質問で申しわけないと思ってはおりますが、かつ、地方自治団体に関しての管轄であることも存じ上げての質問だったんですね。  今の御答弁、つまり、ランサムウエア及び新たなるウイルスに関しても、そこから、中での業務をしている端末への隔離はきちっとされていて、二事例に関しても、そういった意味では大丈夫であったということで受けとめました。  このことをしっかりと国民の皆さんにも、市民の皆さんにも発信していただきたい。どうしてもメディアの報道では不安をあおるような報道になっていましたので、あえて質問させていただきました。  本当に、福島の原発の事故の事例からも言えるように、絶対安全だとは言えないというところがあるんですね。万が一のことを想定して対策を検討する、危機管理意識というのは大事だと思っております。  トラブルが発生したときに責任のなすりつけ合いにならないように、日ごろから職員の皆さんに周知徹底、教育というのはもちろんですけれども、高度な専門知識を持つ人材を確保するという意味では、なかなか容易ではないんですけれども、国においてとか大都市においてはいいんですけれども規模の小さな市町村においては、財政事情から、こういった対応できる専門家を置くというのは非常に困難だと思うんです。  専門知識、今回でいえば先ほど質問したサイバーセキュリティー対策の専門知識を持つ人材の外部資源活用総務省が積極的に推し進めるべきかと思うんですけれども、御見解の方はいかがでしょうか。
  108. 時澤忠

    時澤政府参考人 お答えをいたします。  地方公共団体におきましても、さまざまの市、小規模町村を初め、政令指定都市初め、いろいろなところがございます。私ども地方公共団体のセキュリティー対策につきましては、さまざまな観点から対策を講じております。例えば、人的セキュリティー、インシデント即応体制、こういったことに力を入れていただきたいということ、さらには、業務用のシステムの強靱化ということも取り組んでおります。  特に、システム関係につきましては、マイナンバーもございますので、マイナンバーの利用事務では、端末からの情報の持ち出しの不可設定、情報を持ち出せないというようなことを図りまして、住民情報の流出を徹底的に防止する。さらに、マイナンバーによります情報連携に利用されます地方公共団体の専用回線がございます、これをインターネットの接続系と分割する。さらに、先ほどありましたように、都道府県市町村が協力をいたしまして、自治体情報セキュリティクラウドというのも構築をさせていただきました。これによって高度なセキュリティー対策を県レベルで構築して、市町村もその下に入っているというようなことで、さまざまな取り組みをしております。  特に、経費的な面につきましても、二十七年度の補正予算に二百五十五億ということで財政的な措置も行いましたし、地方財政計画にも所要の措置をとってきております。  さらに、今年度でございますけれども自治体のセキュリティー対策の継続化を支援するために、総務省の方でもプラットホームということも構築をすることといたしております。  さまざまな地方公共団体とも連携をしまして、地方公共団体のセキュリティー対策、これは絶対ということはございませんので、気を緩めることなく、さらに万全を期してまいりたいと考えております。
  109. 伊東信久

    伊東(信)委員 ありがとうございます。  時間なので終わりますけれども、今の御答弁、システムに関しての御答弁だったと思いますけれども、加えて人材の方も考慮いただければと思います。  短い時間ですが、ありがとうございました。  終わります。
  110. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  111. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。  まず最初に、窓口業務の委託が想定をされる地方独法職員の給与についてお聞きをしたいと思います。  今回、地方独立行政法人法の五十七条の三項が改正をされております。改正前といいますか、現行の方を見ますと、職員の給与並びに退職金の水準については、当該法人の実績を考慮し、社会一般の情勢に適合したものでなければならないというふうなことのみが書かれておりますけれども改正案では、同一または類似の国、自治体職員と民間企業の従事者の給与水準、加えて、当該法人の業務の実績と職員の特性、雇用形態その他の事情を考慮して決めることとなっております。  これは別に、今回の外部委託のための、そこだけに当てはまるものではなくて、全ての地方の独法に係る改正ということになるわけでありまして、なぜこうした改正を行う必要があるのか、お聞きをいたします。
  112. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今回のこの五十七条三項の改正でございますけれども、これは、国の独立行政法人通則法が改正されまして、ガバナンスの強化ということでさまざまな改正があったわけでございますけれども、給与につきましても、こういう点を考慮しながら説明責任を果たしていただくようにという趣旨で国の独立行政法人通則法が改正されたと聞いておりまして、その規定を、地方独立行政法人法においても同様の規定を設けるということにしたものでございます。
  113. 吉川元

