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坂庭参考人 御指名いただきました
坂庭であります。
住宅のつくり手と住み手が参加する
住宅運動団体で活動をしております。また、元
UR職員でもありました。きょうは、こういう場をいただきまして、ありがとうございます。
お
手元に
資料をお配りしておりますので、お
手元の
資料に基づいて
意見を述べさせていただきます。
まず第一点は、
公営住宅を補完する全面的な新
制度が保障されるような、そういう
法改正をぜひお願いしたいということであります。
実は、
浅見先生が
委員長をやっておられる
検討委員会、二月十日に
最終取りまとめが出されました。本来、
浅見先生に触れていただきたいんですけれども、私の方で気づいている点を申し上げておきたいなと思います。
検討の基本的な
方向性として、ここに書いてあることが明示をされておりまして、第一点は、新
制度は
公営住宅を補完するもの。それから二点目は、
公営住宅の
入居対象者も含め新
制度を実施していくということであります。
三つ目は、多様な
住宅確保要
配慮者を
対象とする。この
三つは大変大事な点だと思うんですよね。これらが実現する
法改正、新
制度というのが私は第一に
意見として申し上げたい点であります。
そのほか、ここにありますように、
浅見先生が取りまとめられた
最終取りまとめは大変重要なことが盛り込まれておりまして、ぜひこれが新
制度それから
法改正に生かされるようにお願いをしたいなと思います。
中でも、これは1から5まで書き出したんですけれども、
最後の、「不適切な
管理等を行う
賃貸人」、
賃貸人は家主のことですけれども、「
賃貸人に対して、都道府県等が指導監督できるようにすること。」それから、「
生活保護受給世帯を住まわせて不当な利益を得ている「
貧困ビジネス」につながることのないよう留意」する、これらは、今回のこの
法改正と新
制度を考える際に非常に重要な内容を持っていると思うんですよね。
御承知のように、今度の
法改正なり新
制度は、
家賃債務保証会社に、最大ですけれども三万円の補助を国が直接行うという、ちょっと今までこういうことはなかったと思うんですけれども、それだけに、この
家賃債務保証会社に対する必要なコントロール、規制を行う必要があるわけであります。
かつて、追い出し屋規制法というものが国会の中で議論をされたと思うんですけれども、結局廃案になって今日に至っているわけで、ぜひこの機会に、さまざまな問題を克服し解決する上でも、追い出し屋規制法を初めとした規制
政策をとっていただきたいということが第一の点であります。
第二は、現行法にある公的
賃貸住宅供給の
促進を重視すべきだ。これは、
公営住宅と
UR賃貸住宅を初めとした公的
賃貸住宅を重視すべきだということであります。
もともと、
住宅セーフティーネット法は、公的
賃貸住宅の
供給を
促進するということが柱だったと思うんですよね。現行では第五条に、一番初めの方に書かれているわけですね。ところが、今回の改定を見ると、五十三条という非常に奥まったところに公的
賃貸住宅の
供給の
促進が据えられるという、これも私の目から見ても非常に疑問を感じている点なわけです。
本来は、セーフティーネット法に基づいて公的
賃貸住宅がきちっと
供給をされ、そして、ここに住む世帯の居住の安定が図られる必要があったんですけれども、ところが、この十年間の公的
賃貸住宅の動向を見ますと、五万戸以上
住宅が減っているということなんです。
供給の
促進ではなくて、むしろ削減の
促進と言えるのではないかということで、私なんかはこの問題を非常に危惧しているわけであります。
特に
UR賃貸住宅の削減が非常に大きくて、この表にありますように、二万戸以上の削減がこの十年間で行われている。
公営住宅が二万七千戸ですけれども、比率としては
UR賃貸住宅の削減は非常に大きなものになっていて、これも非常に、問題をどう捉え、改善していくのかという課題になっていると思います。
公営住宅の補完としては、現状でも
公営住宅に応募する世帯が
全国で六十五万世帯いるわけですね。これらの
公営住宅に応募する世帯に対して直ちに新
制度を適用するとともに、
公営住宅の充実強化を図って応募者に対する対応を行うべきだということが求められている。
以上が第二点であります。
第三点は、新
制度の
住宅確保要
配慮者の
対象世帯をどう見るかということですね。
これはいろいろな見方があるんですけれども、私の
意見は、これは
浅見先生がやっておられる
検討小
委員会に出された
資料なんですけれども、高
家賃負担、最低居住面積水準
未満の三百万世帯を
対象とすべきではないかという
意見であります。
ここに表がありますように、借家に居住するというのは、
UR賃貸住宅、公社
賃貸住宅に居住する世帯も含まれているわけであります。
公営住宅の
入居階層、収入分位二五%以下ですけれども、それが七百二十七万世帯。これは国交省が出している数字ですね。約四四%の世帯が
公営住宅入居対象者なわけですよね。そのうち、高
家賃負担が二百四万世帯、それから最低居住面積水準
未満が百万世帯、合計三百四万世帯なんです。
特に強調したいのは、高
家賃負担の中で、これは
民間賃貸住宅とともに、
UR賃貸住宅と公社
賃貸住宅の世帯も入っているわけですね。ですので、今回の
制度とは別に、高
家賃負担というのは、国交省の説明では三七%負担、これが高
家賃負担なんですね。当然、
公営住宅入居階層の
人たちですけれども、これらの高
家賃負担を余儀なくされている世帯に対して、これは
UR賃貸住宅も含めてですけれども、
家賃減額や
家賃補助を行う必要があるのではないかということを強調しておきたいなと思います。
それから、先ほど
稲葉さんの方からも出されたことですけれども、
被災者の定義、それから、特に
配慮を要する世帯のことですね。
私は、やはり第二条の定義に、
生活保護受給者、
ホームレス、若年低
所得世帯、これを明記すべきだと。これは最も
住宅確保に対する
支援が必要な人であります。
それから、
被災者について、三年を経過していないものに限るというのも、本則で盛り込むというのはいかがなものかと。今、
被災者をめぐって大変大きな
社会問題になっておりますので、この点についても見直す必要があるのではないかと思います。
第四は、
家賃低廉化の問題であります。
家賃低廉化の
法律は、先ほど
浅見先生も触れられた特定優良
賃貸住宅の
法律、これがあるわけです。今の
地域優良
賃貸住宅のもとになっているものであります。この第十五条で、
家賃の減額に要する費用の補助が既に条文化されているわけです。ですので、今回の
法律に
家賃低廉化の条文を入れないというのはいかにも整合性がとれないということなので、これについてはやはり条文に明記すべきであるということであります。
それから、
家賃水準と適正
家賃でありますけれども、従前は、
公営住宅の
家賃負担率というのは大体一五%から一八%ぐらいで設定されているわけですね。ところが、今の
家賃負担というのはこれを大きく上回る負担になっているわけでありまして、
国民が居住する
賃貸住宅の適正
家賃の負担率について、
審議を通じて明らかにすることを求めたいと思います。
最後ですけれども、今回の問題の
背景に
空き家問題があるわけであります。
民間賃貸住宅の
空き家というのは、ここにありますように、
全国の
空き家の半分以上、四百三十万戸に上っております。明らかに
供給過剰の
状況が一貫して続いているわけです。これは、最近の中央公論という月刊誌に「産官民がつくり出した「
住宅過剰
社会」の歪み」というのが示されていて、やはり今の我が国における
住宅過剰
社会からの転換を図ることが必要でありますので、
民間賃貸住宅政策を含めて、ぜひその策定を強くお願いしたいということで、発言を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(
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