    ○吉川(元)委員 国の独法の通則法に合わせて改正をされたというお話であります。  そういたしますと、国の独立行政法人の職員の給与、私の持っている資料では、二〇一四年度の比較ですが、国の独法の事務、技術職員の給与というのは対国家公務員指数でほぼ同じ水準であります。研究職員や医師、看護師、まあ医師については少し違いますけれども、それを除けば国家公務員の賃金水準とほぼ同じというような資料がございます。  これは、一般の地方独法職員の給与、国の独法に並びで今回法改正をしたということでありますけれども、いろいろな条件がつけられておりますが、最終的には同じような職種の地方公務員の賃金水準と同じレベルになる、国と同じようなものになるというふうに想定していいんでしょうか。
  114. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  ただいまお答え申し上げましたように、五十七条三項で、一般地方独立行政法人職員の給与の考慮事項というのが定められております。この中では、同一または類似の職種の国及び地方公共団体職員の給与というものが考慮事項の一つということにされているところでございます。  ただ、これ以外の考慮事項もここに記述されているわけでございますが、これらの考慮事項を考慮した上で、労使交渉により給与が決定されるということでございますので、地方公共団体職員と比較してどのような数字になるかというのは、この結果次第ということになると思います。
  115. 吉川元

    ○吉川(元)委員 まさに国の独法も労基法の世界でありますから、労使交渉の中で、労使対等の関係の中で進められているということでありますが、少なくとも国の独法、国家公務員とほぼ同水準であるということは、当然、地方においても同じようなことになっていかなければならないというふうに私自身は思っております。  もう一つ、通則法との並びでということになるんだというふうに言われるとそれまでなんですけれども、今回の改正の中で雇用形態も考慮の対象になっておりますが、これは一体どういう意味があるんでしょうか。
  116. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  御指摘ございましたように、雇用形態も考慮事項の一つとして追加されているわけでございまして、これは国の独立行政法人通則法と横並びの規定にしているということでございます。  雇用形態につきましては、一般地方独立行政法人職員の任用には地方公務員法が適用されず、その雇用形態にはさまざまなものがあり得ることから、当該地方独立行政法人の雇用形態を考慮事項としているものでございます。
  117. 吉川元

    ○吉川(元)委員 いつでしたか、前々回かな、五月頭に地方公務員法の改正を行いまして、議論させていただきました。その際に、雇用形態の違いをもって、それだけのゆえをもって賃金や処遇に大きな格差が出るというのは不合理だというふうに、そういう中で、今、国の方で働き方改革、同一労働同一賃金の議論が行われております。  ところが、これは、通則法との並びだというふうに言うとそうかもわかりませんけれども、一方で、非正規という言葉をなくすというふうな総理の強い意思のもとで働き方改革が行われているのに、新たにこの条文を変える際に雇用形態も考慮の対象になる。ということは、つまり、非正規の方は別段賃金が下がったとしても、この法律だとまさにそういうふうに読めてしまうわけです。  なぜこういう雇用形態、確かに通則法はそうなっているけれども、通則法の方を変えなければ国の全体の働き方改革と矛盾をしてしまうのにもかかわらず、なぜ独法で、今回法改正するのであれば、少なくともこの「雇用形態」という言葉は除くべきではなかったんですか。
  118. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  国の独法通則法の中でこの規定がどういう意味で入っているかということを確認させていただいたのでございますが、その説明によると、法人の職員の種類、法人の雇用の形態がさまざまある中で、社会一般の同様の雇用形態の者がどのような実態にあるかを考慮することを求めるものであって、社会一般において雇用形態による差別的取り扱いが禁止されているとすれば、そのような事情も考慮して給与の基準を定めるべきことを意図するものだ、差別的取り扱いを助長するものではない、このように国の独法通則法の考え方で述べられておりまして、私どもも同じ考え方でこの規定を入れさせていただいたということでございます。
  119. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会一般でというふうに言われますけれども、まさに今なぜ働き方改革が議論されているかというと、不合理な格差というのは現実に社会一般の中で存在をしているわけです。社会一般でというふうに言ってしまえば、それを総務省が追認してしまうことになるのではないか、私はその点を指摘させていただきたいというふうに思います。  続けて、今回、公権力の行使あるいは偽装請負という課題指摘されてきた窓口業務の外部委託が行われるということですけれども、結果的に、住民の利便性を損なって、サービスの質を落としてしまうのではないかという懸念があります。  また、今まさに「雇用形態」というのが条文に入ったことによって、そこで働く人たちの雇用あるいは労働条件、賃金等々の処遇、こうしたものがないがしろにされるのではないかという危惧も持たざるを得ません。  この二点について、今回の窓口業務委託でどのようにしっかり担保されていくというふうに考えておられるのか、答弁を求めます。
  120. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  地方独立行政法人でございますけれども地方独立行政法人法に基づいて自主的、自律的に業務執行を行うものでございますけれども、今回御審議いただいている改正案におきまして、設立団体の長の年度目標の指示とか事業計画の認可等を通じまして、業務の質の確保を図ることにいたしているところでございます。  また、地方独立行政法人職員の給与、勤務条件についても、不適切な事案があれば、業務運営の改善措置命令などによって是正を図ることが可能だというふうに考えております。
  121. 吉川元

    ○吉川(元)委員 今、関与が可能であると。先ほどから答弁を聞いておりますと、きめ細やかな関与というようなお話がございました。  きめ細やかな関与によってサービスの質が担保されるんだ、あるいは処遇についても担保されるんだというお話ですけれども、非常にこれは表裏一体といいますか、きめ細やかな関与をするということは偽装請負の疑惑も出てくる話であります。  普通、外部に委託する場合には、こういうことをしてください、こういう結果を出してください、あとはお任せしますというのが外部委託ですけれども、きめ細やかに関与すればするほど、個別の業務について指示、指導をする形になってしまうのではないんでしょうか。この点についていかがでしょうか。
  122. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  今回の地方独立行政法人法の改正において、窓口業務を行う独立行政法人につきましては、今委員から御指摘ございましたように、さまざまな関与が定められているわけでございますけれども、これらの関与につきましては、あくまで対独立行政法人に対して行うということでございまして、対職員に直接行うということでないわけでございまして、そういうことによりまして、偽装請負ということにはならないというふうに考えているところでございます。
  123. 吉川元

    ○吉川(元)委員 あと、先ほどから、これは大臣答弁されておりましたけれども窓口業務のノウハウの蓄積が独立行政法人の中でされていく、それがよい点というようなことを言われておられました。  窓口業務のノウハウが独法に蓄積をしていくということは、裏を返せば、自治体の方のノウハウが同時に失われていくということになります。なぜならそれは、これは先般の板橋での視察の際にも、ここの場合はまだ公権力の行使の部分は残して、入力等々だけは民間委託しているわけですけれども、そういう状態であっても、そして二〇一五年の四月にグランドオープン、そこから始めたということですからまだ二年ちょっとしかたっておりませんが、その時点で既に板橋区としては、本体のノウハウ、これをどう維持向上させていくのかが大きな課題だというふうに言われておられました。  板橋の場合には、判断基準書というものをつくっていて、それをしっかり見ながら、自分たちのノウハウがさびつかないようにということだろうと思いますし、また、外に区民事務所みたいなのがあって、そこはまだ直営でやっているから、そこの経験も、その中で得られたノウハウというものも蓄積する、こういうことができるわけですけれども、今回、公権力も含めて丸ごと全部外に出してしまったら、自治体が持つべきノウハウというものは、たった二年でこういう課題が出てきているということは、これは十年たてばもう誰もわからない。  そのときに果たして、いろいろな、きめ細やかな関与といいますか、こういうことはこういうふうにしてくださいというようなことを言うだけの能力を自治体が保持できているんですか。それはどうやって担保されるんですか。
  124. 安田充

    安田政府参考人 お答えいたします。  御指摘ございましたように、板橋区の例がございましたが、窓口業務の民間委託の事例では、評価、管理を行うことや、引き続き直接処理される事務への従事などを通じまして、委託した後も引き続き行政としての責任を果たすために必要なノウハウを維持、涵養するための取り組みがなされているものと承知しております。  地方独立行政法人窓口業務を行う場合も、市町村は指導や助言などの関与を適切に行い、窓口業務についての市町村の責任を果たす必要がございます。このため、職員には引き続き一定のノウハウが必要でございまして、これは、目標、評価による業績管理でございますとか、報告徴収、指導、助言などの市町村役割を適切に果たす過程を通じまして、こうしたノウハウを維持、涵養することになるものと考えております。この際には、御指摘ございましたような民間委託の事例におけるさまざまな取り組みが参考になるものと考えております。  また、窓口業務の中には、引き続き市町村において直接処理される事務がございます。これらを実施する過程におきましても、ノウハウの維持、涵養がなされるものと考えております。
  125. 吉川元

    ○吉川(元)委員 板橋の場合は、まだ公権力の行使の部分は残っているんです。だから、そこで実際に、民間委託していますけれども、処理できないという問題があれば、私も見ましたけれども、偽装請負の疑いを受けないように、職場の中では会話をせずに、ボックスのところに置いてそれを処理する。公権力の行使が残っているから、まだそうやって関与ができるわけです。  今回は、公権力の行使も含めて全部出しちゃうわけです。しかも、そこに一緒に職員がいて同じ仕事を相談しながらやったら偽装請負の問題が出てきますから、一切個別については関与しないとなったら、ノウハウなんて失われるのは当然じゃないですか。指導する側が仕事の内容がわかっていなくて、どうやって指導ができるというふうに言われるんでしょうか。  それは全く机上の空論でしかないと私は思いますし、定型的な業務だというふうに言われますけれども、平時で定型的な業務であればいいですけれども、平時じゃない場合、例えば大きな災害が発生をした場合であるとか、恐らく、窓口業務、今後、定型的なものを次から次へと外に出していけるようにしていくんだろうと思いますけれども、そうした場合に、非常時において自治体がそれに対応する力を大幅に失わせることに私はつながるのではないかというふうに思います。  もう余り時間がありませんので、少し大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  今回、ガバナンスの強化というものが言われております。人口減少社会となぜガバナンスの強化がそのまま結びつくのか、ちょっと理解に苦しむところではありますが、ただ、自治体のガバナンスの強化というのは私も必要だろうというふうに思います。  今回は、内部統制の方針策定監査制度の充実に向けて具体的な法改正が行われようとしておりますが、ガバナンスの強化で最も役割を期待され、また発揮をしなければならないのは、二元代表制のもとで、やはり地方議会だろう、またそれを担う地方議員ではないかというふうに考えます。  地制調の答申でも、議会、議員の役割の重要性が指摘されておりますが、ただ、今回、地方議会地方議員のあり方で大きく見直す点というのは特に見当たりません。これはなかなか難しい問題ではあると思いますけれども、今後、地方議会や議員のあり方について、どういったことは検討していこう、あるいは検討すべき課題だ、何かお考えがあればお答えいただければというふうに思います。
  126. 冨樫博之

    冨樫大臣政務官 お答えいたします。  近年、地方議会制度については、地方分権改革の進展に対応して、住民の代表である議会の権限や自由度の拡大に資する制度改革が行われてきており、各議会の運営において、監視機能や自主性を発揮できる環境が整ってきているものと認識をしております。  しかしながら、地方議会については、なお議会に対する住民の関心が大きく低下しており、議員のなり手不足が深刻化していること、政務活動費の使途の問題などにより、議会及び議員に対する住民の信頼確保が大きな課題となっていることなどが第三十一次地方制度調査会答申において指摘されており、総務省としてもこれらの点は重要な課題であると認識をしております。  以上でございます。
  127. 吉川元

    ○吉川(元)委員 これは以前この委員会でも指摘をさせていただきましたが、二〇一五年に執行された統一自治体選挙、道府県議会の全選挙区の三分の一が無投票で確定をしている。市議会選挙でも、無投票当選が、その前の二〇一一年に比べると倍以上にふえております。  要因は幾つかあるんだろうと思いますが、一つは、この間、議会制度改革というのは必要ですけれども、定数が大幅に地方議会は削減をされております。もう委員会が開けないというような地方議会も存在をして、全体会で全部やってしまうというようなことが行われているというお話も伺います。  定数が削減され、また、道府県議会でいいますと、定数が一人区の選挙区が大量に生まれてきている。そうなると、なかなか新人の候補が立候補しにくくなっている環境があるのではないかというふうにも思いますし、県議やあるいは政令市議は別にして、地方市町村議会の議員報酬、これは大変低い状況でおります。定職を持っているまさに働き盛りの人たちが議員になってしっかりと住民の声を行政に届けようと思っても、こうした報酬の低さの中で、そこになかなか行かない。出たい人より出したい人ということで、ぜひ出てくれないかというふうに相談しても、いや、ちょっとこの報酬では生活ができないというような声も聞きます。  また、議員年金は廃止されておりますけれども、三十代、四十代の人で議員になろうとしても、もう議員年金もない、年金も国民年金のみだ、こういう条件。非常に、地方議員になろうという、本来そういう方が活発に議会活動していただくことが必要なんですが、これが物すごくなりにくくなっている。これはどこかで改善していかなければいけないと思いますけれども、最後に大臣のお考えをお聞きいたします。
  128. 高市早苗

    高市国務大臣 やはり、団体意思というものを議会が多様な民意を集約しながら決定していくというためには、住民の皆様の中から、多様多種な方々から議員が選出されて議会を構成するということが重要だと思っております。  まず、柔軟な議会運営を可能とする方法として、通年会期制を創設するなどの取り組みをしてまいりましたけれども、またさらに、現在、議会への関心をできるだけ持っていただくように、女性模擬議会の開催ですとか、若い方々と議員をつなげる取り組みもしているところであります。  各地方議会で、住民の皆様のニーズに応えられるようにお取り組みを進めていただくことが肝要だと思っております。  また、議員年金の問題につきましては、今、国会の方で、各党各会派でいろいろ御議論があるところだと承知をしております。
  129. 吉川元

    ○吉川(元)委員 ちょっと時間をオーバーしてしまいました。これで終わります。
  130. 竹内譲

    竹内委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  131. 竹内譲

    竹内委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。
  132. 小川淳也

    ○小川委員 民進党の小川淳也です。  私は、民進党・無所属クラブを代表して、地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案に賛成、原案に反対の立場から討論を行います。  第三十一次地方制度調査会の答申では、住民訴訟制度等の見直しの方向性として、全体のガバナンスの見直しにより不適正な事務処理の抑止効果を高めるとともに、長や職員損害賠償責任については、萎縮効果を低減させるため、軽過失の場合における損害賠償責任のあり方を見直すことが必要であるとしています。  答申を受けて、本法案では、長や職員等の地方公共団体に対する損害賠償責任について、善意かつ重大な過失がないときは、条例で定めた額以上の賠償を免責し、上限設定を可能としております。  一方、答申では、損害賠償請求の訴訟係争中の放棄を禁止することが必要である、また、損害賠償請求権の放棄が客観的かつ合理的に行われるよう、放棄する場合に監査委員等の意見の聴取を行うことが必要であるとも指摘しています。  本法案では、この監査委員意見聴取は盛り込まれましたが、訴訟係属中の損害賠償請求権の放棄禁止には触れられておらず、答申内容からは後退したものと言えます。住民訴訟の係争中に損害賠償請求権の放棄を認めることは、司法手続によって違法な財務会計行為を是正することの意義を損なうものであり、緊張感を持った自治体運営を構築するため、何らかの措置が必要であると考えるところでございます。  修正案は、この点、損害賠償請求権放棄の原則禁止などの制限を行うことで、議会と長とがなれ合いで安易な請求権の放棄を行うことに歯どめをかけようとするものであり、評価できます。今回の法改正で軽過失について請求権の一部免責を規定しつつ、同時に修正案の措置を講じることで、よりバランスのとれた自治体運営につながるのではないかと思います。この点から、修正案に賛成をいたします。  なお、修正案が否決された場合には、政府提出改正案の各項目に一定理解を示すところではございますが、請求権放棄に関する修正がなされないことはまことに遺憾であり、この点、今後に非常に大きな課題を残すものと考え、原案に反対をすることといたしまして、討論を終わります。(拍手)
  133. 竹内譲

    竹内委員長 次に、田村貴昭君。
  134. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出地方自治法等改正案に反対、民進党提出修正案に賛成の立場で討論を行います。  まず、政府提出地方自治法等改正案についてです。  反対理由の第一は、地方自治体窓口業務地方独立行政法人に切り出すことです。  本法案は、戸籍業務の民間委託化を導入した足立区で、戸籍法違反や偽装請負の実態が明らかになり、委託した相当部分を直営に戻す事態となった失敗から、地方独立行政法人に委託させるものです。  公権力の行使に係るかどうかではなく、定型的な業務であるか否かを基準として窓口業務を切り分け、総務省令で定型的業務であるとすれば、公権力の行使を含めた窓口業務を法人に担わせることになり、重大です。  窓口業務地方自治体から切り離すならば、住民の基本的権利を守る自治体役割と機能は大きく後退します。市町村による法人への関与規定を定めても、これらはトラブルや事故の事後的な対策です。また、自治体職員と法人職員業務上で直接のやりとりを行えば偽装請負となるなど、違法行為の危険も高まります。さらに、市町村窓口業務が法人に集約され、自治体の統廃合が加速される点も看過できません。  反対理由の第二は、住民監査請求権と住民訴訟提起権を抑制する仕組みを設けることです。  監査請求が提起された後、議会監査委員意見を聞けば、損害賠償請求権等を放棄する議決ができるようにすることや、条例で軽過失の一部免責をあらかじめ定めておくことができるようにすることは、住民監査請求権と住民訴訟提起権の機運をそぐものです。  反対理由の第三は、総務大臣監査基準策定変更についての指針を定め、地方自治体に必要な助言をすることで、地方自治体に対する国の関与を強めようとしていることです。  以上、政府提出地方自治法等改正案に反対します。  次に、民進党提出修正案についてです。  本修正案は、損害賠償請求権等を議会の議決で放棄することについて、やむを得ない場合を除き禁止するものです。  住民訴訟が続き、長などの適法行為の真偽が争われているさなかに、議会損害賠償請求権等を放棄するために違法性の究明が断ち切れとなり、住民訴訟が閉ざされる事態が問題となっています。  議会による権利放棄という地方自治の確保に留意しながら、住民訴訟を通じて長などの違法行為を究明するという住民訴訟制度を守ることが必要であり、修正案に賛成するものです。  以上で討論を終わります。(拍手)
  135. 竹内譲

    竹内委員長 次に、吉川元君。
  136. 吉川元

    ○吉川(元)委員 社会民主党を代表し、地方自治法等の一部改正案並びに民進党提出修正案に対し、反対の立場から討論します。  政府案に反対する第一の理由は、知事や首長が定める内部統制の方針が、財務に関する事務以外でも広い分野で策定することが可能となり、職員に過度な負担が生じる懸念が残るからです。  また、総務大臣が統一した監査基準指針を示し、必要な助言を行うことについても、過度に国の関与を強め、自治体自主性を損ねかねないばかりか、地方が共同して策定することが適当とした調査会答申の内容とも食い違っています。  反対の第二の理由は、住民訴訟損害賠償責任の見直しで、軽過失の場合の賠償責任額の限度を定めることを可能としましたが、違法な財務会計行為に対する抑止効果まで減殺することになりかねないという危惧を持ちます。  また、調査会答申で禁止すべきとした訴訟係争中の賠償請求権の放棄が、法案では可能としている点も問題です。  反対の第三の理由は、自治体窓口業務地方独立行政法人に委託することを可能とした点です。  定型的事務であることや自治体の強い関与を理由として、公権力の行使を伴う業務の外部委託を可能とすれば、将来的に自治体のあらゆる業務が外部委託の対象とされるのではないかと懸念をします。また、自治体の行うサービスの低下にもつながりかねません。  以上が政府案に反対する主な理由ですが、人口減少社会、あるいは地域間格差が拡大する中にあっての自治体公共サービス役割については、地方議会制度のあり方行政、民間、住民の間の関係あり方などから、広く考察されるべきと考えます。  なお、民進党提出修正案につきましては、その趣旨は十分理解できるものの、これをもって今回の損害賠償制度の見直し全体を了とできないため、反対といたします。  以上です。
  137. 竹内譲

    竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  138. 竹内譲

    竹内委員長 これより採決に入ります。  地方自治法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、奥野総一郎君外一名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 竹内譲

    竹内委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 竹内譲

    竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  141. 竹内譲

    竹内委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、葉梨康弘君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。輿水恵一君。
  142. 輿水恵一

    ○輿水委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方自治法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。  一 指定都市以外の市町村の長にあっても、内部統制に関する方針策定し、当該方針に基づく体制の整備を促進するよう、当該市町村長に対する必要な助言及び情報提供を行うこと。  二 普通地方公共団体における監査委員等の専門性を確保し、監査の品質向上を図るため、監査を支援する組織・体制の在り方について引き続き検討を行うこと。  三 普通地方公共団体の長等の損害賠償責任について、職務を行うにつき軽過失の場合において、その一部を免れさせる旨を条例で定めることができる措置を講ずることに鑑み、議会による損害賠償又は不当利得返還の請求権の放棄の在り方について、本法の施行状況も踏まえつつ、引き続き検討を行うこと。  四 普通地方公共団体議会が果たすべき監視機能の向上及び議員活動の透明性確保の在り方について検討を行い、これを踏まえて各地方公共団体に対して必要な助言を行うよう努めること。  五 窓口関連業務には住民に関する各種行政の基礎となる事務が含まれていることに鑑み、当該業務を担う申請等関係事務処理法人における業務の取扱いに当たって、個人情報の保護が十分に図られるよう、各地方公共団体に対して適切な助言を行うこと。  六 地方独立行政法人業務運営に関して、本法に則った適正な対応が確保されるよう注視し、国の独立行政法人改革の動向を踏まえつつ、必要に応じて適切な助言を行うこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  143. 竹内譲

    竹内委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 竹内譲

    竹内委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣
  145. 高市早苗

    高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  146. 竹内譲

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 竹内譲

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  148. 竹内譲

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会